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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/124 20190101AFI20230711BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20230711BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230711BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230711BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230711BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20230711BHJP
【FI】
B60L53/124
B60L5/00 B
B60M7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/00 301A
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019121114
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021007283
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】栂 修平
(72)【発明者】
【氏名】内野 昭
(72)【発明者】
【氏名】松場 賢一
(72)【発明者】
【氏名】巳波 敏生
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】吉武 和志
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130008(JP,A)
【文献】特開2015-100162(JP,A)
【文献】特開2015-015818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/124
B60L 5/00
B60M 7/00
H02J 7/00
H02J 50/10
H02J 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で送電するための送電装置と、
前記送電装置を上側から覆う被覆位置と、前記送電装置を覆わない退避位置との間で往復移動可能な板状のカバーと、
該カバーを移動させる移動機構と
を備え
前記カバーの周縁部に上下方向の枢軸が設けられており、
前記カバーは前記枢軸の周りに往復回転可能であり、
前記移動機構は、前記カバーを回転させるモータを備えることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記送電装置による送電の開始前に前記カバーが前記退避位置に移動し、前記送電装置による送電の終了後に前記カバーが前記被覆位置に移動するよう、前記移動機構の動作を制御する制御部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記送電装置の上側に車両が位置している場合に前記カバーが前記被覆位置と前記退避位置との間で移動するよう、前記移動機構の動作を制御することを特徴とする請求項2に記載の非接触給電装置。
【請求項4】
前記送電装置は筐体を備え、
前記カバーは前記筐体の上面を覆い、
前記移動機構は、前記カバーを前記上面に沿って移動させ、
前記カバーに、前記カバーの移動に伴って前記上面に摺動する刷毛が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の非接触給電装置。
【請求項5】
前記送電装置は、自身の設置場所に車両が進入した場合に送電し、
前記退避位置は、前記被覆位置から前記車両の進入方向に離隔していることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車にワイヤレスで給電するための非接触給電装置が提案されている(非特許文献1参照)。
非特許文献1に記載の非接触給電装置は、地面に配された送電コイルを備える。電気自動車には受電コイル及び車載電池が搭載されている。電気自動車は、受電コイルが送電コイルの上側に位置するよう駐車される。送電コイルに交流電流が流れた場合、電磁誘導により、受電コイルに交流電流が生じる。受電コイルに生じた交流電流により、車載電池が充電される。
【0003】
送電コイルを保護するために、送電コイルは非導体製の筐体に収容される。筐体の上面に金属片又は金属箔のような導体製の異物(以下、単に異物という)が載っている場合、誘導加熱により、異物が発熱する虞がある。
非特許文献1に記載の非接触給電装置は、異物の有無を検出し、異物が存在する場合には送電を中止する。異物が除去されない限り、送電を再開することはできない。
【0004】
特許文献1には、受電機器が載置される給電面を有し、給電面に載っている異物をワイパーで除去する非接触給電装置が記載されている。このようなワイパーを非特許文献1に記載の非接触給電装置に適用すれば、異物を除去して送電を再開することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-6056号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】“EV(電気自動車)向けワイヤレス充電システム 株式会社ダイヘン”、[online]、[令和1年5月13日検索]、インターネット<URL:https://www.daihen.co.jp/products/wireless/ev/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、銀紙又はヘアピン等、平坦な異物又は小さな異物等は、ワイパーでは除去することができない虞がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、送電による異物の発熱を抑制することができる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態に係る非接触給電装置は、非接触で送電するための送電装置と、前記送電装置を上側から覆う被覆位置と、前記送電装置を覆わない退避位置との間で往復移動可能な板状のカバーと、該カバーを移動させる移動機構とを備えることを特徴とする。
本実施の形態に係る非接触給電装置は、非接触で送電するための送電装置と、前記送電装置を上側から覆う被覆位置と、前記送電装置を覆わない退避位置との間で往復移動可能な板状のカバーと、該カバーを移動させる移動機構とを備え、前記カバーの周縁部に上下方向の枢軸が設けられており、前記カバーは前記枢軸の周りに往復回転可能であり、前記移動機構は、前記カバーを回転させるモータを備えることを特徴とする。
【0010】
本実施の形態にあっては、被覆位置にあるカバーが送電装置を上側から覆うので、送電装置に異物が載る虞がない。
カバーには異物が載るかもしれない。しかしながら、退避位置にあるカバーは送電装置を覆わないので、カバーに載っている異物が誘導加熱されることはない。
以上の結果、送電による異物の発熱を抑制することができる。
移動機構がカバーを移動させるので、使用者が人力で送電装置からカバーを外したり送電装置をカバーで覆ったりする必要がない。
【0011】
本実施の形態に係る非接触給電装置は、前記送電装置による送電の開始前に前記カバーが前記退避位置に移動し、前記送電装置による送電の終了後に前記カバーが前記被覆位置に移動するよう、前記移動機構の動作を制御する制御部を更に備えることを特徴とする。
【0012】
本実施の形態にあっては、カバーが送電開始前に退避位置に移動し、送電終了後に被覆位置に移動する。故に、送電中は送電装置がカバーで覆われていない。また、非送電中は送電装置がカバーで覆われている。従って、非送電中に送電装置に異物が載る虞がない。また、カバーに異物が載っていたとしても、特段の問題なく送電することできる。
【0013】
本実施の形態に係る非接触給電装置は、前記制御部は、前記送電装置の上側に車両が位置している場合に前記カバーが前記被覆位置と前記退避位置との間で移動するよう、前記移動機構の動作を制御することを特徴とする。
【0014】
本実施の形態にあっては、送電装置の上側に車両が位置している場合、且つ送電開始前にカバーが退避位置に移動する。また、送電装置の上側に車両が位置している場合、且つ送電終了後にカバーが被覆位置に移動する。故に、送電中は送電装置が車両に覆われているので、カバーが送電装置を覆っていない間に送電装置に異物が載ることが抑制される。
【0015】
本実施の形態に係る非接触給電装置は、前記送電装置は筐体を備え、前記カバーは前記筐体の上面を覆い、前記移動機構は、前記カバーを前記上面に沿って移動させ、前記カバーに、前記カバーの移動に伴って前記上面に摺動する刷毛が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本実施の形態にあっては、カバーの移動に伴って、筐体の上面が刷毛で清掃される。故に、カバーが筐体の上面を覆っていない間に筐体の上面に異物が載ったとしても、カバーが再び筐体の上面を覆うときに刷毛で異物を除去することができる。
【0017】
本実施の形態に係る非接触給電装置は、前記カバーの周縁部に上下方向の枢軸が設けられており、前記カバーは前記枢軸の周りに往復回転可能であり、前記移動機構は、前記カバーを回転させるモータを備えることを特徴とする。
【0018】
本実施の形態にあっては、被覆位置と退避位置との間でカバーが往復回転する。カバーは上下方向の枢軸の周りに回転するので、カバーの配置位置が上下方向に変化することはない。故に、例えば送電装置の上側に位置している車両にカバーが接触する虞がない。
【0019】
本実施の形態に係る非接触給電装置は、前記送電装置は、自身の設置場所に車両が進入した場合に送電し、前記退避位置は、前記被覆位置から前記車両の進入方向に離隔していることを特徴とする。
【0020】
本実施の形態にあっては、カバーが被覆位置から退避位置に車両から遠ざかるように移動するので、カバーと車両との接触を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本実施の形態の非接触給電装置によれば、送電による異物の発熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態に係る非接触給電装置を模式的に示す斜視図である。
図2】非接触給電装置を模式的に示す側面図である。
図3】送電装置と被覆位置にあるカバーとを模式的に示す斜視図である。
図4】送電装置と退避位置にあるカバーとを模式的に示す斜視図である。
図5】非接触給電装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図6】非接触給電装置で実行される送電処理の手順を示すフローチャートである。
図7】非接触給電装置で実行される送電処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0024】
図1は、実施の形態に係る非接触給電装置を模式的に示す斜視図である。
図中1は非接触給電装置であり、複数の非接触給電装置1,1,…が駐車場2に設置されている。
駐車場2の地面21には、矩形状の駐車スペース22(設置場所)を示す白線が描かれている。駐車場2には、複数の駐車スペース22,22,…が駐車スペース22の短辺方向に並設されている。非接触給電装置1は駐車スペース22毎に設置されている。
【0025】
図2は、非接触給電装置1を模式的に示す側面図である。
図2には電気自動車3(車両)の構成を示すブロック図も含まれている。電気自動車3は車載電池31及び4つのタイヤ32,32,…を備える。車載電池31から給電された図示しないモータがタイヤ32,32,…の内の少なくとも2つを駆動することによって、電気自動車3が走行する。
【0026】
車載電池31は充放電可能である。車載電池31を非接触で充電するために、電気自動車3は、受電コイル33及び整流器34を備える。後述するように受電コイル33に生じた交流電流が、整流器34で整流されてから車載電池31に与えられることによって、車載電池31が充電される。
電気自動車3は、制御装置35を備える。制御装置35は、車載電池31の電圧を検出する図示しない電圧検出部を用いて車載電池31の残量を求める機能、及び図示しない通信機を用いて外部と無線通信する機能等を有する。
【0027】
図1及び図2に示す非接触給電装置1は送電装置4及び制御装置5を備える。
送電装置4は、筐体41及び送電コイル42を備える。筐体41は矩形箱状をなし、駐車スペース22の中央部において地面21に設置されている。筐体41は非導電性を有し、例えば合成樹脂製である。送電コイル42は筐体41に収容されている。筐体41の上面は地面21に平行であり、カバー6に覆われる。
【0028】
カバー6は、図2において実線で示す被覆位置と、図2において二点鎖線で示す退避位置との間で往復回転可能である。被覆位置にあるカバー6は筐体41の上面を全体的に覆い、退避位置にあるカバー6は筐体41の上面を全く覆わない。
電気自動車3が駐車スペース22に駐車されていないか、又は、車載電池31の充電を必要としない電気自動車3が駐車スペース22に駐車されている場合、カバー6は被覆位置にある。故に、異物がカバー6の上面に載る可能性がある。しかしながら、異物が送電装置4の筐体41の上面に載る虞はない。
【0029】
制御装置5は脚部501及び制御盤502を備える。脚部501は駐車スペース22の外周部において地面21に立設されている。制御盤502は、一面が駐車スペース22に向くようにして、脚部501の先端部に設けられている。
制御装置5は、駐車スペース22の一方の短辺の近傍に配されている。駐車スペース22には、電気自動車3が、駐車スペース22の他方の短辺側から駐車スペース22の長辺に沿う一方向(図1及び図2における矢符方向。以下、電気自動車3の進入方向という)に進入する。電気自動車3は、駐車スペース22の中央部に停車する。
本実施の形態においては、カバー6の退避位置は、被覆位置から電気自動車3の進入方向に離隔している。
【0030】
送電装置4は、駐車スペース22において電気自動車3のタイヤ32,32,…夫々が通る範囲から外れた位置に配されている。カバー6の地面21からの高さは、電気自動車3の車体36の地面21からの高さよりも低い。故に、送電装置4又はカバー6が電気自動車3に接触することが抑制される。
駐車スペース22に電気自動車3が駐車されており、且つ、カバー6が退避位置にある場合、送電装置4の筐体41の上面は、電気自動車3の車体36に対向する。筐体41に収容されている送電コイル42と電気自動車3に備えられている受電コイル33とは上下に並ぶ。
【0031】
図3は、送電装置4と被覆位置にあるカバー6とを模式的に示す斜視図である。
図4は、送電装置4と退避位置にあるカバー6とを模式的に示す斜視図である。
カバー6は矩形板状をなす。カバー6は非導電性を有し、例えば合成樹脂製である。
カバー6は、一面が下向きになるようにして用いられる。カバー6の下面には刷毛61が設けられている。刷毛61は、カバー6に着脱可能な基体と、互いに同一方向に基体に植毛されている多数本の毛とを備える。刷毛61の基体は、毛が下向きになるようカバー6に装着される。
【0032】
非接触給電装置1は移動機構7を備える。移動機構7は枢軸71及びモータ72を備える。枢軸71は、カバー6の一隅(図3における右隅、図4における下隅)に設けられている。枢軸71はカバー6の下面に垂直である。枢軸71はモータ72の出力軸に接続されている。
モータ72が正転/逆転した場合、カバー6は、枢軸71を中心に一方向に回転/他方向に回転する。回転中のカバー6は筐体41の上面に沿って移動する。このとき、刷毛61が筐体41の上面に摺動する。
モータ72が停止した場合、カバー6は停止する。
【0033】
図5は、非接触給電装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
制御装置5は制御部51を備える。制御部51はCPUを有している。
制御装置5は、一時記憶部52、記憶部53、表示部54、操作部55、ドライバ56,57、及び通信部58を備える。これらはバスを介して制御部51に接続されている。
【0034】
一時記憶部52は揮発性メモリを用いてなる。記憶部53は不揮発性メモリを用いてなる。記憶部53には、非接触給電装置1の動作を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御部51は、一時記憶部52を作業領域として用い、記憶部53に記憶されているコンピュータプログラムに従って、装置各部の動作を制御し、各種処理を実行する。
表示部54及び操作部55は、制御盤502の駐車スペース22側の面に設けられている(図1参照)。表示部54は、例えば液晶ディスプレイである。操作部55は、例えば操作ボタンである。
【0035】
ドライバ56は、給電線11を介して移動機構7のモータ72を駆動する。制御部51は、ドライバ56の動作を制御することによって、モータ72を正転、逆転、又は停止させる。モータ72が所定時間正転して停止した場合、カバー6は被覆位置から退避位置に移動して停止する。モータ72が所定時間逆転して停止した場合、カバー6は退避位置から被覆位置に移動して停止する。
【0036】
制御装置5は電源部12を備える。電源部12は給電線13を介して送電装置4の送電コイル42に交流電流を出力する。ドライバ57は電源部12を駆動する。制御部51は、ドライバ56の動作を制御することによって、送電コイル42への交流電流の出力を実行/終了させる。
給電線11,13は、例えば駐車スペース22の地下を通って送電装置4と制御装置5との間に配線されている。
【0037】
通信部58は、電気自動車3の制御装置35との無線通信を確立させる。制御部51は、通信部58を用いて制御装置35との間で情報を送受信する。
【0038】
次に、車載電池31の充電について説明する。
電気自動車3の制御装置35は、車載電池31の残量に基づいて、車載電池31の充電の要否を判定する。車載電池31の充電が必要である場合、制御装置35は、電気自動車3が駐車スペース22に駐車されたときに、送電を求める送電要求を非接触給電装置1に送信する。
【0039】
図6及び図7は、非接触給電装置1で実行される送電処理の手順を示すフローチャートである。
制御部51は、図6に示すように、送電要求を受信したか否かを判定する(S11)。
送電要求の受信は、車載電池の充電を必要とする電気自動車3が駐車スペース22に駐車された(即ち、送電装置4の上側に電気自動車3が位置している)ことを示す。故に、送電要求を受信した場合(S11でYES)、制御部51は、カバー6を被覆位置から退避位置に移動させる(S12)。
【0040】
S12の処理を実行した場合、制御部51は、カバー6の移動回数を示す変数を“1”インクリメントする(S13)。
次いで、制御部51は送電を開始する(S14)。S14における制御部51は、電源部12に送電コイル42への交流電流の出力を実行させる。
【0041】
送電コイル42に交流電流が流れた場合、電磁誘導により、電気自動車3において、受電コイル33に交流電流が生じる。受電コイル33に生じた交流電流は整流器34で整流される。整流器34から出力された直流電流によって車載電池31が充電される。
電気自動車3の制御装置35は、車載電池31の残量に基づいて、車載電池31が満充電されたか否かを判定する。車載電池31が満充電された場合、制御装置35は、送電の終了を求めるための終了要求を非接触給電装置1に送信する。
【0042】
S14の処理終了後、制御部51は、終了要求を受信したか否かを判定する(S15)。
終了要求を受信した場合(S15でYES)、制御部51は、送電を終了する(S16)。S16における制御部51は、電源部12に送電コイル42への交流電流の出力を終了させる。次いで、制御部51は、カバー6を退避位置から被覆位置に移動させる(S17)。
【0043】
S12の処理が実行された後、S17の処理が実行されるまでの間、送電装置4の筐体41の上面はカバー6に覆われていない。しかしながら、送電装置4は電気自動車3に覆われている。故に、送電装置4がカバー6に覆われていない間に、筐体41の上面に異物が載ることが抑制される。
【0044】
とはいえ、車載電池31の充電には長時間を要するので、筐体41の上面に異物が載る可能性が全くないとは言えない。送電コイル42による送電中に筐体41の上面に異物が載った場合、誘導加熱により、異物が発熱する虞がある。
そこで、S14の処理によって送電が開始された後、S16の処理によって送電が終了するまでの間、筐体41の上面が定期的に清掃される。具体的には、制御部51が終了要求を受信していない場合(S15でNO)、制御部51は、所定のタイミングであるか否かを判定する(S18)。所定のタイミングであるか否かは、例えば、最後にカバー6を移動させてから所定時間(例えば1時間)が経過したか否かによって判定される。
【0045】
所定のタイミングである場合(S18でYES)、制御部51は、カバー6を退避位置と被覆位置との間で一往復させる(S19)。カバー6の往復時に、刷毛61が筐体41の上面に摺動するので、筐体41の上面に載っていた異物が除去される。即ち、筐体41の上面が清掃される。
【0046】
退避位置から被覆位置への移動、及び被覆位置から退避位置への移動は可及的短時間で行なわれることが望ましい。また、被覆位置でのカバー6の停止時間は略“0”であることが望ましい。以上の場合、カバー6に異物が載っていたとしても、異物が発熱することが抑制される。異物が僅かに発熱したとしても、カバー6が再び退避位置に戻ることによって、異物は自然に冷却される。
ところで、S19の処理が実行された場合と同様に、S17の処理が実行された場合にも、刷毛61によって筐体41の上面が清掃される。
【0047】
S19の処理終了後、制御部51は、カバー6の移動回数を示す変数を“1”インクリメントする(S20)。
S20の処理終了後、又は、所定のタイミングではない場合(S18でNO)、制御部51は、処理をS15へ戻す。
【0048】
S17の処理終了後、制御部51は、カバー6の移動回数が所定回数以上であるか否かを判定する(S21)。
刷毛61は徐々に劣化する。劣化した刷毛61は交換しなければならない。
そこで、カバー6の移動回数が所定回数以上である場合(S21でYES)、制御部51は、刷毛61の交換を促すための表示を行なう(S22)。S22における制御部51は、例えば表示部54に所定のメッセージ「刷毛を交換してください」を表示させる。
なお、S22における制御部51は、刷毛61の交換時期が来たことを示す情報を、外部の情報処理装置(例えば駐車場2の管理者が所有する情報端末機)に送信してもよい。
【0049】
S22の処理終了後、又はカバー6の移動回数が所定回数未満である場合(S21でNO)、制御部51は、送電処理を終了する。送電処理の終了後、制御部51は、再びS11から送電処理を開始する。
【0050】
刷毛61を交換する作業者は、駐車スペース22が空いている場合に、操作部55を操作する(例えばメンテナンスボタンを押す)。
送電要求を受信していない場合(S11でNO)、制御部51は、図7に示すように、メンテナンスを開始するか否かを判定する(S31)。S31における制御部51は、操作部55が操作されたか否かを判定する。
メンテナンスを開始しない場合(S31でNO)、制御部51は、処理を図6に示すS11に戻す。
メンテナンスを開始する場合(S31でYES)、制御部51は、カバー6を被覆位置から退避位置に移動させる(S32)。
【0051】
作業者は、退避位置にあるカバー6の刷毛61を、新しい刷毛61に交換する。また、作業者は、カバー6に載っている異物を除去する。
刷毛61の交換及びカバー6からの異物の除去後、作業者は、操作部55を再び操作する。
なお、刷毛61はカバー6ごと交換されてもよい。
【0052】
S32の処理終了後、制御部51は、メンテナンスを終了するか否かを判定する(S33)。S33における制御部51は、操作部55が再び操作されたか否かを判定する。
メンテナンスを終了しない場合(S33でNO)、制御部51は、再びS33の処理を実行する。
メンテナンスを終了する場合(S33でYES)、制御部51は、カバー6を退避位置から被覆位置に移動させ(S34)、カバー6の移動回数を“0”にリセットする(S35)。
S35の処理終了後、制御部51は、処理を図6に示すS11に戻す。
【0053】
以上のような非接触給電装置1によれば、非送電中は送電装置4がカバー6で覆われている。従って、非送電中に送電装置4に異物が載る虞がない。送電中は原則として送電装置4がカバー6で覆われていない。故に、カバー6に載っている異物が誘導加熱されることはない。以上の結果、送電による異物の発熱を抑制することができる。
移動機構7がカバー6を移動させるので、例えば電気自動車3の運転者が人力で送電装置4からカバー6を外したり送電装置4をカバー6で覆ったりする必要がない。また、制御部51が移動機構7の動作を制御することによってカバー6を移動させるので、例えば電気自動車3の運転者が操作部55を操作することによってカバー6を移動させる必要がない。
【0054】
なお、制御装置5は複数の駐車スペース22,22,…に共通でもよい。
本実施の形態においては、カバー6は送電装置4の筐体41の上面を全体的に覆うが、これに限定されるものではない。カバー6は、少なくとも、筐体41の上面における送電コイル42を覆う範囲を覆えばよい。
カバー6は板状であればよく、矩形板状に限定されない。
カバー6は非導電性に限定されず、導電性を有していてもよい。カバー6は送電装置4を異物から保護することが可能な材質であればよい。
【0055】
刷毛61は、カバー6の下面に全体的に設けられていてもよく、例えばカバー6の四辺のみに設けられていてもよい。少なくとも、刷毛61は、カバー6の四辺の内、筐体41の上面を全体的に通過する一辺(図3に向かってカバー6の右側の長辺。図4に向かってカバー6の手前側の長辺)に設けられていればよい。銀紙又はヘアピンのような平坦な又は小さな異物を確実に除去するためには、筐体41の上面に摺動する毛の本数は多い方が望ましい。
刷毛61に替えて、スクレーパ又は雑巾等がカバー6に設けられていてもよい。
【0056】
本実施の形態では、送電装置4の上側に電気自動車3が位置している場合にカバー6が被覆位置と退避位置との間で移動する。制御部51は、送電装置4の上側に電気自動車3が位置しているか否かを、電気自動車3から送電要求が送られてきたか否かによって判定するが、これに限定されるものではない。例えば送電装置4の上側に電気自動車3が位置しているか否かを検出する検出部を備え、検出部の検出結果に基づいて電気自動車3の在否が判定されてもよい。
【0057】
カバー6は、電気自動車3が駐車スペース22に接近している場合に退避位置に移動してもよい。カバー6は被覆位置から退避位置に向けて電気自動車3の進入方向に移動する。即ち、カバー6は、駐車スペース22に進入する電気自動車3から逃げるので、電気自動車3の駐車前にカバー6が移動したとしても、カバー6が電気自動車3に接触することが抑制される。
電気自動車3が駐車スペース22に接近しているか否かを判定するために、例えば電気自動車3が駐車スペース22に接近していることを検出する検出部が非接触給電装置1に備えられていてもよい。或いは、電気自動車3が駐車スペース22に接近していることを示す情報が電気自動車3から非接触給電装置1に送られてもよい。
【0058】
制御部51は、移動機構7に異常が生じている場合に移動機構7の異常を報知してもよい。移動機構7の異常を報知する場合、例えば、制御部51は、所定のエラーメッセージを表示部54に表示させる。又は、制御部51は、移動機構7に異常が生じていることを示す情報を、外部の情報処理装置に送信する。移動機構7に異常が生じているか否かを判定するために、例えば枢軸71の回転を検出する回転検出部が用いられる。回転検出部による検出結果は制御部51に与えられる。制御部51は、モータ72を回転(又は停止)させる制御を行なった場合、枢軸71が回転していない(又は回転している)とき、移動機構7に異常が生じている、と判定する。
【0059】
カバー6は往復回転する構成に限定されず、例えばレールに沿って往復直線移動してもよい。しかしながら、本実施の形態においては、レールを備えていない分、移動機構7が小型である。
【0060】
カバー6は上下方向の枢軸71を中心に回転する構成に限定されず、地面21に平行な枢軸を中心に回転してもよい。しかしながら、本実施の形態においては、カバー6の配置位置が上下方向に変化することはない。故に、例えば送電装置4の上側に位置している電気自動車3にカバー6が接触する虞がない。
【0061】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 非接触給電装置, 22 駐車スペース(設置場所), 3 電気自動車(車両), 4 送電装置, 41 筐体, 51 制御部, 6 カバー, 61 刷毛, 7 移動機構, 71 枢軸, 72 モータ
図1
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図7