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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】メチル化処理を使用した選択的な堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20230711BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230711BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20230711BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 B
C23C16/40
C23C16/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021564617
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020030434
(87)【国際公開番号】W WO2020223326
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】62/840,686
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
(73)【特許権者】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エックス. ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホワ チュン
(72)【発明者】
【氏名】シンリアン ルー
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-011057(JP,A)
【文献】国際公開第2019/070404(WO,A1)
【文献】特開2018-137435(JP,A)
【文献】特開2009-099839(JP,A)
【文献】特表2009-518844(JP,A)
【文献】国際公開第2018/140474(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
C23C 16/40
C23C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を処理するための方法であって、
第1の材料と、前記第1の材料とは異なる第2の材料とを有する被加工物を、プラズマ処理装置の処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置するステップと、
前記処理チャンバ内で、前記被加工物に対して有機ラジカルベースの表面処理プロセスを実施するステップであって、前記第1の材料が第1の吸着特性を有するように、かつ前記第2の材料が、前記第1の吸着特性とは異なる第2の吸着特性を有するように、前記第2の材料と比較して前記第1の材料の吸着特性を選択的に改変する、ステップと、
前記処理チャンバ内で、前記第の材料と比較して前記第の材料上に堆積材料が選択的に堆積されるように、前記被加工物上への堆積プロセスを実施するステップと、
を含
前記有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、
プラズマチャンバ内で1つまたは複数の種を生成するステップと、
1つまたは複数の有機ラジカルを含む混合物を作成するために、1つまたは複数の炭化水素分子を前記種と混合するステップと、
前記被加工物上の前記第1の材料および前記第2の材料を、前記処理チャンバ内で前記混合物に曝すステップと、
を含み、
前記プラズマチャンバは、分離グリッドによって前記処理チャンバから分離されており、
前記第1の材料は、誘電体材料を含み、前記第2の材料は、金属材料を含む、
方法。
【請求項2】
被加工物を処理するための方法であって、
第1の材料と、前記第1の材料とは異なる第2の材料とを有する被加工物を、プラズマ処理装置の処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置するステップと、
前記処理チャンバ内で、前記被加工物に対して有機ラジカルベースの表面処理プロセスを実施するステップであって、前記第1の材料が第1の吸着特性を有するように、かつ前記第2の材料が、前記第1の吸着特性とは異なる第2の吸着特性を有するように、前記第2の材料と比較して前記第1の材料の吸着特性を選択的に改変する、ステップと、
前記処理チャンバ内で、前記第1の材料と比較して前記第2の材料上に堆積材料が選択的に堆積されるように、前記被加工物上への堆積プロセスを実施するステップと、
を含み、
前記有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、
前記プラズマ処理装置のプラズマチャンバ内のプロセスガスから誘導されたプラズマを使用して1つまたは複数の種を生成するステップと、
フィルタリングされた混合物を生成するために、前記1つまたは複数の種をフィルタリングするステップと、
1つまたは複数の炭化水素分子を、フィルタリング後の前記フィルタリングされた混合物と混合するステップであって、前記プラズマチャンバの外側において、かつ前記プラズマチャンバからの下流の流れにおいて、1つまたは複数の有機ラジカルを含む混合物を作成する、ステップと、
前記第1の材料および前記第2の材料を前記1つまたは複数の有機ラジカルに曝すステップと、
を含み、
前記プラズマチャンバは、分離グリッドによって前記処理チャンバから分離されており、
前記第1の材料は、誘電体材料を含み、前記第2の材料は、金属材料を含む、
方法。
【請求項3】
前記有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、前記被加工物を1つまたは複数のメチルラジカルに曝す、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、結果的に前記第1の材料のメチル化をもたらす、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記堆積プロセスを実施するステップは、前記第1の材料および前記第2の材料を前駆体に曝すステップを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記誘電体材料は、前記有機ラジカルベースの表面処理プロセス中にメチル化され、
前記金属材料は、前記有機ラジカルベースの表面処理プロセス中にメチル化されない、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の炭化水素分子は、C2n+2の化学式を有し、
なお、nは、1以上かつ10以下である、
請求項記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の炭化水素分子は、C2nの化学式を有し、
なお、nは、2以上かつ10以下である、
請求項記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の種を、前記プラズマチャンバ内のプロセスガス中で誘導されたプラズマによって生成する、請求項記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスガスは、不活性ガスである、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記不活性ガスは、ヘリウムである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記プロセスガスは、水素ガスを含み、
前記種は、水素ラジカルを含む、
請求項記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の有機ラジカルを、分子の熱分解を使用して、またはUVアシストによる分子解離を使用して生成する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
誘電体層と銅層とを有する被加工物上へのAlの堆積プロセスを実施する方法であって、
前記誘電体層と前記銅層とを有する被加工物を、プラズマ処理装置の処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置するステップと、
前記処理チャンバ内で、前記被加工物に対してメチルラジカルベースの表面処理プロセスを実施するステップであって、前記銅層と比較して前記誘電体層を選択的にメチル化し、これによってメチル化された誘電体層を生成する、ステップと、
前記処理チャンバ内で、前記誘電体層と比較して選択的に前記銅層上にAl層を選択的に堆積させるための堆積プロセスを実施するステップと、
を含
前記メチルラジカルベースの表面処理プロセスは、
プラズマチャンバ内で1つまたは複数の種を生成するステップと、
1つまたは複数のメチルラジカルを含む混合物を作成するために、1つまたは複数の炭化水素分子を前記種と混合するステップと、
前記被加工物上の前記誘電体層および前記銅層を、前記処理チャンバ内で前記混合物に曝すステップと、
を含み、
前記プラズマチャンバは、分離グリッドによって前記処理チャンバから分離されている、
方法。
【請求項15】
誘電体層と銅層とを有する被加工物上へのAl の堆積プロセスを実施する方法であって、
前記誘電体層と前記銅層とを有する被加工物を、プラズマ処理装置の処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置するステップと、
前記処理チャンバ内で、前記被加工物に対してメチルラジカルベースの表面処理プロセスを実施するステップであって、前記銅層と比較して前記誘電体層を選択的にメチル化し、これによってメチル化された誘電体層を生成する、ステップと、
前記処理チャンバ内で、前記誘電体層と比較して選択的に前記銅層上にAl 層を選択的に堆積させるための堆積プロセスを実施するステップと、
を含み、
前記メチルラジカルベースの表面処理プロセスは、
前記プラズマ処理装置のプラズマチャンバ内のプロセスガスから誘導されたプラズマを使用して1つまたは複数の種を生成するステップと、
フィルタリングされた混合物を生成するために、前記1つまたは複数の種をフィルタリングするステップと、
1つまたは複数の炭化水素分子を、フィルタリング後の前記フィルタリングされた混合物と混合するステップであって、前記プラズマチャンバの外側において、かつ前記プラズマチャンバからの下流の流れにおいて、1つまたは複数のメチルラジカルを含む混合物を作成する、ステップと、
前記誘電体層および前記銅層を前記1つまたは複数のメチルラジカルに曝すステップと、
を含み、
前記プラズマチャンバは、分離グリッドによって前記処理チャンバから分離されている、
方法。
【請求項16】
前記メチルラジカルベースの表面処理プロセスは、前記層と比較して前記誘電体層の吸着特性を改変する、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
前記堆積プロセスは、前記被加工物をトリメチルアルミニウムおよびHO分子に曝すステップを含む、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本開示は、2019年4月30日に出願された“Selective Deposition Using Methylation Treatment”という表題の米国仮特許出願第62/840,686号明細書の優先権の利益を主張するものであり、同明細書を、参照により本明細書に援用するものとする。
【0002】
分野
本開示は、概して、被加工物の表面処理に関し、より具体的には、選択的な堆積を提供するための被加工物の表面処理に関する。
【0003】
背景
プラズマ処理は、半導体ウェハおよび他の基板の堆積、エッチング、レジスト除去、および関連処理のために半導体産業において広く使用されている。プラズマ源(例えば、マイクロ波、ECR、誘導など)は、基板を処理するための高密度プラズマおよび反応種を生成するためのプラズマ処理のためにしばしば使用される。
【0004】
概要
本開示の実施形態の態様および利点は、部分的に以下の説明に記載されるか、または以下の説明から把握され得るか、もしくは実施形態の実施を通じて把握され得る。
【0005】
本開示の1つの例示的な態様は、被加工物を処理するための方法に関する。当該方法は、被加工物を、処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置することを含む。被加工物は、第1の材料および第2の材料を有する。第2の材料は、第1の材料とは異なる。当該方法は、被加工物に対して有機ラジカルベースの表面処理プロセスを実施して、第1の材料が第1の吸着特性を有するように、かつ第2の材料が第2の吸着特性を有するように、第2の材料と比較して第1の材料の吸着特性を選択的に改変することを含む。第2の吸着特性は、第1の吸着特性とは異なる。当該方法は、第2の材料と比較して第1の材料上に材料が選択的に堆積されるように、被加工物上への堆積プロセスを実施することを含む。
【0006】
本開示の他の例示的な態様は、被加工物上に材料を選択的に堆積させるためのシステム、方法、および装置に関する。
【0007】
種々の実施形態の上記およびその他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することでより良好に理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を図示したものであり、明細書と併せて、関連する原理を説明するために役立つ。
【0008】
本明細書には、当業者に向けられた実施形態の詳細な説明が記載されており、本明細書は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の例示的な実施形態による、メチル化処理を使用した例示的な選択的な堆積プロセスを示す図である。
図2】本開示の例示的な実施形態による、例示的なプラズマ処理装置を示す図である。
図3】本開示の例示的な実施形態による、例示的な方法のフローチャートである。
図4】本開示の例示的な実施形態による、例示的な堆積プロセスのフローチャートである。
図5】本開示の例示的な実施形態による、例示的な方法のフローチャートである。
図6】本開示の例示的な実施形態による、例示的な表面処理プロセスのフローチャートである。
図7】本開示の例示的な実施形態による、例示的な表面処理プロセスのフローチャートである。
図8】本開示の例示的な実施形態による、表面処理プロセス中の例示的なプラズマ後のガス注入を示す図である。
図9】本開示の例示的な実施形態による、例示的な水素ラジカル源を示す図である。
図10】本開示の例示的な実施形態による、例示的なプラズマ処理装置を示す図である。
図11】本開示の例示的な実施形態による、例示的なプラズマ処理装置を示す図である。
【0010】
詳細な説明
以下では、複数の実施形態が詳細に参照され、これらの実施形態のうちの1つまたは複数の例が図面に図示されている。それぞれの例は、本開示を限定するものとして提供されているのではなく、実施形態を説明するものとして提供されている。実際に、当業者には、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、これらの実施形態に種々の修正および変更を加えることができることが明らかであろう。例えば、或る1つの実施形態の一部として図示または説明されている特徴を、別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変更を含むことが意図されている。
【0011】
本開示の例示的な態様は、半導体デバイスの製造において使用される半導体ウェハのような被加工物上に材料を選択的に堆積させることに関する。より具体的には、いくつかの実施形態では、表面処理プロセスを使用して、被加工物上の複数の異なる材料を選択的にメチル化することができる。メチル化された表面は、被加工物上のメチル化されていない表面と比較して、特定の材料に対する前駆体の吸着をブロックすることができる。これに関して、被加工物のメチル化された表面と比較してメチル化されていない表面上に、材料を選択的に堆積させることができる(例えば、メチル化されていない表面上には、メチル化された表面と比較してより多くの材料が堆積される)。
【0012】
半導体デバイスの製造ではフィーチャサイズが縮小し続けているので、選択的な堆積は、重要なプロセスステップであり得る。選択的な堆積とは、材料が、被加工物の或る特定の材料上には選択的に堆積される一方で、他の材料上には堆積されないことを指すことができる。既存の選択的な堆積方法には、現在のところ限界がある。
【0013】
本開示の例示的な態様によれば、メチル化プロセスのような有機ラジカルベースの表面処理プロセスを使用して、被加工物を処理することができる。有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、メチルラジカル(CHラジカル)の単分子層を、被加工物上の特定の表面と結合させることができる。被加工物上のいくつかの材料は、メチル化される一方で、被加工物上の他の材料は、メチル化されない。
【0014】
堆積プロセス(例えば、化学蒸着(CVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、または他の堆積プロセス)中には、特定の前駆体が、メチル化されていない表面に選択的に吸着して、メチル化されていない表面上への堆積を開始する。この同じ前駆体は、メチル化された表面には吸着せず、メチル化された表面上への堆積を低減する。あるいは、特定の前駆体は、メチル化されていない表面には吸着しないが、その一方でこの前駆体は、メチル化された表面には吸着する。この場合には、メチル化された表面上への堆積を開始することができる一方で、メチル化されていない表面上への堆積が低減される。このようにして、本開示の例示的な態様による有機ラジカルベースの表面処理プロセスを、被加工物上への選択的な堆積プロセスのために使用することができる。
【0015】
本開示の例示的な実施形態による1つの例示的な選択的な堆積プロセスは、誘電体材料(例えば、SiO、SiN、low-k誘電体層)と、金属材料(例えば、Cu層)とを含有する被加工物上にAlを堆積させるためのものである。メチルラジカルベースの表面処理プロセスは、被加工物をメチルラジカル(例えば、CHラジカル)に曝すことができる。メチルラジカルベースの表面処理プロセスは、結果的に誘電体層のメチル化をもたらすことができる。しかしながら、金属-CH結合(例えば、Cu-CH結合)の形成は困難であるので、金属層のメチル化は生じない。
【0016】
AlのALDプロセス中には、被加工物をトリメチルアルミニウム(TMA)およびHO分子に曝すことができる。被加工物がHO分子に曝されている間、HO分子は、金属層のような被加工物のメチル化されていない表面に吸着することができる。しかしながら、メチル化された誘電体層上のCHの単分子層は、HO分子の吸着をはじくことができる。
【0017】
被加工物がTMAに曝されている間、TMAは、被加工物のメチル化されていない表面上のHO種と反応して、Al-O含有種を生成する。(例えば、残留物および副生成物を除去するために処理チャンバをパージしながら)被加工物をTMAおよびHO分子に繰り返し曝すことにより、結果的に、メチル化されていない金属表面上に堆積されたAlのALD層を得ることができる。
【0018】
しかしながら、メチル化された誘電体表面上にはCH種が存在するので、このメチル化された金属表面には、Al(CHが吸着しない。ALD堆積プロセス中、メチル化された誘電体表面上にはAlが全くまたは殆ど堆積しない。この場合には、ALDのAl層を、金属表面(例えば、Cu表面)上には選択的に堆積させる一方で、誘電体表面上には堆積しないようにすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数回の堆積サイクルの後に、誘電体表面上におけるメチル化物が徐々に枯渇する可能性がある。この場合には、堆積プロセスの選択性を維持するために、複数回の堆積サイクルの後に、定期的なメチルラジカルベースの表面処理プロセスを実施することができる。
【0020】
上記のAlの堆積プロセスは、例示および説明の目的で提供されている。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の例示的な態様を使用して、メチル化された表面またはメチル化されていない表面に選択的に吸着する前駆体を用いる他の選択的な堆積プロセスを実施することができることを理解するであろう。その例には、例えば(1)HO、O、および/またはNOを前駆体として使用したSiOの堆積、(2)NHを前駆体として使用したSiNのALD、(3)その他、が含まれる。
【0021】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、「被加工物」または半導体ウェハを参照しながら説明される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の例示的な態様が、任意の半導体基板または他の適切な基板または被加工物に関連して使用され得ることを理解するであろう。さらに、数値と併せて「約」という用語が使用される場合には、記載された数値の10パーセント(10%)以内を指すことが意図されている。
【0022】
図1は、本開示の例示的な態様による、例示的な選択的な堆積プロセスの概要を示す。選択的な堆積プロセスは、被加工物50(例えば、半導体ウェハ)上で実施され得る。被加工物50は、基板(例えば、Siおよび/またはSiGe基板)を有することができる。被加工物50は、第1の材料層52(例えば、誘電体層)と、第2の材料層54(例えば、金属層)とを含むことができる。有機ラジカル(例えば、メチルラジカル)ベースの表面処理プロセス70は、被加工物50をCHラジカルのような有機ラジカルに曝すことができる。この結果、第1の材料層52のメチル化をもたらして、メチル化された第1の材料層56を生成することができる。メチル化された第1の材料層56は、メチルラジカルの単分子層を含むことができる。第2の材料層54は、有機ラジカルベースの表面処理プロセス70によってメチル化されない。例示的な有機ラジカル表面処理プロセスに関する詳細は、図6図9を参照しながら説明される。
【0023】
堆積プロセス80は、被加工物50上への材料の堆積を開始するために、被加工物50を1つまたは複数の前駆体に曝すことができる。本開示の例示的な態様によれば、メチル化された第1の材料層56は、前駆体の吸着に抵抗することができ、その一方で、第2の材料層56は、前駆体の吸着を有することができる。この場合には、第2の材料層54上への堆積層60の選択的な堆積を、この堆積層60が第1の材料層56上に堆積されないように実施することができる。
【0024】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、選択的な堆積プロセスの態様を実施するために使用され得る例示的なプラズマ処理装置100を示す。図示のように、プラズマ処理装置100は、処理チャンバ110と、処理チャンバ110から分離されたプラズマチャンバ120とを含む。処理チャンバ110は、基板ホルダまたはペデスタル112を含み、この基板ホルダまたはペデスタル112は、半導体ウェハのような処理されるべき被加工物114を保持するように動作可能である。この例示的な図では、プラズマは、誘導結合プラズマ源135によってプラズマチャンバ120(すなわち、プラズマ生成領域)内で生成され、望ましい種は、プラズマチャンバ120から分離グリッドアセンブリ200を通って基板114の表面へと送られる。
【0025】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、誘導結合プラズマ源を参照しながら説明される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のプラズマ源(例えば、誘導結合プラズマ源、容量結合プラズマ源など)が使用され得ることを理解するであろう。
【0026】
プラズマチャンバ120は、誘電体側壁122と、天井124とを含む。誘電体側壁122と、天井124と、分離グリッド200とが、プラズマチャンバ室内125を画定する。誘電体側壁122は、石英および/またはアルミナのような誘電体材料から形成され得る。誘導結合プラズマ源135は、誘導コイル130を含むことができ、この誘導コイル130は、プラズマチャンバ120の周りの誘電体側壁122に隣接して配置されている。誘導コイル130は、適切なマッチングネットワーク132を介してRF電力発生器134に結合されている。プロセスガス(例えば、反応体および/またはキャリアガス)は、ガス供給部150および環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構からチャンバ室内に供給され得る。RF電力発生器134からのRF電力によって誘導コイル130にエネルギ供給されると、プラズマチャンバ120内でプラズマが生成され得る。特定の実施形態では、プラズマ処理装置100は、誘導コイル130とプラズマとの容量結合を低減させるために、オプションの接地されたファラデーシールド128を含むことができる。
【0027】
図2に示されるように、分離グリッド200は、プラズマチャンバ120を処理チャンバ110から分離する。分離グリッド200を使用して、プラズマチャンバ120内のプラズマによって生成された混合物からイオンフィルタリングを実施して、フィルタリングされた混合物を生成することができる。フィルタリングされた混合物は、処理チャンバ110内の被加工物114に曝され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、分離グリッド200は、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。例えば、分離グリッド200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含むことができ、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、相互に平行な関係で離間されている。第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、所定の距離だけ分離され得る。
【0029】
第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子は、分離グリッド200のそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性物質(例えば、ラジカル)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。孔の寸法と、それぞれのグリッドプレート210および220の厚さとは、荷電粒子および中性粒子の両方の透過性に対して影響を与えることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210は、金属(例えば、アルミニウム)または他の導電性材料から形成され得、かつ/または第2のグリッドプレート220は、導電性材料または誘電体材料(例えば、石英、セラミックなど)から形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210および/または第2のグリッドプレート220は、シリコンまたは炭化シリコンのような他の材料から形成され得る。グリッドプレートが金属または他の導電性材料から形成されている場合には、グリッドプレートは、接地され得る。
【0031】
図3は、本開示の例示的な態様による、被加工物上に材料を選択的に堆積させるための例示的な方法(300)のフローチャートを示す。方法(300)は、プラズマ処理装置100を使用して実施され得る。しかしながら、本開示の例示的な態様による選択的な堆積方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のアプローチを使用して実施され得る。図3は、例示および説明の目的で、特定の順序で実行されるステップを示す。本明細書において提供される開示を使用する当業者は、本明細書に記載されている方法の任意の種々のステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のやり方で省略、拡張、同時実行、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の追加的なステップ(図示せず)が実行され得る。
【0032】
(302)において、本方法は、被加工物を、処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置することを含むことができる。例えば、被加工物114は、プラズマ処理装置100の処理チャンバ110内のペデスタル112上に配置され得る。被加工物は、第1の材料および第2の材料を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の材料は、誘電体層(例えば、SiO、SiN、low-k誘電体材料など)であり得る。いくつかの実施形態では、第2の層は、銅層のような金属層であり得る。選択的な堆積プロセスは、例えば、半導体デバイス製造におけるバックエンドオブライン(BEOL)プロセスの一部として、金属層上に材料の層を堆積させるために使用され得る。
【0033】
(304)において、本方法は、被加工物に対して有機ラジカルベースの表面処理プロセス(例えば、メチルラジカルベースの表面処理プロセス)を実施して、第1の材料層および第2の材料層をCHラジカルのような1つまたは複数の有機ラジカルに曝すことを含むことができる。例示的な有機ラジカルベースの表面処理プロセスに関する詳細は、図6図9を参照しながらより詳細に説明される。
【0034】
メチルラジカル(CH)ラジカルのような有機ラジカルは、第1の材料層と反応して、結果的に第1の材料層のメチル化をもたらす(例えば、第1の材料層の表面上にメチルラジカルの単分子層を形成する)ことができる。有機ラジカルは、第2の材料層とは反応せず、その結果、第2の材料層のメチル化は起こらない。
【0035】
第2の材料層と比較して第1の材料層をメチル化することにより、第2の材料層と比較して第1の材料層の吸着特性を選択的に改変することができる。例えば、堆積プロセスにおいて使用される前駆体に対する第1の材料層の吸着性を、メチル化された第1の材料層に関して第2の材料層と比較して低減すること、またはその逆にすることができる。
【0036】
(306)において、本方法は、第1の材料層と比較して第2の材料層上に堆積層が選択的に堆積されるように、被加工物上への堆積プロセス(例えば、CVDプロセス、ALDプロセスなど)を実施することを含むことができる。より具体的には、堆積層は、第1の材料層と比較して第2の材料層上に、例えば少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、より多くの量で堆積される。いくつかの実施形態では、堆積プロセスは、1回または複数回のサイクルを含むことができる。それぞれのサイクル中に、被加工物は、被加工物上への材料の堆積を開始するために1つまたは複数の前駆体に曝される。次に、処理チャンバから前駆体および任意の副生成物をパージすることができる。被加工物上に望ましい量の堆積材料が堆積されるまで、これらの堆積サイクルを繰り返すことができる。
【0037】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、堆積プロセス(306)の例示的な堆積サイクルのフローチャートを示す。方法(306)は、プラズマ処理装置100を使用して実施され得る。しかしながら、本開示の例示的な態様による選択的な堆積方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のチャンバを使用して実施され得る。図4は、例示および説明の目的で、特定の順序で実行されるステップを示す。本明細書において提供される開示を使用する当業者は、本明細書に記載されている方法の任意の種々のステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のやり方で省略、拡張、同時実行、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の追加的なステップ(図示せず)が実行され得る。
【0038】
(320)において、本方法は、被加工物を第1の前駆体に曝すことを含むことができる。被加工物の一部上への層の堆積が開始されるように、第1の前駆体を選択することができる。例えば、被加工物のメチル化されていない材料層上に堆積層が堆積されるように、第1の前駆体を選択することができる。前駆体は、被加工物上の種との反応から副生成物を生成する可能性がある。
【0039】
(322)において、本方法は、プロセスチャンバから前駆体および任意の副生成物をパージすることを含むことができる。例えば、ポンプは、被加工物を有する処理チャンバから前駆体を排出することができる。
【0040】
(324)において、本方法は、被加工物を第2の前駆体に曝すことを含むことができる。第2の前駆体は、第1の前駆体と同じでもよいし、または異なっていてもよい。被加工物の一部上への層の堆積が継続されるように、第2の前駆体を選択することができる。例えば、被加工物のメチル化されていない材料層上に堆積層が堆積されるように、第2の前駆体を選択することができる。前駆体は、被加工物上の種との反応から副生成物を生成する可能性がある。
【0041】
(326)において、本方法は、プロセスチャンバから前駆体および任意の副生成物をパージすることを含むことができる。例えば、ポンプは、被加工物を有する処理チャンバから前駆体を排出することができる。
【0042】
1つの例示的な実施形態では、第1の前駆体は、HO分子およびTMA分子を含むことができる。第2の前駆体は、HO分子およびTMA分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、HO分子を含むことができる。第2の前駆体は、TMA分子を含むことができる。
【0043】
(330)によって示されるように、被加工物上に望ましい量の材料が堆積されるまで、かつ/または望ましい回数のプロセスサイクルが完了するまで、複数回のサイクルにわたって堆積プロセスを繰り返すことができる。
【0044】
図3の(310)に戻ると、第2の材料層と比較して第1の材料層をメチル化するために、堆積プロセスの1回または複数回のサイクルの後に、有機ラジカルベースの表面処理プロセスを定期的に実施することができる。(308)において、本方法は、処理チャンバから被加工物を取り外すことを含む。
【0045】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、半導体デバイス製造のためのBEOLプロセスにおいて銅層上にAlをALDするための1つの例示的な選択的な堆積プロセス(340)のフローチャートを示す。図5は、例示の目的で提供されている。有機ラジカルベースの表面処理プロセスを使用して被加工物の一部の吸着特性を改変することを含む、その他の選択的な堆積プロセスは、本開示の範囲内に含まれる。
【0046】
(342)において、本方法は、被加工物を、処理チャンバ内の被加工物支持体上に配置することを含むことができる。例えば、被加工物114は、プラズマ処理装置100の処理チャンバ110内のペデスタル112上に配置され得る。被加工物は、誘電体層(例えば、SiO、SiN、low-k誘電体材料など)と、銅層とを含むことができる。選択的な堆積プロセスは、例えば、半導体デバイス製造におけるバックエンドオブライン(BEOL)プロセスの一部として、銅層上にAlを堆積させるために使用され得る。
【0047】
(344)において、本方法は、被加工物上に対してメチルラジカルベースの表面処理を実施して、誘電体層および銅層を1つまたは複数のCHラジカルに曝すことを含むことができる。例示的な有機ラジカルベースの表面処理プロセスに関する詳細は、図6図9を参照しながらより詳細に説明される。
【0048】
CHラジカルは、誘電体層と反応して、結果的に第1の材料層のメチル化をもたらす(例えば、第1の材料層の表面上にメチルラジカルの単分子層を形成する)ことができる。有機ラジカルは、銅層とは反応せず、その結果、銅層のメチル化は起こらない。
【0049】
銅層と比較して誘電体層をメチル化することにより、銅層と比較して誘電体層の吸着特性を選択的に改変することができる。例えば、堆積プロセスにおいて使用される前駆体に対する誘電体層の吸着性を、メチル化された誘電体層に関して銅層と比較して低減することができる。
【0050】
(346)において、本方法は、被加工物をHO分子のような第1の前駆体に曝すことを含むことができる。HO分子は、銅層に吸着または化学結合することができる。しかしながら、メチル化された誘電体層は、HO分子をはじき、銅層と比較して誘電体層へのHO分子の吸着性を低減する。
【0051】
(348)において、本方法は、プロセスチャンバから前駆体および任意の副生成物をパージすることを含むことができる。例えば、ポンプは、被加工物を有する処理チャンバから前駆体を排出することができる。
【0052】
(350)において、本方法は、被加工物をTMA分子のような第2の前駆体に曝すことを含むことができる。TMA分子は、銅層に吸着されたHO分子と反応し、Al-O含有種を生成して、銅層へのAlのALD層の堆積を開始する。誘電体層へのHO分子の吸着性が低減されているので、TMA分子は、誘電体層のメチル化された表面とは反応しない。
【0053】
(352)において、本方法は、プロセスチャンバから前駆体および任意の副生成物をパージすることを含むことができる。例えば、ポンプは、被加工物を有する処理チャンバから前駆体を排出することができる。(360)に示されるように、銅層上にAl層を選択的に堆積させるために、(346)、(348)、(350)、および(352)の堆積サイクルを望ましいサイクル回数だけ繰り返すことができる。(354)において、処理チャンバから被加工物を取り外すことができる。
【0054】
図6は、本開示の例示的な態様による、例示的な有機ラジカルベースの表面処理プロセス(400)のフローチャートを示す。有機ラジカルベースの表面処理プロセス(400)は、プラズマ処理装置100を使用して実施され得る。しかしながら、以下で詳細に説明されるように、本開示の例示的な態様による有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、本開示の範囲から逸脱することなく、他のアプローチを使用して実施され得る。図6は、例示および説明の目的で、特定の順序で実行されるステップを示す。本明細書において提供される開示を使用する当業者は、本明細書に記載されている方法の任意の種々のステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のやり方で省略、拡張、同時実行、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の追加的なステップ(図示せず)が実行され得る。
【0055】
(402)において、有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、被加工物を加熱することを含むことができる。例えば、被加工物114は、処理チャンバ110内でプロセス温度まで加熱され得る。被加工物114は、例えば、ペデスタル112に関連する1つまたは複数の加熱システムを使用して加熱され得る。いくつかの実施形態では、被加工物は、約20℃~約400℃の範囲のプロセス温度まで加熱され得る。
【0056】
(404)において、表面処理プロセスは、プロセスガスをプラズマチャンバに入れることを含むことができる。例えば、プロセスガスは、ガス源150から環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構を介してプラズマチャンバ室内125に入れられ得る。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、1つまたは複数の炭化水素分子を含むことができる。例示的な炭化水素分子は、例えば、非環状アルカンC2n+2を含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH、エタンC、プロパン、またはイソプロパンCなどのような非環状アルカンを含むことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、環状アルカンC2nを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素前駆体は、シクロペンタンC10、シクロヘキサンC12、メチルシクロヘキサンC14、ジメチルシクロヘキサンC16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC18などのような環状アルカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化水素前駆体は、エチレンC、プロペンCなどのようなアルケンC2nを含むことができ、なお、nは、2以上かつ10以下である。
【0058】
(406)において、表面処理プロセスは、水素ガス(H)のような反応性ガスのような第2のガスをプラズマチャンバに入れることを含む(例えば、オプションで含む)ことができる。例えば、第2のガスは、プロセスガスの一部としてプラズマチャンバに入れられ得る。プロセスガスは、HとNとを含む混合物、および/またはHとHeとを含む混合物、および/またはHとArとを含む混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、またはキセノンのような不活性ガスである。
【0059】
(408)において、表面処理プロセスは、プラズマチャンバ内でプラズマを生成するために、誘導結合プラズマ源にエネルギ供給することを含むことができる。例えば、誘導コイル130は、プラズマチャンバ室内125でプラズマを生成するために、RF電力発生器134からのRFエネルギによってエネルギ供給され得る。いくつかの実施形態では、誘導結合プラズマ源は、低減されたプラズマエネルギを有する望ましいラジカルを得るために、パルス電力によってエネルギ供給され得る。プラズマを使用して、水素ガスから1つまたは複数の水素ラジカルを生成することができる。
【0060】
(410)において、表面処理プロセスは、プラズマを使用して、プラズマチャンバ室内で混合物中の1つまたは複数の炭化水素分子を解離させることを含むことができる。例えば、誘導結合プラズマ源135を使用してプラズマチャンバ室内125で誘導されたプラズマは、プロセスガス中の炭化水素分子と他の分子とを解離させて、ラジカルおよびイオンを生成することができる。例えば、1つまたは複数の炭化水素分子は、プラズマ中で解離されて、CHラジカルのような有機ラジカルを生成することができる。
【0061】
(412)において、表面処理プロセスは、混合物中のプラズマによって生成された1つまたは複数のイオンをフィルタリングして、フィルタリングされた混合物を生成することを含むことができる。フィルタリングされた混合物は、CHラジカルのような、炭化水素分子の解離によって生成されたラジカルを含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のイオンは、被加工物が配置されている処理チャンバからプラズマチャンバを分離する分離グリッドアセンブリを使用してフィルタリングされ得る。例えば、分離グリッド200は、プラズマによって生成されたイオンをフィルタリングするために使用され得る。分離グリッド200は、複数の孔を有することができる。荷電粒子(例えば、イオン)は、複数の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性物質(例えば、CHラジカルのようなラジカル)は、孔を通過することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、分離グリッド200は、約90%以上の、例えば約95%以上の効率でイオンをフィルタリングするように構成され得る。イオンフィルタリングに関するパーセント効率は、混合物中のイオンの総数に対する、混合物から除去されたイオンの量を指す。例えば、約90%の効率は、イオンの約90%がフィルタリング中に除去されることを示す。約95%の効率は、イオンの約95%がフィルタリング中に除去されることを示す。
【0064】
いくつかの実施形態では、分離グリッドは、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。マルチプレート式の分離グリッドは、複数の平行な分離グリッドプレートを有することができる。グリッドプレートにおける孔の配置および配列は、イオンフィルタリングに関する望ましい効率、例えば約95%以上の効率を提供するように選択され得る。
【0065】
例えば、分離グリッド200は、相互に平行な関係の、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を有することができる。第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子(例えば、イオン)は、分離グリッド200のそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種(例えば、ラジカル)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。
【0066】
図6の(414)において、表面処理プロセスは、被加工物を、フィルタリングされた混合物に曝すことを含むことができる。より具体的には、被加工物は、プラズマ中で生成されて分離グリッドアセンブリを通過したラジカル(例えば、CHラジカル)に曝され得る。一例として、有機ラジカル(例えば、CHラジカル)は、分離グリッド200を通過することができ、被加工物114上に曝され得る。
【0067】
有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、本開示の範囲から逸脱することなく、他のアプローチを使用して実施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、有機ラジカルは、少なくとも部分的に、プラズマ後のガス注入を使用して生成され得る。
【0068】
例えば、図7は、本開示の例示的な実施形態による、プラズマ後のガス注入を使用して有機ラジカルが生成される、例示的な表面処理プロセス(500)のフローチャートを示す。プロセス(500)は、例として、図2のプラズマ処理装置100を参照しながら説明される。図7は、例示および説明の目的で、特定の順序で実施されるステップを示す。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される任意の方法の種々のステップが、種々のやり方で省略、拡張、同時実施、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のステップ(図示せず)が実施され得る。
【0069】
(502)において、表面処理プロセスは、被加工物を加熱することを含むことができる。例えば、被加工物114は、処理チャンバ110内でプロセス温度まで加熱され得る。被加工物114は、例えば、ペデスタル112に関連する1つまたは複数の加熱システムを使用して加熱され得る。いくつかの実施形態では、被加工物は、約50℃~約400℃の範囲の温度まで加熱され得る。
【0070】
(504)において、表面処理プロセスは、プロセスガス混合物をプラズマチャンバに入れることを含むことができる。例えば、プロセスガスは、ガス源150から環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構を介してプラズマチャンバ室内125に入れられ得る。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、水素ガス(H)のような反応性ガスを含むことができる。プロセスガスは、Nおよび/またはHeおよび/またはArのようなキャリアガスを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスガスは、HとNとを含む混合物であり得る。いくつかの他の実施形態では、プロセスガスは、HとHeとを含む混合物であり得る。さらにいくつかの他の実施形態では、プロセスガスは、HとArとを含む混合物であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、プロセスガスは、不活性ガスであり得る。例えば、プロセスガスは、反応性ガスを含まない不活性ガスであり得る。特定の実施形態では、プロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノン、または他の不活性ガスであり得る。
【0072】
(506)において、表面処理プロセスは、プラズマチャンバ内でプラズマを生成するために、誘導結合プラズマ源にエネルギ供給することを含むことができる。例えば、誘導コイル130は、プラズマチャンバ室内125でプラズマを生成するために、RF電力発生器134からのRFエネルギによってエネルギ供給され得る。いくつかの実施形態では、誘導結合プラズマ源は、低減されたプラズマエネルギを有する望ましい種を得るために、パルス電力によってエネルギ供給され得る。
【0073】
(508)において、表面処理プロセスは、プロセスガスからのプラズマ中で1つまたは複数の種を生成することを含むことができる。例えば、誘導結合プラズマ源135を使用してプラズマチャンバ室内125で反応性のプロセスガス(例えば、H)から誘導されたプラズマは、プロセスガス混合物中の分子を解離させて、ラジカル(例えば、Hラジカル)およびイオンを生成することができる。別の例として、誘導結合プラズマ源135を使用してプラズマチャンバ室内125で不活性のプロセスガス(例えば、He)から誘導されたプラズマは、1つまたは複数の励起された不活性ガス分子(例えば、励起されたHe分子)を生成することができる。
【0074】
(510)において、表面処理プロセスは、混合物中のプラズマによって生成された1つまたは複数のイオンをフィルタリングして、フィルタリングされた混合物を生成することを含むことができる。フィルタリングされた混合物は、プロセスガスからのプラズマ中で生成された種を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のイオンは、被加工物が配置されている処理チャンバからプラズマチャンバを分離する分離グリッドアセンブリを使用してフィルタリングされ得る。例えば、分離グリッド200は、プラズマによって生成されたイオンをフィルタリングするために使用され得る。
【0076】
分離グリッド200は、複数の孔を有することができる。荷電粒子(例えば、イオン)は、複数の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性粒子(例えば、ラジカル)は、孔を通過することができる。いくつかの実施形態では、分離グリッド200は、約90%以上の、例えば約95%以上の効率でイオンをフィルタリングするように構成され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、分離グリッドは、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。マルチプレート式の分離グリッドは、複数の平行な分離グリッドプレートを有することができる。グリッドプレートにおける孔の配置および配列は、イオンフィルタリングに関する望ましい効率、例えば約95%以上の効率を提供するように選択され得る。
【0078】
(512)において、プロセスは、プラズマチャンバの外側において、かつプラズマチャンバからの下流の流れにおいて、(例えば、分離グリッドでの、または分離グリッドの下側での)フィルタリング後のフィルタリングされた混合物に、炭化水素分子を注入することを含むことができる。炭化水素分子は、水素ラジカルと反応して、望ましいラジカル(例えば、CHラジカル)を生成することができる。
【0079】
例示的な炭化水素分子は、例えば、C2n+2の化学式を有する非環状アルカンを含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH、エタンC、プロパン、またはイソプロパンCなどのような非環状アルカンを含むことができる。炭化水素分子は、C2nの化学式を有する環状アルカンを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、シクロペンタンC10、シクロヘキサンC12、メチルシクロヘキサンC14、ジメチルシクロヘキサンC16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC18などのような環状アルカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、エチレンC、プロペンCなどのようなアルケンC2nを含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。
【0080】
図8は、本開示の例示的な実施形態による、イオンフィルタリング後に炭化水素分子を注入するための例示的な分離グリッド200を示す。より具体的には、分離グリッド200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含み、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、イオン/UVフィルタリングのために平行な関係で配置されている。
【0081】
第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220は、相互に平行な関係であり得る。第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。プラズマからの中性粒子および荷電粒子215は、分離グリッド200に曝され得る。荷電粒子(例えば、イオン)は、分離グリッド200のそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種(例えば、Hラジカル、または励起された不活性ガス分子)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。
【0082】
第2のグリッドプレート220に続いて、フィルタリングされた混合物に炭化水素ガスを入れるために、ガス注入源230が構成され得る。炭化水素ガスの注入から結果的に生じるラジカル(例えば、CHラジカル)225は、第3のグリッドプレート235を通過して、被加工物に曝され得る。
【0083】
本例は、例示の目的で、3つのグリッドプレートを有する分離グリッドを参照しながら説明される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、より多いまたはより少ないグリッドプレートが使用され得ることを理解するであろう。
【0084】
図7の(514)において、表面処理プロセスは、被加工物を、フィルタリングされた混合物に曝すことを含むことができる。より具体的には、被加工物は、炭化水素分子の注入後のラジカル(例えば、CHラジカル)に曝され得る。一例として、ラジカル(例えば、CHラジカル)は、第3のグリッドプレート235(図8)を通過することができ、被加工物114上に曝され得る。いくつかの実施形態では、被加工物を有機ラジカルに曝すことによって、被加工物上の1つまたは複数の層のメチル化を結果的に生じさせることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、水素ラジカルは、異なる水素ラジカル源を使用して生成され得る。例えば、図9に示されるように、水素ガスHは、加熱されたフィラメント(例えば、タングステンフィラメント)を通過して、第1のチャンバ内で水素ラジカルを生成することができる。水素ラジカルは、分離グリッド200を通過することができる。
【0086】
分離グリッド200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含み、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、平行な関係で配置されている。第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。
【0087】
第1のグリッドプレート210に続いて、フィルタリングされた混合物に炭化水素ガスを入れるために、ガス注入源230が構成され得る。炭化水素ガスの注入から結果的に生じるラジカル(例えば、CH)264は、第2のグリッドプレート220を通過して、被加工物に曝され得る。
【0088】
炭化水素ガスは、1つまたは複数の炭化水素分子を含むことができる。例示的な炭化水素分子は、例えば、非環状アルカンC2n+2を含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH、エタンC、プロパン、またはイソプロパンCなどのような非環状アルカンを含むことができる。炭化水素分子は、環状アルカンC2nを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、シクロペンタンC10、シクロヘキサンC12、メチルシクロヘキサンC14、ジメチルシクロヘキサンC16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC18などのような環状アルカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、エチレンC、プロペンCなどのようなアルケンC2nを含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。
【0089】
本例は、例示の目的で、2つのグリッドプレートを有する分離グリッドを参照しながら説明される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、より多いまたはより少ないグリッドプレートが使用され得ることを理解するであろう。
【0090】
有機ラジカル(例えば、CHラジカル)は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のアプローチを使用して生成され得る。一例として、有機ラジカル(例えば、CHラジカル)は、分子の熱分解(熱による分解)(例えば、アゾメタンCH-N=N-CH)を使用して生成され得る。別の例として、有機ラジカルは、UVアシストによる分子解離(例えば、アセトンCHCOCH)を使用して生成され得る。
【0091】
本開示の例示的な態様による選択的な堆積プロセスを、他の適切なプラズマ処理装置において実施してもよい。例えば、本開示の例示的な実施形態による表面処理プロセスは、以下で詳細に説明される図10に示されている例示的な装置と、図11に示されている例示的な装置とを使用して実施され得る。
【0092】
図10は、本開示の例示的な実施形態によるプロセスを実施するために使用され得る例示的なプラズマ処理装置700を示す。プラズマ処理装置700は、図2のプラズマ処理装置100と同様である。
【0093】
より具体的には、プラズマ処理装置700は、処理チャンバ110と、処理チャンバ110から分離されたプラズマチャンバ120とを含む。処理チャンバ110は、基板ホルダまたはペデスタル112を含み、この基板ホルダまたはペデスタル112は、半導体ウェハのような処理されるべき被加工物114を保持するように動作可能である。この例示的な図では、プラズマは、誘導結合プラズマ源135によってプラズマチャンバ120(すなわち、プラズマ生成領域)内で生成され、望ましい種は、プラズマチャンバ120から分離グリッドアセンブリ200を通って基板114の表面へと送られる。
【0094】
プラズマチャンバ120は、誘電体側壁122と、天井124とを含む。誘電体側壁122と、天井124と、分離グリッド200とが、プラズマチャンバ室内125を画定する。誘電体側壁122は、石英および/またはアルミナのような誘電体材料から形成され得る。誘導結合プラズマ源135は、誘導コイル130を含むことができ、この誘導コイル130は、プラズマチャンバ120の周りの誘電体側壁122に隣接して配置されている。誘導コイル130は、適切なマッチングネットワーク132を介してRF電力発生器134に結合されている。プロセスガス(例えば、不活性ガス)は、ガス供給部150および環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構からチャンバ室内に供給され得る。RF電力発生器134からのRF電力によって誘導コイル130にエネルギ供給されると、プラズマチャンバ120内でプラズマが生成され得る。特定の実施形態では、プラズマ処理装置100は、誘導コイル130とプラズマとの容量結合を低減させるために、オプションの接地されたファラデーシールド128を含むことができる。
【0095】
図10に示されるように、分離グリッド200は、プラズマチャンバ120を処理チャンバ110から分離する。分離グリッド200を使用して、プラズマチャンバ120内のプラズマによって生成された混合物からイオンフィルタリングを実施して、フィルタリングされた混合物を生成することができる。フィルタリングされた混合物は、処理チャンバ内の被加工物114に曝され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、分離グリッド200は、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。例えば、分離グリッド200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含むことができ、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、相互に平行な関係で離間されている。第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、所定の距離だけ分離され得る。
【0097】
第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子は、分離グリッドのそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種(例えば、ラジカル)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。孔の寸法と、それぞれのグリッドプレート210および220の厚さとは、荷電粒子および中性粒子の両方の透過性に対して影響を与えることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210は、金属(例えば、アルミニウム)または他の導電性材料から形成され得、かつ/または第2のグリッドプレート220は、導電性材料または誘電体材料(例えば、石英、セラミックなど)から形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210および/または第2のグリッドプレート220は、シリコンまたは炭化シリコンのような他の材料から形成され得る。グリッドプレートが金属または他の導電性材料から形成されている場合には、グリッドプレートは、接地され得る。
【0099】
図10の例示的なプラズマ処理装置700は、プラズマチャンバ120内で第1のプラズマ702(例えば、遠隔プラズマ)を生成し、処理チャンバ110内で第2のプラズマ704(例えば、直接プラズマ)を生成するように動作可能である。本明細書で使用される場合、「遠隔プラズマ」は、分離グリッドによって被加工物から分離されたプラズマチャンバ内のような、被加工物から遠隔した場所で生成されるプラズマを指す。本明細書で使用される場合、「直接プラズマ」は、被加工物を支持するように動作可能なペデスタルを有する処理チャンバ内で生成されるプラズマのような、被加工物に直接的に曝されるプラズマを指す。
【0100】
より具体的には、図10のプラズマ処理装置700は、ペデスタル112内にバイアス電極710を有するバイアス源を含む。バイアス電極710は、適切なマッチングネットワーク712を介してRF電力発生器714に結合され得る。RFエネルギによってバイアス電極710にエネルギ供給されると、処理チャンバ110内の混合物から第2のプラズマ704が生成されて、被加工物114に直接的に曝され得る。処理チャンバ110は、処理チャンバ110からガスを排出するためのガス排気ポート716を含むことができる。本開示の例示的な態様による酸化物除去プロセスにおいて使用される種は、第1のプラズマ702および/または第2のプラズマ704を使用して生成され得る。
【0101】
図11は、図2および図10と同様の処理チャンバ800を示す。より具体的には、プラズマ処理装置800は、処理チャンバ110と、処理チャンバ110から分離されたプラズマチャンバ120とを含む。処理チャンバ110は、基板ホルダまたはペデスタル112を含み、この基板ホルダまたはペデスタル112は、半導体ウェハのような処理されるべき被加工物114を保持するように動作可能である。この例示的な図では、プラズマは、誘導結合プラズマ源135によってプラズマチャンバ120(すなわち、プラズマ生成領域)内で生成され、望ましい種は、プラズマチャンバ120から分離グリッドアセンブリ200を通って基板114の表面へと送られる。
【0102】
プラズマチャンバ120は、誘電体側壁122と、天井124とを含む。誘電体側壁122と、天井124と、分離グリッド200とが、プラズマチャンバ室内125を画定する。誘電体側壁122は、石英および/またはアルミナのような誘電体材料から形成され得る。誘導結合プラズマ源135は、誘導コイル130を含むことができ、この誘導コイル130は、プラズマチャンバ120の周りの誘電体側壁122に隣接して配置されている。誘導コイル130は、適切なマッチングネットワーク132を介してRF電力発生器134に結合されている。プロセスガス(例えば、不活性ガス)は、ガス供給部150および環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構からチャンバ室内に供給され得る。RF電力発生器134からのRF電力によって誘導コイル130にエネルギ供給されると、プラズマチャンバ120内でプラズマが生成され得る。特定の実施形態では、プラズマ処理装置100は、誘導コイル130とプラズマとの容量結合を低減させるために、オプションの接地されたファラデーシールド128を含むことができる。
【0103】
図11に示されるように、分離グリッド200は、プラズマチャンバ120を処理チャンバ110から分離する。分離グリッド200を使用して、プラズマチャンバ120内のプラズマによって生成された混合物からイオンフィルタリングを実施して、フィルタリングされた混合物を生成することができる。フィルタリングされた混合物は、処理チャンバ内の被加工物114に曝され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、分離グリッド200は、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。例えば、分離グリッド200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含むことができ、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、相互に平行な関係で離間されている。第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、所定の距離だけ分離され得る。
【0105】
第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子は、分離グリッドのそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種(例えば、ラジカル)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。孔の寸法と、それぞれのグリッドプレート210および220の厚さとは、荷電粒子および中性粒子の両方の透過性に対して影響を与えることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210は、金属(例えば、アルミニウム)または他の導電性材料から形成され得、かつ/または第2のグリッドプレート220は、導電性材料または誘電体材料(例えば、石英、セラミックなど)から形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210および/または第2のグリッドプレート220は、シリコンまたは炭化シリコンのような他の材料から形成され得る。グリッドプレートが金属または他の導電性材料から形成されている場合には、グリッドプレートは、接地され得る。
【0107】
図11の例示的なプラズマ処理装置800は、プラズマチャンバ120内で第1のプラズマ802(例えば、遠隔プラズマ)を生成し、処理チャンバ110内で第2のプラズマ804(例えば、直接プラズマ)を生成するように動作可能である。図示のように、プラズマ処理装置800は、遠隔プラズマチャンバ120に関連する垂直側壁122から延在している傾斜した誘電体側壁822を含むことができる。傾斜した誘電体側壁822は、処理チャンバ110の一部を形成することができる。
【0108】
誘電体側壁822の近傍に、第2の誘導プラズマ源835を配置することができる。第2の誘導プラズマ源835は、適切なマッチングネットワーク812を介してRF発生器814に結合された誘導コイル810を含むことができる。誘導コイル810は、RFエネルギによってエネルギ供給されると、処理チャンバ110内の混合物から直接プラズマ804を誘導することができる。誘導コイル810と側壁822との間には、ファラデーシールド828が配置され得る。
【0109】
ペデスタル112は、垂直方向Vに移動することができる。例えば、ペデスタル112は、垂直リフト816を含むことができ、この垂直リフト816は、ペデスタル112と分離グリッドアセンブリ200との間の距離を調節するように構成され得る。一例として、ペデスタル112は、遠隔プラズマ802を使用して処理するための第1の垂直位置に配置され得る。ペデスタル112は、直接プラズマ804を使用して処理するための第2の垂直位置に位置し得る。第1の垂直位置は、第2の垂直位置と比較して分離グリッドアセンブリ200のより近くに位置し得る。
【0110】
図11のプラズマ処理装置800は、ペデスタル112内にバイアス電極710を有するバイアス源を含む。バイアス電極710は、適切なマッチングネットワーク712を介してRF電力発生器714に結合され得る。処理チャンバ110は、処理チャンバ110からガスを排出するためのガス排気ポート716を含むことができる。
【0111】
本主題を、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明してきたが、当業者は、前述したことを理解すれば、そのような実施形態の代替形態、変形形態、および均等形態を容易に生成し得ることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例としてのものであり、本主題の開示は、当業者には容易に明らかであるように、本主題に対するそのような修正、変形、および/または追加を包含することを排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11