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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】梁材
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/18 20060101AFI20230711BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04C3/18
B27M3/00 F
B27M3/00 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019191322
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021067023
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直人
(72)【発明者】
【氏名】濱田 真
(72)【発明者】
【氏名】前川 利雄
(72)【発明者】
【氏名】三宅 朗彦
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-094616(JP,A)
【文献】中国実用新案第208933810(CN,U)
【文献】特開平01-131747(JP,A)
【文献】特開昭55-021264(JP,A)
【文献】特開平08-158537(JP,A)
【文献】実開昭54-177668(JP,U)
【文献】実開昭50-110917(JP,U)
【文献】特公昭52-025174(JP,B2)
【文献】中国実用新案第201080670(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/00 - 3/46
B27M 1/00 - 3/38
E04B 1/38 - 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な四角形状の第1の木製板材の長辺縁に沿った一対の端面のうちの一方の端面と長尺な四角形状の第2の木製板材の板面とが接触した状態に接合されるとともに、第1の木製板材の長辺縁に沿った一対の端面のうちの他方の端面と長尺な四角形状の第3の木製板材の板面とが接触した状態に接合されることによって、断面I形状又は断面H形状に形成された梁材であって、断面L字形状の金属製の連結部材の板面が第1の木製板材の板面と第2の木製板材の板面とに接触した状態で当該連結部材が第1の木製板材と第2の木製板材とに連結されたことによって第1の木製板材と第2の木製板材とが接合されたとともに、断面L字形状の金属製の連結部材の板面が第1の木製板材の板面と第3の木製板材の板面とに接触した状態で当該連結部材が第1の木製板材と第3の木製板材とに連結されたことによって第1の木製板材と第3の木製板材とが接合されて構成された当該梁材の端部に端部接合手段を備えた梁材を複数個用い、一方の梁材の端部接合手段と他方の梁材の端部接合手段とが接合されて構成された梁材であって、
一方の梁材の端部接合手段は、連結部材の端部が、木製板材の長辺縁に沿った方向の一方の端面から長辺縁に沿った方向に突出するように構成され、
他方の梁材の端部接合手段は、連結部材の端部が、木製板材の長辺縁に沿った方向の他方の端面よりも所定の距離だけ一方の端面側に位置されて、連結部材の端部の端面と木製板材の長辺縁に沿った方向の他方の端面との間の所定の距離が、一方の梁材の木製板材の一方の端面から突出する連結部材の端部の長さよりも長くなるように構成され、
一方の梁材の端部接合手段における木製板材の一方の端面から突出する連結部材の端部が、他方の梁材の第1の木製板材と第2の木製板材とにねじによって連結されるとともに、他方の梁材の第1の木製板材と第3の木製板材とにねじによって連結されたことを特徴する梁材。
【請求項2】
連結部材は、木製板材の長辺縁の長さに対応した長さの山形鋼であることを特徴する請求項1に記載の梁材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な四角形状の複数の木製板材を接合して構成された梁材に関する。
【背景技術】
【0002】
中大規模の木造建築物に用いる梁として、CLT等の集成材により形成された木製板材を接着剤で接合して断面I形状に形成されたI型ビームと呼ばれる梁材が知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】KEY-TEC 製品情報 「KEYLAM MEGA BEAM」、株式会社キーテック、http://www.key-tec.co.jp/products/Igata.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した断面I形状に形成された梁材100は、図8に示すように、ウェブとなる木製板材101の上下端側において両方の板面102,103にフランジとなる木製板材110を接着剤111で固定した構成であるので、剛性の低い梁材になってしまうという課題がある。
本発明は、断面I形状又は断面H形状で、かつ、剛性の高い木質の梁材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る梁材は、長尺な四角形状の第1の木製板材の長辺縁に沿った一対の端面のうちの一方の端面と長尺な四角形状の第2の木製板材の板面とが接触した状態に接合されるとともに、第1の木製板材の長辺縁に沿った一対の端面のうちの他方の端面と長尺な四角形状の第3の木製板材の板面とが接触した状態に接合されることによって、断面I形状又は断面H形状に形成された梁材であって、断面L字形状の金属製の連結部材の板面が第1の木製板材の板面と第2の木製板材の板面とに接触した状態で当該連結部材が第1の木製板材と第2の木製板材とに連結されたことによって第1の木製板材と第2の木製板材とが接合されたとともに、断面L字形状の金属製の連結部材の板面が第1の木製板材の板面と第3の木製板材の板面とに接触した状態で当該連結部材が第1の木製板材と第3の木製板材とに連結されたことによって第1の木製板材と第3の木製板材とが接合されて構成された当該梁材の端部に端部接合手段を備えた梁材を複数個用い、一方の梁材の端部接合手段と他方の梁材の端部接合手段とが接合されて構成された梁材であって、一方の梁材の端部接合手段は、連結部材の端部が、木製板材の長辺縁に沿った方向の一方の端面から長辺縁に沿った方向に突出するように構成され、他方の梁材の端部接合手段は、連結部材の端部が、木製板材の長辺縁に沿った方向の他方の端面よりも所定の距離だけ一方の端面側に位置されて、連結部材の端部の端面と木製板材の長辺縁に沿った方向の他方の端面との間の所定の距離が、一方の梁材の木製板材の一方の端面から突出する連結部材の端部の長さよりも長くなるように構成され、一方の梁材の端部接合手段における木製板材の一方の端面から突出する連結部材の端部が、他方の梁材の第1の木製板材と第2の木製板材とにねじによって連結されるとともに、他方の梁材の第1の木製板材と第3の木製板材とにねじによって連結されたことを特徴とするので、断面I形状又は断面H形状で、かつ、剛性の高い木質の梁材を提供でき、ロングスパンの梁材を簡単容易に製作できる。
また、連結部材は、木製板材の長辺縁の長さに対応した長さの山形鋼を用いたので、より剛性を向上できて、ロングスパン化が可能な、断面I形状又は断面H形状の木質の梁材を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】梁材を示す斜視図(実施形態1)。
図2】梁材を示す分解斜視図(実施形態1)。
図3】梁材の製作手順を示す断面図(実施形態1)。
図4】ロングスパンの梁材の製作手順を示す斜視図(実施形態2)。
図5】ロングスパンの梁材の製作手順を示す斜視図(実施形態3)。
図6】梁材の製作手順を示す断面図(実施形態4)。
図7】梁材を示す断面図(実施形態5)。
図8】従来の梁材の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1に係る梁材1は、図1乃至図3に示すように、長尺な四角形状の第1の木製板材10の長辺縁11(図2図3(a)参照)に沿った一対の端面(上下の端面)12,13のうちの一方の端面(上端面)12と長尺な四角形状の第2の木製板材20の一方の板面22とが接触した状態で接合部2により接合されるとともに、第1の木製板材10の長辺縁11に沿った一対の端面(上下の端面)12,13のうちの他方の端面(下端面)13と長尺な四角形状の第3の木製板材30の一方の板面32とが接触した状態で接合部2により接合されたことによって、断面I形状に形成された梁材1である。
【0008】
第1の木製板材10,第2の木製板材20,第3の木製板材30(以下、これらをまとめて木製板材と略して呼んで説明する場合がある)は、例えば、CLT(Cross Laminated Timber(直交集成板))又は集成材又は無垢材により形成された平板材である。
尚、CLTとは、農林水産省告示第3079号に規定されたように、「ひき板又は小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ又は接着したものを、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせた一般材」である。
即ち、CLTは、張り合わせる板の繊維方向が直交するように複数の板を張り合わせて構成された木材であり、直交集成板と呼ばれている。
また、集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向となるように複数の板を張り合わせて構成された木材である。
【0009】
第1の木製板材10は、梁材1のウェブ(縦板部)を形成する平板により形成される。
第2の木製板材20は、梁材1の上フランジ(上横板部)を形成する平板により形成される。
第3の木製板材30は、梁材1の下フランジ(下横板部)を形成する平板により形成される。
【0010】
第1の木製板材10は、例えば、板厚90mm、長辺の長さ6000mm(6m)、短辺の長さ800mmの長尺平板である。
第2の木製板材20及び第3の木製板材30は、例えば、板厚90mm、長辺の長さ6000mm、短辺の長さ500mmの長尺平板である。
即ち、梁材1の外形寸法は、例えば、梁の長さ(スパン)が6000mm、梁成が800mm、梁幅が500mmである。
【0011】
図1乃至図3に示すように、接合部2は、例えば、木製板材10,20,30の長辺縁11,21,31の長さに対応した長さの断面L字状の長尺な金属製の連結部材としての例えば山形鋼6と、山形鋼6の連結板61,62を木製板材10,20,30に固定するねじ(例えばビス)7と、第1の木製板材10と第2の木製板材20とを連結するねじ(例えばビス)8と、第1の木製板材10と第3の木製板材30とを連結するねじ(例えばビス)9とで構成される。
【0012】
山形鋼6は、長尺な四角形の平板状の第1の連結板61と、当該第1の連結板61の一方の長辺縁より延長する長尺な四角形の平板状の第2の連結板62とを有する。
当該山形鋼6は、第1の木製板材10の一方の板面14又は他方の板面15と面接触する第1の連結板61の板面63と、第2の木製板材20の一方の板面22又は第3の木製板材30の一方の板面32と面接触する第2の連結板62の板面64とが、90°の角度を介して断面L字状に連続するように形成された断面L字状の長尺鋼材である。
山形鋼6としては、第1の山形鋼6Aと、第2の山形鋼6Bと、第3の山形鋼6Cと、第4の山形鋼6Dとを使用する(以下、これらをまとめて山形鋼6と呼んで説明する場合がある)。
【0013】
次に、梁材1の製作手順の一例を図3に基づいて説明する。
まず、図3(a)に示すように、第2の木製板材20の一方の板面22における短辺縁23(図2参照)に沿った幅方向Wの中央側の位置において第1の木製板材10の一方の端面12が第2の木製板材20の長辺縁21(図2参照)に沿って延長するように設置されて当該第2の木製板材20の一方の板面22と第1の木製板材10の一方の端面12とが面接触するように設定する。
そして、図3(a),(b)に示すように、ねじ8を、第2の木製板材20の他方の板面24側から当該第2の木製板材20に貫通させるとともに第1の木製板材10の一方の端面12を通過して第1の木製板材10の内部に到達するよう締結することにより、第1の木製板材10と第2の木製板材20とが連結される。
同様に、図3(a)に示すように、第3の木製板材30の一方の板面32における短辺縁33(図2参照)に沿った幅方向Wの中央側の位置において第1の木製板材10の他方の端面13が第3の木製板材30の長辺縁31(図2参照)に沿って延長するように設置されて当該第3の木製板材30の一方の板面32と第1の木製板材10の他方の端面13とが面接触するように設定する。
そして、図3(a),(b)に示すように、ねじ9を、第3の木製板材30の他方の板面34側から当該第3の木製板材30に貫通させるとともに第1の木製板材10の他方の端面13を通過して第1の木製板材10の内部に到達するよう締結することにより、第1の木製板材10と第3の木製板材30とが連結される。
尚、ねじ8及びねじ9は、第2の木製板材20の長辺縁21に沿った方向において、所定の間隔を隔てて複数個締結される(図1図2参照)。
以上により、第1の木製板材10と第2の木製板材20と第3の木製板材30とが、ねじ8及びねじ9により連結されて、断面I形状に形成される。
【0014】
次に、図3(a),(b)に示すように、第1の山形鋼6Aの第1の連結板61の板面63と第1の木製板材10の上端側における一方の板面14とを面接触させるとともに、第1の山形鋼6Aの第2の連結板62の板面64と第2の木製板材20の一方の板面22とを面接触させた状態とした後、ねじ7を、第1の山形鋼6Aの第1の連結板61に形成された図外の貫通孔に通して第1の木製板材10に締結するとともに、ねじ7を、第1の山形鋼6Aの第2の連結板62に形成された図外の貫通孔に通して第2の木製板材20に締結する。
同様に、第2の山形鋼6Bの第1の連結板61の板面63と第1の木製板材10の上端側における他方の板面15とを面接触させるとともに、第2の山形鋼6Bの第2の連結板62の板面64と第2の木製板材20の一方の板面22とを面接触させた状態とした後、ねじ7を、第2の山形鋼6Bの第1の連結板61に形成された図外の貫通孔に通して第1の木製板材10に締結するとともに、ねじ7を、第2の山形鋼6Bの第2の連結板62に形成された図外の貫通孔に通して第2の木製板材20に締結する。
同様に、第3の山形鋼6Cの第1の連結板61の板面63と第1の木製板材10の下端側における一方の板面14とを面接触させるとともに、第3の山形鋼6Cの第2の連結板62の板面64と第3の木製板材30の一方の板面32とを面接触させた状態とした後、ねじ7を、第3の山形鋼6Cの第1の連結板61に形成された図外の貫通孔に通して第1の木製板材10に締結するとともに、ねじ7を、第3の山形鋼6Cの第2の連結板62に形成された図外の貫通孔に通して第3の木製板材30に締結する。
同様に、第4の山形鋼6Dの第1の連結板61の板面63と第1の木製板材10の下端側における他方の板面15とを面接触させるとともに、第4の山形鋼6Cの第2の連結板62の板面64と第3の木製板材30の一方の板面32とを面接触させた状態とした後、ねじ7を、第4の山形鋼6Dの第1の連結板61に形成された図外の貫通孔に通して第1の木製板材10に締結するとともに、ねじ7を、第4の山形鋼6Dの第2の連結板62に形成された図外の貫通孔に通して第3の木製板材30に締結する。
尚、ねじ7は、各山形鋼6A,6B,6C,6Dの長尺(長手)方向において、所定の間隔を隔てて複数個締結される(図1図2参照)。
【0015】
以上により、第1の木製板材10の一方の端面12と第2の木製板材20の一方の板面22とが接合部2により接合されるとともに、第1の木製板材10の他方の端面13と第3の木製板材30の一方の板面32とが接合部2により接合された、断面I形状の長尺な梁材1が得られる。
【0016】
実施形態1に係る梁材1によれば、接合部2に山形鋼6(第1の山形鋼6A、第2の山形鋼6B、第3の山形鋼6C、第4の山形鋼6D)を用いたので、断面I形状で、かつ、剛性を高くできて、撓み防止効果に優れた木質の梁材1を提供できる。
即ち、非特許文献1に開示された梁材は、図8に示すように、ウェブとなる木製板材101の上下端側において両方の板面102,103にフランジとなる木製板材110を接着剤111で固定されているだけの構成であるので、ウェブとなる木製板材101とフランジとなる木製板材110との接合強度が弱く、剛性が低くなってしまい、材軸方向と垂直な方向に変形しやすい(撓みやすい)梁材となってしまう。
一方、実施形態1に係る梁材1によれば、長尺な四角形状の3枚の木製板材、即ち、第1の木製板材10と第2の木製板材20と第3の木製板材30とが組み合わされて、かつ、第1の木製板材10と第2の木製板材20との接合部2、及び、第1の木製板材10と第3の木製板材30との接合部2に、山形鋼6が用いられて、断面I形状に形成されたので、軽量、かつ、非特許文献1に開示された梁材と比べて剛性が高く、撓みにくい梁材1を得ることができる。
また、実施形態1に係る梁材1によれば、長尺な四角形状の木製板材(第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30)の長辺縁の長さに対応した長さの山形鋼6を用いて、当該山形鋼6を木製板材の長辺縁に沿って連続するように設けた構成としたので、より剛性を向上できて、ロングスパン化が可能な、断面I形状の木質の梁材1を得ることができる。
【0017】
実施形態2
上述した梁材1よりも長い梁長のロングスパンの梁材が必要となる場合、上述した梁材1の端部に、図4に示すような端部接合手段80Aを備えた構成の梁材1A及び端部接合手段80Bを備えた構成の梁材1Bを用いることで、ロングスパンの梁材1Xを得ることができる。
【0018】
即ち、一方の梁材1の一方の梁端部が端部接合手段80Aに形成された梁材1Aの当該端部接合手段80Aと他方の梁材1の他方の梁端部が端部接合手段80Bに形成された梁材1Bの当該端部接合手段80Bとを接合することにより、ロングスパンの梁材1Xを形成できる。
【0019】
図4(a)に示すように、一方の梁材1Aの端部接合手段80Aは、連結部材としての山形鋼6の長手方向の一方の端部が、木製板材(第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30)の長辺縁に沿った方向の一方の端面1aから長辺縁に沿った方向に突出するように構成される。
また、他方の梁材1Bの端部接合手段80Bは、山形鋼6の長手方向の他方の端面6bが、木製板材(第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30)の長辺縁に沿った方向の他方の端面1bよりも所定の距離bだけ反対側の端面(一方の端面)側に位置される。言い換えれば、山形鋼6の長手方向の他方の端面6bが、木製板材の長辺縁に沿った方向の他方の端面1bから反対側の端面(一方の端面)に近づく方向に後退した位置に設置される。そして、この山形鋼6の他方の端面6bと木製板材の他方の端面1bとの間の距離bは、一方の梁材1Aの木製板材の一方の端面1aから突出する山形鋼6の端部の突出長さよりも若干長くなるように構成される。
【0020】
実施形態2においては、一方の梁材1Aにおける木製板材の長辺縁に沿った方向の一方の端面1a、即ち、第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30の長辺縁に沿った方向のそれぞれの一方の端面が同一平面上に形成され、かつ、他方の梁材1Bにおける木製板材の長辺縁に沿った方向の他方の端面1b、即ち、第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30の長辺縁に沿った方向のそれぞれの他方の端面が同一平面上に形成された構成とした。
【0021】
一方の梁材1Aの端部接合手段80Aと他方の梁材1Bの端部接合手段80Bとの接合方法は、図4(a),(b)に示すとおりである。
まず、一方の梁材1Aの木製板材の一方の端面1aから突出する上側の山形鋼6,6の端部における板面63,64を、他方の梁材1Bの端部接合手段80Bにおける第1の木製板材10における板面14,15及び第2の木製板材20の板面22に面接触させ、かつ、一方の梁材1Aの木製板材の一方の端面1aから突出する下側の山形鋼6,6の端部における板面63,64を、他方の梁材1Bの端部接合手段80Bにおける第1の木製板材10における板面14,15及び第3の木製板材30の板面32に面接触させながら、一方の梁材1Aの木製板材の一方の端面1aから突出する各山形鋼6,6…の端部の端面6a,6a…と他方の梁材1Bにおける各山形鋼6,6…の長手方向の他方の端面6b,6b…とを接近させるとともに、一方の梁材1Aの木製板材の一方の端面1aと他方の梁材1Bの木製板材の他方の端面1bとを接触させた状態に設定する。
次に、他方の梁材1Bの端部接合手段80Bに位置された一方の梁材1Aの端部接合手段80Aの各山形鋼6,6…の端部を、ねじ7を用いて、他方の梁材1Bの木製板材に連結する。
以上により、梁材1Aと梁材1Bとが接合されたロングスパンの梁材1Xが形成される。
即ち、一方の梁材1Aの端部接合手段80Aを形成する各山形鋼6,6…の端部を他方の梁材1Bの端部接合手段80Bに位置させた後、当該各山形鋼6,6…の端部をねじ7を用いて他方の梁材1Bの木製板材に連結するだけで、ロングスパンの梁材1Xを簡単容易に製作できるようになる。
【0022】
実施形態2によれば、図4に示すような端部接合手段80Aを備えた構成の梁材1A及び端部接合手段80Bを備えた構成の梁材1Bを用いるので、トラック等の運搬車両によって工場から現場に運搬可能な長さに工場内で形成された梁材1A及び梁材1Bを現場において容易に接合できるようになり、現場において、ロングスパンの梁材1Xを簡単容易に製作できるようになる。
【0023】
実施形態3
実施形態2の一方の梁材1Aのように、第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30の長辺縁に沿った方向のそれぞれの一方の端面1aを同一平面上に形成せずに、図5に示すように、第2の木製板材20、第3の木製板材30の長辺縁に沿った方向のそれぞれの一方の端面20a、一方の端面30aを同一平面上に形成するとともに、第1の木製板材10の長辺縁に沿った方向の一方の端面10aを、一方の端面20a及び一方の端面30aが位置する平面と平行な平面上に位置させた構成の端部接合手段80Cを有した一方の梁材1Cを製作する。
さらに、実施形態2の他方の梁材1Bのように、第1の木製板材10、第2の木製板材20、第3の木製板材30の長辺縁に沿った方向のそれぞれの他方の端面1bを同一平面上に形成せずに、図5に示すように、第2の木製板材20、第3の木製板材30の長辺縁に沿った方向のそれぞれの他方の端面20b、他方の端面30bを同一平面上に形成するとともに、第1の木製板材10の長辺縁に沿った方向の他方の端面10bを、他方の端面20b及び他方の端面30bが位置する平面と平行な平面上に位置させた構成の端部接合手段80Dを有した他方の梁材1Dを製作する。
【0024】
尚、一方の梁材1Cは、第2の木製板材20の一方の端面20a、及び、第3の木製板材30の一方の端面30aと、第1の木製板材10の一方の端面10aとが同一平面上に位置されない構成以外の構成は、実施形態2の一方の梁材1Aと同じであるので、説明を省略する。
また、他方の梁材1Dは、第2の木製板材20の他方の端面20b、及び、第3の木製板材30の他方の端面30aと、第1の木製板材10の他方の端面10bとが同一平面上に位置されない構成以外の構成は、実施形態2の他方の梁材1Bと同じであるので、説明を省略する。
【0025】
図5に示すように、実施形態3では、実施形態2と同様に、一方の梁材1Cの木製板材の一方の端面10a,20a,30aから突出する各山形鋼6,6…の端部の端面6a,6a…と他方の梁材1Dにおける各山形鋼6,6…の長手方向の他方の端面6b,6b…とを接近させるとともに、一方の梁材1Cの木製板材の一方の端面20a,10a,30aと他方の梁材1Dの木製板材の他方の端面20b,10b,30bとを接触させた状態に設定した後、他方の梁材1Dの端部接合手段80Dに位置された一方の梁材1Cの各山形鋼6,6…の端部をねじ7を用いて他方の梁材1Dの木製板材に連結する。
以上により、梁材1Cと梁材1Dとが接合されたロングスパンの梁材1Yが形成される。
即ち、一方の梁材1Cの各山形鋼6,6…の端部を他方の梁材1Dの端部接合手段80Dに位置させた後、一方の梁材1Cの各山形鋼6,6…の端部をねじ7を用いて他方の梁材1Dの木製板材に連結するだけで、ロングスパンの梁材1Yを簡単容易に製作できるようになる。
【0026】
実施形態3によれば、一方の梁材1Cの端部接合手段80Cと他方の梁材1Dの端部接合手段80Dとの接合面において、一方の梁材1Cの第2の木製板材20の一方の端面20aと他方の梁材1Dの第2の木製板材20の他方の端面20bとの接合面や一方の梁材1Cの第3の木製板材30の一方の端面30aと他方の梁材1Dの第3の木製板材30の一方の端面30bとの接合面と、一方の梁材1Cの第1の木製板材10の一方の端面10aと他方の梁材1Dの第1の木製板材10の他方の端面10bとの接合面とが、同一平面上に位置されないため、実施形態2のロングスパンの梁材1Xと比べて、より剛性の高いロングスパンの梁材1Y、即ち、たわみ防止効果に優れたロングスパンの梁材1Yを得ることができる。
【0027】
実施形態4
図6(a)に示すように、第1の木製板材10の一方の板面14及び他方の板面15において、山形鋼6の連結板61が設置される部分の表面を連結板61の板厚分以上削って形成された連結板嵌合凹部16,16,17,17を設けるとともに、第2の木製板材20の一方の板面22において、山形鋼6の連結板62が設置される部分の表面を連結板62の板厚分以上削って形成された連結板嵌合凹部26,26を設け、さらに、第3の木製板材30の一方の板面32において、山形鋼6の連結板62が設置される部分の表面を連結板62の板厚分以上削って形成された連結板嵌合凹部36,36を設ける。
【0028】
そして、図6(b)に示すように、山形鋼6A,6Bの連結板61,62を連結板嵌合凹部16,26に嵌め込んだ状態で山形鋼6A,6Bをねじ7で第1の木製板材10及び第2の木製板材20に連結し、さらに、山形鋼6C,6Dの連結板61,62を連結板嵌合凹部17,36に嵌め込んだ状態で山形鋼6C,6Dをねじ7で第1の木製板材10及び第3の木製板材30に連結した構成の梁材1Eとした。
【0029】
実施形態4によれば、山形鋼6が木製板材の板面から突出しない構成とできるので、意匠性に優れた梁材1Eを得ることができる。
この場合、山形鋼6の連結板の表面と木製板材の板面とを同一平面上に位置させることにより、意匠性に優れた梁材を得ることできる。
また、山形鋼6の連結板の表面が連結板嵌合凹部側に若干引っ込んだ状態に設定されて、山形鋼6の連結板の表面に木目等の表面材を貼り付けた構成とした場合、外観上、木製の梁材に見えるように加工でき、意匠性に優れた梁材を得ることできる。
【0030】
実施形態5
図7に示すように、第2の木製板材20の一方の板面22において、第1の木製板材10の一方の端面12側が嵌まり込む嵌合凹部27を形成するとともに、第3の木製板材30の一方の板面32において、第1の木製板材10の他方の端面13側が嵌まり込む嵌合凹部37を形成する。
そして、第1の木製板材10の一方の端面12側を第2の木製板材20の一方の板面22に形成された嵌合凹部27に嵌め込むとともに、第1の木製板材10の他方の端面13側を第3の木製板材30の一方の板面32に形成された嵌合凹部37に嵌め込んだ状態で、第1の木製板材10と第2の木製板材20とを山形鋼6を用いて接合し、かつ、第1の木製板材10と第3の木製板材30とを山形鋼6を用いて接合した構成の梁材1Fとした。
【0031】
実施形態5によれば、第1の木製板材10の一方の端面12側を第2の木製板材20の嵌合凹部27に嵌合させ、かつ、第1の木製板材10の他方の端面13側を第3の木製板材30の嵌合凹部37に嵌合させた構成としたので、第1の木製板材10と第2の木製板材20との接合強度、及び、第1の木製板材10と第3の木製板材30との接合強度をより向上させることができ、より剛性が高く、撓みにくい梁材1Fを得ることができる。
【0032】
尚、各実施形態では、第1の木製板材10と第2の木製板材20とをねじ8で連結するとともに、第1の木製板材10と第3の木製板材30とをねじ9で連結した例を示したが、当該ねじ8及びねじ9による連結を行わずに、第1の木製板材10と第2の木製板材20とを山形鋼6とねじ7とを用いて接合するとともに、第1の木製板材10と第3の木製板材30とを山形鋼6とねじ7とを用いて接合した構成としてもよい。
【0033】
また、各実施形態では、断面I形状の梁材を例示したが、断面H形状に形成された梁材であってもよい。
【0034】
また、第1の木製板材10と山形鋼6の連結板61との接合、第2の木製板材20又は第3の木製板材30と山形鋼6の連結板62との接合は、ねじ7と接着剤とを併用してもよい。
【0035】
また、断面L字形状の金属製の連結部材として山形鋼6を用いた例を示したが、山形鋼6以外の断面L字形状の金属製の連結部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1,1A~1F 梁材、2 接合部、
6(6A,6B,6C,6D) 山形鋼(連結部材)、7 ねじ、
10 第1の木製板材、11 第1の木製板材の長辺縁、
12 第1の木製板材の一方の端面、13 第1の木製板材の他方の端面、
14,15 第1の木製板材の板面、
20 第2の木製板材、22 第2の木製板材の板面、
30 第3の木製板材、32 第3の木製板材の板面、
63,64 山形鋼(連結部材)の板面、b 所定の距離、
80A~80D 端部接合手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8