(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ナノワイヤ上への構造的に制御されたシリコンの堆積
(51)【国際特許分類】
H01M 4/134 20100101AFI20230711BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/38 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021066099
(22)【出願日】2021-04-08
(62)【分割の表示】P 2016567613の分割
【原出願日】2015-05-12
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2014-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511261330
【氏名又は名称】アンプリウス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェイジー
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ズキン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ソング
(72)【発明者】
【氏名】ボーンステイン、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、コンスタンチン イオネル
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0027655(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0070741(US,A1)
【文献】特開2011-108639(JP,A)
【文献】特開2009-117165(JP,A)
【文献】特表2013-521621(JP,A)
【文献】国際公開第2013/096931(WO,A1)
【文献】特開2006-269306(JP,A)
【文献】特開2013-065547(JP,A)
【文献】国際公開第2014/008433(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0096819(US,A1)
【文献】特表2017-521812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/134
H01M 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムバッテリのためのアノードであって、
a)基板、
b)前記基板に固着されている複数のナノワイヤ、
c)前記複数のナノワイヤを実質的にコーティングする、第1の密度を有する第1のシリコン層、および
d)前記第1のシリコン層および任意の露出した前記複数のナノワイヤの上の第2のシリコン層であって、前記第1のシリコン層の密度より高い密度を有する、第2のシリコン層、
を備え、
前記基板の上のシリコン層は不連続であり、かつ/または、2ミクロン未満の厚さであ
り、
前記第2のシリコン層は、アモルファスである
アノード。
【請求項2】
リチウムバッテリのためのアノードであって、
a)基板、
b)前記基板に固着されている複数のナノワイヤ、
c)前記複数のナノワイヤを実質的にコーティングする、第1の密度を有する第1のシリコン層、および
d)前記第1のシリコン層および任意の露出した前記複数のナノワイヤの上の第2のシリコン層であって、前記第1のシリコン層の密度より高い密度を有する、第2のシリコン層、
を備え、
前記基板の上のシリコン層は不連続であり、かつ/または、2ミクロン未満の厚さであり、
前記複数のナノワイヤにおける1つのコーティングされたナノワイヤは、前記コーティングされたナノワイヤの最大直径であるd1、前記コーティングされたナノワイヤの底部の直径であるd2、及び、前記コーティングされたナノワイヤの高さであるhによって特徴づけられ、
d1/hが1/2から1/9の間であり、d2/hが1/400から1/70の間である、
アノード。
【請求項3】
リチウムバッテリのためのアノードであって、
a)基板、
b)前記基板に固着されている複数のナノワイヤ、
c)前記複数のナノワイヤを実質的にコーティングする、第1の密度を有する第1のシリコン層、および
d)前記第1のシリコン層および任意の露出した前記複数のナノワイヤの上の第2のシリコン層であって、前記第1のシリコン層の密度より高い密度を有する、第2のシリコン層、
を備え、
前記基板の上のシリコン層は不連続であり、かつ/または、2ミクロン未満の厚さであり、
前記複数のナノワイヤにおける1つのコーティングされたナノワイヤは、前記コーティングされたナノワイヤの最大直径であるd1及び前記コーティングされたナノワイヤの底部の直径であるd2によって特徴づけられ、
d1/d2が50:1から1.5:1の間である、
アノード。
【請求項4】
リチウムバッテリのためのアノードであって、
a)基板、
b)前記基板に固着されている複数のナノワイヤ、
c)前記複数のナノワイヤを実質的にコーティングする、第1の密度を有する第1のシリコン層、および
d)前記第1のシリコン層および任意の露出した前記複数のナノワイヤの上の第2のシリコン層であって、前記第1のシリコン層の密度より高い密度を有する、第2のシリコン層、
を備え、
前記基板の上のシリコン層は不連続であり、かつ/または、2ミクロン未満の厚さであり、
前記第1のシリコン層は、前記複数のナノワイヤに対して非コンフォーマルである、
アノード。
【請求項5】
前記第1のシリコン層は、アモルファスである、請求項1
から4のいずれか一項に記載のアノード。
【請求項6】
ナノワイヤをコーティングする前記第1のシリコン層の厚さは、10から50ミクロンの間である、請求項1から
5の何れか一項に記載のアノード。
【請求項7】
ナノワイヤをコーティングする前記第1のシリコン層の厚さは、前記コーティングがされたナノワイヤの最大径で、5から20ミクロンの間である、請求項1から
5の何れか一項に記載のアノード。
【請求項8】
ナノワイヤをコーティングする前記第2のシリコン層の厚さは、5から500ナノメートルの間である、請求項
7に記載のアノード。
【請求項9】
前記第2のシリコン層は、5から200ナノメートルの間の均一な厚さを有する、請求項
7に記載のアノード。
【請求項10】
前記第2のシリコン層は、10から90ナノメートルの間の均一な厚さを有する、請求項
7に記載のアノード。
【請求項11】
前記第1の密度は、2.2g/cm
3未満である、請求項1から10の何れか一項に記載のアノード。
【請求項12】
前記第2のシリコン層は、コンフォーマルコーティングである、請求項
1から11の何れか一項に記載のアノード。
【請求項13】
リチウムバッテリのためのアノードを製造する方法であって、
基板を設ける段階と、
前記基板から複数のナノワイヤを成長させる段階と、
前記複数のナノワイヤの各端部でより厚く、前記基板の近くの前記複数のナノワイヤの根もとでより薄くなるように、PECVD法を用いて前記複数のナノワイヤ上に第1のシリコン層を堆積させる段階と、
熱CVD法を用いて、前記第1のシリコン層、前記複数のナノワイヤ、及び前記基板上に第2のシリコン層を堆積させる段階と、
を備え、
前記基板の上のシリコン層は不連続であり、かつ/または、2ミクロン未満の厚さである、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照] 本出願は、2014年5月12日に出願された米国仮特許出願第61/992,121号に対する優先権を主張し、これは、その全体で全ての目的のために、本明細書において参照により組み込まれる。
[政府支援の陳述]
【0002】
本明細書において説明され特許請求される本発明は、一部分において、米国エネルギー省によって契約番号第DE-EE0005474の下で供給される資金を使用して作成された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
[発明の分野]
本発明は、概してナノ構造に関し、より具体的には、バッテリアノードにおいて有用な多層シリコンナノワイヤ構造に関する。
【0004】
リチウムバッテリアノードにおいてシリコンを使用する方法を見つけるべく、多くの努力がなされてきている。シリコンは、現在使用されているグラファイトとして、10倍のリチウム容量を有するので、はるかに期待できる。しかし、残念ながら、大量のリチウムの吸収において、シリコンは400%膨張し、これにより、通常、シリコンの崩壊および短いバッテリ寿命がもたらされる。
【発明の概要】
【0005】
一態様において、リチウムバッテリのアノードが提供され、そのアノードは、基板と、基板に固着されたナノワイヤテンプレートと、ナノワイヤテンプレートを実質的にコーティングし、第1の密度を有する第1のシリコン層と、第1のシリコン層および任意の露光されたナノワイヤテンプレートの上の第2のシリコン層と、を含み、第2のシリコン層は、第1のシリコン層の密度より高い密度を有する。様々な実施形態によると、第1の密度は、2.2g/cm3未満、2.1g/cm3未満、2.0g/cm3未満、1.9g/cm3未満、1.8g/cm3未満、または1.7g/cm3未満であってよい。第2のシリコン層は、いくつかの実施形態において、2.25g/cm3より高い密度を有してよい。いくつかの実施形態において、第2のシリコン層は、第1のシリコン層の密度より少なくとも0.05g/cm3または0.15g/cm3高い密度を有する。
【0006】
第1のシリコン層は、ナノワイヤテンプレートに対して非コンフォーマルであってよい。いくつかの実施形態において、第2のシリコン層は、下に存在する表面に対してコンフォーマルである。いくつかの実施形態において、第1のシリコン層の水素含有量は、少なくとも10%である。同じ、または他の複数の実施形態において、第2のシリコン層の水素含有量は、5%以下であってよい。様々な実施形態によると、ナノワイヤテンプレートは、伝導率であってよく、シリサイドナノワイヤを含み得る。ある例は、ニッケルシリサイドナノワイヤテンプレートである。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1のシリコン層は、その最大径において、約5から20ミクロンの間の厚さである。いくつかの実施形態において、第2のシリコン層は、約5から500ナノメートルの間の厚さ、例えば約5から100ナノメートルの間の厚さである。
【0008】
本開示の別の態様は、上記で説明されたアノードと、リチウム含有カソードと、アノードおよびカソードの両方とイオンで連通している電解質とを含むリチウムバッテリに関する。
【0009】
本開示の別の態様は、第1の密度を有する第1のシリコン層と、第1のシリコン層上の第2のシリコン層であって、第1のシリコン層の密度より高い密度を有する、第2のシリコン層とを含むナノ構造に関する。様々な実施形態によれば、第1の密度は、2.2g/cm3未満、2.1g/cm3未満、2.0g/cm3未満、1.9g/cm3未満、1.8g/cm3未満、または1.7g/cm3未満であってよい。第2のシリコン層は、いくつかの実施形態において、2.25g/cm3より高い密度を有してよい。いくつかの実施形態において、第2のシリコン層は、第1のシリコン層の密度より少なくとも0.05g/cm3または0.15g/cm3高い密度を有する。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、第1のシリコンワイヤ内にナノワイヤを含む。ナノワイヤは、基板に固着されて成長してよい。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、リチウムバッテリのためのアノードを製造する方法に関し、その方法は、基板を提供する段階と、基板から複数のナノワイヤを成長させる段階と、PECVD法を用いて複数のナノワイヤ上に第1のシリコン層を堆積させる段階と、熱CVD法を用いて第1のシリコン層、複数のナノワイヤ、および基板上に第2のシリコン層を堆積させる段階と、を含む。いくつかの実施形態において、複数のナノワイヤは、シリサイドナノワイヤである。いくつかの実施形態において、PECVD法は、拡張する熱プラズマ(ETP)法である。
【0011】
これらおよび他の複数の態様が、更に以下において、図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
前述の態様および他の態様は、添付の図面と併せて読まれる場合、複数の例示的な実施形態の以下の説明から、当業者によって容易に認識されるであろう。
【0013】
【
図1】シリコン層が、熱CVD(化学気相成長)を用いて上に堆積されている複数のナノワイヤの概略図である。
【0014】
【
図2】シリコン層が、PECVD(プラズマ増強化学気相成長)を用いて上に堆積されている複数のナノワイヤの概略図である。
【0015】
【
図3】本発明の実施形態に従って、第1のシリコン層が、PECVDを用いて上に堆積されており、次に、第2のシリコン層が、熱CVDを用いて上に堆積されている、複数のナノワイヤの概略図である。
【0016】
【
図4】シリコン層が、PECVDを用いて上に堆積されている、複数のナノワイヤのSEM(走査型電子顕微鏡)上面画像である。
【0017】
【
図5】本発明の実施形態に従って、第1のシリコン層が、PECVDを用いて上に堆積されており、次に、第2のシリコン層が、熱CVDを用いて上に堆積されている、複数のナノワイヤのSEM上面図画像である。
【0018】
【
図6】本発明の実施形態による、PECVDシリコンの内部コアおよび熱CVDシリコンの外層を有するナノ構造のSEM断面図画像である。
【0019】
【
図7】テンプレートナノワイヤ上の非コンフォーマルなシリコンコーティングを表した概略的描写を示す。
【0020】
【
図8A】PECVD+熱CVD(TCVD)テンプレートSi層、PECVDのみのテンプレートSi層、およびTCVDのみのテンプレート層を有する複数の電極に対して、容量対充放電回数を示すグラフである。
【
図8B】PECVD+熱CVD(TCVD)テンプレートSi層、PECVDのみのテンプレートSi層、およびTCVDのみのテンプレート層を有する複数の電極に対して、容量保持対充放電回数を示すグラフである。
【0021】
【
図9A】特定の実施形態による、本明細書で説明される複数の電極を使用する部分的にアセンブルされた電気化学セルの概略平面図である。
【0022】
【
図9B】特定の実施形態による、本明細書で説明される複数の電極を使用する部分的にアセンブルされた電気化学セルの電極スタックの概略断面図である。
【0023】
【
図10A】特定の実施形態による、セルを形成すべく、2つのシートのセパレータを共に巻き付けられた複数の電極の様々な概略図である。
【
図10B】特定の実施形態による、セルを形成すべく、2つのシートのセパレータを共に巻き付けられた複数の電極の様々な概略図である。
【
図10C】特定の実施形態による、セルを形成すべく、2つのシートのセパレータを共に巻き付けられた複数の電極の様々な概略図である。
【0024】
【
図11A】特定の実施形態による、複数のセルを含むスタックされたセルの概略断面図である。
【
図11B】特定の実施形態による、複数のセルを含むスタックされたセルの概略斜視図である。
【0025】
【
図12】特定の実施形態による、巻き付けられた円筒状セルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特定の実施形態が、複数のシリサイドナノワイヤの上へシリコンが堆積された状況において示される。しかしながら、当業者は、本明細書で開示される材料および方法が、堆積を調節して特定の特性を有する層を生成することが有用な、多数の他の状況における用途を有することを容易に理解するであろう。例えば、様々な実施形態が、本明細書において、ナノワイヤに関して説明される。しかしながら、特に指定がない限り、本明細書におけるナノワイヤへの言及は、ナノチューブ、ナノ粒子、ナノスフェア、ナノロッド、ナノウィスカ等のような、本明細書において参照によって組み込まれる米国特許第8,257,866号で説明されるような他のタイプのナノ構造を含むことが理解されるべきである。
【0027】
一般に、「ナノ構造」という用語は、約1ミクロン未満である少なくとも1つの寸法を有する構造を指す。この寸法は、例えば、ナノ構造(例えば、シリサイドテンプレートナノワイヤ)の直径、テンプレート上に形成されるシェルの厚さ(例えば、アモルファスシリコン層の厚さ)、または、何らかの他のナノ構造の寸法であり得る。最終的なコーティング構造の全体的な寸法(長さおよび直径)のいずれもナノスケールである必要はないことが、理解されるべきである。例えば、最終的な構造は、層を含み得、その層は、その最大直径における厚さが約10ミクロンであり、直径が約100ナノメートルで、長さが20ミクロンのテンプレート上にコーティングされる。この全体的な構造は、約10.1ミクロンの最大の直径、および20ミクロンの長さである一方、それは、テンプレートの寸法に起因して「ナノ構造」と概して呼ばれる。特定の実施形態において、「ナノワイヤ」という用語は、ナノスケールのシェルが細長いテンプレート構造の上に位置付けられている構造を指す。
【0028】
ナノワイヤは(ナノ構造の具体例として)、1よりも大きいアスペクト比、典型的には少なくとも約2であり、より頻繁には少なくとも約4であるアスペクト比を有する。特定の実施形態において、ナノワイヤは、少なくとも約10のアスペクト比を有し、少なくとも約100または500のアスペクト比さえも有する。ナノワイヤは、その大きい1つの寸法を使用して他の電極構成要素(例えば、伝導率基板、他の活性物質構造、または伝導率添加剤)に接続し得る。例えば、複数のナノワイヤの大部分の一端(または何らかの他の一部)が、基板と接触するように、ナノワイヤには、基板が固着されていてよい。2つの他の寸法は小さく、拡張可能な隣接する空隙容量があるので、リチオ化(例えば、シリサイドテンプレート上に位置付けられたナノシェルの拡張)の間にナノワイヤに蓄積される内部応力も小さく、(より大きな構造に起こるように)ナノワイヤを破壊しない。ナノワイヤの特定の寸法(例えば、全体的な直径および/またはシェルの厚さ)は、使用される活性物質の対応する破壊レベル以下で保持される。ナノワイヤは、また、テンプレート構造の高さに対応する細長い構造により、電極表面の単位面積当たりの比較的高い容量を可能にする。これは、これらの比較的高いアスペクト比および基板への末端接続の結果として生じる。
【0029】
シリコンナノ構造は、純シリコンでないナノワイヤテンプレート構造を最初に成長させ、次にシリコンでテンプレートをコーティングすることによって、作成され得る。熱CVD(化学気相成長)、HWCVD(ホットワイヤCVD)、および/またはPECVD(プラズマエンハンスト化学気相成長)が、シリコンを堆積させるのに使用されてよい。
【0030】
様々な堆積プロセスは、シリコンをナノワイヤ上へ堆積させるとき、異なる外形を生成する。例えば、熱CVDは、コンフォーマルなアモルファスSiコーティングを生成する。HWCVD(触媒CVDとしても周知である)は、ナノワイヤの先端部でより厚く、基板の近くのナノワイヤの根もとでより薄い、高密度の非コンフォーマルなアモルファスSiコーティングを形成する。PECVDも、ナノワイヤの端部でより厚く、基板の近くのナノワイヤの根もとでより薄い非コンフォーマルなアモルファスSiコーティングを生成するが、そのコーティングは、多くの小さい空隙であり低密度である。
【0031】
図1は、コンフォーマルなシリコン層が、熱CVDを用いて上に堆積されているナノワイヤの概略図である。ナノワイヤテンプレート110は、基板120から成長している。シリコン層130は、ナノワイヤテンプレート110の上へ堆積される。シリコン層130は、ナノワイヤ110および基板120の両方をコーティングし、コーティングは、どこでもおよそ同じ厚さを有することに留意されたい。
【0032】
図1に示される構造の1つの利点は、その構造が非常に高密度であることである。そのような構造を用いて作成されたアノードが、バッテリにおいて充放電を繰り返す場合、シリコン上に形成する固体電解質界面(SEI)層は、熱CVDによって形成されるシリコンが非常に高密度であることから、非常に薄い。
図1に示される構造の複数の欠点の1つは、ナノワイヤの根もとにおけるシリコンの厚い層である。そのような構造を用いて作成されたアノードが、バッテリにおいて充放電を繰り返す場合、シリコン層において大きな拡張および収縮が生じる。根もと部分における拡張は、Si層の皺およびナノワイヤの剥離を引き起こし得、バッテリ故障の原因となる。別の欠点は、テンプレートにおけるナノワイヤが、
図1に示されるように正確に平行でないかもしれないことから、起こる。代わりに、それらは、異なる角度で成長し、クラスタで成長する場合が非常に多い。ナノワイヤは、全てが同じ長さを有するわけではない。熱CVDによってコーティングされる場合、クラスタの根もとは、いくつかの短いナノワイヤと共に、連続シリコン層も形成し得、それも剥離に繋がり得る。
【0033】
図2は、PECVDを用いてシリコン層が上に堆積されている、ナノワイヤの概略図である。最初に、PECVDは、基板上にかつナノワイヤの根もとにおいて、シリコンの非常に薄い層(1ミクロン未満であり、典型的には、0.1から0.4ミクロン等、はるかに1ミクロン未満である)を堆積させてよい。しかしながら、これらの部分は、ナノワイヤの先端部におけるその後の堆積によってすぐに陰になる。基板面にわたるナノワイヤの均一性によっては、基板上の非常に薄い層は、連続していてもよく、または連続していなくてもよい。理想的な表面および堆積条件の下で、均一な薄い層が期待されてよいが、実際の場合、基板・ナノワイヤ界面において、表面上のナノワイヤの不均一な分布に起因する不連続性が存在し得る。
【0034】
図2において、ナノワイヤテンプレート210は、基板220から成長させられる。シリコン層240は、ナノワイヤテンプレート210上へ堆積させられる。シリコン層240は、ナノワイヤ210の先端部で最も厚く、ナノワイヤの210の根もとにおいてシリコンが実質的に無くなるまで先細りすることに留意されたい。基板220上においても、シリコンは、実質的に無い。
【0035】
図2に示される構造の1つの利点は、ナノワイヤの根もと部分が、この非常に薄いシリコン層だけでコーティングされていることである。そのような構造を用いて作成されたアノードが、バッテリにおいてサイクルされる場合、ナノワイヤ根もと部分における拡張によって生じる欠陥の可能性は、大いに低減される。別の利点は、PECVDコーティングが、熱CVDコーティングほど高密度でなく、大量の空隙および孔を含み得ることである。そのような欠陥は、シリコンが、リチウムを吸収するにつれてシリコンが中で拡張し得る空間を提供することにおいて非常に役立つことが可能である。
【0036】
図2に示される構造の欠点の1つは、ナノワイヤの根もと部分が、効果的にコーティングされないことである。そのような構造を用いて作成されたアノードが、バッテリにおいてサイクルされる場合、根もとの周りの領域は、電気化学的に関与することが出来なく、したがって、バッテリの体積エネルギー密度の減少を引き起こす。より多くのシリコンが、ナノワイヤ上に堆積させられた場合、ナノワイヤの先端部におけるシリコン層は、厚くなり過ぎて、サイクルの間にシリコンの破砕、およびそれに続くアノードの故障を引き起こす。別の欠点は、空隙の存在は、コーティングされたナノワイヤの表面面積の増加および層内もしくは表面における水の吸収に繋がり得る。バッテリが充放電を繰り返すにつれて、非常に厚いSEI層が形成し得、したがって、クーロン効率を下げ、バッテリの充放電寿命を短縮させる。
【0037】
本発明の一実施形態において、上記で議論された複数の堆積法は、2つのシリコン層が上に堆積されているナノワイヤの概略図である
図3に示されるように、最適なSiコーティングを設けるべく、組み合わされる。ナノワイヤテンプレート310は、基板320から成長させられる。先細りした外形を有する第1のシリコン層340は、PECVDを用いてナノワイヤテンプレート310上に堆積させられる。第1のシリコン層340は、ナノワイヤの上部において、例えば、約0.5から10ミクロンの間の厚さであってよい。いくつかの実施形態において、第1のシリコン層はより厚くてよく、例えば、約10から50ミクロンの間、または10から20ミクロンの間であってもよい。コンフォーマルな形状を有する第2のシリコン層330は、熱CVDを用いて第1のシリコン層340の上に堆積させられる。第2のシリコン層330は、例えば、約10から500nmの間の厚さであってもよい。結果として得られる構造は、ナノワイヤの先端部において、その根もと端部よりもはるかに多くのシリコンを有する。より特定の実施形態において、第2のシリコン層は、5から200nmの間の厚さ、または10から90nmの間の厚さであってもよい。第2のシリコン層330は、下に存在する表面に対してコンフォーマルであり、それは、第1のシリコン層340、基板320、およびナノワイヤテンプレート340の任意の露出部分を含む。上で述べたように、第2のシリコン層は、およそ均一な厚さを有する。
【0038】
様々な実施形態によると、基板面上の層は、連続していても連続していなくてもよい。基板上の層が、厚くなり過ぎて(例えば、2ミクロンより厚い)連続していない限り、高性能が、実現され得る。
【0039】
図4は、シリコン層が、PECVDを用いて上に堆積させられているナノワイヤのSEM(走査型電子顕微鏡)上面画像である。
【0040】
図5は、第1のシリコン層が、PECVDを用いて上に堆積させられ、次に、第2のシリコン層が、熱CVDを用いて上に堆積させられているナノワイヤのSEM上面画像である。
【0041】
本明細書において説明される新規な構造は、多くの利点を有する。いくつかの実施形態において、ナノワイヤの先端部の近くにおいて、根もとにおいてよりも多くのシリコンがあるが、根もとにおいて、まだいくらかのシリコンがある。根もとにおいてそのような薄いシリコン層を有することで、サイクルの間に、剥離が起こらないことが保証される。いくつかの実施形態において、ナノワイヤの全体の長さにわたって電気化学的な関与もあってよい。更に、SEI層形成が、安定化されてよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、堆積させられた第1のシリコン層は、アモルファスであり、約1.70g/cm3以下、または2.10g/cm3以下、または2.2g/cm3以下、または2.25g/cm3未満の密度のような低密度を有し、多くの小さい空隙を含んでもよい。堆積させられた第2のシリコン層は、アモルファスであり、約2.25g/cm3以上の密度のような高密度を有する。それぞれの層の密度は、結晶シリコンの密度より低い。
【0043】
様々な実施形態によると、ナノ構造は、第1のシリコン層上の第2のシリコン層によって特徴付けられてよく、第2のシリコン層は、第1のシリコン層の密度より高い密度を有する。上記で議論されたように、いくつかの実施形態において、第1のシリコン層は、シリコンが、リチウムを吸収するにつれて中で拡張し得る空間を提供する一方で、第2のシリコン層は、SEI層形成を減少させる。そのように、それぞれの層の密度は、電解質、バッテリの容量、ナノワイヤテンプレート密度等に応じて調整されてよい。したがって、いくつかの実施形態において、それらの密度は、絶対密度ではなく、または絶対密度に加えて、複数の層の密度間の差に関して特徴付けられてよい。いくつかの実施形態において、第2のシリコン層は、第1のシリコン層よりも少なくとも0.05g/cm3高い密度、または第1のシリコン層よりも少なくとも0.1g/cm3高い密度、または第1のシリコン層よりも少なくとも0.2g/cm3高い密度、または第1のシリコン層よりも少なくとも0.3g/cm3高い密度を有してよい。
【0044】
図6は、本発明の実施形態による、PECVDシリコン640の内部コアおよび熱CVDシリコン630の外層を有するナノ構造のSEM断面図画像である。PECVDシリコン640の多孔性形態は、熱CVDシリコン630の非多孔性形態と同じように明瞭に見ることが可能である。
【0045】
本明細書で開示される方法および構造の態様は、シリコンに加え、またはそれの代わりに、他の高容量活性物質で実装されてよい。電気化学的に活性の物質は、少なくとも約500mAh/g、より具体的には少なくとも約1000mAh/gの理論的リチオ化容量を有してよい。そのような容量を有する活性物質は、「高容量活性物質」と呼ばれてよい。アモルファスシリコンに加えて、高容量活性物質の例は、シリコン含有化合物、スズおよびスズ含有化合物、ゲルマニウムおよびゲルマニウム含有化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、電極は、低密度を有する第1の内層およびより高い密度を有する第2の外層を含む二重密度ゲルマニウム層を含んでよい。
【0046】
特定の実施形態において、高容量活性物質またはテンプレートは、基板に固着されたナノ構造として形成される。これらのナノ構造は、この電極のための電流コレクタとして機能してよい伝導率基板に物理的および導電的に取り付けられてよい。物理的取り付けは、単なる機械的接触にとどまらなくてもよく、それは、例えば、個別のナノ構造を有するバインダを基板上にコーティングすることにより生じるかもしれない。いくつかの実施形態において、物理的取り付けは、ナノ構造を基板へ融合させること、またはナノ構造のまたはナノ構造の一部を基板上へ直接、例えば、CVD技術を用いて、または、よりさらに具体的に、気相‐液相‐固相CVD成長を用いて、堆積させることにより生じる。さらに別の例において、物理的取り付けは、ナノ構造を基板上に衝撃を加えて突き刺すことから生じる。特定の実施形態において、物理的取り付けは、2つの接合された材料の合金(例えば、シリサイド)の形成のような、特定の形態の金属結合を含む。
【0047】
多くの実施形態において、ナノワイヤテンプレートは伝導率材料であり、伝導率テンプレートの例に、金属テンプレートおよび金属シリサイドテンプレートが含まれる。いくつかの実施形態において、伝導率テンプレートは、酸化物を含んでよい。本明細書で使用されるとき、「伝導率」という用語は、半導体および絶縁体とははっきりと異なるものとして、導電体を広範に指す。ナノワイヤテンプレートは、少なくとも約103S/mの伝導率、またはより具体的には、少なくとも約106S/mの伝導率、または少なくとも約107S/mの伝導率さえ有してもよい。伝導率テンプレートは、電気化学的に活性な材料であるシリコンから電流コレクタへのトランスポート経路を提供するとともに、シリコン層を機械的にサポートするのに有用であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、ナノワイヤテンプレートは、機械的サポートをシリコンに提供する半導体または絶縁体(例えば、酸化物)であってよい。シリコンナノワイヤは、本明細書で説明されるようにシリコンナノワイヤの上にа‐Siの1または複数のコーティングを堆積させてテンプレートとして使用されてもよい。シリコンナノワイヤアノードは、本明細書に参照によって組み込まれる米国特許第7,816,031号において説明されている。
【0048】
ナノワイヤテンプレートのナノワイヤは、非分岐線形ナノワイヤまたは分岐ナノワイヤであってよい。電極は、非分岐ナノワイヤと分岐ナノワイヤとの組み合わせを含んでよく、またはこれらのタイプの一方だけを含むだけでもよい。テンプレートは、概して細長いテンプレート構造であってよいが、上記のように、ナノスフェア、ナノロッド、ナノウィスカ、ナノ粒子等が使用されてもよい。ナノワイヤテンプレートは、多次元構造の一部であってよい、またはそれを含んでもよい。そのような構造の一例は、複数のナノワイヤが取り付けられ、「毛玉状」または「雪玉状」の構造を形成する中核である。そのような構造の例は、本明細書において参照によって組み込まれる米国特許出願第13/277,821号に示されている。
【0049】
特定の実施形態において、ナノワイヤテンプレートにおけるナノワイヤは、約10ナノメートルから100ナノメートルの間の直径、および、約10ミクロンから100ミクロンの間の長さを有する。一例において、構造は、5から40ミクロンにわたる範囲のナノワイヤを含んでよい。しかしながら、他の寸法を有するナノワイヤが使用されてもよい。
【0050】
ナノワイヤ密度は、ナノワイヤの長さ、所望される容量、活性物質の膨張率、および特定の用途に依存し得る。複数のテンプレート構造の間の間隔が、コーティングの厚さ未満である場合、それは、活性物質層のかなり大きい相互接続をもたらし得る。根もとの近くの相互接続は、凝集した、または連続した膜状構造を生成し得、それは、良好な充放電性能を妨げる。ナノワイヤは、様々な長さを有し、ランダムに方向付けられて、ランダムに分布してよい。しかしながら、いくつかの実装において、均一な密度および/または方向性を生み出す、テンプレートまたはガイドによる成長法が、使用されてよい。一例において、テンプレート構造のナノワイヤは、様々なサイズの範囲、例えば、短いサイズ、中間のサイズ、および長いサイズの範囲にグループ化されてよい。長いナノワイヤは、上記に示されるように、上から見たSEM画像で見えるものとして識別されてよい。例示的な密度は、100ミクロン平方当たり0.5から20個の長いナノワイヤ、および100ミクロン平方当たり合計で2から400個のナノワイヤであってよい。いくつかの実施形態において、ナノワイヤ密度は、特定の質量負荷について決定されてよい。例えば、2.5から2.9Mg/cm2の間の質量負荷の場合、Siコーティングの上部の直径4から6ミクロンは、底部の直径0.2から0.3ミクロンについて、上部のナノワイヤ密度は、センチメートル平方当たり、長いナノワイヤが2×106から6×106個であってよい。
【0051】
特に、ナノワイヤテンプレートが、基板に固着されており、バッテリにおいて電流コレクタとして使用されてよい場合、基板は、概して、少なくとも約103S/mの伝導率、またはより具体的には少なくとも約106S/mの伝導率、または少なくとも約107S/mの伝導率さえ有する伝導率材料である。これは、基板が固着された構造が、バッテリまたは燃料電池用に完全に製造された電極として使用される場合に望ましいであろう。伝導率基板材料の例として、銅、複数の金属酸化物でコーティングされた銅、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、ニッケル、クロム、タングステン、他の複数の金属、金属シリサイド、および他の複数の伝導率金属化合物、カーボン、カーボンファイバ、グラファイト、グラフェン、カーボンメッシュ、伝導率ポリマー、ドープされたシリコンまたは多層構造を含む上記の組み合わせが挙げられる。基板は、ホイル、フィルム、メッシュ、発泡体、スタック体、ワイヤ、チューブ、粒子、多層構造、または任意の他の適切な構成として形成されてよい。特定の実施形態において、基板は、約1ミクロンから50ミクロンの間の厚さ、またはより具体的には、約5ミクロンから30ミクロンの間の厚さを有する金属ホイルである。
【0052】
様々な実施形態によると、シリコンコーティングは、形状(モホロジーとも呼ばれる)、密度、並びにバルクおよび表面組成のうち1または複数によって特徴付けてよい。モホロジーに関して、第1のシリコン層は、非コンフォーマルとして概して特徴付けられてよく、基板に対して垂直な方向において変化し得る厚さを有する。
【0053】
いくつかの実施形態において、シリコン層は、概して円対称性を有する。例えば、
図4における上面SEM画像を参照されたい。概して円対称性を有するナノワイヤのアレイは、2つのナノワイヤが、十分に近接しており、これらのコーティングが互いに境を接することに起因して、非対称性が導入され得る複数のアレイを含むことに留意すべきである。
【0054】
図7は、水滴または円錐台としてのコーティングを表した概略的描写を示す。d1、d2およびhといった寸法は、d1が、コーティングの最大直径であり、d2が、コーティングの底部の直径であり、hが、コーティング後のアノードの高さであるとしてラベル付けされる。非コンフォーマルコーティング(多孔性非コンフォーマルコーティング単独、または高密度のコーティングでコンフォーマルにコーティングされた多孔性非コンフォーマルコーティング)は、いくつかの実施形態において、以下の比、1/2から1/9のd1/h比、1/400から1/70のd2/h比、および50:1から1.5:1のd1/d2比によって、特徴付けられてよい。
【0055】
一例において、d1は、4から15ミクロンの間、または4から12ミクロンの間であってよく、d2は、約0.2から2ミクロンの間であってよく、高さは、約20から50ミクロンの間、例えば、約30から40ミクロンの間であってよい。コーティングは、いくつかの実施形態において、ナノワイヤの高さの上に10から20ミクロンの間で延在してよい。非コンフォーマル層は、ナノワイヤを実質的にコーティングし、非コンフォーマルコーティングは、ナノワイヤの長さの少なくとも大部分にまで延び、いくつかの実施形態においては、テンプレート全体をコーティングする。上記のように、ナノワイヤテンプレートの近くにまたはその根もとにおいて、不連続性があってよい。
【0056】
一例において、約10から50nmの直径および約10から25ミクロンの間の長さを有するナノワイヤは、シリコンでコーティングされ、コーティング後には、その結果根もとにおけるナノ構造の直径が、100から400nmになり、最大径が、2から20ミクロンになり、アノードの合計の高さが、20から40ミクロンになる。
【0057】
いくつかの実施形態において、非コンフォーマル層は、少なくとも10%の水素(H)含有量によって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態において、コンフォーマルな高密度層は、7%以下、または5%以下の体積水素含有量によって特徴付けられてよい。
【0058】
非コンフォーマルな、多孔性のシリコン層は、PECVDの代わりに、またはそれに加えて、蒸着または他の物理的気相成長(PVD)法またはHWCVD等の方法により堆積させられてよい。
【0059】
PECVDプロセスにおいて、様々な実装によると、プラズマが、基板が配置されるチャンバにおいて生成されてよく、またはチャンバの上流に生成されて、チャンバ内に供給されてもよい。容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、および導電性結合プラズマを含む任意のタイプのプラズマが、使用されてよい。DC、AC、RFを含む任意の適当なプラズマ源が、使用されてよく、マイクロ波源が、使用されてもよい。
【0060】
PECVDプロセス条件は、特定のプロセスおよび使用されるツールにより、変化し得る。かなり広い範囲の温度、例えば、180℃から600℃の温度が使用されてよい。圧力は、プラズマプロセスでは、概して低く、例えば、プロセスに応じて、50mTorrから400Torr、または200mTorrから10Torrにわたる範囲にある。
【0061】
いくつかの実装においてPECVDプロセスは、拡張する熱プラズマ化学気相成長(ETP‐CVD)プロセスである。そのようなプロセスにおいて、プラズマ発生ガスは、直流アークプラズマジェネレータの中を通過して、プラズマを形成し、ナノワイヤテンプレートを含むウェブまたは他の基板は、隣接している真空チャンバ内にある。シリコンの原料ガスが、プラズマ内に注入され、ラジカルが生成される。プラズマは、発散ノズルを介して拡張され、真空チャンバ内に、そして基板に向かって注入され、アモルファスシリコンの非コンフォーマル層が、ナノワイヤテンプレート上に形成される。プラズマ発生ガスの例にアルゴン(Ar)がある。いくつかの実施形態において、プラズマにおけるイオン化アルゴン種は、複数のシリコンの原料分子と衝突し、シリコン原料のラジカル種を形成し、ナノワイヤテンプレート上に堆積が生じる。DCプラズマ源の電圧および電流についての例示的な範囲は、それぞれ、60から80ボルト、および、50から70アンペアである。
【0062】
コンフォーマルで高密度のシリコン層は、熱CVDの代わりに、またはそれに加えて、原子層堆積(ALD)のような方法によって堆積させられてよい。低圧力CVD(LPCVD)等の任意の適当な熱CVDプロセスが、使用されてよい。金属基板を用いるときの温度の増加により、金属シリサイドが、ナノワイヤ‐基板界面の周りに形成されない限り、温度は、いくつかの実施形態において、サーマルバジェットが許容するほど高くてもよい。
【0063】
シリコン層を形成すべく、シラン(SiH4)、ジクロロシラン(H2SiCl2)、モノクロロシラン(H3SiCl)、トリクロロシラン(HSiCl3)、および四塩化シリコン(SiCl4)を含む任意の適当なシリコン原料が、非コンフォーマルおよびコンフォーマルなシリコン層に使用されてもよい。使用される気体によっては、アモルファスシリコン層が、水素還元等による、分解または別の化合物との反応によって形成されてよい。様々な実施形態によると、同じまたは異なるシリコン原料が、複数の層のそれぞれに使用されてよい。
【0064】
様々な実施形態によると、PECVDプロセスは、シリコン前駆体の気相ラジカル生成および気相核生成およびテンプレートの表面上における凝結に起因する非コンフォーマルコーティングをもたらす。対照的に、熱CVD反応は、表面反応をもたらす複数の条件で実行される。表面における高エネルギーおよび移動性は、コンフォーマル層をもたらす。いくつかの実施形態において、熱CVDプロセスの間のチャンバ圧は、例えば100mTorrから2Torrで、低い圧力に保持され、気相反応および非コンフォーマル堆積を防止する。より高い圧力、例えば、2Torrより高い、つまり500Torrで、非コンフォーマル堆積が生じ得る。
【0065】
制御された密度を有する活性物質層を堆積させることの更なる説明は、本明細書において参照によって組み込まれる米国特許出願第13/277,821号において見られ得る。
【0066】
上に示されるように、ナノ構造は、第1のシリコン層上の第2のシリコン層によって特徴付けられてよく、第2のシリコン層は、第1のシリコン層の密度より高い密度を有する。いくつかの実施形態において、第1のシリコン層は、ナノワイヤテンプレート上に直接堆積させられてよく、第2のシリコン層は、コーティングされたテンプレートの最外殻である。しかしながら、いくつかの実施形態において、他の層が存在してもよい。例えば、薄い高密度シリコン層が、ナノワイヤテンプレート上に堆積させられてよく、その後に、より厚い多孔性の層および第2の薄い高密度層が続く。
【0067】
まだ更に、非Si層が、いくつかの実施形態において、ナノ構造の最外殻であってもよい。複数の層の例には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化コバルト、および酸化ジルコニウム等の金属酸化物、金属窒化物、並びにシリコン窒化物が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらのいずれかの薄い層が、上記の高密度なSi層に加えて、またはその代わりに堆積させられてよい。
【0068】
様々な実施形態によると、第1のおよび第2のシリコン層のそれぞれが、均一な密度を有してよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、一方または両方の層において密度勾配を提供すべく、堆積中に堆積条件が調整されてもよい。例えば、どちらの層も、層の外側部分に向かってより密度が高くなってもよい。そのような実施形態において、層の平均密度が、上記のような層の密度を特徴付けるのに使用されてよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、シリコンが、HWCVDによって堆積させられてよい。いくつかのそのような実装において、通常PECVDによって堆積させられるものと、通常TCVDによって堆積させられるものとの間の密度を有する単独のSi層が、堆積させられてよい。それは、また、堆積プロセスを調整することによって、第1のおよび第2のSiコーティングの両方をコーティングするのに使用され得る。
【0070】
[実験]
【0071】
本明細書において説明されるようなSiの2つの層を有するナノワイヤからの充放電データは、そのような構造が、PECVDだけ、または熱CVDだけを用いて作成される構造を上回る、増加した充放電寿命を有することを示す。
図8Aおよび
図8Bは、PECVD+熱CVD(TCVD)のテンプレートSi層、PECVDのみのテンプレートSi層、およびTCVDのみのテンプレート層を有する複数の電極について、容量対充放電回数、および容量保持対充放電回数を示すグラフである。容量および容量保持は、PECVD+TCVD Si層に対して最も高い。上記のように、PECVD層は、より多孔性であり、より密度が低い内部層であり、TCVD層は、より密度の高い外部層である。
【0072】
[アセンブリ]
【0073】
図9Aは、特定の実施形態による、本明細書において説明される複数の電極を使用する部分的にアセンブルされた電気化学セルの平面図である。セルは、正電流コレクタ903の大部分を覆うことが示される正電極活性層902を有する。セルは、負の電流コレクタ905の大部分を覆うことが示される負電極活性層904も有する。セパレータ906が、正電極活性層902と負電極活性層904との間にある。
【0074】
一実施形態において、負電極活性層904は、正電極活性層902よりもわずかに大きく、正電極活性層902から放出されるリチウムイオンが負電極活性層904の活性材料によってトラッピングされることを確実にする。一実施形態において、負電極活性層904は、1または複数の方向において、正電極活性層902を超えて少なくとも約0.25ミリメートルから7ミリメートルの間にわたって延在する。より具体的な実施形態によると、負電極活性層904は、1または複数の方向において、正電極活性層902を超えて約1ミリメートルから2ミリメートルの間にわたって延在する。特定の実施形態によると、セパレータ906の縁部は、少なくとも負電極活性層904の外側の縁部を超えて延在し、負電極および他のバッテリ構成要素の完全な電子的絶縁を提供する。
【0075】
図9Bは、特定の実施形態による、本明細書において説明される複数の電極を使用する部分的にアセンブルされた電気化学セルの電極スタック900の断面図である。片側に正電極活性層902a、および、反対側に正電極活性層902bを有する正電流コレクタ903がある。片側に負電極活性層904a、および、反対側に負電極活性層904bを有する負の電流コレクタ905がある。正電極活性層902aと負電極活性層904aとの間にセパレータ906aがある。セパレータシート906aおよび906bは、正電極活性層902aと負電極活性層904aとの間の機械的な距離を保持する機能を果たし、後に加えられるであろう液体電解質(図示せず)を吸収するスポンジとして作用する。活性物質が上に無い電流コレクタ903、905の端部は、セルの適切な端子(図示せず)に接続するために使用され得る。
【0076】
共に、電極層902a、904a、電流コレクタ903、905、およびセパレータ906aは、1つの電気化学的セルユニットを形成すると言及され得る。
図9Bに示される完全なスタック900は、電極層902b、904bおよび更なるセパレータ906bを含む。電流コレクタ903、905は、複数の隣接セルの間で共有され得る。そのようなスタックが繰り返される場合、結果として、単一のセルユニットの容量より大きい容量を有するセルまたはバッテリがある。
【0077】
大きい容量を有するバッテリまたはセルを形成する別の方法は、1つの非常に大きいセルユニットを形成し、それ自体に巻き付けて複数のスタックを形成することである。
図10Aにおける断面概略図は、場合によりゼリーロール1000と呼ばれるバッテリまたはセルを形成すべく、2つのシートのセパレータと共に巻き付けられ得る電極が、どの程度長く狭いか示す。ゼリーロールは、湾曲し、多くの場合円筒状のケース1002の内部寸法に適合するように形作られサイズ決定されている。ゼリーロール1000は、正電極1006および負電極1004を有する。複数の電極の間の白色空間は、セパレータシートである。ゼリーロールは、ケース1002内に挿入され得る。いくつかの実施形態において、ゼリーロール1000は、最初の巻き付け直径を確立し、内側の巻線が、中央の軸領域を占有することを防止するマンドレル1008を中央に有してよい。マンドレル1008は、伝導率材料で作成されてよく、いくつかの実施形態においては、セル端子の一部であってもよい。
図10Bは、ゼリーロール1000の斜視図を示し、正のタブ1012および負のタブ1014は、正電流コレクタ(図示せず)および負の電流コレクタ(図示せず)からそれぞれ延びている。タブは、電流コレクタに溶接されてもよい。
【0078】
電極の長さおよび幅は、セルの全体的な寸法および活性層および電流コレクタの厚さに依存する。例えば、18mmの直径および85mmの長さを有する従来の18650タイプのセルは、約300から1000mmの間の長さである複数の電極を有してよい。低いレート/より高い容量の用途に対応するより短い電極は、より分厚く、より少ない巻線を有する。
【0079】
円筒状設計が、いくつかのリチウムイオンセルに対して、特に、サイクルの間に電極が膨張し、したがってケーシングに圧力を加える場合に使用されてもよい。セルにおいて十分な圧力を維持することがいまだに可能な間に(良好な安全性の余地があり)、可能な限り薄い円筒状ケーシングを使用することが有用である。角柱状の(平坦な)セルが同様に巻き付けられてもよいが、これらのケースは、これらが内圧を許容すべく長辺に沿って屈曲し得るように、可撓性を有する。さらに、圧力は、セルの複数の異なる部分内で同じでなくてもよく、角柱セルの角は、空のままで残されてもよい。空のポケットは、リチウムイオンセル内で回避されてよい。これは、電極が、電極が膨張する間に、これらのポケット内に不均一に押し込まれる傾向があるからである。さらに、電解質は、空のポケットにおいて凝集してよく、電極間に乾燥したエリアを残してよく、電極間のリチウムイオントランスポートに負の影響を与える。それにもかかわらず、矩形の形状因子によって決定づけられるもの等の特定の用途では、角柱セルが適切である。いくつかの実施形態において、角柱セルは、矩形電極のスタックおよびセパレータシートを使用し、巻き付けられた角柱セルで直面する困難性のいくつかを回避する。
【0080】
図10Cは、巻き付けられた角柱ゼリーロール1020の上面図を示す。ゼリーロール1020は、正電極1024および負電極1026を含む。電極間の白色空間は、セパレータシートである。ゼリーロール1020は、矩形の角柱ケース1022で包まれている。
図12に示される円筒状ゼリーロールと異なり、角柱ゼリーロールの巻線は、ゼリーロールの中央の平坦な延長部分で開始する。一実施形態において、ゼリーロールは、複数の電極およびセパレータが上に巻き付けられるゼリーロールの中央におけるマンドレル(図示せず)を含んでよい。
【0081】
図11Aは、複数のセル(1101a、1101b、1101c、1101d、および1101e)を含むスタックされたセルの断面を示し、各々は、正電極(例えば、1103a、1103b)、正電流コレクタ(例えば、1102)、負電極(例えば、1105a、1105b)、負の電流コレクタ(例えば、1104)およびセパレータ(例えば、1106a、1106b)を電極間に有する。それぞれの電流コレクタは、複数の隣接セルによって共有される。スタックされたセルは、特に、角柱バッテリに適切な、ほぼ任意の形状で作成され得る。電流コレクタタブは、典型的には、スタックから延び、バッテリ端子へと繋がる。
図11Bは、複数のセルを含むスタックされたセルの斜視図を示す。
【0082】
一度電極が、上記のように配置されると、セルは、電解質で充填される。リチウムイオンセルにおける電解質は、液体、固体、またはゲルであってよい。固体電解質を有するリチウムイオンセルは、リチウムポリマーセルと呼ばれる。
【0083】
典型的な液体電解質は、1または複数の溶媒および1または複数の塩を含み、これらの少なくとも1つは、リチウムを含む。第1の充電サイクル(場合により、形成サイクルと呼ばれる)の間、電解質における有機溶媒は、負電極表面上で部分的に分解し得、SEI層を形成する。界面相は、一般に、電気的に絶縁性であるが、イオン伝導性であり、このようにして複数のリチウムイオンが通過することを可能にする。界面相は、また、後の充電サブサイクルにおいて電解質の分解を防止する。
【0084】
いくつかのリチウムイオンセルに適切な非水系溶媒のいくつかの例に、以下の環状炭酸塩(例えば、エチレン炭酸塩(EC)、プロピレン炭酸塩(PC)、ブチレン炭酸塩(BC)およびビニルエチレン炭酸塩(VEC))、ビニレン炭酸塩(VC)、ラクトン(例えば、ガンマ‐ブチロラクトン(GBL)、ガンマ‐バレロラクトン(GVL)およびアルファ‐エンジェリカラクトン(AGL))、直鎖炭酸塩(例えば、ジメチル炭酸塩(DMC)、メチルエチル炭酸塩(MEC)、ジエチル炭酸塩(DEC)、メチルプロピル炭酸塩(MPC)、ジプロピル炭酸塩(DPC)、メチルブチル炭酸塩(NBC)およびジブチル炭酸塩(DBC))、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2‐メチルテトラヒドロフラン、1,4‐ジオキサン、1,2‐ジメトキシエタン(DME)、1,2‐ジエトキシエタンおよび1,2‐ジブトキシエタン)、亜硝酸塩(例えば、アセトニトリルおよびアジポニトリル)直鎖エステル(例えば、メチルプロピオナート、メチルピバラート、ブチルピバラートおよびオクチルピバラート)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、有機リン酸(例えば、トリメチルリン酸およびトリオクチルリン酸)、S=O群(例えば、ジメチルスルホンおよびジビニルスルホン)を含む有機化合物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0085】
非水系液体溶媒が、組み合わせて使用され得る。これらの組み合わせの例に、環状炭酸塩‐直鎖炭酸塩、環状炭酸‐ラクトン、環状炭酸‐ラクトン‐直鎖炭酸塩、環状炭酸塩‐直鎖炭酸塩‐ラクトン、環状炭酸塩‐直鎖炭酸塩‐エーテル、および環状炭酸塩‐直鎖炭酸塩‐直鎖エステルの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、環状炭酸塩が、直鎖エステルと組み合わされてもよい。さらに、環状炭酸塩は、ラクトンおよび直鎖エステルと組み合わされてもよい。特定の実施形態において、環状炭酸塩の直鎖エステルに対する比は、体積で、約1:9から10:0の間、好ましくは2:8から7:3の間である。
【0086】
液体電解質のための塩は、以下の、LiPF6、LiBF4、LiClO4 LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiCF3SO3、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso‐C3F7)3、LiPF5(iso-C3F7)、環状アルキル群(例えば、(CF2)2(SO2)2xLiおよび(CF2)3(SO2)2xLi)を有するリチウム塩、およびこれらの組み合わせのうち1または複数を含んでよい。一般的な組み合わせは、LiPF6およびLiBF4、LiPF6およびLiN(CF3SO2)2、LiBF4およびLiN(CF3SO2)2を含む。
【0087】
一実施形態において、液体非水溶媒(または、複数の溶媒の組み合わせ)における塩の合計濃度は、少なくとも約0.3Mであり、より具体的な実施形態では、塩濃度は、少なくとも約0.7Mである。濃度の上限は、可溶性限度によって動かされてよく、約2.5M以下であってよく、より具体的な実施形態では、約1.5M以下であってよい。
【0088】
固体電解質は、それ自体がセパレータとして機能するので、典型的には、セパレータなしで使用される。それは、電気的に絶縁性であり、イオン伝導性であり、かつ電気化学的に安定している。固体電解質構成において、上記の液体電解質セルと同じであり得る、塩を含むリチウムが使用されるが、有機溶媒において溶解されるよりもむしろ、固体ポリマー複合材料において維持される。固体ポリマー電解質の例には、電解質の塩の複数のリチウムイオンに付着し、伝導中に間を移動するのに利用可能な複数の孤立電子対を有する複数の原子を含むモノマーから調製されるイオン伝導性ポリマーが挙げられ得て、それらには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリ塩化ビニリデンまたはこれらの誘導体の共重合体、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(エチレン‐クロロトリフルオロ‐エチレン)、または、ポリ(フッ素化エチレン‐プロピレン)、酸化ポリエチレン(PEO)およびオキシメチレンが結合されたPEO、三官能性ウレタンで架橋されたPEO‐PPO‐PEO、ポリ(ビス(メトキシ‐エトキシ‐エトキシド))‐ホスファゼン(MEEP)、二官能基ウレタンで架橋されたトリオール型PEO、ポリ((オリゴ)オキシエチレン)メタクリレート‐コ‐アルカリ金属メタクリレート、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PNMA)、ポリメチルアクリロニトリル(PMAN)、ポリシロキサンおよびこれらのコポリマーおよび誘導体、アクリレートベースのポリマー、その他の同様の無溶媒のポリマー、異なるポリマーを形成すべく凝縮または架橋されたかのいずれかである前述のポリマーの複数の組み合わせ、および、前述のポリマーのうち任意のものの物理的混合物等が、挙げられる。薄型スタック体の強度を向上させるべく、上記のポリマーと組み合わせて使用されてよい他の比較的低伝導率のポリマーには、ポリエステル(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)、硫化ポリフェニレン(PPS)、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
【0089】
図12は、一実施形態による、巻き付けられた円筒状セルの断面図を示す。ゼリーロールは、らせん状に巻き付けられた正電極1202、負電極1304、および2つのシートのセパレータ1306を含む。ゼリーロールは、セルケース1316内に挿入され、キャップ1318およびガスケット1220は、セルを密封するのに使用される。特定の実施形態では、セルは、後のオペレーション後まで密封されないことに留意すべきである。場合によっては、キャップ1218またはセルケース1216は、安全デバイスを含む。例えば、過剰な圧力が、バッテリにおいて増大する場合、安全通気口または破裂弁が、開放するのに使用されてよい。特定の実施形態において、正極材料の活性化の間に放出されている酸素を放出すべく、一方向気体放出弁が含まれる。また、セルが短絡回路に陥った場合に生じるかもしれないダメージを低減すべく、正極熱係数(PTC)デバイスが、キャップ1218の伝導率経路内に組み込まれてよい。キャップ1218の外面は、正極端子として使用されてよいが、セルケース1216の外面は、負極端子として機能してよい。代替の実施形態において、バッテリの極性が逆にされ、キャップ1218の外面は、負極端子として使用されるが、セルケース1216の外面は、正極端子として機能する。タブ1208および1210は、正電極および負電極と対応する端子との間の接続を確立するのに使用されてよい。適切な絶縁ガスケット1214および1212は、内部の短絡の可能性を防止すべく挿入されてよい。例えば、Kapton(商標)フィルムが、内部の絶縁に使用されてよい。製造中、キャップ1218は、セルを密封すべく、セルケース1216にクリンプされてよい。しかしながら、この操作の前に、電解質(図示せず)が、ゼリーロールの多孔性空間を充填すべく加えられる。
【0090】
強固なケースは、典型的にはリチウムイオンセルに使用されるが、リチウムポリマーセルが、柔軟なホイルタイプ(ポリマースタック体)のケース内に詰め込まれてよい。様々な材料が、ケースに対して選択され得る。リチウムイオンバッテリについて、Ti‐6‐4、他のTi合金、Al、Al合金、および300シリーズのステンレス鋼が、正の伝導率ケース部分、端部キャップ、および市販の純粋なTi、Ti合金、Cu、Al、Al合金、Ni、Pbに適切であってよく、ステンレス鋼が、負の伝導率ケース部分および端部キャップに適切であってよい。
【0091】
上記のバッテリの用途に加えて、ナノ構造は、燃料電池(例えば、アノード、カソード、および、電解質)、へテロ接合太陽電池用活性物質、様々な形態の電流コレクタ、および/または、吸収性コーティングにおいても使用されてよい。
【0092】
本発明は、新規の原理を適用し、そのような専門の構成要素を構築し、必要とされるように使用すべく、関連する情報を当業者らに提供すべく、本明細書において、かなり詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、異なる機器、材料、デバイスによって実行され得、様々な修正が、機器および操作手順の両方に関して、本発明自体の範囲から逸脱せずに実現され得ることが、理解されるべきである。
本明細書によれば、以下の各項目に記載の事項もまた開示される。
[項目1]
リチウムバッテリのためのアノードであって、
a)基板、
b)前記基板に固着されているナノワイヤテンプレート、
c)前記ナノワイヤテンプレートを実質的にコーティングする、第1の密度を有する第1のシリコン層、および
d)前記第1のシリコン層および任意の露出したナノワイヤテンプレートの上の第2のシリコン層であって、前記第1のシリコン層の密度より高い密度を有する、第2のシリコン層、を備える、
アノード。
[項目2]
前記第1の密度は、2.2g/cm3未満である、項目1に記載のアノード。
[項目3]
前記第1の密度は、2.1g/cm3未満である、項目1または2に記載のアノード。
[項目4]
前記第2のシリコン層は、2.25g/cm3より高い密度を有する、項目1から3のいずれか一項に記載のアノード。
[項目5]
前記第2のシリコン層は、前記第1のシリコン層の密度よりも少なくとも0.05g/cm3高い密度を有する、項目1から4のいずれか一項に記載のアノード。
[項目6]
前記第2のシリコン層は、前記第1のシリコン層の密度よりも少なくとも0.15g/cm3高い密度を有する、項目1から5のいずれか一項に記載のアノード。
[項目7]
前記第1のシリコン層は、前記ナノワイヤテンプレートに対して非コンフォーマルである、項目1から6のいずれか一項に記載のアノード。
[項目8]
前記第2のシリコン層は、下に存在する表面に対してコンフォーマルである、項目1から7のいずれか一項に記載のアノード。
[項目9]
前記第1のシリコン層の水素含有量は、少なくとも10%である、項目1から8のいずれか一項に記載のアノード。
[項目10]
前記第2のシリコン層の水素含有量は、5%以下である、項目1から9のいずれか一項に記載のアノード。
[項目11]
前記ナノワイヤテンプレートは、複数のシリサイドナノワイヤを有する、項目1から10のいずれか一項に記載のアノード。
[項目12]
前記第1のシリコン層は、その最大径で、約5ミクロンから20ミクロンの間の厚さである、項目1から11のいずれか一項に記載のアノード。
[項目13]
前記第2のシリコン層は、約5から500ナノメートルの間の厚さである、項目1から12のいずれか一項に記載のアノード。
[項目14]
前記第2のシリコン層は、約5から100ナノメートルの厚さである、項目1から13のいずれか一項に記載のアノード。
[項目15]
項目1に記載のアノードと、
リチウム含有カソードと、
前記アノードおよび前記カソードの両方とイオン連通している電解質と、を備える、
リチウムバッテリ。
[項目16]
リチウムバッテリのためのアノードを製造する方法であって、
基板を設ける段階と、
前記基板から複数のナノワイヤを成長させる段階と、
PECVD法を用いて前記複数のナノワイヤ上に第1のシリコン層を堆積させる段階と、
熱CVD法を用いて、前記第1のシリコン層、前記複数のナノワイヤ、および前記基板上に第2のシリコン層を堆積させる段階と、を備える、
方法。
[項目17]
前記PECVD法は、膨張熱プラズマ(ETP)法である、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記複数のナノワイヤは、複数のシリサイドナノワイヤである、項目16または17に記載の方法。
[項目19]
前記熱CVD法の間のチャンバ圧は、約2Torr未満である、項目16から18のいずれか一項に記載の方法。