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  • 特許-調整枠および筐体 図1
  • 特許-調整枠および筐体 図2
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  • 特許-調整枠および筐体 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】調整枠および筐体
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/10 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
E03B9/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022193234
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2018113847の分割
【原出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2023014326
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】根本 隆之
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-128757(JP,U)
【文献】特開2016-217002(JP,A)
【文献】特開2017-155486(JP,A)
【文献】実公昭60-016674(JP,Y2)
【文献】実開昭63-156251(JP,U)
【文献】特開2000-345589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0197975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 9/10
E03B 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、この上枠より下方に配置された枠体と、この枠体より下方に配置されかつ側部の一部に水道管が挿通される管挿通部の一部を構成する下側開口が設けられた底板とを有し、上部に開口部が設けられかつ側部の一部に前記管挿通部の一部を構成する上側開口が設けられた筐体本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備えた筐体に設置される調整枠であって、
前記調整枠は、
前記管挿通部に対応して設けられる切除可能部と、
前記切除可能部を挟んで設けられる調整枠構成部と、を備え、
前記切除可能部を切断しない状態では、前記上枠と前記枠体との間に取り付け可能であり、
前記切除可能部を切断した状態では、前記枠体と前記底板との間に取り付け可能であり、
切断した前記切除可能部は、前記下側開口に取り付け可能である、
ことを特徴とする調整枠。
【請求項2】
上枠と、この上枠より下方に配置された枠体と、この枠体より下方に配置されかつ側部の一部に水道管が挿通される管挿通部の一部を構成する下側開口が設けられた底板とを有し、上部に開口部が設けられかつ側部の一部に前記管挿通部の一部を構成する上側開口が設けられた筐体本体と、
前記開口部を開閉する蓋体と、
調整枠とを具備する筐体であって、
前記調整枠は、
前記管挿通部に対応して設けられる切除可能部と、
前記切除可能部を挟んで設けられる調整枠構成部と、を備え、
前記切除可能部を切断しない状態では、前記上枠と前記枠体との間に取り付け可能であり、
前記切除可能部を切断した状態では、前記枠体と前記底板との間に取り付け可能であり、
切断した前記切除可能部は、前記下側開口に取り付け可能である、
ことを特徴とする筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ調整可能な筐体、および、この筐体の高さ調整に用いられる調整枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道管を挿通可能で例えば内部に水道メータを収容するための筐体としては、例えば特許文献1の構成が知られている。
【0003】
特許文献1の筐体は、上枠と枠体と底板とが上下方向に順次配置され上部に開口部を有する筐体本体と、この筐体本体に着脱可能に設けられ開口部を開閉する蓋体とを具備し、筐体本体の側部の一部に、水道管が挿通可能な管挿通用凹部が設けられている。
【0004】
この種の筐体は、筐体本体が地中に埋設されるため、設置前に予め筐体本体の高さを地表面の高さに一致するように調整しておくことにより、蓋体を地表面に対して適切な位置に配置できる。
【0005】
しかしながら、新規に筐体を設置する場合においても、当初予定していた蓋体の高さと、施工後の地表面の高さとが一致しないことが生じ得るため、その場合には、筐体の高さを微調整する必要がある。
【0006】
このように筐体の高さを微調整する技術としては、例えば特許文献2ないし特許文献4の構成が知られている。
【0007】
特許文献2の構成では、枠体と底板との間において、係合突起と係合凹所とを備える一対の調節片を、水道管挿入孔を中心に左右に配置することにより、枠体と底板とを固定しつつ、その高さを調節する。
【0008】
特許文献3の構成では、筐体の上部に嵌合される蓋受け枠が鍔部を備えており、高さ位置を調整する際には、鍔部を受ける位置の土を締め固めた後、その締め固めた箇所にて蓋受け枠が支持されて蓋受け枠の高さ位置が保持される。
【0009】
特許文献4の構成では、筐体の上端面にナットを螺合したボルトが挿通され、蓋受け枠の鍔部がボルトの頭部にて支持されるため、そのボルトの螺合量に基づきボルトの頭部の高さを調整することにより、蓋体の高さを調整する。
【0010】
ここで、筐体の高さ調整が必要な場合としては、上述の新規に筐体を設置する場合の他に、地震や経時の押圧により既設の筐体が沈下した場合等がある。
【0011】
また、筐体の沈下の場合には、蓋体が地表面よりも沈下し段差が生じるというだけでなく、筐体の沈下によって、筐体における管挿通部が水道管の位置に対して相対的に下方に移動してしまう。そして、このような沈下が進行すると、水道管と管挿通部の上端縁部とが当接し、この状態で何らかの要因で筐体の上方から加重されると、水道管に負荷が加わる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2016-217002号公報
【文献】実公昭60-16674号公報
【文献】特開平5-118059号公報
【文献】特開平6-128988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献2の構成では、筐体が沈下した場合には対応できるが、新規に筐体を設置する場合の微調整においても、不必要に管挿通部が大きくなり、管挿通部と水道管との隙間を埋めるための新たな部品が必要になる。
【0014】
特許文献3および特許文献4の構成では、新規に筐体を設置する場合の高さの調整や、筐体の沈下によって生じる段差の調整には対応できるが、筐体本体に対する蓋体の高さを調整するものであるため、筐体の沈下による管挿通部と水道管との接触には対応できない。
【0015】
そのため、新規に設置される筐体の高さを調整する場合、および、既設の筐体の高さを調整する場合のいずれであっても、適切に筐体の高さを調整できる技術が求められていた。
【0016】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、適切に高さを調整できる筐体、および、その筐体の高さ調整に用いられる調整枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載された調整枠は、上枠と、この上枠より下方に配置された枠体と、この枠体より下方に配置されかつ側部の一部に水道管が挿通される管挿通部の一部を構成する下側開口が設けられた底板とを有し、上部に開口部が設けられかつ側部の一部に前記管挿通部の一部を構成する上側開口が設けられた筐体本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備えた筐体に設置される調整枠であって、前記調整枠は、前記管挿通部に対応して設けられる切除可能部と、前記切除可能部を挟んで設けられる調整枠構成部と、を備え、前記切除可能部を切断しない状態では、前記上枠と前記枠体との間に取り付け可能であり、前記切除可能部を切断した状態では、前記枠体と前記底板との間に取り付け可能であり、切断した前記切除可能部は、前記下側開口に取り付け可能である、ものである。
【0018】
請求項2に記載された筐体は、上枠と、この上枠より下方に配置された枠体と、この枠体より下方に配置されかつ側部の一部に水道管が挿通される管挿通部の一部を構成する下側開口が設けられた底板とを有し、上部に開口部が設けられかつ側部の一部に前記管挿通部の一部を構成する上側開口が設けられた筐体本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、調整枠とを具備する筐体であって、前記調整枠は、前記管挿通部に対応して設けられる切除可能部と、前記切除可能部を挟んで設けられる調整枠構成部と、を備え、前記切除可能部を切断しない状態では、前記上枠と前記枠体との間に取り付け可能であり、前記切除可能部を切断した状態では、前記枠体と前記底板との間に取り付け可能であり、切断した前記切除可能部は、前記下側開口に取り付け可能である、ものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、適切に筐体の高さを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態に係る筐体において、枠体と底板との間に調整枠が設置された構成を示す分解斜視図である。
図2】同上筐体において、上枠と枠体との間に調整枠が設置された構成を示す分解斜視図である。
図3】同上筐体における調整枠を示す斜視図である。
図4】同上筐体における調整枠を構成する調整枠構成部材を示す斜視図である。
図5】同上筐体において、枠体の上側に調整枠が設置された状態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、一実施の形態の筐体1の分解斜視図であり、この筐体1は、例えば量水器等の図示しない地下構造物を保護する地下構造物保護箱(量水器ボックス)である。
【0023】
筐体1は、上枠3と、この上枠3より下側に配置された枠体4と、この枠体4より下側に配置された底板5とを有する筐体本体2とを備えている。
【0024】
この筐体本体2は、上部に開口部6が設けられ、かつ、側部の一部に図示しない水道管が挿通される管挿通部7が設けられている。また、筐体本体2の上部には、開口部6を開閉する蓋体8が設けられている。
【0025】
また、筐体1は、図1に示すように枠体4と底板5との間、または、図2に示すように上枠3と枠体4との間に設置される調整枠9を備えている。
【0026】
上枠3は、平面視矩形環状で上下方向に開口された枠部材であり、上部に開口部6を有している。また、上枠3の開口部6には、この開口部6を開閉可能な板状の蓋体8が、着脱可能でかつ回動可能に取り付けられている。すなわち、蓋体8を回動することで開口部6が開閉される。
【0027】
枠体4は、4側面を有する平面視矩形環状で、上下方向に開口された四角筒状である。そして、枠体4の上側には、図1に示すように上枠3が設置されるか、または、図2に示すように調整枠9が設置される。
【0028】
また、枠体4における平面視で長手方向の両端部に位置する側面には、下端縁部から上方への切欠状の上側開口11が設けられている。
【0029】
底板5は、上方へ向けて開口され、底部に底面をする有底四角筒状である。そして、図1に示すように調整枠9の下側に底板5が設置されるか、図2に示すように枠体4の下側に底板5が設置されることで、筐体本体2の下側が閉塞される。
【0030】
また、底板5における平面視で長手方向の両端部に位置する側面には、枠体4の上側開口11に対応する位置に、上端部から下方への切欠状の下側開口12が設けられている。
【0031】
そして、図2に示すように枠体4の下側に底板5が設置された場合には、枠体4の上側開口11と底板5の下側開口12とによって管挿通部7が構成される。また一方、図1に示すように枠体4の下側に調整枠9が設置され、その調整枠9の下側に底板5が設置された場合には、枠体4の上側開口11と、後述の調整枠9におけるスペースと、底板5の下側開口12とで管挿通部7が構成される。
【0032】
図1に示すように、上枠3と枠体4とは、枠体4の上端縁部に設けられた複数の組立突起13と、上枠3の下端縁部に設けられた図示しない複数の組立凹部とが嵌合されることで取外可能に組み付けられる。なお、図2に示すように上枠3と枠体4との間に調整枠9が設置される場合には、上枠3と調整枠9とが取外可能に組み付けられるとともに、調整枠9と枠体4とが取外可能に組み付けられる。
【0033】
図2に示すように、枠体4と底板5とは、上枠3の下端縁部に設けられた図示しない複数の組立凹部と、底板5の上端縁部に設けられた複数の組立突起14とが嵌合されることで取外可能に組み付けられる。なお、図1に示すように、枠体4と底板5との間に調整枠9が設置される場合には、枠体4と調整枠9とが取外可能に組み付けられるとともに、調整枠9と底板5とが取外可能に組み付けられる。
【0034】
蓋体8は、この蓋体8を上枠3に対して回動させる際に支軸となる凹部15を有している。この蓋体8に凹部15は、上枠3の内周面に設けられた凸部16と係脱可能に係合する。すなわち、蓋体8の凹部15と上枠3の凸部16とが回動可能に係合されることで、蓋体8は上枠3の開口部6に対して開閉可能となる。
【0035】
図3に示すように、調整枠9は、平面視矩形環状の調整枠本体21を備えている。この調整枠本体21は、平面視にて、上枠3の下端縁部、枠体4の上端縁部、枠体4の下端縁部、および、底板5の上端縁部の形状に対応している。
【0036】
調整枠本体21は、複数(例えば2つ)の調整枠構成部材22で構成されている。すなわち、平面視で略コ字状の調整枠構成部材22を組み合わせることで、平面視で矩形環状の調整枠本体21が構成される。
【0037】
図4に示すように、各調整枠構成部材22は、平面視で矩形環状の調整枠本体21における短手方向の一側面となる第1の構成部23と、この第1の構成部23の一端部に接続され調整枠本体21の長手方向の一側面となる第2の構成部24と、第1の構成部23の他端部に接続され調整枠本体21の長手方向の他側面となる第3の構成部25とを有している。
【0038】
第1の構成部23の下端縁部には、枠体4の組立突起13または底板5の組立突起14と嵌合可能な固定部としての図示しない組立凹部が設けられている。また、第2の構成部24および第3の構成部25の上端縁部には、上枠3の内側面の一部または枠体4の内側面の一部に引っ掛かるように係合可能な固定部としての爪部26が設けられている。
【0039】
すなわち、図1に示すように、調整枠9が枠体4と底板5との間に設置される場合には、底板5の組立突起14と調整枠構成部材22の組立凹部とが嵌合し、調整枠構成部材22の爪部26が枠体4の内側面の所定箇所に係合することで、調整枠構成部材22が筐体本体2に対して固定される。また一方、図2に示すように、調整枠9が上枠3と枠体4との間に設置される場合には、枠体4の組立突起13と調整枠構成部材22の組立凹部とが嵌合し、調整枠構成部材22の爪部26が上枠3の内側面の所定箇所に係合することで、各調整枠構成部材22が筐体本体2に対して固定される。
【0040】
図5に示すように、調整枠構成部材22は、筐体本体2に設置された状態で、枠体4または底板5の上側に載置される基部27と、この基部27の内周面側に位置し基部27より下方に突出する突出部28を有している。
【0041】
また、各調整枠構成部材22を組み合わせて調整枠本体21を構成した状態における突出部28の外周面の周方向の長さは、枠体4および底板5の上側の開口の内周面の周方向の長さよりやや短い。すなわち、突出部28は、調整枠本体21が筐体本体2に設置された状態において、その調整枠本体21の下側に位置する枠体4または底板5の内側に挿入されている。
【0042】
このように、筐体本体2に調整枠9を設置する際に、突出部28が枠体4または底板5の内側に挿入されることで、突出部28は、調整枠9の下側に配置される枠体4または底板5に対するガイドとして作用する。
【0043】
また、調整枠9は、筐体本体2に設置された状態にて、調整枠構成部材22における基部27と調整枠9の下側に位置する枠体4または底板5との間に配置されるように調整部材としてのパッキン29が取り付けられた構成、すなわち、調整枠本体21がパッキン29を介して筐体本体2に取り付けられる構成が好ましい。
【0044】
第3の構成部25における第1の構成部23とは反対側の端部には、切除可能部としての封止片31が切除可能に設けられている。
【0045】
そして、一の調整枠構成部材22の封止片31が、他の調整枠構成部材22の第2の構成部24における第1の構成部23とは反対側の端部と対向して接触するように配置されることで、2つの調整枠構成部材22によって、平面視で矩形環状の調整枠本体21が構成される。
【0046】
封止片31の内側面には、調整枠構成部材22の第3の構成部25から封止片31を切除しやすいように、切除補助部としての溝状のスリット部32が設けられている。
【0047】
すなわち、封止片31は、調整枠構成部材22の第3の構成部25の一端部に一体に設けられた外側部33と、この外側部33の内側に位置しスリット部32によって第3の構成部25の一端部から離間した内側部34とを有している。なお、内側部34は、筐体本体2の管挿通部7の底部(下側周縁部)の形状に対応している。
【0048】
そして、調整枠9は、図1に示すように調整枠本体21から封止片31が切除された状態で枠体4と底板5との間に設置されるか、または、図2に示すように、調整枠本体21から封止片31が切除されていない状態で上枠3と枠体4との間に設置される。
【0049】
また、封止片31は、調整枠本体21から切除された状態において、筐体本体2の管挿通部7の一部を被覆する被覆部材として利用可能である。
【0050】
ここで、通常、管挿通部7と水道管との隙間は、図示しない土留め板等によって被覆するように閉塞されるが、図1に示すように封止片31が切除された状態の調整枠9が枠体4と底板5との間に設置されると、調整枠9における封止片31が切除されたスペースの分だけ、管挿通部7が大きくなるため、管挿通部7と水道管との隙間を通常の土留め板だけでは閉塞できなくなる可能性がある。
【0051】
このように管挿通部7と水道管との隙間を土留め板だけでは閉塞できない場合には、その隙間を被覆する被覆部材として封止片31が利用される。
【0052】
また、封止片31は、内側部34が管挿通部7の底部の形状に対応しているため、切除された封止片31の内側部34を管挿通部7の底部に嵌め込み、その内側を封止片31の外側部33で覆うようにして取り付けることができる。
【0053】
次に、調整枠9を用いた筐体1の高さの調整方法を説明する。
【0054】
まず、既設の筐体1が地震や経時の押圧等によって、水道管に対して相対的に筐体1が沈下して高さの微調整が必要な場合には、管挿通部7と水道管との接触を防止するために、図1に示すように、筐体本体2における枠体4と底板5との間に調整枠9と設置する。なお、この場合には調整枠本体21から封止片31が切除された状態の調整枠9を用いる。
【0055】
枠体4と底板5との間に調整枠9を設置する際には、筐体1の周囲を掘り返し、底板5から枠体4を取り外す。
【0056】
枠体4が取り外された状態の底板5に組立突起14と各調整枠構成部材22の組立凹部とを嵌合させて、底板5の上側に各調整枠構成部材22を固定することで、それら各調整枠構成部材22で構成された調整枠本体21を筐体本体2に取り付ける。
【0057】
また、底板5の上側に設置された調整枠本体21の爪部26を枠体4の内周面における所定箇所に係合させることで、調整枠9の上側に枠体4および上枠3を順次固定して取り付け、その後、筐体1の周囲を埋め戻す。なお、調整枠9の上側に枠体4を取り付ける際には、枠体4のみを取り付けても、上側に予め上枠3が取り付けられた状態の枠体4を調整枠9に取り付けてもよい。
【0058】
枠体4と底板5との間に封止片31が切除された調整枠9を設置すると、通常、枠体4の上側開口11と底板5の下側開口とで構成される管挿通部7が、調整枠9における封止片31が切除されたスペースの分だけ、管挿通部7が上下方向に大きくなるため、管挿通部7の略中心に水道管を配置できる。
【0059】
なお、調整枠9で高さ調整して管挿通部7が大きくなると、管挿通部7と水道管との隙間(特に管挿通部7における水道管より下側の隙間)を通常の土留め板では閉塞できなくなる可能性があり、その場合には、調整枠9から切除した封止片31を被覆部材として用いて、その隙間を閉塞することが好ましい。
【0060】
このように筐体本体2における枠体4と底板5との間に調整枠9を設置することで、筐体1における蓋体8の高さが地表面に一致するように筐体1の高さを微調整できるとともに、管挿通部7に対して水道管を適切な位置に配置できる。
【0061】
次に、新規に設置した筐体1の高さが地表面より低く高さの微調整が必要な場合、または、既設の筐体1が地震や経時の押圧によって沈下し、地表面に対して段差が生じて高さの微調整が必要な場合(管挿通部7と水道管とが接触するおそれがない場合)には、図2に示すように、筐体本体2における上枠3と枠体4との間に調整枠9を設置する。なお、この場合には調整枠本体21から封止片が切除されていない状態の調整枠9を用いる。
【0062】
上枠3と枠体4との間に調整枠9を設置する際には、筐体1の周囲を掘り返し、枠体4から上枠3を取り外す。
【0063】
上枠3を取り外された枠体4の組立突起13と各調整枠構成部材22の組立凹部とを嵌合させて、枠体4の上側に調整枠9を固定して取り付ける。
【0064】
また、枠体4の上側に設置された調整枠9の爪部26を上枠3の内周面における所定箇所に係合させて、調整枠9の上側に上枠3を固定して取り付け、その後、筐体1の周囲を埋め戻す。
【0065】
このように筐体本体2における上枠3と枠体4との間に調整枠9を設置することで、枠体4および底板5に対して上枠3および上枠3の高さが高くなり、筐体1における蓋体8の高さが地表面に一致するように筐体1の高さを微調整できる。
【0066】
次に、上記一実施の形態の効果を説明する。
【0067】
上記調整枠9および筐体1によれば、調整枠9が、調整枠本体21から封止片31が切除されていない状態で上枠3と枠体4との間に設置されるか、または、調整枠本体21から封止片31が切除された状態で枠体4と底板5との間に設置されるため、新規に筐体1を設置する際および既設の筐体1を改修する際のいずれであっても、適切に筐体1の高さを調整できる。
【0068】
封止片31は、調整枠本体21との境界部分に溝状のスリット部32が設けられていることにより、調整枠本体21から切除する際にスリット部32が目印になるとともに、封止片31の外側部33を切断するだけでよいので、調整枠本体21から封止片31を切除しやすくできる。
【0069】
また、封止片31は調整枠本体21と一体の外側部33を有することにより、封止片31が切除されずに筐体本体2に設置された場合において、筐体1の使用時(筐体1が埋設された状態の場合)や施工時(埋め戻し時)における土砂等の筐体1内への流入を外側部33によって防止できる。
【0070】
さらに、封止片31の内側部34が筐体本体2における管挿通部7の底部の形状に対応していることにより、切除された封止片31を管挿通部7の被覆部材として使用する場合に、管挿通部7に対する封止片31の密閉性を向上できる。
【0071】
調整枠構成部材22が筐体本体2に固定可能な固定部としての組立凹部および爪部26を有するため、施工時(埋め戻し時)等に筐体本体2に対する調整枠9の位置ずれや隙間の発生を防止できるとともに、筐体1としての一体感(密閉性)を向上できる。
【0072】
調整枠構成部材22は、基部27より下方に突出する突出部28を有することにより、筐体本体2に調整枠9を設置する際には、突出部28により案内されて、筐体本体2に対して適切に位置決めできる。すなわち、突出部28が調整枠9の下側に位置する枠体4または底板5の上端縁部の内側に挿入されることで調整枠9が筐体本体2に対して位置決めされる。また、筐体本体2に調整枠9が設置された状態では、筐体本体2に対する調整枠9の一体感を向上できるとともに、がたつき等が生じることを防止できる。
【0073】
調整枠本体21がパッキン29を介して筐体本体2に取り付けられることで、筐体本体2に対して調整枠9を水密に取り付けることができるとともに、パッキン29の大きさや形状に応じて若干の位置調整や高さ調整ができる。
【0074】
調整枠本体21から切除された封止片31を、管挿通部7の一部を閉塞する被覆部材として利用することで、設置する際に切除した封止片31を有効利用できる。
【0075】
なお、上記一実施の形態では、調整枠9が2つの調整枠構成部材22で構成されるものとしたが、このような構成には限定されず、調整枠9は、筐体本体2における上枠3と枠体4との間または枠体4と底板5との間に設置可能な構成であればよい。また、調整枠9は、図1のように枠体4と底板5との間、または、図2のように上枠3と枠体4との間に配置された構成には限定されず、必要に応じて、上枠3と枠体4との間および枠体4と底板5との間の両方に調整枠9を設置してもよい。
【0076】
調整枠構成部材22は、筐体本体2に固定可能な組立凹部および爪部26を有する構成には限定されず、調整枠本体21の筐体本体2に対する組み付け方法は適宜変更できる。
【0077】
また、調整枠構成部材22は下方に突出する突出部28を有する構成には限定されず、突出部28を有していない構成にしてもよい。なお、調整枠構成部材22が突出部28を有する構成の場合には、その突出部28が枠体4または底板5の内側に挿入可能な構成であれば、調整枠構成部材22における突出部28の位置や、突出部28の形状は適宜変更できる。
【0078】
調整枠本体21は、調整部材としてのパッキン29を介して筐体本体2に取り付けられた構成としたがこのような構成には限定されず、パッキン29が取り付けられていない構成としてもよい。なお、調整部材としてはパッキンではなく、例えばスペーサ等のように筐体本体2に対する調整枠本体21の位置や高さを調整できるものであれば適宜適用できる。
【0079】
封止片31は、調整枠構成部材22における第3の構成部25の端部に設けられた構成には限定されず、調整枠本体21から切除可能であれば調整枠本体21における封止片31の位置は適宜変更できる。
【0080】
また、封止片31は、切除補助部として溝状のスリット部32が設けられた構成には限定されず、スリット部32が設けられていない構成にしてもよい。なお、スリット部32が設けられた構成の場合では、スリット部32の形状や位置は適宜変更できる。
【0081】
切除された封止片31を被覆部材として利用される構成には限定されず、封止片31とは別に被覆部材を準備してもよい。
【0082】
また、封止片31を被覆部材として利用する場合には、その封止片31が管挿通部7の底部の形状に対応した内側部34を有する構成には限定されず、封止片31の構成は適宜変更できる。
【符号の説明】
【0083】
1 筐体
2 筐体本体
3 上枠
4 枠体
5 底板
6 開口部
7 管挿通部
8 蓋体
9 調整枠
21 調整枠本体
22 調整枠構成部材
23 第1の構成部
24 第2の構成部
25 第3の構成部
29 調整部材としてのパッキン
31 切除可能部としての封止片
図1
図2
図3
図4
図5