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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】プレススルーパック用蓋材
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20230711BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230711BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/00 H
B32B27/20 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018078038
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2018177374
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2017080984
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 光則
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
(72)【発明者】
【氏名】菅野 圭一
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178386(JP,A)
【文献】特開2011-025661(JP,A)
【文献】特開2010-247883(JP,A)
【文献】特開2015-030507(JP,A)
【文献】特開2016-034727(JP,A)
【文献】実開昭62-041046(JP,U)
【文献】特開2016-216063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 67/00-79/02
B32B 27/00
B32B 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレススルーパックに用いられる蓋材であって、
(1)前記蓋材は、少なくとも基材層、白着色層、文字図柄層及び保護層を順に含み、かつ、基材層における白着色層が積層された面の反対面に熱接着層をさらに含む積層体から構成されており、
(2)前記保護層は、アクリル系樹脂及びメラミン系樹脂の少なくとも1種を含む粒子を含有し、かつ、前記粒子の積層量が0.26~0.53g/m であり、
(3)温度260~290℃及び圧力0.35~0.45MPaでヒートシールすることにより当該蓋材とPTP容器を接合するために用いられる、
ことを特徴とするプレススルーパック用蓋材。
【請求項2】
前記粒子の平均粒子径が3~8μmである、請求項1記載のプレススルーパック用蓋材。
【請求項3】
保護層が最外層として配置されている、請求項1又は2に記載のプレススルーパック用蓋材。
【請求項4】
樹脂成分を含むマトリックス中に前記粒子が分散・固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレススルーパック用蓋材。
【請求項5】
保護層表面から前記粒子が突出することによる複数の略球状凸部が保護層表面に形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレススルーパック用蓋材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレススルーパック(PTP)に用いられる蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、錠剤、カプセル剤等の医薬品のほか、食品等を包装する包装材料の1つとしてプレススルーパックがある。これは、PTP容器に医薬品等の内容物を装填した後、包装機にてPTP容器が蓋材によってヒートシールされることによりPTPが製造される。
【0003】
ここで、プレススルーパックに用いられる上記蓋材(以下「PTP蓋材」という。)においては、意匠性のある印刷を目立たせたり、バーコードの読み取り精度を向上させる目的で、PTP蓋材の基材となるアルミニウム箔の外表面の一部又は全面に白く着色された層である白ベタ層が形成される場合がある。
【0004】
例えば、内容物収納用の凹部が形成されている合成樹脂製の底材と該底材における内容物収納用の凹部を閉塞する蓋材とからなるプレススルーパックにおいて、蓋材としてアルミニウム箔を用い、該アルミニウム箔面に印刷層の下塗りとして、一色の塗工層が施してあることを特徴とするプレススルーパック用蓋材内容物収納用の凹部が形成されている合成樹脂製の底材と該底材における内容物収納用の凹部を閉塞する蓋材とからなるプレススルーパックにおいて、蓋材としてアルミニウム箔を用い、該アルミニウム箔面に印刷層の下塗りとして、一色の塗工層が施してあることを特徴とするプレススルーパック用蓋材が知られている(特許文献1)。
【0005】
また例えば、アルミニウム箔と、前記アルミニウム箔の少なくとも一方の面に設けられた白着色層と、前記白着色層上に位置するバーコード部と、を備えることを特徴とする包装用シートがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-24944
【文献】特開2008-174302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような白ベタ層を有する従来技術のPTP蓋材では、包装機等でPTP蓋材とPTP容器とをヒートシールする際に、白ベタ層の下地となる基材層(アルミニウム箔等)に微細なクラックが生じることがある。このようなクラックが生じると、外観が不良となって所望の意匠性が得られなくなるだけでなく、PTP容器内に充填した薬剤等の内容物が密閉状態を保てなくなって品質が低下するおそれもある。このため、クラックが生じた製品は不良品として廃棄され、PTP製造時における歩留まりを低下させる一因となっている。
【0008】
従って、本発明の主な目的は、いわゆる白ベタ層を有していても、基材層のクラックが効果的に抑制ないしは防止されたPTP蓋材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する積層体をPTP蓋材として採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記のプレススルーパック用蓋材に係る。
1. プレススルーパックに用いられる蓋材であって、
(1)前記蓋材は、少なくとも基材層、白着色層及び保護層を順に含む積層体から構成されており、
(2)前記保護層は、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂及びシリカの少なくとも1種を含む粒子を含有する、
ことを特徴とするプレススルーパック用蓋材。
2. 前記粒子の平均粒子径が0.1~30μmである、前記項1記載のプレススルーパック用蓋材。
3. 前記粒子の積層量が0.02~5g/mである、前記項1又は2に記載のプレススルーパック用蓋材。
4. 保護層が最外層として配置されている、前記項1~3のいずれかに記載のプレススルーパック用蓋材。
5. 樹脂成分を含むマトリックス中に前記粒子が分散・固定されている、前記項1~4のいずれかに記載のプレススルーパック用蓋材。
6. 白着色層と保護層との間にさらに印刷層を含む、前記項1~5のいずれかに記載のプレススルーパック用蓋材。
7. 基材層における白着色層が積層された面の反対面に熱接着層をさらに含む、前記項1~6のいずれかに記載のプレススルーパック用蓋材。
8. 保護層表面から前記粒子が突出することによる複数の略球状凸部が保護層表面に形成されている、前記項1~7のいずれかに記載のプレススルーパック用蓋材。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、いわゆる白ベタ層を有していても、基材層(特にアルミニウム箔等)のクラックが効果的に抑制ないしは防止されたPTP蓋材を提供することができる。すなわち、基材層上に白着色層が積層されている場合において、本発明のPTP蓋材では、保護層中に含まれる粒子(保護用粒子)がクッションの役割を果たすため、PTP容器とPTP蓋材との接合時に高い圧力が加わっても、白ベタ層及びその下層となる基材層に伝わる圧力を効果的に緩和することができる。その結果、従来のPTP蓋材の白ベタ層下で発生していたようなアルミニウム箔のクラックをより確実に防止することができる。これにより、PTP製造における歩留まりを高めることも可能となる。
【0012】
このような特徴をもつ本発明のPTP蓋材は、医薬、食品、化粧品、電子部品等をはじめとする各種の製品を収容するためのPTPの蓋材として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】PTP蓋材とPTP容器との組み合わせを示す斜視図である。
図2】本発明のPTP蓋材の断面構成例を示す図である。
図3】基材層に白着色層及び保護層を積層する状態の一例を示す斜視図である。
図4】本発明のPTP蓋材の別の断面構成例を示す図である。
図5】本発明PTP蓋材でPTP容器を封止した状態(PTP)の断面構成例を示す図である。
図6】実施例1のPTP蓋材の保護層表面をFE-SEMで観察した写真である。
図7】実施例5のPTP蓋材の保護層表面をFE-SEMで観察した写真である。
図8】比較例1のPTP蓋材の保護層表面をFE-SEMで観察した写真である。
図9】比較例2のPTP蓋材の保護層表面をFE-SEMで観察した写真である。
【符号の説明】
【0014】
10 PTP蓋材
12 基材層
14 白着色層
15a 文字図柄層
15b 文字図柄層
16 保護層
16a マトリックス
17 熱接着層(ヒートシール層)
18 粒子(保護用粒子)
20 PTP容器
22 収容部
30 PTP(包装体)
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.プレススルーパック用蓋材
本発明のプレススルーパック用蓋材(本発明PTP蓋材)は、プレススルーパックに用いられる蓋材であって、
(1)前記蓋材は、少なくとも基材層、白着色層及び保護層を順に含む積層体から構成されており、
(2)前記保護層は、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂およびシリカの少なくとも1種を含む粒子を含有する、
ことを特徴とする。
【0016】
図1には、本発明PTP蓋材がプレスルーパックの蓋材として使用される場合の実施形態を示す。本発明PTP蓋材10は、凹状の収容部22を備えたPTP容器20の当該収容部22を封じるようにPTP容器にヒートシールされる。これにより、収容部22に収容された内容物(図示せず)が密閉状態に置かれる。
【0017】
図2には、本発明PTP蓋材の基本的な層構成を示す。本発明PTP蓋材10は、基材層12の片面上に白着色層14が積層されており、その白着色層14上に保護層16が形成されている。保護層16は、有機成分及び無機成分の少なくとも1種を含む粒子(以下、特にことわりのない限り「保護用粒子」という。)18が複数含まれている。
【0018】
この場合、図3に示すように、保護層16は、少なくとも白着色層14の全面をカバーするように形成されていることが好ましい。また、図3に示すように白着色層14の面積が基材層12よりも小さい場合でも、保護層16は基材層12全面をカバーするように形成されていても良い。
【0019】
さらに、白着色層14及び保護層16は、基材層12の表面上の全面に形成されていても良いが、図3に示すように基材層12の表面上の一部であっても良い。すなわち、図3に示すように、基材層12上の一部に白色着色層14及び保護層16が積層され、基材層12の周縁部が露出した形態であって良い。
【0020】
また、図2では、保護層16において、通常はマトリックス16a中に保護用粒子18が分散した構造をとるが、保護用粒子18による凹凸は保護層16表面には形成されず、図2では保護層16の表面は平坦になっている。一方、例えば図4に示すように、保護用粒子18によって保護層16表面に凹凸が形成されていても良い。このような表面形状は、用いる保護用粒子の大きさ等を変えることにより適宜制御することができる。
【0021】
本発明では、特に図4に示すように、保護用粒子18が保護層16表面から突出するによってその保護層表面に複数の凸部が形成されていることが好ましい。このような構造をとることによって、凸部がクッションとして作用しやすくなる。特に、凸部が略球状であることが高いクッション性が得られるという点でより好ましい。略球状とは、実質的に球状である場合のほか、略半球状等である場合のように、角部のない凸部であればいずれも包含される。このため、保護用粒子としても略球状粒子を用いることが好ましい。こうした保護層の表面形状は、保護層の厚みが保護用粒子の大きさよりも小さくなるように、例えば保護層用の塗工液における保護用粒子の大きさ、マトリックスとして用いられる樹脂成分の濃度等を適宜調整することによって得ることができる。
【0022】
また、上記凸部は、保護用粒子表面が露出した状態(保護用粒子がマトリックス樹脂で覆われていない状態)で形成されていても良いし、保護用粒子表面がマトリックス樹脂に覆われた状態で形成されていても良い。
【0023】
図2又は図4に示す構成は基本的な構成であるが、本発明の効果を妨げない範囲内でこれらの各層の層間に別の層が介在していても良い。例えば、文字図柄層(印刷層)、熱接着層(ヒートシール層)、接着層(接着剤層)、プライマー層、アンカーコート層、着色層、オーバーコート層、赤外線反射層、透明ないしは半透明性下地層等が挙げられる。
【0024】
従って、熱接着層を形成する場合を一例にとると、例えばa)アルミニウム箔の白着色層が積層された面とは反対の面に熱接着層を積層した構成、b)アルミニウム箔と白着色層との間に透明又は半透明の下地層を介在させた構成、c)白着色層上にバーコード等の文字図柄層を積層した構成等も採用できる。また、上記熱接着層を用途に応じて、例えば粘着層、感圧接着層、感熱接着層等の各種の粘着・接着剤による層とすることもできる。
【0025】
本発明では、特に基材層12上の特定の箇所に保護層16が形成されているので、本発明PTP蓋材をPTP容器にヒートシールする際に基材層12(特にアルミニウム箔)に生じ得るクラックを効果的に抑制することができる。かかる見地より、本発明PTP蓋材では、保護層は最外層に形成されていることが望ましい。
【0026】
以下において、本発明PTP蓋材を構成する各層について、本発明PTP蓋材の製造方法として各層の形成方法と併せて説明する。
【0027】
基材層
本発明に用いる基材層は、公知のPTP蓋材で使用されている材料を採用することができる。例えば、アルミニウム箔、銅箔、金箔、銀箔、等の金属箔、紙、合成紙等の紙類、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等の樹脂フィルム等を単体又は2種以上の複合体で使用できる。また、前記の樹脂フィルムとして、着色樹脂フィルム等を用いることもできる。また、市販品のように、金属箔又は樹脂フィルムに予め種々の着色層、熱接着層等を積層したものも基材層として用いることができる。
【0028】
また、本発明では、アルミニウム蒸着層等の金属蒸着層を含む層も基材層として採用できる。例えば、公知の蒸着法(PVD、CVD等)により樹脂フィルム等の表面上に金属蒸着層を形成した積層フィルムを基材層として採用することができる。樹脂フィルムとしては、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン(特に高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン(特に延伸ポリプロピレン)、塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。
【0029】
金属蒸着層の厚みは、限定的ではないが、通常は200~1000オングストローム程度とすることができる。また、金属蒸着させる樹脂フィルムの厚みは9~50μm程度とすることが好ましい。
【0030】
本発明では、特にアルミニウム箔を基材層として採用することが好ましい。アルミニウム箔を用いることにより、包装材料としての強度、バリアー性、保存性等を効果的に発揮することができる。
【0031】
アルミニウム箔は、公知又は市販のアルミニウム箔(アルミニウム合金箔も含む。以下同じ。)も使用することができる。また、アルミニウム箔の調質も、限定的でなく、例えば軟質箔、硬質箔又は半硬質箔のいずれでも用途又は要求特性に応じて適宜使い分けることができる。
【0032】
本発明では、アルミニウム箔としては、具体的には純アルミニウム(JIS(AA)1000系、例えば1N30、1070、1100等)、Al-Mn系(JIS(AA)3000系、例えば3003、3004等)、Al-Mg系(JIS(AA)5000系)、Al-Fe系(JIS(AA)8000系、例えば8021、8079等)等が例示できる。これらの中でも、例えばJIS等で規定される1N30、1070、1100、3003、8021、8079等の材質(組成)のアルミニウム箔を好適に用いることができる。
【0033】
また、アルミニウム箔は、必要に応じ、公知の方法で型付け、脱脂・洗浄、アンカーコート、オーバーコート、表面処理等を施すこともできる。
【0034】
アルミニウム箔の厚みは、限定的ではないが、通常は5~200μmとし、特に12~50μmとすることが好ましい。かかる範囲内に設定することによって、より優れた耐水性(耐湿性)、強度、包装体の取扱性等を得ることができる。
【0035】
白着色層
白着色層は、少なくとも基材層上に備えられている。この場合、白着色層は、基材層表面上に直に隣接して形成されていても良いし、他の層(下地層等)を介して積層されていても良い。
【0036】
また、白着色層は、通常はPTP容器とシールされる面とは反対の面に備えられているが(例えば図5における白着色層14)、基材層の両面に白着色層が備えられていても良い。例えば、PTP容器として透明の材料が用いられている場合には、PTP蓋材におけるPTP容器と接する側の面にも白着色層が備えられていれば、PTP容器側からも白着色層が視認可能となる。また、これによりその白着色層上に文字図柄層が形成された場合の視認性等も向上させることができる。
【0037】
白着色層は、白ベタ(層)とも呼ばれ、酸化チタン等の顔料によって白色を呈している。白着色層で使用される顔料は、例えば酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料を好適に用いることができるが、塗膜の光反射率の面でより優位という見地より、特に白色顔料として酸化チタンを用いることが好ましい。
【0038】
また、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲(特に白色様の色味を呈する範囲)で、白色顔料以外の着色材を併用することもできる。このような着色材としては、例えばフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系、キノフタレン系、ペリレン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、酸化鉄、マイカ、それらのカラーチップ顔料等を併用することもできる。また、これらの顔料によって単独のベタ着色層として別途に積層することもできる。
【0039】
白着色層にはマトリックス樹脂(樹脂成分)が含まれていても良い。すなわち、白着色層は、マトリックス樹脂中に白色顔料が分散した構造を有することが好ましい。
【0040】
このため、白着色層のマトリックス樹脂としては、白色顔料の効果を十分に引き出すために透明性樹脂を好適に採用することができる。このような樹脂としては、特に限定されないが、本発明では塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ニトロセルロース系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の少なくとも1種を好適に用いることができる。特に、本発明では、マトリックス樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂を用いることが塗膜性能等の点で好ましい。
【0041】
白着色層中の白色顔料(特に酸化チタン)含有量は、例えば用いる白色顔料の種類等に応じて設定できる。特に、マトリックス樹脂中に白色顔料が分散している場合、その白色顔料の含有量は、通常20~60重量%程度とし、特に25~55重量%とすることが好ましい。
【0042】
白着色層の厚みは、白着色層の機能(視認性のほか、文字図柄層の1つであるバーコードの読み取り性の向上等)が発揮される限りは限定されないが、通常は0.1~10μm程度とし、特に0.1~2μmとすることが好ましい。
【0043】
白着色層の形成量は、特に制限されないが、単位面積当たり固形分重量で0.1~4.0g/m程度とすることが好ましい。
【0044】
<白着色層の形成方法>
白着色層の形成方法は、例えば白色顔料を含む塗工液を塗布し、乾燥する工程を含む方法によって実施することができる。
【0045】
塗工液は、白色顔料と溶媒とを混合する方法のほか、白色顔料、溶媒及び樹脂成分を混合する方法によって調製することができる。
【0046】
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、メチルシクロヘキサン,シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、イソプロピルアルコール、変性エタノール等のアルコール系溶剤等の有機溶剤を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0047】
樹脂成分としては、マトリックス樹脂となる樹脂成分を使用すれば良い。従って、本発明では、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ニトロセルロース系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の少なくとも1種を好適に用いることができる。その他にも、本発明の効果を妨げない範囲内で、例えばポリビニルブチラール、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、変性オレフィン系樹脂等も使用することができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。また、本発明では、公知又は市販のインキに含まれる有機バインダー成分を用いることもできる。
【0048】
また、塗工液中には、本発明の効果を妨げない範囲内で、例えば分散剤、界面活性剤、レベリング剤、表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤等の添加剤が含まれていても良い。
【0049】
塗工液中の白色顔料の分散量は、形成された白着色層中の白色顔料の含有量が所定の範囲内となるように適宜設定すれば良い。すなわち、固形分が白色顔料と樹脂成分となる場合は、樹脂成分との比率を調整しながら分散量を設定すれば良い。
【0050】
本発明では、これらの各成分を均一に混合することにより塗工液を調製することができる。混合に際しては、公知又は市販のニーダー、ミキサー等を使用することもできる。樹脂成分を用いる場合、樹脂成分は有機溶剤に溶解しても良いし、分散しても良い。
【0051】
塗工液を塗布する方法は、特に限定されず、例えばグラビアロールコーター、オフセット印刷、フレキソ印刷、UV印刷、カーテンフローコーター等の方法により塗布(積層)することができる。また、スプレー等による塗布も実施することができる。
【0052】
塗布した後は、塗膜を乾燥することによって白着色層を得ることができる。乾燥方法は、自然乾燥又は加熱乾燥のいずれであっても良い。加熱する場合は、例えば50~160℃程度とすれば良い。また、塗工に際し、本発明では、所定の厚みを得るために、上記の塗布及び乾燥を2回以上繰り返すこともできる。
【0053】
保護層
保護層は、白着色層の上に形成されている。保護層は、白着色層表面に直に隣接して形成されていても良いし、他の層(下地層等)を介して積層されていても良い。特に、本発明では、保護層は、白着色層表面に直に隣接して形成されていることが望ましい。
【0054】
また、保護層は、その機能上、少なくとも白着色層の全部を覆うように設けられていることが好ましい。「全部を覆う」とは、白着色層のすべての表面上に保護層が直に形成されている場合のほか、保護層が他の層を介して白着色層上に積層されているようなときは当該他の層を介して白着色層の平面領域上のすべてに保護層が形成されている場合も包含する。ただし、本発明では、PTP蓋材とPTP容器とのヒートシール時に基材層のクラックを確実に防止できる限り、白着色層が保護層で覆われていない部分が多少発生しても良い。
【0055】
保護層は、無機成分及び有機成分の少なくとも1種を含む粒子(保護用粒子)を含有する。保護用粒子を含む保護層が白着色層上に積層されることにより、保護用粒子がクッションの役割を果たすため、PTP蓋材とPTP容器とをヒートシールする際に、PTP蓋材の白着色層下の基材層(特にアルミニウム箔)にクラックが生じる現象を抑制ないしは防止することができる。
【0056】
保護層に含まれる粒子の種類は、特に限定されない。例えば、ガラスビーズ、酸化物ビーズ(シリカビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ等)、金属ビーズ(アルミニウムビーズ、銅ビーズ等)、高分子材料ビーズ(樹脂ビーズ、ゴムビーズ、エラストマービーズ)等の少なくとも1種を好適に用いることができる。これら自体は、公知又は市販の粒子(ビーズ)を採用することができる。従って、例えば樹脂ビーズ(アクリル系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ等)及びシリカビーズの少なくとも1種を用いることもできる。
【0057】
本発明では、保護用粒子として、高分子材料ビーズを用いることが好ましく、特に樹脂ビーズを用いることがより好ましい。樹脂ビーズを用いることによって、より高いクッション性が得られる。樹脂ビーズとしては、各種の合成樹脂製ビーズ等を1種又は2種以上を用いることができる。合成樹脂は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであっても良い。
【0058】
樹脂ビーズとしては、特に1)弾性を有することによりクッション性を発現するビーズ、2)加圧時に自ら崩壊することによりクッション性を発現するビーズの2つのタイプがあるが、本発明ではいずれも好適に用いることができる。また、両タイプのビーズを併用することもできる。
【0059】
かかる見地より、樹脂ビーズとしては、特にアクリル系樹脂ビーズ及びメラミン系樹脂ビーズの少なくとも1種を好適に用いることができる。PTP蓋材とPTP容器とをシールする際に、保護用粒子がアクリル系樹脂ビーズの場合にはその弾力をもってクッションの役割を果たすことができる。また、保護用粒子がメラミン系樹脂ビーズの場合には、圧力を受けることでビーズ自体が潰されてクッションの役割を果たす。これらの機能により、白着色層の下層にある領域の基材層(アルミニウム箔等)にクラックが発生してしまうことを効果的に防ぐことができる。
【0060】
また、保護用粒子を構成する成分の融点(融点を有しない成分は、軟化点、ガラス転移点又は形状を保てずに崩壊(熱分解等)する温度)は、特に限定されないが、本発明蓋材を製造する過程で受ける熱量(例えば熱乾燥時)によって溶融しない(特に軟化ないしは変形が生じない)耐熱性粒子であることが好ましい。かかる見地より、保護用粒子は、通常120℃以上(特に180℃以上、さらには200℃以上)かつ250℃以下の温度で粒子形状を維持できる粒子であることが好ましい。従って、例えば120℃以上(特に180℃以上、さらには200℃以上)かつ250℃以下の温度で溶融しない成分を好適に用いることができる。また、熱硬化性樹脂からなる成分も好適に用いることができる。熱硬化性樹脂の場合は、特に、熱分解温度が180℃以上、さらには200℃以上であるものが好ましい。
【0061】
保護用粒子の大きさは、特に限定されず、通常は平均粒子径0.1~30μmの範囲内とすれば良く、特に1~20μmとすることが好ましく、さらには2~10μmとすることが好ましい。従って、例えば3~10μmに設定することもできる。保護用粒子の平均粒子径が0.1μm未満である場合は、十分なクッション性が得られず、PTP蓋材とPTP容器とをヒートシールする際に、PTP蓋材の白着色層の直下の基材層にクラックが発生してしまうことを抑えきれないことがある。保護用粒子の平均粒子径が30μmを超えると、保護層中に均一に粒子を分散しにくくなり、保護用粒子の分散状態の偏りが生じることによって、PTP蓋材とPTP容器とをヒートシールする際に、PTP蓋材の白着色層部分に対応する領域の基材層にクラックが発生してしまうことを抑えきれないおそれがある。
【0062】
なお、平均粒子径の測定については、顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscopy)等)による観察を行い、20個程度のビーズ(粒子)を選定する。そして、ビーズの最長径DL(観察視野又はその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最長距離)及び最短径DS(観察視野又はその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最短距離)を求め、両者の平均値[(DL+DS)/2]を1つのビーズの直径Dとみなし、その算術平均値[(D+D+・・・+D)/n](nは約20以上の整数)をそのビーズの平均直径とする。
【0063】
また、保護用粒子の形状も限定されず、例えば略球状、略扁平状、不定形状等のいずれであっても良い。さらに、保護用粒子は、中実タイプであっても良いし、中空タイプであっても良い。
【0064】
保護層中の保護用粒子の量は、限定的ではないが、乾燥後重量で0.02~5g/mであることが好ましく、特に0.1~1g/mであることがより好ましい。保護用粒子の積層量が0.02g/m未満では十分なクッション性が得られず、PTP蓋材とPTP容器とをヒートシールする際に、PTP蓋材の白着色層部分のアルミニウム箔におけるクラックの発生を抑制できないおそれがある。また、保護用粒子の積層量が5g/mを超えると、白着色層上に文字図柄層を設けた場合にその視認性、バーコード読み取り性等が悪くなったり、保護用粒子が脱落しやすくなったりするおそれがある。
【0065】
保護層には、保護用粒子以外に、樹脂成分等を含んでいても良い。樹脂成分を採用することにより、樹脂成分を含むマトリックス中に保護用粒子が分散・固定された構造とすることができる。例えば、図2又は図4に示すように、樹脂成分を含むマトリックス16aに保護用粒子18が分散・固定された構造を有する保護層16を好適に採用することができる。
【0066】
樹脂成分としては、透明性樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、例えばニトロセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂等を好適に用いることができる。特に、保護層のマトリックスに含まれる樹脂成分としては、公知又は市販のニスに含まれる成分も好適に用いることができる。なお、マトリックス中における樹脂成分の含有量は、例えば80~100重量%の範囲内で適宜設定できるが、これに限定されない。
【0067】
また、保護層には、本発明の効果を損なわない範囲で、保護用粒子以外の顔料、着色剤等の各種の添加剤を含有させることもできる。
【0068】
保護層の厚みは、特に限定されず、所望のクッション性等に応じて適宜設定することができるが、通常は0.1~5μm程度の範囲内とし、特に1~3μmとすることが好ましい。ここでいう保護層の厚みは、保護用粒子が保護層表面から突出している場合は、その突出部が存在しない領域の厚みをいう。例えば、図4に示すように、厚みtが保護層16の厚みとなる。
【0069】
<保護層の形成方法>
保護層の形成方法は、例えば保護用粒子を含む塗工液を塗布し、乾燥する工程を含む方法によって実施することができる。
【0070】
塗工液は、保護用粒子と溶媒とを混合する方法のほか、保護用粒子、溶媒及び樹脂成分を混合する方法によって調製することができる。この場合、予め溶媒と樹脂成分とが混合された混合液も使用することができる。このような混合液として、公知又は市販のニス等も好適に用いることができる。
【0071】
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、イソプロピルアルコール、変性エタノール等のアルコール系溶剤等の有機溶剤を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0072】
樹脂成分としては、保護層のマトリックス樹脂に対応する樹脂成分を使用すれば良い。従って、本発明では、ニトロセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂等の少なくとも1種を好適に用いることができる。その他にも、本発明の効果を妨げない範囲内において、例えばポリビニルブチラール、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、変性オレフィン系樹脂等も使用することができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。また、本発明では、例えば公知又は市販のインキに含まれる有機バインダー成分を用いることもできる。
【0073】
また、塗工液中には、本発明の効果を妨げない範囲内で、例えば分散剤、界面活性剤、レベリング剤、表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤等の添加剤が含まれていても良い。
【0074】
塗工液中の保護用粒子の分散量は、形成された保護層中の保護用粒子の積載量が所定の範囲内となるように適宜設定すれば良い。すなわち、固形分が保護用粒子と樹脂成分となる場合は、樹脂成分との比率を調整しながら分散量を設定すれば良い。
【0075】
本発明では、これらの各成分を均一に混合することにより塗工液を調製することができる。混合に際しては、公知又は市販のニーダー、ミキサー等を使用することもできる。樹脂成分を用いる場合、樹脂成分は溶媒中に有機溶剤に溶解しても良いし、溶媒中に分散しても良い。
【0076】
塗工液を塗布する方法は、特に限定されず、例えばグラビアロールコーター、オフセット印刷、フレキソ印刷、UV印刷、カーテンフローコーター等の方法により塗布(積層)することができる。また、スプレー等による塗布も実施することができる。
【0077】
塗布した後は、塗膜を乾燥することによって白着色層を得ることができる。乾燥方法は、自然乾燥又は加熱乾燥のいずれであっても良い。加熱する場合は、例えば50~160℃程度とすれば良い。また、塗工に際し、本発明では、所定の厚みを得るために、上記の塗布及び乾燥を2回以上繰り返すこともできる。
【0078】
下地層
本発明では、必要に応じて基材層(アルミニウム箔)と白着色層との間に下地層を設けることができる。下地層を形成することにより、文字図柄層の識別性をより高めることができる。
【0079】
下地層は、透明又は半透明の樹脂成分をマトリックス樹脂とする層であることが好ましい。透明又は半透明の樹脂成分としては、例えばニトロセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0080】
下地層の厚みは、特に限定されないが、その機能を効果的に発揮させるためには、通常は0.1~2.0μm程度とすれば良い。
【0081】
<下地層の形成方法>
下地層の形成方法は、上記のような樹脂成分が有機溶媒に溶解又は分散した下地形成用塗工液を所定の表面上に塗布し、乾燥する工程を含む方法により実施することができる。
【0082】
下地形成用塗工液は、例えば樹脂成分及び溶媒を混合する方法によって調製することができる。
【0083】
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、イソプロピルアルコール、変性エタノール等のアルコール系溶剤等の有機溶剤を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0084】
樹脂成分としては、前記マトリックス樹脂となる樹脂成分を使用すれば良い。従って、本発明では、ニトロセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の少なくとも1種を好適に用いることができる。その他にも、本発明の効果を妨げない範囲内で、例えばポリビニルブチラール、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、変性オレフィン系樹脂等も使用することができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。また、本発明では、公知又は市販のインキに含まれる有機バインダー成分を用いることもできる。
【0085】
なお、塗工液中には、本発明の効果を妨げない範囲内で、例えば分散剤、界面活性剤、レベリング剤、表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤等の添加剤が含まれていても良い。
【0086】
本発明では、これらの各成分を均一に混合することにより塗工液を調製することができる。混合に際しては、公知又は市販のニーダー、ミキサー等を使用することもできる。この場合、樹脂成分は有機溶剤に溶解しても良いし、分散しても良い。
【0087】
塗工液における樹脂成分の固形分濃度は、用いる樹脂成分の種類等に応じて適宜設定できるが、通常は1~30重量%程度の範囲とすれば良い。
【0088】
塗工液による塗布から下地層の形成までは、前記の保護層を形成する場合に準じて実施することができる。
【0089】
熱接着層
熱接着層(ヒートシール層)は、特にPTP容器との接着に際し、基材層における白着色層が積層された面の反対面に形成することができる。これにより、本発明PTP蓋材とPTP容器とを熱接着し、内容物が密封されたPTPを製造することができる。
【0090】
熱接着層としては、特に限定されず、ヒートシール性樹脂として各種の熱可塑性樹脂を含む材料を採用することができる。熱接着層を構成する樹脂成分としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖線状ポリエチレン、飽和ポリエステル、線状飽和ポリエステル、無延伸ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタアクリル酸共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、アイオノマー、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性エチレン-酢酸ビニル、塩化ビニル、ポリスチレン等が挙げられる。また、これらは、市販品も使用することができる。例えば製品名「ボンダイン」住友化学工業株式会社製、製品名「メルセンM」東ソー株式会社製等の市販品も使用することができる。
【0091】
熱接着層の厚みは限定的でないが、通常1~100μm程度とすることが好ましく、特に2~50μmとすることがより好ましい。また、熱接着層の形成量は、乾燥後重量で1~30g/m程度とすることが好ましい。
【0092】
<熱接着層の形成方法>
熱接着層の形成方法としては、例えば1)樹脂成分を含む塗工液を塗布し、乾燥する工程を含む方法のほか、2)樹脂成分を用いて予め成形されたシーラントフィルムを積層する工程を含む方法等によって実施することができる。
【0093】
上記1)の方法において、塗工液としては、樹脂成分の溶液又は分散液に用いることができる。そのための溶媒としては、前記で示した各種の溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。この場合の乾燥後塗布量を2~15g/m2程度とすれば良い。
【0094】
塗布方法も、保護層等の形成と同様にすれば良く、例えばグラビアロールコーター、オフセット印刷、フレキソ印刷、UV印刷、カーテンフローコーター等の方法により塗布(積層)することができる。また、スプレー等による塗布も実施することができる。
【0095】
上記2)のシーラントフィルムとしては、例えばポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン(特に高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン(特に延伸ポリプロピレン)、塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。この場合における樹脂フィルムの厚みは9~50μm程度とすることが好ましい。これらのシーラントフィルム自体も市販品を使用することができる。
【0096】
文字図柄層
本発明において、必要に応じて、基材層又は白着色層の少なくとも一部には、例えば文字、バーコード、絵柄等を印刷した文字図柄層が設けられていても良い。これらの文字図柄層は、PTPに充填する内容物に関する情報、製造者名及び商品名、賞味期限、キャラクタープリント等のほか、市販のPTPで印刷されている内容がいずれも含まれる。
【0097】
<文字図柄層の形成方法>
文字図柄層は、公知の印刷インキを用いて公知の方法に従って設けることができる。例えばカーボンブラック等を着色剤(顔料)として含有した印刷インキをグラビア印刷法、フレキソ印刷法等により印刷することができる。
【0098】
2.プレススルーパック用蓋材の使用
本発明のPTP蓋材は、PTP容器の蓋材として使用することができる。図1に示すように、シート状のPTP蓋材10をシート状PTP容器の収容部を閉じるように接着することによりPTPが作製される。PTP容器としては、公知又は市販のPTPで採用されているものと同様の容器を用いることができる。
【0099】
図5には、本発明のPTP蓋材を用いて製造されたPTPの断面構成例を示す。PTP蓋材10は、最表面層から順に保護層16/文字図柄層15a/白着色層14/基材層12/文字図柄層15b/熱接着層17から構成されている。すなわち、基材層12、白着色層14及び保護層16の順に含む基本層構成に他の層がさらに追加されてPTP蓋材10が構成されている。
【0100】
PTP容器20において内容物が収容部22内に装填された後、そのシート状PTP容器20の収容部22を閉じるようにPTP蓋材10の熱接着層17を当接させて載置した後、加圧下でヒートシールすることにより、PTP蓋材10とPTP容器20とが接合されてPTP30が完成する。
【0101】
このヒートシール時にPTP蓋材10は一定の圧力を受けるが、保護層16がいわば圧力緩衝層として機能する結果、アルミニウム箔等の基材層12のクラック等を効果的に防止することができる。
【0102】
ヒートシール条件は、特に限定されず、公知のPTPの製法で採用されている条件を適宜採用することもできる。加熱温度は、通常140~300℃程度とし、好ましくは200~290℃とし、より好ましくは250~290℃とする。圧力は、通常0.1~0.5MPa程度とし、好ましくは0.25~0.45MPaとする。また、時間(加熱・加圧時間)は、0.1~5秒程度とする。
【0103】
PTP容器は、通常は塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン等)の樹脂フィルムを容器状(ポケット)に成形したものを用いることができる。この場合の樹脂フィルムの厚みは限定的ではないが、特に0.05~2mm程度とすることが好ましい。
【0104】
PTP容器は、公知又は市販のものを使用することができる。また、公知の製法で製造されたものであっても良い。例えばプレス機を用いた方法(張り出し成形、深絞り成形等)のほか、プレス機を使用しない方法(真空成形、圧空成形等)によって樹脂フィルムを成形してPTP容器を作製することができる。これらの成形は、冷間成形又は熱間成形のいずれであっても良いし、両者を併用しても良い。
【0105】
PTPに装填される内容物は特に限定されず、公知のPTP包装体あるいはブリスターパックに充填・装填されている内容物をそのまま適用することができる。内容物の性状も限定的でなく、固形物(固体)、液体等のいずれでも良いが、特に固形物であることが望ましい。例えば、薬剤(錠剤、カプセル剤等の医薬品)、食品(加工食品、菓子類等)、電子部品、医療器具(コンタクトレンズ等)、芳香剤、洗浄剤等が挙げられる。
【実施例
【0106】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0107】
実施例1
厚み17μmのアルミニウム箔(1N30硬質材、東洋アルミニウム株式会社製)のツヤ面上に白インキ(マトリックス樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、固形分基準で酸化チタン35.8重量%含有したもの)を全面に塗工することにより白着色層を形成した。白インキの塗工条件は、グラビア版を用いてグラビア印刷により乾燥後厚み約0.5μmとなるように設定した。
次いで、白着色層の上に、緑インキ(マトリックス樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、固形分基準で24重量%含有したもの)を用い、グラビア版を用いてグラビア印刷により乾燥後厚み約1.5μmとなるように文字図柄層を設けた。
その後、ポリメタクリル酸メチルとスチレンの共重合化合物であるアクリル系樹脂ビーズ(平均粒子径:5μm、熱分解により形状が崩壊する温度:約250℃)を固形分基準で19.8重量%を含む保護層用ニス(調製ニス中固形分26.4重量%)を調製し、白インキを覆うようにグラビア版を用いて保護層(マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂、塗布量:乾燥後重量で2.1g/m)を設け、表面の実体温度約180℃で乾燥時間約5秒の条件で乾燥させた。これにより、白インキ上に0.41g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした。なお、アクリル系樹脂ビーズは、ほぼ球状で、ほとんど透明であった。
続いて、アルミニウム箔のケシ面(前記文字図柄層と反対側の面)に、緑インキ(マトリックス樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、固形分基準で24重量%含有したもの)を用い、グラビア版を用いてグラビア印刷により乾燥後厚み約0.8μmとなるよう文字図柄層を設けた。
次に、塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合樹脂を主成分とする熱接着剤をグラビアコートにより乾燥後重量で5.5g/mとなるよう積層し、塗膜を表面の実体温度約150℃で乾燥時間約4秒の条件で乾燥して熱接着層とした。
このようにして、熱接着層/文字図柄層/アルミニウム箔/白着色層/文字図柄層/保護層が順に積層されたPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEM(電界放出形走査電子顕微鏡)により1000倍の倍率で観察した結果を図6に示す。図6から明らかなように、アクリル系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることがわかる。
【0108】
実施例2
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス(調製ニス中固形分21.8重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で12.0重量%として白インキ上に0.26g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にアクリル系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0109】
実施例3
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のビーズをアクリル系樹脂ビーズからメラミン系樹脂ビーズ(平均粒子径3μm、形状が崩壊する温度:約300℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分21.8重量%)中のメラミン系樹脂ビーズ含有量を固形分基準で12.0重量%として白インキ上に0.27g/mのメラミン系樹脂ビーズが積層された状態とし、熱接着層/文字図柄層/アルミニウム箔/白着色層/文字図柄層/保護層が順に積層された構造とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にメラミン系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0110】
実施例4
保護層用ニス中のビーズとしてアクリル系樹脂ビーズからメラミン系樹脂ビーズ(平均粒子径3μm、形状が崩壊する温度:約300℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分26.4重量%)中のメラミン系樹脂ビーズ含有量を固形分基準で19.8重量%として白着色層上に0.53g/mのメラミン系樹脂ビーズが積層された状態とし、熱接着層/文字図柄層/アルミニウム箔/白着色層/文字図柄層/保護層が順に積層された構造とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にメラミン系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0111】
実施例5
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径8μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分21.8重量%)中のアクリル系樹脂ビーズ含有量を固形分基準で12.0重量%として白インキ上に0.28g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察した結果を図7に示す。図7から明らかなように、アクリル系樹脂ビーズによる略球状凸部が確認され、実施例1よりも大きな略球状凸部も複数形成されていることがわかる。
【0112】
実施例6
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径6μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分21.8重量%)中のアクリル系樹脂ビーズ含有量を固形分基準で12.0重量%として白インキ上に0.28g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5と同様にアクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0113】
実施例7
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径6μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分32.1重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で12.0重量%として白インキ上に0.38g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5の場合と同様、アクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0114】
実施例8
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径6μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分30.4重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で6.7重量%として白インキ上に0.21g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5の場合と同様、アクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0115】
実施例9
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径8μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分30.4重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で6.7重量%として白インキ上に0.20g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5の場合と同様、アクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0116】
実施例10
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス(調製ニス中固形分30.4重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で6.7重量%として白インキ上に0.19g/mのアクリルビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にアクリル系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0117】
実施例11
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径4μmのシリカビーズ(融点1260℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分26.4重量%)中のシリカ粒子の含有量を固形分基準で6.7重量%として白インキ上に0.19g/mのシリカビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にシリカビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0118】
実施例12
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径6μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分29.4重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で3.5重量%として白インキ上に0.11g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5の場合と同様、アクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0119】
実施例13
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径8μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分29.4重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で3.5重量%として白インキ上に0.10g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5の場合と同様、アクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0120】
実施例14
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス(調製ニス中固形分29.4重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で3.5重量%として白インキ上に0.10g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1の場合と同様にアクリル系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0121】
実施例15
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径4μmのシリカビーズ(融点1260℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分27.3重量%)中のシリカ粒子の含有量を固形分基準で3.5重量%として白インキ上に0.10g/mのシリカビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にシリカビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0122】
実施例16
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径6μmのものに代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分28.6重量%)中のアクリル系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で0.6重量%として白インキ上に0.02g/mのアクリル系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例5の場合と同様にアクリル系樹脂ビーズによる比較的大きな略球状凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0123】
実施例17
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のビーズをアクリル系樹脂ビーズからメラミン系樹脂ビーズ(平均粒子径3μm、融点:345℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分17.6重量%)中のメラミン系樹脂ビーズの含有量を固形分基準で0.9重量%として白インキ上に0.02g/mのメラミン系樹脂ビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にメラミン系樹脂ビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0124】
実施例18
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径4μmのシリカビーズ(融点1260℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分28.3重量%)中のシリカ粒子の含有量を固形分基準で0.7重量%として白インキ上に0.02g/mのシリカビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、実施例1と同様にシリカビーズによる略球状の凸部が複数形成されていることが確認できた。
【0125】
比較例1
マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含み、かつ、ビーズを含まない保護層用ニス(調製ニス中固形分22.1重量%)を用い、乾燥後重量で2g/m塗布した以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察した結果を図8に示す。図8に示すように、保護層表面はほぼ平滑な状態であった。
【0126】
比較例2
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径8μmのポリエチレン(PE)ビーズ(融点105℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分23.0重量%)中のポリエチレンビーズの含有量を固形分基準で6.7重量%として白インキ上に0.17g/mのポリエチレンビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察した結果を図9に示す。図9に示すように、保護層表面は凹部状の窪みが形成されていた。これは、ポリエチレンビーズを含有する塗膜を乾燥するに際してポリエチレンビーズの一部が溶融したことが示唆される。
【0127】
比較例3
白インキの酸化チタン含有量を固形分基準で51.2重量%とし、保護層用ニス中のアクリル系樹脂ビーズを平均粒子径8μmのポリエチレン(PE)ビーズ(融点105℃)に代え、保護層用ニス(調製ニス中固形分25.3重量%)中のポリエチレンビーズの含有量を固形分基準で3.5重量%として白インキ上に0.09g/mのポリエチレンビーズが積層された状態とした以外は、実施例1と同様にしてPTP蓋材を作製した。得られたPTP蓋材の保護層表面を斜め方向からFE-SEMにより1000倍の倍率で観察したところ、比較例2と同様、保護層表面は凹部状の窪みが形成されていた。
【0128】
試験例1
CKD株式会社製ブリスター包装機「FBP-600E」を用いて、各実施例及び比較例で作製されたPTP蓋材と、塩化ビニル樹脂製のPTP容器材としてのシート(住友ベークライト株式会社製「VSS-F110」、シート厚み:200μm)とをヒートシールした。
ヒートシールの温度は260~280℃、シール圧力は0.3~0.4MPa、ショット速度を300ショット/分(シート速度約14m/分)とした。加熱ロールには、1辺0.8mmの正方形が格子状に整列するように、網目模様の凸条が施されている。その加熱ロールを用いて、図5に示すような層構成をもつPTP(包装体)30を作製した。PTP30は、幅200mm×長さ3000mmにカットして試験片とした。
得られた試験片について、暗所で光度1000ルクスの白LEDライトを光源として熱接着層側を光にあてるようにしてPTP蓋材を光にかざし、その裏面から目視にて光が透過した穴をアルミニウム箔におけるクラック発生によるピンホールとみなして、その穴の数をカウントした。表1に各温度及び圧力下におけるクラックの発生数を示す。
【0129】
【表1】
【0130】
表1の結果からも明らかなように、アルミニウム箔を含有する基材層の少なくとも表面の一部に酸化チタンを含有する白着色層が備えられており、白着色層の表面を覆うように、アクリル系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ及びシリカビーズの少なくとも1種を含む粒子を含有する保護層が設けられたPTP蓋材を用いることにより、PTP容器とシールする際にクラックの発生を効果的に抑制できることがわかる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9