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特許7311307非接触電圧測定を用いた調整可能な長さのロゴスキーコイル測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】非接触電圧測定を用いた調整可能な長さのロゴスキーコイル測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
G01R15/18 A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019089281
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2019215330
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】15/975,187
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ウォロンズ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド シュトイアー
(72)【発明者】
【氏名】リカード ロドリゲス
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0091535(US,A1)
【文献】特開2016-085216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076343(US,A1)
【文献】特開2008-241479(JP,A)
【文献】特開2017-009320(JP,A)
【文献】特開平01-321373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 15/00-17/22、
1/00-1/04、
1/08-5/00、
5/10-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とすることなく、前記絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブであって、
ロゴスキーコイルと、
第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、前記第1及び第2のチャネルのそれぞれが、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部が、互いに離間しており、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第2の開放端部が、互いに隣接しており、前記ロゴスキーコイルのループが前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、前記第1のチャネルが、前記第1のチャネルの前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に前記ロゴスキーコイルの第1部分を摺動可能に収容するようにサイズ及び寸法決めされており、前記第2のチャネルが、前記第2のチャネルの前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に前記ロゴスキーコイルの第2部分を摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記ループのサイズが、前記第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内で前記ロゴスキーコイルを動かすことによって選択的に調整可能である、本体と、
前記本体に結合され、かつ前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の端部の間に位置付けられている非接触センサであって、前記非接触センサが、前記絶縁導体が前記ロゴスキーコイルによって形成された前記ループ内にあるときに、前記絶縁導体内の少なくとも1つの電気的パラメータを感知するように動作する、非接触センサと、を備える、電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項2】
前記本体の前記第2のチャネルが、前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に延在する横方向開放部を含み、前記横方向開放部が、前記ロゴスキーコイルの一部分が前記第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつ前記第2のチャネルから取り外されることを可能にするようにサイズ決め及び寸法決めされている、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項3】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とすることなく、前記絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブであって、
ロゴスキーコイルと、
第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、前記第1及び第2のチャネルが、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の端部が、互いに離間しており、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第2の端部が、互いに隣接しており、前記第1及び第2のチャネルの各々が、前記ロゴスキーコイルのループが前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、前記ロゴスキーコイルのそれぞれの部分をその中に摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記ループのサイズが、前記第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内で前記ロゴスキーコイルを動かすことによって選択的に調整可能である、本体と、
前記本体に結合された非接触センサと、
を備え、
前記本体の前記第2のチャネルが、前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に延在する横方向開放部を含み、前記横方向開放部が、前記ロゴスキーコイルの一部分が前記第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつ前記第2のチャネルから取り外されることを可能にするようにサイズ決め及び寸法決めされ、
前記横方向開放部が、前記ロゴスキーコイルの直径よりも小さい幅を有し、前記横方向開放部に隣接する前記第2のチャネルの少なくとも一部分が、前記ロゴスキーコイルの前記部分が前記第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつ前記第2のチャネルから取り外されることを可能にするように弾性変形する可撓性材料から形成されている、電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項4】
前記本体の前記第2のチャネルが、前記ロゴスキーコイルの一部分が前記第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつ前記第2のチャネルから取り外されることを可能にするように動作する締結具を含む、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項5】
前記ロゴスキーコイルが、前記電気的パラメータセンサプローブの通常の使用中に、前記第1のチャネルから取り外し可能ではない、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項6】
前記非接触センサが、非接触電圧センサ又は非接触電流センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項7】
前記ロゴスキーコイルに結合された非接触電圧センサを更に備え、前記非接触電圧センサが、前記絶縁導体が前記ロゴスキーコイルによって形成された前記ループ内にあるときに、前記絶縁導体内の電圧を感知するように動作する、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項8】
インターフェースコネクタを更に備え、前記インターフェースコネクタは、前記非接触センサ及び前記ロゴスキーコイルのそれぞれに動作可能に結合され、前記インターフェースコネクタが、非接触電気的パラメータ測定装置の主本体の前記インターフェースコネクタと別の対応するインターフェースコネクタに着脱可能に結合可能である、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項9】
前記非接触センサが、非接触電圧センサ、ホール効果センサ、フラックスゲートセンサ、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、又は巨大磁気抵抗(GMR)センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項10】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とすることなく、前記絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブであって、
ロゴスキーコイルと、
第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、前記第1及び第2のチャネルが、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の端部が、互いに離間しており、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第2の端部が、互いに隣接しており、前記第1及び第2のチャネルの各々が、前記ロゴスキーコイルのループが前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、前記ロゴスキーコイルのそれぞれの部分をその中に摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記ループのサイズが、前記第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内で前記ロゴスキーコイルを動かすことによって選択的に調整可能である、本体と、
前記本体に結合された非接触センサと、
を備え、
前記ロゴスキーコイルが、第1の端部及び第2の端部を含み、前記第1の端部及び前記第2の端部の少なくとも1つが、前記第1及び第2の端部が互いに当接して、前記第1及び第2の端部における前記ロゴスキーコイルの巻線間の空隙を最小化するように湾曲されている、電気的パラメータセンサプローブ。
【請求項11】
絶縁導体の電気的パラメータを測定するための装置であって、
電気的パラメータセンサプローブであって、
ロゴスキーコイルと、
第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、前記第1及び第2のチャネルのそれぞれが、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部が、互いに離間しており、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第2の開放端部が、互いに隣接しており、前記ロゴスキーコイルのループが前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、前記第1のチャネルが、前記第1のチャネルの前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に前記ロゴスキーコイルの第1部分を摺動可能に収容するようにサイズ及び寸法決めされており、前記第2のチャネルが、前記第2のチャネルの前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に前記ロゴスキーコイルの第2部分を摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記ループのサイズが、前記第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内で前記ロゴスキーコイルを動かすことによって選択的に調整可能である、本体と、
前記本体に結合され、かつ前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の端部の間に位置付けられている非接触センサであって、前記非接触センサが、前記絶縁導体が前記ロゴスキーコイルによって形成された前記ループ内にあるときに、前記絶縁導体内の少なくとも1つの電気的パラメータを感知するように動作する、非接触センサと、を備える、電気的パラメータセンサプローブと、
前記非接触センサ及び前記ロゴスキーコイルに通信可能に結合可能な制御回路であって、動作中に、前記制御回路が、
前記非接触センサ又は前記ロゴスキーコイルのうちの少なくとも1つにおいて検出された信号を示すセンサデータを受信し、
前記センサデータを処理して、前記絶縁導体の少なくとも1つの電気的パラメータを決定する、制御回路と、を備える、装置。
【請求項12】
前記制御回路を含む主本体を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記主本体が、少なくとも1つのインターフェースコネクタを含み、前記電気的パラメータセンサプローブが、前記主本体の前記少なくとも1つのインターフェースコネクタに着脱可能に接続可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記電気的パラメータセンサプローブ及び前記制御回路を含む主本体を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記制御回路が、動作中に、前記センサデータを処理して、前記絶縁導体内の電圧を決定する、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記制御回路が、動作中に、前記センサデータを処理して、前記絶縁導体内の電圧及び電流を決定する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記制御回路に動作可能に結合された無線通信サブシステムを更に備え、動作中に、前記無線通信サブシステムが、前記少なくとも1つの電気的パラメータを外部システムに無線で送信する、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
動作中に、前記装置のユーザに、前記少なくとも1つの電気的パラメータを視覚的に提示するディスプレイを更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記非接触センサが、非接触電圧センサ、ホール効果センサ、フラックスゲートセンサ、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、又は巨大磁気抵抗(GMR)センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とせず、前記絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブであって
ゴスキーコイルと、
第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、前記第1及び第2のチャネルのそれぞれが、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部が、互いに離間しており、前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第2の開放端部が、互いに隣接しており、前記ロゴスキーコイルのループが前記第1及び第2のチャネルの前記それぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、前記第1のチャネルが、前記第1のチャネルの前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に前記ロゴスキーコイルの第1部分を摺動可能に収容するようにサイズ及び寸法決めされており、前記第2のチャネルが、前記第2のチャネルの前記第1の開放端部と前記第2の開放端部との間に前記ロゴスキーコイルの第2部分を摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記ループのサイズが、前記第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内で前記ロゴスキーコイルを動かすことによって選択的に調整可能である、本体と、
前記本体に結合された非接触センサと、を備える、電気的パラメータセンサプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電気的パラメータ測定装置に関し、より具体的には、電気的パラメータ測定装置用のセンサプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧計は、電気回路内の電圧を測定するのに使用される器具である。1つを超える電気的特性を測定する器具は、マルチメータ又はデジタルマルチメータ(digital multimeter、DMM)と呼ばれ、サービス用途、トラブルシューティング用途、及びメンテナンス用途に一般に必要とされるいくつかのパラメータを測定するように動作する。そのようなパラメータとしては、典型的には交流(AC)電圧及び電流、直流(DC)電圧及び電流、並びに抵抗又は継続性が挙げられる。電力特性、周波数、容量、及び温度など、他のパラメータも特定の用途の要件を満たすために測定することができる。
【0003】
AC電圧を測定する従来の電圧計又はマルチメータを使用するときは、少なくとも2つの測定電極又はプローブを導体とガルバニック接触させることが必要であり、多くの場合、絶縁電線の絶縁部分を切り離すこと、又はあらかじめ測定用端子を提供することが必要である。ガルバニック接触のために露出させた導線又は端子を必要とする他に、剥離した導線又は端子に電圧計プローブを当てる工程は、ショック又は感電死のリスクにより比較的危険である場合がある。非接触電圧測定装置は、回路とのガルバニック接触を必要とすることなく、交流(AC)電圧の存在を検出するために使用されることがある。電圧が検出されると、ユーザは、光、ブザー、又は振動モータなどの提示によって警告される。しかしながら、そのような非接触電圧検出器は、AC電圧の有無だけを提示し、AC電圧の実際の大きさ(例えば、RMS値)を提示しない。
【0004】
内部電流シャントを採用する汎用マルチメータは、例えば、マルチメータテストリード及び電流を流すための回路の容量のために、一般に最大10アンペアに制限される可能性がある。更に、マルチメータは、概して、過大な電流レベルがマルチメータに流れることを防ぐために、内部ヒューズによって保護されている必要がある。これは、安全上の理由及びマルチメータの損傷の防止という両方の目的のためである。溶断ヒューズを取り外すことが困難であることと、交換用ヒューズを入手するのに必要な時間と費用とが相まって、内部ヒューズを必要としない非接触電流測定器具を得ることが望ましい。
【0005】
クランプオンマルチメータは、通電導体を切断する、又は通電導体を含む回路を遮断することを必要とせずに、通電導体内の電流を感知する一体型電流クランプを採用することによって、汎用マルチメータで電流を測定するための能力を向上させる。電流クランプは、典型的には、別々のテストプローブを使用して、従来の様式で電圧及び抵抗などの他のパラメータを測定するマルチメータと同じハウジング内に設けられている。電流クランプは、電流フローによって作り出される磁界を感知するために、例えば、銅線又は母線を含むことができる通電導体の周囲で閉鎖されている。電流クランプは、測定された電流レベルを計算し、かつ表示する、マルチメータによる測定のための電圧信号を提供する。クランプオンマルチメータを通る通電導体から分流された電流がないので、測定され得る最大電流に対する制約は、大部分排除されている。同様に、内部ヒューズは、クランプオンマルチメータで排除されている。
【0006】
有効な電流測定値を得るためには、電流クランプが閉鎖されるように、電流クランプ内の磁心が、通電導体を取り囲まれなければならない。電流クランプは、ジョーを開くために機械的に作動されなければならず、通電導体が挿入され、次いでジョーが通電導体の周囲で閉鎖されなければならない。電気キャビネットのような狭い物理的空間では、クランプオンマルチメータを挿入し、この技術を使用して電流測定を行うことは、不便でかつ困難な場合がある。更に、ジョーは、有効な電流測定値を得るために、磁心を完成させるように整列されなければならない。したがって、クランプオンマルチメータは、限定された空間での使用が困難であり、電流クランプのジョーを開放するための大きな物理的空間を必要とする。クランプオンマルチメータはまた、磁心にかなりの量の鉄が使用されているため、物理的に重くなる傾向がある。更に、高レベルの電流は、磁心を飽和させる可能性がある。したがって、クランプオンマルチメータの電流測定容量は、磁心を飽和させない電流レベルに制限される。
【0007】
ロゴスキーコイルは、ロゴスキーコイルによって取り囲まれた導体を流れる交流を感知することができる。ロゴスキーコイルとクランプとの間には、多くの違いがある。例えば、ロゴスキーコイルは、より可撓性であり、マルチメータの実質的に剛性のクランプよりも小さい断面を有する。したがって、ロゴスキーコイルは、クランプタイプのマルチメータのために、過度に緊密及び/又は過度に小さい、限定された空間内で使用することができる。更に、ロゴスキーコイルのループは、クランプが取り囲むことができない断面を有する導体を取り囲むように再形成することができる。別の違いは、クランプと比較して、ロゴスキーコイルの電流測定能力が大きいことである。具体的には、ロゴスキーの空心は、クランプの中心の磁性材料を飽和させる電流レベルでは飽和しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許8330449号
【文献】米国特許5473244号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とすることなく、絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブは、ロゴスキーコイルと、第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、第1及び第2のチャネルは、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、第1及び第2のチャネルのそれぞれの第1の端部は、互いに離間しており、第1及び第2のチャネルのそれぞれの第2の端部は、互いに隣接しており、第1及び第2のチャネルの各々は、ロゴスキーコイルのループが、第1及び第2のチャネルのそれぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、ロゴスキーコイルのそれぞれの長さを摺動可能にその中に収容するようにサイズ決め及び寸法決めがされており、ループのサイズは、ロゴスキーコイルの運動によって、第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内に選択的に調整可能である、本体と、本体に結合され、かつ第1及び第2のチャネルのそれぞれの第1の端部の間に位置付けられている非接触センサであって、非接触センサは、絶縁導体が、ロゴスキーコイルによって形成されたループ内にあるときに、絶縁導体内の少なくとも1つの電気的パラメータを感知するように動作する非接触センサと、を含むものとして要約することができる。本体の第2のチャネルは、第1の開放端部と第2の開放端部との間に延在する横方向開放部を含んでもよく、横方向開放部は、ロゴスキーコイルの長さが、第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつそこから取り外されることを可能にするようにサイズ決め及び寸法決めされている。横方向開放部は、ロゴスキーコイルの直径よりも小さい幅を有してもよく、横方向開放部に隣接する第2のチャネルの少なくとも一部分は、ロゴスキーコイルの長さが、第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつそこから取り外されることを可能にするように弾性変形する可撓性材料から形成されてもよい。本体の第2のチャネルは、ロゴスキーコイルの長さが、第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつそこから取り外されることを可能にするように動作する締結具を含んでもよい。ロゴスキーコイルは、電気的パラメータセンサプローブの通常の使用中に、第1のチャネルから取り外し可能でなくてもよい。非接触センサは、非接触電圧センサ又は非接触電流センサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
電気的パラメータセンサプローブは、ロゴスキーコイルに結合された非接触電圧センサを更に含むことができ、この非接触電圧センサは、絶縁導体がロゴスキーコイルによって形成されたループ内にあるときに、絶縁導体内の電圧を感知するように動作する。
【0011】
電気的パラメータセンサプローブは、非接触センサ及びロゴスキーコイルに動作可能に結合されたインターフェースコネクタを更に含むことができ、このインターフェースコネクタは、非接触電気的パラメータ測定装置の主本体の対応するインターフェースコネクタに着脱可能に結合可能である。非接触センサは、非接触電圧センサ、ホール効果センサ、フラックスゲートセンサ、異方性磁気抵抗(anisotropic magnetoresistance、AMR)センサ、又は巨大磁気抵抗(giant magnetoresistance、GMR)センサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
絶縁導体内の電気的パラメータを測定するための装置は、ロゴスキーコイルを含む電気的パラメータセンサプローブと、第1のチャネル及び第2のチャネルを含む本体であって、第1及び第2のチャネルは、それぞれの第1及び第2の開放端部を有し、第1及び第2のチャネルのそれぞれの第1の端部は、互いに離間しており、第1及び第2のチャネルのそれぞれの第2の端部は互いに隣接しており、第1及び第2のチャネルの各々は、ロゴスキーコイルのループが、第1及び第2のチャネルのそれぞれの第1の開放端部の間に形成されるように、ロゴスキーコイルのそれぞれの長さをその中に摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、ループのサイズは、第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内にロゴスキーコイルの運動によって選択的に調整可能である、本体と、本体に結合され、かつ第1及び第2のチャネルのそれぞれの第1の端部の間に位置付けられている非接触センサであって、非接触センサは、絶縁導体が、ロゴスキーコイルによって形成されたループ内にあるときに、絶縁導体内の少なくとも1つの電気的パラメータを感知するように動作する、非接触センサと、非接触センサ及びロゴスキーコイルに通信可能に結合可能な制御回路であって、この制御回路は、非接触センサ又はロゴスキーコイルのうちの少なくとも1つにおいて検出された信号を示すセンサデータを受信し、絶縁導体の少なくとも1つの電気的パラメータを決定するために、センサデータを処理する、制御回路と、を含むものとして要約することができる。
【0013】
装置は、制御回路を含む主本体を更に含んでもよい。主本体は、少なくとも1つのインターフェースコネクタを含んでもよく、電気的パラメータセンサプローブは、主本体の少なくとも1つのインターフェースコネクタに着脱可能に接続可能であってもよい。装置は、電気的パラメータセンサプローブ及び制御回路を含む主本体を更に含んでもよい。制御回路は、動作中に、センサデータを処理して、絶縁導体内の電圧を決定することができる。制御回路は、動作中に、センサデータを処理して、絶縁導体内の電圧及び電流を決定することができる。
【0014】
装置は、制御回路に動作可能に結合された無線通信サブシステムを更に含んでもよく、動作中に、無線通信サブシステムは、少なくとも1つの電気的パラメータを外部システムに無線で送信する。
【0015】
装置は、動作中に、装置のユーザに、少なくとも1つの電気的パラメータを視覚的に提示するディスプレイを更に含んでもよい。非接触センサは、非接触電圧センサ、ホール効果センサ、フラックスゲートセンサ、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、又は巨大磁気抵抗(GMR)センサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とすることなく、絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブは、第1の端部及び第2の端部を有するロゴスキーコイルと、ロゴスキーコイルの第2の端部に恒久的に結合された本体であって、本体は、ロゴスキーコイルの第1の端部と選択的に結合する締結具を含み、本体は、ロゴスキーコイルのサイズが、本体に対するロゴスキーコイルの運動を介して選択的に調整されることを可能にするようにサイズ決め及び寸法決めされる、本体と、本体に結合された非接触センサであって、非接触センサは、絶縁導体が、ロゴスキーコイルによって形成されたループ内にあるときに、絶縁導体内の少なくとも1つの電気的パラメータを感知するように動作する、非接触センサと、を含むものとして要約することができる。
【0017】
絶縁導体とのガルバニック接触を必要とすることなく、絶縁導体内の電気的パラメータを検出するように動作する電気的パラメータセンサプローブは、絶縁導体をその中に受容するロゴスキーコイルと、ロゴスキーコイルに結合された少なくとも1つの非接触電圧センサと、ロゴスキーコイルに動作可能に結合されたクランプであって、このクランプは、少なくとも1つの非接触電圧センサが、被試験絶縁導体に隣接して位置付けられるように、ロゴスキーコイルを変形させるように動作する、クランプと、を含むものとして要約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面では、同一の参照番号により類似の要素又は作用が識別される。図面における要素の寸法及び相対位置は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、種々の要素及び角度の形状は必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、これらの要素の一部は、図面の明瞭性を向上させるために任意に拡大されかつ位置付けられていてもよい。なお、図示されるような要素の特定の形状は、必ずしも特定の要素の実際の形状に関する任意の情報を伝えることが意図されているわけではなく、単に図面において認識しやすいように選択されていてもよい。
【0019】
図1図1は、非限定的な例示の一実施形態による、ロゴスキーコイルを含む電気的パラメータセンサプローブと、非接触電圧センサとを含む電気的パラメータ測定装置の絵式回路図であり、ロゴスキーコイルは、絶縁導体を測定のために受容することができるように開放されたループで示している調整可能なサイズを有するループに形成可能である。
図2図2は、非限定的な例示の一実施形態による、非接触電圧センサに隣接する導体を位置付けるために、被試験絶縁導体の周囲で閉鎖され、かつ締め付けられたロゴスキーコイルのループで示された図1の電気的パラメータ測定装置の絵式回路図である。
図3図3は、非限定的な例示の一実施形態による、被試験絶縁導体の周囲で緩められたロゴスキーコイルのループで示された電気的パラメータセンサプローブの絵式回路図である。
図4図4は、非限定的な例示の一実施形態による、被試験絶縁導体の周囲で締め付けられたロゴスキーコイルのループで示された電気的パラメータセンサプローブの絵式回路図であり、絶縁導体は、非接触電圧センサに隣接して位置付けられている。
図5図5は、非限定的な例示の一実施形態による、ロゴスキーコイルの長さが、被試験導体がロゴスキーコイルのループの内側に位置付けられることができるように、本体に取り外し可能に結合されることを可能にする、本体のチャネル内の横方向開放部を示す電気的パラメータセンサプローブの本体の絵式回路図である。
図6A図6Aは、非限定的な例示の一実施形態による、互いに当接する第1及び第2の端部を含むロゴスキーコイルで示された、電気的パラメータセンサプローブの絵式回路図である。
図6B図6Bは、非限定的な例示の一実施形態による、第1及び第2の端部におけるロゴスキーコイルのコイルを示す、図6Aの電気的パラメータセンサプローブの絵式回路図である。
図7A図7Aは、非限定的な例示の一実施形態による、ロゴスキーコイルを含む電気的パラメータクランププローブの絵式回路図であり、クランププローブは、クランプされていない状態で示されている。
図7B図7Bは、非限定的な例示の一実施形態による、図7Aの電気的パラメータセンサクランププローブの絵式回路図であり、クランププローブは、ロゴスキーコイルが被試験絶縁導体の周囲で変形している、クランプされた状態で示されおり、ロゴスキーコイル上に位置付けられた少なくとも1つの非接触センサは、絶縁導体に隣接して位置付けられて電気的パラメータ測定値を得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の1つ以上の実施形態は、導体と電気的パラメータセンサプローブとの間のガルバニック接続を必要とすることなく、絶縁又は未加工の非絶縁導体(例えば、絶縁電線)内の電気的パラメータ(例えば、電圧、電流、電力)を測定するためのシステム及び方法を対象とする。一般に、絶縁導体内の1つ以上の電気的パラメータを測定する非ガルバニック接触(又は「非接触」)電気的パラメータ測定システム又は装置が提供される。ガルバニック接続を必要としないそのようなシステムを本明細書では「非接触」という。本明細書で使用するとき、「電気的に結合された」は、特記のない限り、直接及び間接の両方の電気的結合を含む。
【0021】
少なくともいくつかの実施形態では、被試験絶縁導体内の電流及び電圧の両方を正確に測定するように動作する非接触電気的パラメータセンサプローブが、提供される。センサプローブは、本体と、本体に結合されたロゴスキーコイルと、本体又はロゴスキーコイルのうちの少なくとも1つに結合された非接触電圧センサと、を含む。ロゴスキーコイルのループのサイズは、選択的に調整可能であり、その結果、ループは、導体が、非接触電圧センサを含む本体又はロゴスキーコイルの一部分に隣接して位置付けられるまで、被試験絶縁導体の周囲に締め付けられることができる。したがって、ループが締め付けられて絶縁導体の位置を維持すると、導体に隣接する非接触電圧センサは、正確な電圧測定値を得ることができ、一方、ロゴスキーコイルは、正確な電流測定値を得る。電力又は位相角などの1つ以上の電気的パラメータは、得られた電圧及び電流測定値を使用して導出されてもよい。測定された電気的パラメータは、例えば、ディスプレイを介してユーザに提供されてもよく、又は好適な有線若しくは無線接続を介して1つ以上の外部システムに送信されてもよい。
【0022】
以下の説明では、種々の開示の実施形態の完全な理解が得られるように、特定の具体的な詳細について記載する。しかしながら、実施形態がこれらの具体的な詳細のうちの1つ以上を伴わない、又は他の方法、構成要素、材料などを伴って実施されてよいことを、当業者は理解するであろう。その他の場合では、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、及び/又は通信ネットワークに関係する周知の構造は、実施形態の説明を必要以上に不明瞭にすることを避けるためにも、詳細には示されていないか又は記載されていない。
【0023】
文脈上その他の意味に解すべき場合を除き、以下の明細書及び特許請求の範囲を通して、用語「備える(comprising)」とは用語「含む(including)」と同義であり、包括的であり、つまり限定的ではない(即ち、更なる記載されていない要素又は方法の行為を除外しない)。
【0024】
本明細書全体の「一実施形態(one implementation)」又は「実施形態(an implementation)」を参照することは、実施形態に関して記述された特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体の種々の場所での語句「一実施形態では(in one implementation)」又は「実施形態では(in an implementation)」は、必ずしも全て同じ実施形態について言及するものではない。なお、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わせられてもよい。
【0025】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する際に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。用語「又は」は、文脈上、別段の明確な指示がない限り、その意味において「及び/又は」を含んで一般的に用いられる、という点にも留意すべきである。
【0026】
本明細書で提供される見出し及び要約書は、便宜のためだけであり、実施形態の範囲又は意味を説明するものではない。
【0027】
図1は、非限定的な例示の一実施形態による、電気的パラメータ測定装置100の絵式回路図である。電気的パラメータ測定装置100は、主本体又はハウジング102と、電気的パラメータセンサプローブ104と、を含む。センサプローブ104は、ケーブル110を介してインターフェースコネクタ108に結合された本体134を備える。主本体102は、センサプローブ104の対応するインターフェースコネクタ108と着脱可能に結合するインターフェースコネクタ106を含む。
【0028】
主本体102は、測定結果及び他の情報を提示するディスプレイ112と、測定命令又は他の情報などの情報を入力するための入力ユーザインターフェース114と、を更に含む。ディスプレイ112は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は電子インクディスプレイなどの任意の好適なタイプのディスプレイであってもよい。主本体102は、1つ以上のスピーカ、ブザー、振動装置などの1つ以上の音声又は触覚出力(図示せず)を含んでもよい。図示の実施形態では、入力ユーザインターフェース114は、複数のボタンを含むが、他の実施形態では、ユーザインターフェースは、追加的に又は代替的に、タッチパッド、タッチスクリーン、ホイール、ノブ、ダイヤル、マイクなどの1つ以上の他のタイプの入力装置を含んでもよい。
【0029】
主本体102はまた、主本体及びセンサプローブ104の種々の構成要素に電力を供給するための電池又は電池パックなどの電源装置を含んでもよい。主本体102はまた、信号をセンサプローブ104から受信し、被測定絶縁導体115の1つ以上の電気的パラメータを決定し、及び(例えば、ディスプレイ112に)測定データを出力するなど、電気的パラメータ測定装置100の種々の動作を制御する制御回路116を含む。制御回路116は、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGA)、1つ以上のタイプのメモリ(例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ、他の非一時的な記憶媒体)、及び/又は1つ以上の他のタイプの処理若しくは制御関連構成要素を含んでもよい。
【0030】
少なくともいくつかの実施形態では、主本体102は、Bluetooth(登録商標)モジュール、Wi-Fi(登録商標)モジュール、ZIGBEE(登録商標)モジュール、近距離無線通信(near field communication、NFC)モジュールなどのうちの1つ以上を含み得る無線通信サブシステム118を含むことができる。主本体102は、測定結果を外部システムに送信するために、あるいは命令信号又は入力情報を外部システムからの受信するために、無線通信サブシステム118を介して、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、パーソナルデジタルアシスタントなどの外部受信システムと無線通信するように動作することができる。主本体102は、追加的に又は代替的に、USBインターフェースなどの有線通信サブシステムを含んでもよい。
【0031】
1つのセンサプローブ104のみが説明目的のために示されているが、少なくともいくつかの実施形態では、複数の異なるセンサプローブは、電気的パラメータ測定装置100の主本体102に着脱可能に結合可能であってもよい。複数のセンサプローブは、例えば、電気的パラメータ測定装置100のための種々の機能性を提供するために、形状、構造、又は機能のうちの少なくとも1つで異なっていてもよい。
【0032】
センサプローブ104は、第1の端部142と第2の端部144との間に延在する長さを有する可撓性ロゴスキーコイル140を含む。従来のロゴスキーコイルと同様に、ロゴスキーコイル140は、可撓性非磁心の周囲に螺旋状に巻かれ、かつ可撓性の覆い内に被覆された同じワイヤによって取り囲まれた中心電線を有するトロイダルコイルを含んでもよい。結果として、コイルの一端部は、コイル自体を通って取られ、コイルの両端が同じ側(例えば、第1の端部142、第2の端部144)上にあるように、他方側から引き出される。コイルの端部は、ロゴスキーコイル140からの信号が、処理のために主本体102に送られるように、信号ケーブル110に電気的に接続されてもよい。非磁性心は、例えば、空気を含んでもよい。ロゴスキーコイル140の覆いは、トロイダルコイルの形態を保護するために十分に剛性であり得、更に、以下で更に論じるように、ロゴスキーコイルが、サイズ及び形状に調整可能なループに形成されることを可能にするのに十分に可撓性であり得る。
【0033】
センサプローブ104の本体134は、被試験絶縁導体115内の1つ以上の電気的パラメータを感知するように動作する、そこに結合された1つ以上の非接触センサ146(例えば、非接触電圧センサ)を含む。追加的に又は代替的に、1つ以上の非接触センサ146は、センサプローブ104の本体134の代わりに、ロゴスキーコイルに結合されてもよい。非接触センサ146は、センサからの信号が、処理のために主本体102に送られるように、信号ケーブル110に電気的に接続されてもよい。非接触センサは、非接触電圧センサ、ホール効果素子、電流変圧器、フラックスゲートセンサ、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、又はガルバニック接触を必要とすることなく、導体115の電気的パラメータを感知するように動作する他のタイプのセンサを含んでもよい。非接触センサの種々の非限定的な例は、米国特許仮出願第62/421,124号(2016年11月11日出願)、米国特許出願第15/345,256号(2016年11月7日出願)、同第15/413,025号(2017年1月23日出願)、同第15/412,891号(2017年1月23日出願)、同第15/604,320号(2017年5月24日出願)、及び米国特許出願第15/625,745号(2017年6月16日出願)に開示され、それら全体が、本明細書に参考として組み込まれる。
【0034】
センサプローブ104はまた、1つ以上のセンサ146又はロゴスキーコイル140から受信されたセンサ信号を処理するように動作する、1つ以上のセンサ146に動作可能に結合され、かつそのようなセンサ信号を示すセンサデータを、処理のために主本体102の制御回路116に送るように動作する処理又は制御回路120を含んでもよい。制御回路120は、追加的に又は代替的に、アナログ形態(例えば、0~1V)又はデジタル形態(例えば、8ビット、16ビット、64ビット)などの、主本体102によって受信可能な形態に信号を調節又は変換するように動作する調節又は変換回路を含んでもよい。
【0035】
非接触電圧センサ146を使用して測定値を得るために、センサが、被試験導体115に可能な限り近いことが有益であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、導体115が、非接触センサ146に対して特定の配向(例えば、垂直)に位置付けられることが有益であり得る。比較的大きい、調整不可能なループ(例えば、10インチ、18インチ)を有する従来のロゴスキーコイルでは、ロゴスキーコイルは、センサプローブ104の本体134から離間した点で、被試験インダクタから吊るされる。この位置から、非接触電圧センサは、被試験導体内の正確な電圧測定値を得ることが困難又は不可能であり得る。以下で更に論じるように、本開示の1つ以上の実施形態では、ロゴスキーコイル140のループは、図2及び図4に示されるように、ループが、導体115の周囲に締め付けられて、導体を非接触センサ146に隣接して位置付け、その結果、正確な測定値を得ることができるように、選択的に調整可能である。
【0036】
図3に最も良く示されているように、センサプローブ104の本体134は、各々がロゴスキーコイル140の一部分を摺動可能に受容する第1のチャネル148及び第2のチャネル150を含む。第1のチャネル148及び第2のチャネル150は、それぞれ、それぞれの開放された第1の端部148a及び150a、並びにそれぞれの開放された第2の端部148b及び150bを有する。第1のチャネル148及び第2のチャネル150の第1の端部148a及び150aは、それぞれ、互いに離間されており、第1及び第2のチャネルの第2の端部148a及び150bは、それぞれ、互いに隣接している。第1のチャネル148及び第2のチャネル150の各々は、ロゴスキーコイルのループが、第1のチャネル148及び第2のチャネル150のそれぞれの第1の開放端部148aと150aとの間にそれぞれ形成されるように、ロゴスキーコイル140のそれぞれの長さをその中に摺動可能に収容するようにサイズ決め及び寸法決めされており、ループのサイズは、ロゴスキーコイルの第1及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つ内での動きによって選択的に調整可能である。更に、2つのチャネル148及び150は、互いに隣接するように第2の148b及び150bで収束し、それはロゴスキーコイル140に正確な測定値をもたらす全体形状を提供する。
【0037】
図1に示すように、ロゴスキーコイル140の第1の端部142は、第1のチャネル148内で(例えば、恒久的に)維持されてもよく、第2の端部144は、第1の端部150aと第2の端部150bとの間に延在する横方向開放部152(図5を参照)を介して、第2のチャネル150から選択的に取り外し可能であってもよい。一例として、ロゴスキーコイル140の第1の端部142の一部分は、ロゴスキーコイルが、第1のチャネルから取り外されることを防止するために、第1のチャネル148の第2の端部148bの開放部よりも大きくてもよい。
【0038】
図1に示されるように、ロゴスキーコイル140の第2の端部144が本体134から分離されるときに、次に、導体115は、センサプローブ104の本体134に近接するループ開放部160(図3)内に位置付けられてもよい。次いで、第2の端部144は、横方向開放部152を介して、本体134に結合されて、導体115をループ開放部160内に固定することができる。横方向開放部152は、ロゴスキーコイル140の長さが、第2のチャネル150の中に選択的に挿入され、かつそこから取り外されることを可能にするようにサイズ決め及び寸法決めされてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、横方向開放部152は、ロゴスキーコイル140の直径よりもわずかに小さい幅(W)(図5)を有する。このような実施形態では、横方向開放部152に隣接する第2のチャネル150の少なくとも一部分154(図5)は、ロゴスキーコイル140の長さが、第2のチャネルの中に選択的に挿入され、かつそこから取り外される(例えば、チャネルの中に、及びそこから「スナップされる」)ことを可能にするように弾性的に変形する可撓性材料(例えば、エラストマー)から形成されてもよい。
【0039】
図3に示されるように、導体115がループ開放部160の内側に位置付けられると、ユーザは、ロゴスキーコイル140の第1の端部142及び第2の端部144を把持し、それらをセンサプローブ104の本体134に対して下方に(図示のように)引っ張ることができ、これにより、図4に示されるように、ループが導体の周囲に締め付けられるように、ループのサイズを縮小させる。図4に示すように、ロゴスキーコイル140のループが締め付けられると、導体115は、非接触電圧センサ146を含む本体134の場所155に隣接してしっかりと位置付けられる。次いで、センサプローブ104を使用して、非接触電圧センサ146を使用して導体115内の電圧を検出し、導体の周囲に位置付けられたロゴスキーコイル140を使用して導体内の電流を検出することができる。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザは、図3及び図4に示されるように、第1の端部142及び第2の端部144が互いに整列した状態を維持するように命令されてもよい。他の実施形態では、第1の端部142及び第2の端部144を一緒に結合して、端部を整列された関係に維持するために、結合器が提供されてもよい。
【0040】
ループ開放部160から導体115を取り外すために、ユーザは、ロゴスキーコイル140を導体115の上に把持し(図示されるように)、コイルを上方に引っ張ってロゴスキーコイルのループを緩めることができる。次に、ロゴスキーコイル140の第2の端部144は、上述のように、第2のチャネル150内の横方向開放部152を介して、本体134から切り離されてもよい。図1に示されるように、ロゴスキーコイル140の第2の端部144が本体134から切り離されると、導体115は、センサプローブ104から分離されてもよい。
【0041】
第2のチャネル150内の横方向開放部152は、ロゴスキーコイル140の第2の端部144が、本体134に選択的に結合されることを可能にする締結具の単なる一例を提供することを理解されたい。他の実施形態では、ロゴスキーコイルのループのサイズの調整を可能にしながら、ロゴスキーコイルの少なくとも一部分の選択的結合を可能にする異なるタイプの締結具を使用することができる。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、動作中に、センサプローブ104の制御回路120は、センサ(複数可)146又はロゴスキーコイル140からの測定データを、電気的パラメータ測定装置100の主本体102に送信し、制御回路116は、受信された測定データに基づいて、導体115内の1つ以上の電気的パラメータを決定する。例えば、制御回路116は、1つ以上の数式、ルックアップテーブル、較正係数などを利用して、1つ以上の電気的パラメータを決定してもよい。更に、電力又は位相角などのいくつかの電気的パラメータは、電流及び電圧などの他の決定された電気的パラメータから導出されてもよい。
【0043】
上述したように、インターフェース接続部108は、例えば、異なるセンサプローブが、主本体102に結合され得るように、電気的パラメータ測定装置100の主本体102上の対応するインターフェースコネクタ106と着脱可能に結合されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、センサプローブ104のインターフェースコネクタ108は、プラグ及びソケットのうちの一方として構成されてもよく、主本体102のインターフェースコネクタ106は、プラグ及びソケットの他方として構成されてもよい。他の実施形態では、インターフェースコネクタ106及び108は、互いに着脱可能に結合されるように動作する、異なるタイプのコネクタとして構成されてもよい。
【0044】
更に、いくつかの実施形態では、センサプローブ104は、ケーブル110によって主本体102に固定接続されてもよい。他の実施形態では、センサプローブ104及び主本体102は、ケーブル110が必要とされないように、単一のハウジング内に一緒に形成されてもよい。
【0045】
図6Aは、図3にも示されている電気的パラメータセンサプローブ104の修正版の絵式回路図である。図6Bは、ロゴスキーコイル140のシースの内側に巻回している導電コイルの第1の端部143及び第2の端部145を示す。この実施形態では、ロゴスキーコイル140の第1の端部142は、第1の端部142と第2の端部144とが互いに当接するように、U字形状に湾曲している。より良好な結合のためにコイル巻線の端部143及び145が互いに当接しているので、この確認によって精度が更に向上し得る。この特徴は、空隙を最小化するので、近傍の外部電線の影響を抑制することにより精度を向上させる。
【0046】
図7A及び図7Bは、非限定的な例示の一実施形態による、電気的パラメータ測定装置200の別の実施形態を示す。電気的パラメータ測定装置200の特徴及び構成要素の多くは、上述の電気的パラメータ測定装置100と類似又は同一であってもよい。したがって、電気的パラメータ測定装置100に関する上述の考察はまた、電気的パラメータ測定装置200に適用されてもよい。
【0047】
電気的パラメータ測定装置200は、本体部分202と、クランプ部分204と、把持部分206と、を含む。クランプ部分204は、図7Aに示されているクランプされていない又は開放された位置と、図7Bに示されているクランプされている又は閉鎖された位置との間で互いに対して移動可能である2つのクランプアーム208a及び208bを含んでもよい。把持部分206は、クランプ部分をクランプされていない位置からクランプされている位置へと作動させるために互いに対して移動可能な2つの把持アーム210a及び210bを含んでもよい。一例として、本体部分202は、図7Aに示されているクランプされていない位置のクランプアーム208a及び208bを付勢する付勢要素218(例えば、ばね、ピン)を含んでもよい。動作中に、ユーザは、把持アーム210a及び210bを共に圧搾して、クランプアーム208a及び208bを付勢要素218の力に対してクランプされている位置に移動させることができる。
【0048】
電気的パラメータ測定装置200は、クランプアーム208aと208bとの間に位置付けられたロゴスキーコイル212を含む。1つ以上の非接触電圧センサ214(2つが図示されている)は、ロゴスキーコイル212に結合されている。一例として、ロゴスキーコイル212は、ロゴスキーコイルのループが、選択的に開放されて、被試験絶縁導体115をコイル内に位置付けし、次いでループを閉じるように再接続されるコネクタ216を含んでもよい。
【0049】
絶縁導体115が、ロゴスキーコイル212のループ内に位置付けられると、ユーザは、把持部分206の把持アーム210a及び210bを圧搾して、非接触センサ214が、被試験絶縁導体115に隣接して位置付けられるように、クランプアーム208a及び208bに、ロゴスキーコイル212を変形させることができる。次いで、電気的パラメータ測定装置200を使用して、非接触電圧センサ214を使用して導体115内の電圧を検出し、導体の周囲に位置付けられたロゴスキーコイル212を使用して導体内の電流を検出することができる。上述のように、測定された電気的パラメータは、例えば、ディスプレイを介してユーザに提供されてもよく、又は好適な有線若しくは無線接続を介して1つ以上の外部システムに送信されてもよい。
【0050】
前述の詳細な説明では、ブロック図、概略図、及び実施例を使用して、装置及び/又はプロセスの種々の実施形態を説明してきた。このようなブロック図、系統図、及び実施例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、このようなブロック図、フロー図、又は実施例内のそれぞれの機能及び/又は動作は、広範囲にわたるハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的に任意の組み合わせにより、個別にかつ/又は集合的に実装することができることが、当業者には理解されるであろう。一実施形態では、特定用途向け集積回路(ASIC)を介して、本発明の主題を実施してよい。しかしながら、本明細書で開示する実施形態が、全部、又は一部を問わず、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラムとして)、1つ以上の制御装置(例えば、マイクロコントローラ)上で実行される1つ以上のプログラムとして、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)上で実行される1つ以上のプログラムとして、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして標準的な集積回路内で同等に実装することができ、ソフトウェア及び/又はファームウェアについての回路設計及び/又はコード書き込みであれば、十分に、本開示に照らして当該技術分野における当業者の知識の範囲内になることを当業者は認識するであろう。
【0051】
当業者は、本明細書に記載する方法又はアルゴリズムの多くが付加的な行為を採用することができ、一部の行為を省略することができ、かつ/又は行為を指定された順番と異なる順番で実行することができることを、理解するであろう。
【0052】
更に、当業者は、本明細書で教示する機構が、種々の形態でプログラム製品として流通可能であり、代表的な実施形態が、流通を実際に実行するために使用される特定の形式の信号担持媒体に関係なく等しく適用されることを、認識するであろう。信号担持媒体の例としては、以下のもの、即ち、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD-ROM、デジタルテープ、及びコンピュータメモリなどの記録可能な形式の媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
上述した種々の実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供してもよい。本明細書中の特定の教示及び定義と矛盾しない限りにおいて、米国特許仮出願番号第62/421,124号(2016年11月11日出願)、米国特許出願第15/345,256号(2016年11月7日出願)、同第15/413,025号(2017年1月23日出願)、同第15/412,891号(2017年1月23日出願)、同第15/604,320号(2017年5月24日出願)、及び米国特許出願第15/625,745号(2017年6月16日出願)が開示され、それら全体が、本明細書に参考として組み込まれる。実施形態の態様は、種々の特許、出願及び公報のシステム、回路、及び概念を用いて、尚更なる実施形態を提供するように必要に応じて修正することができる。
【0054】
上記の説明を考慮すれば、実施形態へのこれらの変更及びその他の変更を行うことができる。通常、以下の請求項において使用する用語は、明細書及び請求項に開示された特定の実施形態に対する請求項を限定するものと解釈すべきではないが、こうした請求項に権利を与えた等価物の全範囲と共に全ての考えられる実施形態を含むものと解釈すべきである。したがって、請求項は、開示によって制限されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B