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特許7311616自動車を自動的または半自動的に運転するためのセンサシステムと、ルーフ開放システムおよび/またはソリッドルーフ要素とを含むルーフモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】自動車を自動的または半自動的に運転するためのセンサシステムと、ルーフ開放システムおよび/またはソリッドルーフ要素とを含むルーフモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20230711BHJP
   B60J 7/043 20060101ALI20230711BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230711BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20230711BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230711BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230711BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20230711BHJP
   G01S 7/481 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
B60J7/02 Z
B60J7/043
B60R11/02 Z
B62D25/06 C
G08G1/09 H
B60W60/00
B60W50/00
G01S7/481 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021549346
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2019083672
(87)【国際公開番号】W WO2021032312
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】102019122193.5
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒュルゼン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】タンハイマー ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】レグラー ディルク
(72)【発明者】
【氏名】フーバー マックス
(72)【発明者】
【氏名】リントナー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デッペ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラングライス セドリック
(72)【発明者】
【氏名】マイルハマー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リオツキー ユーラチ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツヴァート アッヒム
(72)【発明者】
【氏名】レスポンデック ミヒャエル
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-199257(JP,A)
【文献】特開2019-038509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0037267(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0369003(US,A1)
【文献】特開2005-153719(JP,A)
【文献】特開2017-007417(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005035427(DE,A1)
【文献】特開2019-123437(JP,A)
【文献】特開2003-291648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0210436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00 - 7/22
B62D 25/06
B60R 11/00 - 11/06
B60R 21/00
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のルーフモジュールであって、
前記ルーフモジュールは、
ルーフスキン(52)と、
車体に取り付けられるように構成され、ルーフの横方向に延びる少なくとも1つの横フレーム部(23)と、前記ルーフの縦中心面の両側において、該ルーフの縦方向に延びる縦フレーム部(16)と、を有するルーフフレーム(22)と、
ルーフ開口部(18)を選択的に開閉するために、前記ルーフフレーム(22)の前記縦フレーム部(16)の一部であるガイドレール(21)に沿って、前記ルーフフレーム(22)に対して前記ルーフの縦方向に変位されるように構成されたリッド要素(20)を有するルーフ開口システム、および/または、透明性シースルー部(54)を有しかつ前記ルーフフレーム(22)に堅固に接続されたソリッドルーフ要素と、を備え、
車両ルーフ(10)を形成するために、コンパクトな構造ユニットとして、前記車体または車両フレームに接続することができ、
4つのコーナー部分のそれぞれにセンサモジュール(30,30A,30B,32A,32B)を有するセンサシステムをさらに備え、
4つの前記センサモジュール(30,30A,30B,32A,32B)は、
少なくとも1つの環境センサ(34,34A,34B,36A,36B)を有し、
前記ルーフ開口部(18)の外側、および/または、前記透明性シースルー部(54)の外側における前記ルーフフレーム(22)の上に配置され、
前記ルーフスキン(52)の一部でありかつ前記ルーフフレーム(22)の少なくとも一部を覆うカバー要素によって覆われる
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載されたルーフモジュールにおいて、
前記カバー要素は、センサシースルー部(59)を有し、
前記センサシースルー部(59)を通じて、前記環境センサ(34,34A,34B,36A,36B)が車両環境を検出する
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたルーフモジュールにおいて、
前記カバー要素は、少なくとも前記ルーフの横方向および/または前記ルーフの縦方向において、1000mmおよび10000mmの間の曲率半径を有する曲率を備える
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載されたルーフモジュールにおいて、
前記カバー要素の前記曲率は、前記ルーフの横方向および/または前記ルーフの縦方向に沿って変化する
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記カバー要素は軽量要素であり、プラスチック複合材料部品および/または射出成形プラスチック部品を含む
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記横フレーム部(23)は、フロントフレーム部であり、
前記環境センサ(34,34A,34B,36A,36B)は、前記フロントフレーム部に配置され、
前記カバー要素は、前記ルーフの横方向の全幅にわたって前記フロントフレーム部を覆うフロントカバー(26)である
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記横フレーム部は、リアフレーム部であり、
前記環境センサ(34)は、前記リアフレーム部に配置され、
前記カバー要素は、前記ルーフの横方向の全幅にわたって前記リアフレーム部を覆うリアカバーである
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記センサシステムの少なくとも1つのセンサが、前記縦フレーム部のそれぞれに配置される
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記センサモジュール(30,30A,30B,32A,32B)のための加熱アセンブリ、冷却アセンブリおよび/または洗浄アセンブリが設けられる
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記リッド要素(20)は、該リッド要素(20)がその開位置にあるとき、前記センサモジュール(30,30A,30B,32A,32B)の検出領域の外側に配置されることを特徴とするルーフモジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記ソリッドルーフ要素は、その縁部で前記ルーフフレーム(22)を覆い、前記センサモジュール(30,30A,30B,32A,32B)のための前記カバー要素を形成している
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記カバー要素は、前記センサシステムの起動状態を示す信号灯(65)を覆う
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
音響信号装置が設けられ、
前記音響信号装置は、車両環境と通信し、および/または前記センサシステムの起動状態を示す
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記カバー要素は、他のルーフスキン部に対して変位可能である
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
前記センサモジュールは、格納可能である
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
少なくとも4つのセンサモジュール(30,30A,30B,32A,32B)が設けられ、各センサモジュールが前記ルーフモジュールのコーナー部内に配置されている
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のルーフモジュールにおいて、
他の道路利用者と通信するアンテナモジュールが設けられている
ことを特徴とするルーフモジュール。
【請求項18】
車体と、請求項1から17のいずれか1項に記載のルーフモジュールと、を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用、特に乗用車用のルーフモジュールに関する。このルーフモジュールは、請求項1の前提部の特徴を含む。
【背景技術】
【0002】
この種のルーフモジュールは、従来から知られており、車両フレームを構成する車体上に別部品として配置可能な、車両ルーフ、特に乗用車のルーフである。ルーフモジュールは、純粋にソリッドルーフ(Festdach)とすることができる。このソリッドルーフは、パノラマルーフを形成するためのシースルー部分を形成する透明部分を有する。ルーフモジュールが設置位置にあるとき、すなわちルーフモジュールが車体又は車両フレームに接続されているとき、ソリッドルーフは、車体に対して固定されるように、すなわち車体に対して動かないように配置される。これに代えてまたはこれに加えて、ルーフモジュールは、それによってルーフ開口部を選択的に開閉することができる変位可能なリッド要素を備えるルーフ開放システムを有することができる。加えて、ルーフモジュールは、ルーフスキンを常に備える。このルーフスキンは、ルーフモジュールの外側の目に見える表面を形成し、ソリッドルーフ要素上にシースルー部分を形成するために部分的に透明であり、ルーフモジュールがルーフ開放システムを有する場合には、ルーフ開口部まで延びることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、問題の自動車の自動運転または半自動運転を可能にするセンサモジュールを、車両ルーフ上に配置することが知られている。これらのセンサモジュールは、環境センサを含む。これらの環境センサによって、車両環境を監視して検出することができる。これまで、車両ルーフは典型的には車両高さの最高点であり、そこから車両環境が容易に可視化されるため、センサモジュールは、車両ルーフの頂部に配置されてきた。しかしながら、前記頂部に配置されるように構成されたセンサモジュールは、顧客の要求を典型的に満足しない車両外観につながる。
【0004】
本発明の目的は、高度な視覚要求を満足しつつ自動的にまたは半自動的に自動車を運転する統合的な用途に適した自動車用ルーフモジュール、特に乗用車用ルーフモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を備えるルーフモジュールによって達成される。
【0006】
したがって、本発明によれば、ルーフ開口部を選択的に開閉するためのリッド要素を有するルーフ開放システム、および/または、透明性シースルー部(transparenten Durchsichtsbereich)を有するソリッドルーフ要素を備えるルーフモジュールが提案される。このルーフモジュールにおいて、少なくとも1つの環境センサを備えるセンサモジュールが一体的に設けられ、この環境センサは、ルーフ開口部または透明性シースルー部を遮蔽または覆わず、ルーフスキンの一部であるカバー要素のために、視覚的に魅力的となるようにルーフモジュール内に収容することができる。
【0007】
本発明は、ルーフセンサモジュール(RSM)としても知られたセンサルーフを提供する。このセンサルーフは、問題の車両が自動的または半自動的に運転することを可能にし、該センサルーフには、透明性ソリッドルーフ部および/または開放可能なルーフ部が設けられる。カバー要素の設計は、特に、ルーフスキンを視覚的に魅力的な方法で顧客の要求に適合させることを可能にする。自動運転モードでは、問題の車両が、少なくとも運転者による本質的な干渉なしに、自動的に運転する。半自動運転モードでは、本発明に係るルーフモジュールは、例えば、運転者支援システムの一部である。
【0008】
一体的な方法で、本発明に従って構成されるルーフモジュールは、車両の自動運転または半自動運転に必要な部品が収容される車両ルーフである。ルーフモジュールでは複数の機能要素が一体化されており、このルーフモジュールは、車両ルーフを形成するために、車両メーカによるコンパクトな構造ユニットとして、車体または車両フレームに接続することができる。ルーフモジュールは、特に、公知の自動車におけるバックミラーの領域に配置されかつ該自動車の乗客のための視野を制限する機能要素を含むこともできる。
【0009】
本発明に係るルーフモジュールに設けられる環境センサは、基本的に、多くの方法で構成され得るものであり、特に、LiDARセンサ、レーダーセンサ、カメラ等の光学センサ、および/または、類似のものを含めることができる。LiDARセンサは、好ましくは、905nmの波長範囲、または約1550nmの波長範囲でも動作する。環境センサとして使用されるカメラは、可視光の波長範囲および/または赤外線範囲で動作することができる。
【0010】
本発明に係るルーフモジュールは、特に乗用車に採用することができるが、デリバリーバンまたはトラクターユニットのようなユーティリティービークルの車両ルーフを形成することもできるし、またはその一部とすることもできる。
【0011】
本発明に係るルーフモジュールのルーフスキンは、単一の部品であってもよいし、複数の部品で構成されていてもよい。センサモジュールとルーフフレームの少なくとも一部とを覆うカバー要素は、ルーフスキンの一体部分、または、ルーフスキン要素とすることができる。例えば、カバー要素は、隣接するルーフスキン領域に対し、ロック手段、ネジおよび/または接着剤を介して接続される別個の部品とすることも考えられる。カバー要素と隣接するルーフスキン領域との間のウェザーストリップによって、飛散水および湿度がルーフモジュールに侵入するのを防ぐことができます。ルーフスキンが複数の部品から構成される場合、個々のルーフスキン要素の外面は、有利には互いに面一であり、その結果、調和したルーフスキンが形成される。
【0012】
好ましくは、カバー要素またはルーフスキンはセンサシースルー部を有し、このセンサシースルー部を通じて、環境センサが車両環境を検出する。センサシースルー部は、有利には、環境センサによって使用される波長に対して透過性を有する。特に、センサシースルー部は、300nmおよび2000nmの間の波長範囲にある環境センサの信号が、該センサシースルー部を通過することができるように構成される。
【0013】
本発明に係るルーフモジュールの好ましい実施形態では、センサモジュールの少なくとも一部を覆うカバー要素は、従来の車両ルーフの曲率に対応する曲率を有する。例えば、カバー要素は、ルーフの横方向(Dachquerrichtung)および/またはルーフの縦方向(Dachlangsrichtun)において、1000mmおよび10000mmの間、特に2000mmおよび5000mmの間の曲率半径を有する曲率を備える。したがって、カバー要素の曲率は、ルーフの横方向および/またはルーフの縦方向に沿って、その延長線にわたって変化することができる。
【0014】
好ましい実施形態では、カバー要素は軽量要素であり、本発明に係るルーフモジュールの総重量を低く保つために、好ましくは、プラスチック複合材料部品および/または射出成形プラスチック部品を含むか、またはそれらである。例えば、カバー要素は、繊維強化ポリウレタン層によって境界付けられたハニカム構造を含む。カバー要素が射出成形プラスチック部品である場合、そのカバー要素は、ポリカーボネート材料または別の適切なプラスチックで作ることができる。
【0015】
本発明に係るルーフモジュールのルーフフレームは、車体に取り付けられるように構成され、少なくとも1つの横フレーム部と、ルーフの縦方向に延びる2つの縦フレーム部と、を備え、センサモジュールのための支持体として設計することができる。このために、横フレーム部は、環境センサが配置されるフロントフレーム部とすることができる。この場合、カバー要素は、その全幅にわたってフロントフレーム部を覆うフロントカバーであることが好ましく、単一の部品であってもよく、複数の部品から構成してもよい。この場合、カバー要素は、問題の車両のフロントヘッダの一部であり、このフロントヘッダは、車両の横方向(Fahrzeugquerrichtung)に延びるフロントガラスフレームの上側フレーム脚部を形成する。
【0016】
しかしながら、横フレーム部は、環境センサが配置されるリアフレーム部とすることもでき、その場合、カバー要素は、単一の部品または複数の部品から構成されかつルーフの横方向の全幅にわたってリアフレーム部を覆うことができ、単一の部品または複数の部品から構成可能なリアカバーである。
【0017】
センサモジュールの領域内で本発明に係るルーフモジュールが平坦であるために、ルーフフレームは、これらの領域内のそれぞれに、センサモジュールが取り付けられる下降収容部を有してもよい。
【0018】
センサモジュールは、支持シートを有してもよい。この支持シートを介して、センサモジュールは、ルーフフレーム上に取り付けられる。支持シートは、好ましくは、車両環境を検出するために使用される複数の環境センサ、ならびに/または、環境センサのための加熱装置および/もしくは冷却装置、洗浄装置、電気ライン、流体ライン等、センサシステムの他の機能要素を収容して取り付ける役割を果たす。
【0019】
また、問題の自動車の側方環境を十分に検出することもできるようにすべく、センサシステムの少なくとも1つのセンサ、すなわち環境センサは、フレームの縦フレーム部のそれぞれに配置されてもよい。
【0020】
できるだけ多くの条件下で本発明に係るルーフモジュールを使用することができるようにすべく、センサモジュールのための加熱装置、冷却装置および/または洗浄装置を設けることができる。加熱装置、冷却装置および洗浄装置は、それぞれルーフフレーム上に配置することができ、あるいは、センサモジュール自身の一体化された部分とすることができる。加熱装置および冷却装置は、センサモジュールおよび環境センサが、それらの理想的な機能が確証される温度範囲に常に保たれることを確保する。冷却装置は、環境センサ自身によって生成されかつ該環境センサの動作に影響を及ぼし得る熱を放熱することもできる。したがって、本発明に係るルーフモジュールは、センサモジュールのための熱管理を特徴とすることができる。
【0021】
洗浄アセンブリは、特に、カバー要素のセンサシースルー部が清潔に保たれるとともに、洗浄液またはガスを洗浄流体として使用することができるように構成される。このセンサシースルー部を通じて、環境センサが車両環境を検知する。例えば、洗浄アセンブリは、流体ノズルを備える。この流体ノズルによって、洗浄流体が、センサシースルー部上の汚れの量に応じて、または所定の時間間隔で、気体または液体の形態で適用される。
【0022】
洗浄アセンブリは、センサシースルー部上の汚れの量を検出するための装置と結合してもよい。この検出装置には、例えば、光学装置、または、センサシースルー部の振動挙動に基づいて汚れの量を決定する装置を含めることができる。
【0023】
さらに、センサシースルー部自身が、洗浄アセンブリに加えて、加熱装置を有していれば好都合である。この加熱装置によって、センサシースルー部の曇りまたは氷結を防止することができる。
【0024】
本発明に係るルーフモジュールに、洗浄装置とクーラントで作動する冷却装置とが設けられていれば、該洗浄装置により使用される洗浄液によってクーラントを形成し、これを問題の車両のタンクに貯蔵することができる。そのタンクは、ルーフモジュール内に形成することができる。
【0025】
ルーフ開口システムを有するルーフモジュールに採用されるセンサモジュールが、ルーフ開口部が開いているときにも使用可能であることを確実にするために、リッド要素は、該リッド要素が開位置にあるとき、有利には、検知領域またはセンサモジュールの信号コーンの外側に配置される。
【0026】
ソリッドルーフ要素は、車両内部の上方に配置された透明性シースルー部を形成する。このソリッドルーフ要素は、好ましくは、センサモジュール用のカバー要素も形成しつつ、その縁部でルーフフレームを覆う。
【0027】
本発明に係るルーフモジュールの有利な実施形態では、少なくとも1つの信号灯が一体化される。この信号灯によって、センサシステム、ひいては問題の車両の動作モードまたは起動状態を示すことができる。信号灯は、ルーフモジュールの後部または前部に配置することができ、ルーフスキンまたはルーフスキンの一部であるカバー要素によって頂部で覆うことができる。特に、信号灯は、ADS(自動運転信号)灯として知られているものである。このADS灯は、問題の車両が自動運転モードにあるか否かを示す。
【0028】
車両が他の道路利用者と通信することを可能にする他の通信手段もまた、本発明に係るルーフモジュールに組み込むことができる。例えば、ルーフモジュールは、音響信号装置を有する。この音響信号装置は、車両環境、すなわち他の道路利用者と通信するとともに、センサシステムの起動状態に関する情報を提供することもできる。
【0029】
センサシステムまたはセンサモジュールが使用されていない非作動状態における環境条件および損傷に対する保護を提供するために、カバー要素は、他のルーフスキン領域に対して変位可能とすることができる。特に、センサモジュールが使用されていないときに、該センサモジュールをルーフモジュールの内部に格納することができるように、カバー要素を変位可能にすることが考えられる。
【0030】
本発明に係るルーフモジュールは、好ましくは少なくとも4つのセンサモジュールを備える。これらのセンサモジュールは、それぞれ、ルーフモジュールのコーナー部(Eckbereich)内に配置され、したがって少なくともほぼ全ての車両環境を検出することができる。これに加えて、または、これに代えて、例えばカメラによって形成される環境センサを、ルーフモジュールの中央前方領域または中央後方領域に配置することができる。カメラは、モノ/マルチ/マルチフォーカルおよび/またはステレオカメラを備えたり、それらとしたりすることができる。また、ルーフフレームのサイドフレームの縦ビーム(seitlichen Rahmenlangsholm des Dachrahmens)上に環境センサを配置することも考えられる。
【0031】
ルーフモジュールのコーナー部内に配置されるセンサモジュール間の距離は、問題の車両のタイプに依存する。従来のセダンであれば、この距離は、好ましくは、ルーフの縦方向において80cm~150cmである。ステーションワゴンであれば、コーナー部内に配置されるセンサモジュールの距離は、好ましくは、ルーフの縦方向において約100cm~300cmである。小型車両の場合、コーナー部内に配置されたセンサモジュール間のルーフの縦方向における距離は、40cmおよび120cmの間とすることができる。ルーフの横方向における距離は、それぞれ、60cmおよび140cmの間とすることができる。例えば、コーナー部内に配置されたセンサモジュール間の、車両の横方向における距離の、コーナー部内に配置されたセンサモジュール間の車両前後方向における距離に対する比率は、1:1および1:5の間の範囲内となる。実用車の場合、この比率は、1:5および1:10の間であってもよい。
【0032】
本発明に係るルーフモジュールの環境センサまたはセンサモジュールは、好ましくは。カバー要素によって形成されるルーフスキンの段差の後方に配置される。その段差の前面は、環境センサのためのセンサシースルー部を形成する。カバー要素の段差は、好ましくは、数センチメートルの高さ、特に約3cm~15cmの高さを有する。センサモジュールは、カバー要素によって形成される急峻に傾斜したルーフラインの後方、または、カバー要素によって形成されるこぶ状の隆起の後方に配置することもできる。
【0033】
好ましくは、センサモジュールは、50cm以下、好ましくは40cm以下、特に30cm以下の構造的高さを有する。
【0034】
本発明に係るルーフモジュールのルーフスキンはまた、好ましくは、非シースルー部を形成し、その非シースルー部の下方にセンサシステムの機能要素を配置することができる。機能要素は、好ましくは、センサシステムに必要とされる電気ライン、流体ラインおよび/または機械モジュールを備える。典型的にはルーフ開口システムの一部であるガイドレールは、ルーフスキンの非透明部によって覆うこともできる。
【0035】
本発明に係るルーフモジュールのルーフフレームは、該ルーフモジュールに一体化された支持体とすることができ、好ましくは、ルーフモジュールを車体または車両フレームに接続可能なインターフェースを形成する。
【0036】
さらに、本発明に係るルーフモジュールは、インターフェースを有してもよい。ルーフモジュールのセンサモジュールは、このインターフェースを介して、問題の車両の他のセンサ要素と通信することができる。他のセンサ要素は、例えばバンパーの領域に配置され、車両の自動運転に必要とされる。
【0037】
本発明に係るルーフモジュールは、少なくとも1つのアンテナモジュールと無線モデムとをさらに備えてもよい。アンテナモジュールは、無線信号、移動無線信号、GPS信号等を受信するように構成することができ、DSRCパッチアンテナのように構成することができる。アンテナモジュールは、特に、車間通信、または問題の車両と他の道路利用者との通信に役立てることができる。アンテナモジュールは、ルーフスキンのインサートのような、ルーフモジュールの射出成形プラスチック部分のインサートとすることができる。
【0038】
本発明に係るルーフモジュールは、車両フレームと同様の機械的インターフェースを有しかつ顧客の要求に応じて車両製造業者が選択できるルーフモジュール選択の一部としてもよい。
【0039】
本発明の主題の他の利点および有利な構成は、説明、図面および特許請求の範囲から明らかになる。
【0040】
本発明に係るルーフモジュールの実施形態の例は、図面中に概略的に簡略化された様式で示されるとともに、以下の説明においてより詳細に議論されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明に係るルーフモジュールを備える車両ルーフの斜視図である。
図2図2は、線II-IIに沿った図1のルーフモジュールの概略断面図である。
図3図3は、本発明に係るルーフモジュールを備える別の車両ルーフの概略上面図である。
図4図4は、線IV-IVに沿った図3の車両ルーフの概略断面図である。
図5図5は、本発明に係るルーフモジュールの別の実施形態を備える自動車の上面図である。
図6図6は、図5における線VI-VIに沿った図5のルーフモジュールの断面図である。
図7図7は、ルーフモジュールの別の実施形態を通じた図6に対応する縦断面図である。
図8図8は、本発明に係るルーフモジュールを備える車両の正面図である。
図9図9は、図8の車両の側面図である。
図10図10は、ルーフサイドビームの領域における図8の車両のルーフの断面図である。
図11図11は、フロントヘッダの領域における図8の車両のルーフの断面図である。
図12図12は、複数の環境センサを取り付けるための支持モジュールを備えるルーフモジュールの概略断面図である。
図13図13は、図12の支持モジュールの斜視図である。
図14図14は、4つのセンサモジュールを有する、本発明に係るルーフモジュールを備える車両ルーフの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、乗用車として構成された自動車の車両ルーフ10であって、車両フレーム上に配置されるルーフモジュール12を備える車両ルーフ10を示している。このルーフモジュール12は、特に、垂直方向に延びる車両の縦中心面(vertikale Fahrzeuglangsmittelebene)の両側に、ルーフサイドビーム16を備える。
【0043】
ルーフモジュール12は、問題の自動車が自動的に運転することを可能にする装置を備えたルーフセンサモジュール(RSM)である。
【0044】
図1に見られるように、ルーフモジュール12はルーフ開口部18を有している。このルーフ開口部18は、車両前後方向に変位可能なリッド要素20を用いることによって、選択的に開放または閉鎖することができる。この目的のために、リッド要素20は、その両側でガイドレール21に取り付けられる。ここで、各ガイドレール21は、ルーフフレーム22の一部である。ルーフフレーム22は、ルーフモジュール12の支持構造であり、図2に見られるように、フロントフレーム部分を形成する横ルーフビーム23を有する。ガイドレール21は、それぞれ、ルーフフレーム22の縦ルーフビームの一部である。
【0045】
ルーフモジュール12は、ルーフ開口部18の後方に、ソリッドルーフ要素を形成するルーフスキン部24を備えている。
【0046】
ルーフモジュール12は、ルーフ開口部18の前方に、ルーフスキン部26を備えている。このルーフスキン部26は、カバー要素であり、問題の自動車のフロントヘッダを形成する。このフロントヘッダは、ルーフの横方向に延在しており、フロントガラス28のフレームの上側横方向脚部である。
【0047】
ルーフモジュール12には、問題の車両が自動的に運転することを可能にし、かつ複数のセンサモジュール30A,30B,32A,32Bを有するセンサシステムが設けられている。ここで、複数のセンサモジュール30A,30B,32A,32Bは、ルーフスキン部26の下方に配置されており、それぞれ環境センサ34A,34B,36A,36Bを有する。環境センサ34A,34Bは、それぞれ、905nmおよび/または1550nmの波長で動作するLiDARセンサとして知られたものによって構成されている。2つの環境センサ36A,36Bは、それぞれ、モノ/マルチ/マルチフォーカルおよび/またはステレオカメラとして構成可能なカメラである。環境センサ36A,36Bのカメラは、可視光域および近赤外域で動作する。
【0048】
カバー要素を形成するルーフスキン部26は、センサモジュール30A,30B,32A,32Bのそれぞれの領域に、シースルー部38A,38B,40A,40Bを有している。シースルー部38A,38B,40A,40Bのそれぞれは、200nmから2000nmの間の波長、特に環境センサ34A,34B,36A,36Bによって使用される波長に対して透明である。加えて、シースルー部38A,38B,40A,40Bは、それぞれ、レーダー放射に対して透明とすることもできる。
【0049】
ルーフスキン部26によって形成されるカバー要素は、プラスチック製であり、特に、ポリカーボネート射出成形プラスチック部品、または、軽量複合材料部品である。
【0050】
フロントルーフスキン部26は、段差42を形成している。この段差42は、車両の縦中心面に対して鏡面対称であり、該車両の縦中心面から後方に向かって湾曲している。シースルー部38A,38Bは、ルーフモジュール12の各前縁部における段差42の前面に配置されている。シースルー部40A,40Bは、車両の縦中心面に近接したルーフスキン部26の上側に形成されており、互いに対称である。
【0051】
シースルー部38A,38B,40A,40Bをクリーンに保つことができるように、ルーフモジュールは、流体ノズル44A、44B,50A,50Bを有している。流体ノズル50A,50Bは、展開可能なノズルロッド上に配置されている。流体ノズル44A,44Bは、段差42の前方でルーフスキン部26に固定されている。流体ノズル44A,44B,50A,50Bは、それぞれ、流体コーンまたはスプレーコーンを生成するために、適切なラインを介して供給されかつ液体または気体であり得る洗浄流体を使用する。ここで、流体コーンまたはスプレーコーンは、必要に応じて各シースルー部に当たり、それを洗浄し、また、気体または空気が使用される場合には、それを乾燥させる。
【0052】
具体的な実施形態では、流体ノズル44A,44B,50A,50Bは、それぞれ、シースルー部38A,38B,40A,40B上の汚れの量の関数として動作する。汚れの量は、検知装置によって決定することができる。ここで、検知装置は、光学的に動作するか、あるいは、振動挙動を評価し、シースルー部38A,38B,40A,40Bの振動挙動の変化を汚れの量の変化として解釈する。
【0053】
センサモジュール30A,30B,32A,32Bは、ルーフ開口部18によって占有される領域の外側に配置されている。
【0054】
図3および図4は、乗用車としても構成された、車両フレームでありかつルーフモジュール12が配置された車体14を有する自動車1の断面を示す。ルーフモジュール12は、車体14の一部である両側の縦ビーム(seitlichen Langsholmen)16によって区画される車両ルーフを形成する。
【0055】
ルーフモジュール12は、ルーフスキン52を有する。このルーフスキン52は、中心領域に透明性ルーフ部54を形成し、この透明性ルーフ部54を通じて車内に光を取り入ることができる。ルーフスキン52は、ルーフモジュール12の支持構造とルーフモジュール12の車体へのインターフェースとを形成する周方向ルーフフレーム22に取り付けられている。
【0056】
図1及び図2に係るルーフモジュールと同様に、ルーフモジュール12は、問題の自動車が自動的に運転することを可能にする装置を備えたルーフセンサモジュール(RSM)である。この目的のために、ルーフモジュール12は、その4つのコーナー部分のそれぞれにセンサモジュール30を有している。各センサモジュール30には、少なくとも1つの環境センサ34が設けられており、この環境センサ34を用いることで、自動運転を実施するために車両環境を検出することができる。自動車のコントローラによって環境センサ34の検出信号を評価することで、現在の交通状況を決定することができ、それにより、自動車を現在の交通状況に自動的に適応させるとともに、それに応じて行動させることができる。センサモジュール30は、それぞれルーフフレーム22上に配置されているとともに、カバー要素を形成するルーフスキン52によって大きく覆われている。
【0057】
図1および図2に係る実施形態のように、環境センサ34は、様々な方法で構成することができ、例えば、LiDARセンサ、レーダーセンサ、カメラおよび/または別の適切なセンサを備えることができる。
【0058】
図3および図4に示す実施形態では、ルーフスキン52は、本質的に連続している。センサモジュール30のそれぞれの領域において、ルーフスキン52は開口部56を有している。この開口部56は、取り外し可能となるように固定されたメンテナンスカバー58によって閉じられている。メンテナンスカバー58は、各環境センサ34によって使用される波長域に対して透明であるシースルー部59を形成する。特に、シースルー部59は、200nm~2000nmの波長に対して透明である。レーダー放射に対する透過性も要求され得る。LiDARセンサは、環境センサとして利用することができ、例えば、905nmの波長および/または1550nmの波長を使用する。
【0059】
図4に示すように、環境センサ34は、それぞれ、支持板60上に配置される。この支持板60は、ネジ61によってルーフフレーム22にネジ留めされるか、あるいは、その一部である。さらに、洗浄ノズルまたは流体ノズル54は、支持板60に取り付けられる。ここで、流体ノズル54は、メンテナンスカバー58を貫通し、環境センサ34のためのシースルー部59における、メンテナンスカバー58の外側を洗浄するように機能する。洗浄ノズル44に洗浄流体を供給するために、供給ホース(図示せず)等が設けられる。これらは、支持板60および/またはルーフフレーム22に取り付けることができる。
【0060】
ルーフフレーム22の下方およびセンサモジュール30の下方には、滴下パン62が配置されている。この滴下パン62によって、侵入する可能性のある飛散水等が収集されて、管路63を介して排出される。
【0061】
メンテナンスカバー58は、周方向のウェザーストリップ64を介してルーフスキン52上に載置されている。加えて、メンテナンスカバー58は、ロックフック65を介して、取り外し可能となるようにルーフスキン52に固定されている。
【0062】
ルーフフレーム22上に配置されるセンサモジュール24は、ルーフシースルー部54の外側に配置されており、カバー要素を形成するルーフスキン52によって覆われている。ルーフスキンによって形成されるカバー要素は、センサモジュール24の隣に位置する領域において、ルーフフレーム22を追加的に覆う。
【0063】
図5および図6は、ルーフモジュール12によって形成される車両ルーフを示している。このルーフモジュール12も、車体の一部である両側のルーフサイドビーム16によって区画されている。
【0064】
ルーフモジュール12は、図6にそれ自体で図示されているが、ルーフセンサモジュール(RSM)である。このルーフセンサモジュールは、自動車が自動的に運転することを可能にする装置を備えている。
【0065】
上述した実施形態と同様に、図5および図6に係るルーフモジュール12は、ルーフフレーム22を備えている。このルーフフレーム22は、支持構造を形成しており、ルーフモジュール12の車体へのインターフェースである。さらに、ルーフモジュール12は、ルーフスキン52を構成している。このルーフスキン52は、中心領域に透明性シースルー部54を形成しており、このシースルー部54を通じて車内に光を取り入ることができる。ルーフスキン52は、ルーフフレーム22に固定されている。
【0066】
ルーフモジュール12は、その4つのコーナー部の各々にセンサモジュール30を有している。各センサモジュール30には、環境センサ34が設けられている。この環境センサ34によって、自動車の自動運転を実施するために、車両環境を検出することができる。センサモジュール30は、それぞれルーフフレーム22上に配置されている。センサモジュール30の環境センサ34は、それぞれ、上述の実施形態に従って構成することができる。
【0067】
透明なソリッドルーフ部54を形成するルーフスキン52は、ルーフモジュールのコーナー部内に延びている。これは、センサモジュール30が、ルーフスキン54によって覆われていることを意味する。手近なケースでは、ルーフスキン54は単一部品で構成される。しかしながら、複数のルーフスキン要素からルーフスキン54を構成することも考えられる。
【0068】
センサモジュール30の環境センサ34が車両環境を監視することを可能にするために、ルーフスキン54は、各センサモジュール24の領域に段差42を形成し、各段差42の前面にシースルー部59が形成される。また、段差の代わりに、わずかな隆起または急勾配のルーフラインを形成してもよい。シースルー部59は、環境センサ34によって使用される波長域に対して透明である。
【0069】
センサモジュール30がコーナー部内に配置されるので、それらセンサモジュール30は、互いに離間して、透明なソリッドルーフ部によって形成されるシースルー部54の外側に配置される。上述の実施形態において、センサモジュール30は、図示の構成ではルーフの横方向に少なくとも約70cm~100cmの距離を互いに空けており、ルーフの縦方向に少なくとも約120cm~180cmの距離を互いに空けている。
【0070】
さらに、ルーフモジュール12は、車両10が自動運転モードにあるか否かを車両環境に通知することができるADS灯65として知られているものを有しており、これは、垂直方向に延びるルーフの縦中心面(vertikalen Dachlangsmittelebene)に対して前方の領域の中間にある。
【0071】
図7は、ルーフモジュール12を形成する別の実施形態を示している。このルーフモジュール12は、ルーフ開口システムの一部であるリッド要素20によって選択的に、閉じられたり、少なくとも部分的に開かれたりすることができるルーフ開口部18を形成する点で、図5および図6に示すルーフモジュールとは相違する。ルーフ開口部18は、ルーフスキン52によって囲まれている。このルーフスキン52は、図5及び図6に係る実施形態と同様に、ルーフモジュールのコーナー部内のセンサモジュール30を覆う。ここで、センサモジュール30は、それぞれ環境センサ34を含み、ルーフモジュール12の一部であって車体とのインターフェースを形成するルーフフレーム22上に配置されている。
【0072】
リッド要素20は、スポイラールーフのリッド要素であり、その全開位置にあるときに、後部センサモジュール30の上方かつその視野の外側に配置される。前記センサモジュール30における環境センサ34の視野は、いずれも、リッド要素20の前記開位置において、遮られていない。
【0073】
それ以外の点では、図7に係るルーフモジュールは、図5および図6に係るルーフモジュールと同じように構成されている。そのため、簡潔化のためにさらに詳細には説明しない。
【0074】
図8図11は、乗用車として構成された自動車1であって、車体フレーム構造でありかつ車両ルーフ10が配置された車体2を有する自動車1を示している。車両ルーフ10は、ルーフセンサモジュール(RSM)として知られているものとして構成されており、したがって、自動車が自動的に運転することを可能にするセンサシステムが設けられたルーフモジュール12を備える。
【0075】
特に、図10および図11に示されるルーフモジュール12は、ルーフフレーム22を形成する支持構造と、ソリッドルーフ要素でありかつ外側ルーフスキンを形成する、部分的に透明なルーフスキン52と、を備える。
【0076】
さらに、ルーフモジュール12には、その4つのコーナー部の各々にセンサモジュール30が設けられている。各センサモジュール30は環境センサ34を備えており、この環境センサ34によって、自動車1の自動運転を実施するために、車両環境を検出することができる。センサモジュール30および環境センサ34は、上述した実施形態のセンサモジュールおよび環境センサと同様に構成され、車両内部の上方に位置する中央ルーフシースルー部の外側に配置される。
【0077】
センサモジュール30の各領域において、ルーフスキン52は隆起を形成する。各隆起は、センサモジュール30の構造的高さによって予め規定され、12.5cm以下である。センサモジュール30の構造的高さは、上部境界面がルーフ基線Aから約12.5cm以上離れないように選択される。ルーフ基線Aは、センサモジュールのない車両ルーフ、すなわち、センサモジュールに起因した、ルーフスキンにおける隆起を有さない車両ルーフのルーフラインに対応する線である。
【0078】
図12図14は、車両ルーフを形成するためのルーフモジュール12の断面を示す。ルーフモジュール12は、ルーフスキン52の一部であるパネルコンポーネント67を備える。図3および図4に係る実施形態と同様に、ルーフスキン52のパネルコンポーネント67は、複数の環境センサ36を備えるセンサモジュール34を覆う。環境センサ36は、共通の支持板60上に配置され、その支持板60上には冷却装置68も配置される。上述の実施形態の環境センサと同様に構成され得る環境センサ36に加えて、センサモジュール34は、加熱プレート69の形態で加熱装置を有する。この加熱プレート69は、支持板60と環境センサ36との間に配置され、この加熱プレート69によって、環境センサ36は、意図された動作温度に維持され得る。
【0079】
冷却装置68は、液体冷却要素を含む。この液体冷却要素は、環境センサ36によって生成される廃熱を吸収して放熱する。
【0080】
ルーフスキン52は、段差42を形成する。この段差42の前面には、環境センサ34のためのシースルー部59が形成されている。シースルー部59は、ウィンドウインサート70によって形成される。
【0081】
加えて、図12に係るルーフモジュールは、冷却ファン71を備える。この冷却ファン71は、冷却要素上に配置されており、冷却装置68と関連し、湿潤領域72内に配置される。それに対し、センサモジュール30は、乾燥領域73内に配置される。湿潤領域72では、ルーフスキン52のパネルコンポーネント67は、冷却ファンのための凹部又は穴74を有する。
【符号の説明】
【0082】
1 自動車
2 車体
10 車両ルーフ
12 ルーフモジュール
14 車両フレーム
16 ルーフサイドビーム
18 ルーフ開口部
20 リッド要素
21 ガイドレール
22 ルーフフレーム
23 横ルーフビーム
24 ルーフスキン部
26 ルーフスキン部
28 フロントガラス
30,30A,30B センサモジュール
32,32A,32B センサモジュール
34,34A、34B 環境センサ
36,36A,36B 環境センサ
38A,38B シースルー部
40A,40B シースルー部
42 段差
44A,44B 流体ノズル
48A,48B 洗浄装置
50A,50B 流体ノズル
52 ルーフスキン
54 シースルー部
56 開口部
58 メンテナンスカバー
59 シースルー部
60 支持板
61 ネジ
62 滴下パン
63 管路
64 ウェザーストリップ
65 ADS灯
67 パネルコンポーネント
68 冷却装置
69 加熱プレート
70 ウィンドウインサート
71 冷却ファン
72 湿潤領域
73 乾燥領域
74 穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14