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特許7311114成人対象における認知及び気分に対する植物ポリサッカライドの急性効果
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】成人対象における認知及び気分に対する植物ポリサッカライドの急性効果
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/715 20060101AFI20230711BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230711BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20230711BHJP
【FI】
A61K31/715
A61K31/7004
A61K31/7008
A61P25/28
A23L33/125
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020070727
(22)【出願日】2020-04-10
(62)【分割の表示】P 2017179578の分割
【原出願日】2012-04-24
(65)【公開番号】P2020125312
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-05-11
(31)【優先権主張番号】61/479,632
(32)【優先日】2011-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/453,540
(32)【優先日】2012-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507296115
【氏名又は名称】マナテク・インコーポレーテツド
(73)【特許権者】
【識別番号】513264588
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ サウス オーストラリア
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTH AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(72)【発明者】
【氏名】ベスト タリサ
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】Best, T. et al., Dev. Neuropsychol., 2010, vol. 35, no.1, p.66-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象における認識記憶力のための製剤であって、前記製剤が有効成分として、Ambrotose(登録商標)Complexに含まれる植物ポリサッカライド及びグルコサミンを含み、前記製剤が血中グルコースレベルの上昇を引き起こさず、前記製剤が、
認識記憶力の改善が必要なヒト対象を選択し、4グラム以上の前記Ambrotose(登録商標)Complexを前記ヒト対象に投与するステップ;
少なくとも30分待つステップ;及び
前記30分の経過後に前記ヒト対象において認識記憶力の改善を得るステップを含む方法において使用される、前記製剤。
【請求項2】
経口投与のために適合されている、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
粉末であるか、液体中に溶解されているか、カプセル化されているか、又はそれらの任意の組合せである、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
製剤の投与前にヒト対象において認識記憶力を評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記健常なヒト対象のベースラインレベル又は試験前レベルを決定するステップと、
前記製剤の投与後の1又は2以上の特定の時点で前記ヒト対象において前記認識記憶力を評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象の試験後レベルを決定するステップと、
前記ベースラインレベルと前記試験後レベルを比較して、前記ヒト対象における前記製剤の投与の継続、終了又は修正を決定するステップと
をさらに含む方法に用いられる、請求項1~3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
方法が、製剤の投与前及び投与後に血中グルコースレベルを測定するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
1種若しくは2種以上の薬剤、ビタミン、他の栄養補給剤又はそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、栄養補助食品の分野に関し、より詳しくは、中年成人における認知能力及び気分に関して有益な効果を及ぼす、植物ポリサッカライドを含む栄養補助食品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定するものではないが、本発明の背景を、植物ポリサッカライド、例えば、植物ポリサッカライドの栄養補助食品の健康効果に関連して説明する。
【0003】
Mcanalleyらに対して発行された米国特許第7,157,431号(2007年)は、
良好な健康状態を増進及び維持するための栄養補助食品及び栄養サポート用の植物炭水化物の組成物を開示している。規定された栄養有効量の1~11種の必須サッカライドが、栄養補助食品としての種々の発明組成物中に使用されている。本明細書における食餌組成(dietary composition)は、植物栄養素、ビタミン、無機質、ハーブエキス及び他の無
毒性の栄養素を含むことができる。本明細書における糖類栄養素用栄養補助食品は、糖タンパク質の構成単位である必須サッカライドを提供する。これらの組成物は、経口投与又は局所投与された場合に、種々の障害を患っている哺乳動物のウェルビーイング(well being)を改善することが判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,157,431号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、植物ポリサッカライドを含有する栄養補助食品の有益な健康効果を記載する。より具体的には、本発明は、栄養補助食品を含有する植物ポリサッカライドの投与後における、中年成人における認知能力及び気分の改善を詳述する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、本発明は、ヒト対象における、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せを必要とする前記ヒト対象を特定するステップと、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せに充分な量の、栄養有効量の栄養補助食品を投与するステップとを含む方法を提供した。本発明の一態様において、栄養補助食品は、経口投与のために適合されており、粉末の形態であるか、液体中に溶解されているか、カプセル化されているか、又はそれらの任意の組合せである。
【0007】
前述の方法は、(i)栄養補助食品の投与前にヒト対象において認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象のベースラインレベル又は試験前レベルを決定するステップと、(ii)前記栄養補助食品の前記投与後の1又は2以上の特定の時点で前記ヒト対象において前記の認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象の試験後レベルを決定するス
テップと、(iii)前記ベースラインレベルと前記試験後レベルを比較して、前記ヒト対
象における前記栄養補助食品の投与の継続、終了又は修正を決定するステップとをさらに含む。
【0008】
別の態様において、ヒト対象は、1若しくは2以上の心臓病(heart condition)、糖
尿病、頭部/脳損傷、神経学的疾患(neurological condition)、神経変性状態、精神疾患(psychiatric condition)又はそれらの任意の組合せを患っていてもよい。さらに別
の態様において、緊張又は不安は、1若しくは2以上のストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、心的外傷又はそれらの任意の組合せに起因する。別の態様において、栄養補助食品は、中枢神経系作用薬によって誘発される1若しくは2以上の副作用、アルコール依存症又はそれらの任意の組合せを軽減する。
【0009】
前記方法は、栄養補助食品の投与前及び投与後に血中グルコースレベルを測定するステップをさらに含む。別の態様において、栄養補助食品は、対象において血中グルコースレベルの上昇を引き起こさず、栄養補助食品を、1つの剤形又は剤形の組合せで同時に又は連続して投与してもよい。さらに別の態様において、栄養補助食品は、1種若しくは2種以上の薬剤、ビタミン、他の栄養補給剤(nutritional supplement)又はそれらの任意の組合せと同時に又は連続して投与してもよい。
【0010】
前記方法において記載した栄養補助食品は、(i)単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、(ii)ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量とを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態において、血中グルコースレベルの上昇を引き起こさない、ヒト対象における、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せのための方法が記載される。この方法は、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せを必要とするヒト対象を特定するステップと、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せに充分な量の、栄養有効量の栄養補助食品を投与するステップとを含む。一態様において、栄養補助食品は、経口投与のために適合されている。別の態様において、栄養補助食品は、粉末であるか、液体中に溶解されているか、カプセル化されているか、又はそれらの任意の組合せである。さらに別の態様において、この方法は、栄養補助食品の投与前及び投与後に血中グルコースレベルを測定するステップと、血中グルコースレベルが異常に上昇した場合、栄養補助食品の投与を終了させるステップとを含む。
【0012】
前記方法は、追加のステップをさらに含み、これらは、(i)栄養補助食品の投与前にヒト対象において認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象のベースラインレベル又は試験前レベルを決定するステップと、(ii)前記栄養補助食品の投与後の1又は2以上の特定の時点で前記ヒト対象において前記の認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象の試験後レベルを決定するステップと、(iii)前記ベースラインレベルと前記試
験後レベルを比較して、前記ヒト対象における前記栄養補助食品の前記投与の継続、終了又は修正を決定するステップとを含む。一態様において、ヒト対象は、1若しくは2以上の心臓病、糖尿病、頭部/脳損傷、神経学的疾患、神経変性状態、精神疾患又はそれらの任意の組合せを患っていてもよい。別の態様において、緊張又は不安は、1若しくは2以
上のストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、心的外傷又はそれらの任意の組合せに起因する。さらに別の態様において、栄養補助食品は、中枢神経系作用薬によって誘発される1若しくは2以上の副作用、アルコール依存症又はそれらの任意の組合せを軽減する。
【0013】
本発明の方法の栄養補助食品は、1つの剤形又は剤形の組合せで、1種若しくは2種以上の薬剤、ビタミン、他の栄養補給剤又はそれらの任意の組合せと同時に又は連続して投与することができる。栄養補助食品は、(i)単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量とを含む。関連した態様において、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドは、グルコサミン及びラムノースをさらに含む。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、血中グルコースレベルの上昇を引き起こさない、ヒト対象における、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せを必要とする前記ヒト対象を特定するステップと、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せに充分な量の、栄養有効量の栄養補助食品を投与するステップとを含む方法を開示する。ここで開示される栄養補助食品は、単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量とを含む。
【0015】
本発明の特徴及び利点をより完全に理解するために、次に、添付した図と共に、発明の詳細な説明に言及する。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)ヒト対象における認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、
認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せを必要とするヒト対象を特定するステップと、
認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せに充分な量の、栄養有効量の栄養補助食品を投与するステップと
を含む方法。
(2)栄養補助食品が、経口投与のために適合されている、上記(1)に記載の方法。
(3)栄養補助食品が粉末であるか、液体中に溶解されているか、カプセル化されているか、又はそれらの任意の組合せである、上記(1)に記載の方法。
(4)栄養補助食品の投与前にヒト対象において認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象のベースラインレベル又は試験前レベルを決定するステップと、
前記栄養補助食品の投与後の1又は2以上の特定の時点で前記ヒト対象において前記認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための
1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象の試験後レベルを決定するステップと、
前記ベースラインレベルと前記試験後レベルを比較して、前記ヒト対象における前記栄養補助食品の投与の継続、終了又は修正を決定するステップと
をさらに含む、上記(1)に記載の方法。
(5)ヒト対象が、1若しくは2以上の心臓病、糖尿病、頭部/脳損傷、神経学的疾患、神経変性状態、精神疾患又はそれらの任意の組合せを患っていてもよい、上記(1)に記載の方法。
(6)緊張又は不安が、1若しくは2以上のストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、心的外傷又はそれらの任意の組合せに起因する、上記(1)に記載の方法。
(7)栄養補助食品が、中枢神経系作用薬によって誘発される1若しくは2以上の副作用、アルコール依存症又はそれらの任意の組合せを軽減する、上記(1)に記載の方法。
(8)栄養補助食品の投与前及び投与後に血中グルコースレベルを測定するステップをさらに含む、上記(1)に記載の方法。
(9)栄養補助食品が、対象において血中グルコースレベルの上昇を引き起こさない、上記(1)に記載の方法。
(10)栄養補助食品を、1つの剤形又は剤形の組合せで同時に又は連続して投与し得る、上記(1)に記載の方法。
(11)栄養補助食品を、1種若しくは2種以上の薬剤、ビタミン、他の栄養補給剤又はそれらの任意の組合せと同時に又は連続して投与してもよい、上記(1)に記載の方法。(12)栄養補助食品が、
単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、
ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量と
を含む、上記(1)に記載の方法。
(13)血中グルコースレベルの上昇を引き起こさない、ヒト対象における、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組み合わせのための方法であって、
認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せを必要とするヒト対象を特定するステップと、
認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せに充分な量の、栄養有効量の栄養補助食品を投与するステップと
を含む方法。
(14)栄養補助食品が、経口投与のために適合されている、上記(13)に記載の方法。
(15)栄養補助食品が粉末であるか、液体中に溶解されているか、カプセル化されているか、又はそれらの任意の組合せである、上記(13)に記載の方法。
(16)栄養補助食品の投与前及び投与後に血中グルコースレベルを測定するステップをさらに含む、上記(13)に記載の方法。
(17)血中グルコースレベルが異常に上昇した場合、栄養補助食品の投与を終了させるステップをさらに含む、上記(13)に記載の方法。
(18)栄養補助食品の投与前にヒト対象において認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象のベースラインレベル又は試験前レベルを決定するステップと、
前記栄養補助食品の投与後の1又は2以上の特定の時点で前記ヒト対象において前記認知、記憶、気分、緊張若しくは不安のレベル又はそれらの任意の組合せを評価するための
1又は2以上の試験を実施して、前記ヒト対象の試験後レベルを決定するステップと、
前記ベースラインレベルと前記試験後レベルを比較して、前記ヒト対象における前記栄養補助食品の投与の継続、終了又は修正を決定するステップと
をさらに含む、上記(13)に記載の方法。
(19)ヒト対象が、1若しくは2以上の心臓病、糖尿病、頭部/脳損傷、神経学的疾患、神経変性状態、精神疾患又はそれらの任意の組合せを患っていてもよい、上記(13)に記載の方法。
(20)緊張又は不安が、1若しくは2以上のストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、心的外傷又はそれらの任意の組合せに起因する、上記(13)に記載の方法。
(21)栄養補助食品が、中枢神経系作用薬によって誘発される1若しくは2以上の副作用、アルコール依存症又はそれらの任意の組合せを軽減する、上記(13)に記載の方法。
(22)栄養補助食品を、1つの剤形又は剤形の組合せで同時に又は連続して投与し得る、上記(13)に記載の方法。
(23)栄養補助食品を、1種若しくは2種以上の薬剤、ビタミン、他の栄養補給剤又はそれらの任意の組合せと同時に又は連続して投与してもよい、上記(13)に記載の方法。
(24)栄養補助食品が、
単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、
ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量と
を含む、上記(13)に記載の方法。
(25)少なくとも5種の単離・精製したサッカライドが、グルコサミン及びラムノースをさらに含む、上記(24)に記載の方法。
(26)ヒト対象における、認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、
認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せを必要とするヒト対象を特定するステップと、
認知の改善、気分の改善、学習の改善、記憶の改善、緊張の低減、不安の低減、精神的疲労の低減、行動の修正、又はそれらの任意の組合せに充分な量の、栄養有効量の栄養補助食品を投与するステップと
を含み、前記栄養補助食品が、
単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、
ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量と
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】試験日の実施順序を時間で示す試験プロトコールの略図である。
図2】治療後における、参加者による精神的疲労の主観的評定を示すプロットである。
図3】血中グルコースレベルに対する、ポリサッカライド、プラセボ及びスクロースの効果を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の種々の実施形態の製造及び使用について以下に詳細に論じるが、本発明は、多岐にわたる具体的な状況において具体化できる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解すべきである。本明細書中で論じる具体的な実施形態は、本発明を製造及び使用するための具体的な方法を単に例証するものであり、本発明の範囲を定めるものではない。
【0018】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書中で定義する用語は、本発明が関連する分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a、an」及び「the」などの用語は、単数形の要素のみを指すが、例証のために具体例を使用できる一般的種類を含む。本明細書中の専門用語は、本発明の具体的な実施形態を記載するのに使用するが、それらの使用は、特許請求の範囲に概説した場合を除き、本発明の範囲を定めるものではない。
【0019】
本明細書中で使用する用語「炭水化物」は、炭水化物化学の分野で定義がよく知られている用語「サッカライド(saccharide)」、「ポリサッカライド」、「オリゴサッカライド」及び「糖(sugar)」と同義で使用する。本発明の組成物は、11種の必須サッカラ
イドのうちの少なくとも1種を含むことを意図するが、サッカライドは、モノサッカライド、オリゴサッカライド及び/又はポリサッカライドの形態であることができる、例えば、トラガカント及びグアーガムを含有する組成物は、ガラクツロン酸、フコース、キシロース、アラビノース、ラムノース、マンノース及びガラクトースを含有するとみなされることに留意すべきである。したがって、所与の栄養補助食品中の特定のガムの量を制御することによって、前記栄養補助食品中の各サッカライドの量を制御できる。
【0020】
本発明は、前記の11種の必須サッカライドを含むが、本発明の栄養補助食品には、他のサッカライド、栄養化合物又は生物学的に活性若しくは不活性な化合物を含めることができることに留意すべきである。このような他の栄養化合物としては、任意の1種又は2種以上の植物栄養素、ディオスコリア(dioscorea)複合体、植物抽出物、ハーブエキス
、植物部位、ハーブ成分、ビタミン又は無機質を挙げることができる。これらの栄養化合物は、本発明の栄養補助食品に添加することもできるし、前記栄養補助食品が投与される哺乳動物に別個に施すこともできる。
【0021】
良好な健康状態を増進することができ及び本発明の栄養補助食品中に組み込むか又は本発明の栄養補助食品と一緒に投与することができる、栄養価が推測されるか又は立証されている多くの植物及びハーブエキスがある。このような植物及びハーブエキスは、植物又はハーブから物質、化合物又は作用剤を抽出するためのよく知られた手順に従って得ることができる。本発明の栄養補助食品には、多くの異なる型のビタミン及び無機質を含めることができる。合成起源のいくつかのビタミン及び無機質が栄養価を有するが、本明細書における栄養補助食品の特定の実施形態は、主に天然源から得られた無毒性のビタミン及び無機質の栄養有効量を含有する。
【0022】
本明細書中で使用する用語「栄養有効量」は、哺乳動物において有益な栄養効果又は応答をもたらす量を指す。例えば、ビタミン含有栄養補助食品及び無機質含有栄養補助食品に対する栄養応答は、哺乳動物によって異なるので、前記ビタミン及び無機質の栄養有効量はそれぞれ異なることを理解すべきである。したがって、ある哺乳動物が、規定量で存在するビタミン及び無機質の特定プロフィールを必要とすることがある一方で、別の哺乳動物は、異なる規定量で存在するビタミン及び無機質の同じ特定プロフィールを必要とすることがある。
【0023】
本発明の栄養補助食品には、他の化合物、作用剤及び栄養素、例えば、セルロース、炭
酸カルシウム、コーラナッツ、コーラナッツエキス、ゼニアオイ(country mallow)、アトランティックケルプ(Atlantic kelp)、カイエンペッパー、シリカ、ステアリン酸、
アミノ酸、グリシン、リシン、グルタミン酸、アルギニン、炭酸カルシウム、オーチックサブスタンス(orchic substance)、クエン酸ホウ素、ピコリン酸クロム、必須の繊維、精油、必須の植物物質、必須の腸内生態系及び細菌叢成長促進物質、必須脂肪酸、生プロバイオティス細菌叢、タンパク質並びに酵素なども含めることができる。
【0024】
本発明の栄養補助食品は、散剤、再構成可能な散剤、液体-固体懸濁剤、液剤、カプセル剤、錠剤、カプレット剤、ローション剤及びクリーム剤の剤形で調製し、哺乳動物に投与した。本栄養補助食品が、灌注、眼、耳、直腸、舌下、経皮、頬側、膣内又は皮膚投与に適切なように製剤化することも可能なことは、製剤の科学における当業者には容易に明らかになるはずである。したがって、他の剤形、例えば、チュアブルキャンディーバー、濃縮製剤、点滴剤、エリキシル剤、乳剤、フィルム剤、ゲル剤、顆粒剤、チューインガム剤、ゼリー剤、油剤(oil)、パスタ剤、パステル剤、ペレット剤、シャンプー剤、リン
ス剤、ソープ剤、スポンジ剤、坐剤、スワブ剤、シロップ剤、チュアブルゼラチン形態又はチュアブル錠を使用できる。
【0025】
食事はヒトによって異なるため、本発明の栄養補助食品は、様々な投与量で投与でき、様々な投与単位強度で製剤化できる。例えば、11種の必須サッカライドのうち9種が食事に欠けているヒトに対しては、これら9種のサッカライドを栄養有効量で含有する栄養補助食品を製剤化できる。同様に、必須サッカライドの生体吸収が極めて効率的なヒトに対しては、低減された量の必須サッカライドを含有する栄養補助製剤を調製できる。
【0026】
栄養補助食品の投与量は、それを摂取する際に哺乳動物が患っている個々の病気又は障害によっても異なり得ることに留意すべきである。例えば、慢性疲労症候群又は線維筋痛症を患っているヒトは一般に、栄養面での利益を得るために、禁酒しようとしているアルコール依存患者とは異なる用量を必要とする。栄養補助食品の適切な用量は、栄養補助食品の特定の用量に対する患者の応答、即ち、全身健康状態を監視することによって容易に決定できる。同様に、植物栄養素、植物エキス、ハーブエキス及び/又はディオスコリア複合体などの別の作用剤を本発明の糖類栄養素用栄養補助食品と一緒に哺乳動物に投与している場合、栄養補助食品及び各作用剤の適切な投与量は、それぞれの特定の用量に対する患者の応答、即ち、全身健康状態を監視することによって同様にして容易に決定できる。
【0027】
栄養補助食品を、1つの剤形で又は剤形の組合せで同時に又は連続して投与し得ることが、本発明によって企図される。本発明の栄養補助食品は、全般的な健康上の利益を即時に提供することが可能であり及びまさにそのような可能性もあるが、このような利益の実現には数日、数週間又は数ヶ月を要し得る。それにもかかわらず、本発明の糖類栄養素用栄養補助食品は、それを摂取する哺乳動物において有益な栄養応答をもたらす。
【0028】
本発明は、中年成人における認知能力及び気分に対する植物ポリサッカライドの有益効果を記載する。本発明の方法は、年齢45~60才の成人において、無作為化プラセボ対照二重盲検試験計画を用いて、記憶の課題、高度認知要求の連続減算課題(Serial Threes及びSerial Sevens)及び迅速視覚情報処理(RVIP,Rapid Visual Information Processing)課題に対する、植物ポリサッカライドの独特の組合せの急性効果を研究する。
この研究の結果から、記憶力及び高度認知要求課題に対する、植物ポリサッカライドの急性摂取の有益な効果が示される。重要なことに、これらの増強効果は血中グルコース応答とは無関係であった。全般的に見ると、本発明の発見は、ポリサッカライドが記憶を増強することを示唆している。
【0029】
本発明の栄養補助食品は、単離・精製したアセチル化マンノースの栄養有効量と、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、N-アセチルノイラミン酸、フコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸及びアラビノガラクタンから選択される少なくとも5種の単離・精製したサッカライドの栄養有効量とを含む。本発明の一態様において、少なくとも5種の単離・精製したサッカライドは、必須サッカライドであり、さらにグルコサミン及びラムノースを含む。
【0030】
アセチル化マンノース及び少なくとも5種の単離・精製したサッカライドは、モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーの形態で提供され、粉末の形態で入手できるか、液体中に溶解されているか、又はカプセル化されていてもよい。
【0031】
当業者ならば、アセチル化マンノース及びサッカライドを種々の天然源から入手できることがわかるであろう。アセチル化マンノースの供給源の非限定的な例は、アロエベラ及びアセチル化ポリマンノースからなる群であり、サッカライドは、トラガカントガム、グアーガム、穀粉、米粉、サトウキビ、てんさい糖、ジャガイモ、ミルク、寒天、アルギン、ローカストビーンガム、サイリウム、カラヤゴム、シードガム、カラマツエキス(Larch tree extract)、ガッティガム、デンプン、セルロース、分解セルロース、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、ペクチン、キチン、アカシア、アラビアガム、アルギン酸、カラギーナン、デキストラン、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸、スクロース、マルトース、グルカン、レンチナン、マンナン、レバン、ヘミセルロース、イヌリン、フルクタン及びラクトースからなる群から得ることができる。
【0032】
認知能力及び気分の改善に加えて、本発明者らは、天然及び/又は合成の、モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーの形態のアセチル化マンノース、ガッティガム、トラガカントガム、グルコサミン、コーンスターチ及びアラビノガラクタンの栄養有効量を含む栄養補助食品は、アルコール依存症の哺乳動物における行動の修正に使用できると仮定する。この栄養補助食品は、これが投与されているアルコール依存症の哺乳動物において、アルコールに対する要求を低減することができる。別の特定の実施形態において、この栄養補助食品は、抑うつ状態及び怒りのうち少なくとも1つを低減するか又は認知、エネルギー及び前向きな態度のうち少なくとも1つを増加させることによって、アルコール依存症の哺乳動物の全般的ウェルビーイングを改善することができる。
【0033】
天然及び/又は合成の、モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーの形態のアセチル化マンノース、ガッティガム、トラガカントガム、グルコサミン、コーンスターチ及びアラビノガラクタンの栄養有効量を含む、本明細書中に開示した栄養補助食品は、生物学的に有効であるが不所望な副作用を引き起こす作用剤を投与されている哺乳動物において前記副作用を低減することができる。この栄養補助食品は、中枢神経系作用薬の不所望な副作用を低減し得る。
【0034】
本発明において実施した研究は、無作為化並行群間プラセボ対照二重盲検試験計画を用いた。植物ポリサッカライド混合物あるいはスクロース又はデンプンプラセボが投与されるように、参加者を無作為に割り付けた。
【0035】
この研究のボランティアは、口頭、テレビ及び印刷媒体によって、アデレード及びメルボルンの地域住民コミュニティから採用した。試料は、45~60才の健常な中年の男女で構成した。選択基準には、英語力があること、大きな心臓手術又は糖尿病の既往歴がないこと、あるいは認知能力に影響を及ぼす可能性がある、頭部/脳損傷又は神経学的疾患若しくは精神疾患に対する治療薬の投薬歴がないことを含めた。
【0036】
本明細書中に示した研究は、1又は2以上のストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、心的外傷、アルコール依存症、及び1種又は2種以上の中枢神経系(CNS)作用薬に対する副反応の既往歴のあるボランティアを除外した。しかし、前記栄養補助食品は、この研究の1又は2以上の除外条件に該当する対象の認知及び気分に対して有益な効果を有すると予想されることがわかる。
【0037】
この研究には93人が登録したが、19人が1回目の来院前に、仕事の都合のため、予約来院時間を守ることができなかったため及び同時に発生した生活/家族の必要性のために離脱し、もはや活動を完了させたくなくなった1人が、評価の途中で同意を取り消した。73人のボランティアが、急性介入研究を完了した。
【0038】
参加前に、ボランティアは、書面によるインフォームドコンセントを提出し、年齢、ボディマスインデックス(kg/m)を算出するための身長及び体重、教育年数、1週間当たりの労働時間数、自己評価健康状態(1=不良から5=優までの尺度で評定)、使用した栄養補助食品の数、使用した治療薬の数、1週間当たりの運動時間数、1日当たりの喫煙本数、並びに飲酒量(典型的な一日に消費される標準アルコール飲料の本数)を特定するための、健康状態の背景に関する質問票に答えた。3つの治療群の記述統計を表1に示す。さらに、参加者はまた、背景の気分及びウェルビーイングを特定するための、気分状態プロフィール(POMS,Profile of Mood state)質問票及びショートフォーム健
康調査(Short-form health survey)(SF-36)に答えた。研究は、サウスオーストラリア大学(the University of South Australia)及びスウィンバーン工業大学のヒト
研究倫理委員会(Swinburne University of Technology Human Research Ethics Committees)の承認を受けた。
【0039】
手順:各参加者は、1日に3.5時間、研究施設に行き、その間に2つの試験セッション、1つのベースライン試験及び1つの治療後試験を完了した。試験は全て、8:00~12:00及び13:00~18:00に行った。試験日には、参加者は、来院の2時間前から、あらゆる興奮性飲食物(即ち、茶、コーヒー、他のカフェイン含有製品)の摂取を控えた。ボランティアは全て、来院の2時間前から絶食させた。各試験日は、診療モジュール、気分及び認知の評価尺度に関する治療前のベースライン試験セッションからなり、この直後に、治療前血中グルコースを測定し、治療を施した。
【0040】
参加者は、乱数発生器の無作為化コードを用いて、3つの治療条件:スクロース(粉砂糖)、プラセボ(米粉)及び植物サッカライド(Ambrotose(登録商標)Complex)のうちの1つに割り当てた。3つの栄養補助食品条件の密度が異なることを考慮して、各治療薬の重量及び体積を、スクープ量に関して測って、同等の4g用量を提供した。各参加者に、栄養補助食品を食匙で水100mlと共に与えた。本発明者らは各参加者に、栄養補助食品を口に入れ、5分以内に与えられた水でそれを流し込むことによって、粉末を吸ったり粉末上に息を吐きかけたりすることなく粉末を慎重に摂取するよう指示した。要求に応じて、追加の水を与えた。次いで、参加者に、吸収ができるように30分間休息するよう指示した。30分間の吸収時間後、指の毛細血管の血中グルコースを測定した。次に、治療後試験セッションを開始し、RAVLTと認知要求バッテリー(Cognitive demand battery)とを交互に行った。試験セッションの完了後、最終的な血中グルコース測定を行った。図1は、研究日の実験順序を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
評価尺度:学習及び記憶並びに認知の評価尺度
学習及び記憶:Rey Auditory-Verbal Learning Test(RAVLT)[1]を用いて、
即時想起、遅延想起、学習及び認識記憶を評価した。試験者は5回のトライアル全てにわたり、15個の名詞(リストA)を声に出して読み、各トライアル後に、任意の順序で15個の単語をできるだけ多く想起するよう参加者に求める。5回のトライアルのスコアを合計して、直接想起の評価尺度とし、トライアル5とトライアル1の差を学習の評価尺度として使用する。15個の異なる単語(リストB)からなる6回目のトライアルの後、参加者に再び、リストAに示されていた単語を想起するよう命じ(トライアル7)、次に60分の間隔を置いた後に再び同様なことを行う(トライアル8)。トライアル7及び8からのスコアを用いて、遅延想起の評価尺度を作成し、トライアル8及び7において想起された単語の差を、忘却の評価尺度として使用し、トライアル7とトライアル5との差を干渉の評価尺度として使用する。トライアル8の後に、不正解の単語20個の中にリストA及びBからの単語を含有する50個の単語のシートを参加者に示す。参加者に、リストA及びBからの単語を見分けて、それらの単語がリストA及びBのいずれに記載されていたかを示すよう求める。正しく特定された各単語に1点を与え、認知の評価尺度とする。
【0043】
認知要求バッテリー:コンピューター化されたバッテリーは、連続的な認知要求課題の間に、遂行の速度、正確さ及び精神的疲労を測定する10分間評価の6回反復からなる。このバッテリーの各10分間サイクルは、2種の連続減算課題(Serial Threes-2分間
及び Serial Sevens-2分間)、迅速視覚情報処理課題(RVIP-5分間)及び視覚的
アナログ精神的疲労スケール(1分間)を含む。このバッテリー内の課題は、チョウセンニンジン及びココアなどの他の栄養介入の効果に対して感受性であることを示されている[2、3]。個々の課題を以下に記載する。
【0044】
a)Serial Threes減算課題(Serial Threes subtraction task)(2分):参加者に
、コンピューターに示された800から999のランダムな開始数字から3ずつ引いていくよう命じる。コンピューターのキーボード最上部の直線状の数字キーを用いて、可能な限り速く及び可能な限り正確にそれらの回答を入力するよう、参加者に指示する。開始数字は、参加者が最初の回答を入力すると、スクリーンから消去される。参加者によるその後の3つの数字の回答がそれぞれ、アスタリスクとしてスクリーン上に示される。参加者は、各回答の終わりを示すためにエンターキーを押し、スクリーンから3つのアスタリスクを消去する。課題は、正答及び誤答の数、平均反応時間、及び所与の平均反応時間当たりの正答の割合(正確さ対速度)についてスコア化する。
【0045】
b)Serial Sevens減算課題(Serial Sevens subtraction task)(2分):この課題
は、参加者に7を引くよう求める以外はSerial Threes減算課題と同一である。
【0046】
c)迅速視覚情報処理課題(RVIP-5分):参加者に、連続する3つの奇数数字又は連続する3つの偶数数字のターゲット列について、連続して並んでいる数字を監視するよう命じる。数字は、毎分100個の速度でスクリーン上に示される。参加者は、ターゲット数字列を検出したら可能な限り速くスペースバーを押すことによって回答する。課題を、正確に検出されたターゲット列の数、正答の百分率、フォールスアラームの回数、正しい検出の平均反応時間、及び平均反応時間当たりの正答の割合(正確さ対速度)についてスコア化する。
【0047】
d)「精神的疲労」視覚的アナログスケール(1分):参加者は、精神的疲労の主観的な感情を、アンカーが「全く疲れていない」及び「非常に疲れている」である100mmの視覚的アナログスケールで評定する。
【0048】
気分及びウェルビーイングの評価尺度:背景の全体的な気分及びウェルビーイングを、気分状態プロフィール(POMS)及びSf-36健康調査で評価して、群間のあらゆる背景差を特定した。治療条件によって影響される可能性がある試験日における主観的な気分状態を、1枚のペーパー-ペンシル型状態-特性不安質問票、並びに3つの気分状態、即ち、覚醒、平穏及び満足感を測定する1つの視覚的アナログスケールを用いて評価した。
【0049】
(i)POMS[4]は、6つの気分状態:緊張-不安、抑うつ状態-意気消沈、怒り-敵意、気力-活気、疲労-無気力、及び混乱-困惑に関連する65項目を含有する自己申告質問票である。参加者には、今日を含む過去1週間にいかに感じたかを示す5段階尺度(0=全くそうでない~4=極めてそうである)で、これらを評定するよう求めた。
【0050】
(ii)SF-36健康調査[5]は、7つの全身健康状態及びウェルビーイングの概念:1)健康問題を理由とする身体機能の制約;2)身体的又は情緒的問題を理由とする社会生活機能の制約;3)身体的健康問題を理由とする日常役割機能の制約;4)全般的なメンタルヘルス(心理的苦痛及びウェルビーイング);5)情緒的問題を理由とする日常役割機能の制約;6)活力(エネルギー及び疲労);及び7)全体的健康観の全体にわたる身体的及び心理的な健康状態の評価尺度を提供する。
【0051】
(iii)状態-特性不安質問票[6]は、不安症状の有(例えば、「私は緊張している
」)及び無(例えば、「私は安心している」)を記録する20項目を含有する。参加者に
、一般的にどのように感じているかに従って、各項目を「全くない」~「ほとんどない」~「非常にあてはまる」~「ほぼ必ず」の範囲の4段階尺度で評定するよう求める。これらを合わせて、20~80の合計スコアとする(低いスコアほど、不安が少ないことを表す)。
【0052】
(iv)Bond-Lader視覚的アナログスケール(VAS)[7]は、16×100mm視覚的アナログスケールからなる。参加者は、16対の関連反意語(例えば、注意深い-夢を見ているような、苦しい-平静、幸福な-悲しい、覚醒している-眠い)に相当する現在の主観的気分状態を、コンピューターのマウスを用いて、気分レベルを反映する位置のラインをクリックすることによって示す。得られたスコアを合わせて、自己評価による覚醒、平穏及び満足感の評価尺度とする。
【0053】
血中グルコースの測定:血中グルコース試料を、自動分析装置(Accu-check、至適血中グルコースモニター及び試験紙)を用いて測定した。血液試料は、自己管理単回使用キャピラリー、使い捨て採血ランセットチップを用いて採取した。採血前の消毒には、アルコールをしませたクレンジングスワブを用いた。血中グルコースの読み取り値を、3つの試験点:治療前、治療後及び認知試験の後において評価し、記録した。
【0054】
統計分析:主要評価項目は、記憶力、気分及び認知要求バッテリー(CDB)の成績並びに精神的疲労の主観的評定とした。全てのデータを、「投薬前ベースラインからの変化のスコア」として、SPSS 17統計パッケージを用いて分散分析(ANOVA)を使用して
分析した。ベースラインからの変化のスコアを歪める可能性がある偶然のベースライン差を検定するために、主要統計分析の前に、一元配置分散分析とBonferroni補正を全て、全てのベースラインデモグラフィック、全体的な気分及びウェルビーイング評価尺度、並びに全ての投薬前ベースライン評価尺度について行って、評価項目における全ての予測される共変数を決定した。
【0055】
ベースラインの健康状態及び安定:背景デモグラフィック評価尺度では、群間に有意差は認められなかった(表1)。POMS不安尺度では、群間に有意差が認められた(F(3,68)= 3.25、p=0.044)(表2に見られる)。事後比較により、別の
群と有意差のある群はないことが明らかになったが、平均の方向は、プラセボ群がポリサッカライド群及びスクロース群の人々よりも不安が少ないことを示唆した(それぞれ、p=0.06及び0.08)。
【0056】
したがって、POMSからの不安下位尺度を、記憶、認知要求課題及び主観的気分評定のベースライン評価尺度及び治療後評価尺度におけるあらゆる群間差の分析の共変数として用いた。
【0057】
記憶又は主観的気分評定の評価尺度ではベースラインにおいて群間に有意差は認められなかった。要求バッテリーからの迅速視覚情報処理課題における正答の百分率及び正答数に、群間でわずかに有意でない差が認められた(それぞれ、p=0.052及びp=0.053)。有意ではなかったが、ポリサッカライド群の人々は、プラセボ条件の人々より高い平均成績を示した(p=0.08)が、スクロース群の人々ではそうではなかった(p=0.14)。したがって、RVIP課題についての、ベースラインからの治療後変化のスコアの分析において、ベースライン成績を共変数として用いた。
【0058】
【表2】
【0059】
急性補給の効果:記憶:投薬後の「ベースラインからの変化」のスコアを、表3に示す。認識記憶課題(F(3,68)=5.89、p=0.004)、リストA(F(3,68)=3.17、p=0.044)及びリストB(F(3,68)=5.17、p=0.009)にはそれぞれ、ベースライン成績からの変化に有意な群間差が認められた。事後分析から、ポリサッカライド群の人々は、治療後に、スクロース群の人々と比較した場合のみ、全体的に有意に多い単語を認識した(p=0.004)。具体的には、ポリサッカライド条件の人々は、スクロース群の人々よりも、リストBから有意に多くの単語を認識した(p=0.007)。ポリサッカライド条件の人々は、スクロース条件の人々と比較して、リストAからより多くの単語を認識する傾向があった(p=0.083)が、プラセボ条件との比較ではその傾向がなかった。
【0060】
認知要求:Serial 3s:正答数に対する時間の有意な主効果(F(5,340)=2.
16、p=0.05)及び治療の主効果の傾向(F(2,68)=2.70、p=0.07)が認められ、平均の方向は、ポリサッカライド群における正答数はスクロース群の人々と比較して高い(p=0.07)が、プラセボ群との比較ではそうではないことを示した。治療と時間との間に有意な相互作用は認められなかった(F(10,340)=0.94、p=0.48)。
【0061】
所与の平均反応時間当たりの正答数の割合に対する時間の有意な主効果(F(5,340)=3.94、p=0.002)、及び治療の主効果の傾向(F(2,70)=2.96、p=0.058)が認められ、平均の方向は、ポリサッカライド群における所与の平均反応時間当たりの正答の割合はスクロース群の人々と比較して高い(p=0.058)が、プラセボ群との比較ではそうではないことを示した。時間と治療との間に有意な相互作用は認められなかった(F(10,340)=0.898、p=0.54)。
【0062】
誤答数又は平均反応数に対して、時間、治療又は時間と治療との間の相互作用のいずれかと関連する統計的に有意な効果は認められなかった。
【0063】
Serial 7s:正答数に対しては時間の有意な主効果が認められた(F(5,340)=
2.52、p=0.02)が、治療の有意な主効果は認められなかった(F(2,68)=0.547、p=0.58)。時間と治療との間には有意な相互作用が認められた(F(10,340)=2.53、p=0.006)。対比較は、プラセボ群より正答が有意に多かったポリサッカライド群の人々(p=0.02)、及びプラセボ群より正答が有意に多かったスクロース群の人々(p=0.04)に関して、20分の時点で有意な群間差を示した。
【0064】
所与の平均反応時間当たりの正答の割合に対する時間の有意な主効果は認められず(F(5,340)=1.66、p=0.14)、治療の主効果も認められなかった(F(2,68)=0.93、p=0.39)。時間と治療との間に有意な相互作用が認められた(F(10,340)=1.91、p=0.04)。対比較は、プラセボ群よりも正答が有意に多かったポリサッカライド群の人々(p=0.03)に関しては、20分の時点で有意な群間差を示したが、スクロース群に関してはそうではなかった。
【0065】
誤答数又は平均反応数に対して、時間、治療又は時間と治療との間の相互作用のいずれかと関連する統計的に有意な効果は認められなかった。
【0066】
RVIP:総回答数、正答数若しくは誤答数に対して、時間、治療又は時間と治療との間の相互作用のいずれかと関連する統計的に有意な効果は認められなかった。
【0067】
精神的疲労:精神的疲労の主観的評定に対する時間の主効果が認められ(F(5,340)=75.44、p<0.001)、疲労は経時的に増加した(図2に図示)。治療の主効果(F(2,68)=2.04、p=0.13)も、時間と治療との間の相互作用(F(10,340)=1.39、p=0.18)も有意でなかった。対比較は、摂取の約40分後においてスクロース群の人々と比較して疲労の感情の有意な減少(p=0.01)を報告したポリサッカライド群の人々に関して、10分の時点で有意な群間差を示した(F(2,70)=4.27、p=0.018)。
【0068】
気分:状態-特性質問票によって測定した主観的不安レベル、又は覚醒、満足感及び平穏のBond-Laderスケール(ベースラインからの変化のスコアとしての)のいずれに対しても、治療に関連する統計的に有意な効果は認められなかった。
【0069】
血中グルコースの測定:時間の有意な主効果(F(2,140)=37.28、p<0
.001)及び時間と治療条件との間の有意な相互作用(F(4,140)=8.39、p=<0.001)が認められた。治療条件の有意な主効果は認められなかった(F(2,70)=2.41、p=0.09)。対比較は、栄養補助食品の摂取の30分後の時点において、ポリサッカライド栄養補助食品を摂取した人々は、プラセボを摂取した人々(p=0.038)及びスクロースを摂取した人々(p<0.001)よりも血中グルコース応答が有意に低いことを示す。具体的には、スクロースを摂取した個人及びプラセボを摂取した個人の血中グルコース応答と比較して、ポリサッカライド摂取後の血中グルコース応答に上昇は認められなかった(図3に図示)。
【0070】
【表3】
【0071】
本研究は、中年成人における認知及び気分に対する植物サッカライド(Ambrotose(登
録商標)Complex)の急性効果を記載する。本明細書中に示した研究を用いて、サッカラ
イドが、記憶、認知、ウェルビーイング及び気分に対するプラスの急性効果を有するか否か、並びにあらゆる効果を血糖効果によって、例えば、代謝基質としてのグルコースの供給によって説明できるか否かを判定した。使用した方法は、非常に努力を要する及び精神的に疲れている状態の対象間における治療(サッカライド、スクロース及びプラセボ)の効果を調べる新規な計画を可能にした。
【0072】
上記で示した結果は、認識記憶力に対する植物ポリサッカライド摂取の効果がスクロース摂取と比較して有意であることを示している。具体的には、精神的疲労の主観的評定の増加にもかかわらず、以前に学習した単語の認識が、スクロースと比較して、植物ポリサッカライドを摂取した人々では有意に高かった。認識記憶力に対するこのプラスの効果は、植物ポリサッカライドを投与された人々は、提示された情報のコード化が促進され、キューとして単語が提示された場合に、その情報をより簡単に取り出すことができることを示唆している。
【0073】
認知要求バッテリーにおける課題の成績に関しては、行ったSerial Threes減算の数及
び割合に対してポリサッカライドに治療効果の傾向が認められた(それぞれ、p=0.07及び0.058)。しかし、Serial Sevens減算については、有意な時間と治療との間
の相互作用のみが得られた。具体的には、治療条件と正答数との間に有意な相互作用が認められた。重要なことに、対比較は、ポリサッカライド条件の人々では、プラセボ条件の人々と比較して、バッテリーの2回目のサイクル(摂取の約1時間後)において行った正答の数が有意に多いことを示した。
【0074】
Serial Sevens減算課題の成績は、Serial Threes減算課題よりも著しく要求が厳しいとみなされ(Kennedy and Scholey, 2000)、作業記憶及び実行資源(executive resource
)により強く依拠する。現在の結果は、植物ポリサッカライドの摂取が、精神的疲労の状態にかかわらず、作業記憶力を維持することを示唆している。興味深いことに、Serial Threes減算課題及びSerial Sevens減算課題の成績はいずれも注意の成分を有するので、植物ポリサッカライドの摂取後のSerial Threes減算課題の成績の改善の傾向は、潜在的な
作業記憶及び注意の効果を示し得る。
【0075】
気分に関しては、治療条件と、不安、覚醒、満足感又は平穏の感情の主観的評定の変化との間に有意な相互作用は認められなかった。重要なことに、植物ポリサッカライド摂取後には、血中グルコース応答とは無関係に、認識記憶及び作業記憶の効果が観察された。植物ポリサッカライドの摂取後に血中グルコースの上昇がなかったことから、記憶の効果は血中グルコースレベルの調節に直接関連しなかったことが示される。
【0076】
結論として、本研究は、血中グルコース応答とは無関係の、健常中年成人における植物ポリサッカライド摂取と関連する認知機能に対する急性利益の最初の研究である。これらの発見は、認識記憶力、並びに高度要求及び精神的疲労条件における作業記憶及び実行機能を反映する認知課題に、4gの植物ポリサッカライドの摂取が有益であり得ることを示唆している。本発明の結果は、忙しく、苦労の多いライフスタイルが認知資源に突きつける要求に対処するために記憶の「ブースト」を必要とする個人にとって重要であり得る。
【0077】
本明細書中で論じた実施形態はいずれも、本発明の任意の方法、キット、試薬又は組成物に関して、実施可能であり、逆の場合も同様であると考えられる。さらにまた、本発明の組成物は、本発明の方法の実施に使用できる。
【0078】
本明細書中に記載した特定の実施形態は実例として示すのであって、本発明を限定するものとして示すのではないことがわかるであろう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱しなければ、種々の実施形態で実施可能である。当業者ならば、せいぜいルーチン実験を使用すれば、本明細書中に記載した具体的な手順の多くの均等形態を認識し、確認できるであろう。このような均等形態は、本発明の範囲内であるとみなされ、特許請求の範囲によって保護される。
【0079】
本明細書中に記載した全ての公表文献及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当
業者の技術レベルを示す。全ての公表文献及び特許出願は、個々の公表文献又は特許出願が参照によって具体的及び個別に組み入れられていることが示された場合と同程度まで、参照によって本明細書中に組み入れられる。
【0080】
単語「a、an」の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書中で用語「含む(comprising)」と共に使用する場合、「1(種)の」を意味することができるが、「1(種)又は
2(種)以上の」、「少なくとも1(種)の」及び「1(種)又は1(種)超の」の意味とも矛盾しない。特許請求の範囲における用語「又は、若しくは(or)」の使用は、選択肢のみを指すことが明確に示されているか又は選択肢が相互排他的である場合を除いて、「及び/又は(and/or)」を意味するものであるが、本開示は選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義も支持する。本出願の全体を通じて、「約」という用語は、値が、その値の測定に用いられている装置、方法の誤差の固有変動、又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すのに用いる。
【0081】
本明細書及び特許請求の範囲中で使用する「含む(comprising)」(並びにcomprisingの任意の形、例えば、「comprise」及び「comprises」)、「有する(having)」(並び
にhavingの任意の形、例えば、「have」及び「has」)、「含む(including)」(並びにincludingの任意の形、例えば、「includes」及び「include」)又は「含有する(containing)」(並びにcontainingの任意の形、例えば、「contains」及び「contain」)とい
う用語は、包括的又はオープンエンドであり、列挙していないさらなる要素又は方法のステップを排除しない。
【0082】
本明細書中で使用する「又はそれらの組合せ」という用語は、この用語に先行する列挙された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABC、及び特定の状況において順序が重要である場合には、さらにBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABのうちの少なくとも1つを含むことを意図するものである。この例に続いて、1つ又は2つ以上の項目又は用語の反復、例えば、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどを含有する組合せも明確に含まれる。当業者は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、組合せ中の項目又は用語の数には一般に制限がないことがわかるであろう。
【0083】
本明細書中に開示された及び特許請求の範囲に記載された組成物及び/又は方法は全て、必要以上の実験を行わずに本開示を踏まえて製造及び実施可能である。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態に関して記載したが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱しなければ、組成物及び/又は方法に並びに本明細書中に記載した方法のステップ又はステップの順序において変動を適用できることは、当業者には明白であろう。当業者に明白なこのような同様な置換形態及び変更形態は全て、添付した特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲及び概念の範囲内とみなす。
図1
図2
図3