(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】磁気インピーダンス効果を利用した距離及び角度を測定するための電磁計測システム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
G01D5/245 B
G01D5/245 110M
(21)【出願番号】P 2020521313
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 AT2018060240
(87)【国際公開番号】W WO2019071284
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】102017123772.0
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】520125737
【氏名又は名称】ヴァジロー ビクター
【氏名又は名称原語表記】VASILOIU,Victor
(73)【特許権者】
【識別番号】520125748
【氏名又は名称】テュッツ パウル
【氏名又は名称原語表記】TUTZU,Paul
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァジロー ビクター
(72)【発明者】
【氏名】テュッツ パウル
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-315094(JP,A)
【文献】特開2002-39793(JP,A)
【文献】特開2012-83280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/243-5/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離又は角度を測定する測定装置であって、
測定方向(x)に沿って変化するように磁化され、この磁化により対応して変化する磁場(B)を引き起こすスケール(1)と、
変化する前記磁場(B)が前記スケール(1)に対する相対的な位置に応じて前記測定方向(x)に貫通する少なくとも1つの走査ヘッド(2)と、
を有し、前記走査ヘッド(2)は、
磁気インピーダンス効果により、前記磁場(B)に依存し、かつ前記測定方向(x)に沿って変化する局所的で電気的なインピーダンスを有する少なくとも1つの強磁性の薄片(6)と、
前記測定方向(x)を横切って流れるように交流電流を前記少なくとも1つの強磁性の薄片(6)に供給するように構成された信号源と、
前記
少なくとも1つの強磁性の薄片(6)の局所的で電気的な前記インピーダンスに依存する少なくとも2つの位相シフトされたセンサ信号(U
S、U
C)を生成するように構成された少なくとも1つのセンサユニット(3)と、
を有する測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記測定方向(x)に沿って互いに離間し、並んで配置された少なくとも2つの強磁性の薄片(6)を更に有し、
前記交流電流は、一定の振幅と一定の周波数
を有し、
前記少なくとも2つの薄片(6)は、それ自体が前記センサユニット(3)のセンサ素子
を形成し、
前記走査ヘッド(2)に対する前記スケール(1)の位置に依存して前記測定方向(x)に沿って変化する前記磁場(B)が、前記少なくとも2つの薄片(6)の前記インピーダンスに影響を与え、前記インピーダンスは、測定情報(U
S+、U
S-、U
C+、U
C-)として評価される測定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の測定装置であって、
前記磁場(B)により局所的に変化する、強磁性の前記薄片(6)内の局所的な電流強度が、
センサ素子として動作する平面コイル(10)によって検出される測定装置。
【請求項4】
距離又は角度を測定する測定装置であって、前記測定装置は、
測定方向(x)に沿って変化するように磁化され、この磁化により対応して変化する磁場(B)を引き起こすスケール(1)と、
変化する前記磁場(B)が前記スケール(1)に対する相対的な位置に応じて前記測定方向(x)に貫通する少なくとも1つの走査ヘッド(2)と、
を有し、前記走査ヘッド(2)は、
磁気インピーダンス効果により、前記磁場(B)に依存し、かつ前記測定方向(x)に沿って変化する局所的で電気的なインピーダンスを有する少なくとも1つの強磁性の薄片(6)と、
前記少なくとも1つの強磁性の薄片(6)の局所的で電気的な前記インピーダンスに依存する少なくとも2つの位相シフトされたセンサ信号(U
S
、U
C
)を生成するように構成された1つのセンサユニット(3)と、
交流電流(i)を供給するように構成された信号源を有し、
前記センサユニット(3)は、前記信号源に接続され、少なくとも1つの平面受信コイル(10)に
誘導的に結合された少なくとも1つの送信コイル(11)を有し、
少なくとも1つの前記薄片(6)が鉄心として機能し、前記送信コイル(11)は、前記鉄心の中で、少なくとも1つの前記薄片(6)の局所的な前記インピーダンスに依存する渦電流を誘導する測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の測定装置であって、
ここで、センサ信号(U
S及びU
C)の各々の生成は、それぞれ、2つの測定情報(U
S+,U
S-;U
C+,U
C-)間の差をとることによって実行され、
前記2つの測定情報(U
S+,U
S-;U
C+,U
C-)は、それぞれ、前記測定方向(x)に沿って間隔を置いてセンサユニット(3)内に配置された、少なくとも1組の個別のセンサ素子(S+,S-;C+,C-)によって生成される測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の測定装置であって、
前記スケール(1)は、
磁気分割周期の半分(λ)の2倍の周期(2・λ)の規則的な分割を有し、
前記センサユニット(3)は、第1のグループの少なくとも2つのセンサ素子と、第2のグループの少なくとも2つのセンサ素子とを含み、
前記第1のグループの前記センサ素子は、前記周期の半分の奇数倍にほぼ対応する距離((2n+1)・λ/2)だけ互いにずれて配置されており、
前記第2のグループの前記センサ素子は、前記第1のグループの前記センサ素子に対して、前記周期の半分の倍数に前記周期の4分の1を加えた長さに対応する距離(n・λ+λ/4)だけずれて配置されている測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の測定装置であって、
前記スケール(1)は、互いに隣接して配置された複数の磁気トラックを有する測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の測定装置であって、
前記スケールは、前記走査ヘッド(2)に対する前記スケールの位置を一意に定義する絶対コーディングを有する測定装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一項記載の測定装置であって、
前記スケールは円筒形状を有し、前記スケールの分割は角分割である測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の測定装置であって、
強磁性の前記薄片は、線形、非線形、及び磁気飽和の状態の範囲で機能する測定装置。
【請求項11】
スケール(1)と前記スケール(1)から離間した走査ヘッド(2)との間の相対位置を測定する方法であって、
測定方向に沿って変化するように磁化されたスケール(1)によって、前記測定方向(x)に沿って変化する磁場(B)を生成するステップと、
センサユニット(3)に配置された少なくとも1つの薄片(6)の局所的で電気的なインピーダンスに影響を与えるステップであって、局所的で電気的な前記インピーダンスは、磁気インピーダンス効果による局所的な磁場に依存し
、前記センサユニット(3)に対する前記スケール(1)の位置に依存し、少なくとも2つの位相シフトされた測定信号
を生成するステップと、
前記少なくとも1つの薄片(6)の、ある領域における局所的で電気的な前記インピーダンスを表す信号をセンサ素子により検出するステップと、
前記測定方向(x)を横切って流れるように前記少なくとも1つの薄片(6)へ交流電流を供給するか、又は、少なくとも1つの送信コイル(11)を用いて渦電流を誘導するステップと、
を有し、
前記少なくとも1つの薄片(6)の電流分布が前記少なくとも1つの薄片(6)の局所的で電気的な前記インピーダンスに依存している
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であっ
て、
前記センサ素子によって検出された信号の
復調を含む評価を行うステップと、
をさらに有する方法。
【請求項13】
請求項
11又は12に記載の方法であって、
前記信号を前記センサ素子により検知する前記ステップは、
前記少なくとも1つの薄片(6)に局所的な前記インピーダンスに依存する電圧をかけるステップ、又は
前記少なくとも1つの薄片(6)に局所的に流れる交流電流によって引き起こされる磁場の強さを表すセンサ信号を、平面コイル、又は、磁場に感度を有する半導体素子、又は薄膜センサ素子によって検出するステップ、
を有する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であっ
て、
平面受信コイル(10)が、センサ素子として使用され、前記平面受信コイル(10)は、前記送信コイル(11)に
誘導的に結合され、強磁性の前記少なくとも1つの薄片(6)は、鉄心として機能する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載された実施形態は、「ジャイアント磁気インピーダンス」-GMI-の物理的効果に基づく位置検出のための新しいタイプの電磁測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
距離や角度を検出するための測定装置はよく知られており、異なる物理的原理に基づいて動作する。以下に、これらの測定システムの主な特徴の比較的な対照が行われる。
【0003】
光電子測定システムは測定期間(エンコーダの分割周期)が非常に短いため、非常に正確である、機械的負荷(衝撃、振動)および汚染に対して非常に敏感である。
【0004】
磁気測定システムは、測定期間が長く、環境の影響に強く、走査距離(走査ヘッドとスケール間のエアギャップ)が大きいが、磁気センサの走査面積が小さいことと、周期ごとの磁力の不均一性で単周期走査であることにより補間誤差が比較的大きく、反転誤差(ヒステリシス、動きの方向を変える際の信号のジャンプ)が大きいため、精度が低くい。
【0005】
誘導性測定システムは、磁気測定システムと同様の測定周期を持ち、精度が高く、ヒステリシスがない。走査距離は磁気測定システムと比較して非常に小さいため、それぞれの使用が制限される。
【0006】
物理的な磁気インピーダンス効果はそれ自体が知られており、様々なタイプのセンサに使用されている。磁気インピーダンス効果により、強磁性または軟磁性の箔(ワイヤ)に高周波電流が流れると、外部の電磁界に応じてインピーダンスが変化する。この動作は、次のように、既知の表皮効果を用いて説明できる。
【数1】
ここで、δは表皮深さ、fは動作周波数、μは透磁率、σは導電率を、それぞれ示している。
【0007】
材料を流れる電流の表皮深さδは、特定の材料に対して、これらの電流の周波数及び/又は材料の透磁率によって変化し得る。
図1はこれらの依存関係を象徴的に示す図であり、Bは磁気誘導(磁束密度)、Hは磁場強度、Zはインピーダンスを示している。
【0008】
外側の磁場は金属箔の透磁率を10N(N>2)のファクタで変化させることができる。これは、磁気インピーダンス効果が非常に高いインピーダンス/リラクタンスの変化(ΔX/X0)×100%を有することを意味する。
【0009】
2つの異なる領域において磁場強度H1およびH2の2つの電磁場の影響下にある材料の表皮深さδを比較すると、それぞれの侵入度の比率δ
1/δ
2が以下のように得られる。
【数2】
【0010】
インピーダンスZは基本的に表皮深さδに反比例するため、インピーダンスの比Z
2/Z
1は次のようになる。
【数3】
【0011】
この高い感度は、磁気インピーダンス効果を特徴付け、その使用において高い信号コントラストをもたらし、さらに非常に優れた効率をもたらす。
【0012】
以下では、GMI効果を利用した測定装置の例について説明する。特許公報US7791331-B2(特許文献1)では、強磁性合金と可動単一磁石で作られた2つの曲がりくねった巻線を持つ長さ測定装置が知られている。高周波電流が流れるこれらの巻線の三角形の形状により、磁石の相対的な位置に応じて、インピーダンスが変化する。この装置は、位置分解能や達成可能な精度と比較して、測定範囲が制限されている。
【0013】
角度エンコーダは、特許公報DE19953190-C2(特許文献2)により知られている。これは、強磁性合金で作られた平面形状の星型導体と、その軸を中心に星型導体と相対的に回転可能な永久磁石とで構成されている。このタイプのエンコーダは、回転方向を検出できず(回転速度のみ検出可能)、1回転あたりのパルス数(分解能)が非常に少ない。
【0014】
磁気的にコード化されたテープを読み取るためのGMI効果に基づく手動操作の読み取りヘッドは、特許公報AT406715-B(特許文献3)で知られている。この装置は、テープから磁気パターンを読み取ることができるだけで、長さを決定するようには構成されていない。
【0015】
市場でAMOSIN(登録商標)の名称で知られ、特許公報EP1164358-Bl(特許文献4)に記載されている誘導長さおよび角度の測定システムは、マイクロメートル範囲でより高い精度と分解能を実現し、ヒステリシスもない。しかしながら、この装置は、スケールと走査ヘッドとの間の走査距離が、同じ長さの分割周期を有する場合に、ここで紹介された測定装置よりも約2倍小さいという欠点を有する。さらに、ここで新しく紹介する測定装置のセンサは非常にシンプルで、感度がはるかに高く、信号の振幅も大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】US7791331-B2
【文献】DE19953190-C2
【文献】AT406715-B
【文献】EP1164358-Bl
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明者らは、磁気インピーダンス効果を利用し、ヒステリシスの望ましくない現象に影響されることなく、高精度および比較的大きな走査距離を可能にする長さまたは角度の測定デバイスを提供する課題を自ら設定した。さらに、柔軟性のあるセンサキャリアと同様に、センサシステムの製造コストが低いことが望ましい。また、良好な信号平均化と高い位置精度を実現するために、磁気スケールの数周期にわたって大きなスキャン領域を確保することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、請求項1に記載の測定装置および請求項10に記載の方法によって達成される。様々な例示的な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0019】
磁気インピーダンス効果を利用し、ヒステリシスの望ましくない現象に影響されることなく、高精度および比較的大きな走査距離を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】ここで説明した実施形態の主要な構成要素を示す図である。
【
図3】距離または角度を測定するための測定システムの第1の実施形態を示す図である。
【
図4】信号評価用の電子回路の一例を示す図である。
【
図5】距離または角度を測定するための測定システムの第2の実施形態を示す図である。
【
図6】距離または角度を測定するための測定システムの第3の実施形態を示す図である。
【
図7】測定システムの、角度測定に適した第4の実施形態を示す図である。
【
図8】絶対位置の測定をするための測定システムの磁気スケールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な例示的な実施形態が、以下により図面を用いて詳細に説明される。図は必ずしも縮尺通りではなく、本発明は示された態様に限定されない。むしろ、根本的な原則を提示することに重点が置かれている。
【0022】
ここで記載する例示的な実施形態(
図2を参照)は、同じまたは異なる極長さのN極とS極を交互に有する硬磁気分割を備えた磁気スケール1と、平面センサユニット3および評価電子回路4を有する走査ヘッド2とを含む。センサユニット3は、強磁性の薄片6を含む(
図3、
図5および
図6を参照)。
【0023】
測定デバイスのこれらの2つの主要コンポーネント(スケール1と走査ヘッド2)は、エアギャップ「d」の間隔を有するように相互に配置され、互いに対して直線的または回転的に移動できる2つの機械要素に機械的に結合され、それらの相対位置又は絶対位置(線形位置又は角度位置)が検知される。
【0024】
スケールの分割は、スケールによって発生した磁場により、より高い透磁率とより低い透磁率の対応する領域、およびその結果としてより高いインピーダンスとより低いインピーダンスの対応する領域を、走査ヘッド2内に配置された強磁性の薄片内に生成する。この位置に依存するインピーダンス変動は、1つまたは複数のセンサ素子によって検出され、センサ素子によって生成されたセンサ信号の電子処理後、評価電子回路で位置情報として出力される。他のセンサ(AMR、GMRなど)と比較して、ここで説明する測定配置は、強磁性の薄片またはその局所領域が磁気的に飽和している場合でも、有効な位置情報を提供できる。これは、薄片が磁気的に線形、磁気的に非線形の範囲、または磁気飽和の状態で動作しているかに関係なく、強磁性薄片の機能が保持されることを意味する。
【0025】
図2は、GMI効果を使用して位置(距離または角度)を測定するのに適した測定システムの例示的な実施形態を示す。示されている測定システムは、薄いストライプ状のスケール1を備え、これは、硬磁性層を磁化することにより極性が交互に替わっており(N、S)、これは、単純化のために以下では定期的であるように示している(必ずしもそうである必要はない)。スケールは本質的に交互の極性を有する永久磁石である。永久磁石によって生成される磁場は、位置に依存し、例えば、スケール1の部分に伴って周期的に変化する。測定システムはさらに、薄く柔軟な基板上に構成された磁気インピーダンスセンサ(さらにセンサユニット3とも呼ばれる)を備えた走査ヘッド2と、センサユニット3のセンサ信号を処理して(測定方向「x」においてスケール1に対して)走査ヘッドの相対位置信号に変換するように構成された評価電子回路4とを備えている。走査は、スケール1と走査ヘッド2と間の距離「d」(エアギャップ)を保持して非接触で行われる。
【0026】
図2の例による測定装置の機能は、
図3の図を用いてより詳細に説明される。
図3に示す例示的な実施形態によれば、センサユニット3は、可撓性の非磁性基板5を有し、この上に、強磁性材料で作られた幾つかの薄片6(図示の例では4つ)が特定の配置で配置され、互いに電気的に分離されて取り付けられている。薄片6は、以下ではセンサ素子とも呼ばれる。
【0027】
示されている例では、強磁性の薄片6(センサ素子)は、2つのペアのセンサ素子の間に約λ/2の距離があり、2・λがスケール1の(磁気)分割周期である。センサ素子の長さは、測定方向を横切るスケール1の磁気幅にほぼ対応している。S+およびS-と符号が付され第1のペアの薄片6は、サインチャネルに割り当てられ、C+およびC-と符号が付された第2のペアの薄片6は、コサインチャネルに割り当てられている。薄片の2つのペア(S+、S-およびC+、C-)は、およそn・λ+λ/4の距離ずれて基板5上に配置され、ここでnは整数である。
【0028】
特別な実施形態では、複数の第1の薄片ペアをサインチャンネルに割り当て、複数の第2の薄片ペアをコサインチャンネルに割り当てることもできる。サインチャネル(またはコサインチャネル)に割り当てられた2つの薄片ペアはn・λの距離ずれて配置されているが、前述のように、異なるチャネルに割り当てられた2つの薄片ペアは約n・λ+λ/4の距離ずれた位置に配置される。
【0029】
薄片6の厚さは、測定システムがどのように設計されているかに応じて、また材料特性、動作周波数、分割周期などに応じて、約5μmから30μmの間の範囲の値であり得る。
【0030】
簡単にするために、最小数のセンサ素子のみが
図3に示されている。既に述べたように、幾つかのセンサ素子ペアが、測定方向「x」に沿って、互いにn・λの距離で繰り返し配置され、センサ素子6のセンサ信号が2つの測定チャネル(サイン及びコサイン)のそれぞれについて合計されることは、センサにおける技術的に引き起こされる(例えば、幾何学的な)誤差の信号取得および平均化のために有利で有り得る。
【0031】
図4の例によれば、走査ヘッド
2に配置された評価電子回路4は、一定の振幅の(1MHzから約100MHzの範囲の)高周波キャリア電流を生成するように構成された信号発生器41を有する。(S+、S-、C+、C-と示されている)4つのセンサ素子6のそれぞれは、信号発生器に電気的に接続されているので、キャリア電流iはそれらを通って流れる。ここに示す例では、センサ素子6が直列に接続されているため、同じキャリア電流iがセンサ素子6を流れる。
【0032】
センサユニット3に配置されたセンサ素子6(薄片)には、スケール1が発生する磁界(磁束密度B)が侵入する。前述のように、磁場は測定方向(x方向)に沿ったスケールの分割に従って変化し、その結果、センサ素子6の局所的な磁場の強さ/磁束密度は、センサユニット3とスケール1の相対位置に依存する。センサユニットに対してスケールが移動すると、それに応じて磁場が移動する。
【0033】
既に説明したように、磁気インピーダンス効果(GMI効果)では、磁束密度Bの大きさに応じて、センサ素子/薄片6の各々において、相対的な透磁率が変化し、その結果、高周波励磁電流の電流浸透深さ(表皮効果)も変化し、その結果、センサ素子/薄片6のインピーダンスも変化する。評価電子回路4を用いて4つのセンサ素子/薄片6のインピーダンスを測定すると、これらのインピーダンスが走査ヘッド2のスケール1に対する相対的な位置に依存していることが反映される。前述したように、センサ素子/薄片6に一定の電流iを供給することができ、その結果得られる電圧US+,US-およびUC+,UC-(センサ素子6での電圧降下)を評価することができる。
【0034】
干渉に対する高い耐性性を実現し、不要な信号のオフセットやノイズを抑制するために、センサ素子6の信号(例えば電圧U
S+,U
S-,U
C+,U
C-)は、電圧差U
S+ - U
S-を形成してサイン信号(U
S)を決定し、電圧差U
C+- U
C-を形成してコサイン信号(U
C)を決定するように(例えば差動増幅器42、43を用いて)差動的に取得することが可能である。差信号U
SおよびU
C(サインおよびコサイン信号)は、高周波キャリア電流iと同じ周波数である。信号U
SおよびU
Cは、
図4からの例では、復調される(復調器44)。復調の結果、走査ヘッド2に対するスケール1の一様な動きに伴って、そのレベルがほぼサイン波状またはコサイン波状に変化する直流電圧が得られる。簡単のために、
図3、
図4に示す例、及び、以下の例では、高周波搬送波の復調器44の後に、約90°位相をずらした2つの信号sin αおよびcos αで表現されている。
【0035】
センサ信号を増幅して変換し、位置表示または駆動制御のための後続の電子回路の走査ヘッド2の出力において既知の標準化されたインターフェースで利用可能にする電子回路の構成は、それ自体は既知であり、したがって、これ以上は説明しない。2つの位相シフトされたサイン波信号を生成することによって、1周期内で、明確な移動の方向および電気的角度を一意に決定することが重要である。
【0036】
既に述べたように、センサユニット3内の4つの強磁性の薄片(センサ素子6)は、磁気スケール1に対して相対的に移動可能である。これらのセンサ素子6には、評価用電子回路4の電流源41によって生成された、周波数および振幅が一定の電流(キャリア電流i)が流れる。4つのセンサ素子6のそれぞれにおける電圧降下(
図4参照、電圧U
S+、U
S-およびU
C+、U
C-)は、それぞれの薄片のインピーダンスの程度とみなすことができる。これらの電圧U
S+、U
S-およびU
C+、U
C-は、以下のパラメータを有する差動増幅器42によって供給される。
I
0 … 一定の電流振幅
i … キャリア電流
ω= 2πf、f … 一定の周波数
x … センサユニット3に対するスケール1の相対位置
λ … 磁気分割周期の半分
k … 自然数
U
S+、U
S-、U
C+、U
C- … 部分電圧
U
k … 一定の伝送電圧
U
OS、U
OC … 一定のオフセット電圧
α=(2π/λ)x … 電気的角度
なお、i=I
0sinωt である。
この場合、以下の式が得られる。
【数4】
同様に、以下の式も得られる。
【数5】
2つの測定チャネル(サインチャネルとコサインチャネル)のそれぞれについての差分形成後(オペアンプ43)は、以下のとおりの数式が得られる。
【数6】
【0037】
これらの2つの「クワドラチャー」電圧の助けを借りて、復調器44、アナログ/デジタル変換器45、およびさらなるデジタル処理を用いて、電気的角度および移動方向を既知の方法で決定し、位置情報「x」として出力することができる。
【0038】
誘導性測定システムとは対照的に、インピーダンスの変化が磁束密度Bの大きさにのみ依存し、その方向ベクトルには依存しないという事実に基づいて、センサ信号期間λが、スケールの分割周期(2λ)の半分であることが確認される。これは、測定システムの構成において大きな利点となり、より高い精度と分解能を可能にする。
【0039】
さらに、ここに記載された実施形態における磁気インピーダンス効果の高効率は、より高いサイン波およびコサイン波信号振幅につながり、その結果、比較的大きなエアギャップdを実現でき、そのため、ここに記載された実施形態は、既知の測定システムよりもより多様な用途に使用できる。
【0040】
図5は、測定装置の第2の実施形態を示しており、この例では、センサユニット3は以下のように実現されている。すなわち、強磁性の薄片6は、その中を高周波キャリア電流(励起電流)iが横方向(測定方向xを横切る方向)に流れるように信号源41(
図4参照)に接続されている(i=I
0・sin(ωt))。薄片6は、約λ/2の幅を有する少なくとも2つの切り欠き部8を有しており、これらは、互いに約n・λ+λ/4の距離ずれた位置に配置されている。薄片6内の局所的な電流密度は、既に説明した磁気インピーダンス効果に依存する。スケール1によって生成される磁束密度Bに応じて、インピーダンスの異なる局所領域が薄片6に発生し、したがって、薄片6の局所電流密度は、本質的に局所的な磁束密度Bを反映し、それによりスケール1の分割を反映する。この「電流形成」は、薄片6に平行に配置された平面状の受信コイル10によって差動的に検出され、それによって、
図3および
図4に示された構成例と同様の方法で、2つの位相シフトされた信号U
SおよびU
Cが得られる。
【0041】
この実施形態では、システムの寸法がこれを可能にする場合には、薄片の切り欠き部8を省略することも可能である。受信コイル10は、多層プリント基板として実現することができる。一般的に知られている方法で、受信コイル10によって検出される磁場は、例えば、ホールセンサなどの半導体センサや、たとえば、磁気抵抗器(MR)、巨大磁気抵抗器(GMR)、異方性磁気抵抗器(AMR)などの磁気薄膜センサなどの他のタイプのセンサによっても検出できる。
【0042】
図6は、測定装置の第3の実施形態を示している。この場合、高周波キャリア電流iは、従来例のように強磁性の薄片6に直接供給されるのではなく、送信コイル11に供給される。送信コイル11は、受信コイル10と共に平面コイル構造9を構成する。
【0043】
送信コイル11は、既知の方法で強磁性の薄片6に渦電流を誘導する。これらの渦電流の強さおよび空間的な(測定方向「x」に沿った)位置は、薄片6の特定の領域における可変磁気インピーダンスに依存しており、スケール1によって発生する磁場の局所的な磁束密度Bに反比例する。受信コイル10は、
図5に示す先の実施形態と本質的に同じ機能を有し、直接対向する薄片6の領域の局所的に変化する渦電流を差動的に検出する。この実施形態によれば、強磁性の薄片を受動素子として実現することができ、コイルシステムをフレキシブル多層プリント回路として実装することができ、これにより、評価用電子回路に容易に接続することができるという利点がある。
【0044】
既に述べたように、センサ表面がスケールの複数の期間を検知することは、位置測定装置にとって有利である。ここで説明したフレキシブルな薄片を有するセンサユニット3を用いた例では、一定のエアギャップdを有する角度測定用の測定装置を実現することも可能である。この実装例を
図7に示す。機能は、基本的には既に説明したリニア測定の配置と同じで、スケール1は測定ドラム(エンコーダホイール、多極ホイール)として構成されており、走査ヘッド2に対して相対的に回転することができる。
【0045】
走査ヘッド2またはセンサユニット3の表面は、エンコーダホイールの外径に任意的に適合させることができる。これは、平坦で剛性の高いセンサ素子を有する他の測定装置では容易には実現できない。
【0046】
一般に、長さ・角度の測定システムは、その動作の仕方によって、インクリメンタル測定システムとアブソリュート測定システムに分類することができる。インクリメンタル測定システムは、単に周期的に構成されたスケール1を有し、位置情報は、電気的な「リセット」の後、測定パルスのアップカウントまたはダウンカウントとして出力することができる。これとは対照的に、アブソリュート測定システムの場合は、走査ヘッド2に対するスケール1の絶対位置は、測定中いつでも、先行する信号経過とは無関係に利用可能である。
【0047】
インクリメンタル測定システムの場合、1つ以上の「基準パルス」を得るために主周期測定トラックと平行なスケール1上の追加の第2のトラックが、提供されてもよい。説明したすべての例示的な実施形態において、この「基準トラック」は、任意のN極とS極の対のシーケンスとして実装することができる。センサユニット内に配置されるセンサは、上述した構成のセンサ素子と同様の技術で実現でき、N極とS極の対が検出されたときに対応する基準信号を検出して出力することができる。
【0048】
さらに、ここで説明される測定システムの例示的な実施形態のそれぞれに対して、(横方向または角度の)絶対位置を検出する装置を実装することもできる(
図8を参照)。
【0049】
絶対位置測定の場合は、絶対位置が一意に定義され、様々な原理で実現することができる符号化が実行される。
図8は、一例として、いわゆる「ランダムコード」のアブソリュートトラックの実施形態を示しており、スケール1は、長さが等しいか、または異なる長さのN極とS極の列を有し、測定範囲全体で、長さ「L」の特定の組み合わせ(コード)が一度だけ発生する。このようなアブソリュートトラックは、ここで説明されている例示的な実施形態のいずれかによって検出することができる。一様に配置されたセンサ表面は、差動的に動作をする個々のセンサ素子で構成され、信号処理の後、個々の点の絶対位置を定義する特定のコード、例えば「110101」を提供する。
【0050】
より高い位置分解能を達成するために、アブソリュートトラックは、もちろん、スケール上の高分解能のインクリメンタルトラックと並行して取り付けられ、公知の方法で組み合わせて評価され得る。
【0051】
以下に、ここで説明した実施形態のいくつかの側面を要約する。なお、以下の列挙は包括的なものではなく、あくまでも例示的なものである。
【0052】
例1:距離又は角度を測定する測定装置であって、
測定方向xに沿って変化するように磁化され、この磁化により対応して変化する磁場Bを引き起こすスケール1と、
前記磁場Bが貫通する少なくとも1つのセンサユニット
3と、
を有し、前記センサユニット2は、
磁気インピーダンス効果により、磁場Bに依存し、かつ前記測定方向xに沿って変化する局所的な電気的インピーダンスを有する、少なくとも1つの強磁性の薄片6と、
前記薄片6の領域で前記局所的な電気的インピーダンスに依存するセンサ信号(例えば、U
S+、U
S-、U
C+、U
C-)を生成するように構成された少なくとも1つのセンサ素子(例えば、
図3、5、6、符号6、7、10参照)と、
を有する。
【0053】
例2:例1に記載の測定装置であって、前記測定装置は、
交流電流(i)を供給するように構成された信号源を有し、
前記少なくとも1つの強磁性の薄片6が前記信号源に接続されており、前記少なくとも1つの強磁性の薄片6には、測定方向xを横切る交流電流iが流れ、動作時に一定の周波数と一定の振幅を有しており、
前記測定方向xに沿って変化する局所電気インピーダンスにより、少なくとも1つの強磁性の薄片6における結果として生じる電流密度(交流iの分布)は異なる。
【0054】
例3:例1に記載の測定装置であって、前記測定装置は、少なくとも1つの薄片(6)に供給される交流(i)を生成するように構成された信号源(41)(
図4参照)をさらに有し、
前記少なくとも1つの薄片(6)は、前記測定方向(x)に沿って互いに並んで配置された少なくとも2つの薄片を含み、
前記少なくとも1つのセンサ素子(
図3、符号6参照)は、少なくとも2つのセンサ素子(S+、S-、C+、C-)を含み、前記少なくとも2つのセンサ素子(S+、S-、C+、C-)は、前記薄片自体によって形成され、前記薄片には、センサ信号(U
S+、U
S-、U
C+、U
C-)として、前記測定方向xを横切る方向に電圧が掛けられる。
【0055】
例4:例1に記載の測定装置であって、前記測定装置は、少なくとも1つの薄片6に供給される交流iを生成するように構成された信号源41(
図4参照)も有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子は、磁場に感度を有する半導体センサ素子または磁場に感度を有する薄膜センサ素子であり、センサ信号として、少なくとも1つの薄片を流れる交流電流によって引き起こされる磁場強度を表す信号を生成する。
【0056】
例5:例1乃至例4の何れか1つに記載の測定装置であって、
前記少なくとも1つのセンサ素子が平面コイル(
図5、コイル10参照)を有する。
【0057】
例6:例1乃至例5の何れか1つによる測定装置であって、
前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記測定方向に沿って互いに並んで配置された第1のセンサ素子S+および第2のセンサ素子S-を含み、
前記第1のセンサ素子S+および前記第2のセンサ素子S-のセンサ信号U
S+、U
S-は、差信号を形成するように結び付けられる(
図3乃至
図6を参照)。
【0058】
例7:例1に記載の測定装置であって、
前記少なくとも1つのセンサ素子は、少なくとも1つの平面コイル10を有し、前記センサユニット3は、さらに、少なくとも1つの送信コイル11を有し、前記少なくとも1つの送信コイル11は、前記信号源41に接続され、少前記なくとも1つの平面コイル10に変圧的に結合され(
図6参照)、
前記少なくとも1つの薄片6が、前記少なくとも1つの6の局所インピーダンスに依存する渦電流を誘導する鉄心として機能する。
【0059】
例8:例1乃至例7の何れか1つに記載の測定装置であって、
前記スケール1は、規則的な分割2・λを有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子は、第1のグループの少なくとも2つのセンサ素子と、第2のグループの少なくとも2つのセンサ素子とを含み、
前記第1のグループの前記センサ素子は、前記分割の半分の倍数に対応する距離λだけずれて配置されており、
前記第2のグループの前記センサ素子は、前記第1のグループの前記センサ素子に対して、前記周期の半分の倍数に前記分割の4分の1を加えた長さに対応する距離(すなたち、n・λ+λ/4)だけずれて配置されている。
【0060】
例9:例1乃至例8の何れか1つに記載の測定装置であって、
前記スケール1は、互いに隣接して配置された複数のトラックを有する。
【0061】
例10:例1乃至例9の何れか1つに記載の測定装置であって、前記スケールは、前記センサ素子3に対する前記スケールの位置を一意に定義する絶対コーディングを有する。
【0062】
例11:例1乃至例10の何れか一項記載の測定装置であって、
前記スケールは円筒形状を有し、前記スケールの分割は角分割である。
【0063】
例12:スケール1と前記スケール1から離間したセンサユニット3との間の相対位置を測定する方法であって、
測定方向に沿って変化するように磁化されたスケール1によって、前記測定方向xに沿って変化する磁場Bを生成するステップと、
センサユニット3に配置された少なくとも1つの薄片6の局所的で電気的なインピーダンスに影響を与えるステップであって、局所的で電気的な前記インピーダンスは、磁気インピーダンス効果による局所磁場に依存し、したがって、前記センサユニット3に対する前記スケール1の位置に依存するステップと、
なくとも1つの薄片6のある領域における局所的で電気的な前記インピーダンスを表す信号をセンサ素子により検出するステップと、
を有する。
【0064】
例13:例11に記載の方法であって、
少なくとも1つの薄片6に高周波交流電流を供給するステップであって、前記測定方向xに沿った電流分布が前記少なくとも1つの薄片6の局所的で電気的な前記インピーダンスに依存しているスッテプと、
前記センサ素子によって検出された信号の復調を行うステップと、
を有する。
【0065】
例14:例12に記載の方法であって、
局所的で電気的な前記インピーダンスを表す前記信号を前記センサ素子により検知する前記ステップは、
少なくとも1つの薄片6に、局所的で電気的なインピーダンスに依存する電圧を掛けるステップ、又は
少なくとも1つの薄片6に局所的に流れる交流電流によって引き起こされる磁場の強さを表すセンサ信号を、平面コイルまたは磁場に感度を有する半導体素子または薄膜センサ素子によって検出するステップ、
を有する。
【0066】
例15:例13に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの薄片(6)の局所的で電気的な前記インピーダンスは、少なくとも1つの送信コイル(11)に流れる交流電流により影響を受け、
平面コイルは、センサ素子として使用され、平面コイルは、前記送信コイル11に変圧的に結合され、強磁性の前記少なくとも1つの薄片6は、鉄心として機能する。
【0067】
すべての例では、変位測定(変位または位置の測定)と角度測定(回転エンコーダを使用の際)の両方のシステムで使用可能である。また、すべての例では、スケールのコーディングに応じて、(角度)位置のインクリメンタル(相対)測定、および絶対(角度)位置の測定が可能である。さらに、上記例1乃至例5に記載の装置において、スケール(1)は、磁気分割周期の半分(λ)の2倍の周期(2・λ)の規則的な分割を有し、センサユニット(3)は、第1のグループの少なくとも2つのセンサ素子と、第2のグループの少なくとも2つのセンサ素子とを含み、第1のグループのセンサ素子は、周期の半分の奇数倍にほぼ対応する距離((2n+1)・λ/2)だけ互いにずれて配置されており、第2のグループのセンサ素子は、第1のグループのセンサ素子に対して、前記周期の半分の倍数に前記周期の4分の1を加えた長さに対応する距離(n・λ+λ/4)だけずれて配置するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 … スケール
2 … 走査ヘッド
3 … センサユニット
4 … 評価電子回路
6 … 薄片
10 … 受信コイル
11 … 送信コイル
41 … 信号源
42、43 … 差動増幅器
44 … 復調器
45 … アナログ/デジタル変換器
B … 磁場
i … 交流電流
S+、S-、C+、C- … センサ素子
US、UC … センサ信号
US+、US-、UC+、UC- … 測定情報
x … 測定方向