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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230711BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20230711BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230711BHJP
   B65G 61/00 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01C21/34
G08G1/00 D
B65G61/00 542
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019121567
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021009448
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(73)【特許権者】
【識別番号】506402827
【氏名又は名称】株式会社ライナロジクス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小濱 裕士
(72)【発明者】
【氏名】朴 成浩
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180867(JP,A)
【文献】特開2017-222187(JP,A)
【文献】特開2004-005090(JP,A)
【文献】特開平06-119591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/34
G08G 1/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が移動する移動先のリストと、少なくとも地図に関する情報と前記移動先に関する情報とが含まれる移動関連情報とを用いて、前記移動先への移動順と前記移動先への到着予定時間と前記移動先からの出発予定時間とが少なくとも含まれる移動計画情報を作成する計画作成手段と、
前記移動体の移動実績を示す情報に基づいて、前記移動計画情報に対する実績を示す移動実績情報を作成する実績作成手段と、
前記移動計画情報と前記移動実績情報との差分を示す差分情報を作成する差分作成手段と、
前記差分情報に基づく内容の通知を、前記移動関連情報を更新するための更新情報を作成する端末に送信する通知手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記更新情報又は前記差分情報に基づいて、前記移動関連情報を更新する更新手段を有し、
前記計画作成手段は、
前記更新手段により移動関連情報が更新された場合、前記リストと、更新後の移動関連情報とを用いて、前記移動計画情報を作成する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記更新手段は、
前記差分情報と、前記情報処理システムとは異なるシステム又は装置から取得された外部情報とに基づいて、前記移動関連情報を更新する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記更新情報は、前記端末において、前記差分情報と前記外部情報とに基づいて作成される、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記外部情報には、公開の文献に記載されている文献情報、カメラ付き車両により撮影された走行画像情報、航空写真情報、衛星写真情報、道路及び道路の周辺を実地調査した結果を示す情報、道路の渋滞に関する情報、及び道路の通行止めに関する情報のうちの少なくともの1つの情報が含まれる、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記移動関連情報には、道路ネットワーク情報、住所情報、地図上における建物の表記情報、前記移動先の滞在時間情報、前記移動先の入口の位置を示す情報、前記移動先の搬入口の位置を示す情報、前記移動先における駐車位置を示す情報のうちの少なくとも1つの情報が含まれる、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
移動体が移動する移動先のリストと、少なくとも地図に関する情報と前記移動先に関する情報とが含まれる移動関連情報とを用いて、前記移動先への移動順と前記移動先への到着予定時間と前記移動先からの出発予定時間とが少なくとも含まれる移動計画情報を作成する計画作成手順と、
前記移動体の移動実績を示す情報に基づいて、前記移動計画情報に対する実績を示す移動実績情報を作成する実績作成手順と、
前記移動計画情報と前記移動実績情報との差分を示す差分情報を作成する差分作成手順と、
前記差分情報に基づく内容の通知を、前記移動関連情報を更新するための更新情報を作成する端末に送信する通知手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等を用いて何等かの物品を配送する配送サービスでは、出発時刻や配送先への到着予定時刻、各配送先の配送順等を予め配送計画として作成する場合が多い。このような配送計画は、配送条件(例えば、配送先への到着時間の指定等)を満たしつつ、各配送先に効率的に物品を配送できるように作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-180867号公報
【文献】特開2015-118668号公報
【文献】特開2017-36994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、配送計画(つまり、配送車等の移動体の移動計画)の精度が低い場合があった。例えば、配送計画には各配送先に物品を配送するための配送経路が含まれるが、この配送経路中の或る道路が通行できなかったり(例えば、配送車が大型車両のために通行できない)、配送先の建物の入口や搬入口等が不明であるために到着予定時刻に遅れたりする場合等がある。
【0005】
本発明の実施の形態は、精度の高い移動計画を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本実施形態に係る移動計画作成システムは、移動体が移動する移動先のリストと、少なくとも地図に関する情報と前記移動先に関する情報とが含まれる移動関連情報とを用いて、前記移動先への移動順と前記移動先への到着予定時間と前記移動先からの出発予定時間とが少なくとも含まれる移動計画情報を作成する計画作成手段と、前記移動体の移動実績を示す情報に基づいて、前記移動計画情報に対する実績を示す移動実績情報を作成する実績作成手段と、前記移動計画情報と前記移動実績情報との差分を示す差分情報を作成する差分作成手段と、前記差分情報に基づく内容の通知を、前記移動関連情報を更新するための更新情報を作成する端末に送信する通知手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
精度の高い移動計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る移動計画作成システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る移動計画作成装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る移動計画作成装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、精度の高い移動計画を作成することが可能な移動計画作成システム1について説明する。本実施形態では、一例として、車両等を用いて物品を配送する配送サービスの移動計画(つまり、配送計画)を生成する場合について説明する。ただし、移動計画は、配送計画に限られず、人や車両(車、自動二輪車、自転車、電車等も含む)、飛行機、船舶、屋内(例えば、物流倉庫内等)を移動する人やロボット等の種々の移動体が1つ以上の経由地を経由して出発地から目的地に向かうための計画であれば任意の計画であってよい。なお、移動計画は、経由地を経由しない計画(つまり、経由地を経由せずに、出発地から目的地に向かうための計画)であってもよい。
【0010】
例えば、移動計画としては、個人等の旅行計画、飛行機や船舶等の運航計画、セールスマン等の営業先訪問計画、顧客先に設置されている機械の定期メンテナンス訪問計画、各地に設置されている自動販売機への商品補充計画、バスやタクシー等の移動計画等が挙げられる。
【0011】
<従来技術で移動計画の精度が低くなる場合>
ここで、従来技術で作成された移動計画の精度が低くなる場合について説明する。移動計画は、例えば、配送先リスト、出発地、目的地、配送先間の移動時間を計算するためのネットワーク情報(例えば、道路ネットワーク情報等)を用いて作成される。なお、配送先リストとは、移動先リストの一例であり、例えば、配送先毎に、この配送先の住所(又はこの配送先の緯度・経度)が含まれるリストのことである。
【0012】
しかしながら、例えば、以下のような場合には、移動計画に含まれる到着予定時刻や出発予定時刻と実際の到着時刻(つまり、到着実績時刻)や実際の出発時刻(つまり、出発実績時刻)とに乖離が生じてしまう。
【0013】
・配送先の住所が変更になった(例えば、隣りのビルに移転した等)ために、配送先への到着が遅れた場合
・駐車可能な位置が不明なため、配送先への到着が遅れた場合
・車両で配送先に移動することができず、近くに駐車して徒歩に配送先に向かった結果、配送先への到着が遅れた場合
・配送先の入口や搬入口が不明なため、配送先での滞在時間が増えた場合
・配送先がビルやマンションの高層階であり、エレベータが無いために配送先での滞在時間が増えた場合
したがって、これらの場合、移動計画に含まれる到着予定時刻や出発予定時刻に関してその精度が高くない、ということができる。これは、配送先の住所や入口・搬入口の情報、その周辺の情報等が不正確であったり、最新でなかったりするためである。
【0014】
また、上述したように、移動計画はネットワーク情報を用いて作成されるが、ネットワーク情報だけでは精度の低い移動計画しか作成できない場合がある。例えば、ネットワーク情報を用いて出発地から目的地までの経路を探索したが、実際にはこの経路中の一部の道路で大型車が通行できないために回り道をする場合がある。同様に、例えば、ネットワーク情報を用いて出発地から目的地までの経路を探索したが、実際には工事等によってこの経路中の一部の道路では渋滞が発生しており、別の道路(例えば、抜け道等)を通行する場合がある。これらの場合、移動計画に含まれる経路(配送経路)に関してその精度が高くない、ということができる。これは、実際の道路の状況(例えば、幅員や渋滞状況、交通量等)は或る程度の期間で変化する場合があるのに対して、この変化がネットワーク情報に反映されていないためである。
【0015】
このように、従来技術で作成された移動計画では配送先の住所や入口・搬入口の情報、その周辺の情報等が不正確であったり、最新でなかったりすると共に、ネットワーク情報にも実際の変化が反映されていなかったりするため、移動計画の精度が低くなる場合がある。そこで、本実施形態では、移動計画と実際の移動実績との差分を用いて、これらの情報を更新することを繰り返すことで、移動計画の精度を上げる場合について説明する。
【0016】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る移動計画作成システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る移動計画作成システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る移動計画作成システム1には、移動計画作成装置10と、1以上のリスト作成者端末20と、1以上の機器30と、1以上の調査員端末40とが含まれる。また、これらは、例えばインターネット等の通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0018】
移動計画作成装置10は、配送先リストを示す情報(以降、「配送先リスト情報」とも表す。)と、移動関連情報とに基づいて、移動計画を示す情報(以降、「移動計画情報」とも表す。)を作成するコンピュータ又はコンピュータシステムである。ここで、移動関連情報とは、移動計画情報を作成するための情報のうち、配送先リスト情報以外の情報のことである。より具体的には、移動関連情報は地図や時間、空間、配送先及びその周辺等に関する情報であり、ネットワーク情報や住所情報、地図表記情報、滞在時間情報、入口・搬入口情報、駐車位置情報等が含まれる。これらの情報の詳細については後述する。
【0019】
また、移動計画作成装置10は、移動計画情報と、この移動計画情報に基づく移動の実績を示す情報(以降、「移動実績情報」とも表す)との差分を示す情報(以降、「差分情報」とも表す。)に基づいて、所定の内容(例えば、計画と実績とに差分(乖離)が生じている旨の内容等)を調査員端末40に通知したり、移動関連情報を更新したりする。
【0020】
リスト作成者端末20は、配送先リストを作成するリスト作成者が利用する端末であり、配送先リスト情報を作成して移動計画作成装置10に送信する。リスト作成者端末20としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末等の各種情報処理端末を用いることが可能である。
【0021】
機器30は、車両等に搭載される各種機器である。機器30は、車両から各種の実績情報を取得する。ここで、実績情報とは、例えば、当該機器30が搭載された車両の位置と、この位置情報が取得された日時とが含まれる情報のことである。ただし、これら以外にも、例えば、速度等が含まれていてもよい。機器30としては、例えば、各種センサ(例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、速度センサ等)を用いることが可能である。
【0022】
なお、機器30は、移動体の実績情報を取得可能であれば任意の機器を用いることが可能である。例えば、機器30として、車両の運転手が所持するスマートフォンやタブレット端末、ウェアラブルデバイス等が用いられてもよい。また、本実施形態では、一例として、機器30は車両に搭載されるものとしたが、移動体が人である場合には、例えば、スマートフォンやタブレット端末、ウェアラブルデバイス等を機器30として用いることが可能である。
【0023】
調査員端末40は、移動関連情報を更新するための情報を作成する調査員が利用する端末であり、移動計画作成装置10からの通知に応じて、移動関連情報を更新するための更新指示情報を作成して移動計画作成装置10に送信する。なお、更新指示情報とは、例えば、差分情報が示す差分を無くす又は削減するための更新内容が含まれる情報である。
【0024】
なお、図1に示す移動計画作成システム1の構成は一例であって、他の構成であってもよい。例えば、移動計画作成装置10とリスト作成者端末20とが一体で構成されていてもよい。
【0025】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る移動計画作成装置10やリスト作成者端末20、車載機やスマートフォン等である場合の機器30、調査員端末40のハードウェア構成について説明する。これらの装置や端末、機器は、例えば、図2に示すコンピュータ500により実現することができる。
【0026】
図2に示すコンピュータ500には、ハードウェアとして、入力装置501と、表示装置502と、外部I/F503と、RAM(Random Access Memory)504と、ROM(Read Only Memory)505と、プロセッサ506と、通信I/F507と、補助記憶装置508とが含まれる。これら各ハードウェアは、バスBで互いに接続されている。
【0027】
入力装置501は、例えばキーボードやタッチパネル、各種ボタン等であり、ユーザがコンピュータ500に各種入力を行うのに用いられる。表示装置502は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等であり、コンピュータ500の処理結果を表示する。なお、移動計画作成装置10には、入力装置501及び表示装置502の少なくとも一方が含まれていなくてもよい。
【0028】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体503a等がある。コンピュータ500は、外部I/F503を介して、記録媒体503aの読み取りや書き込み等を行うことができる。記録媒体503aには、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
【0029】
RAM504は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM505には、例えば、OS(Operating System)に関する設定情報や通信ネットワークNに接続するための設定情報等が格納されている。
【0030】
プロセッサ506は、例えばCPU(Central Processing Unit)等であり、ROM505や補助記憶装置508等からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、当該プログラムやデータに基づく処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や各種機能を実現する演算装置である。
【0031】
通信I/F507は、コンピュータ500を通信ネットワークNに接続するためのインタフェースである。コンピュータ500は、通信I/F507を介して、他の装置や端末、機器等との間で各種データ通信を行うことができる。
【0032】
補助記憶装置508は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。補助記憶装置508に格納されているプログラムやデータには、例えば、OS、当該OS上で動作するアプリケーションソフトウェア、本実施形態を実現する1以上のプログラム等がある。
【0033】
本実施形態に係る移動計画作成装置10やリスト作成者端末20、車載機やスマートフォン等である場合の機器30、調査員端末40は、図2に示すハードウェア構成により、後述するような各種処理を実現することができる。なお、本実施形態に係る移動計画作成装置10は、複数台のコンピュータ500により実現されていてもよい。また、コンピュータ500には、複数のプロセッサ506や複数のメモリ(例えば、RAM504、ROM505、補助記憶装置508等)が含まれていてもよい。
【0034】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る移動計画作成装置10の機能構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る移動計画作成装置10の機能構成の一例を示す図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態に係る移動計画作成装置10には、機能部として、計画作成部101と、実績収集部102と、差分情報抽出部103と、通知部104と、更新部106とが含まれる。これら各機能部は、例えば、移動計画作成装置10にインストールされた1以上のプログラムがプロセッサに実行させる処理により実現される。
【0036】
また、本実施形態に係る移動計画作成装置10には、記憶部110が含まれる。記憶部110は、例えば補助記憶装置等を用いて実現可能である。ただし、記憶部110は、移動計画作成装置10と通信ネットワーク等を介して接続される記憶装置等を用いて実現されていてもよい。
【0037】
記憶部110には、移動関連情報1000が記憶されている。移動関連情報1000とは、上述したように、地図や時間、空間、配送先及びその周辺等に関する情報のことである。本実施形態では、移動関連情報1000には、ネットワーク情報と、住所情報と、地図表記情報と、滞在時間情報と、入口・搬入口情報と、駐車位置情報とが含まれるものとする。
【0038】
ネットワーク情報とは、道路や航路、屋内を移動する人の動線等の経路ネットワークを表す情報であり、移動体が車両の場合には、例えば、道路ネットワーク情報等のことである。道路ネットワーク情報は、例えば、交差点等を表すノードと、ノード間を結ぶ道路等を表すリンクとで構成される情報である。また、ノード及びリンクには、属性情報(例えば、ノードの場合は「信号有無」等、リンクの場合は「幅員」や「道路種別」等)が対応付けられている。
【0039】
なお、ネットワーク情報は、例えば、移動体が飛行機や船舶等である場合には航路ネットワーク情報等と称されてもよいし、移動体が屋外を移動する人等である場合には歩行者ネットワーク情報等と称されてもよいし、移動体が屋内を移動する人等である場合には動線ネットワーク情報等と称されてもよい。
【0040】
住所情報とは、配送先の住所を表す情報である。なお、住所情報は、配送先の緯度・経度を表す情報であってもよい。
【0041】
地図表記情報とは、地図上の表記(例えば、建物名や駅名、個人宅の表札等)を表す情報である。滞在時間情報とは、配送先毎の滞在時間を表す情報である。入口・搬入口情報とは、配送先毎の入口の位置や配送先毎の搬入口の位置等を表す情報である。駐車位置情報とは、配送先又はその周辺で車両が駐車可能な位置を表す情報である。
【0042】
ただし、移動関連情報1000は上記に挙げた各情報に限られない。移動関連情報1000には、例えば、或る基準以上の車両(例えば、車幅が或る基準以上の車両や全高が或る基準以上の車両)は通行することができない道路を表す通行不可道路情報等が含まれていてもよい。
【0043】
計画作成部101は、リスト作成者端末20で作成された配送先リスト情報2100と、記憶部110に記憶されている移動関連情報1000とを入力として、移動計画情報2200を作成する。
【0044】
ここで、移動計画情報2200には、例えば、配送先の配送順と、当該配送先の名称と、当該配送先の住所と、当該配送先の緯度・経度と、当該配送先に到着したときの駐車位置(又は当該配送先の入口や搬入口)と、当該配送先への到着予定時刻と、当該配送先からの出発予定時刻と、当該配送先への配送内容とが含まれる。
【0045】
また、移動計画情報2200には、各配送先を経由して出発地から目的地までの向かうための経路の情報が含まれる。この経路は1つ以上のノードとノード間を結ぶリンクとで構成され、各リンクには、移動手段(例えば、車両や人、自転車、電車等)が対応付けられている。なお、このような経路の情報は、既知の経路探索技術を用いて作成することができる。以降では、移動計画情報2200に含まれる経路の情報を「予定経路情報」とも表す。
【0046】
例えば、或る営業所を出発して、配送先A~配送先Cに配送を行って、当該営業所に戻ってくる場合には、移動計画情報2200には、当該営業所を出発地及び目的地として、配送先A~配送先Bを経由する予定経路情報が含まれる。なお、このとき、当該移動計画情報2200には、配送先Aの「配送順、名称、住所、緯度・経度、駐車位置(又は入口・搬入口)、到着予定時刻、出発予定時刻、配送内容」と、配送先Bの「配送順、名称、住所、緯度・経度、駐車位置(又は入口・搬入口)、到着予定時刻、出発予定時刻、配送内容」と、配送先Cの「配送順、名称、住所、緯度・経度、駐車位置(又は入口・搬入口)、到着予定時刻、出発予定時刻、配送内容」とが含まれる。
【0047】
このとき、計画作成部101は、配送先リスト情報2100と、移動関連情報1000に含まれるネットワーク情報、住所情報、地図表記情報、滞在時間情報、入口・搬入口情報及び駐車位置情報とを用いて、移動計画情報2200に含まれる配送順や予定経路情報等を決定する。
【0048】
例えば、計画作成部101は、滞在時間情報を用いて、各配送先の到着予定時刻と出発予定時刻とを決定(具体的には、経路探索条件として、各配送先の滞在時間を指定した上で経路探索を行うことで、予定経路情報に含まれる各配送先の到着予定時刻及び出発予定時刻を決定)する。また、例えば、計画作成部101は、入口・搬入口情報を用いて、各配送先の入口や搬入口を決定(具体的には、例えば、地図上で建物の入口や搬入口がある位置を決定)する。また、例えば、計画作成部101は、駐車位置情報を用いて、各配送先の駐車位置を決定(具体的には、車両を駐車させることが可能な位置を決定)する。
【0049】
実績収集部102は、機器30から実績情報を収集して移動実績情報2300を作成する。移動実績情報2300には、移動計画情報2200と同一の項目又は対応する項目の実績値(実績情報が示す値)が含まれる。すなわち、移動実績情報2300は、例えば、配送順と名称と住所と緯度・経度と駐車実績位置(又は入口・搬入口)と到着実績時刻と出発実績時刻と配送内容とが含まれる。ここでは、例えば、駐車実績位置(又は入口・搬入口)と到着実績時刻と出発実績時刻とが実績値(つまり、実際に車両を駐車した位置(又は実際に車両が利用した入口や搬入口))、実際に当該配送先に到着した時刻、及び実際に当該配送先から出発した時刻)である。
【0050】
また、移動実績情報2300には、実際に車両が通った経路の情報も含まれる。以降では、移動実績情報2300に含まれる経路の情報を「実績経路情報」とも表す。実績経路情報も予定経路情報と同様に、1つ以上のノードとノード間を結ぶリンクとで構成され、各リンクには、移動手段が対応付けられている。なお、移動実績情報2300に含まれる各実績値や実績経路情報は、機器30から収集された実績情報(例えば、実際に車両が移動した座標(緯度・経路)の点列や各座標の通過時刻等の情報)から算出又は決定することができる。
【0051】
差分情報抽出部103は、移動計画情報2200と移動実績情報2300との差分を示す差分情報2400を作成する。ここで、差分情報2400とは、移動計画情報2200と移動実績情報2300との間で、互いに対応する情報同士の差分を示す情報が含まれる情報である。例えば、差分情報2400には、到着予定時刻と到着実績時刻との差分を示す情報、出発予定時刻と出発実績時刻との差分を示す情報、駐車位置(又は入口・搬入口の位置)と駐車実績位置(又は実際の入口・搬入口の位置)との差分を示す情報等が含まれる。また、例えば、差分情報2400には、予定経路情報と実績経路情報との差分(例えば、予定経路情報を構成するノード及びリンクと実績経路情報を構成するノード及びリンクとの差分やノードに対応付けられている移動手段の差分等)を示す情報が含まれる。
【0052】
これら以外にも、例えば、差分情報2400には、物品の搬入又は納入場所における滞在予定時間と、物品の搬入又は納入場所における滞在実績時間との差分を示す情報等が含まれてもよい。この差分を示す情報を用いることで、人が搬入又は納入場所まで物品を運搬するような場合に、段差の有無や段差の位置、エレベータの有無やエレベータの位置等を考慮して、移動関連情報1000を更新することができるようになる。より詳細には、例えば、車両を駐車位置に停めた後、台車等を利用してビルや建物内に人が物品を運搬する場合に、物品の搬入又は納入するフロアの位置やフロア内の位置、段差の有無、段差の位置、エレベータの有無、エレベータの位置等を考慮して、その差分を無くす又は削減するように移動関連情報1000を更新することが可能となる。
【0053】
通知部104は、差分情報抽出部103により作成された差分情報2400に基づいて、所定の内容を調査員端末40に通知する。このような通知の内容としては、例えば、移動計画情報2200と移動実績情報2300との間に差分が生じていること及びその差分内容が挙げられる。これにより、調査員は、例えば、この通知の内容に基づいて、実際に実地調査を行ったり、外部取得情報3000を用いて調査したりした上で、調査員端末40で更新指示情報を作成することができる。
【0054】
なお、この更新指示情報は、移動計画作成装置10に送信される。更新指示情報とは、移動関連情報1000を更新するための情報であり、例えば、移動関連情報1000に対する更新内容が含まれる情報である。具体的には、例えば、駐車予定位置と駐車実績位置との間に差分が生じている場合、更新指示情報には、移動関連情報1000に含まれる駐車位置情報を更新するための更新内容が含まれる。また、例えば、配送先の入口や搬入口が予定と実績との間で差分が生じている場合、更新指示情報には、移動関連情報1000に含まれる入口・搬入口情報を更新するための更新内容が含まれる。
【0055】
また、外部取得情報3000とは、外部のシステム又は装置から取得される情報であり、例えば、官報・公開情報、走行画像情報、航空写真情報、衛星写真情報、調査員収集情報、渋滞・通行止情報等が挙げられる。官報・公開情報とは、官報や公開の文献等に開示されている情報である。走行画像情報とは、予め道路を走行させたカメラ付き車両により撮影された画像の情報である。航空写真情報及び衛星写真情報は、それぞれ航空写真及び衛星写真の情報である。調査員収集情報とは、調査員が予め道路やその周辺を実地調査した結果の情報である。渋滞・通行止情報は、道路の渋滞に関する情報や道路の通行止めに関する情報である。
【0056】
このように、調査員は、調査員端末40に通知された通知の内容に基づいて、実際に実地調査を行ったり、外部取得情報3000を用いて調査を行ったりすることで、移動関連情報1000を更新するための更新指示情報を作成する。なお、外部取得情報3000は上述した情報に限られず、実際の道路の状況やその周辺の状況、建物の状況(入口や搬入口の位置等)等を調査又は解析するのに必要な情報であれば任意の情報が含まれてもよい。
【0057】
なお、更新指示情報には、更新内容として、調査員が実地調査や外部取得情報3000を用いた調査を行った結果として直接得られた情報だけでなく、この情報に関連する情報も含まれる。例えば、駐車予定位置と駐車実績位置との間に差分が生じた原因を調査した結果、駐車予定位置としていた道路の幅員が狭いことが分かった場合、更新指示情報には、関連情報として、移動関連情報1000に含まれるネットワーク情報を更新するための更新内容が含まれる。これ以外にも、更新指示情報には、調査員が実地調査や外部取得情報3000を用いた調査を行った結果として得られた種々の情報が更新内容として含まれていてもよい。これにより、差分情報2400として抽出された差分を無くすための更新内容だけでなく、実際に調査員が実地調査した結果や外部取得情報3000を用いて調査した結果も用いて移動関連情報1000を更新することができる。
【0058】
更新部106は、差分情報抽出部103により作成された差分情報2400又は調査員端末40から受信した更新指示情報を用いて、記憶部110に記憶されている移動関連情報1000を更新する。このとき、更新部106は、外部取得情報3000も用いて当該移動関連情報1000を更新してもよい。
【0059】
更新部106による更新の方法としては様々な方法が考えられるが、例えば、差分情報2400が示す差分を、移動関連情報1000に含まれる情報に加算(又は移動関連情報1000に含まれる情報から減算)したり、更新指示情報で移動関連情報1000に含まれる情報を上書きしたり、差分情報2400が示す差分に基づいて外部取得情報3000を解析したりすること等が挙げられる。
【0060】
なお、差分情報2400が示す差分を移動関連情報1000に含まれる情報に加算(又は移動関連情報1000に含まれる情報から減算)するとは、例えば、当該差分が、駐車予定位置と駐車実績位置との差分である場合、当該差分を、移動関連情報1000に含まれる駐車位置情報に加算(又は駐車位置情報から減算)すること等である。
【0061】
具体的には、或る配送先の駐車予定位置を(X,Y)、駐車実績位置(X,Y)とすれば、これらの差分は、(X-X,Y-Y)と表すことができる。このため、更新部106は、当該配送先の駐車位置情報(X,Y)に対して、差分(X-X,Y-Y)を加算して、当該配送先の駐車位置情報(X,Y)に更新する。
【0062】
なお、このとき、更新部106は、予め定められた重みを用いて、加算又は減算を行っても良い。具体的には、重みをα及びβ(ただし、0≦α≦1,0≦β≦1)として、更新部106は、当該配送先の駐車位置情報(X,Y)に対して、差分(α(X-X),β(Y-Y))を加算して、当該配送先の駐車位置情報を(X+α(X-X),Y+β(Y-Y))と更新してもよい。
【0063】
また、外部取得情報3000を解析する場合としては、例えば、駐車予定位置を(X,Y)と駐車実績位置(X,Y)とで差分があるときに、更新部106は、航空写真を解析して(X,Y)には道路がないことが検出されると、(X,Y)を含むリンクをネットワーク情報から削除する更新を行うこと等が挙げられる。
【0064】
なお、上記では更新方法を説明するにあたって、一例として、駐車位置情報を更新する場合について示したが、他の情報(例えば、滞在時間情報や入口・搬入口情報等)を更新する場合についても同様である。
【0065】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る移動計画作成装置10が実行する処理の流れについて、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る移動計画作成装置10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。以降のステップS101~ステップS105は、リスト作成者端末20で配送先リスト情報2100が作成され、移動計画作成装置10に送信される度に繰り返し実行される。
【0066】
ステップS101:計画作成部101は、リスト作成者端末20から送信された配送先リスト情報2100を受信すると、この配送先リスト情報2100と、記憶部110に記憶されている移動関連情報1000とを入力として、移動計画情報2200を作成する。
【0067】
なお、移動計画情報2200は、例えば、この移動計画情報2200に基づいて配送等を行う車両に搭載される車載機や運転手が所持するスマートフォンやタブレット端末、ウェアラブルデバイス等に送信される。これにより、当該車両の運転手は、配送計画情報2000に基づいて、物品の配送等を行うことができる。ただし、これ以外にも、例えば、移動計画情報2200を印刷した紙(例えば、運行指示書等のような紙帳票)が出力され、この紙が運転手に渡されてもよい。
【0068】
ステップS102:次に、実績収集部102は、上記のステップS102で作成された移動計画情報2200で物品の配送を行っている車両に搭載された機器30から実績情報を収集して、当該移動計画情報2200に対する移動実績情報2300を作成する。なお、上述したように、実績情報は機器30から収集されるだけでなく、例えば、当該車両のドライバーの所持する端末からの通知(メールや電話連絡等)によって行われてもよい。
【0069】
ステップS103:次に、差分情報抽出部103は、上記のステップS101で作成された移動計画情報2200と、上記のステップS102で作成された移動実績情報2300との差分を示す差分情報2400を作成する。
【0070】
ステップS104:次に、通知部104は、上記のステップS103で作成された差分情報2400に基づいて、所定の内容(例えば、移動計画情報2200と移動実績情報2300との間に差分が生じていること及びその差分内容等)を調査員端末40に通知する。
【0071】
なお、調査員端末40で作成された更新指示情報による更新を行わない場合には、上記のステップS104は実行されなくてもよい。この場合、後述するステップS105では、更新指示情報を用いた更新は行われない。
【0072】
ステップS105:次に、更新部106は、上記のステップS103で作成された差分情報2400又は調査員端末40から受信した更新指示情報を用いて、記憶部110に記憶されている移動関連情報1000を更新する。このとき、更新部106は、外部取得情報3000も用いて当該移動関連情報1000を更新してもよい。なお、上述したように、更新指示情報を作成する際に外部取得情報3000が用いられてもよいし、差分情報2400で移動関連情報1000を更新する際に外部取得情報3000が用いられてもよい。
【0073】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る移動計画作成システム1は、配送先リスト情報及び移動関連情報から作成される移動計画情報と、この移動計画情報に対する実績を示す移動実績情報との差分を用いて、当該移動関連情報を更新することを繰り返す。これにより、移動計画情報の作成と、実際の移動に基づく移動実績情報の作成とが繰り返されることで、実際の道路の状況やその周辺の状況、配送先の状況等を反映した移動関連情報に更新され、より精度が高い移動計画情報を作成することができるようになる。
【0074】
なお、本実施形態では、一例として車両等を用いて物品を配送する配送サービスの配送計画を生成する場合について説明したため、「配送先」や「配送先リスト」等の用語を用いたが、一般に、「配送先」や「配送先リスト」はそれぞれ「移動先」や「移動先リスト」等と称されてもよい。
【0075】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更等が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 移動計画作成システム
10 移動計画作成装置
20 リスト作成者端末
30 機器
40 調査員端末
101 計画作成部
102 実績収集部
103 差分情報抽出部
104 通知部
105 更新部
110 記憶部
図1
図2
図3
図4