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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】空気噴射式織機のサブノズル
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/30 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
D03D47/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019070571
(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020063546
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2018195242
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米島 芳之
(72)【発明者】
【氏名】小堀 裕一郎
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-200448(JP,A)
【文献】実開昭63-149978(JP,U)
【文献】特公昭60-032733(JP,B2)
【文献】特開2013-136846(JP,A)
【文献】特開2001-295159(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03739767(DE,A1)
【文献】特表2006-510813(JP,A)
【文献】特表2000-508391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 47/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開放されて圧縮空気の供給源に連結される筒状部と、該筒状部の他端側に形成されると共に噴射孔を有する扁平部であって互いに対向する前壁部及び後壁部を側壁部で繋ぐことで中空管状に形成されると共に前記側壁部によって先端部が閉塞された扁平部とで構成された空気噴射式織機のサブノズルにおいて、
前記扁平部における前記前壁部は、前記前壁部の外側面における前記先端部の側に形成された先端側平面部であって前記先端部に向かうにつれて前記後壁部側に近付くように傾斜する先端側平面部を有するように形成されており、
前記噴射孔は、前記先端側平面部と前記側壁部とに跨がるように形成されている
ことを特徴とする空気噴射式織機のサブノズル。
【請求項2】
前記噴射孔は、前記前壁部を正面から見て、中心の位置がサブノズルの中心軸線よりも筬側の位置となるように、且つ、側壁部の外側縁の内側に位置する内側面の部分との距離であって前記部分のうちの最も近い部分との距離が0.25mm以下となるように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気噴射式織機のサブノズル。
【請求項3】
前記噴射孔は、その内周面が内側面に向けて孔径を漸次拡径するように形成された部分であるテーパ部を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至2に記載の空気噴射式織機のサブノズル。
【請求項4】
前記噴射孔は、サブノズルの表面に開口した部分である開口部の面積全体に対する前記側壁部に開口した部分の面積の割合が3%~20%である
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の空気噴射式織機のサブノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端が開放されて圧縮空気の供給源に連結される筒状部と、該筒状部の他端側に形成されると共に噴射孔を有する扁平部であって互いに対向する前壁部及び後壁部を側壁部で繋ぐことで中空管状に形成されると共に前記側壁部によって先端部が閉塞された扁平部とで構成された空気噴射式織機のサブノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような空気噴射式織機のサブノズルの一例が、特許文献1に開示されている。また、この特許文献1に開示された空気噴射式織機のサブノズルは、緯糸の搬送力を向上させることを目的として、噴射孔の中心の位置がサブノズルの中心軸線に対する偏心した位置となるように噴射孔が形成された構成となっている。具体的には、特許文献1に開示された空気噴射式織機のサブノズルは、筬の緯糸案内溝内を飛走する緯糸と噴射孔との距離が従来の一般的な構成のサブノズルよりも短い距離となるように、噴射孔の中心の位置がサブノズルの中心軸線よりも筬側となるように形成された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-60492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の一般的な構成(以下、「一般構成」と言う)のサブノズルでは、所望の緯糸の搬送力を得ながら空気消費量を低減させることに限界があるという問題があった。
【0005】
詳しくは、前記一般構成は、噴射孔の形成される部分の肉厚が非常に薄く、その肉厚が0.5mm以下のものが一般的である。したがって、その前記一般構成では、噴射孔における軸線方向の長さが短く、噴射孔の直径に対する前記軸線方向の長さの割合が非常に小さくなっている。そのため、前記一般構成では、噴射孔から噴射される空気流の拡散の度合いが高くなり、供給される圧縮空気の圧力(以下、「供給圧力」と言う。)に対する緯糸の搬送力が小さいものとなっている。
【0006】
そのため、前記一般構成を採用した場合において、所望の緯糸の搬送力が得られるようにするためには、供給圧力を高める必要があり、その結果として、空気消費量が増加してしまう、言い換えれば、所望の緯糸の搬送力を得る上では空気消費量が増加せざるを得ない(低減できない)という問題があった。
【0007】
なお、その問題は、特許文献1に開示されたようなサブノズルの中心軸線に対して噴射孔の中心の位置を偏心させた構成(以下、「従来構成」と言う)であっても、噴射孔の形成される部分の肉厚が非常に薄いという点が前記一般構成と同じであるため、同じように発生する。
【0008】
そこで、本発明は、前記一般構成や前記従来構成と比べ、同じ供給圧力であってもより大きい緯糸の搬送力を得られるものとし、それにより、空気消費量を可及的に低減させることのできる空気噴射式織機のサブノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一端が開放されて圧縮空気の供給源に連結される筒状部と、該筒状部の他端側に形成されると共に噴射孔を有する扁平部であって互いに対向する前壁部及び後壁部を側壁部で繋ぐことで中空管状に形成されると共に前記側壁部によって先端部が閉塞された扁平部とで構成された空気噴式織機のサブノズルを前提とする。その上で、前記の目的を達成すべく、本発明は、その前提とする空気噴射式織機のサブノズルにおいて、前記扁平部における前記前壁部は、前記前壁部の外側面における前記先端部の側に形成された先端側平面部であって前記先端部に向かうにつれて前記後壁部側に近付くように傾斜する先端側平面部を有するように形成されており、前記噴射孔は、前記先端側平面部と前記側壁部とに跨がるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明で言う「先端側平面部」は、前壁部の外側面における前記先端部の側に形成された平面状の部分を指すが、その平面状の部分は、単に平面に形成されたものに限らず、曲面に形成されたものであってもよく、その曲面の曲率半径が扁平部における他の部分(側壁部等)のそれに比べて十分に大きい略平面に形成された部分が前記平面状の部分であり、その略平面が「先端側平面部」である。なお、その「先端側平面部」の範囲については、普通幾何公差における平面度を用いて定義することができる。具体的には、「先端側平面部」の範囲は、0.02mmの間隔をあけた平行な二平面の間に収まる範囲であり、所謂平面度の公差等級がH等級となる範囲である。
【0011】
また、本発明で言う「噴射孔」は、単一の孔によって形成されたものに限らず、噴射孔が形成されるべき領域に複数の孔を形成し、その複数の孔の集合によって構成されたものを含む。そして、その場合、噴射孔が形成された位置は、その複数の孔が形成された前記領域であり、その前記領域の中心の位置が噴射孔の中心の位置となる。
【0012】
また、本発明の空気噴射式織機のサブノズルにおいては、前記噴射孔は、前記前壁部を正面から見て、中心の位置がサブノズルの中心軸線よりも筬側の位置となるように、且つ、前記側壁部の外側縁の内側に位置する内側面の部分である内側縁との距離であって前記内側縁のうちの最も近い部分との距離が0.25mm以下となるように形成されていてもよい。
【0013】
また、本発明の空気噴射式織機のサブノズルにおいては、前記噴射孔は、その内周面が内側面に向けて孔径を漸次拡径するように形成された部分であるテーパ部を有するように形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明の空気噴射式織機のサブノズルにおいては、前記噴射孔は、サブノズルの表面に開口した部分である開口部の面積全体に対する前記側壁部に開口した部分の面積の割合が3%~20%であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空気噴射式織機のサブノズルによれば、噴射孔が前記先端側平面部と前記側壁部とに跨がるように形成されているため、前記一般構成や前記従来構成と比べ、同じ供給圧力に対する緯糸の搬送力が向上する。
【0016】
詳しくは、前記のようにサブノズルの側壁部は前壁部と後壁部とを繋ぐ部分であることから、前壁部における先端側平面部の肉厚方向とその先端側平面部に繋がる側壁部の部分の肉厚方向とは異なっている。また、サブノズルの噴射孔は、前壁部における前記先端側平面部が形成されている部分の肉厚方向を基準として(軸線の方向とその肉厚方向とを一致させて、あるいは概ね一致させて)形成される。したがって、そのように形成される噴射孔の軸線は、側壁部の前記部分の肉厚方向に対しては、前壁部の前記部分の肉厚方向に対し為す角度よりも大きく角度を為している。そこで、そのような噴射孔を先端側平面部と側壁部とに跨がるように形成すると、その噴射孔は、側壁部に対しては前記のように大きく角度を為した状態で形成された状態となる。
【0017】
それにより、その噴射孔における先端側平面部に開口した部分の軸線方向における長さは従来と同様にサブノズル(前壁部の前記部分)の肉厚とほぼ同じであるが、側壁部に開口した部分における軸線方向の長さはサブノズル(側壁部の前記部分)の肉厚よりも長くなる。したがって、そのような噴射孔によれば、前記一般構成や前記従来構成と比べ、一部ではあるが噴射孔の軸線方向における寸法が拡大されたものとなるため、噴射孔から噴射される空気流の集束性が高まり、同じ供給圧力に対する緯糸の搬送力が向上する。そして、その結果として、供給圧力をより低い圧力として所定の緯糸搬送力を得ることが可能となり、空気消費量を可及的に低減させることができる。
【0018】
また、本発明の空気噴射式織機のサブノズルにおいて、噴射孔を前記距離が0.25mm以下となる位置に形成することにより、その噴射孔における側壁部に開口した部分がより多いかたちとなるため、その噴射孔は、その軸線方向における長さがサブノズルの肉厚よりも長い部分がより多いものとなる。それにより、前述した緯糸の搬送力を向上するという効果を得ることがより高い程度で実現され、より効果的に空気消費量を低減させることができる。
【0019】
また、噴射孔を、前記のようなテーパ部を有するように形成することにより、前記外側面側へ向けて漸次縮径される前記テーパ部を空気流が通過するのに伴ってその空気流の流速が増速される。それにより、筬の緯糸案内溝内を飛走する緯糸の位置における前記流速も増速されるので、噴射孔が前記のようなテーパ部を有さない構成と比べ、同じ供給圧力に対する緯糸の搬送力が向上し、空気消費量を低減させることができる。
【0020】
また、前記側壁部に開口した部分の面積の割合が3%~20%となるように噴射孔を形成することにより、噴射孔の孔径の大きさに関係なく、その噴射孔における側壁部に開口した部分の割合が所定の割合となる。それにより、前述した空気消費量を低減させることができるという効果を得ることが、サブノズルの構成に関係なく、常に所望の程度で実現される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明が適用される空気噴射式織機の正面図である。
図2図1のA矢視図である。
図3】本発明の空気噴射式織機におけるサブノズルの正面図である。
図4図3の側面図である。
図5図3のB部拡大図である。
図6図5のD-D断面図である。
図7】本発明の空気噴射式織機のサブノズルについて、サブノズルから噴射される圧縮空気の風速と最短距離Cとの関係を示すグラフであり、(a)は噴射孔の外側開口部の孔径が1.6mm、(b)はその孔径が1.7mmの場合である。
図8】本発明の空気噴射式織機のサブノズルについて、サブノズルから噴射される圧縮空気の風速と噴射孔の面積割合との関係を示すグラフである。
図9】本発明の空気噴射式織機におけるサブノズルの別の実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明のサブノズルが適用される空気噴射式織機は、緯入れ用のメインノズル1、及びメインノズル1から打ち出された緯糸の飛走を助勢すべく緯糸の飛走経路にそって複数配置されたサブノズル2を備えている。また、その空気噴射式織機は、緯入れされた緯糸を織布の織前に対し筬打ちする筬3を備えている。
【0023】
その筬3は、所謂変形筬であって、凹部を有する変形の筬羽4を多数枚列設させたかたちで構成されている。その変形筬3について、それ自体は周知の構成であるため厳密な説明は省略するが、各筬羽4は、長手方向における略中央部に凹部が形成されている。その上で、各筬羽4が多数枚列設されると共に上下のリードチャンネル5、6で一体化されることで、その変形筬3が構成されている。そして、変形筬3は、そのように多数枚の筬羽4が列設されることで、各筬羽4の凹部により形成された緯糸案内溝7を有している。
【0024】
そして、変形筬3は、織機上においては、下側のリードチャンネル6においてリードホルダ8に取り付けられ、リードチャンネル5、6の長手方向(変形筬3の幅方向)が織機の幅方向(織幅方向)と一致するように設けられている。また、空気噴射式織機においては、メインノズル1もそのリードホルダ8に取り付けられており、そのメインノズル1は、リードホルダ8上において、変形筬3の給糸側に配置されている。
【0025】
また、各サブノズル2は、ノズルホルダ9に取り付けられると共に、そのノズルホルダ9がリードホルダ8に取り付けられることで、変形筬3に対する前方でリードホルダ8に対し固定的に配置されるかたちで設けられていている。なお、織機上(リードホルダ8上)において複数設けられるサブノズル2は、織幅方向(変形筬3の幅方向)において等間隔に配置されている。また、各サブノズル2は、その噴射孔10が緯糸案内溝7を向くように配置されている。
【0026】
次に、本発明の空気噴射式織機におけるサブノズル2の一実施例について、図3図6に基づいて説明する。
【0027】
サブノズル2は、全体として中空状の棒体であって、一端が開放された円筒状の筒状部11と、筒状部11の他端側に形成されて筒状部11の中心軸線14に沿って伸びる中空管状の扁平部12とを有するように構成されている。なお、以下の説明では、サブノズル2の筒状部11における中心軸線14を単に「中心軸線14」という。
【0028】
扁平部12は、筒状部11に対し、中心軸線14と直交する方向において両側から押し潰したような形状を成しており、その中心軸線14と直交する方向の断面形状が扁平な略長円形状を成すように形成されている。また、その扁平部12は、中心軸線方向における反筒状部側の端部が閉塞されており、その閉塞された部分が先端部となっている。
【0029】
その扁平部12は、より詳しくは、内側面15及び外側面16が平面状に形成された後壁部17と、その後壁部17に対向すると共に後壁部17と同様に内側面15及び外側面16が平面状に形成された前壁部18とを有する。そして、扁平部12は、その後壁部17と前壁部18とが筒状部11側を除く周囲を側壁部19によって繋がれるかたちで形成されている。
【0030】
それらのうち、後壁部17は、その内側面15及び外側面16のそれぞれがサブノズル2の中心軸線14と略平行な方向に延在する単一の平面となっている。すなわち、内側面15及び外側面16が単一の平面で形成されている部分が後壁部17である。
【0031】
また、前壁部18は、後壁部17の幅方向と平行な方向に見て、先端部側において後壁部17側に僅かに屈曲するように形成されている。したがって、前壁部18は、その外側面16が、筒状部11側の第1の平面部20と、第1の平面部20よりも先端部側の第2の平面部21であって第1の平面部20に対し傾斜する第2の平面部21とを有するように形成されている。但し、第1の平面部20は、前述した後壁部17と略平行な平面となっている。また、第2の平面部21は、サブノズル2の先端部側へ向かうにつれて後壁部17側へ近づく平面となっている。なお、前壁部18において、その内側面15は、その外側に位置する第1の平面部20及び第2の平面部21と略平行に形成されており、その肉厚は、全体に亘って略一様となっている。
【0032】
また、側壁部19は、前述のように、後壁部17の周囲と前壁部18の周囲とを繋ぐ部分である。より詳しくは、側壁部19は、前記幅方向の両側のそれぞれにおいて後壁部17の側端と前壁部18の側端とを繋ぐ部分(側端部分)、及び、中心軸線方向における先端部側において後壁部17の先端と前壁部18の先端とを繋ぐ部分(先端部分22)で形成されている。そして、その各部分はいずれも、その内側面15及び外側面16が外側へ膨出する略円弧形状を成すように形成されている。なお、本実施例では、中心軸線方向において、後壁部17は、その先端縁(先端部側の縁)の位置が前壁部18の先端縁24よりも筒状部11側に位置するように形成されている。したがって、先端部分22は、その両先端縁を繋ぐべく、後壁部17側へ延びるように形成されている。
【0033】
また、その側壁部19において、先端部分22は、経糸の捌きを良くする目的で、正面から見て(前壁部18の第1の平面部20と正対するかたちで見て)、外側縁23が円弧形状を成すように形成されている。さらに、その外側縁23の内側に位置する内側面15の部分である内側縁29も、同様の略円弧形状に形成されている。
【0034】
そして、前壁部18は、前記正面から見て、その側壁部19の先端部分22の形状に合わせ、その先端縁24が略円弧形状を成すように形成されている。但し、前壁部18は、前記正面から見て、その先端縁24が側壁部19の内側縁29よりも内側に位置するように形成されている。なお、側壁部19は、前壁部18及び後壁部17を繋ぐと共に、前記のようにその内側面15及び外側面16が外側に膨出する略円弧形状を成すように形成されている。したがって、その側壁部19における各部分の肉厚の方向は、前壁部18における第2の平面部21が形成されている部分の肉厚の方向とは異なっている。
【0035】
因みに、以上で説明した本実施例のサブノズル2において、筒状部11と扁平部12との間の部分は、前記のように断面形状が異なる筒状部11と扁平部12とを繋ぐかたちで内側面15及び外側面16が中心軸線14の方向に対して傾斜する傾斜部25となっている。すなわち、本実施例のサブノズル2は、筒状部11と扁平部12との間に、そのように形成された傾斜部25を有している。
【0036】
以上で説明した空気噴射式織機のサブノズル2において、扁平部12における前壁部18側に噴射孔10が形成されている。その上で、本実施例では、その噴射孔10は、先端部分22側で第2の平面部21と側壁部19とに跨がるように形成されている。そして、本実施例では、第2の平面部21が本発明の先端側平面部となっている。以下では、そのように噴射孔10が形成される本発明のサブノズル2について、その一例を本実施例の構成として、噴射孔10を主体として説明する。また、以下の説明において、「上流側」とは、噴射孔10の軸線26の方向(以下、単に「軸線方向」とも言う。)における内側面15側を指し、「下流側」とは、軸線方向における外側面16側を指す。
【0037】
先ず、本実施例のサブノズル2では、噴射孔10は、その軸線26の方向を前壁部18における第2の平面部21が形成されている部分(噴射孔形成部分)の肉厚の方向に概ね一致させた単一の孔によって形成されている。具体的には、本実施例のサブノズル2における噴射孔10は、その軸線26の方向が噴射孔形成部分の肉厚の方向に対して僅かに角度を為すように形成されている。但し、本発明においては、噴射孔10の軸線26の方向については、10°程度の範囲内で噴射孔形成部分の肉厚の方向に対し角度を為している場合でも、噴射孔形成部分の肉厚の方向に対し概ね一致していると見なすこととする。
【0038】
また、その噴射孔10は、外側面16側の部分であって内周面34がその軸線26と平行に形成された部分であるストレート部27と、そのストレート部27よりも内側面15側の部分であってその内周面34が内側面15に向けて孔径を漸次拡径するように形成された部分であるテーパ部28とから成るように形成されている。したがって、外側面16に開口する噴射孔10の孔径と内側面15に開口する噴射孔10の孔径とは異なっており、内側面15側(上流側)の孔径の方が大きくなっている。
【0039】
その上で、噴射孔10は、サブノズル2の先端部側において、ストレート部27が第2の平面部21と側壁部19とに跨がるように形成されている。具体的には、本実施例のサブノズル2における噴射孔10は、前記正面から見て、ストレート部27がサブノズル2の外側面16において第2の平面部21と側壁部19における先端部分22とに跨がる位置に開口するように形成されている。また、その噴射孔10は、テーパ部28の上流側端でサブノズル2の内側面15に開口するが、その内側面15に開口する部分である内側開口部30と側壁部19における先端部分22の内側縁29との位置関係において、両者の最も近い部分の間隔(距離)が0.05mmとなるように形成されている。
【0040】
また、その噴射孔10は、前記正面から見て、その孔の中心の位置が中心軸線14よりも変形筬3側の位置となるように形成されている。より詳しくは、サブノズル2は、前記のように噴射孔10を変形筬3における緯糸案内溝7に向けた状態で織機上(リードホルダ8上)に配置されるが、その向きは、サブノズル2と正対する緯糸案内溝7の位置よりも反給糸側へ噴射孔10が指向する向きとされる。その上で、その噴射孔10は、前記のように織機上に配置されたサブノズル2を前記正面から見て、ストレート部27の外側面16に開口する部分である外側開口部31における、内側縁29と平行な先端部分22の外側縁23に対し最も近い部分が、中心軸線14よりも変形筬3側に位置するように形成されている。
【0041】
さらに、その噴射孔10において、ストレート部27は、サブノズル2を前記正面から見たときの前記最も近い部分から中心軸線14側へ延びる直線(仮想線32)であって外側開口部31の中心33を通る直線と中心軸線14との交点までの前記最も近い部分からの距離よりもその半径が小さい(図示の例では略1/2)孔に形成されている。より具体的には、本実施例のサブノズル2では、その外側開口部31の半径が0.8mm(孔径が1.6mm)となるように噴射孔10が形成されている。したがって、その噴射孔10は、サブノズル2を前記正面から見て、その孔(外側開口部31)の中心33の位置が中心軸線14よりも変形筬3側に位置するように形成されたものとなっている。
【0042】
そして、そのように噴射孔10が形成されたサブノズル2では、前記のように噴射孔10の軸線26の方向が噴射孔形成部分の肉厚の方向に概ね一致していることから、噴射孔10は、その軸線26が側壁部19における先端部分22の肉厚の方向に対して角度を為した状態となっている。それにより、噴射孔10は、その側壁部19に穿設された部分の内周面34の軸線方向における長さが噴射孔形成部分に穿設された部分の内周面34の軸線方向における長さよりも長いかたちとなる。すなわち、前記のように形成された本実施例のサブノズル2における噴射孔10は、第2の平面部のみに開口するように形成された場合の噴射孔と比べ、その内周面34において、軸線方向における長さが長い部分を含むように形成されたものとなっている。
【0043】
しかも、その噴射孔10は、前記のように上流側がテーパ部28となるように形成されている。それにより、前記の噴射孔10における側壁部19に穿設された部分の内周面34の軸線方向の長さは、噴射孔がそのようなテーパ部を有していない場合と比べ、より長いものとなる。より詳しくは、噴射孔10は、前記のように、その軸線26の方向が側壁部19の肉厚の方向に対しては角度を為すものとなっている。そのため、噴射孔10における側壁部19に穿設された部分では、その上流側がテーパ部28となるように形成されることに伴い、噴射孔がそのようなテーパ部を有していない場合と比べ、その内側開口部30の軸線方向における位置がより上流側の位置となる。したがって、その噴射孔10における側壁部19に穿設された部分の内周面34の軸線方向の長さは、噴射孔がそのようなテーパ部を有していない場合と比べ、より長いものとなる。
【0044】
以上で説明した空気噴射式織機のサブノズル2によれば、前記のように外側開口部31が第2の平面部21と側壁部19とに跨がる配置となるように噴射孔10が形成されている結果として、その噴射孔10は、外側開口部が第2の平面部のみに開口するように形成された噴射孔と比べ、その内周面34の一部が軸線方向において長く形成されたものとなる。しかも、本実施例では、その噴射孔10は前記のように上流側がテーパ部28となるように形成されているので、噴射孔10における側壁部19に穿設された部分の内周面34の軸線方向における長さは前記のようにより長いものとなっている。それにより、噴射孔10から噴射される空気流の集束性が高まるので、サブノズル2に供給する圧縮空気の圧力を高めることなくより大きい緯糸の搬送力を得ることができる。言い換えれば、そのサブノズル2によれば、より低い圧力の圧縮空気によって所望の搬送力を得ることができる。したがって、緯入れのための空気消費量を低減することができる。
【0045】
また、本実施例のサブノズル2では、前記のようにテーパ部28の内側面15に開口する部分である内側開口部30と側壁部19における先端部分22の内側縁29とがその最も近い部分において0.05mmの距離となるように噴射孔10が形成されており、それにより、前記した緯糸の搬送力を向上させるという効果を、より高い程度で実現することができる。より詳しくは、以下の通り。
【0046】
図7は、本発明に基づいて噴射孔10が形成されたサブノズル2について、緯糸の搬送力に大きく関連するサブノズル2から噴射される圧縮空気の風速と、前記最も近い部分の距離(以下、「最短距離」と言う。)との関係を示すグラフであり、図7の(a)では、外側開口部31の孔径が1.6mmとなるように噴射孔10が形成された本実施例のサブノズル2について、その関係が示されている。なお、そのグラフでは、サブノズル2に供給される圧縮空気の圧力(供給圧力)を異なる2種類(0.3MPa、0.4MPa)に設定した場合のそれぞれについて示している。
【0047】
さらに、そのグラフにおいて、横軸は前記最短距離Cであるが、縦軸は、前記した風速そのものでは無く、風速比率をパラメータとして採用している。なお、その風速比率とは、同じ供給圧力において、比較用のサブノズルの噴射孔から噴射された空気流の流速(風速)を100とした場合の比率である。また、その風速は、変形筬3の緯糸案内溝7内における前記空気流が作用する領域内の所定の位置において測定されたものである。そして、この場合の比較用のサブノズルは、前記正面から見て、外側開口部の中心の位置が中心軸線上に位置し、且つ、外側開口部が第2の平面部(先端側平面部)のみに開口するように噴射孔が形成された所謂一般的な構成のサブノズルである。
【0048】
そして、図7の(a)のグラフから読み取れるように、最短距離Cが0.05mmとなるように噴射孔10が形成された本実施例のサブノズル2は、前記2種類のいずれの供給圧力の場合でも、その風速比率が110以上の値となる。すなわち、本実施例のサブノズル2は、最短距離Cが0.05mmとなるように噴射孔10が形成された構成により、その風速比率が10%大きくなる。したがって、本実施例のサブノズル2では、前記した緯糸の搬送力を向上させるという効果を、より高い程度で実現することができる。
【0049】
以上では、本発明による空気噴射式織機のサブノズル2の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う)について説明したが、本発明は前記実施例において説明したものに限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0050】
(1)前記実施例では、外側開口部の孔径が1.6mmとなるように噴射孔が形成されている。しかし、本発明のサブノズルは、外側開口部の孔径がそのように形成されたものに限らず、外側開口部が先端側平面部と側壁部とに跨がるように噴射孔が形成されたものであれば、外側開口部の孔径が前記実施例と異なる孔径となるように噴射孔が形成されたものであってもよい。
【0051】
(最短距離C)
(2)前記実施例では、サブノズルは、最短距離Cが0.05mmとなるように噴射孔が形成された構成となっている。しかし、本発明のサブノズルは、そのような構成のものに限らず、例えば、最短距離Cが0.25mm以下となるように噴射孔が形成されたものであってもよい。その構成の場合でも、前記した緯糸の搬送力を向上させるという効果を、高い程度で実現することができる。詳しくは、以下の通り。
【0052】
前記した図7(a)のグラフから理解されるように、供給圧力が0.3MPaおよび0.4MPaのいずれの場合にも、最短距離Cが小さいほど風速比率が大きくなるといった概ね逆比例的な傾向となっている。
【0053】
ところで、一般に、製織工場におけるエネルギー節約の一環として、空気噴射式織機においては空気消費量を削減することが求められている。そして、その削減量に関しては、風速比率を5%以上大きくすることが求められている。それを踏まえると、前記2種類のいずれの供給圧力の場合でも、最短距離Cが0.25mm以下であれば、風速比率が105よりも大きい値となるということが、その図7の(a)のグラフから読み取れる。
【0054】
また、図7の(b)は、外側開口部の半径が0.85mm(孔径が1.7mm)となるように噴射孔が形成された本発明のサブノズルについて、風速比率と最短距離Cとの関係を示すグラフであり、外側開口部の孔径が前記実施例の孔径とは異なるサブノズルについての前記関係を示している。なお、そのグラフでも、図7の(a)と同様に、供給圧力を異なる2種類(0.3MPa、0.4MPa)に設定した場合のそれぞれについて示している。
【0055】
そして、その図7の(b)のグラフにおいても、前記2種類のいずれの供給圧力の場合でも、最短距離Cが小さいほど風速比率が大きくなるといった概ね逆比例的な傾向となっており、また、最短距離Cが0.25mm以下であれば、風速比率が105よりも大きい値となるということがそのグラフから読み取れる。
【0056】
以上から理解されるように、本発明によるサブノズルにおいて、最短距離Cが0.25mm以下であれば、風速比率が105よりも大きい値となるということが図7の(a)および(b)のいずれのグラフからも読み取れる。すなわち、最短距離Cが0.25mm以下となるようにサブノズルの噴射孔を形成することで、外側開口部の孔径に関係なく、5%以上という前記した求められている割合で風速比率の向上を図ることが可能となる。したがって、そのサブノズルによれば、前記した緯糸の搬送力を向上させるという効果が、風速比率が5%以上向上するという高い程度で実現される。
【0057】
(3)以上では、本発明のサブノズルについて、その噴射孔が最短距離Cを基準とした配置で形成された例としてその構成を説明した。但し、前記のように本発明のサブノズルでは、その噴射孔における側壁部に穿設された部分の内周面の軸線方向における長さがより長いものとなることで前記のような効果が得られるものであり、その効果の程度は、その噴射孔における側壁部に穿設された部分の全体に対する割合(面積割合)に応じたものとなる。一方で、前記のように最短距離Cを基準とした配置で噴射孔が形成されている場合、前記面積割合は、最短距離Cが同じであっても、外側開口部の孔径によって異なることとなる。そこで、その孔径に関係なく所定の効果が得られるようにするために、本発明のサブノズルにおいては、噴射孔を形成するにあたり、面積割合を基準としてその配置を決定し、それに基づいてその噴射孔を形成するようにしてもよい。
【0058】
その上で、その面積割合が3%以上となるように噴射孔を形成することにより、そのサブノズルは、前記した緯糸の搬送力を向上させるという効果を、外側開口部の孔径に関係なく、常に高い程度で実現することができるものとなる。詳しくは、以下のとおり。
【0059】
図8は、本発明に基づいて噴射孔が形成されたサブノズルについて、風速比率と面積割合との関係を示すグラフであり、横軸のパラメータが面積割合である点が図7と異なっている。なお、図8のグラフでは、図7と同様に、サブノズルに供給される圧縮空気の圧力を2種類(0.3MPa、0.4MPa)に設定した場合のそれぞれについて示している。
【0060】
因みに、外側開口部の孔径が1.6mmとなるようにすると共に最短距離Cが0.05mmとなるように噴射孔が形成された前記実施例のサブノズルでは、前記した面積割合は7%である。そして、そのサブノズルでは、前記実施例でも説明したように風速比率が10%大きくなるが、当然ながら、面積割合(7%)で見てもそれと同じ風速比率となることは、図8のグラフから理解される通りである。すなわち、面積割合が7%となるように噴射孔が形成されたサブノズルでは、風速比率が10%大きくなる。
【0061】
その上で、空気噴射式織機における空気消費量の削減に関し、前記のように風速比率を5%以上大きくすることが求められていることを踏まえると、前記2種類のいずれの外側開口部の孔径の場合でも、面積割合が3%以上であれば、風速比率が105よりも大きい値となるということが、その図8のグラフから読み取れる。したがって、そのサブノズルによれば、前記した緯糸の搬送力を向上させるという効果が、外側開口部の穴径に関係なく、風速比率が5%以上向上するという高い程度で実現される。
【0062】
なお、噴射孔は、その面積割合が大きくなるのに伴い、側壁部の先端部分における内側縁により近接した配置で形成されるものとなる。そして、噴射孔は、その面積割合が20%を上回るようなものとなった場合に、その配置が側壁部の先端部分における内側縁に接近し過ぎた配置となり、その加工が困難なものとなる場合がある。そのため、噴射孔は、その加工の困難性を考慮すると、面積割合が20%以下であることが好ましい。
【0063】
(4)外側開口部が側壁部と先端側平面部とに跨がるように形成される噴射孔の配置について、前記実施例のサブノズルでは、噴射孔は、その外側開口部のうちの側壁部側の部分が側壁部における先端部分に開口するように形成されており、全体としてサブノズルの先端側に位置するように形成されている。しかし、本発明のサブノズルにおいては、噴射孔は、第1の平面部よりも先端部側に形成されていればよく、前記の側壁部側の部分が側壁部における先端部分に開口するように形成されていなくてもよい。
【0064】
すなわち、従来の一般的なサブノズルでも、噴射孔が形成される位置はサブノズルの先端側に限られておらず、そのサブノズルにおける先端部付近よりも筒状部11側に噴射孔が形成されているものもある。したがって、本発明のサブノズルにおいても、噴射孔が形成される位置は、前記実施例のようなサブノズルの先端側の位置に限らず、外側開口部のうちの側壁部側の部分が側壁部における先端部分よりも筒状部11側に開口するような位置であってもよい。
【0065】
(5)前記実施例では、噴射孔は、外側面側にストレート部を有するように形成されると共に、その上流側にテーパ部を有するように形成されている。しかし、本発明のサブノズルにおいては、噴射孔は、そのように上流側にテーパ部を有するように形成されたものに限らず、その軸線方向に亘ってストレート状に形成されていてもよい。そして、そのようなサブノズルでは、内側開口部の大きさは前記実施例のサブノズルにおけるそれとは異なるものとなるが、前記した最短距離Cは、その場合における内側開口部と側壁部の内側縁との間の最も近い部分の距離となる。
【0066】
また、噴射孔は、噴射孔の軸線方向に亘ってその内周面が内側面に向けて孔径を漸次拡径されるテーパ部として形成されたものであってもよい。そして、噴射孔がそのように形成されたサブノズルでは、前記実施例のようなストレート部を有するものと比べて、噴射孔の側壁部に穿設された部分の内周面の前記軸線方向における長さがより長いものとなる。
【0067】
但し、前記のように噴射孔における上流側の部分にテーパ部を有する構成の場合に、サブノズルの先端の肉厚が一様のままになっていると、そのテーパ部の拡径の度合いによっては、テーパ部の内周面とサブノズル先端の内側面との間に段差が生じる場合がある。そこで、そのような段差が生じる場合には、図9に示すように、その段部の生じるサブノズルの先端の内側の位置に、テーパ部の内周面とサブノズル先端の内側面とに連続する曲面状の斜面35を形成するようにしても良い。
【0068】
(6)前記実施例では、噴射孔は、前記正面から見て、サブノズルの表面に開口した部分である開口部が円形に形成されたものとなっているが、本発明のサブノズルにおいては、噴射孔は、開口部を円形以外の形状に形成されたものであってもよい。例えば、前述のように軸線方向に亘って内周面が内側面に向けて孔径を暫時拡径されるように形成されたサブノズルの場合に、その噴射孔は、前記正面から見て、その側壁部に穿設された部分における外側開口部の形状が円形以外の形状となり、そのような噴射孔を有するサブノズルも本発明のサブノズルである。
【0069】
また、本発明のサブノズルは、単一の孔が噴射孔として機能するものに限らず、例えば、噴射孔が形成されるべき領域に複数の孔が形成され、その複数の孔の集合が噴射孔として機能するように構成されたものであってもよい。その場合、サブノズルの表面において、その複数の孔の開口した領域は噴射孔における外側開口部に相当する領域となり、その領域の中心の位置が外側開口部の中心に相当する位置となる。また、そのようなサブノズルでは、その内側面において、その複数の孔の開口した領域が内側開口部に相当する領域となり、前記した最短距離Cは、その領域と側壁部の内側縁との間の最も近い部分の距離となる。
【0070】
(7)前記実施例では、前壁部は、外側面に筒状部側の第1の平面部と第1の平面部よりも先端部側の第2の平面部(先端側平面部)とを有するように形成されている。しかし、本発明の前提とするサブノズルにおいて、前壁部は、そのように形成されたものに限らない。例えば、前壁部は、第1の平面部に代えて、曲面状に形成された第1の面部を有するように形成されていてもよい。また、前壁部は、第1の平面部(第1の面部)を有さない構成であってもよく、サブノズルにおける先端部の側に先端側平面部のみが後壁部に対向するかたちで形成されていてもよい。
【0071】
(8)前記実施例では、側壁部は、その内側面および外側面が外側へ膨出する略円弧形状を為すように形成されている。しかし、本発明の前提とするサブノズルにおいて、側壁部は、そのように形成されたものに限らない。例えば、側壁部は、先端側平面部に連続する部分が先端側平面部に対して傾斜する平面となるように形成されていてもよい。その場合でも、外側開口部や外側開口部に相当する領域がその平面と先端側平面部とに跨がる配置となるように形成された噴射孔は、先端側平面部のみに開口するように形成されたものと比べて、その平面側に形成された部分の内周面が軸線方向に長く形成されたものとなる。
【0072】
(9)前記実施例では、後壁部は、その内側面及び外側面が単一の平面で形成されている。しかし、本発明の前提とするサブノズルにおいて、後壁部は、そのように形成されたものに限らない。例えば、後壁部は、その内側面及び外側面が複数の平面を為すように形成されていてもよいし、その内側面及び外側面が曲面に形成されていてもよい。
【0073】
さらに、本発明は、以上で説明したいずれの実施形態にも限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 メインノズル
2 サブノズル
3 変形筬
4 筬羽
7 緯糸案内溝
8 リードホルダ
9 ノズルホルダ
10 噴射孔
11 筒状部
12 扁平部
14 中心軸線
15 内側面
16 外側面
17 後壁部
18 前壁部
19 側壁部
20 第1の平面部
21 第2の平面部(先端側平面部)
22 先端部分
23 外側縁
24 先端縁
26 軸線
27 ストレート部
28 テーパ部
29 内側縁
30 内側開口部
31 外側開口部
33 中心
E 先端側
F 筒状部側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9