(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230711BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G02F1/1333
(21)【出願番号】P 2021088296
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2021-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根引 啓滋
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-096724(JP,A)
【文献】特開2018-045053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0157487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
開口部を有するパネルと、
前記表示部の前面を覆い且つ前記開口部に嵌る透光板と、
前記パネルと前記透光板とを接着する接着剤と、
を備え、
前記パネルは、
前記開口部の周縁から後方に延びる側壁部と、
前記側壁部の後端部から前記開口部の内側に向かって前後方向と垂直な方向に延びる後壁部と、
前記後壁部から前方に突出する複数の突起部と、
を有し、
前記接着剤は、前記突起部より前記表示部に近い領域及び前記突起部より前記側壁部に近い領域の双方に配置され、
前記突起部は、前記後壁部の前記側壁部側端部よりも前記後壁部の前記表示部側端部に近い位置に配置され、
前記後壁部は、前記突起部と前記側壁部との間の部分に後方に向かって窪む第1溝を有する、表示装置。
【請求項2】
前記後壁部は、前記側壁部に垂直な方向に前記突起部が存在しない部分に後方に向かって窪む第2溝を有し、前記第2溝の断面積は前記第1溝の断面積より小さい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記突起部の側面は前記後壁部に向かうほど前記突起部の中心軸から離れる斜面である、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記突起部と前記後壁部との境界部に面取り部が設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の表示装置が開発されている。例えば、特許文献1には、表示部(液晶表示パネル)と表示部(液晶表示パネル)支持部材とを両面粘着テープによって接着する構造の表示装置が開示されている。
【0003】
一方、両面粘着テープの代わりに接着剤を用いて表示部の前面を覆う透光板と支持部材とを接着する構造の表示装置も存在する。接着剤を用いて表示部の前面を覆う透光板と支持部材とを接着する構造の表示装置では、透光板の支持部材に対する前後方向の位置を決めるための位置決め部材が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着剤を用いて表示部の前面を覆う透光板と支持部材とを接着する構造の表示装置では、接着剤及び位置決め部材が配置される領域が表示装置の額縁となる。額縁が広くなると、製品外形が大きくなり、表示装置の意匠性が悪化し、表示装置の市場競争力が低くなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、額縁が狭い表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、表示部と、開口部を有するパネルと、前記表示部の前面を覆い且つ前記開口部に嵌る透光板と、前記パネルと前記透光板とを接着する接着剤と、を備え、前記パネルは、前記開口部の周縁から後方に延びる側壁部と、前記側壁部の後端部から前記開口部の内側に向かって前後方向と垂直な方向に延びる後壁部と、前記後壁部から前方に突出する複数の突起部と、を有し、前記接着剤は、前記突起部より前記表示部に近い領域及び前記突起部より前記側壁部に近い領域の双方に配置される構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成の表示装置において、前記突起部は、前記後壁部の前記側壁部側端部よりも前記後壁部の前記表示部側端部に近い位置に配置される構成(第2の構成)であってもよい。
【0009】
上記第1又は第2の構成の表示装置において、前記後壁部は、前記突起部と前記側壁部との間の部分に後方に向かって窪む第1溝を有する構成(第3の構成)であってもよい。
【0010】
上記第3の構成の表示装置において、前記後壁部は、前記側壁部に垂直な方向に前記突起部が存在しない部分に後方に向かって窪む第2溝を有し、前記第2溝の断面積は前記第1溝の断面積より小さい構成(第4の構成)であってもよい。
【0011】
上記第1~第4いずれかの構成の表示装置において、前記突起部の側面は前記後壁部に向かうほど前記突起部の中心軸から離れる斜面である構成(第5の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第5いずれかの構成の表示装置において、前記突起部と前記後壁部との境界部に面取り部が設けられる構成(第6の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、表示装置の額縁を狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】比較例に係る表示装置及び実施形態に係る表示装置の正面図
【
図2】比較例に係る表示装置における
図1のA―A断面図
【
図3】実施形態に係る表示装置における
図1のA―A断面図
【
図4】実施形態に係る表示装置の第1変形例における
図1のA―A断面図
【
図5】実施形態に係る表示装置における
図1のB―B断面図
【
図6】実施形態に係る表示装置における
図1のC―C断面図
【
図7】実施形態に係る表示装置の第2変形例における
図1のC―C断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、比較例に係る表示装置及び実施形態に係る表示装置の正面図である。
【0017】
比較例に係る表示装置は、表示部1(
図2参照)と、開口部を有するパネル(意匠パネル)2と、表示部1の前面を覆い且つパネル2の開口部に嵌るガラス板3と、パネル2とガラス板3とを接着する接着剤4(
図2参照)と、を備える。
【0018】
同様に、実施形態に係る表示装置は、表示部1(
図3参照)と、開口部を有するパネル(意匠パネル)2と、表示部1の前面を覆い且つパネル2の開口部に嵌るガラス板3と、パネル2とガラス板3とを接着する接着剤4(
図3参照)と、を備える。
【0019】
正面から見て、ガラス板3の周縁以外の部分は表示部1と重なる(
図2及び
図3参照)。表示部1の構造は特に限定されないが、例えばTFT(Thin Film Transistor)がマトリクス状に配置される液晶表示パネルを表示部1として用いることができる。ガラス板3は代表的な硬質透光部材であるが、ガラス板3の代わりに他の硬質透光部材を用いてもよい。
【0020】
図2は、比較例に係る表示装置における
図1のA―A断面図である。
【0021】
比較例に係る表示装置のパネル2は、開口部の周縁から後方に延びる側壁部21と、側壁部21の後端部から開口部の内側に向かって前後方向と垂直な方向に延びる後壁部22と、後壁部22から前方に突出する突起部23と、を有する。
【0022】
突起部23は複数設けられる。より詳細には、
図1に示すように、突起部23は、長方形形状の開口部の四隅の近傍位置、開口部の各辺の中点の近傍位置、開口部の隣り合う隅と辺の中点とを結ぶ線分の中点の近傍位置に配置される。突起部23は、ガラス板3に対するパネル2の前後方向位置を定めるための位置決め部材である。
【0023】
比較例に係る表示装置では、接着剤4は、突起部23より表示部1に近い領域のみに配置される。比較例に係る表示装置では、接着剤4から離して突起部23が配置されているため、額縁の幅(表示部1の外縁からガラス板3の外縁までの距離)W1が広い。
【0024】
図3は、実施形態に係る表示装置における
図1のA―A断面図である。
【0025】
実施形態に係る表示装置のパネル2は、開口部の周縁から後方に延びる側壁部21と、側壁部21の後端部から開口部の内側に向かって前後方向と垂直な方向に延びる後壁部22と、後壁部22から前方に突出する突起部23と、を有する。
【0026】
突起部23は複数設けられる。より詳細には、
図1に示すように、突起部23は、長方形形状の開口部の四隅の近傍位置、開口部の各辺の中点の近傍位置、開口部の隣り合う隅と辺の中点とを結ぶ線分の中点の近傍位置に配置される。なお、突起部23の配置は、
図1に示す配置以外の配置であってもよい。突起部23は、ガラス板3に対するパネル2の前後方向位置を定めるための位置決め部材である。
【0027】
実施形態に係る表示装置では、接着剤4は、突起部23より表示部1に近い領域及び突起部23より側壁部21に近い領域の双方に配置される。実施形態に係る表示装置では、接着剤4から離さずに突起部23が配置されている。これにより、実施形態に係る表示装置の額縁の幅W2は、比較例に係る表示装置の額縁の幅W1(
図2参照)より狭くすることができる。実施形態に係る表示装置は、比較例に係る表示装置より額縁の幅Wが狭いため、製品外形を小さくでき、比較例に係る表示装置より意匠性が良好であり市場競争力が高くなる。
【0028】
実施形態に係る表示装置を製造するとき、ガラス板3の前面を下側に向けて、ガラス板3の後面に接着剤4を塗布する。そして、突起部23の前面がガラス板3の後面に突き当たるまでパネル2を下降させ、接着剤4が硬化するのを待つ。突起部23の前面をガラス板3の後面に突き当てる際に、突起部23が硬化前の接着剤4を踏むことになるため、パネル2とガラス板3との隙間から接着剤4が表示装置の前面まではみ出す外観不良が発生するおそれがある。
【0029】
実施形態に係る表示装置では、突起部23は、後壁部22の側壁部側端部よりも後壁部22の表示部側端部に近い位置に配置される。つまり、突起部23と後壁部22との境界部から後壁部22の側壁部側端部までの距離L2は、突起部23と後壁部22との境界部から後壁部22の表示部側端部までの距離L1より長い。これにより、パネル2とガラス板3との隙間から接着剤4が表示装置の前面まではみ出す外観不良の発生を抑制することができる。
【0030】
また、実施形態に係る表示装置の後壁部22は、突起部23と側壁部21との間の部分に後方に向かって窪む第1溝24を有する。第1溝24は、突起部23が硬化前の接着剤4を踏むことで移動する接着剤4を収納する空間になる。したがって、第1溝24が設けられることによっても、パネル2とガラス板3との隙間から接着剤4が表示装置の前面まではみ出す外観不良の発生を抑制することができる。第1溝24の幅W3は、パネル2とガラス板3との隙間の幅W4より長いことが望ましい。
【0031】
なお、第1溝24は、
図4に示す第1変形例のように後壁部22の側壁部側端部まで延びてもよい。第1溝24を後壁部22の側壁部側端部まで延ばすことによって、第1溝24の断面積を大きくすることができるので、パネル2とガラス板3との隙間から接着剤4が表示装置の前面まではみ出す外観不良の発生をより一層抑制することができる。
【0032】
図5は、実施形態に係る表示装置における
図1のB―B断面図である。
【0033】
実施形態に係る表示装置の後壁部22は、側壁部21に垂直な方向に突起部23が存在しない部分に後方に向かって窪む第2溝25を有する。第2溝25は、突起部23の前面をガラス板3の後面に突き当てる際に移動する接着剤4を収納する空間になる。
【0034】
第2溝25の断面積は第1溝24の断面積より小さい。第2溝25の断面積を第1溝24の断面積より小さくすることで、後壁部22の強度を確保することが容易になる。
【0035】
側壁部21に垂直な方向に突起部23が存在しない部分は、突起部23が硬化前の接着剤4を踏むことによる影響をほぼ受けない。しかしながら、側壁部21に垂直な方向に突起部23が存在しない部分においても、例えばガラス板3に塗布された接着剤4の厚みが突起部23の高さよりも大きければ、パネル2とガラス板3との隙間から接着剤4が表示装置の前面まではみ出す外観不良が発生するおそれがある。
【0036】
第2溝25が設けられることによって、側壁部21に垂直な方向に突起部23が存在しない部分においてパネル2とガラス板3との隙間から接着剤4が表示装置の前面まではみ出す外観不良の発生を抑制することができる。第2溝25の幅W5は、パネル2とガラス板3との隙間の幅W4より長いことが望ましい。
【0037】
図6は、実施形態に係る表示装置における
図1のC―C断面図である。
【0038】
突起部23の側面は後壁部22に向かうほど突起部23の中心軸から離れる斜面である。また、突起部23と後壁部22との境界部にR面取り(round)部が設けられる。これらの形状により、パネル2と接着剤4との間に隙間ができることを抑制することができる。パネル2と接着剤4との間に隙間ができなければ、表示装置の部品に静電気が到達することを防止することができるため、表示装置の信頼性及び耐久性が向上する。
【0039】
なお、
図7に示す第2変形例のように、上述した斜面及びR面取り部を設けない構成にしてもよいが、実施形態に係る表示装置の方が第2変形例に係る表示装置と比較して信頼性及び耐久性に優れる。
【0040】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0041】
実施形態に係る表示装置では、突起部23と後壁部22との境界部にR面取り部を設けたが、R面取り部の代わりにC面取り(chamfer)部を設けてもよい。
【0042】
実施形態に係る表示装置では、突起部23の側面を後壁部22に向かうほど突起部23の中心軸から離れる斜面とし、突起部23と後壁部22との境界部に面取り部を設けたが、いずれか一方のみを実施するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 表示部
2 パネル
3 ガラス板
4 接着剤
21 側壁部
22 後壁部
23 突起部
24 第1溝
25 第2溝