(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】空気清浄媒体
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20230711BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20230711BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B01D39/16 A
A61L9/01 Q
A61L9/12
(21)【出願番号】P 2020539944
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2018032114
(87)【国際公開番号】W WO2020044489
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243264(JP,A)
【文献】特開2003-210559(JP,A)
【文献】実開昭61-083415(JP,U)
【文献】特開2006-014849(JP,A)
【文献】特開2004-251482(JP,A)
【文献】特開平03-135415(JP,A)
【文献】特開2014-121693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
B01D 46/00-46/90
A61L 9/01
A61L 9/12
F24F 8/00-8/99
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の外表面の吸込み部分を覆う空気清浄媒体であって、
通気性素材を含み、空気中の不純物を捕捉する通気部と、
前記吸込み部分に前記通気部を固定する固定部と、
前記通気性素材の密度よりも低い密度を有し、気散性の物質を含む第2の通気性素材と、を備え、
前記通気部は、前記吸込み部分へ吸込まれる空気が通過し、前記第2の通気性素材により覆われる孔を有し、
前記第2の通気性素材は、前記通気部の前記吸込み部分側から前記孔を覆うように配置されて
おり、
前記孔は、前記通気部を形成する前記通気性素材を切り抜くように形成された貫通孔である、
空気清浄媒体。
【請求項2】
空気中に存在する物質と化学反応し、ラジカルを生成させる物質を含み、前記通気性素材にコーティングされるラジカル生成部をさらに備える、
請求項1に記載の空気清浄媒体。
【請求項3】
前記気散性の物質は、芳香性又は消臭性のうち、少なくとも1つの性質を有する、
請求項1に記載の空気清浄媒体。
【請求項4】
前記通気性素材の開孔率は、30%以上である、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の空気清浄媒体。
【請求項5】
前記空気調和機は、前記外表面の中央部分に設けられる前記吸込み部分と、前記吸込み部分の周囲に設けられる吹出し部分と、を有し、
前記孔は、前記通気部の中央部分に設けられる、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の空気清浄媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、空気清浄媒体を開示する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に吸い込まれる空気を清浄するために空気調和機の吸込み口にフィルタを取り付けることが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機に吸い込まれる空気を清浄するために空気調和機の吸込み口にフィルタを取り付ける場合、空気調和機に吸込まれる空気量は低下することが考えられる。よって、空気調和機の吹出し空気量は低下する虞がある。すなわち、空調対象空間に所望の空気量を吹出すことができない虞がある。また、空気調和機が所望の空気量を吸込むために更なるエネルギーを必要とし、省エネルギー化が実現されない虞が考えられる。
【0005】
そこで、本願は、空気調和機へ吸い込まれる空気を清浄しつつ、空気調和機へ吸い込まれる空気量の低下を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、孔が設けられた空気清浄媒体で空気調和機の吸込み口を覆うこととした。
【0007】
詳細には、本発明は、空気調和機の外表面の吸込み部分を覆う空気清浄媒体であって、通気性素材を含み、空気中の不純物を捕捉する通気部と、吸込み部分に通気部を固定する固定部と、を備え、通気部は、吸込み部分へ吸込まれる空気が通過する孔を有する、空気清浄媒体である。
【0008】
このような空気清浄媒体は、空気調和機の吸込み部分へ吸込まれる空気に含まれる不純物を捕捉する。よって、空気調和機の吸込み部分へ吸込まれる空気は清浄される。また、通気部に孔が設けられているため、空気調和機に吸い込まれる空気量の低下は抑制される。よって、空調対象空間に所望の空気量を吹出すことができる。また、空気調和機が吸込み空気を吸込むためのエネルギーは節減される。
【0009】
また、空気清浄媒体は、空気中に存在する物質と化学反応し、ラジカルを生成させる物質を含み、通気性素材にコーティングされるラジカル生成部をさらに備えてもよい。
【0010】
このような空気清浄媒体であれば、ラジカル生成部が通気性素材にコーティングされているため、通気性素材を通過する空気、あるいは通気部に設けられた孔を通過し、空気調和機の吸込み部分へ吸込まれる空気に含まれる病原菌やウイルスといった不純物は無害化される。すなわち、このような空気清浄媒体であれば、空気調和機へ吸い込まれる空気は清浄されつつ、空気調和機へ吸い込まれる空気量の低下は抑制される。
【0011】
また、空気清浄媒体は、通気性素材の密度よりも低く、気散性の物質を含む第2の通気性素材を更に備え、孔は、第2の通気性素材により覆われてもよい。
【0012】
このような空気清浄媒体であれば、孔は覆われるため、孔を通過する空気中に存在する不純物は捕捉される。また、孔を覆う第2の通気性素材は、通気性素材よりも密度が低いため、通気性の低下は抑制される。すなわち、空気調和機へ吸い込まれる空気は清浄されつつ、空気調和機へ吸い込まれる空気量の低下は抑制される。
【0013】
また、第2の通気性素材に含まれる気散性の物質は、吸込み部分から空気調和機へ吸込まれ、空調対象空間へ吹き出される。よって、気散性の物質が芳香性又は消臭性を有する物質の場合、吹出し空気は、不純物が無害化され、芳香性又は消臭性を有する空気である。つまり空調対象空間は、衛生的となり、空調対象空間にいる人間の心理、精神に良い影響が及ぼされる。
【0014】
また、気散性の物質は、芳香性又は消臭性のうち、少なくとも1つの性質を有してもよい。
【0015】
気散性の物質は、吸込み部分から空気調和機へ吸込まれ、空調対象空間へ吹き出される。よって、吹出し空気は、不純物が無害化され、芳香性又は消臭性のうち、少なくとも1つの性質を有する空気である。つまり空調対象空間は、衛生的となり、空調対象空間にいる人間の心理、精神に良い影響が及ぼされる。
【0016】
また、通気性素材の開孔率は、30%以上であってもよい。このような空気清浄媒体であれば、通気性の低下は抑制される。よって、空気調和機へ吸い込まれる空気は清浄されつつ、空気調和機へ吸い込まれる空気量の低下は抑制される。
【0017】
また、空気調和機は、外表面の中央部分に設けられる吸込み部分と、吸込み部分の周囲に設けられる吹出し部分と、を有し、孔は、通気部の中央部分に設けられてもよい。
【0018】
このような空気清浄媒体であれば、吹出し部分と孔とは離れている。よって、吹出し部分から吹き出された空気が空調対象空間へ拡散せず、孔を介して再度空気調和機へ吸込まれることは抑制される。すなわち、空調対象空間へ清浄された空気が拡散される。
【発明の効果】
【0019】
上記の空気清浄媒体は、空気調和機へ吸い込まれる空気を清浄しつつ、空気調和機へ吸い込まれる空気量の低下を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る空気清浄媒体の概要図である。
【
図3】
図3は、空気清浄媒体を空気調和機の吸込み口に取付けた際の概要図である。
【
図4】
図4は、空気調和機の電源を入れた際の気流の流れを示した図である。
【
図5】
図5は、空気清浄媒体によって空気調和機へ吸込まれる空気が清浄される様子を説明した断面図である。
【
図6】
図6は、空気清浄媒体の吸込み面が不純物の蓄積により変色した例を示している。
【
図7】
図7は、空気清浄媒体の概要の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の一形態であり、本発明の技術的範囲を下記の実施形態に限定するものではない。
【0022】
図1は、本発明に係る空気清浄媒体の概要図である。空気清浄媒体1は、通気性素材である不織布2を備える。不織布2は、例えばポリエステルから形成される。また、不織布2の外形の一辺の長さは、例えば57cmである。また、不織布2には、例えばラジカル生成部の一態様である空気触媒がコーティングされている。空気触媒は、例えばニチリンケミカル社製品のセルフィーユ(登録商標)が挙げられる。セルフィーユは、http://www.nichirin-chemical.co.jp/に記載されているように、空気中に存在する水や酸素と化学反応し、ラジカルを生成する。また、不織布2の色は、不純物が付着して蓄積した際に、不純物の付着を認識できるように、不純物の色とは異なる色であることが望ましい。また、不織布2には、例えばヒノキの幹から抽出される天然抗菌成分であるヒノキチオールが含まれている。
【0023】
また、不織布2は、空気調和機7へ取り付けられる側の取付け面3に、空気調和機7と粘着する粘着部分4を備える。粘着部分4は、取付け面3の外周に沿って設けられる。また、粘着部分4は、取付け面3の外周に沿った部分以外にも、取付け面3の面内に設けられる。ここで、粘着部分4は、本発明の「固定部」の一例である。
【0024】
不織布2の取付け面3とは反対側の、空気が吸込まれる吸込み面5には、不純物が付着しない防汚部分6を備える。
図2は、吸込み面5の概要図を示している。防汚部分6は、例えば複数の直線が交差した模様である。
【0025】
また、不織布2は、孔20を備える。孔20の開孔面積の総和は、例えば100cm2である。すなわち、不織布2の開孔率は、約30%である。また、孔20は、不織布2の中央部分に4つ設けられる。孔20の形状は何でもよい。また、孔20の個数は何個でもよい。また、孔20が設けられる位置は、どこでもよく、不織布2の端部分に設けられてもよい。また、不織布の大きさや孔の寸法は、上記の数値に限定されない。
【0026】
図3は、空気清浄媒体1を、例えば天井埋め込み型の空気調和機7の吸込み口8に取付けた際の概要図である。空気調和機7は、中央部分に吸込み口8を備える。また、空気調和機7は、吸込み口8の周囲に吹出し口10を備える。ここで、吸込み口8は、本発明の「吸込み部分」の一例である。また、吹出し口10は、本発明の「吹出し部分」の一例である。空気清浄媒体1は、吸込み口8を覆うように空気調和機7の外表面に取付けられる。この際、空気清浄媒体1の取付け面3の外周に沿って設けられた粘着部分4は、吸込み口8の外周に粘着される。ここで、空気清浄媒体1は、吸込み口8の大きさに合わせて適当な大きさに切られてもよい。
【0027】
図4は、空気調和機7の電源を入れた際の気流の流れを示した図である。空気調和機7の電源を入れると、空調対象空間9から空気調和機7の吸込み口8に貼り付けられた空気清浄媒体1の吸込み面5へ向かって、気流が発生し、空気調和機7の内部へ空気が吸込まれる。ここで、不織布2の中央部分には、孔20が設けられているため、空気調和機7の内部への通気性の低下は抑制される。
【0028】
また、空気調和機7へ吸込まれる空気には、例えば、埃、塵、煙草の脂、花粉、細菌、ウイルス、ハウスダストといった不純物が含まれる。これら不純物のうち、埃、塵、花粉、煙草の脂、ハウスダストといった比較的粒径が大きい不純物は、空気清浄媒体1の不織布2によって捕捉される。
【0029】
しかしながら、細菌やウイルスのように粒径が小さい不純物は、不織布2によって捕捉されず、不織布2内の隙間を通過し、空気調和機7の中へ吸込まれる場合がある。また、細菌やウイルスのように粒径が小さい不純物は、孔20を通過して空気調和機7の中へ吸い込まれる場合がある。本実施形態の空気清浄媒体1であれば、上記のような細菌やウイルスが不織布2によって捕捉されない場合においても、細菌やウイルスは、不織布2にコーティングされた空気触媒によって生成されるラジカルによって酸化され、その機能は失われる。
図5は、空気清浄媒体1によって、空気調和機7へ吸込まれる空気が清浄される様子を説明した断面図である。
【0030】
<作用・効果>
上記のような空気清浄媒体1であれば、不織布2に孔20が設けられている。また、不織布2の開孔率は約30%である。よって、空気調和機7へ吸込まれる空気量の低下は抑制される。よって、空調対象空間に所望の空気量を吹出すことができる。また、空気調和機7が吸込み空気を吸込むためのエネルギーは節減される。
【0031】
また、空気触媒が不織布2にコーティングされているため、不織布2を通過する、あるいは孔20を通過する空気中に含まれる病原菌やウイルスといった不純物は無害化される。また、不織布2によって、病原菌やウイルスよりも大きい不純物は捕捉される。すなわち、このような空気清浄媒体1であれば、空気調和機7へ吸い込まれる空気は清浄されるとともに、空気調和機7へ吸込まれる空気量の低下は抑制される。
【0032】
また、このような空気清浄媒体であれば、吹出し口10と孔20とは離れている。よって、吹出し口10から吹き出された空気が空調対象空間9へ拡散せず、孔20を介して再度空気調和機7へ吸込まれることは抑制される。よって、清浄された空気は、空調対象空間へ拡散される。
【0033】
また、上記のような空気清浄媒体1であれば、空気調和機7の内部のフィンに衛生機能を有する物質を加工するのではなく、空気清浄媒体1を空気調和機7の吸込み口8へ貼り付けるだけで、空調対象空間9へ衛生的な空気を供給することができる。よって、衛生機能を有する物質を空気調和機7へ加工する費用を低減することができる。
【0034】
また、上記のような空気清浄媒体1であれば、空気調和機7を開け、空気調和機7の内部を定期的に清掃する手間を省くことができる。また、空気清浄媒体1は、空気調和機7の外表面に粘着されることによって取り付けられる。よって、空気清浄媒体1は、空気調和機7への設置や交換の手間を要さずに済む。
【0035】
また、不織布2は、例えば煙草、汗、し尿の成分であるアンモニア、卵等が腐った際に発生する硫化水素、玉葱等が腐った際に発生するメチルメルカプタン、建築材料の合板や壁紙、床、家具の接着剤等に用いられるホルムアルデヒド、といった臭気性の不純物も捕捉する、あるいは、その機能を失わせることができてもよい。このような空気清浄媒体1であれば、空気調和機7の内部及び空調対象空間9の消臭も実現される。
【0036】
また、不織布2には、天然由来の成分である、例えばヒノキチオールがコーティングされている。ヒノキチオールは、例えば殺菌機能や抗菌機能といった衛生機能を有する。よって、このような空気清浄媒体1であれば、空気調和機7の吸込み口8へ空気清浄媒体1を取り付ける際、空気清浄媒体1を指でつまむ必要があるが、この際に手の皮膚細胞が壊される虞は低い。
【0037】
また、上記のように、空調対象空間9の空気を清浄していると、不織布2には、捕捉された不純物が溜まっていき、空気清浄媒体1の吸込み面5の外観は変色する。
図6は、空気清浄媒体1の吸込み面5が不純物の蓄積により変色した例を示している。吸込み面5が不純物の蓄積により変色した場合、吸込み面5の不純物が捕捉された部分と、不純物が付着しない防汚部分6とは、明らかに外観が異なることとなる。
【0038】
上記のような場合には、不織布2に不純物が蓄積され、通気性が低下しているため、空気調和機7へ吸込まれる空気量は大幅に低下する。よって、空気調和機7の吹出し口10から吹出される空気量も大幅に低下する。また、空気調和機7から吹出される空気量の低下を防止するために、吹出し動力を上げなければならず、空気調和機7の運転に要する費用が嵩む。
【0039】
また、このように不純物が蓄積し、吸込み面5と防汚部分6との外観が異なる程に空気の清浄を行うと、不織布2にコーティングされた空気触媒やヒノキチオールの量は減っており、空気触媒やヒノキチオールの効果が低減している。よって、
図6のように吸込み面5の外観が、防汚部分6の外観と比較して明らかに異なる場合には、空気清浄媒体1を交換する必要がある。換言すれば、上記のような防汚部分6を備える空気清浄媒体1であれば、交換の頃合を容易に把握することができる。
【0040】
また、空気清浄媒体1は、空気調和機7に吸込まれる空気の気流によって、自然に空気調和機7の筐体方向へ張り付く。よって、空気調和機7が運転している際に、空気調和機7から空気清浄媒体1が剥がれ落ちる可能性は低い。
【0041】
また、不織布2には、例えば人間をリラックスさせる効果や集中力を増す効果を有する香料が含まれていてもよい。このような空気清浄媒体1であれば、空気調和機7の吹出し口10から上記の香料が混ざった空気が吹出され、空調対象空間9にいる人間が上記の香料の混ざった空気を吸込む。よって、香料の混ざった空気を吸込んだ人間の心理や精神に良い影響を与えることができる。
【0042】
<変形例>
図7は、空気清浄媒体1Aの概要の一例を示している。空気清浄媒体1Aは、孔20を覆うように不織布21を備える。ただし、不織布21の密度は、不織布2の密度よりも低い。ここで、不織布21は、本発明の「第2の通気性素材」の一例である。
【0043】
また、不織布21には、例えばトドマツの粉体22がコーティングされる。ここで、トドマツの粉体22は、本発明の「気散性の物質」の一例である。トドマツの粉体22は、例えばhttp://www.kaoriken.com/business/feature.html等に記載されているように、粉体中に含まれるβ-フェランドレンが消臭性及び芳香性を有する。また、トドマツの粉体22は、粉体中に含まれる物質が大気汚染物質の無害化などの効果を有する。
【0044】
上記のような空気清浄媒体1Aは、孔20が不織布21によって覆われるため、不織布21を通過する空気に含まれる不純物は捕捉される。また、病原菌やウイルスといった不純物が不織布21を通過する場合、不織布2にコーティングされる空気触媒によって病原菌やウイルスといった不純物は無害化される。すなわち、空気調和機7へ吸い込まれる空気は清浄される。
【0045】
また、孔20を覆う不織布21の密度は、不織布2の密度よりも密度が低い。よって、空気清浄媒体1Aの通気性の低下は抑制される。すなわち、このような空気清浄媒体1Aであれば、空気調和機7へ吸い込まれる空気は清浄されるとともに、空気調和機7へ吸込まれる空気量の低下は抑制される。
【0046】
また、トドマツの粉体22は、消臭芳香性を有する。よって、吸込み口8から空気調和機7へ吸込まれ、空調対象空間へ吹出される吹出し空気は、清浄されていることに加えて芳香消臭性を有する。つまり空調対象空間は、衛生的であり、空調対象空間にいる人間の心理や精神に良い影響を与えることができる。
【0047】
また、空気清浄媒体1の形状はひし形でも正方形でも台形でもなんでもよい。また、空気触媒は、不織布2の全面にわたってコーティングされていても、一部分にのみ加えられていてもよい。また、空気触媒は不織布2にコーティングされていなくてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、空気触媒が不織布2にコーティングされる空気清浄媒体の一例を示したが、不織布2にコーティングされる物質は空気触媒に限られない。不織布2にコーティングされる物質は、例えば、トドマツ、ミネルパ(登録商標)といった物質を含んでもよい。
【0049】
また、ヒノキチオールや香料は、不織布2の全面にわたって加えられていても、一部分に加えられていても、加えられていなくてもよい。
【0050】
また、不織布2の素材は、何でもよく、例えば紙を含んでもよい。また、例えば市販のペットボトル容器から得られるポリエステルを不織布2の素材に再利用してもよい。また、不織布2の代わりに、埃や塵程度の大きさの不純物を捕捉し、空気触媒をコーティングできる通気性の材料を用いてもよい。また、空気調和機7の形状は何でもよい。また、空気調和機7の種類は、天井埋め込み型に限らず、天井吊り下げ型、壁掛け型、床置き型などであってもよい。
【0051】
また、粘着部分4は、空気清浄媒体1の清浄機能が著しく低下せず、空気調和機7へ貼り付けることができる程度に取付け面3に設けられていてもよい。また、空気清浄媒体1は粘着部分4を備えず、空気調和機7へ固定される代替手段を備えてもよい。代替手段とは、例えば、空気調和機7にピンが設けられている場合、当該ピンと嵌合する孔などでもよい。また、防汚部分6は、複数の直線が交差した模様に限らず、空気清浄媒体1の使用後に、不純物を捕捉した部分と防汚部分6とが形成する模様が外部から視認でき、交換の頃合を容易に把握できるような形態であればよい。
【符号の説明】
【0052】
1・・空気清浄媒体
2・・不織布
3・・取付け面
4・・粘着部分
5・・吸込み面
6・・防汚部分
7・・空気調和機
8・・吸込み口
9・・空調対象空間
10・・吹出し口
20・・孔
21・・不織布
22・・粉体