(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ドローン
(51)【国際特許分類】
H04B 1/08 20060101AFI20230711BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230711BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230711BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230711BHJP
B64C 1/36 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H04B1/08 N
B64C39/02
B64C27/08
B64D27/24
B64C1/36
(21)【出願番号】P 2019106050
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 淳一
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-080353(JP,A)
【文献】特開平11-311666(JP,A)
【文献】特開平08-204444(JP,A)
【文献】特開2008-072559(JP,A)
【文献】特開2017-193250(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159383(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0122017(US,A1)
【文献】特開2004-088444(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1812195(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/08
B64C 39/02
B64C 27/08
B64C 1/36
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリが搭載される本体と、
前記本体から伸び出るアームと、
前記アームの先端に配置される、回転翼を駆動するモータと、
前記バッテリと前記モータとを接続して前記バッテリからの電流を前記モータに印加する、前記アームに沿って配線されるケーブルと、
前記アーム上に固定される受信装置と、
を備えるドローンであって、
前記受信装置は、
衛星測位システムからの無線信号を受信するアンテナと、
前記アンテナが第1面であって、前記ドローンの上面側に実装されている基板と、
前記基板の第2面であって、前記ドローンの底面側に実装されている、前記アンテナに受信される前記無線信号を処理する回路部と、
前記受信装置の下面を構成する底板と、
を備え、
前記第2面に露出しているパターンは、グランドパターンであり、
前記底板の下面側には十字状の凸部が設けられ、前記凸部は前記アームと同方向に伸び出ており、前記アームとの取付面において前記アームに沿うように部分円弧状に湾曲している、
ドローン。
【請求項2】
前記アームは、前記本体の上部に結合される上側フレームと、前記上側フレームと所定の間隔を置いて前記本体の下部に結合される下側フレームと、を構成し、前記上側フレームと前記下側フレームとは、上下方向の複数の柱により結合され、
前記受信装置は、前記上側フレームを構成する前記アームであって、前記柱の上方に配置されている、
請求項1記載の
ドローン。
【請求項3】
前記上側フレームは、両端部においてそれぞれ前記モータを支持する一つの第1支持アームと、前記第1支持アームから延びた二つの第2支持アームとを有してなり、前記第2支持アームは、前記第1支持アームの長さ方向の途中から斜めに対称形に、かつ、先端部が互いに広がる方向に伸びていて、
前記受信装置は、前記第2支持アームの中間部に設置されている、
請求項
2記載の
ドローン。
【請求項4】
前記複数の前記柱を結合する補強梁をさらに備え、前記補強梁は前記第1支持アームと平行になっていて、前記第1支持アームと前記第2支持アームと前記補強梁とで、平面視で台形状に形成されている、
請求項
3記載の
ドローン。
【請求項5】
前記回路部は、前記無線信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力を加工して前記受信装置の外部へ伝達する処理回路と、がこの順に接続されて構成されている、
請求項
1乃至4のいずれかに記載の
ドローン。
【請求項6】
前記増幅器は、前記第2面において前記アンテナに対応する位置に実装されている、
請求項5記載の
ドローン。
【請求項7】
前記基板は孔を備え、前記孔の直径は、前記無線信号の波長の4分の1以下である、
請求項1乃至5のいずれかに記載の
ドローン。
【請求項8】
前記基板は絶縁体の板に金属箔を貼付した板である、
請求項1乃至6のいずれかに記載の
ドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、受信装置、および受信装置を備えるドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの薬剤散布が挙げられる(たとえば、特許文献1および2)。
【0003】
ドローンは、機体の位置や外部情報を含む無線信号を受信するための受信装置を備える。しかしながら、ドローンを飛行させる回転翼を制御するモータは、大きな電流を必要とするため、モータおよびモータへの配線が、受信装置にとって大きなノイズ源になる。そこで、ノイズ源の近傍においても、S/N比の高い信号を受信することができる受信装置が必要とされている。
【0004】
特許文献3には、GPSアンテナの周囲のグランドパターンによってGPS信号を反射させてGPS受信感度を向上させる受信装置が開示されている。
【0005】
特許文献4には、アンテナとリフレクタを一体設計とした、リフレクタを備えるチップアンテナを有する方向推定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許公開公報 特開2001-120151
【文献】特許公開公報 特開2017-163265
【文献】特許公開公報 特開2012-80353
【文献】特許公開公報 特開2018-48852
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ノイズ源の近傍においても、S/N比の高い信号を受信する受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る受信装置は、無線信号を受信するアンテナと、
前記アンテナが第1面に実装されている基板と、前記基板の第2面に実装されている、前記アンテナに受信される前記無線信号を処理する回路部と、を備え、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかにおいて、露出しているパターンは、グランドパターンである。
【0009】
前記グランドパターンは、前記第2面に形成されているものとしてもよい。
【0010】
前記回路部は、前記グランドパターンに導通する回路保護材に覆われているものとしてもよい。
【0011】
前記回路部は、前記無線信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力を加工して前記受信装置の外部へ伝達する処理回路と、がこの順に接続されて構成されているものとしてもよい。
【0012】
前記増幅器は、前記第2面において前記アンテナに対応する位置に実装されているものとしてもよい。
【0013】
前記基板は孔を備え、前記孔の直径は、前記無線信号の波長の4分の1以下であるものとしてもよい。
【0014】
前記基板は絶縁体の板に金属箔を貼付した板であるものとしてもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るドローンは、バッテリが搭載される本体と、前記本体から伸び出るアームと、前記アームの先端に配置される、前記ドローンを飛行させる回転翼を駆動するモータと、前記バッテリと前記モータとを接続して前記バッテリからの電流を前記モータに印加する、前記アームに沿って配線されるケーブルと、前記アーム上に固定される受信装置と、を備え、前記受信装置は、上述のいずれかに記載の受信装置である。
【発明の効果】
【0016】
ノイズ源の近傍においても、S/N比の高い信号を受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】上記ドローンの(a)正面図、(b)背面図である。
【
図3】上記ドローンの(a)平面図、(b)底面図である。
【
図4】上記ドローンの(a)左側面図、(b)右側面図である。
【
図5】本願発明に係る受信装置の分解斜視図である。
【
図8】本願発明に係る受信装置の別の実施形態において、上記受信装置が有する基板の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0019】
●ドローンの概要
本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0020】
図1乃至
図4に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の本体110からのび出たアームにより本体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は
図1における紙面下向きを進行方向とする。回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0021】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
図2、および、
図3に示されるように、ローターが異物と干渉しないよう設けられたプロペラガードを支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0022】
薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、薬剤を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、薬剤とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0023】
薬剤タンク104は散布される薬剤を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。薬剤ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、薬剤タンク104と各薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該薬剤ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、薬剤をノズルから吐出するための手段である。
【0024】
●フレームの構成
ドローンのフレームは互いに一体に結合され、かつ、前記複数のモータ102を支持する複数の支持アームで構成されている。複数の支持アームで構成されるフレームは、上下に所定の間隔をおいて一体に結合された一対のフレームからなる。
【0025】
上側のフレームを構成する前記複数の支持アームは、両端部においてそれぞれモータ102を支持する一つの第1支持アーム10と、第1支持アーム10から延びた二つの第2支持アーム11,12とを有してなる。第2支持アーム11,12は、第1支持アーム10の長さ方向の途中から斜めに対称形に、かつ、先端部が互いに広がる方向に伸びている。
【0026】
第2支持アーム11,12は、長さ方向の途中において補強梁13によって結合されている。補強梁13は第1支持アーム10と平行になっていて、第1支持アーム10と第2支持アーム11,12と補強梁13とで、平面視で台形状に形成され、いわゆるトラス構造に近い構造になっている。フレームは、トラス構造に近い構造になっていることにより、比較的簡単な構成でありながら、機械的強度を高めることができる。第1支持アーム10、第2支持アーム11,12および補強梁13は、同一平面内に位置するように、適宜の結合部材を介して結合されている。
【0027】
第1支持アーム10の両端部においてそれぞれモーター102-2a、102-4aが支持されている。モーター102-2a、102-4aの回転出力軸にはそれぞれプロペラ101-2a、101-4aが取り付けられていて、各プロペラが上記各モーターによって個別に回転駆動される。第2支持アーム11,12の各先端部で上記モーターとは別のモーター102-1a、102-3aが支持されている。モーター102-1a、103-3aの回転出力軸にはそれぞれプロペラ101-1a、101-3aが取り付けられていて、各プロペラが上記各モーターによって個別に回転駆動される。
【0028】
下側のフレームも上側のフレームとほぼ同様の構造になっている。下側のフレームは、両端部においてそれぞれプロペラ駆動モーターを支持する一つの第1支持アーム20と、第1支持アーム20から延びた二つの第2支持アーム21,22とを有してなる。第2支持アーム21,22は、第1支持アーム20の長さ方向の途中から斜めに対称形に、かつ、先端部が互いに広がる方向に伸びている。第1支持アーム20および第2支持アーム21、22は同一平面内に位置するように、適宜の結合部材を介して結合されている。
【0029】
上下のフレームは、互いに平行をなすように適宜数の柱の介在の下に結合されている。上下一対の第2支持アーム11,21および別の一対の第2支持アーム12,22は、長さ方向の中間部でそれぞれ柱30,30によって適宜の結合部材を介して結合されている。また、上下一対の第1支持アーム10、20は、上側の第2支持アーム11、21との結合部付近と、下側の第2支持アーム12,22との結合部付近において、それぞれ柱31、31によって適宜の結合部材を介して結合されている。
【0030】
一対の柱30、30は、上下方向下寄りの位置において補強梁23によって結合されている。補強梁23は、第1支持アーム20と第2支持アーム21、22からなる下側のフレームの補強梁でもあり、上下のフレーム全体の補強梁としても機能する。補強梁13は第1支持アーム10と平行になっていて、第1支持アーム10と第2支持アーム11、12と補強梁13とで、平面視で台形状に形成され、いわゆるトラス構造に近い構造になっている。
【0031】
上下のフレームを構成する前記第1支持アーム20、第2支持アーム21、22、補強梁23、上下のフレームを結合する柱30、31は、パイプ状の部材である。また、フレームを構成する上記の部材、少なくとも第1支持アーム20、第2支持アーム21、22および補強梁23の素材は、熱伝導素材、例えばアルミニウム合金または炭素繊維複合材からなる。炭素繊維複合材としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、炭素繊維強化炭素複合材料などがある。
【0032】
第1支持アーム20、第2支持アーム21、22、補強梁23、および柱30、31の内部には、本体110に内蔵されるバッテリからの電流をモータ102に印加するケーブルが配線されている。
【0033】
●GNSSセンサー
前記上側のフレームを構成する二つの第2支持アーム11,12にはGNSS(Global Navigation Satellite System)センサー60,60が上向きに取り付けられている。GNSSセンサー60,60は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)、BeiDou等の衛星測位システムの信号を受信する。GNNSセンサー60,60は、受信装置の例である。GNSSの信号は、無線信号の例である。GNSSセンサー60,60は、例えばRTKアンテナおよびRTK-GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite System)モジュールにより構成されている。GNSSセンサー60,60は、ドローン100の絶対位置を計測し、計測した位置が例えばプログラム通りの位置であるかどうかを判定し、位置がずれていれば正しい位置になるように各モータ102の回転を制御する。
【0034】
GNSSセンサー60,60が振動すると、ドローン100の絶対位置計測精度が低下し、位置制御の制度も低下する。そこで図示の実施例では、振動源であるモータ102の振動の影響を受けないように、モータ102から最大限離れた位置である第2支持アーム11、12の長さ方向のほぼ中間部にGNSSセンサー60、60を設置している。
【0035】
GNSSセンサー60、60の設置位置は、平面方向から見てそれぞれ前後のプロペラガード41,42の間と、プロペラガード43,44の間にある。また、GNSSセンサー60、60上下のフレームを結合する柱30、30の近傍にあって、第2支持アーム11、12が振動しにくい位置にある。よって、GNSSセンサー60、60は前記各駆動モーターの振動の影響を受けにくく、ドローンの位置を高い精度で計測することができる。
【0036】
図5に示すように、GNSSセンサー60は、カバー61と、基板62と、底板63と、を備える。なお、以降の説明においては、ドローン100の正面視左側のGNSSセンサー60に着目して説明する。GNSSセンサー60とドローン100の各構成との関係は、略左右対称である。
【0037】
カバー61は、GNSSセンサー60の上面を構成する円盤状の部材である。カバー61の下面には、外周に渡って下向きに突出するリブ61aが形成されている。リブ61aは底板63の外周と対応していて、互いに篏合して基板62を覆っている。
【0038】
基板62は、GNSSの信号を受信して情報を本体110に伝達するための電気回路が実装されている、平板状の基板である。基板62は、本実施形態においては略円形の平板であるが、本発明の技術的範囲はこれに限られず、例えば矩形、長円形等であってもよい。基板62は、両面に異なるパターンを配置可能な両面基板である。
【0039】
基板62は、絶縁体の板に金属箔を貼付した板である。基板62は、例えばガラスエポキシ樹脂の基材に銅箔を貼り合わせて形成されている。また、表面にはレジストが塗布されている。
【0040】
基板62の外周近傍には4個の挿通孔621a、621b、621c、621dが配設されている。この挿通孔621a、621b、621c、621dは、底板63の孔631a、631b、631c、631dにそれぞれ対応する位置に設けられていて、底板63の外側から挿入されるネジにより、基板62および底板63が連結されている。
【0041】
底板63は、GNSSセンサー60の下面を構成する略円盤状の部材である。底板63の上面には、外周に渡って上向きに突出するリブ63aが形成されていて、カバー61と篏合している。
【0042】
底板63の上面側、すなわちGNSSセンサー60の内側中央には、2個の長方形状の窪みが互いに直交して組み合わさったような形状の、略十字状の窪み632が設けられている。窪み632が伸びる一方向は、第2支持アーム11、12と略同方向である。底板63の裏面は、窪み632に対応する凸部となっている。凸部の突出面のうち、第2支持アーム12と略同方向に伸びる部分は、上面側に向かって部分円筒状に湾曲していて、第2支持アーム11、12に沿うようになっている。
【0043】
窪み632の略中央には、ネジなどの固定部材633aが挿通される孔633が形成されている。固定部材633aにより、GNSSセンサー60と第2支持アーム12とが連結されている。なお、GNSSセンサー60と第2支持アーム12の連結形態は、固定部材633aによるものには限られず、接着や溶着であってもよい。
【0044】
図5乃至
図7を用いて、基板62の詳細な構成を説明する。
図6および
図7に示すように、基板62は、第1面62aおよび第2面62bを有する。
図6に示すように、第1面62aの略中央には、GNSS信号を受信するアンテナ622が実装されている。アンテナ622は、本実施形態では円形であるが、別の形状であってもよい。
【0045】
第1面62aには、グランドパターン623が第1面62aの全面に渡って広く形成されている。グランドパターン623を構成するパターン孔の一部は、スルーホールとなっていて、第2面62bのグランドと導通している。すなわち、基板62の両面において、グランドは共通である。第1面62aに露出するパターンは、大部分がグランドパターンであってもよいし、すべてがグランドパターンであってもよい。グランドパターン623は、アンテナ622の水平面よりも下からのノイズを減衰させるリフレクタの機能を発揮する。基板にグランドパターンを設け、基板をリフレクタと兼用させることで、少ない部品点数で、高品質な信号を受信可能である。また、後述する回路部625、626が実装される第2面62bとは異なる第1面62aにグランドパターン623を形成する構成によれば、第2面62bにのみグランドパターンを形成する構成に比べて、広いグランドパターン623が確保される。
【0046】
図7に示すように、第2面62bには、アンテナ622に受信される無線信号を処理する回路部625、626が実装されている。回路部625、626は、増幅器625および処理回路626がこの順に接続されて構成されている。増幅器625は、無線信号を増幅する回路である。処理回路626は、増幅器の出力を受信装置の外部へ伝達する回路である。増幅器625および処理回路626は、それぞれ導電性の回路保護材625a、626aに覆われている。回路保護材625a、626aは例えば金属製の薄板であり、グランドと導通していて、増幅器625および処理回路626を外部のノイズから保護している。処理回路626の端部には、接続端子626bが露出していて、当該接続端子626bから無線信号に基づく信号が出力される。
【0047】
アンテナ622、増幅器625および処理回路626が1個の基板62に実装され、一体になっている構成によれば、アンテナ622で受信される信号が冗長な構成を介することなく増幅される。したがって、本構成によれば、アンテナと増幅器とが別体になっていてケーブル等で接続されている構成、例えば回路部が本体110に内蔵されている構成と比較して、高いS/N比を担保することができる。
【0048】
増幅器625は、第2面62bの略中央、すなわちアンテナ622に対応する位置に実装されている。アンテナ622に受信される信号は、スルーホールを介して増幅器625に入力される。この構成によれば、受信される信号が長距離に渡って伝達されることなく増幅されるので、高いS/N比を担保することができる。
【0049】
なお、第2面62bにグランドパターンを形成することによっても、アンテナ622をノイズから保護することができる。第2面62bに露出するパターンは、大部分がグランドパターンであってもよいし、すべてがグランドパターンであってもよい。
図8に示すように、第2面62bに広いグランドパターンを確保するために、回路部625、626の配置部分の外側に、接地部624aが形成されていてもよい。すなわち、基板62は、回路部625、626を実装するのに必要な面積より大きくなっていてもよい。
【0050】
ドローン100においては、底板63は第2支持アーム11、12に固定されており、第2支持アーム11、12には大電流が流れるケーブルが挿通されている。GNSSセンサー60が第2支持アーム11、12によって反射されるノイズの混入したGNSS信号を受信すると、位置計測精度が低下してしまう。しかしながら、ドローン100を安定的に飛行させるためには、ドローン100の本体110から放射状にフレームを伸ばして各端部にモータ102を配置する必要があり、本体110から端部まで大電流を渡すことになるため、GNSSセンサー60をノイズ源から離して配置するのは困難である。また、特別な構成を用いてGNSSセンサー60をフレームから離間させるとすると、部品点数が増える上、振動が生じてしまい、絶対位置計測精度が低下する。基板がリフレクタの機能を有するGNSSセンサー60を第2支持アーム12上に配置する本構成によれば、GNSSセンサー60の振動を抑えつつ、大電流に起因するノイズを軽減することができる。
【0051】
基板の挿通孔621a、622b、623c、624dおよびパターン孔の直径は、いずれもGNSS信号の波長の4分の1以下である。本構成によれば、リフレクタの機能が各孔によって損なわれることがない。なお、各孔の直径は、GNSS信号の波長の4分の1を計算することで求められる値に安全率を掛けて、当該値よりも十分小さい直径の孔としてもよい。
【0052】
なお、本説明においては、ドローンに備えられる受信装置を例に説明したが、本発明の技術的思想はこれに限られるものではなく、ノイズ源の近傍に配置されるあらゆる受信装置に適用可能である。
【0053】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本発明にかかる受信装置においては、ノイズ源の近傍においても、S/N比の高い信号を受信することができる。