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特許7311603重ランタンフリントガラス、そのプリフォーム、光学素子、及び光学機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】重ランタンフリントガラス、そのプリフォーム、光学素子、及び光学機器
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/068 20060101AFI20230711BHJP
   C03C 3/062 20060101ALI20230711BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C03C3/068
C03C3/062
G02B1/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021532249
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 CN2019119809
(87)【国際公開番号】W WO2020114255
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】201811493174.0
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511111585
【氏名又は名称】シーディージーエム グラス カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.359, Sec.3, Chenglong Avenue, LongQuan YI District Chengdu, Sichuan 610100 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】クゥァン ブォ
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-50048(JP,A)
【文献】特開2018-90474(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108249755(CN,A)
【文献】特開2018-203605(JP,A)
【文献】特開昭62-132741(JP,A)
【文献】特開2003-21701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、12~30%のSiOと、10~25%のLnと、前記LnがLa、Gd、Y、及びYbの合計含有量であり、10.5~40%のTiO+Nb+WO+Biと、0~10%のBと、20~35%のROと、前記ROがBaO、CaO、MgO、及びSrOの1つ以上であり、0.5~10%のZrOとを含有しており、(SiO+TiO)/(B+Nb)が1~30であり、B/TiOが0より大きいが0.10以下であることを特徴とする重ランタンフリントガラス。
【請求項2】
さらに重量%で、0~8%のRnOと、前記RnOがLiO、NaO、及びKOの1つ以上であり、0~1%のSbと、0~7%のZnOと、0~10%のTaと、0~10%のAlとをさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項3】
重量%で、12~30%のSiOと、10~25%のLnと、前記LnがLa、Gd、Y、及びYbの合計含有量であり、10.5~40%のTiO+Nb+WO+Biと、20~35%のROと、前記ROがBaO、CaO、MgO、及びSrOの1つ以上であり、0.5~10%のZrOと、0~10%のBと、0~8%のRnOと、前記RnOがLiO、NaO、及びKOの1つ以上であり、0~1%のSbと、0~7%のZnOと、0~10%のTaと、0~10%のAlとを含有しており、(SiO+TiO)/(B+Nb)が1~30であり、B/TiOが0より大きいが0.10以下であることを特徴とする重ランタンフリントガラス。
【請求項4】
全構成要素の含有量が次の4つの条件を1つ以上満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス、
1)B/TiOが0.02~0.10であり、
2)BaO/Bが0より大きいが70以下であり、
3)(La+TiO+ZrO)/SiOが0.7~6であり、
4)(SiO+La+ZrO)/TiOが0.75~6.5である。
【請求項5】
前記SiOが15~25%、及び/又は前記Lnが12~22%、及び/又は前記TiO+Nb+WO+Biが17~33%、及び/又は前記ROが22~32%、及び/又は前記ZrOが2~8%、及び/又は前記Bが0.5~6%、及び/又は前記RnOが0.5~6%、及び/又は前記Sbが0~0.5%、及び/又は前記ZnOが0~5%、及び/又は前記Taが0~5%、及び/又は前記Alが0~5%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項6】
全構成要素の含有量が次の4つの条件を1つ以上満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス、
1)BaO/Bが3.6~64であり、
2)(La+TiO+ZrO)/SiOが1.2~5であり、
3)(SiO+La+ZrO)/TiOが1.1~3.7であり、
4)(SiO+TiO)/(B+Nb)が2.15~20である。
【請求項7】
前記SiOが18~23%、及び/又は前記Lnが13~18%、及び/又は前記TiO+Nb+WO+Biが22~31%、及び/又は前記ROが23~30%、及び/又は前記ZrOが2~6%、及び/又は前記Bが1~4%、及び/又は前記RnOが1~5%、及び/又は前記Sbが0~0.2%、及び/又は前記ZnOが0~3%であり、及び/又は前記Taが含まれない、及び/又は前記Alが含まれないことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項8】
全構成要素の含有量が次の4つの条件を1つ以上満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス、
1)BaO/Bが5~30であり、
2)(La+TiO+ZrO)/SiOが1.5~4であり、
3)(SiO+La+ZrO)/TiOが1.2~2.0であり、
4)(SiO+TiO)/(B+Nb)が3.36~12.00である。
【請求項9】
前記TiOが10~30%、及び/又は前記Nbが0.5~10%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項10】
前記TiOが19~24%、及び/又は前記Nbが3~7%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項11】
前記Laが10~25%、及び/又は前記BaOが20~35%、及び/又は前記NaOが0~8%であること特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項12】
前記Laが13~18%、及び/又は前記BaOが23~30%、及び/又は前記NaOが1~5%であること特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項13】
前記ガラスのλ70が450nm以下であり、前記λが390nm以下であり、前記ガラスの密度(ρ)が4.5g/cm以下であり、前記ガラスの結晶化温度の上限が1,200℃以下であり、前記ガラスの屈折率温度係数が2.4×10-6/℃以下であり
、前記ガラスの屈折率(nd)が1.86~1.92、アッベ数(vd)が25~30であり、前記ガラスの転化温度(Tg)が720℃以下であり、前記ガラスの耐水性(D)が等級2以上、耐酸性(D)が等級2以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項14】
前記ガラスのλ70が440nm以下であり、前記λが385nm以下であり、前記ガラスの密度(ρ)が4.3g/cm以下であり、前記ガラスの結晶化温度の上限が1,180℃以下であり、前記ガラスの屈折率温度係数が2.3×10-6/℃以下であり、前記ガラスの屈折率(nd)が1.86~1.91、アッベ数(vd)が25~29であり、前記ガラスの転化温度(Tg)が710℃以下であり、前記ガラスの耐水性(D)が等級1、耐酸性(D)が等級1であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項15】
前記ガラスのλ70が430nm以下であり、前記λが380nm以下であり、前記ガラスの密度(ρ)が4.25g/cm以下であり、前記ガラスの屈折率(nd)が1.87~1.90、アッベ数(vd)が26~29であり、前記ガラスの転化温度(Tg)が705℃以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ランタンフリントガラス。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の前記重ランタンフリントガラスから作製されることを特徴とするガラスプリフォーム。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の前記重ランタンフリントガラス又は請求項16に記載の前記ガラスプリフォームから作製されることを特徴とする光学素子。
【請求項18】
請求項17に記載の前記光学素子から作製されることを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスの技術分野に属し、特に重ランタンフリントガラス、そのプリフォーム、光学素子、及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
1.86~1.92の屈折率(nd)及び25~30のアッベ数(vd)を有する重ランタンフリントガラスは、精密光学機器のレンズに広く適用されている。これらの重ランタンフリントガラスは現代の精密圧縮成形技術の要件を満たすことができるが、既存の重ランタンフリントガラスは高い屈折率温度係数を有する。
【0003】
光学ガラスの屈折率は、単位温度によっての屈折率の変化である温度関数、すなわちガラスの屈折率温度係数である。それは、光学ガラスの屈折率に対する温度の影響を測定するための重要な性能パラメータである。温度が上昇すると、ガラスは熱で膨張して密度及び屈折率が減少する。
【0004】
医療、夜間撮影、及び集積回路のフォトエッチングの技術分野で使用される光学機器では、使用時間が経つにつれて光学レンズの周囲温度が連続的に上昇し、ガラスの屈折率も大きく変化し、それによってガラスのイメージング品質は著しく低下し、システム解像度に影響を与える。熱収差補正技術は、通常、構成のために必要とされる。例えば、フォトエッチング機のリソグラフィレンズは、可動レンズと熱収差補正素子との組み合わせにより構成される。しかしながら、これらの高い技術的閾値は、世界では少数の製造業者によってのみ理解され、それによって関連技術の応用及び適用を大幅に制限してしまい、市場競争を形成し、精密機器が高価である状況を打破するには悪影響をもたらす。
【0005】
また、結晶化温度の高い上限、高温処理中の低い安定性、熱処理技術の著しい困難性によって、これらの既存の重ランタンフリントガラスは、その使用範囲に関して制限されている。
【0006】
その上、高密度及び高着色度を有する既存の重ランタンフリントガラスは、軽量かつ小型の機器及び透過率の高い装置に対する人々の要求を満たすことができない。
【0007】
したがって、高い透過率及び撮像品質、優れた屈折率温度係数、結晶化温度の低い上限を有する重ランタンフリントガラスを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の問題に関して、本発明は、ガラスが1.86~1.92の屈折率(nd)及び25~30のアッベ数(vd)を有する重ランタンフリントガラスを提供することを目的としており、そのガラスは、精密機器に要求される光学性能を満たすことができ、優れた耐結晶化性能及び低屈折率温度係数を有し、温度差による熱収差を効果的に減少させることができる。
【0009】
本発明は、さらに重ランタンフリントガラスから作製されたプリフォーム、光学素子、及び光学機器を提供する。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の技術的解決策は以下の通りである。
【0011】
重ランタンフリントガラスは、重量%で、12~30%のSiOと、10~25%のLnと、前記LnがLa、Gd、Y、及びYbの合計含有量であり、10.5~40%のTiO+Nb+WO+Biと、0~10%のBと、20~35%のROと、前記ROがBaO、CaO、MgO、及びSrOの1つ以上であり、0.5~10%のZrOとを含有しており、(SiO+TiO)/(B+Nb)が1~30であり、B /TiO が0より大きいが0.10以下である
【0012】
さらに、前記重ランタンフリントガラスが、重量%で、0~8%のRnOと、前記RnOがLiO、NaO、及びKOの1つ以上であり、0~1%のSbと、0~7%のZnOと、0~10%のTaと、0~10%のAlとを含有する。
【0013】
重ランタンフリントガラスが、重量%で、12~30%のSiOと、10~25%のLnと、前記LnがLa、Gd、Y、及びYbの合計含有量であり、10.5~40%のTiO+Nb+WO+Biと、20~35%のROと、前記ROがBaO、CaO、MgO、及びSrOの1つ以上であり、0.5~10%のZrOと、0~10%のBと、0~8%のRnOと、前記RnOがLiO、NaO、及びKOの1つ以上であり、0~1%のSbと、0~7%のZnOと、0~10%のTaと、0~10%のAlとを含有し、(SiO+TiO)/(B+Nb)が1~30であり、B /TiO が0より大きいが0.10以下である
【0014】
さらに、前記重ランタンフリントガラスが、全構成要素の含有量が次の4つの条件を1つ以上満たす。
1)B/TiO0.02~0.10であり、
2)BaO/Bが0より大きいが70以下であり、
3)(La+TiO+ZrO)/SiOが0.7~6であり、
4)(SiO+La+ZrO)/TiOが0.75~6.5である。
【0015】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記SiOが15~25%、及び/又は前記Lnが12~22%、及び/又は前記TiO+Nb+WO+Biが17~33%、及び/又は前記ROが22~32%、及び/又は前記ZrOが2~8%、及び/又は前記Bが0.5~6%、及び/又は前記RnOが0.5~6%、及び/又は前記Sbが0~0.5%、及び/又は前記ZnOが0~5%、及び/又は前記Taが0~5%、及び/又は前記Alが0~5%である。
【0016】
さらに、前記重ランタンフリントガラスは、全構成要素の含有量が次の4つの条件を1つ以上満たす。
1)BaO/Bが3.6~64であり、
)(La+TiO+ZrO)/SiOが1.2~5であり、
)(SiO+La+ZrO)/TiOが1.1~3.7であり、
)(SiO+TiO)/(B+Nb)が2.15~20である。
【0017】
さらに、前記重ランタンフリントガラスは、全構成要素の含有量が次の2つの条件を1つ又は2つ満たす。
6)SiO+TiOが30~50%であり、
7)B/SiOが0.02~0.4である。
【0018】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記SiOが18~23%、及び/又は前記Lnが13~18%、及び/又は前記TiO+Nb+WO+Biが22~31%、及び/又は前記ROが23~30%、及び/又は前記ZrOが2~6%、及び/又は前記Bが1~4%、及び/又は前記RnOが1~5%、及び/又は前記Sbが0~0.2%、及び/又は前記ZnOが0~3%であり、及び/又は前記Taが含まれない、及び/又は前記Alが含まれない。
【0019】
さらに、前記重ランタンフリントガラスは、全構成要素の含有量が次の4つの条件を1つ以上満たす。
1)BaO/Bが5~30であり、
2)(La+TiO+ZrO)/SiOが1.5~4であり、
3)(SiO+La+ZrO)/TiOが1.2~2.0であり、
4)(SiO+TiO)/(B+Nb)が3.36~12である。
【0020】
さらに、前記重ランタンフリントガラスは、全構成要素の含有量が次の2つの条件を1つ又は2つ満たす。
6)SiO+TiOが37~50%であり、
7)B/SiOが0.02~0.34である。
【0021】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記TiOが10~30%、及び/又は前記Nb0.5~10%である好ましくは、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記TiO が19~24%、及び/又は前記Nb が3~7%である。
【0022】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記Laが10~25%、及び/又は前記BaOが20~35%、及び/又は前記NaOが0~8%である好ましくは、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記La が13~18%、及び/又は前記BaOが23~30%、及び/又は前記Na Oが1~5%である。
【0023】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記ガラスのλ70が450nm以下であり、λが390nm以下であり、前記ガラスの密度(ρ)が4.5g/cm 以下であり、前記ガラスの結晶化温度の上限が1,200℃以下であり、前記ガラスの屈折率温度係数が2.4×10-6/℃以下であり、前記ガラスの屈折率(nd)が1.86~1.92、アッベ数(vd)が25~30であり、前記ガラスの転化温度(Tg)が720℃以下であり、前記ガラスの耐水性(D )が等級2以上、耐酸性(D )が等級2以上である。
【0024】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記ガラスのλ 70 が440nm以下であり、前記λ が385nm以下であり、前記ガラスの密度(ρ)が4.3g/cm 以下であり、前記ガラスの結晶化温度の上限が1,180℃以下であり、前記ガラスの屈折率温度係数が2.3×10 -6 /℃以下であり、前記ガラスの屈折率(nd)が1.86~1.91、アッベ数(vd)が25~29であり、前記ガラスの転化温度(Tg)が710℃以下であり、前記ガラスの耐水性(D )が1、耐酸性(D )が1である
【0025】
さらに、前記重ランタンフリントガラスによれば、前記ガラスのλ70が430nm以下であり、前記λが380nm以下であり、前記ガラスの密度(ρ)が4.25g/cm以下であり、前記ガラスの屈折率(nd)が1.87~1.90、アッベ数(vd)が26~29であり、前記ガラスの転化温度(Tg)が705℃以下である。ガラスプリフォームは、前記重ランタンフリントガラスから作製される。
【0026】
光学素子は、前記重ランタンフリントガラス又は前記ガラスプリフォームから作製される。
【0027】
光学機器は、前記光学素子から作製される。
【0028】
本発明は次の有益な効果を有する。重ランタンフリントガラスは、必要な屈折率及びアッベ数を確保しつつ、合理的な構成要素の割合によって優れた屈折率温度係数、結晶化温度の上限、λ70、λ、及び化学的安定性を有する。これにより、高い透過率、撮像品質、及び低い熱収差を必要とする精密機器に応用され、適用される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
重ランタンフリントガラス
以下の段落は、本発明による重ランタンフリントガラスの組成を詳しく述べる。特別な指示がない場合、全ガラス構成要素の含有量及びその合計含有量は、重量%によって表される重量含有量を意味し、これは、光学ガラスの全重量に係る特定の構成要素の重量又はいくつかの構成要素の重量合計の百分率である。全ガラス構成要素の比又はいくつかの構成要素の合計の比は、対応する重量含有量又は重量含有量の合計の比である。
【0030】
本発明の重ランタンフリントガラスは、重量%で、12~30%のSiOと、10~25%のLnと、LnがLa、Gd、Y、及びYbの合計含有量であり、10.5~40%のTiO+Nb+WO+Biと、0~10%のBと、20~35%のROと、ROがBaO、CaO、MgO、及びSrOの1つ以上であり、0.5~10%のZrOとを含有しており、(SiO+TiO)/(B+Nb)が1~30である。
【0031】
本発明のガラスにおいて、SiOはガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスフレームを構成する主要な成分である。SiO含有量は、ガラスの耐結晶化性能、透過率、屈折率、及び分散に密接に関連している。その含有量が12%より低いと、ガラスの屈折率及び分散が設計予想に到達することができず、その一方、ガラスの耐結晶化性能及び透過率は大幅に減少する。その含有量が30%より高いと、ガラスの溶解性及び耐結晶化性能が減少し、その一方、屈折率と分散が設計予想に到達することができない。したがって、本発明によれば、SiO含有量は12~30%、好ましくは15~25%、より好ましくは18~23%に設定される。
【0032】
も、本発明におけるガラスネットワーク形成の構成要素であり、任意構成要素である。本発明のいくつかの実施形態では、ガラスの溶融性及び耐失透性を改善するために、Bを導入することができるが、その量が10%より高いとき、ガラスの形成安定性及び屈折率が減少する。したがって、本発明のB含有量は0~10%、好ましくは0.5~6%、より好ましくは1~4%に設定される。
【0033】
SiO及びBは、2つのガラスネットワーク構成要素として、それぞれの特有の機能を有するだけでなく、ガラス形成安定性及びガラス転化温度(Tg)を互いに制限する。B/SiOの比が0.4より高いと、ガラス転化温度(Tg)が低下するが、B/SiOの比が0.02より低いと、ガラス形成安定性が低下する。したがって、本発明のBを含有するいくつかの重ランタンフリントガラスの実施形態では、B/SiOの比は0.02~0.4、より好ましくは0.02~0.34に設定される。
【0034】
希土類酸化物のLn(La、Gd、Y、及びYb)は、ガラスの屈折率を改善するのに有益である。その合計含有量が10%より低いと、予想される光学定数が得られない。しかし、その合計含有量が25%より大きいと、ガラスの化学的安定性及び耐失透性が低下し、ガラスの原料コストが増加する。したがって、La、Gd、Y、及びYbの合計含有量Lnは10~25%、好ましくは12~22%、より好ましくは13~18%に設定される。いくつかの実施形態において、ガラスの屈折率、可視スペクトルの透過率、及び耐失透性をさらに改善し、ガラスの屈折率温度係数を減少させるために、本発明の希土類酸化物は、10~25%のLa、好ましくは12~22%のLa、より好ましくは13~18%のLaを含有していてもよい。
【0035】
TiO、Nb、WO、及びBiは、屈折率及び分散の改善に有効である。したがって、TiO+Nb+WO+Biの含有量が40%より高いと、ガラスの分散が明らかに上昇し、ガラスの着色傾向は増加するが、透過率は減少する。したがって、TiO+Nb+WO+Biの上限は40%、好ましくは上限は33%、より好ましくは上限は31%に設定される。しかしながら、TiO+Nb+WO+Biが低すぎると、ガラスの熱安定性及び圧縮性能が減少する。したがって、その下限は10.5%、好ましくは下限は17%、より好ましくは下限は22%に設定される。
【0036】
本発明の重ランタンフリントガラスでは、より良好な屈折率及びアッベ数を得るために、TiOとNbとが組み合わされることが好ましい。ガラスの耐結晶化安定性を増加させるために、10%を超えるTiOが、ガラスネットワークの形成に関与するために本発明のガラスに添加されてもよく、高価なNb、WO、及びBiを部分的に置き換えてもよい。しかし、その含有量が30%より高いとガラス透過率が減少するが、ガラスの着色傾向は増加する。ガラスをより安定にし、耐失透性を改善するために、Nbが適切に導入されてもよい。これを考慮すると、本発明の重ランタンフリントガラスについては、TiO含有量は10~30%、好ましくは15~25%、より好ましくは19~24%に設定される。Nb含有量は0.5~10%、好ましくは2~8%、より好ましくは3~7%に設定される。
【0037】
さらに、本発明者は、研究を通して、構成要素B及びTiOにおけるB/TiOの比が、ガラスのλ70、λ、結晶化温度の上限、及び屈折率温度係数に影響を与え、B/TiOの比が1より大きいと、結晶化温度の上限が上昇し、屈折率温度係数が増加することを発見した。本発明によれば、高い透過率及び他の優れた性能を有する光学ガラスを得るためには、B/TiOは0より大きいが1以下であることが好ましく、B/TiOは0.02~0.4であることがより好ましく、B/TiOは0.02~0.23であることがさらに好ましい。
【0038】
SiO及びTiOの合計含有量は、ガラス全体のλ70、λ、耐水性(D)、及び耐酸性(D)に重要な影響を及ぼす。SiO+TiOの含有量が50%より大きいと、ガラスの可視領域の透過率が低下し、着色が増加し、耐水性(D)及び耐酸性(D)が低下する。したがって、SiO+TiOの含有量は30%より低いと、ガラス形成安定性が悪化し、熱膨張係数が増加する。したがって、本発明によれば、SiO+TiOは好ましくは30~50%、より好ましくは37~50%である。
【0039】
また、発明者は、(SiO+TiO)/(B+Nb)の比が1より小さいと、ガラスの安定性が悪化し、結晶化温度の上限が上昇し、熱収差が大きくなり、屈折率温度係数及びガラスの比率が増加して、軽量化の目的の達成が困難になり得る。しかしながら、比率が30より大きい場合、ガラス透過率は減少するが、着色傾向は明らかに増加する。したがって、(SiO+TiO)/(B+Nb)の比は1~30であり、好ましくは(SiO+TiO)/(B+Nb)の比は2.15~20、より好ましくは(SiO+TiO)/(B+Nb)の比は3.36~12と定義される。
【0040】
アルカリ土類金属酸化物に属するROは、CaO、MgO、SrO、及びBaOの1つ以上である。本発明の重ランタンフリントガラスについては、20%を超えるアルカリ土類金属酸化物が添加されると、ガラスのヤング率を改善し、ガラスの高温粘度を低下させ、一方で、ガラスの構成要素の均衡を図り、ガラスの溶融性を改善し得る。しかしながら、ROの合計含有量が35%より高いと、過剰なアルカリ土類金属酸化物がガラスの耐結晶化性能を低下させる。したがって、本発明によれば、RO値は20~35%、好ましくは22~32%、より好ましくは23~30%に設定される。いくつかの実施形態において、ガラスの屈折率温度係数をさらに減少させ、ガラスの耐失透性及び化学的安定性を改善するために、本発明のアルカリ土類金属酸化物は、20~35%のBaO、好ましくは22~32%のBaO、より好ましくは23~30%のBaOを含有していてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、BaO及びBの添加の割合は、ガラスの屈折率温度係数、ガラスの耐水性(D)及び耐酸性(D)に大きな影響を与える。BaO/Bが0より大きいと、ガラスの溶融性が改善され、ガラスの屈折率温度係数及び熱収差が減少する。しかしながら、BaO/Bが70より大きいと、ガラスの耐酸性、耐水性、及び耐結晶化性能が減少する。したがって、BaO/Bは0より大きいが70以下であり、好ましくはBaO/Bは3.6~64、より好ましくはBaO/Bは5~30に設定される。
【0042】
ZrOは、本発明において必要な成分として、高反射及び低分散を有する酸化物である。0.5%を超えるZrOは、屈折率を改善し、その分散を調整するために、ガラスに添加されてもよい。一方、ガラスの耐結晶化性能及び化学的安定性は改善され得る。しかしながら、本発明の重ランタンフリントガラスにおいては、その含有量が10%より高いと、ガラスの溶融が困難になり、溶融温度が上昇し、ガラス内の閉塞異物を容易に生じさせ、その透過率を減少させる。したがって、その含有量は0.5~10%、好ましくは2~8%、より好ましくは3~7%に設定される。
【0043】
本発明のガラス中のZrOは、構成要素La、SiO、及びTiOと共同でガラスのnd、vd、λ70、及びλのみならず、結晶化温度の上限及び屈折率温度係数を調整する。発明者の実験により確認されたところによると、nd、vd、λ70、及びλが(La+TiO+ZrO)/SiOの比で調整される場合、好ましい比の範囲は0.7~6である。比が0.7より小さいと、ガラスの溶融性及び安定性が悪くなり、屈折率が低下する。(La+TiO+ZrO)/SiOが6より高いと、ガラスの可視光領域の透過率が減少し、その着色度が悪化する。より好ましくは(La+TiO+ZrO)/SiOの比は1.2から5の範囲であり、最も好ましくは1.5から4の範囲である。λ70、λ、ガラスの結晶化温度の上限及び屈折率温度係数、(SiO+La+ZrO)/TiOの比で調整される場合、好ましい比は0.75~6.5の範囲であり、その比が6.5以下となると、より優れた光透過率及びより良好な耐結晶化性能を得ることができる。しかしながら、比が0.75より小さい又は6.5より大きい場合、屈折率温度係数が2.4×10-6/℃以下に保たれることが難しく、光学性能及び耐結晶化性能は明らかに悪化する。好ましい溶液として、(SiO+La+ZrO)/TiOの比は1.1から3.7の範囲であり、最も好ましくは1.2から2の範囲である。
【0044】
アルカリ土類金属酸化物に属するRnOは、LiO、NaO、及びKOの1つ以上であり、本発明の任意構成要素である。本発明のガラスシステムでは、予想される高温粘度を得るために概算量のアルカリ金属酸化物を添加してもよい。一方、概算量のアルカリ金属酸化物がBと共存すると、Bネットワークのコンパクト性が改善されて、より良好な光透過率を取得できる。しかしながら、過剰なアルカリ金属酸化物はガラスの耐結晶化性能をいちじるしく損傷する。したがって、本発明によれば、RnO値は0~8%、好ましくは0.5~6%、より好ましくは1~5%に設定される。いくつかの実施形態では、本発明によるアルカリ金属酸化物は、0~8%のNaO、好ましくは0.5~6%のNaO、より好ましくは1~5%のNaOを含有すると、ガラスの転化温度をさらに低下させ、ガラスの溶融性を改善し得る。
【0045】
ZnOは、ガラスの屈折率及び分散を調整し、ガラスの転化温度を低下させ、ガラスの耐抗結晶化性能及び化学的安定性を改善し得る。また、ZnOはガラスの高温粘度を低下させ、ガラスは低温で溶融されて、ガラス透過率を高めることがある。しかしながら、過剰なZnOが添加されると、ガラスの耐結晶化性能は低下し、高温粘度は比較的低く、成形に課題をもたらす。本発明のガラスシステムにおいては、ZnOは任意の構成要素でよく、その含有量は0~7%、好ましくは0~5%、より好ましくは0~3%である。
【0046】
Taは屈折率を増加させるが分散を低下させることがあり、本発明の重ランタンフリントガラス中の任意の構成要素であり、その含有量は0~10%、好ましくは0~5%である。Taは、その高価格により含まれないことが好ましい。
【0047】
Alはガラスの熱膨張係数を低下させることができるが、ガラスの熱安定性を改善することができる。しかしながら、高いAl濃度は一般的にガラスの液相粘度を減少させる。本発明によれば、その含有量は0~10%、好ましくは0~5%に設定され、より好ましくはAlは含まれない。
【0048】
また、本発明の重ランタンフリントガラスには、0~1%、好ましくは0~0.5%の清澄剤Sbを導入してもよい。
【0049】
本発明のガラス特性を損なわない範囲で、P、TeO、GeO、及びLuを含む上記以外の少量の他の成分が、必要に応じて添加され得る。しかしながら、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、及びMo等の遷移金属成分については、それらが単一又は化合物の形態で含有されていても、ガラスは着色されて、可視光領域において特定の波長を吸収し、これにより、可視光透過率を改善する本発明の特性を低下させる。したがって、特に、これらの成分は、可視領域内の波長透過率に要件を有する光学ガラスに対しては、含まれないことが好ましい。
【0050】
Pb、As、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの化合物は、近年、有害化学物質として制御されて使用されているが、それに関しては、ガラス製造過程だけでなく、環境保護対策のための加工手順や製造化後の処分においても必要である。したがって、環境への影響を重視する場合、それらは不可避な組み込みを除いて実際には含まれていないことが好ましい。結果として、光学ガラスは、実際には環境を汚染する物質を含有しない。したがって、本発明の光学ガラスは、特別な環境対策として処置がとられていなくとも、製造、加工、及び廃棄されることができる。
【0051】
本明細書で列挙された「導入されていない」、「含んでいない」、及び「0%」は、原料としての化合物、分子、又は元素が本発明の重ランタンフリントガラスに意図的に添加されていないことを指す。ガラスを製造するための原料及び/又は装置は、意図的に添加されていないいくつかの不純物又は成分を有し、少量又は微量のそれらが最終的な重ランタンフリントガラスに存在する。また、この状態は発明の特許の保護範囲に入る。
【0052】
上記段落によれば、ある構成要素が本発明によるガラスシステム内のガラスの複数の性能に影響を及ぼすことが分かる。同じ構成要素がある性能を最適化すると、他の性能が低下する可能性がある。したがって、ガラスシステム全体において、複数の構成要素の相互協調及び制限が特に重要である。実験研究に従って本発明の本発明者により得られた重ランタンフリントガラスは、優れたnd、vd、λ70、λ、ρ、結晶化温度の上限、屈折率温度係数、D、D、ガラス形成安定性、又は転化温度 (Tg)を有する。
【0053】
本発明による重ランタンフリントガラスの様々な性能指数は、以下の方法で分析される。
【0054】
[屈折率]
屈折率(nd)は、GB/T7962.1-2010の方法にしたがって分析される。
【0055】
[分散係数]
分散係数(すなわちアッベ数、vd)は、GB/T7962.1-2010の方法にしたがって分析される。
【0056】
[ガラス着色]
λ70はガラス透過率が70%に達するときに対応する波長を指し、λはガラス透過率が5%に達するときに対応する波長を指す。λ70は、互いに平行な2つの対向する平面で10±0.1mm厚さを有し、光学的に研磨されたガラスを用いて分析され、280nmから700nmの波長域でのスペクトル透過率及び透過率70%を表す波長を分析する。
【0057】
[屈折率温度係数]
20~40℃の屈折率温度係数は、GB/T7962.4-2010で規定される方法にしたがって分析される。
【0058】
[ガラス転化温度]
ガラスの転化温度(Tg)は、℃の単位で、GB/T7962.16-2010で規定される方法にしたがって分析される。
【0059】
[結晶化温度の上限]
結晶化温度の上限を分析する方法は、温度勾配炉の工程を使用してガラスの結晶化特性を分析し、180×10×10mmの試料にガラスを準備して、横方向に研磨し、温度勾配(5°C/cm)の炉に入れて1,400°Cに加熱し、4時間保温した後、取り出して、室温まで自然冷却し、顕微鏡でガラスの結晶化を観察して、結晶に対応するガラスの最高温度が発見された時のガラスの結晶化温度の上限を得るステップを含む。ガラスの結晶化温度の上限は低いほど、高温でのガラス安定性が強くなり、製造工程の性能が改善する。
【0060】
[化学的安定性]
耐水性(D)は、GB/T17129の方法にしたがって分析される。
【0061】
耐酸性(D)は、GB/T17129の方法にしたがって分析される。
【0062】
[密度]
密度(ρ)は、Colorless Optical Glass Test Methods-Density(GB/T7962.20-1987)の方法にしたがって分析される。
【0063】
分析によると、本発明の重ランタンフリントガラスは、次の性能を有する。屈折率(nd)が1.86~1.92、好ましくは1.86~1.91、より好ましくは1.87~1.90であり、アッベ数(vd)が25~30、好ましくは25~29であり、転化温度(Tg)が720℃以下、好ましくは710℃以下、より好ましくは705℃以下であり、λ70が450nm以下、好ましくは440nm以下、より好ましくは430nm以下であり、λが390nm以下、好ましくは385nm以下、より好ましくは380nm以下であり、密度(ρ)が4.5g/cm以下、好ましくは4.3g/cm以下、より好ましくは4.25g/cm以下であり、耐水性(D)が等級2以上、好ましくは1、耐酸性(D)が等級2以上、好ましくは1、結晶化温度の上限が1,200℃以下、好ましくは1,180℃以下であり、屈折率温度係数が2.4×10-6/℃以下、好ましくは2.3×10-6/℃以下である。
【0064】
以下、本発明のガラスプリフォーム、光学素子、及び光学機器について説明する。
【0065】
本発明のガラスプリフォーム及び光学素子は、いずれも上記の本発明の重ランタンフリントガラスによって形成される。本発明のガラスプリフォームは、高屈折率及び低屈折率温度係数を有する。 本発明の光学素子は、高屈折率及び低屈折率温度係数を有しており、高い光学値を有する様々なレンズ及びプリズムのような光学素子を提供することができる。
【0066】
レンズの例は、凹面メニスカスレンズ、凸面メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、及び平凹レンズのような様々なレンズを含有する。
【0067】
また、かなり高い屈折率のおかげで、光学カメラシステムにおいてプリズムが結合されて、光路を折り曲げて所望の方向に対向することにより、コンパクトな広角光学システムを実現する。
【0068】
本発明の光学ガラスにより形成された光学素子は、写真装置、カメラ装置、表示装置、及び監視装置等の光学機器の製造に用いることができる。
【0069】
[重ランタンフリントガラスの実施形態]
さらに明確に本発明の技術的解決策を説明及び例示する目的で、以下の非限定的な実施形態が提供される。
【0070】
表1~6に示される組成を有するガラスを得るために、光学ガラスは、原料として、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、及びホウ酸を使用し、光学ガラスの組成に応じてすべての原料を比例的に秤量し、混合された原料を取得するために均一に混合し、白金るつぼに混合された原料を入れ、1,200~1,450℃に加熱し、融解、撹拌、及び清澄化によって均一な溶融ガラスを形成し、その後冷却した後でおおよそ予熱した型に溶融ガラスを注いで、650~700℃で2~4時間保ち、ゆっくりと加熱する。 さらに、様々なガラスの特性が本発明の方法を通して分析されて、分析結果が表1~6に示される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0071】
[ガラスプリフォームの実施形態]
実施形態1~36で得られた重ランタンフリントガラスは、所定の大きさに切断され、表面に離型剤が均一に塗布される。その後、凹面メニスカスレンズ、凸面メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、及び平凹レンズ等の様々なレンズ及びプリズムを製造するために、金型が加熱及び軟化されてプレス成形される。あるいは、実施形態1~36で得られた重ランタンフリントガラスは、精密プレス成形用のプレモールド製品を形成した後、プリフォームを製造するために精密プレス成形及び加工を通じて、レンズ及びプリズム形状に精密にプレス成形される。
【0072】
[光学素子の実施形態]
ガラスプリフォームの実施形態で得られたこれらのプリフォームは、ガラス内の歪みが減少させられながら、微調整のためにアニールされ、その結果、屈折率のような光学特性が所望の値になる。
【0073】
その後、それぞれのプリフォームが研削及び研磨されて、凹面メニスカスレンズ、凸面メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、及び平凹レンズのような様々なレンズを作製する。反射防止膜が、得られた光学素子の表面に塗布されてもよい。
【0074】
[光学機器の実施形態]
光学部品又は光学部材は、光学設計を介して、あるいは1つ以上の光学素子を介して、光学素子の実施形態で得られた光学素子によって形成されている。光学部品又は光学部材は、撮像装置、センサ、顕微鏡、医療技術、デジタル投影、通信、光通信技術/情報伝送、自動車分野における光学/照明、フォトリソグラフィー、エキシマレーザ、ウェハ、コンピュータチップ、集積回路、並びにそのような回路及びチップを含む電子機器、特に車両分野のカメラ器具及び機器に使用され得る。