(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】2-ジメチルアミノエチルアクリレートポリマー、及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08F 20/34 20060101AFI20230711BHJP
C08F 8/44 20060101ALI20230711BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C08F20/34
C08F8/44
C08F2/44 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154860
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】202111152476.3
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510338248
【氏名又は名称】エスエヌエフ・グループ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ファヴェロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・キーファー
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ルグラ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ボワセ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・リン
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0191338(US,A1)
【文献】特表2019-514920(JP,A)
【文献】特表2011-524337(JP,A)
【文献】特開平09-175944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/34
C08F 8/44
C08F 2/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種の
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル又は
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ルの存在下で重合させること
を含む、水溶性ポリマー
の製造方法。
【請求項2】
少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種のα-トコフェノールの存在下で重合させること
を含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル又は
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ルの量が、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して1ppmから10000ppmの間に含まれる、請求項1又は2に記載の
方法。
【請求項4】
前記
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル又は前記
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ルが、前記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の合成後に前記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩に添加される、請求項1に記載の
方法。
【請求項5】
前記
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル又は前記
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ルが、前記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の保存前に前記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩に添加される、請求項1に記載の
方法。
【請求項6】
前記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーが塩化メチルにより四級化されている、請求項1に記載の
方法。
【請求項7】
水溶性ポリマーが、モノマーの総モル数に対して少なくとも1mol%の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項8】
水溶性ポリマーが50000g/molから30000000g/molの間に含まれる質量平均分子量を有する、請求項1に記載の
方法。
【請求項9】
・ 1~99.9999w%の少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩、
・ 2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して1~10000ppmの少なくとも1種の
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル、又は
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ル
・ 任意に、殺生物剤、重合禁止剤、吸湿剤、色安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤
を含む、組成物。
【請求項10】
ナイアシンアミド、レチノール、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(3-BHA)、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールから選択される少なくとも1種の色安定剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル、又は前記
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ルと、前記色安定剤との質量比が1から100の間に含まれる、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
水処理、汚泥脱水、製紙プロセス、農業、化粧用組成物及び洗浄組成物、繊維製品プロセス、石油プロセス及びガスプロセスにおける、請求項1に記載の
方法により得られた水溶性ポリマーの使用。
【請求項13】
分散剤、凝固剤、凝集剤、増粘剤、粉砕剤、抵抗減少剤、超吸収剤、歩留り向上剤としての、請求項1に記載の
方法により得られた水溶性ポリマーの使用。
【請求項14】
少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩と酸素との間の反応により生じるビニルアクリレートの形成を抑制する方法であって、前記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコフェロー
ル、又は
α-、β-、γ-、及び/又はδ-トコトリエノー
ルと混合する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体と組み合わせて含む組成物から得られる、水溶性ポリマー、並びにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2-ジメチルアミノエチルアクリレートは、多くの産業、例えば水処理、製紙、在宅ケア及びパーソナルケア、又は石油産業及びガス産業(例えば石油増進回収、水圧破砕、遮水等)において用いられるポリマーを作製するために用いられる、周知のモノマーである。
【0003】
長期保存期間又は長距離輸送の間、これらのモノマーはCope脱離のために分解しやすい。上記Cope脱離は、以下の
図1に従って5員環中で6つの電子が移動するsynペリプラナー脱離である。
【0004】
【0005】
存在する天然の二原子酸素は、上記モノマーの保存の間、重合禁止剤、例えばモノメチルエーテルハイドロキノン(MeHQ)を活性化するために必須であるが、第三級アミンと反応してアミンオキシドを形成しうる。上記アミンオキシドは、熱により誘導されるメカニズムにおいて開裂可能であり、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーの場合、ビニルアクリレート及びヒドロキシジメチルアミンとなる。
【0006】
上記Cope脱離はよく起こる現象であり、上記モノマーが長期間保存される場合は、無視できない量のビニルアクリレートが形成される。ビニルアクリレートはまた、上記モノマーの合成の間にも形成されうる。
【0007】
いくつかの産業、例えば水圧破砕産業又は製紙産業においては、例えば摩擦減少剤又は紙用の歩留り向上剤(retention aid)として、極めて大きい分子量の全体的に線状のポリマーが必要である。この不純物は、2つの2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーの間に共有結合を生じさせる。ビニルアクリレートを含むモノマーからポリマーを調製する場合、それらの性能はかなり低下する。
【0008】
文献米国特許第10,343,980号は、モノマーの合成の間に存在する二原子酸素の量を制御し、それにより重合の間に存在するビニルアクリレートの量を制御することによる、N,N-(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はN,N-(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、及び第四級アンモニウム塩の調製について記載している。
【0009】
上述した方法の操作条件の制御は非常に厳密でなければならず、精製工程のような更なる処理工程は、その多くが最終生成物に残留することのできない、種々の副生成物の形成を引き起こしうる。これらの更なる工程は、公知の不利益、例えば収率の損失、操業費及び維持費の上昇を自然と引き起こすであろうし、最も重要なことには、一旦上記モノマーが保存されると、保存の間に、重合禁止剤、例えば刊行物「The role of hydroquinone monomethyl ether in the stabilization of acrylic acid」、Holger Becker及びHerbert Vogel、Chem.Eng.Technol.2006、29、No.10、1227~1231頁に記載されているようなMeHQを活性化するために必須の二原子酸素が存在することにより引き起こされた、更なるビニルアクリレート不純物の形成を防止することはないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第10,343,980号
【文献】米国特許第10,759,746号
【非特許文献】
【0011】
【文献】「The role of hydroquinone monomethyl ether in the stabilization of acrylic acid」、Holger Becker及びHerbert Vogel、Chem.Eng.Technol.2006、29、No.10、1227~1231頁
【文献】http://www.ncbi.nlm.nih.gov/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体の存在下で重合させることにより得られる、水溶性ポリマー、並びにその使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、驚くべきことに、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体と組み合わせることで、上記ビニルアクリレート形成が抑制され、上記モノマー及び/又はその塩から得られるポリマーがより良好な性能を有することを見出した。
【0014】
本発明のポリマーの調製は、生成物の性能を改善する一般的な原理の一部である。本発明のポリマーのより良好な性能は、用途に必要な生成物の量を減らすことを可能にし、かつ水の消費量を減らし、それにより温室効果ガス、例えばCO2の排出の低減に潜在的に関与する。
【0015】
本発明は、少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体の存在下で重合させることにより得られる、水溶性ポリマーに関する。
【0016】
本発明はまた、そのような水溶性ポリマーを調製する方法であって、少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の、少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体の存在下での重合を含む、方法に関する。
【0017】
本発明はまた、少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩と酸素との間の反応により生じるビニルアクリレートの形成を抑制する方法であって、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、トコフェロール及び/若しくはその誘導体又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体と混合する工程を含む、方法に関する。
【0018】
本発明はまた、
・ 1~99.9999w%の少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩、
・ 2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して、1~10000ppmの少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体、
・ 任意に、殺生物剤、重合禁止剤、吸湿剤、色安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤
を含む、組成物に関する。
【0019】
2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩、並びに任意の上記添加剤の量は、上記組成物の総質量に対して表される。トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体の量は、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して表される。
【0020】
当業者であれば、上記組成物の成分の量、特に2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩、トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体、並びに任意の上記添加剤の量を調節して100w%とする方法を知っている。
【0021】
本発明はまた、水処理、汚泥脱水、製紙プロセス、農業、化粧用組成物及び洗浄組成物、繊維製品プロセス、石油プロセス及びガスプロセスにおける、上記水溶性ポリマーの使用に関する。
【0022】
最後に、本発明はまた、分散剤、凝固剤、凝集剤、増粘剤、粉砕剤、抵抗減少剤、超吸収剤、歩留り向上剤としての、上記水溶性ポリマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】フローループ(FlowLoop)試験によるポリマー1~5の摩擦減少効果の評価を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において用いられる場合、用語「ポリマー」とは、ホモポリマー、又は少なくとも2種の異なるモノマーを含むコポリマーをいう。
【0025】
本明細書において用いられる場合、語句「A及び/又はB」とは、「A又はB、或いはA及びB」を意味する。
【0026】
本明細書において用いられる場合、用語「水溶性ポリマー」とは、それが適切に水と混合された後、不溶性粒子を含まない水溶液(25℃で濃度10g.L-1)を与えるポリマーをいう。
【0027】
本発明は、少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を、少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体と組み合わせて含む組成物から得られる、水溶性ポリマーに関する。
【0028】
トコフェロール及びその誘導体、並びにトコトリエノール及びその誘導体は、それらの置換基及びそれらの位置に応じて、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、及びδ(デルタ)の4つの異なる形態で存在する。
【0029】
トコフェロール誘導体:
【0030】
【0031】
トコトリエノール誘導体:
【0032】
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩は、トコフェロール及び/又はトコトリエノールと組み合わせられる。
【0034】
本発明のより好ましい実施形態において、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩は、トコフェロールと組み合わせられる。
【0035】
この場合、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩は、好ましくはα-トコフェロールと組み合わせられる。
【0036】
トコフェロール及び/若しくはその誘導体、及び/又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体の量は、好ましくは2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して1ppmから10000ppmの間に含まれ、好ましくは1ppmから1000ppmの間、より好ましくは5ppmから500ppmの間、更により好ましくは5ppmから50ppmの間である。
【0037】
上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体は、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩といずれの時点でも組み合わせられうる。
【0038】
より正確には、上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体は、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の合成前、合成の間、合成の終わり又は合成後に組み合わせられうる。好ましくは、それらは上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーの合成後に添加される。
【0039】
上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体は、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の精製工程前、精製工程の間、精製工程の終わり又は精製工程後に組み合わせられうる。好ましくは、それらは精製工程後に添加される。
【0040】
上記精製工程は、例えば、これらに限定されないが、蒸留、分留、結晶化を含む。好ましくは、上記精製工程は分留である。
【0041】
上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体はまた、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の保存前若しくは保存の間、又はそれらの重合の直前、又はそれらの四級化若しくは塩化の直前にも組み合わせられうる。好ましくは、それらは上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の保存前に組み合わせられる。
【0042】
上記ビニルアクリレート形成の抑制効率を高めるため、上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体、並びに上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩は、好ましくは均一に混合される。
【0043】
上記混合は、例えば、これらに限定されないが、撹拌によって、静的ミキサーにおいて、再循環ループにおいて、ガスバブリングによって行われうる。好ましくは、上記混合は撹拌によって行われる。
【0044】
上記混合の継続時間は、上記組成物の均一性を確保する。通常、上記混合は、少なくとも1分、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも30分、更により好ましくは少なくとも60分継続する。
【0045】
最新の技術によれば、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩は、形成されるビニルアクリレートの量を約20ppmに制限するため、通常、3カ月未満の間保存される。本発明によれば、上記モノマーは、6カ月の間保存されてよく、ビニルアクリレートの量は、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーの量に対して10ppm未満であり、12カ月後に形成されるビニルアクリレートの量は、20ppm未満である。
【0046】
上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーにおける上記ビニルアクリレート濃度は、GC分析(DB-WAXカラム30mを備えたMS検出器の機器Agilent 7820A、ガスキャリアとして1mL/分のヘリウム)を用いて測定されうる。インジェクター温度及びトランスファーラインは、250℃で保たれる。インジェクションは、1:100の分割比で1μLを用いて行われる。オーブン温度は80℃で5分間、次いで、5℃/分で上昇されて122℃で2分間であり、次いで、温度は35℃/分で240℃まで上昇されて11分間である。
【0047】
上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーは、その中性の形態であっても、四級化された形態であっても、塩化された形態であってもよい。上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートは、部分的に四級化又は塩化されていても、完全に四級化又は塩化されていてもよい。好ましくは、上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーは、四級化されている場合、塩化メチルにより四級化されている。
【0048】
好ましくは、本発明の水溶性ポリマーは、上記ポリマー中のモノマーの総モル数に対して少なくとも1mol%の上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩(上記組成物由来)を含み、好ましくは少なくとも2mol%、より好ましくは少なくとも5mol%、より好ましくは少なくとも10mol%、より好ましくは少なくとも15mol%、より好ましくは少なくとも20mol%、より好ましくは少なくとも25mol%、更により好ましくは少なくとも30mol%である。
【0049】
本発明の別の目的は、
・ 1~99.9999%の少なくとも1種の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩、
・ 2-ジメチルアミノエチルアクリレート及び/又はその塩の量に対して1~10000ppmの少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体
・ 任意に、殺生物剤、重合禁止剤、吸湿剤、色安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤
を含む、組成物である。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、上記組成物は、5から95%の間の上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、上記組成物は、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して2から10000ppmの間の少なくとも1種のトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体を含み、より好ましくは5から1000ppmの間である。
【0052】
2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の量に対して10000ppmを上回るトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体であると、上記組成物の経済的利益が著しく低下する。1ppmを下回るトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体であると、ビニルアクリレートの形成を防ぐ効果がより非常に弱くなり、それにより有意なものでなくなる。
【0053】
本発明の組成物は、他の添加剤を含むことができ、それらは例えば、これらに限定されないが、殺生物剤、重合禁止剤、吸湿剤、色安定剤等のようなものである。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、上記組成物は、ナイアシンアミド、レチノール、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(3-BHA)、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールから選択される少なくとも1種の色安定剤を含む。より好ましくは、前記色安定剤は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールである。
【0055】
色安定剤を用いる場合、上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体と、上記色安定剤との質量比は、1から100の間に含まれ、好ましくは2から10の間である。
【0056】
水溶性ポリマー
本発明の水溶性ポリマーは、上述した組成物、及び/又は非イオン性モノマー、及び/又はアニオン性モノマー、及び/又はカチオン性モノマー、及び/又は両性イオンモノマーを重合させることにより得られうる。上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーがカチオン性であることから、本発明の水溶性ポリマーは、カチオン性又は両性である。
【0057】
本発明において用いられてもよい更なるカチオン性モノマーは、好ましくは水溶性ビニルモノマーから選択され、より好ましくは第四級アンモニウム基を有するアクリルアミド類、アクリル酸類、アリル類又はマレイン酸類から選択される。特に、これらに限定されないが、四級化又は塩化された2-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、四級化又は塩化された2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、四級化又は塩化されたアリルアミン、四級化又は塩化されたアリルジメチルアミン(allydimethylamine)、四級化又は塩化されたジアリルメチルアミン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)、四級化又は塩化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、四級化又は塩化されたジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)である。好ましくは、上記更なるカチオン性モノマーは、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)である。
【0058】
上記水溶性ポリマーは、好ましくは、上記ポリマーのモノマーの総モル数に対して0から99mol%の間の更なるカチオン性モノマーを含み、好ましくは99mol%以下、より好ましくは98mol%以下、より好ましくは95mol%以下、より好ましくは90mol%以下、より好ましくは85mol%以下、より好ましくは80mol%以下、より好ましくは75mol%以下、より好ましくは70mol%以下、更により好ましくは50mol%以下である。
【0059】
本発明において用いられてもよい非イオン性モノマーは、好ましくは水溶性ビニルモノマーから選択される。この群に属する好ましいモノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン(ACMO)、ジアセトンアクリルアミド及びそれらの混合物である。好ましくは、上記非イオン性モノマーはアクリルアミドである。
【0060】
上記水溶性ポリマーは、好ましくは、上記ポリマーのモノマーの総モル数に対して0から99mol%の間の非イオン性モノマーを含み、好ましくは95mol%以下、好ましくは90mol%以下、より好ましくは80mol%以下、更により好ましくは70mol%以下である。
【0061】
本発明において用いられてもよいアニオン性モノマーは、好ましくは、カルボン酸官能基及びその塩を有するモノマー、スルホン酸官能基及びその塩を有するモノマー、ホスホン酸官能基及びその塩を有するモノマーから選択される。アニオン性モノマーとしては例えば、アクリル酸、アクリルアミドtert-ブチルスルホン酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、及びそれらのヘミエステルが挙げられる。最も好ましいアニオン性モノマーはアクリル酸、アクリルアミドtert-ブチルスルホン酸(ATBS)、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、及びそれらの塩である。好ましくは、上記アニオン性モノマーはアクリル酸である。
【0062】
上記アニオン性モノマーは、塩化されていなくてもよいし、部分的又は完全に塩化されていてもよい。
【0063】
上記塩化された形態は、好ましくはアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、アルカリ土類金属(Ca、Mg等)塩又はアンモニウム塩に相当し、特に第四級アンモニウムに相当する。好ましい塩はナトリウム塩である。
【0064】
上記塩化されていない形態は、上記アニオン性モノマーの酸形態、例えばアクリル酸の場合はCH2=CH-C(=O)OHに相当する。上記塩化は、重合前、及び/又は重合の間、及び/又は重合後に行われてよい。上記塩化は部分的であっても完全であってもよい。
【0065】
上記水溶性ポリマーのアニオン性部分は、後加水分解(post hydrolysis)により得られうる。
【0066】
後加水分解反応は、モノマーの重合によるそのポリマーの形成後のポリマー上での化学反応である。この工程は、モノマー、好ましくは非イオン性モノマー、より好ましくは加水分解性機能を含むモノマー(好ましくはアミド又はエステル)の加水分解性官能基と、加水分解剤との反応からなる。この加水分解剤は、酵素、イオン交換樹脂、又はアルカリ金属であってよい。好ましくは、上記加水分解剤はブレンステッド塩基、例えばNaOH又はKOHである。上記ポリマーのこの後加水分解工程の間、カルボン酸官能基(COOH)及び/又はカルボン酸塩官能基(COO-)の数は増える。実際に、上記加水分解剤(例えばブレンステッド塩基)と、上記ポリマーに存在する上記加水分解性官能基(例えばアミド官能基又はエステル官能基)との反応は、カルボン酸塩官能基を生成する。加水分解は、重合前、及び/又は重合の間、及び/又は重合後に行われてよい。加水分解は部分的であっても完全であってもよい。
【0067】
上記水溶性ポリマーは、好ましくは、上記ポリマーのアニオン性モノマーの総モル数に対して0から100mol%の間の塩化された形態のアニオン性モノマーを含む。
【0068】
上記水溶性ポリマーは、好ましくは、上記ポリマーのモノマーの総モル数に対して0から99mol%の間のアニオン性モノマーを含み、好ましくは40mol%以下、好ましくは30mol%以下、より好ましくは20mol%以下、更により好ましくは10mol%以下である。
【0069】
本発明の特定の実施形態において、上記アニオン性モノマーは、その水和物形態での2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である。上記水和物形態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸は、上記2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマーの制御された結晶化により得られうる、特定の形態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である。文献米国特許第10,759,746号は、上記水和物形態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を得る方法について記載している。
【0070】
本発明のポリマーにおいては、水溶性両性モノマー及び疎水性モノマーが更なるモノマーとして用いられてもよい。
【0071】
当業者であれば、本発明による水溶性ポリマーを調製する際、ポリマー組成がモノマー100mol%を超え得ないことを知っている。従って、当業者であれば、100mol%を超えないように上述したモノマーの量を調節するであろう。
【0072】
本発明によれば、上記水溶性ポリマーは、直線状の構造を有していてもよく、分岐、星形、くし形、ブロック、マイクロブロック構造を有していてもよく、制御された分子量の多分散性を有していてもよい。これらの特性は、以下、即ち開始剤、移動剤、重合手法のうちの1つ又は複数を選択することにより得られうる。
【0073】
当業者の一般知識により、これらの構造種のうちの1つを有する水溶性ポリマーを調製することができる。本発明の水溶性ポリマーは、上述した特定の形態により、水溶性を維持する。
【0074】
上記水溶性ポリマーは、架橋されていてもよい。架橋剤を用いる場合、使用量は、上記水溶性ポリマーが水溶性を維持するような使用量である。当業者であれば、上記水溶性ポリマーが水溶性を維持するように架橋剤の量、及び適用可能な場合は連鎖移動剤の量を調節する方法を知っている。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の水溶性ポリマーは架橋されていない。
【0076】
本発明による水溶性ポリマーは、好ましくは質量平均分子量が50000g/molから30000000g/molの間に含まれ、好ましくは100000g/molから20000000g/molの間、より好ましくは500000g/molから15000000g/molの間である。質量平均分子量は、好ましくは100万g/mol以上、より好ましくは200万g/mol以上、更により好ましくは1000万g/mol以上である。
【0077】
本発明によれば、質量平均分子量は固有粘度により決定される。固有粘度は、当業者に公知の方法により測定されうる。固有粘度は、(横座標の)濃度に対して(縦座標軸の)還元粘度値を描画する工程、及び濃度ゼロへ曲線を外挿する工程からなるグラフ法により、様々な濃度の還元粘度の値から測定されうる。固有粘度の値は、縦座標軸から又は最小二乗法により、読み取られる。次いで、質量平均分子量は、Mark-Houwink方程式:
[η]=KMα
(式中、
[η]は溶液粘度測定方法により決定されたポリマーの固有粘度であり、
Kは実験定数であり、
Mはポリマーの分子量であり、
αはMark-Houwink係数である)
により決定されうる。α及びKは、特定のポリマー-溶媒系に依存する。ポリマー-溶媒系に従ってα及びKの値を与える表が存在する。
【0078】
上記水溶性ポリマーの形成は、特定の重合プロセスを必要としない。上記水溶性ポリマーは、好ましくは粉末形態のポリマーが得られる、当業者に公知の全ての重合手法、例えば以下の手法、即ちその後に乾燥及び粉砕工程が続くゲル重合、沈殿重合、その後に噴霧乾燥工程が続く溶液重合、その後に噴霧乾燥工程が続く逆相乳化重合、有利にはマイクロビーズを得るための逆相懸濁重合、その後に沈殿工程が続いても続かなくてもよいミセル重合、後加水分解重合又は共加水分解(co-hydrolysis)重合、ラジカル又は制御ラジカル及びより具体的なRAFT型(可逆的付加開裂連鎖移動)のいわゆる「鋳型」重合により得られうる。
【0079】
上記水溶性モノマー重合は、フリーラジカル重合である。フリーラジカル重合とは、本発明の意味の範囲内では、UV、アゾ、レドックス若しくは熱開始剤のうちの少なくとも1種、又は制御ラジカル重合手法(CRP)、又はマトリクス重合手法を用いたフリーラジカル重合を意味する。上記水溶性ポリマーは、当業者に公知の任意の形態、例えば水溶液、粉末、油中水滴型エマルション、又は塩水におけるポリマー分散液の下で用いられてもよい。好ましくは、上述したように上記水溶性ポリマーは粉末形態である。
【0080】
少なくとも上記トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又は上記トコトリエノール及び/若しくはその誘導体と組み合わされた上記2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩を重合させる際、ビニルアクリレートの含有量は、通常、重合の間に用いられる2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー及び/又はその塩の総量に対して20ppm未満であり、好ましくは10ppm未満、より好ましくは5ppm未満である。
【0081】
本発明のポリマーにおいて用いられる非イオン性モノマーは、好ましくは、アクリルアミドである。アクリルアミドは、好ましくは、ニトリルヒドラターゼの使用を含む生物学的プロセスによりアクリロニトリルから製造される。改良ニトリルヒドラターゼが開発され、上記生物学的プロセスの生産性を向上させてきた。通常、改良は、野生型ニトリルヒドラターゼのタンパク質配列を改変することからなる。例えば、いくつかの改良は、野生型ニトリルヒドラターゼのタンパク質配列のアルファサブユニット及び/又はベータサブユニットを改変することによってなされる。
【0082】
以下の段落は、改良ニトリルヒドラターゼについて記載する。
【0083】
改良ニトリルヒドラターゼは、野生型ニトリルヒドラターゼに由来するが、いずれの特定の野生型にも限定されない。ここで、「野生型ニトリルヒドラターゼ」とは、自然界において見出された生物(例えば、土壌中のバクテリアのような微生物)から単離されたニトリルヒドラターゼであり、酵素を形成するアミノ酸配列及び酵素をコードする遺伝子の塩基配列が他のアミノ酸又は塩基により人為的に削除、挿入、又は置換されておらず、ニトリルヒドラターゼが天然に存在する元の特性を保つことを指す。
【0084】
「野生型ニトリルヒドラターゼ」は、αサブユニット領域及びβサブユニット領域で形成される高次構造を有し、非ヘム鉄原子又は非コリンコバルト原子を補欠分子として含有する。そのようなニトリルヒドラターゼは、鉄含有ニトリルヒドラターゼ又はコバルト含有ニトリルヒドラターゼとして同定され、称されている。
【0085】
コバルト含有ニトリルヒドラターゼについて、例としては、ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)J1株(本明細書、以下、「J1株」と呼ばれうる)に由来するもの又はシュードノカルディア・サーモフィラ(Pseudonocardia thermophila)JCM3095に由来するものが挙げられる。J1株由来のコバルト含有ニトリルヒドラターゼは、αサブユニットの活性部位を形成するシステインクラスターとして同定された部位でコバルト原子と結合されている。
【0086】
好ましい野生型ニトリルヒドラターゼは、ロドコッカス・ロドクラウスJ1-H、ロドコッカス・ロドクラウスM8、ロドッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)TH、ロドコッカス・ピリジノボランス(Rhodococcus pyridinovorans)MW3、及びP.サーモフィラJCM3095である。
【0087】
改良(変異)ニトリルヒドラターゼは、通常、アルファサブユニット及び/又はベータサブユニットにおいて野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸を置換することにより形成される。置換される野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列は、NCBIデータベース、例えばGenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等に発表されている。
【0088】
上記改良ニトリルヒドラターゼは、野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列の改変により特徴付けられ、上記改変は、以下のリスト、即ち14S、14Q、14D、17G、17E、17A、17V、17W、43H、43Q、43N、46H、46T、48D、48W、48D、57V、57M、57G、69F、69T、77P、77E、95Y、95M、95V、97A、97W、107M、107K、107H、114Y、114F、114W、114M、133R、133G、133I、167S、167T、167Y、179C、179M、179T、202P、202W、218T、218H、218V、219A、219N、219Rから選択されるベータサブユニットにおける少なくとも1つのアミノ酸改変、好ましくは少なくとも2つのアミノ酸改変、より好ましくは少なくとも3つのアミノ酸改変を含み、かつ以下のリスト、即ち49H、49W、68G、68T、112V、112P、174K、174L、174C、187A、187G、187Vから選択されるアルファサブユニットにおける少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。
【0089】
数字は、βサブユニット又はアルファサブユニットのアミノ酸配列におけるN末端アミノ酸残基から下って数えられる、位置「XXX」(1、2又は3桁を含む数字)のアミノ酸残基に対応する。
【0090】
可能な組合せを以下に一覧表にする。AAはアミノ酸を意味し、一般的に用いられるアミノ酸の略語、例えばアラニンについてAが用いられる。位置が言及されない場合、アミノ酸は野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸である。例えば、以下の組合せにおいて位置β15は言及されず、それは位置β15のアミノ酸が、位置β15における野生型アミノ酸のアミノ酸であることを意味する。以下の組合せは改変α174Lを含むが、記載はまた、改変α174Lが改変α174K又はα174Cで置き換えられている同様の組合せも含む。
【0091】
組合せのリスト
【0092】
α174L、β17G、β46T、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48W、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167T、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167T、β218H、β219A
α174L、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β46T、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
【0093】
全ての記載において、XはA又はVである。
【0094】
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114F、β167S、β218A、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114F、β167S、β218Q、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114W、β167R、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57K、β95V、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β17G、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β57M、β95V、β107L、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167T、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β107L、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β48N、β57M、β95V、β107L、β114Y、β167T、β218H、β219A
α174L、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β46T、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107H、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218A、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218Q、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167R、β218H、β219R
α174L、β17X、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β57M、β95V、β107L、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167T、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β48N、β57M、β95V、β107L、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β48N、β57M、β95V、β107L、β114Y、β167T、β218H、β219A
α174L、β14S、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β46T、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107H、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218A、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218Q、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β43Q、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β43Q、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167R、β218H、β219R
α174L、β17X、β43Q、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107H、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218A、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β77P、β95V、β107K、β114F、β167S、β218Q、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β77P、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β77P、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α174L、β17X、β43Q、β48N、β57K、β77P、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β43Q、β48N、β57M、β77P、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57M、β77P、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β46T、β48N、β57M、β97A、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β46T、β48N、β57M、β97A、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β97A、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β46T、β48N、β57K、β97A、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β97A、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β97A、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β97A、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β97A、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α174L、β14S、β17X、β48N、β57M、β97A、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α49H、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167T、β218H、β219A
α49H、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α49H、β17G、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167T、β218H、β219A
α49H、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α49H、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α49H、β46T、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α49H、β46T、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219A
α49H、β46T、β48N、β57M、β95V、β114Y、β167S、β218H、β219R
α49H、β46T、β48N、β57M、β95V、β114W、β167S、β218H、β219R
α49H、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219R
α49H、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α68T、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β114F、β167S、β218H、β219A
α68T、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114W、β167S、β218H、β219A
α68T、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114F、β167S、β218A、β219A
α68T、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114F、β167S、β218Q、β219A
α68T、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β114F、β167S、β218H、β219R
α68T、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α68T、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α68T、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α68G、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α68G、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α68G、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α68G、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219R
α68G、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α68G、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α112V、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219A
α112V、β17X、β46T、β48N、β57M、β95V、β107H、β114F、β167S、β218H、β219A
α112V、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α112V、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218A、β219A
α112V、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218Q、β219A
α112V、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α187G、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α187G、β17X、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α187G、β17X、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α187G、β14S、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219R
α187G、β14S、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α187V、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α187V、β14S、β17G、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114Y、β167S、β218H、β219A
α187V、β14S、β17X、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218A、β219A
α187V、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218Q、β219A
α187V、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α187V、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114F、β167S、β218H、β219R
α187V、β17X、β43Q、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α187V、β17X、β43Q、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α187V、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57M、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
α187V、β17X、β43Q、β46T、β48N、β57K、β95V、β107K、β114W、β167S、β218H、β219A
【0095】
ニトリルヒドラターゼは、アクリロニトリル溶液に含有する不純物に対して感受性であり、より具体的には、シアン化水素酸及びその塩は、それらの効率を低下させる。
【0096】
上記アクリロニトリル溶液におけるシアン化水素酸、及び/又はその塩の含有量は、それぞれの作製者に依存し、経時変化する。このことは欠点であり、それは、ニトリルヒドラターゼ量がアクリロニトリルの変換の間に連続的に調節されなければならず、そうでなければ最終的なアクリルアミドが安全性の問題を引き起こしうる残余アクリロニトリルの高い含有量を有しうるためである。
【0097】
アクリロニトリルのアクリルアミドへの変換率を維持し、アクリルアミド溶液における残余アクリロニトリルの量を低減するためには、ニトリルヒドラターゼを過剰投入する必要がある。しかしながら、過剰投入は、下流のプロセスにおける多くの問題、例えば最終アクリルアミド生成物の高度な着色及び濁りを引き起こしうるろ過の問題を引き起こしうる。
【0098】
上記アクリロニトリル溶液に含有されるシアン化水素酸の効果を軽減するために、最新のものは、上記アクリロニトリル溶液をアルデヒド化合物と接触させる工程により精製されうる。
【0099】
最も簡単なアルデヒドはアセトアルデヒドであるが、この分子は発癌性であることは公知であり、低い引火点及び20℃の沸点を有しており、これらのことがその使用を困難にしている。
【0100】
上記アルデヒド化合物は、脂肪族であってもよく、芳香族であってもよい。
【0101】
上記アルデヒド化合物は、ポリアクリルアミドを二官能性アルデヒドと反応させること、例えばポリアクリルアミドをグリオキサール、プロパンジアール、ブタンジアール、ペンタンジアールと反応させることにより得られる化合物であってよく、又はプロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、若しくはプロピオンアルデヒドとブチルアルデヒドとの混合物であってよい。好ましくは、上記アルデヒド化合物はブチルアルデヒドである。
【0102】
反応するポリアクリルアミドは、非イオン性モノマー、及び/又はアニオン性モノマー、及び/又はカチオン性モノマー、及び/又は両性モノマーを重合させることにより得られてよい。
【0103】
上記反応するポリアクリルアミドは、好ましくは質量平均分子量が1000g/molから10000000g/molの間に含まれる。
【0104】
上記反応するポリアクリルアミドは、線状であってもよく、構造化されていてもよく、架橋されていてもよい。好ましくは、上記反応するポリアクリルアミドは線状である。
【0105】
上記アクリロニトリル溶液は、少なくとも99質量%のアクリロニトリルを含み、好ましくは少なくとも99.5質量%である。
【0106】
上記アクリロニトリル溶液との接触に用いられるアルデヒド化合物の量は、アクリロニトリル溶液の量に対して1ppmから500ppmの間であり、好ましくは5ppmから200ppmの間、より好ましくは10ppmから100ppmの間、更により好ましくは20ppmから50ppmの間である。
【0107】
上記アクリロニトリル溶液と上記アルデヒド化合物との接触時間は、5分から48時間の間であり、好ましくは30分から24時間の間、より好ましくは1時間から12時間の間である。
【0108】
上記アクリロニトリル溶液と上記アルデヒド化合物との混合は、保存タンクにおいて、アクリルアミド反応器において、又はアクリルアミド反応器への供給ラインにおいて行われうる。
【0109】
アクリロニトリル溶液とアルデヒド化合物との接触は、静的ミキサーによって、再循環ラインによって、撹拌下で、又は自然拡散によって行われうる。
【0110】
精製されたアクリロニトリル溶液は、通常、20ppm未満のシアン化水素酸を含有し、好ましくは10ppm未満、より好ましくは5ppm未満である。
【0111】
アクリルアミドは、アクリロニトリル溶液をアルデヒド化合物と接触させることにより得られる、精製されたアクリロニトリル溶液の酵素的生物変換により得られうる。
【0112】
ポリアクリルアミドポリマーは、精製されたアクリロニトリル溶液の酵素的生物変換により得られるアクリルアミドの重合により得られうる。
【0113】
精製されたアクリロニトリルから得られるアクリルアミドから得られるポリマーは、炭化水素(石油及び/又はガス)回収、削井及びセメンチング、炭化水素(石油及び/又はガス)坑井刺激(例えば水圧破砕、配置、排水)、開放式、閉鎖式又は半閉鎖式の水処理、発酵スラリー処理、製紙、建設、木材加工、水硬性組成物加工(コンクリート、セメント、モルタル及び集合体)、鉱業、化粧品処方、洗剤処方、紡織業、電池部品製造、地熱エネルギー、生理用ナプキン製造、又は農業において用いられうる。
【0114】
2-ジメチルアミノエチルアクリレートポリマーの使用
本発明はまた、水処理、汚泥脱水、製紙プロセス、農業、化粧用組成物及び洗浄組成物、繊維製品プロセス、石油プロセス及びガスプロセス(例えば石油増進回収、破砕、尾鉱処理のような採掘作業)における、本発明の水溶性ポリマーの使用に関する。
【0115】
本発明はまた、分散剤、凝固剤、凝集剤、増粘剤、粉砕剤、抵抗減少剤、超吸収剤、歩留り向上剤としての、本発明の水溶性ポリマーの使用に関する。
【0116】
以下の実施例を参照することより本発明は更に説明されるが、それらは本発明の単なる実例であり、限定するものとして意図されない。別に示されない限り、全ての百分率は質量によるものである(w%)。
【実施例】
【0117】
(実施例1)
保存及び不溶分比率
組成物の調製
2-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)モノマー合成の終わりに、上記モノマーを蒸留により精製する。蒸留留分の最低でも98%の2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーを回収する。重合禁止剤であるモノメチルエーテルハイドロキノンを添加し(1000ppm)、均一に混合する。次いで、トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体を添加し、空気雰囲気下、20℃で30分間均一に混合する。次いで、調製された組成物を保存場所に移し、空気雰囲気下、1~12カ月保存する。2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーは、古典的には、重合される前に塩化メチルにより四級化される。四級化は当業者にはそれ自体公知である。
【0118】
調製された組成物をTable 3(表3)に要約する。
【0119】
【0120】
2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーにおけるビニルアクリレート濃度をGC分析(DB-WAXカラム30mを備えたMS検出器の機器Agilent 7820A、ガスキャリアとして1mL/分のヘリウム)を用いて測定する。インジェクター温度及びトランスファーラインを250℃に保つ。インジェクションを1:100の分割比で1μLを用いて行う。オーブン温度は、80℃で5分間、次いで、5℃/分で2分間にわたって122℃まで上昇させ、次いで、温度は35℃/分で11分間にわたって240℃まで上昇させる。
【0121】
保存及びポリマー調製物の不溶分比率
古典的な塊状重合により得られた70mol%のアクリルアミド及び30mol%の四級化DMAEAのポリマーについて、UL粘度(Brookfield粘度)、不溶分比率、及び不溶分ポイントを測定する。
【0122】
UL粘度の測定:ULアダプターを備えたBrookfield粘度計を用いてUL粘度を測定する。ULアダプターのユニットは23から25℃の間で60回転/分(1M生理食塩水 塩化ナトリウム溶液中、ポリマーの0.1質量%)で回転する。
【0123】
1gのポリマー溶液を20℃で200mlの水中に移し、2時間撹拌することにより不溶分比率を測定する。次いで、溶解した溶液を、200μmの多孔性を有する4cm直径フィルターでろ過する。ろ過した溶液が完全に流れ出た後、フィルター紙を秤量する。ろ過不可能な溶液の場合、スクリーンフィルターを105℃で4時間置く。残渣塊を用いて不溶分量を測定する。不溶分比率は、初期ポリマー塊(polymer mass)に関連する。上述したように、ビニルアクリレート不純物は2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーの間に共有結合を生じさせ、フィルターを通らない凝集体が生じる。
【0124】
不溶分ポイントは、視覚的に数えられた、溶液全体がフィルターを通った後のフィルター上の凝集体の数及び大きさに対応する。以下の基準を用いる。1から3mmの間についてはポイント(pt)、3mmを超えるものについてはビッグポイント(bp)。
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
table 4(表4)に基づいて分かるように、2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーとトコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体との組合せにより、保存中のビニルアクリレートの形成が低減される。
【0129】
わずか1カ月後でも、本発明のモノマーは低減されたビニルアクリレート量を有する。本発明のため、モノマーは12カ月まで保存され、従来のモノマーの約3カ月保存と同等のビニルアクリレート量を有することまでもが可能である。
【0130】
本発明の組合せを用いない不溶分ポイントについては、ポリマーの凝集体に対応するポイント数が、1カ月後でさえも、トコフェロール及び/若しくはその誘導体、又はトコトリエノール及び/若しくはその誘導体を用いることなく保存されたモノマーについて、より見過ごせないものである。
【0131】
(実施例2)
摩擦減少試験
2-ジメチルアミノエチルアクリレートポリマーの調製。
様々な四級化2-ジメチルアミノエチルアクリレート/アクリルアミド(30%/70%)コポリマーを、様々な質量%の、実施例1において調製された6カ月保存後の組成物3に由来する2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーを用いて合成した。ポリマーは、古典的な塊状重合により得られる。
【0132】
ポリマーの組成をtable 5(表5)に要約する。
【0133】
【0134】
水圧粉砕流体の調製
水、並びに塩水1リットル当たり85gの塩化ナトリウム(NaCl)及び33.1gの塩化カルシウム(CaCl2、2H2O)からなる塩水中、10,000ppmの濃度で撹拌しながらポリマー1~5を添加する。
【0135】
次いで、得られた生理食塩水ポリマー溶液を、以下のフローループ試験のために0.05pptg(千ガロン当たりのポンド)(1pptg=0.1198g/Lであるため0.006g/L=6g/m3となる)の濃度で再循環塩水に注入する。
【0136】
フローループ摩擦減少試験
全体の長さが20フィート(1フット=0.3048mであるため6.096mとなる)で1/4インチ(1インチ=2.54cmであるため0.635cmとなる)の外径のステンレス鋼の管から、摩擦フローループを組み立てた。試験溶液を、先細の5リットル容器の下部から注入する。溶液が管を通って流れ、上記容器へと戻る。可変速駆動を備えたトリプレックスポンプを用いて流れを達成する。試料容器において4リットルの真水又は塩水(例えば合成塩水又は海水)を調製し、ポンプを開始させて流量1.5gal/分(1USgal=3.78541リットル)で供給するように設定する。温度が25℃に釣り合うまで塩溶液を再循環させ、安定化された圧力差を達成する。この圧力を、真水、又は海水、又は塩水の初期圧力として記録する。ポリマー1~5それぞれの摩擦減少を評価するために、フローループのタンクを上述した塩水で満たした。次いで、流量1.5gal.分-1でフローループにおいて塩水を再循環させる。再循環塩水に、濃度0.05pptgでポリマーを添加する。
【0137】
試験量のポリマー溶液を、真水、又は海水、又は塩水を含有する試料容器にシリンジを用いてすばやく注入し、タイマーを開始させる。5分間、毎秒、圧力を記録する。式:
【0138】
【0139】
を用いて、初期圧力損失ΔPi及び時間tにおける圧力損失ΔPtから、所定の時間「t」における摩擦減少割合(%FRt)を計算する。
【0140】
【0141】
本発明の組成物から調製されたポリマーはより良好な性能を示し、摩擦減少効果がより速く、最大%FRtがより高く、従来のポリマーよりもこれらのポリマーがより効率的なものとなる。
【0142】
図1から、本発明に由来する2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーが多いほど、ポリマーの性能がより良好となることが分かる。
【0143】
(実施例3)
紙における歩留り向上剤
歩留り向上剤は、微粒子、例えばセルロール微粒子が紙製品に保持される効率を改善するために紙の形成前にセルロース繊維スラリーに添加されるポリマーである。
【0144】
用いたパルプの種類
バージン繊維パルプ
乾燥パルプを分解させることによりウェットパルプを得て、最終水性濃度を1質量%とする。これは、繊維の質量に対して90質量%の漂白バージン長繊維、10質量%の漂白バージン短繊維及び30質量%の更なるGCC(粉末炭酸カルシウム)(Omya社製のHydrocal(登録商標)55)からなるpHが中性のパルプである。
【0145】
総歩留り及び灰分歩留りの評価
全ての次の試験について、ポリマー溶液を0.5質量%で調製する。調製の45分後、ポリマー溶液をインジェクション前に10倍希釈する。
【0146】
撹拌速度1000rpmでBritt Jar型装置を用いることにより様々な結果が得られる。
【0147】
一連のプロセスは以下のとおりである。
- T=0s 濃度0.5質量%の紙パルプ500mLの撹拌
- T=10s 歩留り剤(300gの乾燥ポリマー/1トンの乾燥パルプ)の添加
- T=20s デッドボリュームの限界に相当する最初の20mLの除去、次いで、100mLの白水の回収
【0148】
初回通過歩留りの割合(%FPR)は、総歩留りに相当し、以下の式に従って計算される:%FPR=(CHB-CWW)/CHB
*100
【0149】
割合としての初回通過灰分歩留り(%FPAR)は、以下の式:%FPAR=(AHB-AWW)/AHB
*100
(式中、
- CHB:ヘッドボックス稠度
- CWW:白水稠度
- AHB:ヘッドボックス灰分稠度
- AWW:白水灰分稠度)
を用いて計算される。
【0150】
これらの分析のそれぞれについて、最も高い値が最も良好な性能に対応する。
【0151】
実施例2におけるのと同様のポリマーを試験した。結果をtable 6(表6)に要約する。
【0152】
カナダ標準ろ水度(CSF)を用いた重力排水性能の評価
ビーカー中、撹拌速度1000rpmでパルプを処理する。
【0153】
一連のプロセスは以下のとおりである:
- T=0s:濃度0.6質量%の紙パルプ500mLの撹拌
- T=10s:歩留り剤(300gの乾燥ポリマー/1トンの乾燥パルプ)の添加
- T=20s:撹拌の停止、及び1リットルを得るのに必要な量の水の添加
【0154】
この1リットルのパルプをカナダ標準ろ水度試験機に移し、TAPPI T227om-99手順を適用する。
【0155】
側管により回収されたmLで表される体積は、重力脱水測定をもたらす。値が高いほど、重力排水が良好である。
【0156】
この性能はまた、ブランクと比較した改善の割合(%CSF)を計算することによっても表されうる。
【0157】
最も高い値が最も良好な性能に対応する。
【0158】
実施例2におけるのと同様のポリマーを試験した。結果をtable 6(表6)に要約する。
【0159】
【0160】
本発明のポリマーは、紙用の歩留り向上剤としてより良好な性能を示す。
【0161】
CSFについて、本発明による2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーのみを用いて調製されたポリマーは、25%を超える改善された性能を示す。
【0162】
本発明に由来する2-ジメチルアミノエチルアクリレートモノマーが多いほど、ポリマーの性能はより良好となる。