IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ コーニング コーポレーションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】泡制御組成物
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/04 20060101AFI20230711BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230711BHJP
   C08L 83/14 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B01D19/04 A
C08K3/36
C08L83/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022549714
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2021013886
(87)【国際公開番号】W WO2021167728
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】62/978,982
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ソンスエン
(72)【発明者】
【氏名】ディグラス、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ティボー、マーク
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特許第5346283(JP,B2)
【文献】特開昭63-147507(JP,A)
【文献】特開2005-137963(JP,A)
【文献】特表2019-509887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0291024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C08G 77/00-77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散されたシリカ充填剤を含む架橋ポリオルガノシロキサン材料を含む泡制御組成物を作製するための方法であって、
A)以下の成分:
(i)シリカ充填剤、
(ii)ヒドロシリル化を介して成分(iii)と付加反応することができる少なくとも2つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、
(iii)ヒドロシリル化を介して成分(ii)と付加反応することができる少なくとも3つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、及び
(iv)ヒドロシリル化触媒を組み合わせることによって、ヒドロシリル化反応混合物を調製するステップと、
B)前記反応混合物が少なくとも部分的にゲル化してヒドロシリル化反応生成物を形成するまで、成分(ii)及び(iii)のヒドロシリル化反応を実施するステップと、
C)ステップB)の前記ヒドロシリル化反応生成物をせん断するステップと、を含み、
D)ステップC)の前記ヒドロシリル化反応生成物を、(v)シリコーン樹脂及び(vi)縮合触媒と組み合わせて縮合反応混合物を形成し、前記(v)シリコーン樹脂とステップC)の前記ヒドロシリル化反応生成物との間の縮合反応を実施して縮合反応生成物を形成するステップを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップA)の前記ヒドロシリル化反応混合物が、溶媒を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記泡制御組成物が、25℃で100,000cP以下の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記泡制御組成物が、25℃で50,000cP以下の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン樹脂が、MQ樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記縮合反応混合物が、5~10重量%の前記シリコーン樹脂を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリカ充填剤が、疎水性シリカ及び親水性シリカの両方を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
疎水性シリカ対親水性シリカの重量比が、90:10~50:50である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シリカ充填剤が、沈降性シリカ及びヒュームドシリカを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照:本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年2月20日出願の米国仮特許出願第62/978982号の利益を主張する。米国仮特許出願第62/978982号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シリカ充填剤とともに分散された架橋ポリオルガノシロキサンを含む泡制御組成物に加えて、それらを作製及び使用するための方法を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シリカ充填剤とともに分散された架橋ポリオルガノシロキサンを含む泡制御組成物は、当該技術分野で既知である。主要な用途は、高pH値若しくは低pH値(例えば、pH12超若しくはpH3未満)、及び/又は周囲を超える温度で操作される発泡プロセスにおけるそれらの使用である。適用可能なプロセスとしては、紙の作製及びパルプ化プロセス(例えば、クラフトパルプ化プロセス)、織物染色プロセス、金属加工プロセス、廃水処理プロセス、天然ガス洗浄プロセスに加えて、インク、コーティング、塗料、及び洗剤の製造が挙げられる。1つの特に成功した泡制御組成物は、米国特許第8053480号に記載されている。この参考文献は、分散された微粉化疎水性シリカとともに、反応性ポリオルガノシロキサン間のヒドロシリル化反応を実施することによって、すなわち、A)ステップ(B)の前に、(i)シリカ充填剤、(ii)ヒドロシリル化を介して成分(iii)と付加反応することができる少なくとも2つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、及び(iii)ヒドロシリル化を介して成分(ii)と付加反応することができる少なくとも3つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサンを混合するステップと、B)続いて、ヒドロシリル化触媒の存在下で成分(ii)及び(iii)のヒドロシリル化反応を引き起こすステップであって、ヒドロシリル化反応が、反応混合物が少なくとも部分的にゲル化するまで実施される、引き起こすステップと、次いで、C)部分的にゲル化した材料をせん断するステップと、によって作製された泡制御組成物を記載している。得られる材料は有効な泡制御組成物であるが、より低い添加レベルで改善された泡制御性能を提供する泡制御組成物の開発において継続的な関心がある。
【0004】
本発明は、シリカ充填剤とともに分散された架橋ポリオルガノシロキサンを含む泡制御組成物に加えて、それらを作製及び使用するための方法を含む。主題の方法は、米国特許第8053480号に記載されているアプローチを構築するが、重要なことには、記載されたヒドロシリル化反応生成物を、縮合触媒の存在下で、後続のケイ素樹脂との縮合反応にさらし、縮合反応生成物を形成する。この縮合反応生成物は、前述のヒドロシリル化反応生成物と比較してより低い粘度を有し、ほとんどの場合、より低い添加(濃度)レベルで改善された持続性及び/又は改善された泡制御性能を提供する。
【0005】
一態様では、本発明は、分散されたシリカ充填剤を含む架橋ポリオルガノシロキサン材料を含む泡制御組成物を作製するための方法であって、
A)以下の成分:
(i)シリカ充填剤、(ii)ヒドロシリル化を介して成分(iii)と付加反応することができる少なくとも2つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、(iii)ヒドロシリル化を介して成分(ii)と付加反応することができる少なくとも3つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、及び(iv)ヒドロシリル化触媒を組み合わせることによって、ヒドロシリル化反応混合物を調製するステップと、
B)反応混合物が少なくとも部分的にゲル化してヒドロシリル化反応生成物を形成するまで、成分(ii)及び(iii)のヒドロシリル化反応を実施するステップと、
C)ステップB)のヒドロシリル化反応生成物をせん断するステップと、
D)ステップC)のヒドロシリル化反応生成物を、(v)シリコーン樹脂及び(vi)縮合触媒と組み合わせて縮合反応混合物を形成し、(v)シリコーン樹脂とステップC)のヒドロシリル化反応生成物との間の縮合反応を実施して縮合反応生成物を形成するステップと、を含む、方法を含む。
【0006】
本発明の別の態様では、(i)シリカ充填剤は、疎水性及び親水性シリカの両方を含む。本発明の別の態様では、(i)シリカ充填剤は、ヒュームドシリカ及び沈降性シリカの両方を含む。
【0007】
泡制御組成物自体に加えて、それらの配合物、及び様々な用途でのそれらの使用と一緒に含む、多数の追加の実施形態が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の概要で述べたように、本発明の方法は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8053480号に記載されているアプローチを構築する。簡潔に言えば、本方法は、A)ヒドロシリル化反応混合物を調製するステップと、B)ヒドロシリル化反応を実施して、ヒドロシリル化反応生成物を形成するステップと、C)ヒドロシリル化反応生成物をせん断するステップと、D)ステップC)のヒドロシリル化反応生成物を、シリコーン樹脂及び縮合触媒と組み合わせて縮合反応混合物を形成し、シリコーン樹脂とヒドロシリル化反応生成物との間の縮合反応を実施して縮合反応生成物を形成するステップと、を伴う。ステップA)、B)及びC)は、米国特許第8053480号に記載されるような様式で、又は本明細書で提供される拡張された説明に従って実施され得る。例えば、ヒドロシリル化反応混合物を調製するステップは、個々の成分(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の組み合わせ及び混合を任意の特定の順序で伴い得るが、以下に記載される特定の順序が好ましい。混合は、任意選択的に、溶媒の使用を含み得、PDMSなどのシリコーン油、25℃で液体である水不溶性有機化合物、又はそれらの混合物を含む。ステップB)は、好ましくは、より均一なヒドロシリル化反応生成物を確実にするために、ヒドロシリル化反応混合物の成分を実質的に混合した後に実質的に開始される。例えば、(i)微粉化シリカ充填剤がヒドロシリル化反応生成物中に均一に分散されることを確実にするために、シリカ充填剤は、好ましくは、実質的な反応の前に、ポリオルガノシロキサン(ii)又は(iii)のいずれかのバルクと組み合わされ、混合される。上記のように、当業者は、完全な混合の前にある程度の反応が起こり得、ステップA)及びB)が重複し得ること、すなわち混合が反応と同時に起こり得ることを理解するであろう。ステップB)における反応の実質的な開始は、個々の成分の段階的な添加、すなわち、最後に添加されるヒドロシリル化触媒及び/又はSiH含有ポリマーによって制御され得る。記載されるように、ヒドロシリル化は、好ましくは、ヒドロシリル化反応混合物を加熱することによって実質的に開始される。そのようなものであるから、加熱ステップは、ヒドロシリル化反応混合物の実質的な混合の後に、又は以下に記載されるようなある特定の成分、例えば、ヒドロシリル化触媒及び/若しくはSiH含有ポリマーの添加(及び共混合)と同時に起こり得る。
【0009】
ステップA)では、ヒドロシリル化反応混合物が調製され、これは、以下の成分:(i)シリカ充填剤、(ii)ヒドロシリル化を介して成分(iii)と付加反応することができる少なくとも2つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、(iii)ヒドロシリル化を介して成分(ii)と付加反応することができる少なくとも3つの反応性置換基を有するポリオルガノシロキサン、及び(iv)ヒドロシリル化触媒を含み、それらの各々が、以下に記載される。
【0010】
(i)シリカ充填剤:
本発明で使用される微粉化シリカ充填剤は、特に限定されず、沈降性、焼成、熱、エアロゲル、及びヒュームド(発熱性)の種類を含む。そのようなシリカ充填剤は、従来の製造技術、例えば、ハロゲン化ケイ素の熱分解(熱分解(pyrolysis))、ケイ酸の金属塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)の分解及び沈降、並びにゲル形成方法に従って調製され得る。好ましいシリカは、沈降性シリカ及びヒュームドシリカを含み、それらの両方は、親水性又は前処理された疎水性シリカであり得る。適用可能な沈降性シリカは、好ましくは、ISO 5794/1(2010)に従って測定された50~200m/gのBET表面積を有する。ヒュームドシリカは、好ましくは、DIN 66131に従って測定した場合、100~400m/g、最も好ましくは100~300m/gのBET表面積を有する。乾式方法、すなわち、Malvern Instrumentsからの乾式分散「Aero M」に接続されたMastersizer(商標)3000レーザー回折粒径分析器を使用して、ISO 13320(2009)に準拠して乾式分散分析(レーザー回折)により決定した場合に、好ましくは、0.1~100μmであるが、より好ましくは、0.5~25μmである平均粒径、すなわち、平均体積加重直径(「Dv50」又は「DV0.5」と示されることもある)を有する、適用可能なシリカ充填剤。
【0011】
一実施形態では、本発明で使用されるシリカ充填剤は、前処理された疎水性シリカのみからなる(米国特許第8053480号に記載されているアプローチと一致する)。適用可能な疎水性ヒュームドシリカの市販例としては、HDK(登録商標)H2000及びHDK(登録商標)H15(Wacker Chemie AG)、AEROSIL(登録商標)972及びAEROSIL(登録商標)805(Evonik Degussa GmbH)、及びCAB-O-SIL(登録商標)TS-720及びTS-530(Cabot GmbH)が挙げられる。適用可能な疎水性沈降性シリカの追加の市販例としては、Sipernat(登録商標)D10、Sipernat(登録商標)D13、及びSipernat(登録商標)D17(Evonik Degussa GmbH)、並びにZeoflo TL(Grace GmbH & Co.KG、Worms)が挙げられる。
【0012】
代替の実施形態では、本発明で使用されるシリカ充填剤は、疎水性及び親水性シリカの両方の組み合わせを含む。疎水性シリカ対親水性シリカの好ましい重量比は、95:5~5:95、90:10~10:90、及び90:10~50:50を含む。適用可能な親水性ヒュームドシリカの市販例としては、HDK(登録商標)N 20、HDK(登録商標)S13、及びHDK(登録商標)T30(Wacker Chemie AG、Munich)、AEROSIL(登録商標)200(Evonik Degussa GmbH)、及びCab-O-Sil(登録商標)LM 150(Cabot GmbH)が挙げられる。適用可能な親水性沈降性シリカの市販例としては、Sipernat(登録商標)383 DS、及びSipernat(登録商標)160 PQ(Evonik Degussa GmbH)、及びSyloid(登録商標)244 FP、及びZeofoam(Grace GmbH & Co.KG、Worms)が挙げられる。
【0013】
更に別の代替の実施形態では、本発明で使用されるシリカ充填剤は、ヒュームドシリカ及び沈降性シリカの両方の組み合わせを含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、シリカに関して使用される「疎水性」という用語は、例えば、反応性シラン又はシロキサンなどの疎水化剤、例えば、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヒドロキシル末端ブロック化及びメチル末端ブロック化ポリジメチルシロキサン、シロキサン樹脂、脂肪酸、又はこれらのうちの1つ以上の混合物を用いる化学処理によって、疎水性にされたシリカを指す。表面が疎水化剤によって修飾されているシリカは、水によってあまり湿潤されないが、メタノール/水混合物によって湿潤され得る。疎水性の程度は、一般に、シリカを湿潤させるのに必要な水に対するメタノールの画分(メタノールの重量%として表される)を特徴とする(すなわち、「メタノール湿潤性」)。メタノールの画分が高いほど、シリカの疎水性化の程度が高い。疎水性を測定するための技術分野で認識されている方法は、米国特許第6899951号に記載されており、本明細書に組み込まれる。簡潔に言えば、200mgのシリカを、各々が15mlの容量を有する、6つの目盛り付きの透明遠心管の各々に配置する。8mlのメタノール/水混合物を各管に添加し、各混合物のメタノール濃度を各連続管において増加させる(例えば、10体積パーセントのメタノール~90体積パーセントのメタノール)。各混合物のメタノール濃度の初期選択は、予想されるメタノール湿潤性によって導かれる。遠心管をしっかりと閉じ、激しく振とうする(例えば、振とう混合機細管内で30秒間、すなわち、少なくとも10回の上下動作)。湿潤シリカ画分を分離するために、次いで、管を2500rpmで5分間遠心分離する。湿潤画分は、遠心管の目盛り付きのスケール上で体積を読み取ることができる沈降物を形成する。沈降物の体積を、メタノール/水混合物の濃度に対してプロットする(体積によるメタノール含有量)。個々の測定点は、その位置及び傾きが疎水性の程度を特徴付ける曲線(x軸:メタノール/水混合物中のメタノールの画分パーセント、y軸:沈降物の高さ)を生成する。曲線の変曲点におけるx軸値(重量%)の疎水性化を報告する。本発明の目的のために、疎水性シリカは、好ましくは、少なくとも20重量%のメタノール、例えば、20重量%~70重量%、より好ましくは30~60重量%のメタノールのメタノール湿潤性を有する。シリカの疎水性は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8614256号に記載されているように、結果として得られるCOが赤外(IR)検出器(ISO 3262-20)によって測定される、燃焼によるサンプル中の炭素の酸化によって測定される炭素含有量を、更に特徴とし得る。0.2重量%~7重量%、最も好ましくは0.5重量%~4重量%の炭素含有量を有する好ましい疎水性シリカ。
【0015】
本発明における使用に適用可能な親水性シリカは、好ましくは、10重量%以下のメタノール、例えば、0~10重量%、より好ましくは0~5重量%のメタノールのメタノール湿潤性を有する。追加の又は代替の特徴付けとして、本発明における使用に適用可能な親水性シリカは、上述の方法論により決定した場合に、0.1重量%未満の炭素含有量を有する。
【0016】
(ii)及び(iii)ポリオルガノシロキサン:
ポリオルガノシロキサン成分(ii)及び(iii)の反応性置換基は、ケイ素結合水素原子及びケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基であり、不飽和は、当該基の末端炭素原子間にある。ケイ素結合水素基又は不飽和基が、成分(ii)上にあるか又は成分(iii)上にあるかは重要ではなく、ただし、一方が、主に、好ましくは唯一、成分(ii)上に見出され、もう一方が、主に、好ましくは唯一、成分(iii)上に見出される。成分(ii)は、主に直鎖状骨格上にいくつかの分岐又はいくつかの下垂(pending)シロキサン単位を含み得るが、成分(ii)は、直鎖状ポリオルガノシロキサン材料であることが最も好ましい。反応性置換基は、ポリオルガノシロキサンの末端ケイ素原子上に位置することが特に好ましい。成分(iii)に関して、これが直鎖状、分岐状、樹脂状、又は環状ポリオルガノシロキサン材料であるかどうかは重要ではない。反応性基は、それらが異なるケイ素原子上で置換されるような方法で、ポリマー中において離隔され、好ましくは、成分(ii)の多数のポリオルガノシロキサン材料との容易な反応を可能にするために十分に遠く離れていることが好ましい。ケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基は、アルケニル基、好ましくはビニル基又はアリル基、最も好ましくはビニル基であることが好ましい。以下の説明は、置換基として脂肪族不飽和炭化水素基を有する成分(ii)、及びケイ素結合水素原子を有する成分(iii)の選択肢を使用するが、逆の状況が等しく適用可能であることが理解されよう。
【0017】
主題の方法のステップ(A)における使用のための好ましい成分(ii)は、一般式:Vi-[Si(R)O]-Si(R)Viを有するビニル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサンであり、式中、Rは、一価の有機基を示し、Viは、ビニル基を示す。有機基Rは、好ましくは、最大8個の炭素原子の炭化水素基、より好ましくはアルキル基又はアリール基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、又はフェニルである。すべてのR基のうちの少なくとも80%がメチル基であり、最も好ましくは100%であることが特に好ましい。整数を示すnの値は、ビニル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサンの粘度が、25℃の温度で200~100,000cP(mPa・s)、より好ましくは2000~55,000cPの範囲にあるような値である。
【0018】
ステップ(A)で使用するための好ましい成分(iii)は、ケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンであり、ポリオルガノ水素シロキサンと称されることもあり、これは、環状、直鎖状、分岐状若しくは樹脂状であってよく、又はそのようなポリオルガノ水素シロキサンのうちの2つ以上を含む混合物であってよい。成分(iii)の粘度は、成分(ii)の粘度よりも実質的に低いような粘度であり、好ましくは25℃で1000cP以下である。好適な環状ポリオルガノ水素シロキサンとしては、式(RR’SiO)のものが挙げられ、式中、Rは、上記で定義されたとおりであり、R’は、R基又は水素原子であり、ただし、その上に置換された水素原子を有する少なくとも3個のケイ素原子があり、xは、3~10の値を有する整数である。好ましくは、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル又はアリールラジカルであり、好ましくはメチルであり、各R’は、水素であり、xは、3~5の整数である。成分(iii)として使用するための好適な直鎖状ポリオルガノ水素シロキサンとしては、一般式R’SiO(RR’SiO)SiR’のものが挙げられ、式中、R及びR’は、上記で定義されたものと同じであり、yは、2~300、好ましくは2~40、より好ましくは3~25であり、ただし、1分子当たり少なくとも3個のケイ素結合水素原子がある。成分(iii)として使用するための樹脂状又は分岐状ポリオルガノ水素シロキサン材料は、三次元構造を有し、一価(R’SiO1/2)単位、二価(R’SiO2/2)単位、三価(R’SiO3/2)単位、及び/又は四価(SiO4/2)単位を含み得、式中、R’は、上記で定義されたものと同じ意味であり、ただし、1分子当たり少なくとも3つのケイ素結合水素基がある。成分(iii)として使用するための好ましい樹脂状ポリオルガノ水素シロキサン材料は、15,000以下の重量平均分子量(Mw)を有する。成分(iii)は、1分子当たり3~10、最も好ましくは3~5個のケイ素結合水素原子を有し、各水素原子が異なるケイ素原子上で置換されていることが特に好ましい。
【0019】
上記で示されたとおり、成分(ii)及び(iii)は、それぞれ、上記に具体的に記載されたものの代わりに、SiH基及び好ましいSi-アルケニル官能基を含み得る。そのような場合、成分(ii)は、ポリオルガノ水素シロキサン、好ましくは末端SiH基を有するポリジアルキルシロキサン、例えば、末端ジメチル水素シロキサン単位を有し、25℃で200~100,000、好ましくは2000~55,000cPの粘度を有するポリジメチルシロキサンであり得る。更に、成分(iii)は、例えば、単官能性単位(R”SiO1/2)、二官能性単位(R”SiO2/2)、三官能性単位(R”SiO3/2)、及び四官能性単位(SiO4/2)を有する樹脂状材料であることができ、式中、R’’は、基R又は一価不飽和脂肪族炭化水素基を示す。いくつかのOH基はまた、いくつかのケイ素原子上にて置換され得る。特に好ましい樹脂状材料は、主として単官能性及び四官能性単位、約5,000の重量平均分子量(Mw)、並びに異なるケイ素原子上で置換された平均3~5つのビニル単位を有するビニル置換シロキサン樹脂である。
【0020】
当該技術分野で既知のように、成分(ii)及び(iii)の比は、ヒドロシリル化反応が十分に制御されるように選択されるべきである。各タイプの反応性基の適切なレベルを選択することにより、架橋及び分岐密度を制御することができる。加えて、過剰の1つの官能基、好ましくは脂肪族不飽和炭化水素基を使用することにより、最終的な分岐状又は架橋ポリオルガノシロキサン中の未反応基の量を制御することができる。好ましくは、脂肪族不飽和Si-結合炭化水素基に対するSiH基の数の比は、1/10~10/1の範囲にあり、より好ましくは、比は、1/5~5/1、最も好ましくは1/3~1/1である。
【0021】
適用可能なビニル官能性ポリオルガノシロキサンは、周知であり、市販されている。代表的な市販例としては、SILASTIC(商標)SFD 128、SILASTIC(商標)SFD-120、及びDOWSIL(商標)SFD-119が挙げられ、それらのうちのすべてが、The Dow Chemical Companyから入手可能である。適用可能なSiH官能性ポリオルガノシロキサンもまた、周知であり、DOWSIL(商標)1-8114、XIAMETER(商標)MHX-1107流体、XIAMETER(商標)OFX-5057流体、DOWSIL(商標)1-3502ポリマー、Syl-off(商標)7672、Syl-off(商標)7678、及びDowsil(商標)6-3570ポリマーが挙げられ、すべてが、the Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0022】
(iv)ヒドロシリル化触媒:
ヒドロシリル化触媒の選択は特に限定されないが、ほとんどの実施形態では、触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ルテニウム、又はそれらの組み合わせを含む。ヒドロシリル化触媒は、例えば、微細白金粉末、白金黒、白金アセチルアセトネート、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体(例えば、米国特許第3419593号に記載の方法に従って調製され得るジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ポリジメチルシロキサン中に希釈されたジビニルテトラメチルジシロキサン)、米国特許第5175325号に記載されるような塩化白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、又は前述の白金触媒を含む熱可塑性樹脂であり得る。他の実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、Karstedtの触媒若しくはSpeierの触媒、又はそれらの組み合わせなどの白金ビニルシロキサン錯体である。特定のKarstedtの触媒は、米国特許第3715334号及び米国特許第3814730号に記載されている。適用可能な触媒の追加の例は、以下:米国特許第2823218号、米国特許第3419359号、米国特許第3445420号、米国特許第3697473号、米国特許第3814731号、米国特許第3890359号、及び米国特許第4123604号に記載されている。ヒドロシリル化触媒は、単一の触媒又は2種以上の触媒の組み合わせでもよい。これらのヒドロシリル化触媒のうちの多くは、顕著な反応が起こるために加熱される反応物を必要とする。
【0023】
本発明で使用されるヒドロシリル化触媒の濃度は、日常の実験によって決定され得る。典型的には、有効量の触媒は、本発明によるプロセスのステップ(B)で使用される混合物中に組み合わされる、成分(ii)及び(iii)の重量に基づいて、重量による0.1~1000百万分率(ppm)の実際の金属(例えば、白金)を提供するような範囲にある。これらの材料のうちのすべては、当該技術分野で周知であり、例えば、塩化白金酸及びSYL-OFF(商標)4000触媒で市販されている。
【0024】
ステップA)では、鎖延長剤が、ヒドロシリル化反応混合物中に任意選択的に含まれ得る。これらは、成分(ii)と同様の材料であり、好ましくは、反応性基がポリオルガノシロキサンの末端ケイ素原子に存在する実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサン材料である。これらの材料は、ヒドロシリル化反応に関与する役割を果たすが、最終的なポリオルガノシロキサンが分岐する位置を離隔する効果を有する。そのようなものであるから、鎖延長剤の反応性基は、成分(iii)の反応性基と同じであることが好ましい。好適な鎖延長剤の例としては、成分(iii)が脂肪族不飽和炭化水素反応性基を含む場合、α,ω-ジビニルポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0025】
任意選択であるが、ヒドロシリル化反応混合物は、ポリジオルガノシロキサン又は水不溶性有機化合物などの溶媒(本明細書では「希釈剤」とも称される)を含むことが好ましい。好適なポリジオルガノシロキサン溶媒は、実質的に直鎖状又は環状のポリマーであるが、それらの混合物も使用され得、ケイ素結合置換基は、上記で定義されたとおりの基Rである。最も好ましくは、すべてのケイ素結合置換基のうちの少なくとも80%が、アルキル基、好ましくはメチル基である。最も好ましい溶媒としては、25℃で測定された50~30,000cP、より好ましくは500~5000cPの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ブロック化ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxanes、PDMS)が挙げられる。他の好ましい溶媒としては、25℃で液体である水不溶性有機化合物が挙げられる。好ましい水不溶性有機溶媒又は希釈剤としては、鉱油、白油、液体ポリイソブテン、イソパラフィン系油又は石油ゼリーなどの脂肪族炭化水素に加えて、それらのブレンドが挙げられ、最も好ましいものは、100℃を超える沸点及び100℃を超える引火点を有する。前述のものの混合物も使用され得る。溶媒又は希釈剤は、本発明のプロセスのステップ(B)で作製された分岐状又は架橋ポリオルガノシロキサンを可溶化するために主として存在し、これは、より高い粘度の分岐状又は架橋ポリジオルガノシロキサンに対して特に有用である。使用され得る溶媒の量は、広く変動し得、分岐状又は架橋ポリオルガノシロキサンが、それ自体より高い粘度を有する場合、より多量の溶媒を使用することが好ましい。使用される溶媒又は希釈剤の量は、ヒドロシリル化反応混合物の全配合物に基づいて90重量%と高くてもよいが、好ましくは、30~80重量%が使用される。
【0026】
ステップB)中、成分(ii)及び(iii)は、ヒドロシリル化触媒の存在下でヒドロシリル化によって反応させる。成分(i)~(iii)と同時に触媒を組み合わせることが可能であるが、これが行われる場合、プロセスが進行する準備が整うまで、触媒の活性を停止する方法を使用することが好ましい。そのような選択肢としては、阻害剤の使用、及びプロセスのステップB)の開始直前に元に戻るカプセル化などの物理的分離の使用が挙げられる。あるいは、より好ましくは、ヒドロシリル化触媒は、ステップB)の開始直前に添加され、これは任意の既知の手段によって行われ得、ヒドロシリル化反応混合物への触媒のいくらかの効率的な分散を必要とする。ステップ(A)の混合物を、ヒドロシリル化反応が起こることが可能な温度への加熱と一緒に調製することが特に好ましく、この段階で、触媒をニート又は希釈形態(例えば、成分(ii)若しくは(iii)、好ましくは脂肪族不飽和炭化水素置換基を有する成分のうちのわずかな一部分中において、又は以下に論じられるような希釈剤若しくは溶媒のうちのわずかな一部分中において)のいずれかで導入し、混合して、混合物中に分散体を形成する。
【0027】
そのステップ(B)における好ましい成分(ii)及び(iii)を使用して分岐状又は架橋ポリオルガノシロキサンを形成するためのヒドロシリル化反応は、以下のように表され得る:
-SiCH=CH+HSi-→-SiCHCHSi-。反応は、好ましくは、ビニル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサン、ポリオルガノ水素シロキサン、及び任意選択の溶媒又は希釈剤をブレンドし、そのブレンドした混合物を必要な反応温度までもたらすことによって実施され、その時点で、ヒドロシリル化触媒が添加されて反応を可能にする。適用可能な溶媒又は希釈剤としては、25℃で50~30,000cPであるが、より好ましくは500~5000cPの粘度を有するPDMSなどのシリコーン油、白油、ポリイソブテンなどの液体脂肪族炭化水素に加えて、それらのブレンドが挙げられる。ヒドロシリル化反応は、周囲温度で起こり得るが、好ましくは30~120℃、より好ましくは約40~100℃の温度で行われる。好ましくは、成分(ii)が、脂肪族不飽和炭化水素基含有ポリオルガノシロキサン、例えば、ビニル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサンである場合、それは、成分(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の合計の重量に基づいて(すなわち、任意の溶媒、希釈剤、又は任意選択の成分の重量を除く)、最大98重量%、好ましくは80~92重量%の量で反応物溶液中に含まれる。同じ基準で、シリカ充填剤(i)の量は、2~15重量%、より好ましくは2~8重量%であり、成分(iii)の量は、0.1~5重量%である。ヒドロシリル化触媒の濃度は、日常の実験によって決定され得る。典型的には、有効量の触媒は、本発明によるプロセスのステップ(B)で使用される混合物中に組み合わされる、成分(ii)及び(iii)の重量に基づいて、重量による0.1~1000百万分率(ppm)の実際の金属(例えば、白金)を提供するような範囲でなければならない。
【0028】
ステップB)で調製されたヒドロシリル化反応生成物(すなわち、架橋ポリオルガノシロキサン)は、好ましくは部分的にゲル化された三次元ネットワークを有し、ASTM D2196-05に従って粘度計(Brookfield DV2-HB)を使用して、1s-1のせん断速度において、25℃の温度で測定した場合、1,000,000cP~50,000,000cPの粘度を有する。
【0029】
ステップC)では、ステップB)のヒドロシリル化反応生成物を、撹拌によって、又はヒドロシリル化反応生成物を高速混合装置(例えば、Myers混合機、Drais混合機、ピン混合機、ロータステータなど)に通すことなどによって、せん断にさらし、その粘度を低下させ、流動性を改善する。好ましい実施形態では、せん断は、ASTM D2196-05に従って粘度計(Brookfield DV2-RV)を使用して、1s-1のせん断速度において25℃で測定された40,000~500,000cPの範囲に、その粘度を低下させるまで、ヒドロシリル化反応生成物に適用される。好ましい実施形態では、ステップC)は、ステップBから得られるヒドロシリル化反応生成物と比較して、少なくとも90%の粘度の低下をもたらす。
【0030】
ステップD)では、ステップC)からのせん断されたヒドロシリル化反応生成物を、シリコーン樹脂及び縮合触媒と組み合わせて縮合反応混合物を形成し、シリコーン樹脂とヒドロシリル化反応生成物との間の縮合反応を実施して、縮合反応生成物を形成する。縮合反応は、高温で、例えば、80~150℃、より好ましくは95~120℃で加熱しながら、シリコーン樹脂をヒドロシリル化反応生成物と混合することによって実施され得る。好ましくは、縮合触媒は、縮合反応混合物が少なくとも100℃の高温に加熱された後に添加される。反応は、典型的には、少なくとも数分間~最大数時間、すなわち、最も典型的には約30分間実施される。適用可能なシリコーン樹脂及び縮合触媒は、以下に記載されており、MQ樹脂及びKOH分散体(水性又は溶媒中)が好ましい。シリコーン樹脂は、上記の当該技術分野で一般的なように、ポリジメチルシロキサン(PDMS)流体のような溶媒中で提供され得る。ステップC)からのヒドロシリル化反応生成物と組み合わされるシリコーン樹脂の量は、特に限定されないが、ヒドロシリル化反応生成物の重量に基づいて(すなわち、任意の溶媒に起因する重量を含まない)、典型的には1~20重量%であるが、好ましくは2~10重量%、より好ましくは2~5重量%である。縮合触媒の量は特に限定されず、日常の実験を通して使用される特定の触媒に基づいて決定され得る。KOHが使用される場合、水、又はメタノール、エタノール、若しくはイソプロパノールのようなアルコール中に、20%でそれを事前に溶解することが好ましく、典型的には、範囲は、そのような溶液の0.3から頂部3%である。ステップD)から得られる縮合反応生成物は、ステップC)から得られるヒドロシリル化反応生成物と比較して低下した粘度を有し、すなわち、縮合反応生成物の粘度は、好ましくは、ステップC)からのせん断されたヒドロシリル化生成物の粘度よりも少なくとも25%少ない。ステップD)から得られる縮合反応生成物の粘度は、25℃で10,000~100,000cPであり得るが、好ましくは100,000cP以下、60,000cP、50,000cP、40,000cP、又は更に30,000cPである。好ましい粘度範囲は、ASTM D2196-05に従って、1RPM及び25℃でBrookfield DVII、スピンドルCP-52を用いて測定した場合、10,000~50,000cPを含む。 縮合反応混合物は、任意選択的に、1つ以上のヒドロキシル官能基又は加水分解性基を含むポリオルガノシロキサンを含み得る。例えば、少なくとも1つの末端シラノール基を有するポリジオルガノシロキサンもまた、周知であり、市販されている材料であり、一般式R SiO-[Si(R)O]-Si R によって表され得、式中、Rは、上記の一価炭化水素基であり、Rは、ヒドロキシル又はOR基のいずれかである。
【0031】
(v)シリコーン樹脂:
本明細書で使用される場合、「シリコーン樹脂」は、少なくとも1つの(RSiO3/2)、又は(SiO4/2)シロキシ単位を含有する任意のオルガノポリシロキサンを指す。シリコーン樹脂は、シロキシ単位のうちのかなりの部分が、T又はQシロキシ単位から選択される場合に形成される。そのような樹脂は、次のように表し得る。
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
式中、R~Rは、上記で定義されたとおりのR又はR’基から独立して選択され、例えば、置換又は非置換ヒドロカルビル基、アルコキシ基であり、w、x、y及びzは、独立して0以上~1以下であり、ただし、y及びzは、同時に0ではなく、w+x+y+z=1であることを条件とする。下付き文字yは、Tシロキシ単位を示し、下付き文字zは、Qシロキシ単位を示す。固体シリコーン樹脂中に存在する各シロキシ単位の量は、シリコーン樹脂中に存在するすべてのM、D、T、及びQシロキシ単位の合計モル数のモル分率(下付き文字w、x、y及びzによって)として表される。シリコーン樹脂中の様々なシロキシ単位のモル分率及びシラノール含有量は、もしあれば、29Si NMR技術によって容易に決定され得る。オルガノポリシロキサンが主にM及びTシロキシ単位を含有する場合、それは、多くの場合「T樹脂」又は「シルセスキオキサン樹脂」と称される。M及びQシロキシ単位が優勢である場合、得られるオルガノシロキサンは、多くの場合「MQ樹脂」と称される。本発明の目的のために、シリコーン樹脂は、好ましくはMQ樹脂を含む。Q基に対するM基の数の比は、好ましくは0.4:1~2.5:1、より好ましくは0.4:1~1.1:1、最も好ましくは0.5:1~0.8:1の範囲にある。樹脂は、室温で固体であり得るが、一般に液体である1.2より高いM/Q比を有するMQ樹脂もまた使用され得る。樹脂は、上記で定義されたとおりの一価及び四価のシロキシ単位のみからなることが最も好ましいが、M基、T単位、及びQ単位を含む樹脂もまた代替的に使用され得る。存在するすべての単位のうちの最大20%が、上記で定義されたとおりの二価の単位RSiO2/2であり得ることもまた許容される。他の炭化水素基、例えば、例えばジメチルビニルシリル単位として存在するアルケニル基は、好ましくはすべてのR’’基のうちの5%を超えずに存在し得る。ケイ素結合ヒドロキシル基及び/又はアルコキシ、例えば、メトキシ基もまた存在し得る。適用可能な樹脂は、溶媒中又はその場で、例えば、ある特定のシラン材料の加水分解によって作製され得る。特に好ましい方法論は、溶媒、例えばキシレンの存在下での、四価のシロキシ単位の前駆体(例えば、テトラオルトケイ酸塩、テトラエチルオルトケイ酸塩、ケイ酸ポリエチル、又はケイ酸ナトリウム)、及び一価のトリアルキルシロキシ単位の前駆体(例えば、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、又はヘキサメチルジシラザン)の加水分解及び縮合である。得られるMQ樹脂は、残留Si-OH基を反応させるために更にトリメチルシリル化され得るか、又は塩基の存在下で加熱して、Si-OH基を脱離させることによって樹脂の自己縮合が引き起こされ得る。しかしながら、本発明の目的のために、樹脂は、好ましくは、少なくとも0.5重量%のSi-結合ヒドロキシル基又はアルコキシ基、例えば、1~10重量の遊離Si-結合ヒドロキシル基又はアルコキシ基を含む。これらの樹脂は、好ましくは溶媒中に液体として送達される固体である。溶媒は、50cP~1000cPの範囲の粘度を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、又は有機溶媒、例えば、トルエン、キシレンなどであり得る。これらの樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは200~200,000、より好ましくは1000~20,000である。そのような樹脂の代表的な市販例としては、DOWSIL(商標)MQ-1600固体樹脂、DOWSIL(商標)593流体、DOWSIL(商標)2-1912流体、及びDOWSIL(商標)3527離型剤が挙げられ、それらのうちのすべてが、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0032】
(vi)縮合触媒:
好適な縮合触媒としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属シラノレート、水酸化四級アンモニウム、水酸化四級ホスホニウム、及び有機酸の金属塩、例えば、ドデカン酸、オクタン酸、若しくは酢酸のような、そのような酸のスズ、鉛又は亜鉛塩が挙げられる。追加の例は、米国特許第4749740号及び欧州特許第0217501号に記載されている。好ましいアルカリ金属水酸化物触媒は、KOHである。反応のより良好な均質性を確実にするために、縮合触媒を、その使用前に水又はアルコールのような適切な溶媒中に溶解することが好ましい。
【0033】
泡制御組成物は、任意選択的に、米国特許第3784479号、米国特許第3984347号、米国特許第4983316号、米国特許第6372830号、米国特許第6512015号、米国特許第7294653号、米国特許第9777121号、及び欧州特許第341952号に記載されているものなどのシリコーンポリエーテルコポリマー(silicone polyether copolymer、SPE)材料と組み合わされ得る。適用可能なシリコーンポリエーテルの市販例としては、DOWSIL(商標)OFX5247流体、DOWSIL(商標)OFX-5329流体、DOWSIL(商標)OFX-5573流体、及びDOWSIL(商標)5290性能調整剤(Performance Modifier)が挙げられる。シリコーンポリエーテルは、直鎖状、ABAタイプ、又はレーキ、かつ好ましくは、部分的に架橋された構造であり得、ポリエーテルラジカルが、炭化水素ラジカル、好ましくは二価の炭化水素ラジカルを介して直鎖状シロキサン鎖に結合したペンダントSiCであり、これらの直鎖状シロキサン鎖は、米国特許出願公開第2003/0013808号に記載されるようなシロキサン架橋を介して互いに接合される。
【0034】
縮合反応混合物の冷却時に、任意選択の成分、例えば、界面活性剤、増粘剤、結合剤、又はキャリアを混合物に添加して、その後の配合又は処理を促進し得る。好適な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、及び両性の種類、又はそのような界面活性剤の混合物を含み得る。好ましくは、非イオン性界面活性剤が使用される。好適な非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪エステル、エトキシ化ソルビタン脂肪エステル、グリセリルエステル、脂肪酸、エトキシレート、アルコールエトキシレート、例えば、(R”’(OCHCHOH)、特に、脂肪アルコールエトキシレート及びオルガノシロキサンポリオキシエチレンコポリマーが挙げられる。脂肪アルコールエトキシレートは、典型的には、ラウリル(C12)、セチル(C16)、及びステアリル(C18)などの約8~約20個の炭素原子を含有する一価脂肪炭化水素残基Rに結合している特徴的な基(OCHCHOHを含有する。「p」の値は1~約100の範囲であり得るが、その値は典型的には、約2~約40、好ましくは2~24の範囲にある。そのような界面活性剤の組み合わせが使用され得る。好適な非イオン性界面活性剤の追加の例としては、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、及びポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルが挙げられる。これら及び他の脂肪アルコールエトキシレートは、市販されており、ALFONICO、BRIJ、GENAPOL(S)、NEODOL、SURFONIC、TERGITOL及びTRYCOLのブランドの界面活性剤が挙げられる。TRITONSとして市販されているエトキシ化オクチルフェノールなどのエトキシ化アルキルフェノールもまた使用され得る。
【0035】
更に別の実施形態では、泡制御組成物は、任意選択的に、好適な界面活性剤(例えば、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキシドなど)、並びに任意選択の増粘剤及びせん断下の水と一緒にそのような構成要素と組み合わせて、水中油型エマルジョンを形成し得る。そのようなエマルジョンを調製するための方法は、周知であり、文献に記載されている。例えば、米国特許第6521586号、及び米国特許第8053480号を参照されたい。主題の泡制御組成物は、濃縮液体、米国特許第8053480号及び米国特許第6656975号に記載されるような自己分散性濃縮配合物として、欧州特許第0636684号、米国特許第6165968号、米国特許出願公開第2013/0309498号、欧州特許第0496510号に記載されるような粒子状若しくは顆粒状の形態として、又は泡制御組成物をもたらすために周知である任意の他の周知の配合物において、提供され得る。
【0036】
本発明の泡制御組成物は、任意の種類の泡制御組成物として、すなわち、脱泡剤及び/又は消泡剤として使用され得る。脱泡剤は一般に泡低減剤と考えられるが、一方消泡剤は一般に泡阻害剤と考えられる。本発明の泡制御組成物は、インク、コーティング、塗料、織物の洗浄、洗濯、及び自動食器洗いを含む洗剤、黒液、並びにパルプ及び紙の製造、廃水処理、織物染色プロセス、天然ガスの洗浄などの様々な媒体において有用性を見出す。水性系を伴うものを含むほとんどの泡制御用途に適用可能であるが、主題の泡制御は、発泡系が、約3未満又は約12超のpHを有するものなどの非常に酸性又は非常に塩基性の水性環境を含むときに、特定の有用性を見出す。これは、高温での非常に酸性又は塩基性の系に対して特に保持される。したがって、例えば、紙パルプ製造で遭遇する非常に厳しい条件下では、水性発泡媒体(Kraft(登録商標)プロセス「黒液」)は、12~14のpH及び50℃~100℃の温度を有し、本発明の泡制御組成物は、米国特許第8053480号に記載されているものを含む先行技術の消泡剤よりも相当に長い期間(すなわち、より高い持続性)の脱泡活性を提供することが見出されている。それらはまた、更なる取り扱い、配合、及び/又は使用を容易にするより低い相対粘度を有する。
【0037】
特に指示がない限り、「粘度」という用語は、ASTM D2196-05に従って回転コーンプレート粘度計(1RPMでのBrookfield DVII、スピンドルCP-52)を使用する、25℃における動的粘度を指し、「分子量」及び「Mw」という用語は、ゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)によって測定した場合の重量平均分子量を指す。
【0038】
本発明の多くの実施形態が記載されており、いくつかの事例では、ある特定の実施形態、選択、範囲、構成要素、又は他の特徴が「好ましい」として特徴付けられている。そのような「好ましい」特徴の指定は、決して本発明の本質的又は重要な態様として解釈されるべきではない。表現された範囲は、具体的に指定された終点を含む。
【実施例
【0039】
特に指示がない限り、すべての調製及び試験を、標準圧力(1気圧又は760mm Hg)において室温(room temperature、RT)で実施した。以下の材料をサンプルの調製に使用した:
シリカ:すべてEvonikからの、Sipernat(商標)D10/1、Aerosil(商標)R972、Sipernat(商標)FK-383、Sipernat(商標)22S、及びAerosil(商標)200。縮合触媒:VWR ChemicalsからのKOH 20%。乳化剤:Crodaからの、Brij(商標)S2及びBrij(商標)S20界面活性剤。増粘剤:Ashlandからの、Keltrol(商標)RD及びCP、並びにNatrosol(商標)250LR。殺生物剤:DupontからのKathon(商標)LXE。シリコーンポリエーテル(SPE1):ASTM D2196-05に従って、12000cPの粘度(2.5RPMでのBrookfield DVII、スピンドルCP-52)を有するDOWSIL(商標)5290性能調整剤。
【0040】
各サンプルの泡組成物、対応するエマルジョン、発泡試験溶液、及び試験プロトコルを調製するための方法論を以下に提供する:
20%の泡制御活性エマルジョンを、以下のように調製する:泡制御組成物の5.4部、及びシリコーンポリエーテルSPE1の0.6部を、Hauschild SpeedMixer(商標)の受け器に入れた。Brij S2界面活性剤の0.56部とBrij 20界面活性剤の0.56部との混合物を、60℃に予熱した。70℃で加熱した後、混合物をHauschild SpeedMixer(商標)中で4500RPMで30秒間混合し、Keltrol RDの0.77部と、Natrosol 250LRの2.36部と、Kathon LXEの0.1部と、水の96.77部との増粘剤混合物の4部を添加し、30秒間の混合の後、更に増粘剤混合物の2.5及び2.9部を段階的に添加し、30秒間混合した。次いで、水の13.5部を添加して、最終的なエマルジョンを形成した。
【0041】
発泡試験溶液:12.5%の固形分を有するFinish Kraft Chemicalパルプミルから得られたサンプリングした針葉樹黒液(SCAN-N 22:96)。
【0042】
泡制御試験プロトコル:一連の泡制御組成物のエマルジョン(20%)を、針葉樹黒液を使用して泡セル中で試験した。この趣旨で、600mlの針葉樹黒液を90℃で予熱し、5cmの内径を有する目盛り付きのサーモスタット制御ガラス円筒中に導入した。この発泡液体を、89℃に調整した温度で循環パイプを通して循環させた。循環流量を、50Hzの周波数で設定されたMDR Johnsonポンプを使用して制御した。30cmの泡の高さに達したとき、試験される泡制御組成物の120μlのエマルジョンを液体ジェット中に注入した。泡の高さの経過をモニタリングし、記録した。泡の高さを、泡制御組成物が、消耗したその容量を有することを可能にする十分な期間にわたってcm単位で測定し、すなわち、28cmの泡の高さに泡セル中で再び達したときに、秒単位(秒)で記録される泡制御組成物の寿命の指標(「持続性(Persistence、P)」)として、これが起きた時間を測定した。
【0043】
実施例1:
ステップD)の実施(すなわち、縮合触媒の存在下でのヒドロシリル化反応生成物とシリコーン樹脂との縮合反応後)の影響を実証するために、2つのサンプル泡制御組成物を、以下に記載されるように実質的に同一の様式で調製したが、しかしながら、比較サンプル1を、ステップD)にはさらさず、一方で、サンプル1を、縮合触媒の存在下でのシリコーン樹脂とヒドロシリル化反応生成物との縮合を伴うステップD)にさらした。サンプルをエマルジョンとして配合し、先に記載されたように発泡試験溶液中で試験した。
【0044】
比較サンプル1:1000cPの粘度を有するトリメチルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンの68.5部と、9000cPの粘度(ASTM D2196-05に従って、2.5RPMでのBrookfield DVII、スピンドルCP-52)を有するジメチルビニルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンの28部との混合物中に、Sipernat D10の3.5部を分散させることによって、泡制御組成物を調製した。そのようなシリカ分散体の350部を、1000cPの粘度(ASTM D2196-05に従って、10RPMでのBrookfield DVII、スピンドルCP-52)を有するトリメチルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンの80部、及び米国特許第3419593号に記載されている方法に従って調製され得る、70重量%のジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ポリジメチルシロキサン中に希釈されたジビニルテトラメチルジシロキサンの塩化白金酸錯体であった触媒の0.34部と混合する。混合物を混合下で均質化し、60℃で加熱し、ここで、ASTM D445に従って(Oswald型キャピラリー粘度計を使用して)約7cPの粘度を有する、ジメチルシロキサン単位とメチル水素シロキサン単位とのトリメチルシロキサン末端ブロック化コポリマーの20%予備希釈物の4.3部、及び1000cPの粘度(ASTM D2196-05に従って、10RPMでのBrookfield DVII、スピンドルCP-52)を有するトリメチルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンにおけるSiH基の0.3%を添加し、混合した。得られるゲル化した混合物を、せん断力下で均質化し、冷却した。
【0045】
サンプル1:ゲル化した混合物を形成し、せん断下で均質化した後、温度を最大100℃に上昇させ、約13,000の分子量及びトリメチルシロキシ末端基を有するシリコーンMQ樹脂の25%混合物と、1000cPの粘度を有する75%のトリメチル末端ブロック化ポリジメチルシロキサンとの15部、並びに水中の20%KOH溶液の1.5部を添加したことを除いて、サンプル1を比較サンプル1と同じ手順を使用して調製した。100℃で2時間混合した後、混合物を冷却した。
【0046】
【表1】
【0047】
上で提示されたデータによって示されるように、ステップD)の適用は、泡制御組成物の粘度の低下に加えて、改善された持続性(P)をもたらした。
【0048】
実施例2:
疎水性シリカ、親水性シリカ、及びそれらの組み合わせの使用の影響を実証するために、一連のサンプル泡制御組成物を、様々な量の親水性シリカをサンプル1で使用された疎水性シリカのうちのすべて又は一部分に置き換えたことを除いて、上記のサンプル1と実質的に同一の様式で調製及び試験した。
【0049】
【表2】
【0050】
上で提示されたデータによって示されるように、疎水性及び親水性シリカ充填剤の組み合わせ(すなわち、サンプル3、4及び5)の使用は、疎水性シリカの唯一の使用(サンプル1)よりも改善された持続性(P)を示し、サンプル3及び4は、親水性シリカの唯一の使用(サンプル6)よりも改善された持続性(P)を示した。
【0051】
実施例3:
ステップD)、すなわち、樹脂とステップC)のせん断されたヒドロシリル化反応生成物との間の縮合反応を実施することの影響を更に実証するために、2つのサンプル泡制御組成物を、以下に記載されるように実質的に同一の様式で調製したが、しかしながら、比較サンプル2では、MQ樹脂をステップBで添加し、続いてステップC(せん断)、かつ最終的に縮合触媒を添加し、一方で、サンプル7では、MQ樹脂及び縮合触媒をステップC(せん断)のヒドロシリル化反応生成物と組み合わせ、次いでステップD)の一部としての縮合反応にさらした。サンプルをエマルジョンとして配合し、先に記載されたように発泡試験溶液中で試験した。
【0052】
比較サンプル2:1000cPの粘度を有するトリメチルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンの68.5部と、9000cPの粘度を有するジメチルビニルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンの28部との混合物中に、疎水性Sipernat D10の3.15部と親水性Sipernat FK383DSの0.35部との混合物を分散させることによって、泡制御組成物を調製した。次いで、この混合物の350部を、1000cPの粘度を有するトリメチルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンの80部、約13,000の分子量及びトリメチルシロキシ末端基を有するシリコーンMQ樹脂の25%混合物と、1000cPの粘度を有する75%のトリメチル末端ブロック化ポリジメチルシロキサンとの15部、並びに触媒(米国特許第3419593号に記載されている方法に従って調製された、70重量%のジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ポリジメチルシロキサン中に希釈されたジビニルテトラメチルジシロキサンの塩化白金酸錯体)の0.34部と組み合わせて、混合した。混合物を混合下で均質化し、60℃で加熱し、約7cPの粘度を有する、ジメチルシロキサン単位とメチル水素シロキサン単位とのトリメチルシロキサン末端ブロック化コポリマーの20%予備希釈物の4.3部、及び1000cPの粘度を有するトリメチルシロキサン末端ブロック化ポリジメチルシロキサンにおけるSiH基の0.3%を添加し、混合して、せん断下(ステップC)で均質化した。次いで、混合物を100℃に加熱し、水中の20%KOH溶液の1.5部を添加した。100℃で2時間混合した後、混合物を冷却した。
【0053】
サンプル7:ステップC)(せん断)後に添加されたMQ樹脂及び縮合触媒(KOH)を除いて、比較サンプル2と同じ方法論を使用して(同じ樹脂及び縮合触媒(KOH)を使用して)サンプル7を調製した。
【0054】
【表3】
【0055】
上で提示されたデータによって示されるように、泡制御組成物中のシリコーン樹脂の単なる包含は、ステップC)の一部として添加されたときのような優れた持続性を、提供しなかった。
【0056】
実施例4:
ステップD)の実施(すなわち、縮合触媒の存在下でのヒドロシリル化反応生成物とシリコーン樹脂との縮合反応後)の影響を実証するために、一連のサンプル泡制御組成物を、以下に記載されるように実質的に同一の様式で調製し、次いでエマルジョンとして配合し、先に記載されたように発泡試験溶液中で試験した。
【0057】
比較サンプル3:疎水性シリカSipernat D10(B1)と親水性シリカSipernat 22S(L2)との混合物(90:10重量%)を使用したことを除いて、比較サンプル3を比較サンプル1と同じ方法論を使用して調製した。
【0058】
サンプル8:ゲル化した混合物を形成し、せん断力下で均質化した後、混合物を100℃に加熱し、約13,000の分子量及びトリメチルシロキシ末端基を有するシリコーンMQ樹脂の25%混合物と、1000cPの粘度を有する75%のトリメチル末端ブロック化ポリジメチルシロキサンとの15部、並びに水中の20%KOH溶液の1.5部を添加したことを除いて、サンプル8を比較サンプル3と同じ方法論を使用して調製した。100℃で2時間混合した後、混合物を冷却した。
【0059】
比較サンプル4:疎水性シリカAerosil R972(B2)と親水性シリカAerosil 200(L3)との混合物(90:10重量%)を使用したことを除いて、比較サンプル4を比較サンプル1と同じ方法論に従って調製した。
【0060】
サンプル9:ゲル化した混合物を形成し、せん断下で均質化した後、次いで100℃に加熱し、約13,000の分子量及びトリメチルシロキシ末端基を有するシリコーンMQ樹脂の25%混合物と、1000cPの粘度を有する75%のトリメチル末端ブロック化ポリジメチルシロキサンとの15部、並びに水中の20%KOH溶液の1.5部を添加することを除いて、サンプル9を比較サンプル4と同じ方法論に従って調製した。100℃で2時間混合した後、混合物を冷却した。
【0061】
【表4】
【0062】
上で提示されたデータによって示されるように、ステップDの適用は、泡制御組成物の粘度の劇的な低下に加えて、改善された持続性(P)をもたらした。