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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】可視光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20230711BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20230711BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20230711BHJP
   H04B 10/116 20130101ALI20230711BHJP
   H04B 10/40 20130101ALI20230711BHJP
【FI】
H01L31/02 B
H01L31/02 D
H01L31/12 Z
H04B10/116
H04B10/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018212979
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020080373
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193389
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 智利
(72)【発明者】
【氏名】角田 博一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正人
(72)【発明者】
【氏名】木本 颯、
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博
(72)【発明者】
【氏名】浦邊 秀樹
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-139677(JP,A)
【文献】特開2011-009802(JP,A)
【文献】特表2007-533239(JP,A)
【文献】特開平10-135915(JP,A)
【文献】特開2000-076590(JP,A)
【文献】特開2009-231804(JP,A)
【文献】特開平07-240712(JP,A)
【文献】特開2006-067500(JP,A)
【文献】特表2014-525717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0234268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/0392
H01L 31/08-31/173
H04B 10/00-10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ、発光素子を有する送信基板、および、受光素子を有する受信基板を備え、外部の通信対象と通信を行う可視光通信システムであって、
前記受光素子は前記レンズの焦点位置に実装され、
前記送信基板は
前記受信基板と前記レンズの間に配置され、
送信基板開口部を有し、
前記発光素子は前記レンズの焦点位置の周囲に実装され、
前記受光素子は前記レンズを通る光を、前記送信基板開口部を通して受光し、
前記送信基板は、前記発光素子による光を、前記レンズを通して送信することを特徴とする、可視光通信システム。
【請求項2】
前記発光素子は前記レンズの焦点位置方向に傾けて実装されることを特徴とする、請求項1に記載の可視光通信システム。
【請求項3】
前記送信基板開口部は前記送信基板に設けられた穴であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の可視光通信システム。
【請求項4】
前記送信基板は複数の送信基板副部を有し、複数の前記送信基板副部の間に前記送信基板開口部が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の可視光通信システム。
【請求項5】
レンズ、発光素子を有する送信基板、および、受光素子を有する受信基板を備え、外部の通信対象と通信を行う可視光通信システムであって、
前記発光素子が前記レンズの焦点位置に実装され、
前記受信基板は、
前記送信基板と前記レンズの間に配置され、
受信基板開口部を有し、
前記受光素子が前記レンズの焦点位置の周囲に実装され
前記発光素子は前記レンズを通る光を、前記受信基板開口部を通して送信し、
前記受信基板は、前記レンズを通る光を前記受光素子により受信することを特徴とする、可視光通信システム。
【請求項6】
移動体に搭載するための移動体接続端子および可視光システム固定部を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の可視光通信システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の可視光通信システムを備えた移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光域の光を用いて通信を行う、可視光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光通信システムにおいては、送信・受信ともに別々の独立した2系統の光学レンズが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6247411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学レンズを共通のものとするため、ハーフミラー等を用いた光学系の送受共用装置があるが(引用文献1)、ハーフミラーを用いるために、コスト、重量の観点から不利であった。
そこで、本発明は、光学系を2系統使用せず低コストで同等の性能を実現可能とする可視光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る可視光通信システムは、レンズ、発光素子を有する送信基板、および、受光素子を有する受信基板を備え、外部の通信対象と通信を行う可視光通信システムであって、前記受光素子は前記レンズの焦点位置に実装され、前記送信基板は送信基板開口部を有し、前記発光素子は前記レンズの焦点位置の周囲に実装されることを特徴とする、可視光通信システムである。
本構成により、送信用レンズが不要になり装置の小型化・低廉化が期待できる。特に大口径レンズを用いた長距離通信システムに用いる場合、光学系の削減はコストメリットが非常に高い。

本発明の請求項2に係る可視光通信システムは、前記発光素子は前記レンズの焦点位置方向に傾けて実装されることを特徴とする、請求項1に記載の可視光通信システムである。
本構成により、発光素子による光がより効率的に送信される。

本発明の請求項3に係る可視光通信システムは、前記送信基板開口部は前記送信基板に設けられた穴であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の可視光通信システムである。

本発明の請求項4に係る可視光通信システムは、前記送信基板は複数の送信基板副部を有し、複数の前記送信基板副部の間に前記送信基板開口部が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の可視光通信システムである。
本構成により、送信基板に穴を設けることなく、複数の送信基板副部を実装するだけで、送信基板開口部を形成することができる。

本発明の請求項5に係る可視光通信システムは、前記発光素子が前記レンズの焦点位置に実装され、前記受光素子が前記レンズの焦点位置の周囲に実装されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の可視光通信システムである。
本構成により、高価な発光素子を用いる場合に、単一の発光素子で可視光通信システムを形成することができ、コストを抑えることができる。

本発明の請求項6に係る可視光通信システムは、移動体に搭載するための移動体接続端子および可視光システム固定部を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の可視光通信システムである。

本発明の請求項7に係る可視光通信システムは、請求項1ないし6のいずれかに記載の可視光通信システムを備えた移動体。
本構成により、小型化された可視光通信システムで軽量化が図られるため、移動体において有利である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図2】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図3】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図4】本発明の一実施例における可視光通信システムの送信基板の構成を示す。
図5】本発明の一実施例における可視光通信システムの送信基板の構成を示す。
図6】本発明の一実施例における可視光通信システムの送信基板の構成を示す。
図7】本発明の一実施例における可視光通信システムの送信基板の構成を示す。
図8】本発明の一実施例における可視光通信システムの送信基板の構成を示す。
図9】本発明の一実施例における可視光通信システムの送信基板の構成を示す。
図10】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図11】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図12】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図13】本発明の一実施例における可視光通信システムを搭載した移動体の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1および図2は、本発明の一実施例における、可視光通信システムの構成例を示す。
可視光通信システム100は、レンズ200、発光素子300を有する送信基板400、および、受光素子500を有する受信基板600を備え、外部の通信対象と通信を行う。
【0008】
受光素子500はレンズ200の焦点位置に実装されている。
送信基板400は送信基板開口部410を有し、発光素子300はレンズ200の焦点位置の周囲に実装される。
【0009】
本構成により、従来は送信用レンズおよび受信用レンズの2つのレンズが必要であったところ、送信用レンズが不要になり装置の小型化・低廉化が期待できる。特に大口径レンズを用いた長距離通信システムに用いる場合には、高価な大口径レンズが不要となり、コストを削減するとともに、軽量化を図ることも可能となる。
また、図2に記載のように、受信基板600と送信基板400との間に、放熱板420を有する構成とすることもできる。これにより、受光素子500や発光素子300に対して効率的に放熱を行うことができる。
【0010】
図3は、本発明の一実施例における、可視光通信システム100の構成例を示す。
本実施例においては、発光素子300はレンズ200の焦点位置方向に傾けて実装されている。この構成により、発光素子300による光が、レンズ200を通してより効率的に送信される。本実施例では、開口傾斜部411に配置された発光素子300が、受光素子500に近いため、受光素子の周囲に受光素子用遮蔽板610を設けているが、発光素子300と受光素子500の位置関係によっては、受光素子用遮蔽板610を用いない構成とすることもできる。
本実施例においては、送信基板400における開口部410において、レンズ200の焦点位置方向へ傾斜した開口傾斜部411を有する。これに代えて、送信基板400は開口傾斜部を有さない構成とし、発光素子300の台座を傾斜させる構成としてもよい。
【0011】
図4図5は、本発明の一実施例における、送信基板を示す。
本実施例において、送信基板開口部410は送信基板400に設けられた円形の穴であり、レンズ200の焦点位置の周囲に、複数の発光素子300が円の周囲に等間隔に配置されている。
発光素子300は、図4では4つであるが、図5では3つであり、それ以外の複数の発光素子300でも、単一の発光素子300でもよい。回路の設計上、等間隔に配置しないものとしてもよく、この場合、発光素子300の強度を均一にする代わりに、発光素子300の光の送信方向や配置場所に応じて、発光素子300の強度を個々に設定してもよい。
【0012】
図6は、本発明の一実施例における、送信基板を示す。
本実施例において、送信基板開口部410は送信基板400に設けられた正方形の穴であり、レンズ200の焦点位置の周囲に、4つの発光素子300が等間隔に配置されている。
送信基板開口部410の形状は、円形や正方形以外に、楕円形、長方形や多角形など、回路の設計などに応じて選択することができる。
また、送信基板開口部410は穴である必要はない。つまり、例えば図7に示すように、送信基板400はコの字状であり、その中央に開口を有するものとしてもよい。
【0013】
図8は、本発明の一実施例における、送信基板を示す。
本実施例において、送信基板400は2つの送信基板副部401、402から構成され、複数の送信基板副部(401、402)の間に送信基板開口部410が形成されている。個々の送信基板副部(401、402)は、それぞれ2つの発光素子300を有する。
本構成により、送信基板400に穴を設けることなく、複数の送信基板副部401、402を実装するだけで、送信基板開口部410を形成することができる。
【0014】
図9は、本発明の一実施例における、送信基板を示す。
本実施例において、送信基板400は4つの送信基板副部(403、404、405、406)から構成され、複数の送信基板副部(403、404、405、406)の間に送信基板開口部410が形成されている。そして、個々の送信基板副部(403、404、405、406)は、それぞれ1つの発光素子300を有している。
送信基板副部(403、404、405、406)には、例えば、既成の、発光素子300を有する発光ユニットを用いることができる。この場合、送信基板400に穴を設けることなく、また、別途、複数の送信基板副部を製造する必要なく、複数の発光ユニットを実装するだけで、送信基板開口部(403、404、405、406)を形成することができる。
【0015】
以上の例においては、受光素子500がレンズ200の焦点位置に、受光素子500が焦点位置の周囲に配置されているため、受信信号の精度は100%であるのに対し、送信信号の精度は受信信号の精度に比べると例えば70%程度となる可能性がある。このため、例えば各センサからの信号を受信することがメインであり、必要に応じて各センサに信号を送信するような機器など、可視光信号の受信機能を主として利用し、発信機能を従として利用する場合にも、利用できる。
【0016】
図10は、本発明の一実施例における、可視光通信システム100の構成例を示す。
本実施例においては、発光素子300がレンズ200の焦点位置に実装され、受光素子500がレンズ200の焦点位置の周囲に実装されている。この場合、図1に示される例における受信基板600、送信基板400送信基板開口部410を、それぞれ、送信基板、受信基板、送信基板開口部として形成することもできる。
本構成により、高価な発光素子300を用いる場合に、単一の発光素子300で可視光通信システム固定部100を形成することができ、コストを抑えることができる。
【0017】
本構成においては、発光素子300がレンズ200の焦点位置に、受光素子500が焦点位置の周囲に配置されているため、送信信号の精度は100%であるのに対し、受信信号の精度は送信信号の精度に比べると例えば70%程度となる可能性がある。このため、例えば通常は通信のハブとなる親機に測定信号を送信するのがメインであり、必要に応じて親機から信号を受信するようなセンサなど、可視光信号の発信機能を主として利用し、受信機能を従として利用する場合にも、利用できる。
別の実施例として、送信性能、つまり、発光性能が重視される場合には、発光素子300を中心に配置する構成を採用し、受信性能、つまり、受光性能が重視される場合には、受光素子500を中心に配置する構成を採用することができる。
【0018】
図11は、本発明の一実施例における、可視光通信システム100の構成例を示す。本実施例においては、監視カメラ711とモニタ712において、光通信が用いられている。
一般に、監視カメラ711からモニタシステム710へ送信されるデータ量は、モニタシステム710から監視カメラ711へ送信されるデータ量より多く、有線回線などであれば太い回線が必要であり、無線回線などであれば広い帯域が必要である。
本実施例においても、矢印Mで示される、監視カメラ711からモニタシステム710へ送信されるデータ量は、矢印Sで示される、モニタシステム710から監視カメラ711へ送信されるデータ量より多く、例えば10倍から1000倍、またはそれ以上である。
監視カメラ711からは主にデータの送信が行われるため、発光素子300を中心に配置する構成を採用している。他方、モニタシステム710では主にデータの受信が行われるため、受光素子500を中心に配置する構成を採用している。
【0019】
図12は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の構成例を示し、図13は、本発明の一実施例における、可視光通信システム100を搭載した移動体の構成例を示す。
本実施例において、可視光通信システム100は、移動体に搭載するための移動体接続端子101および可視光システム通信固定部(102、103)を有し、移動体接続端子101は移動体720に接続され、可視光通信システム100は可視光システム固定部(102、103)により移動体720に固定されている。
【0020】
可視光通信システム固定部100を備えた移動体は、例えば車両であり、車両の左右前方に2つ、後方に1つの可視光通信システム100を有する。これにより、前方、左右、後方のいずれとも通信を行うことができる。
本実施例においては、可視光通信システム100が小型化され軽量化が図られているため、車両自体も軽量化できる。
【0021】
本発明は以上の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施例を含むことは言うまでもない。
例えば、霧など光通信が困難となる状況に備えて、電波通信システムを別途設け、可視光通信システムと電波通信システムを併用する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0022】
100 可視光通信システム
101 可視光通信システム固定部
102 可視光通信システム固定部
103 可視光通信システム固定部
110 送信主型可視光通信システム
120 受信主型可視光通信システム
200 レンズ
300 発光素子
400 送信基板
401 送信基板副部
402 送信基板副部
403 送信基板副部
404 送信基板副部
405 送信基板副部
406 送信基板副部
410 送信基板開口部
411 開口傾斜部
420 放熱板
500 受光素子
600 受信基板
610 受信基板開口部
620 受光素子用遮蔽板
710 モニタシステム
711 監視カメラ
712 モニタ
720 移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13