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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】除草剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 39/04 20060101AFI20230711BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20230711BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A01N39/04 B
A01N25/00
A01P13/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021534218
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2018001530
(87)【国際公開番号】W WO2020128550
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521257525
【氏名又は名称】ユーピーエル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UPL LIMITED
【住所又は居所原語表記】UPL Limited, UPL House, 610 B/2, Bandra Village, Off Western Express Highway, Bandra (East), Mumbai, Maharashtra, India
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレール ジャン-ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ポレ ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】レイエ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シュロフ ジャイデブ ラジニカーント
(72)【発明者】
【氏名】シュロフ ヴィクラム ラジニカーント
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-023932(JP,A)
【文献】特開昭51-148019(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106922673(CN,A)
【文献】国際公開第2017/009138(WO,A1)
【文献】特開昭52-015824(JP,A)
【文献】特表2017-506253(JP,A)
【文献】国際公開第2015/127259(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0066570(US,A1)
【文献】特表2018-520163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0274717(US,A1)
【文献】Registry(STN) [online],1984年11月16日,p.1,[検索日:2022年12月26日],CAS登録番号 15299-99-7
【文献】(3)栽培要覧,改定新版 農業必携,全国高等学校農場協会,1996年,pp.4-7
【文献】Rice ,BBCHengl2001[online],2001年,pp.1-5,<URL:https://www.politicheagricole.it/flex/AppData/WebLive/Agrometeo/MIEPFY800/BBCHengl2001.pdf>
【文献】李麗原 ほか,中国における小麦需給の地域的特性と将来予測,農業経営研究,2003年,Vol.41, No.2,pp.143-146,DOI:10.11300/fmsj1963.41.2_143
【文献】R.E.Blackshow et al.,Efficacy of downy brome herbicides as influenced by soil properties,Can. J. Plant Sci.,1993年,74 (1),177-183
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 39/00
A01N 25/00
A01P 13/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を栽培するための場所において雑草を選択的に制御するためのナプロパミドの使用であって、前記穀物が、前記場所に存在するか又は前記場所に前記ナプロパミドを適用した後に前記場所に植えられ、前記雑草が、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンによる制御に対して耐性を有するものである、ナプロパミドの使用。
【請求項2】
前記雑草が単子葉の雑草である、請求項1に記載のナプロパミドの使用。
【請求項3】
前記雑草の属が、Alopecurus、Echinochloa、Bromus、Lolium及びSetariaから選択される、請求項1又は請求項2に記載のナプロパミドの使用。
【請求項4】
前記雑草がAlopecurus属のものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項5】
前記雑草がAlopecurus myosuroidesである、請求項4に記載のナプロパミドの使用。
【請求項6】
前記穀物が、小麦、大麦、米、トウモロコシ、モロコシ、オート麦、ライ麦、キビ、ライコムギ及びフォニオから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項7】
前記穀物が小麦である、請求項1~6のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項8】
前記小麦が冬小麦である、請求項6又は請求項7に記載のナプロパミドの使用。
【請求項9】
前記ナプロパミドがD-ナプロパミドである、請求項1~8のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項10】
前記ナプロパミドの適用が、前記穀物の出芽前に前記場所に適用することである、請求項1~9のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項11】
前記ナプロパミドの適用が、前記場所に前記穀物を植えた後に前記場所に適用することである請求項1~10のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項12】
前記ナプロパミドの適用が、前記穀物の出芽後に前記場所に適用することである請求項1~9、又は11のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項13】
前記ナプロパミドの適用が、前記穀物がBBCH穀物01~BBCH穀物19の成長段階に成長したときに前記場所に適用することである請求項1~9、11、又は12のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項14】
前記ナプロパミドの適用が、前記穀物がBBCH 穀物 01~BBCH 穀物 11の成長段階に成長したときに前記場所に適用することである、請求項13に記載のナプロパミドの使用。
【請求項15】
前記場所における前記穀物の植え付けの深さが少なくとも1cmである請求項1~14のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項16】
前記場所における前記穀物の植え付けの深さが少なくとも2cmである請求項1~15のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項17】
適用される前記ナプロパミドの量が、10g/Ha~1kg/HaのD-ナプロパミドである、請求項1~16のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項18】
適用される前記ナプロパミドの量が、400g/Ha~700g/HaのD-ナプロパミドである、請求項1~17のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項19】
前記ナプロパミドの適用が、少なくとも1つの農学的に許容される賦形剤、希釈剤、アジュバント、及び/又は薬害軽減剤との併用である請求項1~18のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項20】
前記ナプロパミドの適用が、追加の活性剤との併用である請求項1~19のいずれか一項に記載のナプロパミドの使用。
【請求項21】
前記追加の活性剤が、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンから選択される、請求項20に記載のナプロパミドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物などの作物中の雑草の選択的制御に関する。具体的には、本発明は、穀物を栽培させるための場所において雑草を選択的に制御するための除草剤の使用に関する。本発明はまた、除草剤を使用することにより、穀物を栽培するための場所における雑草の成長を選択的に制御する方法に関する。本発明は、更に、選択的除草剤が適用された穀物を栽培するための場所に関する。本発明において使用される除草剤は、ナプロパミドである。
【背景技術】
【0002】
穀物などの商業作物において雑草を選択的に制御することは、現代の農業が直面している重要な課題である。雑草は、通常、穀物などの作物と、栄養、水、光及び空間を奪い合うため、作物における雑草の存在を制御できないと、作物の収穫量が減少する可能性がある。雑草はまた、害虫や病気の宿主になることもあり、作物に移されると同様に収穫量が減少する可能性がある。更に、雑草の種子は、所望の作物と一緒に不注意に収穫されることがあり、これは、収穫された作物が更に処理又は加工される必要があり、極端な場合には、完全に廃棄される必要さえある。したがって、雑草の成長を抑制して穀物などの作物の汚染を防ぐことができる効果的な除草剤が明らかに必要である。
【0003】
雑草などの望ましくない植物の成長を制御するために、多くの除草剤が開発されている。多くのそのような除草剤は、それらが接触する全ての植物素材を制御するのに効果的であると以前に記載されている。そのような除草剤は、パラコート、グルホシネート、グリホセートなどを含む。しかしながら、そのような除草剤の効果は、雑草に加えて作物を枯らすか又は損なうため、これらの除草剤は、非選択的であり、したがって、穀物などの作物における雑草の成長を選択的に制御するために使用されることができない。したがって、この困難を解消するために、作物を助けながら、雑草の成長を制御することができる選択的除草剤を使用する必要がある。
【0004】
既知の除草剤は、N,N-ジエチル-2-(α-ナフトキシ)プロピオンアミドとしても知られているナプロパミドである。ナプロパミドは、一般に、デブリノールという商品名で販売されている。ナプロパミドの構造は、以下の式(I)に示されている。
【0005】
【化1】
【0006】
ナプロパミドは、キラル炭素原子を含むため、ナプロパミドは、2つの立体異性体で存在し、一方は、(R)異性体としても知られているD異性体であり、他方は、(S)異性体としても知られているL異性体である。D-異性体である、D-ナプロパミドはまた、ナプロパミド-Mも呼ばれ、その構造は、式(II)に示されている:
【0007】
【化2】
【0008】
ナプロパミド-Mは、国際公開第2009/004642号に開示されている方法など、当該技術分野において知られている任意の適切な方法によって調製することができる。
【0009】
特に明記しない限り、及び以下で更に記載されるように、本明細書で使用される場合、「ナプロパミド」という用語は、N,N-ジエチル-2-(α-ナフトキシ)プロピオンアミド若しくはその異性体、又はそのような異性体の混合物を指す。したがって、特に明記しない限り、又は文脈からそうでないことが明らかでない限り、ナプロパミドという用語は、D-ナプロパミド及びL-ナプロパミドの混合物を指すことがある。混合物は、例えば、ラセミ混合物(すなわち、D-ナプロパミド及びL-ナプロパミドの1:1混合物)であってもよい。ナプロパミドという用語は、例えばD-ナプロパミドを含むN,N-ジエチル-2-(α-ナフトキシ)プロピオンアミドの純粋な異性体も含む。
【0010】
ナプロパミドは、双子葉の雑草(weds)を選択的に制御する用途があることが以前から示されている。例えば、欧州特許出願公開第277397(A1)号は、ナプロパミドを使用して、ナタネ、イチゴ、ブラックカラント、グーズベリー、ラズベリー、野原の木、低木、ブロッコリー、キャベツ、カラブレ、カリフラワー、ケール及び芽キャベツなどの作物の双子葉雑草を選択的に標的とし得る方法を記載している。しかしながら、欧州特許出願公開第277397(A1)号は、ナプロパミドがそのような作物における単子葉雑草を制御する活性が低いことを説明している。欧州特許出願公開第277397(A1)号はまた、穀物などの単子葉作物における雑草の選択的制御についても言及していない。したがって、作物、特に穀物における単子葉雑草などの雑草を制御する方法に対する差し迫った必要性が残っている。
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、ナプロパミドが穀物作物における単子葉雑草などの雑草の成長を選択的に制御することを発見した。本明細書でより詳細に説明するように、本発明者らは、ナプロパミドを単子葉の穀物に適用すると、一般的な草型の雑草を含む雑草が選択的に標的にされる一方で、穀物自体が選択的に免れることを示した。この発見は、穀物作物と草型雑草の両方が単子葉植物であるという事実を考慮すると、特に驚くべきことである。したがって、ナプロパミドが穀物の除草剤として安全に、すなわち、作物自体を破壊することなく使用することができることは驚くべきことであったのみならず、ナプロパミドが草型の雑草の成長を同時に制御することができることは特に驚くべきことであった。穀物のように、そのような雑草は、単子葉植物であり、単子葉植物の異なるクラス間の選択性を示す除草剤を見つけることは、そのような選択性が予測できないために容易な活動ではない。したがって、ナプロパミドが単子葉植物の1つのクラス、すなわち、草型の雑草を制御することができると同時に、他のクラスの単子葉植物である穀物を助けることができることは予想外であった。
【0012】
したがって、本発明は、穀物を栽培するための場所において雑草を選択的に制御するためのナプロパミドの使用において、穀物が、その場所に存在するか又はその場所に当該ナプロパミドを適用した後にその場所に植えられる、ナプロパミドの使用を提供する。
【0013】
本発明はまた、穀物を栽培するための場所において雑草を選択的に制御する方法において、当該方法が、場所へのナプロパミドの適用を備え、穀物が、その場所に存在するか又は当該ナプロパミドを適用した後にその場所に植えられる、方法を提供する。
【0014】
更に提供されるのは、雑草及び穀物が両方ともその場所に存在し、そこに適用される雑草の選択的制御のための除草剤を有する穀物を栽培するための場所において、当該除草剤がナプロパミドからなるか又はナプロパミドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1において説明した除草剤の適用後の正規化された植物成長を示している。
図2】実施例1において説明した除草剤の適用後の、更に正規化された植物成長を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記で説明したように、本発明は、穀物を栽培するための場所において雑草を選択的に制御するためのナプロパミドの使用において、穀物が、その場所に存在するか又はその場所に当該ナプロパミドを適用した後にその場所に植えられる、ナプロパミドの使用を提供する。
【0017】
「選択的制御」という用語は、除草剤が植物のある種の成長を制御し、他の種の成長を可能にすることを意味する。したがって、雑草の選択的制御とは、雑草の成長を制御する一方で、穀物などの他の非雑草植物の成長を制御しない、又は雑草の成長よりも大幅に少ない程度に制御することを意味する。通常、雑草の成長の制御は、雑草植物の発芽、発根、又は成長の防止を含む。多くの場合、雑草の成長の制御は、雑草植物の成長速度の遅延又は停止を含む。雑草の成長の制御は、根の発達の防止又は遅延を含むことができる。雑草の成長の制御は、細胞分裂を阻害することにより、根又は葉、特に根の発達を防止することを伴うことができる。雑草の成長の制御は、雑草の種子の発芽の防止、抑制又は遅延を含み得る。雑草の成長を制御することにより、除草剤の適用後の成長は、除草剤の非存在下での雑草の成長に比べて減少することがある。多くの場合、除草剤の適用後の雑草の成長は、除草剤の非存在下において雑草の少なくとも50%、少なくとも70%などの、例えば少なくとも60%、より頻繁には少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%などいった、少なくとも95%が抑制される。本発明において、除草剤は、ナプロパミドである。ナプロパミドは、本明細書で定義されるとおりであり、以下により詳細に記載されるように、純粋な物質として、又は1つ以上の農薬として許容される賦形剤、希釈剤、アジュバント及び/又は薬害軽減剤などの1つ以上の更なる成分を含む組成物の形態で、及び/又は例えば、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンなどの追加の活性剤と一緒に投与することができる。
【0018】
したがって、穀物を栽培するための場所における雑草の選択的制御は、通常、穀物の発芽、発根又は成長を防止しないが、雑草植物の発芽、発根又は成長を防止することを含む。例えば、除草剤の適用後の穀物の成長は、除草剤の非存在下での穀物の成長の少なくとも50%となることがある。より頻繁には、除草剤の適用後の穀物の成長は、除草剤の非存在下での穀物の少なくとも70%などの少なくとも60%、より頻繁には少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、更には100%などの少なくとも95%とすることができる。最も典型的には、除草剤の適用は、雑草の成長を著しく制御しながら、穀物の成長に大きな影響を与えない。
【0019】
本発明において、穀物を栽培するための場所は、雑草の選択的制御が必要とされる作物の近くである。本発明において、場所は、例えば、植木鉢又は栽培袋などの容器、花壇又は畑とすることができる。通常、本発明において、場所は、野原である。場所は、穀物が植えられている任意の場所、又は除草剤の散布後に植えられる任意の場所である。場所は、除草剤の散布がない場合に雑草の成長が発生した、又は発生すると予想されるエリアである。
【0020】
本発明において、その場所に植えられた又は植えられる穀物は、任意の穀物とすることができる。本発明において、「作物」という用語は、典型的には、その場所で成長する多数の所望の作物植物、すなわち穀物植物に関するが、その場所で成長するただ1つの所望の作物植物、すなわち1つの穀物植物を指すこともある。したがって、「作物」という用語は、植物の標的部分(例えば、種子)が既に発達している植物、又は植物の標的部分がまだ発達していない植物、例えば若い植物又は未成熟植物を包含する。
【0021】
当業者が理解するように、穀物は、一般に単子葉種である。したがって、通常、穀物は、単子葉の穀物である。本発明において、穀物は、典型的には、小麦、大麦、米、トウモロコシ、モロコシ、オート麦、ライ麦、キビ、ライコムギ及びフォニオから選択される。時々、穀物は、大麦、米、トウモロコシ、モロコシ、オート麦、ライ麦、キビ、ライコムギ及びフォニオから選択される。作物は、小麦ではなくてもよい。通常、本発明において、穀物は、小麦、大麦、米、及びトウモロコシから選択される。より多くの場合、本発明において、穀物は、小麦、米及びトウモロコシから選択される。更に多くの場合、本発明において、穀物は、小麦及びトウモロコシから選択される。ほとんどの場合、本発明において、穀物は、小麦である。
【0022】
本発明において、穀物が小麦である場合、小麦は、冬小麦であっても春小麦であってもよい。通常、小麦は、冬小麦である。当業者は、冬小麦は秋に植えられ、したがって、冬にわたって成長する小麦の株であることを理解するであろう。典型的な冬小麦は、柔らかい小麦(冬)であり、これは、欧州及び地中海植物保護機構(EPPO)コードTRZAWを有する。したがって、冬小麦は、TRZAWとすることができる。冬小麦は、発芽して幼植物に成長し、冬季は栄養相のままであり、早春に成長を再開する。冬小麦の場合、通常、植物が春化を経験するまで、通常、約0℃~5℃において約30~約60日間、出穂の生理学的段階が遅れる。
【0023】
本発明において、作物は、任意の適切な深さで植え付けることができる。例えば、作物は、当該場所において、少なくとも深さ1cmに植え付けることができる。より一般的には、穀物は、当該場所において、少なくとも深さ2cmに植え付ける。本発明者らは、驚くべきことに、穀物が少なくとも深さ2cmなどの少なくとも深さ1cmに植え付けられた場合、作物に対するナプロパミドの選択性(すなわち、作物がナプロパミドの影響を受けない程度)が改善されたことを発見した。例えば、作物は、有利には、少なくとも2cm、より通常は少なくとも3cmなど、少なくとも深さ1cmで植え付けることができる。
【0024】
本発明において、穀物を栽培するための場所において選択的に制御される雑草は、典型的には単子葉雑草である。したがって、本発明は、典型的には、単子葉の穀物を栽培する場所において単子葉雑草を選択的に制御するためのナプロパミドの使用において、単子葉の穀物が、その場所に存在するか又はその場所に当該ナプロパミドを適用した後に場所に植えられる、ナプロパミドの使用を提供する。換言すれば、本発明は、単子葉作物における単子葉雑草を選択的に制御する手段を提供する。
【0025】
本発明において選択的に標的とされる雑草の属は、典型的には、Alopecurus(例えば、Alopecurus myosuroides)、Echinochloa(例えば、Echinochloa crus-galli L.)、Bromus(例えば、Bromus secalinus又はBromus tectorum L.)、Lolium(例えば、Lolium perenne L.)、Poa及びSetaria(例えば、Setaria glauca L.Beauv)から選択される。
【0026】
例えば、雑草は、以下の種のうちの1つ以上とすることができる。
Alopecurus aequalis、Alopecurus albovii、Alopecurus anatolicus、Alopecurus apiatus、Alopecurus arundinaceus、Alopecurus aucheri、Alopecurus baptarrhenius、Alopecurus bonariensis、Alopecurus borii、Alopecurus bornmuelleri、Alopecurus brachystachus、Alopecurus bulbosus、Alopecurus carolinianus、Alopecurus creticus、Alopecurus dasyanthus、Alopecurus davisii、Alopecurus geniculatus、Alopecurus gerardii、Alopecurus glacialis、Alopecurus×haussknechtianus、Alopecurus heliochloides、Alopecurus himalaicus、Alopecurus hitchcockii、Alopecurus japonicas、Alopecurus laguroides、Alopecurus lanatus、Alopecurus longiaristatus、Alopecurus magellanicus、Alopecurus×marssonii、Alopecurus mucronatus、Alopecurus myosuroides、Alopecurus nepalensis、Alopecurus×plettkei、Alopecurus ponticus、Alopecurus pratensis、Alopecurus rendlei、Alopecurus saccatus、Alopecurus setarioides、Alopecurus textilis、Alopecurus turczaninovii、Alopecurus×turicensis、Alopecurus utriculatus、Alopecurus vaginatus、Alopecurus×winklerianus、
Bromus aleutensis、Bromus alopecuros、Bromus anomalus、Bromus arenarius、Bromus arizonicus、Bromus arvensis、Bromus berteroanus、Bromus biebersteinii、Bromus briziformis、Bromus bromoideus、Bromus carinatus、Bromus cabrerensis、Bromus catharticu、Bromus ciliates、Bromus ciliates(inc.ssp.ciliates及びrichardsonii)、Bromus commutatu、Bromus danthoniae、Bromus diandrus、Bromus erectu、Bromus exaltatus、Bromus fibrosus、Bromus frigidus、Bromus frondosus、Bromus grandis、Bromus grossus、Bromus hordeaceus、Bromus hordeaceus(inc.ssp.ferronii、hordeaceus、molliformis、pseudothominii及びthominei)、Bromus inermis、Bromus inermis(inc.ssp.inermis及びpumpellianus)、Bromus interruptus、Bromus japonicas、Bromus kalmia、Bromus kinabaluensis、Bromus koeieanus、Bromus kopetdagensis、Bromus laevipes、Bromus lanatipes、Bromus lanceolatus、Bromus latiglumis、Bromus Lepidus、Bromus luzonensis、Bromus macrostachys、Bromus madritensis、Bromus mango、Bromus marginatus、Bromus maritimus、Bromus mucroglumis、Bromus nottowayanus、Bromus orcuttianus、Bromus pacificus、Bromus polyanthus(inc.ssp.paniculatus及びpolyanthus)、Bromus porter、Bromus pseudolaevipes、Bromus pseudosecalinus、Bromus pseudothominii、Bromus pubescens、Bromus ramosus(inc ssp.benekii及びramosus)、Bromus rigidus、Bromus scoparius、Bromus secalinus、Bromus sitchensis、Bromus squarrosus、Bromus stamineus、Bromus sterilis、Bromus suksdorfii、Bromus tectorum、Bromus texensis、Bromus vulgaris、Bromus willdenowii、
Echinochloa brevipedicellata、Echinochloa callopus、Echinochloa chacoensis、Echinochloa colona、Echinochloa crus-galli、Echinochloa crus-pavonis、Echinochloa elliptica、Echinochloa glabrescens、Echinochloa haploclada、Echinochloa helodes、Echinochloa holciformis、Echinochloa inundata、Echinochloa jaliscana、Echinochloa jubata、Echinochloa kimberleyensis、Echinochloa lacunaria、Echinochloa macrandra、Echinochloa muricata、Echinochloa obtusiflora、Echinochloa oplismenoides、Echinochloa oryzoides、Echinochloa paludigena、Echinochloa picta、Echinochloa pithopus、Echinochloa polystachya、Echinochloa praestans、Echinochloa pyramidalis、Echinochloa rotundiflora、Echinochloa telmatophila、Echinochloa turneriana、Echinochloa ugandensis、Echinochloa walteri、
Lolium arundinaceum、Lolium canariense、Lolium giganteum、Lolium×hybridum、Lolium mazzettianum、Lolium multiflorum、Lolium perenne L.、Lolium persicum、Lolium pratense、Lolium remotum、Lolium rigidum、Lolium saxatile、Lolium temulentum L、
Setaria acromelaena、Setaria alonsoi、Setaria apiculata、Setaria appendiculata、Setaria arizonica、Setaria atrata、Setaria australiensis、Setaria austrocaledonica、Setaria barbata、Setaria barbinodis、Setaria bathiei、Setaria cernua、Setaria chondrachne、Setaria cinerea、Setaria clivalis、Setaria cordobensis、Setaria corrugate、Setaria dielsii、Setaria elementii、Setaria faberi、Setaria fiebrigii、Setaria finite、Setaria forbesiana、Setaria glauca L.Beauv.、Setaria globulifera、Setaria gracillima、Setaria grandis、Setaria grisebachii、Setaria guizhouensis、Setaria hassleri、Setaria homonyma、Setaria humbertiana、Setaria hunzikeri、Setaria incrassate、Setaria intermedia、Setaria italic、Setaria jaffrei、Setaria kagerensis、Setaria lachnea、Setaria latifolia、Setaria leucopila、Setaria liebmannii、Setaria lindenbergiana、Setaria longipila、Setaria longiseta、Setaria macrosperma、Setaria macrostachya、Setaria madecassa、Setaria magna、Setaria megaphylla、Setaria mendocina、Setaria mildbraedii、Setaria montana、Setaria nepalense、Setaria nicorae、Setaria nigrirostris、Setaria oblongata、Setaria obscura、Setaria oplismenoides、Setaria orthosticha、Setaria palmeri、Setaria palmifolia、Setaria pampeana、Setaria paraguayensis、Setaria parodii、Setaria parviflora、Setaria paspalidioides、Setaria pauciflora、Setaria paucifolia、Setaria perrieri、Setaria petiolata、Setaria pflanzii、Setaria plicata、Setaria poiretiana、Setaria pseudaristata、Setaria pumila、Setaria queenslandica、Setaria restioidea、Setaria rigida、Setaria roemeri、Setaria rosengurttii、Setaria sagittifolia、Setaria scabrifolia、Setaria scandens、Setaria scheelei、Setaria scottii、Setaria seriata、Setaria setosa、Setaria sphacelata、Setaria stolonifera、Setaria submacrostachya、Setaria sulcata、Setaria surgens、Setaria tenacissima、Setaria tenax、Setaria texana、Setaria vaginata、Setaria vatkeana、Setaria verticillata、Setaria villosissima、Setaria viridis、Setaria vulpiseta、Setaria welwitschii、及びSetaria yunnanensis。
【0027】
ほとんどの場合、本発明において選択的に標的とされる雑草は、Alopecurusである。最も典型的には、雑草は、Alopecurus myosuroidesである。Alopecurus myosuroidesは、EPPOコードALOMYを有するため、ALOMYとも呼ばれる。例えば、雑草は、ALOMY(S株)又はALOMY(Peldon multi-R(耐性)株)とすることができる。
【0028】
本発明の1つの有益な態様は、穀物中の雑草の選択的制御であり、その雑草は、ナプロパミド以外の従来の選択的除草剤による制御に対して耐性を有する。当業者は、所定の物質による制御に耐性を有する雑草が必ずしも物質の適用によって完全に影響を受ける必要がないことを理解するであろう。むしろ、所定の物質による制御に耐性を有する雑草は、物質の非存在下よりも低いレベルではあるが、物質の存在下で成長する可能性がある。所定の物質による制御に対しては耐性を有するが、ナプロパミドによる制御に対しては耐性のない雑草は、有効量のナプロパミドの存在下よりも、有効量の物質の存在下でより良く成長する可能性がある。換言すれば、ナプロパミドは、他の物質よりも雑草の成長を制御するのにより効果的とすることができる。
【0029】
例えば、特定の雑草が耐性を有する除草剤は、通常、その雑草に対して97%未満の効力しか示さない場合がある。換言すれば、除草剤の有効量が適用された雑草植物の少なくとも3%が、除草剤の適用に耐えることができる。より典型的には、そのような除草剤は、90%未満の有効性など、例えば80%未満の有効性、70%未満の有効性など、例えば60%未満の有効性、例えば50%未満の有効性、例えば40%未満の有効性、又は35%未満の有効性など、雑草に対して95%未満の有効性を示すことができる。換言すれば、典型的には、有効量の除草剤が適用された雑草植物の少なくとも10%の雑草植物、例えば少なくとも20%の雑草植物、少なくとも30%の雑草植物、例えば少なくとも40%の雑草植物、例えば少なくとも50%の雑草植物、例えば少なくとも60%の雑草植物、又は65%を超える雑草植物など、有効量の除草剤が適用された雑草植物の少なくとも5%が、除草剤の適用に耐えることができる。対照的に、そのような雑草は、通常、ナプロパミドによる制御を受けやすい。例えば、ナプロパミドは、通常、そのような耐性雑草の成長を、ナプロパミドの非存在下での雑草の成長と比較して、少なくとも60%、より典型的には少なくとも70%、より頻繁には少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも97%などの少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%抑制することができる。例えば、一部の雑草については、従来の除草剤は、50%未満の有効性、40%未満の有効性又は例えば35%未満の有効性などの更に低い有効性であり、ナプロパミドは、少なくとも60%の有効性、例えば少なくとも70%の有効性、少なくとも80%の有効性又は少なくとも90%の有効性である。
【0030】
当業者は、ナプロパミド及び他の除草剤の相対的効能が、場所に適用されるそれぞれの除草剤の量に部分的に依存することを理解するであろう。典型的には、ナプロパミドの有効性は、その場所に投与されるナプロパミドの量を増やすことにより高めることができる。多くの場合、ナプロパミドの量を少なくすると、耐性雑草の有意な制御を達成することができ(例えば、少なくとも95%の制御、例えば少なくとも97%、98%又は99%の制御などの少なくとも90%の制御)、多量の従来の除草剤は、そのようなレベルの制御に到達することができないことがある。例えば、本明細書で更に記載されるように、本発明者らは、ナプロパミドがXertonなどの従来の除草剤よりもはるかに効果的とすることができ、Trooper/Malibuなどの除草剤と比較して改善された制御を達成することができることを実証した。更にまた、驚くべきことに、この制御は、通常、Trooper/Malibuなどの除草剤と比較して、ナプロパミドの大幅に少ない散布率で有益に達成することができる。
【0031】
他の従来の除草剤と比較したナプロパミドによる耐性雑草の選択的制御の非限定的な例は、実施例に記載されている。
【0032】
多くの場合、本発明で選択的に標的とされる雑草は、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンによる制御に対して耐性を有する。通常、本発明において選択的な標的とする雑草は、ベストプラクティス及び製造業者の操作説明書に従ってエトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンが適用される場合に、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンによる制御に対して耐性を有する。例えば、雑草は、エトフメセート417g/Lを含む懸濁液濃縮物が0.6L/Haの量で適用された場合、エトフメセートによる制御に対して耐性を示すことができる。417g/Lのエトフメセートを含む懸濁液濃縮物は、商品名Xerton(United Phosphorus)で市販されている。したがって、雑草は、例えば、約0.6L/Haの量で適用される場合など、約0.1~約2L/Haの量で適用される場合、Xertonによる制御に対して耐性を有することができる。60g/Lのフルフェナセットと300g/Lのペンジメタリンを含む乳化濃縮液2.5L/Haの量で適用すると、雑草は、フルフェナセットとペンジメタリンによる制御に対して耐性を有することができる。60g/Lのフルフェナセットと300g/Lのペンジメタリンを含む乳化濃縮液は、商品名Trooper(Basf)及び商品名Malibu(Basf)で市販されている。したがって、雑草は、例えば、約2.5L/Haの量で適用される場合など、約1~約10L/Haの量で適用される場合、Trooper及び/又はMalibuによる制御に対して耐性を有することができる。
【0033】
例えば、いくつかの実施形態では、雑草は、約10g/Ha~約1kg/Haのナプロパミド又はD-ナプロパミドに相当する量、より多くの場合、約400g/Ha~約700g/Haのナプロパミド又はD-ナプロパミドに相当する量などの有効濃度で適用した場合、Xertonによって約50%未満、又は40%未満など、約60%未満に制御されることができ、及び/又はMalibuによって98%未満又は97%未満に制御されることができ、ナプロパミドによって97%以上(例えば、98%以上又は99%以上)に制御することができる。
【0034】
典型的には、本発明において、除草剤は、当該雑草の出芽前に、穀物を成長させるための場所に適用される。例えば、除草剤は、栽培場所の既知の地点に対して、耕作後に、又はモニタリング可能であり、且つ雑草の発生の可能性と相関させることのできる明確な成長特性を有する、雑草とは異なる参照植物の成長を参照して、適用することができる。
【0035】
本発明の他の実施形態では、除草剤は、当該雑草が部分的に成長したときに当該場所に適用してもよい。除草剤は、雑草の出芽後にその場所に適用してもよい。
【0036】
植物成長の既知の尺度は、BBCH(Biologische Bundesanstalt、Bundessortenamt und Chemische Industrie)スケールによって提供される。BBCHスケールは、植物の生物季節学的発達段階を識別するために使用されるスケールである。穀物や雑草を含む一連の種のために一連のBBCHスケールが開発された。BBCHスケールは、10進コードシステムを使用し、これは、主成長段階及び二次成長段階に分けられる。
【0037】
当業者が理解するように、BBCH雑草スケール及びBBCH穀物スケールは、植物成長を以下のように定義する:
【0038】
【表1】
【0039】
19を超えるBBCH値は、側芽が形成される主な成長段階2(分げつ)を超えた植物の成長を表す。
【0040】
典型的には、本発明では、当該雑草が部分的に成長したときに除草剤が場所に適用されるとき、雑草は、典型的には、BBCH雑草01~BBCH雑草19の成長段階まで成長している。多くの場合、雑草は、BBCH雑草01~BBCH雑草11までの成長段階に成長している。例えば、雑草は、およそBBCH雑草11などのBBCH雑草09~BBCH雑草14の成長段階まで成長している場合がある。
【0041】
典型的には、本発明において、除草剤は、作物の出芽前の穀物を成長させるために場所に適用される。例えば、除草剤は、雑草の発生を防ぐために、播種前、播種中、又はほとんどの場合、播種後及び作物が出芽する前に場所に適用することができる。したがって、除草剤は、作物を植える前(例えば、作物の種子を播く前)、作物を植えている間(例えば、作物の種子を播く間)、又はほとんどの用途において、作物を植えた後(例えば、作物の種子を播いた後)及び作物が現れる前に、場所に適用することができる。
【0042】
他の実施形態では、作物の出芽後に除草剤を場所に適用することができる。追加的に又は代替的に、当該作物が部分的に成長したときに、除草剤を場所に適用してもよい。例えば、作物は、BBCH穀物01~BBCH穀物19の成長段階まで成長している場合がある。多くの場合、作物は、BBCH穀物01~BBCH穀物11の成長段階まで成長している。例えば、作物は、およそBBCH穀物11などのBBCH穀物09~BBCH穀物14の成長段階に成長することができる。
【0043】
典型的には、その場所への除草剤の適用は、その場所の土壌への除草剤の適用を含む。通常、除草剤は、土壌の表面に適用される。しかしながら、雑草が部分的に成長した場所、特に出芽後の成長段階、例えばBBCH雑草09~BBCH雑草19の成長段階に成長したときに、除草剤を場所に適用すると、雑草に除草剤を直接適用することができる。通常、除草剤は、散布によって適用される。
【0044】
上述したように、本発明において使用されるナプロパミドは、ラセミナプロパミドとすることができ、すなわち、等量のD-ナプロパミド(ナプロパミド-M又は(R)-ナプロパミドとも呼ばれる)及びL-ナプロパミド((S)-ナプロパミドとも呼ばれる)の混合物とすることができる。しかしながら、ナプロパミドの2つの異性体のうち、D-異性体のみが有意な除草活性を有することが知られており、したがって、D-ナプロパミドは、ラセミナプロパミドよりも優先して使用することができる。したがって、多くの場合、本発明において使用されるナプロパミドは、L-ナプロパミドよりも多くのD-ナプロパミドを含む。例えば、本発明において使用されるナプロパミドにおけるD-ナプロパミド及びL-ナプロパミドのモル比は、1:1よりも大きくてもよい。使用されるD-ナプロパミドのL-ナプロパミドに対するモル比は、例えば少なくとも3:2、又は例えば少なくとも7:3、例えば少なくとも4:1、又は少なくとも9:1とすることができる。本発明において使用されるナプロパミドは、例えば、D-ナプロパミドであってもよい。したがって、除草剤は、多くの場合、L-ナプロパミド((S)-ナプロパミド)を実質的に含まないか又は含まない。換言すれば、本発明は、有効成分がD-ナプロパミドであるL-ナプロパミドを含む組成物を除外しない。しかしながら、典型的には、本発明では、除草剤は、L-ナプロパミドを含まない。したがって、本発明において使用されるナプロパミドは、D-ナプロパミドからなることができる。
【0045】
本発明において、除草剤は、その場所での雑草作物の制御を達成するために任意の適切な量で適用することができる。除草剤は、例えば、約10g/Ha~約2kg/HaのD-ナプロパミド、又は例えば約10g/Ha~約1.5kg/HaのD-ナプロパミドに相当する量で適用することができる。例えば、除草剤は、約10g/Ha~約1kg/HaのD-ナプロパミドに相当する量で適用することができる。例えば、除草剤は、約450g/LのD-ナプロパミドを含む懸濁液濃縮物から適用することができる。したがって、そのような組成物の0.1L/Ha投与は、45g/HaのD-ナプロパミドの投与に相当する。同様に、そのような組成物の0.4L/Ha投与は、180g/HaのD-ナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の0.7L/Ha投与は、315g/HaのD-ナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の1L/Ha投与は、450g/HaのD-ナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の1.4L/Ha投与は、630g/HaのD-ナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の1.7L/Ha投与は、765g/HaのD-ナプロパミドの投与に相当するなどである。
【0046】
より多くの場合、本発明では、除草剤は、約400g/Ha~約700g/HaのD-ナプロパミドに相当する量で適用される。本発明者らは、雑草に対する活性は減らないが、作物への長期効果(例えば、開花後約25~約54日測定、DAA)がそのような投与レベルで改善することができるため、そのような投与レベルが特に有利であることを見出した。例えば、約450g/LのD-ナプロパミドを含む約1~約1.5L/Haの懸濁液濃縮物に対応する投与計画が特に有利であることがわかった。
【0047】
前の2つの段落で引用されたg又はkg単位のナプロパミドの各量は、D-ナプロパミド及びL-ナプロパミドの両方を含むナプロパミドの総量ではなく、D-異性体、すなわちD-ナプロパミドの量であることが強調されるべきである。上述したように、除草剤は、D-ナプロパミドに加えてL-ナプロパミドを含んでも含まなくてもよい(例えば、ラセミナプロパミドを含んでもよい)。除草剤がL-ナプロパミドを含まない場合、すなわち、除草剤組成物に使用されているナプロパミドがD-ナプロパミドのみである場合、D-ナプロパミドの量に関する上記の2つの段落の各値は、除草剤中のナプロパミドの量の合計と同じになる。一方、除草剤に使用されるナプロパミドがラセミナプロパミドであり、したがってD-ナプロパミドとL-ナプロパミドのモル比が1:1である場合、D-ナプロパミドの量について前の2つの段落で前述した各値は、D-及びL-ナプロパミドの両方を含む、適用される除草剤中のナプロパミドの総量の半分である。
【0048】
例えば、いくつかの実施形態では、本発明において使用されるナプロパミドは、ラセミナプロパミドであり、D-及びL-異性体の両方を含むナプロパミドの総量は、D-ナプロパミドについて上記指定した量の2倍になる。したがって、いくつかの実施形態では、除草剤に使用されるナプロパミドは、ラセミナプロパミドであり、除草剤は、約20g/Ha~約4kg/Haのラセミナプロパミド、又は例えば約20g/Ha~約3kg/Haのラセミナプロパミドに相当する量の場所で雑草作物の制御を達成するために適用することができる。例えば、除草剤は、約20g/Ha~約2kg/Haのラセミナプロパミドに相当する量で適用することができる。例えば、除草剤は、約450g/Lのラセミナプロパミドを含む懸濁液濃縮物から適用されてもよい。したがって、そのような組成物の0.2L/Ha投与は、90g/Haのラセミナプロパミドの投与に相当する。同様に、そのような組成物の0.8L/Ha投与は、360g/Haのラセミナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の1.4L/Ha投与は、630g/Haのラセミナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の2L/Ha投与は、900g/Haのラセミナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の2.8L/Ha投与は、1260g/Haのラセミナプロパミドの投与に相当し、そのような組成物の3.4L/Ha投与は、1530g/Haのラセミナプロパミドの投与に相当するなどである。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、ナプロパミドは、ラセミナプロパミドであり、除草剤は、約800g/Ha~約1400g/Haのラセミナプロパミドに相当する量で適用される。雑草に対する活性は減らないが、作物への長期効果(例えば、開花後約25~約54日測定、DAA)がそのような投与レベルで改善することができるため、そのような投与レベルは特に有利である。例えば、約450g/Lのラセミナプロパミドを含む約2~約3L/Haの懸濁液濃縮物に対応する投与計画が特に有利である。
【0050】
本発明において、ナプロパミドは、ナプロパミドに加えて少なくとも1つの農学的に許容される賦形剤、希釈剤、アジュバント及び/又は薬害軽減剤を含む組成物に含まれることが多い。農学的に許容される賦形剤は、担体、不活性材料、有機又は無機溶媒、鉱物、混合溶媒、湿潤剤及び/又は乳化剤、接着剤、固化防止剤、解膠剤などから選択することができる。そのような除草剤組成物は、固体及び液体製剤の形態で処方することができる。農学的に許容されるアジュバントは、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤から選択することができる。農学的に許容される希釈剤は、水などの液体希釈剤及び粘土、珪藻土、ベントナイト、シリカなどの固体希釈剤から選択することができる。本発明では、液体希釈剤が最も一般的に使用される。通常、水が希釈剤として使用される。農学上許容される薬害軽減剤は、作物植物の除草剤の生化学的標的又は受容体タンパク質と直接相互作用することにより、除草剤の取り込み又は転流を減らすことによって活性型の作物植物に到達する除草剤の量を減らすことにより、及び/又は除草剤の分解を増加させて活性の低い又は不動の代謝物にすることにより、作用することができる。
【0051】
本発明において、ナプロパミドは、多くの場合しばしば、追加の活性剤を更に含む組成物に含まれる。追加の活性剤は、典型的には、双子葉雑草に対して選択的な第2除草剤などの他の除草剤である。広範囲の除草剤も使用可能である。追加の活性剤は、一般に穀物に対して活性ではない。追加の活性剤は、例えば、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンを含んでもよい。
【0052】
本発明はまた、穀物を栽培するための場所において雑草を選択的に制御する方法において、当該方法が、場所へのナプロプラミドの適用を備え、穀物が、その場所に存在するか又は当該ナプロパミドを適用した後にその場所に植えられる、方法を提供する。本発明のそのような態様では、雑草は、典型的には、本明細書で定義されるとおりであり、ナプロパミドは、典型的には、本明細書で定義されるとおりであり、及び/又はナプロプラミドの適用は、典型的には、本明細書で定義されるとおりである。本方法は、場所への除草剤の適用とそれに続く穀物の作付けを含んでもよく、又は穀物の作付けとそれに続く除草剤の適用を含んでもよい。
【0053】
本発明はまた、雑草及び穀物の両方がその場所に存在し、そこに適用される雑草の選択的制御のための除草剤を有する穀物を栽培するための場所を提供し、当該除草剤は、ナプロパミドからなるか又はナプロパミドを含む。本発明のそのような態様では、雑草は、典型的には、本明細書で定義されるとおりであり、ナプロパミドは、典型的には、本明細書で定義されるとおりであり、及び/又はナプロプラミドの適用は、典型的には、本明細書で定義されるとおりである。雑草、穀物及び除草剤組成物自体に加えて、穀物を栽培するのに適した土壌を典型的に含む場所は、本明細書で更に定義されるとおりであってもよい。例えば、場所は、植木鉢や成長袋などの容器、花壇又は畑とすることができる。
【0054】
本発明はまた、穀物を栽培するための場所で雑草を選択的に制御するためのナプロパミド及び使用説明書を含むキットを提供する。使用説明書は、典型的には、ナプロパミドの場所への適用に関する説明書を含む。穀物は、その場所に存在するか又は当該ナプロパミドをその場所に適用した後にその場所に植えられる。
【0055】
通常、キットは、以下を備える:
i)ナプロパミドを含む第1のコンポーネント;
ii)農薬として許容される賦形剤、希釈剤、アジュバント、及び/又は薬害軽減剤を含む第2のコンポーネント;
必要に応じて更に以下を備える:
iii)追加の活性剤を含む第3のコンポーネント;及び/又は
iv)使用説明書。
【0056】
通常、使用説明書は、キットのコンポーネントを混合するようにユーザに指示する説明書を含む。通常、使用説明書は、キットのコンポーネントを場所に適用する前にキットのコンポーネントを混合するようにユーザに指示する説明書を含む。
【0057】
多くの場合、キットのコンポーネントは、別々に包装される。しかしながら、本発明は、コンポーネントが別々に包装されているキットに限定されるものではない。例えば、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントは、一緒に包装されてもよく又は一緒に処方されてもよい。上述した第3のコンポーネントが存在する場合、第1のコンポーネントは、第3のコンポーネントと一緒に包装されてもよく又は一緒に処方されてもよい。あるいは、第2のコンポーネントは、第3のコンポーネントと一緒に包装されるか又は一緒に処方されてもよい。更に他の実施形態では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、及び第3のコンポーネントは、一緒に包装されてもよく又は一緒に処方されてもよい。
【0058】
第1のコンポーネント及び第3のコンポーネントが別々に包装される本発明のキットの実施形態では、第1のコンポーネント及び第3のコンポーネントは、場所に投与される前にタンク混合することができる。典型的には、そのような場所への投与は噴霧による。
【0059】
第1のコンポーネント及び第3のコンポーネントが一緒に包装される本発明のキットの実施形態では、他のコンポーネント、例えば第2のコンポーネントは、別々に包装されてもよい。そのような実施形態では、コンポーネント(すなわち、(i)第1のコンポーネント及び第3のコンポーネント;及び(ii)第2のコンポーネント)は、場所に投与される前にタンク混合することができる。典型的には、そのような場所への投与は噴霧による。
【0060】
したがって、典型的には、本発明のキットでは以下のとおりである:
a)追加の活性剤を含む第3のコンポーネントが存在し、当該第1のコンポーネント及び当該第3のコンポーネントは、別々に包装され、好ましくは、第1のコンポーネント及び当該第3のコンポーネントは、場所への投与前のタンク混合に適した形態で提供される;又は
b)追加の活性剤を含む第3のコンポーネントが存在し、当該第1のコンポーネント及び当該第3のコンポーネントが一緒に処方され、好ましくは、第1のコンポーネント及び当該第3のコンポーネントは、場所への投与前に当該第2のコンポーネントとタンク混合するのに適した形態で提供される。
【0061】
典型的には、本発明のキットでは、当該ナプロパミドは、D-ナプロパミドである。
【0062】
典型的には、本発明のキットにおいて、追加の活性剤を含む第3のコンポーネントが存在する場合、当該追加の活性剤は、エトフメセート、フルフェナセット及び/又はペンジメタリンから選択される。
【0063】
典型的には、使用説明書は、穀物を栽培するための場所に第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を投与するようにユーザに指示し、穀物は、その場所に存在するか又は当該投与後にその場所に植えられる。多くの場合、使用説明書は、穀物を栽培する場所に第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を投与するようにユーザに指示し、雑草及び穀物が両方とも場所に存在する。換言すれば、使用説明書は、典型的には、穀物及び単子葉雑草を成長させる場所に第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を投与するようにユーザに指示する。
【0064】
典型的には、使用説明書は、例えば、栽培場所において、少なくとも2cmなどといった、少なくとも深さ1cmで植え付けられている穀物に、第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を投与するようにユーザに指示する。
【0065】
典型的には、使用説明書は、雑草Alopecurusが存在する場所で第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を投与するようにユーザに指示する。多くの場合、使用説明書は、穀物及び雑草を栽培している場所に第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を投与するようにユーザに指示し、雑草は、ナプロパミドとは異なる従来の選択的除草剤による制御に対して耐性を有する。
【0066】
典型的には、使用説明書は、第1のコンポーネント(すなわち、ナプロパミド又はナプロパミドを含む組成物)を、穀物及び単子葉雑草を成長させる場所に、第2の除草剤とともに投与するようにユーザに指示する。通常、第2の除草剤は、第3のコンポーネントが存在する場合、第3のコンポーネントに含まれる。
【0067】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。しかしながら、それらは決して本発明を限定するものではない。特に、穀物を栽培するための場所に除草剤組成物を適用すると、有効性と選択性の尺度が存在する可能性があるため、特定の方法での否定的な結果は決定的ではない。
【実施例
【0068】
450g/Lナプロパミド-m(40.9%w/w)を含む懸濁液濃縮物(SC)を生成し、本明細書に記載のように作物に適用した。ナプロパミドの懸濁液濃縮物は、商品名Devrinol(United Phosphorus)として市販されている。
【0069】
実施例1
450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物を、出芽前又は出芽後に冬小麦に適用した。正規化された植物数は、除草剤の非存在下で観察された植物数のパーセンテージとして求めた。上記で定義した従来の除草剤Trooperを使用して、対照実験を実施した。作物に適用される組成物の量及び投与経路が以下の表1に示される。
【0070】
【表2】
【0071】
10月に除草剤を散布した6回の野外試験の結果(ナプロパミド、Trooper低用量:4サイト;Trooper高用量:2サイト)の平均を図1に示す。わかるように、ナプロパミドの適用は、冬小麦の成長に検出可能な影響を及ぼさなかった。出芽後の植物の生存率は、ナプロパミドの非存在下での生存率に対して100%であった。
【0072】
同様の実験を他の場所で実施し、種子の深さの影響を測定した。以下の実施例3を参照されたい。上記で定義した従来の除草剤Trooper及びXertonを使用して、対照実験を実施した。作物に適用される組成物の量及び投与経路が以下の表2に示される。
【0073】
【表3】
【0074】
結果を図2に示す。わかるように、ナプロパミドの適用は、冬小麦の成長に非常に低い影響を及ぼした。出芽後の植物の生存率は、従来の除草剤Trooper/Malibu及びXertonの適用後の生存率と同等であった。
【0075】
実施例2
450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物を、出芽前又は出芽後に冬小麦に適用した(BBCH11)。植物毒性のパーセンテージを判定した。上記で定義した従来の除草剤Trooperを使用して対照実験を実施した。作物に適用される組成物の量及び投与経路、並びにその結果を以下の表3に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
結果は、ナプロパミドが小麦などの穀物に対して低い植物毒性を示すことを示している。
【0078】
実施例3
作物の種子が植え付けられた深さの影響を評価するために実験を実施した。450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物を、出芽前の冬小麦に噴霧によって適用した。正規化された植物数は、除草剤の非存在下で観察された植物数のパーセンテージとして20DAAで判定した。上記で定義した従来の除草剤Trooper及びXertonを使用して、対照実験を実施した。作物に適用された組成物の量、及び植物成長の結果を以下の表4に示す。
【0079】
【表5】
【0080】
結果は、ナプロパミドが冬小麦に対して選択的であり、播種深さが増加した場合に特に有益であることを示している。
【0081】
実施例4
450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物の適用後の時間(開花後日数として測定、DAA)の増加の影響を評価するために実験を実施した。除草剤組成物は、植木鉢試験(植え付け深さ2cm)で出芽前の冬小麦に散布によって適用された。除草剤の非存在下で観察された植物数の割合として正規化された植物数を判定した。
【0082】
上記で定義した従来の除草剤Trooper及びXertonを使用して、対照実験を実施した。作物に適用される組成物の量、及び結果として生じる植物の成長を以下の表5に示す。
【0083】
【表6】
【0084】
結果は、ナプロパミドが冬小麦に対して選択的であり、植物毒性効果が時間とともに減少することを示している。従来の除草剤Xertonと比較して、植物毒性の大幅な低下が観察される。ナプロパミドをSCで1.7L/Ha未満で450g/L投与すると、特に有益な効果が見られる。
【0085】
実施例5
450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物の適用後の時間(開花後日数として測定、DAA)の増加の影響を評価するために実験を実施した。除草剤組成物は、植木鉢試験(植え付け深さ2cm)で出芽前の冬小麦に散布によって適用された。植物毒性の割合を判定した。上記で定義した従来の除草剤Trooper及びXertonを使用して、対照実験を実施した。作物に適用される組成物の量、及び結果として生じる植物毒性を以下の表6に示す。
【0086】
【表7】
【0087】
結果は、ナプロパミドが冬小麦に対して選択的であり、植物毒性効果が時間とともに減少することを示している。従来の除草剤Xertonと比較して、植物毒性の大幅な低下が観察される。
【0088】
実施例6
ナプロパミド-mを含む除草剤組成物による、Xertonなどの従来の除草剤による制御に対して耐性を示す一般的な雑草ALOMY(Alopecurus myosuroides S株)の制御の有効性を評価するために、実験を実施した。450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物を適用した後、除草剤組成物の有効性のパーセンテージを経時的に判定した(開花後日数として測定、DAA)。除草剤組成物は、植木鉢試験(植え付け深さ2cm)で出芽前のALOMY(S株)に散布によって適用した。上記で定義した従来の除草剤Trooper/Malibu及びXertonを使用して対照実験を実施した。雑草に適用される組成物の量、及び結果として生じる雑草の成長の割合の制御を以下の表7に示す。
【0089】
【表8】
【0090】
結果は、ナプロパミドがALOMY(S株)などの雑草の成長を制御するのに効果的であることを示している。ナプロパミドは、Xertonなどの従来の除草剤よりもはるかに効果的であり、Trooper/Malibuなどの除草剤と比較して、大幅に低い散布率で改善された制御を達成することができる。
【0091】
実施例7
ナプロパミド-mを含む除草剤組成物による、Xertonなどの従来の除草剤による制御に対して耐性を示す一般的な雑草ALOMY(Alopecurus myosuroides Peldon-multi-R株)の制御の有効性を評価するために、実験を実施した。450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物を適用した後、除草剤組成物の有効性のパーセンテージを経時的に判定した(開花後日数として測定、DAA)。除草剤組成物は、植木鉢試験(植え付け深さ2cm)で出芽前のALOMY(Peldon-multi-R株)に散布によって適用された。上記で定義した従来の除草剤Trooper/Malibu及びXertonを使用して対照実験を実施した。雑草に適用される組成物の量、及び結果として生じる雑草の成長の割合の制御を以下の表8に示す。
【0092】
【表9】
【0093】
結果は、ナプロパミドがALOMY(Peldon-multi-R株)などの雑草の成長を制御するのに有効であることを示している。ナプロパミドは、Xertonなどの従来の除草剤よりもはるかに効果的であり、Trooper/Malibuなどの除草剤と比較して、大幅に低減された散布率で改善された制御を達成することができる。ナプロパミドをSCで1L/Haを超えて450g/L投与すると、特に有益な効果が見られる。
【0094】
実施例8
野外試験において、ナプロパミド-mを含む除草剤組成物が一般的な雑草ALOMY(Alopecurus myosuroides)を制御する効果を評価するために実験を実施した。雑草植物は、約5~10植物/m2の密度で発生した。450g/Lナプロパミド-mのSCからなる除草剤組成物の適用後、除草剤組成物の有効性のパーセンテージを開花後207日のDAAで測定した。除草剤組成物は、雑草の出芽前又は出芽後(BBCH 11)のいずれかに散布することにより適用された。上記で定義した従来の除草剤Trooperを使用して対照実験を実施した。雑草に適用される組成物の量、及び結果として生じる雑草の成長の割合の制御を以下の表9に示す。
【0095】
【表10】
【0096】
Nap=ナプロパミド-m
FFT=フルフェナセット
PDM=ペンジメタリン
【0097】
結果は、ナプロパミドがALOMYなどの雑草の成長を制御するのに効果的であり、Trooperなどの従来の除草剤とともに投与して、雑草制御の有効性を改善できることを示している。
図1
図2