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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20230711BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230711BHJP
   A24F 40/48 20200101ALI20230711BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
A24F40/48
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021562353
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 GB2020051072
(87)【国際公開番号】W WO2020225534
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】1906279.3
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カビラット, ジュニア
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0249762(US,A1)
【文献】特表2011-517489(JP,A)
【文献】特表2017-538409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/10
A24F 40/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル前駆体材料を収容するためのリザーバと、
前記リザーバに両方とも流体連結された入口ポート及び出口ポートであって、前記リザーバ内の前記エアロゾル前駆体材料を保持するための液密封止構成を少なくとも得られるように構成される前記入口ポート及び前記出口ポートと、
加圧流体を前記リザーバに前記入口ポートを介して供給して、前記リザーバの外部の圧力に対して前記リザーバ内の圧力を増大させ、それにより前記エアロゾル前駆体材料を前記リザーバから前記出口ポートを介して強制的に出すように構成されたコントロールユニットと
を備える、エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記出口ポートは、前記リザーバ内の圧力が閾値圧力以上であるときに、エアロゾル前駆体材料が前記出口ポートを介して前記リザーバから出ることを可能にするように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
加圧流体の供給源をさらに備え、加圧流体の前記供給源が、前記リザーバの前記入口ポートと流体連通することが可能になるように構成されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
加圧流体の前記供給源が、加圧流体を生成する加圧流体生成器及び事前加圧流体の貯蔵器のうちの少なくとも一方である、請求項3に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記コントロールユニットがコントローラをさらに備え、前記コントローラが、加圧流体の流れを制御するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記リザーバを出るエアロゾル前駆体材料の量を、前記リザーバに入る加圧流体の量を制御することによって制御するように構成されている、請求項5に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記コントローラが、入力を受け取り、前記入力に基づいて加圧流体の流れを制御するように構成されている、請求項6に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記出口ポートが弁を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記入口ポートが弁を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記入口ポートの前記弁が、前記加圧流体に応じて開くように構成されている、請求項9に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記入口ポートの前記弁が、前記加圧流体によって加えられた圧力が第1の閾値を超えたときに開くように構成されており、前記出口ポートの弁が、前記リザーバ内の圧力が第2の閾値を超えたときに開くように構成されている、請求項9又は10に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記コントロールユニットが、前記加圧流体を選択的に生成するように構成されたポンプを備え、前記ポンプが、前記入口ポートと流体連通して配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記コントロールユニットが、前記加圧流体を収容すると共に、前記加圧流体を選択的に放出するように構成されている事前加圧容器を備え、前記事前加圧容器が、前記入口ポートと流体連通して配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記コントロールユニットがハウジングを備え、前記ハウジングが、前記入口ポートに流体結合すると共に、加圧流体が加圧流体通路に沿って前記入口ポートまで流れることを可能にするように、構成された前記加圧流体通路を画定する、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記ハウジングは、エアロゾル前駆体材料がエアロゾル前駆体通路に沿って通過することを可能にするように構成された、前記エアロゾル前駆体通路をさらに画定する、請求項14に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記コントロールユニットがアトマイザーを備え、前記出口ポートが、前記出口ポートを経由して出るエアロゾル前駆体材料が前記アトマイザーによって霧化されるように配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記加圧流体が気体である、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記システムが、前記コントロールユニットから分離可能なカートリッジを備え、前記カートリッジが、前記リザーバ、入口ポート及び出口ポートを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記入口ポート及び出口ポートが両方とも弁を備え、前記入口ポートの弁及び前記出口ポートの弁が、前記カートリッジが前記ハウジングから取り出されたときに閉じられるように構成されている、請求項14または15に従属する請求項18に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバに、前記リザーバに流体連結された入口ポートを介して加圧流体を入らせることによって、前記リザーバの外部の圧力に対して前記リザーバ内の圧力を増大させ、それにより、前記リザーバから、前記リザーバに流体連結された出口ポートを介して強制的に前記エアロゾル前駆体材料を出すように構成されたコントロールユニットを備え
前記入口ポート及び前記出口ポートの両方は、前記リザーバ内の前記エアロゾル前駆体材料を保持するための液密封止構成を少なくとも得られるように構成される、エアロゾル供給デバイス。
【請求項21】
エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバと、前記リザーバに両方とも流体連結された、加圧流体を受け入れるための入口ポート及び出口ポートであって、前記リザーバ内の前記エアロゾル前駆体材料を保持するための液密封止構成を少なくとも得られるように構成される前記入口ポート及び前記出口ポートとを含むカートリッジであって、前記リザーバ内の圧力が閾値を超えたときにエアロゾル前駆体材料を前記出口ポートから放出させるように構成されている、カートリッジ。
【請求項22】
エアロゾル前駆体材料をリザーバから供給する方法であって、前記リザーバが、前記リザーバに流体結合された入口ポート及び出口ポートを備え、前記方法が、
前記リザーバ内の圧力を前記リザーバの外部の圧力に対して増大させるために、前記入口ポートを介して加圧流体を前記リザーバに入れさせるステップと、
前記エアロゾル前駆体材料を前記リザーバから前記出口ポートを介して強制的に出す前記増大させた圧力に応じて、エアロゾル前駆体材料を前記リザーバから供給するステップと
を含
前記入口ポート及び前記出口ポートの両方は、前記リザーバ内の前記エアロゾル前駆体材料を保持するための液密封止構成を少なくとも得られるように構成される、方法。
【請求項23】
エアロゾル前駆体材料をリザーバから供給する方法であって、
前記リザーバ内の圧力を閾値以上の値まで増大させるステップを含み、この閾値を超えるとエアロゾル前駆体材料が前記リザーバを出ることができ、この閾値未満ではエアロゾル前駆体材料が前記リザーバを出ることができ
入口ポート及び出口ポートは、前記リザーバに両方とも流体連結されると共に、前記リザーバ内の前記エアロゾル前駆体材料を保持するための液密封止構成を少なくとも得られるように構成される、方法。
【請求項24】
前記リザーバ内の圧力は、前記リザーバ内の圧力を増大させる前には第1の値であり、前記リザーバ内の圧力が第2の値まで増加した後に、前記エアロゾル前駆体材料が前記リザーバを出ると第3の値まで低下する、請求項22又は23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子タバコなどの電子エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは、ニコチンが通常含まれる配合物を含有する原料液体のリザーバを一般に含み、この原料液体から例えば熱気化によって蒸気が生成される。したがって、エアロゾル供給システムの蒸気源は、例えば吸い上げ/毛細管現象によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された吸い上げ要素を有するヒーターを備え得る。使用者がシステムで吸入する間、電力が加熱要素に供給されて加熱要素の近傍の原料液体が気化され、使用者が吸入するための蒸気が生成される。このようなシステムは通常、システムのマウスピース端部から離れて配置された1つ又は複数の空気入口孔を備える。使用者がシステムのマウスピース端部に連結されたマウスピースを吸うと、空気は空気入口孔から蒸気源を通って引き込まれる。蒸気源とマウスピースの開口部との間をつなぐ流路があり、それにより、蒸気源を通って引き込まれた空気が流路に沿ってマウスピースの開口部まで進むと、蒸気源からの蒸気の一部が空気と共にエアロゾルの形で運ばれる。このエアロゾルは、使用者が吸い込めるようにマウスピース開口部からエアロゾル供給システムを出る。
【0003】
このようなシステムでは、蒸気源及び加熱要素は、原料液体を受け入れるリザーバと加熱要素の両方を含む構成要素である使い捨ての「カトマイザー」に設けることができる。カトマイザーは、エアロゾル供給システムを動作させるのに使用できる、制御回路及びバッテリーなどの様々な電子構成要素を含む再使用可能部(「デバイス」部と呼ばれることもある)に、使用時に結合される。加熱要素は、カトマイザーと再使用可能なデバイス部との間の電気接続部を介して電力をバッテリーから供給される。カトマイザー内の原料液体を使い切ると(すなわち、実質的にすべての原料液体が気化され吸入されると)、使用者はカトマイザーを交換し、新しいカトマイザーを装着して気化液体を引き続き生成及び吸入する。
【0004】
上述の電子エアロゾル供給システムでは、原料液体は一般にリザーバ内に収容されているが、場合によって吸い上げ要素(通常では、リザーバと流体連通している繊維状材料)を介してリザーバから出るおそれがある。吸い上げ要素は、毛細管現象を利用してリザーバから液体を移す。原料液体は、液体の毛細管現象又は表面張力によって、ある程度吸い上げ要素内に保持できるが、場合によっては原料液体の漏洩が起きる。この漏洩は、原料液体のシステムからの漏洩(及び使用者の持ち物又は衣類への漏洩)及びシステム内での液体の蓄積(すなわち滞留)を含む、エアロゾル供給システムの使用者にとっての複数の問題を引き起こすおそれがあり、これらの問題は、形成されるエアロゾル全体に影響を与えて、あまり安定していなかったりあまり快適でなかったりする体験をもたらし得る。加えて、カトマイザー構成要素を交換するときに、原料液体の漏洩が発生することもある(交換するとき、使用者がカトマイザーを動かすことによって、吸い上げ要素内に保持された液体に機械的な力が本質的に加わり得る)。
【0005】
これらの問題のいくつかに対処する助けにしようとする様々な手法について説明する。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態の第1の態様によれば、エアロゾル前駆体材料を収容するためのリザーバと、リザーバに両方とも流体連結された入口ポート及び出口ポートと、加圧流体をリザーバに入口ポートを介して供給して、リザーバの外部の圧力に対してリザーバ内の圧力を増大させ、それによりエアロゾル前駆体材料をリザーバから出口ポートを介して強制的に出すように構成されたコントロールユニットとを備える、エアロゾル供給システムが提供される。
【0007】
いくつかの実施形態の第2の態様によれば、エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバに、リザーバに流体連結された入口ポートを介して加圧流体を入らせることによって、リザーバの外部の圧力に対してリザーバ内の圧力を増大させ、それにより、リザーバから、リザーバに流体連結された出口ポートを介してエアロゾル前駆体材料を強制的に出すように構成されたコントロールユニットを備える、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0008】
いくつかの実施形態の第3の態様によれば、エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバと、リザーバに両方とも流体連結された、加圧流体を受け入れるための入口ポート及び出口ポートとを含むカートリッジであって、リザーバ内の圧力が閾値を超えたときにエアロゾル前駆体材料を出口ポートから放出させるように構成されている、カートリッジが提供される。
【0009】
いくつかの実施形態の第4の態様によれば、エアロゾル前駆体材料をリザーバから供給する方法が提供され、前記リザーバは、リザーバに流体結合された入口ポート及び出口ポートを備え、前記方法は、リザーバ内の圧力をリザーバの外部の圧力に対して増大させるために、入口ポートを介して加圧流体をリザーバに入らせるステップと、
エアロゾル前駆体材料をリザーバから出口ポートを介して強制的に出す増大させた圧力に応じて、エアロゾル前駆体材料をリザーバから供給するステップとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態の第5の態様によれば、エアロゾル前駆体材料をリザーバから供給する方法が提供され、前記方法は、リザーバ内の圧力を閾値以上の値まで増大させるステップを含み、この閾値を超えるとエアロゾル前駆体材料はリザーバを出ることができ、この閾値未満ではエアロゾル前駆体材料がリザーバを出ることができない。
【0011】
本発明の第1の態様及び他の態様に関連して上述した本発明の特徴及び態様は、上述の特定の組み合わせだけでなく、必要に応じて本発明の別の態様による本発明の諸実施形態に等しく適用可能であり、これらと組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0012】
次に、本発明の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、カートリッジ部のリザーバからの液体又は他の適切なエアロゾル前駆体材料の流れを、生成された加圧流体を用いて制御するための加圧流体生成器を有するデバイス部を含む、本開示の原理によるエアロゾル供給システムを概略的に示す図である。
図2図2は、図1のエアロゾル供給システムのカートリッジ部をより詳細に、具体的には断面で概略的に示す図である。
図3図3は、図1のエアロゾル供給システムの再使用可能なデバイス部をより詳細に、具体的にはカートリッジ部なしで概略的に示す図である。
図4図4は、図1のエアロゾル供給システムの例示的な動作方法を示すフロー図である。
図5図5(a)~図5(d)は、図1のエアロゾル供給システムのカートリッジ部を、エアロゾル供給システムの動作中の様々な時間において概略的に示す図である。
図6図6は、図1のエアロゾル供給システムのカートリッジ部のリザーバ内の圧力値(y軸線)を、エアロゾル供給システムの動作中の時間(x軸線)に対して表すグラフである。
図7図7は、加圧流体源を用いてカートリッジ部のリザーバからの液体又は他の適切なエアロゾル前駆体材料の流れを制御するための加圧流体源を有するデバイス部を含む、本開示の原理によるエアロゾル供給システムの一代替実施態様を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について、本明細書にて議論/説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来どおり実施することができ、これらについては、話を簡潔にする目的で、詳細には議論/説明しない。したがって、本明細書にて言及するが詳細には説明していない装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の手法によって実施できることを理解されたい。
【0015】
本開示は、eシガレットなどの、蒸気供給システムとも呼ばれるエアロゾル供給システムに関する。以下の説明全体を通して、用語の「eシガレット」及び「電子タバコ」が場合によって使用されることがあるが、この用語はエアロゾル供給システム及び電子エアロゾル供給システムと交換可能に使用され得ることを理解されたい。本開示は、エアロゾルを生成するために、ニコチンを含んでいることもいないこともある原料液体を、例えば、加熱することによってエアロゾル化するように構成されたシステムに適用することができる。しかし、本開示はまた、固体/非晶質固体の基材を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出するように構成されたシステムに適用することもできる。基材は、例えば、タバコ又は他の非タバコ製品であり、ニコチンを含んでいることもいないこともある。いくつかのシステムでは、固体材料/非晶質固体材料は液体基材に加えて提供されるので、本開示はまた、諸基材を組み合わせたものからエアロゾルを生成するように構成されたハイブリッドシステムに適用することもできる。より一般的には、基材には、例えば、固体、液体、又は非晶質固体が含まれてもよく、これらすべてがニコチンを含んでいてもいなくてもよい。ハイブリッドシステムは、液体、アモルファス固体、及び固体の諸基材の任意の組み合わせを含み得る。本明細書で使用される「エアロゾル化可能基材」又は「エアロゾル前駆体材料」という用語は、熱を加えることによって、又は他のいくつかの手段によってエアロゾルを形成できる基材を指すものである。さらに、当技術分野で一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化させる」、「揮発させる」、及び「エアロゾル化する」などの関連用語もまた、交換可能に使用することができる。
【0016】
エアロゾル供給システム(eシガレット)は、常にではないが多くの場合、再使用可能部(コントロールユニット部)と交換可能(使い捨て)カートリッジ部の両方を含むモジュラーアセンブリを備える。多くの場合、交換可能カートリッジ部は、エアロゾル前駆体材料及びアトマイザーアセンブリを備え、コントロールユニット部は、電源(例えば、再充電可能バッテリー)及び制御回路を備える。これら様々な部分は、機能に応じてさらなる要素を備え得ることを理解されたい。例えば、コントロールユニット部は、使用者入力を受けるための、及び動作状態特性を表示するための使用者インターフェースを備える。カートリッジ部は、使用するコントロールユニット部に、例えば、ねじ山、ラッチ又はバヨネット固定具を用いて機械的に結合される。カートリッジ部内のエアロゾル前駆体材料が使い果たされたとき、又は使用者が、異なるエアロゾル前駆体材料を有する別のカートリッジ部に切り替えたいときには、カートリッジ部をコントロールユニットから取り出し、その代わりに交換用カートリッジ部を取り付けることができる。この種の二部品モジュール構成に適合するデバイスは、一般に二部品デバイスと呼ばれることがある。電子タバコが概して細長い形状を有することもまた一般的である。具体例を提示するために、本明細書で説明される本開示の特定の実施形態は、使い捨てカートリッジ部を利用するこの種の概して細長い二部品デバイスを含むと理解されたい。しかし、本明細書で説明される基本原理は、様々な電子タバコ構成、例えば、単一部品デバイス、若しくは2つより多い部分を備えるモジュールデバイス、詰め替え可能デバイス及び一回限りの使い捨てデバイス、並びに例えば、通例、より箱状の形状を有する、いわゆるボックスモッド(box-mod)高性能デバイスに基づく、他の全体形状に適合するデバイスのために等しく採用され得ることが理解されよう。
【0017】
本開示は、エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバが、流体の印加によって選択的に加圧されて、エアロゾル前駆体材料の少なくとも一部分がリザーバから、例えば、リザーバに結合された出口ポートを通って押し進められる、エアロゾル供給システム及びデバイスに関する。エアロゾル前駆体材料は、エアロゾル前駆体材料がひとりでにリザーバを出る可能性を防止する、又は大幅に低減させるようにしてリザーバ内に貯蔵され、言い換えれば、リザーバは、リザーバ内のエアロゾル前駆体材料の保持を増大させるように構成される。例えば、リザーバは、十分な力又は圧力が印加されると開位置まで動く出口弁を含み得る。1つの実施態様では、リザーバは、流体がリザーバに加えられていないときにリザーバの内部容積部を閉じるように作動する入口弁及び出口弁を備え、これにより液体をリザーバ内によりよく保持する。本開示では、エアロゾル前駆体材料がリザーバから出ることが十分に防止され、これにより、デバイスを扱う使用者と微生物の増殖の両方に関しての衛生状態の改善、並びに、エアロゾル化されていなくて、又は十分にエアロゾル化されていなくて、生成されたエアロゾルに影響を及ぼすエアロゾル前駆体材料からの異味などが存在することが減少するという潜在的な利点が得られる、実施態様を提示する。
【0018】
図1図3は、本開示の諸態様によるエアロゾル供給システム10の態様を示す概略図である。エアロゾル供給システム10は、エアロゾル供給デバイス部20(簡潔にするために、本明細書ではデバイス部20)と、カートリッジ部30(図2にはより明確に見える)とを備える。デバイス部分20は、本明細書では、「コントロールユニット」又は「再使用可能部」と呼ばれることもあり、これらの用語は、本明細書では「デバイス部」と交換可能と考えられる。カートリッジ部30は、より詳細に以下で説明するように、デバイス部20に取り出し可能に結合するように配置されている。
【0019】
図1は、デバイス部20に結合されたカートリッジ部30の概略的な断面図を示し、これは、使用者が通常、エアロゾル供給システム10を使用してエアロゾルを生成する一構成である。図2は、デバイス部20から分離したカートリッジ部30の断面図を概略的に示す。図3は、カートリッジ部30がデバイス部20から引き離されているデバイス部20の断面の斜視図を示す。図を分かりやすくするために、例えば配線及びより複雑な形状などの、様々な構成要素及び細部が図1図3では省略されていることに留意されたい。
【0020】
カートリッジ部30は、エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバ32を含む。この特定の実施態様では、エアロゾル前駆体材料は、液体エアロゾル前駆体材料(原料液体と呼ばれることもある)である。原料液体は、ニコチン及び/又は他の有効成分、並びに/或いは1つ若しくは複数の香料を含み得る。本明細書では、「香料」及び「香味料」という用語は、当地の規則で許可される場合に、所望の風味又は香りを作り出すために成人消費者向けの製品に使用されてもよい材料を指す。原料液体はまた、プロピレングリコール又はグリセロールなどの他の成分を含んでいてもよい。理解されるはずであるように、カートリッジ部30は、使用者が吸入するためにエアロゾル化される原料液体を収容する。
【0021】
デバイス部20は、外側ハウジング21と、生成されたエアロゾルが通過してデバイス部20を出ることができるマウスピース22と、カートリッジ部30を受け入れるためのレセプタクル23と、電源24と、制御回路25と、加圧流体生成器26と、アトマイザー27とを含む。
【0022】
デバイス部20は、例えばプラスチック又は金属材料から形成できる外側ハウジング21を含む。外側ハウジング21は、破線LAで示される長手方向軸線に沿って延びる概ね円筒形の形状を有し、それに対応して、長手方向軸線LAに沿って見たときに概ね円形の断面形状を有する。カートリッジ部30もまた、カートリッジ部の中心軸線(図示せず)に沿って延びる概ね円筒形の形状を有する。しかし、他の実施態様では、デバイス部20及び/又はカートリッジ部30の形状及び/又は断面形状は異なっていてもよく、楕円形、正方形、長方形、六角形、又は必要に応じて他の規則的若しくは不規則な形状などの諸形状を有し得ることを理解されたい。
【0023】
外側ハウジング21は、デバイス部20の一方の端部にマウスピース22を含み、このマウスピース22は、生成されたエアロゾルを使用者が吸入できるようにするための開口部22aをさらに含む。マウスピース22は、デバイス部20のハウジング21と一体化して形成されているが、他の実施態様では、マウスピース22は、衛生上の理由からマウスピースを交換できるようにするために、適切な機構、例えば、ねじ山又は押込みばめによってハウジング21に取り外し可能に結合することができる。マウスピース22は、システム10の通常の使用中に使用者の口に入れられるか、さもなければ使用者の口に近接する、デバイス部20の端部を画定する。デバイス部20のマウスピース端部はまた、近位端と呼ばれることもある。それに対応して、近位端の反対側の端部は、デバイス部20の遠位端と呼ばれることがある。外側ハウジング21はまた、デバイス部20の近位端と遠位端の間の側面を含み、この側面は、通常の使用の際に使用者が、例えば自分の手で保持する面である。
【0024】
デバイス部20は一般に、交換可能カートリッジ部30の予想寿命よりも長い動作寿命を持つ構成要素を含み、この構成要素は、リザーバ32に存在する原料液体の量によって画定することができる。デバイス部20は、複数のカートリッジ部30に対して使用されることが意図されており、それゆえにデバイス部20は、再使用可能であると言われる。図1及び図3を参照すると、ハウジング21は、カートリッジ部30を受け入れるように寸法設定されているレセプタクル23を含む。このレセプタクルは、カートリッジ部30がデバイス部20に結合される場所を画定する。レセプタクル23は、デバイス部20の遠位端と近位端の間に配置される。図1では、カートリッジ部30とレセプタクル23の内壁との間の隙間が分かりやすくする目的で強調されているが、実際の実施態様では、レセプタクル23/カートリッジ部30は、カートリッジ部30がレセプタクル23の中にぴったり収まるように寸法設定されている。再使用可能なデバイス部20とカートリッジ部30は、カートリッジ部30をデバイス部20から長手方向軸線LAにほぼ垂直な方向に引っ張り出すことによって、互いに分離可能/脱着可能である。カートリッジ部30がデバイス部20に結合されると、図1で大まかに示されているように、カートリッジ部30の中心軸線はデバイス部20の長手方向軸線LAと合致するが、他の実施態様では、これらの軸線が互いにオフセットしていることもある。
【0025】
図3に見られるように、この実施態様のレセプタクル23は、デバイス部20の中に延びる半円筒形の凹部が下に配置されている、半円筒形の切り欠き(すなわち、外側ハウジングの部分が何もない半円筒形の部分)であると大まかに考えることができる。これら2つの半円筒形部分は、クレードル構成を形成し、円筒形カートリッジ部30を中に配置できる実質的に円筒形の容積部を画定する。この実施態様では、円筒形カートリッジ部30の半分が半円筒形の凹部に収まり、外側ハウジング21によって覆われ、カートリッジ部30の他の半分は露出している。レセプタクル23及び/又はカートリッジ部30は、カートリッジ部30の外面がハウジング21の外面と大まかに合致するように形作ることができる。
【0026】
カートリッジ部30は、カートリッジ部30を長手方向軸線LAに向かう方向に押すことによってレセプタクル23に挿入され、カートリッジ部30を長手方向軸線LAから離れる方向に引っ張ることによってレセプタクル23から取り出される。カートリッジ部30を取り出しやすくするために、カートリッジ部30及び/又は外側ハウジング21は、使用者がカートリッジ部30を把持できるようにする機能部を有し得る。例えば、カートリッジ部30の外面に突起又は凹部を配置することができる。ハウジング21及び/又はカートリッジ部30はまた、カートリッジ部30をレセプタクル23内に保持するために、又は保持する助けにするために使用できるロック機構(図示せず)を備えることもできる。代替又は追加として、デバイス部20にヒンジで取り付けた蓋が、カートリッジ部30の露出部分を覆ってカートリッジ部30をレセプタクル23内に保持する、又は保持する助けになるように設けられてもよい。
【0027】
カートリッジ部30は、原料液体の供給が尽きたときに、又は使用者が原料液体の香料/タイプを変更したい場合にカートリッジ部30を交換するために、再使用可能なデバイス部20から取り出され、必要であれば別のカートリッジ部30と交換される。
【0028】
再使用可能なデバイス部20は、エアロゾル供給システム10に電力を供給するためのバッテリー又は電池(例えば、リチウムイオンバッテリー)などの電源24をさらに含む。バッテリーは、再充電可能及び/又は交換可能なものとすることができる。任意の適切なバッテリーが、再使用可能なデバイス部20内に設置されてよいことを理解されたい。
【0029】
制御回路25は、例えば、(マイクロ)コントローラ、プロセッサ、ASIC又は同様の形の制御チップを設けることによってエアロゾル供給デバイスの制御機能を実現する回路基板を含む。制御回路25は、アトマイザー27の動作、及び以下でより詳細に説明する加圧流体生成器26の動作を含む、システム10に付随する任意の機能を制御するように配置することができる。しかし、制御回路25はまた、バッテリー24の充電又は再充電、デバイス部20の動作状態/状況と関連付けられた視覚インジケータ(例えば、LED)/表示装置、又は外部デバイスと通信するための通信機能などを制御することもできる。制御回路25は、プリント回路基板(PCB)で構成することができる。制御回路25によって実現される機能は、複数の回路基板間、及び/又は、PCBに搭載されていない構成要素間で分割されてもよく、これらの追加の構成要素及び/又はPCBは、必要に応じてエアロゾル供給デバイス内に配置できることにも留意されたい。例えば、バッテリー24の(再)充電を制御するための制御回路25の機能は、放電を制御するための機能とは別に(例えば、別のPCB上に)設けることができる。
【0030】
加圧流体生成器26は、初期流体から加圧流体を生成できる構成要素である。言い換えると、加圧流体生成器26は、第1の圧力である流体の圧力を第2の圧力まで増大させることができる。記載の実施態様では、加圧流体生成器26は空気圧縮機26であり、したがって、加圧空気を生成することができる。空気圧縮機26は、1つ又は複数の空気圧縮機入口26bを介してデバイス部20の外部環境と流体連通しており、この空気圧縮機入口は、外側ハウジング21上に配置され空気圧縮機26の入口に流体結合された開口部であってよい。動作時、空気圧縮機26は、入口26bを介してデバイス部20の外部から空気を引き込み、環境空気よりも圧力が大きい加圧流体(より具体的には加圧空気)を生成することができる。図1では加圧流体生成器26が1つの特定の場所に示されているが、生成器26はデバイス部20内の任意の適切な場所に配置することができ、生成器をカートリッジ部30に適切に連結するには配管などを使用できることを理解されたい(より詳細に以下で説明する)。
【0031】
任意の適切な空気圧縮機26が、本開示の原理に従って使用されてよい。例えば、1つの実施形態では、空気圧縮機26は圧電ポンプである。空気圧縮機26が空気をどこまで昇圧するかは、カートリッジ部30の特性(以下でより詳細に論じる)に応じて実施態様ごとに異なり得る。記載の実施態様では、空気圧縮機から出力される加圧空気の圧力は、100~600mbarであるが、この値は、圧電ポンプの動作周波数及び所望の出力流量に依存し得る。
【0032】
アトマイザー27は、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成することができる任意の構成要素である。アトマイザー27は、抵抗加熱要素、誘導加熱要素、振動メッシュ、輻射熱源、化学物質などを含み得る。アトマイザー27の選択及び適性は、エアロゾル化されるエアロゾル前駆体材料によって決まり得る。具体的な例として、記載の実施態様では、アトマイザーは、非導電性基板(セラミックなど)と、電流が材料に通されると加熱される導電性材料(ニクロムなど)とを含む加熱要素27である。加熱要素27は、(長方形の)平面板の形を取る。導電性材料は、(例えば、バッテリー24から電力を加えることによって)抵抗加熱される。加熱要素27は、例えば150~350℃の範囲の、原料液体を気化してエアロゾルを生成できる温度に達するのに適している。
【0033】
加熱要素27の温度はまた、特定の実施態様では、特定の温度を達成及び/又は維持するように制御することもできる。図1には示されていないが、デバイス部30は、加熱要素27の温度を検知するように構成された、抵抗温度検出器(RTD)などの加熱要素温度センサを任意選択で含み得る。これらの実施態様では、制御回路25は、検知された加熱要素27の温度に基づいて特定の温度を達成又は維持するために、加熱要素27に供給される電力を制御することができる。しかし、他の実施態様では、加熱要素27の温度は、別個の温度センサを使用せずに、例えば、加熱要素27の電気抵抗を決定するように構成されている制御回路25によって得ることができる。
【0034】
図1及び図2を参照すると、カートリッジ部30は、外側ハウジング31、外側ハウジング31の内面によって画定されたリザーバ32、リザーバ32内の原料液体33、入口ポート34、及び出口ポート35を含む。
【0035】
カートリッジ部30の外側ハウジング31は、中空領域が外側ハウジング31内に存在するように構成されている。この中空領域は、カートリッジのリザーバ32を画定し、ある量の原料液体33、例えば、最大2mLの原料液体を貯蔵するように構成された容積部を形成する。原料液体33は、記載の実施態様では自由に供給され、このことは原料液体33が、主として外側ハウジング31の内面によってのみ保持され、それ以外ではリザーバ32内で自由に動くことを意味する。しかし、他の実施態様では、リザーバ32は、例えば、原料液体33に浸された綿又は発泡体を含み得る。
【0036】
入口ポート34及び出口ポート35は、カートリッジ部30の入口及び出口を画定する。入口ポート34及び出口ポート35は、リザーバ32に流体結合されており、したがって、それぞれリザーバ32の入口及び出口を形成している。入口ポート34は、カートリッジ部30がデバイス部20に結合されたときに、すなわちレセプタクル23に入れられたときに、入口ポート34がさらに、加圧流体通路26aを介して空気圧縮機26と流体連通するように配置されている。加圧流体通路26aは、空気圧縮機26の出口とレセプタクル23(及びカートリッジ部30がレセプタクル23に装着されたときの入口ポート34)とを流体結合する流路である。したがって、空気圧縮機26によって生成された加圧空気は、加圧流体通路26aを経由してカートリッジ部30の入口ポート34まで進むことができる。
【0037】
加圧流体通路26aとカートリッジ部30が結合されると(すなわち、カートリッジ部30がレセプタクル32に挿入されると)、加圧空気は流体通路26aに沿って入口ポート34まで誘導される。この関連で、加圧流体通路26aとカートリッジ部30(というよりも、加圧流体通路26aとカートリッジ部30の嵌合)は、加圧流体通路26aからの加圧空気の漏洩を防止又は低減するように構成されている。言い換えると、加圧流体通路26aは、カートリッジ部30及び/又は入口ポート34と係合して気密(又は実質的に気密)封止部を形成する。図1に示された実施態様、より明らかに図2及び図3に示された実施態様では、加圧流体通路26aは、わずかにレセプタクル23の中へ延びている。加圧流体通路26aの延長部は、カートリッジ部30の凹部34aに収まるように配置され、以て封止部を形成している。凹部34a及び/又は加圧流体通路26aの露出部は、気密封止部の形成を助けるOリングなどの、封止要素を任意選択で含み得る。加圧流体通路26aの露出部を凹部34aに挿入しやすくするために、加圧流体通路26a及び凹部34aの一方又は両方が可撓性材料(エラストマーなど)で形成され、及び/又はレセプタクル23は、使用者がカートリッジ部30をレセプタクル23に挿入し、次にカートリッジ部30の凹部34aを加圧流体通路26aの露出部に(長手方向軸線LAに沿った方向に)押し付けることができるように、カートリッジ部30の長さよりもわずかに長く寸法設定されている。これは、カートリッジ部30と加圧流体通路26aの間に気密の、又は実質的に気密の嵌合をどのようにして実現できるかの1つの例であることを理解されたい。他の実施態様では、凹部をレセプタクル23に形成し、入力ポート34は、レセプタクル23の凹部の中へ延びるように配置することができる。或いは、カートリッジ部30は、デバイス部20の対応するねじ山と結合するためのねじ山などの、別の結合機構を備えることもできる。
【0038】
カートリッジ部30がデバイス部20に結合されると、出口ポート35は加熱要素27の近傍に配置される。原料液体33は、出口ポート35から(より詳細に以下で説明するように)加熱要素27に向かって進むことができる。このようにして、原料液体33は、カートリッジ部30を出た後に加熱され、その後、空気入口28からデバイスに入る空気と共にエアロゾルを形成することができる。図示していないが、カートリッジ部30から排出された原料液体33をヒーター素子27に向けて案内する助けになるように、案内要素(中空円筒管など)が設けられることがある。
【0039】
記載の実施態様の入口ポート34及び出口ポート35は、図3でより明確に示されるように、それぞれの弁を含む。この弁は、閉鎖/封止(少なくとも液密)構成になるように付勢されるように構成されており、したがって、それぞれの弁に特定の閾値圧力が印加されることに応じて開くように配置されている。厳密に言うと、弁が開くべき決められている閾値圧力は、実際には、リザーバ32の外側の環境圧力に対する閾値圧力差である。したがって、カートリッジ部30は、デバイス部20から取り出されたときには液密であり、それゆえに、原料液体33がカートリッジ部30から漏洩する可能性は低いことになる。
【0040】
しかし、他の実施態様では、1つ又は複数の入口弁及び出口弁が存在せず、代わりに入口ポート34及び出口ポート35が常に開いていてもよいことを理解されたい。これらの実施態様では、原料液体33に対する入口ポート又は出口ポートの開口サイズ(すなわち、直径)を慎重に考慮することによって液密封止構成が得られ、それにより、原料液体33の表面張力が、特定の閾値圧力未満では原料液体33がカートリッジ部30から出ないようにするために利用される。この場合、圧力が、表面張力では液体をもはや保持できなくなる点を超えると、液体は出口ポート35から排出される。
【0041】
図1を再び参照すると、カートリッジ部30とデバイス部20の構成要素とからなる構成体は、圧縮機26によって生成された圧縮空気が、カートリッジ部30のリザーバ32の、マウスピース22に最も近い側に押し込まれるようになっている。すなわち、入口34は一般に、出口35よりもマウスピース22に近い。一般的に言えば、エアロゾル供給システム10の通常の使用中、使用者は、マウスピース22が使用者の口の中又はその近くにあるようにシステムを保持するが、遠位端(すなわち、マウスピース22の反対側の端部)は、マウスピース端部よりもわずかに低く保持される。すなわち、通常の使用の際にデバイスは、マウスピース端部が遠位端よりも上に持ち上げられている勾配で保持される。これは、リザーバ32内の液体が出口35の近くに位置する傾向があることを意味する。その後、この構成体は、通常の使用の際に、出口35と接触しているある量の液体があるために、空気が出口35から押し出される可能性を低減する助けになる。出口35及び入口34は、この効果を改善する助けになるように、カートリッジ部30内の様々な位置(例えば、軸線方向にオフセットされた位置)に配置できることを理解されたい。
【0042】
次に、このようなエアロゾル供給システム10の動作を、図4を参照して説明する。最初に、既にそのように行われていなければ、使用者は、原料液体33を収容するカートリッジ部30をデバイス部20のレセプタクル23に装着する(ステップS1)。述べたように、記載の実施態様では、このステップは、カートリッジ部30の軸線がデバイス部20の軸線LAと合致するように、カートリッジ部30をデバイス部20の軸線LAに向けて押すことによって、カートリッジ部30を挿入することを含む。
【0043】
次に、ステップS2で、使用者はエアロゾル供給システム10を電源オンにする。この関連で、ハウジング21は、デバイス部20をオフモードから、電力が電源24から制御回路25に供給されるオンモードへ遷移させるためのボタン又は他の駆動機構を含む。いくつかの実施態様では、デバイス部20がオフになっているときでも少量の電力が制御回路25に供給されることがあるが、ステップS2では、より大きい電力が供給されて、制御回路25のより多くの機能部に電力が供給されることが可能になることに留意されたい。
【0044】
ステップS3で、デバイス部20は、使用者動作を監視する。この使用者動作は、使用者がエアロゾルを吸入したいことを示すものである。例えば、その動作は、ハウジング21の表面のボタンなどを作動させることであり得る。例えば、使用者は、ボタンを押し、次にマウスピース22を自分の唇に近づけて吸入を始めることができる。或いは、動作は、実際にマウスピース22を吸う使用者に基づくものでもよい。例えば、デバイス部20は、使用者がデバイス部20を吸っているときを検出するように構成された圧力センサ又は空気流センサ(図示せず)を含み得る。上記の使用者動作のいずれかが検出された場合、この方法はステップS4に進み、さもなければデバイス部20は、使用者動作を引き続き監視する。
【0045】
ステップS3で使用者動作が検出されると、制御回路25は次に、ステップS4で、電力を空気圧縮機26に供給して加圧流体(空気)の生成を開始する。この関連で、制御回路25は、例えば、バッテリー24から特定の電力を供給することによって空気圧縮機26のモータを制御して加圧空気を生成する。ステップS5で、生成された空気は、加圧流体通路26aを介してカートリッジ部30の入口ポート34に印加(又は供給)される。加圧空気が入口ポートに印加されると、また、その圧力が入口ポート34の弁の閾値を乗り越えるのに十分であると、入口ポート34の弁が開かれる(したがって、リザーバ32を開く)。
【0046】
ステップS4及びS5は別個のステップとして示されているが、実際にはほぼ同時に実施されてもよいことを理解されたい。空気圧縮機は、囲まれた容積部に空気を強制的に送り込み、その容積部内の空気の圧力を徐々に増大させることによって動作する。囲まれた容積部は、別個の貯蔵容積部(例えば、空気圧縮機26の一部として形成されている)であっても、圧縮流体通路26a及び(閉じた)入口ポート34によって形成された容積部であってもよい。
【0047】
したがって、圧縮空気が圧縮機26内に貯蔵されている場合、又は通路26aまで分離されている場合には、圧縮空気の放出を制御することができる(例えば、制御回路25によって)。例えば、貯蔵容積部内の圧力がある限界に達すると、制御回路25は、弁を開くことによって圧縮空気を放出する(空気はその後、通路26に沿って移動する)ように構成することができる。或いは、空気圧縮機26は空気を通路26aに継続して供給することができ、これにより通路26a内の圧力が徐々に増加し、それゆえにステップS4とS5が実質的に同時に行われる。この場合、通路26a内の空気圧は、入口ポート34の弁が開くとき(また、圧縮空気がリザーバ32に入ることができるとき)まで、徐々に増加し得る。
【0048】
空気圧縮機26は、リザーバ内の圧力がどれだけ変えられるかを決定し得るいくつかの動作パラメータを有し得ることを理解されたい。例えば、空気圧縮機26は出力流量、例えば1秒当たりXmLの空気によって特性を示すことができる。Xの値、入力ポート34の弁の圧力閾値、及びリザーバによって画定された追加の「空の」容積部の値に応じて、入力ポート34の弁は、実際上開いたままにすることも、(入力ポート34の弁を再び開かせるのに十分な圧力が蓄積されるまで)閉じておくこともできる。具体的な例を提示するために、この実施態様では、入力ポート34の弁は開いたままであると仮定されている。
【0049】
次に、図5及び図6を参照して、原料液体33を収容しているリザーバ32に圧縮流体(すなわち、圧縮空気)が印加されたときに何が起きるかについて説明する。図5(a)~図5(d)は、リザーバ32に圧力を加えるサイクル中の様々な段階におけるカートリッジ部30(具体的には出口ポート35)の断面を示し、図6は、リザーバ32内の圧力Pをy軸線に、時間tをx軸線に示しているグラフである。
【0050】
図5(a)は、加圧流体がリザーバ32に印加されていないときのカートリッジ部32を示す。この状態では、出口ポート35の弁は閉じられている。リザーバ32内の圧力は、第1の圧力P1である。この状態は、図6でt=0からt=tまでに表されており、図はリザーバ32内の一定圧力P1を示している。上述のように、これは入力ポート34の弁が開く前の状態であり、したがって、空気圧縮機26はtまでの期間動作していることがあり、圧縮流体は、tからtの間入力ポート34の弁に印加されていることがあることを理解されたい。
【0051】
時刻tにおいて、入力ポート34の入口弁が空気圧縮機26からの圧縮流体(空気)によって開かれる。この時点で、圧縮空気がリザーバ32に入り始めることができる。このことは、図5(b)に矢印で示されている。時刻tで、リザーバ内の圧力が上昇し始める(図6に、tの後の傾斜線で示されている)。
【0052】
ある時点tで、リザーバ32内の圧力は、出口ポート35の出口弁を開かせるのに十分な大きさになる。言い換えると、リザーバの内部と出口ポート35の弁の外部環境との間に、出口ポート35の弁を開かせる圧力差が出る。図6で、この圧力差は圧力P2として表されている。それゆえに、リザーバ32内の圧力が圧力P2に達すると、出口ポート35の出口弁が開き、そうする際に、リザーバ32の内容物の一部分(例えば、原料液体33の一部分)がリザーバ32から漏出することが可能になる。図5(c)は、このような、原料液体33の滴がリザーバ32から漏出する(出る)状況を示している。
【0053】
この時点で、リザーバ32内の圧力が低下する。この圧力低下は、理想気体方程式PV=nRTを用いて、空気が理想気体として作用すること、この過程中に空気の温度が変化しないこと、及び原料液体33が非圧縮性であることを仮定して合理的に説明することができる。理想気体方程式で、Pは圧力であり、Vは理想気体が占める容器の容積であり、nは理想気体のモル数であり、Rは気体定数であり、Tは理想気体の温度である。以上の仮定のもとで、RTが定数であることは明らかであろう。原料液体がリザーバ32から排出される瞬間の直前及び直後で、リザーバ内の空気のモル数は当然一定である(言い換えると、nは一定である)と仮定することができる。これは、PVがある一定値に等しいことを意味する。述べたように、原料液体33の一部がリザーバ32から排出される。この排出された原料液体は、ある一定の体積を有する。原料液体が排出されると、リザーバ32内で空気が占めることのできる容積は増加している(排出された原料液体の体積に比例する量だけ - 原料液体が相対的に非圧縮性であると仮定すると、増加量は原料液体の体積に等しい)。これは、リザーバ32内の圧力が、一定値nRTを維持するために低下することを示唆する。
【0054】
図6で、圧力は、時刻tから時刻tまでに圧力P2からP1へ低下している。図6では、分かりやすくするために、tからtまでの期間が誇張されて示されている。実際の適用例では、tはtに非常に近いと考えられる。また、図6では時刻tでP1になる圧力を示しているが、必ずしもそうならないことがあることも理解されたい。というのはこの圧力が、空気圧縮機26の出力流量(すなわち、リザーバに入るガスのモル流量)に応じてP1よりもわずかに高くなることがあるからである。
【0055】
リザーバ32内の圧力が低下する結果として、出口ポート35の出口弁が閉位置に向けて付勢されて、追加の原料液体33がリザーバ32から出ることが阻止される。このことが図5(d)に示されている。
【0056】
したがって、本開示のカートリッジ部30内の圧力は、第1の圧力から出発し、リザーバ32に加圧流体が存在することにより第2の圧力まで上昇し、リザーバ32の内容物の一部がリザーバ32から排出されると、元の低い圧力へと下がることがわかる。
【0057】
このサイクルは複数回繰り返され得る。各サイクルでリザーバ32から出る原料液体33の量に応じて、上述の各サイクルがデバイス部20を1回吹かす/1回吸うことに適していることもあれば、ただ1回吹かすのに複数のサイクルが必要なこともある。後者の場合では、1回吹かすごとに生成できるエアロゾルの量に対して、より微細な制御を施すことができる。言い換えると、システム10は、カートリッジ部30から1秒当たりに排出されるエアロゾル生成材料の量を制御するように設定することができる。前者又は後者の事例は、デバイス部20及びカートリッジ部30の構成要素のパラメータを変更することによって実現できることもまた理解されたい。カートリッジ部30を出る原料液体の体積は、出口ポートの幾何形状、弁の特性、リザーバの特性などを含む様々なパラメータに依存し得る。さらに、1秒当たりに排出される原料液体33の量は空気圧縮機の出力流量に依存し、いくつかの実施態様では、制御回路25は、空気圧縮機26の出力流量(又は、より一般的にリザーバ32への加圧流体の流量)を調整することによってカートリッジ部30を出る液体の量を制御するように構成される。この流量は、ある量のエアロゾル生成材料を供給せよという指示などの使用者の入力に基づいて、又は使用者の吸入の特徴に応じて、調整することができる。
【0058】
図4を再び参照すると、ステップS4及びS5の後、この方法は、制御回路25が電力をアトマイザー27に供給するステップS6へ進む。より具体的には、制御回路25は、電力を加熱要素27の抵抗要素(複数可)に供給して抵抗要素(複数可)を発熱させる。制御回路25は、加熱要素27が、リザーバ32を出る原料液体33を気化させるのに適している温度に達するように構成される。述べたように、この温度は、気化されるべき原料液体33に応じて150℃~350℃の範囲内とすることができる。リザーバ32を出た原料液体33は次に、加熱要素27によって気化される。
【0059】
ステップS4、S5及びS6が順に説明されているが、これらのステップは任意の順序で実施されてよいことを理解されたい。場合によって加熱要素27には、原料液体33がリザーバ32から排出される前に電力を供給することがある。こうするのは、加熱要素27が動作温度に達するのに(言い換えると、熱的な遅れに対応するのに)一定の時間を必要とする場合であり得る。同様に、空気圧縮機26と加熱要素27の両方が動作状態に達するのに一定の時間を必要とする場合でもまた、ステップS5がステップS6の後に実施されることがある。
【0060】
使用者がデバイス部20のマウスピース22を吸うと、空気が、デバイス部ハウジング21に配置された空気入口28を介してデバイス部20に引き込まれる。空気通路は、加熱要素27を経由するように配置されている。この空気通路は、図1に、入口28から出発する一連の矢印で示されている。それゆえに、原料液体33が上述のように加熱要素27によって気化されると、空気が加熱要素27による生成蒸気と混合してエアロゾルを形成する。使用者の吸引動作とは、エアロゾルがその後、デバイス部20を通過してマウスピース22の開口部22aに至り、次にエアロゾルが開口部を通過して使用者の口/肺に至ることを意味する。
【0061】
ステップS7で、制御回路25は、ステップS3で検出された使用者動作があるかを引き続き監視する。その動作が持続されている場合、プロセスは上で論じたように継続する(このプロセスは、上述のステップS4からS6からなる別のサイクルを実行することを含み得る)。使用者動作が持続されていない場合、方法はステップS8へ進み、空気圧縮機26及び/又は加熱要素27の一方への電力を止めることができる。次に、方法はステップS3へ進み、このサイクルが次の使用者動作に対して繰り返される。
【0062】
図4に示された方法は例示的なものにすぎず、デバイスは、上で示唆されたように、図4に示されたものから修正された方法に従って動作できることを理解されたい。それゆえに、当面の利用、デバイスに使用される構成要素、及び/又は使用者の好みに応じて、デバイスは、適宜に構成又は設定することができる。
【0063】
上述の加圧流体生成器26は、より一般的に、加圧流体の供給源と呼ばれることがある。すなわち、本明細書で用いられる「加圧流体の供給源」とは、加圧流体が上述の初期の(非加圧又は低加圧の)流体から生成される機構だけを含むのではなく、貯蔵された事前加圧(すなわち、既に加圧された)流体の、例えば圧縮空気キャニスターなどの形の供給源も含むと考えられる。
【0064】
図7は、加圧流体の貯蔵器を含むエアロゾル供給システム110の概略断面図を示す。図7のシステム110は、図1に関して説明したものと同様又は同一の多くの構成要素を含む。これらの構成要素は、図1に関して使用されたのと同じ参照符号で示されており、したがって、これらの構成要素についての説明の反復は、説明を簡潔にするために本明細書では提示しない。
【0065】
エアロゾル供給システム110のデバイス部120は、空気圧縮機26及び制御回路25とは対照的に、加圧流体の貯蔵器126及びカートリッジ部30(図1に記載されたカートリッジ部30とほぼ同じ)への加圧流体の放出を制御するのに適した制御回路125を含むという点で、図1のエアロゾル供給システム10のデバイス部20とは異なる。
【0066】
より具体的には、デバイス部120は、この例では圧縮空気キャニスターを含む、加圧流体の貯蔵器126を備える。しかし、任意の記述の加圧流体を収納する任意の適切な容器が、本開示の原理に従って使用されてもよいことを理解されたい。加圧流体の貯蔵器は、例えば、加圧流体を収容する容器を充填するための既知の技術を用いて、デバイス部120に取り付けられる前に事前加圧される。それゆえに、本明細書では、加圧流体の貯蔵器はまた、流体の事前加圧貯蔵器と呼ばれることもある。流体の事前加圧貯蔵器は、カートリッジ部30がデバイス部120から分離可能であるのと同様に、デバイス部120から分離可能であり得る。それゆえに、事前加圧貯蔵器は、加圧流体がなくなったり、圧力が低くなりすぎて入口ポート34の入口弁が作動できなくなったりした場合に、取り外して別の事前加圧貯蔵器と交換することが可能である。制御回路125は、例えば、事前加圧貯蔵器から放出される流体の圧力を適切なセンサ(図示せず)を用いて監視することによって、又は事前加圧貯蔵器の使用状況を記録することによって事前加圧貯蔵器がいつ使い果たされるかを特定する機能を備えることができる。
【0067】
デバイス部120は、図1に関連して説明した流体通路26aとほぼ同様である加圧流体通路126aをさらに備える。しかし、この例の流体通路126aは、放出要素126cをさらに含む。放出要素126cは、流体通路126aを選択的に閉鎖するように構成されている作動可能部材である。放出要素126cは、閉鎖位置に向けて付勢することができる。放出要素126cは、制御回路125によって制御可能である。より具体的には、制御回路125は、図4のステップS3で使用者動作が検出されると、放出要素126cを作動させて通路126aを開かせるように構成される。閉鎖状態では、放出要素126cは、貯蔵器126から入口ポート34への事前加圧流体の流れを阻止する(又は大幅に減少させる)。しかし、開状態では、事前加圧流体は貯蔵器126から漏出し、入口ポート34に沿って進むことができる。放出要素126cは、圧縮空気などの流体が、例えば加圧消臭剤缶又は加圧塗料缶に使用されるアクチュエータなどの、他の方法で封止された容器から選択的に出られるようにするために使用できる、任意の適切な技術を使うことができる。放出要素126cは、デバイス内に(例えば、説明した流体通路126aの一部として)、又は貯蔵器126を形成する容器の一部として(例えば、容器のノズル又は弁の一部として)配置できることを理解されたい。後者の場合、貯蔵器126及び/又はデバイス部120は、放出要素126cがデバイス部120と係合し、デバイス部によって作動されることを可能にする係合機構を含み得る。
【0068】
いくつかの実施態様では、制御回路125は、入口ポート34への(したがって、リザーバ32への)流体の流れを、放出要素126cを様々な程度に作動させることに基づいて制御するように構成することができる。例えば、遅い流速は、部分的にだけアクチュエータを開くことによって達成することができる。このようにして、制御回路125は、加熱要素27に対する原料液体33の投与制御を行うように構成することができる。
【0069】
デバイス部120のハウジング121は、図1に関連して説明したハウジング21とほぼ同様であることにもまた留意されたい。しかし、デバイス部120は、流体の事前加圧貯蔵器120を含むので、図1に関連して説明したような空気入口26bの必要性がない。その理由は、流体の事前加圧貯蔵器は、加圧流体をデバイス部120の外部から生成しないからである。
【0070】
これで、エアロゾル前駆体材料を収容するためのリザーバと、リザーバに両方とも流体連結された入口ポート及び出口ポートと、入口ポートを介してリザーバに加圧流体を供給してリザーバの外部の圧力に対してリザーバ内の圧力を増大させ、それにより出口ポートを介してエアロゾル前駆体材料をリザーバから強制的に出すように構成されたコントロールユニットとを備える、エアロゾル供給システムが説明された。
【0071】
デバイス部20、120が、加圧空気をカートリッジ部30の入口ポート34に供給するように構成されていることを以上で説明したが、他の加圧流体がカートリッジ部30に供給されてもよいことを理解されたい。例えば、他の気体が加圧され、カートリッジ部30に供給されてもよい。或いは、水や油などの液体もまた、カートリッジ部30に供給されてよい。カートリッジ部30が原料液体33などの液体を収容する実施態様では、供給される液体は、原料液体33と混和できない(すなわち不混和性である)ことが好ましい。このようにして、不混和性液体は、原料液体33をカートリッジ部30から移動させるように作用する。通常の使用中にデバイス部20、120がどのように向けられているかに応じて原料液体がカートリッジ部30から確実に排出されるようにするのに、この液体は原料液体33よりも軽くても重くてもよい。
【0072】
加圧流体生成器(空気圧縮機26など)を含むデバイス部20が、空気をデバイス部20の外部から入口26bを介して引き込むための空気入口26bを追加的に含むことを以上で説明したが、こうであることは必ずしも必要ではない。いくつかの実施態様では、加圧流体生成器26は、水などの液体、又は空気ではない気体を加圧するように構成されている。これらの実施態様では、加圧される水又は気体は、(貯蔵器126と同様に)デバイス部20と一体化できる、又はデバイス部に挿入できる貯蔵器/容器に供給される。しかし、これらの実施態様では、加圧流体生成器26は、容器に貯蔵された流体を使用者入力に応じて加圧するように構成されている。この構成は、容器が(デバイス部120の場合のように)使用前に加圧される必要がなく、したがって、場合によっては使用者が補充又は交換しやすいことがあるので、有利であり得る。
【0073】
カートリッジ部30が、蒸気/エアロゾル前駆体として作用する原料液体を収容する液体リザーバを含むこともまた、以上で説明した。しかし、他の実施態様では、カートリッジ部30は、タバコ葉、挽きタバコ、再生タバコ、ゲルなど、他の形のエアロゾル前駆体材料を収容することができる。本明細書で説明した本開示の原理によれば、カートリッジ部30が正常な向きではないときに、より多くの固体/ゲルタイプのエアロゾル前駆体材料がカートリッジ部30を出ることができる度合いは相対的に少ないことがあるが、本開示はそれにもかかわらず、任意の形のエアロゾル前駆体材料に適用される。すなわち、本開示は、電子タバコなどの基材を燃焼させることなく化合物を基材から放出する加熱製品などの不燃性エアロゾル供給システムと、タバコ加熱製品と、基材を組み合わせたものからエアロゾルを生成するハイブリッドシステムとに関する。本明細書で場合によってエアロゾル前駆体材料又はエアロゾル化可能材料と呼ばれる基材は、液体、ゲル又は固体基材のいずれも含み得る。
【0074】
カートリッジ部30は、エアロゾル前駆体材料を組み合わせたものを備え得ることもまた理解されたい。本開示の諸態様に応じて任意の適切なタイプの気化要素/加熱要素が、例えば、ウィックとコイル、オーブン型ヒーター、LED型ヒーター、バイブレーターなどが選択されてもよいことを理解されたい。
【0075】
カートリッジ部30が加熱要素27(又は、より一般的に気化要素)を含まないこともまた、以上で大まかに説明した。いくつかの実施態様では、カートリッジ部30は、カートリッジ部30と一体化された加熱要素27を、加熱要素27がカートリッジ部30と共に捨てられるものとして含み得る。この場合、カートリッジ部30は、加熱要素27をデバイス部20の電源24に電気的に接続するための電気接続部を含み得る。
【0076】
他の実施態様では、カートリッジ部30は省略されることがあり、代わりにデバイス部20は、ある量のエアロゾル前駆体材料を直接受け入れることができるエアロゾル前駆体材料リザーバを備え得る。例えば、デバイス部は、原料液体がデバイス部20に入れられることを可能にする取り外し可能キャップ(例えば、ねじ係合キャップ)を有するリザーバを含み得る。(或いは、このような実施態様を考察するための代替方法は、カートリッジ部30がデバイス部20と一体化していることである)。本開示はまた、そのような蒸気供給システム10にも適用される。
【0077】
レセプタクル23がクレードル状の凹部を形成することを以上で説明したが、カートリッジ部30を収納するための他の機構が代わりに実施されてもよいことを理解されたい。例えば、ハウジング21、121は、長手方向LAに沿って互いに分離可能な2つの着脱可能な部分を備え得る。結合されると、2つの部分は、囲まれた円筒形レセプタクル23を画定するが、分離されると、これら2つの部分は円筒形レセプタクル23へのアクセスを可能にする。すなわち、分離した状態では、使用者は、カートリッジを長手方向の軸線LAの方向に沿って引っ張る又は押すことによって、カートリッジ部30を挿入又は取り出すことができる。代替機構には、例えば、ハウジング21にヒンジで取り付けられ、長手方向軸線LAに垂直な方向に動く可動クレードルが含まれ得る。当業者には、カートリッジ部30をデバイス部20、120に装填することを可能にする代替手法が知られよう。
【0078】
上述の実施形態では、いくつかの点で、いくつか特定の例示的なエアロゾル供給システムに焦点を当てたが、同じ原理が、他の技術を使用するエアロゾル供給システムに適用できることが理解されよう。すなわち、エアロゾル供給システムの様々な態様が機能する特定の方法は、本明細書に記載された諸例の根底にある原理と直接には関連しない。
【0079】
以上の開示は、エアロゾルを生成するために、例えば、ニコチンを含んでいることもいないこともある原料液体を加熱することによってエアロゾル化するように構成されたシステムに適用することができる。しかし、本開示はまた、固体/非晶質固体の基材を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出するように構成されたシステムにも適用できることを理解されたい。基材は、例えば、タバコ又は他の非タバコ製品であり、ニコチンを含んでいることもいないこともある。いくつかのシステムでは、固体材料/非晶質固体材料は原料液体に加えて提供されるので、本開示はまた、諸基材を組み合わせたものを燃焼させずに加熱することによってエアロゾルを生成するように構成されたハイブリッドシステムに適用することもできる。固体基材及び非晶質固体基材などの他の組み合わせもまた、本開示の範囲内に入る。より一般的には、基材には、例えば、固体、液体、又は非晶質固体が含まれてもよく、これらがニコチンを含んでいてもいなくてもよい。
【0080】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示は、特許請求された本発明(複数可)を実践できる様々な実施形態を例示によって示す。本開示の利点及び特徴は、諸実施形態の単なる代表例であり、網羅的及び/又は排他的なものではない。これらの利点及び特徴は、特許請求された本発明(複数可)を理解することを助け教示するためにだけ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示を限定するもの、又は特許請求の範囲の等価物を限定するものと解釈されるべきではないこと、並びに、特許請求の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、また修正を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、開示された要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段等の様々な組み合わせを適切に備えるか、これらから成るか、これらから本質的に成ることができ、したがって、従属請求項の特徴は、請求項に明示的に記載されたもの以外の組み合わせで独立請求項の特徴と組み合わされてもよいことが理解されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来は特許請求される可能性がある、他の発明を含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6
図7