(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】空調設備
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20230711BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20230711BHJP
F24F 3/044 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F1/0022
F24F3/044
F24F13/20 202
(21)【出願番号】P 2019047676
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 雅司
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-144335(JP,A)
【文献】特開2005-241171(JP,A)
【文献】特開2009-058141(JP,A)
【文献】実開平03-067928(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/0022
F24F 3/044
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一室及び第二室を有して室外に設置された室外ケーシングと、
前記第一室に設置された第一熱交換器、圧縮機及び膨張弁と、前記第二室に設置されて該第二室内を第一空間及び第二空間に区画する第二熱交換器と、を有する冷凍サイクルと、
を備える室外ユニットと、
室内に設置された室内ケーシング、及び、該室内ケーシング内に設けられて該室内ケーシング内の空気を前記室内に送風可能なファンを有する送風ユニットと、
前記室内と前記第一空間とを接続する第一配管と、
前記第二空間と、前記室内ケーシング内とを接続する第二配管と、
を備え
、
前記ファンは、軸線に沿って延びるとともに該軸線回りに回転するシロッコファンであり、
前記室内ケーシングは、該室内ケーシング内の空間を、前記シロッコファンをまたいで前記軸線方向に区画する仕切板をさらに有し、
前記送風ユニットは、前記室内ケーシングに形成された導入口を通じて導入された前記室内の空気を前記第一配管に導く第三配管をさらに有し、
該仕切板を基準として前記軸線方向一方側に位置する送風空間には前記第二配管が接続され、前記軸線方向他方側に位置する導入空間には前記第三配管が接続されている空調設備。
【請求項2】
前記室外ケーシングは、前記第二室と前記室外とを連通する換気孔と、該換気孔の連通状態を変化させるダンパと、をさらに有する請求項1に記載の空調設備。
【請求項3】
前記送風ユニットは、前記ファンから前記室内への空気の流れ方向を調節するフラップをさらに有する請求項1又は2に記載の空調設備。
【請求項4】
前記室内に配置され、前記第一配管に接続された副送風ユニットをさらに備え、
冷房運転時には前記送風ユニットは前記第二空間内の空気を前記室内に送風するとともに、前記副送風ユニットは前記室内の空気を前記第一空間に供給し、暖房運転時には前記送風ユニットは前記室内の空気を前記第二空間に供給するとともに、前記副送風ユニットは前記第一空間内の空気を前記室内に送風する請求項1から
3のいずれか一項に記載の空調設備。
【請求項5】
前記副送風ユニットは、前記室内における前記送風ユニットよりも下方に配置されている請求項
4に記載の空調設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エアコン等の空調機(空調設備)は、室内機と室外機とを備えている。室内機は、室内熱交換器と、送風用のファンとを有し、室外機は、室外熱交換機と、圧縮機と、キャピラリチューブ等の減圧機構と、四方弁と、を有している。圧縮機、減圧機構、室内熱交換器、及び室外熱交換器は、冷媒が充填された配管で互いに接続されており、四方弁を動作させることによって冷媒の流通方向が変化する。これにより、冷房運転と暖房運転とが切り換えられる。
【0003】
ところで、近年では空調機の高効率化に加えて、フィルターの自動清掃機能等を含む多機能化が進められている。これに伴って、室内機の寸法体格が大きくなる傾向にある。室内機が大型化すると、設置に当たって大きなスペースが必要になるのみならず、生活空間に与える圧迫感も高まってしまう。そこで、室内熱交換器とファンとを室外機内に収める構成が従来提唱されている(例えば下記特許文献1参照)。特許文献1に記載された装置では、室外機内に2つの熱交換器(熱源側熱交換器、利用側熱交換器)と、これら2つの熱交換器にそれぞれ対向する2つのファンとが設けられている。2つのファンは、単一の両軸モータによって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された空調機では、利用側熱交換器に対応するファンまでもが室外機内に設けられ、かつ単一の両軸モータによって他方のファンと同時かつ同回転数で運転されるようになっている。このため、室内側に向かう風の流量(風量)を精緻にコントロールすることができず、快適性に制約が生じてしまう。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、室内機の小型化と快適性の確保とを両立することが可能な空調設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、空調設備は、第一室及び第二室を有して室外に設置された室外ケーシングと、前記第一室に設置された第一熱交換器、圧縮機及び膨張弁と、前記第二室に設置されて該第二室内を第一空間及び第二空間に区画する第二熱交換器と、を有する冷凍サイクルと、を備える室外ユニットと、室内に設置された室内ケーシング、及び、該室内ケーシング内に設けられて該室内ケーシング内の空気を前記室内に送風可能なファンを有する送風ユニットと、前記室内と前記第一空間とを接続する第一配管と、前記第二空間と、前記室内ケーシング内とを接続する第二配管と、を備え、前記ファンは、軸線に沿って延びるとともに該軸線回りに回転するシロッコファンであり、前記室内ケーシングは、該室内ケーシング内の空間を、前記シロッコファンをまたいで前記軸線方向に区画する仕切板をさらに有し、前記送風ユニットは、前記室内ケーシングに形成された導入口を通じて導入された前記室内の空気を前記第一配管に導く第三配管をさらに有し、該仕切板を基準として前記軸線方向一方側に位置する送風空間には前記第二配管が接続され、前記軸線方向他方側に位置する導入空間には前記第三配管が接続されている。
【0008】
この構成によれば、冷凍サイクルの各要素(第一熱交換器、圧縮機、膨張弁、及び第二熱交換器)が室外ユニットに収容されている。したがって、室内に配置される送風ユニットの寸法体格を小さくすることができる。さらに、室内に送風するためのファンは送風ユニットに設けられている。したがって、ファンの回転数を調節することによって送風の強さ(風量)をより容易かつ精緻にコントロールすることができる。一方で、ファンが室外ユニット内に配置されている場合、たとえ当該ファンの回転数を変化させても、送風が室内に到達するまでに風量や温度が変わってしまう。このため、利用者にとっての快適性が損なわれてしまう可能性がある。上記の構成によればこのような可能性を低減することができる。加えて、上記の構成では、冷凍サイクルが室外ユニット内で完結しているため、冷媒を室内で取り扱うことなく、装置の据付やメンテナンスを行うことができる。これにより、装置の安全性をさらに高めることもできる。
また、室内ケーシング内の空間が、仕切板によってシロッコファンをまたいで軸線方向に区画されている。軸線方向一方側の空間である送風区間には、室外ユニットの第二室から延びる第二配管が接続されている。第二配管から供給された空気は、シロッコファンによって室内に供給される。一方で、軸線方向他方側の空間である導入空間には、室内ケーシングに形成された導入口を通じて導入された室内の空気が流れ込む。この室内の空気は、第三配管を経て第一配管に導かれる。このように、上記の構成によれば、導入空間と導入口とが設けられていることによって、室内の空気を積極的に室外ユニットに供給することができる。その結果、室内の温度(送風の温度)をより早期に所望の値に変化させることができる。加えて、上記の構成によれば、導入空間を通じた空気の取り込みと、送風空間からの送風とを単一のシロッコファンで同時に行うことができる。即ち、他の装置を別個に設けることなく、室内の空気を積極的に室外ユニットに供給することができる。これにより、部品点数が削減され、装置のコストを下げることができる。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、前記室外ケーシングは、前記第二室と前記室外とを連通する換気孔と、該換気孔の連通状態を変化させるダンパと、をさらに有してもよい。
【0010】
この構成によれば、室外ケーシングに換気孔とダンパとが設けられている。換気孔は室外ケーシングの第二室と室外とを連通していることから、室外から取り込まれた空気を、第二熱交換器を経ることなく第二配管及び送風ユニットを通じて直接室内に供給することができる。即ち、上記の構成によれば、冷凍サイクルによる温度調節を経ていない常温の空気を室内に供給することができる。これにより、利用者の要求に沿った自然な温度環境(室内環境)を提供することができる。
【0011】
本発明の第三の態様によれば、前記送風ユニットは、前記ファンから前記室内への空気の流れ方向を調節するフラップをさらに有してもよい。
【0012】
この構成によれば、フラップの姿勢を変化させることによって、室内への送風の方向を精緻に調節することができる。これにより、室内における特定の領域のみに送風したり、反対に、風を当てたくない領域への送風を避けたりすることができる。その結果、室内の快適性をさらに向上させることができる。
【0015】
本発明の第四の態様によれば、空調設備は、前記室内に配置され、前記第一配管に接続された副送風ユニットをさらに備え、冷房運転時には前記送風ユニットは前記第二空間内の空気を前記室内に送風するとともに、前記副送風ユニットは前記室内の空気を前記第一空間に供給し、暖房運転時には前記送風ユニットは前記室内の空気を前記第二空間に供給するとともに、前記副送風ユニットは前記第一空間内の空気を前記室内に送風してもよい。
【0016】
この構成によれば、空調設備が、送風ユニットとは独立した副送風ユニットを備えている。これにより、例えば冷房運転時には送風ユニットを専ら室内への送風用として用いることができるとともに、副送風ユニットを専ら室外ユニットへの空気の導入用として用いることができる。他方で、暖房運転時には、送風ユニットを専ら室外ユニットへの空気の導入用として用いることができるとともに、副送風ユニットを専ら室内への送風用として用いることができる。このように、室内への送風の風量を十分に確保することができ、かつ室外ユニットへの空気の導入量も十分に確保することができる。
【0017】
本発明の第五の態様によれば、前記副送風ユニットは、前記室内における前記送風ユニットよりも下方に配置されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、副送風ユニットは送風ユニットよりも下方に設置されている。したがって、例えば暖房運転時には、室内の床面に近い位置から送風を行うとともに、それよりも高い位置(例えば天井付近)から室外ユニットに空気を導入することができる。他方で、冷房運転時には、室内の床面に近い位置から空気を導入するとともに、それよりも高い位置(例えば天井付近)から送風を行うことができる。ここで、高温の空気は上方に移動する傾向にあり、低温の空気は下方に滞留する傾向にあることが知られている。上記の構成によれば、暖房運転時には副送風ユニットによって床面付近に積極的に送風されることからより高い暖房効果を得ることができる。さらに、冷房運転時には送風ユニットによって天井付近に積極的に送風されることからより高い冷房効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、室内機の小型化と快適性の確保とを両立することが可能な空調設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る空調設備の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る空調設備の冷凍サイクルを示す図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る空調設備の構成を示す模式図である
【
図6】本発明の第三実施形態に係る空調設備の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、
図1と
図2を参照して説明する。本実施形態に係る空調設備100は、室内の温度を調節するために用いられる。
図1に示すように、空調設備100は、建物の室外に配置される室外ユニット1と、室内に配置される送風ユニット2と、室外ユニット1と室内とを接続する第一配管3と、室外ユニット1と送風ユニット2とを接続する第二配管4と、を備えている。
【0022】
室外ユニット1は、室外ケーシング11と、当該室外ケーシング11内に収容された冷凍サイクル20と、を有している。室外ケーシング11は方形の箱状をなしており、その内部には冷凍サイクル20の各機器を収容するための空間が形成されている。この空間は、隔壁30によって2つに区画されている。隔壁30は、地面と平行に広がる板状をなしている。室外ケーシング11内においてこの隔壁30よりも下方の空間は第一室R1とされ、隔壁30よりも上方の空間は第二室R2とされている。本実施形態では第一室R1と第二室R2とは互いに同等の容積を有している。
【0023】
室外ケーシング11の一部には、上記の第二室R2と室外とを連通する換気孔12が形成されている。換気孔12はダンパ13を開閉することによって連通状態が変化する。
【0024】
冷凍サイクル20は、第一熱交換器21と、圧縮機22と、膨張弁23と、第二熱交換器24と、室外ファン25と、四方弁26と、を有している。第一熱交換器21、圧縮機22、膨張弁23、四方弁26、及び室外ファン25は、上記の第一室R1内に配置されている。第一熱交換器21、圧縮機22、膨張弁23、及び四方弁26は後述する冷媒回路(配管)によって接続されている。室外ファン25は、室外の空気を取り込んで第一熱交換器21に向かって送風する。
【0025】
第二熱交換器24は、上記の第二室R2内に配置されている。第二熱交換器24は、第二室R2内において鉛直方向に対して傾斜した姿勢で配置されている。本実施形態では、建物の壁Wに近付くに従って上方に向かうように配置されている。第二室R2内において、第二熱交換器24よりも下方の空間は第一空間V1とされ、上方の空間は第二空間V2とされている。第一空間V1は、第一配管3を介して室内と接続されている。第二空間V2は、第二配管4を通じて送風ユニット2と接続されている。第一配管3、及び第二配管4は、建物の壁Wを貫通している。
【0026】
次に、
図2を参照して冷凍サイクル20の動作について説明する。まず、圧縮機22は、冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を冷媒回路に供給する。第一熱交換器21は、冷媒と、室外ファン25によって第一室R1に取り込まれた室外の空気との間で熱交換を行う。膨張弁23は、凝縮器で熱交換をすることで液化した高圧の冷媒を膨張させて低圧化する。第一熱交換器21は、冷房運転時には、凝縮器として用いられ室外へ放熱し、暖房運転時には、蒸発器として用いられ室外から吸熱する。
【0027】
第二熱交換器24は、冷媒と、第一配管3を通じて第二室R2に取り込まれた室内の空気との間で熱交換を行う。第二熱交換器24は、冷房運転時には蒸発器として用いられ第二室R2の空気の熱を吸熱し、暖房運転時には凝縮器として用いられ第二室R2内の空気に放熱する。四方弁26は、暖房運転時と冷房運転時とで冷媒の流通する方向を切り替える。これにより、冷房運転時には、冷媒が、圧縮機22、第一熱交換器21、膨張弁23及び第二熱交換器24の順に循環する。一方、暖房運転時には、冷媒が、圧縮機22、第二熱交換器24、膨張弁23及び第一熱交換器21の順に循環する。
【0028】
再び
図1を参照して送風ユニット2の構成について説明する。送風ユニット2は、室内ケーシング51と、シロッコファン52(ファン)と、を有している。室内ケーシング51は、室内における比較的に高い位置(例えば天井付近)に配置されている。室内ケーシング51の内部には、シロッコファン52が収容されている。シロッコファン52は、水平方向に延びる軸線Acを中心とする略円柱状をなしている。軸線Ac回りに回転駆動されることで、シロッコファン52は、外周側の一部から空気を取り込んで圧縮し、直径方向における反対側に向かって空気を吹き出すことができる(送風可能である)。より具体的には、上述の第二配管4を通じて室外ユニット1の第二空間V2から導入された空気がシロッコファン52によって室内に送られる。
【0029】
本実施形態では、室内ケーシング51内に、シロッコファン52の下半を水平方向両側から覆うリアガイダ53、及びスタビライザ54が設けられている。これらリアガイダ53、及びスタビライザ54によって、シロッコファン52に対する空気の吸入方向と、シロッコファン52からの空気の吹き出し方向とが規定される。
【0030】
さらに、室内ケーシング51の送風口55には、フラップ56が設けられている。フラップ56は、送風口55を覆う程度の面積を有する板状をなしている。フラップ56は、水平方向に延びる回転軸Ar回りに回動可能とされている。フラップ56の姿勢(回動角度)を変化させることで、送風口55から吹き出される風の向きを調節することができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る空調設備100の動作について説明する。空調設備100を冷房運転する際には、上記の第二熱交換器24が蒸発器として動作する。第一配管3を通じて第一空間V1内に取り込まれた空気は、この第二熱交換器24に接触することで低温となり、第二空間V2及び第二配管4を経て送風ユニット2に向かって流れ、シロッコファン52によって室内に送風される。
【0032】
一方で、空調設備100を暖房運転する際には、第二熱交換器24は凝縮器として動作する。第一配管3を通じて第一空間V1内に取り込まれた空気は、この第二熱交換器24に接触することで高温となり、第二空間V2及び第二配管4を経て送風ユニット2に向かって流れ、シロッコファン52によって室内に送風される。
【0033】
さらに、冷凍サイクル20を停止した状態で、上述のダンパ13を開放することによって、換気孔12から室外の空気を取り込み、第二空間V2、第二配管4を経てシロッコファン52によって室内に送風のみを行うこともできる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る構成では、冷凍サイクル20の各要素(第一熱交換器21、圧縮機22、膨張弁23、及び第二熱交換器24)が室外ユニット1に収容されている。さらに、室内に送風するためのシロッコファン52は送風ユニット2に設けられている。したがって、室内に配置される送風ユニット2の寸法体格を小さくすることができる。さらに、シロッコファン52の回転数を調節することによって送風の強さ(風量)をより容易かつ精緻にコントロールすることもできる。
【0035】
一方で、シロッコファン52が室外ユニット1内に配置されている場合、たとえ当該ファンの回転数を変化させても、送風が室内に到達するまでに風量や温度が変わってしまう。このため、利用者にとっての快適性が損なわれてしまう可能性がある。上記の構成によればこのような可能性を低減することができる。加えて、上記の構成では、冷凍サイクル20が室外ユニット1内で完結しているため、冷媒を室内で取り扱うことなく、装置の据付やメンテナンスを行うことができる。これにより、装置の安全性をさらに高めることもできる。
【0036】
さらに、上記の構成によれば、室外ケーシング11に換気孔12とダンパ13とが設けられている。換気孔12は室外ケーシング11の第二室R2と室外とを連通していることから、室外から取り込まれた空気を、第二熱交換器24を経ることなく第二配管4及び送風ユニット2を通じて直接室内に供給することができる。即ち、上記の構成によれば、冷凍サイクル20による温度調節を経ていない常温の空気を室内に供給することができる。これにより、利用者の要求に沿った自然な温度環境(室内環境)を提供することができる。
【0037】
加えて、上記の構成によれば、室内ケーシング51に設けられたフラップ56の姿勢を変化させることによって、室内への送風の方向を精緻に調節することができる。これにより、室内における特定の領域のみに送風したり、反対に、風を当てたくない領域への送風を避けたりすることができる。その結果、室内の快適性をさらに向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば上記実施形態では、送風ユニット2がファンとしてシロッコファン52を有している例について説明した。しかしながら、ファンの態様は上記に限定されず、他の例としてクロスフローファンを含む他の形態のものを適用することも可能である。
【0039】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、
図3から
図5を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態では、送風ユニット2は、第一配管3と室内ケーシング51とを接続する第三配管5をさらに有している。さらに、
図4に示すように、室内ケーシング51の内部は、仕切板Sによって2つに区画されている。より具体的には、仕切板Sは、シロッコファン52の軸線Ac方向に室内ケーシング51の内部を区画している。また、仕切板Sには、シロッコファン52を駆動するためのモータ6が取り付けられている。
【0040】
仕切板Sを基準として軸線Ac方向一方側の空間は導入空間62とされている。この導入空間62には、室内ケーシング51の上部に形成された導入口63を通じて導入された室内の空気が流れ込む。
図5に示すように、導入空間62に導入された室内の空気は、シロッコファン52によって圧送されて、上記の第三配管5に流れ込む。第三配管5に流れ込んだ空気は、第一配管3を経て室外ユニット1の第一空間V1に到達する。即ち、導入空間62は、シロッコファン52の動作によって室内の空気を室外ユニット1(第一空間V1)に導入するために設けられている。
【0041】
一方で、仕切板Sを基準として軸線Ac方向他方側の空間は送風空間61とされている。この送風空間61は、上記の第一配管3を通じて室外ユニット1の第二空間V2と連通されている。即ち、例えば冷房運転時には、第二空間V2内で熱交換された低温の空気が送風空間61を経て室内に供給される。
【0042】
上記の構成によれば、室内ケーシング51内の空間が、仕切板Sによってシロッコファン52をまたいで軸線Ac方向に区画されている。軸線Ac方向一方側の空間である導入空間62には、室内ケーシング51に形成された導入口63を通じて導入された室内の空気が流れ込む。この室内の空気は、第三配管5を経て第一配管3に導かれる。一方で、軸線Ac方向他方側の空間である送風空間61には、室外ユニット1の第二室R2から延びる第二配管4が接続されている。第二配管4から供給された空気は、シロッコファン52によって室内に供給される。
【0043】
このように、上記の構成によれば、室内ケーシング51に導入空間62と導入口63とが設けられていることによって、室内の空気を積極的に室外ユニット1に供給することができる。その結果、室内の温度(送風の温度)をより早期に所望の値に変化させることができる。加えて、上記の構成によれば、導入空間62を通じた空気の取り込みと、送風空間61からの送風とを単一のシロッコファン52で同時に行うことができる。即ち、他の装置を別個に設けることなく、室内の空気を積極的に室外ユニット1に供給することができる。これにより、部品点数が削減され、装置のコストを下げることができる。
【0044】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば上記実施形態では、送風ユニット2がファンとしてシロッコファン52を有している例について説明した。しかしながら、ファンの態様は上記に限定されず、他の例としてクロスフローファンを含む他の形態のものを適用することも可能である。
【0045】
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について、
図6を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態では、空調設備100は、上記の送風ユニット2とは別に、副送風ユニット2Bをさらに備えている。副送風ユニット2Bは、室内における送風ユニット2よりも下方に配置されている。より具体的には、副送風ユニット2Bは、室内の床面付近に配置されることが望ましい。副送風ユニット2Bは、送風ユニット2と同様に、他のシロッコファン52Bを内部に有している。送風ユニット2のシロッコファン52と、副送風ユニット2Bのシロッコファン52Bは、上述の四方弁26の動作と連動して、冷房運転時と暖房運転時とで回転方向が逆転するように制御される。具体的には、冷房運転時には上述の送風ユニット2は、室外ケーシング11の第二空間V2内の空気を室内に供給し、副送風ユニット2Bは室内の空気を、第一配管3を通じて第一空間V1に供給する(
図6中の実線矢印を参照)。一方で、暖房運転時には、送風ユニット2は室内の空気を、第二配管4を通じて第二空間V2に供給し、副送風ユニット2Bは、第一空間V1内の空気を、第一配管3を通じて室内に供給する(
図6中の鎖線矢印を参照)。
【0046】
上記の構成によれば、空調設備100が、送風ユニット2とは独立した副送風ユニット2Bを備えている。これにより、例えば冷房運転時には送風ユニット2を専ら室内への送風用として用いることができるとともに、副送風ユニット2Bを専ら室外ユニット1への空気の導入用として用いることができる。他方で、暖房運転時には、送風ユニット2を専ら室外ユニット1への空気の導入用として用いることができるとともに、副送風ユニット2Bを専ら室内への送風用として用いることができる。このように、室内への送風の風量を十分に確保することができ、かつ室外ユニット1への空気の導入量も十分に確保することができる。
【0047】
さらに、上記の構成によれば、副送風ユニット2Bは送風ユニット2よりも下方(床面付近)に設置されている。したがって、例えば暖房運転時には、室内の床面に近い位置から送風を行うとともに、それよりも高い位置(例えば天井付近)から室外ユニット1に空気を導入することができる。他方で、冷房運転時には、室内の床面に近い位置から空気を導入するとともに、それよりも高い位置(例えば天井付近)から送風を行うことができる。ここで、高温の空気は上方に移動する傾向にあり、低温の空気は下方に滞留する傾向にあることが知られている。上記の構成によれば、暖房運転時には副送風ユニット2Bによって床面付近に積極的に送風されることからより高い暖房効果を得ることができる。さらに、冷房運転時には送風ユニット2によって天井付近に積極的に送風されることからより高い冷房効果を得ることができる。
【0048】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば上記実施形態では、送風ユニット2、及び副送風ユニット2Bがファンとしてシロッコファン52,52Bをそれぞれ有している例について説明した。しかしながら、ファンの態様は上記に限定されず、他の例としてクロスフローファンを含む他の形態のものを適用することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…室外ユニット
2…送風ユニット
3…第一配管
4…第二配管
5…第三配管
6…モータ
11…室外ケーシング
12…換気孔
13…ダンパ
20…冷凍サイクル
21…第一熱交換器
22…圧縮機
23…膨張弁
24…第二熱交換器
25…室外ファン
26…四方弁
30…隔壁
51…室内ケーシング
52…シロッコファン
53…リアガイダ
54…スタビライザ
55…送風口
56…フラップ
61…送風空間
62…導入空間
63…導入口
100…空調設備
2B…副送風ユニット
52B…シロッコファン
Ac…軸線
Ar…回転軸
R1…第一室
R2…第二室
S…仕切板
V1…第一空間
V2…第二空間
W…壁