(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 9/54 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
H01H9/54 A
(21)【出願番号】P 2020527188
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2019006460
(87)【国際公開番号】W WO2020003596
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2018122227
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102223
【氏名又は名称】ウチヤ・サーモスタット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】武田 秀昭
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216056(JP,A)
【文献】特開2016-062790(JP,A)
【文献】特開2004-103383(JP,A)
【文献】特開2008-071514(JP,A)
【文献】特表2018-533835(JP,A)
【文献】国際公開第2011/034140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/60
H01H 9/00 - 9/28
H01H 9/54 - 9/56
H01H 89/00 - 89/10
H05F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
少なくとも前記電源の一方の極に接続され、前記電源から負荷に供給される電力を遮断する第1のスイッチと、
前記第1のスイッチよりも前記負荷側に配置され、前記電源から前記負荷に供給される電力を遮断する第2のスイッチと、
前記第2のスイッチの電気接点のうち前記第1のスイッチ側の一方端に接続された第1の電力線と、
前記第2のスイッチの前記電気接点のうち他方端に接続された第2の電力線と、
前記電源の他方の極に接続された第3の電力線と、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが電力を遮断した状態において、前記第2のスイッチの前記電気接点が帯電しないように、前記第1の電力線と前記第2の電力線との間に前記電気接点に並列に接続されているか、又は、前記第1の電力線と前記第3の電力線との間に接続されている電気素子と
、
互いに嵌め合わされる第1のケース部材及び第2のケース部材を有するケースと、を備え、
前記電気素子は、電気素子本体と、当該電気素子本体から突出し前記第1の電力線に接続される第1の端子と、前記電気素子本体から突出し前記第2の電力線又は前記第3の電力線に接続される第2の端子とを有し、
前記電気素子は、前記ケースに収容され、
前記第1の端子は、前記電気素子本体とは反対側の先端に第1の先細り部を有し、
前記第2の端子は、前記電気素子本体とは反対側の先端に第2の先細り部を有し、
前記電気素子は、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とが互いに嵌め合わされた状態で、前記第1の先細り部が前記第1の電力線の被覆部を貫通するとともに前記第2の先細り部が前記第2の電力線又は前記第3の電力線の被覆部を貫通するように配置され、
前記第1のケース部材は、前記第1の電力線の前記被覆部を保持する第1の電力線保持部と、前記第2の電力線又は前記第3の電力線の前記被覆部を保持する第2の電力線保持部とを有し、
前記第2のケース部材は、前記電気素子本体を保持する電気素子本体保持部と、前記第1の端子を保持する第1の端子保持部と、前記第2の端子を保持する第2の端子保持部とを有し、
前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記電気素子本体から、前記第1の電力線及び前記第2の電力線又は前記第3の電力線の軸中心の互いに反対方向に突出し、その後、前記第1の電力線と前記第2の電力線又は前記第3の電力線との配列方向の互いに反対方向に垂直に屈曲し、その後、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とが嵌め合わされる方向のうち前記第1のケース部材側に垂直に屈曲し、
前記第1の先細り部は、前記第1の端子のうち前記第1のケース部材側に垂直に屈曲した部分であり、
前記第2の先細り部は、前記第2の端子のうち前記第1のケース部材側に垂直に屈曲した部分である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電気素子は、抵抗体であり、
前記抵抗体は、消費電力が0.1W未満である
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記電気素子には、直流電流が流れ、
前記電気素子は、定電圧ダイオードである
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記電気素子は、避雷器である
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接点を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接点では、異物による接触障害の発生が稀にあり、この接触障害の発生に対する方法が検討されている。
例えば、電気接点の周囲の異物を電気接点以外の場所に付着固定する方法(例えば、特許文献1参照)、電気接点を構成する片側の接点を分割し、分割された一方の接点に異物が付着しても他方の接点が導通を確保することにより導通不良を少なくする方法(例えば、特許文献2参照)、互いに接触し合う接点を山型形状とし、山型部分を互いに交差するように接触させることにより導通不良を少なくする方法(例えば、特許文献3参照)、電磁リレーの導通が確認できない場合に繰り返し動作させて異物を焼き切る方法(例えば、特許文献4参照)、閉路状態にある電気接点と並列に接続した抵抗で判定を行う方法(例えば、特許文献5参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-247433号公報
【文献】特開2018-6209号公報
【文献】特開2009-117150号公報
【文献】特開2008-72839号公報
【文献】特開平5-232176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気接点を含む回路部分を主電源から遮断することで通電を停止した際、電気接点が開路状態となると、電気接点が電気的に開放状態になる。そして、特に、電気接点の開路状態が長時間続く場合や高温下では、外部からの静電誘導によって電気接点が帯電し、異物が引き寄せられる。
【0005】
上述の従来の方法は、電気接点において対策を行うものであり、電気接点間に不導体の異物を挟み込む根本の原因を解決することができるものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、電気接点における異物に起因する接触障害の発生を抑制することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、電子機器は、電源と、少なくとも前記電源の一方の極に接続され、前記電源から負荷に供給される電力を遮断する第1のスイッチと、前記第1のスイッチよりも前記負荷側に配置され、前記電源から前記負荷に供給される電力を遮断する第2のスイッチと、前記第2のスイッチの電気接点のうち前記第1のスイッチ側の一方端に接続された第1の電力線と、前記第2のスイッチの前記電気接点のうち他方端に接続された第2の電力線と、前記電源の他方の極に接続された第3の電力線と、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが電力を遮断した状態において、前記第2のスイッチの前記電気接点が帯電しないように、前記第1の電力線と前記第2の電力線との間に前記電気接点に並列に接続されているか、又は、前記第1の電力線と前記第3の電力線との間に接続されている電気素子とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気接点における異物に起因する接触障害の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図2】第2実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図3】第3実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図4】第4実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図5】第5実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図6】第6実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図7】第7実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図8】第8実施例に係る電子機器を示す回路図である。
【
図9】実施の形態におけるケースを第1の電力線及び第2の電力線とともに示す斜視図である。
【
図10】実施の形態における第1のケース部材を第1の電力線及び第2の電力線とともに示す平面図である。
【
図11】実施の形態における第1のケース部材を示す右側面図である。
【
図12】実施の形態における第2のケース部材を電気素子とともに示す底面図である。
【
図13】実施の形態における第2のケース部材の内部構造を電気素子とともに示す右側面図である。
【
図14】実施の形態におけるケースの内部構造を第1の電力線、第2の電力線、及び電気素子とともに示す右側面図である。
【
図15】実施の形態における、ケース及び電気素子を示す分解斜視図である。
【
図16】実施の形態における第2のケース部材の内部構造を電気素子とともに示す斜視図である。
【
図17】実施の形態における、ケース及び電気素子を、第1の電力線及び第2の電力線とともに示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る電子機器について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施例に係る電子機器を示す回路図である。
図1に示すように、電子機器10は、電源11と、第1のスイッチ12と、負荷13と、第2のスイッチ14と、電気素子の一例である抵抗体15とを備える。
【0011】
第1のスイッチ12は、例えば電源スイッチであり、少なくとも電源に接続され、電源11から負荷13に供給される電力を遮断する。換言すると、第1のスイッチ12は、負荷13、第2のスイッチ14、及び抵抗体15を有する制御用電気回路C1に電源11から供給される電力を遮断する。
【0012】
負荷13は、例えばヒータ等の電気部品である。
第2のスイッチ14は、第1のスイッチ12よりも負荷13側、例えば第1のスイッチ12と負荷13との間に配置され、電源11から負荷13に供給される電力を遮断する。第2のスイッチ14としては、例えば、外部からの制御電圧で駆動する電気リレー、各種物理量の変化に応じて作動する温度スイッチなどの制御器、又は、手動による操作スイッチが挙げられるが、電源11から負荷13に供給される電力を遮断するものであれば、特に制限されない。
【0013】
第1の電力線L11は、第2のスイッチ14の電気接点のうち第1のスイッチ12側の一方端に接続されている。第2の電力線L12は、第2のスイッチ14の電気接点のうち他方端に接続されている。第3の電力線L13は、電源11の第1のスイッチ12が接続された極とは反対の極と負荷13とに接続されている。抵抗体15は、第2のスイッチ14の電気接点に並列に第1の電力線L11と第2の電力線L12との間に接続されている。なお、抵抗体15は、例えば第2のスイッチ14の外部に配置されるが、第2のスイッチ14の内部において、第2のスイッチ14の電気接点に並列に接続されていてもよい。抵抗体15の消費電力は、例えば0.1W未満である。抵抗体15の抵抗は、電源11が100Vの場合、例えば150kΩ以上である。また、抵抗体15の抵抗は、1MΩ以上であってもよい。なお、抵抗体15における発熱は、極力抑えることが望ましい。
【0014】
ところで、第2のスイッチ14が最も安定して作動できる条件は、適度な電圧、電流を開閉制御する場合であり、一般的には定格の範囲内であれば、遮断する際に生じるアークで電気接点の表面に清浄面が出ることが多く、第2のスイッチ14の閉路時も電気接点のバウンドで生じるアークで接触が安定する。
【0015】
一方、第1のスイッチ12が電力を遮断した後に第2のスイッチ14が電力を遮断した状態(すなわち、第2のスイッチ14の電気接点が開路状態)となると、上述のアークが生じず、活性状態で電気接点を閉じることができない。そのため、わずかな異物でも影響が出やすくなる。さらに、電気回路の外部の環境にもよるが、周囲の静電気が静電誘導の現象で電気回路内部の切り離された導電部分の最小部分(電気接点ギャップ部)に帯電することによって、電気接点近傍に稀に存在する絶縁性の異物が電界によって分極し、これにクーロン力が作用して電気接点のギャップ部に挟まる原因となる。
【0016】
そこで、本実施の形態では、第1のスイッチ12及び第2のスイッチ14が電力を遮断した状態において、第2のスイッチ14の電気接点が帯電しないように、抵抗体15が、第2のスイッチ14の電気接点に並列に接続されている。これにより、第1のスイッチ12が電源11の電力を遮断し、電源11及び第1のスイッチ12を有する電源回路から切り離された制御用電気回路C1が無電圧状態で第2のスイッチ14が開路状態となっても、第2のスイッチ14の電気接点に異物が呼び込まれるのを防止することができる。
【0017】
以上のように、本実施の形態に係る電子機器10によれば、第2のスイッチ14の電気接点における異物に起因する接触障害の発生を抑制することができる。
図2は、第2実施例に係る電子機器30を示す回路図である。
【0018】
図2に示すように、電子機器20は、電源21と、第1のスイッチ22と、負荷23と、第2のスイッチ24と、電気素子の一例である抵抗体25とを備える。
本第2実施例では、抵抗体25が、第1の電力線L21と第3の電力線L23との間に接続されていることのみ上述の第1実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0019】
抵抗体25は、制御用電気回路C2において、第1のスイッチ22と第2のスイッチ24との間の第1の電力線L21に一方端が接続され、負荷23と電源21との間の第3の電力線L23に他方端が接続されている。
図3は、第3実施例に係る電子機器30を示す回路図である。
【0020】
図3に示すように、電子機器30は、電源31と、第1のスイッチ32と、負荷33と、第2のスイッチ34と、電気素子の一例である抵抗体35と、第3のスイッチ36とを備える。
【0021】
本第3実施例では、第1のスイッチ32と第3のスイッチ36とで電源31の両極を切断する形式となっていることのみ上述の第1実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0022】
図4は、第4実施例に係る電子機器40を示す回路図である。
図4に示すように、電子機器40は、電源41と、第1のスイッチ42と、負荷43と、第2のスイッチ44と、電気素子の一例である抵抗体45と、第3のスイッチ46とを備える。
【0023】
本第4実施例では、第1のスイッチ42と第3のスイッチ46とで電源41の両極を切断する形式となっていることのみ上述の第2実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。本第4実施形態では、第3の電力線L43は、第3のスイッチ46と負荷43とに接続されている。すなわち、第3の電力線L43は、電源41における第1のスイッチ42が接続される極とは別の極に接続されている。
【0024】
図5は、第5実施例に係る電子機器50を示す回路図である。
図5に示すように、電子機器50は、電源51と、第1のスイッチ52と、負荷53と、第2のスイッチ54と、電気素子の一例である定電圧ダイオード55とを備える。
【0025】
本第5実施例では、制御用電気回路C5において、
図1に示す第1実施例の抵抗体15に代えて、定電圧ダイオード55が配置されていることのみ上述の第1実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0026】
定電圧ダイオード55は、直流の制御用電気回路C5において、電源51の電圧では発熱せず、電源51の電圧より高いツェナー電圧を有する電気素子として配置されている。
図6は、第6実施例に係る電子機器60を示す回路図である。
【0027】
図6に示すように、電子機器60は、電源61と、第1のスイッチ62と、負荷63と、第2のスイッチ64と、電気素子の一例である定電圧ダイオード65とを備える。
本第6実施例では、制御用電気回路C6において、
図2に示す第2実施例の抵抗体25に代えて、定電圧ダイオード65が配置されていることのみ上述の第2実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0028】
定電圧ダイオード65は、直流の制御用電気回路C6において、電源61の電圧では発熱せず、電源61の電圧より高いツェナー電圧を有する電気素子として配置されている。
図7は、第7実施例に係る電子機器70を示す回路図である。
【0029】
図7に示すように、電子機器70は、電源71と、第1のスイッチ72と、負荷73と、第2のスイッチ74と、電気素子の一例である避雷器75とを備える。
本第7実施例では、制御用電気回路C7において、
図1に示す第1実施例の抵抗体15に代えて、避雷器75が配置されていることのみ上述の第1実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0030】
避雷器75は、電源71の電圧に適用できる例えばバリスタである。
図8は、第8実施例に係る電子機器80を示す回路図である。
図8に示すように、電子機器80は、電源81と、第1のスイッチ82と、負荷83と、第2のスイッチ84と、電気素子の一例である避雷器85とを備える。
【0031】
本第8実施例では、制御用電気回路C8において、
図2に示す第2実施例の抵抗体25に代えて、避雷器85が配置されていることのみ上述の第2実施例と異なる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0032】
避雷器85は、電源81の電圧に適用できる例えばバリスタである。
図9は、実施の形態におけるケース100を第1の電力線L1及び第2の電力線L2とともに示す斜視図である。
【0033】
図10は、実施の形態における第1のケース部材110を第1の電力線L1及び第2の電力線L2とともに示す平面図である。
図11は、実施の形態における第1のケース部材110を示す右側面図である。
【0034】
図12は、実施の形態における第2のケース部材120を電気素子500とともに示す底面図である。
図13は、実施の形態における第2のケース部材120の内部構造を電気素子500とともに示す右側面図である。
【0035】
図14は、実施の形態におけるケース100の内部構造を第1の電力線L1、第2の電力線L2、及び電気素子500とともに示す右側面図である。
図15は、実施の形態における、ケース100及び電気素子500を示す分解斜視図である。
【0036】
図16は、実施の形態における第2のケース部材120の内部構造を電気素子500とともに示す斜視図である。
図17は、実施の形態における、ケース100及び電気素子500を、第1の電力線L1及び第2の電力線L2とともに示す分解斜視図である。
【0037】
図9~
図14及び
図16に示すX方向、Y方向、及びZ方向は、説明の便宜上、一例として付すものである。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。X方向は、第1の電力線L1(上述の第1の電力線L11,L21,L31,L41,L51,L61,L71,L81)及び第2の電力線L2(上述の第2の電力線L12,L22,L32,L42,L52,L62,L72,L82)の
図9及び
図17に一点鎖線で示す軸中心の方向である。Y方向は、第1の電力線L1及び第2の電力線L2の配列方向である。Z方向は、ケース100の第1のケース部材110と第2のケース部材120とが嵌め合わされる方向である。なお、ここでは、第2の電力線L2を例に説明するが、第2の電力線の代わりに第3の電力線(上述の第3の電力線L13,L23,L33,L43,L53,L63,L73,L83)が配置されていてもよい。
【0038】
ケース100は、互いに嵌め合わされる第1のケース部材110及び第2のケース部材120を有する。ケース100は、例えば絶縁性の合成樹脂からなる。第1のケース部材110及び第2のケース部材120のそれぞれは、X方向、Y方向、又はZ方向に各辺が平行な直方体形状に近い形状を呈し、第1のケース部材110はZ方向前方に開口し、第2のケース部材120はZ方向後方に開口する。
【0039】
図9、
図10、及び
図17に示すように、第1の電力線L1は、上述の第2のスイッチ14,24,34,44,54,64,74,84の電気接点における第1のスイッチ12,22,32,42,52,62,72,82側の一方端に接続されている。第1の電力線L1のうち少なくともケース100が配置される領域には、外周に絶縁性の被覆部L1aが設けられている。
【0040】
第2の電力線L2は、上述の第2のスイッチ第2のスイッチ14,24,34,44,54,64,74,84の電気接点における他方端(すなわち、第1のスイッチ12,22,32,42,52,62,72,82とは反対側)に接続されている。第2の電力線L2のうち少なくともケース100が配置される領域には、外周に絶縁性の被覆部L2aが設けられている。
【0041】
図12~
図17に示す電気素子500は、例えば、上述の抵抗体15,25,35,45、定電圧ダイオード55,65、避雷器75,85などである。電気素子500は、電気素子本体501と、この電気素子本体501から突出し、第1の電力線L1に接続される第1の端子502と、電気素子本体501から突出し、第2の電力線L2に接続される第2の端子503とを有する。また、電気素子500は、ケース100に収容されている。
【0042】
第1の端子502は、例えば、電気素子本体501からX方向後方に突出し、その後Y方向前方に向かって垂直に屈曲し、その後Z方向後方に向かって垂直に屈曲する。第1の端子502は、電気素子本体501とは反対側の先端、すなわち、上記のZ方向後方に向かって延びる部分に第1の先細り部502aを有する。
【0043】
第2の端子503は、例えば、電気素子本体501からX方向前方に突出し、その後Y方向後方に向かって垂直に屈曲し、その後Z方向後方に向かって垂直に屈曲する。第2の端子503は、電気素子本体501とは反対側の先端、すなわち、上記のZ方向後方に向かって延びる部分に第2の先細り部503aを有する。
【0044】
図11、
図14、及び
図15に示すように、第1のケース部材110は、第1の電力線L1の被覆部L1aを保持する第1の電力線保持部110aと、第2の電力線L2の被覆部L2aを保持する第2の電力線保持部110bとを有する。また、第1のケース部材110は、第1の電力線L1と第2の電力線L2とを仕切るように、Z方向前方に突出する例えば平面板状の仕切り壁110cを有する。第1の電力線保持部110aは、例えば第1の電力線L1の外周の半分を覆うように半円状の断面を有する凹部である。また、第2の電力線保持部110bは、例えば第2の電力線L2の外周の半分を覆うように半円状の断面を有する凹部である。これらの凹部は、第1のケース部材110のX方向両端の面のみに設けられていてもよい。
【0045】
また、
図10、
図11、及び
図15に示すように、第1のケース部材110のY方向の後方の面には、Y方向後方に突出するロック用爪110d,110eが設けられている。また、第1のケース部材110のY方向の前方の面には、Y方向前方に突出するロック用爪110f,110gが設けられている。
【0046】
図12、
図15、及び
図16に示すように、第2のケース部材120は、電気素子本体501を保持する電気素子本体保持部120aと、第1の端子502を保持する第1の端子保持部120bと、第2の端子503を保持する第2の端子保持部120cとを有する。電気素子本体保持部120aは、例えば、電気素子本体501を挟んで一対配置され、Z方向後方に突出する例えば平面板状の部分である。第1の端子保持部120bは、例えば、第1の端子502の少なくとも一部を挟み込むように、Z方向後方に突出する部分である。また、第2の端子保持部120cは、例えば、第2の端子503の少なくとも一部を挟み込むようにZ方向後方に突出する部分である。なお、
図16に示すように、第2のケース部材120には、第1のケース部材110と同様に、X方向両端の面に、第1の電力線L1又は第2の電力線L2の外周の半分を覆うように半円状の断面を有する凹部が設けられている。
【0047】
図9及び
図15~
図17に示すように、第2のケース部材120のY方向の後方の面には、ロック用爪110d,110eが挿入されるロック用孔120d,120eが設けられている。また、第2のケース部材120のY方向の前方の面には、ロック用爪110f,110gが挿入されるロック用孔120f,120gが設けられている。第1のケース部材110と第2のケース部材120とは、ロック用爪110d,110e,110f,110gがロック用孔120d,120e,120f,120gに挿入されることによってロックされる。
【0048】
図15及び
図17に示すように、第1のケース部材110と第2のケース部材120とを嵌め合わせる際には、まず、第2のケース部材120に電気素子500が保持され、第1のケース部材110に第1の電力線L1及び第2の電力線L2が保持される。その後、第1のケース部材110と第2のケース部材120とが互いに嵌め合わされることによって、第1の端子502の第1の先細り部502aが第1の電力線L1の被覆部L1aを貫通し、第2の端子503の第2の先細り部503aが第2の電力線L2の被覆部L2aを貫通する。これにより、電気素子500は、第1の端子502において第1の電力線L1に接続され、第2の端子503において第2の電力線L2に接続される。
【0049】
以上のように、互いに嵌め合わされる第1のケース部材110及び第2のケース部材120を有するケース100を用い、電気素子500の第1の端子502の第1の先細り部502aと第1の電力線L1とを接続するとともに、第2の端子503の第2の先細り部503aと第2の電力線L2(又は第3の電力線)とを接続することによって、簡単に、電気素子500を第1の電力線L1と第2の電力線L2との間に第2のスイッチ14,24,34,44,54,64,74,84の電気接点に並列に接続することができる(又は第1の電力線L1と第3の電力線との間に接続することができる)。
【0050】
また、第1のケース部材100が第1の電力線保持部110a及び第2の電力線保持部110bを有し、第2のケース部材120が電気素子本体保持部120a、第1の端子保持部120b、及び第2の端子保持部120cを有することによって、簡単かつ確実に、電気素子500を第2のスイッチ14,24,34,44,54,64,74,84の電気接点に並列に接続することができる。
【0051】
以上、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0052】
[付記1]
電源と、
少なくとも前記電源の一方の極に接続され、前記電源から負荷に供給される電力を遮断する第1のスイッチと、
前記第1のスイッチよりも前記負荷側に配置され、前記電源から前記負荷に供給される電力を遮断する第2のスイッチと、
前記第2のスイッチの電気接点のうち前記第1のスイッチ側の一方端に接続された第1の電力線と、
前記第2のスイッチの前記電気接点のうち他方端に接続された第2の電力線と、
前記電源の他方の極に接続された第3の電力線と、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが電力を遮断した状態において、前記第2のスイッチの前記電気接点が帯電しないように、前記第1の電力線と前記第2の電力線との間に前記電気接点に並列に接続されているか、又は、前記第1の電力線と前記第3の電力線との間に接続されている電気素子と
を備えることを特徴とする電子機器。
【0053】
[付記2]
前記電気素子は、抵抗体であり、
前記抵抗体は、消費電力が0.1W未満である
ことを特徴とする付記1記載の電子機器。
【0054】
[付記3]
前記電気素子には、直流電流が流れ、
前記電気素子は、定電圧ダイオードである
ことを特徴とする付記1記載の電子機器。
【0055】
[付記4]
前記電気素子は、避雷器である
ことを特徴とする付記1記載の電子機器。
【0056】
[付記5]
互いに嵌め合わされる第1のケース部材及び第2のケース部材を有するケースと、を備え、
前記電気素子は、電気素子本体と、当該電気素子本体から突出し前記第1の電力線に接続される第1の端子と、前記電気素子本体から突出し前記第2の電力線又は前記第3の電力線に接続される第2の端子とを有し、
前記電気素子は、前記ケースに収容され、
前記第1の端子は、前記電気素子本体とは反対側の先端に第1の先細り部を有し、
前記第2の端子は、前記電気素子本体とは反対側の先端に第2の先細り部を有し、
前記電気素子は、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とが互いに嵌め合わされた状態で、前記第1の先細り部が前記第1の電力線の被覆部を貫通するとともに前記第2の先細り部が前記第2の電力線又は前記第3の電力線の被覆部を貫通するように配置されている
ことを特徴とする付記1から4のいずれか記載の電子機器。
【0057】
[付記6]
前記第1のケース部材は、前記第1の電力線の前記被覆部を保持する第1の電力線保持部と、前記第2の電力線又は前記第3の電力線の前記被覆部を保持する第2の電力線保持部とを有し、
前記第2のケース部材は、前記電気素子本体を保持する電気素子本体保持部と、前記第1の端子を保持する第1の端子保持部と、前記第2の端子を保持する第2の端子保持部とを有する
ことを特徴とする付記5記載の電子機器。
【符号の説明】
【0058】
10,20,30,40,50,60,70,80 電子機器
11,21,31,41,51,61,71,81 電源
12,22,32,42,52,62,72,82 第1のスイッチ
13,23,33,43,53,63,73,83 負荷
14,24,34,44,54,64,74,84 第2のスイッチ
15,25,35,45 抵抗体
36,46 第3のスイッチ
55,65 定電圧ダイオード
75,85 避雷器
100 ケース
110 第1のケース部材
110a 第1の電力線保持部
110b 第2の電力線保持部
110c 仕切り壁
110d,110e,110f,110g ロック用爪
120 第2のケース部材
120a 電気素子本体保持部
120b 第1の端子保持部
120c 第2の端子保持部
120d,120e,120f,120g ロック用孔
500 電気素子
501 電気素子本体
502 第1の端子
502a 第1の先細り部
503 第2の端子
503a 第2の先細り部
C1~C8 制御用電気回路
L1,L11,L21,L31,L41,L51,L61,L71,L81 第1の電力線
L1a 被覆部
L2,L12,L22,L32,L42,L52,L62,L72,L82 第2の電力線
L2a 被覆部
L13,L23,L33,L43,L53,L63,L73,L83 第3の電力線