IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECプラットフォームズ株式会社の特許一覧

特許7311184電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム
<>
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図1
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図2
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図3
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図4
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図5
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図6
  • 特許-電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電池管理装置、電池管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/389 20190101AFI20230711BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20230711BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20230711BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230711BHJP
   H04M 1/725 20210101ALI20230711BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20230711BHJP
【FI】
G01R31/389
G01R31/382
G01R31/385
H02J7/00 Y
H04M1/725
G01R31/392
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022034370
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】大木 英生
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150708(JP,A)
【文献】特開2008-067523(JP,A)
【文献】特開2011-055647(JP,A)
【文献】特開2000-092721(JP,A)
【文献】特開2002-335307(JP,A)
【文献】特開2011-191111(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163301(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/392
G01R 31/389
G01R 31/382
G01R 31/385
H02J 7/00
H04M 1/725
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電先が電話機である電池の電池管理装置であって、
電圧値及び消費電流値を取得する取得部と、
前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出部と、
前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に応じた通知を実行する通知部と、
を有し、
前記取得部は、待受け時の消費電流値と、通話時の消費電流値と、それぞれの場合の電圧値を取得し、
前記内部抵抗算出部は、前記通話時の消費電流値と、前記待受け時の消費電流値と、前記それぞれの場合の電圧値を用いて電池の内部抵抗値を算出する、
電池管理装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記判断部の判断結果が、前記内部抵抗値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、電池の交換を要する旨を通知する、
請求項1の電池管理装置。
【請求項3】
給電先の装置の状態を取得する状態取得部と、
前記装置の状態に応じて予め定めた消費電流値を保持する消費電流値保持部と、
を有し、
前記内部抵抗算出部は、前記電圧値及び保持されている前記装置の状態に応じた消費電流値から電池の内部抵抗を算出する、
請求項1又は2の電池管理装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記内部抵抗値に代えて、前記内部抵抗値の推移が所定の基準に達しているか否かを判断する、
請求項1の電池管理装置。
【請求項5】
前記待受け時の待機電圧値と、前記内部抵抗値と、前記待受け時の消費電流値、及び前記通話時の消費電流値を用いて、通話時の電圧値に換算した換算電圧値を算出する換算電圧算出部を有し、
前記判断部は、前記換算電圧値が所定の基準に達しているか否かを判断する、
請求項の電池管理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記判断部の判断結果が、前記換算電圧値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、電池の交換又は電池の充電を要する旨を通知する、
請求項の電池管理装置。
【請求項7】
前記判断部の判断結果が、前記換算電圧値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、給電先の電話機を停止するための電源の制御を実行する制御部をさらに有する、
請求項の電池管理装置。
【請求項8】
給電先が電話機である電池管理方法であって、
待受け時の消費電流値と、通話時の消費電流値と、それぞれの場合の電圧値を取得するステップと、
前記通話時の消費電流値と、前記待受け時の消費電流値と、前記それぞれの場合の電圧値を用いて電池の内部抵抗値を算出するステップと、
前記それぞれの場合の電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断するステップと、
前記判断するステップの判断結果に応じた通知を実行するステップと、
を有する電池管理方法。
【請求項9】
給電先が電話機である電池を管理するプログラムであって、
待受け時の消費電流値と、通話時の消費電流値と、それぞれの場合の電圧値を取得する処理と、
前記通話時の消費電流値と、前記待受け時の消費電流値と、前記それぞれの場合の電圧値を用いて電池の内部抵抗値を算出する処理と、
前記それぞれの場合の電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する処理と、
前記判断する処理の判断結果に応じた通知を実行する処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池管理装置、電池管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池駆動で動作する装置、例えばコードレス電話において、充放電を繰り返すことで充電しても容量が回復しない状態(蓄電性が低下)となることがある。このような状態になっても気づかずにそのまま継続使用していると突然電源が落ちたり、着信ができなくなったりする事態に陥ることがある。また、メモリ書き込み時に電圧が低下している場合には装置が動作不能になることも考えられる。
【0003】
特許文献1には以下のような通信端末等が開示されている。該技術では、電池電圧を取得し、取得した電池電圧が無線通信の性能を確保できる最低電圧(通信停止電圧)に達しているか否かを判断し、通信停止電圧に達しているとの判断結果の場合に、端末の無線通信機能のみを停止させ、通信機能以外の機能を実行可能として、端末の利用時間を延長させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-175875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0006】
しかしながら、上記開示された発明は、電池電圧を取得してその電圧の低下のみから端末の無線機能の停止の判断を行っている。電圧の低下に加え電池が劣化して蓄電性が低下していると、通信を開始すると直後に電池電圧が低下し無線通信の停止に陥る可能性がある。そればかりか、シャットダウン電圧を下回り、通常であればシャットダウン処理が開始されるところ、十分な電圧を確保できず、メモリにデータをバックアップするなどの処理が不可能となり正常に端末を終了することができないといった不具合が生じることとなる。
【0007】
本発明は電池の交換時期の通知、及び電池劣化による装置の異常終了などの不具合の防止に貢献する電池管理装置、電池管理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明乃至開示の第一の視点によれば、電圧値及び消費電流値を取得する取得部と、前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出部と、前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する判断部と、前記判断部の判断結果に応じた通知を実行する通知部と、を有する電池管理装置が提供される。
【0009】
本発明乃至開示の第二の視点によれば、電圧値及び消費電流値を取得するステップと、 前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出するステップと、前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断するステップと、前記判断するステップの判断結果に応じた通知を実行するステップと、を有する電池管理方法が提供される。
【0010】
本発明乃至開示の第三の視点によれば、電圧値及び消費電流値を取得する処理と、前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出する処理と、前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する処理と、前記判断する処理の判断結果に応じた通知を実行する処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明乃至開示の各視点によれば、本発明は、電池の交換時期の通知、及び電池劣化による装置の異常終了などの不具合の防止に貢献する電池管理装置、電池管理方法、及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る電池管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る電池管理装置の処理の概要を示すための概略図である。
図3】第1の実施形態に係る電池管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る電池管理装置のハードウエア構成を示す概略図である。
図5】第2の実施形態における電話機の電池管理を行う電池管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態に係る電池管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】第3の実施形態に係る電池管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェースも同様である。
【0014】
図1は一実施形態に係る電池管理装置の構成の一例を示すブロック図である。この図にあるように、一実施形態に係る電池管理装置10は、取得部11と、内部抵抗算出部12と、判断部13と、通知部14と、を有する。
【0015】
取得部11は電圧値及び消費電流値を取得する。内部抵抗算出部12は前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出する。判断部13は前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する。通知部14は前記判断部の判断結果に応じた通知を実行する。
【0016】
一実施形態の電池管理装置は、取得部11にて電圧値と消費電流値を取得し、これらを用いて内部抵抗算出部12において電池の内部抵抗値を算出する。内部抵抗値は電池の劣化を示す一つの指標であるので、判断部13により所定の基準まで達したと判断されると、例えば電池の交換を促すような通知を通知部14により行うことが可能である。また取得部11にて電圧値を取得し、判断部13において所定の基準まで達したと判断されると、通知部14により通知、例えば充電が必要な旨の通知、を行うことで給電先の装置が異常終了してしまうことを回避することが可能である。
【0017】
このように内部抵抗値を算出することにより、電池の劣化具合を察知し、電池の劣化を踏まえた電圧値の基準を適用し通知を行うことで、給電先の装置等が急激な電圧低下により異常終了してしまうことを未然に防ぐことが可能である。
【0018】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図2(A)および(B)は、第1の実施形態に係る電池管理装置の処理の概要を示すための概略図である。図2(A)にあるように、電池21と給電先の装置22が配置されている回路がある。電池21には内部抵抗Rintが存在する。図2(B)は、装置22を動作させたときの電池電圧Vの変化を示すグラフである。ここでV=Vは給電先の装置が通常終了できる最低の電圧であるシャットダウン電圧である。V1およびV2は電圧低下による警告を行う電圧値である。電池の内部抵抗Rintは、配置当初はr1であったが、劣化によりr2まで上昇したとする。ここでT=t1の時に、装置の動作のモード変更により負荷が増大したとする。そうするとVは負荷上昇の分だけ電圧が降下しV1を下回りVsに迫る。V1を下回ったので電池管理装置は電池電圧低下の警告および装置を停止して電池を交換または充電を要することを通知する。この場合においては通知に従って装置を通常終了することが可能である。
【0020】
一方電池が劣化したRint=r2の電池の場合(点線の系列を参照)では、元々の電池電圧VがRint=r1の場合より低いので、t1で負荷が増大すると、一気にVを下回ることとなる。この場合、給電先の装置は正常終了する際のメモリバックアップ等のシーケンスを実行することなく異常終了してしまうこととなる。
【0021】
このような場合には、警告(通知)を行う電圧の基準をV=V1からV2に引き上げることで装置の異常終了を未然に回避することが可能である。このように、本実施形態の電池管理装置は、電池の劣化による内部抵抗の上昇で電池電圧Vが低下したとしても低下した分をあらかじめ考慮に入れて所定の基準を設定し、これに到達しているか否かを判断し、到達している場合には電池電圧低下の警告や電池の交換または充電を要する旨を通知することが可能である。
【0022】
第1の実施形態に係る電池管理装置の構成の一例は図1と同様である。この図にあるように本実施形態に係る電池管理装置10は、取得部11と、内部抵抗算出部12と、判断部13と、通知部14と、を有する。
【0023】
取得部11は、電圧値及び消費電流値を取得する。電圧計および電流計を給電先の回路上に設け、(電池)電圧値および回路を流れる電流値を測定し、取得する。図2(A)によると電流計23及び電圧計24で測定できる値である。取得された電圧値および電流値は内部抵抗算出部12へ送られる。取得のタイミングであるが、一定周期で取得してもよいし、例えば負荷が変動して電圧値が変動したタイミングなど特定のタイミングで取得してもよい。
【0024】
内部抵抗算出部12は、取得した前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出する。具体的には取得部11より電圧値及び消費電流値を取得し、これらの値に基づいて算出を実行する。算出された内部抵抗値は後述する判断部13へ送られる。
【0025】
判断部13は前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する。まず取得部11にて取得した電圧値については、図2(B)において説明したように、電池電圧値を指し、この値が所定の値に達しているか否かが判断される。「所定の値」とは、図2(B)においてはV1およびV2等が該当する。電池残量が低下するとともに電池電圧が低下するが、電圧の基準を設けることで、給電先の装置が異常終了することを回避することが可能である。
【0026】
内部抵抗値については、電池が経年劣化することにより、内部抵抗が上昇し、電池電圧が低下する。本実施形態の電池管理装置は、この劣化の度合いをあらかじめ所定の基準に基づいて予測し、上記V2のように当初の電圧値の基準に反映させることで、給電先の装置が異常終了するのを回避し、後述する通知部14にて通知を行うことで、メモリバックアップ等のシャットダウン処理を正常に行い電池の交換や充電するための余力を残しつつ装置の動作を停止することが可能となる。このように、本実施形態の電池管理装置は、所定の基準として単に電池電圧のみの基準だけでなく、電池の劣化を示す内部抵抗の上昇による電池電圧の低下も考慮に入れて、電池の交換又は充電を通知部14より通知することが可能である。
【0027】
通知部14は判断部13の判断結果に応じた通知を実行する。通知の内容については、例えば算出された内部抵抗の上昇に伴って電池の劣化が認められる場合に、電池の交換が必要な旨を通知することが可能である。また、上記のように、電池残量の低下に伴う電圧値の低下だけではなく電池の内部抵抗の上昇に伴う電圧値の低下も考慮に入れて、電池の交換又は充電を要する旨の通知をすることが可能である。
【0028】
判断部13は、原則として内部抵抗算出部12において算出された内部抵抗に基づいて判断を実行するが、給電先の装置の状態を取得する状態取得部(図示せず)により装置状態を取得し、状態の変化に応じてあらかじめ消費電流値保持部(図示せず)に保持されている消費電流値に基づいて電池の内部抵抗を算出してもよい。
【0029】
また、判断部13は内部抵抗算出部12にて算出された内部抵抗の値に代えて、内部抵抗の値の推移を考慮に入れて判断を実行してもよい。例えば所定時間経過毎に内部抵抗が算出されるとして、ある時点での値の増加傾向が所定の量に達した場合に通知部14にて通知を行うといった構成としてもよい。
【0030】
[動作の説明]
本実施形態の電池管理装置10の動作の一例について図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る電池管理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0031】
同装置が動作を開始すると、電圧値及び消費電流値を取得する(ステップS31)。次に取得された電圧値および消費電流値を用いて内部抵抗値を算出する(ステップS32)。次に算出された内部抵抗が基準値に到達しているか否かの判断を実行する(ステップS33)。基準値に到達しているとの判断結果(ステップS33、Y)の場合には、電池の経年劣化が進んでいるとして電池交換を要する旨の通知を行う(ステップS34)。いまだ基準値に到達していないとの判断結果の場合(ステップS33、N)には通知はスキップされる。
【0032】
次に電圧値が基準値に到達しているかの判断を行う(ステップS35)。電池電圧が電圧の基準値に達しているとの判断結果の場合(ステップS35、Y)には、例えば電池の充電を要する旨の通知を行う(ステップS36)。通知に伴って給電先の装置を停止するように制御を行ってもよい(ステップS37)。電圧値が基準値に到達していないとの判断結果の場合には、再び電圧値及び消費電流値の取得を行うステップ(ステップS31)を繰り返す。
【0033】
[ハードウエア構成]
本実施形態の電池管理装置10は、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、図4に例示する構成を備える。例えば、電池管理装置10は、内部バス47により相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)41、メモリ42、入出力インタフェース43及び通信手段であるNIC(Network Interface Card)44等を備える。
【0034】
但し、図4に示す構成は、電池管理装置10のハードウエア構成を限定する趣旨ではない。電池管理装置10は、図示しないハードウエアを含んでもよい。また、電池管理装置10に含まれるCPU等の数も図4の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが電池管理装置10に含まれていてもよい。
【0035】
メモリ42は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
【0036】
入出力インタフェース43は、図示しない表示装置や入力装置のインタフェースとなる手段である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受付ける装置である。
【0037】
本実施形態の電池管理装置10では、入出力インタフェース43に電圧計45及び電流計46が接続され、電圧や電流を測定し取得する構成となっている。
【0038】
電池管理装置10の機能は、メモリ42に格納された取得プログラム、内部抵抗算出プログラム、判断プログラム、通知プログラム等といったプログラム群(処理モジュール)と、判断プログラムが使用する電圧値や内部抵抗値の所定の基準を示す値等のデータ群により実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ42に格納された各プログラムをCPU41が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能を何らかのハードウエア、及び/又は、ソフトウエアで実行する手段があればよい。
【0039】
[ハードウエアの動作]
電池管理装置10は動作を開始すると、まず取得プログラムがメモリ42から呼び出されCPU41にて実行状態となる。同プログラムは、電圧計45および電流計46が示す値を、入出力インタフェース43を介して取得する。次に内部抵抗算出プログラムがメモリ42から呼び出され、CPU41にて実行状態となる。同プログラムは取得プログラムより電圧値および電流値を受け取り、これを用いて内部抵抗値を算出する。算出された内部抵抗値は後述する判断プログラムに電圧値と共に渡される。
【0040】
次に判断プログラムがメモリ42から呼び出されCPU41にて実行状態となる。同プログラムはメモリ42に格納されている電圧値や内部抵抗値の所定の基準を示す値を読み込み、受け取った電圧値および内部抵抗値がこれらの値に達しているか否かを判断する。
【0041】
判断プログラムの判断の結果、所定の基準を示す値に達していた場合には、通知プログラムがメモリ42から呼び出され、CPU41にて実行状態となる。同プログラムは入出力インタフェース43であるディスプレイ等の表示デバイスに通知を出力する。例えば内部抵抗値が所定の基準を示す値に達していた場合には、電池が劣化しているとして電池の交換を促す通知を行う。また例えば電圧値が所定の基準を示す値に達していた場合には、電池電圧が低下しており、電池の交換又は充電のため給電先の装置の停止を促す通知を出力する。この通知に応じて、給電先の装置を停止させるといった処理が可能である。
[効果の説明]
上記第1の実施形態に係る電池管理装置により、電池残量減少に伴う電池電圧の低下のみならず、電池の経年劣化による内部抵抗値の上昇も考慮に入れて通知を実行し、電池の交換又は充電のために、給電先の装置の異常終了を回避し、正常に装置を停止させることが可能である、
【0042】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、上記実施形態の電池管理装置の給電先をコードレス電話とした場合の電池管理装置の構成及び動作について説明する。
【0043】
図5は第2の実施形態における電話機の電池管理を行う電池管理装置10の構成の一例を示すブロック図である。ここで給電先の電話機は、コードレス電話機のように電池で駆動する電話機である。この図にあるように、第2の実施形態に係る電池管理装置10は、取得部11と、内部抵抗算出部12と、判断部13と、通知部14と、を有する。これら構成要件について基本的には上記実施形態で説明済みであるので記載は省略する。本実施形態の電池管理装置は新たに換算電圧算出部15と、制御部16とを有する。
【0044】
取得部11は、上記実施例での構成を基本として、電話機の待受け時の消費電流値と、通話時の消費電流値と、それぞれの場合の電圧値を取得し、内部抵抗算出部は、前記通話時の消費電流値と、前記待受け時の消費電流値と、前記それぞれの場合の電圧値を用いて電池の内部抵抗値を算出する。具体的な算出式については下記実施形態に記載する。
【0045】
換算電圧算出部15は、待受け時の待機電圧値と、内部抵抗値と、待受け時の消費電流値、及び通話時の消費電流値を用いて、通話時の電圧値に換算した換算電圧値を算出する。判断部13は、前記換算電圧値が所定の基準に達しているか否かを判断する。このように、待受け時において、通話時の電圧値を前もって換算により算出し、その電圧値が所定の基準に達しているか否かを判断し、電池の交換又は電池の充電を要する旨を通知することにより、待受け時から通話時へモードが切り替わった際に負荷が増大し、電池電圧の不足により通話が途切れたり異常終了してしまったりすることを未然に回避することが可能である。
【0046】
具体的には、換算電圧値Vは、取得部11で取得された待受け中の電圧値とVwait、待受け中の電流値Iwait、及び通話中の電流値Itxと、内部抵抗算出部12にて算出された内部抵抗値Rintを用いて、下記の数式から求められる。
【0047】
…(1)
【0048】
制御部は16、判断部13の判断結果が、換算電圧値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、給電先の電話機を停止するための電源の制御を実行する。通知部14による通知の後に、給電先の電話機の異常終了を未然に防止するために電話機を正常なシーケンスで動作を停止するための制御を実行する。「給電先の電話機を停止するための電源の制御」であるので、例えばコードレス電話機の全ての機能を同時に停止するだけではなく、無線機能などの機能の一部を停止させ、省電力モードとしてから正常終了させるといった制御も含まれる。
【0049】
[動作の説明]
本実施形態の電池管理装置10の動作の一例について図6を用いて説明する。図6は、第2の実施形態に係る電池管理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
同装置が動作を開始すると、電圧値及び消費電流値を取得する(ステップS61)。次に取得された電圧値および消費電流値を用いて内部抵抗値を算出する(ステップS62)。次に算出された内部抵抗が基準値に到達しているか否かの判断を実行する(ステップS63)。基準値に到達しているとの判断結果(ステップS63、Y)の場合には、電池の経年劣化が進んでいるとして電池交換を要する旨の通知を行う(ステップS64)。いまだ基準値に到達していないとの判断結果の場合(ステップS63、N)には通知はスキップされる。ここまでの動作については上記実施形態と同様である。
【0051】
次に換算電圧値の算出を行う(ステップS65)。その後算出された換算電圧値が基準値に到達しているかの判断を行う(ステップS66)。換算電圧値が電圧の基準値に達しているとの判断結果の場合(ステップS66、Y)には、電池の交換又は充電を要する旨の通知を行う(ステップS67)。次に、給電先の装置であるコードレス電話機を停止するための制御を行う(ステップS68)。換算電圧値が基準値に到達していないとの判断結果の場合には、再び電圧値及び消費電流値の取得を行うステップ(ステップS61)を繰り返す。
【0052】
[効果の説明]
このように、本実施形態の電池管理装置はコードレス電話機が待受け中であっても高負荷となる通話中の電圧に対応する換算電圧値を求め、この値が所定の基準値に達している場合には電池の交換や充電が必要な旨の通知が可能である。また、所定の基準値に達している場合には給電先のコードレス電話機を制御して動作を停止又は省電力モードに移行させることが可能である。
【0053】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、上記電池管理装置を具備したコードレス電話機の一例について、具体的に説明する。
【0054】
本実施形態のコードレス電話は、上記実施形態と同様に、電圧、電流を取得する取得部11と、取得部で計測した電圧値、電流値から内部抵抗Rintを算出する内部抵抗算出部12と、換算電圧Vを算出する換算電圧算出部15と、あらかじめ定めた値と比較して通知が必要か否かを判断する判断部13と、アラームを通知する通知部14とを備える。
【0055】
[動作の説明]
図7に本実施形態のコードレス電話の動作を示す。この図が示すように、コードレス電話機は、電池電圧、及び消費電流を定期的に(例えば毎分)計測する(ステップS71)。また、待受け中から通話中に遷移したタイミング、及び通話中から待受け中に遷移したタイミングの電圧値、電流値に基づいて下記の式により内部抵抗Rintを算出する(ステップS72)。ここで、Vは電池の内部電圧、Rintは電池の内部抵抗、Vは電池電圧である。通話中の電圧Vtx、電流Itx、待受け中の電圧Vwait、電流Iwaitとすると、下記の式が得られる。
…(2)
…(3)
【0056】
上記(2)と(3)の差分をとると、下記式の通り内部抵抗Rintが算出できる。
…(4)
【0057】
内部抵抗Rintがメーカーのカタログ値などあらかじめ定めた値Rchg(たとえば0.2Ω)より大きくなった場合(ステップS73、Y)、電池の交換を通知する(ステップS74)。電池の交換はアイコンで通知してもよいし、待受け中など決められた状態で通知するようにしてもよい。
【0058】
次に計測した電圧値、電流値、算出した内部抵抗Rint、あらかじめ定めた電流値に基づいて換算電圧Vを算出する(ステップS72)。算出は上記の通り式(1)により可能である。換算電圧Vは、待受け時の電圧値を、通話中の電圧値に換算した電圧値を示す。例えば、通話中は計測した電圧Vtxの実測値とし(V=Vtx)、待受け中は、式(1)により通話中に換算した換算電圧Vを算出し、換算電圧Vを使用して電圧(電池残量)を表示する。換算電圧Vがあらかじめ定めたシャットダウン電圧Voff(例えば3.3V)以下となると(ステップS75)、警告音と表示でバッテリーアラームを通知し、電池の充電や交換を促す(ステップS76)。次いで無線の送信を停止し(ステップS77)、メモリバックアップを行ない(ステップS78)、シャットダウン(電源断)を行なう(ステップS79)。
【0059】
電池の劣化により、メモリバックアップを行なう(ステップS78)時間が確保できないとメモリの内容が破壊される可能性があるが、本実施形態の電池管理装置は、無線機能を停止しメモリイレースの電位差を考慮しマージンを確保する。メモリバックアップは、メモリイレースに2~3sec(最大)、書き込みに数msec(最大)の時間を要する。ここでメモリバックアップは、消費電力は20mA(最大)を必要とする。電力20mA、イレース3sec、内部抵抗0.2Ωとすると(0.02A×3sec)/0.2Ω=0.3V。したがって3Vで動作停止を完了するために3.3Vでメモリバックアップを実行すれば動作可能である。
【0060】
なお、本実施例では、通話中と待受け中で説明したが、通話中と待受け中に限定する必要はない。通話中でなくても消費電流が最大に近い状態であれば良い。待受け中でなくても消費電力が最大と差分の大きい状態であれば良い。なお、測定した電圧値、電流値をすべてあらかじめ定めた電流値(例えば最大消費電流)の電圧に換算してもよい。
【0061】
[効果の説明]
このように本実施形態の電池管理装置は、待受け中でも通話中に換算した電圧(電池残量)が算出されているため、電池が劣化、かつ電池電圧が低下している状態であっても、通話を開始して突然電圧が低下することがなくなり、シャットダウンシーケンスを正常に完了させることができ、メモリ書き込みの保護や通話切断などの不具合を回避することが可能となる。
【0062】
前述の実施形態の一部または全部は、以下の各付記のようにも記載することができる。しかしながら、以下の各付記は、あくまでも、本発明の単なる例示に過ぎず、本発明は、かかる場合のみに限るものではない。
[付記1]
上述の第一の視点に係る電池管理装置のとおりである。
[付記2]
通知部は、判断部の判断結果が、内部抵抗値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、電池の交換を要する旨を通知する、好ましくは付記1の電池管理装置。
[付記3]
給電先の装置の状態を取得する状態取得部と、装置の状態に応じて予め定めた消費電流値を保持する消費電流値保持部と、を有し、内部抵抗算出部は、電圧値及び保持されている装置の状態に応じた消費電流値から電池の内部抵抗を算出する、好ましくは付記1又は2の電池管理装置。
[付記4]
判断部は、内部抵抗値に代えて、内部抵抗値の推移が所定の基準に達しているか否かを判断する、好ましくは付記1の電池管理装置。
[付記5]
給電先が電話機である電池の電池管理装置であって、取得部は、待受け時の消費電流値と、通話時の消費電流値と、それぞれの場合の電圧値を取得し、内部抵抗算出部は、通話時の消費電流値と、待受け時の消費電流値と、それぞれの場合の電圧値を用いて電池の内部抵抗値を算出する、好ましくは付記1又は2の電池管理装置。
[付記6]
待受け時の待機電圧値と、内部抵抗値と、待受け時の消費電流値、及び前記通話時の消費電流値を用いて、通話時の電圧値に換算した換算電圧値を算出する換算電圧算出部を有し、判断部は、換算電圧値が所定の基準に達しているか否かを判断する、付記5の電池管理装置。
[付記7]
通知部は、判断部の判断結果が、換算電圧値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、電池の交換又は電池の充電を要する旨を通知する、好ましくは付記6の電池管理装置。
[付記8]
前記判断部の判断結果が、前記換算電圧値が所定の基準に達しているとの判断結果の場合に、給電先の電話機を停止するための電源の制御を実行する制御部をさらに有する、付記7の電池管理装置。
[付記9]
上述の第二の視点に係る電池管理方法のとおりである。
[付記10]
上述の第三の視点に係るプログラムのとおりである。
なお、付記9及び付記10は、付記1と同様に、付記2~付記8に展開することが可能である。
【0063】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
10:電池管理装置
11:取得部
12:内部抵抗算出部
13:判断部
14:通知部
15:換算電圧算出部
16:制御部
21:電池
22:装置
23:電流計
24:電圧計
41:CPU
42:メモリ
43:入出力インタフェース
44:NIC
45:電圧計
46:電流計
47:内部バス
【要約】
【課題】電池の交換時期の通知、及び電池劣化による装置の異常終了などの不具合の防止に貢献する電池管理装置、電池管理方法、及びプログラムの提供。
【解決手段】電圧値及び消費電流値を取得する取得部と、前記電圧値及び前記消費電流値から電池の内部抵抗値を算出する内部抵抗算出部と、前記電圧値及び前記内部抵抗値が所定の基準に達しているか否かを判断する判断部と、前記判断部の判断結果に応じた通知を実行する通知部と、を有する電池管理装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7