(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】配管設置管理システムおよび配管設置管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20230711BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2021148103
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 祥彦
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-211454(JP,A)
【文献】特開2008-158569(JP,A)
【文献】特開2012-243037(JP,A)
【文献】米国特許第10641676(US,B1)
【文献】恩田 公治, 若林 英祐, 新井 良太, 室 啓朗, 重見 良介, 湯田 晋也,原子カプラントへのRFID高度応用システムの開発,日立評論,日本,日立評論社,2008年02月01日,90巻, 第2号,16~21ページ,ISSN 0367-5874
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配管を設置する配管設置工事を管理するための配管設置管理システムであって、
各々の前記配管に固定され
た無線ICタグであって、対応する前記配管の配管識別情報を有する
とともに、対応する前記配管の位置を示す配管位置情報を取得する無線ICタグと、
前記無線ICタグから前記配管識別情報
および前記配管位置情報を読み取る読取部と、
各々の前記配管の設置位置を示す複数の設置位置情報を有し、前記読取部により読み取られた前記配管識別情報
および前記配管位置情報に基づいた判定を行う判定部と、
前記判定部による判定結果を表示する表示部と、を備え、
前記判定部は、
前記配管位置情報と当該配管位置情報に対応する前記設置位置情報を照合して前記配管の位置合わせ作業が完了しているか否かの判
定を行う、配管設置管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記読取部により読み取られた前記配管識別情報に基づいて、前記配管の受入作業が完了しているか否かを判定可能になっており、
前記判定部は、受入作業予定の前記配管の受入識別情報を有し、
前記判定部は、受入作業完了の判定時、前記配管識別情報と前記受入識別情報とを照合し、前記受入識別情報に対応する前記配管識別情報を前記読取部から得た場合に受入作業完了と判定する、請求項1に記載の配管設置管理システム。
【請求項3】
前記無線ICタグは、
前記配管に固定されて前記配管の位置を検出する位置センサから、対応する前記配管
の配管位置情報を取得可能になってい
る、請求項1または2に記載の配管設置管理システム。
【請求項4】
前記判定部は、位置合わせ作業完了と判定した場合、予め設定されていたスケジュールに基づいて、配管設置工事の進捗状況を確認し、
前記表示部は、前記判定部による進捗状況の確認結果を表示する、請求項3に記載の配管設置管理システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記配管毎に位置合わせ作業が完了しているか否かを判定し、
前記表示部は、前記配管毎に前記判定部による判定結果を表示する、請求項3または4に記載の配管設置管理システム。
【請求項6】
前記無線ICタグは、対応する前記配管内を流れる流体の物理量を示す物理量情報を取得する物理量センサを含み、
前記読取部は、前記無線ICタグから前記物理量情報を読み取り可能になっており、
前記表示部は、前記物理量情報に基づいて前記流体の物理量を表示する、請求項1~5のいずれか一項に記載の配管設置管理システム。
【請求項7】
前記無線ICタグは、対応する前記配管内を流れる流体の物理量を示す物理量情報を取得する物理量センサを含み、
前記読取部は、前記無線ICタグから前記物理量情報を読み取り可能になっており、
前記判定部は、前記読取部により読み取られた前記物理量情報に基づいて、動作確認時に前記配管内を流れる流体の物理量が正常であるか否かを判定可能になっており、
前記判定部は、前記流体の目標物理量を示す目標物理量情報を有し、
前記判定部は、前記物理量が正常であるか否かの判定時、前記物理量情報に基づく前記流体の前記物理量と、前記目標物理量情報に基づく目標物理量との差が所定の閾値以下である場合に正常と判定する、請求項2~5のいずれか一項に記載の配管設置管理システム。
【請求項8】
前記物理量は、圧力値、流量値および温度値の少なくとも1つを含む、請求項6または7に記載の配管設置管理システム。
【請求項9】
前記位置センサは、GPSを構成する人工衛星から発信される電波を受信して前記配管の前記配管位置情報を得る、請求項3~5のいずれか一項に記載の配管設置管理システム。
【請求項10】
複数の配管を設置する配管設置工事を管理するための配管設置管理方法であって、
各々の前記配管に固定され
た無線ICタグであって、前記配管の配管識別情報を有するとともに、前記配管の位置を示す配管位置情報を取得した無線ICタグから、対応する前記配管の
前記配管識別情報
および前記配管位置情報を読み取る読取工程と、
前記読取工程において読み取られた前記配管識別情報
および配管位置情報に基づいた判定を行う判定工程と、
前記判定工程における判定結果を表示する表示工程と、を備え、
前記判定工程において、
前記配管位置情報と、各々の前記配管の設置位置を示す複数の設置位置情報のうち当該配管位置情報に対応する前記設置位置情報を照合して前記配管の位置合わせ作業が完了しているか否かの判
定が行われる、配管設置管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、配管設置管理システムおよび配管設置管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所の建設工事は、多くのオペレータによる作業に依存しており、労働集約型産業の代表例となっている。例えば、工程管理のために、オペレータが配管などの物品の確認作業を行い、その結果をシステムに入力している。人間系での作業になるため、入力データの信頼性にばらつきがあるという問題がある。その作業の労務コストも問題になる。
【0003】
発電所の建設工事は、多様な工程が同時進行しており、特に配管設置工事は、数万点に及ぶ部品、数百人にわたる作業員が動員されて行われる。配管設置工事は、建設工事全体の工程に影響を及ぼし得るため、配管設置工事を効率よく行うことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-283776号公報
【文献】実用新案登録第3134271号公報
【文献】特開2006-207183号公報
【文献】特開2009-064282号公報
【文献】特開2006-234349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、配管設置工事の作業効率を向上させることができる配管設置管理システムおよび配管設置管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態による配管設置管理システムは、複数の配管を設置する配管設置工事を管理するためのシステムである。配管設置管理システムは、各々の配管に固定され、対応する配管の配管識別情報を有する無線ICタグと、無線ICタグから配管識別情報を読み取る読取部と、読取部により読み取られた配管識別情報に基づいた判定を行う判定部と、判定部による判定結果を表示する表示部と、を備えている。判定部は、配管の受入作業が完了しているか否かの判定、および配管の位置合わせ作業が完了しているか否かの判定のうちの少なくとも一方の判定を行う。
【0007】
また、実施の形態による配管設置管理方法は、複数の配管を設置する配管設置工事を管理するための方法である。配管設置管理方法は、各々の配管に固定された無線ICタグから、対応する配管の配管識別情報を読み取る読取工程と、読取工程において読み取られた配管識別情報に基づいた判定を行う判定工程と、判定工程における判定結果を表示する表示工程と、を備えている。判定工程において、配管の受入作業が完了しているか否かの判定、および配管の位置合わせ作業が完了しているか否かの判定のうちの少なくとも一方の判定が行われる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配管設置工事の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施の形態による配管設置管理システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態による配管設置管理システムおよび配管設置管理方法が適用される配管設置工事の全体概略工程を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2の受入工程を説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、
図2の吊り込み工程および位置合わせ工程を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、
図2の耐圧工程および系統試運転工程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における配管設置管理システムおよび配管設置管理方法について説明する。
【0011】
図1を用いて、本実施の形態による配管設置管理システムおよび配管設置管理方法について説明する。配管設置管理システムおよび配管設置管理方法は、複数の配管を設置するための配管設置工事を管理するためのシステムおよび方法である。
【0012】
まず、
図1を用いて、本実施の形態による配管設置管理システム10について説明する。
図1に示す配管設置管理システム10は、
図2に示すような工程を有する配管設置工事を管理するためのシステムである。
【0013】
図1に示すように、配管設置管理システム10は、無線ICタグ20と、読取部30と、判定部40と、表示部50と、記録部60と、を備えている。
【0014】
無線ICタグ20は、
図3等に示すように、各々の配管1に固定されている。無線ICタグ20を配管1に固定する態様は任意である。例えば、無線ICタグ20は、配管1の外面に固定されていてもよく、配管1の内面に固定されていてもよい。あるいは、無線ICタグ20は、配管1に形成された凹部に収容してもよく、もしくは、配管1に埋め込まれてもよい。各配管1に固定される無線ICタグ20の個数は、1つであってもよい。
【0015】
無線ICタグ20は、対応する配管1に関連づけられた配管識別情報を有している。より具体的には、無線ICタグ20は、図示しないが、配管識別情報を記録するICチップと、アンテナと、を含んでいる。配管識別情報は、配管を識別するための情報であって、各々の配管1に予め個別に割り当てられている。配管識別情報は、例えば、配管識別番号を含んでいてもよい。配管識別情報は、スプール情報とも称される。スプール情報とは、他の配管1と接続される前の個々の配管1を識別するための情報(例えば、識別番号)を意味している。
【0016】
無線ICタグ20は、配管1の位置を示す配管位置情報を取得するように構成されている。例えば、
図1に示すように、各々の配管1に、位置検出端末21(位置センサ)が固定されていてもよい。位置検出端末21は、GPS(Global positioning system)を構成する人工衛星から発信される電波2を受信し、これにより、配管1の位置(より詳細には、位置検出端末21の位置)が検出可能になっている。位置検出端末21により検出された配管位置情報は、無線ICタグ20のICチップに記録される。記録された配管位置情報は、上述した配管識別情報とともに読取部30で読み取り可能になっている。
【0017】
図1に示すように、無線ICタグ20は、配管1内を流れる流体3(
図5参照)の物理量を示す物理量情報を取得する物理量センサ22を含んでいてもよい。例えば、物理量センサ22は、物理量を計測するように構成されており、無線ICタグ20のICチップに、接続されていてもよい。物理量の例としては、圧力値、流量値および温度値などが挙げられる。物理量センサ22は、配管1の内面に配置されていてもよい。無線ICタグ20が物理量センサ22を含む場合には、無線ICタグ20は、配管1の内面に固定されていてもよい。本実施の形態においては、物理量センサ22は、圧力センサと、流量センサと、温度センサと、を含んでいる。圧力センサは、配管1内を流れる流体3の圧力値を計測し、計測された圧力値を示す圧力情報は、ICチップに記録される。流量センサは、配管1内を流れる流体3の流量値を計測し、計測された流量値を示す流量情報は、ICチップに記録される。温度センサは、配管1内を流れる流体3の温度値を計測し、計測された温度値を示す温度情報は、ICチップに記録される。本実施の形態における無線ICタグ20は、図示しない電池を内蔵したアクティブ式のタグであってもよい。
【0018】
読取部30は、無線ICタグ20から、配管識別情報、配管位置情報および物理量情報を無線で読み取るように構成されている。例えば、読取部30は、電波2を照射して、無線ICタグ20に記録されている各情報を読み取るように構成されていてもよい。読取部30は、
図3に示す携帯型読取装置31を含んでいてもよく、
図4および
図5に示す定置型読取装置32を含んでいてもよい。本実施の形態においては、読取部30は、携帯型読取装置31と、定置型読取装置32と、を含んでいる例について説明する。携帯型読取装置31は、オペレータ4(
図3参照)が携帯することができる読取装置であり、後述する受入工程において用いられてもよい。定置型読取装置32は、所定の位置に設置されている読取装置であり、後述する位置合わせ工程、耐圧工程および系統試運転工程において用いられてもよい。携帯型読取装置31および定置型読取装置32は、電波2を照射して、無線ICタグ20から各情報を読み取るように構成されている。
【0019】
図1に示すように、読取部30は、通信機能を有していてもよい。このことにより、読取部30は、読み取られた配管識別情報、配管位置情報および物理量情報を判定部40に送信することができる。より具体的には、上述した携帯型読取装置31は、例えば、通信機能を有する携帯端末で構成されていてもよい。携帯型読取装置31により読み取られた各種情報は、インターネット5を介して判定部40に送信される。上述した定置型読取装置32も同様に、通信機能を有していてもよい。定置型読取装置32により読み取られた各種情報は、インターネット5を介して判定部40に送信される。インターネット5への接続には、VPN(Virtual Private Network)接続が用いられてもよい。
【0020】
判定部40は、読取部30により読み取られた配管識別情報、配管位置情報および物理量情報に基づいた判定を行うように構成されている。判定部40は、配管1の受入作業が完了している否かの判定、および配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かの判定のうちの少なくとも一方の判定を行うように構成されている。本実施の形態による判定部40は、配管1の受入作業が完了しているか否かの判定、および配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かの両方の判定を行う。判定部40には、読取部30から、配管識別情報、配管位置情報および物理量情報が送信される。判定部40は、ここで説明する判定機能を有する装置として構成されていてもよい。例えば、判定部40は、コンピュータまたはサーバなどにより構成されていてもよい。
【0021】
判定部40は、読取部30により読み取られた配管識別情報に基づいて、配管1の受入作業が完了しているか否かを判定可能になっている。より具体的には、判定部40は、受入作業予定の配管1の受入識別情報を有していてもよい。受入識別情報は、配管1の製作者から得る識別情報であってもよい。例えば、配管1の製作者が保有する製作管理システムから、製作された配管1の識別情報が判定部40に送信され、受入識別情報として記録される。受入識別情報は、受け入れる配管1の配管識別情報であるが、説明を明瞭にするために、無線ICタグ20に記録されている配管識別情報とは異なる用語を用いている。判定部40は、配管1の受入作業完了の判定時、配管識別情報と受入識別情報とを照合し、受入識別情報に対応する配管識別情報を読取部30から得た場合に、受入作業完了と判定する。
【0022】
判定部40は、読取部30により読み取られた配管識別情報および配管位置情報に基づいて、配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かを判定可能になっている。より具体的には、判定部40は、位置合わせ作業予定の各々の配管1の設置位置を示す複数の設置位置情報を有していてもよい。設置位置情報は、後述する設計工程において作成されたCADデータデータに基づく情報であってもよい。設置位置情報は、配管1毎に設定されており、CADデータ内の設計識別情報に関連づけられている。設計識別情報は、配管1の設計時にCADデータとして記録される配管の識別情報である。設計識別情報は、設計時の配管1の配管識別情報であるが、説明を明瞭にするために、無線ICタグ20に記録されている配管識別情報とは異なる用語を用いている。判定部40は、位置合わせ作業完了の判定時、配管1の配管位置情報と、当該配管位置情報に対応する設置位置情報とを照合し、作業予定の各々の配管1が設置位置に位置づけられている場合に位置合わせ作業完了と判定する。この際、判定部40は、配管位置情報と、この配管位置情報に関連づけられた配管識別情報と同じ設計識別情報に関連づけられた設置位置情報を照合する。位置合わせされた配管1の全ては、対応する設置位置情報で示される設置位置に配置される。
【0023】
判定部40は、位置合わせ作業完了と判定した場合に、予め設定されていたスケジュールに基づいて、配管設置工事の進捗状況を確認するように構成されていてもよい。進捗状況の確認結果は、表示部50に表示されてもよい。
【0024】
判定部40は、配管1毎に位置合わせ作業完了の判定を行ってもよい。この場合、位置合わせ作業予定の配管1の少なくとも1つの位置合わせ作業が完了した場合に、当該配管1の位置合わせ作業が完了したと判定してもよい。例えば、位置合わせ作業予定の配管1の一部が位置合わせ作業完了した場合に、これらの配管1の位置合わせ作業が完了したと判定し、残りの配管1の位置合わせ作業は完了していないと判定してもよい。このようにして判定された結果は、表示部50に表示されてもよい。
【0025】
判定部40は、読取部30により読み取られた物理量情報に基づいて、動作確認時に配管1内を流れる流体の物理量が正常であるか否かを判定可能になっていてもよい。より具体的には、判定部40は、配管1内を流れる流体3の目標物理量を示す目標物理量情報を有していてもよい。判定部40は、物理量が正常であるか否かの判定時、物理量情報に基づく流体3の物理量と、目標物理量情報に基づく目標物理量との差を算出し、この差が閾値以下であるか否かを判定し、差が閾値以下である場合に正常と判定する。動作確認の例としては、例えば、後述する耐圧工程における圧力値の確認、および系統試運転工程における流量値の確認および温度値の確認が挙げられる。耐圧工程において、物理量が正常であるか否かの判定として、圧力が正常であるか否かの判定が行われてもよい。系統試運転工程において、物理量が正常であるか否かの判定として、流量が正常であるか否かの判定と温度が正常であるか否かの判定とが行われてもよい。
【0026】
例えば、後述する耐圧工程においては、判定部40は、物理量情報の一例としての圧力情報に基づく流体3の圧力値と、目標物理量情報の一例としての目標圧力情報に基づく目標圧力値との差を算出し、この差が閾値以下であるか否かを判定する。この差が、閾値以下である場合に、圧力は正常であると判定する。例えば、後述する系統試運転工程においては、判定部40は、物理量情報の一例としての流量情報に基づく流体3の流量値と、目標物理量情報の一例としての目標流量情報に基づく目標流量値との差を算出し、この差が閾値以下であるか否かを判定する。この差が閾値以下である場合に、流量は正常であると判定する。例えば、系統試運転工程においては、判定部40は、物理量情報の一例としての温度情報に基づく流体3の温度値と、目標物理量情報の一例としての目標温度情報に基づく目標温度値との差を算出し、この差が閾値以下であるか否かを判定する。この差が閾値以下である場合に、温度は正常と判定する。
【0027】
表示部50は、判定部40による判定結果を表示する。表示部50は、ここで説明する表示機能を有する装置として構成されていてもよい。例えば、表示部50は、ディスプレイにより構成されていてもよい。
【0028】
より具体的には、表示部50は、受入工程において、判定部40が受入作業完了と判定した場合に、受入作業が完了したことを表示する。表示部50は、位置合わせ工程において、判定部40が位置合わせ作業完了と判定した場合に、位置合わせ作業が完了したことを表示する。表示部50は、判定部40が配管1毎に位置合わせ作業完了の判定を行う場合には、配管1毎に判定部40による判定結果を表示してもよい。
【0029】
表示部50は、物理量情報に基づいて、配管1内を流れる流体3の物理量を表示するようにしてもよい。例えば、表示部50は、圧力情報に基づいて圧力値を表示してもよく、流量情報に基づいて流量値を表示してもよく、温度情報に基づいて温度値を表示してもよい。また、表示部50は、流体3の物理量の判定結果を表示してもよい。例えば、表示部50は、判定部40が流体3の圧力は正常であると判定した場合に、圧力は正常であると表示してもよい。表示部50は、判定部40が流体3の流量は正常であると判定した場合に、流量は正常であると表示してもよく、判定部40が流体3の温度は正常であると判定した場合に、温度は正常であると表示してもよい。
【0030】
記録部60は、判定部40による判定結果を記録してもよい。記録部60は、ここで説明する記録機能を有する装置として構成されていてもよい。例えば、記録部60は、メモリまたはハードディスクなどにより構成されていてもよい。
【0031】
記録部60は、判定部40による判定結果を記録する。より具体的には、記録部60は、判定部40が作業完了と判定した場合に、作業完了を記録する。例えば、受入工程において、判定部40が受入作業完了と判定した場合に、受入作業が完了したことを記録し、位置合わせ工程において、判定部40が位置合わせ作業完了と判定した場合に、位置合わせ作業が完了したことを記録する。記録部60は、判定部40が配管1毎に作業完了の判定を行う場合には、配管1毎に判定部40による判定結果を記録してもよい。
【0032】
記録部60は、物理量情報に基づいて、配管1内を流れる流体3の物理量を記録するようにしてもよい。例えば、記録部60は、圧力情報に基づいて圧力値を記録してもよく、流量情報に基づいて流量値を記録してもよく、温度情報に基づいて温度値を記録してもよい。また、記録部60は、流体3の物理量の判定結果を記録してもよい。例えば、記録部60は、判定部40が流体3の圧力は正常であると判定した場合に、圧力は正常であることを記録してもよい。記録部60は、判定部40が流体3の流量は正常であると判定した場合に、流量は正常であることを記録してもよく、判定部40が流体3の温度は正常であると判定した場合に、温度は正常であると記録してもよい。
【0033】
次に、本実施の形態による配管設置管理方法について
図2~
図5を用いて説明する。本実施の形態による配管設置管理方法は、
図2に示す配管設置工事のいくつかの工程で用いられてもよい。
【0034】
図2に示すように、配管設置工事は、設計工程と、製作工程と、受入工程と、保管工程と、吊り込み工程と、位置合わせ工程と、接続工程と、進捗管理工程と、耐圧工程と、系統試運転工程と、を備えている。
【0035】
<<設計工程>>
設計工程においては、設置される複数の配管1の設計が行われる。配管1の設計により決定された各々の配管1の設置位置は、CADデータとして記録される。CADデータとして記録された各々の設置位置は、後述する位置合わせ工程において設置位置情報として用いられる。設置される各々の配管1には、設計時に識別番号が割り当てられてもよい。識別番号は、設計識別情報として、設置位置情報と関連づけられる。なお、各配管1への無線ICタグ20の固定位置が設計時に決定されてもよい。設置位置は、後述する位置検出端末21が固定される位置としてもよい。
【0036】
<<製作工程>>
製作工程においては、設計工程において設計された配管1の製作が行われる。製作工程において、無線ICタグ20が各々の配管1に固定されてもよい。無線ICタグ20は、設計時に決定された固定位置に固定されてもよい。無線ICタグ20には、対応する配管1に割り当てられた識別番号が、配管識別情報として記録される。各々の配管1に、上述した位置検出端末21および物理量センサ22が無線ICタグ20とともに固定されてもよい。
【0037】
<<受入工程>>
受入工程においては、
図3に示すように、製作された配管1の受入作業が行われる。配管1は、所望の受入エリアに位置づけられてもよく、受入対象の配管1は、分散して配置されていてもよい。受入工程においては、上述した配管設置管理システム10を用いて受入作業の管理が行われてもよい。この場合、受入工程は、読取工程と、判定工程と、表示工程と、を有していてもよい。配管設置管理システム10は、製作工程の完了を確認したオペレータ4からの入力により、配管設置工事が受入工程に進んだことを認識してもよい。
【0038】
<読取工程>
読取工程においては、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、配管1の配管識別情報が読み取られる。例えば、オペレータ4が、携帯型読取装置31を携帯して、受入対象の配管1が置かれた位置に出向く。その位置において、携帯型読取装置31から電波2が照射される。このことにより、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、配管識別情報が読み取られる。読み取られた配管識別情報は、インターネット5を介して判定部40に送信される。なお、受入工程の読取工程においては、無線ICタグ20から配管位置情報も読み取られて、判定部40に送信されてもよい。
【0039】
<判定工程>
判定工程において、読み取られた配管識別情報に基づいて、配管1の受入作業が完了しているか否かが判定される。より具体的には、判定部40には、受入作業予定の各々の配管1の受入識別情報が、予め、配管の製作者から送信されて記録されている。各々の受入識別情報は、上述した識別番号である。判定部40は、各々の配管1の配管識別情報と受入識別情報とを照合し、受入識別情報に対応する配管識別情報を携帯型読取装置31から読み取られているか否かを判定する。受入識別情報に対応する配管識別情報が携帯型読取装置31から読み取られている場合に、受入予定の配管1の全てが受け入れられていることから、受入作業完了と判定する。
【0040】
<表示工程>
表示工程において、判定工程における判定結果が表示される。より具体的には、判定工程において受入作業完了と判定された場合、受入作業完了と表示される。
【0041】
このようにして、受入工程が完了する。受入作業完了の表示を確認したオペレータ4により、次の保管工程が開始される。なお、受入作業完了の確認は、配管1毎に行ってもよい。この場合、表示部50に、配管1毎の判定結果が表示されてもよい。
【0042】
<<保管工程>>
保管工程においては、受入作業完了を確認した配管1が、次の吊り込み工程が始まるまで、所定の保管エリアで保管される。保管工程においては、上述した配管設置管理システム10を用いて保管の管理が行われてもよい。配管設置管理システム10は、受入作業完了の表示を確認したオペレータ4からの入力により、配管設置工事が保管工程に進んだことを認識してもよい。保管工程においては、例えば、配管1が、保管エリアに保管され続けているか否かを確認してもよい。この場合、上述の受入工程における読取工程、判定工程および表示工程を実施してもよい。
【0043】
保管工程の読取工程においては、読取部30は、無線ICタグ20から、配管1の配管識別情報と、配管1の配管位置情報を読み取る。判定工程においては、読み取られた配管識別情報および配管位置情報に基づいて、配管1が保管エリアに保管されているか否かが判定される。より具体的には、判定部40には、配管1の保管エリアを示す保管エリア情報が予め記録されている。上述した受入識別情報に対応する配管1が、配管位置情報に基づいて保管エリアに位置しているか否かを確認する。各々の配管1は、保管エリアに配置されていれば、保管エリア内の任意の位置に配置されていてもよい。
【0044】
<<吊り込み工程>>
吊り込み工程においては、
図4に示すように、保管エリアに保管されていた配管1を、設置位置に移動させる。配管1を建屋内に設置する場合、配管1は、建屋の鉄骨6からワイヤーなどの吊り具7によって吊り下げられる。
【0045】
<<位置合わせ工程>>
位置合わせ工程においては、
図4に示すように、吊り下げられた各々の配管1の位置合わせ作業が行われる。各々の配管1は、所望の設置位置に位置づけられる。位置合わせ工程においては、上述した配管設置管理システム10を用いて位置合わせ作業の管理が行われてもよい。この場合、位置合わせ工程は、読取工程と、判定工程と、表示工程と、を有していてもよい。配管設置管理システム10は、吊り込み工程の完了を確認したオペレータ4からの入力により、配管設置工事が位置合わせ工程に進んだことを認識してもよい。
【0046】
<読取工程>
読取工程においては、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、配管1の配管識別情報と、配管1の配管位置情報が読み取られる。例えば、設置位置の近傍に予め設置された定置型読取装置32から電波2が照射される。
図4においては、複数台の定置型読取装置32を用いている例が示されているが、定置型読取装置32の設置台数は1台であってもよく、定置型読取装置32の読取可能範囲に応じて任意に設定できる。このことにより、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、配管識別情報および配管位置情報が読み取られる。読み取られた配管識別情報および配管位置情報は、インターネット5を介して判定部40に送信される。
【0047】
<判定工程>
判定工程において、読み取られた配管識別情報および配管位置情報に基づいて、配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かが判定される。より具体的には、判定部40には、各々の配管1の設置位置を示す設置位置情報が、予め、上述したCADシステムから送信されて、設計識別情報と関連づけられて記録されている。判定部40は、各々の配管1の配管位置情報と、配管位置情報に対応する設置位置情報とを照合し、各々の配管1が設置位置に位置づけられているか否かを判定する。この際、判定部40は、配管位置情報と、この配管位置情報に関連付けられた配管識別情報と同じ設計識別情報に関連づけられた設置位置情報を照合する。そして、判定部40は、位置合わせ作業予定の配管1が設置位置に位置づけられている場合に、位置合わせ作業完了と判定する。この場合、位置合わせ作業予定の全ての配管1が、対応する設置位置に位置している。
【0048】
<表示工程>
表示工程において、判定工程における判定結果が表示される。より具体的には、判定工程において位置合わせ作業完了と判定された場合に、位置合わせ作業完了と表示される。
【0049】
このようにして、位置合わせ工程が完了する。位置合わせ作業完了の表示を確認したオペレータ4により、次の接続工程が開始される。なお、位置合わせ工程における配管1の位置の確認は、配管1毎に行ってもよい。この場合、表示部50に、配管1毎の判定結果が表示されてもよい。
【0050】
<<接続工程>>
接続工程においては、隣り合う配管1が接続される。また、各々の配管1が、建屋の鉄骨6に固定される。
【0051】
<<進捗状況確認工程>>
進捗状況確認工程においては、予め設定されていたスケジュールに基づいて、配管設置工事の進捗状況が確認される。進捗状況の確認結果は、表示部50に表示される。
【0052】
進捗状況確認工程においては、上述した配管設置管理システム10を用いて進捗状況の管理が行われてもよい。配管設置管理システム10は、接続工程の完了を確認したオペレータ4からの入力により、配管設置工事が進捗状況確認工程に進んだことを認識してもよい。例えば、判定部40は、位置合わせ作業完了と判定した場合に、スケジュールで設定されていた位置合わせ作業完了の時期と、上述した位置合わせ工程において位置合わせ作業が完了したと判定された時期との差を算出してもよい。このことにより、配管設置工事の進捗が、当初のスケジュールに対して遅れているか、または早まっているかを確認することができる。算出された時期の差に応じて、遅れの度合いまたは早まっている度合いを確認することもできる。進捗状況の確認結果に応じて、以下の耐圧工程の実施時期を調整してもよい。進捗状況確認工程は、接続工程の前に行われてもよく、接続工程と並行して行われてもよい。
【0053】
<<耐圧工程>>
耐圧工程においては、
図5に示すように、配管1内に流体3を流して、配管1の耐圧確認が行われる。流体3の圧力を確認することにより、流体3の漏洩の有無が確認される。流体3は、運転時および試運転時に配管1内に流す流体3と同じ流体3であってもよい。流体3は、冷却水、高温水、蒸気、冷却空気など、配管1内を流れることができれば任意である。耐圧工程においては、上述した配管設置管理システム10を用いて耐圧確認が行われてもよい。この場合、耐圧工程は、読取工程と、判定工程と、表示工程と、を有していてもよい。配管設置管理システム10は、進捗状況の確認結果の表示を確認したオペレータ4からの入力により、配管設置工事が耐圧工程に進んだことを認識してもよい。耐圧工程は、読取工程の前に、オペレータ4により配管1内に流体3を流すことにより開始される。
【0054】
<読取工程>
読取工程においては、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、配管1の配管識別情報と、圧力情報が読み取られる。例えば、上述した定置型読取装置32から電波2が照射される。このことにより、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、圧力情報が読み取られる。読み取られた配管識別情報および圧力情報は、インターネット5を介して判定部40に送信される。なお、耐圧工程の読取工程においては、無線ICタグ20から配管識別情報も読み取られて、判定部40に送信されてもよい。
【0055】
<判定工程>
判定工程において、読み取られた配管識別情報および圧力情報に基づいて、各々の配管1内を流れる流体3の圧力が正常であるか否かが判定される。より具体的には、判定部40には、流体3の目標圧力値を示す目標圧力情報が予め記録されている。目標圧力値は、各々の配管1に共通になっている。判定部40は、各々の配管1の圧力情報に基づく圧力値と、目標圧力情報に基づく目標圧力との差を算出し、この差が所望の閾値以下であるか否かを判定する。そして、判定部40は、流体3の圧力値と目標圧力値との差が閾値以下である場合に、流体3の圧力は正常であると判定する。
【0056】
<表示工程>
表示工程において、判定工程における判定結果が表示される。より具体的には、判定工程において流体3の圧力は正常であると判定された場合に、圧力は正常であると表示される。また、表示部50に、判定部40に送信された圧力情報に基づいて、配管1毎に圧力値が表示されるようにしてもよい。なお、表示部50に表示される圧力値は、全ての配管1の圧力値を表示しなくてもよい。
【0057】
耐圧工程は、所定時間、配管1に流体3の圧力を付加した後、完了する。耐圧工程が完了した後、オペレータ4により次の系統試運転工程が開始される。
【0058】
<<系統試運転工程>>
系統試運転工程においては、
図5に示すように、配管1内に流体3を流して、配管1が設置された系統の試運転を行う。この際、配管1内を流れる流体3の流量および温度が確認される。系統試運転工程においては、上述した配管設置管理システム10を用いて系統試運転が行われてもよい。この場合、系統試運転工程は、読取工程と、判定工程と、表示工程と、を有していてもよい。配管設置管理システム10は、耐圧工程の判定結果の表示を確認したオペレータ4からの入力により、配管設置工事が系統試運転工程に進んだことを認識してもよい。系統試運転工程は、読取工程の前に、オペレータ4により配管1内に流体3を流すことにより開始される。
【0059】
<読取工程>
読取工程においては、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、配管1の配管識別情報と、流量情報と、温度情報が読み取られる。例えば、上述した定置型読取装置32から電波2が照射される。このことにより、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、識別情報、流量情報および温度情報が読み取られる。読み取られた識別情報、流量情報および温度情報は、インターネット5を介して判定部40に送信される。
【0060】
<判定工程>
判定工程において、読み取られた配管識別情報、流量情報および圧力情報に基づいて、各々の配管1内を流れる流体3の流量値および温度値が正常であるか否かが判定される。より具体的には、判定部40には、流体3の目標流量値を示す目標流量情報と、目標温度値を示す目標温度情報が予め記録されている。目標流量値および目標温度値は、各々の配管1に共通になっている。判定部40は、各々の配管1の流量情報に基づく流量値と、目標流量情報に基づく目標流量値との差を算出し、この差が、所望の閾値以下であるか否かを判定する。そして、判定部40は、流体3の流量値と目標流量値との差が閾値以下である場合に、流体3の流量は正常であると判定する。同様にして、判定部40は、各々の配管1の温度情報に基づく温度値と、目標温度情報に基づく目標温度との差を算出し、この差が、所望の閾値以下であるか否かを判定する。そして、判定部40は、流体3の温度と目標温度との差が閾値以下である場合に、流体3の温度は正常であると判定する。
【0061】
<表示工程>
表示工程において、判定工程における判定結果が表示される。より具体的には、判定工程において流体3の流量は正常であると判定された場合に、流量は正常であると表示される。判定工程において流体3の温度は正常であると判定された場合に、温度は正常であると表示される。また、表示部50に、判定部40に送信された流量情報に基づいて、配管1毎に流量値が表示されるようにしてもよい。表示部50に、判定部40に送信された温度情報に基づいて、配管1毎に温度値が表示されるようにしてもよい。なお、表示部50に表示される流量値および温度値は、全ての配管1ではなく、代表的な1つ以上の配管1についての値であってもよい。
【0062】
試運転工程は、所定時間、系統の試運転を継続した後、完了する。
【0063】
以上により、配管設置工事が完了する。
【0064】
このように本実施の形態によれば、各々の配管1に固定された無線ICタグ20から、読取部30により配管識別情報が読み取られる。この配管識別情報に基づいて、判定部40は、配管1の受入作業が完了しているか否かの判定、および配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かの判定のうちの少なくとも1つの判定を行う。判定結果は表示部50に表示される。このことにより、配管設置工事における作業の確認を容易化させることができる。このため、配管設置工事の作業効率を向上させることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、判定部40は、受入作業完了の判定時、配管識別情報と受入識別情報とを照合し、受入識別情報に対応する配管識別情報を読取部30から得た場合に受入作業完了と判定する。このことにより、受入対象の配管1が受け入れられたか否かを容易に確認することができる。このため、オペレータ4による個々の配管1の照合作業を不要とすることができ、作業工数を低減することができる。また、オペレータ4による照合作業ではなく、判定部40による照合作業となるため、照合精度を向上させることができる。この結果、配管設置工事の作業効率を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、無線ICタグ20は、配管1の位置を示す配管位置情報を取得可能になっており、判定部40は、位置合わせ作業完了の判定時、配管位置情報と、配管位置情報に対応する設置位置情報とを照合し、各々の配管1が設置位置に位置づけられている場合に位置合わせ作業完了と判定する。このことにより、各々の配管1が、設置位置に位置づけられているか否かを容易に判定することができる。このため、オペレータ4による位置合わせされた配管1の照合作業を不要とすることができるとともに、照合精度を向上させることができる。この結果、配管位置合わせ作業の効率を向上させることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、判定部40は、位置合わせ作業完了と判定した場合、予め設定されていたスケジュールに基づいて、配管設置工事の進捗状況を確認する。進捗状況の確認結果は、表示部50に表示される。このことにより、配管設置工事の進捗が、当初のスケジュールに対して遅れているか、または早まっているかを、オペレータ4は容易に確認することができる。このため、この後の工程の実施時期を容易に調整することができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、判定部40は、配管1毎に位置合わせ作業が完了しているか否かを判定してもよく、表示部50は、配管1毎に判定部40による判定結果を表示してもよい。この場合、配管1毎に作業の進捗を確認することができ、作業の進捗度合いを容易に確認することができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、無線ICタグ20は、配管1内を流れる流体3の物理量を示す物理量情報を取得する物理量センサ22を含み、読取部30により読み取られた物理量情報に基づいて、表示部50に流体3の物理量が表示される。このことにより、配管1内に流体3を流した場合に、流体3の物理量を容易に確認することができる。このため、設置した配管1に不具合があるか否かを容易に確認することができる。また、流体3の物理量を取得するための計測器を、別途配管1に取り付けることを不要にできる。このため、配管1内に流した流体3の物理量の確認の作業工数を低減することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、判定部40は、読取部30により読み取られた物理量情報に基づく流体3の物理量と、目標物理量情報に基づく流体3の目標物理量との差が所定の閾値以下である場合に、正常と判定する。このことにより、配管1内に流体3を流した場合の不具合の有無を容易に確認することができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、物理量は、圧力値、流量値および温度値の少なくとも1つを含む。このことにより、物理量が圧力値を含む場合には、耐圧工程において、配管1に圧力計を取り付けることを不要にできる。また、配管1内を流れる流体3の圧力を確認することができ、流体3の漏洩の有無を容易に確認することができる。物理量が流量値を含む場合には、系統試運転工程において、配管1に流量計を取り付けることを不要にできる。物理量が温度値を含む場合には、系統試運転工程において、配管1に温度計を取り付け得ることを不要にできる。
【0072】
なお、上述した本実施の形態においては、判定部40が、配管1の受入作業が完了しているか否かの判定および配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かの両方の判定を行う例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、判定部40は、配管1の受入作業が完了しているか否かの判定および配管1の位置合わせ作業が完了しているか否かの判定のうちの一方のみの判定を行い、他方の判定は行わなくてもよい。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1:配管、3:流体、10:配管設置管理システム、20:無線ICタグ、22:物理量センサ、30:読取部、40:判定部、50:表示部、