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特許7311505架橋アミノシリコーンポリマー並びにその調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】架橋アミノシリコーンポリマー並びにその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/388 20060101AFI20230711BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20230711BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230711BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C08G77/388
D06M15/643
A61K8/898
A61Q5/02
A61Q5/12
A61K8/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020524315
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 US2018058072
(87)【国際公開番号】W WO2019099180
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】62/588,538
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/589,579
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グエン、キンマイ
(72)【発明者】
【氏名】フェン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】スチワンチャロエン、ニサラポーン
(72)【発明者】
【氏名】ウェッジ、ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】コーバン、セベリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ティル、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ベサニー
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-327784(JP,A)
【文献】特開昭63-075184(JP,A)
【文献】特開昭62-276090(JP,A)
【文献】特開2015-113344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
D06M 15/643
A61K 8/898
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均単位式:
【化1】
【化2】
【化3】
[式中、
各Rは、独立して選択された1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、
各L1は、独立して選択された連結部分であり、L1はD7と結合し、
各L2は、独立して選択された連結部分であり、L2はD4と結合し、
各D1は、独立して選択された2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
各D2は、独立して選択された1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
各D3は、共有結合又は1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基から独立して選択され、
各D4は、独立して選択された2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基、2個以上の炭素原子を有するアミノ官能性アルキレン基、又はエポキシ官能基と反応するNHの反応生成物である基であり、
各R1は、独立して、水素原子又はD8に連結する共有結合であり、
各D5は、独立して選択された1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
各D6は、独立して選択された2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
下付き文字x>0の場合、D7は酸素原子であり、x=0の場合、D7は存在せず、
各下付き文字xは、独立して0、1、又は2であり、
各D8は、1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
下付き文字aは、1以上であり、
下付き文字bは、1以上であり、
下付き文字cは、2以上であり、
下付き文字dは、0以上であり、
下付き文字eは、0以上であり、
数量(c+d+e)は、最大2000であり、但し、下付き文字a及びb並びに基D4は、架橋アミノシリコーンポリマーが>0~10モル%のアミン含有量を有するように選択される]を含む架橋アミノシリコーンポリマー。
【請求項2】
(i)下付き文字aは1~100である、(ii)下付き文字bは1~100である、(iii)下付き文字cは2~100である、(iv)下付き文字dは0~1998である、(v)下付き文字a及びb並びに基D4は、前記架橋アミノシリコーンポリマーが>0~5モル%のアミン含有量を有するように選択される、(vi)各D8はメチレンである、(vii)各D6は2~4個の炭素原子を有する、(viii)各D5は1~3個の炭素原子を有する、(ix)各D2は2~8個の炭素原子を有する、(x)各D1は2~4個の炭素原子を有する、(xi)各Rはアルキル基である、又は(xii)(i)~(xi)のうちの2つ以上である、請求項1に記載の架橋アミノシリコーンポリマー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマーを調製するためのプロセスであって、出発原料の乳化重合を含み、前記出発原料は(i)エポキシ官能性有機化合物と、(ii)窒素含有一価炭化水素を有するオルガノシリコーンポリマーと、(iii)アルコキシ基及びエポキシ官能基を有するオルガノシランと、(iv)界面活性剤と、(v)水と、を含む、プロセス。
【請求項4】
出発原料(i)が、グリシドールメタクリレート;n-ブチルグリシジルエーテル;フェニルグリシドールエーテル;3,4-エポキシ-1-シクロヘキセン;9-オキサビシクロ[6.1.0]ノナ-2-エン;1-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン;メトプロロールヒドロキシエポキシド;1,2-エポキシ-9-デセン;及びグリシドール、からなる群から選択される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
出発原料(ii)が、平均式:(RSiO1/2(RSiO2/2(RR4SiO2/2[式中、R4は、式:
【化4】
(式中、D12は、1~8個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、D13は、少なくとも1個の炭素原子を有する二価炭化水素基である)のアミノ官能基である]を有する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
出発原料(iii)が、式:RSiR(3-x)(OR)[式中、下付き文字xは1~3であり、各Rは独立して1~12個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、各Rがエポキシ官能性一価基である]を有する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項7】
(1)請求項1又は請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマーと、
(2)界面活性剤と、
(3)水と、
を含むエマルション。
【請求項8】
繊維又は織物を処理するための方法であって、
(A)前記繊維又は織物に、請求項1若しくは請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマー、又は請求項7に記載のエマルションを含むトリートメント組成物を適用することと、
所望により(B)前記織物を乾燥することと、を含む、方法。
【請求項9】
(1)請求項1若しくは請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマー、又は請求項7に記載のエマルションと、
(2)適用を可能にする担体と、
を含む、パーソナルケア組成物。
【請求項10】
(1)請求項1若しくは請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマー、又は請求項7に記載のエマルションと、
(2)水と、
(3)アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と、
所望により(4)防腐剤と、
所望により(5)カチオン性沈着ポリマーと、
所望により(6)増粘剤と、
を含むシャンプー。
【請求項11】
(A)請求項1若しくは請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマー、又は請求項7に記載のエマルションと、
(B)水と、
所望により(C)増粘剤と、
(D)脂肪族アルコールと、
所望により(E)他の乳化剤と、
所望により(F)防腐剤と、
所望により(G)カチオン性界面活性剤と、
を含むヘアコンディショナー。
【請求項12】
リーブインヘアトリートメント組成物としての、請求項7に記載のエマルションの使用。
【請求項13】
(A)請求項1又は請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマーと、
(B)有機又はシリコーン担体と、
を含む、無水リーブインヘアトリートメント組成物。
【請求項14】
(A)請求項1若しくは請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマー、又は請求項7に記載のエマルションと、
(B)水と、
所望により(C)増粘剤と、
所望により(D)追加の乳化剤と、
所望により(E)カチオン性ポリマーと、
所望により(F)有機スタイリングポリマーと、
所望により(G)防腐剤と、
を含む、スタイリング助剤。
【請求項15】
(A)請求項1若しくは請求項2に記載の架橋アミノシリコーンポリマー、又は請求項7に記載のエマルションと、
(B)水と、
(C)芳香剤と、
(D)カチオン性界面活性剤と、
所望により(E)増粘剤と、
を含む、布地柔軟剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2017年11月20日に出願された米国特許仮出願第62/588538号の利益を主張するものである。米国特許仮出願第62/588538号は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
架橋アミノシリコーンポリマー、ポリマーの製造方法、並びに毛髪、織物、他の繊維、及び他の基材を処理するためのポリマーの使用が開示される。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、毛髪、織物、及び他の繊維処理に広く使用されている。特に、様々なアミン官能性シリコーンが開発され、様々な商標名で市販されている。アミン基の酸化により織物が黄変すること、及びポリジメチルシロキサン鎖が高度に疎水性であることは、織物処理としてのアミン官能性シリコーンに共通の問題である。それ故、長年にわたる取り組みは、シロキサンポリマー、例えばシリコーンポリエーテルブロックコポリマーに親水性基を付加することで、アミン含有量を変更又は低減し、黄変を低減しながら、アミン官能性シリコーンを変性することに焦点が当ててきた。
【0004】
アミン官能性シリコーンポリエーテルコポリマーの使用には欠点がいくつかある。それらは高価である場合がある、及び/又は調製に時間がかかる場合がある。それらの性能、特にヘアケア用途での性能は、不十分であり得る。毛髪へのコンディショニング、及び/又はスタイリングの利点をもたらすことが可能な、ヘアケア組成物用の、費用対効果の高い官能性シリコーン材料が業界に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、架橋アミノシリコーンポリマーに関する。上記架橋アミノシリコーンポリマーは、平均単位式:
【化1】
【化2】
【化3】
を含む。上記単位式において、各Rは独立して、1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。各L1は連結部分である。L1はD7と結合する。各L2は連結部分である。L2はD4と結合する。D1は、2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。D2は、1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。D3は、共有結合又は1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。D4は、2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基、又は2個以上の炭素原子を有するアミノ官能性アルキレン基、又はNH及びエポキシの反応生成物である。各R1は、独立して、水素原子又はD8に連結する共有結合である。D5は、1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。D6は、2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。D7は酸素原子である。D8は、共有結合又は1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。各下付き文字xは、独立して0、1、又は2である。下付き文字aは1以上である。下付き文字bは1以上である。下付き文字cは2以上である。下付き文字dは0~2000である。下付き文字eは0以上である。数量(c+d+e)は、最大2000である。架橋アミノシリコーンは、最大10%のアミン含有量、あるいは最大5%のアミン含有量を有する。
【0006】
本発明はまた、出発原料の乳化重合を含むプロセスによる、上記の平均単位式を含む架橋アミノシリコーンポリマーを調製するためのプロセスであって、該出発原料は、(i)ヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基を有するオルガノシリコーンポリマーと、(ii)窒素含有一価炭化水素及びヒドロキシル基を有するオルガノシリコーンポリマーと、(iii)アルコキシ基及びエポキシ官能基を有するオルガノシランと、(iv)界面活性剤と、(v)水と、を含む、プロセスを提供する。
【0007】
本発明はまた、基材の処理のための上記式を有する架橋アミノシリコーンポリマーを使用する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
架橋アミノシリコーンポリマーは、平均単位式:
【化4】
【化5】
【化6】
を含む。
【0009】
上記の平均単位式において、各Rは、独立して選択された1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。Rに好適な一価炭化水素基としては、以下に定義したとおりの、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールが挙げられる。あるいは、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリールであってもよい。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(分枝状及び直鎖状異性体、すなわち、n-プロピル及びイソ-プロピルを含む)、ブチル(分枝状及び直鎖状異性体、すなわち、tert-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びn-ブチルを含む)、並びにヘキシル(分枝状及び直鎖状異性体を含む)によって例示される。好適なアルケニル基としては、ビニル、アリル、及びヘキセニルが挙げられる。好適なアリール基としては、フェニル、トリル、及びキシリル、あるいはフェニルが挙げられる。あるいは、各Rは、アルキル及びアリール(例えば、メチル及びフェニル)から選択されてもよい。あるいは、各Rはメチルであってもよい。
【0010】
各L1は、独立して選択された連結部分である。L1はD7と結合する。各L2は、独立して選択された連結部分である。L2はD4と結合する。各L1及び各L2は共有結合であってもよい。
【0011】
D1は2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。あるいは、D1は2~4個の炭素原子を有してもよい。D1は、エチレン、プロピレン、及びブチレンによって例示される。あるいは、D1はn-プロピレンであってもよい。
【0012】
D2は1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。あるいは、D2は、1~3個の炭素原子、例えばメチレン、エチレン、及びプロピレンを有してもよい。
【0013】
D3は、D2について上記のように、共有結合又は1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。あるいは、D3の二価炭化水素基は、1~2個の炭素原子、例えば、メチレン又はエチレンを有してもよい。あるいは、D3はメチレンであってもよい。
【0014】
D4は、2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基、又は2個以上の炭素原子を有するアミノ官能性アルキレン基である。あるいは、D4の二価炭化水素基は、2~8個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子を有してもよい。アミノ官能性アルキレン基は、一般式:
【化7】
[式中、D10は1~6個の炭素原子を有するアルキレン基であり、D11は1~6個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R3は、水素原子又は式:
【化8】
(式中、下付き文字uは1以上であり、下付き文字vは1以上である)の基である]を有する。あるいは、下付き文字uは1~20、下付き文字vは1~20である。あるいは、下付き文字uは1~10である。あるいは、下付き文字vは1~10である。あるいは、数量(u+v)は1~22である。D4に好適なアミノ官能性アルキレン基は、-(CH-N(R3)-(CH-、-(CH-N(R)-(CH-、-(CH-N(R3)-(CH-、及び-(CH)CH(CH)-CH-N(R3)-(CH-によって例示され、R3は上記のとおりである。あるいは、D10及びD11は共に、合計3~8個の炭素原子、あるいは4~8個の炭素原子を有してもよい。あるいは、D4は、エポキシ官能基と反応するNHの反応生成物である基であってもよい。
【0015】
各R1は、独立して、水素原子又はD8に連結する共有結合である。
【0016】
D5は1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。あるいは、D5は、1~3個の炭素原子、例えばメチレン、エチレン、及びプロピレンを有してもよい。あるいは、D5はメチレン又はエチレンであってもよい。あるいはメチレンである。
【0017】
D6は2個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基である。あるいは、D6は2~4個の炭素原子を有してもよい。D1は、エチレン、プロピレン、及びブチレンによって例示される。あるいは、D6はn-プロピレンであってもよい。
【0018】
下付き文字x>0の場合、D7は酸素原子であり、x=0の場合、D7は存在しない。各下付き文字xは、独立して0、1、又は2である。
【0019】
D8は、1個以上の炭素原子を有する二価炭化水素基(例、メチレン)である。
【0020】
下付き文字aは1以上である。下付き文字bは1以上である。下付き文字cは2以上である。下付き文字dは0以上であり、あるいは下付き文字dは0~2000である。下付き文字eは0以上である。数量(c+d+e)は、最大2000である。あるいは、下付き文字aは、1~100であってもよい。あるいは、下付き文字bは1~100であってもよい。あるいは、下付き文字cは、2~100であってもよい。あるいは、下付き文字a及びbは、>0~5モル%、あるいは>0~2.5モル%の架橋アミノシリコーンポリマーにアミン含有量を提供するのに十分な値を有する。
【0021】
下付き文字a及びb並びに基D4は、架橋アミノシリコーンポリマーが>0~10モル%のアミン含有量、あるいは>0~5モル%のアミン含有量、あるいは>0~2.5モル%を有するように選択される。
【0022】
例示的な架橋アミノシリコーンポリマーは、例えば、エマルションA及びBを作製するために以下に記載されるプロセスによって作製される場合、平均式:
【化9】
を有してもよい。
【0023】
あるいは、例示的な架橋アミノシリコーンポリマーは、グリシドールが架橋アミノシリコーンポリマーを調製するためのプロセスにおいて使用される場合、平均式:
【化10】
を有してもよい。
【0024】
本発明は更に、上記の架橋アミノシリコーンポリマーを調製するためのプロセスに関する。上記架橋アミノシリコーンポリマーを調製するためのプロセスであって、出発原料の乳化重合を含み、該出発原料は、(i)エポキシ官能性有機化合物と、(ii)窒素含有一価炭化水素及び所望によりヒドロキシル基を有するオルガノシリコーンポリマーと、(iii)アルコキシ基及びエポキシ官能基を有するオルガノシランと、(iv)界面活性剤と、(v)水と、を含む、プロセス。
【0025】
エポキシ官能性有機化合物はオキシラン基を有する。例としては、グリシドールメタクリレート;n-ブチルグリシジルエーテル;フェニルグリシドールエーテル;3,4-エポキシ-1-シクロヘキセン;9-オキサビシクロ[6.1.0]ノナ-2-エン;1-メチル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン;メトプロロールヒドロキシエポキシド;又は1,2-エポキシ-9-デセンが挙げられる。エポキシ官能性有機化合物は、アルコール官能基を更に含んでもよい。例示的なエポキシ官能性有機化合物は市販されており、グリシドールによって例示される。
【0026】
窒素含有一価炭化水素及び所望により出発原料(ii)として使用されるヒドロキシル基を有するオルガノシリコーンポリマーは、平均式:(RSiO1/2(RSiO2/2(RR4SiO2/2[式中、R並びに下付き文字c、d、及びeは上記のとおりであり、R4は、式:
【化11】
(式中、D12は、1~8個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは3~5個の炭素原子、あるいは4個の炭素原子を有する二価炭化水素基である)のアミノ官能基である]を有する。D13は、少なくとも1個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有する二価炭化水素基である。D12及びD13に好適な二価炭化水素基は、本明細書に記載及び例示されるとおりである。あるいは、D12及びD13は、例えば、エチレン、プロピレン、及びブチレンから独立して選択され得るアルキレン基であってもよい。直鎖状又は分枝状アルキレン基が使用されてもよい。
【0027】
架橋アミノシリコーンポリマーを製造するために出発原料(iii)として使用されるアルコキシ基及びエポキシ官能基を有するオルガノシランは、式:RSiR2(3-y)(OR)[式中、下付き文字yは1~3であり、各R2は独立して、1~12個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、各Rはエポキシ官能性一価基である]を有する。出発原料(iii)に好適なオルガノシランの例としては、エポキシトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシトリエトキシシラン、及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
架橋アミノシリコーンポリマーを調製するために乳化重合に使用される界面活性剤及び水は、以下に記載されるとおりであり得る。乳化重合は、参照で使用されるものの代わりに本明細書に記載の出発原料を用いて、米国特許第5,852,110号に開示されているような当該技術分野において既知の方法によって実施されてもよい。例えば、乳化重合は、界面活性剤と水とを、所望により、加熱しながら組み合わせ、その後、出発原料(i)、(ii)及び(iii)を任意の順序でそれに添加することによって実施されてもよい。あるいは、本方法は、1)出発原料(ii)オルガノシリコーンポリマー、(iv)界面活性剤、及び(v)水の一部を組み合わせることと、その後、2)出発原料(i)エポキシ官能性有機化合物を添加することと、3)出発原料(iii)エポキシ官能性アルコキシシランを添加することと、を含んでもよい。水の残部は、工程2)、工程3)、又はその両方において添加されてもよい。あるいは、本方法は、1)出発原料(ii)オルガノシリコーンポリマー、(iv)界面活性剤、及び(v)水の一部を組み合わせることと、その後、2)出発原料(iii)エポキシ官能性アルコキシシランを添加することと、及び3)出発原料(i)エポキシ官能性有機化合物を添加することと、を含んでもよい。水の残部は、工程2)、工程3)、又はその両方において添加されてもよい。上記のように、上記の異なる添加順序の方法で得られた生成物は、上記の架橋アミノシリコーンポリマーを含有するエマルションである。エマルションは、本明細書に記載のトリートメント組成物として使用されてもよく、又は架橋アミノシリコーンポリマーは、米国特許第5,852,110号に記載されているものなどの方法を使用してエマルションから単離されてもよい。
【0029】
あるいは、上記の任意の方法は、特に出発原料(ii)のアミノ含有量が高い場合に、加工助剤を添加することを所望により更に含んでもよい。好適な加工助剤は、本明細書で以下に定義されるpH調整酸などの酸である。
【0030】
エマルション
上記の架橋アミノシリコーンポリマーは、エマルション中に存在し得る。あるいは、上記の架橋アミノシリコーンポリマーは、乳化重合によって調製され、その後単離されてもよい。単離された架橋アミノシリコーンポリマーは、エマルション組成物中の成分であってもよい。エマルション組成物は、概して、(A)上記の架橋アミノシリコーンポリマーと、(B)界面活性剤と、(C)水と、を含む。本明細書で使用する場合、「エマルション」とは、水を連続相とするエマルション、例えば水中油型エマルション、又は水中シリコーン型エマルション(s/w)、油又はシリコーンを連続相とするエマルション、例えば油中水型エマルション、又はシリコーン中水型エマルション(w/s)、あるいは多相エマルション(水/油/水、油/水/油型、水/シリコーン/水、又はシリコーン/水/シリコーン)を包含することを意味する。架橋アミノシリコーンポリマーは、全般的な混合技術によって任意の種類のエマルションに添加してよい。架橋アミノシリコーンポリマーの添加は、エマルションの調製中に行ってよい、又は予形成したエマルションにその後添加してよい。あるいは、架橋アミノシリコーンポリマーは、乳化重合によってその場で形成されてもよい。架橋アミノシリコーンポリマーとエマルションとの混合を行うために必要とされる特別な要件又は条件はない。混合技術は、単純な撹拌、ホモジナイジング、ソノレーティング(sonolating)、及び、エマルションを形成するための、当該技術分野において既知の他の混合技術であることができる。混合は、バッチ法、半連続法、又は連続法で行うことができる。
【0031】
エマルションに添加する架橋アミノシリコーンポリマーの量は様々であり得、限定されないものの、その量は典型的に、架橋アミノシリコーンポリマー/エマルションの重量比が0.1/99~99/0.1、あるいは1/99~99/1の範囲であってもよい。概して、シリコーンエマルションは、エマルションの重量に基づいて10%~70%、あるいは20%~60%の架橋アミノシリコーンポリマー濃度を含有する。10%未満の架橋アミノシリコーンポリマーを含有するエマルションを作製可能である一方、このようなエマルションは実用的価値が少ない、又は全くない可能性がある。界面活性剤は、概して、エマルションの重量を基準にして0.05%~30%、あるいは0.1%~20%で存在する。水(及び存在する場合は追加の成分)がエマルションの残部を構成し、100%となる。
【0032】
アニオン性界面活性剤
あるいは、架橋アミノシリコーンポリマーを含有するエマルションは、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を含有してもよい。アニオン性界面活性剤としては、(i)スルホン酸及びそれらの塩誘導体(例えばアルキル、アラルキル、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸)、並びにアルキル置換基に少なくとも6個の炭素原子を有するそれらの塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸、並びにそのナトリウム塩又はアミン塩);(ii)アルキル置換基に少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルサルフェート、(例えばラウリル硫酸ナトリウム);(iii)ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸エステル;(iv)長鎖カルボン酸界面活性剤及びそれらの塩(例えばラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、並びにそれらのアルカリ金属及びアミン塩)が挙げられる。アニオン性界面活性剤のいくつかの他の例は、アルカリ金属スルホサクシネート;脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル(例えばヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド);一価のスルホン化アルコールエステル塩(例えばナトリウムオレイルイソシアネート);アミノスルホン酸のアミド(例えばオレイルメチルタウリドのナトリウム塩);脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物(例えばパルミトニトリルスルホネート);スルホン化芳香族炭化水素(例えばナトリウムα-ナフタレンモノスルホネート);ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物;ナトリウムオクタヒドロアントラセンスルホネート;アルカリ金属アルキルサルフェート;8個以上の炭素原子からなるアルキル基を有するエーテルサルフェート(例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム);並びに、8個以上の炭素原子からなる1個以上のアルキル基を有するアルキルアリールスルホネート(例えば、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、及びC20アルキルベンゼンスルホン酸の中性塩)である。
【0033】
使用可能な商用のアニオン性界面活性剤としては、Alcolac Inc.(Baltimore,Maryland)により商標SIPONATE(登録商標)DS-10で販売されている、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩;Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により商標DOWFAX(登録商標)8390で販売されている、ナトリウムn-ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホネート;Clariant Corporation(Charlotte,North Carolina)により商標HOSTAPUR(登録商標)SAS 60で販売されている、第二級アルカンスルホネートのナトリウム塩;Nikko Chemicals Company,Ltd.(Tokyo,Japan)により商標NIKKOL LMT(登録商標)で販売されている、ナトリウムN-ラウロイルメチルタウレートなどのN-アシルタウレート;及び、Stepan Company(Northfield,Illinois)により商標BIO-SOFT(登録商標)S-100で販売されている、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸が挙げられる。後者のタイプの組成物、例えばドデシルベンゼンスルホン酸は、上述した触媒であるが、中和された場合、アニオン性界面活性剤としてもまた機能することができる。他の好適な界面活性剤としては、アルキルスルホン酸ナトリウム(例えばHostapur(登録商標)SAS-30)が挙げられる。一実施形態において、乳化剤は、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート(例えばBIO-SOFT(登録商標)N 300)である。
【0034】
カチオン性界面活性剤
本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、正に荷電した分子内に第四級アンモニウム親水性部分を含有する化合物、例えばR1011(式中、R~R11は、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、Xはハロゲン、例えば塩素又は臭素である)により表される第四級アンモニウム塩が挙げられる。あるいは、第四級アンモニウム化合物は、各アルキル置換基に少なくとも8個の炭素原子を有する、アルキルトリメチルアンモニウム及びジアルキルジメチルアンモニウムハライド、又はアセテート、又はヒドロキシドであってよい。ジアルキルジメチルアンモニウム塩を使用することができ、かかる塩は、R1213(CH(式中、R12及びR13は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、Xはハロゲンである)により表される。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を使用することができ、かかる塩は、R14(CH(式中、R14は12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又はタロー、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、Xはハロゲン、アセテート、又はヒドロキシドである)により表される。
【0035】
例示的な第四級アンモニウムハライド塩は、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム/塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(LTAC)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、臭化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジエイコシルジメチルアンモニウム、及び塩化ジドコシルジメチルアンモニウムである。これらの第四級アンモニウム塩は、ADOGEN(登録商標)、ARQUAD(登録商標)、TOMAH(登録商標)、及びVARIQUAT(登録商標)などの商標で市販されている。
【0036】
使用可能な他の好適なカチオン性界面活性剤としては、(i)脂肪酸アミン及びアミド、並びにそれらの塩及び誘導体、例えば脂肪族アミン及びそれらの誘導体が挙げられる。市販されているこのようなカチオン性界面活性剤としては、Akzo Nobel Chemicals Inc.(Chicago,Illinois)により、商品名Arquad T27 W、Arquad 16-29で販売されている組成物、及びStepan Company(Northfield,Illinois)により商品名Ammonyx Cetac-30で販売されている組成物が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤
好適な両性界面活性剤としては、ベタイン(例えばコカミドプロピルベタイン)、スルタイン(例えばコカミドプロピルヒドロキシスルタイン)、レシチン及び水素添加レシチンが挙げられる。一実施形態において、乳化剤は、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との組み合わせである。更なる実施形態において、組み合わせにおけるアニオン性界面活性剤は、アルキルスルホネート又はドデシルベンゼンスルホネートである。更なる実施形態において、非イオン性乳化剤は、アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル又はアルキルポリエチレングリコールエーテルである。
【0038】
非イオン性界面活性剤
使用可能な、いくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)Tergitol TMN-6及びTergitol TMN-10の商品名で販売されている2,6,8-トリメチル-4-ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により、商品名Tergitol 15-S-7、Tergitol 15-S-9、Tergitol 15-S-15、Tergitol 15-S-30、及びTergitol 15-S-40で販売されているC11~15第二級アルキルポリオキシエチレンエーテル、Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により商品名Triton X405で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan Company(Northfield,Illinois)により商品名Makon 10で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio)により商品名Trycol 5953で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,NJ)により商品名Brij L23及びBrij L4で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば(登録商標)GENAPOL UD 050、及びGenapol UD 110)、(vii)C10ゲルベ(Guerbet)アルコール及びエチレンオキシドをベースにするアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(登録商標)XP 79)などの組成物が挙げられる。
【0039】
好適な非イオン性界面活性剤としては、更にポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーも挙げられる。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これらは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))からなる2つの親水性鎖と、からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,NJ)から市販されており、Pluronic L61、L62、L64、L81、P84などのPLURONIC(登録商標)の商標名で販売されている。
【0040】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール修飾されたポリシロキサン界面活性剤が挙げられる。使用可能な市販の非イオン性界面活性剤としては、商標TERGITOL(登録商標)TMN-6(6EO)及びTERGITOL(登録商標)TMN-10(10EO)で販売されている、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキセタノ-ル;商標TERGITOL(登録商標)15-S-7、TERGITOL(登録商標)15-S-9、TERGITOL(登録商標)15-S-15で販売されているアルキレンオキシポリエチレンオキシエタノ-ル(C11~15二級アルコールエトキシレート7EO、9EO、及び15EO);商標TERGITOL(登録商標)15-S-12、15-S-20、15-S-30、15-S-40で販売されている他のC11~15二級アルコールエトキシレート;並びに商標TRITON(登録商標)X-405で販売されているオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(40EO)などの組成物が挙げられる。これらの界面活性剤は全て、Union Carbide Corporation(Danbury,Connecticut)により販売されている。
【0041】
商用の、他の有用な非イオン性界面活性剤は、Stepan Company(Northfield,Illinois)により商標MAKON(登録商標)10で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール(10EO)、ICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により商標BRIJ(登録商標)35Lで市販されているポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(Laureth-23);及びICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により販売されているポリオキシエチレンエーテルアルコール、RENEX(登録商標)30である。
【0042】
非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、ABA構造のAがポリエーテル部分を表し、Bがシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なシリコーンポリエーテルとしては、Dow Corning Corporation(Midland,MI USA)のDow Corning(登録商標)5329が挙げられる。あるいは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。このようなシリコーンベースの界面活性剤を使用してこのようなエマルションを形成することができ、これらは当該技術分野において知られており、例えば米国特許第4,122,029号(Geeら)、同第5,387,417号(Rentsch)、及び同第5,811,487号(Schulzら)に記載されている。
【0043】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、SYNPERONIC13/6及び13/12が挙げられる。
【0044】
油中水型エマルション
一実施形態では、エマルションは、シリコーン中水型エマルションであり、シリコーン中水型界面活性剤を含有する。この実施形態では、シリコーン中水型界面活性剤は、非イオン性であってもよく、上記のように、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。
【0045】
水中油型エマルション
あるいは、エマルションが水中油型エマルションである場合、エマルションは、o/wエマルションを調製するために当該技術分野において既知の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。この実施形態に好適な非イオン性界面活性剤は、上記のような、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール修飾されたポリシロキサン界面活性剤によって例示される。
【0046】
エマルションの追加成分
1つ以上の追加成分(D)を、上記のエマルションに添加してもよい。このような追加成分は、(i)保護コロイド、(ii)防腐剤(例えば、殺生物剤)、(iii)防錆剤、(iv)凍結防止剤(例えば、プロピレングリコール)、(v)pH調整剤、及び(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)のうちの2つ以上の組み合わせから選択され得る。
【0047】
所望する場合、保護コロイド、すなわち、コロイド状安定剤を使用して安定性を高めてもよいし、エマルションに特定のレオロジー特性を付与してもよい。本明細書で使用する場合、用語「保護コロイド」及び/又は「コロイド状安定剤」とは、水性媒体中で、帯電したコロイド粒子の凝集を防止するための効果的な作用物質である非イオン性分子を意味する。これらの組成物は通常、1,000~300,000の範囲の重量平均分子量を有し、通常、重量平均溶解度パラメータにより測定すると、第1のエマルションポリマーの組成物よりも親水性である。使用可能なコロイド状安定剤としては、50,000~150,000の重量平均分子量を有するヒドロキシエチルセルロース;N-ビニルピロリドン;10,000~200,000の重量平均分子量を有するポリビニルアルコール;部分アセチル化ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース;ガム(例えばアラビアガム);デンプン;タンパク質;及びこれらの混合物が挙げられる。好ましいコロイド状安定剤はヒドロキシエチルセルロース及びポリビニルアルコールである。
【0048】
エマルションは微生物汚染を受けやすいので、防腐剤を添加してもよい。使用可能な例示的な防腐剤としては、フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリン;ホルムアルデヒド;1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン(例えば、DMDMヒダントイン);5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン;メチルパラベン若しくはプロピルパラベン;ソルビン酸;イミダゾリジニル尿素;及びKATHON(登録商標)CG(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン);カプリリルグリコール;フェノキシエタノール;ベンジルアルコール;並びに/又は安息香酸が挙げられる。
【0049】
好適な凍結防止剤は、当該技術分野において既知であり、市販されている。凍結防止剤は、プロピレングリコールなどのグリコールであり得る。
【0050】
好適なpH調整剤は、出発原料(ii)と反応しない任意の酸又は塩基であり得る。好適な酸としては、酢酸、マレイン酸、又は乳酸が挙げられる。好適な塩基としては、三級アミン、例えば、トリエタノールアミンが挙げられる。pH調整剤として好適な酸及び塩基は、当該技術分野において既知であり、市販されている。
【0051】
繊維の処理方法
本発明は更に、基材(例えば織物又は他の繊維)に架橋アミノシリコーンポリマー又はそのエマルション(それらのいずれかは、本明細書でトリートメント組成物とも呼ばれる)を適用することを含む処理方法に関する。適用される量は、トリートメント組成物の「手触りを向上させる」有効量であり、任意の従来法により、繊維及び/又は織物及び/又は他の基材に適用される。用語「手触り」とは、本明細書で使用する場合、基材(例えば布地)の柔軟性及び平滑度を意味する。例えば、トリートメント組成物は、パディング、浸漬、噴霧、又は吸尽によって適用され得る。トリートメント組成物が2種以上の溶液、分散液、又はエマルションを含む場合、その溶液、分散液、及びエマルションを基材(例えば織物)に同時に又は連続的に適用することができる。トリートメント組成物は、繊維及び/又は布地に適用された後、周囲条件下で、又は加熱によって乾燥させられ得る。
【0052】
トリートメント組成物は、基材、例えば、繊維若しくは織物の製造中、又はその後(例えば織物の洗濯中)に、かかる繊維及び/又は織物に適用することができる。適用後、担体(ある場合)は、例えば、周囲温度又は高温で組成物を乾燥させることによって、トリートメント組成物から除去することができる。基材(例えば繊維及び織物)に適用されるトリートメント組成物の量は、典型的には、基材の乾燥重量に基づいて、基材上に組成物の0.1~15重量%、あるいは基材の乾燥重量に基づいて、0.2~5重量%の量をもたらすのに十分な量である。
【0053】
トリートメント組成物で処理可能な繊維及び織物としては、天然繊維(綿、絹、リネン及びウールなど);再生繊維(レーヨン及びアセテートなど);合成繊維(ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン及びポリプロピレンなど);これらの組み合わせ及びこれらのブレンドが挙げられる。繊維の形態としては、より糸、長繊維、トウ、毛糸、織布、編物材料、不織物材料、紙、及びカーペットを挙げることができる。理論に束縛されるものではないが、架橋アミノシリコーンポリマーで処理した織物は、従来の疎水性シリコーンに匹敵する触り心地を有するが、織物の親水性にはあまり悪影響を及ぼさないと考えられる。
【0054】
トリートメント組成物を、布地柔軟剤又は洗濯洗剤などの繊維又は織物のトリートメント組成物に添加してもよい。本明細書に記載の架橋アミノシリコーンポリマーは、布地柔軟剤組成物において有用であり、該布地柔軟剤組成物は、
(A)上記の架橋アミノシリコーンポリマー、又は上記のそのエマルションと、
(B)水と、
(C)芳香剤と、
(D)カチオン性界面活性剤(例えば、エステルクアット)と、
所望により(6)増粘剤と、を含む。
【0055】
パーソナルケア製品
あるいは、トリートメント組成物は、パーソナルケア製品に配合されてもよい。概して、このような製品は、室温で固形材料が組成物中に存在しない場合、簡素なプロペラミキサー、ブルックフィールド二重反転ミキサー、又はホモジナイジングミキサーを使用して概して室温で調製することができる。特別な装置又は加工条件は、典型的には必要ない。製造する形態の種類に応じて調製方法は異なるが、このような方法は当技術分野において公知である。
【0056】
パーソナルケア製品は、適用される身体部分に対して機能的なものであってよく、美容的なもの、治療的なもの、又はこれらをある程度組み合わせたものであってもよい。このような製品の従来の例としては、制汗剤及びデオドラント、スキンケアクリーム、スキンケアローション、保湿剤、フェイシャルトリートメント(例えばニキビ又はしわ除去剤)、個人用クレンザー及び洗顔料、バスオイル、香料、コロン、サッシェ、日焼け止め剤、プレシェーブローション及びアフターシェーブローション、シェービングソープ及びシェービングフォーム、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー(リーブイン、若しくはリンスオフのいずれか)、染毛剤、毛髪弛緩剤、ヘアスタイリング助剤(スプレー、固定液、ムース、及び/若しくはジェル等);パーマネント、脱毛剤、及びキューティクルコート、メイクアップ、カラーコスメ、ファンデーション、コンシーラー、チーク、口紅、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバー、カラーコスメリムーバー、パウダー、薬剤クリーム、歯科衛生用品を含むペースト若しくはスプレー、抗生物質、治癒促進剤、並びに/又は予防用及び/若しくは治療用であり得る栄養素が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、パーソナルケア製品は、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ゲル、発泡体、ムース、軟膏、スプレー、エアロゾル、石鹸、スティック、軟固形、固体ゲル、及びゲルを含むがこれらに限定されない、任意の従来の形態での適用を可能にする担体と共に製剤化してもよい。何が好適な担体を構成するかは、当業者には容易に明らかとなろう。
【0057】
トリートメント組成物は、様々なパーソナル、家庭、及びヘルスケア用途に使用され得る。特に、トリートメント組成物は、米国特許第6,051,216号(Barrら)に開示されているパーソナルケア製品に使用してもよく、同第5,919,441号(Mendoliaら)、同第5,981,680号(Petroffら);米国特許出願第2010/0098648号(Yu.)及び国際公開2004/060101号(Yu)に開示されているとおりに、米国特許第6,916,464号(Hansenneら)に開示されている日焼け止め剤組成物に、国際公開第2003/105801号(Yu)に開示されている、フィルム形成樹脂もまた含有する化粧組成物に、米国特許出願第2003/0235553号(Lu)、同第2003/0072730号(Tornilhac)、同第2003/0170188号(Ferrariら)、欧州特許第1,266,647号(Tornilhac)、同第1,266,648号(Ferrari,ら)、同第1,266,653号(Ferrariら)、国際公開第2003/105789号(Lu)、同第2004/000247号(Lu)、及び同第2003/106614号(Lu)に記載されている化粧組成物に、国際公開第2004/054523号(Tournilhac)に開示されている追加の作用物質として、米国特許出願第2004/0180032号に開示されている長時間使用する化粧組成物に、国際公開第2004/054524号に記載されている、半透明又は透明ケア及び/又はメイクアップ組成物に使用してよく、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれている。
【0058】
本発明によるパーソナルケア製品は、人体、例えば、皮膚若しくは毛髪に対してアプリケータ、ブラシを用いて適用する、手で適用する、流しかける、及び/又は、場合により、身体上若しくは体内に組成物を擦り込む若しくはマッサージするなどの標準的な方法により使用することができる。例えば、カラー化粧品の除去方法もまた、洗浄、拭き取り及びピーリングなどの、公知の標準的な方法である。皮膚に使用する場合は、本発明によるパーソナルケア製品を、従来の方法、例えば皮膚のコンディショニング用に用いてよい。その目的のための有効量の組成物を皮膚に適用する。このような有効量は、概して1mg/cm~3mg/cmの範囲である。皮膚への適用には、典型的には、組成物を皮膚内で作用させることが含まれる。皮膚に適用するためのこの方法は、皮膚に有効量の組成物を接触させる工程と、次に組成物を皮膚に擦り込む工程と、を含む。これらの工程は、所望の利点を達成するために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0059】
毛髪に対する本発明によるパーソナルケア製品の使用では、毛髪のコンディショニングのための従来の方法を用いてよい。毛髪のコンディショニングに際し有効量の組成物を毛髪に適用する。このような有効量は、概して、0.5g~50g、あるいは1g~20gの範囲である。毛髪に対する適用は、典型的には、毛髪のほとんど又は全てが製品と接触するように、組成物を毛髪全体に作用させることを含む。毛髪コンディショニングのためのこの方法は、有効量のヘアケア製品を毛髪に適用し、次に毛髪全体に組成物を作用させる工程を含む。これらの工程は、所望のコンディショニング効果を達成するために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0060】
トリートメント組成物に加えてパーソナルケア製品に配合され得る添加剤の非限定的な例としては、(i)追加のシリコーン、(ii)酸化防止剤、(iii)クレンジング剤、(iv)着色剤、(v)追加のコンディショニング剤、(vi)付着剤、(vii)電解質、(viii)皮膚軟化剤、(ix)追加のオイル、(x)剥離剤、(xi)発泡促進剤、(xii)芳香剤、(xiii)保湿剤、(xiv)閉塞剤、(xv)殺シラミ剤、(xvi)pH調整剤、(xvii)顔料、(xviii)防腐剤(トリートメント組成物が防腐剤を含有するエマルションである場合、上記の防腐剤に加えて又はその代わりに)、(xix)殺生物剤、他の溶媒、(xx)安定剤、(xxi)日焼け止め剤、(xxii)懸濁化剤、(xxiii)日焼け剤、(xxiv)他の界面活性剤(例えば、トリートメント組成物がエマルションである場合に存在する界面活性剤に加えて又はその代わりに)、(xxv)増粘剤、(xxvi)ビタミン剤、(xxvii)植物性剤、(xxviii)ワックス、(xxix)レオロジー改質剤、(xxx)フケ防止剤、(xxxi)抗ニキビ剤、(xxxii)虫歯予防剤、及び(xxxiii)創傷治癒促進剤、並びに(i)~(xxxiii)のうちの任意の2つ以上が挙げられる。
【0061】
シャンプー又はクレンザーなどのパーソナルケア製品は、少なくとも1つのアニオン性洗浄界面活性剤を含有し得る。これは、シャンプー製剤の配合に典型的に使用される、周知のアニオン性洗浄界面活性剤のいずれかとすることができる。これらのアニオン性洗浄界面活性剤は、本発明のシャンプー組成物中でクレンジング剤及び発泡剤としての機能を果たす。アニオン性洗浄界面活性剤は、アルカリ金属スルホリシネート(sulforicinates);ヤシ油酸類のスルホン化モノグリセリドなどの脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;ナトリウムオレイリセチアネート(sodium oleylisethianate)などのスルホン化一価アルコールエステルの塩;オレイルメチルタウリドのナトリウム塩などのアミノスルホン酸のアミド;スルホン酸パルミトニトリルなどの脂肪酸ニトリルのスルホン化物;α-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウムなどのスルホン化芳香族炭化水素;ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物;オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム又はラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸アルカリ金属塩;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアリールエーテル硫酸ナトリウム、及びアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウムなどの、8個以上の炭素原子からなるアルキル基を有する硫酸エーテル;8個以上の炭素原子からなるアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホン酸;例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、及びミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩などのアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩;CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CHCHO(CO)3.5SOH、CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CH19CHO(CO)SOH、及びCH(CH10CHO(CO)SOHを包含するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル;並びにアルキルナフチルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、及びアミン塩によって例示される。あるいは、洗浄界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びラウリルエーテル硫酸アンモニウムからなる群から選択される。アニオン性洗浄界面活性剤は、本発明のシャンプー組成物中に、パーソナルケア製品の総重量を基準として、5%~50%の量、あるいは5%~25%の量で存在する。
【0062】
パーソナルケア製品は、少なくとも1つのカチオン性沈着助剤、あるいはカチオン性沈着ポリマーを含有してもよい。カチオン性沈着助剤は、パーソナルケア製品中の全ての成分の全重量を基準にして、0.001%~5%、あるいは0.01%~1%、又は0.02%~0.5%の量で存在してもよい。カチオン性付着ポリマーは、ホモポリマーであってもよい、又は、2種類以上のモノマーから生成されてもよい。カチオン性沈着ポリマーの分子量は少なくとも10,000であってよい、あるいは、5,000~10,000,000、あるいは100,000~2,000,000の範囲であってよい。カチオン性沈着ポリマーは、第四級アンモニウム若しくはプロトン化アミノ基などの基、又はこれらの混合物を含有するカチオン性窒素を有する。カチオン電荷密度は少なくとも0.1meq/g、あるいは0.8meq/g以上であってよい。カチオン電荷密度は4meq/gを超えてはならず、あるいは3未満、そしてあるいは2meq/g未満である。電荷密度はケルダール法を使用して測定することができ、使用における所望のpH(pH3~9、あるいはpH4~8の範囲となり得る)にて上記の制限内となる必要がある。カチオン性窒素含有基は、概して、カチオン沈着ポリマーの全モノマー単位の画分上に置換基として存在する。したがって、カチオン沈着ポリマーがホモポリマーでない場合、非カチオン性スペーサーモノマー単位を含有することができる。そのようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory,3rd editionに記載されている。好適なカチオン性付着補助剤としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アルキル及びジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトン、並びにビニルピロリジンなどの、カチオン性アミン又は第四級アンモニウム官能性を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーが挙げられる。アルキル及びジアルキル置換モノマーは、1~7個の炭素原子のアルキル基、あるいは1~3個の炭素原子のアルキル基を有してよい。他の好適なスペーサーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールが挙げられる。カチオン性アミンは、組成物の具体的な種及びpHに応じて、第一級、第二級又は第三級アミンであり得る。一般に、第二級及び第三級アミン、あるいは第四級アミンを使用してよい。アミン置換ビニルモノマー及びアミンは、アミン形態で重合され、次に四級化によってアンモニウムに変換され得る。好適なカチオン性アミノ及び第四級アンモニウムモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されるビニル化合物、並びにピリジニウム、イミダゾリウム、及び四級化ピロリジンなどの環状カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマー、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、及び四級化ピロリジン、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリジン塩が挙げられる。これらのモノマーのアルキル部分は、1~4個の炭素原子のアルキル基、あるいは1~2個の炭素原子のアルキル基などの低級アルキルであってよい。本明細書で使用するのに好適なアミン置換ビニルモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドが挙げられる。カチオン性沈着助剤は、アミン及び/若しくは第四級アンモニウム置換モノマー並びに/又は相溶性スペーサーモノマー由来のモノマー単位の混合物を含むことができる。好適なカチオン性沈着補助剤としては、例えば:1-ビニル-2-ピロリジン及び1-ビニル-3-メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物塩)のコポリマー(当業界では、the Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,「CTFA」により、ポリクオタニウム-16と呼ばれる)、例えば、BASF Wyandotte Corp.(Parsippany,N.J.,USA)より商標名LUVIQUAT(例えばLUVIQUAT FC 370)で市販されているもの等;1-ビニル-2-ピロリジン及びジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(当業界では、CTFAによってポリクオタニウム-11と呼ばれる)、例えば、Gar Corporation(Wayne,NJ,USA)より商標名GAFQUAT(例えばGAFQUAT 755N)で市販されているものなど;カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー並びにアクリルアミド及びジメチルジアリルアンモニウムクロライドのコポリマー、当業界(CTFA)でそれぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と呼ばれるもの;米国特許第4,009,256号(Nowak Jr.,ら)に記載の、3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのアミノアルキルエステルの鉱酸塩;及び米国特許第5,543,074号(Hagueら)に記載のカチオン性ポリアクリルアミドが挙げられる。使用できる他のカチオン性付着補助剤としては、カチオン性セルロース誘導体及びカチオン性デンプン誘導体などの多糖ポリマーが挙げられる。本発明の組成物への使用に好適なカチオン性多糖類ポリマー材料としては、式-O(R15-N+R161718X-)のもの(式中、Aは無水グルコース残基、例えばデンプン又はセルロース無水グルコース残基であり、R15はアルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、若しくはヒドロキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせであり、R16、R17、及びR18は独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリール基であり、各基は18個以下の炭素原子を含有し、各カチオン性部分における炭素原子の総数(即ち、R16、R17、及びR18における炭素原子の総数)は20以下であり得、Xは上述したとおりアニオン性の対イオンである)が挙げられる。カチオン性セルロースは、Amerchol Corp.(Edison,NJ,USA)からポリマーiR(商標)及びLR(商標)シリーズのポリマーが、当業界(CTFA)においてポリクアテルニウム10と称される、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩として市販されている。別の種類のカチオン性セルロースとしては、当業界(CTFA)においてポリクアテルニウム24と呼称される、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、商標名ポリマーLM-200でAmerchol Corp.(Edison,NJ,USA)から市販されている。使用できる他のカチオン性付着補助剤としては、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウムなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる(Celanese Corp.より、Jaguar(商標)シリーズとして市販されている)。他の材料としては、四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号(Birkofer)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているもの)、並びに、エーテル化セルロース及びデンプンのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号(Abeggら)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているもの)が挙げられる。
【0063】
パーソナルケア製品は、発泡促進剤を含有してもよい。発泡促進剤は、泡の崩壊を遅延する泡安定剤とは対照的に、一定のモル濃度の界面活性剤にて系より利用可能な泡の量を増加させる薬剤である。泡の形成は、有効量の発泡促進剤を水性媒体に添加することによって提供される。発泡促進剤は、脂肪酸アルカノールアミド及びアミンオキシドからなる群から選択してよい。脂肪酸アルカノールアミドは、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、カプリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、リノール酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド及びラウリン酸モノイソプロパノールアミドによって例示される。アミンオキシドは、N-ココジメチルアミンオキシド、N-ラウリルジメチルアミンオキシド、N-ミリスチルジメチルアミンオキシド、N-ステアリルジメチルアミンオキシド、N-コカミドプロピルジメチルアミンオキシド、N-タローアミドプロピルジメチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)C12~15アルコキシプロピルアミンオキシドによって例示される。あるいは、発泡促進剤は、ラウリン酸ジエタノールアミド、N-ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、及びオレイン酸ジエタノールアミドからなる群から選択してよい。発泡促進剤は、本発明のシャンプー組成物中に、シャンプー組成物の総重量を基準として1%~15%、あるいは2%~10%の量で存在してよい。シャンプー組成物は更に、起泡性能を改善するために、ポリアルキレングリコールを含んでもよい。シャンプー組成物中のポリアルキレングリコールの濃度は、組成物の0.01重量%~5重量%、あるいは0.05重量%~3重量%、あるいは0.1重量%~2重量%の範囲であってもよい。所望のポリアルキレングリコールは、一般式H(OCHCHR19-OHを特徴とし、式中、R19は、H、メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。R19がHであるとき、これらの材料は、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、及びポリエチレングリコールとしても知られているエチレンオキシドのポリマーである。R19がメチルであるとき、これらの材料は、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシプロピレン、及びポリプロピレングリコールとしても知られているプロピレンオキシドのポリマーである。R19がメチルであるとき、得られるポリマーの様々な位置異性体が存在し得ることも理解される。上記構造において、下付き文字tは1,500~25,000、あるいは2,500~20,000、あるいは3,500~15,000の平均値を有する。本明細書で有用なポリエチレングリコールポリマーは、R19がHに等しく、下付き文字tが2,000の平均値を有するPEG-2M(PEG-2Mは、Union Carbideから入手可能なPolyox WSR9 N-10、及びPEG-2,000としても知られる);R19がHに等しく、tが5,000の平均値を有するPEG-5M(PEG-5Mは、共にUnion Carbideから入手可能なPolyox WSRO N-35及びPolyox WSRS N-80、並びにPEG-5,000及びPolyethylene Glycol 300,000としても知られる);R19がHに等しく、tが平均値7,000を有するPEG-7M(PEG-7Mは、Union Carbideから入手可能なPolyox WSRO N-750としても知られる);R19がHに等しく、tが平均値9,000を有するPEG-9M(PEG9-Mは、Union Carbideから入手可能なPolyox WSRS N-3333としても知られる);並びにR19がHに等しく、tが平均値14,000を有するPEG14 M(PEG-14Mは、Union Carbideから入手可能なPolyox WSRO N-3000としても知られる)である。他の有用なポリマーとしては、ポリプロピレングリコール及び混合ポリエチレン/ポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0064】
パーソナルケア製品は、シャンプー組成物に分散した形態で、架橋アミノシリコーンポリマー及び/又は他の非水溶性成分を懸濁するのに効果的な濃度で、懸濁化剤を含有してもよい。このような濃度は、シャンプー組成物の0.1重量%~10重量%、あるいは0.3重量%~5.0重量%の範囲である。懸濁化剤としては、アシル誘導体、長鎖アミンオキシド、及びこれらの混合物として分類できる結晶性懸濁化剤が挙げられ、その濃度は、シャンプー組成物の0.1重量%~5.0重量%、あるいは0.5重量%~3.0重量%の範囲である。これらの懸濁化剤は、米国特許第4,741,855号(Groteら)に記載され、その記載は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの懸濁化剤としては、代替的に16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のエチレングリコールエステルが挙げられる。あるいは、懸濁化剤はエチレングリコールステアレート(モノステアレート及びジステアレートの両方)であるが、特に7%未満のモノステアレートを含有するジステアレートである。他の好適な懸濁化剤としては、16~22個の炭素原子、あるいは16~18個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドが挙げられ、その例としては、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、及びステアリン酸モノエタノールアミドステアレートが挙げられる。他の長鎖アシル誘導体としては、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えばステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチル等)、グリセリルエステル(例えば、ジステアリン酸グリセリル)、及び長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ジステアリン酸ステアロアミドジエタノールアミド、ステアリン酸ステアロアミドモノエタノールアミド)が挙げられる。上に列挙した材料に加え、長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシド、及び長鎖カルボン酸のアルカノールアミドが、懸濁化剤として使用されてもよい。例えば、8~22個の炭素原子鎖を有する長鎖ヒドロカルビルを有する懸濁化剤が使用されてもよいことが企図される。懸濁化剤としての使用に好適な他の長鎖アシル誘導体としては、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸及びその可溶性塩(例えば、Na、K)、特に、このファミリーのN,N-ジ(水素添加)C16、C18及びタローアミド安息香酸種が挙げられ、それらは、Stepan Company(Northfield,Illinois,USA)から市販されている。懸濁化剤としての使用に好適な長鎖アミンオキシドの例としては、アルキル(C16~C22)ジメチルアミンオキシド、例えば、ステアリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。他の好適な懸濁化剤としては、シャンプー組成物の0.3重量%~3重量%、あるいは0.4重量%~1.2重量%の範囲の濃度のキサンタンガムが挙げられる。シリコーン含有シャンプー組成物における懸濁化剤としてのキサンタンガムの使用は、例えば、米国特許第4,788,006号(Bolichら)に記載され、その記載は、参照により本明細書に組み込まれる。長鎖アシル誘導体及びキサンタンガムの組み合わせもまた、シャンプー組成物における懸濁化剤として使用され得る。このような組み合わせは、米国特許第4,704,272号(Ohら)に記載され、その記載は、参照により本明細書に組み込まれる。他の好適な懸濁化剤としては、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。これらのポリマーの中には、米国特許第2,798,053号(Brown)に記載されるポリアリルスクロースにより架橋されたアクリル酸のコポリマーがあり、その記載は、参照により本明細書に組み込まれる。これらのポリマーの例としては、B.F.Goodrich Companyから入手可能なカーボポール934、940、941、及び956が挙げられる。他の好適な懸濁化剤としては、少なくとも16個の炭素原子を有する脂肪アルキル部分を有する第一級アミンが挙げられるが、その例としては、パルミタミン又はステアラミンが挙げられ、並びにそれぞれ少なくとも12個の炭素原子を有する2つの脂肪アルキル部分を有する第二級アミンが挙げられ、その例としては、ジパルミトイルアミン又はジ(水素添加タロー)アミンが挙げられる。更に他の好適な懸濁化剤としては、ジ(水素添加タロー)フタル酸アミド、及び架橋無水マレイン酸-メチルビニルエーテルコポリマーが挙げられる。組成物にゲルのような粘性を付与することができるもの、例えば、水溶性又はコロイド状水溶性ポリマー、例えば、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース)、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーガム、デンプン及びデンプン誘導体、粘度調整剤、並びにゲル化剤等を含む、他の好適な懸濁化剤がシャンプー組成物に使用され得る。
【0065】
パーソナルケア組成物は、低分子量脂肪族ジオール(プロピレングリコール及びブチレングリコール等)、グリセリン及びソルビトールなどのポリオール、並びにポリエチレングリコール200などのポリオキシエチレンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。使用される水溶性皮膚軟化剤の具体的な種類及び量は、組成物の所望の美的特性に応じて変わり、当業者によって容易に決定される。
【0066】
パーソナルケア製品は、様々な追加のオイル(すなわち、架橋アミノシリコーンポリマーに加えて)を含有してもよい。本明細書で使用する場合、用語「油」は、実質的に水不溶性である任意の材料を指す。トリートメント組成物が化粧品又は他のパーソナルケア製品で使用される場合、製品の成分もまた、美容的に許容可能でなければならないか、ないしは別の方法で最終用途製品の条件を満たさなければならない。好適な油としては、限定するものではないが、ヤシ油などの天然油、鉱油及び水素添加ポリイソブテンなどの炭化水素、オクチルドデカノールなどの脂肪族アルコール、C12~C15アルキルベンゾエートなどのエステル、プロピレンジペラルゴネートなどのジエステル、トリオクタン酸グリセリルなどのトリエステル、並びにシリコーン、特にシクロメチコーン及びジメチコーン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。トリートメント組成物はまた、油、あるいは低粘度及び高粘度油の混合物も含有してもよい。好適な低粘性油は25℃にて5~100mPa.sの粘度を有し、構造R20CO-OR21[式中、R20COはカルボン酸基を表し、OR21はアルコール残基である]を有するエステルであり得る。これらの低粘度油の例としては、イソトリデシルイソノナノエート、PEG-4ジヘプタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、トリデシルネオペンタノエート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルリシノレエート、セチルステアレート、セチルミリステート、ココ-ジカプリレート/カプレート、デシルイソステアレート、イソデシルオレエート、イソデシルネオペンタノエート、イソヘキシルネオペンタノエート、オクチルパルミテート、ジオクチルマレート、トリデシルオクタノエート、ミリスチルミリステート、オクトドデカノール、又はオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアセテート、イソドデカノール、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、又はこれらの混合物が挙げられる。高粘度表面油は、概して、25℃で200~1,000,000mPa.sの粘度、あるいは100,000~250,000mPa.sの粘度を有する。表面油としては、ヒマシ油、ラノリン及びラノリン誘導体、トリイソセチルシトレート、ソルビタンセスキオレエート、C10~18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、ヤシ油、コーン油、綿実油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノレエート、グリセリルトリオクタノエート、水素添加ヒマシ油、亜麻仁油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリッペ脂、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、タロー、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、クルミ油、コムギ胚芽油、コレステロール、又はこれらの混合物が挙げられる。油相中の低粘度油対高粘度油に推奨される比は、それぞれ1:15~15:1、あるいは1:10~10:1である。あるいは、パーソナルケア製品は、1%~20%の低粘度油及び高粘度油の混合物を含んでもよい。
【0067】
追加のオイルの中でも、鉱油(例えば流動パラフィン又は流動石油)、動物性油(ペルヒドロスクアレン又はアララ油)、あるいは植物油(例えばスイートアーモンド、カロフィラム、パーム、キャスター、アボカド、ホホバ(jojaba oil)、オリーブ又は穀類の胚芽油)を、トリートメント組成物を含有するパーソナルケア製品に添加してもよい。例えば、ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、若しくはミリスチン酸のエステル;オレイルアルコール、リノレイル若しくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、若しくはオクチルドデカノールなどのアルコール;又はアルコール若しくはポリアルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート、デカノエート、若しくはリシノレエートを使用することも可能である。あるいは、水素添加ヒマシ油、パーム油、若しくはヤシ油、若しくは水素添加タローなどの25℃で固体である水素添加油;モノ、ジ、トリ、若しくはスクログリセリド;ラノリン;又は25℃で固体である脂肪族エステルを使用することが可能である。
【0068】
パーソナルケア製品は、様々なワックスを含有してもよい。ワックスは、概して、大気圧で35~120℃の融点範囲を有する。本分類のワックスとしては、合成ワックス、セレシン、パラフィン、オゾケライト、イリッペ脂、蜜蝋、カルナバ、微結晶、ラノリン、ラノリン誘導体、キャンデリラ、カカオバター、セラックワックス、鯨蝋、ぬかワックス、カポックワックス、サトウキビワックス、モンタンワックス、クジラワックス、ヤマモモワックス、又はそれらの組み合わせが挙げられる。蜜蝋などの動物性ワックス;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリキュリーロウ若しくはモクロウ若しくはコルク繊維若しくはサトウキビワックスなどの植物性ワックス;ミネラルワックス、例えばパラフィン若しくはリグナイトワックス若しくは微結晶ワックス;ポリエチレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュ合成によって得られるワックスを含む合成ワックスも適している。(パーソナルケア組成物の他の成分に加えて)シリコーンワックス、例えばポリメチルシロキサンアルキル、アルコキシ及び/又はエステルのワックスを使用することができる。
【0069】
増粘剤は、好都合な粘度を提供するために添加されてもよい。例えば、25℃で500mm/s~25,000mm/s、あるいは3,000~7,000mm/sの粘度が通常好適である。好適な増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、エトキシル化アルコール、例えば、ラウレス-4又はポリエチレングリコール400、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースによって例示されるセルロース誘導体、ヒドロキシエチルアミロース及びデンプンアミロースによって例示されるデンプン及びデンプン誘導体、ローカストビーンガム、塩化ナトリウム及び塩化アンモニウムによって例示される電解質、並びにフルクトース及びグルコースなどの糖類、並びに糖類の誘導体、例えば、PEG-120メチルグルコースジオレート、代替的にはこれらのうちの2つ以上の混合物によって例示される。代替的に、増粘剤は、セルロース誘導体、糖誘導体、及び電解質から、又はセルロース誘導体と任意の電解質、及びデンプン誘導体と任意の電解質の組み合わせによって例示される上記増粘剤のうちの2つ以上の組み合わせから選択される。増粘剤は、シャンプーの粘度500mm/s~25,000mm/sをもたらすのに十分な量でシャンプーにおいて使用される。あるいは、増粘剤は、シャンプー組成物の総重量を基準にして、0.05重量%~10重量%、あるいは0.05重量%~5重量%の量で存在してもよい。
【0070】
安定剤は、トリートメント組成物を含有するパーソナルケア製品の水相において使用することができる。好適な水相安定化剤は、単独で、又は組み合わせて、1つ以上の電解質、ポリオール、エチルアルコールなどのアルコール、及び親水コロイドを含むことができる。典型的な電解質は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類塩、特に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩化物塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、及び硫酸塩、並びにアルミニウムクロロハイドレート、及び高分子電解質、特にヒアルロン酸及びヒアルロン酸ナトリウムである。安定剤が電解質である場合、又は電解質を含む場合、それは、全組成物の約0.1重量%~5重量%、あるいは0.5重量%~3重量%に達することがある。ヒドロコロイドは、キサンタンガム又はビーガムなどのガム、及びカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤を含む。グリセリン、グリコール、及びソルビトールなどのポリオールもまた使用することができる。代替のポリオールは、プロピレングリコール、ソルビトール、及びブチレングリコールである。大量のポリオールが使用される場合、電解質を添加する必要はない。しかしながら、電解質、ポリオール及び水相を安定化させる親水コロイドの組み合わせ、例えば、硫酸マグネシウム、ブチレングリコール及びキサンタンガムを使用するのが典型的である。
【0071】
パーソナルケア製品はまた、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素などの噴射ガス、ブタン、イソブタン、又はプロパンなどの揮発性炭化水素、並びにジクロロジフルオロメタン及びジクロロテトラフルオロエタンなどの塩素化又はフッ素化炭化水素、又はジメチルエーテルとの組み合わせの、エアロゾルの形態であり得る。
【0072】
上記のトリートメント組成物以外のシリコーン組成物もまた、パーソナルケア製品に含まれてもよい。例えば、そのようなシリコーンとしては、シリコーン流体、ガム、樹脂、エラストマー、シリコーンポリエーテルなどのシリコーン界面活性剤及び乳化剤、アミノ官能性シリコーンなどの有機官能性シリコーン、並びにアルキルメチルシロキサンが挙げられる。
【0073】
アルキルメチルシロキサンが本組成物に含まれてもよい。これらのシロキサンポリマーは、式MeSiO[MeSiO][MeR22SiO]SiMeを有することができ、式中、R22は6~30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、Meはメチルを表し、下付文字w≧0、下付文字z>0、かつDP(すなわち、「w」及び「z」の合計)は3~50である。揮発性及び液体種のアルキルメチルシロキサンの両方を、本組成物に使用することができる。
【0074】
シリコーンガムが、本組成物に含まれてもよい。ポリジオルガノシロキサンガムは、当該技術分野において既知であり、商業的に入手可能である。これらは概して、25℃で1,000,000mm/sを超える、あるいは25℃で5,000,000mm/sを超える粘度を有する不溶性ポリジオルガノシロキサンからなる。これらのシリコーンガムは、それらの処理を促進させるのに好適な溶媒に既に分散された組成物として、販売されている場合がある。超高粘度シリコーンもまた、所望の成分として含めることができる。これらの超高粘度シリコーンは、典型的には25℃で500万mm/sを超え、25℃で2000万mm/sまでの運動粘度を有する。懸濁液の形態としてこの種の組成物を使用することができ、かかる組成物は例えば、米国特許第6,013,682号(Dalleら)に記載されている。
【0075】
シリコーン樹脂が本パーソナルケア製品に含まれてもよい。これらの樹脂は、概して、高度に架橋された高分子シロキサンである。架橋は、製造中に使用される単官能性シラン及び/又は二官能性シランモノマーと、三官能性及び/又は四官能性シランを組み込むことによって得られる。好適なシリコーン樹脂を得るために必要な架橋の程度は、シリコーン樹脂の製造中に組み込まれるシランモノマー単位の特性に応じて変化する。概して、十分なレベルの三官能性及び四官能性シロキサンモノマー単位を有する、したがって剛性又は硬質皮膜まで乾燥させるのに十分なレベルの架橋を有する、いずれのシリコーンも、シリコーン樹脂としての使用に好適であるとみなされ得る。本明細書での用途に好適な商業的に入手可能なシリコーン樹脂は、概して、低粘度揮発性又は不揮発性シリコーン流体中で硬化されていない形態で供給される。シリコーン樹脂は、硬化樹脂構造としてもよりもむしろ、それらの硬化されていない形態で、本発明の組成物に組み込まれるべきである。
【0076】
シリコーンカルビノール流体が、本組成物に含まれてもよい。これらの材料は、米国特許出願第2004/0223936号(Fechtら)に記載されており、かかる材料は、置換ヒドロカルビル官能性シロキサン流体又は樹脂として概ね説明することができる。
【0077】
上記のトリートメント組成物及び/又はパーソナルケア製品用の成分を選択する際に、本明細書に記載する特定の成分が2つ以上の機能を有してもよいことから、それらの種類が重複することがある。例えば、ヒドロキシエチルセルロースがコロイド安定化剤及び増粘剤として有用であり得る。追加成分をトリートメント組成物及び/又はパーソナルケア製品に添加する際、追加成分は互いに異なっている。
【0078】
上記の架橋アミノシリコーンポリマーを用いて作製可能な、例示的なヘアケア製品としては、
(1)上記の架橋アミノシリコーンポリマー、又は上記の架橋アミノシリコーンポリマーのエマルションと、
(2)水と、
(3)アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤(例えばラウレス硫酸ナトリウム)と、
所望により(4)防腐剤と、
所望により(5)カチオン性沈着ポリマーと、
所望により(6)増粘剤(例えばカルボマー)と、
を含むシャンプーが挙げられる。
【0079】
あるいは、ヘアケア製品は、
(A)上記の架橋アミノシリコーンポリマー、又は上記の架橋アミノシリコーンポリマーのエマルションと、
(B)水と、
所望により(C)増粘剤(例えばヒドロキシエチル-セルロース)と、
(D)脂肪族アルコール(例えばセテアリルアルコール)と、
所望により(E)他の乳化剤(例えばステアリン酸PEG-100及びステアリン酸グリセリル)と、
所望により(F)防腐剤と、
所望により(G)カチオン性界面活性剤と、を含む、ヘアコンディショナーであってもよい。
【0080】
あるいは、上記のエマルションをリーブインヘアトリートメント組成物又はスタイリング組成物として使用してもよい。
【0081】
あるいは、ヘアケア組成物は、
(A)上記の架橋アミノシリコーンポリマーと、
(B)有機又はシリコーン担体と、を含む、無水リーブインヘアトリートメント組成物であってもよい。
【0082】
あるいは、ヘアケア組成物は、
(A)上記の架橋アミノシリコーンポリマー又はそのエマルションと、
(B)水と、
所望により(C)増粘剤と、
所望により(D)追加の乳化剤と、
所望により(E)カチオン性ポリマーと、
所望により(F)有機スタイリングポリマーと、
所望により(G)防腐剤と、を含む、スタイリングムースなどのスタイリング助剤であってよい。
【実施例
【0083】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載された本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。参考例は、従来技術との記載がない限り、従来技術とみなされるべきではない。全ての測定及び実験は、別段の表示がない限り、23℃で行った。
【0084】
本明細書の実施例では、下記の界面活性剤を使用した。Genapol UD 050は、11.4のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Genapol UD 110は、14.4のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Brij L4は、9.7のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Brij L23は、16.9のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Tergitol 15S5は、10.5のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Tergitol 15S15は、15.4のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Lutensol XP 50は、10のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。Lutensol XP 140は、16のHLB値を有する市販の非イオン性界面活性剤であった。
【0085】
実施例1:架橋アミノシロキサン-エマルションA
1Lのフラスコに入れて、100DP当たり6.9モルのNHを有し、かつ平均単位式:(MeSiO1/2(MeSiO2/2392(MeR4SiO2/2[式中、各Meはメチル基を表し、R4は、式:
【化12】
(式中、D12はイソ-ブチル基であり、D13はエチレン基である)のアミノ官能基である]を有する、300gのトリメチルシロキシ末端ペンダントアミノシロキサンポリマー、続いて、40gのGenapol UD 050、及び90gのGenapol UD 110を秤量した。このフラスコには、Teflon撹拌パドル、凝縮器、及び温度プローブが装備されていた。混合物を200rpmで混合しながら70℃まで加熱した。145gの水及び2gの酢酸を加え、70℃まで加熱し続けた。その後、6gのグリシドールを添加し、400rpmで2時間混合した。次いで、4.6gのエポキシトリメトキシシランを添加し、400rpmで混合しながら70℃で1/2時間維持した。水の残部を加えて、合計1000gのエマルションを得た。得られたエマルションは、30%活性(すなわち、30%架橋アミノシリコーンポリマー)を有するアミノポリマーシロキサンの水性エマルションであった。エマルションの粒径は、体積モードで測定したメジアン径で20~50ナノメートルであった。エマルションを室温で乾燥させ、乾燥フィルムを得た。乾燥フィルムのレオロジープロファイルをレオメーターで測定した。
【0086】
実施例2:架橋アミノシロキサン-エマルションB
1Lのフラスコに入れて、300gのペンダントアミノシロキサンポリマー(100DP当たり6.9モルのNH)、続いて40gのGenapol UD 050、及び90gのGenapol UD 110を秤量した。このフラスコには、テフロン撹拌パドル、凝縮器、及び温度プローブが装備されていた。混合物を200rpmで混合しながら70℃まで加熱した。145gの水及び2gの酢酸を加え、70℃まで加熱し続けた。6gのグリシドールを添加し、400rpmで2時間混合した。次いで、6.9gのエポキシトリメトキシシランを添加し、400rpmで混合しながら70℃で1/2時間維持した。水の残部を加えて、合計1000gのエマルションを得た。得られたエマルションは、30%活性を有するアミノポリマーシロキサンの水性エマルションであった。エマルションの粒径は、体積モードで測定したメジアン径で20~50ナノメートルであった。エマルションを室温で乾燥させ、乾燥フィルムを得た。乾燥フィルムのレオロジープロファイルをレオメーターで測定した。
【0087】
比較例1
100Maxカップに入れて、アミン数0.13及び4255センチポアズの粘度を有する、20gのジメチル、メチルアミノエチルアミノイソブチルシロキサン、メトキシ&ヒドロキシ末端(Dow社製)を秤量し、続いて、0.19gのN-モルホリノメチル-トリエトキシシラン、6.5gの商標名Lutensol TO5として市販されているイソトリデシルペンタエトキシレート、及び8gのDI水を秤量した。SpeedMixer DAC 150を使用して、最高速度で2回の30秒サイクルで、カップを回転させた。混合物を62.3gの水で希釈した。このエマルションに、0.09gの酢酸及び2.9gのグリセリンを添加した。得られたエマルションは、20%のペダントアミノシロキサンポリマーを有した。エマルションの粒径は、体積モードで測定したメジアン径で24~78ナノメートルであった。
【0088】
実施例3:リーブインコンディショナーに対する実施例1からのエマルションAの使用
実施例1で上記のように調製され、かつ2%活性まで希釈されたエマルションAを使用して、縮れ制御試験を実施した。この希釈されたエマルションをリーブインコンディショナーとして使用し、以下のように縮れ制御について試験した。全ての縮れ制御試験に対して、重量4g、長さ20cmの縮れたタイプAの髪房を使用した。9%ラウリル硫酸ナトリウム溶液で洗浄した後、未処理の髪房及び0.4gの希釈エマルションAで処理した房を、50%の相対湿度及び23℃で一晩風乾させた。次いで、髪房を、湿度チャンバ内に80%相対湿度及び25℃で3時間置いた。結果は、これらの高湿度条件後の未処理の髪房と比較して、希釈エマルションAで処理された髪房の良好な縮れ制御及び毛髪繊維の調整を示した。希釈エマルションAで処理した髪房もまた、未処理の髪房と比較して、滑らかな感触を有し、輝きが増した。
【0089】
櫛通し後の縮れ制御を、処理済み及び未処理の髪房で測定した。9%ラウリル硫酸ナトリウム溶液で洗浄した後、未処理の髪房及び0.4gの上記の希釈エマルションAで処理した房を、50%の相対湿度及び23℃で一晩風乾させた。次いで、髪房を櫛で通した後、湿度チャンバ内に、80%相対湿度及び25℃で3時間置いた。結果は、未処理の髪房と比較して、希釈エマルションAで処理した髪房に対する、櫛通ししてその後のこれらの高湿度条件への曝露後における、良好な縮れ制御及び毛髪繊維の調整を示した。希釈エマルションAで処理した髪房は、湿度チャンバ内で3時間にわたって外観が著しく変化しなかったことが観察された。
【0090】
洗浄後の縮れ制御を、処理済み及び未処理の髪房で測定した。9%ラウリル硫酸ナトリウム溶液で洗浄した後、未処理の髪房及び0.4gの上記の希釈エマルションAで処理した房を、50%の相対湿度及び23℃で一晩風乾させた。次いで、髪房をシリコーンを含有しない商業用クレンジングシャンプーで洗浄し、50%相対湿度及び23℃で一晩乾燥させた。結果は、希釈エマルションAで処理した髪房の形状が良好に保たれ、未処理の髪房よりも縮れが少なかったことを示した。
【0091】
実施例4:リーブインコンディショナーへの実施例2からのエマルションB及び比較例1からのエマルションCの使用
縮れ制御試験を以下のように行った。実施例2で上記のように調製したエマルションBを、比較例1で上述したように調製した比較エマルションC、及び(シリコーンクオタニウム-16/グリシドキシジメチコンクロスポリマー及びウンデセス-11及びウンデセス-5のエマルションであった)エマルションDと比較した。各エマルションを水で希釈して2%活性を含有させ、これらの希釈したエマルションを、0.1g/g毛髪の濃度で湿潤した、縮れた毛髪に適用し、50%の相対湿度及び23℃で一晩風乾した。湿潤時の適用の間、エマルションBで処理した髪房は、未処理及び比較エマルションCで処理した髪房と比較して、より滑りやすい感触を有した。次いで、髪房を湿度チャンバ内に80%相対湿度及び25℃で5時間置いた。結果は、未処理の髪房と、希釈エマルションD及び希釈エマルションCで処理した髪房と比較して、希釈エマルションBで処理した髪房の良好な縮れ制御及び毛髪繊維の調整を示した。縮れを測定する通常の方法であるアスペクト比(最大幅/最大長さ)もまた、各髪房について測定し、処理ごとの3つの髪房の平均を表2に示す。結果は、未処理の髪房と、希釈エマルションC及び希釈エマルションDで処理した髪房と比較して、希釈エマルションBで処理した髪房のアスペクト比が低下していることを示す。これは、希釈エマルションBで処理された髪房の縮れが少ないことに相当する。
【表1】
【0092】
縮れた毛髪の種類の場合、ボリューム又は膨らみが少ない方が選好される。上記の縮れ制御試験からの髪房を、Bossa Nova TechnologiesのRumbaを使用して見かけのボリュームについて分析した。積分計算を使用して、各髪房画像のピクセル数を測定し、処理ごとの3つの髪房の平均を表3に示す。結果は、未処理の髪房と、比較エマルションCで処理した髪房と比較して、エマルションAで処理された髪房のボリュームが少ないことに相当する、平均ピクセル数の低下を示す。
【表2】
【0093】
シリコーン含有コンディショナーを用いて、ダメージを受けた毛髪を処理することにより、毛髪繊維の表面上に保護被膜を形成し、より親水性である、未処理のダメージを受けた毛髪と比較して、疎水性を増加させることができる。洗浄の間疎水性を維持可能であることが、望ましい性能の利点である。疎水性試験を以下のように行った。上記のように調製したエマルションA及びDを使用して、以下のように疎水性を測定した。疎水性エマルションA及びエマルションDを測定するために、3%活性に希釈し、湿潤した、ブリーチした白人の毛髪に適用し、一晩風乾した。3μlの水滴を毛髪房に適用した後、ゴニオメーターを使用して接触角を測定した。表4の結果は、未処理の髪房と、エマルションDで処理した髪房と比較して、エマルションAで処理した髪房の接触角が増加したことを示している。
【表3】
【0094】
長期持続疎水性試験を、以下のように行った。次いで、疎水性試験からの髪房を、9%ラウリル硫酸ナトリウム溶液で15回洗浄した。水接触角は、指定された回数の洗浄後に測定された。表5の結果は、希釈エマルションAで処理した髪房及び希釈エマルションDで処理した髪房の高い接触角が15回の洗浄にわたって維持されていることを示している。未処理の髪房は、洗浄前の接触角が低く、15回の洗浄後の接触角が更に低くなった。
【表4】
【0095】
カールリテンションは、カールした毛髪房を一定の温度及び湿度条件に特定の期間にわたってさらすことによって毛髪のスタイリング及び保持特性を決定するための業界で認識されている試験である。カールリテンションは、高湿度及び一定温度条件の前と最中のカールした毛髪房の長さの差を記録することによって測定される。カールリテンション試験を以下のように行った。この試験では、重さ2g、長さ25cmの自然な茶色の白人の毛髪房を使用した。まず、0.8mlの9%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を用いて髪房を予め洗浄し、次いで一晩乾燥させる。次いで、各髪房を水で濡らし、水で2%活性に希釈した0.2mlのシリコーンエマルションで処理する。次いで、各髪房を1/4”のスパイラルパーマロッドに巻きつけ、40℃のオーブン中で一晩乾燥させた。髪房をロッドから取り除き、カールを完全な状態に保ち、湿っている状態で吊るした。湿度チャンバの状態は、25℃及び相対湿度80%であった。次いで、髪房の長さを5時間にわたって測定した。試験後、髪房の長さの最大値を、完全にカールをほどくことによって測定した。カールリテンション率を計算した。各処理で3つの髪房の平均を測定した。
【0096】
表6のカールリテンション結果は、未処理の髪房と比較して希釈エマルションBで処理した髪房のカールリテンションが良好であること、及び希釈エマルションDで処理した髪房と同様の性能を示した。希釈エマルションBで処理した髪房はまた、未処理の髪房及び希釈エマルションDで処理した髪房と比較して、より緊密なカール及びより良好なカールの明瞭さを有した。したがって、本発明において、架橋アミノシリコーンポリマー及びそのエマルションは、本明細書に記載されるように試験した高湿度条件下で良好なスタイリング特性及び保持特性を示した。
【表5】
【0097】
実施例5:リンスオフコンディショナーにおけるエマルション、A、B、及びDの使用
リンスオフコンディショナーのサンプルを、以下の一般手順に従い調製した。脱イオン水を混合容器に添加し、70℃まで加熱した。適度に撹拌しながら、ヒドロキシエチルセルロースを完全に溶解するまで分散させた。熱を60℃まで下げ、セテアリルアルコール及びPEG-100ステアレート及びグリセリルステアレートを加えた。コンディショナーを3分間混合した後、EDTA四ナトリウムを添加して3分間混合した。温度が40℃を下回ると、シリコーンエマルションとフェノキシエタノールとメチルイソチアゾリノンを添加した。減った水を補い、組成物を更に5分間混合した。得られたコンディショナーの最終pHを5に調整した。以下の表7は、リンスオフコンディショナーサンプルを調製するために使用される各出発原料の量を示す。
【表6】
1. Dow Chemical Companyから入手可能なCELLOSIZE(商標)PCG-10
2. The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSENE(商標)220
3. Crodaから入手可能なCrodacol(商標)CS50
4. Crodaから入手可能なArlacel(商標)165
5. 1%活性又は2%活性に希釈されたシリコーンエマルション
6. The Dow Chemical Companyから入手可能なNEOLONE(商標)PE
【0098】
上記のように調製したリンスオフコンディショナーサンプルを用いて疎水性試験を実施した。疎水性を測定するために、表7の2%活性シリコーンを含有するリンスオフコンディショナーを、湿潤した、ブリーチした白人の毛髪に適用し、一晩風乾した。3μlの水滴を毛髪房に適用した後、ゴニオメーターを使用して接触角を測定した。表8の結果は、接触角の増加を示す。この結果は、シリコーンを含まない対照コンディショナーで処理した髪房と比較して、エマルションAで処理された髪房の疎水性が増し、エマルションDで処理した髪房と同様の接触角であることに該当する。
【表7】
【0099】
長期持続疎水性試験を、以下のように行った。次に、上記疎水性試験からの髪房を、9%ラウリル硫酸ナトリウム溶液で10回洗浄した。水接触角を、指定された回数の洗浄後に測定した。表9の結果は、エマルションA及びエマルションDを含有するコンディショナーで処理された髪房の10回の洗浄にわたって高い接触角/疎水性が維持されたことを示す。シリコーンを含まない対照コンディショナーで処理した髪房は、洗浄前の接触角は低く、10回洗浄後の接触角は更に低くなった。
【表8】
【0100】
湿潤時及び乾燥時の櫛通しの容易さを評価するための試験を以下のように行った。コンディショナーを試験するために、International Hair Importersの、ある程度ブリーチしたヨーロッパ人の毛髪を使用した。各髪房は、2グラムの重さであった。各髪房を、40℃の水道水の流れで15秒間すすいだ。ピペットを使用し、9パーセントのラウリル硫酸ナトリウムを含有する0.4グラムの溶液を適用し、髪房全体にわたって30秒間泡立てた。髪房を、流水で30秒間すすいだ。髪房に、手の人差し指と中指との間を通過させることにより、過剰な水を髪房から除去した。髪房を、ペーパータオルで覆ったトレイに配置し、一晩乾燥させた。各髪房を、幅の狭い歯のACE(登録商標)ブランドの櫛を使って3回手でとかし、INSTRON WET及びINSTRON DRY COMBING手順を使用して評価した。
【0101】
コンディショナーに関する試験では、毛髪房を、40℃の水道水で30秒間すすいだ。試験コンディショナーを髪房に0.8グラムの量で適用し、髪房を30秒間なでた。髪房を、40℃の水道水で30秒間すすいだ。髪房を、手の人差し指と中指で引くことにより、過剰な水を髪房から除去した。髪房を、室温で一晩ペーパータオルの上で別々に乾燥させた。髪房を、試験を実施する前に一度櫛でといた。
【0102】
湿潤時の櫛通り、及び乾燥時の櫛通りが容易であるため、コンディショニング性能の測定のためにINSTRON COMBINGを使用した。試験では、毛髪を櫛でとくのに必要な力を測定するために具備されるINSTRONひずみゲージを用いた。コンディショニング性能は、INSTRONひずみゲージで毛髪を櫛でとくのに必要とされる力を低減するためのヘアコンディショナーサンプルの能力に基づくものとした。力は、平均櫛通り負荷(ACL)として報告した。ACL値の数が低くなるほど、試験されているコンディショナーにより付与されるコンディショニング効果は高かった。典型的には、ACL基線は、ラウリル硫酸ナトリウム溶液でのみ洗われた未処理の髪房を使用して最初に確定された。次いで、トリートメントの有効性は、処理済みの髪房のACL、又は(未処理毛髪ACL-処理済み毛髪ACL)x100÷未処理毛髪ACLの関係を使用して計算された、ACLにおける減少率(%)として表した。
【0103】
INSTRON WET COMBING方法に従って、毛髪を最初に、蒸留水に浸すことにより濡らし、次に髪房を3回櫛でとくことにより毛髪のもつれをほぐした。次に、髪房を3回蒸留水に浸すことにより再びもつれさせた。髪房に、2回手の人差し指と中指の間を通過させることにより、過剰な水を髪房から除去した。髪房をハンガー上に配置し、INSTRON櫛でといた。再びもつれさせること、及びINSTRON櫛でとくことを全てのデータ点が収集されるまで繰り返した。3つの髪房の平均櫛通り力を各トリートメントで測定した。
【0104】
INSTRON DRY COMBING法に従って、髪房を3回櫛でとくことにより毛髪のもつれをほぐした。次に、髪房を時計回りに3回旋回、反時計回りに3回旋回させることにより再びもつれさせた。髪房をハンガー上に配置し、INSTRON櫛でといた。再びもつれさせ、INSTRON櫛でとくことを全てのデータ点が収集されるまで繰り返した。3つの髪房の平均櫛通り力を各トリートメントで測定した。
【0105】
表7の1%活性シリコーンを含有するコンディショナーを使用したINSTRON WET COMBINGの結果を表10に示す。結果は、エマルションBを含有するリンスオフコンディショナーは、シリコーンを含まない対照コンディショナーと比較して、湿潤時の櫛通り力の低下を大幅に改善し、コンディショナーを含有するエマルションD(比較)と同等の性能であることを示した。
【0106】
表7の1%活性シリコーンを含有するコンディショナーを使用したINSTRON DRY COMBINGの結果を、表10に示す。結果は、エマルションBを含有するリンスオフコンディショナーは、シリコーンを含まない対照コンディショナーと比較して、乾燥時の櫛通り力の低下を大幅に改善し、コンディショナーを含有するエマルションDと同等の性能であることを示した。
【表9】
【0107】
実施例6-クレンジングコンディショナー
以下の表11に示す出発原料及び量を使用して、以下の一般手順に従って、クレンジングコンディショナーサンプルを調製した。相Aにおける最初の2つの出発原料を組み合わせて混合し、75℃まで加熱した。水を相Aの残部に添加し、これを溶解させた。次に、相Bを相Aに混合しながら添加した。得られた混合物を40℃まで冷却し、次いで相Cを添加し、得られたものを混合して、クレンジングコンディショナーを形成した。
【表10】
1. The Dow Chemical Companyから入手可能なCELLOSIZE(商標)PCG-10
2. The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSENE(商標)220
3. Crodaから入手可能なCrodacol(商標)CS50
4. Crodaから入手可能なIncromine SD-PA-(MH)
5. シリコーンエマルション、2%活性
6. The Dow Chemical Companyから入手可能なNEOLONE(商標)PE
【0108】
色保護試験を以下のように行った。この試験では、重量2gの市販のパーマネントレッド着色剤で染色し、わずかにブリーチした白人の毛髪の平らな髪房を使用した。各髪房を最初に水で濡らし、表11のクレンジングコンディショナー0.8gを使用して処理し、すすいで、プロセスを繰り返した。分光光度計を使用して、未処理の/未洗浄の髪房と比較した毛髪房の赤みの減少(Δa*)に対する繰り返し洗浄の影響を測定した。各処理の試験を3回行い、4回の毎処理後に、比色計測定を完了した。表12の結果は、エマルションBを含有するクレンジングコンディショナーで処理した髪房は、24回の洗浄後に本明細書に記載の架橋アミノシリコーンポリマーを含まない対照クレンジングコンディショナーで処理した髪房と比較して、赤みの減少が少ないことを示した。
【表11】
【0109】
実施例7:コンディショニングシャンプー
コンディショニングシャンプーのサンプルを、以下の表13に示す出発原料を使用して以下の手順に従って調製した。穏やかに撹拌しながら、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムと水を混合した。次に、ポリクオタニウム-10を加熱しながら溶液中に溶解させた。EDTA四ナトリウムを添加し、溶解するまで混合した。サンプルを75℃まで加熱し、PEG-150ペンタエリスリチルテトラステアレート及びコカミドMEAを添加した。混合を10分間継続した。次に温度を下げてコカミドプロピルベタインを添加した。これが完全に組み込まれたとき、シリコーン流体をこのベースシャンプーに添加し、5~10分間混合した。温度が40℃に達したならば、フェノキシエタノールとメチルイソチアゾリノンを添加した。減った水を補い、製剤を更に10分間混合した。シャンプー製剤の最終pHは5~6であった。
【表12】
1. Solvay Novecareから入手可能なRhodapex ESC-3/A2
2. Dow Chemicalから入手可能なUCAREポリマーJR-30M
3. Dow Chemicalから入手可能なVERSEN 220
4. Crodaから入手可能なCrothix PA-(MH)
5. Crodaから入手可能なIncromide CMEA
6. Rhodiaから入手可能なMackam C-37
7. シリコーンエマルション、1%活性シリコーンレベル
8. Dow Chemicalから入手可能なNEOLONE(商標)PE
【0110】
実施例8:スタイリングムース
以下の表14に示す量の出発原料を使用して、スタイリングムースを以下のように調製した。最初の2つの出発原料を混合し、65℃まで加熱した。コカミドMEAを添加した。この混合物を混合しながら室温まで冷却した。次いで、アクリレートコポリマーを添加した。次に、シリコーンエマルションを添加し、続いてフェノキシエタノール及びメチルイソチアゾリノンを添加した。混合を更に15分間続けた。
【表13】
1. Sensient Cosmetic Technologiesから入手可能なSolubilisant LRI
2. Crodaから入手可能なIncromide CMEA-PW-(AP)
3. シリコーンエマルション、1%活性シリコーンレベル
4. Rhodiaから入手可能なMackam C-37
5. DOW Corning Corporationから入手可能なXIAMETER(登録商標)OFX-0193FLUID
6. Dow Chemicalから入手可能なNEOLONE(商標)PE
実施例9-架橋アミノシリコーンポリマーの調製
【表14】
【0111】
実施例10-柔軟性パネル試験
布地のプレコンディショニング
この工程を実施して、布地の製造中に行われたシリコーン処理を除去し、特定の処理の前に、負荷がシリコーンを含まないことを確認した。
【0112】
5つの新しい枕カバー及び4つの小さなテリータオル(30×50cm)=1.0kgで装入材料を作製した。この装入材料を以下の条件で4回洗浄した。
事前洗浄1:Miele W934-ロングプログラム-水硬度:0°F-20gのダッシュ粉末-温度:95℃-スピン速度:600rpm;
ブランク1:Miele W934-ロングプログラム-水硬度:0°F-洗剤なし-温度:95℃-スピン速度:600rpm
事前洗浄2:事前洗浄1と同じ条件
ブランク2:ブランク1と同じ条件
【0113】
プレコンディショニングの完全なサイクルは、常に同じタイプの洗濯機(W377、W934又はW715)で行われた。いくらかの時間を節約するために、同じ洗濯機で3回の装入材料を同時に事前洗浄することができる。次いで、総負荷を3.0kg、洗剤粉末の量を60gで調整した。
洗浄条件:布地のコンディショニング
a.Miele W377
b.装入材料:5つの枕カバー及び4つの小さなテリータオル(30×50cm)=1kg
c.水硬度:0°fT
d.温度:40℃
e.スピン速度:600RPM
f.洗剤:DASH 10g
g.布地柔軟剤:プロトタイプ布地柔軟剤
【0114】
布地柔軟剤:水中16%のエステルクォートL1/90の分散液に、表16に示す活性剤のレベルで、実施例9又は比較の系で調製した架橋アミノシリコーンポリマーを含有するエマルションの量を加え、磁気攪拌機を用いて5分間混合しながら調製し、24時間後に試験する。
【0115】
次に、作製した布地柔軟化組成物(6g)を、洗濯機内の柔軟剤室に入れ、組成物を最後のすすぎで自動的に分与する。
【0116】
小さなテリータオルを一晩吊り干しした後、パネル試験に使用した。
【0117】
処理後、装入材料なしの95℃で洗浄サイクルを実行することにより、洗濯機を洗浄した。柔軟剤による処理の場合、柔軟剤の引き出しを水で手動によりクリーニングした後、洗浄サイクルをクリーニングする。
【0118】
パネル試験
この試験を実施して、洗浄サイクル後の乾燥布地の柔らかさを判定した。1枚のテリータオルを4人の官能試験員に使用し、その後、別のタオルに交換した。2枚のタオルを比較した。16名の官能試験員に以下の質問が行われた。
a.「どのタオルが一番柔らかいか?」
b.「最初の布地が基準となるものであり、1~10の段階で5と見積もる場合、10が非常に柔らかく滑らかであることを考慮すると、他の布地をどのように評価するか?」
【0119】
以下の表では、対比較の結果を示す。16人の官能試験員のうち、12人、15人、及び15人の官能試験員は、それぞれ、実施例X、Y、及びZのサンプルで処理されたテリータオルを、シリコーンを含まない基準のものよりも柔軟であると選択した。これらの見積りもまた、実施例X、Y、及びZのサンプルに対し、それぞれ5.78、6.03、及び6.38であり、5よりも大きかった。これにより、布地柔軟剤から布地に柔軟性をもたらすというこの技術の利点が実証された。
【表15】
【0120】
A- XRF評価
シリコーン付着評価のためのモデル洗浄プロトコル
洗浄プロトコルを再現するためのモデルプロトコルを以下に説明する。
【0121】
布地のプレコンディショニング
この工程を実施して、布地の製造中に行われたシリコーン処理を除去し、実施例9で調製した架橋アミノシリコーンポリマーで処理する前に、装入材料がシリコーンを含まないことを確認した。
【0122】
この実験の装入材料として、ニットコットン布地の小片(50g)を使用した。3kgのこれらの小さなニットコットン布地を、以下の手順に従って、エレクトロラックス型洗濯機で事前洗浄した。
洗濯機の中に3kgのニットコットン布地
粉末の40gを加える
90℃、1400RPMで1サイクルを実行
90℃、1400RPMで6回の累積「ブランクサイクル」を実行。
【0123】
洗浄工程:
2Lのビーカーに、以下のものを加えた。
1. 1Lの水(硬度16dH,温度40℃)
2. シリコーンエマルション及び分散液(液体洗剤の量に基づいて、2%の架橋アミノシリコーンポリマー)
3. 液体洗剤及び分散液(5g)
4. 布地(4枚の綿布地-ニット綿50g)を加える
5. 撹拌なしの浸漬時間:3分
6. 洗浄:5分間、スパチュラで撹拌、「手で撹拌」する
7. 絞り:布地+水の重量-150g移し替え
【0124】
すすぎ工程
2Lのビーカーに、以下のものを加えた。
8. 1Lの水(硬度16dH,温度40℃)
9. すすぎ:3分間、スパチュラで撹拌、「手で撹拌」する
10. 水切りあり/なしで布地を取り除き、2~3時間かけて吊るす
11. XRFカップの調製(布地はまだ少し湿っている)
12. 乾燥48時間後にXRF測定
【0125】
ケースAでは、工程1~12を布地に適用したが、工程8及び9では適用しない。すなわち、すすぎは適用されず、水切りせずに布地を吊るした。
【0126】
ケースBでは、工程1~12を、全洗浄サイクルに対応する布地に適用した。
【0127】
XRF法
全ケイ素の測定は、綿布地の試験片の表面上へのシリコーン付着を予測するために重要になっている。X線蛍光分析は、最小限のサンプル調製で、迅速かつ再現性のあるシリコン分析を行うことができる好適な手法の1つであると思われていた。処理された布地の試験片からのシリコン蛍光強度(Kα-線)の比較を、PANalytical Axios 2.4kWシーケンシャル波長分散X線蛍光(WDXRF)分光計によって、RHエンドウィンドウ管(75μm Beエンドウィンドウ)、24kV及び100mAの電力設定、湾曲したInSb111-cクリスタル(超高感度及びSiの解像度向上のための特別なモノクロメーター)、700μmの一次コリメーター、ビームフィルタ150μmのベリリウム、ガスフロー検出器、及び120秒の照射時間で行った。サンプルスピナーを使用して、分析中にサンプルを回転させ、サンプル中の不均一性の影響を最小限に抑えるように助長した。同じベース布地(同じ組成、製織、及び厚さ)を全てのサンプルに使用し、コートが全くないブランクも測定した。分光計はヘリウム分析媒体で作動した(20秒の媒体フラッシュ時間)。処理されたサンプル及び未処理サンプルから得られた信号を比較することにより、SiKα線の正味の蛍光強度を、布地試験片上に付着したシリコーンポリマーの量と関連づけた。直接比較方法は、分析する全ての試験片について定数であると仮定されるマトリックスにおける1つ又は2つの要素(Si及びS)の決定など、部分的な分析に好ましい。
【0128】
全ての布地材料を、正方形の試験片に切断して、標準的な直径40mmサイズのXRFカップに適合させ、薄膜サンプル支持体の代わりにカップを閉じるために使用した。布地サンプルを、最初に把持し、ビーズによる全ての接触点でぴんと張った状態にし、ビーズが最終的に容器の首に固定されるまで一時的に伸ばした。布地支持体が適切に位置決めされていれば、しわがなくぴんと張った状態のはずである。XRFカップの準備中、布地サンプルが表面調製領域に接触し、布地表面が汚染されるのを防ぐことが根本であった。各サンプルについて、シリコン付着の見解を得るために、4つのサンプルをXRFカップ内で調製した。
【0129】
以下の表17に示されるように、シリコーンがビーカー内に配置されていない場合、布地上の残留シリコーン処理に対応する残留信号が測定される。
実施例X、Y、及びZ並びに比較例は、洗浄中のシリコーン付着を示す。しかしながら、実施例Y及びZでは、全サイクル後、すなわちすすぎ後の残留シリコーンは、比較例よりも高い。これは、すすぎ段階にもかかわらず、布地に高い持続性を提供する本発明の能力を実証する。
【0130】
実施例11-エマルションEの調製
ガラス瓶に入れて、98gの架橋アミノシロキサンエマルションA、続いて2gのマレイン酸水溶液(20重量%)を秤量した。混合物を200rpmで混合しながら70℃に維持した。エマルションの粒径は、体積モードで測定したメジアン径で49~78ナノメートルであった。これをエマルションEと称した。エマルションEを上記のように試験した。結果を以下の表15~17に示す。
【表16】
【表17】
【表18】
【0131】
産業上の利用可能性
理論に束縛されるものではないが、本発明は、費用対効果の高い架橋アミノシリコーンポリマーを提供することができると考えられている。理論に束縛されるものではないが、架橋アミノシリコーンポリマーは、ヘアケア組成物に1つ以上の効果もたらすことができると考えられ、例えば、コンディショニング効果としては、湿潤時及び乾燥時の櫛通し;滑らかな感触;カールリテンション、毛髪の調整、又は縮れの低減などのスタイリング効果;着色された毛髪の色保護;又は改善された疎水性などが挙げられる。
【0132】
用語の定義及び使用
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、別途記載のない限り、1つ又はそれ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、2.0~4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、例えば、2.1~3.5、2.3~3.4、2.6~3.7、及び3.8~4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合も含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基」の開示には、その要素である個々のアルキル、下位群であるアルキル及びアリール、並びに任意の他の個々の要素及びその中に包含される下位群を包含する。
【0133】
本明細書において使用される略記は、以下のとおり定義される。略記「cm」は、平方センチメートルを意味する。略記「cP」は、センチポアズを意味する。「DP」は、重合度を意味する。「FT-IR」は、フーリエ変換赤外を意味する。略記「g」は、グラムを意味する。「GPC」は、ゲル浸透クロマトグラフィーを意味する。略記「hr」は、時間を意味する。「L」は、リットルを意味する。略記「mg」は、ミリグラムを意味する。略記「mm」はミリメートルを意味する。「Mn」は、数平均分子量を意味する。Mnは、GPCを使用して測定することができる。略記「mPa.s」は、ミリパスカル秒を意味する。「Mw」は、重量平均分子量を意味する。「NMR」は、核磁気共鳴法を意味する。略記「ppm」は、百万分率を意味する。略記「rpm」は、毎分回転数を意味する。「RT」は、25℃の室温を意味する。
【0134】
「アルキル」は、非環状、分枝状又は非分枝状の飽和一価炭化水素基を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソ-プロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、並びに5個以上の炭素原子を有する他の分枝状飽和一価炭化水素基が挙げられる。アルキル基は、少なくとも1個の炭素原子を有する。あるいは、アルキル基は、1~12個の炭素原子、あるいは1~10個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子、あるいは1個の炭素原子を有してもよい。
【0135】
「アルケニル」は、二重結合を有する、非環状、分枝状又は非分枝状の一価炭化水素基を意味する。アルケニル基としては、分枝状及び直鎖状異性体を含む、エテニル、アリル、及びヘキセニルが挙げられる。アルケニル基は少なくとも2個の炭素原子を有する。あるいは、アルケニル基は、2~12個の炭素原子、あるいは2~10個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子、あるいは2個の炭素原子を有してもよい。
【0136】
「アルキニル」は、三重結合を有する、非環状、分枝状又は非分枝状の一価炭化水素基を意味する。アルキニル基としては、エチニル及びプロピニルが挙げられる。アルキニル基は、少なくとも2個の炭素原子を有する。あるいは、アルキニル基は、2~12個の炭素原子、あるいは2~10個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子、あるいは2個の炭素原子を有してもよい。
【0137】
「アリール」は、アレーンから、環炭素原子から水素原子を除くことにより誘導された炭化水素基を意味するものであり、ペンダント基を含んでも含まなくてもよい。アリールは、フェニル及びナフチル、トリル、キシリル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル及びベンジルによって例示されるが、これらに限定されない。アリール基は、少なくとも5個の炭素原子を有する。単環式アリール基は、5~12個の炭素原子、あるいは6~12個の炭素原子、あるいは6個の炭素原子を有してもよい。多環式アリール基は、10~17個の炭素原子、あるいは10~14個の炭素原子、あるいは12~14個の炭素原子を有してもよい。
【0138】
「二価炭化水素基」としては、メチレン、エチレン、プロピレン(イソプロピレン及びn-プロピレンを含む)及びブチレン(n-ブチレン、t-ブチレン及びイソブチレンを含む)、及びペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、並びにこれらの分枝状及び直鎖状異性体などのアルキレン基;フェニレン、例えばオルトフェニレンなどのアリーレン基;並びに
【化13】
などのアルカラルキレン基が挙げられる。
あるいは、各二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレン又はヘキシレンであり得る。あるいは、各二価炭化水素基は、エチレン又はプロピレンであり得る。