(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B61D 47/00 20060101AFI20230711BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B61D47/00 A
B61B13/00 A
(21)【出願番号】P 2021081803
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 宏嘉
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-73885(JP,A)
【文献】特開2011-105469(JP,A)
【文献】特開2010-235287(JP,A)
【文献】特開2009-298223(JP,A)
【文献】特開2007-246215(JP,A)
【文献】特開平6-144509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 47/00
B61B 13/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送装置であって、
前記容器を保持する保持部を有する移載装置を備え、
前記移載装置は、水平方向に沿う移載方向に沿って前記容器を移動させて、前記保持部から移載対象箇所へ前記容器を移載する卸し動作、及び前記移載対象箇所から前記保持部へ前記容器を移載する掬い動作を含む移載動作を行うように構成され、
前記移載装置は、前記卸し動作において前記容器を押圧する押圧部と、前記掬い動作において前記容器に係止される係止部と、前記押圧部及び前記係止部を前記移載方向に沿って往復移動させる移載駆動部と、前記押圧部とは別に前記係止部を駆動して当該係止部に姿勢変更を行わせる係止駆動部と、を備え、
前記移載方向における前記保持部から前記移載対象箇所へ向かう側を移載方向卸し側、前記移載方向における前記移載対象箇所から前記保持部へ向かう側を移載方向掬い側とし、前記容器における前記移載方向卸し側を向く部分を容器前面部、前記容器における前記移載方向掬い側を向く部分を容器後面部として、
前記容器後面部に、前記移載方向に直交する方向に開口する凹部が設けられ、
前記係止部は、前記容器に対する相対位置が規定の係止可能範囲にある状態で前記係止駆動部により駆動されることで、前記凹部に挿入される係止姿勢と、前記凹部から出る非係止姿勢と、に姿勢変更可能であり、
前記移載装置は、前記押圧部を、前記容器後面部に当接させた状態で前記移載駆動部により前記移載方向卸し側へ移動させることで、前記卸し動作を行い、
前記移載装置は、前記係止姿勢の前記係止部を、前記移載駆動部により前記移載方向掬い側へ移動させることで、前記掬い動作を行う搬送装置。
【請求項2】
上下方向に沿う上下方向視で前記移載方向に直交する方向を幅方向として、
前記押圧部は、前記卸し動作において前記容器後面部における前記幅方向の中央部に当接する当接面を備え、
前記当接面は、前記移載方向卸し側に向けて凸となる曲面状に形成されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記係止駆動部は、前記係止部を前記移載方向に沿う回転軸心まわりに回転させるように構成され、
上下方向に沿う上下方向視で前記移載方向に直交する方向を幅方向として、
前記凹部は、前記容器後面部における前記幅方向の中央部に設けられ、
前記係止部は、前記回転軸心に直交する方向に沿って延在する棒状又は帯板状に形成され、
前記係止部は、前記係止姿勢において前記容器後面部における前記幅方向の中央部に位置するように配置されている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記容器後面部に、下方を向く被支持面が形成され、
前記移載装置は、前記被支持面を下方から支持する支持部と、前記支持部を昇降させる昇降駆動部と、を備え、
前記移載駆動部は、前記係止部と前記支持部とを前記移載方向に沿って一体的に往復移動させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記凹部の前記移載方向掬い側は、係止用壁部により覆われており、
前記係止部と前記押圧部との前記移載方向の位置関係が固定されており、
前記係止可能範囲は、前記係止部が前記係止姿勢となった場合に前記係止用壁部に対して前記移載方向卸し側に形成された前記凹部に位置するような、前記容器に対する前記係止部の相対位置の範囲であり、
前記押圧部が前記係止用壁部に対して前記移載方向掬い側から当接した状態で、前記係止部が前記係止可能範囲に位置するように、前記係止部と前記押圧部との位置関係が設定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記移載装置は、前記押圧部と前記係止部とを支持する支持部材を備え、
前記移載駆動部は、前記支持部材を前記移載方向に沿って往復移動させ、
前記支持部材に、前記容器に対する前記係止部の相対位置が前記係止可能範囲にあることを検出する検出器が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第6337706号公報(特許文献1)には、収納棚に対して荷物の移載を行う移載装置が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された移載装置(2)は、荷物(10)を載置する荷載置部(26)と、複数のフック(30,32,34,36)を有するスライドアーム(28)と、を備えている。移載装置(2)は、スライドアーム(28)を用いることによって、荷載置部(26)からラック(12a,12b)へ荷物(10)を移載する卸し動作と、ラック(12a,12b)から荷載置部(26)へ荷物(10)を移載する掬い動作と、を行うように構成されている。
【0004】
特許文献1に開示された移載装置(2)は、卸し動作を行う場合及び掬い動作を行う場合に、荷物(10)の取っ手(14a,14b)にフック(30,32,34,36)を係合させる。そして、掬い動作を行う場合には、フック(30,32,34,36)によって荷物(10)を荷載置部(26)の側へ引き込む。反対に、卸し動作を行う場合には、フック(30,32,34,36)によって荷物(10)をラック(12a,12b)の側へ押し込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、特許文献1に開示された技術では、卸し動作を行う場合と掬い動作を行う場合とで、フック(30,32,34,36)を共用している。しかしながら、特許文献1に開示されたフック(30,32,34,36)のような形状の部材は、掬い動作を行う場合には適していても、卸し動作には必ずしも適しているとは言い難い。また、荷物(10)を押し込むのであれば、フック(30,32,34,36)を取っ手(14a,14b)に係合させる必要はないにも関わらず、特許文献1に開示された技術では、そのようなフック(30,32,34,36)の係合動作を行うことで、卸し動作に要する時間が長くなり易かった。
【0007】
上記実状に鑑みて、容器の卸し動作に要する時間の短縮を図り易く、更には、容器の卸し動作及び掬い動作のそれぞれを行うのに適した構成を実現し易い技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
容器を搬送する搬送装置であって、
前記容器を保持する保持部を有する移載装置を備え、
前記移載装置は、水平方向に沿う移載方向に沿って前記容器を移動させて、前記保持部から移載対象箇所へ前記容器を移載する卸し動作、及び前記移載対象箇所から前記保持部へ前記容器を移載する掬い動作を含む移載動作を行うように構成され、
前記移載装置は、前記卸し動作において前記容器を押圧する押圧部と、前記掬い動作において前記容器に係止される係止部と、前記押圧部及び前記係止部を前記移載方向に沿って往復移動させる移載駆動部と、前記押圧部とは別に前記係止部を駆動して当該係止部に姿勢変更を行わせる係止駆動部と、を備え、
前記移載方向における前記保持部から前記移載対象箇所へ向かう側を移載方向卸し側、前記移載方向における前記移載対象箇所から前記保持部へ向かう側を移載方向掬い側とし、前記容器における前記移載方向卸し側を向く部分を容器前面部、前記容器における前記移載方向掬い側を向く部分を容器後面部として、
前記容器後面部に、前記移載方向に直交する方向に開口する凹部が設けられ、
前記係止部は、前記容器に対する相対位置が規定の係止可能範囲にある状態で前記係止駆動部により駆動されることで、前記凹部に挿入される係止姿勢と、前記凹部から出る非係止姿勢と、に姿勢変更可能であり、
前記移載装置は、前記押圧部を、前記容器後面部に当接させた状態で前記移載駆動部により前記移載方向卸し側へ移動させることで、前記卸し動作を行い、
前記移載装置は、前記係止姿勢の前記係止部を、前記移載駆動部により前記移載方向掬い側へ移動させることで、前記掬い動作を行う。
【0009】
本構成によれば、卸し動作において容器を押圧する押圧部と、掬い動作において容器に係止される係止部と、押圧部及び係止部を移載方向に沿って往復移動させる移載駆動部とを備え、更に、押圧部とは別に係止部を駆動して当該係止部に姿勢変更を行わせる係止駆動部を備えている。そのため、掬い動作を行う場合には、係止部を駆動して係止姿勢とすることで、容器に係止部を係止させて移載方向掬い側へ容器を移動させることができ、卸し動作を行う場合には、容器に係止部を係止させるための係止部の駆動を行うことなく、押圧部により容器を押圧して移載方向卸し側へ容器を移動させることができる。従って、容器の卸し動作に要する時間の短縮を図り易い。また、押圧部と係止部とのそれぞれを備えることにより、押圧部については、卸し動作を行う(容器を押圧する)のに適した構成にすることができ、且つ、係止部については、掬い動作を行う(容器を引き込む)のに適した構成にすることができる。すなわち、本構成によれば、容器の卸し動作及び掬い動作のそれぞれを行うのに適した構成を実現し易い。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】移載装置の第1姿勢と第2姿勢とを示す平面図
【
図7】持ち上げ装置により段積み領域の容器を持ち上げた状態を示す図
【
図8】移載方向に対して直交する幅方向から見た移載装置を示す図
【
図26】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
【
図27】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
【
図28】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
【
図29】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
搬送装置は、容器を搬送する装置である。以下、搬送装置が、容器を搬送する搬送設備に備えられている場合を例示して、当該搬送装置の実施形態について説明する。
【0013】
図1に示すように、搬送設備Fは、容器70(
図3及び
図4参照)を収納する容器棚8と、容器70の搬出及び搬入を行う搬出入部9と、を備えている。搬送装置100は、搬出入部9によって搬入された容器70を容器棚8へ搬送し、又は、容器棚8に収納された容器70を搬出のために搬出入部9へ搬送する。
【0014】
本実施形態では、複数の容器棚8が、規定の間隔を空けつつ互いに平行に配置されている。複数の容器棚8のそれぞれは少なくとも正面が開口しており、当該正面において容器70の出し入れが行われる。そして、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間に、搬送装置100の走行経路Rの一部が設定されている。また、搬送設備Fに備えられた複数の容器棚8のうち最も端に配置された容器棚8は、正面を外側に向けて配置されており、当該端の容器棚8の正面に沿った領域にも走行経路Rの一部が設定されている。また、搬送設備Fには、複数の搬出入部9が設けられており、複数の搬出入部9のそれぞれを通る領域にも、走行経路Rの一部が設定されている。
【0015】
走行経路Rは、容器棚8の正面に沿って当該容器棚8の延在方向に延びる棚内経路Raと、容器棚8の配置領域の外部において棚内経路Raに交差する棚外経路Rbと、を含んでいる。棚内経路Raは、複数の容器棚8のそれぞれに対応して設定されている。本実施形態では、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間の領域に設定された走行経路Rの一部、及び、正面を外側に向けて配置された容器棚8の当該正面に沿った領域に設定された走行経路Rの一部が、棚内経路Raに相当する。また、棚外経路Rbは、複数の棚内経路Raを繋ぐように設定されている。また、棚外経路Rbは、複数の搬出入部9のそれぞれを通るようにも設定されている。本実施形態では、走行経路Rにおける棚内経路Ra以外の部分が、棚外経路Rbに相当する。
【0016】
〔容器棚〕
図2に示すように、容器棚8は、容器70を収納する棚部80を上下方向に複数段備えている。棚部80は、後述する移載装置4によって容器70を移載する場合の移載対象箇所Tとされる。本実施形態では、容器棚8は、複数の支柱部材81と複数の梁部材82とを組み合わせて構成されている。複数の梁部材82が、上下方向に間隔を空けて配置されている。そして、複数の梁部材82のそれぞれに、容器70を載置するための載置部材83が連結されている。本例では、容器70は、一対の載置部材83に載置されることにより、棚部80に収納される。また、棚部80には、一対の載置部材83の組が複数組配置されており、1つの棚部80において複数の容器70を収納可能となっている。なお、本例では、
図2に示す正面視で左右方向に隣接する一対の支柱部材81の間であって、上下方向に隣接する一対の梁部材82の間の領域が、容器棚8の開口に相当する。
【0017】
本実施形態では、棚部80における容器70を収納するための基準位置80Pに、当該基準位置80Pにおいて容器70を収納するための目標となる目標部82Tが設けられている。本例では、目標部82Tは、梁部材82に設けられている。目標部82Tは、一対の載置部材83の組につき1つ設けられている。図示の例では、目標部82Tは、梁部材82に形成された孔によって構成されている。
【0018】
〔容器〕
図3に示すように、容器70は、上方に開口する開口部71と、容器70の内部空間を囲む周壁部72と、を備えた箱状に形成されている。本例では、上下方向視における容器70の外形は、矩形状を成している。周壁部72によって囲まれた内部空間、すなわち容器70の内部には、物品が収容可能となっている。物品には、例えば、食料品や生活用品などの各種商品、又は、工場の生産ライン等において用いられる部品や仕掛品などが含まれる。
【0019】
本実施形態では、容器70は、その内部に物品を収容した状態で、別の容器70と積み重ねることが可能に構成されている。すなわち、容器70は、上下方向に段積み可能に構成されている(
図5も参照)。本例では、容器70は、その底部から下方に突出する嵌合部77を備えている。容器70の嵌合部77が、別の容器70の開口部71に対して上方から嵌合することにより、2つの容器70が上下方向に段積みされる。
【0020】
容器70は、後述する移載装置4によって、特定の方向に沿って移載されるように構成されている。移載装置4によって容器70を移載する方向を移載方向Xとすると(
図4参照)、容器70は、移載装置4によって移載方向Xに沿って移動される。より詳細には、移載装置4が、移載対象箇所Tに対して容器70を卸す場合には、容器70は、移載方向Xにおける一方側(以下、「移載方向卸し側X1」と称する。)に向かって移動する。移載装置4が、移載対象箇所Tに対して容器70を掬う場合には、容器70は、移載方向Xにおける他方側(以下、「移載方向掬い側X2」と称する。)に向かって移動する。
【0021】
容器70における移載方向卸し側X1を向く部分を容器前面部70F、容器70における移載方向掬い側X2を向く部分を容器後面部70Rとする(
図4参照)。
図2に示すように、容器70は、容器後面部70Rを容器棚8の正面側に向けた状態で、棚部80に収納される。
【0022】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、容器70は、周壁部72から外側に突出する複数のリブ部を備えている。複数のリブ部のうち一部は、後述する持ち上げ装置3によって持ち上げられる持ち上げ用リブ部73である。本例では、持ち上げ用リブ部73は、周壁部72の上部に形成されている。また、持ち上げ用リブ部73は、周壁部72における開口部71を囲む部分の全周に亘って形成されている。複数のリブ部のうち一部は、後述する移載装置4による移載動作の際に持ち上げられる移載用リブ部74である。本例では、移載用リブ部74は、持ち上げ用リブ部73よりも下方に形成されている。移載用リブ部74は、容器後面部70Rに設けられている。本例では、移載用リブ部74は、容器後面部70R及び容器前面部70Fの双方に設けられている。なお、本実施形態では、容器後面部70Rと容器前面部70Fとは同じ構成となっている。
【0023】
容器後面部70Rには、移載方向Xに直交する方向に開口する凹部75が設けられている。本実施形態では、凹部75は、鉛直下方に開口している。凹部75は、容器70における移載用リブ部74が設けられた面(本例では、容器後面部70R及び容器前面部70F)に形成されている。本例では、容器70は、持ち上げ用リブ部73と移載用リブ部74との上下方向の間に、周壁部72から外側に突出すると共に下方に延在する係止用壁部76を備えており、この係止用壁部76と周壁部72との間に凹部75が形成されている。本例では、凹部75の移載方向卸し側X1は、周壁部72により覆われており、凹部75の移載方向掬い側X2は、係止用壁部76により覆われている。換言すれば、凹部75は、周壁部72と係止用壁部76とによって囲まれた空間である。係止用壁部76は、後述するように、移載装置4による移載動作の際に、係止部Bb(
図9参照)が係止される部分である。
【0024】
上下方向に沿う上下方向視で移載方向Xに直交する方向を幅方向Yとすると、本実施形態では、凹部75は、容器後面部70R及び容器前面部70Fのそれぞれにおける幅方向Yの中央部に設けられている。そして、本例では、凹部75は、幅方向Y及び上下方向に沿って延びるように形成されている。
【0025】
本実施形態では、容器後面部70Rには、下方を向く被支持面74fが形成されている。本例では、被支持面74fは、移載用リブ部74に形成されている。換言すれば、移載用リブ部74における下方を向く面が、被支持面74fとなっている。被支持面74fは、後述するように、移載装置4による移載動作が行われる際に、移載装置4が備える支持部Bss(
図9参照)によって下方から支持される部分である。
【0026】
〔搬送装置〕
図5に示すように、搬送装置100は、走行する走行体1と、複数の容器70を段積み状態の容器群7として規定の段積み領域2A内に支持する容器群支持部2と、容器群支持部2に支持された容器群7の容器70を持ち上げる持ち上げ装置3と、容器70の移載を行う移載装置4と、を備えている。容器群支持部2、持ち上げ装置3、及び移載装置4は、走行体1に搭載されている。走行体1における走行方向に沿う方向を「車体前後方向L」とすると、容器群支持部2と移載装置4とは、走行体1上において車体前後方向Lに並んで配置されている。なお、以下では、上下方向視で車体前後方向Lに直交する方向を「車体幅方向W」とする。
【0027】
本実施形態では、搬送装置100は、制御装置Cを備えている。制御装置Cは、搬送装置100の各機能部を制御する。本例では、制御装置Cは、走行体1、容器群支持部2、持ち上げ装置3、移載装置4、及び、後述する旋回装置5を制御する。容器70を搬送及び移載するための動作は、制御装置Cによる各機能部の制御によって実現される。制御装置Cは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0028】
〔走行体〕
走行体1は、規定の走行経路R(
図1参照)を走行するように構成されている。本実施形態では、走行体1は、棚内経路Raと棚外経路Rbとを走行するように構成されている。走行体1は、棚内経路Raを走行する場合に、容器棚8に沿って走行するように構成され、より詳細には、容器棚8の正面に沿って走行するように構成されている。本実施形態では、走行体1は、床面を走行するように構成されている。
【0029】
走行体1は、複数の走行車輪10と、複数の走行車輪10のうち少なくとも1つを駆動する走行駆動部10Mと、を備えている。走行駆動部10Mは、不図示のモータを含んで構成されている。走行駆動部10Mが走行車輪10を駆動することにより、走行体1に走行方向の推進力が付与される。
【0030】
〔容器群支持部〕
容器群支持部2は、走行体1に搭載されている。容器群支持部2は、複数の容器70を段積み状態の容器群7として支持可能に構成されている。容器群支持部2の上方には、容器群7が配置される段積み領域2Aが規定されている。段積み領域2Aは、容器群支持部2から上方に延在する立体的な仮想領域である。本例では、容器群支持部2は、容器群7を載置した状態で当該容器群7を移動させることが可能なコンベヤとして構成されている。本例では、容器群支持部2は、容器群7を車体幅方向Wに沿って移動させることが可能となっている。容器群支持部2を構成するコンベヤとしては、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤなどの周知のコンベヤ等であって良い。
【0031】
搬出入部9(
図1参照)には、複数の容器70が段積みされた状態の容器群7が搬入される。走行体1が搬出入部9に隣接した状態で、容器群支持部2は、搬出入部9から容器群7を受け取り、または、搬出入部9へ容器群7を引き渡す。すなわち、容器群支持部2は、搬出入部9との間で容器群7の受け渡しを行うように構成されている。詳細な図示は省略するが、本例では、搬出入部9は、容器70から物品を取り出す作業が行われるピッキングエリアに隣接している。容器群支持部2から搬出入部9へ容器群7が引き渡されると、搬出入部9に隣接するピッキングエリアにおいて容器70から物品が取り出される。容器70に収容された物品の一部又は全部が取り出された後は、当該容器70は、搬出入部9から容器群支持部2(搬送装置100)に引き渡されて、再び容器棚8へ搬送される。但し、搬出入部9は、ピッキングエリアに隣接していなくても良く、他の設備や作業エリアに隣接していても良い。また、例えば、搬出入部9は、容器群支持部2から引き渡された容器群7を搬送設備Fの外部へ搬送するように構成されていても良い。
【0032】
〔持ち上げ装置〕
持ち上げ装置3は、走行体1に搭載されている。持ち上げ装置3は、容器群支持部2に支持された容器群7の容器70、換言すれば、段積み領域2Aに配置された容器群7の容器70を持ち上げるように構成されている。
【0033】
持ち上げ装置3は、走行体1から上方に立設された持ち上げ用マスト30と、持ち上げ用マスト30に連結された持ち上げ用昇降体30Bと、持ち上げ用昇降体30Bを持ち上げ用マスト30に沿って昇降させる持ち上げ用昇降体駆動部30Mと、を備えている。詳細な図示は省略するが、持ち上げ用昇降体駆動部30Mは、例えば、持ち上げ用昇降体30Bに連結されたベルト等の無端体と、当該無端体が巻回された回転体と、当該回転体を回転駆動するモータと、を備えている。
【0034】
持ち上げ装置3は、段積み領域2Aに段積みされた容器群7の内の任意の高さの容器70を当該容器70の下に隣接する容器70に対して持ち上げる第1持ち上げ機構31と、第1持ち上げ機構31により持ち上げられた容器70よりも下方の容器70を当該容器70の下に隣接する容器70に対して持ち上げる第2持ち上げ機構32と、を備えている。また、本実施形態では、第1持ち上げ機構31と第2持ち上げ機構32とが、上下方向に離間して配置されている。
【0035】
本実施形態では、持ち上げ装置3は、持ち上げ用昇降体30Bから段積み領域2Aに向けて車体前後方向Lに突出する第1フレーム部31F及び第2フレーム部32Fと、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとを連結する連結フレーム部33Fと、を備えている。第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとは、上下方向に間隔を空けて配置されている。第1フレーム部31Fは、第2フレーム部32Fよりも上方に配置されている。連結フレーム部33Fは、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとを上下方向に連結している。このような構成により、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとは、相対移動しないようになっており、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとの上下方向の間隔は常に一定となっている。第1フレーム部31F、第2フレーム部32F、及び連結フレーム部33Fは、持ち上げ用昇降体30Bの昇降に伴って、一体的に昇降する。
【0036】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、第1フレーム部31Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第1フレーム部材31Faを備えている。一対の第1フレーム部材31Faは、段積み領域2Aに配置された容器70の幅(車体幅方向Wの長さ)に対応して配置されている。第2フレーム部32Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第2フレーム部材32Faを備えている。一対の第2フレーム部材32Faは、段積み領域2Aに配置された容器70の幅に対応して配置されている。連結フレーム部33Fは、一対の連結フレーム部材33Faを備えている。一対の連結フレーム部材33Faのそれぞれは、上下方向に並ぶ第1フレーム部材31Faと第2フレーム部材32Faとを連結している。
【0037】
例えば
図7に示すように、持ち上げ装置3は、第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70と、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70との、上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。また、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方にも、上下方向のスペースを形成することが可能となっている。
【0038】
本実施形態では、第1持ち上げ機構31は、容器70を保持する第1持ち上げ保持部31aと、第1持ち上げ保持部31aの姿勢を変更する第1持ち上げ駆動部(不図示)と、を備えている。詳細な図示は省略するが、第1持ち上げ駆動部は、容器70を保持する保持姿勢と、容器70を保持しない非保持姿勢とに、第1持ち上げ保持部31aの姿勢を変更するように構成されている。
図7は、保持姿勢の第1持ち上げ保持部31aを示している。本実施形態では、第1持ち上げ保持部31aは、保持姿勢となることで、容器70の持ち上げ用リブ部73を下方から保持する。これにより、第1持ち上げ保持部31aは、容器70を持ち上げるように構成されている。
【0039】
同様に、第2持ち上げ機構32は、容器70を保持する第2持ち上げ保持部32aと、第2持ち上げ保持部32aの姿勢を変更する第2持ち上げ駆動部(不図示)と、を備えている。詳細な図示は省略するが、第2持ち上げ駆動部は、容器70を保持する保持姿勢と、容器70を保持しない非保持姿勢とに、第2持ち上げ保持部32aの姿勢を変更するように構成されている。
図7は、保持姿勢の第2持ち上げ保持部32aを示している。本実施形態では、第2持ち上げ保持部32aは、保持姿勢となることで、容器70の持ち上げ用リブ部73を下方から保持する。これにより、第2持ち上げ保持部32aは、容器70を持ち上げるように構成されている。
【0040】
ここで、
図7では、下から上に向けて順番に、段積み領域2Aに段積みされた各容器70に「1~5」の数字を付している。また、移載装置4によって保持された容器70に「α」の文字を付している。
【0041】
第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70と第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70との上下方向の間にスペースを形成した場合には、当該スペースに、他の容器70を卸すことが可能となっている。すなわち、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の上に、移載装置4によって他の容器70を段積みすることが可能となっている。
図7では、第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70(容器「5」)と第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースに、移載装置4によって保持された容器70(容器「α」)を卸す場合の例を示している。
【0042】
また、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方に上下方向のスペースを形成した場合には、当該スペースを利用して、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方に配置された容器70を掬うことが可能となっている。
図7では、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70(容器「4」)の下方に配置された容器70(容器「3」)を掬う場合の例を示している。なお、段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作および掬い動作については後述する。
【0043】
図5に示すように、本実施形態では、第2持ち上げ機構32に、移載装置4によって移載される容器70を案内するガイド部3Gが設けられている。詳細な図示は省略するが、ガイド部3Gは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対のガイド部材3Gaを備えている。一対のガイド部材3Gaの車体幅方向Wの配置間隔は、容器70の幅に対応している。ここでは、ガイド部材3Gaは、一対の第2フレーム部材32Faのそれぞれに設けられている。ガイド部材3Gaは、第2フレーム部材32Faから上方に立ち上がる板状に形成されており、車体幅方向Wの内側を向く板面によって容器70を案内する。
【0044】
〔移載装置〕
図5に示すように、移載装置4は、走行体1に搭載されている。移載装置4は、容器70を保持する保持部Aを有しており、水平方向に沿う移載方向Xに沿って容器70を移動させて、保持部Aから移載対象箇所Tへ容器70を移載する卸し動作、及び移載対象箇所Tから保持部Aへ容器70を移載する掬い動作を含む移載動作を行うように構成されている。本実施形態では、移載装置4は、移載機Bを備えており、この移載機Bによって移載対象箇所Tに対する容器70の卸し動作及び掬い動作を行う。移載対象箇所Tには、段積み領域2Aと容器棚8の棚部80とが含まれる。
【0045】
上述のように、ここでは、移載装置4により移載される容器70の移動方向を移載方向Xとする。また、移載方向Xにおける保持部Aから移載対象箇所Tへ向かう側を移載方向卸し側X1、移載方向Xにおける移載対象箇所Tから保持部Aへ向かう側を移載方向掬い側X2とする。移載方向Xは、水平方向に沿う方向である。移載方向卸し側X1は、容器70を卸す場合に、移載方向Xに沿って容器70が移動する側である。移載方向掬い側X2は、容器70を掬う場合に、移載方向Xに沿って容器70が移動する側である。
【0046】
本実施形態では、搬送装置100は、移載装置4を上下方向に沿う軸心まわりに旋回させる旋回装置5を備えている。
図6に示すように、旋回装置5は、移載装置4を上下方向に沿う軸心回りに旋回させて、移載方向Xを段積み領域2Aに向けた第1姿勢P1と、移載方向Xを容器棚8に向けた第2姿勢P2とに、移載装置4の向きを変更するように構成されている。このように本実施形態では、移載方向Xは、旋回装置5によって水平面内において変更され得る。
【0047】
本実施形態では、移載装置4は、移載対象箇所Tの位置に応じて姿勢を変更する。具体的には、移載装置4は、移載対象箇所Tが段積み領域2Aである場合に第1姿勢P1となり、移載対象箇所Tが棚部80(容器棚8)である場合に第2姿勢P2となる。
図8に示すように、本例では、旋回装置5は、移載装置4を支持する旋回台50と、後述する移載用昇降体40Bに対して旋回台50を旋回自在に支持する旋回軸51と、旋回軸51を駆動する旋回駆動部5Mと、を備えている。なお、
図8は、移載装置4が第2姿勢P2である場合を示している。
【0048】
図5に示すように、移載装置4は、走行体1から上方に立設された移載用マスト40と、移載用マスト40に連結された移載用昇降体40Bと、移載用昇降体40Bを移載用マスト40に沿って昇降させる移載用昇降体駆動部40Mと、を備えている。詳細な図示は省略するが、移載用昇降体駆動部40Mは、例えば、移載用昇降体40Bに連結されたベルト等の無端体と、当該無端体が巻回された回転体と、当該回転体を回転駆動するモータと、を備えている。
【0049】
図8に示すように、移載装置4は、卸し動作において容器70を押圧する押圧部Baと、掬い動作において容器70に係止される係止部Bbと、押圧部Ba及び係止部Bbを移載方向Xに沿って往復移動させる移載駆動部Msと、を備えている。本実施形態では、移載装置4は、押圧部Baと係止部Bbとを支持する支持部材Bsを備えている。そして、移載駆動部Msは、支持部材Bsを移載方向Xに沿って往復移動させるように構成されている。本例では、支持部材Bsは、保持部Aに保持されており、移載駆動部Msは、支持部材Bsを保持部Aに対して移載方向Xに沿って相対移動させる。支持部材Bsが、移載駆動部Msに駆動されて保持部Aに対して移載方向Xに沿って相対移動することで、押圧部Ba及び係止部Bbも、保持部Aに対して移載方向Xに沿って相対移動する。本例では、移載機Bに、押圧部Ba、係止部Bb、及び支持部材Bsが設けられている。
【0050】
本実施形態では、移載装置4は、容器70を保持する第1保持部41Aと、第1保持部41Aよりも下方に配置されて容器70を保持する第2保持部42Aと、第1保持部41Aと移載対象箇所Tとの間での容器70の移載を行う第1移載機41Bと、第2保持部42Aと移載対象箇所Tとの間での容器70の移載を行う第2移載機42Bと、を備えている。すなわち、保持部Aは、第1保持部41Aと第2保持部42Aとを含む。また、移載機Bは、第1移載機41Bと第2移載機42Bとを含む。以下、第1保持部41Aと第2保持部42Aとを、「保持部A」と総称する場合がある。また、第1移載機41Bと第2移載機42Bとを、「移載機B」と総称する場合がある。
【0051】
上述のように、移載対象箇所Tには、段積み領域2Aと容器棚8の棚部80とが含まれる。すなわち、第1移載機41Bは、第1保持部41Aと段積み領域2A又は棚部80との間での容器70の移載を行う。また、第2移載機42Bは、第2保持部42Aと段積み領域2A又は棚部80との間での容器70の移載を行う。
図6に示すように、本実施形態では、第1移載機41Bは、第1姿勢P1の状態で第1保持部41Aと段積み領域2Aとの間での容器70の移載を行い、第2姿勢P2の状態で第1保持部41Aと棚部80との間での容器70の移載を行う。同様に、第2移載機42Bは、第1姿勢P1の状態で第2保持部42Aと段積み領域2Aとの間での容器70の移載を行い、第2姿勢P2の状態で第2保持部42Aと棚部80との間での容器70の移載を行う。
【0052】
図8に示すように、本実施形態では、移載装置4は、第1保持部41Aと第2保持部42Aとを上下方向に連結する保持連結部43を備えている。保持連結部43は、第1保持部41Aと第2保持部42Aとの上下方向の間隔が一定となるように、両者を連結している。
【0053】
移載装置4は、保持部Aを移載方向Xに沿って移動させる保持駆動部MAを備えている。本実施形態では、保持駆動部MAは、第1保持部41Aを移載方向Xに沿って移動させる第1保持駆動部41MAと、第2保持部42Aを移載方向Xに沿って移動させる第2保持駆動部42MAと、を含む。第1保持駆動部41MAは、第1保持部41Aを、移載用昇降体40Bに対して移載方向Xに沿って相対移動させるように構成されている。第2保持駆動部42MAは、第2保持部42Aを、移載用昇降体40Bに対して移載方向Xに沿って相対移動させるように構成されている。上述のように、本実施形態では、第1保持部41Aと第2保持部42Aとは、保持連結部43によって連結されている。そのため、第1保持部41Aと第2保持部42Aとは、移載方向Xに沿って一体的に移動する。本例では、第1保持部41Aを駆動する第1保持駆動部41MAと、第2保持部42Aを駆動する第2保持駆動部42MAとが、共通の駆動源により駆動されるように構成されている。以下、第1保持駆動部41MAと第2保持駆動部42MAとを、「保持駆動部MA」と総称する場合がある。
【0054】
本実施形態では、押圧部Baは、第1押圧部41Baと第2押圧部42Baとを含む。また、係止部Bbは、第1係止部41Bbと第2係止部42Bbとを含む。本例では、第1移載機41Bが、容器70の卸し動作を行う場合に容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する第1押圧部41Baと、容器70の掬い動作を行う場合に容器70に係止される第1係止部41Bbと、を備えている。第1押圧部41Ba及び第1係止部41Bbのそれぞれは、第1保持部41Aに対して移載方向Xに沿って相対移動可能に構成されている。また本例では、第2移載機42Bが、容器70の卸し動作を行う場合に容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する第2押圧部42Baと、容器70の掬い動作を行う場合に容器70に係止される第2係止部42Bbと、を備えている。第2押圧部42Ba及び第2係止部42Bbのそれぞれは、第2保持部42Aに対して移載方向Xに沿って相対移動可能に構成されている。以下、第1押圧部41Baと第2押圧部42Baとを、「押圧部Ba」と総称する場合がある。また、第1係止部41Bbと第2係止部42Bbとを、「係止部Bb」と総称する場合がある。
【0055】
本実施形態では、支持部材Bsは、第1支持部材41Bsと第2支持部材42Bsとを含む。また、移載駆動部Msは、第1移載駆動部41Msと第2移載駆動部42Msとを含む。本例では、第1支持部材41Bsは、第1保持部41Aに支持されていると共に第1押圧部41Baと第1係止部41Bbとを支持するように構成されている。第1支持部材41Bsが第1移載駆動部41Msによって駆動されることにより、第1押圧部41Ba及び第1係止部41Bbが、第1保持部41Aに対して移載方向Xに沿って相対移動する。また本例では、第2支持部材42Bsは、第2保持部42Aに支持されていると共に第2押圧部42Baと第2係止部42Bbとを支持するように構成されている。第2支持部材42Bsが第2移載駆動部42Msによって駆動されることにより、第2押圧部42Ba及び第2係止部42Bbが、第2保持部42Aに対して移載方向Xに沿って相対移動する。以下、第1支持部材41Bsと第2支持部材42Bsとを、「支持部材Bs」と総称する場合がある。また、第1移載駆動部41Msと第2移載駆動部42Msとを、「移載駆動部Ms」と総称する場合がある。
【0056】
本実施形態では、第1押圧部41Baと第1係止部41Bbとは、移載方向Xに沿って一体的に移動するように構成されている。そして、第1押圧部41Baと第1係止部41Bbとの移載方向Xに沿う移動可能範囲は、第1保持部41Aの移載方向Xに沿う移動可能範囲よりも大きい。本実施形態では、移載対象箇所T(段積み領域2A又は棚部80)に対して容器70を移載する場合に、第1保持部41Aを移載対象箇所Tに接近させた状態で、第1押圧部41Ba又は第1係止部41Bbを用いて容器70の移載を行う。これにより、移載動作時における第1保持部41Aと移載対象箇所Tとの隙間を小さくすることができ、第1移載機41Bによる安定した容器70の移載が可能となっている。
【0057】
同様に、本実施形態では、第2押圧部42Baと第2係止部42Bbとは、移載方向Xに沿って一体的に移動するように構成されている。そして、第2押圧部42Baと第2係止部42Bbとの移載方向Xに沿う移動可能範囲は、第2保持部42Aの移載方向Xに沿う移動可能範囲よりも大きい。本実施形態では、移載対象箇所T(段積み領域2A又は棚部80)に対して容器70を移載する場合に、第2保持部42Aを移載対象箇所Tに接近させた状態で、第2押圧部42Ba又は第2係止部42Bbを用いて容器70の移載を行う。これにより、移載動作時における第2保持部42Aと移載対象箇所Tとの隙間を小さくすることができ、第2移載機42Bによる安定した容器70の移載が可能となっている。
【0058】
移載装置4は、押圧部Baとは別に係止部Bbを駆動して当該係止部Bbに姿勢変更を行わせる係止駆動部Mbを備えている。本実施形態では、係止駆動部Mbは、係止部Bbを移載方向Xに沿う回転軸心Bxa(
図9参照)まわりに回転させるように構成されている。本実施形態では、係止駆動部Mbは、第1係止駆動部41Mbと第2係止駆動部42Mbとを含む。本例では、第1移載機41Bが、第1係止駆動部41Mbを備えている。第1係止駆動部41Mbは、第1係止部41Bbを駆動するように構成されている。詳細には、第1係止駆動部41Mbは、第1係止部41Bbを、移載方向Xに沿う回転軸心Bxaまわりに回転駆動する。また本例では、第2移載機42Bが、第2係止駆動部42Mbを備えている。第2係止駆動部42Mbは、第2係止部42Bbを駆動するように構成されている。詳細には、第2係止駆動部42Mbは、第2係止部42Bbを、移載方向Xに沿う回転軸心Bxaまわりに回転駆動する。以下、第1係止駆動部41Mbと第2係止駆動部42Mbとを、「係止駆動部Mb」と総称する場合がある。
【0059】
図8に示すように、本実施形態では、移載装置4は、棚部80における容器70を収納するための基準位置80P(
図2参照)を検出する基準位置検出センサSe1と、棚部80に収納された容器70を検出する収納容器検出センサSe2と、を備えている。
【0060】
図2を参照して上述したように、棚部80における基準位置80Pには、目標部82Tが設けられている。本実施形態では、基準位置検出センサSe1は、目標部82Tを検出することで、基準位置検出センサSe1を備えた移載装置4と棚部80の基準位置80Pとの位置関係を検出するように構成されている。そして、基準位置検出センサSe1による目標部82Tの検出結果に基づいて、走行体1、旋回装置5、及び移載装置4の移載用昇降体駆動部40Mを制御して、移載装置4の位置を補正する動作を行うことにより、棚部80に対する容器70の移載を適切に行うことが可能となる。本例では、基準位置検出センサSe1は、カメラにより構成されている。カメラとして構成される基準位置検出センサSe1の画像認識によって、移載装置4と梁部材82に設けられた目標部82Tとの位置関係を検出可能となっている。また、本例では、基準位置検出センサSe1は、対象との距離を検出する測距センサとしても機能する。移載装置4が移載対象箇所Tに対して容器70を移載する場合に、基準位置検出センサSe1は、移載対象箇所Tとの距離を検出する。これにより、確実性の高い移載動作を行うことが可能となる。
【0061】
収納容器検出センサSe2は、移載装置4が棚部80へ容器70を移載する卸し動作を行う場合に、移載しようとする棚部80における容器70の有無を検出する。移載装置4は、卸し先となる目標の棚部80に容器70が無いことが収納容器検出センサSe2によって検出された場合に、当該棚部80への容器70の卸し動作を行う。卸し先となる目標の棚部80に容器70が有ることが収納容器検出センサSe2によって検出された場合には、他の空きの棚部80へ容器70を移載するようにしても良いし、或いは、移載を中止しても良い。本例では、収納容器検出センサSe2は、目標との距離を検出する測距センサとしても構成されていても良い。これにより、移載装置4と移載対象箇所Tとの距離を測りながら移載動作を行うことができる。本実施形態では、収納容器検出センサSe2は、目標に対して光を投光する光センサとして構成されている。但し、このような構成に限定されず、収納容器検出センサSe2は、例えば超音波センサやカメラなどの周知の手段を用いて構成されていても良い。
【0062】
基準位置検出センサSe1は、第1保持部41A及び第1移載機41Bの組と第2保持部42A及び第2移載機42Bの組との、一方の組に設けられている。そして、収納容器検出センサSe2は、第1保持部41A及び第1移載機41Bの組と第2保持部42A及び第2移載機42Bの組との、基準位置検出センサSe1が設けられていない他方の組に設けられている。本実施形態では、基準位置検出センサSe1は、第1保持部41A及び第1移載機41Bの組に設けられている。本例では、基準位置検出センサSe1は、第1保持部41Aに設けられている。なお、基準位置検出センサSe1が第1移載機41Bに設けられていても良い。また本実施形態では、収納容器検出センサSe2は、第2保持部42A及び第2移載機42Bの組に設けられている。本例では、収納容器検出センサSe2は、第2保持部42Aに設けられている。なお、収納容器検出センサSe2が第2移載機42Bに設けられていても良い。
【0063】
以下、
図9~
図16を参照して、移載機Bの構造および移載機Bによる容器70の移載動作について詳細に説明する。
【0064】
〔移載機の構造〕
図9は、移載機Bの要部を示す斜視図であり、当該要部の構造は、第1移載機41Bと第2移載機42Bとで共通である。
【0065】
図9に示すように、押圧部Baと係止部Bbとは、支持部材Bsによって支持されている。本例では、支持部材Bsは、板状の部材であり、水平面に沿う本体部Bspと、この本体部Bspにおける幅方向Yの両側縁部から下方に延在するように配置された側縁部Bsbと、を備えている。
【0066】
本実施形態では、本体部Bspにおける移載方向卸し側X1の縁部に、移載方向掬い側X2に向かって切り欠かれた切欠き部Bsnが形成されている。本例では、切欠き部Bsnは、本体部Bspにおける幅方向Yの中央部を中心として、幅方向Yの規定範囲に亘って延在するように形成されている。ここで、切欠き部Bsnの幅方向Yの寸法は、移載方向Xの寸法よりも大きい。
【0067】
本体部Bspにおける、切欠き部Bsnに対して幅方向Yの両外側の部分は、移載方向卸し側X1に向けて突出している。この一対の突出部分が、掬い動作において容器70を下方から支持する支持部Bssとなる。支持部Bssは、掬い動作において、移載用リブ部74に形成された被支持面74fを下方から支持するように構成されている(
図12参照)。このように、本実施形態では、移載装置4は、被支持面74fを下方から支持する支持部Bssを備えている。
【0068】
押圧部Baは、卸し動作において、容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する。押圧部Baは、支持部材Bsにおける幅方向Yの中央部に配置されている。本実施形態では、押圧部Baは、支持部材Bsにおける本体部Bspに対して上方に配置されている。図示の例では、押圧部Baは、本体部Bspから上方に立ち上がるように形成された押圧連結部Bacに連結されることで、支持部材Bsに支持されている。押圧部Baは、押圧連結部Bacに対して移載方向卸し側X1に配置されている。
【0069】
押圧部Baは、卸し動作において容器後面部70Rにおける幅方向Yの中央部に当接する当接面Bafを備えている。本実施形態では、当接面Bafは、卸し動作において容器70の係止用壁部76に対して移載方向掬い側X2から当接するように構成されている(
図14参照)。本例では、当接面Bafは、移載方向卸し側X1に向けて凸となる曲面状に形成されている(
図15参照)。より具体的には、当接面Bafは、上下方向に沿う上下方向視で移載方向卸し側X1に向けて凸となる曲線状となり、幅方向Yに沿う幅方向視で上下方向に沿う直線状となるような曲面状に形成されていると好適である。このように構成することにより、容器70が上下方向に沿う軸心まわりに回転する方向に傾いた場合であっても当接面Bafを適切に当接させることができると共に、本例のように容器後面部70Rに凹凸がある場合であっても、押圧部Baによる容器70の押圧中に当接面Bafが容器70に対して上下方向の力を作用させ難いようにすることができる。なお、図示の例では、当接面Bafは、軸心が上下方向に沿う円筒状面の一部である、部分的な円筒状に形成されている。
【0070】
係止部Bbは、掬い動作において、容器70に係止され、当該容器70を移載方向掬い側X2に向けて引き込む。係止部Bbは、係止駆動部Mbにより回転駆動されることで、容器70の凹部75に挿入される係止姿勢(
図11参照)と、凹部75から出る非係止姿勢(
図10参照)と、に姿勢変更可能に構成されている。
【0071】
本実施形態では、係止部Bbは、支持部材Bsにおける本体部Bspに対して下方に配置された回転軸Bxに連結されている。回転軸Bxは、移載方向Xに沿って配置されており、係止駆動部Mbによって移載方向Xに沿う軸心まわりに回転駆動される。係止駆動部Mbは、支持部材Bsにおける本体部Bspに対して下方に配置されていると共に、支持部材Bsに対して固定されている。このように、係止部Bbは、回転軸Bx及び係止駆動部Mbを介して支持部材Bsに支持されている。そして、係止部Bbは、回転軸Bxの回転に伴って移載方向Xに沿う軸心まわりに回転する。従って、回転軸Bxの軸心が係止部Bbの回転軸心Bxaに相当する。
【0072】
本実施形態では、係止部Bbは、回転軸心Bxaまわりに回転することで、上述の係止姿勢と非係止姿勢とに姿勢変更する。係止部Bbは、係止姿勢において、その一部が支持部材Bsの本体部Bspよりも上方に突出し(
図11参照)、非係止姿勢において、その全部が支持部材Bsの本体部Bspよりも下方に配置される(
図10参照)。
【0073】
本実施形態では、係止部Bbは、押圧部Baよりも移載方向卸し側X1に配置される。また、係止部Bbと押圧部Baとの移載方向Xの位置関係が固定されている。本例では、係止部Bbが係止姿勢と非係止姿勢とに姿勢変更しても支持部材Bsに干渉しないように切欠き部Bsnが設けられている。ここでは、係止部Bbが、上下方向視で切欠き部Bsnの範囲内に配置されており、これにより上下方向視で支持部材Bsと重複しないように配置されている。このような切欠き部Bsnが設けられていることで、支持部材Bsに対する係止部Bbの移載方向Xの配置を柔軟に設定することが可能となっている。従って、係止部Bbと押圧部Baとの位置関係を適切に設定することができている。
【0074】
本実施形態では、係止部Bbは、回転軸心Bxaに直交する方向に沿って延在する棒状又は帯板状に形成されている。図示の例では、係止部Bbは棒状に形成されている。本例では、係止部Bbは、係止姿勢において容器後面部70Rにおける幅方向Yの中央部に位置するように配置されている。これにより、容器後面部70Rにおける幅方向Yの中央部に配置された凹部75に対して、適切な位置に係止部Bbを配置することが可能となっている。
【0075】
移載装置4は、段積み領域2Aに対する容器70の掬い動作では、係止部Bbと支持部Bssとを用いる。上述のように、係止部Bbは、掬い動作において、容器70に係止され、当該容器70を移載方向掬い側X2に向けて引き込む。また、支持部Bssは、段積み領域2Aに対する容器70の掬い動作において、移載用リブ部74に形成された被支持面74fを下方から支持して、容器後面部70Rを持ち上げる(
図13参照)。これにより、掬い対象の容器70と、段積み領域2Aにおいて当該掬い対象の容器70の下の段に配置された容器70との、嵌合を解除することができる。本実施形態では、移載駆動部Ms(
図8参照)は、係止部Bbと支持部Bssとを移載方向Xに沿って一体的に往復移動させるように構成されている。また、移載装置4は、支持部Bssを昇降させる移載用昇降体駆動部40M(
図5参照)を備えている。移載装置4は、移載駆動部Msによる係止部Bb及び支持部Bssの移載方向Xに沿う移動と、移載用昇降体駆動部40Mによる支持部Bssの昇降(上昇)とによって、段積み領域2Aに対する容器70の掬い動作を行う(
図13参照)。なお、
図5を参照して上述したように、移載用昇降体駆動部40Mは、移載用昇降体40Bを移載用マスト40に沿って昇降させることで移載機Bの全体を昇降させる。このように、移載用昇降体駆動部40Mは、移載機Bの全体を昇降させることに伴って支持部Bssを昇降させる。本実施形態では、移載用昇降体駆動部40Mが、「昇降駆動部」に相当する。
【0076】
移載装置4は、段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作では、押圧部Baと支持部Bssとを用いる。上述のように、押圧部Baは、卸し動作において、容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する。また、支持部Bssは、段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作において、移載用リブ部74に形成された被支持面74fを下方から支持して、容器後面部70Rを下方に降ろす(
図16参照)。これにより、卸し対象の容器70を、段積み領域2Aの容器70に対して上方から嵌合させることができる。本実施形態では、移載駆動部Ms(
図8参照)は、押圧部Baと支持部Bssとを移載方向Xに沿って一体的に往復移動させるように構成されている。移載装置4は、移載駆動部Msによる押圧部Ba及び支持部Bssの移載方向Xに沿う移動と、移載用昇降体駆動部40Mによる支持部Bssの昇降(下降)とによって、段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作を行う(
図16参照)。なお、上述のように、押圧部Baは、係止部Bbとともに支持部材Bsに支持されている。従って本実施形態では、移載駆動部Msは、押圧部Baと係止部Bbと支持部Bssとを移載方向Xに沿って一体的に往復移動させるように構成されている。
【0077】
本実施形態では、支持部材Bsに、容器70に対する係止部Bbの相対位置を検出する検出器Seが設けられている。本例では、検出器Seは、支持部材Bsにおける本体部Bspの下方において、ブラケット等の連結部材によって本体部Bspに連結されている。検出器Seは、目標に対して光を投光する光センサとして構成されている。但し、このような構成に限定されず、検出器Seは、例えば超音波センサやカメラなどの周知の手段を用いて構成されていても良い。
【0078】
図10に示すように、検出器Seは、容器70に対する係止部Bbの相対位置が係止可能範囲LRにあることを検出する。係止可能範囲LRは、係止部Bbが係止姿勢となった場合に容器70の係止用壁部76に対して移載方向卸し側X1に形成された凹部75に位置するような、容器70に対する係止部Bbの相対位置の範囲である。従って、係止部Bbが係止可能範囲LRにある場合、係止部Bbが係止姿勢であれば当該係止部Bbの少なくとも一部が凹部75に挿入され、係止部Bbが非係止姿勢であれば当該係止部Bbは凹部75の直下に位置する。すなわち、係止部Bbは、凹部75に挿入されていない状態であっても、凹部75の直下に配置されている状態であれば、係止可能範囲LRに配置されていることになる。このため、係止可能範囲LRは、容器70における周壁部72と係止用壁部76との移載方向Xの離間距離に相当する範囲に設定されている。換言すれば、係止可能範囲LRは、凹部75の移載方向Xの長さに相当する範囲に設定されている。このように、係止可能範囲LRは、移載方向Xに沿って設定された範囲である。なお、「凹部75の直下」とは、容器70における凹部75の下方であって上下方向視で凹部75と重複する位置を意味する。
【0079】
本実施形態では、係止部Bbが係止可能範囲LRにあることが検出器Seによって検出された場合に、係止部Bbは、非係止姿勢から係止姿勢に姿勢変更する。すなわち、係止部Bbは、容器70に対する相対位置が規定の係止可能範囲LRにある状態で係止駆動部Mbにより回転駆動されることで、容器70の凹部75に挿入される係止姿勢と、当該凹部75から出る非係止姿勢と、に姿勢変更可能に構成されている。
【0080】
〔掬い動作〕
次に、
図10~
図13を参照して、移載装置4による容器70の掬い動作について説明する。なお、
図10~
図13では、複数の容器70が段積みされた段積み領域2Aに対する容器70の掬い動作を示している。
【0081】
図10に示すように、移載装置4は、掬い動作を行う場合に、係止部Bbを、非係止姿勢とした状態で係止可能範囲LRに配置する。本実施形態では、移載装置4は、押圧部Ba、係止部Bb、及び支持部Bssを移載方向卸し側X1へ一体的に移動させることで、係止部Bbを係止可能範囲LRに配置する。移載装置4は、押圧部Ba、係止部Bb、及び支持部Bssの移載方向卸し側X1への移動を、移載駆動部Msによって支持部材Bsを駆動することにより行う。係止部Bbが係止可能範囲LRに配置されたか否かは、検出器Seによる検出結果に基づいて判断される。なお、支持部Bssは、係止部Bbが係止可能範囲LRにある状態で、移載用リブ部74の被支持面74fに対して下方から対向する位置に配置される。
【0082】
図11に示すように、移載装置4は、検出器Seによって係止部Bbが係止可能範囲LRに配置されたことが検出された場合に、係止部Bbを非係止姿勢から係止姿勢に姿勢変更させる。移載装置4は、係止部Bbの姿勢変更を、係止駆動部Mbによって係止部Bbを駆動することにより行う。
図11に示すように、係止部Bbが係止姿勢になると、係止部Bbと押圧部Baとが、容器70の係止用壁部76を挟んで移載方向Xの両側に分かれて配置された状態となる。
【0083】
図12に示すように、移載装置4は、移載用リブ部74の被支持面74fに対して下方から対向する位置に配置された支持部Bssを上昇させることで、当該支持部Bssによって移載用リブ部74を持ち上げる。これにより、
図13に示すように、容器後面部70Rが持ち上げられ、掬い対象の容器70とその下の段に配置された容器70との嵌合が外れる。詳細には、掬い対象の容器70の嵌合部77における移載方向掬い側X2の端部が、その下の段に配置された容器70の開口部71から上方に離間する。そして、移載装置4は、係止部Bbを移載方向掬い側X2に移動させることで、容器70を移載方向掬い側X2へ引き込む。本実施形態では、移載装置4は、押圧部Ba、係止部Bb、及び支持部Bssを移載方向掬い側X2へ一体的に移動させることで、係止部Bbを移載方向掬い側X2へ移動させる。すなわち、移載装置4は、係止姿勢の係止部Bbを、移載駆動部Msにより移載方向掬い側X2へ移動させることで、容器70の掬い動作を行う。
【0084】
以上のようにして、容器70の掬い動作が行われる。当該掬い動作は、制御装置C(
図5参照)が搬送装置100の各機能部を制御することにより行われる。なお、上述では、段積み領域2Aが移載対象箇所Tとされる場合の容器70の掬い動作について説明したが、容器棚8の棚部80が移載対象箇所Tとされる場合においてもほとんど同様である。但し、棚部80に対する容器70の掬い動作を行う場合には、容器70同士の嵌合を解除させる必要はないため、支持部Bssの昇降は必須ではない。
【0085】
〔卸し動作〕
次に、
図14~
図16を参照して、移載装置4による容器70の卸し動作について説明する。なお、
図14~
図16では、複数の容器70が段積みされた段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作を示している。
【0086】
図14に示すように、移載装置4は、卸し動作を行う場合に、押圧部Baを、容器後面部70Rに当接させ、当該押圧部により容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。本例では、移載装置4は、押圧部Baを、容器70の係止用壁部76に当接させて押圧する。
図15に示すように、本例では、押圧部Baにおける曲面状の当接面Bafが、容器後面部70R、より詳しくは係止用壁部76に当接する。
【0087】
また、上述のように本実施形態では、係止部Bbと押圧部Baとの移載方向Xの位置関係は固定されている。本例では、
図14に示すように、押圧部Baが係止用壁部76に対して移載方向掬い側X2から当接した状態で、係止部Bbが係止可能範囲LRに位置するように、係止部Bbと押圧部Baとの位置関係が設定されている。また、支持部Bssは、押圧部Baが係止用壁部76に対して移載方向掬い側X2から当接し、且つ、係止部Bbが係止可能範囲LRに位置した状態で、移載用リブ部74の被支持面74fに対して下方から対向する位置に配置される。
【0088】
図16に示すように、移載装置4は、押圧部Baを、係止用壁部76(容器後面部70R)に当接させた状態で移載駆動部Msにより移載方向卸し側X1へ移動させることで、容器70の卸し動作を行う。本実施形態では、移載装置4は、押圧部Ba、係止部Bb、及び支持部Bssを移載方向卸し側X1へ一体的に移動させることで、押圧部Baによって容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。本例では、移載装置4は、段積み領域2Aにおける卸し先となる容器70よりも上方の位置で、卸し対象の容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。そして、移載装置4は、卸し対象の容器70が保持部Aよりも移載方向卸し側X1へ突出することで保持部Aによる支持を失って段積み領域2Aにおいて下降すると、支持部Bssによって移載用リブ部74の被支持面74fを支持する状態となる。これにより、卸し対象の容器70における容器後面部70Rが支持部Bssによって支持される。その後、当該支持部Bssを下降させることで、卸し対象の容器70が、卸し先となる容器70に対して上方から嵌合する。これにより、卸し対象の容器70が段積み領域2Aに段積みされる。
【0089】
以上のようにして、容器70の卸し動作が行われる。当該卸し動作は、制御装置C(
図5参照)が搬送装置100の各機能部を制御することにより行われる。なお、上述では、段積み領域2Aが移載対象箇所Tとされる場合の容器70の卸し動作について説明したが、容器棚8の棚部80が移載対象箇所Tとされる場合においてもほとんど同様である。但し、棚部80に対する容器70の卸し動作を行う場合には、容器70同士を嵌合させる必要はないため、支持部Bssの昇降は必須ではない。
【0090】
次に、
図17~
図29を参照して、移載装置4による容器70の移載動作について具体的に説明する。なお、
図17~
図29では、移載動作の説明に必要な要素のみを簡略化して示している。
【0091】
〔棚部に対する容器の掬い動作〕
本実施形態では、移載装置4は、容器棚8の棚部80に対して、容器70の掬い動作を行うように構成されている。以下、
図17~
図22を参照して、棚部80に対する容器70の掬い動作について説明する。
図17~
図22では、係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを灰色で示し、非係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを白色で示している。ここでは、第1移載機41Bによって、棚部80に収納された容器70を掬う場合を例示して説明する。なお、第2移載機42Bによって掬い動作を行う場合も同様である。
【0092】
図17に示すように、制御装置C(
図5参照)は、基準位置検出センサSe1による目標部82Tの検出結果に基づいて、棚部80の基準位置80Pに対して適正な位置となるように、第1移載機41Bの位置を合わせる。なお、搬送装置100は、第1移載機41Bの水平面内における角度を検出する角度センサを備えていても良い。この場合、角度センサは、棚部80に対する第1移載機41Bの角度を検出する。そして、制御装置Cは、角度センサの検出結果に基づいて、棚部80に対して適正な角度となるように、第1移載機41Bの角度を合わせる。制御装置Cは、第1移載機41Bの位置及び角度の調整を、走行体1、旋回装置5、及び移載装置4の移載用昇降体駆動部40Mを制御することにより行う。そして、制御装置Cは、第1移載機41Bが棚部80に対して適正な位置関係となった場合に、第1移載機41Bによって、棚部80に収納された容器70の掬い動作を開始する。
【0093】
図18に示すように、制御装置Cは、第1保持部41A及び第2保持部42Aを、移載用昇降体40Bに対して移載方向卸し側X1に相対移動させる。これにより、第1保持部41A及び第2保持部42A、並びに第1移載機41B及び第2移載機42Bが、棚部80に接近する。このとき、棚部80との接近距離は、測距センサとしても機能する基準位置検出センサSe1によって検出される。従って、第1保持部41A及び第2保持部42A、並びに第1移載機41B及び第2移載機42Bを、棚部80に対して移載動作を行うための適切な距離に接近させることができる。
【0094】
次に、
図19に示すように、制御装置Cは、第1係止部41Bbを、第1保持部41Aに対して移載方向卸し側X1に相対移動させる。これにより、第1係止部41Bbを、容器70における凹部75の直下に配置する。このとき、第1係止部41Bbは、非係止姿勢である。
【0095】
そして、
図20に示すように、制御装置Cは、第1係止部41Bbが凹部75の直下に配置された状態で、第1係止部41Bbを係止姿勢とする。これにより、第1係止部41Bbを凹部75に挿入し、当該第1係止部41Bbを係止用壁部76に対して移載方向卸し側X1に対向させて配置する。
【0096】
その後、
図21に示すように、制御装置Cは、係止姿勢の第1係止部41Bbを、係止用壁部76に接触させながら、第1保持部41Aに対して移載方向掬い側X2に相対移動させる。これにより、第1係止部41Bbが、棚部80に収納された容器70を第1保持部41Aへ引き込む。
【0097】
そして、
図22に示すように、制御装置Cは、第1移載機41Bによって掬った容器70が第1保持部41Aに保持された状態で、第1保持部41A及び第2保持部42Aを、移載用昇降体40Bに対して移載方向掬い側X2に相対移動させて元の位置に戻す。これにより、第1保持部41A及び第2保持部42A、並びに第1移載機41B及び第2移載機42Bが、棚部80から離間する。なお、本例では、制御装置Cは、第1保持部41Aが容器70を保持した状態では、第1係止部41Bbの係止姿勢を維持する。同様に、制御装置Cは、第2保持部42Aが容器70を保持した状態では、第2係止部42Bbの係止姿勢を維持する。これにより、容器70が移載方向Xに移動しないように安定的に保持することができる。
【0098】
〔棚部に対する容器の卸し動作〕
本実施形態では、移載装置4は、容器棚8の棚部80に対して、容器70の卸し動作を行うように構成されている。以下、
図23~
図25を参照して、棚部80に対する容器70の卸し動作について説明する。
図23~
図25では、係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを灰色で示し、非係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを白色で示している。ここでは、第2移載機42Bによって、棚部80に容器70を卸す場合を例示して説明する。なお、第1移載機41Bによって卸し動作を行う場合も同様である。
【0099】
本実施形態では、上述した第1移載機41Bによる棚部80からの容器70の掬い動作の直後に、当該掬い動作を行った棚部80の直下の棚部80に対して、第2移載機42Bによる容器70の卸し動作を行う場合を想定している。従って、既に第2移載機42Bが棚部80に対して適正な位置関係となっている。なお、上述した棚部80に対する容器70の掬い動作と同様に、制御装置Cが、基準位置検出センサSe1による目標部82Tの検出結果等に基づいて、棚部80に対して適正な位置関係となるように、第2移載機42Bの位置を調整する制御を行っても良い。
【0100】
そして、
図23に示すように、制御装置C(
図5参照)は、第1保持部41A及び第2保持部42Aを、移載用昇降体40Bに対して移載方向卸し側X1に相対移動させる。これにより、第1保持部41A及び第2保持部42A、並びに第1移載機41B及び第2移載機42Bが、棚部80に接近する。
【0101】
次に、
図24に示すように、制御装置Cは、第2押圧部42Baを、第2保持部42Aに対して移載方向卸し側X1に相対移動させて、容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する。これにより、第2保持部42Aによって保持されていた卸し対象の容器70は、第2保持部42Aから棚部80へ移動する。本例では、第2押圧部42Baは、容器70における係止用壁部76に対して移載方向掬い側X2から当接した状態で、容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する。また、本例では、制御装置Cは、卸し対象容器70が移載方向卸し側X1に向けて移動している間に、第2押圧部42Baと共に移載方向卸し側X1に移動する第2係止部42Bbを、係止姿勢から非係止姿勢とする。
【0102】
そして、
図25に示すように、制御装置Cは、卸し対象の容器70を棚部80に卸した後、第2押圧部42Baを第2保持部42Aに対して移載方向掬い側X2に相対移動させると共に、第1保持部41A及び第2保持部42Aを、移載用昇降体40Bに対して移載方向掬い側X2に相対移動させて元の位置に戻す。これにより、第1保持部41A及び第2保持部42A、並びに第1移載機41B及び第2移載機42Bが、棚部80から離間する。
【0103】
〔段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作〕
本実施形態では、
図7を参照して上述したように、持ち上げ装置3によって、段積み領域2Aに段積みされた複数の容器70の上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。そして、移載装置4は、これらのスペースを利用して、段積み領域2Aに対する容器70の移載を行う。
【0104】
本実施形態では、移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器70の掬い動作および卸し動作を行うように構成されている。詳細には、移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器70の掬い及び卸しを並行して行う並行動作を行うように構成されている。本実施形態では、移載装置4は、第1持ち上げ機構31及び第2持ち上げ機構32のそれぞれが段積み領域2Aにおける容器70を持ち上げた状態で、並行動作を行う。但し、移載装置4は、段積み領域2Aに対する掬い動作と卸し動作とを独立して行うことも可能である。
【0105】
以下、
図26~
図29を参照して、段積み領域2Aに対する容器70の掬い及び卸しの並行動作について説明する。
図26~
図29では、係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを灰色で示し、非係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを白色で示している。また、保持姿勢である第1持ち上げ機構31の第1持ち上げ保持部31a又は第2持ち上げ機構32の第2持ち上げ保持部32aを灰色で示し、非保持姿勢である第1持ち上げ保持部31a又は第2持ち上げ保持部32aを白色で示している。ここでは、第1移載機41Bによって容器70を段積み領域2Aに卸すと共に、第2移載機42Bによって段積み領域2Aから容器70を掬う場合について説明する。
【0106】
図26~
図29には、段積み領域2Aに、5段の容器70が容器群7として段積みされている例が示されている。図中では、下から上に向けて順番に、段積みされた各容器70に「1~5」の数字を付している。また、第1保持部41Aに保持された卸し対象の容器70に「α」の文字を付している。以下に示す例では、持ち上げ装置3によって5段目の容器70(容器「5」)と4段目の容器70(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースを利用して、4段目の容器70(容器「4」)の上に卸し対象の容器70(容器「α」)を卸す。また、それに並行して、持ち上げ装置3によって4段目の容器70(容器「4」)の下方に形成されたスペースを利用して、3段目の容器70(容器「3」)を掬う。
【0107】
図26に示すように、制御装置Cは、第2係止部42Bbを係止姿勢とし、第1保持部41A及び第2保持部42Aを上昇させる。これにより、掬い対象の容器70(容器「3」)は、移載方向掬い側X2へ向かうに従って上方へ向かうように傾斜した姿勢となり、掬い対象の容器70(容器「3」)とその下に隣接する容器70(容器「2」)との嵌合が解除される。また、このように第1保持部41A及び第2保持部42Aを上昇させたことで、第1保持部41Aが、第2持ち上げ保持部32aによって持ち上げられた容器70(容器「4」)よりも上方に配置される。換言すれば、制御装置Cは、第1保持部41Aによって保持された卸し対象の容器70(容器「α」)の下面を、卸し先となる容器70(容器「4」)の上面よりも上方に配置する。
【0108】
次に、
図27に示すように、制御装置Cは、第2係止部42Bbを第2保持部42Aに対して移載方向掬い側X2に移動させると共に、第1押圧部41Baを第1保持部41Aに対して移載方向卸し側X1に移動させる。これにより、第2係止部42Bbが、掬い対象の容器70(容器「3」)を移載方向掬い側X2に引き込み、第1押圧部41Baが、卸し対象の容器70(容器「α」)を移載方向卸し側X1に押圧する。このとき、第1押圧部41Baによって押圧される卸し対象の容器70(容器「α」)は、ガイド部3Gによって移載方向卸し側X1への移動が適切に案内される。本例では、制御装置Cは、第1押圧部41Baによって卸し対象の容器70(容器「α」)を移載方向卸し側X1に押圧するのと並行して、第1係止部41Bbを係止姿勢から非係止姿勢とする。
【0109】
そして、
図28に示すように、第2係止部42Bbにより引き込まれる掬い対象の容器70(容器「3」)が第2保持部42A上に配置されると共に、第1押圧部41Baにより押圧される卸し対象の容器70(容器「α」)が第2持ち上げ保持部32aにより持ち上げられた容器70(容器「4」)の上方に配置された後、制御装置Cは、第1保持部41A及び第2保持部42Aを下降させる。これにより、第1押圧部41Baにより移載方向卸し側X1に押圧された卸し対象の容器70(容器「α」)が、第2持ち上げ保持部32aにより持ち上げられた容器70(容器「4」)に対して上方から接近して嵌合する。
【0110】
その後、制御装置Cは、第1持ち上げ保持部31a及び第2持ち上げ保持部32aを下降させ、第2持ち上げ保持部32aにより持ち上げられた容器70(容器「4」)を、その下方に配置された容器70(容器「2」)に嵌合させる。そして、制御装置Cは、第2持ち上げ保持部32aを保持姿勢から非保持姿勢とする。その後、制御装置Cは、第1持ち上げ保持部31a及び第2持ち上げ保持部32aを更に下降させ、第1持ち上げ保持部31aにより持ち上げられた容器70(容器「5」)を、その下方に配置された容器70(容器「α」)に嵌合させる。これにより、
図29に示すように、段積み領域2Aに配置された複数の容器70のうち一部の容器70(容器「3」)が、新たな容器70(容器「α」)と入れ替えられる。
【0111】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送装置のその他の実施形態について説明する。
【0112】
(1)上記の実施形態では、係止駆動部Mbが、係止部Bbを移載方向Xに沿う回転軸心Bxaまわりに回転させることで、係止部Bbを係止姿勢と非係止姿勢とに姿勢変更させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、係止駆動部Mbは、係止部Bbを直動させるように構成されていても良いし、或いは、係止部Bbを揺動させるように構成されていても良い。係止駆動部Mbは、係止部Bbを上記のように動作させることによっても、係止部Bbの姿勢変更を行うことができる。なお、係止部Bbを直動させる場合には、例えば直動モータ、シリンダ、カム機構等を用いると好適である。また、係止部Bbを揺動させる場合には、例えばリンク機構等を用いると好適である。
【0113】
(2)上記の実施形態では、押圧部Baの当接面Bafが、上下方向に沿う上下方向視で移載方向卸し側X1に向けて凸となる曲線状となり、幅方向Yに沿う幅方向視で上下方向に沿う直線状となるような曲面状に形成されている例を図示して説明した。しかし、当接面Bafの形状はこれには限定されない。移載方向卸し側X1に向けて凸となる曲面状には、例えば、移載方向卸し側X1に向けて凸となる半球面或いは部分球面状も含まれる。また、当接面Bafの形状は、移載方向卸し側X1に向けて凸となる曲面状には限定されず、例えば、移載方向卸し側X1を向く平面状や多角柱状等に形成されていても良い。
【0114】
(3)上記の実施形態では、容器後面部70Rに、下方を向く被支持面74fが形成されており、移載装置4は、被支持面74fを下方から支持する支持部Bssを備えると共に、掬い動作を場合に支持部Bssによって容器後面部70Rを持ち上げる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、上記のような被支持面74fは容器後面部70Rに形成されていなくても良く、移載装置4は、上記のような支持部Bssを備えていなくても良い。この場合、移載装置4は、掬い動作を行う場合に、容器後面部70Rを持ち上げることなく、容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込むように構成されていても良い。
【0115】
(4)上記の実施形態では、移載駆動部Msは、係止部Bbと支持部Bssとを移載方向Xに沿って一体的に往復移動させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移載駆動部Msは、係止部Bbと支持部Bssとを独立させて移載方向Xに往復移動させるように構成されていても良い。
【0116】
(5)上記の実施形態では、支持部材Bsに、容器70に対する係止部Bbの相対位置が係止可能範囲LRにあることを検出する検出器Seが設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、上記のような検出器Seは、支持部材Bs以外の部分に設けられていても良い。或いは、上記のような検出器Seが支持部材Bsに設けられていなくても良い。
【0117】
(6)上記の実施形態では、搬送装置100が、移載装置4を上下方向に沿う軸心まわりに旋回させる旋回装置5を備えている例について説明したが、旋回装置5は必須の構成要素ではない。よって、搬送装置100が旋回装置5を備えていなくても良い。この場合、移載方向Xは搬送装置100に対して固定された方向となる。
【0118】
(7)上記の実施形態では、基準位置検出センサSe1が、第1保持部41A及び第1移載機41Bの組に設けられ、収納容器検出センサSe2が、第2保持部42A及び第2移載機42Bの組に設けられている例について説明した。しかし、基準位置検出センサSe1が設けられる組と収納容器検出センサSe2が設けられる組とは、上記とは逆であっても良いし、或いは、基準位置検出センサSe1と収納容器検出センサSe2との双方が、何れか一方の組に設けられていても良く、さらには、基準位置検出センサSe1が何れか一方の組に設けられ、収納容器検出センサSe2が双方の組に設けられていても良い。
【0119】
(8)上記の実施形態では、第1移載機41Bが第1保持部41Aに対して移載方向Xに相対移動するように構成されており、第2移載機42Bが第2保持部42Aに対して移載方向Xに相対移動するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1移載機41Bと第1保持部41Aとが移載方向Xに一体的に移動するように構成され、第2移載機42Bと第2保持部42Aとが移載方向Xに一体的に移動するように構成されていても良い。
【0120】
(9)上記の実施形態では、容器70の構成に関して、持ち上げ装置3によって持ち上げられる持ち上げ用リブ部73が、周壁部72の上部に形成されている例について説明した。しかし、持ち上げ用リブ部73は、周壁部72における何れの箇所に形成されていても良く、例えば、上下方向の中央部または下部に形成されていても良い。さらに、持ち上げ装置3による容器70の持ち上げ対象となる部分は、持ち上げ用リブ部73に限定されることはない。持ち上げ装置3は、容器70の何れの部分を持ち上げ対象の部分としても良い。例えば、持ち上げ装置3は、容器70の周壁部72における凹凸の無い部分を挟持することにより、容器70を持ち上げるように構成されていても良い。
【0121】
(10)上記の実施形態では、走行体1が、床面を走行するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、走行体1は、床面または天井付近に設置されたレール上を走行するように構成されていても良い。すなわち、搬送装置100は、例えば、床面に設定されたレールに沿って走行する地上搬送車や天井から吊り下げられたレールに沿って走行する天井搬送車として構成されていても良い。また、搬送装置100は、例えば、スタッカークレーンとして構成されていても良い。
【0122】
(11)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0123】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送装置について説明する。
【0124】
容器を搬送する搬送装置であって、
前記容器を保持する保持部を有する移載装置を備え、
前記移載装置は、水平方向に沿う移載方向に沿って前記容器を移動させて、前記保持部から移載対象箇所へ前記容器を移載する卸し動作、及び前記移載対象箇所から前記保持部へ前記容器を移載する掬い動作を含む移載動作を行うように構成され、
前記移載装置は、前記卸し動作において前記容器を押圧する押圧部と、前記掬い動作において前記容器に係止される係止部と、前記押圧部及び前記係止部を前記移載方向に沿って往復移動させる移載駆動部と、前記押圧部とは別に前記係止部を駆動して当該係止部に姿勢変更を行わせる係止駆動部と、を備え、
前記移載方向における前記保持部から前記移載対象箇所へ向かう側を移載方向卸し側、前記移載方向における前記移載対象箇所から前記保持部へ向かう側を移載方向掬い側とし、前記容器における前記移載方向卸し側を向く部分を容器前面部、前記容器における前記移載方向掬い側を向く部分を容器後面部として、
前記容器後面部に、前記移載方向に直交する方向に開口する凹部が設けられ、
前記係止部は、前記容器に対する相対位置が規定の係止可能範囲にある状態で前記係止駆動部により駆動されることで、前記凹部に挿入される係止姿勢と、前記凹部から出る非係止姿勢と、に姿勢変更可能であり、
前記移載装置は、前記押圧部を、前記容器後面部に当接させた状態で前記移載駆動部により前記移載方向卸し側へ移動させることで、前記卸し動作を行い、
前記移載装置は、前記係止姿勢の前記係止部を、前記移載駆動部により前記移載方向掬い側へ移動させることで、前記掬い動作を行う。
【0125】
本構成によれば、卸し動作において容器を押圧する押圧部と、掬い動作において容器に係止される係止部と、押圧部及び係止部を移載方向に沿って往復移動させる移載駆動部とを備え、更に、押圧部とは別に係止部を駆動して当該係止部に姿勢変更を行わせる係止駆動部を備えている。そのため、掬い動作を行う場合には、係止部を駆動して係止姿勢とすることで、容器に係止部を係止させて移載方向掬い側へ容器を移動させることができ、卸し動作を行う場合には、容器に係止部を係止させるための係止部の駆動を行うことなく、押圧部により容器を押圧して移載方向卸し側へ容器を移動させることができる。従って、容器の卸し動作に要する時間の短縮を図り易い。また、押圧部と係止部とのそれぞれを備えることにより、押圧部については、卸し動作を行う(容器を押圧する)のに適した構成にすることができ、且つ、係止部については、掬い動作を行う(容器を引き込む)のに適した構成にすることができる。すなわち、本構成によれば、容器の卸し動作及び掬い動作のそれぞれを行うのに適した構成を実現し易い。
【0126】
ここで、上下方向に沿う上下方向視で前記移載方向に直交する方向を幅方向として、
前記押圧部は、前記卸し動作において前記容器後面部における前記幅方向の中央部に当接する当接面を備え、
前記当接面は、前記移載方向卸し側に向けて凸となる曲面状に形成されている、と好適である。
【0127】
本構成によれば、容器が移載方向に対して傾いている場合であっても、曲面状の押圧面を容器に当接させることで、容器を移載方向卸し側へ適切に押圧して移動させることができる。
【0128】
また、前記係止駆動部は、前記係止部を前記移載方向に沿う回転軸心まわりに回転させるように構成され、
上下方向に沿う上下方向視で前記移載方向に直交する方向を幅方向として、
前記凹部は、前記容器後面部における前記幅方向の中央部に設けられ、
前記係止部は、前記回転軸心に直交する方向に沿って延在する棒状又は帯板状に形成され、
前記係止部は、前記係止姿勢において前記容器後面部における前記幅方向の中央部に位置するように配置されている、と好適である。
【0129】
本構成によれば、係止駆動部は、係止部を移載方向に沿う回転軸心まわりに回転させることで当該係止部の姿勢を係止姿勢と非係止姿勢とに変更することができる。従って、比較的簡易な構成で、係止部の姿勢変更を実現できる。また、本構成によれば、掬い対象の容器が、移載方向に対して傾いていた場合であっても、幅方向の中央部に位置する係止部によって容器を係止しつつ、移載方向掬い側へ適切に引き込んで移動させることができる。
【0130】
また、前記容器後面部に、下方を向く被支持面が形成され、
前記移載装置は、前記被支持面を下方から支持する支持部と、前記支持部を昇降させる昇降駆動部と、を備え、
前記移載駆動部は、前記係止部と前記支持部とを前記移載方向に沿って一体的に往復移動させる、と好適である。
【0131】
本構成によれば、容器後面部の被支持面を支持部が下方から支持した状態で、昇降駆動部により当該支持部を上昇させることで、容器後面部を持ち上げることができる。そしてこの状態で、移載駆動部が、凹部に挿入された係止部と、容器後面部を持ち上げた支持部とを、移載方向掬い側へ移動させることで、容器の掬い動作を適切に行うことができる。このような構成は、例えば、移載方向掬い側へ移動する掬い対象の容器に段差を乗り越えさせる場合などに好適である。
【0132】
また、前記凹部の前記移載方向掬い側は、係止用壁部により覆われており、
前記係止部と前記押圧部との前記移載方向の位置関係が固定されており、
前記係止可能範囲は、前記係止部が前記係止姿勢となった場合に前記係止用壁部に対して前記移載方向卸し側に形成された前記凹部に位置するような、前記容器に対する前記係止部の相対位置の範囲であり、
前記押圧部が前記係止用壁部に対して前記移載方向掬い側から当接した状態で、前記係止部が前記係止可能範囲に位置するように、前記係止部と前記押圧部との位置関係が設定されている、と好適である。
【0133】
本構成によれば、押圧部が容器に対して最も移載方向卸し側に位置している状態であっても、係止部を凹部に挿入して係止姿勢とすることができる。よって、係止部を係止姿勢とする姿勢変更の確実性を高めることができる。また、係止部が係止可能範囲に位置した状態で、係止部と押圧部とが、係止用壁部を移載方向において挟んだ位置関係で配置される。従って、掬い動作を行う場合に、係止部と押圧部とにより移載方向の両側から係止用壁部を支持可能となり、掬い動作を安定的に行うことが可能となる。
【0134】
また、前記移載装置は、前記押圧部と前記係止部とを支持する支持部材を備え、
前記移載駆動部は、前記支持部材を前記移載方向に沿って往復移動させ、
前記支持部材に、前記容器に対する前記係止部の相対位置が前記係止可能範囲にあることを検出する検出器が設けられている、と好適である。
【0135】
本構成によれば、検出器による検出結果に基づいて係止部を係止姿勢にすることができるため、掬い動作を行う場合において、係止部を係止可能範囲に適切に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本開示に係る技術は、容器を搬送する搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0137】
100 :搬送装置
4 :移載装置
A :保持部
Ba :押圧部
Baf :当接面
Bb :係止部
Bs :支持部材
Bss :支持部
Bx :回転軸
Bxa :回転軸心
70 :容器
70F :容器前面部
70R :容器後面部
74f :被支持面
75 :凹部
76 :係止用壁部
Mb :係止駆動部
Ms :移載駆動部
Se :検出器
LR :係止可能範囲
T :移載対象箇所
X :移載方向
X1 :移載方向卸し側
X2 :移載方向掬い側
Y :幅方向