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特許7311340スパウト付きパウチおよびエアゾール容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】スパウト付きパウチおよびエアゾール容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/62 20060101AFI20230711BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B65D83/62
B65D33/38
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019132356
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021017252
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 亮介
(72)【発明者】
【氏名】角田 真一
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-251881(JP,A)
【文献】特開2015-054692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0139993(US,A1)
【文献】特開2019-011137(JP,A)
【文献】特開2013-107655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0285510(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0110433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/14ー83/74
B65D 33/38
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容するパウチ本体と、前記パウチ本体内の内容物を注出するスパウトとを備え、前記スパウトに設けられた接合部が前記パウチ本体のシール部に固着されたスパウト付きパウチであって、
前記スパウトが固着された前記パウチ本体を捲回するときに前記パウチ本体に折り線を形成する折り線形成部を有し、
前記シール部の内縁と前記折り線形成部によって形成される折り線との交点が、前記内縁上において、前記接合部の両端よりも外方に位置し、
前記折り線形成部は、前記接合部に形成されていることを特徴とするスパウト付きパウチ。
【請求項2】
内容物を収容するパウチ本体と、前記パウチ本体内の内容物を注出するスパウトとを備え、前記スパウトに設けられた接合部が前記パウチ本体のシール部に固着されたスパウト付きパウチであって、
前記スパウトが固着された前記パウチ本体を捲回するときに前記パウチ本体に折り線を形成する折り線形成部を有し、
前記シール部の内縁と前記折り線形成部によって形成される折り線との交点が、前記内縁上において、前記接合部の両端よりも外方に位置し、
前記折り線形成部は、前記パウチ本体内に配置された折り線形成部材によって形成されていることを特徴とするスパウト付きパウチ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスパウト付きパウチと、前記スパウト付きパウチにおけるパウチ本体を収容するエアゾール容器本体とを備えてなることを特徴とするエアゾール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重構造のエアゾール容器に好適に用いることができるスパウト付きパウチおよびこのスパウト付きパウチを備えたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール製品において、内容物を噴射剤と混合することなく外部に吐出させることが望まれる場合には、エアゾール容器として、エアゾール容器本体の内部にスパウト付きパウチが収容されてなる二重構造のものが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
図9は、二重構造のエアゾール容器に用いられる従来のスパウト付きパウチの一例の要部の構成を示す説明図である。このスパウト付きパウチ80は、積層フィルムにより形成された、内容物を収容するパウチ本体85と、このパウチ本体85内に収容された内容物を注出するスパウト90とにより構成されている。パウチ本体85には、重ね合わされた積層フィルムの周縁部が熱溶着されることによってシール部86が形成され、このシール部86が形成されることによって、パウチ本体85の内部に内容物が収容される密閉空間が形成されている。スパウト90は、内容物が注出される筒状部91を有する。この筒状部91の一端側(図において下端側)には、当該筒状部91から半径方向外方に延出し、かつ外方に向かうに従って厚みが小さくなる接合部92が形成され、この接合部92がパウチ本体85におけるシール部86の一辺に固着されている。
【0004】
このようなスパウト付きパウチ80がエアゾール容器本体内に収容されてなるエアゾール容器においては、パウチ本体85内に内容物が充填されると共に、パウチ本体85とエアゾール容器本体の内面との間に形成される空間に圧縮ガスなどの噴射剤が充填される。そして、得られるエアゾール製品においては、スパウト90に設けられたバルブを開放したときに、噴射剤の圧力によってパウチ本体85が圧縮変形され、これにより、パウチ本体85内の内容物がスパウト90を介して外部に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-251881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなスパウト付きパウチにおいては、以下の理由により、パウチ本体のシール部における特定の部位に損傷が生じやすいことが判明した。
【0007】
スパウト付きパウチとエアゾール容器本体とによってエアゾール容器を構成する際には、図10に示すように、スパウト90を軸としてパウチ本体85を捲回することによって捲回体を作製し、この捲回体をエアゾール容器本体の開口に挿入することによって、パウチ本体をエアゾール容器本体内に収容することが行われている。そして、スパウト付きパウチ90の捲回体を作製する際には、パウチ本体85にスパウト90の接合部92の両端に沿って折り線F1,F2が形成される。
しかしながら、パウチ本体85に折り線F1,F2を形成すると、シール部におけるスパウト90との接触する部位には折り線F1,F2に沿って強度の低下が生じるため、落下したときの衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わることにより、シール部に損傷が生じやすくなる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、落下等による衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わっても、パウチ本体のシール部に損傷が生じることを抑制することができるスパウト付きパウチおよびこのスパウト付きパウチを備えたエアゾール容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスパウト付きパウチは、内容物を収容するパウチ本体と、前記パウチ本体内の内容物を注出するスパウトとを備え、前記スパウトに設けられた接合部が前記パウチ本体のシール部に固着されたスパウト付きパウチであって、
前記スパウトが固着された前記パウチ本体を捲回するときに前記パウチ本体に折り線を形成する折り線形成部を有し、
前記シール部の内縁と前記折り線形成部によって形成される折り線との交点が、前記内縁上において、前記接合部の両端よりも外方に位置し、前記折り線形成部は、前記接合部に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のスパウト付きパウチは、内容物を収容するパウチ本体と、前記パウチ本体内の内容物を注出するスパウトとを備え、前記スパウトに設けられた接合部が前記パウチ本体のシール部に固着されたスパウト付きパウチであって、
前記スパウトが固着された前記パウチ本体を捲回するときに前記パウチ本体に折り線を形成する折り線形成部を有し、
前記シール部の内縁と前記折り線形成部によって形成される折り線との交点が、前記内縁上において、前記接合部の両端よりも外方に位置し、前記折り線形成部は、前記パウチ本体内に配置された折り線形成部材によって形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のエアゾール容器は、前記スパウト付きパウチと、前記スパウト付きパウチにおけるパウチ本体を収容するエアゾール容器本体とを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスパウト付きパウチによれば、エアゾール容器を組み立てる際に、折り線形成部によって、シール部の内縁上において、スパウトの接合部の両端よりも外方に位置するよう折り線が形成されるので、パウチ本体のシール部におけるスパウトと接触する部位において強度の低下が生じることを回避することができる。従って、落下等による衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わっても、パウチ本体のシール部に損傷が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るスパウト付きパウチにおける要部の構成を示す説明図である。
図2図1に示すスパウト付きパウチにおけるパウチ本体が捲回される状態を示す説明図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係るスパウト付きパウチにおける要部の構成を示す説明図である。
図4図3に示すスパウト付きパウチにおけるパウチ本体が捲回される状態を示す説明図である。
図5】本発明のスパウト付きパウチの変形例における要部の構成を示す説明図である。
図6】本発明のスパウト付きパウチの他の変形例における要部の構成を示す説明図である。
図7】比較例1に係るスパウト付きパウチにおける要部の構成を示す説明図である。
図8】比較例2に係るスパウト付きパウチにおける要部の構成を示す説明図である。
図9】従来のスパウト付きパウチの一例の要部の構成を示す説明図である。
図10】従来のスパウト付きパウチにおけるパウチ本体が捲回される状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスパウト付きパウチにおける要部の構成を示す説明図である。このスパウト付きパウチ10は、積層フィルムにより形成された、内容物を収容するパウチ本体20と、このパウチ本体20内に収容された内容物を注出する樹脂製のスパウト30とを有する。また、この例のスパウト付きパウチ10においては、スパウト30には、パウチ本体20の内部の密閉空間に伸びるディップチューブ40が接続されている。
【0016】
パウチ本体20は、重ね合わされた積層フィルムの周縁部が熱溶着されることによって形成されたシール部21を有する。このシール部21が形成されることによって、パウチ本体20の内部に内容物が収容される密閉空間が形成されている。
【0017】
パウチ本体20を形成する積層フィルムとしては、シーラント層、金属層および樹脂層がこの順で積層されてなるものを用いることができる。シーラント層を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルなどを用いることができる。金属層を構成する材料としては、アルミニウムなどを用いることができる。樹脂層を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどを用いることができる。また、互いに異なる材質よりなる複数の樹脂層が設けられていてもよく、シーラント層と金属層との間に樹脂層が設けられていてもよい。
【0018】
スパウト30は、内容物が注出される筒状部31を有する。この筒状部31の一端側(図1において下端側)には、当該筒状部31から半径方向外方(図1において左右方向)に延出し、かつ外方に向かうに従って厚みが小さくなる接合部32が形成されている。この例の接合部32は、平面形状が台形であり、シール部21の内縁E1側の辺が短辺、シール部21の外縁E2側の辺が長辺となるよう配置されている。
【0019】
スパウト30の接合部32は、パウチ本体20におけるシール部21の一辺に固着されている。具体的には、スパウト30の接合部32は、パウチ本体20を形成する、重ね合わされた積層フィルムの周縁部の間に挟まれた状態で、当該積層フィルムの周縁部が熱溶着されることによって、得られるシール部21に固着されている。
【0020】
上記のスパウト付きパウチ10は、スパウト30を軸として、当該スパウト30が固着されたパウチ本体20を捲回するときに当該パウチ本体20に折り線F1,F2を形成する2つの折り線形成部35,36を有する。この例のスパウト付きパウチ10においては、スパウト30の接合部32におけるシール部21の外縁E2側の面(図1において上面)の両端が、折り線形成部35,36とされている。
【0021】
このスパウト付きパウチ10は、パウチ本体20におけるシール部21の内縁E1と折り線形成部35,36によって形成される折り線F1,F2との交点P1,P2が、シール部21の内縁E1上において、スパウト30における接合部32の両端よりも外方に位置するものとされる。
また、折り線F1,F2と、シール部21の内縁E1上における接合部32の両端を通過する、スパウト30の軸方向に伸びる仮想線V1,V2との距離は、シール部21の幅の1%以上の大きさであることが好ましく、より好ましくはシール部21の幅の5%以上の大きさであり、更に好ましくはシール部21の幅の10%以上の大きさである。折り線F1,F2と仮想線V1,V2との距離が過小である場合には、パウチ本体20に折り線F1,F2を形成する際に、シール部21における接合部32との接触する部位に強度の低下が生じやすくなるため、落下したときの衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わることにより、シール部21に損傷が生じる虞れがある。
また、折り線F1,F2の間の距離は、エアゾール容器本体の開口に挿入可能な捲回体が得られる大きさであればよく、例えばエアゾー容器本体の開口の径が1インチである場合には、折り線F1,F2の間の距離は1インチ未満である。
【0022】
上記のスパウト付きパウチ10において、エアゾール容器を組み立てる際には、図2に示すように、スパウト30を軸としてパウチ本体20が捲回される。このとき、スパウト30に形成された折り線形成部35,36によって、シール部21の内縁E1上において、スパウト30の接合部32の両端よりも外方に位置するよう折り線F1,F2が形成されるので、パウチ本体20のシール部21におけるスパウト30と接触する部位において強度の低下が生じることを回避することができる。従って、落下等による衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わっても、パウチ本体20のシール部21に損傷が生じることを抑制することができる。
【0023】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るスパウト付きパウチにおける要部の構成を示す説明図である。このスパウト付きパウチ10は、積層フィルムにより形成された、内容物を収容するパウチ本体20と、このパウチ本体20内に収容された内容物を注出する樹脂製のスパウト30とを有する。また、スパウト30には、パウチ本体20の内部の密閉空間に伸びるディップチューブ40が接続されている。
【0024】
スパウト30は、内容物が注出される筒状部31と、この筒状部31の一端側(図2において下端側)に形成された、当該筒状部31から半径方向外方(図2において左右方向)に延出し、かつ外方に向かうに従って厚みが小さくなる接合部32とを有する。この例の接合部32は、平面形状が矩形のものである。
【0025】
この例のスパウト付きパウチにおいては、パウチ本体20内における接合部32の直下位置に、リング状の折り線形成部材37がディップチューブ40に嵌め込まれて固定された状態で配置されており、この折り線形成部材37の外周面によって折り線形成部35,36が形成されている。
そして、このスパウト付きパウチ10は、パウチ本体20におけるシール部21の内縁E1と折り線形成部35,36によって形成される折り線F1,F2との交点P1,P2が、シール部21の内縁E1上において、スパウト30における接合部32の両端よりも外方に位置するものとされる。具体的には、折り線形成部材37の外径(外周が円形でない場合は、パウチ本体20における接合部32が固着されたシール部21の一辺が伸びる方向の幅)が、シール部21の内縁E1上における接合部32の幅より大きいものとされている。
【0026】
上記のスパウト付きパウチ10において、エアゾール容器を組み立てる際には、図4に示すように、スパウト30を軸としてパウチ本体20が捲回される。このとき、折り線形成部材37に形成された折り線形成部35,36によって、シール部21の内縁E1上において、スパウト30の接合部32の両端よりも外方に位置するよう折り線F1,F2が形成されるので、パウチ本体20のシール部21におけるスパウト30と接触する部位において強度の低下が生じることを回避することができる。従って、落下等による衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わっても、パウチ本体20のシール部21に損傷が生じることを抑制することができる。
また、折り線形成部35,36が、スパウト30の接合部32とは別体の折り線形成部材37によって形成されているため、接合部32の形態などの設計において大きい自由度が得られる。
【0027】
本発明のエアゾール容器は、上記のスパウト付きパウチ10と、このスパウト付きパウチ10におけるパウチ本体20を収容するエアゾール容器本体とを備えてなるものであり、スパウト30の筒状部31内には、当該スパウト30をハウジングとしてバルブが構成されている。
エアゾール容器本体およびバルブとしては、一般にエアゾール容器に使用されているものであれば、特に限定されず、種々の構造のものを採用することができる。
また、本発明のエアゾール容器は、1つのエアゾール容器本体に複数のスパウト付きパウチ10が収容されてなるもの、例えばいわゆるデュアルバルブ構造のエアゾール容器であってもよい。
このようなエアゾール容器によれば、エアゾール容器を組み立てる際に、パウチ本体20のシール部21におけるスパウト30と接触する部位において強度の低下が生じることを回避することができるので、落下等による衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わっても、パウチ本体20のシール部21に損傷が生じることを抑制することができる。
【0028】
以上、本発明の代表的な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず種々の変更を加えることができる。
例えば接合部32に折り線形成部35,36が形成されたスパウト30を備えた第1の実施の形態においては、接合部32は、図1に示す形状のものに限定されず、例えば図5に示すように、平面形状が六角形の接合部32を有するものであってもよい。この例では、図5において接合部の左右の頂点が折り線形成部35,36となる。また、接合部32は、図6に示すように、折り線形成部35,36が他の部分から外方に突出する形状のものであってもよい。
また、折り線形成部材37が設けられた第2の実施の形態においては、折り線形成部材37は、図3に示す形状のものに限定されず、所要の折り線F1,F2を形成し得るものであれば、種々の形状を採用することができる。
【実施例
【0029】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
〈実施例1〉
図1に示す構成に従い、下記の仕様のスパウト付きパウチを作製した。
(1)パウチ本体
材質:12μmのポリエチレンテレフタレート層、9μmのアルミニウム層、15μmのナイロン層および70μmのポリプロピレン層の積層体よりなる積層フィルム
寸法:縦幅(高さ)=140mm,横幅=90mm,ガセットの幅=22mm,シール部の幅=7mm
規格容量:200mL
(2)スパウト
材質:ポリプロピレン
接合部の平面形状(台形)の寸法:シール部の外縁側の一辺(長辺)=15mm,シール部の内縁側の一辺(短辺)=10mm,高さ(長辺-短辺間の長さ)=7mm このスパウト付きパウチにおいては、折り線(F1,F2)と仮想線(V1,V2)との距離が2.5mmであり、折り線(F1,F2)の間の距離が15mmである。
得られたスパウト付きパウチについて、スパウトを軸としてパウチ本体を捲回することにより、直径が1インチ以下の捲回体を作製し、捲回状態が維持されるよう捲回体の両端部を紙テープで固定した。
【0031】
〈実施例2〉
図3に示す構成に従い、下記の仕様のスパウト付きパウチを作製した。
(1)パウチ本体
実施例1と同様のものを使用した。
(2)スパウト
材質:ポリプロピレン
接合部の平面形状(矩形)の寸法:縦幅=7mm,横幅=12mm
(3)折り線形成部材
材質=ポリプロピレン
形状および寸法:円形のリング状,外径=15mm
このスパウト付きパウチにおいては、折り線(F1,F2)と仮想線(V1,V2)との距離が1.5mmであり、折り線(F1,F2)の間の距離が15mmである。
得られたスパウト付きパウチについて、実施例1と同様にして直径が1インチ以下の捲回体を作製し、捲回状態が維持されるよう捲回体の両端部を紙テープで固定した。
【0032】
〈実施例3〉
図5に示す構成に従い、下記の仕様のスパウト付きパウチを作製した。
(1)パウチ本体
実施例1と同様のものを使用した。
(2)スパウト
材質:ポリプロピレン
接合部の平面形状(六角形)の寸法:シール部の外縁側の一辺(上辺)=12mm,シール部の内縁側の一辺(下辺)=12mm,高さ(上辺-下辺間の長さ)=7mm
このスパウト付きパウチにおいては、折り線(F1,F2)と仮想線(V1,V2)との距離が1.5mmであり、折り線(F1,F2)の間の距離が15mmである。
得られたスパウト付きパウチについて、実施例1と同様にして直径が1インチ以下の捲回体を作製し、捲回状態が維持されるよう捲回体の両端部を紙テープで固定した。
【0033】
〈実施例4〉
図6に示す構成に従い、下記の仕様のスパウト付きパウチを作製した。
(1)パウチ本体
材質:12μmのポリエチレンテレフタレート層、9μmのアルミニウム層、15μmのナイロン層および70μmのポリエチレン層の積層体よりなる積層フィルム
寸法:縦幅(高さ)=140mm,横幅=90mm,ガセットの幅=22mm,シール部の幅=7mm
規格容量:200mL
(2)スパウト
材質:ポリエチレン
接合部の平面形状の寸法:シール部の外縁側の一辺(上辺)=10mm,シール部の内縁側の一辺(下辺)=10mm,高さ(上辺-下辺間の長さ)=7mm
このスパウト付きパウチにおいては、折り線(F1,F2)と仮想線(V1,V2)との距離が1mmであり、折り線(F1,F2)の間の距離が12mmである。
得られたスパウト付きパウチについて、実施例1と同様にして直径が1インチ以下の捲回体を作製し、捲回状態が維持されるよう捲回体の両端部を紙テープで固定した。
【0034】
〈比較例1〉
図7に示す構成に従い、下記の仕様のスパウト付きパウチを作製した。
(1)パウチ本体
実施例1と同様のものを使用した。
(2)スパウト
材質:ポリプロピレン
接合部の平面形状(台形)の寸法:短辺(シール部の外縁側の辺)=7mm,長辺(シール部の内縁側の辺)=12mm,高さ(長辺-短辺間の長さ)=7mm
得られたスパウト付きパウチについて、実施例1と同様にして直径が1インチ以下の捲回体を作製し、捲回状態が維持されるよう捲回体の両端部を紙テープで固定した。
【0035】
〈比較例2〉
図8に示す構成に従い、下記の仕様のスパウト付きパウチを作製した。
(1)パウチ本体
実施例4と同様のものを使用した。
(2)スパウト
材質:ポリエチレン
接合部の平面形状(凸形)の寸法:短辺(シール部の外縁側の辺)=8mm,長辺(シール部の内縁側の辺)=12mm,高さ(長辺-短辺間の長さ)=7mm
得られたスパウト付きパウチについて、実施例1と同様にして直径が1インチ以下の捲回体を作製し、捲回状態が維持されるよう捲回体の両端部を紙テープで固定した。
【0036】
〔評価〕
試験1(外観試験)
実施例1~4および比較例1~2に係るスパウト付きパウチの捲回体をそれぞれ30個用意し、それぞれのパウチ本体のシール部におけるスパウトとの接触する部位を観察し、シール部の内縁と折り線との交点(P1、P2)の少なくともいずれか一方に、肉眼で損傷が認められた場合を外観不良としてその有無を調べた。下記表1に外観不良のスパウト付きパウチの個数を示す。
試験2(ストレス充填試験)
実施例1~4および比較例1~2に係るスパウト付きパウチの捲回体をそれぞれ30個用意し、それぞれのパウチ本体内に220mL(規格容量の1.1倍の量)の内容物を充填し、それぞれのパウチ本体のシール部におけるスパウトとの接触する部位における破損の有無を調べた。下記表1にシール部に破損が生じたスパウト付きパウチの個数を示す。 試験3(落下試験)
実施例1~4および比較例1~2に係るスパウト付きパウチの捲回体をそれぞれ30個用意し、それぞれのパウチ本体内に200mL(規格容量と同量)の内容物を充填し、当該スパウト付きパウチを1mの高さの位置から3回落下させた後、それぞれのパウチ本体のシール部におけるスパウトとの接触する部位における破損の有無を調べた。下記表1にシール部に破損が生じたスパウト付きパウチの個数を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1の結果から明らかなように、実施例1~4に係るスパウト付きパウチによれば、落下等による衝撃力や、内容物を充填するときに過度の応力が加わっても、パウチ本体のシール部に損傷が生じることが抑制されることが確認された。
【符号の説明】
【0039】
10 スパウト付きパウチ
20 パウチ本体
21 シール部
30 スパウト
31 筒状部
32 接合部
35,36 折り線形成部
37 折り線形成部材
40 ディップチューブ
80 スパウト付きパウチ
85 パウチ本体
86 シール部
90 スパウト
91 筒状部
92 接合部
E1 内縁
E2 外縁
F1,F2 折り線
P1,P2 シール部の内縁と折り線との交点
V1,V2 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10