(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】複数の蒸発器を用いた尿素製造
(51)【国際特許分類】
C07C 273/16 20060101AFI20230711BHJP
C07C 275/00 20060101ALI20230711BHJP
B01D 1/00 20060101ALI20230711BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C07C273/16
C07C275/00
B01D1/00 Z
B01D53/14 210
(21)【出願番号】P 2022540527
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 NL2020050826
(87)【国際公開番号】W WO2021137701
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラフル・パティル
(72)【発明者】
【氏名】ペトルス・アンナ・マリア・ロベルトゥス・シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ブラニスラヴ・マニック
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04256662(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03020702(EP,A1)
【文献】特表2012-509833(JP,A)
【文献】特表2015-520741(JP,A)
【文献】特開昭51-063400(JP,A)
【文献】特表2016-527165(JP,A)
【文献】特開昭58-189153(JP,A)
【文献】特開平09-020747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素製造プロセスであって、
a)蒸発部の第1の蒸発器において尿素溶液を濃縮して、濃縮尿素溶液及び第1の蒸気を得ることと、
b)前記蒸発部の第2の蒸発器において前記第1の蒸発器からの前記濃縮尿素溶液を更に濃縮して、尿素溶融物及び第2の蒸気を得ることと、
c)仕上げ部において前記尿素溶融物を固化させて、固体尿素生成物及びオフガスを得ることと、
d)スクラバーにおいて前記オフガスをスクラビングすることと、
e)第1の凝縮器において前記第1の蒸気を凝縮させて、第1の凝縮物を得ることと、
f)第2の凝縮器において前記第2の蒸気を凝縮させて、第2の凝縮物を得ることと、
g)前記第1の凝縮物を廃水処理部に供給することと、
h)前記第2の凝縮物を前記スクラバーに別々に供給することと、を含み、前記第2の凝縮物が、前記スクラバーにおけるスクラブ液として使用され、前記スクラバーが、酸スクラブ液を更に使用する、プロセス。
【請求項2】
前記酸スクラブ液が、硝酸又は硫酸を含む、請求項1に記載の尿素製造プロセス。
【請求項3】
前記廃水処理部が、加水分解器及び脱着器を備える、請求項1又は2に記載の尿素製造プロセス。
【請求項4】
前記仕上げ部がプリル塔である、請求項1~3のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項5】
前記仕上げ部が、造粒機である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項6】
前記第2の蒸発器からの前記尿素溶融物が、0.1重量%未満の水分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項7】
前記スクラビングすることが、洗浄されたオフガス、及び尿素を含む利用されたスクラブ液を与え、前記プロセスが、前記利用されたスクラブ液を、前記第2の蒸発器に供給することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項8】
前記利用されたスクラブ液が、前記第1の蒸発器の下流の前記濃縮尿素溶液に添加される、請求項
7に記載の尿素製造プロセス。
【請求項9】
前記第2の蒸発器が130~140℃及び15kPa未満の圧力で動作し、前記第1の蒸発器が、出口においてビウレットを含む少なくとも90重量%の尿素を有する濃縮尿素溶液を与え、少なくとも120℃の温度で動作する、請求項1~8のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項10】
水及び1つ以上の添加剤を含む液体
流が、前記第1の蒸発器の
濃縮尿素溶液用の
出口の前記蒸発部
下流に供給される、請求項1~9のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項11】
前記1つ以上の添加剤を含む液体流が、前記第1及び第2の蒸発器の間の輸送ライン中で前記濃縮尿素溶液と混合されるか、又は前記第2の蒸発器の入口に供給され、前記固体尿素生成物が、前記1つ以上の添加剤を、添加剤の総重量及び固体尿素生成物の総重量に基づいて、少なくとも0.10重量%の量で含む、請求項10に記載の尿素製造プロセス。
【請求項12】
蒸発部(EV)、仕上げ部(F)、廃水処理部(WWT)、及びスクラバー(Scr)を備える尿素製造プラントであって、前記蒸発部が、第1の蒸発器(EV1)及びその下流の第2の蒸発器(EV1)と、第1の凝縮器(C1)及び第2の凝縮器(C2)とを備え、
a)前記第1の蒸発器(EV1)が、尿素溶液(U1)用の入口と、濃縮尿素溶液(U2)用の出口と、第1の蒸気(V1)用の出口とを備え、
b)前記第2の蒸発器(EV2)が、前記濃縮尿素溶液(U2)用の入口と、尿素溶融物(UM)用の出口と、第2の蒸気(V2)用の出口とを備え、
c)前記仕上げ部(F)が、前記尿素溶融物(UM)用の入口と、固体尿素生成物(US)用の出口と、オフガス(G1)用の出口とを備え、前記尿素溶融物を前記固体尿素生成物に固化させるように構成されており、
d)前記スクラバー(Scr)が、前記オフガス(G1)用の入口を備え、前記オフガスをスクラブ液を使用してスクラビングするように構成されており、
e)前記第1の凝縮器(C1)が、前記第1の蒸気(V1)用の入口と、第1の凝縮物(PC1)用の出口とを備え、
f)前記第2の凝縮器(C2)が、前記第2の蒸気(V2)用の入口と、第2の凝縮物(PC2)用の出口とを備え、
g)前記廃水処理部(WWT)が、前記第1の凝縮物(PC1)用の入口を備え、
h)前記プラントが、前記第2の凝縮器(C2)の前記出口から前記スクラバー(Scr)の入口に直接至る、前記第2の凝縮物(PC2)用の接続部を備える、尿素製造プラント。
【請求項13】
前記廃水処理部が、加水分解器及び脱着器を備える、請求項12に記載の尿素製造プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素の製造に関する。特に、本発明は、固体尿素生成物への尿素仕上げと組み合わせた尿素溶融物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、合成部、回収部、蒸発部、及び仕上げ部を伴う尿素製造プロセス及びプラントに関する。本発明のプロセス及びプラントの合成部は、尿素形成条件下でNH3とCO2とを反応させて、尿素、水、アンモニア、及びカルバミン酸アンモニウムを含む尿素合成溶液を得るための高圧合成部である。尿素形成反応において、各尿素分子について1つの水分子が形成される。固体尿素を製造するために、この水を除去する必要がある。回収部は、尿素合成溶液用の入口と、尿素溶液用の出口とを有する。回収部では、アンモニア及びカルバミン酸アンモニウムが、尿素溶液から少なくとも部分的に除去される。カルバミン酸塩溶液は、回収部から合成部にリサイクルされて、NH3及びCO2供給物を再循環させる。リサイクル溶液は、好ましくは、水が尿素収率に害を及ぼすため低い相対含水量を有する。
【0003】
蒸発部は、尿素溶液用の入口と、尿素溶融物用の出口とを有する。
【0004】
仕上げ部は、尿素溶融物用の入口と、固体尿素生成物及びオフガス用の出口とを有する。仕上げ部は、尿素を固化させるように適合されている。固体尿素生成物は、尿素と任意選択的にアンモニウム塩などの他の固体成分とを含む。本発明において、仕上げ部は、例えば、プリル塔、造粒機、又は塊状化(pastillation)ユニットである。造粒機は、例えば、流動床造粒機又は噴流層造粒機である。本発明で任意選択で使用されるプリル塔は、例えば、プリル塔の上部に配置された尿素溶融物のための噴霧ノズルを備える。動作中、噴霧された尿素液滴は、それらの落下中に固化する。プリル塔は、例えば、強制通風、吸出し通風、又は自然通風プリル塔である。本発明で任意選択で使用される塊状化ユニットは、例えば、Sandvik(登録商標)Rotoform(登録商標)装置である。任意選択の塊状化ユニットは、例えば、鋼ベルト冷却器の上に配置された尿素溶融物の液滴を堆積させるための液滴堆積器を備える。
【0005】
本発明の仕上げ部からのオフガスは、空気、尿素ダスト、及びNH3を含む。オフガスはスクラバーに送られ、そこでスクラブ液で処理されて、洗浄されたオフガスをもたらし、スクラブ液を利用する。
【0006】
本発明で使用される蒸発部は、第1の蒸発器とその下流の(尿素溶液のための)第2の蒸発器とを備える。第2の蒸発器は、好ましくは、第1の蒸発器よりも低い圧力、例えば、好ましくは少なくとも10kPa低い圧力で動作する。第1及び第2の蒸発器は各々、熱交換器であり、好ましくは、例えば、加熱流体としてスチームを使用する、各々、シェルアンドチューブ熱交換器である。好ましくは、尿素溶液は、チューブ内に供給され、シェル内で流体を加熱する。第1及び第2の蒸発器は、両方とも、プロセス側で100kPa(1.0バール)未満又は50kPa(0.5バール)未満の絶対圧力で動作する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明の第1の蒸発器は、プロセス側(尿素溶液用)で10~80kPa(0.1~0.8バール)、例えば15~50kPaの絶対圧力で動作する。いくつかの実施形態では、第2の下流の蒸発器は、1.0~20kPa、例えば、1.0~10kPa(尿素溶液のための)の絶対圧力で動作する。好ましくは、これらの低い圧力で、第2の蒸発器からの尿素溶融物は、0.1重量%未満の水分などの2.0重量%未満の水分を含む。低水分を有するそのような尿素溶融物は、例えば、仕上げ部がプリル塔又は造粒機である好ましい実施形態のために、本明細書で使用される。
【0008】
好ましくは、第1の蒸発器内の絶対圧力は、本発明における第2の蒸発器内の絶対圧力の少なくとも2倍である。
【0009】
蒸発の結果として得られる水蒸気は、必然的に、残留アンモニア及び二酸化炭素、並びに場合により同伴尿素を含む。そのような残留反応物及び同伴尿素は無駄にしないことが望ましい。また、尿素プラント内のスチーム回路において有用なものとして、及び/又は尿素プラントの仕上げ部のスクラバー用のスクラビング液として、精製水を使用することができることが望ましい。したがって、蒸発から得られた蒸気凝縮物は、(プロセス凝縮物として)廃水処理部(水精製部としても知られる)に送られる。その中のアンモニア及び二酸化炭素は、除去され、尿素合成に再循環される。これには、同伴尿素から得られるアンモニア及び二酸化炭素が含まれ、廃水処理部では、効果的に加水分解される。
【0010】
図1は、本発明によるものではない参照尿素製造プロセスを示す。尿素プラントの蒸発部(EV)は、少なくとも1つの第1の蒸発器(EV1)を備え、これは第1の尿素溶液(U1)用の入口と、濃縮尿素溶液(U2)用の出口と、第1の蒸気出口(V1)と、を有する。蒸気出口は、冷却水(cw)を使用する第1の凝縮器(C1)に接続されている。第1の凝縮器(C1)は、廃水処理部(WWT)に接続された凝縮物(PC1)用の出口と、真空を維持するために典型的には、エジェクタ(Ej1)に接続された蒸気(V3)用の出口とを有する。蒸発部は、下流の第2の蒸発器(EV2)を更に備える。第2の蒸発器は、尿素溶融物(UM)用の出口と、濃縮尿素溶液(U2)用の入口と、第2の凝縮器(C2)に接続された蒸気出口(V2)とを有する。第2の凝縮器(C2)は、冷却水を使用する。第2の凝縮器は、真空を維持するために第2のエジェクタ(Ej2)(両方のエジェクタを組み合わせることができる)に接続された(第4の)蒸気(V4)用の出口を有する。第2の凝縮器(C2)は、廃水処理部(WWT)に接続された凝縮物(PC2)用の出口を更に有する。
【0011】
2つの蒸発器を直列で備えるそのような蒸発部、及び例示的な仕上げ部を備えた例示的な尿素プラントは、Ullmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,chapter Urea(2010)に記載されている。本文書は、セルフストリッピングプロセスを例示し、第1及び第2の蒸発加熱器は両方とも、凝縮器に接続された蒸気出口を有する。凝縮器は、廃水処理部に接続された出口を有する。
【0012】
常に、蒸発部からの凝縮物は、尿素及びアンモニアを含有する。例えば、尿素プラントの蒸発部から生成されたプロセス凝縮物は、3~8重量%のアンモニア及び0.2~2重量%の尿素、並びに典型的にはCO2も含有する。
【0013】
典型的には、蒸発部からの凝縮物は、例えば加水分解器及び脱着器を用いて、廃水処理(WWT)(プロセス凝縮物処理部としても知られる)で処理される。脱着器は、例えば、スチームストリッピングに基づいている。例示的なWWT部では、加水分解器は、170℃~230℃でスチームを使用する尿素の加水分解用に使用され、並びに脱着器は、1~5barでのスチームストリッピングに基づいている。WWT部の動作は、非常にエネルギーを消費する。
【0014】
米国特許出願公開第2015/0133690号は、尿素プラントのプロセス凝縮物処理が貴重なスチームを必要とし、すなわちエネルギー集約的であること、及びこの部で使用されるスチームの量を最小限に抑えることが望ましいことを論じている。
【0015】
H.vanderZande,「Zero waste urea production」,Fertilizer Focus Mar-Apr2018は、造粒プラントに接続された出口を有する尿素溶融プラントを備えた尿素プラントを概略的に示し、造粒プラントは、酸性溶液を使用するスクラバーに接続されたガス用の出口を有する。尿素溶融プラントは、WWTに接続された廃水用の出口を有する。WWTは、加水分解器及び脱着器を備えている。加水分解器は、スチームとの向流接触を使用し、脱着器は、スチームストリッピングを使用する。WWTからのスチームをカルバミン酸塩凝縮器において凝縮させ、得られた液体流を再循環に送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】米国特許出願公開第2015/0133690号
【非特許文献】
【0017】
【文献】Ullmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,chapter Urea(2010)
【文献】H.vanderZande,「Zero waste urea production」,Fertilizer Focus Mar-Apr2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、第1の態様において、蒸発部の第1の蒸発器中の尿素溶液を濃縮して、濃縮尿素溶液及び第1の蒸気を得ることと、当該蒸発部の第2の蒸発器において当該第1の蒸発器からの当該濃縮尿素溶液を更に濃縮して、尿素溶融物及び第2の蒸気を得ることと、当該尿素溶融物を仕上げ部において固化させて、固体尿素生成物及びオフガスを得ることと、当該オフガスをスクラバーでスクラビングすることと、第1の凝縮器内で当該第1の蒸気を凝縮させて、第1の凝縮物を得ることと、第2の凝縮器内で当該第2の蒸気を凝縮させて、第2の凝縮物を得ることと、当該第1の凝縮物を廃水処理(WWT)部に供給して、当該第2の凝縮物を当該スクラバーに供給することと、を含む、尿素製造プロセスに関する。第1及び第2の凝縮物は、互いに別々に輸送される。特に、第1及び第2の凝縮物は混合されない。第1の凝縮物及び第2の凝縮物は、特に別個の液体流であり、別個の液体流接続部で輸送される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明はまた、蒸発部、仕上げ部、廃水処理部、及びスクラバーを備える尿素製造プラントに関し、蒸発部は、第1の蒸発器及びその下流の第2の蒸発器と、第1の凝縮器及び第2の凝縮器とを備え、当該第1の蒸発器は、尿素溶液用の入口と、濃縮尿素溶液用の出口と、第1の蒸気用の出口と、を備え、当該第2の蒸発器は、当該濃縮尿素溶液用の入口と、尿素溶融物用の出口と、第2の蒸気用の出口と、を備え、当該仕上げ部は、当該尿素溶融物用の入口と、固体尿素生成物用の出口と、オフガス用の出口とを備え、当該尿素溶融物を当該固体尿素生成物に固化させるように構成され、当該スクラバーが、当該オフガス用の入口を備え、スクラブ液を使用して当該オフガスをスクラビングするように構成され、当該第1の凝縮器は、当該第1の蒸気用の入口と、第1の凝縮物用の出口と、を備え、当該第2の凝縮器は、当該第2の蒸気用の入口と、第2の凝縮物用の出口と、を備え、当該廃水処理部は、当該第1の凝縮物用の入口を備え、当該プラントが、当該第1の凝縮器から当該廃水処理部に至る当該第1の凝縮物用の第1の接続部と、当該第2の凝縮器の当該出口から当該スクラバーの入口に直接至る当該第2の凝縮物用の第2の接続部と、を備え、特に当該第1の接続部及び当該第2の接続部は、互いに分離されている。特に第1及び第2の接続部は、第1の凝縮物及び第2の凝縮物を互いに別々に輸送するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明による例示的なプロセス及びプラントを概略的に示す。
【
図3】本発明による例示的なプロセス及びプラントを概略的に示す。
【
図4】本発明による例示的なプロセス及びプラントを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図は、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0022】
本発明は、蒸発部の下流の第2の蒸発器の凝縮器で得られた凝縮物を、仕上げ部からのオフガスが処理されるスクラバーに送ることによって、非常にエネルギー効率的な尿素製造プロセス及びプラントを提供する。更に、上流の第1の蒸発器の凝縮器で得られた凝縮物は、廃水処理部に供給される。このようにして、WWTの負荷が低減され、それによって、エネルギー効率が改善される。改善されたエネルギー効率は、低減された高圧スチームの消費、及び/又は増加した低圧スチームの送出をもたらす。第2の蒸発器で蒸発した比較的少量の水は、結果として生じる凝縮物がスクラバー内で有利に処理され得るように、比較的少量の蒸気を与える。好ましくは、仕上げ部からのオフガスは比較的高温で乾燥しており、十分な水の蒸発及びスクラバーからの洗浄されたオフガスによる水蒸気の除去に寄与する。
【0023】
本明細書において使用される場合、プロセス流(特に、尿素溶液)に対して、高圧(HP)とは、少なくとも100bara、例えば100~200bara又は110~160baraであり、中圧(MP)とは、20~60baraであり、低圧(LP)とは、4~10baraである。これらの圧力範囲は、プロセス溶液に対するものであり、必ずしも、スチームなどの加熱流体に対しても同一でなくてもよい。スチームの場合、高圧(HP)とは、18~40bara、好ましくは20~25baraを意味し、中圧(MP)とは、8~12bara、好ましくは9~10baraを意味し、低圧(LP)とは、3~6bara、好ましくは4~5baraを意味する。略語「bara」は、絶対圧を意味する。
【0024】
本発明のプロセスは、尿素製造プロセス又は尿素溶融物を製造するためのプロセス、又は尿素溶液を濃縮するためのプロセスとして説明することができる。尿素製造プロセスは、好ましくは、高圧尿素合成部における初期尿素合成ステップを含み、例えば、上記で論じたように、尿素合成溶液を得る。合成部は、高圧反応器、好ましくは高圧ストリッパー及び高圧カルバミン酸塩凝縮器を備える。
【0025】
尿素製造プロセスは、好ましくは、回収部内の尿素合成溶液からアンモニア及びカルバミン酸アンモニウムを除去して、尿素溶液を得るステップを含む。回収部は、例えば、低圧回収部又は下流の低圧回収部を伴う中圧回収部を備える。回収部(複数可)は、例えば、ガス用の第1の出口及び尿素溶液用の第2の出口と、当該ガスを凝縮して、典型的には低圧又は中圧でのリサイクルカルバミン酸塩溶液を形成するためのカルバミン酸塩凝縮器と、を有する、尿素溶液を加熱するための分解器(熱交換器など)を備える。
【0026】
蒸発部は、論じられるように、第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備える。第1の蒸発器によって受け取られる尿素溶液は、例えば、10~40重量%の水、及び例えば、約70重量%の尿素を含む。好ましくは、第1の蒸発器は、少なくとも10重量%、例えば、40重量%~30重量%のパーセンテージポイントまで、含水量を低減する。好ましくは、第1の蒸発器によって提供される濃縮尿素溶液は、5~20重量%の水を含む。好ましくは、第2の蒸発器によって受け取られる濃縮尿素溶液は、5~20重量%の水、及び例えば、約90重量%の尿素(ビウレットを含む)を含む。好ましくは、第1の蒸発器で形成される水蒸気の量は、第2の蒸発器で形成される水蒸気の量の少なくとも2倍である。第1の蒸発器は、例えば、尿素溶液を用いて、壁を通る間接熱交換のための加熱流体としてスチームを使用する熱交換器であり、スチームは、例えば、MPスチーム又はLPスチームである。
【0027】
第1の蒸発器はまた、例えば、熱交換壁(チューブアンドシェル熱交換器など)によって分離された第1及び第2のコンパートメントを備える熱交換器であり得、第1のコンパートメントにおいて、尿素溶液は加熱され、第2のコンパートメントCO2及びNH3がカルバミン酸アンモニウムに凝縮される。カルバミン酸塩凝縮反応は、発熱性である。凝縮は、例えば、中圧、例えば1.8~3.0MPa(18~30bara)で行われる。第1の熱交換器は、例えば、凝縮器-蒸発器によって提供され得る。凝縮器-蒸発器によって受け取られたCO2及びNH3を含むガス流は、例えば、分離器又は解離器から生じる。分離器又は解離器は、MPで動作される。分離器又は解離器は、例えば、HP反応器からの尿素合成溶液、又はHPストリッパーからのストリッピングされた尿素溶液を、好ましくは尿素溶液をМPに膨張された後に受け取る。解離器は、例えば、カルバミン酸塩を含む尿素溶液中のカルバミン酸塩の解離を促進するためのスチームを使用する熱交換器である。分離器は、気/液分離器である。そのようなMP凝縮器-蒸発器を備えた尿素プラントを例示する背景参考文献は、国際公開第2013/165246号である。
【0028】
第2の蒸発器は、例えば、0.10~5.0重量%の水を含む、例えば、好ましくは、仕上げ部がプリル塔である場合、0.1~0.5重量%、又は仕上げ部が造粒機である場合、1.0~5.0重量%の水を含む尿素溶融物をもたらす。第2の蒸発器は、例えば、尿素溶液を用いて、壁を通る間接熱交換のための加熱流体としてスチームを使用する熱交換器であり、スチームは、例えば、MPスチーム又はLPスチームである。
【0029】
第1の蒸発器は、好ましくは、出口において少なくとも90重量%の尿素(ビウレットを含む)、より好ましくは92~96重量%の尿素を有する濃縮尿素溶液を与える。第1の蒸発器は、例えば、出口において少なくとも120℃及び/又は最大145℃、好ましくは130℃~140℃の温度で動作する。第1の蒸発器は、例えば、尿素溶液を受け取るプロセス側において、20~35kPaの圧力で動作する。第1の蒸発器への熱は、例えば、加熱流体としてスチームを使用することによって、又はカルバミン酸塩の凝縮熱を使用することによって提供され得る。
【0030】
実施形態では、第2の蒸発器は、例えば8~9baraのMPスチームを使用し、少なくとも98.5重量%のビウレットを含む尿素、例えば、1.5重量%未満の水を含む尿素溶融物を提供する。実施形態では、第2の蒸発器は、例えば4~5barのLPスチームを使用し、少なくとも1.5重量%の含水量、及び典型的には5重量%未満の水を含む尿素溶融物を提供する。第2の蒸発器は、例えば130~140℃で、特に140℃で及び/又は15kPa未満、例えば1~5kPa又は5~15kPaの圧力で動作する。1~5kPaの圧力を使用して、例えば、140℃で、例えば、少なくとも99.5重量%ビウレットを含む尿素、及び/又は例えば、0.5重量%未満の水分を含む(これは、例えばプリリング及び塊状化に好適である)尿素溶融物を提供することができる。10~15kPaの圧力を使用して、例えば、140℃で、例えば、1.0~3重量%の含水量(これは、例えば流動床造粒のために好適である)を含む尿素溶融物を調製することができる。いくつかの実施形態では、第2の蒸発器は、15~30kPa、例えば20~30kPaの圧力で、例えば135~140℃で動作して、例えば、特定のタイプの造粒において使用することができる、例えば、1.0~5.0重量%の水分を有する尿素溶融物を得ることができる。好ましく例示的な第1及び第2の蒸発器は、好ましくは互いに組み合わせて使用される。
【0031】
このプロセスは、仕上げ部において尿素溶融物を固化させて、固体尿素及びオフガスを得ることを伴う。固体尿素は、尿素及び硫黄含有成分などの他の固体成分を含有し得る。オフガスは、論じられるように、空気、尿素ダスト、及びNH3を含む。仕上げ部は、例えば、論じられるように、プリル塔、造粒機、又は塊状化装置である。
【0032】
プロセスは、スクラバーにおいてオフガスをスクラビングすることを伴う。スクラビングすることは、オフガスをスクラブ液と接触させることを伴う。スクラバーは、例えば、ベンチュリースクラバーを備える。スクラブ液は水を含む。スクラブ液を使用して、尿素ダストを除去することができる。スクラブ液は、任意選択的に、鉱酸、例えば硝酸又は硫酸などの酸を含む。任意選択の酸を酸スクラビングに使用して、NH3を除去するか、又はより完全に除去することができる。スクラブ液は、例えば、スクラバー内で、例えば10~60重量%、例えば、20~50重量%の尿素の尿素含有量まで再循環される。好ましくは、利用されたスクラブ液は、スクラバーからパージされる。利用されたスクラブ液は尿素を含有する。好ましくは、利用されたスクラブ液は、第2の蒸発器に有利に供給される。このようにして、第2の凝縮物に含まれる尿素は、加水分解されるのではなく固体尿素生成物にリサイクルされる。第2の凝縮物に含有される尿素は、特に第1の凝縮物とは別個に加工される。これにより、全体的な尿素収率が改善され、それによってプラント容量が増加する。
【0033】
スクラブ液が酸を含む場合、利用されたスクラブ液は、少なくともオフガスからアンモニアを除去するため、アンモニウム塩を含む。このアンモニウム塩溶液は、利用されたスクラブ液を蒸発部に供給することによって廃棄され得る。アンモニウム塩を含む利用されたスクラブ液を尿素プラントの蒸発部に供給するための背景参考文献は、Potthoff,Nitrogen+Syngas 294,p.39である。
【0034】
本発明では、任意選択的にアンモニウム塩を含有する利用されたスクラブ液が、蒸発部に供給される場合、例えば、利用されたスクラブ液を第1の蒸発器から得られた濃縮尿素溶液に添加することによって、下流の第2の蒸発器にのみ供給されることが好ましい。好ましくは、利用されたスクラブ液は、第1の蒸発器の下流(尿素溶液用の)の蒸発部に供給される。このようにして、スクラバーで形成されたアンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム又は硫酸アンモニウム)は、廃水処理部(WWT)に接続された凝縮器を有する第1の蒸発器には導入されない。これは、WWTから得られた水の汚染を回避するのに有利である。WWTからの水は、例えば、スチームを発生させるためのボイラー供給水として部分的又は完全に使用されるため、非常に純粋である必要がある。特に、第2の凝縮物の一部は、WWTに供給されない。
【0035】
アンモニウム塩は、例えば、5.0重量%未満、及び/又は少なくとも0.10重量%、例えば1.0~3.0重量%の量で固体尿素生成物中に含まれる。例えば、固体尿素生成物は、少なくとも46重量%の窒素含有量を有し、それによって尿素肥料の最小窒素含有量を満たす。このようにして、オフガスから、及び第2の凝縮物からのアンモニアは、有利には、エネルギー効率的な方法で、かつ尿素合成への追加の水リサイクルを伴わずに固体尿素生成物収率に寄与する。
【0036】
興味深い実施形態では、固体尿素生成物は、例えば、添加剤の総重量及び固体尿素生成物の総重量に基づいて、少なくとも0.010重量%、0.10重量%、又は少なくとも1.0重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%、好適には30重量%未満の量で、1つ以上の添加剤を含む。添加剤は、尿素及びビウレット以外の化合物である。添加剤は、例えば、植物若しくは動物用の微量栄養素、又はP、S若しくはK化合物などの植物栄養素、例えば、硫酸塩若しくはリン酸塩を含む。添加剤は、例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸カルシウム、ジ-若しくはモノ-リン酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、及びリン酸カリウム化合物などのリン化合物、又は塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、及びリン酸カリウム化合物などのカリウム化合物からなる群から選択される。微量栄養素としては、例えば、硫酸鉄、酸化鉄、硫酸亜鉛、硝酸鉄、酸化亜鉛、キレート化亜鉛、キレート化鉄酸化銅、硫酸銅、硝酸銅、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸セレン、及び酸化セレン、並びにヨウ化カリウムなどのヨウ素化合物が挙げられる。個々の添加剤は、例えば、固体尿素生成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量ppm又は少なくとも100重量ppmの量で含まれる。好ましくは、1つ以上の添加剤は、B、Cl、Fe、Mn、Zn、Cu、Mo、及びNiからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む。これらの化合物は、植物微量栄養素として使用される。
【0037】
好ましくは、本発明のプロセスは、水及び添加剤(複数可)を含む液体流、より好ましくは、添加剤(複数可)を含む水溶液を、第1の蒸発器(尿素溶液用の)の下流の蒸発部に供給することを含む。このようにして、添加剤化合物は、WWTに最終的には行き着かない。好ましくは、添加剤(複数可)を含む液体流は、第2の蒸発器に供給され、例えば、第1の蒸発器と第2の蒸発器との間の輸送ライン内で濃縮尿素溶液と混合されるか、又は第2の蒸発器の入口に供給される。非常に有利には、これにより、添加剤(複数可)の水溶液を濃縮尿素溶液に混合して、続いて、第2の蒸発器中の尿素溶液から水(添加剤の溶媒として使用される)を除去することを可能にする。第2の蒸発器からの蒸気が、凝縮後、WWTの代わりにスクラバーに送られるため、WWTを汚染するリスクはない。特に、第2の凝縮物は、第2の凝縮物のいかなる部分もWWTに供給されることなくスクラバーに供給される。例えば、第2の凝縮物は、スクラバーに直接供給される。水性添加剤溶液を濃縮尿素溶液と混合することは、蒸発部の下流の尿素溶融物に固体添加剤を添加するよりも複雑ではない。更に、混合溶液は、固体尿素生成物中の添加剤(複数可)の均一な分布に寄与する。添加剤は、微量栄養素の場合など、外部供給物に由来し得る。
【0038】
特に好ましい実施形態では、添加剤は、例えば、スクラバーの液溜めにおいて利用されたスクラブ液に添加され、利用されたスクラブ液は、論じられるように、第2の蒸発器に供給される。
【0039】
本発明において、下流の第2の蒸発器からの蒸気は、第2の凝縮器内で凝縮されて、第2の凝縮物を形成する。第2の凝縮器からの液体は、スクラバーに供給される。特に、第2の凝縮器からの液体は、第1の凝縮物とは別にスクラバーに供給され、第1及び第2の凝縮物は一緒に混合されない。例えば、第2の凝縮器からの液体は、スクラバーに直接供給される。この液体は水を含み、好ましくは、スクラバー内のスクラブ液体として使用される。特に、第2の凝縮器からの液体(第2の凝縮物)は、スクラバー内のスクラブ液の一部として使用される。スクラブ液は、酸を更に含み得る。スクラバー内の水の蒸発損失のために、スクラバー内で、例えば、酸スクラバー内で補給水が必要である。第2の凝縮物は、そのような水を少なくとも部分的に供給するために使用され得る。
【0040】
第2の凝縮器で形成された凝縮物は、NH3を含む。したがって、好ましくは、スクラバーは、NH3を除去するために、酸性スクラブ液を使用する酸スクラブである。本発明において、酸スクラブは、好ましくは、仕上げ部からのオフガスからNH3を除去するためだけではなく、エネルギー効率的な方法で蒸発部からのプロセス凝縮物の一部でNH3を加工するためにも、非常にエレガントに使用される。
【0041】
本発明のプロセスは、当該第1の凝縮物を廃水処理部(WWT)、好ましくは吸収器を通して供給することを伴う。WWTはまた、プロセス凝縮物処理部として説明することもできる。例えば、水を含む第1の凝縮物は、吸収器によって受け取られたガス流からNH3を吸収するために、尿素プラント内の吸収器中の吸収液として使用される。有利には、第1の凝縮物は、そのような吸収器の動作に十分な量の水を提供することが見出された。
【0042】
好ましくは、WWTは加水分解器及び脱着器を備える。好ましくは、加水分解器は、尿素をカルバミン酸アンモニウム及び水に加水分解するように構成される。加水分解器は、例えば、HPスチームを使用する。
【0043】
好ましくは、脱着器は、NH3及びCO2を脱着するように構成されている。脱着器は、例えば、LPスチームでのスチームストリッピングを使用する。
【0044】
好ましくは、WWTは、洗浄された水(洗浄されたプロセス凝縮物)用の出口と、例えば、水蒸気及びアンモニア、及び例えばCO2を含む再循環流用の出口とを有する。再循環流は、例えばガス状である。カルバミン酸塩再循環溶液は、回収部の凝縮器に、例えば、低圧カルバミン酸塩凝縮器に供給され、次いで合成部に供給される。本発明のプロセスにおけるWWTのより低い充填量(特に、WWTによって受け取られるより少量のNH3)もまた、WWTからのより低い再循環流をもたらし、それによって、合成部におけるH/C比を有利に減少させる(H/C比は、Ullmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,chapter Urea(2010)に記載されるように初期混合物中の水対CO2のモル比である)。
【0045】
洗浄された水は、例えば、スチームを発生させるためにボイラー供給水として使用される。スチームは、例えば、尿素プラント内の熱伝達流体として使用される。
【0046】
本発明は、蒸発部における第1及び下流の第2の蒸発器、仕上げ部、並びに仕上げ部のオフガスを処理するためのスクラバーを使用する尿素製造プロセスに関する。記載されるように、第2の蒸発器の凝縮器からの凝縮物は、スクラバーに供給される。
【0047】
本発明はまた、好ましくは、本発明の尿素製造プロセスを実行するのに好適な尿素製造プラントに関し、このプラントは、蒸発部、仕上げ部、廃水処理部、及びスクラバーを備える。蒸発部は、第1の蒸発器及びその下流の第2の蒸発器と、第1の凝縮器及び第2の凝縮器を備える。第1の蒸発器は、尿素溶液用の入口と、濃縮尿素溶液用の出口と、第1の蒸気用の出口とを備える。第2の蒸発器は、当該濃縮尿素溶液用の入口と、尿素溶融物用の出口と、第2の蒸気用の出口とを備える。仕上げ部は、当該尿素溶融物用の入口と、固体尿素生成物用の出口と、オフガス用の出口とを備えており、当該尿素溶融物を当該固体尿素生成物に固化させるように構成されている。スクラバーは、当該オフガス用の入口を備えており、スクラブ液を使用して当該オフガスをスクラビングするように構成されている。第1の凝縮器は、当該第1の蒸気用の入口と、第1の凝縮物用の出口と、を備える。第2の凝縮器は、当該第2の蒸気用の入口と、第2の凝縮物用の出口と、を備える。廃水処理部は、当該第1の凝縮物用の入口と、好ましくは加水分解器及び脱着器とを備える。したがって、プラントは、当該第1の凝縮器から当該廃水処理部に至る当該第1の凝縮物用の(第1の)接続部を備える。脱着器は、例えば、スチームをストリップガスとして使用するスチームストリッパーである。
【0048】
プラントは、当該凝縮器の出口からスクラバーの入口に至る第2の凝縮物用の(第2の)接続部を備える。特に、この第2の接続部は、当該第2の凝縮物を、第1の凝縮物とは別に当該スクラバーに供給するためのものである。
【0049】
好ましくは、スクラバーは、酸の外部源に接続された酸のための入口を備える。スクラバーは、洗浄されたオフガス用の出口と、利用されたスクラブ液用の出口とを備える。この出口は、好ましくは、第1の蒸発器の下流の蒸発部(尿素溶液用の)の入口と接続される。利用されたスクラブ液用の出口は、例えば、第2の蒸発器の入口と、又は例えば、第1の蒸発器から第2の蒸発器に至る供給ラインに接続される。利用されたスクラブ液用の出口は、好ましくは、第2の蒸発器のプロセス側の入口と接続され、それによって利用されたスクラブ液は、尿素溶液と混合される。好ましくは、蒸発部は、第1の蒸発器の下流(尿素溶液のための)の添加剤溶液用の入口を、例えば、第2の蒸発器の入口として、又は第1の蒸発器から第2の蒸発器に至る濃縮尿素溶液用の供給ラインに接続された供給ラインとして備える。
【0050】
尿素プラント及び蒸発部は、任意選択的に、第1の蒸発器と第2の蒸発器との間に、かつ第2の蒸発器の下流に、第1の蒸発器の上流に追加の蒸発器を備えてもよい。
【0051】
本発明のプラントのための選好は、本発明のプロセスに等しく適用される。プラントは、好ましくは、本発明のプロセスに好適である。本発明のプロセスは、好ましくは、本発明のプラントにおいて実施される。
【0052】
好ましい実施形態では、第2の凝縮器は、冷却凝縮器である。冷却凝縮器は、好ましくは、水以外の化合物又は組成物が好ましい冷却媒体を使用するか、又は例えば、冷水を冷却媒体として使用する。典型的には、冷却凝縮器は、少なくとも1つの熱交換壁によって分離された第1の側及び第2の側を有する熱交換器を備える。好ましい実施形態では、凝縮される蒸気は、第1の側に提供され、冷やされた冷却媒体は、第2の側に受け取られる。第1の側及び第2の側は、壁で分離されることに加えて、水などの熱伝達流体のための更なる区画で分離され得る。冷却された冷却媒体は、典型的には、冷却器から、当該第2の側で凝縮器の入口に供給される。冷却器では、冷却媒体は、例えば、少なくとも5℃又は少なくとも10℃に、及び/若しくは25℃未満の温度に冷却される。第2の凝縮器の入口での冷やされた冷却媒体は、典型的には、尿素プラント及び尿素製造プロセスの他の場所で使用される冷水よりも低い温度、例えば少なくとも5℃低いか、若しくは少なくとも10℃低い温度を有する。冷却水は、例えば、第2の蒸発器の上流に配置された第1の蒸発器に接続された第1の凝縮器で使用される。第2の凝縮器の入口での好ましい冷やされた媒体は、典型的には、周囲温度よりも低い温度、例えば、少なくとも5℃低いか、若しくは少なくとも10℃低い温度を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、冷却媒体の温度は、例えば、凝縮器のプロセス側における水の凍結を回避するために0℃よりも高く、好ましくは冷却媒体の温度は、少なくとも5℃、例えば5~10℃、例えば、約5℃にある。
【0054】
冷却器は、例えば、冷却媒体用のループによって接続された圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備える蒸気圧縮冷蔵システムである。好ましい実施形態では、冷却器内の冷却媒体を冷やすことは、第2の凝縮器の冷却流体側から蒸気層で受容された冷却媒体を、より高い圧力に圧縮させ、当該より高い圧力での熱回収により凝縮させ、及びより低い圧力に膨張させて、冷やされた液体冷却媒体をもたらすことを伴う。
【0055】
有利には、ブースターエジェクタを使用せずに、かつ第2の蒸気にスチームを添加することなく、第2の蒸気を蒸発器から凝縮器に効率的に輸送するために、冷却凝縮器を使用することができる。このようにして、第2の凝縮器から得られた液体の量は、第2の蒸発器が10kPa未満などの低圧で動作する場合でも、有利には小さいままである。
【0056】
図2は、本発明による例示的なプロセス及びプラントを概略的に示す。参照番号は、特に明記しない限り、
図1と同じユニットを示す。尿素溶融物(UM)は、固体尿素生成物(US)用の出口と、オフガス用の出口(G1)用の出口とを有する仕上げ部(F)に送られる。オフガスは、スクラバー(Scr)で処理され、ここでは、第2の凝縮物(PC2)をスクラブ液として使用する。第2の凝縮器(C2)は、液体、すなわち第2の凝縮物(PC2)用の出口を有し、その出口は、第2の凝縮物(PC2)をスクラバー(Scr)に直接送るための接続部によって、スクラバー(Scr)の入口と接続されている。任意選択的に、第2の凝縮器(C2)は、冷却器(CH)によって供給される冷却媒体を使用する冷却凝縮器である。この実施形態では、好ましくは、第2の蒸気を第2の蒸発器から第2の凝縮器まで輸送するために、ブースターエジェクタは使用されない。
【0057】
図3は、本発明による例示的なプロセス及びプラントを概略的に示す。参照番号は、特に明記しない限り、
図2と同じユニットを示す。スクラバー(Scr)は、酸の供給物(Ac)を使用し、利用されたスクラブ液(SL)用の出口を有する酸スクラバーである。利用されたスクラブ液(SL)は、第1の蒸発器の下流の位置で蒸発部に供給される。利用されたスクラブ液(SL)は、例えば、第2の蒸発器(EV2)及び/又は濃縮尿素溶液(U2)用の供給ラインに供給される。
【0058】
図4は、本発明による例示的なプロセス及びプラントを概略的に示す。参照番号は、特に明記しない限り、
図2と同じユニットを示す。スクラバー(Scr)は、利用されたスクラブ液(SL)用の出口を有し、任意選択的に、酸の供給物(Ac)を使用する酸スクラバーである。水及び1つ以上の添加剤を含む液体流(AD)は、第1の蒸発器(EV1)の下流(尿素溶液のための)の位置で、蒸発部(EV)に供給される。液体流(AD)は、例えば、濃縮尿素溶液(U2)用の輸送ラインに、又は第2の蒸発器(EV2)に直接供給される。このようにして、第2の蒸気(V2)中のいかなる微量の添加剤もWWTを汚染しない。液体流(AD)中に含まれる水は、第2の蒸気(V2)、第2の(プロセス)凝縮物(PC2)を通り、スクラバーにおける蒸発のために、スクラバー(Scr)の洗浄されたオフガス用の出口(G2)を通って、尿素プラントを離れる。好ましい実施形態では、液体流(AD)は、スクラバーからの利用されたスクラブ液として得られ、添加剤は、例えば、固体形態で、スクラバーに、例えばスクラバーの液溜めに添加される。
【実施例】
【0059】
本発明は、以下の実施例に関連して更に説明され、この実施例は、本発明を限定するものではない。
【0060】
実施例1
CO2ストリッピングタイプの合成部に基づき、仕上げ部として造粒機を備える例示的な尿素プラントでは、参照プロセスにおいて38.9m3/時の水がWWTに送られたが、一方、本発明のプロセスでは、わずか30.2m3/時の水がWWTに送られた。第2の凝縮物中の尿素は、加水分解されなかったが、利用されたスクラブ液を通して固体尿素生成物中に再循環されたため、収率は約0.4重量%だけ改善された。第1の蒸発段階への装填量は、参照プロセス及び本発明のプロセスの両方について約120t/時であった。第2の蒸発器への装填量は、参照プロセスでの90t/時と比べて、本発明のプロセスにおいて99t/時であった。
【0061】
実施例2
1日あたり2000メートルトン(MTPD)の容量、及びプリル塔を有する例示的な尿素プラントでは、WWTは、参照プロセスでは48m3/時の総水量、及び1716kg/時のNH3を受け取り、第2の蒸発器からの凝縮物が、仕上げ部からのオフガス用のスクラバーに送られる本発明によるプロセスでは、30m3/時の総水量、及び1302kg/時のNH3を受容した。H/C比は、参照プロセスでは0.518であり、本発明のプロセスでは0.509であった。HP流の消費は、参照プロセスでは79トン/時であり、本発明のプロセスでは78トン/時であった。しかしながら、LPスチーム送出は、参照プロセスでの14.5トン/時と比較して、本発明のプロセスでは有利に、25トン/時であった。