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特許7311177A-NOR-5αアンドロスタン薬物と抗がん薬物との併用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】A-NOR-5αアンドロスタン薬物と抗がん薬物との併用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/569 20060101AFI20230711BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 31/568 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A61K31/569
A61P35/00
A61K31/568
A61K45/00
A61K31/44
A61K31/7068
A61P43/00 121
A61K31/7072
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021560226
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2020080839
(87)【国際公開番号】W WO2020199973
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】201910272950.2
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521439246
【氏名又は名称】シャンハイ アオ チ メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジファ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン イージュン
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-514853(JP,A)
【文献】米国特許第05001120(US,A)
【文献】特表2008-501652(JP,A)
【文献】特開2015-178500(JP,A)
【文献】特表2011-511011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0192262(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗腫瘍医薬組成物であって、
前記抗腫瘍医薬組成物は、(A)治療有効量の第1の有効成分と(B)治療有効量の第2の有効成分とを含み、
(A)前記第1の有効成分は、A-NOR-5αアンドロスタン化合物を有し、前記A-NOR-5αアンドロスタン化合物は、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-モノコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジブチレート、
2α,17α-ジヒドロキシプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジシアノ-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジトリクロロアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-プロピオン酸エステル-17βコハク酸エステル、および
2α,17α-ジプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、からなる群から選択され、
(B)前記第2の有効成分は、第2の抗腫瘍薬物であり、前記第2の抗腫瘍薬物は、ソラフェニブ(sorafenib)、ゲムシタビン(gemcitabine)、オキサリプラチン(OXA)、およびその組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、抗腫瘍医薬組成物。
【請求項2】
前記A-NOR-5αアンドロスタン化合物は、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-モノコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジコハク酸エステル、および
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジブチレート、からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗腫瘍医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物は、(C)薬学的に許容される担体をさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載の抗腫瘍医薬組成物。
【請求項4】
前記第2の抗腫瘍薬物はゲムシタビン(gemcitabine)であることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗腫瘍医薬組成物。
【請求項5】
瘍疾患は、膵臓がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、腎臓がん、結腸腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、食道がん、リンパ腫、胸部がん、消化管がん、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、胆管がん、精巣がん、血液がん、および中枢神経系がんからなる群から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗腫瘍医薬組成物。
【請求項6】
有効成分の組み合わせを含む医薬組成物であって、
前記有効成分の組み合わせは、(A)治療有効量の第1の有効成分と(B)治療有効量の第2の有効成分とを含み、
(A)、前記第1の有効成分は、A-NOR-5αアンドロスタン化合物を有し、前記A-NOR-5αアンドロスタン化合物は、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-モノコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジブチレート、
2α,17α-ジヒドロキシプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジシアノ-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジトリクロロアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-プロピオン酸エステル-17βコハク酸エステル、および
2α,17α-ジプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、からなる群から選択され、
(B)前記第2の有効成分は、第2の抗腫瘍薬物であり、前記第2の抗腫瘍薬物は、ソラフェニブ(sorafenib)、ゲムシタビン(gemcitabine)、オキサリプラチン(OXA)、およびその組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、医薬組成物
【請求項7】
(a)請求項1に記載の抗腫瘍医薬組成物または請求項に記載の医薬組成物、(b)容器、および(c)取扱説明書またはラベルを含み、前記取扱説明書またはラベルは、前記医薬組成物を癌の治療のために対象に投与することを示すことを特徴とする、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の技術分野に属し、具体的には、併用薬による腫瘍疾患の治療に関し、特に、腫瘍疾患を治療するためのA-NOR-5αアンドロスタン化合物(ACP:A-decarbonized-5α-androstane compound)と抗腫瘍薬物との併用に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は、世界一の殺人者として、心血管疾患および脳血管疾患に徐々に代替している。第5回アジア太平洋癌予防機構会議で発行した「2010年癌レポート」は、世界の癌患者数は、今後20年間で急激に増加する傾向にあると警告している。2008年~2030年にかけて、世界中の新しい癌患者数は、毎年1240万人から2640万人に増加し、そのうち、アジア太平洋地域の患者は、世界の癌患者総数の60%を占める。
【0003】
2007年には、世界中で760万人が悪性腫瘍で亡くなった。先進国では、悪性腫瘍の死亡率は、総死亡人数の21.6%を占めた。中国では、悪性腫瘍の発生率は、大幅に上昇しており、毎年発病人数は、約260万人であり、死亡人数は、180万人であり、30年間で、死亡率は、80%増加し、中国の都市部と農村部との住民の最大の死因になった。中国では、最も一般的な悪性腫瘍は、主に肺がん、胃がん、肝臓がん、乳がんである。癌の従来の治療法には、手術、放射線療法、化学療法がある。現在、使用されているほとんどの抗腫瘍薬物は、腫瘍を選択的に阻害する効果を欠いており、悪性腫瘍の成長と発達とを阻害する同時に体の正常細胞、特に増殖が活発している骨髄細胞、消化管粘膜上皮細胞、生殖細胞等に対して明らかな損傷作用があり、肝臓、腎臓、心臓、肺、神経系等の体の重要な器官にも一定の毒性作用を及ぼす。骨髄抑制、消化管反応、脱毛、肝障害、心毒性、泌尿生殖器系毒性、発癌性催奇形性等の毒性副作用さえある。従って、毒性副作用が少なく、治療効果の高い抗悪性腫瘍の薬物の研究開発は、常に懸念されているホットな課題である。
【0004】
近年、細胞および分子生物学の研究の継続的な深化に伴い、悪性腫瘍を治療する薬物、特に高効率で低毒性の抗腫瘍薬物のスクリーニングが開発されている。A-NOR-5αアンドロスタン化合物(ACP)は、2000年にRui-lin Liらによって独自に開発および合成された新しい化合物である。
【0005】
これまでに、この分野でのACPの併用薬に関する研究はない。従って、この分野では、良好な治療効果があり、ACPの腫瘍阻害効果を有意に改善できる併用薬併用薬レジメンはまだ不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、良好な治療効果があり、他の抗腫瘍薬物の腫瘍阻害効果を有意に改善できる併用薬レジメンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、抗腫瘍医薬組成物を提供し、前記組成物は、(A)治療有効量の第1の有効成分と(B)治療有効量の第2の有効成分とを含み、
(A)前記第1の有効成分は、以下の式Iに示されるA-NOR-5αアンドロスタン化合物を有し、
【0008】
【化1】
【0009】
式において、RおよびRは、それぞれ独立して、H、置換または非置換の-C1-10アルキル基、置換または非置換の-C3-8シクロアルキル基、置換または非置換のベンゼン環、置換または非置換のベンゾイル基、置換または非置換の-COC2n+1、置換または非置換の-COC2rCOOC2m+1、または-COC2pCOOWから選択され、ここで、n、p、rおよびmは、それぞれ独立して、0~18の整数であり、Wは、H、Na、K、NH 、1/2Ca2+、1/2Mg2+、1/2(AlOH)2+、または1/2Zn2+であり、
Rは、置換または非置換のC1-4アルキニル基、シアノ基からなる群から選択される基であり、
前記置換とは、ヒドロキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アミン基、カルボキシ基の一つまたは複数(例えば、1~3個)の置換基を有することを指し、
(B)前記第2の有効成分は、第2の抗腫瘍薬物である。
【0010】
別の好ましい例において、前記A-NOR-5αアンドロスタン化合物は、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-モノコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジコハク酸エステル、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジブチレート、
2α,17α-ジヒドロキシプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジシアノ-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジトリクロロアセテート、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-プロピオン酸エステル-17βコハク酸エステル、
2α,17α-ジプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール、または
2α,17α-ジプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネートからなる群から選択される。
【0011】
別の好ましい例において、前記医薬組成物において、式Iに示される化合物と第2の抗腫瘍薬物との質量比は、1:10000~10000:1であり、好ましくは、1:1000~1000:1である。
【0012】
別の好ましい例において、前記第2の抗腫瘍薬物は、化学薬物、生物学的製剤、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
別の好ましい例において、前記第2の抗腫瘍薬物は、細胞毒性抗腫瘍薬物、標的阻害剤、抗体薬物、抗体-薬物複合体(ADC)、免疫チェックポイント阻害剤またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
別の好ましい例において、前記標的阻害剤は、ソラフェニブ(sorafenib)、スニチニブ、ラパチニブ(lapatinib)、パゾパニブ(pazopanib)、アキシチニブ(axitinib)、アパチニブ(apatinib)、ニンテダニブ(nintedanib)、ベバシズマブ(bevacizumab)、またはその組み合わせから選択される。
【0015】
別の好ましい例において、前記標的阻害剤は、VEGF阻害剤、キナーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、HeR2阻害剤、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
別の好ましい例において、前記標的阻害剤は、ソラフェニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、またはその組み合わせのVEGF阻害剤から選択される。
【0017】
別の好ましい例において、前記免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1モノクローナル抗体、PD-L1モノクローナル抗体、またはその組み合わせを含む。
【0018】
別の好ましい例において、前記細胞毒性抗腫瘍薬物は、アルカロイド抗腫瘍薬、抗代謝性抗腫瘍薬、抗生物質抗腫瘍薬、アルキル化抗腫瘍薬、プラチナ抗腫瘍薬、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
別の好ましい例において、前記アルカロイド抗腫瘍薬は、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ヒドロキシカンプトテシン、ドセタキセル、イリノテカン(CPT-11)から選択される。
【0020】
別の好ましい例において、前記抗代謝性抗腫瘍薬は、ゲムシタビン(gemcitabine)、シタラビン、テガフール、メトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、メルカプトプリン、ペメトレキセド、ペントスタチン、テトラヒドロ葉酸カルシウム(LV:calciumleucovorim)から選択される。
【0021】
別の好ましい例において、前記抗生物質抗腫瘍薬は、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、アクチノマイシン-D、アクチノマイシン-C、マイトマイシン-C、塩酸ダウノルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、ミトタンから選択される。
【0022】
別の好ましい例において、前記アルキル化抗腫瘍薬は、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、イホスファミド、ブスルファン、ダカルバジン、フォルムスチン、プレニムスチン、カルムスチン、トラスタミド、メルファランから選択される。
【0023】
別の好ましい例において、前記プラチナ抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン(OXA)から選択される。
【0024】
別の好ましい例において、前記第2の抗腫瘍薬物は、イリノテカン(CPT-11)、5-フルオロウラシル(5-FU)、テトラヒドロ葉酸カルシウム(LV:calciumleucovorim)、およびベバシズマブの組み合わせである。
【0025】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、(C)薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0026】
別の好ましい例において、前記第2の抗腫瘍薬物は、ソラフェニブ、ベバシズマブ、イリノテカン(CPT-11)、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、テトラヒドロ葉酸カルシウム(LV: calciumleucovorim)、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、シクロホスファミド、オキサリプラチン(OXA)、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0027】
別の好ましい例において、前記腫瘍疾患は、膵臓がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、腎臓がん、結腸腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、食道がん、リンパ腫、胸部がん、消化管がん、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、胆管がん、精巣がん、血液がん、中枢神経系がんからなる群から選択される。
【0028】
別の好ましい例において、前記腫瘍疾患は、膵臓がんである。
【0029】
別の好ましい例において、前記腫瘍疾患は、肝臓がんである。
【0030】
別の好ましい例において、前記腫瘍疾患は、肺がんである。
【0031】
別の好ましい例において、前記腫瘍疾患は、結腸腺がんである。
【0032】
本発明の第2の態様は、有効成分の組み合わせを提供し、前記組み合わせは、(A)治療有効量の第1の有効成分と(B)治療有効量の第2の有効成分とを含み、
(A)治療有効量の第1の有効成分において、前記第1の有効成分は、以下の式Iに示されるA-NOR-5αアンドロスタン化合物を有し、
【0033】
【化2】
【0034】
式において、RおよびRは、それぞれ独立して、H、置換または非置換の-C1-10アルキル基、置換または非置換の-C3-8シクロアルキル基、置換または非置換のベンゼン環、置換または非置換のベンゾイル基、置換または非置換の-COC2n+1、置換または非置換の-COC2rCOOC2m+1、または-COC2pCOOWから選択され、ここで、n、p、rおよびmは、それぞれ独立して、0~18の整数であり、Wは、H、Na、K、NH 、1/2Ca2+、1/2Mg2+、1/2(AlOH)2+、または1/2Zn2+であり、
Rは、置換または非置換のC1-4アルキニル基、シアノ基からなる群から選択される基であり、
前記置換とは、ヒドロキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アミン基、カルボキシ基の一つまたは複数(例えば、1~3個)の置換基を有することを指し、
(B)治療有効量の第2の有効成分において、前記第2の有効成分は、第2の抗腫瘍薬物である。
【0035】
本発明の第3の態様は、キットを提供し、前記キットは、(a)第1の態様に記載の医薬組成物または第2の態様に記載の有効成分の組み合わせ、(b)容器、および(c)取扱説明書またはラベルを含み、前記取扱説明書またはラベルは、前記医薬組成物または前記有効成分の組み合わせを癌の治療のために対象に投与することを示す。
【0036】
別の好ましい例において、前記式Iの化合物および前記第2の抗腫瘍薬物は、同時に、別々に、または連続して投与することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明者らは、長期にわたる綿密な研究の結果、既存の抗がん薬物ACPとその類似体を複数の抗がん薬物と組み合わせ使用することができ、相乗的な投薬効果を示すことを発見した。このタイプの抗がん薬物の組み合わせは、低い毒性および優れた治療効果を有し、臨床治療に適する。上記の発見に基づいて、本発明者らは本発明を完成させた。
【0039】
ACP薬
本発明において、「ACP薬」という用語は、A-NOR-5αアンドロスタン化合物を指し、以下の構造を有し、
【0040】
【化3】
【0041】
式において、RおよびRは、独立して、H、置換または非置換の-C1-10アルキル基、置換または非置換の-C3-8シクロアルキル基、置換または非置換のベンゼン環、置換または非置換のベンゾイル基、置換または非置換の-COC2n+1、置換または非置換の-COC2rCOOC2m+1、または-COC2pCOOWから選択され、ここで、n、p、rおよびmは、それぞれ独立して、0~18の整数であり、Wは、H、Na、K、NH 、1/2Ca2+、1/2Mg2+、1/2(AlOH)2+、または1/2Zn2+であり、
Rは、置換または非置換のC1-4アルキニル基、シアノ基からなる群から選択される基であり、
前記置換とは、ヒドロキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アミン基、カルボキシ基の一つまたは複数(例えば、1~3個)の置換基を有することを指す。
【0042】
n、p、rおよびmは、それぞれ独立して、0~18の整数であり、n、p、r、mがそれぞれ独立して0~18の間の任意の整数から選択されることができることを指し、つまり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17および18であり、好ましくは、0~6であり、より好ましくは、1~4である。好ましくは、A-NOR-5αアンドロスタン化合物は、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール(Ia)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジアセテート(Ib)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネート(Ic)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-モノコハク酸エステル(Id)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジコハク酸エステル(Ie)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジブチレート(If)、
2α,17α-ジヒドロキシプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール(Ig)、
2α,17α-ジシアノ-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール(Ih)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジトリクロロアセテート(Ii)、
2α,17α-ジエチニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシ-2β-プロピオン酸エステル-17βコハク酸エステル(Ij)、
2α,17α-ジプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジオール(Ik)、または
2α,17α-ジプロピニル-A-NOR-5α-アンドロスタン-2β,17β-ジヒドロキシジプロピオネート(Il)である。
【0043】
組成物、キット、有効成分の組み合わせおよび医薬組成物
本発明に記載の組成物は、医薬組成物(医薬品)、食品または健康機能性食品であり得、前記組成物は、
(A)第1の有効成分としての治療有効量のACP、
(B)第2の有効成分としての治療有効量の第2の抗腫瘍薬物を含み、
前記第1の有効成分と前記第2の有効成分との質量比は、1:10000~10000:1であり、好ましくは、1:1000~1000:1である。
【0044】
本発明の医薬組成物において、第1の有効成分的含有量範囲は、組成物の総重量に基づいて、0.01%~99.99%である。好ましくは、0.1%~99.9%であり、より好ましくは、20%~99%である。第2の有効成分の含有量範囲は、組成物の総重量に基づいて、0.01%~99.99%である。好ましくは、1%~99%であり、より好ましくは、1%~90%である。
【0045】
必要に応じて、前記組成物は、薬学的に、食品学的に、健康機能性食品学的に許容される担体をさらに含むことができる。本明細書に使用されるように、「薬学的に、食品学的にまたは健康機能性食品学的に許容される」という用語の成分は、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激およびアレルギー反応)がなく、ヒトおよび/または動物に適した物質、つまり、合理的な利益/リスク比を有する物質を指す。本明細書に使用されるように、「有効量」という用語は、ヒトおよび/または動物に対して機能または活性を生み出すことができ、かつヒトおよび/または動物によって許容されることができる量を指す。
【0046】
本明細書に使用されるように、「薬学的に許容される担体」という用語は、様々な賦形剤と希釈剤とを含む、治療剤の投与に使用される担体を指す。当該用語とは、それ自体が必須の有効成分ではなく、投与後に過度な毒性がない等のようないくつかの医薬剤担体を指す。適切な担体は、当業者によく知られている。
【0047】
本発明に記載の第1の有効成分、第2の有効成分、またはそれらの誘導体、代謝物を含む医薬品、食品、健康機能性食品の組成物は、経口投与に適した様々な剤形であり得、外部投与のための様々な製剤または他の非経口投与の製剤でもあり得る。例えば、本発明に記載の外部投与製剤は、界面活性剤、経皮吸収促進剤、防腐剤、溶媒、抗酸化剤、保湿剤、pH調節剤、着色剤、香料等の補助材料を追加することによって、塗布剤、チンキ剤、オイル剤、軟膏剤、硬膏剤、ペースト、Yun Ji(compression formula)、絆創膏、パッチ、コーティング剤、膜剤、ゲル剤、パップ剤、ツボパッチスプレー、エアロゾル、インプラント、エマルジョン等をさらに調製することができる(含むが、これらに限定されない)にさらに調製することができる。癌の場合、好ましい剤形は、経口投与の様々な剤形、インプラント、注射剤を含む。
【0048】
本発明の組成物に添加される補助材料は、製剤の分野で一般的に使用される補助材料であり、その種類、使用方法および供給源は、当業者によく知られている。
【0049】
本発明は、有効成分の組み合わせをさらに提供し、前記組み合わせは、以下の成分を含むか、または以下の成分から構成され、
(A)ACP化合物である第1の有効成分、
(B)抗がん薬物である第2の有効成分。
【0050】
前記組み合わせにおいて、前記第1の有効成分と前記第2の有効成分との質量比は、1:10000~10000:1である。
【0051】
本発明は、キットをさらに提供し、前記キットは、
(1)A-NOR-5αアンドロスタン化合物および第2の抗腫瘍薬物の医薬組成物または有効成分の組み合わせ、(2)容器、および(3)取扱説明書またはラベルを含み、前記取扱説明書またはラベルは、前記医薬組成物または前記有効成分の組み合わせを癌の治療のために対象に投与することを示す。
【0052】
本発明の医薬組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物、キット、食品および健康機能性食品は、すべて従来の方法および設備によって調製されることができる。
【0053】
組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物、キットの用途および投与方法
本発明は、癌細胞を阻害するための薬物、健康機能性食品または食品の調製、または抗がん剤の薬物健康機能性食品または食品の調製、または抗がん剤の調製における前記組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物の応用を提供する。
【0054】
本発明で提供される組成物、キット、有効成分の組み合わせおよび医薬組成物は、膵臓がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、腎臓がん、結腸腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、食道がん、リンパ腫、胸部がん、消化管がん、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、胆管がん、精巣がん、血液がん、中枢神経系がん等の癌細胞の阻害に対して相乗的な効果を生み出すことができる。理論に限定されることなく、癌細胞の成長および転移を阻害する際の本発明に記載の組成物、キット、有効成分の組み合わせおよび医薬組成物のメカニズムは、マルチレベルおよびマルチターゲットである可能性が高い。癌細胞に対するその阻害は、いくつかの異なるメカニズムおよび経路を介して達成することができる。
【0055】
本発明の組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物およびキットを使用する前、同時に、または使用した後、癌の手術または癌の放射線療法のための癌の治療の他の活性物質と組み合わせて、または遺伝子治療と組み合わせて、またはバイオモジュレーターと組み合わせて使用することができる。
【0056】
本発明のキットにおける第1の製剤(第1の有効成分を含む)と第2の製剤(第2の有効成分を含む)とを組み合わせて使用する場合、第1の製剤および第2の製剤は、同時に、個別に、または連続して投与することができる。第1の製剤の有効成分の安全かつ有効な1日投与量は、一般に0.1mg~2000mg、好ましくは1mg~500mg、より好ましくは1mg~300mgであり、第2の製剤の有効成分の安全かつ有効な1日投与量は、一般に0.01mg~1500mg、好ましくは0.1~1500mg、より好ましくは1mg~1500mg、より好ましくは1mg~500mgである。投与方法において、薬物を併用する場合、第1の製剤を経口投与するか、外部投与または他の非経口投与することができ、第2の製剤を経口投与するか、外部投与または他の非経口投与することができる。
【0057】
薬物を併用する過程において、薬物の相互作用は、共同に使用する場合の薬物の効果に応じて、相加的効果、相乗的効果、拮抗的効果に分けられ、相乗的効果とは、併用薬物を共同して使用する場合の効果が、単独で使用する場合の効果よりも何倍も大きいことを意味し、相加的効果とは、併用薬物を共同して使用する場合の効果が、単独で使用する場合の効果と同等であることを意味し、拮抗的効果とは、併用薬物を共同して使用する場合の効果が、単独で使用する場合の効果よりも小さいことを意味する。本発明において、第1の製剤と第2の製剤との組み合わせが相乗的な効果を有することを初めて発見した。
【0058】
本発明は、癌の治療方法をさらに提供し、前記方法は、本発明の組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物およびキットを必要とする対象に投与する段階を含む。ここで、1日当たりの有効成分の投与量は、1mg~10gである。前記対象は、哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【0059】
癌細胞の成長の阻害および癌の治療の場合、本発明の投与方法は、第1の有効成分と第2の有効成分との連続投与、または第1の有効成分と第2の有効成分との同時投与を含む。
【0060】
本発明の組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物を投与する場合、本発明の組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物の安全かつ有効な量を哺乳動物に投与し、ここで、第1の有効成分の安全かつ有効な1日投与量は、通常、少なくとも約0.1mgであり、ほとんどの場合、約2000mgを超えない。好ましくは、当該投与量は、1mg~500mgであり、第2の有効成分の安全かつ有効な量は、通常、少なくとも約0.01mgであり、ほとんどの場合、1500mgを超えない。好ましくは、当該投与量の範囲は、0.1mg~1500mgである。(ここで、第1の有効成分の安全かつ有効な量は、通常、約2000mg/kg体重を超えない。好ましくは、当該投与量は、約100μg/kg体重~約1000mg/kg体重であり、第2の有効成分の安全かつ有効な量は、通常、約2000mg/kg体重を超えない。好ましくは、当該投与量は、約10μg/kg体重~約1000mg/kg体重である。)もちろん、具体的な投与量は、投与経路や患者の健康状況等の、すべて熟練した医師のスキル範囲内にある要因も考慮する必要がある。第1の有効成分と第2の有効成分とを連続投与する場合、投与間隔には特別な要件はない。本発明の組成物、有効成分の組み合わせ、医薬組成物およびキット中の第1の製剤および第2の製剤は、それぞれ同じまたは異なる経路によって同時にまたは連続して投与され、ここで、経口投与、注射投与、腫瘍内投与、インプラント投与、腔内投与、肛門投与、経皮投与、内外用を含むが、これらに限定されない。
【0061】
好ましい注射投与は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、腔内注射を含む。
【表A】
【0062】
Ki-67は、細胞核に存在するタンパク質で、Kiと名付けられたのは、発見された都市がドイツのキール(Kiel)であるためであり、67という数字は、実験番号に由来している。Ki-67は、細胞増殖の過程で非常に活発であるが、増殖が止まると消えるので、細胞増殖状態のマーカーとして、様々な悪性腫瘍の悪性度を判断することができる。
【0063】
Ki-67陽性発現率が高いほど、腫瘍細胞の増殖活性が強くなり、悪性度が高くなり、患者の再発や転移のリスクが高くなることを示す。肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、膀胱がん等のほとんどすべての癌の病理検査中にKi67をチェックする。Ki67の数値が高いほど悪化するが、すべてのことには二つの面があり、Ki67陽性率が高い腫瘍は、化学療法に対してより民間になる傾向があり、化学療法の効果は、より良くなる。
【0064】
具体的な動物実験において、本発明は、患者からの腫瘍組織を高免疫不全モデルNCG(NOD-Prkdcem26Il2rgem26Nju)移植することによって確立された複数のSuperPDTXマウスモデルを使用し、ゲムシタビン、オキサリプラチン、ソラフェニブと組み合わせたACPの腫瘍阻害効果は、単回投与よりも優れており、相乗的な効果を示す。結腸腺がんからの肝転移を有する患者の治療において、FOLFIRI法とベバシズマブとは、経口ACP治療を伴い、治療前後の肝転移を有意に減少させた。低用量のシクロホスファミドまたはアドリアマイシンと組み合わせたACPは、肝臓がんQGY-7703、膵臓がんPANC-1、肺がんA549等のヒト腫瘍の成長阻害に相加効果があり、特定の併用薬薬力がある。
【0065】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてさらに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常従来の条件または製造業者によって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージと部数とは、重量で計算される。特に明記されない限り、本説明書で使用されるすべての専門用語および科学用語の意味hあ、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じである。
【0066】
実施例1.すい臓がんの治療におけるゲムシタビンと組み合わせたACPのSuperPDTXマウスモデルの薬力学的実験
1.実験計画
薬力学的実験計画は、表1に示される。
【0067】
【表1】
【0068】
2.材料
マウス:NCG(NOD-Prkdcem26Il2rgem26Nju)、南京大学生物医学研究所
膵臓がん組織ブロックは、膵臓がん患者のサンプルに由来し、マウス接種後のP2世代でサンプルを凍結保存し、この実験で使用されたサンプルは、継代後のP3世代のサンプルである。
【0069】
3.実験方法
試験マウスの体内に膵臓がんサンプルを接種し、接種された組織ブロックのサイズは、1*1*4mmであり、接種日に、マウスをランダムに四つの実験グループに分け、各グループに六つ、各ケージに四つである。グループ化日は、0日として定義される。実験レジメンに従って七日間投与し、投与終了後24時間で試験マウスに対して採取試験を行う。最後の投与から24時間後に実験を終了し、マウスを規制にした後マウスの腫瘍を取り除き、周囲の血尾久組織と肌肉組織を顕微鏡で取り除き、10%ホルムアルデヒドで保存する。
【0070】
4.結果
サンプルの検出結果は、表2に示される。
【0071】
【表2】
【0072】
空白対照グループと比較して、*p<0.05、**p<0.01、ACP単剤グループと比較して、#p<0.05、##p<0.01、併用薬グループをゲムシタビングループと比較して、△△p<0.01。
【0073】
空白対照グループと比較して、ACPグループの腫瘍Ki67の発現は、減少傾向があるが、統計的差異はなく、ACP単剤は、腫瘍増殖活性に対して一定の阻害効果を有し、腫瘍増殖活性に対するACPとゲムシタビンとの併用投与の阻害効果は、ACP単剤(p<0.01)およびゲムシタビン単剤(p<0.01)よりも有意に優れており、殺傷効果も単剤グループよりも有意に優れており、両者の併用は、有意な相乗的な相乗効果をもたらす。
【0074】
実施例2.肝臓がんの治療におけるオキサリプラチンまたはソラフェニブと組み合わせたACPのSuperPDTXマウスモデルの薬力学的実験
1.実験計画
【0075】
【表3】
【0076】
2.材料
マウス:NCG(NOD-Prkdcem26Il2rgem26Nju)、南京大学生物医学研究所
3.実験方法
3.1.腫瘍の接種およびグループ化
肝臓がん組織ブロックは、肝臓がん患者のサンプルに由来し、マウス接種後のP1世代でサンプルを凍結保存し、この実験で使用されたサンプルは、継代後のP2代サンプルである。試験マウスの体内に肝臓がんサンプルを接種し、接種された組織ブロックのサイズは、1*1*4mmであり、接種日に、マウスをランダムに六つの実験グループに分け、各グループに六つ、各ケージに四つである。グループ化日は、0日として定義される。実験レジメンに従って七日間投与し、投与終了後24時間で試験マウスに対して採取試験を行う。最後の投与から24時間後に実験を終了し、マウスを規制にした後マウスの腫瘍を取り除き、周囲の血尾久組織と肌肉組織を顕微鏡で取り除き、10%ホルムアルデヒドで保存する。
【0077】
4.結果
結果は、表4に示される。
【0078】
【表4】
【0079】
実験結果によると、空白対照グループとひかくして、ACP+オキサリプラチングループおよびACP+ソラフェニブグループが、すべて腫瘍の殺傷効果にたいして有意に増加し(p<0.05)、一定な相乗的な相乗効果があることを示す。
【0080】
実施例3.ヒト腫瘍肝臓がんQGY-7703、膵臓がんPANC-1、肺がんA549インビボ試験モデル研究に対するシクロホスファミドまたはアドリアマイシンと組み合わせたACP
1.投与レジメン
ACP投与グループ:5、2.5および1.25mg/kgの経口投与量、1日2回(中間の間隔約6時間)の連続14日間の経口投与する。
【0081】
ACP+アドリアマイシンまたはシクロホスファミド投与グループ:ACP経口投与量は、5、2.5および1.25mg/kgであり、14日間連続して1日2回(中間の間隔約6時間)経口投与し、アドリアマイシン1mg/kgまたはシクロホスファミド15mg/kgは、ACPの初回投与後10分に1回、七日間連続して毎日腹腔内投与される。
【0082】
陽性対照グループ:アドリアマイシン2mg/kg/回またはシクロホスファミド30mg/kg/回、1日1回連続して七日間腹腔内投与する。
【0083】
陰性対照グループ:試験グループと同じ体積の対応する溶媒を与え、投与レジメンは、試験グループと同じである。
【0084】
2.生体内試験モデルの確立
液体窒素で凍結保存されたヒト腫瘍細胞株を採取し、蘇生後、37℃、5%CO条件下で培養する。継代培養後、対数成長期の細胞を生理食塩水で約(1~2)×10細胞/mlの濃度の細胞懸濁液を調製し、ヌードマウスの右脇の皮下に0.2ml/マウスを接種する。無菌条件下で、肝臓がんQGY-7703、膵臓がんPANC-1、肺がんA549の異種移植モデルから生体内で活発に成長しているヒト腫瘍組織の第2世代以降を取得し、1~2mmの大きさに細かく均等に切り、トロカールを使用して各ヌードマウスの右脇の皮下に一つのブロックを接種する。接種される腫瘍が100mm以上に成長した後、ランダムにグループ化され、実験計画レジメンに従って投与される。
【0085】
3.生体内試験検出指標
投与後、腫瘍の大きさを動的に観察および試験し始め、担癌マウスの体重を秤量し、3日ごとにノギスで各ヌードマウス腫瘍の短径(a)および長径(b)を測定し、(a×b)/2に従って腫瘍体積を計算する。測定によって計算された腫瘍体積に従って、相対腫瘍体積(RTV)、即ちRTV=V/Vを計算する。ここで、Vは、ランダムにグループ化(即ち、d)時の腫瘍体積であり、Vは、各測定時、即ち、(d)時の腫瘍体積である。各グループ動物を約3週間後に犠牲にし、腫瘍体積の測定を続け、腫瘍を解剖して秤量し、次の式に従って腫瘍の相対的な増殖率および腫瘍阻害率を計算する。
【0086】
4.結果は、以下の表に示される。
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
上記表5~7の結果によると、低用量のシクロホスファミドまたはアドリアマイシンとくみACPが、ヒト腫瘍の肝臓がんQGY-7703、膵臓がんPANC-1、肺がんA549の成長阻害に相加的効果があり、一定の併用薬の効力を有することを示す。
【0091】
統計データによると、併用薬の場合、腫瘍に対する殺傷効果を有意に増加させ(p<0.05)、一定の相乗的な相乗効果を有し、特に、ACPの投与量が低用量(例えば、約1.25mg/kg)の場合、相乗的な効果がより有意であることを示す。
【0092】
実施例4.結腸腺がんおよび肝転移を有する患者に対するACP併用薬の効果
1.実験計画
併用化学療法:FOLFIRI法で化学療法を行い、イリノテカン(CPT-11)+5-フルオロウラシル(5-FU)+テトラヒドロ葉酸カルシウム(LV):2014年11月27日から開始する。
【0093】
標的治療:ベバシズマブ、時間およびFOLFIRI法を同時に行う。
【0094】
併用経口ACP治療:2014年11月27日から開始し、1日4回、毎回1錠。上記化学療法を5サイクルを実施し、ACPを継続投与する。
【0095】
併用化学療法の結果:肝転移は、治療の前後で有意に減少する。
【0096】
【表8】
【0097】
併用化学療法後の腫瘍マーカーCA125およびCEAの結果は、表9に示される。
【0098】
【表9】
【0099】
FOLFIRI法で化学療法を行い、手術後補助療法の2コース、ACPは、回復するまで投与される。
【0100】
結果によると、手術の適応がなかった患者については、ACP+第2の抗腫瘍薬物の併用治療後、根治的手術の可能性が得られたことを示す。当該患者は、手術後、ACPを継続しており、現在、再発することなく状態が良好である。
【0101】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。