(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】磁気センサ、磁気式エンコーダおよびレンズ位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20230711BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20230711BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20230711BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20230711BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230711BHJP
【FI】
G01R33/09
G01D5/245 N
G01R33/02 Q
H01L29/82 Z
G02B7/04
(21)【出願番号】P 2021069290
(22)【出願日】2021-04-15
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 剛
(72)【発明者】
【氏名】平林 啓
(72)【発明者】
【氏名】蔡 永福
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126476(JP,A)
【文献】特開2015-190881(JP,A)
【文献】特開2015-232473(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327618(US,A1)
【文献】特開2006-242709(JP,A)
【文献】特開2010-130325(JP,A)
【文献】特表2005-510859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/09
G01D 5/245
G01R 33/02
H01L 29/82
H10N 50/10
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想の直線に平行な第1の方向の磁界成分を含む対象磁界を検出する磁気センサであって、
それぞれ前記磁界成分の強度に応じて抵抗値が変化するように構成された第1ないし第4の抵抗体と、
所定の大きさの電流が供給される電源ポートと、
グランドに接続されるグランドポートと、
第1の出力ポートと、
第2の出力ポートとを備え、
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体は、
矩形の第1の領域内に配置され、且つ前記第1の出力ポートに接続される第1の接続点を介して直列に接続され、
前記第3の抵抗体と前記第4の抵抗体は、前記第1の方向において
一部が前記第1の領域とは異なる位置に
あり且つ他の一部が前記第1の領域の一部に重なる矩形の第2の領域内に配置され、且つ前記第2の出力ポートに接続される第2の接続点を介して直列に接続され、
前記第1の抵抗体の前記第1の接続点とは反対側の端部と、前記第3の抵抗体の前記第2の接続点とは反対側の端部は、前記電源ポートに接続され、
前記第2の抵抗体の前記第1の接続点とは反対側の端部と、前記第4の抵抗体の前記第2の接続点とは反対側の端部は、前記グランドポートに接続され、
前記第1および第2の抵抗体は、前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記第3の抵抗体と前記第4の抵抗体の間に配置されていることを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記第1および第2の方向に直交する第3の方向から見たときの前記第1の抵抗体の重心と、前記第3の方向から見たときの前記第2の抵抗体の重心は、前記仮想の直線を中心として対称な位置にあり、
前記第3の方向から見たときの前記第3の抵抗体の重心と、前記第3の方向から見たときの前記第4の抵抗体の重心は、前記仮想の直線を中心として対称な位置にあることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1および第2の方向に直交する第3の方向から見たときの前記第1および第3の抵抗体のグループの重心と、前記第3の方向から見たときの前記第2および第4の抵抗体のグループの重心は、前記仮想の直線を中心として対称な位置にあることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記第1ないし第4の抵抗体の各々は、複数の磁気抵抗効果素子を含み、
前記複数の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、前記磁界成分の方向および強度に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置されたギャップ層とを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1および第3の抵抗体に含まれる前記複数の磁気抵抗効果素子の各々の前記磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向であり、
前記第2および第4の抵抗体に含まれる前記複数の磁気抵抗効果素子の各々の前記磁化固定層の磁化の方向は、前記第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向であることを特徴とする請求項4記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記第1の抵抗体の前記複数の磁気抵抗効果素子と前記第2の抵抗体の前記複数の磁気抵抗効果素子は、前記仮想の直線を中心として対称な位置に配置され、
前記第3の抵抗体の前記複数の磁気抵抗効果素子と前記第4の抵抗体の前記複数の磁気抵抗効果素子は、前記仮想の直線を中心として対称な位置に配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記複数の磁気抵抗効果素子の各々は、更に、前記自由層に対して印加される、前記第1の方向と交差する方向のバイアス磁界を発生するバイアス磁界発生器を含むことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記自由層は、磁化容易軸方向が前記第1の方向と交差する方向に向いた形状磁気異方性を有することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記ギャップ層は、トンネルバリア層であることを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載の磁気センサ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の磁気センサと、
前記対象磁界を発生する磁界発生器とを備え、
前記磁気センサと前記磁界発生器は、前記磁気センサに対する前記磁界発生器の相対的な位置が変化すると、前記磁界成分の強度が変化するように構成されていることを特徴とする磁気式エンコーダ。
【請求項11】
更に、検出値生成回路を備え、
前記磁気センサは、前記第1の出力ポートの電位と対応関係を有する第1の検出信号を生成すると共に、前記第2の出力ポートの電位と対応関係を有する第2の検出信号を生成し、
前記検出値生成回路は、前記第1および第2の検出信号に基づいて、前記磁気センサに対する前記磁界発生器の相対的な位置と対応関係を有する検出値を生成することを特徴とする請求項10記載の磁気式エンコーダ。
【請求項12】
前記磁界発生器は、複数組のN極とS極が所定の方向に交互に配列された磁気スケールであり、
前記第1および第2の検出信号の各々は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する理想成分と、前記理想成分の高調波に相当する誤差成分とを含み、
前記第1ないし第4の抵抗体は、前記第1の検出信号の前記理想成分の位相と前記第2の検出信号の前記理想成分の位相が互いに異なり、且つ前記誤差成分が低減されるように構成されていることを特徴とする請求項11記載の磁気式エンコーダ。
【請求項13】
位置が変化可能なレンズの位置を検出するためのレンズ位置検出装置であって、
請求項1ないし9のいずれかに記載の磁気センサと、
前記対象磁界を発生する磁界発生器とを備え、
前記レンズは、前記第1の方向に移動可能に構成され、
前記磁気センサと前記磁界発生器は、前記レンズの位置が変化すると、前記磁界成分の強度が変化するように構成されていることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【請求項14】
更に、検出値生成回路を備え、
前記磁気センサは、前記第1の出力ポートの電位と対応関係を有する第1の検出信号を生成すると共に、前記第2の出力ポートの電位と対応関係を有する第2の検出信号を生成し、
前記検出値生成回路は、前記第1および第2の検出信号に基づいて、前記レンズの位置と対応関係を有する検出値を生成することを特徴とする請求項13記載のレンズ位置検出装置。
【請求項15】
前記磁界発生器は、複数組のN極とS極が所定の方向に交互に配列された磁気スケールであり、
前記第1および第2の検出信号の各々は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する理想成分と、前記理想成分の高調波に相当する誤差成分とを含み、
前記第1ないし第4の抵抗体は、前記第1の検出信号の前記理想成分の位相と前記第2の検出信号の前記理想成分の位相が互いに異なり、且つ前記誤差成分が低減されるように構成されていることを特徴とする請求項14記載のレンズ位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサと、この磁気センサを用いた磁気式エンコーダおよびレンズ位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサを用いた磁気式エンコーダは、所定の方向に位置が変化する可動物体の位置を検出するために用いられている。所定の方向は、直線的な方向または回転方向である。可動物体の位置を検出するために用いられる磁気式エンコーダは、可動物体の位置の変化に対応して、所定の範囲内で、磁気センサに対する磁気スケール等の磁界発生器の相対位置が変化するように構成されている。
【0003】
磁気センサに対する磁界発生器の相対位置が変化すると、磁界発生器によって発生されて磁気センサに印加される対象磁界の一方向の成分の強度が変化する。磁気センサは、例えば、対象磁界の一方向の成分の強度を検出して、この一方向の成分の強度に対応し且つ互いに位相の異なる2つの検出信号を生成する。磁気式エンコーダは、2つの検出信号に基づいて、磁気センサに対する磁界発生器の相対位置と対応関係を有する検出値を生成する。
【0004】
磁気式エンコーダ用の磁気センサとしては、複数の磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサが用いられている。例えば、特許文献1,2には、磁気抵抗効果素子として、磁石および磁気センサの相対移動方向とこの相対移動方向に直交する方向に、複数のGMR(巨大磁気抵抗効果)素子を配置した磁気センサが開示されている。
【0005】
特に、特許文献2に開示された磁気センサでは、複数のGMR素子によってA相のブリッジ回路とB相のブリッジ回路を構成している。また、この磁気センサでは、磁石のN極とS極との中心間距離(ピッチ)をλとしたときに、複数のGMR素子を、相対移動方向にλ、λ/2またはλ/4の中心間距離で配置している。A相のブリッジ回路とB相のブリッジ回路からは、位相がλ/2分だけずれた出力波形が得られる。
【0006】
ところで、磁気式エンコーダでは、高調波に起因して、磁気センサの検出信号の波形が歪むことが知られている。磁気センサの検出信号の出力波形が歪むと、磁気センサに対する磁界発生器の相対位置を精度よく検出することができなくなってしまう。これに対し、特許文献3には、複数の磁気抵抗効果素子を、磁気媒体の信号磁界のNSのピッチと高調波の次数に基づいて、所定の間隔で配置することにより、高調波を打ち消す磁気センサが開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、複数のTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子を、磁気スケールの記録信号の波長λまたはλの1/2のピッチPに基づいて、磁気スケールの長手方向に沿って、奇数次の高調波歪みがキャンセルできる位置に配置した磁気センサが開示されている。この磁気センサでは、それぞれ複数のTMR素子が集密に配置された-COS検出部、COS検出部、-SIN検出部およびSIN検出部が磁気スケールの幅の方向に配置されている。-COS検出部とCOS検出部は、磁気スケールの長手方向に1ピッチPの間隔で配置されている。-SIN検出部とSIN検出部は、磁気スケールの長手方向に1ピッチPの間隔で配置されている。-COS検出部と-SIN検出部が磁気スケールの長手方向に1ピッチPの半分の間隔(すなわちλ/4)で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2009/031558号
【文献】国際公開第2009/119471号
【文献】特開昭63-225124号公報
【文献】特開2015-190882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
磁気センサを用いた磁気式エンコーダでは、磁気センサは、磁界発生器に対して、所定の姿勢で対向するように設置される。しかし、実際には、磁気センサの設置の精度上、磁気センサが傾く場合がある。磁気センサが傾くと、磁気センサに対する磁界発生器の相対位置の検出精度が低下するという問題が発生する。特に、特許文献4に開示された磁気センサのように、磁気スケールの長手方向に沿って複数の磁気抵抗効果素子を配置した場合には、磁気センサが傾くことによる問題が顕著に発生する。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気センサが傾くことによる問題の発生を抑制できるようにした磁気センサ、ならびにこの磁気センサを用いた磁気式エンコーダおよびレンズ位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の磁気センサは、仮想の直線に平行な第1の方向の磁界成分を含む対象磁界を検出するものである。本発明の磁気センサは、それぞれ磁界成分の強度に応じて抵抗値が変化するように構成された第1ないし第4の抵抗体と、所定の大きさの電流が供給される電源ポートと、グランドに接続されるグランドポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートとを備えている。
【0012】
第1の抵抗体と第2の抵抗体は、第1の領域内に配置され、且つ第1の出力ポートに接続される第1の接続点を介して直列に接続されている。第3の抵抗体と第4の抵抗体は、第1の方向において少なくとも一部が第1の領域とは異なる位置にある第2の領域内に配置され、且つ第2の出力ポートに接続される第2の接続点を介して直列に接続されている。第1の抵抗体の第1の接続点とは反対側の端部と、第3の抵抗体の第2の接続点とは反対側の端部は、電源ポートに接続されている。第2の抵抗体の第1の接続点とは反対側の端部と、第4の抵抗体の第2の接続点とは反対側の端部は、グランドポートに接続されている。
【0013】
第1および第2の抵抗体は、第1の方向と直交する第2の方向において、第3の抵抗体と第4の抵抗体の間に配置されている。
【0014】
本発明の磁気センサにおいて、第1および第2の方向に直交する第3の方向から見たときの第1の抵抗体の重心と、第3の方向から見たときの第2の抵抗体の重心は、仮想の直線を中心として対称な位置にあってもよい。また、第3の方向から見たときの第3の抵抗体の重心と、第3の方向から見たときの第4の抵抗体の重心は、仮想の直線を中心として対称な位置にあってもよい。
【0015】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1および第2の方向に直交する第3の方向から見たときの第1および第3の抵抗体のグループの重心と、第3の方向から見たときの第2および第4の抵抗体のグループの重心は、仮想の直線を中心として対称な位置にあってもよい。
【0016】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1ないし第4の抵抗体の各々は、複数の磁気抵抗効果素子を含んでいてもよい。複数の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、磁界成分の方向および強度に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。
【0017】
第1ないし第4の抵抗体の各々が複数の磁気抵抗効果素子を含んでいる場合、第1および第3の抵抗体に含まれる複数の磁気抵抗効果素子の各々の磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向であってもよい。また、第2および第4の抵抗体に含まれる複数の磁気抵抗効果素子の各々の磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向であってもよい。
【0018】
また、第1ないし第4の抵抗体の各々が複数の磁気抵抗効果素子を含んでいる場合、第1の抵抗体の複数の磁気抵抗効果素子と第2の抵抗体の複数の磁気抵抗効果素子は、仮想の直線を中心として対称な位置に配置されていてもよい。また、第3の抵抗体の複数の磁気抵抗効果素子と第4の抵抗体の複数の磁気抵抗効果素子は、仮想の直線を中心として対称な位置に配置されていてもよい。
【0019】
また、第1ないし第4の抵抗体の各々が複数の磁気抵抗効果素子を含んでいる場合、複数の磁気抵抗効果素子の各々は、更に、自由層に対して印加される、第1の方向と交差する方向のバイアス磁界を発生するバイアス磁界発生器を含んでいてもよい。あるいは、自由層は、磁化容易軸方向が第1の方向と交差する方向に向いた形状磁気異方性を有していてもよい。
【0020】
また、第1ないし第4の抵抗体の各々が複数の磁気抵抗効果素子を含んでいる場合、ギャップ層は、トンネルバリア層であってもよい。
【0021】
本発明の磁気式エンコーダは、本発明の磁気センサと、対象磁界を発生する磁界発生器とを備えている。磁気センサと磁界発生器は、磁気センサに対する磁界発生器の相対的な位置が変化すると、磁界成分の強度が変化するように構成されている。
【0022】
本発明の磁気式エンコーダは、更に、検出値生成回路を備えていてもよい。この場合、磁気センサは、第1の出力ポートの電位と対応関係を有する第1の検出信号を生成すると共に、第2の出力ポートの電位と対応関係を有する第2の検出信号を生成してもよい。また、検出値生成回路は、第1および第2の検出信号に基づいて、磁気センサに対する磁界発生器の相対的な位置と対応関係を有する検出値を生成してもよい。
【0023】
また、本発明の磁気式エンコーダにおいて、磁界発生器は、複数組のN極とS極が所定の方向に交互に配列された磁気スケールであってもよい。この場合、第1および第2の検出信号の各々は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する理想成分と、理想成分の高調波に相当する誤差成分とを含んでいてもよい。第1ないし第4の抵抗体は、第1の検出信号の理想成分の位相と第2の検出信号の理想成分の位相が互いに異なり、且つ誤差成分が低減されるように構成されていてもよい。
【0024】
本発明のレンズ位置検出装置は、位置が変化可能なレンズの位置を検出するためのものである。本発明のレンズ位置検出装置は、本発明の磁気センサと、対象磁界を発生する磁界発生器とを備えている。レンズは、第1の方向に移動可能に構成されている。磁気センサと磁界発生器は、レンズの位置が変化すると、磁界成分の強度が変化するように構成されている。
【0025】
本発明のレンズ位置検出装置は、更に、検出値生成回路を備えていてもよい。この場合、磁気センサは、第1の出力ポートの電位と対応関係を有する第1の検出信号を生成すると共に、第2の出力ポートの電位と対応関係を有する第2の検出信号を生成してもよい。また、検出値生成回路は、第1および第2の検出信号に基づいて、レンズの位置と対応関係を有する検出値を生成してもよい。
【0026】
また、本発明のレンズ位置検出装置において、磁界発生器は、複数組のN極とS極が所定の方向に交互に配列された磁気スケールであってもよい。この場合、第1および第2の検出信号の各々は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する理想成分と、理想成分の高調波に相当する誤差成分とを含んでいてもよい。第1ないし第4の抵抗体は、第1の検出信号の理想成分の位相と第2の検出信号の理想成分の位相が互いに異なり、且つ誤差成分が低減されるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の磁気センサ、磁気式エンコーダおよびレンズ位置検出装置では、第1および第2の抵抗体は、第2の方向において、第3の抵抗体と第4の抵抗体の間に配置されている。これにより、本発明によれば、磁気センサが傾くことによる問題の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気式エンコーダを示す正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの構成を示す回路図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における第1ないし第4の抵抗体の配置を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態における第1の抵抗体を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第1の例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第2の例を示す斜視図である。
【
図9】第1の実施例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体の配置を模式的に示す説明図である。
【
図10】第1の比較例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体の配置を模式的に示す説明図である。
【
図11】第2の比較例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体の配置を模式的に示す説明図である。
【
図12】シミュレーションによって求めた磁気センサの回転角度と誤差の関係を示す特性図である。
【
図13】本発明の第1の実施の形態に係る位置検出装置を含むレンズモジュールを示す斜視図である。
【
図14】本発明の第1の実施の形態に係る位置検出装置を示す斜視図である。
【
図15】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第1の変形例を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第2の変形例を示す平面図である。
【
図17】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第3の変形例を示す平面図である。
【
図18】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第4の変形例を示す平面図である。
【
図19】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子の第5の変形例を示す平面図である。
【
図20】本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
【
図21】本発明の第2の実施の形態における第2の抵抗体を示す平面図である。
【
図22】本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
【
図23】本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1および
図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気式エンコーダの概略の構成について説明する。
図1は、磁気式エンコーダ1を示す斜視図である。
図2は、磁気式エンコーダ1を示す正面図である。本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1は、本実施の形態に係る磁気センサ2と、磁界発生器3とを含んでいる。
【0030】
磁界発生器3は、磁気センサ2が検出すべき磁界(検出対象磁界)である対象磁界MFを発生する。対象磁界MFは、仮想の直線に平行な方向の磁界成分を含んでいる。磁気センサ2と磁界発生器3は、磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置が変化すると、磁界成分の強度が変化するように構成されている。磁気センサ2は、上記の磁界成分を含む対象磁界MFを検出して、磁界成分の強度に対応する少なくとも1つの検出信号を生成する。
【0031】
磁界発生器3は、複数組のN極とS極が所定の方向に交互に配列された磁気スケールであってもよい。磁気スケールは、磁気テープ等の磁気媒体に対して複数組のN極とS極を交互に着磁したものであってもよいし、複数の磁石を上記の所定の方向に沿って配置したものであってもよい。また、磁気センサ2または磁界発生器3は、所定の方向に沿った所定の範囲内において移動可能である。磁気センサ2または磁界発生器3が移動することにより、磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置が変化する。所定の方向は、直線的な方向であってもよいし、回転方向であってもよい。
【0032】
本実施の形態では、磁界発生器3は、直線的な方向に複数組のN極とS極を着磁したリニアスケールである。磁気センサ2または磁界発生器3は、磁界発生器3の長手方向に沿って移動可能である。
図2に示したように、磁界発生器3の長手方向に隣接する2つのN極の間隔(磁界発生器3の長手方向に隣接する2つのS極の間隔と同じ)を、1ピッチと言い、1ピッチの大きさを記号Lpで表す。
【0033】
ここで、
図1および
図2に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。本実施の形態では、磁界発生器3の長手方向に平行な一方向をX方向とする。また、X方向に垂直な2方向であって、互いに直交する2つの方向をY方向とZ方向とする。
図2では、Y方向を
図2における手前から奥に向かう方向として表している。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
【0034】
磁気センサ2は、磁界発生器3に対してZ方向に離れた位置に配置されている。磁気センサ2は、対象磁界MFのX方向に平行な方向の磁界成分MFxの強度を検出することができるように構成されている。磁界成分MFxの強度は、例えば、磁界成分MFxの方向がX方向のときに正の値で表され、磁界成分MFxの方向が-X方向のときに負の値で表される。磁気センサ2または磁界発生器3がX方向に平行な方向に沿って移動すると、磁界成分MFxの強度は、周期的に変化する。X方向に平行な方向は、本発明の第1の方向に対応する。
【0035】
次に、
図3および
図4を参照して、磁気センサ2について詳しく説明する。
図3は、磁気センサ2を示す平面図である。
図4は、磁気センサ2の構成を示す回路図である。
図4に示したように、磁気式エンコーダ1は、更に、検出値生成回路4を備えている。検出値生成回路4は、磁気センサ2が生成する、磁界成分MFxの強度に対応する少なくとも1つの検出信号に基づいて、磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置と対応関係を有する検出値Vsを生成する。検出値生成回路4は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコンピュータによって実現することができる。
【0036】
磁気センサ2は、それぞれ磁界成分MFxの強度に応じて抵抗値が変化するように構成された第1の抵抗体R11、第2の抵抗体R12、第3の抵抗体R21および第4の抵抗体R22を備えている。第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の各々は、複数の磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と記す。)50を含んでいる。
【0037】
磁気センサ2は、更に、電源ポートV1と、グランドポートG1と、第1の出力ポートE1と、第2の出力ポートE2とを備えている。グランドポートG1はグランドに接続される。第1および第2の出力ポートE1,E2は、検出値生成回路4に接続されている。磁気センサ2は、定電圧駆動であってもよいし、定電流駆動であってもよい。磁気センサ2が定電圧駆動である場合、電源ポートV1には、所定の大きさの電圧が印加される。磁気センサ2が定電流駆動である場合、電源ポートV1には、所定の大きさの電流が供給される。
【0038】
磁気センサ2は、第1の出力ポートE1の電位と対応関係を有する信号を、第1の検出信号S1として生成し、第2の出力ポートE2の電位と対応関係を有する信号を、第2の検出信号S2として生成する。検出値生成回路4は、第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて、検出値Vsを生成する。なお、磁気センサ2および検出値生成回路4の少なくとも一方は、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の振幅、位相およびオフセットを補正することができるように構成されていてもよい。
【0039】
図4に示したように、第1の抵抗体R11と第2の抵抗体R12は、第1の出力ポートE1に接続される第1の接続点P1を介して直列に接続されている。第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22は、第2の出力ポートE2に接続される第2の接続点P2を介して直列に接続されている。
【0040】
また、第1の抵抗体R11は、回路構成上、電源ポートV1と第1の接続点P1の間に設けられている。第1の抵抗体R11の第1の接続点P1とは反対側の端部は、電源ポートV1に接続されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。第1の抵抗体R11の上記の端部は、回路図上での端部である。
【0041】
第2の抵抗体R12は、回路構成上、グランドポートG1と第1の接続点P1の間に設けられている。第2の抵抗体R12の第1の接続点P1とは反対側の端部(回路図上での端部)は、グランドポートG1に接続されている。
【0042】
第3の抵抗体R21は、回路構成上、電源ポートV1と第2の接続点P2の間に設けられている。第3の抵抗体R21の第2の接続点P2とは反対側の端部(回路図上での端部)は、電源ポートV1に接続されている。
【0043】
第4の抵抗体R22は、回路構成上、グランドポートG1と第2の接続点P2の間に設けられている。第4の抵抗体R22の第2の接続点P2とは反対側の端部(回路図上での端部)は、グランドポートG1に接続されている。
【0044】
図3に示したように、磁気センサ2は、更に、基板10と、この基板10の上に配置された電源端子11、グランド端子12、第1の出力端子13および第2の出力端子14とを備えている。電源端子11は、電源ポートV1を構成する。グランド端子12は、グランドポートG1を構成する。第1および第2の出力端子13,14は、それぞれ第1および第2の出力ポートE1,E2を構成する。
【0045】
図3に示したように、第1および第2の抵抗体R11,R12は、基板10上の第1の領域R1内に配置されている。第3および第4の抵抗体R21,R22は、基板10上の第2の領域R2内に配置されている。第2の領域R2少なくとも一部は、X方向に平行な方向において、第1の領域R1とは異なる位置にある。
図3に示した例では、第2の領域R2の一部は、第1の領域R1の一部に重なっている。
【0046】
第2の領域R2は、第1の領域R1に対してX方向の先にあってもよいし、-X方向の先にあってもよい。
図3には、第2の領域R2が、第1の領域R1に対してX方向の先にある例を示している。なお、第1の領域R1と第2の領域R2は、Z方向について同じ位置にあってもよいし、互いに異なる位置にあってもよい。
【0047】
また、
図3に示したように、第1および第2の抵抗体R11,R12は、Y方向に平行な方向において、第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22の間に配置されている。Y方向に平行な方向は、本発明の第2の方向に対応する。
【0048】
次に、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の構成について説明する。第1および第2の検出信号S1,S2の各々は、理想的な正弦曲線(サイン(Sine)波形とコサイン(Cosine)波形を含む)を描くように所定の信号周期で周期的に変化する理想成分を含んでいる。本実施の形態では、第1の検出信号S1の理想成分の位相と第2の検出信号S2の理想成分の位相が、互いに異なるように、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22が構成されている。
図2に示した1ピッチの大きさLpは、理想成分における1周期すなわち電気角の360°に相当する。
【0049】
また、第1および第2の検出信号S1,S2の各々は、理想成分の他に、理想成分の高調波に相当する誤差成分を含んでいる。本実施の形態では、誤差成分が低減されるように、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22が構成されている。
【0050】
以下、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の構成について具体的に説明する。始めに、MR素子50の構成について説明する。本実施の形態では、MR素子50は、スピンバルブ型のMR素子である。このスピンバルブ型のMR素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、磁界成分MFxに応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。スピンバルブ型のMR素子は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。本実施の形態では特に、磁気センサ2の寸法を小さくするために、MR素子50は、TMR素子であることが好ましい。TMR素子では、ギャップ層はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層は非磁性導電層である。スピンバルブ型のMR素子では、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。
【0051】
図4において、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22内に描かれた矢印は、その抵抗体に含まれる複数のMR素子50の各々の磁化固定層の磁化の方向を表している。第1および第3の抵抗体R11,R21に含まれる複数のMR素子50の各々の磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向である。第2および第4の抵抗体R12,R22に含まれる複数のMR素子50の各々の磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向である。
【0052】
本実施の形態では特に、第1の磁化方向は-X方向であり、第2の磁化方向はX方向である。この場合、複数のMR素子50の各々の自由層の磁化の方向は、磁界成分MFxの強度に応じて、XY平面内で変化する。これにより、第1および第2の出力ポートE1,E2の各々の電位は、磁界成分MFxの強度に応じて変化する。
【0053】
次に、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置について説明する。なお、以下の説明において、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置について説明する場合、Z方向から見たときの抵抗体の重心を基準にして説明するものとする。Z方向は、本発明の第3の方向に対応する。
【0054】
図5は、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置を説明するための説明図である。第2の抵抗体R12は、X方向について第1の抵抗体R11と同じ位置に配置されている。また、第2の抵抗体R12は、第1の抵抗体R11に対して、-Y方向の先に配置されている。
【0055】
第3の抵抗体R21は、第1の抵抗体R11に対して、X方向にLp/4だけ離れた位置に配置されている。また、第3の抵抗体R21は、第1の抵抗体R11に対して、Y方向の先に配置されている。
【0056】
第4の抵抗体R22は、第2の抵抗体R12に対して、X方向にLp/4だけ離れた位置に配置されている。また、第4の抵抗体R22は、X方向について第3の抵抗体R21と同じ位置に配置されている。また、第4の抵抗体R22は、第2の抵抗体R12に対して、-Y方向の先に配置されている。
【0057】
また、
図5において、記号Lは、X方向に平行な仮想の直線を示している。仮想の直線Lは、本発明における仮想の直線に対応する。本実施の形態では特に、Z方向から見たときの第1の抵抗体R11の重心C11と、Z方向から見たときの第2の抵抗体R12の重心C12は、仮想の直線Lを中心として対称な位置にある。また、Z方向から見たときの第3の抵抗体R21の重心C21と、Z方向から見たときの第4の抵抗体R22の重心C22は、仮想の直線Lを中心として対称な位置にある。
【0058】
また、
図5において、記号RAを付した破線の領域は、第1および第3の抵抗体R11,R21のグループを示し、記号RBを付した破線の領域は、第2および第4の抵抗体R12,R22のグループを示している。Z方向から見たときのグループRAの重心C1と、Z方向から見たときのグループRBの重心C2は、仮想の直線Lを中心として対称な位置にある。
【0059】
次に、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の各々における複数のMR素子50の配置について説明する。ここで、1つ以上のMR素子50の集合を、素子群という。第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の各々は、複数の素子群を含んでいる。複数の素子群は、誤差成分が低減されるように、1ピッチの大きさLpに基づいて、所定の間隔を開けて配置されている。なお、以下の説明において、複数の素子群の配置について説明する場合、素子群の所定の位置を基準にして説明するものとする。所定の位置は、例えば、Z方向から見たときの素子群の重心である。
【0060】
図6は、第1の抵抗体R11を示す平面図である。
図6に示したように、第1の抵抗体R11は、8つの素子群31,32,33,34,35,36,37,38を含んでいる。素子群31~38の各々は、4つの区画に区分けされている。各区画には、1つ以上のMR素子50が配置される。従って、各素子群は、4つ以上のMR素子50を含んでいる。複数のMR素子50は、素子群内において直列に接続されていてもよい。この場合、複数の素子群は、直列に接続されていてもよい。あるいは、複数のMR素子50は、素子群に関わらずに直列に接続されていてもよい。
【0061】
図6では、理想成分の第3高調波(3次の高調波)に相当する誤差成分と、理想成分の第5高調波(5次の高調波)に相当する誤差成分と、理想成分の第7高調波(7次の高調波)に相当する誤差成分が低減されるように、素子群31~38が配置されている。
図6に示したように、素子群31~34は、X方向に沿って配置されている。素子群32は、素子群31に対して、X方向にLp/10だけ離れた位置に配置されている。素子群33は、素子群31に対して、X方向にLp/6だけ離れた位置に配置されている。素子群34は、素子群31に対して、X方向にLp/10+Lp/6だけ離れた位置(素子群32に対して、X方向にLp/6だけ離れた位置)に配置されている。
【0062】
また、
図6に示したように、素子群35~38は、素子群31~34の-Y方向の先において、X方向に沿って配置されている。素子群35は、素子群31に対して、X方向にLp/14だけ離れた位置に配置されている。素子群36は、素子群31に対して、X方向にLp/14+Lp/10だけ離れた位置(素子群32に対して、X方向にLp/14だけ離れた位置)に配置されている。素子群37は、素子群31に対して、X方向にLp/14+Lp/6だけ離れた位置(素子群33に対して、X方向にLp/14だけ離れた位置)に配置されている。素子群38は、素子群31に対して、X方向にLp/14+Lp/10+Lp/6だけ離れた位置(素子群34に対して、X方向にLp/14だけ離れた位置)に配置されている。
【0063】
複数の誤差成分を低減するための複数の素子群の配置は、
図6に示した例に限られない。ここで、n,mをそれぞれ1以上且つ互いに異なる整数とする。例えば、2n+1次の高調波に相当する誤差成分を低減する場合、第1の素子群を第2の素子群に対してX方向にLp/(4n+2)だけ離れた位置に配置する。更に、2m+1次の高調波に相当する誤差成分を低減する場合、第3の素子群を第1の素子群に対してX方向にLp/(4m+2)だけ離れた位置に配置し、第4の素子群を第2の素子群に対してX方向にLp/(4m+2)だけ離れた位置に配置する。このように、複数の高調波に相当する誤差成分を低減する場合、ある1つの高調波に相当する誤差成分を低減するための複数の素子群の各々は、他の高調波に相当する誤差成分を低減するための複数の素子群の各々に対して、X方向に、1ピッチの大きさLpに基づく所定の間隔だけ離れた位置に配置される。
【0064】
本実施の形態では、第2ないし第4の抵抗体R12,R21,R22の各々における複数の素子群の構成および配置は、第1の抵抗体R11における複数の素子群の構成および配置と同じである。すなわち、第2ないし第4の抵抗体R12,R21,R22の各々も、
図6に示した構成および位置関係の8つの素子群31~38を含んでいる。なお、第2の抵抗体R12の素子群31は、X方向について第1の抵抗体R11の素子群31と同じ位置に配置されている。第3の抵抗体R21の素子群31は、第1の抵抗体R11の素子群31に対して、X方向にLp/4だけ離れた位置に配置されている。第4の抵抗体R22の素子群31は、第2の抵抗体R12の素子群31に対して、X方向にLp/4だけ離れた位置に配置されている。
【0065】
以上説明した第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の構成により、第1の検出信号S1の理想成分に対する第2の検出信号S2の理想成分の位相差が、所定の信号周期(理想成分の信号周期)の1/4の奇数倍になると共に、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の誤差成分が低減される。
【0066】
なお、磁化固定層の磁化の方向、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の位置、ならびに素子群31~38の位置は、MR素子50の作製の精度等の観点から、上述の方向および位置からわずかにずれていてもよい。
【0067】
次に、
図7および
図8を参照して、MR素子50の第1および第2の例について説明する。
図7は、MR素子50の第1の例を示す斜視図である。第1の例では、MR素子50は、Z方向にこの順に積層された磁化固定層51、ギャップ層52および自由層53を含む積層膜50Aを含んでいる。Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、正方形またはほぼ正方形である。
【0068】
MR素子50の積層膜50Aの下面は、図示しない下部電極によって、他のMR素子50の積層膜50Aの下面に電気的に接続され、MR素子50の積層膜50Aの上面は、図示しない上部電極によって、更に他のMR素子50の積層膜50Aの上面に電気的に接続されている。これにより、複数のMR素子50は、直列に接続されている。なお、積層膜50Aにおける層51~53の配置は、
図7に示した配置とは上下が反対でもよい。
【0069】
MR素子50は、更に、自由層53に対して印加されるバイアス磁界を発生するバイアス磁界発生器50Bを含んでいる。バイアス磁界の方向は、X方向に平行な方向と交差する方向である。第1の例では、バイアス磁界発生器50Bは、2つの磁石54,55を含んでいる。磁石54は、積層膜50Aに対して、-Y方向の先に配置されている。磁石55は、積層膜50Aに対して、Y方向の先に配置されている。第1の例では特に、積層膜50Aと磁石54,55は、XY平面に平行な1つの仮想の平面と交差する位置に配置されている。また、
図7において、磁石54,55内の矢印は、磁石54,55の磁化の方向を表している。第1の例では、バイアス磁界の方向は、Y方向である。
【0070】
図8は、MR素子50の第2の例を示す斜視図である。MR素子50の第2の例の構成は、積層膜50Aの平面形状および磁石54,55の位置を除いて、MR素子50の第1の例の構成と同じである。第2の例では、磁石54,55は、Z方向について積層膜50Aとは異なる位置に配置されている。
図8に示した例では特に、磁石54,55は、積層膜50Aに対して、Z方向の先に配置されている。また、Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、Y方向に長い長方形である。Z方向から見たときに、磁石54,55は、積層膜50Aと重なる位置に配置されている。
【0071】
なお、バイアス磁界の方向および磁石54,55の配置は、
図7および
図8に示した例に限られない。例えば、バイアス磁界の方向は、Y方向に対して傾いた方向であってもよい。また、磁石54,55は、X方向に平行な方向において互いにずれていてもよい。MR素子50のその他の例については、後で変形例として説明する。
【0072】
次に、本実施の形態における検出値Vsの生成方法について説明する。検出値生成回路4は、例えば、以下のようにして検出値Vsを生成する。検出値生成回路4は、第1の検出信号S1に対する第2の検出信号S2の比のアークタンジェントすなわちatan(S2/S1)を計算することによって、0°以上360°未満の範囲内で初期検出値を求める。初期検出値は、上記のアークタンジェントの値そのものであってもよいし、アークタンジェントの値に所定の角度を加えたものであってもよい。
【0073】
上記のアークタンジェントの値が0°のときには、X方向について、磁界発生器3のS極の位置と、第1および第2の抵抗体R11,R12の各々の素子群31の位置が一致する。また、上記のアークタンジェントの値が180°のときには、X方向について、磁界発生器3のN極の位置と、第1および第2の抵抗体R11,R12の各々の素子群31の位置が一致する。従って、初期検出値は、1ピッチ内での磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置(以下、相対位置とも言う。)と対応関係を有している。
【0074】
また、検出値生成回路4は、初期検出値の1周期分を電気角の360°とし、基準位置からの電気角の回転数をカウントする。電気角の1回転は、相対位置の1ピッチ分の移動量に相当する。検出値生成回路4は、初期検出値と、電気角の回転数に基づいて、相対位置と対応関係を有する検出値Vsを生成する。
【0075】
次に、本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1および磁気センサ2の作用および効果について説明する。本実施の形態では、第1および第2の抵抗体R11,R12は、Y方向に平行な方向において、第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22の間に配置されている。これにより、本実施の形態によれば、磁気センサ2が傾くことによって磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置の検出精度が低下するという問題が発生することを抑制することができる。以下、この効果について、シミュレーションの結果を参照して説明する。
【0076】
始めに、シミュレーションで使用した第1の実施例のモデルと、第1および第2の比較例のモデルについて説明する。第1の実施例のモデルは、本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1のモデルである。
図9は、第1の実施例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置を模式的に示している。第1の実施例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置は、
図5および
図6を参照して説明した通りの配置である。
【0077】
第1および第2の比較例のモデルの構成は、基本的には、第1の実施例のモデルの構成と同じである。ただし、第1および第2の比較例では、Y方向に平行な方向における第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置を、第1の実施例と異ならせている。
【0078】
図10は、第1の比較例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置を模式的に示している。第1の比較例では、第1の抵抗体R11の-Y方向の先に第3の抵抗体R21を配置し、第3の抵抗体R21の-Y方向の先に第2の抵抗体R12を配置し、第2の抵抗体R12の-Y方向の先に第4の抵抗体R22を配置している。
【0079】
図11は、第2の比較例のモデルにおける第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置を模式的に示している。第2の比較例では、第1の抵抗体R11の-Y方向の先に第2の抵抗体R12を配置し、第2の抵抗体R12の-Y方向の先に第3の抵抗体R21を配置し、第3の抵抗体R21の-Y方向の先に第4の抵抗体R22を配置している。
【0080】
図10および
図11に示したように、第1および第2の比較例は、いずれも、第1および第2の抵抗体R11,R12が、Y方向に平行な方向において、第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22の間に配置されているという要件を満たしていない。
【0081】
シミュレーションでは、各モデルにおける磁気センサ2を、Z方向に平行な回転軸を中心として、任意の角度だけ回転させて傾けた。そして、この状態において、各モデルにおける磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置(相対位置)を変化させたときの誤差を求めた。なお、シミュレーションでは、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の各々の長手方向がX方向に平行な方向に一致するときの磁気センサ2の回転角度を0°とした。
【0082】
シミュレーションでは、以下のようにして誤差を求めた。まず、相対位置を変化させたときの第1の検出信号S1と第2の検出信号S2との比のアークタンジェントすなわちatan(S2/S1)の値を、0°以上360°未満の範囲内で求めた。atan(S2/S1)の値は、0°以上360°未満の範囲内の電気角で表した相対位置と紐付けながら求めた。そして、atan(S2/S1)の値とこの値に紐付けられた相対位置(電気角)との差を、誤差として求めた。
【0083】
図12は、シミュレーションによって求めた磁気センサ2の回転角度と誤差の関係を示している。
図12において、横軸は磁気センサ2の回転角度を示し、縦軸は誤差である。また、
図12において、符号71は、第1の実施例の誤差を示している。符号72は、第1の比較例の誤差を示している。符号73は、第2の比較例の誤差を示している。なお、相対位置を変化させると、誤差は周期的に変化する。
図12では、誤差として、周期的に変化する誤差の最大値と最小値の差を示している。
【0084】
誤差が大きくなると、相対位置の検出精度が低下する。シミュレーションの結果から、第1および第2の抵抗体R11,R12を、Y方向に平行な方向において、第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22の間に配置することにより、磁気センサ2が傾いたときの誤差を小さくすることができることが分かる。従って、本実施の形態によれば、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22を上述のように配置することにより、磁気センサ2が傾くことによって相対位置の検出精度が低下するという問題が発生することを抑制することができる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、上述のように第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22を配置することにより、Y方向に平行な方向に磁気センサ2がずれることによる影響を低減することができる。例えば、磁気センサ2は、理想的には、Z方向から見て、磁気センサ2のY方向に平行な方向の中心が、磁界発生器3のY方向に平行な方向の中心に一致するように設置される。磁界成分MFxの強度は、磁界発生器3のY方向に平行な方向の中心において最も大きくなる。そのため、磁気センサ2が上記の理想的な位置にある場合、磁界成分MFxの強度は、磁気センサ2のY方向に平行な方向の中心(第1の抵抗体R11と第2の抵抗体R12の間)において最も大きくなる。もし、磁気センサ2が上記の理想的な位置からY方向に平行な方向にずれると、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の各々が検出する磁界成分MFxの強度も変化する。
【0086】
ここで、
図11に示した第2の比較例のモデルにおける第1および第2の抵抗体R11,R12に着目する。第2の比較例のモデルでは、磁気センサ2が理想的な位置からY方向にずれると、第1および第2の抵抗体R11,R12の各々が検出する磁界成分MFxの強度は、いずれも小さくなる。その結果、第1の抵抗体R11の抵抗値と第2の抵抗体R12の抵抗値は、一方が大きくなり、他方が小さくなる。
【0087】
ここで、第1の抵抗体R11の抵抗値を記号r11で表し、第2の抵抗体R12の抵抗値を記号r12で表す。磁気センサ2が定電圧駆動の場合、第1の出力ポートE1の電位は、r12/(r11+r12)に比例する。上述のようにr11,r12の一方が大きくなり他方が小さくなると、r11+r12の変化に比べて、r12の変化が大きくなる。そのため、第1の出力ポートE1の電位は、磁気センサ2が理想的な位置にある場合における電位からずれてしまう。
【0088】
これに対し、本実施の形態では、磁気センサ2が上記の理想的な位置からY方向にずれると、第1の抵抗体R11が検出する磁界成分MFxの強度は小さくなり、第2の抵抗体R12が検出する磁界成分MFxの強度は大きくなる。その結果、第1の抵抗体R11の抵抗値r11と第2の抵抗体R12の抵抗値r12は、いずれも大きくなるか、いずれも小さくなる。これにより、本実施の形態によれば、第2の比較例のモデルに比べて、r12/(r11+r12)の変化を抑制することができる。従って、本実施の形態によれば、磁気センサ2が理想的な位置からY方向に平行な方向にずれたときの第1の検出信号S1の変化を抑制することができる。
【0089】
上記の第1および第2の抵抗体R11,R12についての説明は、第3および第4の抵抗体R21,R22にも当てはまる。従って、本実施の形態によれば、磁気センサ2が理想的な位置からY方向に平行な方向にずれたときの第2の検出信号S2の変化を抑制することができる。以上のことから、本実施の形態によれば、磁気センサ2がY方向に平行な方向にずれることによる影響を低減することができる。なお、この効果は、磁気センサ2が定電圧駆動の場合に得られる。
【0090】
次に、
図9ないし
図11を参照して、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置に基づく特徴について更に説明する。
図9ないし
図11において、記号D1を付した矢印は、各モデルにおける磁界発生器3を、Z方向に平行な回転軸を中心として、
図9ないし
図11における時計回り方向に所定の角度だけ回転させて傾けたときの、磁界発生器3の長手方向に平行な方向おける第1の抵抗体R11と第3の抵抗体R21のずれ量を示している。また、記号D2を付した矢印は、各モデルにおける磁界発生器3を、上記のように傾けたときの、磁界発生器3の長手方向に平行な方向おける第2の抵抗体R12と第4の抵抗体R22のずれ量を示している。ずれ量は、例えば、2つの抵抗体の対応する端部同士の間隔である。なお、磁界発生器3を上記のように傾けることは、磁気センサ2を、Z方向に平行な回転軸を中心として、所定の角度だけ回転させて傾けることに相当する。
【0091】
ずれ量D1,D2は、磁界発生器3の長手方向がX方向に平行な方向に一致するときには、1ピッチの大きさLpの1/4すなわちLp/4となる。しかし、磁界発生器3を上記のように傾けると、ずれ量D1,D2は、Lp/4とは異なる値になる。
図9に示した第1の実施例では、ずれ量D1はLp/4よりも小さくなり、ずれ量D2はLp/4よりも大きくなる。
図10に示した第1の比較例と
図11に示した第2の比較例では、ずれ量D1,D2は、いずれもLp/4よりも大きくなる。
【0092】
図示しないが、各モデルにおける磁界発生器3を、Z方向に平行な回転軸を中心として、
図9ないし
図11における反時計回り方向に所定の角度だけ回転させて傾けた場合、ずれ量D1,D2とLp/4との大小関係は、上述の関係とは反対になる。このように、第1および第2の抵抗体R11,R12を、Y方向に平行な方向において、第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22の間に配置することは、磁気センサ2または磁界発生器3を傾けたときのずれ量D1,D2の一方が大きくなり他方が大きくなることに相当する。
【0093】
ここで、第1の抵抗体R11の両端の電位差に相当する信号を第1の信号と言い、第2の抵抗体R12の両端の電位差に相当する信号を第2の信号と言い、第3の抵抗体R21の両端の電位差に相当する信号を第3の信号と言い、第4の抵抗体R22の両端の電位差に相当する信号を第4の信号と言う。また、第1の信号と第3の信号の位相差を第1の位相差と言い、第2の信号と第4の信号の位相差を第2の位相差と言う。
【0094】
ずれ量D1がLp/4となる場合には、第1の位相差は90°となり、ずれ量D1がLp/4よりも小さくなる場合には、第1の位相差は90°よりも小さくなり、ずれ量D1がLp/4よりも大きくなる場合には、第1の位相差は90°よりも大きくなる。上記のずれ量D1と第1の位相差との関係は、ずれ量D2と第2の位相差との関係にも当てはまる。従って、各モデルにおける磁界発生器3を、Z方向に平行な回転軸を中心として、
図9ないし
図11における時計回り方向に所定の角度だけ回転させて傾けた場合、
図9に示した第1の実施例では、第1の位相差は90°よりも小さくなり、第2の位相差は90°よりも大きくなる。
図10に示した第1の比較例と
図11に示した第2の比較例では、第1および第2の位相差は、いずれも90°よりも大きくなる。
【0095】
また、各モデルにおける磁界発生器3を、Z方向に平行な回転軸を中心として、
図9ないし
図11における反時計回り方向に所定の角度だけ回転させて傾けた場合、第1および第2の位相差と90°との大小関係は、上述の関係とは反対になる。このように、第1および第2の抵抗体R11,R12を、Y方向に平行な方向において、第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22の間に配置することは、磁気センサ2または磁界発生器3を傾けたときの第1および第2の位相差の一方が90°よりも小さくなり他方が90°よりも大きくなることに相当する。
【0096】
次に、第3の比較例の磁気式エンコーダと比較しながら、本実施の形態におけるその他の効果について説明する。始めに、第3の比較例の磁気式エンコーダの構成について説明する。第3の比較例の磁気式エンコーダの構成は、基本的には、本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1の構成と同じである。ただし、第3の比較例では、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22に含まれる全てのMR素子50の各々の磁化固定層の磁化の方向は、同じ方向(例えば、-X方向)である。また、第3の比較例では、第2の抵抗体R12は、第1の抵抗体R11に対して、X方向にLp/2だけ離れた位置に配置されている。第4の抵抗体R22は、第3の抵抗体R21に対して、X方向にLp/2だけ離れた位置に配置されている。
【0097】
ここで、磁界発生器3の長手方向に平行な方向おける第1の抵抗体R11と第2の抵抗体R12のずれ量を第1のずれ量と言い、磁界発生器3の長手方向に平行な方向おける第3の抵抗体R21と第4の抵抗体R22のずれ量を第2のずれ量と言う。磁界発生器3の長手方向がX方向に平行な方向に一致するときには、第1および第2のずれ量の各々は、Lp/2となる。また、磁界発生器3を、Z方向に平行な回転軸を中心として所定の角度だけ回転させて傾けたときの、第1および第2のずれ量の各々は、Lp/2よりも大きくなるか、Lp/2よりも小さくなる。この場合、第1および第2の検出信号S1,S2にオフセットが生じる。
【0098】
これに対し、本実施の形態では、Z方向から見たときの第1の抵抗体R11の重心C11と、Z方向から見たときの第2の抵抗体R12の重心C12は、仮想の直線Lを中心として対称な位置にある。また、Z方向から見たときの第3の抵抗体R21の重心C21と、Z方向から見たときの第4の抵抗体R22の重心C22は、仮想の直線Lを中心として対称な位置にある。本実施の形態では、磁界発生器3の長手方向がX方向に平行な方向に一致するときには、第1および第2のずれ量の各々は0となる。また、磁界発生器3を、Z方向に平行な回転軸を中心として所定の角度だけ回転させて傾けたときの、第1および第2のずれ量の各々の変化量は、第3の比較例よりも小さくなる。従って、本実施の形態によれば、第3の比較例に比べて、磁気センサ2または磁界発生器3を傾けたときの第1および第2の検出信号S1,S2のオフセットを小さくすることができる。
【0099】
また、本実施の形態では、第1および第3の抵抗体R11,R21に含まれる複数のMR素子50の各々の磁化固定層の磁化の方向は-X方向であり、第2および第4の抵抗体R12,R22に含まれる複数のMR素子50の各々の磁化固定層の磁化の方向はX方向である。これにより、本実施の形態によれば、上述の位置関係で第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22を配置することができる。なお、上述の重心C11,C12,C21,C22の位置関係は、磁化固定層の磁化の方向が互いに異なる2つの抵抗体が、仮想の直線Lを中心として対称な位置にあることに相当する。
【0100】
また、本実施の形態によれば、上述の位置関係で第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22を配置することにより、第3の比較例に比べて、X方向に平行な方向における磁気センサ2の寸法を小さくすることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、Z方向から見たときの第1および第3の抵抗体R11,R21のグループRAの重心C1と、Z方向から見たときの第2および第4の抵抗体R12,R22のグループRBの重心C2は、仮想の直線Lを中心として対称な位置にある。これにより、本実施の形態によれば、グループRA,RBがX方向に平行な方向に沿って配置されている場合に比べて、X方向に平行な方向における磁気センサ2の寸法を小さくすることができる。なお、上述の重心C1,C2の位置関係は、電源ポートV1に接続された2つの抵抗体(第1および第3の抵抗体R11,R21)と、グランドポートG1に接続された2つの抵抗体(第2および第4の抵抗体R12,R22)が、仮想の直線Lを中心として対称な位置にあることに相当する。
【0102】
また、本実施の形態では、前述のように、理想成分の高調波に相当する誤差成分が低減されるように、第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22が構成されている。これにより、本実施の形態によれば、相対位置の検出精度を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、相対位置の検出精度を向上させながら、X方向に平行な方向における磁気センサ2の寸法を小さくすることができる。
【0103】
ここで、理想成分の高調波に相当する誤差成分について調べた実験の結果について説明する。実験では、第2の実施例の磁気式エンコーダと、第4の比較例の磁気式エンコーダを作製した。第2の実施例の磁気式エンコーダの構成は、本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1の構成と同じである。
【0104】
第4の比較例の磁気式エンコーダの構成は、複数の素子群の構成を除いて、本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1の構成と同じである。第4の比較例の磁気式エンコーダでは、磁気センサ2の第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の各々は、
図6に示した素子群31~38のうち、素子群31のみを含んでいる。第4の比較例の磁気式エンコーダは、第2の実施例の磁気式エンコーダ(本実施の形態に係る磁気式エンコーダ1)と異なり、第1および第2の検出信号S1,S2の各々に含まれる、第3高調波(3次の高調波)に相当する誤差成分と、第5高調波(5次の高調波)に相当する誤差成分と、第7高調波(7次の高調波)に相当する誤差成分を低減できるように構成されていないと言える。
【0105】
実験では、まず、第2の実施例の磁気式エンコーダと第4の比較例の磁気式エンコーダの各々について、第1および第2の検出信号S1,S2の各々が1周期以上変化するように、磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置を変化させた。第2の実施例の磁気式エンコーダについては、磁気センサ2を定電流駆動とした場合の第1および第2の検出信号S1,S2と、磁気センサ2を定電圧駆動とした場合の第1および第2の検出信号S1,S2を取得した。第4の比較例の磁気式エンコーダについては、磁気センサ2を定電圧駆動とした場合の第1および第2の検出信号S1,S2を取得した。
【0106】
実験では、次に、取得した第1および第2の検出信号S1,S2の各々から、信号周期が理想成分の信号周期と一致する成分(以下、1次成分と言う。)と、第3高調波に相当する誤差成分(以下、3次成分と言う。)と、第5高調波に相当する誤差成分(以下、5次成分と言う。)と、第7高調波に相当する誤差成分(以下、7次成分と言う。)を抽出した。次に、1次成分、3次成分、5次成分および7次成分の各々の振幅を求めた。次に、1次成分の振幅が100%になるように、1次成分、3次成分、5次成分および7次成分の各々の振幅を規格化した。以下の説明において、単に振幅と言うときは、規格化した振幅を指すものとする。
【0107】
表1に、3次成分、5次成分および7次成分の各々の振幅を示す。なお、表1には、3次成分(5次成分、7次成分)の振幅として、第1および第2の検出信号S1,S2の各々から抽出した3次成分(5次成分、7次成分)の振幅の平均値を示している。表1から、第2の実施例の磁気式エンコーダの3次成分、5次成分および7次成分の各々の振幅は、定電流駆動および定電圧駆動のいずれの場合においても、第4の比較例の磁気式エンコーダの3次成分、5次成分および7次成分の各々の振幅よりも小さいことが分かる。この結果から理解されるように、本実施の形態によれば、定電流駆動および定電圧駆動のいずれの場合においても、理想成分の高調波に相当する誤差成分を低減することができる。
【0108】
【0109】
なお、奇数次の高調波成分に相当する誤差成分を低減する観点からは、磁気センサ2は、定電圧駆動であってもよいし、定電流駆動であってもよい。
【0110】
次に、
図13および
図14を参照して、本実施の形態に係るレンズ位置検出装置(以下、単に位置検出装置と記す。)について説明する。
図13は、本実施の形態に係る位置検出装置を含むレンズモジュールを示す斜視図である。
図14は、本実施の形態に係る位置検出装置を示す斜視図である。
【0111】
図13に示したレンズモジュール300は、例えばスマートフォン用のカメラの一部を構成するものであり、CMOS等を用いたイメージセンサ310と組み合わせて用いられる。
図13に示した例では、レンズモジュール300は、三角柱形状のプリズム302と、イメージセンサ310とプリズム302との間に設けられた3つのレンズ303A,303B,303Cとを備えている。レンズ303A,303B,303Cのうちの少なくとも1つは、焦点合わせとズームの少なくとも一方を行うことができるように、図示しない駆動装置によって移動可能に構成されている。
【0112】
図14には、レンズ303A,303B,303Cのうちの任意のレンズ303を示している。レンズモジュール300は、更に、レンズ303を保持するレンズホルダ304と、シャフト305とを備えている。レンズモジュール300では、レンズホルダ304と、シャフト305と、図示しない駆動装置によって、レンズ303の位置が、レンズ303の光軸方向に変化可能になっている。
図14において、記号Dを付した矢印は、レンズ303の移動方向を示している。
【0113】
レンズモジュール300は、更に、位置が変化可能なレンズ303の位置を検出するための位置検出装置301を備えている。位置検出装置301は、焦点合わせまたはズームを行う際に、レンズ303の位置を検出するために用いられる。
【0114】
位置検出装置301は、磁気式の位置検出装置であり、本実施の形態に係る磁気センサ2と、本実施の形態における磁界発生器3とを備えている。レンズモジュール300では、磁気センサ2と磁界発生器3は、レンズ303の位置が移動方向Dに変化すると、磁界成分MFx(
図2参照)の強度が変化するように構成されている。具体的には、磁気センサ2が固定されて、磁界発生器3がレンズ303と共に移動方向Dに移動可能に構成されている。移動方向Dは、
図1および
図2に示したX方向に平行になる。これにより、レンズ303の位置が変化すると、磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置が変化し、その結果、磁界成分MFxの強度が変化する。
【0115】
位置検出装置301は、更に、本実施の形態における検出値生成回路4(
図4参照)を備えている。位置検出装置301では、磁気センサ2が生成する第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて、レンズ303の位置と対応関係を有する検出値Vsを生成する。なお、レンズ303の位置は、磁気センサ2に対する磁界発生器3の相対的な位置と対応関係を有している。位置検出装置301における検出値Vsの生成方法は、前述の検出値Vsの生成方法と同様である。
【0116】
[変形例]
次に、本実施の形態におけるMR素子50の第1ないし第5の変形例について説明する。始めに、
図15を参照して、MR素子50の第1の変形例について説明する。MR素子50の第1の変形例の構成は、基本的には、
図7に示したMR素子50の第1の例と同じである。ただし、第1の変形例では、Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、円形またはほぼ円形である。
【0117】
次に、
図16を参照して、MR素子50の第2の変形例について説明する。第2の変形例は、以下の点で第1の変形例と異なっている。第2の変形例では、バイアス磁界発生器50Bが設けられていない。また、第2の変形例では、Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、長軸方向がX方向に平行な方向と交差する方向の楕円形である。MR素子50の自由層53は、磁化容易軸方向がX方向と交差する方向に向いた形状磁気異方性を有している。
図16に示した例では、磁化容易軸方向は、Y方向に平行な方向である。なお、磁化容易軸方向は、Y方向に対して傾いた方向であってもよい。
【0118】
次に、
図17を参照して、MR素子50の第3の変形例について説明する。第3の変形例は、以下の点で第2の変形例と異なっている。第3の変形例では、MR素子50は、第2の変形例における積層膜50Aの代わりに、2つの積層膜50A1,50A2を含んでいる。積層膜50A1,50A2の各々の構成および形状は、第2の変形例における積層膜50Aの構成および形状と同じである。積層膜50A1,50A2は、電極によって並列に接続されて、積層膜対を構成する。積層膜対は、電極によって、他のMR素子50の積層膜対に対して直列に接続されている。例えば、積層膜50A1,50A2の各々の下面は、図示しない下部電極によって、他のMR素子50の積層膜50A1,50A2の各々の下面に電気的に接続され、積層膜50A1,50A2の各々の上面は、図示しない上部電極によって、更に他のMR素子50の積層膜50A1,50A2の各々の上面に電気的に接続される。
【0119】
次に、
図18を参照して、MR素子50の第4の変形例について説明する。第4の変形例は、以下の点で第2の変形例と異なっている。Z方向から見た積層膜50Aの平面形状は、長手方向がX方向に平行な方向と交差する方向の長方形である。MR素子50の自由層53は、磁化容易軸方向がX方向と交差する方向に向いた形状磁気異方性を有している。
図18に示した例では、磁化容易軸方向は、Y方向に平行な方向である。なお、磁化容易軸方向は、Y方向に対して傾いた方向であってもよい。
【0120】
次に、
図19を参照して、MR素子50の第5の変形例について説明する。第5の変形例は、第3の変形例における積層膜50A1,50A2を、第4の変形例における積層膜50Aの構成および形状と同じ2つの積層膜50A3,50A4で置き換えたものである。積層膜50A3,50A4は、電極によって並列に接続されて、積層膜対を構成する。積層膜対は、電極によって、他のMR素子50の積層膜対に対して直列に接続されている。
【0121】
[第2の実施の形態]
次に、
図20および
図21を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図20は、本実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
図21は、本実施の形態における第2の抵抗体を示す平面図である。
【0122】
本実施の形態に係る磁気センサ2は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る磁気センサ2は、第1の実施の形態における第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の代わりに、それぞれ磁界成分MFx(
図2参照)の強度に応じて抵抗値が変化するように構成された第1の抵抗体R111、第2の抵抗体R112、第3の抵抗体R121および第4の抵抗体R122を含んでいる。第1ないし第4の抵抗体R111,R112,R121,R122の回路図上での配置および物理的な構成における配置は、第1の実施の形態における第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22と同じである。
【0123】
第1ないし第4の抵抗体R111,R112,R121,R122の各々は、複数のMR素子50を含んでいる。また、第1ないし第4の抵抗体R111,R112,R121,R122の各々は、複数の素子群を含んでいる。第1および第3の抵抗体R111,R121の各々は、複数の素子群として、第1の実施の形態における
図6に示した構成および位置関係の8つの素子群31~38を含んでいる。
【0124】
図21は、第2の抵抗体R112を示す平面図である。
図21に示したように、第2の抵抗体R112は、8つの素子群131,132,133,134,135,136,137,138を含んでいる。素子群131~138の各々の構成は、素子群31~38の各々の構成と同じである。また、素子群131~134の位置関係は、素子群31~34の位置関係と同じである。また、素子群135~138の位置関係は、素子群35~38の位置関係と同じである。第2の抵抗体R112では特に、素子群135~138は、素子群131~134のY方向の先において、X方向に沿って配置されている。
【0125】
第4の抵抗体R122における複数の素子群の構成および配置は、第2の抵抗体R112における複数の素子群の構成および配置と同じである。すなわち、第4の抵抗体R122は、
図21に示した構成および位置関係の8つの素子群131~138を含んでいる。
【0126】
図20において、記号Lは、X方向に平行な仮想の直線を示している。また、
図20では、素子群31~38,131~138を、
図6における素子群31~38および
図21における素子群131~138と同様に、4つの区画に区分けした矩形で示している。
図20に示したように、本実施の形態では特に、第1の抵抗体R111の素子群31~38と第2の抵抗体R112の素子群131~138は、仮想の直線Lを中心として対称な位置に配置されていると共に、第1の抵抗体R111の複数のMR素子50と第2の抵抗体R112の複数のMR素子50は、仮想の直線Lを中心として対称な位置に配置されている。また、第3の抵抗体R121の素子群31~38と第4の抵抗体R122の素子群131~138は、仮想の直線Lを中心として対称な位置に配置されていると共に、第3の抵抗体R121の複数のMR素子50と第4の抵抗体R122の複数のMR素子50は、仮想の直線Lを中心として対称な位置に配置されている。
【0127】
上述のように、本実施の形態では、直列に接続された2つの抵抗体に含まれる複数のMR素子50は、仮想の直線Lを中心として対称な位置になるように配置されている。これにより、本実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した第3の比較例の磁気式エンコーダに比べて、磁気センサ2または磁界発生器3を傾けたときの第1および第2の検出信号S1,S2のオフセットを小さくすることができる。
【0128】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0129】
[第3の実施の形態]
次に、
図22および
図23を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図22は、本実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
図23は、本実施の形態に係る磁気センサの構成を示す回路図である。
【0130】
本実施の形態に係る磁気センサ102は、それぞれ磁界成分MFx(
図2参照)の強度に応じて抵抗値が変化するように構成された第1の抵抗体R211、第2の抵抗体R212、第3の抵抗体R221、第4の抵抗体R222、第5の抵抗体R231、第6の抵抗体R232、第7の抵抗体R241、第8の抵抗体R242を備えている。第1ないし第8の抵抗体R211,R212,R221,R222,R231,R232,R241,R242の各々は、複数のMR素子50を含んでいる。また、第1ないし第8の抵抗体R211,R212,R221,R222,R231,R232,R241,R242の各々は、第1の実施の形態における
図6に示した構成および位置関係の8つの素子群31~38を含んでいる。
【0131】
磁気センサ102は、更に、2つの電源ポートV11,V12と、2つのグランドポートG11,G12と、第1の出力ポートE11と、第2の出力ポートE12と、第3の出力ポートE21と、第4の出力ポートE22と、2つの差分検出器21,22とを備えている。グランドポートG11,G12はグランドに接続される。磁気センサ102は、定電圧駆動であってもよいし、定電流駆動であってもよい。磁気センサ102が定電圧駆動である場合、電源ポートV11,V12の各々には、所定の大きさの電圧が印加される。磁気センサ102が定電流駆動である場合、電源ポートV11,V12の各々には、所定の大きさの電流が供給される。
【0132】
差分検出器21は、第1および第3の出力ポートE11,E21の電位差に対応する信号を第1の検出信号S11として出力する。差分検出器22は、第2および第4の出力ポートE12,E22の電位差に対応する信号を第2の検出信号S12として出力する。
【0133】
差分検出器21,22は、検出値生成回路4(
図4参照)に接続されている。本実施の形態では、検出値生成回路4は、第1および第2の検出信号S11,S12に基づいて、検出値Vsを生成する。なお、磁気センサ102および検出値生成回路4の少なくとも一方は、第1および第2の検出信号S11,S12の各々の振幅、位相およびオフセットを補正することができるように構成されていてもよい。検出値Vsの生成方法は、第1および第2の検出信号S1,S2の代わりに第1および第2の検出信号S11,S12を用いる点を除いて、第1の実施の形態と同じである。
【0134】
図23に示したように、第1の抵抗体R211と第2の抵抗体R212は、第1の出力ポートE11に接続される第1の接続点P11を介して直列に接続されている。第3の抵抗体R221と第4の抵抗体R222は、第2の出力ポートE12に接続される第2の接続点P12を介して直列に接続されている。第5の抵抗体R231と第6の抵抗体R232は、第3の出力ポートE21に接続される第3の接続点P21を介して直列に接続されている。第7の抵抗体R241と第8の抵抗体R242は、第4の出力ポートE22に接続される第4の接続点P22を介して直列に接続されている。
【0135】
また、第1の抵抗体R211は、回路構成上、電源ポートV11と第1の接続点P11の間に設けられている。第1の抵抗体R211の第1の接続点P11とは反対側の端部(回路図上での端部)は、電源ポートV11に接続されている。
【0136】
第2の抵抗体R212は、回路構成上、グランドポートG11と第1の接続点P11の間に設けられている。第2の抵抗体R212の第1の接続点P11とは反対側の端部(回路図上での端部)は、グランドポートG11に接続されている。
【0137】
第3の抵抗体R221は、回路構成上、電源ポートV11と第2の接続点P12の間に設けられている。第3の抵抗体R221の第2の接続点P12とは反対側の端部(回路図上での端部)は、電源ポートV11に接続されている。
【0138】
第4の抵抗体R222は、回路構成上、グランドポートG11と第2の接続点P12の間に設けられている。第4の抵抗体R222の第2の接続点P12とは反対側の端部(回路図上での端部)は、グランドポートG11に接続されている。
【0139】
第5の抵抗体R231は、回路構成上、電源ポートV12と第3の接続点P21の間に設けられている。第5の抵抗体R231の第3の接続点P21とは反対側の端部(回路図上での端部)は、電源ポートV12に接続されている。
【0140】
第6の抵抗体R232は、回路構成上、グランドポートG12と第3の接続点P21の間に設けられている。第6の抵抗体R232の第3の接続点P21とは反対側の端部(回路図上での端部)は、グランドポートG12に接続されている。
【0141】
第7の抵抗体R241は、回路構成上、電源ポートV12と第4の接続点P22の間に設けられている。第7の抵抗体R241の第4の接続点P22とは反対側の端部(回路図上での端部)は、電源ポートV12に接続されている。
【0142】
第8の抵抗体R242は、回路構成上、グランドポートG12と第4の接続点P22の間に設けられている。第8の抵抗体R242の第4の接続点P22とは反対側の端部(回路図上での端部)は、グランドポートG12に接続されている。
【0143】
図22に示したように、磁気センサ102は、更に、基板110と、この基板110の上に配置された2つの電源端子111,112、2つのグランド端子113,114、第1の出力端子115、第2の出力端子116、第3の出力端子117および第4の出力端子118とを備えている。電源端子111,112は、それぞれ電源ポートV11,V12を構成する。グランド端子113,114は、それぞれグランドポートG11,G12を構成する。第1ないし第4の出力端子115,116,117,118は、それぞれ第1ないし第4の出力ポートE11,E12,E21,E22を構成する。
【0144】
ここで、
図22に示したように、磁気センサ102を、第1の部分102Aと第2の部分102Bとに分ける。
図22では、第1の部分102Aと第2の部分102Bとの境界を点線で示している。第2の部分102Bは、第1の部分102Aに対して、Y方向の先にある。第1の部分102Aは、第1ないし第4の抵抗体R211,R212,R221,R222、電源端子111、グランド端子113、ならびに第1および第2の出力端子115,116を含んでいる。第2の部分102Bは、第5ないし第8の抵抗体R231,R232,R241,R242、電源端子112、グランド端子114、ならびに第3および第4の出力端子117,118を含んでいる。
【0145】
第1の部分102Aにおける第1ないし第4の抵抗体R211,R212,R221,R222の配置は、第1の実施の形態における第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置と同じである。また、第2の部分102Bにおける第5ないし第8の抵抗体R231,R232,R241,R242の配置も、第1の実施の形態における第1ないし第4の抵抗体R11,R12,R21,R22の配置と同じである。本実施の形態では特に、第5および第6の抵抗体R231,R232は、X方向について第1および第2の抵抗体R211,R212と同じ位置に配置されている。また、第7および第8の抵抗体R241,R242は、X方向について第3および第4の抵抗体R221,R222と同じ位置に配置されている。
【0146】
以上説明した第1ないし第8の抵抗体R211,R212,R221,R222,R231,R232,R241,R242の構成により、第1の検出信号S11の理想成分に対する第2の検出信号S12の理想成分の位相差は、所定の信号周期(理想成分の信号周期)の1/4の奇数倍になる。
【0147】
なお、第2、第4、第6および第8の抵抗体R212,R222,R232,R242の各々は、第1の実施の形態における
図6に示した構成および位置関係の8つの素子群31~38の代わりに、
図21に示した構成および位置関係の8つの素子群131~138を含んでいてもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第2の実施の形態と同様である。
【0148】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、MR素子50の数および配置は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。
【0149】
また、磁界発生器3は、回転方向に複数組のN極とS極を着磁した回転スケールであってもよい。回転スケールは、リング状磁石であってもよいし、磁気テープ等の磁気媒体をリングまたは円板に固定したものであってもよい。
【0150】
また、第3の実施の形態では、第1の部分102Aと第2の部分102Bが分離していてもよい。また、第3の実施の形態では、抵抗体R211,R212,R231,R232が第1のホイートストンブリッジ回路を構成し、抵抗体R221,R222,R241,R242が第2のホイートストンブリッジ回路を構成してもよい。この場合、第1および第2のホイートストンブリッジ回路は、定電圧駆動であってもよいし、定電流駆動であってもよい。
【符号の説明】
【0151】
1…磁気式エンコーダ、2…磁気センサ、3…磁界発生器、4…検出値生成回路、10…基板、11~14…端子、31~38…素子群、50…MR素子、50A…積層膜、50B…バイアス磁界発生器、51…磁化固定層、52…ギャップ層、53…自由層、54,55…磁石、300…レンズモジュール、301…位置検出装置、302…プリズム、303,303A~303C…レンズ、304…レンズホルダ、305…シャフト、310…イメージセンサ、E1…第1の出力ポート、E2…第2の出力ポート、G1…グランドポート、P1…第1の接続点、P2…第2の接続点、R1…第1の領域、R11…第1の抵抗体、R12…第2の抵抗体、R2…第2の領域、R21…第3の抵抗体、R22…第4の抵抗体、S1…第1の検出信号、S2…第2の検出信号、V1…電源ポート、Vs…検出値。