(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】窒化物半導体発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/06 20100101AFI20230711BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20230711BHJP
H01S 5/323 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01L33/06
H01L33/32
H01S5/323 610
(21)【出願番号】P 2022170582
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2020179458の分割
【原出願日】2020-10-27
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松倉 勇介
(72)【発明者】
【氏名】ペルノ シリル
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-83221(JP,A)
【文献】特開2014-241397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/46
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型半導体層と、
p型半導体層と、
前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に設けられた活性層と、
前記活性層と前記p型半導体層との間に設けられた、Alを含む電子ブロック層と、を備え、
前記電子ブロック層は、積層方向に直交する少なくとも1つの断面に、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部を部分的に有し、
前記高Al組成部は、SiN
xを含有する窒化ケイ素含有部である、
窒化物半導体発光素子。
【請求項2】
前記高Al組成部を有する前記電子ブロック層の前記断面において、前記高Al組成部のAl組成比は、前記断面全域のAl組成比の平均値よりも1.03倍以上大きい、
請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項3】
前記高Al組成部は、前記高Al組成部を有する前記電子ブロック層の前記断面において離散的に形成されている、
請求項1又は2に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項4】
前記電子ブロック層は、積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピークを備え、
前記高Al組成部は、前記Al組成比ピークの積層方向位置における断面に形成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項5】
前記電子ブロック層は、積層方向のn型不純物濃度分布において、n型不純物濃度ピークを少なくとも1つ有する、
請求項4に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項6】
前記電子ブロック層は、前記活性層の上側に隣接するよう形成された第1層と、前記第1層の上側に形成され、前記第1層のAl組成比よりも小さいAl組成比を有するとともに、前記第1層の厚みよりも大きい厚みを有する第2層とを備え、
前記第2層は、積層方向のAl組成比分布において、少なくとも1つの前記Al組成比ピークを有する、
請求項4又は5に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項7】
前記第2層は、積層方向における前記第2層の中央位置よりも前記第1層に近い側の断面に、前記高Al組成部を部分的に有する、
請求項6に記載の窒化物半導体発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、窒化物半導体発光素子として、電子ブロック層を活性層とp型半導体層との間に設けたものが開示されている。電子ブロック層は、活性層よりもAl組成比が比較的高く構成されており、バンドギャップが大きい。そして、特許文献1には、電子ブロック層を設けることにより、電子が活性層を通過してp型半導体層へリークすること(すなわちオーバーフロー現象)を抑制することができる旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の窒化物半導体発光素子によれば、電子ブロック層について特に工夫しなければ窒化物半導体発光素子の電気抵抗が過度に大きくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、電気抵抗が過度に大きくなることを防止しつつオーバーフロー現象の発生を抑制することができる窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に設けられた活性層と、前記活性層と前記p型半導体層との間に設けられた、Alを含む電子ブロック層と、を備え、前記電子ブロック層は、積層方向に直交する少なくとも1つの断面に、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部を部分的に有し、前記高Al組成部は、SiNxを含有する窒化ケイ素含有部である、窒化物半導体発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気抵抗が過度に大きくなることを防止しつつオーバーフロー現象の発生を抑制することができる窒化物半導体発光素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態における窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す図である。
【
図2】(a)は第2層における積層方向のAl組成比分布の一例を示す図であり、(b)は第2層における積層方向のn型不純物濃度分布の一例を示す図であり、(c)は第2層における積層方向のp型不純物濃度分布の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態における特定断面を模式的に表した図である。
【
図7】比較例と実施例との間において、初期発光出力を比較したグラフである。
【
図8】比較例と実施例との間において、残存割合を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1乃至
図8を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0010】
(窒化物半導体発光素子1の概要)
図1は、本形態の窒化物半導体発光素子1の構成を概略的に示す図である。なお、
図1において、窒化物半導体発光素子1の各層の積層方向の寸法比は、必ずしも実際のものと一致するものではない。以下、窒化物半導体発光素子1を、単に「発光素子1」ということもある。
【0011】
発光素子1は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)又は半導体レーザ(LD:Laser Diode)を構成するものとすることができる。本形態の発光素子1は、中心波長が365nm以下の深紫外光を発する深紫外LEDを構成する。具体的には、本形態の発光素子1は、例えば200nm以上365nm以下の深紫外光を発することができるよう構成されている。発光素子1は、例えば殺菌(例えば空気浄化、浄水等)、医療(例えば光線治療、計測・分析等)、UVキュアリング等の分野において用いることができる。
【0012】
発光素子1を構成する半導体としては、直接遷移型の窒化物半導体のうち、例えばAlxGayIn1-x-yNにて表される組成を有する2~4元系のIII族窒化物半導体を用いることができる。ここで、x及びyは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、の関係を満たす。なお、深紫外LEDにおいては、インジウムを含まない窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系の半導体が用いられることが多い。AlGaNは、III族元素の組成(すなわちアルミニウム(Al)及びガリウム(Ga)の合計の組成)と窒素(N)の組成との比が1:1であり、アルミニウムの組成比とガリウムの組成比とを任意とした3元混晶である。なお、発光素子1を構成するIII族元素の一部をホウ素(B)、タリウム(Tl)等のIII族元素に置き換えてもよく、また、窒素の一部をリン(P)、ヒ素(As)等のV族元素に置き換えてもよい。
【0013】
図1に示すように、発光素子1は、基板2、バッファ層3、n型クラッド層4、活性層5、電子ブロック層6、及びp型コンタクト層7を、この順に積層して構成されている。また、本形態において、電子ブロック層6は、活性層5と接触する第1層61と、p型コンタクト層7と接触する第2層62とが積層された2層構造を有している。ここで、基板2、バッファ層3、n型クラッド層4、活性層5、電子ブロック層6、及びp型コンタクト層7の積層方向(すなわち
図1の上下方向)を、単に「積層方向」という。また、積層方向における発光素子1における基板2側を下側、その反対側、すなわち基板2に対するp型コンタクト層7側を上側という。なお、上下の表現は便宜的なものであり、例えば発光素子1の使用時における、鉛直方向に対する発光素子1の姿勢を限定するものではない。本形態において、発光素子1を構成する各層は、積層方向に厚みを有する。
【0014】
さらに、発光素子1は、n型クラッド層4上に設けられたn側電極11と、p型コンタクト層7上に設けられたp側電極12とを備える。以下、発光素子1の各構成要素について詳説する。
【0015】
(基板2)
基板2は、サファイア(Al2O3)単結晶を含むサファイア基板である。なお、基板2には、サファイア基板の他に、例えば、窒化アルミニウム(AlN)基板や、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)基板を用いてもよい。
【0016】
(バッファ層3)
バッファ層3は、窒化アルミニウムにより形成されている。また、基板2が、AlN基板またはAlGaN基板である場合、バッファ層3は、必ずしも設けなくてもよい。
【0017】
(n型クラッド層4)
n型クラッド層4は、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされたAlqGa1-qNからなる。n型クラッド層4の組成AlqGa1-qNの下付きのqは、n型クラッド層4のAl組成比を示し、0<q≦1を満たす。本形態において、n型クラッド層4を形成するAlGaNのAl組成比は、50%以上60%以下である。すなわち、qは、0.5≦q≦0.6を満たす。nクラッド層4を形成するAlGaNのAl組成比は、活性層5における後述の井戸層52を形成するAlGaNのAl組成比よりも大きい範囲において、可能な限り小さい値であることが好ましい。また、本形態において、n型クラッド層4のドーパント濃度(Si濃度)は、0.5×1019[atoms/cm3]以上2.5×1019[atoms/cm3]以下である。なお、n型クラッド層4にドープするn型の不純物としては、シリコンに代えて、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)等を用いてもよい。また、n型クラッド層4の構造は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0018】
(活性層5)
活性層5は、n型クラッド層4側の端に障壁層51が位置し、電子ブロック層6側の端に井戸層52が位置し、3つの障壁層51と3つの井戸層52とが交互に積層された多重量子井戸構造(量子井戸構造)を含んだ層である。活性層5は、多重量子井戸構造内で電子及びホールを再結合させて所定の波長の光を発生させる。本形態においては、活性層5は、波長365nm以下の深紫外光が出力できるよう3.4eV以上のバンドギャップとなるように構成されている。特に本形態において、活性層5は、中心波長が200nm以上365nm以下の深紫外光を発生することができるよう構成されている。なお、障壁層51及び井戸層52の数は3つずつに限定されるものではなく、それぞれ2つずつ設けてもよいし、それぞれ4つ以上ずつ設けてもよい。また、障壁層51及び井戸層52がそれぞれ1つずつ設けられた単一量子井戸構造の構成であってもよい。
【0019】
各障壁層51は、AlrGa1-rNからなる。各障壁層51の組成AlrGa1-rNの下付きのrは、各障壁層51のAl組成比を示し、0<r≦1を満たす。本形態において、各障壁層51を形成するAlGaNのAl組成比は、85%以上95%以下である。すなわち、rは、0.85≦r≦0.95を満たす。本形態において、障壁層51は、アンドープの層であるが、n型不純物及びp型不純物の少なくとも一方が含まれた層であってもよい。また、各障壁層51の膜厚は、例えば2nm~50nm程度の範囲とすることができ、5nm以上20nm以下とすることが好ましい。本形態において、各障壁層51の膜厚は5nm以上9nm以下である。
【0020】
各井戸層52は、AlsGa1-sNからなる。各井戸層52の組成AlsGa1-sNの下付きのsは、各井戸層52のAl組成比を示し、0≦s<1を満たす。本形態において、各井戸層52を形成するAlGaNのAl組成比は、30%以上40%以下である。すなわち、sは、0.3≦s≦0.4を満たす。また、各井戸層52は、2.0nm以上3.5nm以下の厚さを有している。例えば、活性層5の構造が多重量子井戸構造である場合、電子ブロック層6に接する井戸層52以外の井戸層52にn型不純物が含まれる構成を採用することができる。複数の井戸層52の積層方向のn型不純物濃度分布において、ドーパント濃度(Si濃度)の最大値は、1×1019[atoms/cm3]以上6×1019[atoms/cm3]以下である。
【0021】
(第1層61)
電子ブロック層6の第1層61は、活性層5上に形成されている。第1層61は、活性層5を通過する電子がp型コンタクト層7側へリークするオーバーフロー現象の発生を抑制することによって活性層5への電子注入効率を向上させる役割を有する。すなわち、第1層61は、n型クラッド層4側から活性層5を上側に通過した電子を、活性層5側に反射させる役割を有する。
【0022】
第1層61は、AlaGa1-aNにて表される組成を有する。ここで、第1層61の組成AlaGa1-aNにおける下付きのaは、第1層61のAl組成比を示し、0<a≦1を満たす。本形態において、第1層61は、例えばAl組成比aを80%以上とすることができる。第1層61のAl組成比aは、第2層62のAl組成比及びp型コンタクト層7のAl組成比のそれぞれよりも大きい。ここで、AlGaNにて表される組成を有する第1層61は、Al組成比が大きいほど電子の通過を抑制する電子ブロック効果を向上させることができる。そして、本形態においては、Al組成比aを非常に大きくした第1層61を活性層5に隣接する位置に形成することにより、活性層5に近い位置において高い電子ブロック効果を発揮することができ、井戸層52における電子の存在確率を向上させやすい。
【0023】
本形態において、第1層61には、p型不純物としてマグネシウムがドープされている。なお、p型不純物としては、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、又は炭素(C)等を用いることも可能である。なお、第1層61をアンドープのAlGaNによって構成することも可能である。
【0024】
第1層61の厚み(すなわち積層方向の寸法)は、発光素子1全体の電気抵抗値の低減の観点から30nm以下とすることが好ましい。また、第1層61の厚みは、電気抵抗値低減及び電子の通過を防止する電子ブロック効果向上の双方の観点から、0.5nm以上5.0nm以下とすることが一層好ましい。
【0025】
(第2層62)
電子ブロック層6の第2層62は、第1層61上に形成されている。まず、第1層61上に第2層62を設けた理由の1つについて説明する。
【0026】
第1層61は、電子ブロック効果向上の観点からAl組成比を著しく高くしているため、その厚みを大きくすると電気抵抗値が過度に大きくなることが懸念される。そのため、第1層61は、その厚みを大きくすることが難しく、発光素子1において比較的薄く形成されている。しかしながら、第1層61の厚みを小さくすると、トンネル効果によって電子が第1層61を下側から上側にすり抜ける確率が増大することが懸念される。
【0027】
そこで、第1層61の上に、第1層61のAl組成比よりも小さいAl組成比を有し、第1層61よりも電気抵抗率が小さい第2層62が形成されている。このように、著しくAl組成比が大きい第1層61を非常に薄く形成し、その上に第2層62を構成することにより、発光素子1全体の電気抵抗値が過度に増大することを防止しつつ、トンネル効果によって第1層61を上側に通過した電子を活性層5側に反射させることができる。以上のような理由で、第1層61上に第2層62が設けられている。
【0028】
第2層62は、AlbGa1-bNにて表される組成を有する。ここで、第2層62の組成AlbGa1-bNにおける下付きのbは、第2層62のAl組成比を示し、0<b≦1を満たす。第2層62のAl組成比bは、第1層61のAl組成比aよりも小さい。すなわち、b<aである。例えば、第1層61のAl組成比aは、80%以上とすることができ、第2層62のAl組成比bは、第1層61のAl組成比aよりも低い状態において、50%以上、90%以下とすることができる。また、第2層62のAl組成比bは、後述のp型コンタクト層7のAl組成比αよりも大きい。特に、第2層62のAl組成比bは、p型コンタクト層7のAl組成比αよりも40%以上大きいことが好ましい。すなわち、第1層61のAl組成比a、第2層62のAl組成比b、及びp型コンタクト層7のAl組成比αは、α+0.4≦b<aを満たすことが好ましい。なお、p型コンタクト層7のAl組成比αは、0%以上40%以下とすることができ、p型コンタクト層7とp側電極12との間の接触抵抗を低くする観点からは0%とすることが好ましい。
【0029】
第2層62の厚み(すなわち積層方向の寸法)は、15nm以上とすることが好ましい。第2層62の厚みの上限は、電気抵抗値低減の観点から100nm以下とすることが好ましく、電気抵抗値低減及び電子ブロック効果向上の双方の観点からは、20nm以上、75nm以下とすることが一層好ましい。第2層62の厚みは、例えば、第1層61の厚みの5倍以上20倍以下とすることができる。また、第2層62の厚みは、p型コンタクト層7の厚みよりも大きい。
【0030】
<Al組成比分布>
図2(a)は、第2層62における積層方向のAl組成比分布の一例を示す図である。
図2(a)乃至(c)においては、グラフ右側が第1層61側(すなわち下側)であり、グラフ左側がp型コンタクト層7側(すなわち上側)である。なお、
図2(b)及び(c)については後述する。
【0031】
本形態においては、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により、第2層62における積層方向のAl組成比分布を測定した。本形態の第2層62における積層方向のAl組成比分布の概形は、積層方向における第1層61側に向かうにつれて徐々に高くなるよう傾斜している。このようにすることで、第2層62と第2層62に隣接する層との間においてAl組成比が急激に変化することを抑制しやすく、格子定数差を低減して転位の発生を抑制することができる。なお、本形態の第2層62における積層方向のAl組成比分布の概形は傾斜していなくてもよい。
【0032】
第2層62は、積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピークP1を少なくとも1つ有する。つまり、第2層62は、積層方向のAl組成比分布において、Al組成比が局所的に高くなっている極大点を有している。これに伴い、第2層62は、積層方向の少なくとも一部の領域においてAl組成比が局所的に高くなっている。本形態においては、第2層62は、積層方向のAl組成比分布において、1つのAl組成比ピークP1を有する。
【0033】
図3は、
図2(a)の一部を拡大した図である。以下において、第2層62の厚みの10%の厚さを10%厚さL[nm]と呼ぶこととする。このとき、第2層62の積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピークP1は、極大値として現れるとともに、その積層方向位置から積層方向の両側に10%厚さL分だけ離れた位置同士の間の積層方向領域R1におけるAl組成比の最小値MR1に対して、1.05倍以上のAl組成比を有する。なお、本形態において、10%厚さLは5nmである。
【0034】
また、Al組成比ピークP1は、第2層62の積層方向のAl組成比分布における最小二乗近似線に対して、Al組成比が1.05倍以上となることが好ましい。
【0035】
また、
図2(a)に示すごとく、Al組成比ピークP1は、第2層62の積層方向のAl組成比分布におけるAl組成比の最小値M1に対して、1.07倍以上のAl組成比を有することが好ましい。ここでの最小値M1は、第2層62とp型コンタクト層7との境界部から下側に10nm離れた位置よりも下側における、第2層62の積層方向の各位置におけるAl組成比のうちの最小値とした。第2層62の積層方向のAl組成比分布を二次イオン質量分析法によって測定した場合、第2層62とp型コンタクト層7との境界部から下側に10nm離れた位置までの領域は、正確なAl組成比を見積もることが困難な領域である。
【0036】
また、Al組成比ピークP1は、Al組成比が85%以上となることが好ましい。本形態において、Al組成比ピークP1におけるAl組成比は、88.8%である。さらに、Al組成比ピークP1は、第2層62における積層方向のAl組成比分布に表れる極大値のうち、Al組成比が最大となる極大値となることが好ましい。
【0037】
図2(a)に示すごとく、Al組成比ピークP1は、積層方向において、第2層62の中央位置よりも第1層61に近い側に存在していることが好ましい。この場合、電子のオーバーフロー源である活性層5により近い位置にAl組成比ピークP1を形成することができ、電子ブロック効果を高めやすい。なお、Al組成比ピークP1は、積層方向において、第2層62の中央位置よりもp型コンタクト層7側に近い側に存在していてもよい。また、第2層62の積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピークP1が複数ある場合は、中央位置の両側にAl組成比ピークP1が存在していてもよい。この場合、第2層62の中央位置よりも第1層61側の方が、第2層62の中央位置よりもp型コンタクト層7側よりも、多くのAl組成比ピークP1が存在していることが、電子ブロック効果の確保しやすさの観点から好ましい。
【0038】
図4は、Al組成比ピークP1の積層方向位置における、第2層62の積層方向に直交する断面を模式的に表した図である。なお、以下、特に断らない限り、単に断面といったときは積層方向に直交する断面を意味するものとする。本形態において、第2層62は、少なくとも1つのAl組成比ピークP1の積層方向位置における断面に、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部601を部分的に有する。以下において、
図4に示すように高Al組成部が部分的に形成された第2層62の断面を、特定断面という。高Al組成部601は、窒化ケイ素(SiN
x:シリコンナイトライド)を含有する窒化ケイ素含有部600であり、窒化ケイ素に引き付けられやすいアルミニウムが優先的に取り込まれることによってAl組成比が大きくなった部位である。すなわち、特定断面においては高Al組成部601が部分的に存在するため、特定断面が存在する積層方向位置にAl組成比ピークP1が形成される。
【0039】
第2層62の特定断面において、高Al組成部601のAl組成比は、当該特定断面全域のAl組成比の平均値よりも1.03倍以上大きい。例えば、第2層62の特定断面において、高Al組成部601におけるAl組成比は88.8%であり、当該特定断面全域のAl組成比の平均値は84.2%である。また、第2層62の特定断面において、高Al組成部601以外の部位のAl組成比は一様であり、例えば79.6%である。第2層62の特定断面において、高Al組成部601のAl組成比は、高Al組成部601以外の部位のAl組成比の1.12倍以上である。
【0040】
また、第2層62の特定断面において、高Al組成部601の面積割合は、30%以上70%以下とすることができる。
図4に示すごとく、高Al組成部601は、第2層62の特定断面において、離散的に形成されている。具体的には、高Al組成部601は、第2層62の特定断面において点在するよう形成されている。なお、これに限られず、第2層62の特定断面において、高Al組成部601は、例えば縞状に断続的に存在していてもよい。
【0041】
<n型不純物濃度分布>
第2層62には、積層方向の一部の領域に、n型不純物としてシリコンが含有されている。なお、n型不純物としては、シリコンに加えて酸素(O)が含まれていてもよい。発光素子1の製造途中において、第2層62が大気に触れ、シリコンが酸化した場合等においては、意図せず第2層62に酸素が含まれることがある。また、n型不純物としては、ゲルマニウム、セレン、又はテルル等を用いてよい。
【0042】
図2(b)は、第2層62における積層方向のn型不純物濃度分布の一例を示す図である。本形態においては、二次イオン質量分析法により、第2層62における積層方向のn型不純物濃度分布を測定した。第2層62は、積層方向のn型不純物濃度分布において、n型不純物濃度ピークP2を少なくとも1つ有するピーク含有層である。すなわち、第2層62は、積層方向の少なくとも一部の領域においてn型不純物濃度が局所的に高くなっている。本形態においては、第2層62は、積層方向のn型不純物濃度分布において、1つのn型不純物濃度ピークP2を有する。n型不純物にはp型不純物が引き付けられやすいところ、第2層62にn型不純物濃度ピークP2を設けることにより、p型コンタクト層7からのp型不純物が活性層5へ拡散することを防止することができる。
【0043】
図5は、
図2(b)の一部を拡大した図である。第2層62の積層方向のn型不純物濃度分布において、n型不純物濃度ピークP2は、極大値として現れるとともに、その積層方向位置から積層方向の両側に10%厚さL分だけ離れた位置同士の間の積層方向領域R2におけるn型不純物濃度の最小値MR2に対して10倍以上のn型不純物濃度を有する。
【0044】
また、n型不純物濃度ピークP2は、第2層62の積層方向のn型不純物濃度分布における最小二乗近似線に対して、n型不純物濃度が10倍以上となることが好ましい。
【0045】
また、
図2(b)に示すごとく、n型不純物濃度ピークP2は、第2層62の積層方向のn型不純物濃度分布におけるn型不純物濃度の最小値M2に対して、21倍以上のn型不純物濃度を有することが好ましい。さらに、n型不純物濃度ピークP2は、第2層62の積層方向のn型不純物濃度分布におけるn型不純物濃度の最小値M2よりも1.0×10
18[atoms/cm
3]以上大きいn型不純物濃度を有することが好ましい。
【0046】
また、n型不純物濃度ピークP2は、n型不純物濃度が1.0×1018[atoms/cm3]以上となることが好ましい。そして、n型不純物濃度ピークP2のn型不純物濃度は、1.0×1018[atoms/cm3]以上、1.0×1020[atoms/cm3]以下となることが一層好ましい。本形態において、n型不純物濃度ピークP2におけるn型不純物濃度は、5.55×1018[atoms/cm3]である。さらに、n型不純物濃度ピークP2は、第2層62における積層方向のn型不純物濃度分布に表れる極大値のうち、n型不純物濃度が最大となる極大値となることが好ましい。
【0047】
本形態において、n型不純物濃度ピークP2が存在する積層方向の位置は、積層方向におけるAl組成比ピークP1が存在する積層方向の位置と同等の位置にある。ここでいう同等の位置とは、例えば、n型不純物濃度ピークP2の位置から上下に10%厚さL[nm]以内の積層方向領域R2と、Al組成比ピークP1の位置から上下に10%厚さL[nm]以内の積層方向領域R1との少なくとも一部同士が、積層方向の同等の位置に形成されていることをいう。
【0048】
第2層62の特定断面において、高Al組成部601が形成された部位(すなわち窒化ケイ素を含有する窒化ケイ素含有部600)が、周囲よりもn型不純物濃度が高くなった高n型不純物濃度部602でもある。第2層62の特定断面において、高n型不純物濃度部602におけるn型不純物濃度は、特定断面全域のn型不純物濃度の10倍以上である。
【0049】
なお、n型不純物濃度ピークP2とAl組成比ピークP1との積層方向位置は、互いにずれていてもよい。この場合においては、n型不純物濃度ピークP2がAl組成比ピークP1よりもp型コンタクト層7側に形成されていることが好ましい。この場合は、p型不純物が拡散されるp型コンタクト層7の近くにn型不純物濃度ピークP2が形成され、p型不純物の拡散がp型コンタクト層7(すなわちp型不純物の拡散源)の近くにおいて阻止される。さらに、Al組成比ピークP1がn型不純物濃度ピークP2よりも活性層5側に形成されていることにより、活性層5のより近くにおいて電子を活性層5側に反射させることができ、活性層5における電子の存在確率を向上させやすい。
【0050】
第2層62中のn型不純物は、第2層62におけるn型不純物濃度ピークP2の積層方向位置において、結晶中に固溶した状態、クラスターを形成した状態、及びn型不純物を含んだ化合物が析出した状態の少なくともいずれかの状態で存在していればよい。第2層62中のn型不純物が結晶中に固溶した状態とは、第2層62を構成するAlGaN中にシリコンがドープされた状態、すなわちシリコンがAlGaNの格子位置にある状態である。また、第2層62中のn型不純物がクラスターを形成した状態とは、第2層62を構成するAlGaN中にシリコンが過剰ドープされ、シリコンがAlGaNの格子位置に存在するとともに格子間位置においても凝集等して存在する状態である。そして、第2層62において、n型不純物を含んだ化合物が析出した状態とは、例えば窒化ケイ素等が形成された状態である。
【0051】
なお、本形態において、第2層62は、n型不純物濃度ピークP2が存在する積層方向の位置以外においてはn型不純物が含有されていないが、含有されていてもよい。例えば、第2層62のn型不純物濃度ピークP2が存在する積層方向の位置よりもp型コンタクト層7側の領域にn型不純物濃度が含まれていてもよい。この場合、当該領域におけるn型不純物濃度は、1.0×1018[atoms/cm3]未満、特に5.0×1017[atoms/cm3]以下とすることが結晶性向上の観点から好ましく、バックグラウンドレベル、すなわち意図してn型不純物をドープしない場合に検出されるn型不純物濃度(例えば1.0×1017±5×1016[atoms/cm3]の範囲)とすることがより好ましい。
【0052】
<p型不純物濃度分布>
本形態において、第2層62のそれぞれには、p型不純物としてマグネシウム(Mg)が含有されている。なお、p型不純物としては、亜鉛、ベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又は炭素等を用いることも可能である。第2層62全体のp型不純物濃度は、第1層61のp型不純物濃度以上であり、後述のp型コンタクト層7のp型不純物濃度未満である。
【0053】
図2(c)は、第2層62における積層方向のp型不純物濃度分布の一例を示す図である。本形態においては、二次イオン質量分析法により、第2層62における積層方向のp型不純物濃度分布を測定した。第2層62は、積層方向のp型不純物濃度分布において、p型不純物濃度ピークP3を少なくとも1つ有する。すなわち、第2層62は、積層方向の少なくとも一部の領域においてp型不純物濃度が局所的に高くなっている。
【0054】
図6は、
図2(c)の一部を拡大した図である。第2層62の積層方向のp型不純物濃度分布において、p型不純物濃度ピークP3は、極大値として現れるとともに、その積層方向位置から積層方向の両側に10%厚さL分だけ離れた位置同士の間の積層方向領域R3のp型不純物濃度の最小値MR3に対して1.2倍以上のp型不純物濃度を有する。
【0055】
また、p型不純物濃度ピークP3は、第2層62の積層方向のp型不純物濃度分布における最小二乗近似線に対して、p型不純物濃度が1.2倍以上となることが好ましい。
【0056】
また、
図2(c)に示すごとく、p型不純物濃度ピークP3は、第2層62の積層方向のp型不純物濃度分布におけるp型不純物濃度の最小値M3に対して、1.25倍以上のp型不純物濃度を有することが好ましい。
【0057】
また、p型不純物濃度ピークP3は、p型不純物濃度が1.05×1019[atoms/cm3]以上となる極大値とすることができる。そして、p型不純物濃度ピークP3は、1.05×1019[atoms/cm3]以上、5.0×1020[atoms/cm3]以下となることが一層好ましい。本形態において、p型不純物濃度ピークP3におけるp型不純物濃度は、1.13×1019[atoms/cm3]である。
【0058】
本形態においては、第2層62の特定断面において、高Al組成部601が形成された部位(すなわち窒化ケイ素含有部600)が、周囲よりもp型不純物濃度が高くなった高p型不純物濃度部603でもある。つまり、本形態においては、特定断面において部分的に表れる窒化ケイ素含有部600が、高Al組成部601と高n型不純物濃度部602と高p型不純物濃度部603とを兼ねている。そして、第2層62において、高Al組成部601、高n型不純物濃度部602、及び高p型不純物濃度部603以外の部位は、AlGaNによって形成された部位となっている。
【0059】
これに伴い、本形態において、p型不純物濃度ピークP3は、Al組成比ピークP1及びn型不純物濃度ピークP2と積層方向の同等の位置に形成されている。ここでいう同等の位置とは、例えば、Al組成比ピークP1の位置から上下に10%厚さL[nm]以内の積層方向領域R1と、n型不純物濃度ピークP2の位置から上下に10%厚さL[nm]以内の積層方向領域R2と、p型不純物濃度ピークP3の位置から上下に10%厚さL[nm]以内の積層方向領域R3との少なくとも一部同士が、積層方向の同等の位置に形成されていることをいう。
【0060】
第2層62中のp型不純物は、第2層62におけるp型不純物濃度ピークP3の積層方向位置において、結晶中に固溶した状態、クラスターを形成した状態、及びp型不純物を含んだ化合物が析出した状態の少なくともいずれかの状態で存在していればよい。
【0061】
なお、第2層62における窒化ケイ素が形成された積層方向領域の下側の部位は、アンドープのAlGaN、又はp型不純物がドープされたAlGaNによって構成することができる。また、第2層62における窒化ケイ素が形成された積層方向領域の上側の部位は、アンドープのAlGaN、又はp型不純物とn型不純物の少なくとも一方がドープされたAlGaNによって構成することができる。
【0062】
また、第1層61のAl組成比よりも小さいAl組成比を有するとともに、第1層61の厚みよりも大きい厚みを有する第2層62を第1層61上に複数層設けてもよい。また、第2層62と第1層61との間、及び、第2層62における第1層61と反対側(すなわち上側)の少なくとも一方には、前述した第2層62の要件を満たさない電子ブロック層をさらに設けてもよい。
【0063】
(p型コンタクト層7)
p型コンタクト層7は、p型半導体層を構成するものであり、
図1に示すごとく、第2層62上に形成されている。p型コンタクト層7は、p側電極12とのオーミックコンタクトを形成するための層である。本形態において、p型コンタクト層7は、p型不純物としてマグネシウムが高濃度にドープされたp型のGaN層である。GaNとは、ガリウムと窒素との2元混晶である。p型コンタクト層7のp型不純物濃度は、例えば5.0×10
19~5.0×10
21[atoms/cm
3]とすることができる。なお、p型コンタクト層7は、例えば、10%以下のAl組成比を有するp型AlGaNによって形成された層でもよい。また、p型不純物としては、亜鉛、ベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又は炭素等を用いることも可能である。
【0064】
p型コンタクト層7は、積層方向に厚みを有し、その厚みは例えば1nm以上1000nm以下とすることができる。p型コンタクト層7の厚みは、5nm以上であることがp側電極12との密着性向上の観点から好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。また、p型コンタクト層7の厚みは、活性層5から発される深紫外光を基板2側から取り出しやすくする観点から、200nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。すなわち、p型コンタクト層7を薄く形成することにより、活性層5から発される深紫外光のうち上側に向かう深紫外光がp側電極12において反射して基板2側に向かう際に生じる光損失が少なくなるため、発光素子1の基板2からの発光出力を向上させやすい。
【0065】
なお、第2層62とp型コンタクト層7との間には、p型クラッド層が介在していてもよい。この場合、p型クラッド層は、p型半導体を構成するものであり、例えばp型AlGaN層によって構成され得る。p型クラッド層のAl組成比は、第2層62のAl組成比と後述のp型コンタクト層7のAl組成比との間である。このようなp型クラッド層をp型コンタクト層7と第2層62との間に介在させることにより、p型コンタクト層7と第2層62との間の格子不整合に起因した欠陥の発生を防ぎ、p型コンタクト層7の結晶性を向上させることができる。
【0066】
(n側電極11)
n側電極11は、n型クラッド層4における活性層5からの露出面41上に形成されている。n側電極11は、例えば、n型クラッド層4上にチタン(Ti)、アルミニウム、チタン、及び金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
【0067】
(p側電極12)
p側電極12は、p型コンタクト層7上に形成されている。p側電極12は、例えば、ロジウム(Rh)からなる。p側電極12は、紫外線の反射率が大きい材料で構成されるのが好ましい。
【0068】
(発光素子1の製造方法)
次に、本形態における発光素子1の製造方法について説明する。
本形態においては、有機金属化学気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)により、基板2上にバッファ層3、n型クラッド層4、活性層5、第1層61、第2層62、及びp型コンタクト層7を順にエピタキシャル成長させる。すなわち、本形態においては、チャンバ内に基板2を設置し、基板2上に形成される各層の原料となるキャリアガスをチャンバ内に導入することによって基板2上に各層が形成される。各層をエピタキシャル成長させためのキャリアガスとしては、アルミニウム源としてトリメチルアルミニウム(TMA)、ガリウム源としてトリメチルガリウム(TMG)、窒素源としてアンモニア(NH3)、シリコン源としてテトラメチルシラン(TMSi)、マグネシウム源としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることができる。各層をエピタキシャル成長させるための成長温度、成長圧力、及び成長時間等の製造条件については、各層の構成に応じた一般的な条件とすることができる。
【0069】
なお、MOCVD法は、有機金属化学気相エピタキシ法(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)と呼ばれることもある。また、基板2上にバッファ層3、n型クラッド層4、活性層5、第1層61、第2層62、及びp型コンタクト層7をエピタキシャル成長させるに際しては、分子線エピタキシ法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)、ハイドライド気相エピタキシ法(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)等の他のエピタキシャル成長法を用いることも可能である。本形態においては、第2層62の製造方法を特に工夫しており、これについては後述する。
【0070】
基板2上に各層を形成した後、p型コンタクト層7上の一部、すなわちn型コンタクト層の活性層5からの露出面41になる部分以外の部位にマスクを形成する。そして、マスクを形成していない領域を、p型コンタクト層7の上面から積層方向のn型クラッド層4の途中までエッチングにより除去する。これにより、n型コンタクト層に、上側に向かって露出する露出面41が形成される。
【0071】
次いで、n型クラッド層4の露出面41上にn側電極11を形成し、マスクを除去したp型コンタクト層7上にp側電極12を形成する。n側電極11及びp側電極12は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成してよい。以上により完成したものを、所望の寸法に切り分けることにより、
図1に示すような発光素子1が製造される。
【0072】
ここで、第2層62の製造工程につき詳説する。
基板2上にバッファ層3、n型クラッド層4、活性層5、及び第1層61が順に形成された後、第1層61上に第2層62が形成される。第2層62を形成するにあたっては、第1工程、第2工程、及び第3工程をこの順に行う。
【0073】
第1工程においては、アルミニウム源としてのトリメチルアルミニウムと、ガリウム源としてのトリメチルガリウムと、窒素源のアンモニアと、マグネシウム源のビスシクロペンタジエニルマグネシウムとをチャンバ内に供給する。これにより、第1層61の上に、p型不純物としてマグネシウムがドープされたAlGaNを含む層状の部位が形成される。
【0074】
次いで、第2工程においては、第1工程においてチャンバ内に供給していたキャリアガスのうち、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、及びビスシクロペンタジエニルマグネシウムの供給を停止し、チャンバ内へ供給するキャリアガスを、テトラメチルシラン及びアンモニアのみとする。これにより、第1工程において形成された部位の上に、
図4に示すごとく窒化ケイ素含有部600が点在するよう形成される。
【0075】
次いで、第3工程においては、チャンバに供給するキャリアガスを、第1工程におけるものと同じ、すなわちトリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、アンモニア、及びビスシクロペンタジエニルマグネシウムに戻す。これにより、p型不純物としてマグネシウムがドープされたAlGaNを含む層状の部位が形成される。これらにより、積層方向に直交する少なくとも1つの断面に、高Al組成部601、高n型不純物濃度部602、及び高p型不純物濃度部603を部分的に有する第2層62が得られる。
【0076】
以下、第2層62において、窒化ケイ素含有部600が存在する積層方向領域を第2部位といい、第2部位の下側(すなわち第1層61側)を第1部位、第2部位の上側(すなわちp型コンタクト層7側)を第3部位という。ここで、第2工程において形成される第2部位は積層方向に直交する面方向において窒化ケイ素含有部600が点在しているため、積層方向の第2部位が存在する位置は、第2層62の積層方向のn型不純物濃度分布のn型不純物濃度ピークP2の位置となる。窒化ケイ素含有部600が形成された領域においては、アルミニウムが取り込まれやすくなるため、窒化ケイ素含有部600では高Al組成のAlGaNが形成されやすくなる。そのため、積層方向の第2部位が存在する位置は、第2層62における積層方向のAl組成比分布のAl組成比ピークP1が存在する。さらに、p型不純物としてのマグネシウムはシリコンと結合しやすい性質を有するため、窒化ケイ素含有部600が点在する第2部位にはマグネシウムも取り込まれやすい。そのため、積層方向の第2部位が存在する位置は、第2層62における積層方向のp型不純物濃度分布のp型不純物濃度ピークP3の位置となる。
【0077】
(実施の形態の作用及び効果)
本形態において、電子ブロック層6は、積層方向に直交する少なくとも1つの断面に、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部601を部分的に有する。このように、電子ブロック層6において、部分的に高Al組成部601を形成し、他の部位を低Al組成比とすることにより、電子ブロック効果の向上と電気抵抗値の増大抑制との双方を実現することができる。すなわち、高Al組成部601において電子ブロック効果を発揮することができ、高Al組成部601以外の領域において電気抵抗値を低減することができる。
【0078】
また、高Al組成部601を有する電子ブロック層6の断面である特定断面において、高Al組成部601のAl組成比は、特定断面全域のAl組成比の平均値よりも1.03倍以上大きい。それゆえ、高Al組成部601を有する電子ブロック層6の電子ブロック効果をより一層確保しやすい。
【0079】
また、高Al組成部601は、第2層62の特定断面において離散的に形成されている。それゆえ、第2層62の特定断面において、Al組成部601と、比較的Al組成比の低い部位とをまんべんなく形成することができる。これにより、特定断面における電気抵抗値、及び、電子ブロック効果を、特定断面全域において一様にしやすい。
【0080】
また、第2層62は、積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピークP1を有する。これにより、第2層62は、積層方向のAl組成比ピークP1の位置において高い電子ブロック効果を得ることができる。そして、第2層62、少なくとも1つのAl組成ピークの積層方向位置における断面に、高Al組成部を部分的に有する。これにより、第2層62の積層方向のAl組成比分布のAl組成比ピークP1が存在する積層方向位置においても、高Al組成部601を部分的に形成することにより、前述のごとく電気抵抗値の増大を抑制することが可能となる。さらに、第2層62における積層方向のAl組成比ピークP1が存在しない領域においてAl組成比を比較的小さくすることにより、第2層62全体の電気抵抗値の増大を抑制することもできる。
【0081】
ここで、p型不純物が活性層5へ拡散すると、活性層5を構成する母相原子とp型不純物との原子半径の違いによって活性層5において転位が発生しやすくなる。活性層5に転位が存在すると、非発光性の再結合(例えば振動を生じさせる再結合)に電子及び正孔が消費されやすく、発光効率が低下しやすい。さらに、活性層5に転位が存在すると、転位部に電流集中が生じること等に起因する劣化が起こりやすくなる。
【0082】
そこで、本形態の第2層62は、積層方向のn型不純物濃度分布において、本形態にて定義したn型不純物濃度ピークP2を有する。それゆえ、第2層62における積層方向のn型不純物濃度ピークP2の位置において、p型不純物が引き付けられやすく、活性層5へのp型不純物の拡散が抑制される。その結果、発光素子1の発光効率の向上、及び発光素子1の高寿命化を図ることができる。ここで、第2層62の全体にn型不純物が一様に存在した場合、p型不純物の活性層5への拡散を防止する効果を十分に得られないおそれがある。一方、本形態のように、積層方向の少なくとも1箇所にn型不純物濃度ピークP2が存在するよう第2層62を形成することにより、p型不純物の活性層5への拡散を防止する効果を向上させることができ、その結果、発光効率の向上、及び長寿命化を図ることができる。
【0083】
また、電子ブロック層6は、活性層5の上側に隣接するよう形成された第1層61と、第1層61の上側に形成されるとともに、第1層61のAl組成比よりも小さいAl組成比を有する第2層62とを備える。すなわち、第1層61は、Al組成比を高くしている分、電気抵抗値が過度に増大することを防止する観点からその厚みを小さくしている。一方、第1層61を薄く形成したため、トンネル効果により一部の電子が確率的に第1層61を下側から上側に通過するおそれがある。そこで、第1層61を通過した電子をブロックすべく、第1層61の上側に第1層61よりもAl組成比が小さく厚みが大きい第2のブロック層を形成している。そして、本形態においては、かかる前提構成において、第2層62が、積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピークP1を有する。それゆえ、第1層61よりもAl組成比の小さい第2層62においても、積層方向の一部にAl組成比が高い領域を作ることによって電子ブロック効果を向上させることができる。さらに、第2層62は、少なくとも1つのAl組成比ピークP1の積層方向位置における断面に、高Al組成部601を部分的に有する。それゆえ、Al組成比ピークP1を第2層62に形成した場合であっても、第2層62の電子ブロック効果の確保と電気抵抗の上昇抑制との双方を実現することができる。
【0084】
また、第2層62は、積層方向における第2層62の中央位置よりも第1層61に近い側の断面に、高Al組成部601を部分的に有する。それゆえ、トンネル効果によって第1層61を下側から上側に通過する電子を、第1層61に近い位置で活性層5側に反射させることができ、活性層5における電子の存在確率を上昇させることができる。
【0085】
また、本形態の発光素子1の製造方法において、第2層62の製造工程は、SiNxを含有する窒化ケイ素含有部600を積層方向に直交する面方向に部分的に形成する工程(前述の第2工程)を含む。それゆえ、積層方向における窒化ケイ素含有部600が形成された領域において、n型不純物濃度が上昇するともに、アルミニウムの組成比が上昇する。これは、窒化ケイ素含有部600が形成された箇所ではアルミニウムが取り込まれやすくなり、高Al組成のAlGaNが形成されやすくなるためである。すなわち、第2層62における積層方向に直交する断面において、窒化ケイ素含有部600は、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部を構成することとなる。これにより、窒化ケイ素含有部600が存在する積層方向領域に、n型不純物濃度分布のn型不純物濃度ピークP2及びAl組成比分布のAl組成比ピークP1の双方が形成された第2層62を容易に製造することができる。
【0086】
以上のごとく、本形態によれば、電気抵抗が過度に大きくなることを防止しつつオーバーフロー現象の発生を抑制することができる窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することが可能となる。
【0087】
(実施例)
次に、発光素子1の実施例につき説明する。本実施例の発光素子1は、前記実施の形態における発光素子1と同様の製造方法によって製造され、前記実施の形態における発光素子1の基本構成と同様の構成を有する。なお、以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0088】
本実施例の発光素子1における各層の厚み、Al組成比、Si濃度(すなわちn型不純物濃度、及びMg濃度(すなわちp型不純物濃度)を下記の表1に示す。表1中の第2部位は、前述のごとく、第2層62における窒化ケイ素含有部600が存在する積層方向領域であり、第1部位は、第2層62における第2部位の下側(すなわち第1層61側)の領域であり、第3部位は、第2層62における第2部位の上側(すなわちp型コンタクト層7側)の領域である。また、表1において、Si濃度は、各層の積層方向のSi濃度分布における最大のSi濃度を意味しており、Mg濃度は、各層の積層方向のMg濃度分布における最大のMg濃度を意味している。
【0089】
【0090】
なお、本実施例の発光素子1の各層の厚みは透過型電子顕微鏡によって測定し、発光素子1の各層のAl組成比、Si濃度、及びMg濃度のそれぞれは二次イオン質量分析法によって測定した。
【0091】
(比較例)
次に、発光素子1の比較例につき説明する。本比較例の発光素子は、前記実施の形態に対して、第2層62のAl組成比を積層方向に一様にしたものである。本比較例の発光素子は、Al組成比ピークP1、n型不純物濃度ピークP2、及びp型不純物濃度ピークP3を有さない。また、本比較例の発光素子は、第2層62とp型コンタクト層7との間に、p型クラッド層が設けられている。p型クラッド層は、第2層62のAl組成比とp型コンタクト層7のAl組成比との間のAl組成比を有するとともに、p型不純物がドープした層である。本比較例の発光素子のその他の構成は、前記実施の形態における発光素子1と同様である。また、本比較例の発光素子の製造方法は、前記実施の形態における発光素子1の製造方法と同様である。本比較例の発光素子における各層の厚み、Al組成比、Si濃度(すなわちn型不純物濃度、及びMg濃度(すなわちp型不純物濃度)を下記の表2に示す。
【0092】
【0093】
なお、本実施例の発光素子1の各層の厚みは、透過型電子顕微鏡によって測定し、発光素子1の各層のAl組成比、Si濃度、及びMg濃度のそれぞれは二次イオン質量分析法によって測定した。
【0094】
(発光出力)
実施例の発光素子1における初期発光出力と比較例の発光素子における初期発光出力とを比較する。初期発光出力は、製造直後の発光素子の発光出力である。実施例及び比較例のそれぞれの発光素子に対して電流350mAを通電したときの、それぞれの発光素子の初期発光出力[mW]を測定した。発光出力の測定は、実施例及び比較例のそれぞれの発光素子の下側に設置した光検出器によって測定した。結果を
図7のグラフに示す。
【0095】
図7から分かるように、実施例の発光素子1における初期発光出力は、比較例の発光素子における初期発光出力よりも20mW以上大きくなる。実施例の発光素子1においては、第2層62に窒化ケイ素を含む第2部位を形成することによって、この第2部位の位置にAl組成比ピークP1を形成することができる。これにより、実施例の発光素子1においては、第1層61を通過する電子が活性層5側に反射する確率を向上させることができるため、比較例の発光素子よりも高い初期発光出力を得られる。
【0096】
また、実施例の発光素子1においては、第2層62に窒化ケイ素を含む第2部位を形成することによって、この第2部位の位置にn型不純物濃度ピークP2を形成することができる。これにより、前述のごとくp型不純物の活性層5への拡散を抑制することができ、その結果、発光素子1の発光効率を向上させることができる。
【0097】
(発光寿命)
実施例の発光素子1における発光寿命と比較例の発光素子における発光寿命とを比較する。実施例及び比較例のそれぞれの発光素子に対して電流350mAを所定時間通電した場合の、それぞれの発光素子の初期発光出力[mW]、及び通電後のそれぞれの発光素子の残存出力[mW]を測定した。今回は、実施例の発光素子1においては205時間継続して電流を流し、比較例の発光素子においては192時間継続して電流を流した。すなわち、発光寿命の評価の観点においては、実施例の発光素子1の方が比較例の発光素子よりも厳しい条件とした。そして、実施例及び比較例のそれぞれの発光素子における、初期発光出力に対する残存出力の割合を残存割合として算出した。結果を
図8のグラフに示す。
【0098】
図8から分かるように、実施例の発光素子1における残存割合は、比較例の発光素子における残存割合に比べ、15%以上高いことが分かる。すなわち、実施例の発光素子1の方が、比較例の発光素子に比べ、発光寿命が長くなることが分かる。実施例の発光素子1においては、第2層62に窒化ケイ素を含有する第2部位を形成することによって、この第2部位の位置にn型不純物濃度ピークP2を形成することができる。これにより、前述のごとくp型不純物の活性層5への拡散を抑制することができ、その結果、発光素子1の寿命を向上させることができる。
【0099】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における
符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲に
おける構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0100】
[1]n型半導体層(4)と、p型半導体層(7)と、前記n型半導体層(4)と前記p型半導体層(7)との間に設けられた活性層(5)と、前記活性層(5)と前記p型半導体層(7)との間に設けられた、Alを含む電子ブロック層(6)と、を備え、前記電子ブロック層(6)は、積層方向に直交する少なくとも1つの断面に、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部(601)を部分的に有し、前記高Al組成部は、SiNxを含有する窒化ケイ素含有部である、窒化物半導体発光素子(1)。
[2]前記高Al組成部(601)を有する前記電子ブロック層(6)の前記断面において、前記高Al組成部(601)のAl組成比は、前記断面全域のAl組成比の平均値よりも1.03倍以上大きい、前記[1]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[3]前記高Al組成部(601)は、前記高Al組成部(601)を有する前記電子ブロック層(6)の前記断面において離散的に形成されている、前記[1]又は前記[2]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[4]前記電子ブロック層(6)は、積層方向のAl組成比分布において、Al組成比ピーク(P1)を備え、前記高Al組成部(601)は、前記Al組成比ピーク(P1)の積層方向位置における断面に形成されている、前記[1]乃至前記[3]のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[5]前記電子ブロック層(6)は、積層方向のn型不純物濃度分布において、n型不純物濃度ピーク(P2)を少なくとも1つ有する、前記[4]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[6]前記電子ブロック層(6)は、前記活性層(5)の上側に隣接するよう形成された第1層(61)と、前記第1層(61)の上側に形成され、前記第1層(61)のAl組成比よりも小さいAl組成比を有するとともに、前記第1層(61)の厚みよりも大きい厚みを有する第2層(62)とを備え、前記第2層(62)は、積層方向のAl組成比分布において、少なくとも1つの前記Al組成比ピーク(P1)を有する、前記[4]又は前記[5]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[7]前記第2層(62)は、積層方向における前記第2層(62)の中央位置よりも前記第1層(61)に近い側の断面に、前記高Al組成部(601)を部分的に有する、前記[6]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[8]n型半導体層(4)と、p型半導体層(7)と、前記n型半導体層(4)と前記p型半導体層(7)との間に設けられた活性層(5)と、前記活性層(5)と前記p型半導体層(7)との間に設けられた、Alを含む電子ブロック層(6)と、を備える窒化物半導体発光素子(1)の製造方法であって、前記電子ブロック層(6)の製造工程は、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部(601)を、積層方向に直交する面方向において部分的に形成する工程を含む、窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
[9]前記電子ブロック層(6)の製造工程は、SiNxを含有する窒化ケイ素含有部(600)を、積層方向に直交する面方向に部分的に形成する工程を含み、前記電子ブロック層(6)の積層方向に直交する断面において、前記窒化ケイ素含有部(600)が、周囲よりもAl組成比が高くなった高Al組成部(601)を構成する、前記[8]に記載の窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0101】
1…発光素子
11…n側電極
12…p側電極
2…基板
3…バッファ層
4…n型クラッド層(n型半導体層)
5…活性層
51…障壁層
52…井戸層
6…電子ブロック層
61…第1層
62…第2層
600…窒化ケイ素含有部
601…高Al組成部
602…高n型不純物濃度部
603…高p型不純物濃度部
7…p型コンタクト層(p型半導体層)
P1…Al組成比ピーク
P2…n型不純物濃度ピーク
P3…p型不純物濃度ピーク