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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】自動苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20230711BHJP
   A01C 13/00 20060101ALI20230711BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A01C11/02 301Z
A01C13/00
A01B69/00 303M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020212103
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098616
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】大久保 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068784(JP,A)
【文献】実開平06-061009(JP,U)
【文献】特開2019-106966(JP,A)
【文献】特開2010-124729(JP,A)
【文献】特開2000-069807(JP,A)
【文献】特開平03-224408(JP,A)
【文献】特開2008-237104(JP,A)
【文献】特表2020-528846(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111201867(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01C 11/00 - 11/02
A01C 13/00
G05D 1/00 - 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(6A,6B,6C,6D)を制御装置(15)で制御して自立走行する車体フレーム(7)上の中央に搬送方向を前後に切り換える苗トレイ搬送台(10)を設け、
車体フレーム(7)の前後中央底部に畝面を均す整地ローラ(30)を昇降可能に設け、
整地ローラ(30)を前後に挟んで車載バッテリ(14)を搭載し、走行装置(6A、6B、6C、6D)のインホイールモータ(6AM,6BM,6CM,6DM)とメインモータ(4)及び苗トレイ搬送台(10)のコンベアモータ(10M)を駆動する構成とし、
苗トレイ搬送台(10)の前側に前苗送り装置(9F)と前苗植付装置(8F)を設け、苗トレイ搬送台(10)の後側に後苗送り装置(9R)と後苗植付装置(8R)を設け、
苗トレイ搬送台(10)の前後端部それぞれに苗トレイガイド(18)を設けて苗トレイ(NT)を前苗送り装置(9F)と後苗送り装置(9R)上に案内する構成とし、
苗トレイ搬送台(10)に設けるコンベアモータ(10M)でコンベアの前方搬送で苗トレイ(NT)を前苗送り装置(9F)に送り出し、コンベアの後方搬送で苗トレイ(NT)を後苗送り装置(9R)に送り出すように切り換え可能とすることで、前記苗トレイ搬送台(10)の搬送方向を切り換えて前苗送り装置(9F)又は後苗送り装置(9R)に苗トレイ(NT)の苗を送り、進行方向後側の苗植付装置(8F,8R)で苗トレイ(NT)から苗を取り出して畝に植え付け、
メインモータ(4)から前伝動機構(5F)を介して前苗送り装置(9F)と前苗植付装置(8F)を駆動し、後伝動機構(5R)を介して後苗送り装置(9R)と後苗植付装置(8R)を駆動する構成とし、前伝動機構(5F)及び後伝動機構(5R)のそれぞれに設ける植付伝動クラッチ21の一方を接続することで、前伝動機構(5F)と後伝動機構(5R)が同時に駆動することを規制し、
前苗植付装置(8F)の前側に前覆土装置(35F)を設け、後苗植付装置(8R)の後側に後覆土装置(35R)を設け、前覆土装置(35F)及び後覆土装置(35R)は、前進前側になると上昇させて畝面から浮かせ、前進後側になると降下させて畝面に接地する構成とし、
アーム(25)の先端にローラ(26)を設け、ローラ(26)を畝面に接地させてアーム(25)が上下に大きく回動すると、畝端に達したとして警報する畦センサ(27)を構成し、アーム(25)は、車体フレーム(7)の前側の底部から前方へ、かつ、後側の底部から後方へ向かってそれぞれ突出する構成とする自動苗移植機。
【請求項2】
車体フレーム(7)の移動位置を認識する車体位置認識装置(24)を設け、
苗トレイ搬送台(10)の上方を開放空間とし、
運搬飛行体(12)が、苗トレイ(NT)を運搬して苗トレイ搬送台(10)上へ飛行し苗トレイ搬送台(10)上に接近し、苗トレイNTを苗トレイ搬送台(10)に落下供給可能とすることを特徴とする請求項1記載の自動苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を走行しながら苗を移植する苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機として、特許文献1に作業者が歩行しながら移植作業を行う歩行型苗移植機が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、自立走行する無人苗移植機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-187553号公報
【文献】特開2009- 5666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の歩行型苗移植機は、作業者が苗トレイから苗を取り出して植付ホッパに投入した苗を圃場に植え付ける移植機であり、作業者が機体後方乃至後側方を追従して歩行しながら苗の供給作業と共に進行方向や旋回などの操縦操作を行うものである。
【0006】
この移植機では、植付作業中において作業者は常に機体に追従して歩き続けねばならず、旋回時には機体前側を押し上げて傾ける操作が必要で、大きな労力を有する問題がある。また、苗トレイから全ての苗が消耗されると、新しい苗トレイをセットしなければならないが、作業を中断して苗トレイ置き場に機体を移動することになり、その間苗の植付作業が中断されるので、作業能率が低下する問題がある。
【0007】
また、走行車体の底部に設ける畝高さセンサの回動で車高を調整する構成であるが、昇降シリンダを設けたり、走行輪の伝動ケースを上下回動させる機構を設けたりする必要があるので、構成が複雑化すると共に、重量や部品コストが増加する問題がある。
【0008】
さらに、畝高さセンサは板体であり畝面への押し付けも軽いために、小さな凸部でも畝高さの変動として拾い、平均的な畝高さを検出できず、植付深さを均等にできない。
【0009】
特許文献2に示す移植機は、GPSを用いて畝に沿って自動植付走行し、畝端に達すると自動で隣の植付畝に移動するもので、作業者は機体に追従する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0010】
しかしながら、機体に搭載した植付用の苗が無くなると、移植作業を中断して作業者が機体まで補充用の苗を運ぶ必要があり、植付作業が中断されるので、作業能率が低下する問題がある。
【0011】
また、上記の苗移植機はバッテリ駆動式であるが、作業途中でバッテリが切れると別のバッテリに交換する必要があり、植付作業が中断されて、作業能率が低下する問題がある。
【0012】
本発明は、従来の苗移植機は作業者が機体に追従しなければならない点や、苗の補充に労力を要する点等を考慮して、効率の良い移植作業を行える自動苗移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0014】
第1の本発明は、
走行装置(6A,6B,6C,6D)を制御装置(15)で制御して自立走行する車体フレーム(7)上の中央に搬送方向を前後に切り換える苗トレイ搬送台(10)を設け、
車体フレーム(7)の前後中央底部に畝面を均す整地ローラ(30)を昇降可能に設け、
整地ローラ(30)を前後に挟んで車載バッテリ(14)を搭載し、走行装置(6A、6B、6C、6D)のインホイールモータ(6AM,6BM,6CM,6DM)とメインモータ(4)及び苗トレイ搬送台(10)のコンベアモータ(10M)を駆動する構成とし、
苗トレイ搬送台(10)の前側に前苗送り装置(9F)と前苗植付装置(8F)を設け、苗トレイ搬送台(10)の後側に後苗送り装置(9R)と後苗植付装置(8R)を設け、
苗トレイ搬送台(10)の前後端部それぞれに苗トレイガイド(18)を設けて苗トレイ(NT)を前苗送り装置(9F)と後苗送り装置(9R)上に案内する構成とし、
苗トレイ搬送台(10)に設けるコンベアモータ(10M)でコンベアの前方搬送で苗トレイ(NT)を前苗送り装置(9F)に送り出し、コンベアの後方搬送で苗トレイ(NT)を後苗送り装置(9R)に送り出すように切り換え可能とすることで、前記苗トレイ搬送台(10)の搬送方向を切り換えて前苗送り装置(9F)又は後苗送り装置(9R)に苗トレイ(NT)の苗を送り、進行方向後側の苗植付装置(8F,8R)で苗トレイ(NT)から苗を取り出して畝に植え付け、
メインモータ(4)から前伝動機構(5F)を介して前苗送り装置(9F)と前苗植付装置(8F)を駆動し、後伝動機構(5R)を介して後苗送り装置(9R)と後苗植付装置(8R)を駆動する構成とし、前伝動機構(5F)及び後伝動機構(5R)のそれぞれに設ける植付伝動クラッチ21の一方を接続することで、前伝動機構(5F)と後伝動機構(5R)が同時に駆動することを規制し、
前苗植付装置(8F)の前側に前覆土装置(35F)を設け、後苗植付装置(8R)の後側に後覆土装置(35R)を設け、前覆土装置(35F)及び後覆土装置(35R)は、前進前側になると上昇させて畝面から浮かせ、前進後側になると降下させて畝面に接地する構成とし、
アーム(25)の先端にローラ(26)を設け、ローラ(26)を畝面に接地させてアーム(25)が上下に大きく回動すると、畝端に達したとして警報する畦センサ(27)を構成し、アーム(25)は、車体フレーム(7)の前側の底部から前方へ、かつ、後側の底部から後方へ向かってそれぞれ突出する構成とする自動苗移植機である。
第2の本発明は、
車体フレーム(7)の移動位置を認識する車体位置認識装置(24)を設け、
苗トレイ搬送台(10)の上方を開放空間とし、
運搬飛行体(12)が、苗トレイ(NT)を運搬して苗トレイ搬送台(10)上へ飛行し苗トレイ搬送台(10)上に接近し、苗トレイNTを苗トレイ搬送台(10)に落下供給可能とすることを特徴とする第1の本発明の自動苗移植機である。
本発明に関連する第1の発明は、走行装置(6A,6B,6C,6D)を制御装置(15)で制御して自立走行する車体フレーム(7)上の中央に搬送方向を前後に切り換える苗トレイ搬送台(10)を設け、車体フレーム(7)の前後中央底部に畝面を均す整地ローラ(30)を昇降可能に設け、苗トレイ搬送台(10)の前後に前後苗送り装置(9F,9R)と前後苗植付装置(8F,8R)を設け、前記苗トレイ搬送台(10)の搬送方向を切り換えて前後苗送り装置(9F,9R)に苗トレイ(NT)の苗を送り、進行方向後側の苗植付装置(8F,8R)で苗トレイ(NT)から苗を取り出して畝に植え付ける自動苗移植機とする。
【0015】
本発明に関連する第2の発明は、整地ローラ(30)は、車体フレーム(7)から下方に向かって付勢される配置としたことを特徴とする本発明に関連する第1の発明の自動苗移植機とする。
【0016】
本発明に関連する第3の発明は、前後苗植付装置(8F,8R)の前後に植付後の圃場を埋め均す前後覆土装置(35F,35R)を設け、該前後覆土装置(35F,35R)のうち、進行前側は畝面から上方に離間させ、進行後側は接地させることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の自動苗移植機とする。
【0017】
本発明に関連する第4の発明は、車体フレーム(7)の移動位置を認識する車体位置認識装置(24)を設け、該車体位置認識装置(24)が車体フレーム(7)の移動停止或いは予定移植ルートからの外れを認識すると、携帯端末(40)に異常通知を行うことを特徴とする本発明に関連する第1から3の何れか1の発明の自動苗移植機とする。
【0018】
本発明に関連する第5の発明は、車体フレーム(7)上の苗トレイ搬送台(10)の下部に、空の苗トレイ(NT)を載置する空トレイ収容部(45)を設けたことを特徴とする本発明に関連する第1から3の何れか1の発明の自動苗移植機とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、車体フレーム(7)を畝端で大きな円弧を描いて旋回させることなく、各畝において前進走行或いは後進走行で苗の移植作業を行うことができ、効率的な移植作業が実現される。また、バランスよく整地することが出来る。さらに、苗トレイ(NT)を前苗送り装置(9F)と後苗送り装置(9R)上にスムーズに案内出来る。さらに、共通のメインモータで前後の苗送り装置と苗植付装置を駆動できる。さらに、畝端に到達したことを確実に把握できる。
本発明に関連する第1の発明で、自立走行する車体フレーム(7)の苗トレイ搬送台(10)に載せた苗トレイ(NT)は苗トレイ搬送台(10)の前方或いは後方への搬送で前後苗送り装置(9F,9R)に送られ、その取出し側に設ける前後苗植付装置(8F,8R)で各々取り出されて、車体フレーム(7)の底部に設ける整地ローラ(30)で整地された畝に植え付けられるので、車体フレーム(7)を畝端で大きな円弧を描いて旋回させることなく、各畝において前進走行或いは後進走行で苗の移植作業を行うことができ、効率的な移植作業が実現される。
【0020】
本発明に関連する第2の発明では、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、車体フレーム(7)から畝面に向かう付勢力を整地ローラ(30)に加えることにより、整地ローラ(30)に加圧されて畝面が均されることで、苗の移植姿勢が安定する。
【0021】
本発明に関連する第3の発明では、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、車体フレーム(7)の進行前側の覆土装置(35F,35R)を畝面から上方に離間させることにより、畝面を荒らすことなく苗の植付作業走行が行えると共に、進行方向後側の苗植付装置(8F,8R)が植え付けた苗の周囲の土を押し均すことができるので、苗の植付姿勢が安定する。
【0022】
本発明に関連する第4の発明では、本発明に関連する第1から3の何れか1の発明の効果に加えて、自走して苗の移植作業を行う自動苗移植機が異常事態により停止したり予定移植ルートから外れたりすると、携帯端末(40)に通知されるので、速やかに問題に対処でき、作業の中断時間が軽減される。
【0023】
本発明に関連する第5の発明では、本発明に関連する第1から3の何れか1の発明の効果に加えて、苗トレイ搬送台(10)上の苗トレイ(NT)から取り出された苗が前後苗送り装置(9F,9R)と前後苗植付装置(8F,8R)で畝に移植され、空の苗トレイ(NT)が空トレイ収容部(45)に収容されるので、空の苗トレイ(NT)が圃場に放置されて移植された苗を圧し潰したり風で飛散したりすることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明における実施の形態の自動苗移植機の平面図
図2】自動苗移植機の側面図(A)と運搬飛行体の側面図(B)
図3】自動苗移植機の自動制御ブロック図
図4】自動苗移植機の電動モータの自動制御フローチャート図
図5】自動苗移植機の電動モータの自動制御フローチャート図
図6】運搬飛行体の飛行制御図
図7】自動苗移植機の別実施例の一部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0026】
図1は自動苗移植機の平面図で、平面視で四角形上の車体フレーム7の前後左右にインホイールモータ6AM,6BM,6CM,6DMで駆動する前輪(走行装置)6A、6Bと後輪(走行装置)6C、6Dからなる走行ユニットを設け、制御装置15で回転を制御して前後進と旋回して走行する。
【0027】
車体フレーム7の底部前後中央には整地ローラ30を左右支脚32のバネ31で支持してフリー回転する整地ローラ30を設け、この整地ローラ30を前後に挟んで非接触給電装置13で給電する車載バッテリ14を搭載し、前輪6A、6Bと後輪6C、6Dのインホイールモータ6AM,6BM,6CM,6DMとメインモータ4及び苗トレイ搬送台10のコンベアモータ10Mを駆動する。車載バッテリ14の電力が減少すると走行装置6A、6B、6C、6Dを駆動して非接触給電装置13を電力供給装置(図示省略)上に移動して充電する。
【0028】
整地ローラ30を畝面に押し付けるバネ31の付勢力は、畝面の小さな突起部を潰して均す程度とし、前輪6A、6Bと後輪6C、6Dの駆動力伝動には影響ないものとする。また、整地ローラ30を前進方向へ駆動しても良い。
【0029】
車体フレーム7の上部にはコンベア支持台17で苗トレイ搬送台10を浮かせて支持し、この苗トレイ搬送台10の前側に前苗送り装置9Fと前苗植付装置8Fを設け、後側に後苗送り装置9Rと後苗植付装置8Rを設け、苗トレイ搬送台10に設けるコンベアモータ10Mでコンベアの前方搬送で苗トレイNTを前苗送り装置9Fに送り出し、コンベアの後方搬送で苗トレイNTを後苗送り装置9Rに送り出すように切り換え可能にしている。
【0030】
苗トレイ搬送台10の前後側部に苗トレイガイド18を設けて苗トレイNTを前苗送り装置9Fと後苗送り装置9R上に導くようにしている。また、前苗送り装置9Fの上部に前苗減少センサ19Fを設け、後苗送り装置9Rの上部に後苗減少センサ19Rを設けて、苗トレイNTを検出する。
【0031】
前苗送り装置9Fと後苗送り装置9Rは苗載せ台がリードカム機構20で左右に往復移動可能で、車体フレーム7の進行方向後側へ苗トレイ搬送台10のコンベアを送り作用させて、その送り側の後苗送り装置9Rと後苗植付装置8R或いは前苗送り装置9Fと前苗植付装置8Fを駆動して苗トレイNTから苗を取り出して畝に移植する。前苗送り装置9Fと後苗送り装置9Rには側部に苗送り端検知スイッチ22を設けて苗載せ台が側端に移動したことを検出する。
【0032】
苗トレイ搬送台10の下側に空トレイ収容部45を設け、苗を取り出した空の苗トレイNTを載せて搬送するようにしている。このために、空の苗トレイNTが圃場に散乱することが無い。
【0033】
メインモータ4から前伝動機構(前植付伝動ケース)5Fを介して前苗送り装置9Fと前苗植付装置8Fを駆動し、後伝動機構(後植付伝動ケース)5Rを介して後苗送り装置9Rと後苗植付装置8Rを駆動しているが、前伝動機構(前植付伝動ケース)5Fと後伝動機構(後植付伝動ケース)5Rは一方向クラッチで伝動して同時に駆動することが無く、それぞれ植付伝動クラッチ21で駆動の断続をする。
【0034】
前苗植付装置8Fの前側に前覆土装置35Fと後苗植付装置8Rの後側に後覆土装置35を設け、この前後覆土装置35F,35Rは、前進前側になると上昇させて畝面から浮かせ、前進後側となると降下させて畝面に接地するようにしている。
【0035】
この前後覆土装置35F,35Rは、円錐ローラを向かい合わせて、移植苗の株元を押さえて移植姿勢を安定させる。
【0036】
苗トレイ搬送台10の上部四隅には車体位置認識装置24となる前GPSレシーバー24A,24Bと後GPSレシーバー24C、24Dを設け、測位衛星からの電波を受信して制御装置15に苗トレイ搬送台10の地図上位置を認識させて、図2の如く、制御装置15が運搬飛行体12を苗トレイ搬送台10上に誘導して苗トレイNTを落下供給可能にしている。
【0037】
運搬飛行体(ドローン)12は、トレイ受フック12Bを底部に設け、苗トレイNTを運搬して苗トレイ搬送台10の上空に接近して苗トレイNTを落下供給する。なお、運搬飛行体12にはGPSレシーバー12Aを設けて機体の地図上位置を認識して苗トレイ搬送台10上へ飛行し苗トレイ搬送台10上に接近する。
【0038】
また、車体位置認識装置24は車体フレーム7の位置を制御装置15に入力して、停止状態が続いたり予定移植経路を外れると、作業者が持つ携帯端末40に通知することで、作業者が迅速に帝王出来るようにしている。
【0039】
図3は、制御装置15の信号入出力制御図で、車体位置認識装置24である前GPSレシーバー24A,24Bと後GPSレシーバー24C、24Dから苗トレイ搬送台10の位置情報及び車体フレーム7の位置情報が制御装置15に入力し、前苗減少センサ19Fから前苗送り装置9F上の苗トレイNTが無くなった検出信号と後苗減少センサ19Rから後苗送り装置9R上の苗トレイNTが無くなった検出信号が制御装置15に入力する。
【0040】
また、前輪6A、6Bのインホイールモータ6AM,6BMと後輪6C、6Dのインホイールモータ6CM,6DMへ駆動信号が出力され、メインモータ4とコンベアモータ10Mにも駆動信号が出力され、携帯端末40に車体フレーム7の移動情報が出力される。
【0041】
また、運搬飛行体12には苗トレイ搬送台10の地図上位置情報が出力され、飛行指令が出力される。また、前植付伝動ケース5Fの植付伝動クラッチ21と後植付伝動ケース5Rの植付伝動クラッチ21にクラッチ切換信号が出力される。
【0042】
図4は、車体フレーム7の前後進に伴う苗トレイ搬送台10と前後苗送り装置9F,9Rと前後苗植付装置8F,8Rの駆動を制御するフローチャート図で、ステップS1で前輪6A、6Bと後輪6C、6Dを駆動し、ステップS2でインホイールモータ6AM,6BM,6CM,6DMの回転を確認し、正転すなわち前進走行であれば、ステップS3~9を実行し、後苗送り装置9Rと後苗植付装置8Rを駆動し、後苗送り装置9R上の苗トレイNTが無くなると苗トレイ搬送台10のコンベアモータ10Mを停止する。
【0043】
また、ステップS2でインホイールモータ6AM,6BM,6CM,6DMの回転が逆転すなわち後進走行であれば、ステップS10~16を実行し、前苗送り装置9Fと前苗植付装置8Fを駆動し、前苗送り装置9F上の苗トレイNTが無くなると苗トレイ搬送台10のコンベアモータ10Mを停止する。
【0044】
これにより、進行方向に合わせて植付が行われる側に苗トレイNTが自動的に搬送されるので、苗トレイNTの供給が途切れることが無く、植付作業の能率の低下が防止される。
【0045】
また、作業者が機体に追従して苗トレイNTを移動させる作業が不要となるので、作業者の労力の軽減が図られると共に、作業人員の低減が図られる。
【0046】
図5は、車体フレーム7が植付畝の終端に達すると隣の未植付畝への移動を苗トレイ搬送台10の位置検出情報で制御する制御フローチャート図で、ステップS31で前GPSレシーバー24A,24Bと後GPSレシーバー24C、24Dで苗トレイ搬送台10の地図上位置を入手し、ステップS32,33,39,40で車体フレーム7の位置を予定植付畝に導き、ステップS36で隣の未植付畝に移動し、ステップS38で逆走行による植付作業を開始する。
【0047】
これにより、一つの畝での植付作業の終了後に、作業者が機体を移動させる作業が不要となるので、作業者の労力が軽減される。
【0048】
また、次の作業畝に機体を移動させる際に作業者が畝端に到達するまでの待ち時間が不要となるので、作業能率の向上が図られる。
【0049】
図6は、運搬飛行体12での苗トレイNTの供給制御のフローチャート図である。ステップS50で苗減少センサ9NSが苗の減少を検出すると、ステップS51~54で制御装置15が運搬飛行体12に運搬飛行を指令し、地図上の苗トレイ搬送台10の位置と運搬飛行体12の位置を合わせ、ステップS55~57で運搬飛行体12を投下に適した高さに降下させて、苗トレイNTを苗トレイ搬送台10上に投下する。
【0050】
これにより、畝の途中で苗が無くなり、作業者が苗トレイNTを補充すべく移動している間、植付作業が中断されることを防止できるので、作業能率の低下が防止される。
【0051】
また、苗の減少が検出された段階で運搬飛行体12に運搬飛行が指令されることにより、苗が無くなる前、あるいは苗が無くなった直後に苗トレイNTが補充されるので、苗の植付作業が中断される時間が最低限に抑えられ、作業能率の低下が防止される。
【0052】
図7は、車体フレーム7の底部に前方へ畦センサ27を設けた構成で、アーム25の先端にローラ26を設けて畦センサ27を構成し、ローラ26を畝面に接地させてアーム25が上下に大きく回動すると、畝端に達したとして警報と共に携帯端末40に報知する。
【0053】
この畦センサ27は車体フレーム7の前後に設けると前後どちらへ走行しても畝端を検出出来る。
【符号の説明】
【0054】
NT 苗トレイ
6A,6B 前輪
6C,6D 後輪
7 車体フレーム
8F 前苗植付装置
8R 後苗植付装置
9F 前苗送り装置
9R 後苗送り装置
10 苗トレイ搬送台
15 制御装置
24 車体位置認識装置
30 整地ローラ
35F 前覆土装置
35R 後覆土装置
40 携帯端末
45 空トレイ収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7