(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20230711BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230711BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20230711BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 330
G09F9/30 348A
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2019156648
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】金谷 康弘
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/170160(US,A1)
【文献】特表2016-512347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0358503(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0242549(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0229170(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271312(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062674(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0174519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L21/447-21/449
21/60-21/607
23/12-23/15
25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
27/15
33/00
33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上の金属層と、
前記金属層上の発光素子と、を含み、
前記有機絶縁層は前記発光素子と重畳する凸部を含み、
前記金属層は前記凸部を覆い、前記凸部の側面に沿った段差部を含む表示装置。
【請求項2】
前記凸部の高さは、0.2μm以上10μm以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記凸部の側面はテーパーを有し、前記有機絶縁層の上面と前記凸部の前記側面とのなす角は、20度以上90度以下である請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
平面視において、前記凸部の形状は、円形、楕円形、または多角形である請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記凸部は、少なくとも2つの前記発光素子と重畳するように延伸して設けられている請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板上の有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上にあって、所定のパターンを有する無機絶縁層と、
前記無機絶縁層上の金属層と、
前記金属層上の発光素子と、を含み、
前記無機絶縁層は前記発光素子と重畳し、
前記金属層は前記無機絶縁層を覆い、前記無機絶縁層の側面に沿った段差部を含む表示装置。
【請求項7】
前記無機絶縁層の厚さは、0.2nm以上10nm以下である請求項
6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記無機絶縁層の側面はテーパーを有し、前記有機絶縁層の上面と前記無機絶縁層の前記側面とのなす角は、20度以上90度以下である請求項
6または請求項
7に記載の表示装置。
【請求項9】
平面視において、前記無機絶縁層の前記所定のパターンは、円形、楕円形、または多角形である請求項
6乃至請求項
8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記無機絶縁層は、少なくとも2つの前記発光素子と重畳するように延伸して設けられている請求項
6乃至請求項
9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記金属層と前記発光素子とは、はんだ、銀ペースト、またはACFによって接合され、電気的に接続されている請求項1乃至請求項
10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記発光素子は、マイクロLEDである請求項1乃至請求項
11のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特にマイクロLEDを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の中小型ディスプレイにおいては、液晶やOLED(Organic Light Emitting Diode)を用いたディスプレイが既に製品化されている。なかでも、自発光型素子であるOLEDを用いたOLEDディスプレイは、液晶ディスプレイと比べて、高コントラストでバックライトが不要という利点を有する。しかしながら、OLEDは有機化合物で構成されるため、有機化合物の劣化によってOLEDディスプレイの高信頼性を確保することが難しい。
【0003】
一方、次世代ディスプレイとして、マトリクス状に配列された画素内に微小なマイクロLEDを配置した、いわゆるマイクロLEDディスプレイの開発が進められている。マイクロLEDは、OLEDと同様の自発光型素子であるが、OLEDと異なり、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などを含む無機化合物で構成されるため、OLEDディスプレイと比較すると、マイクロLEDディスプレイは高信頼性を確保しやすい。さらに、マイクロLEDは、発光効率が高く、高輝度にすることもできる。したがって、マイクロLEDディスプレイは、高信頼性、高輝度、高コントラストの次世代ディスプレイとして期待されている。
【0004】
マイクロLEDは、一般的なLEDと同様にサファイア等の基板の上に形成され、基板をダイシングすることによって個々のマイクロLEDに分離される。上述したように、マイクロLEDディスプレイでは、ディスプレイ基板の画素内にダイシングされたマイクロLEDが移送されて接合される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開2017/0288102号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マイクロLEDの接合される金属層とその下方の有機絶縁層との密着性が低い場合、接合の際の熱処理において、金属層と有機絶縁層との界面で剥離される場合があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、表示装置の発光層が接合される金属層の応力を緩和し、金属層と接する有機絶縁層との界面での剥離を抑制することを課題の一つとする。また、表示装置の信頼性を向上させることを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板と、基板上の有機絶縁層と、有機絶縁層上の金属層と、金属層上の発光素子と、を含み、有機絶縁層は発光素子と重畳する凸部を含み、金属層は凸部を覆い、凸部の側面に沿った段差部を含む。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板と、基板上の有機絶縁層と、有機絶縁層上の金属層と、金属層上の発光素子と、を含み、有機絶縁層は発光層と重畳する凹部を含み、金属層は凹部を覆い、凹部の側面に沿った段差部を含む。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板と、基板上の有機絶縁層と、有機絶縁層上にあって、所定のパターンを有する無機絶縁層と、無機絶縁層上の金属層と、金属層上の発光素子と、を含み、無機絶縁層は発光素子と重畳し、金属層は無機絶縁層を覆い、無機絶縁層の側面に沿った段差部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略断面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略部分拡大図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略部分拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略部分拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略平面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る表示装置の作製方法における表示装置の概略部分拡大図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る表示装置の作製方法における表示装置の概略部分拡大図である。
【
図6C】本発明の一実施形態に係る表示装置の作製方法における表示装置の概略部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
本明細書において「αはA、BまたはCを含む」、「αはA,BおよびCのいずれかを含む」、「αはA,BおよびCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0014】
本明細書において、説明の便宜上、「上」または「上方」もしくは「下」または「下方」という語句を用いて説明するが、原則として、構造物が形成される基板を基準とし、基板から構造物に向かう方向を「上」または「上方」とする。逆に、構造物から基板に向かう方向を「下」または「下方」とする。したがって、基板上の発光素子という表現において、発光素子の基板側の面が下面となり、その反対側の面が上面となる。また、基板上の発光素子という表現においては、基板と発光素子との上下関係を説明しているに過ぎず、基板と発光素子との間に他の部材が配置されていてもよい。さらに、「上」または「上方」もしくは「下」または「下方」の語句は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、平面視において重畳する位置関係になくてもよい。
【0015】
本明細書において、「表示装置」とは、発光素子を用いて映像を表示する装置を幅広く含むものであり、表示パネルや表示モジュールだけでなく、他の光学部材(例えば、偏光部材、バックライト、タッチパネル等)が取り付けられた装置も含むものとする。
【0016】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0017】
<第1実施形態>
図1および
図2を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置10について説明する。
【0018】
[表示装置10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概略断面図である。具体的には、
図1は、表示装置10の画素を含むように切断された断面図である。
【0019】
図1に示すように、表示装置10は、基板100、第1配線層110、第2配線層120、第1絶縁層130、第2導電層140、第2絶縁層150、第1導電層160、有機絶縁層170、第1接続電極180、金属層190、発光素子200、平坦化層250、および第2接続電極210を含む。
【0020】
基板100上には、第1配線層110および第2配線層120が設けられている。第1配線層110および第2配線層120の上には、第1絶縁層130、第2導電層140、第2絶縁層150、および第1導電層160が順に積層されている。第1配線層110上では、第1絶縁層130および第2絶縁層150が開口され、第1導電層160は、第1絶縁層130および第2絶縁層150の開口を介して第1配線層110と電気的に接続されている。また、第2配線層120上では、第1絶縁層130が開口され、第2導電層140は、第1絶縁層130の開口を介して第2配線層120と電気的に接続されている。
【0021】
また、第2絶縁層150および第1導電層160の上には、開口を含む有機絶縁層170が設けられている。有機絶縁層170の開口には第1接続電極180が設けられ、第1接続電極180は、有機絶縁層170の開口を介して第1導電層160と電気的に接続されている。第1接続電極180上には、金属層190が設けられ、金属層190は、第1接続電極180と電気的に接続されている。金属層190上には発光素子200が設けられている。発光素子200上には、第2接続電極210が設けられている。なお、有機絶縁層170と第2接続電極210との間の空間内には、平坦化層250として有機樹脂が充填されていてもよい。
【0022】
基板100は、各層を支持することができる。基板100として、例えば、ポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板などの樹脂を含み、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。基板100の耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物を導入してもよい。基板100が透明である必要はない場合は、基板100の透明度が低下する不純物を用いることができる。一方、基板100が可撓性を有する必要がない場合は、基板100としてガラス基板、石英基板、およびサファイア基板など、透光性を有し、可撓性を有しない剛性基板を用いることができる。さらに、基板100としてシリコン基板、炭化シリコン基板、化合物半導体基板などの半導体基板や、ステンレス基板などの導電性基板など、透光性を有さない基板を用いることができる。また、基板100として、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜が成膜された基板を用いることもできる。
【0023】
第1配線層110、第2配線層120、第1導電層160、第2導電層140、および第1接続電極180の各々は、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、およびこれらの合金または化合物を用いることができる。また、これらの金属材料を積層して、第1配線層110、第2配線層120、第1導電層160、第2導電層140、または第1接続電極180とすることもできる。
【0024】
第1絶縁層130および第2絶縁層150の各々は、絶縁性材料を用いることができる。絶縁性材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁体を用いることができる。ここで、SiOxNyおよびAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない量の窒素(N)を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。また、SiNxOyおよびAlNxOyは、窒素よりも少ない量の酸素を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。また、第1絶縁層130および第2絶縁層150の各々は、上記のような無機絶縁材料だけでなく、有機絶縁材料を用いることもできる。有機絶縁材料として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などを用いることができる。第1絶縁層130および第2絶縁層150の各々は、無機絶縁材料および有機絶縁材料が各々単独で用いられてもよく、これらが積層されてもよい。
【0025】
有機絶縁層170は、有機絶縁層170の下方の層の段差を平坦にすることができる。有機絶縁層170の材料として、例えば、感光性アクリル樹脂または感光性ポリイミド樹脂などの有機材料を用いることができる。また、第1絶縁層130および第2絶縁層150で用いる無機絶縁材料を用いることもできる。さらに、有機絶縁層170は積層構造とすることもできる。積層構造は、有機材料と無機絶縁材料との積層であってもよい。
【0026】
有機絶縁層170の上面には、凸部171が設けられている。凸部171の高さ(有機絶縁層170の上面から凸部171の上面までの距離)は、例えば、0.2μm以上10.0μm以下である。なお、有機絶縁層170の高さは、金属層190の厚さの1/2以上の高さ、より好ましくは金属層190の厚さよりも大きい高さであることが好ましい。
【0027】
凸部171の側面はテーパーを有していてもよい。すなわち、凸部171の側面は、有機絶縁層170の上面に対して垂直でなくてもよい。有機絶縁層170の上面と凸部171の側面とのなす角は、例えば、20度以上90度以下、好ましくは30度以上80度以下、さらに好ましくは40度以上70度以下である。
【0028】
また、平面視において、凸部171の形状は、円形、楕円形、または多角形とすることができる。凸部171の形状は、発光素子200の形状に合わせることが好ましい。例えば、発光素子200の形状が矩形であれば、凸部171の形状も矩形であることが好ましい。
【0029】
金属層190は、発光素子200からの発光を反射することができる。また、金属層190は、発光素子200の電極と、接続電極180とを電気的に接続するため導電性を有する。金属層190の材料として、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、または白金(Pt)などの高い反射率を有する金属材料を用いることが好ましい。なお、金属層190の材料として、第1配線層110、第2配線層120、第1導電層160、第2導電層140、および第1接続電極180で用いる金属材料を用いることもできる。
【0030】
金属層190は、有機絶縁層170の凸部171を覆うように設けられている。すなわち、金属層190は、凸部171の上面および側面と重畳して設けられている。金属層190の厚さは、例えば、0.2μm以上3μm以下、好ましくは0.5nm以上2μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上0.75μm以下である。金属層190の厚さが小さいと、金属層190の抵抗が高くなるだけでなく、金属層190の応力を緩和することが困難となる。また、金属層190の厚さが大きいと、金属層190の成膜および加工に時間を要するため、表示装置10の製造タクトが長くなる。そのため、金属層190の厚さは、上記範囲であることが好ましい。
【0031】
発光素子200は、例えば、発光ダイオード(LED)またはレーザダイオード(LD)である。なお、発光ダイオードには、ミニLEDまたはマイクロLEDが含まれる。
【0032】
発光素子200は、表示装置10の各画素に設けられるが、各画素には、赤色発光素子、緑色発光素子、および赤色発光素子のいずれか1つが設けられる。赤色発光素子の赤色発光、緑色発光素子の緑色発光、および青色発光素子の青色発光を組み合わせることで、表示装置10は、フルカラー表示が可能となる。また、各画素の発光素子200を白色発光素子とし、カラーフィルタを介して赤色発光、緑色発光、および青色発光を取り出すことでも、表示装置10は、フルカラー表示が可能となる。さらに、各画素の発光素子200を紫外発光素子とし、赤色蛍光体、緑色蛍光体、および青色蛍光体を介して、赤色発光、緑色発光、および青色発光を取り出すことでも、表示装置10は、フルカラー表示が可能となる。
【0033】
表示装置10において、複数の発光素子200は、マトリクス状に配置されてもよく、千鳥状またはストライプ状に配置されていてもよい。
【0034】
発光素子200の構造は、電極が垂直方向に配置される垂直電極構造に限られない。発光素子200の構造として、電極が水平方向に配置される水平電極構造も可能である。
図1に示す発光素子200は垂直電極構造を有し、発光素子200の電極の一方が金属層190と電気的に接続し、発光素子200の電極の他方が第2接続電極210と電気的に接続されている。
【0035】
発光素子200は、金属層190上に設けられるが、金属層190と発光素子200とは、スズ(Sn)またはスズを含む合金などのはんだ、銀(Ag)ペースト、もしくはACFなどの導電材料によって接合され、電気的に接続されている。
【0036】
第2接続電極210は、発光素子200からの発光を透過することができる。また、第2接続電極210は、導電性が高いことが好ましい。第2接続電極210の材料として、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)またはインジウム・亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電性酸化物を用いることができる。
【0037】
続いて、
図2を用いて、凸部171上に設けられた金属層190の効果について説明する。
【0038】
図2Aおよび
図2Bは、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概略部分拡大図および概略平面図である。具体的には、
図2Aは、
図1に示す破線で囲まれた領域11を拡大した断面図である。また、
図2Bは、
図2Aの領域11に対応する平面図である。なお、
図2Aおよび
図2Bでは、便宜上、発光素子200上の第2接続電極210を省略している。
【0039】
図2Aに示すように、凸部171上に設けられる金属層190は、凸部171の上面だけでなく、凸部171の側面を覆っている。すなわち、金属層190は、凸部171の側面に沿って設けられるため、金属層190は、段差191を含む。
【0040】
また、
図2Bに示すように、金属層190の段差191は、発光素子200を囲むように設けられている。
【0041】
上述したように、金属層190と発光素子200とは、はんだ、銀ペースト、またはACFなどの材料によって接合されるが、接合の際に熱処理が行われる。一般的に、有機絶縁層170の材料と金属層190の材料とは熱膨張率が異なるため、熱処理による膨張または収縮において発生する応力が、有機絶縁層170と金属層190とで異なる。そのため、有機絶縁層170と金属層190との応力の差が大きい場合、有機絶縁層170と金属層190との界面で剥離が起きる。
【0042】
しかしながら、本実施形態では、金属層190が段差191を含む。金属層190が段差191を含むことで、金属層190の応力は、水平方向成分だけでなく、垂直方向成分を含むことになり、金属層190の応力が分散される。言い換えると、金属層190が段差191を含むことで金属層190の応力が緩和されるということもできる。なお、接合の際の熱処理だけでなく、表示装置10の使用環境における熱変化に対しても金属層190の応力が緩和されるため、表示装置10の信頼性が向上する。
【0043】
以上、本実施形態の表示装置10によれば、有機絶縁層170上に設けられた凸部171によって、金属層190が段差191を含む。そのため、発光素子200の接合における熱処理において、金属層190の応力が緩和されるため、金属層190と有機絶縁層170との界面での剥離を抑制することができる。また、表示装置10は、熱変化に強くなるため、表示装置10の信頼性が向上する。
【0044】
表示装置10は様々な変形、または修正が可能である。そこで、
図3および
図4を用いて、表示装置10の変形例である表示装置10Aおよび表示装置10Bについて説明する。なお、表示装置10の変形例は、以下のものに限られない。
【0045】
[変形例1]
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Aの概略部分拡大図である。具体的には、
図3は、
図1に示す破線で囲まれた領域11に対応する表示装置10Aの領域11Aの部分拡大図である。
【0046】
図3に示すように、表示装置10Aは、有機絶縁層170A、金属層190A、および発光素子200を含む。有機絶縁層170Aには、有機絶縁層170Aの上面から窪んだ凹部171Aが設けられている。金属層190Aは、凹部171Aを覆うように設けられている。発光素子200は、金属層190A上に、はんだ、銀ペースト、またはACFなどの導電材料によって接合される。
【0047】
凹部171Aの深さ(有機絶縁層170Aの上面から凹部171Aの底面までの距離)は、例えば、0.2μm以上10μm以下である。また、凹部171Aの深さは、金属層190の厚さの1/2以上の深さ、さらに好ましくは金属層190の厚さより大きい深さであることが好ましい。また、凹部171Aの側面はテーパーを有していてもよい。すなわち、凹部171Aの側面は、有機絶縁層170Aの上面に対して垂直でなくてもよい。有機絶縁層170Aの上面と凹部171Aの側面とのなす角は、例えば、20度以上90度以下、好ましくは30度以上80度以下、さらに好ましくは40度以上70度以下である。
【0048】
また、平面視において、凹部171Aの形状は、円形、楕円形、または多角形とすることができる。凹部171Aの形状は、発光素子200の形状に合わせることが好ましい。例えば、発光素子200の形状が矩形であれば、凹部171Aの形状も矩形であることが好ましい。
【0049】
図3に示すように、凹部171A上に設けられる金属層190Aは、凹部171Aの上面だけでなく、凹部171Aの側面を覆っている。すなわち、金属層190Aは、凹部171Aの側面に沿って設けられるため、金属層190Aは、段差191Aを含む。したがって、表示装置10Aにおいても、金属層190Aが段差191Aを含むため、接合の際の熱処理において金属層190の応力が緩和される。
【0050】
以上、本実施形態の表示装置10Aによれば、有機絶縁層170A上に設けられた凹部171Aによって、金属層190Aが段差191Aを含む。そのため、発光素子200の接合における熱処理において、金属層190Aの応力が緩和されるため、金属層190Aと有機絶縁層170Aとの界面での剥離を抑制することができる。また、表示装置10Aは、熱変化に強くなるため、表示装置10Aの信頼性が向上する。
【0051】
[変形例2]
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Bの概略部分拡大図である。具体的には、
図4は、
図1に示す破線で囲まれた領域11に対応する表示装置10Bの領域11Bの部分拡大図である。
【0052】
図4に示すように、表示装置10Bは、有機絶縁層170B、無機絶縁層172B、金属層190B、および発光素子200を含む。無機絶縁層172Bは、所定のパターンを有し、有機絶縁層170B上に設けられている。金属層190Bは、無機絶縁層172Bを覆うように設けられている。発光素子200は、金属層190B上に、はんだ、銀ペースト、またはACFなどの導電材料によって接合される。
【0053】
無機絶縁層172Bの厚さは、例えば、0.2nm以上10nm以下であり、金属層190の1/2以上の厚さ、さらに金属層190の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0054】
無機絶縁層172Bの側面はテーパーを有していてもよい。すなわち、無機絶縁層172Bの側面は、有機絶縁層170Bの上面に対して垂直でなくてもよい。有機絶縁層170Bの上面と無機絶縁層172Bの側面とのなす角は、例えば、20度以上90度以下、好ましくは30度以上80度以下、さらに好ましくは40度以上70度以下である。
【0055】
無機絶縁層172Bの材料は、絶縁性材料を用いることができる。絶縁性材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁体を用いることができる。ここで、SiOxNyおよびAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない量の窒素(N)を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。また、SiNxOyおよびAlNxOyは、窒素よりも少ない量の酸素を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。なお、無機絶縁層172Bは、これらの材料が積層されていてもよい。
【0056】
また、平面視において、無機絶縁層172Bは所定のパターンを有しており、パターンの形状は、円形、楕円形、または多角形とすることができる。無機絶縁層172Bのパターンの形状は、発光素子200の形状に合わせることが好ましい。例えば、発光素子200の形状が矩形であれば、無機絶縁層172Bの形状も矩形であることが好ましい。
【0057】
図4に示すように、無機絶縁層172B上に設けられる金属層190Bは、無機絶縁層172Bの上面だけでなく、無機絶縁層172Bの側面を覆っている。すなわち、金属層190Bは、無機絶縁層172Bの側面に沿って設けられるため、金属層190Bは、段差191Bを含む。したがって、表示装置10Bにおいても、金属層190Bが段差191Bを含むため、接合の際の熱処理において金属層190Bの応力が緩和される。
【0058】
以上、本実施形態の表示装置10Bによれば、有機絶縁層170B上に設けられた無機絶縁層172Bによって、金属層190Bが段差191Bを含む。そのため、発光素子200の接合における熱処理において、金属層190Bの応力が緩和されるため、金属層190Bと有機絶縁層170Bとの界面での剥離を抑制することができる。また、表示装置10Bは、熱変化に強くなるため、表示装置10Bの信頼性が向上する。
【0059】
<第2実施形態>
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置20について説明する。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置20の概略平面図である。具体的には、
図5は、隣接する2つの発光素子200を含む領域11Cにおける平面図である。
【0061】
図5に示すように、表示装置20は、有機絶縁層170C、第1金属層190C-1、第2金属層190C-2、第1発光素子200-1、および第2発光素子200-2を含む。有機絶縁層170Cの上面には、凸部171Cが2つの発光素子200と重畳するように延伸して設けられている。言い換えると、凸部171Cがストライプ状に設けられているということもできる。第1金属層190C-1および第2金属層190C-2は、凸部171Cを覆うように設けられている。第1発光素子200-1は第1金属層190C-1上に、第2発光素子200-2は第2金属層190C-2上に、はんだ、銀ペースト、またはACFなどの導電材料によって接合される。
【0062】
図5では、凸部171Cは一方向にのみ延伸されているが、凸部171Cは二方向に延伸されていてもよい。言い換えると、平面視において、2つの直線が交差するように凸部を設けることができる。その場合、発光素子200は、直線の交差部に設けられる。
【0063】
図5に示すように、凸部171C上に設けられる第1金属層190C-1および第2金属層190C-2は、凸部171Cの上面だけでなく、凸部171Cの側面を覆っている。すなわち、第1金属層190C-1および第2金属層190C-2は、凸部171Cの側面に沿って設けられるため、第1金属層190C-1および第2金属層190C-2は、それぞれ、第1段差191C-1および第2段差191C-2を含む。したがって、表示装置20においても、第1金属層190C-1および第2金属層190C-2が、それぞれ、第1段差191C-1および第2段差191C-2を含むため、接合の際の熱処理において第1金属層190C-1および第2金属層190C-2の応力が緩和される。
【0064】
以上、本実施形態の表示装置20によれば、有機絶縁層170C上に延伸して設けられた凸部171Cによって、第1金属層190C-1および第2金属層190C-2が、それぞれ、第1段差191C-1および第2段差191C-2を含む。そのため、発光素子200の接合における熱処理において、第1金属層190C-1および第2金属層190C-2の応力が緩和されるため、第1金属層190C-1と有機絶縁層170Cとの界面または第2金属層190C-2と有機絶縁層170Cとの界面での剥離を抑制することができる。また、表示装置20は、熱変化に強くなるため、表示装置20の信頼性が向上する。
【0065】
<第3実施形態>
図6を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置10の作製方法について説明する。
【0066】
図6A~
図6Cは、本発明の一実施形態に係る表示装置10の作製方法における表示装置10の概略部分拡大図である。具体的には、
図6A~
図6Cは、作製方法の各ステップにおける
図1に示す破線で囲まれた領域11の部分拡大図である。なお、
図6A~
図6Cでは、有機絶縁層170より下方の層を省略している。有機絶縁層170より下方の層は、通常の方法で作製することができる。
【0067】
まず、有機絶縁層170を形成する。有機絶縁層170は、スピンコート、スリットコート、印刷またはインクジェットなどによって形成することができる。次に、有機絶縁層170上にフォトレジスト300を塗布し、フォトレジスト300をマスクとして露光を行い、有機絶縁層170をハーフエッチングする(
図6A)。あるいは、有機絶縁層170上のフォトレジスト300をハーフトーンマスクとして露光を行い、有機絶縁層170をエッチングしてもよい。フォトレジスト300は、剥離液によって剥離される。以上の方法により、有機絶縁層170の上面に凸部171が形成される。
【0068】
次に、金属層190を形成する。金属層190は、スパッタリングまたはCVDなどによって形成することができる。次に、金属層190上にフォトレジスト310を塗布し、フォトレジスト300をマスクとして露光を行い、金属層190をエッチングする(
図6B)。フォトレジスト310は、剥離液によって剥離される。以上の方法により、凸部171を覆う金属層190に段差191が形成される。
【0069】
続いて、金属層190上に、はんだ、銀ペースト、またはACFなどの接合材料230を塗布し、発光素子200を接合する(
図6C)。また、接合の際に熱処理を行うことができる。
【0070】
以上、本実施形態の表示装置10の作製方法によれば、有機絶縁層170上に設けられた凸部171によって、金属層190が段差191を含む。そのため、発光素子200の接合における熱処理において、金属層190の応力が緩和されるため、金属層190と有機絶縁層170との界面での剥離を抑制することができる。したがって、熱処理の温度を高くすることもできるため、金属層190と発光素子200との接合強度を高くすることができる。また、表示装置10は、熱変化に強くなるため、表示装置10の信頼性が向上する。
【0071】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0072】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0073】
10、10A、10B、20:表示装置、 11、11A、11B、11C:領域、 100:基板、 110:第1配線層、 120:第2配線層、 130、 第1絶縁層、 140:第2導電層、 150:第2絶縁層、 160:第1導電層、 170:有機絶縁層、 170A、170B、170C:有機絶縁層、 171:凸部、 171A:凹部、 171C:凸部、 172B:無機絶縁層、 180:第1接続電極、 190、190A、190B:金属層、 190C-1:第1金属層、 190C-2:第2金属層、 191、191A、191B:段差、 191C-1:第1段差、 191C-2:第2段差、 200:発光素子、 200-1:第1発光素子、 200-2:第2発光素子、 210:第2接続電極、 230:接合材料、 250:平坦化層、 300、310:フォトレジスト