(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ダクト
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20230711BHJP
F16L 11/11 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L11/11
(21)【出願番号】P 2022039081
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2017239685の分割
【原出願日】2017-12-14
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】清水 明
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-280985(JP,A)
【文献】特開2007-306776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
F16L 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部に固定されるベース部材と、該ベース部材に対して該ベース部材の法線方向で係合して固定されて該ベース部材との間で給湯管を収容する空間を形成すべく天壁及び側壁を有するカバー部材と、を備え、前記カバー部材と前記ベース部材とを係合させる係合解除自在な係合機構が、係合爪と該係合爪に法線方向で係合して前記ベース部材に対して前記カバー部材が法線方向で離間する方向へ移動することを防止する爪受部とを有する第1係合機構と、差込部と該差込部が法線方向から差し込まれて前記カバー部材の側壁が前記ベース部材の面方向外方側に押されたときに該カバー部材の側壁の変形を防止する受け部とを有する第2係合機構と、を備え、前記第1係合機構と前記第2係合機構とが、面方向で並んで配置され、
前記天壁及び前記側壁の内面に、該両壁に亘るように内側に突出する補強用リブを備え、前記給湯管を覆う管は、山部と谷部とが交互に配置される蛇腹管からなり、前記補強用リブは、管軸心方向に所定ピッチを置いて複数備え、前記補強用リブの所定ピッチを、前記蛇腹管の谷部のピッチに一致させており、
前記差込部は、前記補強用リブの下端に設けられ
、該下端から内側に延びるように設けられていることを特徴とするダクト。
【請求項2】
前記差込部は、前記複数の補強用リブのうちの管軸心方向で隣り合う一対の補強用リブそれぞれの下端から内側に延びる側部と、前記一対の側部それぞれから下方に延びて前記受け部に入り込む下側部と、前記一対の側部及び前記一対の下側部を管軸心方向で連結する連結部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯管を保護するためのダクトに関する。
【0002】
上記ダクトとしては、例えば壁面に固定される基台部材と、該基台部材に組み付けられて該基台部材との間で給湯管を収容する空間を形成すべく円弧状の天壁及び天壁から下方に延びる一対の側壁を有するカバー部材と、を備えている。基台部材にカバー部材を係合により固定するための係合機構を基台部材とカバー部材とに備えている。前記係合機構は、基台部材における管軸心方向と直交する幅方向両端のそれぞれに備えたフック部と、該フック部に上下方向で係合すべく一対の側壁の内面下部のそれぞれに備えた係合部とから構成されている。
【0003】
したがって、カバー部材を基台部材に法線方向上方から被せるように移動させることによって、カバー部材の側壁に備える係合部が基台部材のフック部と当接することにより側壁が基台部材の幅方向外側へ弾性変形する。その変形した状態でフック部を乗り越えることにより前記当接が解除され、外側に広がっていた側壁が弾性復元力により内側に戻ることで係合部がフック部に上下方向で係合して、基台部材にカバー部材が固定される(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給湯管にお湯を流す度に給湯管が熱膨張を起こす。この給湯管の熱膨張によってカバー部材の天壁が基台部材から離間する上方へ移動することをフック部と係合部との係合で防止することができるものの、給湯管の熱膨張によってカバー部材の側壁が基台部材の幅方向外側へ押されてしまうと、フック部に係合している係合部が外側へ逃げてフック部との係合が解除されてしまう。その結果、カバー部材が基台部材から外れてしまうという不都合が発生していた。
【0006】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、カバー部材が外れ難いダクトを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のダクトは、前述の課題解決のために、取付部に固定されるベース部材と、該ベース部材に対して該ベース部材の法線方向で係合して固定されて該ベース部材との間で給湯管を収容する空間を形成すべく天壁及び側壁を有するカバー部材と、を備え、前記カバー部材と前記ベース部材とを係合させる係合解除自在な係合機構が、係合爪と該係合爪に法線方向で係合して前記ベース部材に対して前記カバー部材が法線方向で離間する方向へ移動することを防止する爪受部とを有する第1係合機構と、差込部と該差込部が法線方向から差し込まれて前記カバー部材の側壁が前記ベース部材の面方向外方側に押されたときに該カバー部材の側壁の変形を防止する受け部とを有する第2係合機構と、を備え、前記第1係合機構と前記第2係合機構とが、面方向で並んで配置され、前記天壁及び前記側壁の内面に、該両壁に亘るように内側に突出する補強用リブを備え、前記給湯管を覆う管は、山部と谷部とが交互に配置される蛇腹管からなり、前記補強用リブは、管軸心方向に所定ピッチを置いて複数備え、前記補強用リブの所定ピッチを、前記蛇腹管の谷部のピッチに一致させており、前記差込部は、前記補強用リブの下端に設けられていることを特徴としている。
【0008】
又、本発明のダクトは、前記差込部は、前記複数の補強用リブのうちの管軸心方向で隣り合う一対の補強用リブそれぞれの下端から内側に延びる側部と、前記一対の側部それぞれから下方に延びて前記受け部に入り込む下側部と、前記一対の側部及び前記一対の下側部を管軸心方向で連結する連結部と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給湯管が熱膨張しても、係合爪と係合爪と上下方向で係合する爪受部及び受け部と受け部に上下方向から差し込まれる差込部によって、カバー部材がベース部材から外れることを防止することができ、カバー部材が外れ難いダクトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のダクトを構成するベース部材に収容された5本の流体管を示す正面図である。
【
図7】
図6に示した係合がされていない不良状態を示す説明図である。
【
図9】同ダクトで覆っている管の接続部の拡大図である。
【
図10】同ダクトを構成するベース部材の斜視図である。
【
図11】同ダクトを構成するカバー部材の斜視図である。
【
図16】同ダクトに管がはめ込まれた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1に、3つの直線状の第1ダクトである直管ダクト1,2,3を接続するための接続用のT字状の第2ダクトであるチーズ4を示している。これら直管ダクト1,2,3及びチーズ4によって流体管等(電線も含む)を保護する。
図1に示す3本の流体管5,6,7がT字状の分岐継手8により接続され、2本の流体管9,10がL字状の分岐継手11により接続されている。T字状の分岐継手8及び該分岐継手8により接続された3本の流体管5,6,7の一部がチーズ4に収容されるとともに、L字状の分岐継手11及び該分岐継手11により接続された2本の流体管9,10の一部がチーズ4に収容されている。3本の流体管5,6,7は、お湯が流れる給湯管であり、2本の流体管9,10は、水が流れる給水管である。
【0013】
チーズ4は、
図1及び
図2に示されるように、取付部である壁面W(
図1参照)にビス等の固定具により固定されるベース部材12と、ベース部材12に組み付けられてベース部材12とで分岐継手8,11及び流体管5,6,7,9,10の一部を収容する空間を形成するカバー部材13と、を備えている。ベース部材12及びカバー部材13は、各種の合成樹脂で形成される。
【0014】
ベース部材12は、
図2及び
図3に示すように、平坦な上面12aを有するT字状で板状のベース本体12Aと、ベース本体12Aの外周縁には、カバー部材13とで3つの接続口X1,X2,X3を形成するための第1立壁12B,12C,12Dが形成されている。第1立壁12B…は、中央部が同一高さに構成され、中央部の幅方向両側に位置する両端部が端側ほど上方に位置するように湾曲した形状に構成されている。ベース本体12Aの外周縁のその他の部分には、L字状に屈曲した一対の第2立壁12E,12Eが形成され、両端部に直線状の一対の第3立壁12F,12Fとそれら第3立壁12F,12Fの間に後述する一対の第2差込部12G,12Gとがベース部材12の面方向で並んで(横並びに)形成されている。なお、
図2に、ビスが貫通する1個の丸孔B1と4個の長孔B2とが形成されている。
【0015】
カバー部材13は、ベース部材12とで3つの接続口X1,X2,X3を形成すべく、平面視においてT字状の天壁14と、天壁14から下方に延びる側壁15と、を備えている。天壁14は、略長方形のフラットな第1天壁部14Aと、該第1天壁部14Aの一方の長辺の長さ方向中央部から外側に向けて延びる略長方形状の第2天壁部14Bと、を備えている。側壁15は、第1天壁部14Aの第2天壁部14B側とは反対側の一方の長辺から垂下する第1側壁部15Aと、第1天壁部14Aの第2天壁部14B側の他方の長辺の両端部から垂下する第2側壁部15B,15Bと、第2天壁部14Bの一対の短辺から垂下する第3側壁部15C,15Cと、を備えている。なお、第3側壁部15C,15Cと第2側壁部15B,15Bとが一体化されている。
【0016】
ベース部材12に対してカバー部材13が、係合機構により外れないように固定され、係合機構の係合を解除することにより外せるようにしている。係合機構は、係合解除自在に構成されている。この係合機構は、第1係合機構16と、第1係合機構16とベース部材12の面方向で並んで(横並びに)設けられる第2係合機構17と、を備えている。第1係合機構16は、
図4及び
図5に示すように、第1係合爪18と第1係合爪18に上下方向で係合してベース部材12に対してカバー部材13が法線方向(ベース部材12の厚み方向)で離間する方向へ移動することを防止する第1爪受部19とを有している。第2係合機構17は、2個の第2差込部12G,12Gと第2差込部12G,12Gが上下方向から差し込まれてカバー部材13の側壁15の第1側壁部15Aがベース部材12の面方向外方側に押されたときにカバー部材13の側壁15の第1側壁部15Aの変形を防止する第2受け部21とを有している。
【0017】
それらについて詳述すれば、カバー部材13の側壁15の第1側壁部15Aの内面に、2個の第1係合爪18,18及び第1係合爪18,18にベース部材12の面方向で並んで(横並びに)設けられた第2受け部21を備え、これに対応するベース部材12に、第1係合爪18,18にベース部材12の法線方向で係合する第1爪受部19,19(
図4参照)及び第1爪受部19,19にベース部材12の面方向で並んで(横並びに)設けられ、第2受け部21に法線方向上方から差し込まれる2個の第2差込部12G,12Gを備えている。
図3及び
図6に示すように、2個の第2差込部12G,12Gが第2受け部21に差し込まれることによって、カバー部材13の側壁15の第1側壁部15Aがベース部材12の面方向外方側に押されたときにカバー部材13のベース部材12の面方向外方側への変形を防止する。また、第2受け部21が、一方の第1係合爪18と他方の第1係合爪18との間に設けられているので、第2受け部21の両側に位置するカバー部材13の側壁15の第1側壁部15Aの部分(受け部と差込部とによる変形の規制をあまり受けない部分)を外側(外向き)へ容易に変形させて第1係合爪18,18と第1爪受部19,19との係合を解除することができる。係合解除後は、カバー部材13をベース部材12から離間する厚み方向上方へ移動させるだけで、第2受け部21から第2差込部12G,12Gを抜いてカバー部材13をベース部材12から取り外すことができる。
【0018】
カバー部材13側の複数(ここでは2個)の第1係合爪18,18は、カバー部材13の側壁15の第1側壁部15Aの内面の下部でかつ長さ方向両端部に形成されている。各第1係合爪18は、上面がフラット(平坦)な長方形状の板部18Aと、板部18Aを下方から支える複数(図では4枚)のリブ18Bと、を備えている。リブ18Bは、下方側ほど先細りになる三角形状に構成されている。カバー部材13側の第2受け部21は、第1側壁部15Aの内面の下部でかつ長さ方向両端に備える一方の第1係合爪18と他方の第1係合爪18との間に設けられている。また、第2受け部21は、法線方向における第2差込部12G,12Gの差し込み始端側となる一端が開口し、かつ、差し込み終端側となる他端が閉塞した袋状(箱型)に構成され、2個の第2差込部12G,12Gをそれぞれ異なる内部空間内に差し込むように内部を長さ方向で2分割するための仕切板部(図示せず)を備えている。また、第2受け部21は、それの下側部分に開口21Kが下端側ほど大きくなるようにラッパ形状に構成されている。このようにラッパ形状に構成することによって、
図7に示すように、第2受け部21に第2差込部12Gが入り込まない場合に、ベース部材12からの距離Lが大きくなり、カバー部材13がベース部材12にセットされていないことがわかり、再度セットし直すことができる。前記第2受け部21を袋状に構成することによって、第2受け部21の強度を高めることができ、耐久性の向上を図れる。また、第2受け部21の内部を仕切る仕切板部を備えることによって、第2受け部21の強度を更に高めることができる。
【0019】
ベース部材12側の第1爪受部19,19は、ベース部材12の下面の長辺部の長さ方向両端部に形成された一対の第1凹部から構成されている。また、ベース部材12側の2個の第2差込部12G,12Gは、水平方向視において長方形の板状に構成され、ベース部材12の第3立壁15C,15Cの間に面方向で並んで(横並びに)ベース部材12の上面12aから法線方向上方に延びるように形成されている。
【0020】
また、カバー部材13の第2側壁部15B,15Bの内面の下部に、第2係合爪20,20が形成され、カバー部材13の一対の第3側壁部15C,15Cの内面の下部に、第3係合爪22,22が形成されている。第2係合爪20,20は、上面がフラット(平坦)な平行四辺形状の板部20Aと、板部20Aを下方から支える複数(図では4枚)のリブ20Bと、を備えている。リブ20Bは、第2側壁部15B,15Bの内面に対して傾斜している。また、第3係合爪22,22は、第2係合爪20,20と同様に、上面がフラット(平坦)な平行四辺形状の板部22Aと、板部22Aを下方から支える複数(図では4枚)のリブ22Bと、を備えている。リブ22Bは、第3側壁部15C,15Cの内面に対して傾斜している。リブ20B,22Bは、下方側ほど先細りになる三角形状に構成されている。
【0021】
第2係合爪20,20及び第3係合爪22,22が係合する第2爪受部23及び第3爪受部24が、一対の第2立壁12E,12Eの下面に形成されたL字形状の凹部から構成されている。
【0022】
このように構成されたベース部材12に対してカバー部材13を係止固定する場合には、ベース部材12の法線方向(厚み方向)上方からカバー部材13を位置合わせしながら、ベース部材12にカバー部材13を接近させることによって、第2受け部21に2個の第2差込部12G,12Gが入り込み、さらにカバー部材13の下端がベース部材12の下面よりも下方に位置するようにカバー部材13をさらに押し込むことによって、第1係合爪18,18が第3立壁12F,12Fに当接し、かつ、第2係合爪20,20及び第3係合爪22,22が第2立壁12E,12Eに当接することによって、第1~第3側壁部15A,15B,15B,15C,15Cが外側に広がって、第1係合爪18,18が第3立壁12F,12Fを通過し、かつ、第2係合爪20,20及び第3係合爪22,22が第2立壁12E,12Eを通過すると、復元力により第1~第3側壁部15A,15B,15B,15C,15Cが内側に戻ることによって、第1係合爪18,18が第1爪受部(第1凹部)19,19に係合し、かつ、第2係合爪20,20が第2爪受部(第2凹部)23及び第3爪受部(第3凹部)24に係合し、かつ、第3係合爪22,22が第2爪受部(第2凹部)23及び第3爪受部(第3凹部)24に係合して、カバー部材13をベース部材12に係合により固定することができる。
【0023】
固定後において、給湯管5,6,7の熱膨張によって、カバー部材13の天壁14がベース部材12から離間する方向へ移動することが、6個の第1~第3係合爪18,18、20,20、22,22と4個の第1~第3爪受部(凹部)19,19、23,24との係合で阻止される。また、給湯管5,6,7の熱膨張によって
図1に示すように給湯管7が伸長側(矢印Y1の方向)に延びてしまった場合に、カバー部材13の第1側壁部15Aがベース部材12の面方向外側(
図1の矢印Y2の方向)へ押されて変形することが、第2受け部21に差し込まれた第2差込部12G,12Gで阻止されるため、面方向で並ぶ第1係合機構16の係合が給湯管5,6,7の熱膨張によって解除されるのを防止できる。
【0024】
前記構成のチーズ4では、外部から側壁15の第1側壁部15Aに衝撃力が作用しても、第1係合機構16及び第2係合機構17の係合が解除されることがない。この状況下において、給湯管5,6,7の熱膨張によって側壁15の第1側壁部15Aの内側からの変形を防止できる。これは、前記のように第1係合機構16と第2係合機構17とが面方向で並んでいること及び第2受け部21が、一方の第1係合爪18と他方の第1係合爪18との間に設けられていることに起因する。
【0025】
カバー部材13をベース部材12から取り外す場合には、カバー部材13の側壁15を構成する第1~第3側壁部15A,15B,15Cを外側へ開くことによって、6個の第1~第3係合爪18,18、20,20、22,22と4個の第1~第3爪受部(凹部)19,19、23,24との係合を解除したのち、カバー部材13をベース部材12から離間する法線方向上方へ移動させることによって、カバー部材13をベース部材12から取り外すことができる。
【0026】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。
図8では、配管コーナー部においてベンダー曲げ等により湾曲された一本の給水給湯管26の湾曲部を屈曲自在な一本の蛇腹管25で覆っている。蛇腹管25は、円環状の山部25Aと山部25Aよりも径の小さな円環状の谷部25Bとが交互に配置された管から構成されている。また、蛇腹管25の管軸方向両端部が、第3ダクトであるジョイント28,28を介して第4ダクトである直管ダクト29,29にそれぞれ固定されている。なお、給水給湯管26は、給水と給湯のいずれもが行える管である。
【0027】
ジョイント28は、取付部である壁面Wにビス等の固定具により固定される一対のビス孔30K,30Kが形成されたベース部材30(
図10参照)と、ベース部材30に組み付けられてベース部材30とで接続部分を収容する空間を形成するカバー部材31(
図11参照)と、を備えている。ベース部材30及びカバー部材31は、各種の合成樹脂で形成されている。
【0028】
ベース部材30は、
図10に示すように、平坦な上面30aを有する矩形状で板状のベース本体30Aと、ベース本体30Aの管軸心方向一端に形成され、かつ、第4ダクト29に接続するために矩形状でリング状に構成された接続部30Bと、ベース本体30Aの管軸心方向他端に形成され、かつ、蛇腹管25の周方向一部分に係合すべくベース本体30Aの幅方向全域に亘る板状で円弧状の一対の第1立壁部30C,30Dと、を備えている。前記ベース本体30Aの幅方向両端における管軸方向接続部30B側部位に、上方に突出する第2立壁部30E,30Eが形成され、それら第2立壁部30E,30Eの下部に後述する第1係合爪40,40が幅方向外側から係合する第2凹部30F,30F(
図10では一方のみ図示している)が形成されている。また、前記ベース本体30Aの幅方向両端における管軸方向第1立壁部30D側部位に、第2立壁部30E,30Eよりも厚みが薄く外側に位置する第3立壁部30G,30Gが形成され、それら第3立壁部30G,30Gと第2立壁部30E,30Eの側面30e,30eと一方の第1立壁部30Dの側面(図には表れていない)とで第3凹部30H,30Hが第2凹部30F,30Fと面方向で並んで形成されている。前記第2凹部30F,30Fが、ベース部材30側の爪受部を構成し、第3凹部30H,30Hが、後述する受け部を構成する。
【0029】
カバー部材31は、
図11及び
図13に示すように、ベース部材30とで接続部を覆うべく、円弧状で板状の天壁31Aと、天壁31Aから下方に延びる板状の側壁31B,31Bと、を備えている。天壁31A及び側壁31B,31Bの内面には、一方の側壁31Bから天壁31Aを介して他方の側壁31Bまで延びるとともに内側に突出する5本の板状の第1~第5補強用リブ32,33,34,35,36を管軸心方向に沿って所定間隔を置いて備えている。また、一対の側壁31B,31Bの接続部30B側端部にそれぞれ、内側に突出する板状の第6補強用リブ37を備えている。天壁31Aは、
図12に示すように、同一の円弧部を有する第1天壁部31aと、第1天壁部31aの端から徐々に円弧の径が小さくなるテーパー形状の第2天壁部31bと、を備えている。このようにカバー部材31に第1~第6補強用リブ32,33,34,35,36,37を備えることによって、カバー部材31の保形強度を高めることができる。
【0030】
図11及び
図16に示すように、第2~第4補強用リブ33,34,35の互いに隣り合う2つの補強用リブ間のピッチを、蛇腹管25の谷部25B,25B間のピッチに一致させている。また、第1補強用リブ32と第2補強用リブ33とのピッチを、蛇腹管25の谷部25B,25B間のピッチの2倍に設定している。このようにすることによって、
図16に示すように、第1~第4補強用リブ32,33,34,35が蛇腹管25の谷部25B…に入り込むことで、蛇腹管25をジョイント28にガタツくことなく位置決めすることができる。
【0031】
ベース部材30に対してカバー部材31が、係合機構により外れないように固定され、係合機構の係合を解除することにより外せるようにしている。係合機構は、係合解除自在に構成されている。この係合機構は、第1係合機構38と、第1係合機構38と面方向で並んで(横並びに)設けられる第2係合機構39と、を備えている。
【0032】
第1係合機構38は、
図11及び
図14に示すように、一対の第1係合爪40,40(
図11では一方のみ図示している)と第1係合爪40,40に上下方向で係合してベース部材30に対してカバー部材31が法線方向で離間する方向へ移動することを防止する第1爪受部である前記第2凹部30F,30Fとを有している。第2係合機構39は、
図11及び
図15に示すように、2個の第2差込部41,41と第2差込部41,41が上下方向から差し込まれてカバー部材31の側壁31B,31Bがベース部材30の面方向外方側に押されたときにカバー部材31の側壁31B,31Bの面方向外方側への変形を防止する第2受け部である第3凹部30H,30Hとを有している。
【0033】
それらについて詳述すれば、カバー部材31の側壁31Bの内面の下部に、2個の第1係合爪40,40に面方向で並んで設けられた第2差込部41,41を備え、これに対応するベース部材12の箇所(部位)に、第1係合爪40,40に上下方向で係合する第1爪受部である第2凹部30F,30F(
図10参照)及び第2凹部30F,30Fに面方向で並んで(横並びに)設けられ第2差込部41,41が上下方向から差し込まれてカバー部材31の側壁31B,31Bがベース部材30の面方向外方側に押されたときにカバー部材31のベース部材30の面方向外方側への変形を防止する2個の第2受け部である第3凹部30H,30Hを備えている。
【0034】
2個の第2差込部41,41は、第3補強用リブ34及び第4補強用リブ35の下端に一体形成され、ベース部材30に形成の第3凹部30H,30Hに法線方向上方から差し込まれてカバー部材31の側壁31B,31Bがベース部材30の面方向外方側に押されたときにカバー部材31の変形を防止する。各第2差込部41は、第3補強用リブ34及び第4補強用リブ35の下端から内側に延びる側部41A,41Aと、側部41A,41Aの内側端から下方に延びて前記第3凹部30H,30Hに入り込む下側部41B,41Bと、側部41A,41A及び下側部41B,41Bを管軸心方向で連結する連結部41Cと、を備えている。
【0035】
カバー部材31側の2個の第1係合爪40,40は、カバー部材31の側壁部31B,31Bの内面の下部でかつ接続部30B側に形成されている。各第1係合爪40は、上面がフラット(平坦)な長方形状の板部40Aと、板部40Aを下方から支える複数(図では3枚)のリブ40Bと、を備えている。リブ40Bは、下方側ほど先細りになる三角形状に構成されている。
【0036】
このように構成されたベース部材30に対してカバー部材31を係止固定する場合には、ベース部材30の法線方向上方からカバー部材31を位置合わせしながら、ベース部材30に接近させることによって、第2受け部である第3凹部30H,30Hに2個の第2差込部41,41が入り込み、さらにカバー部材31の下端がベース部材30の下面よりも下方に位置するようにカバー部材31をさらに押し込むことによって、第1係合爪40,40が第2立壁部30E,30Eに当接することによって、側壁部31B,31Bが外側に広がって、第1係合爪40,40が第2立壁部30E,30Eを通過すると、復元力により側壁部31B,31Bが内側に戻ることによって、第1係合爪40,40が第2凹部30F,30Fに係合して、カバー部材31をベース部材30に係合により固定することができる。
【0037】
固定後において、給湯管25の熱膨張によって、カバー部材31の天壁31Aがベース部材30から法線方向で離間する方向へ移動することが、2個の第1係合爪40,40と2個の第2凹部30F,30Fとの係合で阻止される。また、給湯管25の熱膨張によって、カバー部材31の側壁部31B,31Bがベース部材30の面方向外側へ押されることが、第2受け部である第3凹部30H,30Hに差し込まれた第2差込部41,41で阻止され、カバー部材31の変形を防止することができる。
【0038】
尚、本発明は、上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
前記第1実施形態では、給湯管が接続される部分を保護するダクトについて説明したが、給湯管そのものを保護する長尺なダクトであってもよい。
【0040】
また、前記第1実施形態では、複数の係合爪を設けたが、一個の係合爪を設けて実施してもよい。
【0041】
また、前記第1実施形態では、給湯管及び給水管の複数本の流体管を収容するダクトを示したが、給湯管1本だけを収容するダクトであってもよい。
【0042】
また、前記第1実施形態では、ベース部材12に第1爪受部19及び第2差込部12Gを設け、カバー部材13に第1係合爪18及び第2受け部21を設けたが、これとは逆に、ベース部材12に第1係合爪18及び第2受け部21を設け、カバー部材13に第1爪受部19及び第2差込部12Gを設けてもよく、第1係合機構16及び第2係合機構17を構成する部材をベース部材12及びベース部材12のどちらに設けてもよい。
【0043】
また、前記第1実施形態では、受け部をベース部材12の法線方向一端(下端)が開口された袋状に構成したが、対向する一対の壁部から構成してもよい。
【0044】
本実施形態のダクトは、取付部に固定されるベース部材と、該ベース部材に対して該ベース部材の法線方向で係合して固定されて該ベース部材との間で給湯管を収容する空間を形成すべく天壁及び側壁を有するカバー部材と、を備え、前記カバー部材と前記ベース部材とを係合させる係合解除自在な係合機構が、係合爪と該係合爪に法線方向で係合して前記ベース部材に対して前記カバー部材が法線方向で離間する方向へ移動することを防止する爪受部とを有する第1係合機構と、差込部と該差込部が法線方向から差し込まれて前記カバー部材の側壁が前記ベース部材の面方向外方側に押されたときに該カバー部材の側壁の変形を防止する受け部とを有する第2係合機構と、を備え、前記第1係合機構と前記第2係合機構とが、面方向で並んで配置されている構成とすることもできる。
【0045】
上記のように、給湯管の熱膨張によってカバー部材がベース部材から離間する方向へ移動することが、第1係合機構を構成する係合爪と爪受部との係合で防止される。また、給湯管の熱膨張によってカバー部材の側壁がベース部材の面方向外側へ押されて変形することが、第2係合機構を構成する差込部と差込部が差し込まれる受け部とで防止されるため、面方向で並ぶ第1係合機構の係合が前記給湯管の熱膨張によって解除されるのを防止できる。
【0046】
又、本実施形態のダクトは、前記係合爪を複数備え、前記係合爪及び前記受け部が、前記カバー部材の側壁の内面に備え、前記受け部が、一方の前記係合爪と他方の前記係合爪との間に設けられていてもよい。
【0047】
上記のように、受け部が、一方の係合爪と他方の係合爪との間に設けられているので、受け部の両側に位置するカバー部材の側壁の部分(受け部と差込部とによる変形の規制をあまり受けない部分)を外側へ容易に変形させて係合爪と爪受部との係合を解除することができる。係合解除後は、カバー部材をベース部材から離間する方向へ移動させるだけで、受け部から差込部を抜いてカバー部材をベース部材から取り外すことができる。
【0048】
又、本実施形態のダクトは、前記カバー部材が合成樹脂から構成され、前記受け部が、前記カバー部材に一体形成されるとともに、法線方向における前記差込部の差し込み始端側となる一端が開口し、かつ、差し込み終端側となる他端が閉塞した袋状に構成されていてもよい。
【0049】
上記のように、受け部を袋状に構成することによって、受け部の強度を高めることができ、耐久性の向上を図れる。
【0050】
又、本実施形態のダクトは、前記天壁及び前記側壁の内面に、該両壁に亘るように内側に突出する補強用リブを備え、前記給湯管は、山部と谷部とが交互に配置される蛇腹管からなり、前記補強用リブは、管軸心方向に所定ピッチを置いて複数備え、前記補強用リブの所定ピッチを、前記蛇腹管の谷部のピッチに一致させもよい。
【0051】
上記のように、天壁及び側壁の内面に両壁部に亘るように内側に突出する補強用リブを備えることによって、カバー部材の保形強度を高めることができる。しかも、前記補強用リブの所定ピッチを、蛇腹管の谷部のピッチに一致させることによって、補強用リブの少なくとも一部が蛇腹管の谷部に入り込むことで、蛇腹管をダクトにガタツくことなく位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1,2,3…直管ダクト、4…チーズ、5,6,7,9,10…流体管、8,11…分岐継手、12…ベース部材、12A…ベース本体、12B,12C,12D…第1立壁、12E…第2立壁、12F…第3立壁、12G…第2差込部、12a…上面、13…カバー部材、14…天壁、14A…第1天壁部、14B…第2天壁部、15…側壁、15A…第1側壁部、15B…第2側壁部、15C…第3側壁部、16…第1係合機構、17…第2係合機構、18…第1係合爪、18A…板部、18B…リブ、19…第1爪受部、20…第2係合爪、20A…板部、20B…リブ、21…第2受け部、21K…開口、22…第3係合爪、22A…板部、22B…リブ、23…第2爪受部、24…第3爪受部、25…蛇腹管(給湯管)、25A…山部、25B…谷部、26…給水給湯管、28…ジョイント、29…直管ダクト、30…ベース部材、30A…ベース本体、30B…接続部、30C,30D…第1立壁部、30E…第2立壁部、30F…第2凹部、30G…第3立壁部、30H…第3凹部、30K…ビス孔、30a…上面、30e…側面、31…カバー部材、31A…天壁、31B…側壁部、31a…第1天壁部、31b…第2天壁部、32,33,34,35,36,37…補強用リブ、38…第1係合機構、39…第2係合機構、40…第1係合爪、40A…板部、40B…リブ、41…第2差込部、41A…側部、41B…下側部、41C…連結部、B1…丸孔、B2…長孔、L…距離、W…壁面、X1,X2,X3…接続口、Y1,Y2…矢印