(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】チューブ状包装容器を製造し、チューブ状包装容器に無菌液を充填する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B65B 9/12 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
B65B9/12
(21)【出願番号】P 2019561179
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(86)【国際出願番号】 NL2018050301
(87)【国際公開番号】W WO2018208152
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522129672
【氏名又は名称】ミュー-ドロップ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒルブリンク,フーベルトゥス エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】ラマース,レオナルドゥス フーベルトゥス マリア
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0319081(US,A1)
【文献】特開2002-019758(JP,A)
【文献】特開2009-208838(JP,A)
【文献】実開昭48-096058(JP,U)
【文献】特開昭60-099823(JP,A)
【文献】米国特許第02469975(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/12
B65B 9/067
B65B 9/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状包装容器を製造し、チューブ状包装容器に無菌液を充填する方法であって、
前記無菌液の入った容器を用意するステップと、
チューブを用意するステップと、
前記無菌液を無菌の態様で少なくとも部分的に前記容器から前記チューブに充填するステップと、
連続溶着作業によって、少なくとも部分的に前記無菌液で充填された前記チューブを複数のチューブセグメントに分割するステップと、
前記溶着作業で形成された溶着継ぎ目の位置で、前記チューブセグメントを互いから切り離すステップと、
を含み、
各溶着作業後、前記チューブが、前記チューブセグメントの所望の全長、又は所望の全長の倍数に対応する距離にわたって、制御した態様で移動し、
各溶着作業時に、圧力が前記チューブに局所的にかけられ、エネルギが前記チューブに供給され、加圧及び前記エネルギ供給は、少なくとも部分的に時間をずらして行われ
、
前記圧力は、はじめに、前記チューブの両側に配置された押圧部材を互いに向かって移動させることで、前記チューブに局所的にかけられ、
次いで、前記押圧部材間の距離を一定に維持したままで、前記エネルギが、前記圧力がかけられた位置に又はその位置の近くに供給され、前記エネルギの供給が中断した後、前記押圧部材をさらに互いに向かって移動させることで前記加圧が続行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記チューブの移動時に、最後に形成された前記溶着継ぎ目に力が全くかからないか、又はほとんどかからず、及び/又は、
前記移動の距離は、プログラムによって求められるか、又は格納データから取り出されることと、及び/又は、
前記チューブは、各溶着作業の前に第1のロールから繰り出され、各溶着作業後に第2のロールに巻かれることと、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギ供給の前に、前記チューブが押圧されて閉じる大きさの圧力が、前記チューブに局所的にかけられることと、及び/又は、
前記チューブの押圧されて閉じた部分が、前記エネルギ供給の中断後にさらに圧縮され、及び/又は
、
前記エネルギは、前記押圧部材の少なくとも一方によって供給されることと、及び/又は、
前記エネルギは、前記押圧部材間の距離が特定の閾値を超えている場合に供給され、及び/又は、
各溶着作業時に、前記チューブの溶融した材料は、前記押圧部材の少なくとも一方に少なくとも部分的に受け入れられることと、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各溶着作業時に、前記溶着継ぎ目の位置の温度は、実質的に一定に保たれることと、
及び/又は、前記押圧部材は、調節されることと、
及び/又は、前記押圧部材は、要望通りに加熱又は冷却することができ、及び/又は、
各溶着作業時又は各溶着作業後に、前記溶着作業によって形成された前記溶着継ぎ目は局所的に弱くされることと、
前記溶着継ぎ目は、前記押圧部材の少なくとも一方の突出部分を前記溶着継ぎ目に押し込むことで局所的に弱くされることと、
及び/又は、前記エネルギは、高周波振動又は熱の形態で供給されることと、
及び/又は、前記加圧及び前記エネルギ供給は、プログラム又は格納データに基づいて制御されることと、
を特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
最初の溶着作業は、前記容器に接続された前記チューブの第1の外側端部で、又は第1の外側端部の近くで行われ、次の溶着作業は、前記第1の外側端部から徐々にさらに離れて行われることと、及び/又は、
前記最初の溶着作業の前に前記容器の中身を前記チューブに完全に移し、及び/又は、
無菌液の前記チューブへの充填時に、前記第1の外側端部とは反対側に位置する前記チューブの第2の外側端部は空のままであることと、及び/又は、
フィルタ又は無菌収集貯蔵器が、前記チューブの前記第2の外側端部に配置されることと、
を特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
チューブセグメントの全長のかなりの部分が、各溶着作業での溶着によって閉じられ、及び/又は、
前記容器内の無菌液の量が測定され、必要とされる溶着作業の回数が、前記測定された量とチューブ状包装容器当たりの所望する量とに基づいて求められ、及び/又は、
連続する、又は並行する溶着作業が前記チューブ上の複数の地点で行われること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの溶着パラメータが、各溶着作業時に測定され、前記溶着作業は、前記少なくとも1つの溶着パラメータの測定値に基づいて制御されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
チューブ状包装容器を製造し、チューブ状包装容器に無菌液を充填するシステムであって、
容器から前記チューブに少なくとも部分的に前記無菌液を充填する無菌充填装置と、
連続する溶着作業によって、少なくとも部分的に前記無菌液で充填された前記チューブを複数のチューブセグメントに分割するための溶着装置と、
前記溶着作業で形成された溶着継ぎ目の位置で、前記チューブセグメントを互いから切り離す切離し装置と、
を含み、
前記システムは、さらに、各溶接作業後に、前記チューブセグメントの所望の全長、又は所望の全長の倍数に対応する距離にわたって、前記チューブを移動させるために、前記溶着装置と共同で動作する移動手段を含み、且つ、
前記溶着装置は、各溶着作業時に、前記チューブに圧力を局所的にかけ、前記チューブにエネルギを供給する加圧手段及びエネルギ供給手段を含み、前記加圧手段及びエネルギ供給手段は、少なくとも部分的に時間をずらして作
動し、
前記溶着装置は、各溶着作業時に、はじめに、前記加圧手段を作動させ、次いで、前記加圧手段を停止、且つ、前記エネルギ供給手段を作動させ、さらに、前記エネルギ供給手段の停止後、前記加圧手段を再作動させるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記移動手段は、最後に形成された前記溶着継ぎ目に圧力をかけることなく、又はほとんどかけることなく、前記チューブを移動させるように構成されることと、及び/又は、
前記移動手段は、前記溶着継ぎ目の両側に配置された係合部材を含み、及び/又は、
前記移動手段は、制御手段に制御可能に接続され、及び/又は、
前記移動手段は、前記溶着装置の異なる側に配置された第1のロール及び第2のロールを含み、前記ロールの少なくとも一方は駆動可能であることと、
を特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記加圧手段は、前記チューブの両側に配置され、互いに対して移動可能な押圧部材を含むことと、
を特徴とする、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記押圧部材は、前記チューブにエネルギを供給し、前記エネルギ供給手段の一部を形成する電極として機能するように構成され、及び/又は、
前記溶着装置は、前記押圧部材間の距離が特定の閾値を超えている場合に、前記エネルギ供給を中断するように構成されることと、及び/又は、
前記押圧部材の少なくとも一方は、前記チューブの溶融した材料用の受入れ空間を含み、及び/又は、
前記押圧部材の少なくとも一方は、突出部分を含むことと、
を特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
各溶着作業時に、前記溶着継ぎ目の位置の温度を実質的に一定に保つための手段が、前記溶着装置に接合されることと、及び/又は、
前記温度を実質的に一定に保つための前記手段は、前記押圧部材と共同して動作する調節装置を含むことと、及び/又は、
前記調節装置は、少なくとも1つの加熱要素及び少なくとも1つの冷却要素を含むことと、及び/又は、
前記少なくとも1つの加熱要素及び前記少なくとも1つの冷却要素は、合わせてペルチェ素子を形成することと、
を特徴とする、請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記エネルギ供給手段は、高周波振動を発生させるように構成されるか、又は、
前記エネルギ供給手段は、熱を発生させるように構成されることと、及び/又は、
前記エネルギ供給手段を断熱する手段が存在すること、を特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
各溶着作業時に、少なくとも1つの溶着パラメータを測定するために前記溶着装置に接合された測定手段と、且つ、
前記制御手段は、前記少なくとも1つの溶着パラメータ
の測定値に基づいて、前記溶着作業を制御するために、前記溶着装置及び前記測定手段に接続されることと、及び/又は、
前記制御手段は、前記測定値を望ましい値と比較し、前記比較に基づいて、前記溶着作業を制御するように構成されることと、及び/又は、
前記制御手段は、プログラムを用いて前記溶着パラメータの前記望ましい値を計算するか、又は格納データから前記望ましい値を取り出すように構成されることと、及び/又は、
前記測定手段は、複数の溶着パラメータを測定するように構成され、前記制御手段は、前記溶着作業を制御するためのベーシスとして複数の測定値を使用するように構成されることと、及び/又は、
前記少なくとも1つの溶着パラメータの前記測定値を格納するための格納手段が、前記測定手段及び前記制御手段に接続されることと、
を特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記溶着装置は、連続する、又は並行する溶接作業を前記チューブの複数の地点で行うように構成されることを特徴とする、請求項9~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状包装容器を製造し、チューブ状包装容器に無菌液を充填する方法に関し、その方法は、無菌液の入った容器を用意するステップと、チューブを用意するステップと、無菌液を無菌の態様で少なくとも部分的に容器からチューブに充填するステップと、連続溶着作業により、チューブを複数のチューブセグメントに分割するステップと、溶着作業により形成された溶着継ぎ目の位置で、チューブセグメントを互いから切り離すステップとを含む。そのような方法は、米国特許出願公開第2014/319081A1号から公知である。
【背景技術】
【0002】
この先行特許公報は、自家血清製品を製造及び包装する方法について記載している。自家血清製品は、特に、自家血清点眼薬である。患者が点眼薬を必要としていると医者が判断した場合に、この患者から血液が採集され、血清が血液から分離される。この血清は、プラスチックバッグからチューブに運ばれ、血清で満たされたこのチューブは、セグメントに分割され、これらのセグメントは、封止することによって両側で閉じられる。これらのセグメントは、互いから切り離され、束ねて包装され得る。血液から分離された後、血清は希釈される。各チューブセグメントは、希釈血清の一部分を収容する。
【0003】
公知の方法では、チューブは手作業で溶着装置に送られる。この場合に使用される公知の溶着装置は、特に、小規模用途に適しており、生産能力が限定される。大量の溶着を連続して行わなければならない場合に、溶着電極が昇温し、溶着継ぎ目が一様でなくなる。この場合に、溶着継ぎ目は均一な厚さではなく、ときには、アーク放電が発生し得るほど薄くなることさえある。さらに、溶着時にチューブにかかる力は明確に範囲を限定されておらず、血液バッグがチューブと不通になっているかどうかにも依存する。これはまた、厚さを不均一にし、それにより、セグメントを互いから切り離すのに必要とされる力の相違が生じる。さらに、チューブ内の圧力は、溶着作業ごとに同じではない。チューブ内での液体の移動が流れを引き起こし、これは、摩擦による圧力の増大を伴う。圧力の増大は、チューブの長さに依存し、溶着接合の品質に影響を及ぼす。
【0004】
液体を充填されるチューブ状包装容器を形成する方法及び装置は、米国特許第2793841A号から公知である。この場合に、液体で満たされたチューブに対して、チューブの両側の電極を用いて連続溶着作業が行われ、チューブは、複数のチューブセグメントに分割され、次いで、これらのセグメントは、溶着作業によって形成された溶着継ぎ目の部分で切断される。この文献は、チューブに液体を充填する方法について示していない。いずれにせよ、液体は無菌ではなく、その理由は、溶着作業によって移動した液体が、開いた容器に流入するのを可能にするために、チューブの端部が周囲環境につながっているからである。
【0005】
チューブ状包装容器を形成し、チューブ状包装容器に液体を充填するさらなる例が、仏国特許出願公開第2663301A号、米国特許第4199915A号、米国特許第2903829A号、及び国際公開第2016/035773A1号(米国特許出願公開第2017/247130A1号に対応する)に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上記の欠点が存在しないか、又は少なくとも欠点の程度がより低い上記のタイプの方法を提供することである。本発明の第1の態様によれば、この目的は、各溶着作業後、チューブが、チューブセグメントの所望の全長、又は所望の全長の倍数に対応する距離にわたって、制御された態様で移動することで達成される。この制御された移動は、すべてのセグメントが同一の全長を有することを保証する。さらに、溶着継ぎ目にかかる力は、制御された移動により制御することができる。
【0007】
チューブの移動時に、最後に形成された溶着継ぎ目に力が全くかからないか、又はほとんどかからないことがさらに好ましい。
【0008】
この場合に、移動距離は、プログラムによって求めることができ、又は格納データから取り出すこともできる。このため、チューブセグメントの全長は、所望の用途又は無菌液の有効量に基づいて変えることができる。他方で、移動距離は、ハードウェアを使用して、例えば、移動機構のクランクシャフトの長さを調整することで確定することも想定可能である。
【0009】
小さい力しか発生しない均一な移動は、チューブが各溶着作業の前に第1のロールから繰り出され、各溶着作業後に、第2のロールに巻かれる場合に達成される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、各溶着作業時に、圧力がチューブに局所的にかけられ、エネルギがチューブに供給され、加圧及びエネルギ供給は、少なくとも部分的に時間をずらして行われる。エネルギ供給及び加圧を同時に行わないことで、溶着作業時のチューブの過度な変形が防止され、それにより、また、アーク放電のリスクを回避する。
【0011】
各溶着作業時に、最初に圧力がチューブに局所的にかかることが好ましく、次いで、圧力をかけた位置に、又はその位置の近くにエネルギが供給され、エネルギ供給を中断した後、加圧は続行される。この場合に、エネルギが供給されているときに、圧縮に対する機械抵抗の減少を補償するために、圧力を下げる、又は除去することができる。エネルギの供給が中断した後、圧力をかけ続けることで、最適な溶着接合が形成される。
【0012】
エネルギを供給する前に、チューブが押圧されて閉じる大きさの圧力が、チューブに局所的にかかることが好ましい。これは、良好な封止を確実にするために、チューブの十分な材料が溶着作業に取り込まれるのを保証する。
【0013】
チューブの押圧されて閉じた部分が、エネルギ供給の中断後にさらに圧縮されると、この場合に、チューブの対向する壁間のきわめて強力な接合が得られる。
【0014】
チューブに作用する局所的な圧力は、チューブの両側に配置された押圧部材を互いに向かって移動させることでかかる。この場合に、2つの押圧部材が移動可能であるが、押圧部材の一方が固定され、他方の押圧部材が一方の押圧部材に向かって移動することを想定することも可能である。
【0015】
エネルギが押圧部材の少なくとも一方によって供給されるときに、押圧部材は電極としても機能する。
【0016】
アーク放電及びスパークを防止するために、エネルギは、押圧部材間の距離が特定の閾値を超えている場合に供給されることが好ましい。
【0017】
各溶着作業時に、チューブの溶融した材料は、有利にも、押圧部材の少なくとも一方に少なくとも部分的に受け入れられる。これは、溶融材料が、溶着の強度に影響を及ぼし、包装容器の肉厚を不均一にするビードを不意に形成するのを防止し得る。溶融材料を局所的に収集することで、一様な力が溶着部にかかることが可能になり、それにより、材料の最適な絡み合いが得られる。
【0018】
各溶着作業時に、周囲の環境が可能な限り不変であることを保証し、局所的な温度差を防止するために、押圧部材は調節されることが好ましい。
【0019】
この場合に、押圧部材は、要望通りに加熱又は冷却することができる。こうして、押圧部材は狭い温度範囲内に維持され、これは、溶着継ぎ目の品質を向上させる。
【0020】
各溶着作業時、又は各溶着作業後に、溶着作業によって形成された溶着継ぎ目が局所的に弱くされると、その後、チューブセグメントは、互いから容易に切り離すことができる。
【0021】
溶着継ぎ目は、押圧部材の少なくとも一方の突出部分を溶着継ぎ目に押し込むことで、簡単な態様で局所的に弱くすることができる。
【0022】
溶着作業用のエネルギは、高周波振動の形態で供給することができる。これは、高周波溶着又は超音波溶着に該当し得る。
【0023】
他方で、エネルギが熱の形態で供給されることが可能であり、それにより、熱溶着作業を行うことができる。
【0024】
加圧及びエネルギ供給は、プログラム又は格納データに基づいて制御されることが好ましい。容易に再現及び検証することができる溶着作業がこうして行われる。
【0025】
最初の溶着作業は、容器に接続されたチューブの第1の外側端部で、又は第1の外側端部の近くで行われることが好ましく、次の溶着作業は、第1の外側端部から徐々にさらに離れて行われる。これは、チューブ内の無菌液が、連続する溶着作業において、容器の方向に押し戻されるのを防止する。この場合に、無菌液の消失が起こらないように、最初の溶着作業の前に、容器の中身をチューブに完全に移すことが好ましい。無菌液のチューブへの充填時に、第1の外側端部とは反対側に位置するチューブの第2の外側端部が空のままであることがさらに好ましい。したがって、無菌液は、連続溶着作業時に、さらなるチューブセグメントをまだ形成できる、開放された外側端部に向かってさらに遠くに押し込まれる。
【0026】
液体の無菌性を維持するために、フィルタ又は無菌収集貯蔵器が、チューブの第2の外側端部に配置されることが好ましい。通常なら開放されているシステムでは、汚染はフィルタで防止することができ、一方、無菌収集貯蔵器の場合、完全に閉じたシステムまでも形成される。
【0027】
チューブセグメントの全長のかなりの部分は、各溶着作業での溶着によって閉じられることが好ましい。溶着部は、チューブセグメントの全長のほぼ半分に達する、又は半分を超えることさえある幅(無菌液で満たされる連続円筒部分間の距離として定義される)を有することができる。溶着部の幅は、チューブセグメントの全長の少なくとも20%、好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%に達することができる。特定の全長を有するチューブセグメントは、それでもなお、相対的に制限された容積を有することができ、これは、血清の場合と同様に、無菌液が高価な場合に重要である。さらに、幅広の溶着はまた、形成された包装容器が小さく、そのため、無駄なものがないように視覚的に見せる。最後に、幅広の溶着は、その上に情報を示すことができるので実用的である。
【0028】
容器内の無菌液の量は、測定されることが好ましく、必要とされる溶着作業の回数は、測定された量とチューブ状包装容器当たりの所望する量とに基づいて求められる。したがって、チューブ状包装容器の数量と、これと共に、溶着作業の回数とは、例えば、無菌液が入った容器を計量することで前もって定めることができる。この場合に、溶着パラメータの望ましい値が求められ、上記のものと組み合わせて格納され得る。
【0029】
連続する、又は並行する溶着作業が、チューブ上の複数の地点で行われる場合に、チューブは比較的素早く分割することができる。
【0030】
本発明のさらに別の態様によれば、上記の方法において、少なくとも1つの溶着パラメータが、各溶着作業時に測定され、溶着作業は、少なくとも1つの溶着パラメータの測定値に基づいて制御される。溶着パラメータを測定し、溶着作業を制御するためにこの測定パラメータを使用することで、溶着作業は、変化した周囲状況に合わせて調整することができ、それにより、溶着継ぎ目の品質は、一定のままとすることができる。測定できる溶着パラメータの例には、溶着作業が占める時間、このために消費するエネルギ、溶着作業時にかかる圧力、又は溶着ヘッド間の距離があり得る。
【0031】
測定値は、望ましい値と比較されることが好ましく、溶着作業は、この比較に基づいて制御されることが好ましい。したがって、望ましい値からの変化量は補償することができる。溶着パラメータの望ましい値は、この場合、有利にも、プログラムによって計算することができ、又は格納データから取り出すこともできる。したがって、溶着作業は、所定の基準に対してチェックされる。
【0032】
最適な制御を行うために、複数の溶着パラメータを測定することができ、溶着作業を制御するためのベーシス(basis)として使用することができる。
【0033】
さらに、溶着継ぎ目及びプロセスの品質がその後に評価されるのを可能にするために、少なくとも1つの溶着パラメータの測定値を保存することが好ましい。
【0034】
本発明の他の態様によれば、無菌液内のガス、特に、空気の存在を検出することができ、空気が検出された場合に、溶着は中断することができる。これは、空の容器が溶着されるのを防止する。
【0035】
本発明の別の態様によれば、供給容器はコードに基づいて認識され、すべての包装容器は、対応するコードを用いて供給容器に接続される。最初の溶着作業は、認識コードがまだ確認されていない限り、先送りにすることができる。
【0036】
本発明はまた、チューブ状包装容器を製造し、チューブ状包装容器に無菌液を充填するシステムに関し、そのシステムは、無菌液を少なくとも部分的に容器からチューブに充填する無菌充填装置と、連続溶着作業により、チューブを複数のチューブセグメントに分割する溶着装置と、溶着作業により形成された溶着継ぎ目の位置で、チューブセグメントを互いから切り離す切離し装置とを含む。そのようなシステムは、上記の文献、米国特許出願公開第2014/319081A1号に黙示的に記載されている。
【0037】
第1の態様によれば、本発明は、各溶着作業後に、チューブセグメントの所望の全長に対応する距離にわたってチューブを移動させるために、溶着装置と共同で動作する移動手段によって、この公知のシステムから区別される。
【0038】
本発明のこの態様によるシステムの好ましい実施形態は、従属項である請求項34~37に記載されている。
【0039】
別の態様によれば、本発明によるシステムは、溶着装置が、各溶着作業時に、チューブに圧力を局所的にかけ、チューブにエネルギを供給する加圧手段及びエネルギ供給手段を含み、加圧手段及びエネルギ供給手段は、少なくとも部分的に時間をずらして作動することができる点で、公知のシステムから区別される。
【0040】
本発明のこの態様によるシステムの好ましい実施形態は、従属項である請求項39~44の対象を形成する。
【0041】
さらに別の態様によれば、本発明は、各溶着作業時に、溶着継ぎ目の位置の温度を実質的に一定に保つために、溶着装置に接合された手段を特徴とするシステムを提供する。
【0042】
本発明のこの態様によるシステムの好ましい実施形態は、従属項である請求項46~52の対象を形成する。
【0043】
最後の態様によれば、本発明は、各溶着作業時に、少なくとも1つの溶着パラメータを測定するために、溶着装置に接合された測定手段と、少なくとも1つの溶着パラメータの測定値に基づいて、溶着作業を制御するために、溶着装置及び測定手段に接続された制御手段とを特徴とする。
【0044】
本発明のこの第1の態様によるシステムの好ましい実施形態は、従属請求項54~57に記載されている。
【0045】
本発明は、複数の実施形態に基づいて以下に説明され、その場合に、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明による方法の最も重要なステップを示す流れ図である。
【
図2】チューブが容器から無菌液をどのようにして充填されるかを示している。
【
図3】移動手段及び制御手段を有する溶着装置の概略的な正面図である。
【
図4】溶着電極の移動及びエネルギ供給が、時間の関数として示された図である。
【
図5】溶着作業時のチューブの概略的な断面図である。
【
図6】先行技術の溶着接合部の顕微鏡写真の図である。
【
図7】本発明による方法を適用することで、及び/又は本発明によるシステムを使用して形成された溶着接合部の
図6に対応する図である。
【
図8】無菌液で満たされたチューブ状包装容器の斜視図である。
【
図9】複数のチューブ状包装容器を含むブリスター包装の斜視図である。
【
図10】チューブ状包装容器の代替実施形態の
図8に対応する図である。
【
図11A】溶着装置の電極の可能な形態を示している。
【
図11B】溶着装置の電極の可能な形態を示している。
【
図12】チューブセグメントの連続体を切り離してチューブ状包装容器にする切離し装置を概略的に示している。
【
図13】代替の実施形態において、無菌液が複数のチューブにわたってどのように分配されるかを示す、
図2に対応する図を示している。
【
図14】断熱ハウジング内にある電極の変形型の概略的な断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
チューブ状包装容器1を製造し、チューブ状包装容器に無菌液を充填する方法は、無菌液3の入った容器2を用意する第1のステップ100(
図1)を含む。液体3は、例えば、血液から得られた血清である。無菌液3を含む容器2が入手可能な場合に、無菌液3の量は、例えば、計量によって求めることができる(ステップ101)。
【0048】
次いで、チューブ4を選択することができ、チューブ4の長さ「L」及び内径「D
i」は、容器2の内容物を受け入れることができるようなものとされる。しかも、下記に説明される溶着継ぎ目5の移動効果を考慮した場合に、チューブ4に対して選択される内容積は、容器2の容量を超えることが好ましく、それにより、無菌液3の全体量は、チューブ4に受け入れることもでき、無駄な廃棄を防止することもできる。同時に、入手可能であり、チューブ状包装容器1(
図8)の望ましい内容物である無菌液3の量に基づいて、そのようなチューブ状包装容器1の何本に無菌液3を充填できるかが求められる(ステップ102)。
【0049】
次いで、容器2からチューブ4に無菌液3を充填する(ステップ103)。説明したように、チューブ4の容積は、下記に説明する溶着作業で生じる移動効果を考慮するように選択される。これは、容器2の全内容物をチューブ4に受け入れることができることを意味し、その後、チューブ4の部分6は、まだ空のままである。次いで、無菌液3を充填したチューブは、無菌液3の求めた量から取ることができる、計算した個数に対応する複数のチューブセグメント7に分割される(ステップ104)。チューブ4の分割は、連続する、及び/又は同時の溶着作業を用いて行われる。
【0050】
チューブ4が分割された後、チューブ4は、溶着継ぎ目5によって相互に連結されたチューブセグメント7の連続体8で構成される。次いで、セグメント7は、溶着継ぎ目5の位置で互いから切り離すことができる(ステップ105)。このようにして、分離したチューブ状包装容器1が形成される。この場合に、各包装容器1は、円筒形部分9と両端10の平坦な溶着継ぎ目5とを有する。こうして形成されたチューブ状包装容器1は、買手に配送するために、及び後で使用するために、例えば、ブリスター包装11(
図9)の状態でまとめられる(ステップ106)。最後に、無菌液3をチューブ状包装容器1から注出するために、出願人の以前の出願である国際公開第2015/152721A1号に記載した装置を使用することができる。ブリスター包装11は、この用途のために、ベースプレート27に複数のI字状空洞58を設けられ、チューブ状包装容器1は、突出する溶着継ぎ目5と共に、空洞58内に収容することができる。国際公開第721号による投与装置を使用して、包装容器1をブリスター包装11から取り出すのを可能にするために、空洞58は、局所的な幅広部分59を設けられている。
【0051】
容器2は、無菌接続13を実現するために、チューブ4の第1の端部12に溶着することができる従来の血液バッグとすることができる(
図2)。チューブの反対側の自由外側端部又は第2の外側端部6は開放されており、内容物の無菌性を保証するために、いわゆる「ルアーロック」57を用いて、フィルタ14に接続されている。フィルタ14の代わりとして、端部までチューブ4に充填するオプションを可能にしつつも、完全に閉じたシステムを実現するために、収集貯蔵器(この図では示していない)、例えば、バッグをチューブ4の第2の外側端部6に取り付けることも可能である。しかし、この端部6が、単純な溶着(この図では示していない)によって閉じられることを想定することも可能である。ただし、この場合に、無菌液3により移動した空気が端部に溜まるので、チューブ4は、無菌液3を端部まで充填することができない。
【0052】
図示した例では、容器2はチューブ4に溶着されているが、例えば、「ルアーロック」を使用するなど、様々な無菌接続技術を使用することもできる。
【0053】
本発明による方法は、産業規模の用途に適しているという点で特徴付けられる。これは、方法の様々なステップが、コントローラ15の制御下で、制御された、又は調整された態様で実施されることから可能になる。したがって、上記に説明した、無菌液3の量及び無菌液を充填される包装容器1の数量の導出は、コントローラ15により行うことができる。この場合に、このコントローラ15は、望ましいチューブ4を選択し、この選択を表示する、又はこの選択を制御信号として自動格納装置に送ることができる。コントローラ15はさらに、下記に説明するように、溶着作業の回数を溶着装置16に送ることができる。
【0054】
本発明の可能な実施形態によれば、1つ又は複数の溶着パラメータが、各溶着作業時に測定され、溶着作業は、この/これらの1つ又は複数の測定値に基づいて制御される。測定可能な溶着パラメータの例として、供給エネルギ「E」、圧力による力「F」、又は溶着装置16の電極17、18間の距離「d」がある(
図5)。コントローラ15は、1つ又は複数の溶着パラメータE、F、又はdの1つ又は複数の測定値を望ましい値と比較して、この比較に基づき、溶着作業を制御することができる。この場合に、1つ又は複数の望ましい値は、コントローラ15によって実行されるプログラムで計算することができ、又はコントローラ15に接続されたメモリに格納されたデータから取り出すこともできる。溶着パラメータの測定値は、同様に格納することもでき、次の溶着作業を制御するために使用することができる。
【0055】
説明したように、充填できる包装容器1の数量と、それに伴い必要とされる溶着作業の回数とは、無菌液3の測定した量と、既知の1個分の分量、すなわち、各チューブ状包装容器1の望ましい容量とに基づいて求められる。同時に、各包装容器1の内のり長さ「li」は、各チューブ状包装容器1の望ましい容量と選択されたチューブ4の既知の内径Diから求めることができる。2つの連続する溶着継ぎ目5間の距離は、この長さliと溶着継ぎ目5の既知の長さ「lw」から計算することができる。この計算結果は表示することができるが、チューブ4が、計算した距離にわたって自動で移動することを想定することも可能である。
【0056】
本発明による、チューブ状包装容器1を製造し、チューブ状包装容器1に無菌液を充填するシステム20の実施形態では、溶着装置16は、溶着装置16と共同して動作する移動手段21を設けられる。これらの移動手段21は、各溶着作業後に、チューブ4を計算した距離にわたって移動させるように機能する。図示した実施形態では、移動手段21は、溶着装置16の両側に置かれた第1のロール又は供給リール22及び第2のロール又は巻取りリール23と、2つの移送グリップ35、35’(下記に説明する)とを含む。図示した実施例では、巻取りリール23は、駆動モータ(この図では示していない)を設けられた被動リールである。図示した例では、供給リール22は駆動されるのではなくて、供給リール22と巻取りリール23との間でチューブ4に作用する張力を調整するために、ブレーキ(この図ではどちらも示していない)又は調整可能な摩擦要素を設けることができる。
【0057】
図2に示すように、チューブ4は、ロール26の形態で供給され、巻いた状態で充填することもできる。充填後、チューブ4は、容器又は血液バッグ2から切り離すことができる。このために、チューブ4の第1の端部12は、例えば、溶着によって閉じることができ、その後、溶着によって閉じられたこの端部12は、血液バッグ2から切断する、又は切り取ることができる。無菌液の無駄な廃棄を防止するために、容器又は血液バッグ2が完全に空にされ、溶着継ぎ目によってチューブ4の残りの部分から区別されるチューブ4の端部部分に、可能な限り少量の無菌液しか残らないことは重要である。他方で、チューブ4のうちの加工されてチューブ状包装容器1になる部分に空気が混入するのを防止しなければならない。チューブ4の第1の端部12が溶着によって閉じられる前に、第1の端部12は、最初に、例えば、締付け又は結びによって一時的に閉じることができる。しかし、容器2をチューブ4から切り離す必要はなく、容器2は、チューブ4に接続されたままでもよい。これは特に有益であり、その理由は、容器2が、最終的に無菌液を充填される包装容器1の認識に重要である無菌液3の由来に関する情報を提示しているからである。
【0058】
チューブ4が供給リール22に置かれるときに、チューブ4の第1の外側端部12は、溶着装置16の中に配置され、溶着作業にかけられる。第1の端部から出たチューブ4を溶着装置16に沿って、制御された態様で案内するために、チューブ4の第1の端部12は、チューブ4と移動手段21との間に連結部が形成されるように、巻取りリール23に巻かれたリードワイヤ(この図では示していない)につなげることができる。したがって、第1の溶着接合部5が、チューブ4の第1の端部12に直接形成され得るので、無菌液3は全く失われない。次いで、チューブ4は、各溶着作業後、移動手段21の駆動モータが、コントローラ15からの信号の影響を受けて駆動されることにより、所望の距離にわたって移動することができる。容器2がまだチューブ4につながっている場合、容器2は、その時に処理されている無菌液に関するデータが目に見え、チェックできるように巻取りリール23に配置することができる。
【0059】
各溶着作業時に、示した位置でチューブ4に圧力がかけられ、エネルギがチューブ4に供給される。互いに対向するチューブ4の壁部分は、加圧とエネルギ供給との組み合わせによって、気密及び液密の状態で互いに接合される。溶着装置16の押圧部材は加圧を行う。図示した例では、エネルギの供給も押圧部材を介して行われ、したがって、押圧部材は電極17、18としても機能する。これらの電極17、18は、互いに向かって移動し、再度遠ざかることができる。この場合に、電極の一方、例えば、下側電極18は不動とすることができ、したがって、アンビルとして機能し、それに対して、他方の電極17は、固定した電極18に対して遠近方向に移動することができる。電極17、18の両方が可動の形態を取るか、又は反対に、上側電極17を固定することを想定することも可能である。2つの電極17、18は、合わせて溶着ヘッドを形成する。
【0060】
図示した例では、加圧及びエネルギ供給は、部分的に時間をずらして行われる。これは、圧力はチューブ4にかかっているが、エネルギはチューブ4に供給されないことと、逆に、エネルギは供給されているが、(さらなる)圧力はかからないか、又は一時的に除圧されることさえあることとを意味する。これは
図4のグラフに示されており、
図4のグラフは、一方で電極17、18間の相互距離dの経過を示し、他方で時間「t」の関数としてのエネルギ供給Eを示している。加圧及びエネルギ供給のこの制御の目的は、加圧及びエネルギ供給を同時に行うことで、チューブ4の材料の圧縮が制御されないのを防止することである。これは、エネルギ供給が材料を局所的に軟化、又は溶融させ、これにより、耐圧力性が大きく低下することがあるからである。
【0061】
図示した例では、チューブ4の溶融した材料に対する受入れ空間24、25が各電極17、18に形成されている。これは、従来技術の超音波溶着装置(
図6)の場合のように、溶融分「S」が、チューブ4の長手方向に押し出され、それにより、チューブ状包装容器1の内部19にビード28を形成するのを防止する。冷却後、溶着時に拡張して受入れ空間24、25に入った溶融材料Sは、溶着継ぎ目5の一部を形成するので、本発明によるチューブ状包装容器1の内部19にビードは形成されない(
図7)。それにより、各包装容器1の容量は、狭い限度内で均一であり、これは、無菌液3の正確な投薬量及び効率的な使用を可能にする。
【0062】
溶着作業の経過が
図4に示されている。最初の段階では、電極17、18は、互いに向かって移動し、それにより、電極の中間領域dが狭くなる(線29)。この移動時に、チューブ4は、壁の相互に対向する部分が接触領域「CZ」(
図5)で互いに接触するという点で、十分に押圧されて、閉じる地点まで圧縮される。閉じた場合に、エネルギの供給が開始され、それにより、チューブの材料は、電極17、18の位置で軟らかくなり、溶融する。エネルギの供給時に、圧力はかからず、それにより、電極17、18間の中間領域は実質的に一定のままである(線30)。エネルギの供給が中断すると、その時点で単に押圧部材として機能する電極17、18は、軟らかくなった、及び/又は液体になった材料に沈み込むという点で互いに向かってより接近する(線31)。それにより、この材料は、さらに圧縮され、接触領域「CZ」で秀逸な絡み合いが得られる。最後に、電極17、18の移動は、溶着継ぎ目5が、十分な範囲まで圧縮されたときに、止め部(この図では示していない)によって停止する。次いで、圧力は、溶着部が冷却している間、もう少しの間維持することができ(線32)、その後、電極17、18は、再度遠ざかる(線33)。コントローラ15は、電極17、18の移動と、これらの電極へのエネルギの供給とを制御し、電極17、18間の距離dが特定の閾値d
minより大きい限り、その場合にのみエネルギが供給されることを保証する。これは、電極17、18間のスパーク及びアーク放電を防止する。
【0063】
溶着時に解放された熱が、チューブ内の無菌液3の品質に悪影響を及ぼすのを防止するために、電極17、18は、断熱することができる。各電極17、18は、例えば、断熱ハウジング62(
図14)に収容することができ、断熱ハウジング62は、主に、チューブ又は溶着によって形成されたチューブセグメントがある側に向かう熱の放射を防止する。これは、例えば、溶血(赤血球の溶解及び遊離ヘモグロビンの形成)を防止するために、血液の場合に重要である。
【0064】
溶着装置16は、各溶着作業時に、溶着継ぎ目の位置での温度を実質的に一定に保つための手段(この図では示していない)をさらに設けられる。この手段は、1つ又は複数の加熱要素と、1つ又は複数の冷却要素とを含むことができる調節装置を含む。これらの加熱及び冷却要素は、例えば、合わせてペルチェ素子を形成することができるが、加熱要素は、異なる形態、例えば、熱抵抗の形態を取ることもできる。電極17、18は、電極の指向性の加熱又は冷却によって狭い温度範囲内に保たれ、それにより、溶着継ぎ目の品質は、不変のままであり、高い加工速度を達成することができる。電極17、18を予熱することで、溶着される材料もある程度予熱され、これは、溶着部の形成に好ましく、合間に電極17、18を冷却することで、高速で連続的な溶着作業による過剰な加熱が防止される。
【0065】
図示した例では、移動手段21を含む溶着装置16は、フレーム34に受け入れられている(
図3)。この場合に、供給リール22及び巻取りリール23は、溶着装置16及び移動手段21のチューブ4に作用する部分と同様に、フレーム34の傾斜した上面36に配置されている。コントローラ15は、傾斜した上面36に隣接して、フレーム34に受け入れられた操作ユニット37の一部を形成している。チューブへの充填時に、無菌液がチューブ4’(部分的にのみ図示している)に流れ込むのを可能にするために、容器2’を吊すことができる注入スタンド60もフレーム34に取り付けられている。
【0066】
示した例では、スロット61内で供給リール22と巻取りリール23との間を往復移動可能な2つの移送グリップ35、35’が、溶着ヘッド16の両側に配置され、このグリップは、移動手段21の一部を形成し、グリップの動作は、巻取りリール23の動作と同期する。これらの移送グリップ35、35’はチューブ4を保持し、新たに形成された溶着継ぎ目5に力がかかるのを防止する。移送グリップ35、35’間の距離は、移送グリップが、チューブ/連続体を一段階進めるために往復移動するときに、例えば、移送グリップは機械的に連結されているために一定に保たれる。供給リール22と第1の移送グリップ35との間に静止グリップ38も配置されており、静止グリップ38は、次のセグメントを引き出すために、移送グリップ35、35’がチューブ4を解放して戻るときにチューブ4を保持する。連続体8の移動と、それと共に連続体8の存在との検出もする2つのガイドローラ39が、第2の移送グリップ35’と巻取りリール23との間に配置されている。
【0067】
上側プレート36の傾斜した構成により、使用者が溶着プロセスを容易に観察することが可能になり、一方で、供給リール22及び巻取りリール23の傾斜した構成と、上面36の下縁部40に接近した溶着装置16の配置とにより、気泡がチューブ4内に残っている、予期せぬ事象において、気泡が、チューブ4のうちの供給リール22に巻き付けられた部分に残り、溶着装置16に達しないことが保証される。
【0068】
チューブ4が、溶着作業によって、相互に連結されたセグメント7の連続体8に変換された後、これらのセグメント7は、切離し装置41で互いから切り離すことができる。そのような切離し装置41は、例えば、切断部材又はブレード42(
図12)を設けることができ、連続体8は、ブレード42間で矢印Mの方向に搬送される。ブレード42は、互いに対して遠近方向で、矢印Cの方向にそれぞれ移動可能であり、2つの連続するチューブセグメント7間の溶着継ぎ目5をその都度切断する。この場合同様に、切離し装置41は、各切断作業後に、1つのチューブ長さにわたって連続体8を移動させる移動手段(この図では図示していない)を設けることができ、そのため、次の溶着継ぎ目5は、切断部材42と位置が合った状態で配置される。
【0069】
チューブセグメント7を互いから切り離すために、切断作業の代わりに、引き裂き作業を行うこともできる。このために、2つのセグメント7間の溶着継ぎ目5が、すでにある程度弱くなっているのは実用的であり、そのため、溶着継ぎ目5は、望ましい位置で分離される。溶着継ぎ目5を弱くするために、押圧部材/電極17、18の少なくとも一方は、突出部分43(
図11A)を設けることができる。押圧部材/電極17、18の両方が、突出部分43、43’(
図11B)を設けられると想定することも可能である。したがって、溶着継ぎ目5は、局所的にさらに圧縮することができ、それにより、張力がかかったときに容易に分離される、きわめて薄いストリップが形成される。単一の突起43の代わりに、互いに隣接して複数の突起を配置することも可能であり、それにより、溶着継ぎ目5は、穴の列を設けることができる。この場合に、溶着継ぎ目5は、裂かれて分かれることができ、このため、鋸歯状の縁部を形成する。
【0070】
溶着継ぎ目5は、2つのチューブセグメント7を気密に及び液密に互いから切り離すために、あまり幅広である必要はない。一方、包装される無菌液3の必要とされる投薬量は比較的少ないので、チューブ状包装容器1の全長は、原理的にきわめて限定することができる。しかし、取扱いの点で、チューブ状包装容器1は、小さすぎないようにすることが望ましい。これは、連続するチューブセグメント7間に比較的幅広の溶着継ぎ目5’を形成することで達成することができる。このために、この場合に、比較的幅広の電極を使用しなければならない。溶着継ぎ目5’が幅広であるために、チューブ状包装容器1’の端部10間のかなり長い全長がそれでも得られ、さらに、円筒形部分9’の内のり長さl
iが短い場合に、これは、包装容器1’を取扱い容易にする。さらに、包装容器1の短い有効長は、無菌液3の包装された投薬量が少ないという明瞭なイメージをもたらし、これは、無菌液3が確実に使用されるべきであるということを視覚化する。最後に、チューブ状包装容器1’の幅広い溶着継ぎ目5’(
図10)は、例えば、情報担体44を配置するための空き領域を提供する。したがって、溶着継ぎ目5’は、印刷することができ、又は溶着継ぎ目5’に情報を押印する、若しくは打印することができる。情報は、例えば、バッチ番号又は品質保持期限とすることができる。
【0071】
本発明の代替の実施形態では、無菌液3は、容器又は血液バッグ2から単一の巻きチューブに移送されるのではなくて、複数の直線チューブ4a、4b、…、4n(
図13)にわたって分配される。この場合に、図示した例では、容器2は、接着接続部13’を用いて、短いチューブセグメント45に取り付けられ、次に、短いチューブセグメント45は、逆止弁46に接続される。逆止弁46から、短いチューブセグメント47がY字形部片48まで延びている。Y字形部片48から、2つのチューブセグメント49a、49bが、第2の逆止弁50を介して親水性フィルタ51につながり、最終的に、溶着によって閉じられた端部セグメント52につながっている。Y字形部片48の別の脚部は、短いチューブセグメント53を介して四方マニホルド54に接続され、4つのチューブセグメント55a~55dが、四方マニホルド54から4つの次のマニホルド56a~56dまで延びている。これらのマニホルド56a~56dは、2つの三方マニホルド56a、56bと2つの四方マニホルド56c、56dである。これらのマニホルド56a~56dは、最終的に、それらの外側端部6でそれぞれが覆いをされる、比較的長いチューブ4a、4b、…、4nに接続されている。
【0072】
この実施形態では、チューブ状包装容器1は、直線チューブ4a~4nから形成することができ、そのため、包装容器1自体も直線状である。原理的に、チューブ4a~4nへの無菌液の充填と、チューブ4a~4nの分割とは、第1の実施形態と全く同様に行われる。最も重要な相違は、チューブ4a~4nが、供給リール22及び巻取りリール23に巻かれるのではなくて、溶着装置16に沿って直線的に移送されることである。これは、チューブ4a~4nと、それと共に、チューブ4a~4nから形成されるチューブ状包装容器1との直線性を維持する。
【0073】
したがって、本発明は、比較的単純な手段を用いて、比較的少ない労力で、比較的高速に、多数の比較的小さい包装容器に無菌液、例えば、血清を充填することを可能にする。
【0074】
本発明が、複数の実施形態に関連して上記に説明されたが、本発明は、それらの実施形態に限定されるのではなくて、添付の特許請求の範囲内で様々に変更することができるのは明らかである。