(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ガス燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23M 5/08 20060101AFI20230711BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20230711BHJP
F23L 9/06 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F23M5/08 B
F23G7/06 Z
F23L9/06
(21)【出願番号】P 2020095481
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】593196849
【氏名又は名称】ボルカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石丸 久志
(72)【発明者】
【氏名】松本 一人
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-198118(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118595(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02471909(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第10211645(DE,A1)
【文献】特開2017-166814(JP,A)
【文献】特開2017-150699(JP,A)
【文献】中国実用新案第207716436(CN,U)
【文献】特開2006-200885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23M 5/08
F23G 7/06
F23L 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、前記バーナから供給される燃料ガスと燃焼用空気とを燃焼させて燃焼ガスを生成する炉体とを備え、
前記炉体は、燃焼室を構成する本体部を有し、
前記本体部は、前記燃焼室の上流側に設けられる上流壁と、前記燃焼室の下流側に設けられる下流壁と、前記燃焼室の周囲を覆うように前記上流壁と前記下流壁とを繋ぐ周壁とを備え、
前記炉体は、さらに、前記周壁を囲むように設けられて希釈空気を前記燃焼室内に送る案内部と、前記案内部に接続される接続部と、を有し、
前記本体部の前記上流壁は、焚口と、前記焚口の周囲に配置されて希釈空気を前記燃焼室に供給する複数の
第1空気供給口とを有し
、
前記本体部の前記周壁は、前記案内部に沿うように設けられて希釈空気を前記燃焼室に供給する第2空気供給口を有し、
前記下流壁は、前記希釈空気と前記燃焼ガスとが混合した混合ガスを排出する少なくとも1つの排出口を有
し、
前記接続部は、前記接続部の延長方向が前記周壁に接する接線に平行となるように配置される、
ガス燃焼装置。
【請求項2】
前記炉体は、さらに、前記本体部の前記周壁および前記上流壁の少なくとも一部を囲むように設けられて前記希釈空気が通るように構成される通路部を備え、
前記通路部は、前記第1空気供給口に接続される
請求項1に記載のガス燃焼装置。
【請求項3】
前記炉体は、さらに、前記排出口から排出される前記混合ガスと希釈空気とを混合する混合部を備える
請求項1または2に記載のガス燃焼装置。
【請求項4】
前記下流壁は、前記バーナの中心軸線に交差する中央部が下流側に突出するように構成され、
前記下流壁には、複数の前記排出口が設けられ、
複数の前記排出口は、前記中心軸線を中心とする仮想円の周方向に配置され、かつ、複数の前記排出口それぞれは、径方向に向かって開口する
請求項3に記載のガス燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガス燃焼装置が開示されている。ガス燃焼装置は、燃焼室を有する内筒と、内筒の側面に設けられる排出口とを備える。焼却排ガスは、排出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多量のガスを燃焼させるためには、ガス燃焼装置を大型化する必要がある。しかし、ガス燃焼装置を大型にすると、重量が増大し、また、設置スペース上の問題も生じる。そこで、大型化を抑制できるガス燃焼装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するガス燃焼装置は、バーナと、前記バーナから供給される燃料ガスと燃焼用空気とを燃焼させて燃焼ガスを生成する炉体とを備え、前記炉体は、燃焼室を構成する本体部を有し、前記本体部は、前記燃焼室の上流側に設けられる上流壁と、前記燃焼室の下流側に設けられる下流壁と、前記燃焼室の周囲を覆うように前記上流壁と前記下流壁とを繋ぐ周壁とを備え、前記上流壁は、焚口と、前記焚口の周囲に配置されて希釈空気を前記燃焼室に供給する複数の空気供給口とを有し、前記下流壁は、前記希釈空気と前記燃焼ガスとが混合した混合ガスを排出する少なくとも1つの排出口を有する。
【0006】
この構成によれば、空気供給口から燃焼室内に希釈空気を供給することによって、燃焼ガスの周囲に空気層を形成できる。空気層は、高温の燃焼ガスによる周壁への対流伝熱を妨げることで、本体部の周壁の温度上昇を抑制できる。このようなことから、耐熱性が低い部材によって本体部の周壁を構成できるようになり、本体部の重量増大を抑制できる。
【0007】
(2)上記ガス燃焼装置において、前記本体部は、前記空気供給口としての第1空気供給口と、前記周壁に設けられて希釈空気を前記燃焼室に供給する第2空気供給口とを備える。この構成によれば、燃焼ガスは、さらに希釈空気によって希釈されるため、燃焼ガスの温度上昇を抑制できる。これによって耐熱性が低い部材によって本体部を構成できるようになり、重量増大を抑制できる。また、第2空気供給口から供給される希釈空気によって、燃焼ガスとの対流混合が起きるため、燃焼ガスの高温領域が生じる高さを抑制できることから、燃焼室を小さくできる。このようにして、ガス燃焼装置の大型化を抑制できる。
【0008】
(3)上記ガス燃焼装置において、前記炉体は、さらに、前記本体部の前記周壁および前記上流壁の少なくとも一部を囲むように設けられて前記希釈空気が通るように構成される通路部を備え、前記通路部は、前記第1空気供給口に接続される。この構成によれば、希釈空気によって本体部を冷却できる。これによって耐熱性が低い部材によって本体部を構成できるようになり、本体部の重量増大を抑制できる。
【0009】
(4)上記ガス燃焼装置において、前記炉体は、さらに、前記排出口から排出される前記混合ガスと希釈空気とを混合する混合部を備える。この構成によれば、希釈空気によって排出口から排出される混合ガスを冷却できる。これによって耐熱性が低い部材によって炉体の下流部を構成できるようになり、炉体の重量増大を抑制できる。
【0010】
(5)上記ガス燃焼装置において、前記下流壁は、前記バーナの中心軸線に交差する中央部が下流側に突出するように構成され、前記下流壁には、複数の前記排出口が設けられ、複数の前記排出口は、前記中心軸線を中心とする仮想円の周方向に配置され、かつ、複数の前記排出口それぞれは、径方向に向かって開口する。この構成によれば、排出口から排出される混合ガスと希釈空気とを対流混合によって効率的に混合できるため、排出口から排出される混合ガスを迅速に冷却できる。これによって、炉体の大型化を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
上記ガス燃焼装置によれば、炉体の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図8】
図2のVIII-VIII線に沿う炉体の断面斜視図。
【
図11】
図8のXI-XI線に沿う炉体の断面斜視図。
【
図13】
図2のVIII-VIII線に沿う炉体の断面図。
【
図14】排出ガイドの変形例を有する下流壁の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図13を参照して、ガス燃焼装置について説明する。
ガス燃焼装置1は、燃料ガスGFを燃焼させる。具体的には、ガス燃焼装置1は、不要な燃料ガスGFを燃焼させる。燃料ガスGFとして、例えば液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下、LNG)が挙げられる。LNG運搬船やLNG燃料船では、運航中に燃料タンク内のLNGが揮発しボイルオフガス(Boil Off Gas、以下、BOG)が発生する。地球温暖化防止や環境負荷低減のため、BOGを大気中に放出することは規制されている。このようなことから、LNG運搬船やLNG燃料船において、BOGをガス燃焼装置1によって燃焼させる。他の例として、燃料タンクにLNGを供給する場合や、燃料タンクを空にする場合、燃料タンク内に存在する窒素やその他の不活性ガスを含むBOGとして排出される燃料ガスGFをガス燃焼装置1によって燃焼させる。以下、ガス燃焼装置1の一例を説明する。
【0014】
図1に示されるように、ガス燃焼装置1は、バーナ2と、炉体3とを備える。本実施形態では、ガス燃焼装置1は、さらに架台5を備える。炉体3は、架台5に取り付けられる。バーナ2は、炉体3の下に取り付けられ、架台5内に配置される。
【0015】
バーナ2は、燃料ガスGFと燃焼用空気ABとを炉体3に供給する。一例では、バーナ2は、スロート2aと、燃料ガスGFを供給する燃料供給管(図示略)と、パイロットバーナ(図示略)とを備える(
図13参照)。パイロットバーナは、燃料ガスGFを燃焼する際の点火源または助燃源として作動させる。
【0016】
炉体3は、バーナ2から供給される燃料ガスGFと燃焼用空気ABとを燃焼させて燃焼ガスGBを生成する。
炉体3は、燃焼室4を構成する本体部10を有する。さらに、炉体3は、希釈空気ADが通る通路部11を有することが好ましい。さらに、炉体3は、混合部12を有することが好ましい。さらに、炉体3は、希釈空気ADを混合部12まで送る案内部13を有することが好ましい。さらに、炉体3は、通路部11および案内部13とダクト6とを接続する接続部14とを有することが好ましい。
【0017】
図2に示されるように、本実施形態では、炉体3は、本体部10と、本体部10を収容する収容部40を備える。通路部11、混合部12、および案内部13は、収容部40と本体部10との間に設けられる(
図8参照)。
【0018】
図3~
図8を参照して、本体部10について説明する。
図4および
図8に示されるように、本体部10は、燃焼室4の上流側に設けられる上流壁15と、燃焼室4の下流側に設けられる下流壁17と、燃焼室4の周囲を覆うように上流壁15と下流壁17とを繋ぐ周壁16とを備える。
【0019】
本実施形態では、本体部10において、燃料ガスGFおよび燃焼用空気ABがバーナ2に供給され、後述の焚口20において燃料ガスGFと燃焼用空気ABとが混合し、パイロットバーナによって形成される火炎によって点火および助燃されガス火炎が形成されて燃焼ガスGBが発生する。本実施形態では、バーナ2の中心軸線を「軸線LG」という(
図13参照)。軸線LGの方向は、上下方向DAに一致する。
【0020】
本体部10は、軸線LGに沿うように生成する燃焼ガスGBを囲むように構成される。下流壁17は、上流壁15よりも上方の位置に配置される。上流壁15を基準面としたときの下流壁17は、燃料ガスGFと燃焼用空気ABとが混合し燃焼して形成される火炎の高さよりも充分に高い位置に配置される。
【0021】
上流壁15は、耐火材や断熱材によって構成される。耐火材として、例えばキャスタブルと呼ばれる耐火コンクリートが挙げられる。キャスタブルは、耐火性に優れた骨材とアルミナセメントとを混合することによって形成される。また、断熱材としてはウエットフルトを用いても良い。ウエットフェルトは、ブランケットに無機結合材を含ませた湿潤状態のシート状製品であり、あらかじめ所定の形状に成形しておき乾燥することで硬化し、成型して、製造完了となる。下流壁17および周壁16は、金属によって形成される。下流壁17および周壁16は、例えば、鉄または鉄合金によって形成される。
【0022】
図5に示されるように、上流壁15は、焚口20と、複数の第1空気供給口21とを有する。焚口20では、前述のようにバーナ2によって供給された燃料ガスGFと燃焼用空気ABとが混合し火炎を形成して燃焼ガスGBが発生する。焚口20は、上流壁15の中央部に設けられる。焚口20には、焚口20を囲む筒部材22が設けられるとともに、筒部材22に連通する筒部材44(後述参照)の内部にはバーナ2が配置される(
図13参照)。筒部材22は、上流壁15の下面に下方に突出するように設けられる。
【0023】
第1空気供給口21は、希釈空気ADを燃焼室4に供給するための開口部である。複数の第1空気供給口21は、上流壁15において焚口20の周囲に配置される。複数の第1空気供給口21は、軸線LGを中心とする仮想円において等間隔に配置される。
【0024】
第1空気供給口21から供給される希釈空気ADは、周壁16に沿うように上昇する(
図8参照)。複数の第1空気供給口21から供給される希釈空気ADは、燃焼ガスGBを発生する火炎を囲む空気層ALを形成する。このような空気層ALは、火炎から周壁16への熱伝達を抑制する。
【0025】
周壁16は、火炎および燃焼ガスGBを囲むように構成される。本実施形態では、周壁16は、軸線LGを中心とする円筒形状に構成される。周壁16には、複数の第2空気供給口25が設けられる。第2空気供給口25は、希釈空気ADを燃焼室4に供給するための開口部である。
【0026】
図3および
図4に示されるように、複数の第2空気供給口25は、すべての第2空気供給口25が上下方向DAにおいて、同じ高さの位置に配されるように、設けられる。本実施形態では、複数の第2空気供給口25の高さは、燃焼ガスGBを発生する火炎長さの終端高さを目標高さとするように設定され、例えば、複数の第2空気供給口25は、本体部10の高さの略半分の位置に配置される。また、複数の第2空気供給口25は、仕切板50よりも上の位置に配置される。複数の第2空気供給口25は、希釈空気ADの通路である案内部13(
図8参照)に沿う周壁部分を貫通して配置される。
【0027】
図6に示されるように、複数の第2空気供給口25は、軸線LGを中心とする仮想円において等間隔に設けられる。第2空気供給口25には、希釈空気ADを案内する給気ガイド26が設けられる。給気ガイド26は、筒状に構成される。なお、
図6において、仕切板50は、省略されている。
【0028】
一例では、給気ガイド26の中心軸心は、軸線LGを中心とする仮想円の径方向DR(以下、単に「径方向DR」という。)に延びる。給気ガイド26は、周壁16内に配置される内側部27と、周壁16の外に配置される外側部28とを備える。外側部28の開口端28aに沿う面PAは、軸線LGに沿う方向からみて、径方向DRに延びる径線LRに対して傾斜する。具体的には、外側部28の開口端28aに沿う面PAは、希釈空気ADの旋回方向DS(
図9参照)に向かって径方向DRの外方EXに向かっていくように傾斜する。このような構成によって、希釈空気ADが本体部10内に流入することが促進される(
図9参照)。
【0029】
下流壁17は、本体部10において上流壁15に向かい合うように配置される。下流壁17は、軸線LGに交差する中央部31が下流側に突出するように構成される。本実施形態では、下流壁17は、中央部31と、中央部31を囲むように設けられる傾斜部32とを備える。中央部31は、平面であっても、曲面であってもよい。傾斜部32は、燃焼ガスGBの噴射方向DJの下流に向かって下流壁17の外周から軸線LGに近づくように傾斜する。
【0030】
上下方向DAにおいて下流壁17と第2空気供給口25との間の部分では、希釈空気ADと燃焼ガスGBとの混合ガスGMが生成する。具体的には、炉体3内で生成する燃焼ガスGBと、第2空気供給口25とから供給される希釈空気ADとが混合し、混合ガスGMが生成する。また、燃焼ガスGBが下流壁17の中央部31に当たることによって中央部31の周囲の傾斜部32に沿うように広がるとともに、上流壁15の第1空気供給口21から供給される希釈空気ADが下流壁17に当たることによって、燃焼ガスGBと希釈空気ADとが混合し、混合ガスGMが生成する。燃焼ガスGBと希釈空気ADとの混合によって、混合ガスGMの温度は、燃焼ガスGBの温度よりも低くなる。
【0031】
下流壁17は、少なくとも1つの排出口33を有する。好ましくは、下流壁17には、複数の排出口33が設けられる。排出口33は、混合ガスGMを排出する。排出口33は、下流壁17の傾斜部32に設けられる。複数の排出口33は、軸線LGを中心とする仮想円の周方向に配置される。
【0032】
図4および
図7に示されるように、複数の排出口33は、上下方向DAに2段に分けられる。本実施形態では、2段のうちで下方に配置される段を下段といい、下段の上に配置される段を上段という。
【0033】
図7に示されるように、下段の排出口33は、軸線LGを中心とした仮想円に沿うように等間隔に配置される。上段の排出口33は、軸線LGを中心とした仮想円に沿うように等間隔に配置される。上段の排出口33は、互いに隣接する下段の2つの排出口33の中心それぞれと軸線LGとを結ぶ2つの線の間に排出口33の中心が位置するように、配置される。
【0034】
複数の排出口33それぞれは、軸線LGに沿う方向から見て、径方向DRに向かって開口する。具体的には、排出口33には、混合ガスGMを案内する排出ガイド34が設けられる。排出ガイド34は、筒状に構成される。一例では、排出ガイド34の中心軸心は、径方向DRに延びる(
図13参照)。
図14に示されるように、排出ガイド34は、排出ガイド34の中心軸心CGが径方向DRに沿う線に対して斜めになるように、傾斜部32に取り付けられてもよい。
【0035】
排出ガイド34は、傾斜部32の外面に設けられる。排出ガイド34の開口端34aに沿う面PBは、径方向DRにおいて、排出口33の下端部33aの位置よりも外方に位置する(
図13参照)。このような構成によって、下流壁17の周辺で生成する混合ガスGMは、排出口33に入った後、径方向DRに案内されて流れ出る。排出ガイド34は、外から入る雨の庇としての効果もある。
【0036】
図8を参照して、通路部11、混合部12、および案内部13の概略を説明する。
通路部11は、本体部10に供給される希釈空気ADが通るように構成される。通路部11は、本体部10の周壁16および上流壁15の少なくとも一部を囲むように設けられる。通路部11に流通する希釈空気ADは、本体部10の上流壁15および周壁16を冷却する。これによって本体部10の過熱が抑制される。通路部11は、第1空気供給口21に接続される。
【0037】
混合部12は、排出口33から排出される混合ガスGMと希釈空気ADとを混合する部分である。混合部12は、本体部10の排出口33の出口付近に位置する。混合部12における混合ガスGMと希釈空気ADとの混合によって、混合ガスGMの温度がさらに下げられる。
【0038】
案内部13は、希釈空気ADを混合部12に送る通路である。案内部13は、本体部10の周壁16の少なくとも一部を囲むように設けられる。案内部13に流通する希釈空気ADは、周壁16を冷却する。これによって周壁16の過熱が抑制される。本実施形態では、案内部13は、希釈空気ADを混合部12に送るとともに、第2空気供給口25にも希釈空気ADを送る。
【0039】
図8~
図13を参照して、通路部11、混合部12、案内部13、および接続部14を説明する。本実施形態では、上述したように、通路部11、混合部12、および案内部13は、収容部40と本体部10との間に設けられる。接続部14は、収容部40に設けられる。
【0040】
希釈空気ADは、燃焼ガスGBを希釈するために燃焼室4に供給される空気である。ガス燃焼装置1の周辺の外気が希釈空気ADとして使用される。例えば、送風ファン(図示略)を有する装置によって取り込まれた外気は、希釈空気ADとして、ダクト6を介して通路部11および案内部13に送られる。通路部11および案内部13とダクト6は、接続部14を介して接続される。
【0041】
図8に示されるように、収容部40は、本体部10の少なくとも一部を覆うように構成される。収容部40は、外周壁41と、底壁42とを備える。外周壁41は、上下方向DAにおいて3つに分割可能である。本実施形態では、外周壁41の外側に化粧パネル45が取り付けられている。底壁42は、外周壁41の底に取り付けられる。
【0042】
外周壁41は、本体部10の周壁16を囲むように構成される。本実施形態では、外周壁41は、軸線LGを中心とする円筒形に構成される。外周壁41は、本体部10の周壁16と共通の中心軸心(軸線LGに沿う軸心)を有する。径方向DRにおいて、外周壁41と本体部10の周壁16との間には、環状の第1空間SAが構成される。さらに、径方向DRにおいて外周壁41と本体部10の下流壁17との間には、環状の第2空間SBが構成される。上述の混合部12は、第2空間SBを含む。
【0043】
外周壁41において、底壁42と反対側の端部は開口する。外周壁41の開口端41aは、上流壁15よりも上に配置される。外周壁41の開口端41aは、排気管に接続される。排気管は、混合ガスGMを外部に案内する。
【0044】
底壁42は、本体部10の上流壁15の下に配置される。底壁42と上流壁15との間には、環状の第3空間SCが設けられる。底壁42の中央部には、燃料ガスGFおよび燃焼用空気ABが通る開口部43が設けられる。開口部43は、本体部10の焚口20の下に配置される。開口部43と焚口20とは、筒部材22によって接続される。さらに、開口部43の下には、筒部材44を介してフランジ44aが設けられる。フランジ44aには、バーナ2のスロート2aのフランジ2bが結合される(
図13参照)。底壁42は、複数の支持部材47を介して本体部10を支持する。
【0045】
支持部材47は、底壁42に設けられる。支持部材47は、本体部10の上流壁15を支持する第1支持部48と、本体部10の周壁16を支持する第2支持部49とを有する。第1支持部48は、径方向DRに沿うように延びる。複数の第1支持部48は、周方向に等間隔に配置される。第1支持部48は、複数の第1空気供給口21それぞれを第1支持部48によって隔てるように配置される。第2支持部49は、第1支持部48において径方向DRの外方端部に設けられる。第2支持部49は、外方端部から上に延びる。第2支持部49は、本体部10の周壁16と外周壁41との間に配置される。
【0046】
収容部40と本体部10との間の空間は、仕切板50によって仕切られる。仕切板50は、収容部40の外周壁41と本体部10の周壁16との間の第1空間SAに設けられる。仕切板50は、上下方向DAにおいて、第2空気供給口25よりも下に配置される。
【0047】
収容部40と本体部10との間の空間において、仕切板50よりも下側の空間は通路部11を構成する。通路部11は、本体部10の第1空気供給口21に繋がる。収容部40と本体部10との間の空間において、仕切板50よりも上側の空間は案内部13を構成する。案内部13は、本体部10の第2空気供給口25に繋がり、かつ、混合部12に繋がる。
【0048】
外周壁41において仕切板50が設けられている部分には、開口部46が設けられる。外周壁41において、開口部46は、仕切板50を亘るように設けられる。開口部46は、仕切板50によって通路部11に繋がる第1開口部46aと、案内部13に繋がる第2開口部46bとに分けられる。開口部46には、接続部14が取り付けられる。
【0049】
接続部14は、希釈空気ADを分流する。接続部14は、通路部11に接続される第1接続通路部36と、案内部13に接続される第2接続通路部37とを備える。接続部14によって分流された希釈空気ADは、案内部13および通路部11それぞれに送られる。
【0050】
図9に示されるように、接続部14は、軸線LGに沿う方向から見て、接続部14の延長方向が本体部10の周壁16に接する接線LAに平行となるように、外周壁41に取り付けられる。具体的には、本体部10の周壁16に接する接線LAと、この接線LAと平行でかつ軸線LGに交差する線LBとの間に、接続部14の中心線LCが配置されるように、接続部14が収容部40に取り付けられる。このような取り付けによって、接続部14を介して案内部13および通路部11に供給される希釈空気ADは旋回する。
【0051】
接続部14の第1接続通路部36は、第1開口部46aを介して通路部11に接続される。接続部14の第2接続通路部37は、第2開口部46bを介して案内部13に接続される。
【0052】
通路部11は、希釈空気ADを第1空気供給口21まで案内するように構成される。通路部11は、本体部10の周壁16と外周壁41との間の環状通路51と、本体部10の上流壁15と底壁42との間の底側通路55とを有する。環状通路51は、第1整流板52によって第1環状通路53と、第2環状通路54とに仕切られる。第1環状通路53は、接続部14の第1接続通路部36が接続される第1開口部46aを有する。第2環状通路54は、第1環状通路53と底側通路55との間に設けられる。
【0053】
図10に示されるように、第1整流板52は、複数の貫通孔52aが設けられる。第1整流板52は、希釈空気ADが周方向に流れるように案内することによって、周方向へ均等に分布させるとともに、希釈空気ADを下方側に整流して導く。具体的には、外部から供給される希釈空気ADは、第1環状通路53において旋回する。これによって、希釈空気ADを周方向へ均等に分布させるとともに、第1環状通路53から第2環状通路54に流れる希釈空気ADの周方向への流量分布を整流し均一化することができる。
【0054】
第2環状通路54は、底側通路55の外周部に繋がる。第2環状通路54は、底側通路55と交差するように底側通路55に繋がる。第2環状通路54は、底側通路55と一体の屈曲した通路を構成する。第2環状通路54は、底側通路55を介して第1空気供給口21に接続される。
【0055】
図11および
図12に示されるように、第2環状通路54において第1空気供給口21側の領域は、支持部材47によって仕切られる。支持部材47によって仕切られた小通路57それぞれは第1空気供給口21に繋がる。第2環状通路54に入った希釈空気ADは、第2支持部49によって仕切られた小通路57を介して第1空気供給口21に流入する。
【0056】
案内部13は、希釈空気ADが混合部12に向かって流れるように、希釈空気ADを案内する。案内部13は、本体部10の周壁16と外周壁41との間の通路として構成される。案内部13は、第2整流板61によって第3環状通路62と、第3環状通路62よりも上側の第4環状通路63とに仕切られる。第2整流板61は、上下方向DAにおいて、第2空気供給口25と、混合部12との間に配置される。第3環状通路62は、接続部14の第2接続通路部37が接続される第2開口部46bを有する。第3環状通路62は、周壁16において第2空気供給口25を有する部分に設けられる。第4環状通路63は、第3環状通路62と混合部12との間に設けられる。
【0057】
第3環状通路62は、仕切板50と、第2整流板61と、外周壁41と、第2空気供給口25を有する周壁16とによって囲まれる。第3環状通路62に供給される希釈空気ADは、旋回しつつ、第2空気供給口25を介して本体部10に供給される。
【0058】
第2整流板61は、第1整流板52と同様に、複数の貫通孔が設けられる。第2整流板61は、希釈空気ADが周方向に流れるように希釈空気ADを案内することによって、周方向へ均等に分布させるとともに、希釈空気ADを上方側に整流して導く。具体的には、外部から供給される希釈空気ADは、第3環状通路62において旋回する。これによって、希釈空気ADを周方向へ均等に分布させるとともに、第3環状通路62から第4環状通路63に流れる希釈空気ADの周方向への流量分布を整流し均一化することができる。
【0059】
第4環状通路63は、混合部12に繋がる。混合部12は、本体部10の傾斜部32と外周壁41との間の環状の第2空間SBを含む。混合部12には、下流壁17から混合ガスGMが流入し、かつ、第4環状通路63を介して希釈空気ADが流入する。混合部12では、混合ガスGMの流れと希釈空気ADの流れとが交差し、混合ガスGMと希釈空気ADとが混合する。
【0060】
図13を参照して、本実施形態の作用を説明する。
炉体3に供給される希釈空気ADは、通路部11と、案内部13とに分流される。通路部11を通る希釈空気ADは、本体部10の周壁16に沿うように旋回しつつ、本体部10の下部まで流れ、上流壁15の第1空気供給口21から燃焼室4に流入する。案内部13を通る希釈空気ADは、本体部10の周壁16に沿うように旋回しつつ、上に流れ、混合部12に流入する。このように、希釈空気ADは、燃焼室4に供給される前に、本体部10の周壁16に沿うように流れる。これによって、本体部10が冷却される。
【0061】
希釈空気ADは、本体部10の第1空気供給口21に供給される。第1空気供給口21は、焚口20の周囲に配置されている。このため、燃焼ガスGBの周囲には空気層ALが形成される。空気層ALは、希釈空気ADの軸線LGに沿う方向への流れの層であることから、燃焼ガスGBと混合し難いため、空気層ALの温度が高くなり難い。このようにして、空気層ALは、本体部10の周壁16を燃焼ガスGBから保護する。
【0062】
さらに、希釈空気ADは、第2空気供給口25を介して燃焼ガスGBに対して交差するように燃焼室4に供給される。すなわち、希釈空気ADは、軸線LGに沿う方向から見て燃焼ガスGBの周囲から複数の空気噴流として燃焼ガスGBに衝突するように供給される。これによって、燃焼ガスGBの温度を急激に下げることができる。
【0063】
燃焼ガスGBは、下流壁17の全体に沿うように広がるとともに、第1空気供給口21および第2空気供給口25から供給される希釈空気ADが下流壁17に当たることによって、燃焼ガスGBと希釈空気ADとが混合し、混合ガスGMが生成する。混合ガスGMは、下流壁17から流出し、混合部12に流入する。混合ガスGMは、混合部12において、混合部12の下から供給される希釈空気ADと混合し、上方に流れる。このようにして、燃焼ガスGBの温度を、希釈空気ADとの混合によってさらに下げることができる。
【0064】
以上のような作用によって、次の効果が得られる。
希釈空気ADは、燃焼室4に供給される前に、本体部10に沿うように流されて、本体部10を冷却する。本体部10の周壁16の耐火性を低くすることが可能となり、本体部10の重量増大を抑制できる。
【0065】
本体部10の周壁16の内側は、希釈空気ADによって形成される空気層ALによって保護されるため、本体部10の周壁16の耐火性を低くすることが可能となり、本体部10の周壁16の重量増大を抑制できる。
【0066】
燃焼ガスGBは、複数の第2空気供給口25から供給される噴流状の希釈空気ADの流れによって、燃焼ガスGBに衝突して混合される。これによって、燃焼ガスGBの高温部分が上下方向DAに大きくなることを抑制できる。ひいては、本体部10の大型化を抑制できる。さらに、本体部10の下流壁17によって燃焼ガスGBを放射状に分散させて希釈空気ADと混合させることによって、燃焼ガスGBを迅速に冷却することができる。これによって、収容部40の大型化を抑制できる。
【0067】
本実施形態の効果を説明する。
(1)ガス燃焼装置1において、炉体3の本体部10は、上流壁15と、周壁16と、下流壁17とを備える。上流壁15は、焚口20と、焚口20の周囲に配置されて希釈空気ADを燃焼室4に供給する複数の第1空気供給口21とを有する。下流壁17は、希釈空気ADと燃焼ガスGBとが混合した混合ガスGMを排出する少なくとも1つの排出口33を有する。
【0068】
この構成によれば、第1空気供給口21から燃焼室4内に希釈空気ADを供給することによって、燃焼ガスGBの周囲に空気層ALを形成できる。空気層ALは、高温の燃焼ガスによる周壁16への対流伝熱を妨げることで、本体部10の周壁16の温度上昇を抑制できる。このようなことから、耐熱性が低い部材によって本体部10の周壁16を構成できるようになり、本体部10の重量増大を抑制できる。
【0069】
(2)本体部10は、さらに、希釈空気ADを燃焼室4に供給する第2空気供給口25を備える。第2空気供給口25は、周壁16に設けられる。この構成によれば、燃焼ガスGBは、さらに希釈空気ADによって希釈されるため、燃焼ガスGBの温度上昇を抑制できる。これによって耐熱性が低い部材によって本体部10を構成できるようになり、重量増大を抑制できる。また、第2空気供給口25から供給される希釈空気ADによって、燃焼ガスGBとの対流混合が起きるため、燃焼ガスGBの高温領域が生じる高さを抑制できることから、燃焼室4を小さくできる。このようにして、ガス燃焼装置1の大型化を抑制できる。
【0070】
(3)炉体3は、さらに、通路部11を備える。通路部11は、周壁16および上流壁15の少なくとも一部を囲むように設けられ、希釈空気ADが通るように構成される。通路部11は、第1空気供給口21に接続される。この構成によれば、希釈空気ADによって本体部10を冷却できる。これによって耐熱性が低い部材によって本体部10を構成できるようになり、本体部10の重量増大を抑制できる。
【0071】
(4)炉体3は、さらに、混合部12を備える。混合部12は、排出口33から排出される混合ガスGMと希釈空気ADとを混合するように構成される。この構成によれば、希釈空気ADによって排出口33から排出される混合ガスGMを冷却できる。これによって耐熱性が低い部材によって炉体3の下流部(本実施形態では、混合部12)を構成できるようになり、炉体3の重量増大を抑制できる。
【0072】
(5)下流壁17は、中央部31が下流側に突出するように構成される。下流壁17に設けられる複数の排出口33は、軸線LGを中心とする仮想円の周方向に配置される。複数の排出口33それぞれは、径方向DRに向かって開口する。この構成によれば、排出口33から排出される混合ガスGMと希釈空気ADとを対流混合によって効率的に混合できるため、排出口33から排出される混合ガスGMを迅速に冷却できる。これによって、炉体3の大型化を抑制できる。
【0073】
<その他の実施形態>
上記実施形態は、上記構成の例に限定されない。上記実施形態は、以下のように変更され得る。なお、以下の変形例では、上記実施形態の構成と実質的に変更のない構成については、上記実施形態の構成と同一の符号をつけて説明する。
【0074】
・本実施形態において、収容部40の外周壁41は、3つに分割可能であるが、分割の個数はこれに限定されない。収容部40の外周壁41は、2つに分解可能であってもよく、4つ以上に分解可能に構成されてもよい。また、収容部40の外周壁41は、分割されない一体の筒として構成されてもよい。
【0075】
・本実施形態において、第1空気供給口21は、焚口20を囲む環状貫通孔として構成されてもよい。この場合、本体部10の上流壁15は、環状貫通孔の内側の第1部品と、環状貫通孔の外側の第2部品とに分割される。第1部品と第2部品とは、独立に支持される。第1部品は、第2部品に連結部材によって連結されてもよい。
【0076】
・本実施形態において、第2空気供給口25は、軸線LGを中心とする環状スリットとして構成されてもよい。この場合、本体部10は、環状スリットを境に、上部と下部とに分割される。上部と下部とは、独立に支持される。上部は、下部に連結部材によって連結されてもよい。
【0077】
・本実施形態では、通路部11および混合部12に希釈空気ADを送るため、外周壁41には、1個の開口部46が設けられているが、外周壁41に複数の開口部46が設けられてもよい。
【0078】
例えば、
図15に示されるように、外周壁41に2個の開口部46が設けられてもよい。2個の開口部46は、軸線LGを中心として対称の位置に配置される。2個の開口部46それぞれには上述構造の接続部14が設けられる。2個の接続部14は、軸線LGを中心として点対称となるように構成される。
【0079】
一例では、2個の接続部14のうちの1つは、予備的に設けられる。具体的には、2個の接続部14の両方それぞれに、ダクト6を介して送風機が接続される。通常、1つの送風機が運転される。使用中の送風機が故障した場合、他方の送風機が運転される。他方の送風機が運転している期間に、故障した送風機を修理できる。このように、一方の送付機が故障した場合でも、ガス燃焼装置1を使用できる。なお、2個の送風機を同時に運転してもよい。例えば、周方向における希釈空気ADの流れの偏りを是正する場合、または大量の希釈空気ADが必要である場合に、2個の送風機が同時に運転される。他の例では、2個の接続部14の一方に、ダクト6を介して送風機が接続され、他方の接続部14は、蓋で閉じられる。送風機が故障した場合、新たな送風機が追加されて、予備の接続部14に接続される。このように、1台の送風機の故障が生じた場合でも、送風機を追加設置することによって、ガス燃焼装置1の使用を継続できる。
【0080】
・
図16に示されるように、外周壁41を保護するため、本体部10を囲むように保護板71を設けてもよい。一例では、保護板71は、金属板で形成される。保護板71は、外周壁41の内面に密着するように取り付けられてもよい。保護板71は、次のように、外周壁41から離れるように設けられてもよい。
【0081】
本実施形態では、上下方向DAからみて下流壁17を囲むように保護板71が設けられる。保護板71は、排出ガイド34の開口端34aに対向するよう配置されることが好ましい。これによって、排出ガイド34から排出される混合ガスGMが直接に外周壁41に当たることを抑制できる。
【0082】
本実施形態では、保護板71は、外周壁41と周壁16との間において、外周壁41から離れ、かつ、周壁16から離れるように配置される。保護板71は、追加の整流板72に取り付けられる。追加の整流板72は、上述の第2整流板61よりも上の位置に配置される。追加の整流板72には貫通孔が設けられる。具体的には、希釈空気ADが、保護板71と外周壁41との間の隙間に流通し、かつ、保護板71と周壁16との間の隙間に流通するように、追加の整流板72に貫通孔が設けられる。この構成によって、保護板71の熱が外周壁41に伝わることが抑制され、外周壁41の熱変形が抑制される。
【0083】
・本実施形態において、下流壁17において、排出口33は、軸線LGを中心とする環状スリットとして構成されてもよい。
例えば、
図17および
図18に示されるように、本体部10の下流壁17は、第1環状スリット74と、第2環状スリット75と、第3環状スリット76とを備える。具体的には、下流壁17は、上部材77と、中間部材78と、下部材79とに分割される。
【0084】
上部材77は、中央部77cと、中央部77cの周囲に設けられて下方に広がる傾斜部77sとを有する。中間部材78は、下方に拡径するリング体に構成される。下部材79は、下方に拡径するリング体に構成される。上部材77と、中間部材78と、下部材79とは、1または複数の連結部材80によって連結される。
【0085】
上部材77は、第1環状スリット74を構成する隙間が設けられるように、中間部材78よりも上に配置される。中間部材78は、第2環状スリット75を構成する隙間が設けられるように、下部材79よりも上に配置される。下部材79は、第3環状スリット76を構成する隙間が設けられるように、周壁16よりも上に配置される。排出口33をこのような環状スリットにすることによって下流壁17の構造を簡潔にでき、下流壁17の生産性を向上できる。
【0086】
上部材77の下端77bは、中間部材78の上端78aよりも径方向DR外側に位置する。中間部材78の下端78bは、下部材79の上端79aよりも径方向DR外側に位置する。下部材79の下端79bは、径方向DRにおいて周壁16の上端16aと同じ位置または径方向DR外側に位置する。本実施形態では、周壁16の上部は、上方に縮径する。このような構成によって、上部材77、中間部材78および下部材79は、排気管から入る雨水が本体部10内に侵入することを抑制できる。
【0087】
さらに好ましくは、上部材77の下端77b、中間部材78の下端78b、および、下部材79の下端79bは、軸線LGを中心とする同心軸の円形に構成される。上部材77の下端77bの直径は、中間部材78の下端78bの直径よりも小さく、中間部材78の下端78bの直径は、下部材79の下端79bの直径よりも小さく、下部材79の下端79bの直径は、周壁16の胴部の直径よりも小さい。このように下流壁17は、全体として円錐台に近似した形状に構成される。これによって、混合ガスGMについて、下流壁17において下流側の排出量と上流側の排出量との差を小さくできる。
【符号の説明】
【0088】
AB…燃焼用空気
AD…希釈空気
GB…燃焼ガス
GF…燃料ガス
GM…混合ガス
LG…軸線(中心軸線)
1…ガス燃焼装置
2…バーナ
3…炉体
4…燃焼室
10…本体部
11…通路部
12…混合部
15…上流壁
17…下流壁
20…焚口
21…第1空気供給口
25…第2空気供給口
31…中央部
33…排出口