(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】現像カートリッジ
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20230711BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20230711BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G03G21/18 185
G03G21/16 152
G03G21/16 171
G03G21/16 176
G03G21/18 128
G03G15/08 330
G03G15/08 390Z
(21)【出願番号】P 2022153481
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2021087634の分割
【原出願日】2017-01-16
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2016193691
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】板橋 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】西山 英志
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3196279(JP,U)
【文献】特開2008-276138(JP,A)
【文献】特開2007-017774(JP,A)
【文献】特開2003-330335(JP,A)
【文献】特開2011-118119(JP,A)
【文献】特開2012-042778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
G03G 15/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に装着可能な現像カートリッジであって、
第1方向に延びる第1軸について回転可能な現像ローラと、
現像剤を内部に収容する筐体であって、
前記第1方向の一端に位置する第1外表面と、前記第1方向の前記一端と反対側の第2外表面と、を有し、前記第1外表面と前記第2外表面との間で第1方向に延びる筐体であり、前記現像ローラが、前記筐体における第2方向の一端部に位置
する筐体と、
前記第1方向に延びる回転軸について回転可能なアジテータであって、前記筐体に収容された現像剤を攪拌するアジテータと、
第1位置と第2位置との間で揺動可能な電気的接触面を有する記憶媒体と、
前記筐体における前記第1方向の一端部に位置するレバーであって、前記第1方向に延びる第2軸について、前記筐体に対して、第3位置と第4位置との間で揺動可能なレバーであり、
前記第2方向において、前記第2軸よりも、前記現像ローラから離れて位置する一端部と、
前記第2方向において、前記第2軸よりも、前記現像ローラの近くに位置する他端部と、
を有するレバーであり、前記第1方向において、前記第1外表面に対して、前記第2外表面と反対側に位置するレバーと、
前記電気的接触面を保持するホルダであって、前記レバーの前記他端部に位置するホルダであり、前記レバーの揺動に伴って揺動するホルダと、
を備え、
前記電気的接触面は、前記レバーの揺動に伴って、前記ホルダと共に揺動可能であって、
前記レバーが前記第3位置に位置する場合に、前記電気的接触面は、前記第1位置に位置し、
前記レバーが前記第4位置に位置する場合に、前記電気的接触面は、前記第2位置に位置し、
前記第2位置における前記電気的接触面は、前記第1位置における前記電気的接触面よりも、前記アジテータから離れていることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の現像カートリッジであって、
前記電気的接触面を保持するホルダであって、前記電気的接触面と共に、前記
筐体に対して第5位置と第6位置との間で揺動可能なホルダをさらに備え、
前記ホルダは、
前記レバーが前記第3位置に位置する場合に、前記第5位置に位置し、
前記レバーが前記第4位置に位置する場合に、前記第6位置に位置することを特徴と
する現像カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現像カートリッジであって、
前記レバーを、前記第3位置から前記第4位置へ向けて揺動させるためのコイ
ルばねをさらに備えることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像カートリッジであって、
前記第2軸に沿って前記第1方向に延びる支持シャフトをさらに備え、
前記レバーは、前記支持シャフトについて、前記第3位置と前記第4位置との間で揺動
可能であることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の現像カートリッジであって、
前記現像カートリッジが前記画像形成装置に装着された状態において、前記筐体は、前
記電気的接触面と前記画像形成装置の電気コネクタとが接触した状態を維持したまま、前
記レバーに対して移動可能であることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の現像カートリッジであって、
前記記憶媒体が、前記電気的接触面と共に揺動可能であることを特徴とする現像カート
リッジ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の現像カートリッジであって、
前記第2軸は、前記電気的接触面と平行であることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項8】
請求項
1から請求項
7のいずれか1項に記載の現像カートリッジであって、
前記レバーは
、
前記現像カートリッジが前記画像形成装置に挿入されたとき、前記画像形成装置の一部と係合す
る係合部
を備え、
前
記係合部が、前記レバーの一端に位置し、
前記電気的接触面が、前記レバーの他端に位置することを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の現像カートリッジであって、
前記レバーは、前記第1方向に貫通する貫通孔を有し、
前記筐体は、前記第1外表面から前記第1方向に突出するボスであって、前記貫通孔に挿入されるボスを有することを特徴とする現像カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタ、LEDプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置が知られている。画像形成装置には、現像カートリッジが用いられる。現像カートリッジは、トナーを供給するための現像ローラを有する。特許文献1に記載の現像カートリッジは、ドロアユニットに対して挿入される。ドロアユニットは、感光ドラムを有する。ドロアユニットに現像カートリッジが挿入されると、感光ドラムと現像ローラとが向かい合う。そして、現像カートリッジが装着されたドロアユニットが、画像形成装置の内部に収容される。
【0003】
また、特許文献2に記載の現像カートリッジは、ドラムユニットに対して挿入される。
ドラムユニットは、感光ドラムを有する。ドラムユニットに現像カートリッジが挿入されると、感光ドラムと現像ローラとが向かい合う。そして、現像カートリッジが装着されたドラムユニットが、画像形成装置に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-59510号公報
【文献】特開2013-54058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、従来、記憶媒体を有する現像カートリッジも知られている。記憶媒体は、例えば、ICチップである。記憶媒体は、電気的接触面を有する。電気的接触面は、画像形成装置またはドロアユニットに設けられた電気コネクタと接触する。しかしながら、画像形成装置またはドロアユニットに対して、現像カートリッジが挿入されるときに、電気コネクタと電気的接触面とが擦れる。
【0006】
本発明の目的は、現像カートリッジが挿入されるときに、電気的接触面の擦れを低減できる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、画像形成装置に装着可能な現像カートリッジであって、第1方向に延びる第1軸について回転可能な現像ローラと、現像剤を内部に収容する筐体であって、前記現像ローラが、前記筐体における第2方向の一端部に位置し、前記現像カートリッジが前記画像形成装置に装着された状態において、前記筐体が、前記画像形成装置に対して、前記現像ローラについて第1位置と第2位置との間を回動可能な筐体と、電気的接触面を有する記憶媒体であって、前記筐体が前記第1位置の場合、前記電気的接触面は、前記画像形成装置の電気コネクタと接触せず、前記筐体が前記第2位置の場合、前記電気的接触面は、前記画像形成装置の電気コネクタと接触する電気的接触面を有する記憶媒体と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の現像カートリッジであって、前記筐体が、前記第1位置の場合、前記現像ローラの表面は、前記画像形成装置の感光体ドラムの表面に押圧されず、前記筐体が、前記第2位置の場合、前記現像ローラの表面は、前記画像形成装置の感光体ドラムの表面に押圧されることを特徴とする。
【0009】
本願の第3発明は、第1発明の現像カートリッジであって、前記筐体は、さらに、前記筐体が、前記第2位置の場合、前記現像ローラの表面を、前記画像形成装置の感光体ドラムの表面に押圧するための押圧力を受ける突起を備えることを特徴とする。
【0010】
本願の第4発明は、第3発明の現像カートリッジであって、前記突起は、前記筐体の外表面に位置することを特徴とする。
【0011】
本願の第5発明は、第4発明の現像カートリッジであって、前記突起は、前記外表面から延びることを特徴とする。
【0012】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジは、さらに、前記第1方向に延びる第2軸について、前記電気的接触面と共に揺動可能なレバーであって、第3位置と第4位置との間で揺動するレバーを備え、前記筐体が前記第1位置の場合に、前記レバーは前記第3位置に位置し、前記筐体が前記第2位置の場合に、前記レバーは前記第4位置に位置することを特徴とする。
【0013】
本願の第7発明は、第6発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジは、さらに、前記レバーの少なくとも一部を覆うカバーを備え、前記第2位置における前記電気的接触面は、前記第1位置における前記電気的接触面よりも前記カバーから離れていることを特徴とする。
【0014】
本願の第8発明は、第6発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記第1方向における前記筐体の一方側に位置する外表面に位置し、前記現像カートリッジは、さらに、前記外表面に取り付けられ、前記レバーの少なくとも一部を覆うカバーを備え、前記筐体が前記第2位置の場合、前記筐体と前記カバーとは、前記レバーと前記電気的接触面とに対して、前記第2方向に移動可能であることを特徴とする。
【0015】
本願の第9発明は、第8発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記第1方向に延びるボスを備え、前記カバーは、前記ボスを前記第2方向にガイドするガイド面を備え、前記筐体と前記カバーとが、前記レバーと前記電気的接触面とに対して前記第2方向に移動する場合に、前記ボスは、前記ガイド面に沿って前記第2方向へ移動することを特徴とする。
【0016】
本願の第10発明は、第9発明の現像カートリッジであって、前記ボスは、前記レバーの一端部に位置し、前記電気的接触面は、前記レバーの他端部に位置することを特徴とする。
【0017】
本願の第11発明は、第9発明または第10発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジが前記画像形成装置に装着された状態において、前記筐体と前記カバーとが、前記画像形成装置に対して前記現像ローラについて前記第1位置から前記第2位置へ回動するとき、前記ガイド面が前記ボスを押し、前記レバーが前記第3位置から前記第4位置へ揺動することを特徴とする。
【0018】
本願の第12発明は、第8発明の現像カートリッジであって、前記カバーは、前記第1方向に延びるボスを備え、前記レバーは、前記ボスを前記第2方向にガイドするガイド面を備え、前記筐体と前記カバーとが、前記レバーと前記電気的接触面とに対して前記第2方向に移動する場合に、前記ボスは、前記ガイド面に沿って前記第2方向へ移動することを特徴とする。
【0019】
本願の第13発明は、第12発明の現像カートリッジであって、前記ガイド面は、前記レバーの一端部に位置し、前記電気的接触面は、前記レバーの他端部に位置することを特徴とする。
【0020】
本願の第14発明は、第12発明または第13発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジが前記画像形成装置に装着された状態において、前記筐体と前記カバーとが、前記画像形成装置に対して前記現像ローラについて前記第1位置から前記第2位置へ回動するとき、前記ボスが前記ガイド面を押し、前記レバーが前記第3位置から前記第4位置へ揺動することを特徴とする。
【0021】
本願の第15発明は、第8発明から第14発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジは、さらに、前記レバーを前記第2軸について揺動可能に支持し、前記外表面に位置する支持部材であって、前記カバーにより少なくとも一部を覆われる支持部材を備え、前記筐体と前記カバーとは、前記支持部材と前記レバーと前記電気的接触面とに対して前記第2方向に移動可能であることを特徴とする。
【0022】
本願の第16発明は、第15発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジが、前記画像形成装置に挿入されたとき、前記支持部材が、前記画像形成装置に対して位置決めされることを特徴とする。
【0023】
本願の第17発明は、第15発明または第16発明の現像カートリッジであって、前記支持部材は、前記レバーの一端部と他端部との間に位置することを特徴とする。
【0024】
本願の第18発明は、第6発明から第17発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記第1方向における前記筐体の一方側に位置する外表面に位置し、前記現像カートリッジは、さらに、前記レバーを、前記第2軸について揺動可能に支持し、前記外表面に位置する支持部材を備え、前記支持部材は、前記レバーおよび前記電気的接触面と共に、前記筐体に対して前記第2方向に移動可能であることを特徴とする。
【0025】
本願の第19発明は、第18発明の現像カートリッジであって、前記現像カートリッジが、前記画像形成装置に挿入されたとき、前記支持部材が、前記画像形成装置に対して位置決めされることを特徴とする。
【0026】
本願の第20発明は、第19発明の現像カートリッジであって、前記支持部材は、前記レバーの一端部と他端部との間に位置することを特徴とする。
【0027】
本願の第21発明は、第7発明から第20発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記現像カートリッジが前記画像形成装置に挿入された状態において、前記筐体と前記カバーとが、前記画像形成装置に対して前記現像ローラについて回動するとき、前記筐体または前記筐体に固定された部材に押される被押圧部を備え、前記第2軸から前記電気的接触面までの長さは、前記第2軸から前記被押圧部までの長さよりも長いことを特徴とする。
【0028】
本願の第22発明は、第7発明から第20発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記現像カートリッジが前記画像形成装置に挿入された状態において、前記筐体と前記カバーとが、前記画像形成装置に対して前記現像ローラについて回動するとき、前記筐体または前記筐体に固定された部材に押される被押圧部を備え、前記第2軸から前記被押圧部までの長さは、前記第2軸から前記電気的接触面までの長さよりも長いことを特徴とする。
【0029】
本願の第23発明は、第15発明から第20発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記支持部材は、前記第1方向および前記第2方向に対して交差する第3方向に延び、前記レバーが、前記第3位置である場合、前記電気的接触面は、前記第3方向における前記支持部材の一端と、前記第3方向における前記支持部材の他端との間に位置し、前記レバーが、前記第4位置である場合、前記電気的接触面は、前記第3方向において、前記支持部材の前記他端から、前記支持部材の一端よりも離れて位置することを特徴とする。
【0030】
本願の第24発明は、第16発明または第19発明の現像カートリッジであって、前記支持部材は、前記第1方向および前記第2方向に対して交差する第3方向に延び、 前記支持部材は、さらに、前記第3方向における前記支持部材の一端から、前記第3方向における前記支持部材の他端に向けて、前記支持部材を押圧する押圧部材を備えることを特徴とする。
【0031】
本願の第25発明は、第16発明または第19発明の現像カートリッジであって、前記支持部材は、前記第1方向および前記第2方向に対して交差する第3方向に延び、 前記支持部材は、さらに、前記第3方向における前記支持部材の端部に、前記画像形成装置の一部と係合する第1係合部を備えることを特徴とする。
【0032】
本願の第26発明は、第18発明から第20発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記支持部材は、第2係合部を備え、前記レバーは、前記電気的接触面と、前記レバーが前記第3位置の場合には前記第2係合部と係合せず、前記レバーが前記第4位置の場合には前記第2係合部と係合する部分と、を備え、前記レバーの前記第2係合部と係合する部分が、前記レバーの一端に位置し、前記電気的接触面が、前記レバーの他端に位置することを特徴とする。
【0033】
本願の第27発明は、第6発明から第25発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記電気的接触面と、前記現像カートリッジが前記画像形成装置に挿入されたとき、前記画像形成装置の一部と係合する第3係合部と、を備え、前記第3係合部が、前記レバーの一端に位置し、前記電気的接触面が、前記レバーの他端に位置することを特徴とする。
【0034】
本願の第28発明は、第1発明から第27発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記記憶媒体が、前記電気的接触面と共に揺動可能であることを特徴とする。
【0035】
本願の第29発明は、第6発明から第28発明のいずれか1発明の現像カートリッジであって、前記レバーは、前記電気的接触面を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本願の第1発明~第29発明によれば、現像カートリッジが画像形成装置に装着された状態において、筐体を回動させることによって、画像形成装置の電気コネクタに電気的接触面を接触させることができる。これにより、電気的接触面の擦れを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図3】現像カートリッジのICチップアセンブリの付近における断面図である。
【
図10】第1変形例の現像カートリッジの部分分解斜視図である。
【
図11】第1変形例の現像カートリッジのICチップアセンブリの付近における断面図である。
【
図12】第2変形例の現像カートリッジの部分分解斜視図である。
【
図13】
図12において分解された部品を組み合わせた状態の部分正面図である。第2変形例の現像カートリッジの部分正面図である。
【
図14】第3変形例の現像カートリッジの回動動作時の様子を示した図である。
【
図15】第4変形例の現像カートリッジ1の部分分解斜視図である。
【
図16】第4変形例において、カバーを固定した現像カートリッジの部分分解斜視図である。
【
図17】第4変形例の回動動作の様子を示した図である。
【
図18】第4変形例の離間動作を実行したときの様子を示した図である。
【
図19】第5変形例の現像カートリッジの回動動作時の様子を示した図である。
【
図20】第6変形例の現像カートリッジの回動動作時の様子を示した図である。
【
図21】第7変形例の現像カートリッジの挿入時の様子を示した図である。
【
図22】第7変形例の現像カートリッジの回動動作時の様子を示した図である。
【
図23】第8変形例の現像カートリッジの挿入時の様子を示した図である。
【
図24】第8変形例の現像カートリッジの回動動作時の様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0039】
なお、以下では、現像ローラの回転軸が延びる方向を「第1方向」と称する。また、離間動作のときにケーシングが移動する方向を「第2方向」と称する。また、電気的接触面と交差する方向を「第3方向」と称する。第1方向と第2方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。第2方向と第3方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。第3方向と第1方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。
【0040】
<1.現像カートリッジの全体構成>
図1は、本発明の一例となる現像カートリッジ1の斜視図である。
図2は、現像カートリッジ1の部分分解斜視図である。現像カートリッジ1は、電子写真方式の画像形成装置(例えば、レーザプリンタやLEDプリンタ)に用いられ、現像剤(例えば、トナー)を感光ドラムへ供給するユニットである。現像カートリッジ1は、例えば、画像形成装置が有するドロアユニットに対して装着される。現像カートリッジ1が交換されるときには、画像形成装置の前面からドロアユニットが引き出される。そして、ドロアユニットの複数のスロットに、それぞれ現像カートリッジ1が挿入される。複数のスロットには、それぞれ、感光ドラムが設けられる。
【0041】
ただし、現像カートリッジ1は、画像形成装置の本体部に対して装着されるものであってもよい。その場合、画像形成装置の複数のスロットに、現像カートリッジ1が挿入される。複数のスロットには、それぞれ、感光ドラムが設けられる。また、現像カートリッジ1は、画像形成装置に着脱可能なドラムユニットに対して装着されるものであってもよい。その場合、ドラムユニットが感光ドラムを有する。そして、現像カートリッジ1は、ドラムユニットに装着された状態で、画像形成装置のスロットに挿入される。
【0042】
図1に示すように、本実施形態の現像カートリッジ1は、ケーシング10、アジテータ20、現像ローラ30、ギア部40、カバー50、およびICチップアセンブリ60を有する。
【0043】
ケーシング10は、現像剤を収容可能な筐体である。ケーシング10は、第1外表面11と第2外表面12との間で第1方向に延びる。ギア部40、カバー50、およびICチップアセンブリ60は、第1外表面11に位置する。ケーシング10の内部には、収容室13が設けられる。現像剤は、収容室13内に収容される。また、ケーシング10は、開口部14を有する。開口部14は、第2方向におけるケーシング10の一端部に位置する。収容室13と外部とは、開口部14を介して連通する。
【0044】
ドロアユニットに現像カートリッジ1が装着された状態において、ケーシング10は、ドロアユニットに対して、現像ローラ30について、第1位置と第2位置との間で回動可能である。回動動作の詳細については、後述する。
【0045】
アジテータ20は、アジテータシャフト21と撹拌羽根22とを有する。アジテータシャフト21は、第1方向に延びる回転軸について回転可能である。撹拌羽根22は、アジテータシャフト21から径方向外側へ向けて拡がる。アジテータシャフト21の少なくとも一部と、撹拌羽根22とは、収容室13内に位置する。アジテータシャフト21の第1方向の一方の端部は、後述するアジテータギア44に対して、相対回転不能に固定される。したがって、アジテータシャフト21および撹拌羽根22は、アジテータギア44と共に回転する。撹拌羽根22が回転すると、収容室13内の現像剤が撹拌される。
【0046】
現像ローラ30は、第1方向に延びる回転軸(第1軸)について回転可能なローラである。現像ローラ30は、ケーシング10の開口部14に位置する。すなわち、現像ローラ30は、第2方向におけるケーシング10の一端部に位置する。本実施形態の現像ローラ30は、現像ローラ本体31と現像ローラシャフト32とを有する。現像ローラ本体31は、第1方向に延びる円筒状の部材である。現像ローラ本体31の材料には、例えば、弾性を有するゴムが用いられる。現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通する円柱状の部材である。現像ローラシャフト32の材料には、金属または導電性を有する樹脂が用いられる。現像ローラ本体31は、現像ローラシャフト32に対して、相対回転不能に固定される。
【0047】
現像ローラシャフト32の第1方向の一方の端部には、現像ローラギア42が装着される。より詳細には、現像ローラシャフト32の第1方向の一方の端部は、後述する現像ローラギア42に対して、相対回転不能に固定される。したがって、現像ローラギア42が回転すると、現像ローラシャフト32も回転し、現像ローラシャフト32と共に現像ローラ本体31も回転する。
【0048】
なお、現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通していなくてもよい。例えば、一対の現像ローラシャフト32が、現像ローラ本体31の第1方向の両端から、第1方向にそれぞれ延びていてもよい。
【0049】
また、現像カートリッジ1は、図示を省略した供給ローラを有する。供給ローラは、現像ローラ30と収容室13との間に位置する。また、供給ローラは、第1方向に延びる回転軸について回転可能である。現像カートリッジ1が駆動力を受けると、ケーシング10内の収容室13から、供給ローラを介して、現像ローラ30の外周面に、現像剤が供給される。その際、供給ローラと現像ローラ30との間において、現像剤は摩擦帯電される。
一方、現像ローラ30の現像ローラシャフト32には、バイアス電圧がかけられている。
このため、現像ローラシャフト32と現像剤との間の静電気力によって、現像ローラ本体31の外周面に、現像剤が引き付けられる。
【0050】
また、現像カートリッジ1は、層厚規制ブレード33を有する。層厚規制ブレード33は、現像ローラ本体31の外周面に供給された現像剤を、一定の厚みに成形する。その後、現像ローラ本体31の外周面の現像剤は、ドロアユニットに設けられた感光ドラムへ供給される。このとき、現像剤は、感光ドラムの外周面に形成された静電潜像に応じて、現像ローラ本体31から感光ドラムへ移動する。これにより、感光ドラムの外周面において、静電潜像が可視像化される。
【0051】
ギア部40は、ケーシング10の第1外表面11に位置する。
図2に示すように、ギア部40は、カップリング41、現像ローラギア42、アイドルギア43、およびアジテータギア44を有する。なお、
図2では、各ギアの複数のギア歯の図示が省略されている。
【0052】
カップリング41は、画像形成装置から供給される駆動力を、最初に受けるギアである。カップリング41は、第1方向に延びる回転軸について回転することが可能である。カップリング41は、カップリング部411とカップリングギア412とを有する。カップリング部411およびカップリングギア412は、例えば、樹脂により一体に形成される。カップリング部411には、第1方向に凹む締結穴413が設けられている。また、カップリングギア412の外周部には、全周に亘って等間隔に複数のギア歯が設けられている。
【0053】
現像カートリッジ1が装着されたドロアユニットが、画像形成装置内に収納されると、画像形成装置の駆動シャフトが、カップリング部411の締結穴413に挿入される。これにより、駆動シャフトとカップリング部411とが、相対回転不能に連結される。したがって、駆動シャフトが回転すると、カップリング部411が回転し、カップリング部411と共にカップリングギア412も回転する。
【0054】
現像ローラギア42は、現像ローラ30を回転させるためのギアである。現像ローラギア42は、第1方向に延びる回転軸について回転することが可能である。現像ローラギア42の外周部には、全周に亘って等間隔に複数のギア歯が設けられている。カップリングギア412の複数のギア歯の一部と、現像ローラギア42の複数のギア歯の一部とは、互いに噛み合っている。また、現像ローラギア42は、現像ローラシャフト32の第1方向の端部に、相対回転不能に固定されている。このため、カップリングギア412が回転すると、現像ローラギア42が回転し、現像ローラギア42と共に現像ローラ30も回転する。
【0055】
アイドルギア43は、カップリングギア412の回転をアジテータギア44に伝達するためギアである。アイドルギア43は、第1方向に延びる回転軸について回転することが可能である。アイドルギア43は、第1方向に配列された大径ギア部431および小径ギア部432を有する。小径ギア部432は、大径ギア部431とケーシング10の第1外表面11との間に位置する。言い換えれば、大径ギア部431は、小径ギア部432よりも第1外表面11から離れている。小径ギア部432の歯先円の径は、大径ギア部431の歯先円の径よりも小さい。大径ギア部431および小径ギア部432は、例えば、樹脂により一体に形成される。
【0056】
大径ギア部431および小径ギア部432の外周部には、それぞれ、全周に亘って等間隔に複数のギア歯が設けられている。小径ギア部432のギア歯の数は、大径ギア部431のギア歯の数よりも少ない。カップリングギア412の複数のギア歯の一部と、大径ギア部431の複数のギア歯の一部とは、互いに噛み合っている。また、小径ギア部432の複数のギア歯の一部と、アジテータギア44の複数のギア歯の一部とは、互いに噛み合っている。カップリングギア412が回転すると、大径ギア部431が回転し、大径ギア部431と共に小径ギア部432も回転する。そして、小径ギア部432の回転に伴い、アジテータギア44も回転する。
【0057】
アジテータギア44は、収容室13内のアジテータ20を回転させるためのギアである。アジテータギア44は、第1方向に延びる回転軸について回転することが可能である。
アジテータギア44の外周部には、全周に亘って等間隔に複数のギア歯が設けられている。上述の通り、小径ギア部432の複数のギア歯の一部と、アジテータギア44の複数のギア歯の一部とは、互いに噛み合っている。また、アジテータギア44は、アジテータシャフト21の第1方向の一方の端部に、相対回転不能に固定されている。このため、カップリング41からアイドルギア43を介してアジテータギア44に動力が伝達されると、アジテータギア44が回転し、アジテータギア44と共にアジテータ20も回転する。
【0058】
カバー50は、ケーシング10の第1外表面11に、例えばねじ止めで、固定される。
カップリングギア412、現像ローラギア42、アイドルギア43、およびアジテータギア44の少なくとも一部と、ICチップアセンブリ60の少なくとも一部とは、第1外表面11とカバー50との間に位置する。カバー50は、第1開口部51と第2開口部52とを有する。カップリング部411の締結穴413は、第1開口部51を介して、カバー50の外部に露出する。後述するICチップ61の電気的接触面611と、支持部材64の第1傾斜面643とは、第2開口部52を介して、カバー50の外部に露出する。
【0059】
<2.ICチップアセンブリについて>
ICチップアセンブリ60は、記憶媒体の一例であるICチップ61を含むユニットである。ICチップアセンブリ60は、ケーシング10の第1外表面11に位置する。
図3は、ICチップアセンブリ60の付近において、現像カートリッジ1を、第1方向に直交する平面で切断した断面図である。
図2および
図3に示すように、ICチップアセンブリ60は、ICチップ61、ホルダ62、レバー63、および支持部材64を有する。
【0060】
ICチップ61は、ホルダ62の第3方向の端面に固定される。ICチップ61には、現像カートリッジ1に関する種々の情報が記録されている。
図2および
図3に示すように、ICチップ61は、電気的接触面611を有する。電気的接触面611は、導体である金属からなる。一方、ドロアユニットは電気コネクタを有する。現像カートリッジ1がドロアユニットに装着されると、ICチップ61の電気的接触面611が、電気コネクタに接触する。これにより、電気的接触面611と電気コネクタとが、電気的に導通する。その結果、画像形成装置は、ICチップ61からの情報の読み出しおよびICチップ61への情報の書き込みの少なくとも一方を行うことが可能となる。
【0061】
ホルダ62およびレバー63は、例えば、樹脂により一体に形成される。ただし、ホルダ62およびレバー63は、それぞれ別の部品であってもよい。ホルダ62およびレバー63の少なくとも一部は、カバー50に覆われる。レバー63は、ボス631を有する。
ボス631は、レバー63の一端部から、カバー50へ向けて、第1方向に延びる。ボス631の形状は、円柱であってもよく、角柱等の他の形状であってもよい。ホルダ62は、レバー63の他端部に位置する。レバー63は、ホルダ62を介して、ICチップ61の電気的接触面611を保持する。
【0062】
レバー63は、第1方向に延びる回転軸(第2軸)について、第3位置と第4位置との間で、揺動可能である。
図3では、第3位置のレバー63が実線で示され、第4位置のレバー63が二点鎖線で示されている。レバー63が揺動すると、レバー63の他端部と共に、ホルダ62およびICチップ61が、第3方向に揺動する。具体的には、レバー63の一端部が、回転軸(第2軸)について揺動すると、レバー63の他端部と共に、ホルダ62およびICチップ61が、第3方向に揺動する。これに伴い、ICチップ61の電気的接触面611も、第3方向に揺動する。このとき、電気的接触面611と、レバー63の揺動方向とは、互いに交差する。以下では、レバー63が第3位置のときの電気的接触面611の位置を「退避位置」と称する。また、レバー63が第4位置のときの電気的接触面611の位置を「進出位置」と称する。
【0063】
退避位置における電気的接触面611の少なくとも一部は、カバー50の第2開口部52から電気的接触面611が露出された状態において、カバー50の内側に位置する。電気的接触面611が退避位置である場合、電気的接触面611の第3方向の位置は、第3方向における支持部材64の一端と、第3方向における支持部材64の他端との間に位置する。一方、進出位置における電気的接触面611は、カバー50の第2開口部52を介して、カバー50の外部へ露出された状態において、カバー50の外側に位置する。言い換えれば、進出位置における電気的接触面611は、カバー50の第2開口部52を介して、カバー50の外部へ突出する。すなわち、進出位置における電気的接触面611は、退避位置における電気的接触面611よりもカバー50から離れる。電気的接触面611が進出位置である場合、電気的接触面611は、第3方向において、支持部材64の他端(後述する第2傾斜面644を含む端部)から、支持部材64の一端(後述する第1傾斜面643を含む端部)よりも離れて位置してもよい。
【0064】
カバー50は、貫通孔53を有する。貫通孔53は、カバー50を第1方向に貫通する。レバー63のボス631は、貫通孔53に挿入される。貫通孔53の第2方向の大きさ(内寸)は、ボス631の第2方向の大きさ(外寸)よりも大きい。このため、レバー63およびホルダ62は、ボス631と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第2方向に相対移動することが可能である。レバー63およびホルダ62が第2方向に移動すると、ホルダ62と共に、電気的接触面611を有するICチップ61も、第2方向に移動する。
【0065】
また、貫通孔53の第3方向の大きさ(内寸)は、ボス631の第3方向の大きさ(外寸)よりも大きい。このため、レバー63の一端部は、ボス631と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第3方向に相対移動することが可能である。レバー63の一端部が第3方向に移動すると、レバー63は、第2軸について揺動する。
【0066】
なお、レバー63は、複数のボス631を有していてもよい。その場合、カバー50は、複数のボス631が挿入される1つまたは複数の貫通孔53を有していればよい。また、貫通孔53は、貫通していなくてもよい。レバー63のボス631が、挿入可能な孔であればよい。つまり、カバー50は、貫通孔53に代えて、ボス631が挿入される凹部を有していてもよい。また、レバー63は、ケーシング10の第1外表面11へ向けて突出するボスを有していてもよい。その場合、ケーシング10は、ボスが挿入される凹部または貫通孔を有していればよい。
【0067】
支持部材64は、レバー63を第2軸について揺動可能に支持する部材である。支持部材64の少なくとも一部は、カバー50に覆われる。支持部材64は、レバー63の一端部と他端部との間に位置する。すなわち、ボス631とホルダ62とは、支持部材64に対して、互いに反対側に位置する。
図3に示すように、支持部材64は、挿通孔641を有する。挿通孔641は、支持部材64を第2方向に貫通する。レバー63は、挿通孔641に挿入される。
【0068】
また、
図2および
図3に示すように、レバー63は、支持シャフト632を有する。支持シャフト632は、レバー63から、第2軸に沿って第1方向に突出する。一方、支持部材64は、支持孔642を有する。支持シャフト632は、支持孔642に挿入される。これにより、支持部材64に対してレバー63が、第2軸について揺動可能となる。なお、レバー63が支持孔を有し、支持部材64が、当該支持孔に挿入される支持シャフトを有していてもよい。
【0069】
支持部材64は、第3方向に延びる。支持部材64の第3方向の両端面のうち、電気的接触面611に近い端面は、第1傾斜面643を含む。第1傾斜面643は、第2方向および第3方向に対して傾斜する。支持部材64の第3方向の両端面のうち、電気的接触面611から遠い端面は、第2傾斜面644を含む。第2傾斜面644は、第2方向および第3方向に対して傾斜する。第1傾斜面643と第2傾斜面644との間の第3方向の距離は、現像ローラ30に近づくにつれて漸次に小さくなる。
【0070】
<3.挿入動作について>
続いて、ドロアユニットに対する現像カートリッジ1の挿入動作について、説明する。
図4および
図5は、ドロアユニット9の1つのスロット90に対して、現像カートリッジ1を挿入するときの様子を示した図である。
図5では、ICチップアセンブリ60を明示するために、カバー50の図示が省略されている。
【0071】
図4および
図5に示すように、ドロアユニット9は、スロット90ごとに、第1ガイドプレート91および第2ガイドプレート92を有する。第1ガイドプレート91および第2ガイドプレート92は、それぞれ、第1方向および第2方向に沿って拡がる。第1ガイドプレート91は、電気コネクタ910を有する。電気コネクタ910は、ICチップ61の電気的接触面611に接触可能な電気接点である。電気コネクタ910の材料には、例えば、導体である金属が用いられる。
【0072】
また、第1ガイドプレート91は、第1保持面911を有する。第1保持面911は、感光ドラム93へ向かうにつれて、漸次に第2ガイドプレート92へ近づくように、傾斜する。また、第2ガイドプレート92は、第2保持面921を有する。第2保持面921は、感光ドラム93へ向かうにつれて、漸次に第1ガイドプレート91へ近づくように、傾斜する。第1保持面911と第2保持面921とは、第3方向に向かい合う。
【0073】
スロット90へ現像カートリッジ1が挿入されると、
図4および
図5のように、支持部材64の第1傾斜面643が、第1保持面911に接触する。そして、支持部材64の第2傾斜面644が、第2保持面921に接触する。これにより、ドロアユニット9に対して支持部材64が、第2方向および第3方向に位置決めされる。また、現像カートリッジ1のケーシング10をさらにスロット90の奥へ押し込むと、レバー63のボス631が、カバー50の貫通孔53の縁に接触する。これにより、ドロアユニットに対してケーシング10が、第2方向に位置決めされる。
【0074】
スロット90への現像カートリッジ1の挿入時には、
図5のように、ホルダ62およびICチップ61の自重によって、レバー63は第3位置となっている。したがって、ICチップ61の電気的接触面611は、退避位置となっている。このため、スロット90への現像カートリッジ1の挿入時には、電気コネクタ910に対して電気的接触面611が擦れることはない。以下では、スロット90への現像カートリッジ1の挿入後、回動動作を行う前の、ドロアユニットに対するケーシング10の位置を、第1位置とする。ケーシング10が第1位置の状態では、電気コネクタ910と電気的接触面611とは接触しない。
【0075】
<4.回動動作について>
続いて、スロット90へ現像カートリッジ1を挿入した後の、ケーシング10およびカバー50の回動動作について、説明する。
図6および
図7は、回動動作の様子を示した図である。
図7では、ICチップアセンブリ60を明示するために、カバー50の図示が省略されている。
【0076】
図6および
図7に示すように、ケーシング10は、柱状突起15を有する。柱状突起15は、ケーシング10の第1外表面11から、第1方向に延びる。また、柱状突起15は、カバー50に覆われることなく、外部に露出する。
【0077】
スロット90へ現像カートリッジ1を挿入した後、ケーシング10およびカバー50は、現像ローラ30について回動する。具体的には、ドロアユニットに対するケーシング10の位置が、
図4および
図5に示す第1位置から、
図6および
図7に示す第2位置に変化する。すなわち、
図6および
図7中の破線矢印のように、ケーシング10は、第3方向に傾けられる。このとき、ケーシング10の柱状突起15は、ドロアユニット9の加圧部材94に接触する。加圧部材94は、柱状突起15を、感光ドラム93へ向けて加圧する。
このように、柱状突起15が押圧力を受けることによって、現像ローラ30の表面が感光ドラム93の表面に押し付けられる。すなわち、現像ローラ30の表面と感光ドラム93の表面とが、互いに接触する接触状態に維持される。
【0078】
また、ケーシング10およびカバー50が現像ローラ30について回動する回動動作が行われると、カバー50の貫通孔53の縁部531が、レバー63のボス631を押圧する。これにより、ボス631が第3方向に移動する。すなわち、本実施形態では、ボス631が、回動動作時に押圧力を受ける被押圧部となる。ボス631が第3方向に移動すると、レバー63は、第2軸を中心として、第3位置から第4位置へ揺動する。それに伴い、ICチップ61の電気的接触面611は、退避位置から進出位置へ揺動する。その結果、電気的接触面611が、電気コネクタ910に接触する。すなわち、ドロアユニットに対するケーシング10の位置が第2位置になると、電気的接触面611は、電気コネクタ910に接触する。これにより、画像形成装置の制御部は、ICチップ61からの情報の読み出しおよびICチップ61への情報の書き込みの少なくとも一方を行うことが可能となる。
【0079】
仮に、スロット90へ現像カートリッジ1を挿入する途中で、電気的接触面611が電気コネクタ910に接触したとすると、電気的接触面611は、電気コネクタ910と接触した状態で、第2方向に移動する。この場合、電気的接触面611と電気コネクタ910との間に擦れが生じやすい。しかしながら、本実施形態の構造では、スロット90へ現像カートリッジ1を挿入し、支持部材64を位置決めした後に、レバー63を揺動させることによって、電気コネクタ910に電気的接触面611を接触させる。このため、接触後には、電気コネクタ910に対する電気的接触面611の接触位置が、変化しにくい。
したがって、電気コネクタ910に対する電気的接触面611の擦れを抑制できる。
【0080】
特に、本実施形態では、第2軸から電気的接触面611までの長さが、第2軸から被押圧部であるボス631までの長さよりも長い。このため、回動動作によってボス631が移動する距離よりも、回動動作によって電気的接触面611が移動する距離の方が、長くなる。このように、電気的接触面611の移動距離を長くすれば、電気コネクタ910に対して電気的接触面611を、より確実に接触させることができる。
【0081】
<5.離間動作について>
上述した挿入動作および回動動作が完了した後、画像形成装置は、現像ローラ30を一時的に感光ドラム93から引き離す、いわゆる「離間動作」を行うことができる。以下では、この離間動作について、説明する。
図8および
図9は、離間動作を実行したときの様子を示した図である。
図9では、ICチップアセンブリ60を明示するために、カバー50の図示が省略されている。
【0082】
離間動作時には、画像形成装置からの駆動力によって、ドロアユニット9のレバー(図示省略)が押される。そうすると、ドロアユニット9の離間部材95が、加圧部材94へ向けて、第2方向に移動する。これにより、離間部材95は、柱状突起15に接触し、加圧部材94の圧力に逆らって、柱状突起15を感光ドラム93から離れる方向へ押圧する。その結果、
図8および
図9の破線矢印のように、現像カートリッジ1のケーシング10、現像ローラ30、およびカバー50が、第2方向に移動する。これにより、現像ローラ30と感光ドラム93とが、互いに離れた離間状態となる。
【0083】
このとき、レバー63のボス631は、貫通孔53の縁部531に沿って、相対的に第2方向に移動する。すなわち、本実施形態では、貫通孔53の縁部531を構成する面の一部が、ボス631を第2方向にガイドするガイド面となっている。
【0084】
離間動作前の接触状態(
図6および
図7の状態)と、離間動作後の離間状態(
図8および
図9の状態)とのいずれの状態においても、ドロアユニット9に対する支持部材64、レバー63、ホルダ62、およびICチップ61の位置は変化しない。すなわち、レバー63は第4位置に維持され、電気的接触面611は進出位置に維持される。そして、ケーシング10、現像ローラ30、およびカバー50が、ドロアユニット9、支持部材64、レバー63、ホルダ62、およびICチップ61に対して、第2方向に移動する。
【0085】
このように、離間動作時には、ケーシング10、現像ローラ30、およびカバー50が第2方向に移動するが、ドロアユニット9に対する電気的接触面611の位置は変化しない。したがって、電気的接触面611は、電気コネクタ910に接触した状態に維持される。また、離間動作時における電気的接触面611の擦れが低減される。
【0086】
なお、本実施形態では、離間動作時に感光ドラム93から現像ローラ30が離れる方向(離間方向)は、第2方向である。ただし、離間方向は、第2方向以外の方向であってもよい。離間方向は、第1方向と交差する方向であればよい。
【0087】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。以下では、種々の変形例について、上記の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0088】
<6-1.第1変形例>
図10は、第1変形例の現像カートリッジ1の部分分解斜視図である。
図11は、第1変形例の現像カートリッジ1を、ICチップアセンブリ60の付近において、第1方向に直交する平面で切断した断面図である。
【0089】
この第1変形例は、レバー63の構造、および、レバー63を支持するカバー50の構造が、上記の実施形態と相違する。この例では、レバー63は、ボス631の代わりに、貫通孔633を有する。一方、カバー50は、ボス631が挿入される貫通孔53の代わりに、レバー63の貫通孔633に挿入するボス54を有する。
【0090】
図10および
図11の例では、カバー50がボス54を有する。ボス54は、第1方向に延びる。一方、レバー63が貫通孔633を有する。貫通孔633は、レバー63の一端部を、第1方向に貫通する。貫通孔633とホルダ62とは、支持部材64に対して、互いに反対側に位置する。
【0091】
カバー50のボス54は、レバー63の貫通孔633に挿入される。貫通孔633の第2方向の大きさ(内寸)は、ボス54の第2方向の大きさ(外寸)よりも大きい。このため、レバー63およびホルダ62は、貫通孔633と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第2方向に相対移動することが可能である。レバー63およびホルダ62が第2方向に移動すると、ホルダ62と共に、電気的接触面611を有するICチップ61も、第2方向に移動する。
【0092】
また、貫通孔633の第3方向の大きさ(内寸)は、ボス54の第3方向の大きさ(外寸)よりも大きい。このため、レバー63の一端部は、貫通孔633と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第3方向に相対移動することが可能である。レバー63の一端部が第3方向に移動すると、レバー63は、第2軸について揺動する。
【0093】
回動動作時には、ドロアユニットに対するケーシング10の位置が、第1位置から第2位置に変化する。このとき、カバー50のボス54が、レバー63の貫通孔633の縁部634を押圧する。これにより、レバー63の一端部が第3方向に移動する。すなわち、本実施形態では、貫通孔633の縁部634が、回動動作時に押圧力を受ける被押圧部となる。レバー63の一端部が第3方向に移動すると、レバー63は、第2軸を中心として、第3位置から第4位置へ揺動する。それに伴い、ICチップ61の電気的接触面611は、退避位置から進出位置へ揺動する。その結果、電気的接触面611が、電気コネクタ910に接触する。
【0094】
また、離間動作時には、カバー50のボス54が、貫通孔633の縁部634に沿って、第2方向に移動する。すなわち、この第1変形例では、貫通孔633の縁部634を構成する面の一部が、ボス54を第2方向にガイドするガイド面となる。
【0095】
なお、カバー50は、複数のボス54を有していてもよい。その場合、レバー63は、複数のボス54が挿入される1つまたは複数の貫通孔633を有していればよい。また、レバー63は、貫通孔633に代えて、ボス54が挿入される凹部を有していてもよい。
また、ケーシング10が、第1外表面11から第1方向に突出するボスを有していてもよい。その場合、レバー63は、ケーシング10のボスが挿入される凹部または貫通孔を有していればよい。
【0096】
<6-2.第2変形例>
図12は、第2変形例の現像カートリッジ1の部分分解斜視図である。
図13は、
図12において分解された部品を組み合わせた状態の部分正面図である。
【0097】
この第2変形例は、レバー63の構造、および、レバー63を支持する支持部材64の構造が、上記の実施形態と相違する。この例では、レバー63は、ボス631の代わりに、貫通孔633を有する。一方、カバー50は、ボス631が挿入される貫通孔53の代わりに、レバー63の貫通孔633に挿入するボス54を有する。ケーシング10は、第1外表面11に設けられ、カバー50のボスが挿入される挿入孔112をさらに有する。
さらに、支持部材64は、互いに組み合わされる、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとを有する。なお、
図12および
図13に示すICチップ61は、4つの電気的接触面611を有しているが、上記の実施形態と同様、電気的接触面611は3つであってもよい。
【0098】
支持部材64は、
図12に示すように、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとを備える。第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとは、第3方向に並んで設けられる。そして、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとが組み合わされることで、支持部材64が構成される。第1支持部材64Aは、第3方向に沿った溝64A1を有している。一方、第2支持部材64Bは、第3方向に沿って延びる突部64B1を有している。第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとが組み合わされる際、
図12中に破線で示すように、突部64B1が溝64A1に挿入される。同様に、第2支持部材64Bは、第3方向に沿って延びる突部64B2を有している。第1支持部材64Aは、第3方向に沿った溝(不図示)を有し、その溝に、突部64B2が挿入される。また、第2支持部材64Bは、第3方向に沿って延びる突部64B3を有している。第1支持部材64Aは、第3方向に沿った溝(不図示)を有し、その溝に、突部64B3が挿入される。第2支持部材64Bは、第3方向に沿って延びる突部64B4を有している。さらに、第1支持部材64Aは、第3方向に沿った溝(不図示)を有し、その溝に、突部64B4が挿入される。
【0099】
また、第1支持部材64Aは、第3方向に沿った支持溝642Aを有する。第1支持部材64Aと第2支持部材64Bとが組み合わされると、支持溝642Aと第2支持部材54Bとの間に、支持孔642Bが形成される。レバー63の支持シャフト632は、その支持孔642Bに挿入される。そして、レバー63の支持シャフト632は、支持孔642Bに支持される。
【0100】
レバー63は、第1変形例と同様に、貫通孔633を有する。カバー50はボス54を有する。ボス54は、ケーシング10へ向けて第1方向に突出する。一方、ケーシング10の第1外表面11は、カバー50へ向けて第1方向に突出した突起111を有する。突起111は、挿入孔112を有する。この挿入孔112には、カバー50がケーシング10の第1外表面11に固定される際、カバー50のボス54が挿入される。
【0101】
カバー50のボス54は、レバー63の貫通孔633と、突起111の挿入孔112とに挿入される。このため、レバー63およびホルダ62は、貫通孔633と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第2方向に移動することが可能である。レバー63およびホルダ62が第2方向に移動すると、ホルダ62と共に、電気的接触面611を有するICチップ61も、第2方向に移動する。
【0102】
カバー50は、第3方向において、第2開口部52と向かい合う第3開口部52Aを有している。第2開口部52と、第3開口部52Aとは、略同じ大きさであって、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとが通過可能な大きさを有している。第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとで、レバー63を支持する際、カバー50のボス54をレバー63の貫通孔633に挿入して、カバー50をケーシング10の第1外表面11に固定した後に、第1支持部材64Aを、第2開口部52から挿入する。また、第2支持部材64Bを第3開口部52Aから挿入する。これにより、レバー63は、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとが組み合わされた支持部材64で支持される。
【0103】
現像カートリッジ1がスロット90へ挿入されると、支持部材64の第1傾斜面643が、第1保持面911(
図5参照)に接触する。そして、支持部材64の第2傾斜面644が、第2保持面921(
図4および
図5参照)に接触する。これにより、ドロアユニット9に対して支持部材64が、第2方向および第3方向に位置決めされる。また、現像カートリッジ1のケーシング10をさらにスロット90の奥へ押し込むと、カバー50のボス54が、レバー63の貫通孔633の縁に接触する。これにより、ドロアユニットに対してケーシング10が、第2方向に位置決めされる。
【0104】
<6-3.第3変形例>
図14は、第3変形例の現像カートリッジ1の回動動作時の様子を示した図である。
【0105】
この第3変形例は、支持部材64の全体が剛体ではなく、支持部材64が伸縮可能である点で、上記の実施形態と相違する。この例では、支持部材64は、位置決めを行う第1傾斜面643および第2傾斜面644の代わりに、第1接触面711を有する第1支持部材71と、第2接触面721を有する第2支持部材72と、押圧部材73とを備える。
【0106】
支持部材64は、第1支持部材71と、第2支持部材72と、押圧部材73とを備える。第1支持部材71と第2支持部材72とは、第3方向に並んで設けられる。また、押圧部材73は、第3方向において、第1支持部材71と第2支持部材72との間に位置する。
【0107】
第2支持部材72は、支持孔642を有する。レバー63の支持シャフト632は、支持孔642に挿入される。これにより、支持部材64に対してレバー63が、第2軸について揺動可能となる。なお、レバー63が支持孔を有し、第2支持部材72が、支持孔に挿入される支持シャフトを有していてもよい。
【0108】
第1支持部材71および第2支持部材72は、ヒンジ部70において接続される。第1支持部材71と第2支持部材72とは、ヒンジ部70に沿って第1方向に延びる軸について、互いに回動することが可能である。第1支持部材71は、第1接触面711を有する。第1接触面711は、第3方向において、支持部材64の一方の端部に位置する。第2支持部材72は、第2接触面721を有する。第2接触面721は、第3方向において、支持部材64の他方の端部に位置する。
【0109】
押圧部材73は、第3方向に伸縮する。押圧部材73の第3方向の一端は、第1支持部材71に接続される。押圧部材73の第3方向の他端は、第2支持部材72に接続される。押圧部材73には、例えば、弾性部材であるコイルばねが用いられる。ただし、コイルばねに代えて、トーションばねなどの他の弾性部材が用いられてもよい。
【0110】
スロット90へ現像カートリッジ1が挿入されると、
図14のように、第1支持部材71の第1接触面711が、第1ガイドプレート91に接触する。また、第2支持部材72の第2接触面721が、第2ガイドプレート92に接触する。これにより、第1支持部材71と第2支持部材72とが、第3方向に互いに接近する。そして、押圧部材73の第3方向の長さが、自然長よりも短くなる。そうすると、押圧部材73に第3方向の反発力が生じる。これにより、第1支持部材71は、第1ガイドプレート91に押し付けられる。
また、第2支持部材72は、第2ガイドプレート92に押し付けられる。その結果、第1ガイドプレート91と第2ガイドプレート92との間で、第1支持部材71および第2支持部材72が、第2方向および第3方向に位置決めされる。つまり、支持部材64がスロット90に対して第2方向および第3方向に位置決めされる。
【0111】
<6-4.第4変形例>
図15は、第4変形例の現像カートリッジ1の部分分解斜視図である。
図16は、第4変形例において、カバー50を固定した現像カートリッジ1の部分分解斜視図である。
【0112】
この第4変形例は、レバー63を揺動させる押圧部材を有する点で、上記の実施形態と相違する。この例では、レバー63は、略円柱状のボス631の代わりに、略平板状で、突起631Aが設けられたボス631を有する。ケーシング10は、第1外表面11に設けられ、レバー63のボス631が挿入される挿入孔114をさらに有する。さらに、支持部材64は、互いに組み合わされる、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとを有する。なお、
図15および
図16に示すICチップ61は、4つの電気的接触面611を有しているが、上記の実施形態と同様、電気的接触面611は3つであってもよい。
【0113】
図15および
図16の例では、ケーシング10の第1外表面11は、第1方向に突出した突起113を有する。突起113は、第1方向に延びる挿入孔114を有する。挿入孔114は、第1方向において、カバー50の貫通孔53と向かい合う。第1方向に見たときの挿入孔114の大きさ、および形状は、貫通孔53とほぼ同じである。貫通孔53および挿入孔114の第2方向の大きさ(内寸)は、ボス631の第2方向の大きさ(外寸)よりも大きい。貫通孔633および挿入孔114の第3方向の大きさ(内寸)は、ボス631の第3方向の大きさ(外寸)よりも大きい。そして、レバー63のボス631の第1方向の一方の端部は、貫通孔53に挿入される。レバー63のボス631の第1方向の他方の端部は、挿入孔114に挿入される。
【0114】
このため、レバー63およびホルダ62は、ボス631と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第2方向に移動することが可能である。レバー63およびホルダ62が第2方向に移動すると、ホルダ62と共に、電気的接触面611を有するICチップ61も、第2方向に移動する。また、レバー63の一端部は、ボス631と共に、ケーシング10およびカバー50に対して、第3方向に移動することが可能である。レバー63の一端部が第3方向に移動すると、レバー63は、第2軸について揺動する
【0115】
第4変形例では、レバー63のボス631は、第1方向に延びる略直方体形状である。
この直方体形状の一の面であって、第3方向と交差する面には、突起631Aが設けられている。突起631Aは、第3方向に延びる柱状であって、第3方向から視た平面視で、クロス形状である。
【0116】
ICチップアセンブリ60は、レバー63を、第2軸を中心として揺動させるための押圧部材74を有している。押圧部材74は、突起631Aで支持される。押圧部材74には、例えば、弾性部材であるコイルばねが用いられる。ただし、コイルばねに代えて、トーションばねなどの他の弾性部材が用いられてもよい。押圧部材74は、第3方向に伸縮する。押圧部材74の第3方向の一端は、ボス631で支持される。押圧部材74の第3方向の他端は、カバー50の内壁面で支持される。押圧部材74は、自然長よりも縮められた状態で、ボス631とカバー50の内壁面とで支持される。
【0117】
支持部材64は、第2変形例と同様に、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとを備える。レバー63は、第1支持部材64Aと、第2支持部材64Bとが組み合わされることで構成される支持部材64に、支持される。支持部材64の組み立て手順としては、第2変形例と同様に、カバー50をケーシング10の第1外表面11に固定した後、第1支持部材64Aを、カバー50の第2開口部52から挿入する。また、第2支持部材64Bを、第3開口部52Aから挿入する。
【0118】
この現像カートリッジ1がスロット90へ挿入されると、支持部材64の第1傾斜面643が、第1保持面911(
図5参照)に接触する。そして、支持部材64の第2傾斜面644が、第2保持面921(
図4および
図5参照)に接触する。これにより、ドロアユニット9に対して支持部材64が、第2方向および第3方向に位置決めされる。また、現像カートリッジ1のケーシング10をさらにスロット90の奥へ押し込むと、レバー63のボス631が、カバー50の貫通孔53の縁またはケーシング10の挿入孔114の縁に接触する。これにより、ドロアユニット9に対してケーシング10が、第2方向に位置決めされる。
【0119】
図17は、第4変形例の現像カートリッジ1における回動動作の様子を示した図である。
【0120】
スロット90へ現像カートリッジ1を挿入した後、ケーシング10およびカバー50は、現像ローラ30について回動する。ケーシング10は、現像カートリッジ1がスロット90へ挿入されたときの姿勢から、スロット90に対して、
図17中の破線矢印のように、第3方向に傾けられる。このとき、ケーシング10の柱状突起15は、ドロアユニット9の加圧部材(不図示)に接触する。加圧部材は、柱状突起15を、感光ドラム93へ向けて加圧する。これにより、現像ローラ30が感光ドラム93に押し付けられる。すなわち、現像ローラ30と感光ドラム93とが、互いに接触する接触状態に維持される。
【0121】
また、ケーシング10およびカバー50が現像ローラ30について回動する回動動作が行われると、押圧部材74の第3方向の長さが、自然長よりも短くなる。そうすると、押圧部材74に第3方向の反発力が生じる。これにより、ボス631が第3方向に移動すると、レバー63は、第2軸を中心として、第3位置から第4位置へ揺動する。それに伴い、ICチップ61の電気的接触面は、退避位置から進出位置へ揺動する。その結果、電気的接触面が、第1ガイドプレート91の電気コネクタに接触する。
【0122】
図18は、第4変形例の現像カートリッジ1において離間動作を実行したときの様子を示した図である。
【0123】
離間動作時には、
図8および
図9での説明と同様に、現像カートリッジ1のケーシング10、現像ローラ30、およびカバー50が、第2方向に移動する。これにより、現像ローラ30と感光ドラム93とが、互いに離れた離間状態となる。このときも、押圧部材74の第3方向の長さは、自然長よりも短い。そして、この押圧部材74に第3方向の反発力により、電気的接触面611は、第1ガイドプレート91の電気コネクタに接触した状態を維持する。
【0124】
つまり、離間動作前の接触状態(
図17の状態)と、離間動作後の離間状態(
図18の状態)とのいずれの状態においても、ドロアユニット9に対する支持部材64、レバー63、ホルダ62、およびICチップ61の位置は変化しない。すなわち、レバー63は第4位置に維持され、電気的接触面611は進出位置に維持される。そして、ケーシング10、現像ローラ30、およびカバー50が、ドロアユニット9、支持部材64、レバー63、ホルダ62、およびICチップに対して、第2方向に移動する。
【0125】
<6-5.第5変形例>
図19は、第5変形例の現像カートリッジ1の回動動作時の様子を示した図である。
【0126】
上記の実施形態では、支持部材64の第1傾斜面643を第1保持面911に接触させるとともに第2傾斜面644を第2保持面921に接触させて、ドロアユニット9に対して支持部材64の位置決めを行う構造としている。この第5変形例では、支持部材64の位置決めを行う構造が、上記の実施形態と相違する。この例では、支持部材64は、第1傾斜面643および第2傾斜面644の代わりに、第1係合部645を有する。
【0127】
支持部材64は、ドロアユニット9に対して位置決めされるための第1係合部645を有する。第1係合部645は、第3方向における支持部材64の端部に位置する。第1係合部645は、支持部材64の下面に凹部646を有していればよい。例えば、第1係合部645は、フックである。
【0128】
スロット90へ現像カートリッジ1が挿入されると、
図19のように、第2ガイドプレート92の第2方向の先端部922が、凹部646に挿入される。そして、第2ガイドプレート92の第2方向の先端部922と、第1係合部645とが係合する。これにより、ドロアユニット9に対して支持部材64が、第2方向および第3方向に位置決めされる。
例えば、第1係合部645がフックの場合、フックが、第2ガイドプレート92の第2方向の先端部922にフックする。
【0129】
なお、支持部材64は、第1ガイドプレート91の第2方向の先端部に係合する係合部を有していてもよい。係合部は、上記の第1係合部645と同じ形状であってもよい。また、支持部材64は、ドロアユニット9の第1ガイドプレート91および第2ガイドプレート92以外の箇所に係合する係合部を有していてもよい。なお、係合部は、上記の第1係合部645と同じ形状であってもよい。このように、支持部材64は、画像形成装置の一部と係合する第1係合部によって、第2方向および第3方向に位置決めされてもよい。
【0130】
<6-6.第6変形例>
図20は、第6変形例の現像カートリッジ1の回動動作時の様子を示した図である。
【0131】
この第6変形例では、第2軸からボス631までの長さが、上記の実施形態と相違する。この例では、ICチップアセンブリ60は、上記の実施形態と比べて、長さが長いレバー63を有する。
【0132】
図20の例では、レバー63において、第2軸から被押圧部であるボス631までの長さが、第2軸から電気的接触面611までの長さよりも長い。このため、回動動作によって、カバー50からボス631が受ける圧力よりも強い圧力で、電気的接触面611を電気コネクタ910に接触させることができる。したがって、電気的接触面611と電気コネクタ910との間の導通を、より安定させることができる。
【0133】
<6-7.第7変形例>
図21は、第7変形例の現像カートリッジ1の挿入時の様子を示した図である。
図22は、第7変形例の現像カートリッジ1の回動動作時の様子を示した図である。
【0134】
この第7変形例では、レバー63を第4位置に固定して、現像カートリッジ1の回動動作の後に、電気コネクタ910から電気的接触面611が離れることをより抑制する構造としている点で、上記の実施形態と相違する。この例では、支持部材64は、上記の実施形態に加え、第2係合部647をさらに有する。
【0135】
図21および
図22の例では、支持部材64が、第2係合部647を有する。第2係合部647は、支持部材64の第3方向の両端部のうち、ボス631に近い端部に位置する。第2係合部647は、第1係合爪647aと第2係合爪647bとを有する。第1係合爪647aおよび第2係合爪647bは、可撓性を有する。また、第1係合爪647aと第2係合爪647bとの間隔は、ボス631の外径よりも僅かに小さい。
【0136】
回動動作時には、
図22のように、レバー63が、第2軸を中心として、第3位置から第4位置へ揺動する。それに伴い、ICチップ61の電気的接触面611は、退避位置から進出位置へ揺動する。その結果、電気的接触面611が、電気コネクタ910に接触する。このとき、ボス631は、第3方向に移動することによって、第2係合部647に係合される。つまり、電気的接触面611が、電気コネクタ910に接触する際に、ボス631は、第3方向に移動することによって、第2係合部647に保持される。具体的には、第1係合爪647aと第2係合爪647bとの間に、ボス631が挟まれる。これにより、レバー63が、第4位置に固定される。
【0137】
このようにすれば、回動動作の後に、電気コネクタ910から電気的接触面611が離れることを、より抑制できる。
【0138】
<6-8.第8変形例>
図23は、第8変形例の現像カートリッジ1の挿入時の様子を示した図である。
図24は、第8変形例の現像カートリッジ1の回動動作時の様子を示した図である。
【0139】
この第8変形例では、レバー63を第4位置に固定して、現像カートリッジ1の回動動作の後に、電気コネクタ910から電気的接触面611が離れることをより抑制する構造としている点で、上記の実施形態と相違する。この例では、レバー63は、上記の実施形態に加え、第3係合部635をさらに有する。
【0140】
図23および
図24の例では、レバー63が第3係合部635を有する。第3係合部635は、レバー63の第2方向の一端に位置する。第3係合部635は、レバー63の一端から、第2軸を中心とする回転方向に延びる係合爪635aを有する。係合爪635aは、可撓性を有する。
図23のように、ドロアユニット9のスロット90に現像カートリッジ1が挿入された状態において、第2軸から係合爪635aまでの距離は、第2軸から第2ガイドプレート92の先端部までの距離よりも、僅かに小さい。
【0141】
回動動作時には、
図24のように、レバー63が、第2軸を中心として、第3位置から第4位置へ揺動する。それに伴い、ICチップ61の電気的接触面611は、退避位置から進出位置へ揺動する。その結果、電気的接触面611が、電気コネクタ910に接触する。このとき、係合爪635aは、第2ガイドプレート92の先端部に係合する。つまり、係合爪635aは、第2ガイドプレート92の先端部に引っかかる。具体的には、係合爪635aが、僅かに撓んだ状態で、第2ガイドプレート92の第1ガイドプレート91に向かい合う面とは反対側の面に接触する。これにより、レバー63が、第4位置に固定される。なお、第3係合部635は、係合爪635aの代わりにフックを有してもよい。
その場合、フックが、第2ガイドプレート92の先端部にフックする。
【0142】
このように、レバー63の一端部に、画像形成装置の一部と係合する第3係合部635を設ければ、回動動作の後に、電気コネクタ910から電気的接触面611が離れることを、より抑制できる。
【0143】
<6-9.他の変形例>
上記の実施形態では、レバーの全体が剛体であった。しかしながら、レバーの一部または全部が、弾性体であってもよい。具体的には、レバーの一部または全部を、ゴムまたは弾性を有する樹脂で形成してもよい。レバーの一部または全部を弾性体とすれば、レバー自体が弾性変形する。このため、電気コネクタ910と電気的接触面611との接触を、より安定させることができる。また、他の部材との接触により、レバーが損傷する可能性が小さくなる。また、レバーの材料に樹脂を用いれば、複雑な形状を容易に成形できる。
【0144】
また、上記の実施形態では、ホルダの外表面に、電気的接触面を有するICチップが固定されていた。しかしながら、ホルダの外表面には、電気コネクタと接触する電気的接触面のみを固定し、ICチップの電気的接触面以外の部分は、現像カートリッジの他の箇所に配置されていてもよい。
【0145】
また、上記の実施形態では、ドロアユニットに対する現像カートリッジの挿入方向と、第2方向とが一致していた。しかしながら、これらの方向は、互いに異なる方向であってもよい。
【0146】
また、第1方向と第2方向とは、互いに直交していなくてもよい。また、第2方向と第3方向とは、互いに直交していなくてもよい。また、第1方向と第3方向とは、互いに直交していなくてもよい。
【0147】
また、上記の実施形態では、ギア部内の複数のギアが、互いに、ギア歯の噛み合いによって係合していた。しかしながら、ギア部内の複数のギアは、摩擦力により互いに係合していてもよい。例えば、互いに係合する2つのギアの外周部に、複数のギア歯の代わりに、摩擦部材(例えばゴム)が設けられてもよい。
【0148】
また、現像カートリッジの細部の形状については、本願の各図に示された形状と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 現像カートリッジ
9 ドロアユニット
10 ケーシング
20 アジテータ
30 現像ローラ
40 ギア部
50 カバー
53 貫通孔
54 ボス
60 ICチップアセンブリ
61 ICチップ
62 ホルダ
63 レバー
64 支持部材
71 第1支持部材
72 第2支持部材
73 押圧部材
90 スロット
91 第1ガイドプレート
92 第2ガイドプレート
93 感光ドラム
611 電気的接触面
631 ボス
632 支持シャフト
633 貫通孔
635 第3係合部
645 第1係合部
647 第2係合部
910 電気コネクタ