IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特許7310871熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法
<>
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図1
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図2
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図3
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図4
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図5
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図6
  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/857 20230101AFI20230711BHJP
   H10N 10/851 20230101ALI20230711BHJP
   H10N 10/852 20230101ALI20230711BHJP
   H10N 10/01 20230101ALI20230711BHJP
【FI】
H10N10/857
H10N10/851
H10N10/852
H10N10/01
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021203392
(22)【出願日】2021-12-15
(62)【分割の表示】P 2019523379の分割
【原出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2022037116
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2017113266
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構エネルギー・環境新技術先導プログラム/超高性能バルク熱電材料(ZT20以上)の創製、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】足立 真寛
(72)【発明者】
【氏名】木山 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜之
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-031849(JP,A)
【文献】特開2017-084987(JP,A)
【文献】特開2017-084986(JP,A)
【文献】国際公開第2009/008127(WO,A1)
【文献】特開2015-079796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0193001(US,A1)
【文献】特開2011-091321(JP,A)
【文献】特開2013-074051(JP,A)
【文献】特開平05-343746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/857
H10N 10/851
H10N 10/852
H10N 10/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する板状の熱電変換材料であって、
互いに接触した複数の半導体粒から形成され、
前記半導体粒は、非晶質相を含む半導体からなる粒子と、粒子を被覆する酸化層と、を有し、
前記第1の主面および前記第2の主面の硬さは、3±1GPaである、熱電変換材料。
【請求項2】
第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する板状の熱電変換材料であって、
互いに接触した複数の半導体粒から形成され、
前記半導体粒は、非晶質相を含む半導体からなる粒子と、粒子を被覆する酸化層と、を有し、
前記複数の半導体粒の間には、空隙を有する、熱電変換材料。
【請求項3】
前記第1の主面および前記第2の主面のヤング率は、40GPa以上である、請求項1または請求項2に記載の熱電変換材料。
【請求項4】
前記粒子は、
前記非晶質相内に析出し、粒径が15nm未満の結晶からなるナノ結晶相を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項5】
前記粒子は、Mnと、Siと、を含むMnSi系材料である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項6】
前記ナノ結晶相の粒径が6nm未満である、請求項4に記載の熱電変換材料。
【請求項7】
前記粒子は、Mnと、Siと、を含むMnSi系材料である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項8】
前記粒子は、Siと、Geと、を含むSiGe系材料である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項9】
前記粒子は、BiとTeを含むBiTe系材料、またはSnとSeを含むSnSe系材料、またはCuとSeを含むCuSe系である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項10】
前記粒子は、MnSiの組成式で表され、0.90≦X≦1.10および0.75≦Y≦5.70を満たす、請求項7に記載の熱電変換材料。
【請求項11】
前記粒子は、Mnと、Siと、Alと、を含み、MnSiAlの組成式で表され0.40≦X≦1.0、0.00<Z≦3.67、1.50≦Y+Z≦5.70およびY≧0.43Zを満たす、請求項7に記載の熱電変換材料。
【請求項12】
前記粒子は、SiGe1-Zの組成式で表され、0<Z<1を満たす、請求項8に記載の熱電変換材料。
【請求項13】
前記粒子は、さらにCu、Ni、FeおよびAuからなる群から選択される一種以上の元素を30at%以下の割合で含む、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項14】
前記粒子は、さらにCu、Ni、FeおよびAuからなる群から選択される一種以上の元素を10at%以下の割合で含む、請求項13に記載の熱電変換材料。
【請求項15】
前記粒子は、さらにCu、Ni、FeおよびAuからなる群から選択される一種以上の元素を1at%以下の割合で含む、請求項14に記載の熱電変換材料。
【請求項16】
前記粒子は、Cu、Ni、FeおよびAuからなる群から選択される一種以上の元素を0.01at%以上の割合で含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項17】
前記熱電変換材料のゼーベック係数は、50μV/K以上である、請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項18】
熱電変換材料部と、
前記熱電変換材料部に接触して配置される第1電極と、
前記熱電変換材料部に接触し、前記第1電極と離れて配置される第2電極と、を備え、
前記熱電変換材料部は、導電型がp型またはn型となるように成分組成が調整された請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の熱電変換材料からなる、熱電変換素子。
【請求項19】
複数の半導体粒が互いに接触した熱電変換材料の製造方法であって、
非晶質相を含む前記半導体粒から構成される粉体を準備する工程と、
前記粉体を、前記粉体の結晶化温度をTdとすると、Td-100℃の温度に維持しつつ、前記粉体に圧力を付与して成形することにより成形体を得る工程と、を備える、熱電変換材料の製造方法。
【請求項20】
前記半導体粒から構成される粉体を準備する工程では、原料から、メカニカルアロイング法により前記半導体粒から構成される前記粉体を得る工程を含む、請求項19に記載の熱電変換材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電変換材料、熱電変換素子および熱電変換材料の製造方法に関する。本出願は、2017年6月8日出願の日本出願第2017-113266号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
熱電変換材料の特性(熱電変換特性)は、以下の式(1)で定義される無次元性能指数(ZT)により評価することができる。
【0003】
ZT=SσT/κ・・・(1)
式(1)において、Zは性能指数、Tは絶対温度、Sはゼーベック係数、σは導電率、κは熱伝導率を表す。無次元性能指数が大きい材料ほど、熱電変換における変換効率が高い。つまり、無次元性能指数が大きい材料ほど、熱電変換特性に優れた材料であるといえる。式(1)から明らかなように、無次元性能指数は、熱伝導率が小さいほど大きくなる。熱電変換材料の熱伝導率を抑制するために、非晶質相を含む組織構造を有する熱電変換材料を用いることが考えられる。より具体的には、溶融状態のBi(ビスマス)系組成物を10~10K/秒の冷却速度にて急冷することにより得られる非晶質相を含む組織構造を有する熱電変換材料が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-111546号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の熱電変換材料は、第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する板状の熱電変換材料であって、互いに接触した複数の半導体粒から形成される。半導体粒は、非晶質相を含む半導体からなる粒子と、粒子を被覆する酸化層と、を有する。第1の主面と第2の主面との距離が0.5mmを超える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、熱電変換材料を厚み方向に切断した時の断面を示す断面模式図である。
図2図2は、熱電変換材料を厚み方向に切断した時の断面の一部を示す模式図である。
図3図3は、粒子の組織構造を示す模式図である。
図4図4は、実施の形態1における熱電変換材料の製造方法の概略を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態2における熱電変換素子であるπ型熱電変換素子の構造を示す概略図である。
図6図6は、XRD分析の結果を示す図である。
図7図7は、示差熱分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
熱電変換材料の熱電変換特性を向上させるためには、無次元性能指数を大きくすることが望ましい。また、高い出力が求められる発電用途において、熱電変換材料は厚みの厚いバルク形状であることが望ましい。熱電変換材料を得る方法の1つとして、例えば、溶融状態の組成物を周方向に回転する銅製のローラの外周面に注ぎ急冷する液体急冷法が挙げられる。液体急冷法により得られた熱電変換材料は、厚みの薄い薄帯状の形状を有する。このようにして得られた熱電変換材料は、そのままでは厚みが薄く、十分な出力が得られない。
【0008】
そこで、熱電変換特性に優れ、高い出力を得ることができる熱電変換材料を提供することを目的の1つとする。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の熱電変換材料は、第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する板状の熱電変換材料であって、互いに接触した複数の半導体粒から形成される。半導体粒は、非晶質相を含む半導体からなる粒子と、粒子を被覆する酸化層と、を有する。第1の主面と第2の主面との距離が0.5mmを超える。
【0010】
無次元性能指数は、上記式(1)から明らかなように、ゼーベック係数を大きくすることにより、無次元性能指数を大きくすることができる。また、熱伝導率を小さくすることによっても、無次元性能指数を大きくすることができる。半導体からなる粒子のゼーベック係数は高くなる。また、非晶質相を含む半導体からなる粒子の熱伝導率は、小さくなる。本開示の熱電変換材料は、非晶質相を含む半導体からなる粒子を備える複数の半導体粒から構成される。このようにすることで、熱電変換材料において、ゼーベック係数を大きくすることができ、熱伝導率を小さくすることができる。また、半導体粒は、上記粒子を被覆する酸化層を備える。このようにすることで、熱電変換材料のゼーベック係数をより大きくすることができる。従って、熱電変換材料の無次元性能指数を大きくすることができる。なお、酸化層は上記粒子を完全に覆っていなくても良い。例えば50%以上被覆していればゼーベック係数をより大きくすることができる。また、複数の半導体粒が互いに接触することにより、第1の主面と第2の主面との距離(厚み)が0.5mmを超える熱電変換材料とすることができる。厚みが0.5mmを超えると大電流を流しやすくなるので、発電出力をより大きくすることができる。このようにすることで、熱電変換材料において生じる温度差を大きくして、高い電圧による出力を得ることができる。このように、本開示の熱電変換材料によれば、熱電変換特性に優れ、高い出力を得ることができる熱電変換材料を提供することができる。
【0011】
上記熱電変換材料において、第1の主面および第2の主面の硬さは、2GPa以上であるようにしてもよい。このようにすることで、機械的強度が高く、使用時に振動がかかった場合にも破壊されにくい熱電変換材料とすることができる。
【0012】
上記熱電変換材料において、第1の主面および第2の主面のヤング率は、40GPa以上であるようにしてもよい。このようにすることで、機械的強度が高く、使用時に振動がかかった場合にも破壊されにくい熱電変換材料とすることができる。
【0013】
上記熱電変換材料において、粒子は、非晶質相内に析出し、粒径が15nm未満の結晶からなるナノ結晶相を含むようにしてもよい。粒子がナノ結晶相を含むことにより、粒子において、熱伝導率をさらに小さくすることができる。さらに、粒径が15nm未満であるとフォノン散乱が増大するために熱伝導率が低下する。従って、上記粒子を備える半導体粒から構成される熱電変換材料の熱伝導率を小さくすることができる。その結果、熱電変換材料の無次元性能指数を大きくすることができる。
【0014】
上記熱電変換材料において、粒子は、Mnと、Siと、を含むMnSi系材料であってもよい。Mnと、Siと、を含むMnSi系材料は、熱電変換材料を構成する材料として好適である。
【0015】
上記熱電変換材料において、粒子は、Siと、Geと、を含むSiGe系材料であってもよい。Siと、Geと、を含むSiGe系材料は、熱電変換材料を構成する材料として好適である。
【0016】
上記熱電変換材料において、熱電変換材料のゼーベック係数は、50μV/K以上であるようにしてもよい。このようにすることで、熱電変換材料の無次元性能指数を大きくすることができる。
【0017】
本開示の熱電変換素子は、熱電変換材料部と、熱電変換材料部に接触して配置される第1電極と、熱電変換材料部に接触し、第1電極と離れて配置される第2電極と、を備える。熱電変換材料部は、導電型がp型またはn型となるように成分組成が調整された上記の熱電変換材料からなる。
【0018】
本開示の熱電変換素子は、熱電変換材料部が、導電型がp型またはn型となるように成分組成が調整された上記熱電変換特性に優れ、高い出力を得ることができる熱電変換材料からなる。そのため、本開示の熱電変換素子によれば、変換効率に優れ、高い出力が得られる熱電交換素子を容易に提供することができる。
【0019】
本開示の熱電変換材料の製造方法は、複数の半導体粒が互いに接触した熱電変換材料の製造方法である。熱電変換材料の製造方法は、非晶質相を含む半導体粒から構成される粉体を準備する工程と、粉体を、粉体の結晶化温度以下の温度に維持しつつ、粉体に1.5GPa以上の圧力を付与して成形することにより成形体を得る工程と、を備える。
【0020】
厚みの厚いバルク形状の熱電変換材料を得るためには、固化成形することが考えられる。上記の固化成形の方法としては、スパークプラズマ焼結法またはホットプレス法が挙げられる。上記の方法では、50MPa程度の圧力を付与し、高温で焼結される。熱伝導率を抑制するために非晶質相を含む組織構造が形成された熱電変換材料において、上記の方法により固化成形されると、熱電変換材料は結晶化してしまい、熱電変換材料の熱伝導率は上昇する。一方で、熱電変換材料の結晶化を抑制するために温度を低くすると、熱電変換材料の機械的強度は低くなってしまう。
【0021】
本開示の熱電変換材料の製造方法では、粉体に1.5GPa以上の圧力を付与して成形することにより成形体を得る。このようにすることで、隣り合う複数の半導体粒から構成される粉体が互いに接触した成形体が得られる。このため、機械的強度が高い熱電変換材料とすることができる。また、非晶質相を含む半導体粒から構成される粉体を、粉体の結晶化温度以下の温度に維持しつつ成形する。このようにすることで、粉体の結晶化を抑制し、熱伝導率の低下を抑制することができる。以上から、スパークプラズマ焼結法またはホットプレス法に比べて低い成形温度によっても、高い機械的強度を保持しつつ、熱電変換特性に優れた熱電変換材料を提供することができる。従って、本開示の熱電変換材料の製造方法によれば、機械的強度が高く、熱電変換特性に優れた熱電変換材料を提供することができる。
【0022】
上記熱電変換材料の製造方法において、成形体を得る工程では、粉体に付与される圧力は、等方圧であってもよい。このようにすることで、熱電変換材料の機械的強度をより高くすることができる。
【0023】
上記熱電変換材料の製造方法において、成形体を加熱して、半導体粒内にナノ結晶相を析出する工程をさらに備えるようにしてもよい。このようにすることで、半導体粒内において、非晶質相と、ナノ結晶相とを含む熱電変換材料を提供することができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]次に、本開示の熱電変換材料の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0025】
(実施の形態1)図1は、熱電変換材料を厚み方向に切断した時の断面を示す断面模式図である。図1を参照して、熱電変換材料1は、第1の主面11と、第1の主面11とは反対側に位置する第2の主面12と、を有する板状である。熱電変換材料1における厚みとは、熱電変換材料1の外周面に接触する平行な二平面の距離の最小値をいう。図1を参照して、熱電変換材料1の第1の主面11から第2の主面12までの厚み方向の厚みは、0.5mmより大きい。熱電変換材料1の厚みは、好ましくは0.8mm以上である。このようにすることで、熱電変換材料1において生じる温度差をより大きくすることができ、高い電圧の出力を得ることができる。熱電変換材料1の厚みの上限は、例えば、300mm以下であり、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは8mm以下である。一例として、熱電変換材料1は、直径10mm、厚み5mmの円板形状である。
【0026】
本実施の形態における熱電変換材料1の第1の主面11および第2の主面12の硬さは、2GPa以上である。熱電変換材料1の硬さは、好ましくは3GPa以上である。0.5mmを超える厚みを有するバルク形状の熱電変換材料において、上記硬さを有する材料はこれまで無かった。このため、上記硬さを有することで、機械的強度の高い熱電変換材料とすることができる。熱電変換材料1の硬さは、ナノインデンターを用いて、ISO14577:2002に準拠して測定される値である。より具体的には、ナノインデンター(例えば、Nanomechanics社製 iMicrо)を用い、押込み深さ2um、振動周波数100Hz、振動振幅2nmの条件で測定される。測定は10点測定し、平均値が求められる。
【0027】
本実施の形態における熱電変換材料1の第1の主面11および第2の主面12のヤング率は、40GPa以上である。熱電変換材料1のヤング率は、好ましくは55GPa以上である。0.5mmを超える厚みを有するバルク形状の熱電変換材料において、上記ヤング率を有する材料はこれまで無かった。このため、上記ヤング率を有することで、機械的強度の高い熱電変換材料とすることができる。なお、熱電変換材料1のヤング率は、ナノインデンターを用いて、ISO14577:2002に準拠して測定される値である。より具体的には、ナノインデンター(例えば、Nanomechanics社製 iMicrо)を用い、押込み深さ2um、振動周波数100Hz、振動振幅2nmの条件で測定される。測定は10点測定し、平均値が求められる。
【0028】
本実施の形態における熱電変換材料1のゼーベック係数は、50μV/K以上である。熱電変換材料1のゼーベック係数は、好ましくは100μV/K以上である。このようにすることで、熱電変換材料1の無次元性能指数を大きくすることができる。なお、熱電変換材料1のゼーベック係数は、試料の両端に温度差を発生させ熱起電力を測定し算出される。例えば、熱電特性測定装置(オザワ科学社製 RZ2001i)を用いて測定される。
【0029】
図2は、熱電変換材料1を厚み方向に切断した時の断面の一部を示す模式図である。図2を参照して、熱電変換材料1は、複数の半導体粒15が互いに接触するように構成される。半導体粒15は、母相が半導体からなる粒である。半導体粒15の輪郭は、歪な形状を有する。半導体粒15の表面は、細かい凹凸形状を有する。図2を参照して、複数の半導体粒15のそれぞれは、半導体粒15が有する凹凸が噛み合っているように観察される。図2においてハッチングされていない領域は、空隙である。複数の半導体粒15から構成される熱電変換材料1の機械的強度は、高くなるものと推定される。半導体粒15は、半導体からなる粒子20と、粒子20を被覆する酸化層21と、を備える。半導体からなる粒子20は、高いゼーベック係数を有する。また粒子20は、非晶質相22を含む。このため、粒子20の熱伝導率は、小さくなる。図2を参照して、粒子20は、酸化層21に被覆されている。このようにすることで、熱電変換材料1のゼーベック係数を大きくすることができる。これは、酸化層21がキャリアのエネルギー障壁として働き、高いエネルギーを有するキャリアのみがエネルギー障壁を超えて移動するようになるエネルギーフィルタリング効果によって、ゼーベック係数が大きくなるものと推定される。
【0030】
粒子20を構成する半導体は、本実施の形態においては、Mnと、Siと、を含むMnSi系材料である。粒子20を構成する半導体としては、本実施の形態のMnSi系材料の他、SiGe系材料、BiTe系材料、SnSe系材料、CuSe系材料等であってもよい。取扱い性の観点から、MnSi系材料またはSiGe系材料が好ましい。なお、粒子20を構成する半導体は、上記材料を2種以上組み合わせてもよい。
【0031】
MnSi系材料は、Mnと、Siと、を含み、MnSiの組成式で表されるものである。この組成式において、0.90≦X≦1.10以下および0.75≦Y≦5.70が満たされる。上記XおよびYの範囲の成分組成を採用することにより、融点が1000℃以下となる。よって、MnSi系材料により構成される粒子20において、非晶質相がより容易に形成される。その結果、熱伝導率をさらに抑制し、熱電変換特性を向上させることができる。
【0032】
MnSi系材料は、Mnと、Siと、Alと、を含み、MnSiAlの組成式で表されるものであってもよい。この組成式において、0.40≦X≦1.0、0.00<Z≦3.67、1.50≦Y+Z≦5.70およびY≧0.43Zが満たされもよい。上記X、YおよびZの範囲の成分組成を採用することにより、融点が1000℃以下となる。よって、非晶質相の形成が一層容易となる。
【0033】
SiGe系材料は、Siと、Geと、を含み、SiGe1-Zの組成式で表されるものである。この組成式において、0<Z<1が満たされる。BiTe系材料は、Biと、Teと、を含む半導体材料である。BiTe系材料としては、例えば、BiTeを用いることができる。SnSe系材料は、Snと、Seと、を含む半導体材料である。SnSe系材料としては、例えば、SnSeを用いることができる。CuSe系材料は、Cuと、Seと、を含む半導体材料である。CuSe系材料としては、例えば、CuSeを用いることができる。
【0034】
図3を参照して、粒子20は、一例として、非晶質相22と、非晶質相22内に析出するナノ結晶相23と、を含んでもよい。粒子20は、ナノ結晶相23を複数含むように構成されてもよい。ナノ結晶相23は、粒径が15nm未満の結晶からなる。このようにすることで、粒子20において、熱伝導率をより小さくすることができる。従って、上記粒子20を備える複数の半導体粒15から構成される熱電変換材料の熱伝導率をより小さくすることができる。ナノ結晶相の粒径は、好ましくは10nm未満であり、より好ましくは6nm未満である。これにより、熱伝導率を低減できる。なお、粒子20に含まれるナノ結晶相の粒径は、X線解析(XRD)の測定結果に基づきシェラーの式により算出される。
【0035】
粒子20は、Cu、Ni、FeおよびAuからなる群から選択される一種以上の元素を30at%以下の割合でさらに含んでいてもよい。このようにすることにより、ナノ結晶相を構成する結晶の粒径の制御が容易となる。上記粒子20は、上記追加的添加元素を0.01at%以上の割合で含んでいてもよい。上記粒子20は、上記追加的添加元素を10at%以下の割合で含んでいてもよく、1at%以下の割合で含んでいてもよい。
【0036】
無次元性能指数は、上記式(1)から明らかなように、ゼーベック係数を大きくすることにより、無次元性能指数を大きくすることができる。また、熱伝導率を小さくすることによっても、無次元性能指数を大きくすることができる。半導体からなる粒子20のゼーベック係数は高くなる。また、非晶質相22を含む半導体からなる粒子20の熱伝導率は、小さくなる。本実施の形態1の熱電変換材料1は、非晶質相22を含む半導体からなる粒子20を備える複数の半導体粒15から構成される。このようにすることで、熱電変換材料1において、ゼーベック係数を大きくすることができ、熱伝導率を小さくすることができる。また、半導体粒15は、上記粒子の外周面を取り囲むように配置される酸化層21を備える。このようにすることで、熱電変換材料1のゼーベック係数をより大きくすることができる。従って、熱電変換材料1の無次元性能指数を大きくすることができる。また、複数の半導体粒15が互いに接触することにより、0.5mmを超える厚みを有する熱電変換材料1とすることができる。このようにすることで、熱電変換材料1において生じる温度差を大きくして、高い電圧による出力を得ることができる。このように、本実施の形態1における熱電変換材料1によれば、熱電変換特性に優れ、高い出力を得ることができる熱電変換材料となる。
【0037】
次に、実施の形態1における熱電変換材料1の製造方法について説明する。図4は、熱電変換材料1の製造方法の概略を示すフローチャートである。図4を参照して、実施の形態1における熱電変換材料1の製造方法においては、まず、工程(S10)として粉体を準備する工程が実施される。この工程(S10)では、所望の熱電変換材料1の組成に対応する量のMnおよびSiを含む原料が準備される。具体的には、たとえば所望の熱電変換材料1の組成に対応する量の原料が秤量され、坩堝内に充填される。坩堝を構成する材料としては、たとえばBN(ボロンナイトライド)を採用することができる。
【0038】
次に、所望の熱電変換材料1の組成に対応する組成を有する母合金が作製される。具体的には、工程(S10)において坩堝内に充填された原料が、たとえば高周波誘導加熱炉を用いて加熱され、溶融状態とされる。その後、自然冷却が実施されることにより溶融状態の原料が凝固する。これにより、母合金が得られる。次に、母合金から非晶質相を含む半導体材料が作製される。具体的には、母合金から、液体急冷法によりリボン状の薄片形状を有する材料が得られる。次に、非晶質相を含む半導体材料を乳鉢等にセットして粉砕する。そして、非晶質相22を含む半導体粒15から構成される複数の粉体が得られる。
【0039】
次に、工程(S20)として成形体を得る工程が実施される。より具体的には、工程(S10)により作製された粉体を、アンビルセル等にセットして等方圧を付与して成形する。そして成形体が得られる。上記の等方圧による成形は、1.5GPa以上の圧力を付加して成形する。このようにすることで、厚みが0.5mmを超える成形体を得ることができる。上記の等方圧は、上記の粉体の結晶化温度(Td)よりも低い温度に維持しつつ付与される。等方圧が付与される際の温度は、好ましくはTd-50℃以下、より好ましくはTd-100℃である。このようにすることで、非晶質相22を含む半導体粒15から構成される粉体の結晶化を抑制することができる。なお、粉体の結晶化温度は、例えば、示差熱分析測定により測定される変化点の温度により決定される。
【0040】
次に、工程(S20)の後に、工程(S30)として半導体粒内にナノ結晶相を析出する工程が実施される。より具体的には、得られた成形体に熱処理が実施され、ナノ結晶相を析出する。例えば、RTA(Rapid Thermal Anneal)炉を用いて成形体が加熱される熱処理が実施される。熱処理は、たとえば窒素雰囲気中において300℃~500℃に加熱し、5~15分間保持する条件で実施することができる。これにより、非晶質相の一部に粒径15nm以下の結晶からなるナノ結晶相が析出される。以上の手順により、本実施の形態1の熱電変換材料1を製造することができる。
【0041】
なお、工程(S10)において、原料から、メカニカルアロイング法により半導体粒15から構成される複数の粉体を得るようにしてもよい。なお、工程(S30)を省略してもよい。つまり熱電変換材料1は、ナノ結晶相23を含まない構成でもよい。
【0042】
厚みの厚いバルク形状の熱電変換材料を得るためには、固化成形することが考えられる。上記の固化成形の方法としては、スパークプラズマ焼結法またはホットプレス法が挙げられる。スパークプラズマ焼結法またはホットプレス法では、50MPa程度の圧力を付与し、高温で焼結される。熱伝導率を抑制するために非晶質相を含む組織構造が形成された熱電変換材料において、スパークプラズマ焼結法またはホットプレス法により固化成形されると、熱電変換材料は結晶化してしまい、熱電変換材料の熱伝導率は上昇する。一方で、熱電変換材料の結晶化を抑制するために温度を低くすると、熱電変換材料の機械的強度は低くなってしまう。例えば、このような熱電変換材料の硬さは、0.4GPa未満となる。
【0043】
ここで、本実施の形態1の熱電変換材料1の製造方法では、粉体に1.5GPa以上の圧力を付与して成形することにより成形体を得る。このようにすることで、隣り合う複数の半導体粒15から構成される粉体が互いに接触した成形体が得られる。このため、機械的強度が高い熱電変換材料1とすることができる。例えば、熱電変換材料1の硬さは、2GPa以上とすることができる。また、非晶質相22を含む半導体粒15から構成される粉体を、粉体の結晶化温度以下の温度に維持しつつ成形する。このようにすることで、粉体の結晶化を抑制し、熱伝導率の低下を抑制することができる。以上から、スパークプラズマ焼結法またはホットプレス法に比べて低い成形温度によっても、高い機械的強度を保持しつつ、熱電変換特性に優れた熱電変換材料1を提供することができる。従って、本実施の形態1の熱電変換材料1の製造方法によれば、機械的強度が高く、熱電変換特性に優れた熱電変換材料が提供される。
【0044】
(実施の形態2)次に、本開示の熱電変換素子の一実施の形態であるπ型熱電変換素子について説明する。図5は、実施の形態2における熱電変換素子であるπ型熱電変換素子2の構造を示す概略図である。図5を参照して、π型熱電変換素子2は、第1熱電変換材料部であるp型熱電変換材料部13と、第2熱電変換材料部であるn型熱電変換材料部14と、高温側電極24と、第1低温側電極25と、第2低温側電極26と、配線27とを備えている。
【0045】
p型熱電変換材料部13は、たとえば導電型がp型となるように成分組成が調整された実施の形態1の熱電変換材料1からなる。p型熱電変換材料部13を構成する半導体材料に、たとえば多数キャリアであるp型キャリア(正孔)を生成させるp型不純物がドープされることにより、p型熱電変換材料部13の導電型はp型となっている。
【0046】
n型熱電変換材料部14は、たとえば導電型がn型となるように成分組成が調整された実施の形態1の熱電変換材料1からなる。n型熱電変換材料部14を構成する半導体材料に、たとえば多数キャリアであるn型キャリア(電子)を生成させるN型不純物がドープされることにより、n型熱電変換材料部14の導電型はn型となっている。
【0047】
p型熱電変換材料部13とn型熱電変換材料部14とは、間隔をおいて並べて配置される。高温側電極24は、p型熱電変換材料部13の一方の端部13Aからn型熱電変換材料部14の一方の端部14Aにまで延在するように配置される。高温側電極24は、p型熱電変換材料部13の一方の端部13Aおよびn型熱電変換材料部14の一方の端部14Aの両方に接触するように配置される。高温側電極24は、p型熱電変換材料部13の一方の端部13Aとn型熱電変換材料部14の一方の端部14Aとを接続するように配置される。高温側電極24は、導電材料、たとえば金属からなっている。高温側電極24は、p型熱電変換材料部13およびn型熱電変換材料部14にオーミック接触している。
【0048】
第1低温側電極25は、p型熱電変換材料部13の他方の端部13Bに接触して配置される。第1低温側電極25は、高温側電極24と離れて配置される。第1低温側電極25は、導電材料、たとえば金属からなっている。第1低温側電極25は、p型熱電変換材料部13にオーミック接触している。
【0049】
第2低温側電極26は、n型熱電変換材料部14の他方の端部14Bに接触して配置される。第2低温側電極26は、高温側電極24および第1低温側電極25と離れて配置される。第2低温側電極26は、導電材料、たとえば金属からなっている。第2低温側電極26は、n型熱電変換材料部14にオーミック接触している。
【0050】
配線27は、金属などの導電体からなる。配線27は、第1低温側電極25と第2低温側電極26とを電気的に接続する。
【0051】
π型熱電変換素子2において、たとえばp型熱電変換材料部13の一方の端部13Aおよびn型熱電変換材料部14の一方の端部14Aの側が高温、p型熱電変換材料部13の他方の端部13Bおよびn型熱電変換材料部14の他方の端部14Bの側が低温、となるように温度差が形成されると、p型熱電変換材料部13においては、一方の端部13A側から他方の端部13B側に向けてp型キャリア(正孔)が移動する。このとき、n型熱電変換材料部14においては、一方の端部14A側から他方の端部14B側に向けてn型キャリア(電子)が移動する。その結果、配線27には、矢印βの向きに電流が流れる。このようにして、π型熱電変換素子2において、温度差を利用した熱電変換による発電が達成される。
【0052】
本実施の形態2のπ型熱電変換素子2は、p型熱電変換材料部13およびn型熱電変換材料部14が、導電型がp型またはn型となるように成分組成が調整された上記熱電変換特性に優れ、高い出力を得ることができる熱電変換材料1からなる。そのため、π型熱電変換素子2は、変換効率に優れ、高い出力が得られる熱電交換素子となっている。
【0053】
なお、上記実施の形態においては、本開示の熱電変換素子の一例としてπ型熱電変換素子について説明したが、本開示の熱電変換素子はこれに限られない。本開示の熱電変換素子は、たとえばI型(ユニレグ型)熱電変換素子など、他の構造を有する熱電変換素子であってもよい。
【実施例
【0054】
上記本開示の熱電変換材料を作製し、その特性を確認する実験の内容について説明する。実験の手順は以下の通りである。
【0055】
Al、MnおよびSiの組成比が、それぞれ34at%、22at%および44at%、となるように原料を秤量し、坩堝に充填した。次に、高周波誘導加熱炉を用いて上記原料を溶融した。その後、自然冷却により原料を凝固させ、母合金を作製した。続いて、得られた母合金から液体急冷法を用いてリボン状の薄片形状を有する半導体材料を作製した。半導体材料の組成式は、Mn1.00Si2.00Al1.55で表される。半導体材料について、XRD(X-Ray Diffraction)分析を実施した。得られた結果を図6に示す。
【0056】
図6において、横軸は回折角度(2θ)を表しており、縦軸は回折強度を表している。また、図6において、Aが半導体材料のXRD分析の結果である。図6を参照して、半導体材料のXRD分析においては、回折角度(2θ)が40°~50°の領域にブロードなパターンが確認された。また、図6において、特定の物質の結晶面に対応するピークは見られない。このことから、半導体材料は、非晶質相からなる組織構造を有していることが確認された。
【0057】
半導体材料に対して、示差熱分析を実施した。分析結果を図7に示す。図7において、横軸は温度を表し、縦軸は熱流を表している。図7を参照して、450℃付近において、非晶質相の結晶化に対応するピークが確認される。このため、粉体の結晶化温度は、450℃と決定される。
【0058】
次に、得られた半導体材料を乳鉢にセットして粉砕し、半導体粒15から構成される複数の粉体を作製した。そして、複数の粉体をアンビルセルにセットし、23℃の環境下にて圧力3GPaの等方圧を付与して成形し、成形体(サンプルNo.1)を作製した。なお、圧力の印加時間としては、10分である。サンプルNo.1の厚みは、0.6mmであった。また、サンプルNo.1のXRD分析を実施した。図6において、Bが熱電変換材料1のXRD分析の結果である。図6を参照して、半導体材料のXRD分析結果と同様に、回折角度(2θ)が40°~50°の領域にブロードなパターンが確認される。このため、サンプルNo.1の成形体では、非晶質性を保持し、結晶化が抑制されていることが確認された。このため、サンプルNo.1においては、熱伝導率の低下が抑制される。このように、本開示の熱電変換材料の製造方法によれば、熱電変換特性に優れた熱電変換材料を提供することができる。
【0059】
硬さは、ナノインデンターを用いて、ISO14577:2002に準拠して測定した。より具体的には、ナノインデンター(例えば、Nanomechanics社製 iMicrо)を用い、押込み深さ2um、振動周波数100Hz、振動振幅2nmの条件で測定した。測定は10点測定し、平均値を求めた。サンプルNo.1の成形体の硬さを測定した結果、3±1GPaとなった。なお、実用化されているBiTe系半導体材料からなる熱電変換材料の硬さは、0.4GPa程度である。サンプルNo.1の成形体の硬さは、0.4GPaを大幅に超える硬さを有する。このため、サンプルNo.1は、実用化されているBiTe系半導体材料からなる熱電変換材料と比較して、機械的強度が高い熱電変換材料といえる。このように、本開示の熱電変換材料の製造方法によれば、機械的強度が高い熱電変換材料を提供することができる。
【0060】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 熱電変換材料
2 熱電変換素子
11 第1主面
12 第2主面
13 p型熱電変換材料部
13A,13B 端部
14 n型熱電変換材料部
14A,14B 端部
15 半導体粒
20 粒子
21 酸化層
22 非晶質相
23 ナノ結晶相
24 高温側電極
25 第1低温側電極
26 第2低温側電極
27 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7