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  • 特許-合成燃料の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】合成燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/00 20060101AFI20230711BHJP
   C10J 3/02 20060101ALI20230711BHJP
   C10K 1/08 20060101ALI20230711BHJP
   C10K 3/02 20060101ALI20230711BHJP
   C10G 2/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C10J3/00 F
C10J3/02 J
C10K1/08
C10K3/02
C10G2/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022560974
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021058754
(87)【国際公開番号】W WO2021204708
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】63/007,920
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2006826.8
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522353369
【氏名又は名称】ヴェロシーズ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーガー、イヴァン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ロジャー アレン
(72)【発明者】
【氏名】キング、ニール アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】デシュムク、ソーミトラ アール.
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ジーヤン
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-208297(JP,A)
【文献】特開2011-068891(JP,A)
【文献】特表2014-533646(JP,A)
【文献】特開2005-139443(JP,A)
【文献】特開2013-199647(JP,A)
【文献】特開2020-055946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
C10G 2/00
C10K 1/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化して、H、CO、CO、少なくともCH及びタールを含む、少なくとも1つの他の炭素質材料、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質、を含む原料合成ガスを生成すること、
b.前記原料合成ガスの少なくとも一部を、水流が供給される一次浄化ゾーンに供給して、原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを少なくとも部分的に洗い流し、ここで、前記水流は、アンモニアが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗された原料合成ガスを提供すること、
c.前記水洗された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
d.前記二次浄化ゾーン内の前記水洗された原料合成ガスを、硫黄材料用に有効な物理溶媒と接触させ、前記水洗された原料合成ガスから硫黄材料を少なくとも部分的に吸収すること、並びに、H、CO及びCOを含む、少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを前記二次浄化ゾーンから回収すること、
e.前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
f.前記三次浄化ゾーン内の前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを、CO用に有効な物理溶媒と接触させ、前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスからCOを少なくとも部分的に吸収すること、並びに、前記三次浄化ゾーンから、前記CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
g.前記吸収されたCOの少なくとも一部を溶媒再生段階で前記第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること
h.前記第2の流れの前記清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して、合成燃料を生成すること
を含む、方法。
【請求項2】
工程a)からの前記原料合成ガスを部分酸化して、H、CO、CO、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質、を含む部分酸化された原料合成ガスを提供することと、前記部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を工程b)の前記一次浄化ゾーンに供給することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)からの前記原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、前記原料合成ガスのH対CO比を選択された比にシフトして、H、CO及びCO、並びに硫黄ガスを含む汚染物質を含むシフトされた原料合成ガスを提供することと、本方法中の前記シフトされた原料合成ガスを工程c)の前記二次浄化ゾーンに供給することとを含む、求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シフトされた原料合成ガスを工程b)からの前記原料合成ガスの第2の部分と再結合した後、本方法中の前記結合された流れを工程c)の前記二次浄化ゾーンに供給することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程d)からの前記原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、前記原料合成ガスの前記H対CO比を選択された比にシフトして、H、CO及びCOを含むシフトされた原料合成ガスを提供することと、本方法中の前記シフトされた原料合成ガスを工程e)の前記三次浄化ゾーンに供給することとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記シフトされた原料合成ガスを工程d)からの前記原料合成ガスの第2の部分と再結合した後、本方法中の前記結合された流れを工程e)の前記三次浄化ゾーンに供給することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素質供給原料が、木質バイオマス、市民(municipal)固形廃棄物並びに/若しくは商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含み、前記供給原料の水分含有量が、下流のプロセスから得られた蒸気の少なくとも一部で乾燥させることによるガス化の前に、20%w/w未満、好ましくは15%w/w未満、最も好ましくは10%w/w未満に低減される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
バイオマス又は廃棄物ボイラを使用して高圧蒸気及び電力を生成することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び/又は二酸化炭素不純物の除去が低蒸気物理吸収法である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
上流及び/又は下流のプロセスで使用するために、前記低蒸気物理吸収法から得られた前記蒸気の少なくとも一部を使用することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記上流のプロセスが、前記炭素質供給原料を乾燥させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記回収された純粋な二酸化炭素の少なくとも一部が隔離されるか、又は現場外若しくは現場で使用され、上流及び/又は下流のプロセスである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記純粋な二酸化炭素が、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%純粋である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記脱硫されたガスの少なくとも一部が、水性ガスシフト反応を受けて、シフトされた合成ガスを生成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記シフトされた合成が、シフトされていないガスと再結合されて、2.00±0.4の水素対一酸化炭素比を有する合成ガスを生成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記合成燃料が、前記脱硫又はシフトされた合成ガスの少なくとも一部をフィッシャー・トロプシュ合成ユニット内でフィッシャー・トロプシュ反応条件に供することによって製造される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記フィッシャー・トロプシュ合成ユニットが、前記脱硫又はシフトされた合成ガスを液体炭化水素に変換する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体炭化水素が前記合成燃料にアップグレードされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体炭化水素の少なくとも一部が、前記合成燃料を製造するために、水素化加工、生成物分別、水素化分解及び/又は異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記合成燃料が合成パラフィン灯油及び/又はディーゼル及び/又はナフサを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記合成パラフィン灯油及び/又はディーゼル及び/又はナフサが輸送燃料に使用される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、この種の従来の方法と比較して方法の炭素強度を低下させる様式で、廃棄物及び/又はバイオマスから有用な生成物、例えば合成燃料を製造するための化学工学的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物及び/又はバイオマスから合成燃料などの有用な生成物を製造することは、当技術分野で広く知られている。本発明者らは、WTL(Waste-to-Liquids)法及びBTL(Biomass-to-Liquids)法などの製造方法を参照する場合がある。
【0003】
典型的なWTL法及びBTL法は、有用な生成物を生成するために化学反応トレインに入る前に様々な方法で処理及び精製されてもよい原料合成ガスを生成するための廃棄物又はバイオマス供給原料の水蒸気改質によるガス化を含む。
【0004】
有用な生成物が合成燃料(例えば、ドロップイン合成燃料)である場合、化学反応トレインは、典型的にはフィッシャー・トロプシュ(FT)反応器を含む。FT法は、一酸化炭素及び水素から燃料を生成するために広く使用されており、以下の式で表すことができる。
(2n+1)H+nCO→C2n+2+nH
【0005】
炭素強度(CIとしても知られる)は、方法によって生成された(又は方法の生成物から生成可能な)エネルギーのメガジュール当たりの放出されるCO当量のグラムとして表されることが多い、その方法の有形の結果に対する産業的方法によって使用されるか又はその方法から放出される炭素の量の尺度である。
【0006】
「炭素強度」又は「CI」という用語は、全体的なライフサイクル評価、例えば森林からテールパイプに基づくモデルに従って解釈されてもよい。例えば、GREET、すなわち、アルゴンヌ国立研究所(ANL)で開発された公的に利用可能なスプレッドシートモデル、又はカリフォルニア低炭素燃料基準(LCFS)の下でのGHG排出量を計算するために使用されるアルゴンヌ国立研究所のGREETライフサイクルモデルのカリフォルニア固有のバージョンは、CA-GREETバージョン3.0(ティア1)モデルである。NNFCC Ltd、Biocentre、York Science Park、Innovation Way、York、YO10 5NY英国によって公開されているBiomethane&Biogas Carbon Calculatorなどの他の適切なモデルが利用可能である。炭素強度は、方法の全体的なエネルギー効率の尺度を提供する。炭素強度は、例えば、製造された燃料のMJ当たりに相当するCOのグラムに換算して理解してもよい。
【0007】
より環境的に有益な方法を提供するために、廃棄物及び/又はバイオマスから有用な生成物、例えば合成燃料を製造するための化学工学的方法において炭素強度を低下させることが望ましいであろう。米国における現在の環境基準の目標は、RIN(再生可能識別番号)の資格を得るためにWTL法又はBTL法で製造された先進バイオ燃料について、温室効果ガス排出量(燃料のgCO-eq/MJとして測定)の60%以上の削減が、精製所由来の燃料のベースラインと比較して達成されることである。運転上、任意の所与の合成燃料製造経路の温室効果ガス排出量を少なくとも65%削減することが望ましいであろう。
【0008】
燃料製造における炭素強度を低下させる問題は、当該技術分野においてある程度対処されてきた。
【0009】
例えば、国際公開第2015042315号パンフレットは、燃料の炭素排出強度を低下させる方法であって、第1の炭化水素流体生成プロセスから二酸化炭素流体を捕捉することと、捕捉された二酸化炭素を、ゾーンからの第2の炭化水素流体の生成を促進すると言われている1つ以上の坑井から地下ゾーンに注入することとを含み、第1又は第2の炭化水素流体のうちの少なくとも1つは、捕捉され注入されたCO流体に少なくとも部分的に基づく低炭素強度燃料を含む炭化水素燃料に加工可能であると言われている方法を開示している。
【0010】
国際公開第2013009419号パンフレットは、様々なバイオオイルを石油ベースの重質残留燃料油及び留出物とブレンドすることから誘導される低硫黄バンカー燃料組成物であって、最終硫黄含有量及び炭素強度は、バイオオイルと他の重質残留燃料油及び留出物との比によって制御される組成物を開示している。
【0011】
今日まで、他の点で満足のいくWTL法又はBTL法において炭素強度をどのように低下させる可能性があるかについてはほとんど考慮されていないようである。
【0012】
WTL法及びBTL法は、当技術分野で非常によく知られている。
【0013】
例えば、欧州特許第2350233(A1)号明細書は、固体バイオマスから液体炭化水素質生成物を製造する方法であって、固体バイオマスをガス化して原料合成ガスを製造することと、原料合成ガスを調整して精製合成ガスを得ることと、精製ガスをフィッシャー・トロプシュ合成に供することとを含む方法に関する。
【0014】
国際公開第2018026388号パンフレットは、1つ以上の炭素含有供給原料、例えばプラスチック、農業残渣及び森林修復木材を炭化水素に変換することを記載している。
【0015】
いくつかの先行技術のWTL法及びBTL法は、環境上の懸念に対処しようとしてきた。
【0016】
例えば、国際公開第2017011025(A1)号パンフレット及び国際公開第2017039741(A1)号パンフレットは、市民(municipal)固形廃棄物(MSW)に由来する高生物起源炭素濃度フィッシャー・トロプシュ(F-T)液体、及び再生可能な有機供給原料源に由来する高生物起源含有量燃料を製造するためのシステムを開示している。
【0017】
他の先行技術文献では、製造方法において二酸化炭素を回収する方法が検討されている。例えば、国際公開第2016178915号パンフレットは、イオン輸送膜によって供給される酸素の使用による炭化水素及び酸素化炭化水素の形成を含む方法を開示している。この文献は、部分的には、水蒸気改質及びその後の合成生成物の製造を含む方法であって、方法の下流の二酸化炭素及び/又は水素が再生されて合成生成物が生成される方法に関する。
【0018】
米国特許出願公開第20110000366(A1)号明細書は、重油、石油コークス若しくは廃棄物の部分酸化において、又は石炭のガス化において原料ガスから純粋な合成ガスを製造する際に得られる、プロセスガスのCO含有流の処理方法、又は天然ガス若しくは付随する天然ガスを処理する際に、COを物理吸着的若しくは化学吸着的に除去し、COを担持した溶媒をCOの脱着のために低圧に膨張させる方法を記載している。可能な限り純粋なCOを生成するために、汚染されたCOは少なくとも60バール[a]又はその臨界温度未満で少なくとも70バール[a]に凝縮され、液体COに含まれる不純物は、向流で誘導されるガス状COでストリッピングすることによって除去される。
【0019】
欧州特許第0629685号明細書は、合成ガス、還元ガス又は燃料ガスとして使用するための、粒子状物質、アンモニア、ハロゲン化物、アルカリ金属化合物及び硫黄含有ガスを実質的に含まない高温清浄ガスの流れを製造するための部分酸化法を記載している。
【0020】
米国特許第3540867号明細書は、固体炭素質燃料からの一酸化炭素及び/又は水素に富むガスの、蒸留又は蒸気及び酸素でのガス化による製造、前記蒸留又はガス化からの高温の原料ガスを約180℃を超える温度に冷却してダスト及び凝縮性材料を除去すること、前記ガスを蒸気濃縮で加熱し、酸素をそれに添加し、前記ガス流-酸素混合物を開裂触媒上で約700℃を超える温度に開裂させること、シフト反応において、その中に含まれる一酸化炭素を蒸気で変換して、又は変換せずに、前記開裂からのガスを冷却し、前記冷却されたガスからCO、HS及びNHを除去することを記載している。
【0021】
中国特許第105505480号明細書は、コークス炉ガスに適用可能な脱硫精製システムを記載している。
【0022】
JP2015013940は、ガス精製設備及び統合石炭ガス化複合サイクル設備を記載している。
【0023】
米国特許第4073862号明細書は、コークス炉ガスなどのガスからアンモニア、硫化水素及びシアン化水素酸を除去する方法を記載している。
【0024】
米国特許第4810417号明細書は、最初に低温でH2S洗浄に供される石炭ガス化の粗ガスから生じるメタノール合成ガス及びアンモニア合成ガスの同時製造のための方法を記載している。
【0025】
米国特許第5470361号明細書は、市民廃棄物のガス化の方法であって、約20mm片サイズのプラスチック廃棄物片を圧縮し、40~80バールの圧力で230℃~300℃の温度まで加熱して、HCl含有ガスと、3000mg/kg未満のHClを含有するプラスチック廃棄物とを生成し、生成されたHCl含有ガスを水で洗浄して塩酸溶液を生成する方法を記載している。
【0026】
これらの文献のいずれも、他の点で機能的なWTL法又はBTL法において炭素強度を低下させるための満足のいく手段を提供していないと思われる。
【0027】
本発明の目的は、廃棄物及び/又はバイオマスから合成燃料などの有用な生成物を製造するための改善された方法であって、従来のそのような方法と比較して方法の炭素強度が低下した方法を提供することである。
【発明の概要】
【0028】
本発明の第1の態様では、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化して、H、CO、CO、少なくともCH及びタールを含む少なくとも1つの他の炭素質材料、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質、を含む原料合成ガスを生成すること、
b.前記原料合成ガスの少なくとも一部を、水流が供給される一次浄化ゾーンに供給して、原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを少なくとも部分的に洗い流し、ここで、前記水流は、アンモニアが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗された原料合成ガスを提供すること、
c.前記水洗された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
d.前記二次浄化ゾーン内の前記水洗された原料合成ガスを、硫黄材料用に有効な物理溶媒と接触させ、前記水洗された原料合成ガスから硫黄材料を少なくとも部分的に吸収すること、並びに、H、CO及びCOを含む、少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを前記二次浄化ゾーンから回収すること、
e.前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
f.前記三次浄化ゾーン内の前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを、CO用に有効な物理溶媒と接触させ、前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスからCOを少なくとも部分的に吸収すること、並びに、前記三次浄化ゾーンから、前記CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
g.前記吸収されたCOの少なくとも一部を溶媒再生段階で前記第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、並びに
h.前記第2の流れの前記清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して、合成燃料を生成すること
を含む方法が提供される。
【0029】
また、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化して、H、CO、CO、少なくともCH及びタールを含む少なくとも1つの他の炭素質材料、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含み、任意選択的にNなどの不活性ガスを含む原料合成ガスを生成すること、
b.原料合成ガスの少なくとも一部を、原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを洗い流すための水流が少なくとも部分的に供給される一次浄化ゾーンに供給して、ここで、水流は、アンモニアが原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗された原料合成ガスを提供すること、
c.水洗された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
d.二次浄化ゾーン内の水洗された原料合成ガスを、水洗された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを回収すること、
e.少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
f.三次浄化ゾーン内の少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを、少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスからCOを吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
g.溶媒再生段階で吸収されたCOの少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、
h.第2の流れの清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して合成燃料を生成すること
を含む方法も提供される。
【0030】
工程dにおける物理溶媒の使用によって節約された蒸気は、エネルギー消費をさらに低減するためにプラントの他の部分で使用されてもよい。例えば、供給原料の乾燥、異なるユニットでのプロセス流の加熱、及び熱追跡。
【0031】
ガス化段階から回収された原料合成ガスは、部分酸化による浄化の前に少なくとも部分的に脱タールされてもよい。したがって、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化して、H、CO、CO、少なくともCH及びタールを含む少なくとも1つの他の炭素質材料、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含み、任意選択的にNなどの不活性ガスを含む原料合成ガスを生成すること、
b.原料合成ガスを部分酸化して、H、CO、CO、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
c.任意選択的に、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、部分酸化された原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを洗い流すための水流が少なくとも部分的に供給される一次浄化ゾーンに圧縮及び供給して、ここで、水流は、アンモニアが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
d.水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
e.二次浄化ゾーン内の水洗、部分酸化された原料合成ガスを、水洗、部分酸化された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
f.少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
g.三次浄化ゾーン内の少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスからCOを吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
h.溶媒再生段階で吸収されたCOの少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、
i.第2の流れの清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して合成燃料を生成すること
を含む方法も本明細書において提供される。
【0032】
本発明の方法は、相互に関連するいくつかの方法で、他の点で実用的なWTL法又はBTL法の炭素強度を低下させる。
【0033】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、本発明による方法が、当技術分野における従来の方法よりも優れた、炭素強度を低下させるための効果的な方法を提供することを見出した。これは、本発明の方法が、天然ガス消費及び/若しくは設備への電力導入を低減し、かつ/又は上流段階で使用するために下流のプロセスからの節約された蒸気を利用するためである。したがって、本発明による方法は、従来の方法よりも環境に優しい。
【0034】
例えば、本発明で回収される二酸化炭素は、当技術分野の方法を使用して生成される二酸化炭素よりも純粋である。したがって、下流での追加の浄化プロセスは、本発明では必要とされない。さらに、回収された純粋な二酸化炭素は、隔離又は商業化のために直接使用することができる。これは炭素強度に大きな影響を与える。
【0035】
さらに、物理吸収によるガス浄化は、物理吸収溶媒の冷凍の必要性のために代替の化学吸着法よりもエネルギー集約的であるが、設備全体にわたって評価すると、驚くべきことに、設備全体の電力導入が低減することが分かった。これは、少なくとも部分的には、化学溶媒の再生に必要な蒸気の量が、物理溶媒に必要な蒸気の量よりも少なくとも約1桁大きいためである。したがって、設備全体で必要とされる蒸気の量が減少する。より低い蒸気要件は、蒸気を生成するために必要な天然ガス導入(又は他の燃料源又はエネルギー源)を低減させる。さらに、供給原料の乾燥のために、いくらかの低圧蒸気も利用可能である場合がある。
【0036】
したがって、本発明の方法は、ガス浄化のためのよりエネルギー集約的なサブプロセスを選択するが、設備の全体的な電力要件はより低く、それによって炭素強度スコアを低下させるのに役立つ。
【0037】
炭素質供給原料は、木質バイオマス、市民固形廃棄物並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。炭素質供給原料は、使用される供給原料の供給源及び化学的性質に依存する変動する組成特性を有する。
【0038】
本発明による方法は、環境を汚染する埋立て又は廃棄物がほとんど又は全くないことを確実にする可能性がある。さらに、本発明の方法は多種多様な供給原料を取り扱う能力を有するので、本発明による方法を使用するときの燃料要件によって生じる土地利用の変化はない。
【0039】
リサイクル不可能な廃棄物は、従来、埋立て又は焼却に送られ、木質バイオマスは、従来、林床に残され、かつ/又は山火事に寄与する可能性がある。本発明による方法は、焼却又は埋立てよりも廃棄物を処理するためのより低い排出経路を提供する。燃焼される代わりに、炭素廃棄物は、航空機又は車両で使用するための持続可能な燃料などの有用な生成物に変換されてもよい。
【0040】
原料合成ガスから硫黄及び二酸化炭素(酸性ガス)を除去するための物理溶媒の使用は、物理溶媒の冷凍要件のために、二酸化炭素を除去するためのアミン洗浄及び硫黄を除去するための液体レドックス化学などの当技術分野で広く教示されている従来の化学的除去方法と比較して、より大きな電力導入を必要とする比較的エネルギー集約的な方法である。しかしながら、酸性ガス除去のための従来の化学プロセスを動作させるプラントにおける蒸気要件は、物理吸収によって酸性ガス除去を行うための本発明の方法に従って動作するプラントの蒸気要件よりも少なくとも2桁高い。このより低い蒸気要件は、蒸気生成のためのエネルギー要件を低減し、したがってプロセス/設備全体のエネルギー消費を低減する。原料合成ガスから物理吸着的に硫黄及び二酸化炭素を除去することにより、本発明の方法は、設備の正味のエネルギー消費(天然ガス及び電力導入)を低減させ、それにより、従来の方法と比較して炭素強度を低下させる。
【0041】
第2に、さらなる反応トレインがフィッシャー・トロプシュ反応トレインである本発明による方法に関連する本発明の詳細な説明において以下に説明するように、化学的酸性ガス除去段階とは対照的に、物理的酸性ガス除去段階の使用の結果としてプラントで利用可能な「節約された蒸気」は、エネルギー消費を低減するためにプラントの他の部分でさらに使用されてもよい。一般に、LP(低圧)レベルで利用可能な蒸気は、乾燥した供給原料をガス化装置に供給する前にバイオマス又は廃棄物ボイラ内の供給原料を乾燥させるために使用されてもよく、かつ/又は空気分離ユニット内の酸素加熱器で使用されてもよく、かつ/又はプロセス段階の1つ以上に供給流を予熱するために使用されてもよい。さらなるLP蒸気が利用可能である場合、それをLLPヘッダまで下げ、ガードベッド(複数可)の加熱、並びに/又はアップグレーディング区間、並びに/又は廃水ストリッピング区間(例えば、廃水リボイラ)、並びに/又は燃料システム(例えば、天然ガス加熱器)、並びに/又は脱気器、並びに/又は中間若しくは化学貯蔵タンクの加熱及び追跡に使用してもよい。
【0042】
本発明者らは、特にバイオマス又は湿った廃棄物供給原料を使用する場合、ガス化前に炭素質供給原料を乾燥させることが炭素強度の低下に寄与することを見出した。炭素質供給原料の乾燥は、プロセス反応を加熱するための(ガス化及び部分酸化ユニットにおける)燃焼熱の利用率を最大化するので、プロセスの開始時にガス化装置に入る必要がある蒸気の必要量を低減させる。さらに、乾燥は、供給原料の燃料密度(より小さい貯蔵を容易にする)及び発熱量を増加させる。蒸気又は液体水がガス化装置内に存在する場合、(燃料と酸素との燃焼によって生成された)追加の熱が、エネルギーを犠牲にして補償するために必要となる。したがって、ガス化の前に供給原料を乾燥させることにより、酸素補償の必要性が克服される。酸素は高価であるため、ガス化前の供給原料の乾燥は、プロセス全体のコストを削減する。
【0043】
炭素質供給原料を乾燥させると、重量基準で約20%未満、約15%未満又は約10%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる場合がある。好ましくは、炭素質供給原料は、重量基準で約10%未満の水分含有量を有する。
【0044】
上述の下流のプロセスから得られた、又は「節約された」蒸気を使用して、炭素質供給原料を乾燥させてもよい。
【0045】
供給原料は、炭素質供給原料をバイオマス又は廃棄物ボイラに供給する前に、供給原料乾燥機によって乾燥させてもよい。非限定的な例として、乾燥機は、回転管乾燥機又はベルト乾燥機であってもよい。
【0046】
従来の方法は、典型的には、バイオマス又は廃棄物供給原料を乾燥させるために乾燥機を使用する。従来、乾燥機は、天然ガス及び/又は他の形態の電力の巨大な消費者であり、炭素強度の観点から望ましくない。したがって、方法の炭素強度を低減するために使用される天然ガス及び/又は電力の量を低減することが望ましい。
【0047】
本発明者らは、予想外にも、低蒸気物理吸収法などの下流のプロセスから得られた蒸気の少なくとも一部を使用することが、炭素強度を低下させるのに有利であることを見出した。そうでなければ原料合成ガスを洗浄するために使用されることになる低蒸気物理吸収法から得られた蒸気は、バイオマス又は廃棄物ボイラに供給する前に供給原料を乾燥させるのを助けるためにリサイクル及び使用されてもよい。この炭素強度の低下は、エネルギー使用の全体的な削減を実現するよりエネルギー集約的な物理吸収法を選択することによって、供給原料の乾燥を支援するために、新鮮な蒸気及び/又は天然ガスを乾燥機に供給する必要性を実質的に低減又は排除することによって達成された。これにより、当該技術分野における従来の方法よりも環境に優しい方法となる。
【0048】
炭素質供給原料を乾燥させるための他の好適な乾燥オプションには、補助的な太陽光発電、天然ガス、電気乾燥機及び/又はマイクロ波乾燥機の使用が含まれる場合がある。特定の場合には、バイオマス及び/又は廃棄物供給原料を燃焼させて、乾燥機内で必要な熱を発生させてもよい。
【0049】
乾燥廃棄物が炭素質供給原料源として使用される場合、供給原料は、ガス化ゾーンに入る前に乾燥する必要がない場合がある。乾燥廃棄物は、適切な選択及び粉砕後にガス化装置に直接供給してもよい。
【0050】
したがって、本発明の方法は、任意選択的に、供給原料を例えば10%w/w未満の水分含有量まで乾燥させるガス化前の工程を含んでもよい。この工程は、ガス化の前に供給原料を乾燥させるためにプラントで利用可能な低圧蒸気を供給されるバイオマス又は廃棄物乾燥機で行われてもよい。
【0051】
廃棄物又はバイオマスに由来するすべての炭素質供給原料をガス化の前に乾燥させる必要があるわけではない。供給原料の水分含有量が既に例えば10%w/w未満である場合、そのような供給原料を乾燥させる必要はない場合がある。しかしながら、運転中のWTL又はBTLプラントでは、入ってくる供給原料は、水分に関するものを含めて、可変組成である可能性が高い。供給原料が例えば10%w/wを超える水分を含む場合、供給原料を例えば10%w/w未満の水分含有量まで乾燥させることが望ましい。供給原料と共にガス化装置に供給される過剰な水分は、ガス化装置に供給される酸素の形態でより多くの電力をガス化装置に必要とさせる。このような乾燥は、上述したように、いくつかの方法で行ってもよい。
【0052】
本発明の方法では、ガス化段階は、低圧又は高圧で行われてもよい。「低圧」とは、約5バール未満を意味する。「高圧」とは、約5バール超、例えば約10バール超を意味する。高圧ガス化が使用される場合、炭素強度にとって有益な結果は、一次浄化段階に入る際に合成ガスの圧縮が必要とされないことである。
【0053】
本発明の方法は、最終的にさらなる反応トレインに供給される合成ガスの水素対一酸化炭素比を調整する目的で、シフト反応又は調整段階を任意選択的に含んでもよい。
【0054】
したがって、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料を提供すること、
b.炭素質供給原料をガス化ゾーンに供給すること、
c.蒸気供給源を提供し、蒸気をガス化ゾーンに供給すること、
d.ガス化ゾーンの温度を、ガス化ゾーン内の炭素質供給原料のガス化に有効な温度まで上昇させること、
e.H、CO、CO、少なくともCHを含む少なくとも1つの他の炭素質材料、及び微粒子、アンモニア又はHCl、硫黄ガスを含む汚染物質を含み、任意選択的にNなどの不活性ガスを含む原料合成ガスを生成するのに有効なガス化ゾーン内の蒸気と炭素質供給原料を接触させること、
f.ガス化ゾーンから原料合成ガスを回収すること、
g.原料合成ガスの少なくとも一部を高温に維持された部分酸化ゾーンに供給すること、
h.少なくとも1つの他の炭素質材料を酸化して、H、CO、CO、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む部分酸化された原料合成ガスを提供するのに少なくとも部分的に有効な部分酸化ゾーン内の酸素含有ガスと原料合成ガスを接触させること、
i.部分酸化ゾーンから部分酸化された合成ガスを回収すること、
j.部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、部分酸化された原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを洗い流すための水流が少なくとも部分的に供給される一次浄化ゾーンに供給して、ここで、水流は、アンモニアが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
k.水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
l.二次浄化ゾーン内の水洗、部分酸化された原料合成ガスを、水洗、部分酸化された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
m.少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスのH対CO比を選択された比にシフトして、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む、シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
n.シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、任意選択的に、工程mからの少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの任意の残りの部分の少なくとも一部と再結合した後に、三次浄化ゾーンに供給すること、
o.シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、任意選択的に、工程mからの少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの任意の残りの部分の少なくとも一部と再結合した後に、三次浄化ゾーン内で、シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスからCOを吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
p.溶媒再生段階で吸収されたCOの少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、
q.第2の流れの清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して合成燃料を生成すること
を含む方法も本明細書において提供される。
【0055】
シフト段階は、二次浄化段階の後ではなく前に行われてもよい(例えば、ガスシフトが水性ガスシフトである場合、及び)硫黄耐性水性ガスシフト触媒が水性ガスシフト反応ゾーンで使用される場合)。したがって、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料を提供すること、
b.炭素質供給原料をガス化ゾーンに供給すること、
c.蒸気供給源を提供し、蒸気をガス化ゾーンに供給すること、
d.ガス化ゾーンの温度を、ガス化ゾーン内の炭素質供給原料のガス化に有効な温度まで上昇させるための手段を提供すること、
e.H、CO、CO、少なくともCHを含む少なくとも1つの他の炭素質材料、及び微粒子、アンモニア又はHCl、硫黄ガスを含む汚染物質を含み、任意選択的にNなどの不活性ガスを含む原料合成ガスを生成するのに有効なガス化ゾーン内の蒸気と炭素質供給原料を接触させること、
f.ガス化ゾーンから原料合成ガスを回収すること、
g.原料合成ガスの少なくとも一部を高温に維持された部分酸化ゾーンに供給すること、
h.少なくとも1つの他の炭素質材料を酸化して、H、CO、CO、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む部分酸化された原料合成ガスを提供するのに少なくとも部分的に有効な部分酸化ゾーン内の酸素含有ガスと原料合成ガスを接触させること、
i.部分酸化ゾーンから部分酸化された合成ガスを回収すること、
j.部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、部分酸化された原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを洗い流すための水流が少なくとも部分的に供給される一次浄化ゾーンに供給して、ここで、水流は、アンモニアが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
k.水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、水洗、部分酸化された原料合成ガスのH対CO比を選択された比にシフトして、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
l.シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、任意選択的に、工程jからの水洗、部分酸化された原料合成ガスの任意の残りの部分の少なくとも一部と再結合した後に、二次浄化ゾーンに供給すること、
m.二次浄化ゾーン内のシフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
n.少なくとも部分的に脱硫、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
o.三次浄化ゾーン内の少なくとも部分的に脱硫、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスからCOを吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
p.溶媒再生段階で吸収されたCOの少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、
q.第2の流れの清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して合成燃料を生成すること
を含む方法も本明細書において提供される。
【0056】
シフト反応又は調整ゾーンは、水性ガスシフト反応ゾーンであってもよい。あるいは、方法の炭素強度に許容できないほど負に寄与しない状況で水素が容易に利用可能である場合(例えば、「グリーン」又は「ブルー」水素が容易に利用可能な場合)、シフト反応又は調整ゾーンは、場合によっては、水素流(好ましくは、「グリーン」又は「ブルー」水素流)が少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガス又は水洗、部分酸化された原料合成ガスと組み合わされる調整ゾーンであってもよい。
【0057】
上記において、「グリーン水素」とは、風力又は太陽光などの再生可能エネルギーを使用した水の電気分解から得られる水素を意味する。
【0058】
上記において、「ブルー水素」とは、通常は水蒸気改質を介して、関連する炭素回収貯留で天然ガスから生成される水素を意味する。
【0059】
部分酸化は、ガス化ゾーンで行われてもよい。また、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料を提供すること、
b.炭素質供給原料をガス化及び部分酸化ゾーンに供給すること、
c.蒸気供給源及び酸素含有ガス供給源を提供し、蒸気及び酸素含有ガスをガス化及び部分酸化ゾーンに供給すること、
d.ガス化及び部分酸化ゾーンの温度を、ガス化ゾーン内の炭素質供給原料のガス化及び部分酸化に有効な温度まで上昇させること、
e.H、CO、CO、及び微粒子、アンモニア又はHCl、硫黄ガスを含む汚染物質を含み、任意選択的にNなどの不活性ガスを含む部分酸化された原料合成ガスを生成するのに有効なガス化ゾーン内の蒸気及び酸素含有ガスと炭素質供給原料を接触させること、
f.ガス化及び部分酸化ゾーンから部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
g.部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、部分酸化された原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを少なくとも部分的に洗い流すための水流が供給される一次浄化ゾーンに供給して、ここで、水流は、アンモニアが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
h.水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
i.二次浄化ゾーン内の水洗、部分酸化された原料合成ガスを、水洗、部分酸化された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
j.少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも第1の部分を水性ガスシフト反応ゾーンに供給し、少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスのH対CO比を選択された比にシフトして、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む、シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
k.シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、任意選択的に、工程iからの少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの任意の残りの部分の少なくとも一部と再結合した後に、三次浄化ゾーンに供給すること、
l.シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、任意選択的に、工程kからの少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの任意の残りの部分の少なくとも一部と再結合した後に、三次浄化ゾーン内で、シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスからCOを吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
m.溶媒再生段階で吸収されたCOの少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、
n.第2の流れの清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して少なくとも合成燃料を生成すること
を含む方法も本明細書において提供される。
【0060】
また、ガス化及び部分酸化のための単一の容器を含む本明細書に開示される方法では、シフト又は調整段階は、二次浄化段階の後ではなく前に行われてもよい(例えば、水性ガスシフト反応段階の場合、硫黄耐性水性ガスシフト触媒が水性ガスシフト反応ゾーンで使用される場合)。
【0061】
したがって、合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料を提供すること、
b.炭素質供給原料をガス化及び部分酸化ゾーンに供給すること、
c.蒸気供給源及び酸素含有ガス供給源を提供し、蒸気及び酸素含有ガスをガス化及び部分酸化ゾーンに供給すること、
d.ガス化及び部分酸化ゾーンの温度を、ガス化ゾーン内の炭素質供給原料のガス化及び部分酸化に有効な温度まで上昇させること、
e.H、CO、CO、及び微粒子、アンモニア又はHCl、硫黄ガスを含む汚染物質を含み、任意選択的にNなどの不活性ガスを含む部分酸化された原料合成ガスを生成するのに有効なガス化ゾーン内の蒸気及び酸素含有ガスと炭素質供給原料を接触させること、
f.ガス化及び部分酸化ゾーンから部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
g.部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、部分酸化された原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを少なくとも部分的に洗い流すための水流が供給される一次浄化ゾーンに供給して、ここで、水流は、アンモニアが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが部分酸化された原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H、CO、CO及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
h.水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、水洗、部分酸化された原料合成ガスのH対CO比を選択された比にシフトして、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを提供すること、
i.シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を、任意選択的に、工程gからの水洗、部分酸化された原料合成ガスの任意の残りの部分の少なくとも一部と再結合した後に、二次浄化ゾーンに供給すること、
j.二次浄化ゾーン内のシフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H、CO、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを回収すること、
k.少なくとも部分的に脱硫、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
l.三次浄化ゾーン内の少なくとも部分的に脱硫、シフト、水洗、部分酸化された原料合成ガスを、シフトされた少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスからCOを吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO用の物理溶媒及び吸収されたCOを含む第1の流れと、H、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
m.溶媒再生段階で吸収されたCOの少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCOとを別々に回収すること、
n.第2の流れの清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して少なくとも合成燃料を生成すること
を含む方法も本明細書において開示される。
【0062】
本発明のさらに好ましい特徴は、従属請求項に定義されている。これらのさらに好ましい特徴は、本発明の上記で定義された態様及び開示のいずれかと組み合わせることができる。
本発明の一態様を以下に示すが、本発明はそれに限定されない。
[発明1]
合成燃料の製造方法であって、
a.廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化して、H 、CO、CO 、少なくともCH 及びタールを含む、少なくとも1つの他の炭素質材料、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質、を含む原料合成ガスを生成すること、
b.前記原料合成ガスの少なくとも一部を、水流が供給される一次浄化ゾーンに供給して、原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを少なくとも部分的に洗い流し、ここで、前記水流は、アンモニアが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H 、CO、CO 、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗された原料合成ガスを提供すること、
c.前記水洗された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること、
d.前記二次浄化ゾーン内の前記水洗された原料合成ガスを、硫黄材料用に有効な物理溶媒と接触させ、前記水洗された原料合成ガスから硫黄材料を少なくとも部分的に吸収すること、並びに、H 、CO及びCO を含む、少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを前記二次浄化ゾーンから回収すること、
e.前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること、
f.前記三次浄化ゾーン内の前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを、CO 用に有効な物理溶媒と接触させ、前記少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスからCO を少なくとも部分的に吸収すること、並びに、前記三次浄化ゾーンから、前記CO 用の物理溶媒及び吸収されたCO を含む第1の流れと、H 、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること、
g.前記吸収されたCO の少なくとも一部を溶媒再生段階で前記第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCO とを別々に回収すること、並びに
h.前記第2の流れの前記清浄な合成ガスを、任意選択的に、1つ以上のガードベッド及び/又は代替の浄化段階を少なくとも部分的に通過させて任意の残留汚染物質を除去した後に、さらなる反応トレインに供給して、合成燃料を生成すること
を含む、方法。
[発明2]
工程a)からの前記原料合成ガスを部分酸化して、H 、CO、CO 、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質、を含む部分酸化された原料合成ガスを提供することと、前記部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部を工程b)の前記一次浄化ゾーンに供給することとを含む、発明1に記載の方法。
[発明3]
工程b)からの前記原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、前記原料合成ガスのH 対CO比を選択された比にシフトして、H 、CO及びCO 、並びに硫黄ガスを含む汚染物質を含むシフトされた原料合成ガスを提供することと、本方法中の前記シフトされた原料合成ガスを工程c)の前記二次浄化ゾーンに供給することとを含む、発明1又は発明2に記載の方法。
[発明4]
前記シフトされた原料合成ガスを工程b)からの前記原料合成ガスの第2の部分と再結合した後、本方法中の前記結合された流れを工程c)の前記二次浄化ゾーンに供給することを含む、発明3に記載の方法。
[発明5]
工程d)からの前記原料合成ガスの少なくとも第1の部分をシフト反応又は調整ゾーンに供給し、前記原料合成ガスの前記H 対CO比を選択された比にシフトして、H 、CO及びCO を含むシフトされた原料合成ガスを提供することと、本方法中の前記シフトされた原料合成ガスを工程e)の前記三次浄化ゾーンに供給することとを含む、発明1~4のいずれか一に記載の方法。
[発明6]
前記シフトされた原料合成ガスを工程d)からの前記原料合成ガスの第2の部分と再結合した後、本方法中の前記結合された流れを工程e)の前記三次浄化ゾーンに供給することを含む、発明5に記載の方法。
[発明7]
前記炭素質供給原料が、木質バイオマス、市民(municipal)固形廃棄物並びに/若しくは商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含み、前記供給原料の水分含有量が、下流のプロセスから得られた蒸気の少なくとも一部で乾燥させることによるガス化の前に、20%w/w未満、好ましくは15%w/w未満、最も好ましくは10%w/w未満に低減される、発明1~6のいずれか一に記載の方法。
[発明8]
バイオマス又は廃棄物ボイラを使用して高圧蒸気及び電力を生成することをさらに含む、発明7に記載の方法。
[発明9]
アンモニア不純物、硫黄不純物及び/又は二酸化炭素不純物の除去が低蒸気物理吸収法である、発明1~8のいずれか一に記載の方法。
[発明10]
上流及び/又は下流のプロセスで使用するために、前記低蒸気物理吸収法から得られた前記蒸気の少なくとも一部を使用することをさらに含む、発明9に記載の方法。
[発明11]
前記上流のプロセスが、前記炭素質供給原料を乾燥させることを含む、発明10に記載の方法。
[発明12]
前記回収された純粋な二酸化炭素の少なくとも一部が隔離されるか、又は現場外若しくは現場で使用され、上流及び/又は下流のプロセスである、発明1~11のいずれか一に記載の方法。
[発明13]
前記純粋な二酸化炭素が、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%純粋である、発明1~12のいずれか一に記載の方法。
[発明14]
前記脱硫されたガスの少なくとも一部が、水性ガスシフト反応を受けて、シフトされた合成ガスを生成する、発明1~13のいずれか一に記載の方法。
[発明15]
前記シフトされた合成が、シフトされていないガスと再結合されて、2.00±0.4の水素対一酸化炭素比を有する合成ガスを生成する、発明14に記載の方法。
[発明16]
前記合成燃料が、前記脱硫又はシフトされた合成ガスの少なくとも一部をフィッシャー・トロプシュ合成ユニット内でフィッシャー・トロプシュ反応条件に供することによって製造される、発明1~15のいずれか一に記載の方法。
[発明17]
前記フィッシャー・トロプシュ合成ユニットが、前記脱硫又はシフトされた合成ガスを液体炭化水素に変換する、発明16に記載の方法。
[発明18]
前記液体炭化水素が前記合成燃料にアップグレードされる、発明17に記載の方法。
[発明19]
前記液体炭化水素の少なくとも一部が、前記合成燃料を製造するために、水素化加工、生成物分別、水素化分解及び/又は異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされる、発明18に記載の方法。
[発明20]
前記合成燃料が合成パラフィン灯油及び/又はディーゼル及び/又はナフサを含む、発明1~19のいずれか一に記載の方法。
[発明21]
前記合成パラフィン灯油及び/又はディーゼル及び/又はナフサが輸送燃料に使用される、発明20に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】バイオマス及び/又は廃棄物供給原料からFT合成を行うための方法の概略図である。概略図は、先行技術における従来の教示(化学吸収二次ガス浄化経路)及び本発明による方法(物理吸収二次ガス浄化経路)の両方を示す。部分酸化ゾーン有り及び無し両方の本発明の方法の2つの態様も示されている。
【0064】
図1を参照すると、先行技術の方法は、従来、COを除去するためのアミンベースのガス除去溶媒システム、硫黄を除去するためのMerichem(商標)レドックス法、並びにシアン化水素及びCOSを加水分解するための加水分解工程を含む。
【0065】
アミンベースの浄化経路を本発明による物理吸収経路と比較すると、必要とされる段階がより少なく、したがってプロセス全体が単純化され、段階数の少ないプロセスが提供される。段階数の減少は、従来の経路ごとに追加の加水分解工程を必要としたHCN、COS及び他のメルカプタンを効果的に除去する物理吸収法の能力に起因する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下に記載される任意選択の若しくは好ましい特徴又はそのような特徴の組合せのそれぞれは、特許請求の範囲によって定義される本発明において利用されてもよい。
【0067】
合成ガス
文脈上別段の指示がない限り、「原料合成ガス」、「清浄な合成ガス」という用語、及び「合成ガス」という用語を含む任意の他の語句は、主に水素及び一酸化炭素を含むガスを意味すると解釈されるべきである。二酸化炭素、窒素、アルゴン、水、メタン、タール、酸性ガス、高分子量炭化水素、油、タール、揮発性金属、木炭、リン、ハロゲン化物及び灰などの他の成分も存在してもよい。存在する汚染物質及び不純物の濃度は、方法の段階及び炭素質供給原料源に依存する。
【0068】
合成ガスを説明するためのそのような用語の使用は、限定として解釈されるべきではない。当業者は、用語の各々が、主に水素及び一酸化炭素を含むガスを意味すると解釈されることを理解するであろう。
【0069】
有用な生成物及びさらなる反応連鎖
さらなる反応トレインは、フィッシャー・トロプシュ反応トレインであってもよく、その場合、本発明の方法は、清浄な合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応条件に供して、有用な生成物として1つ以上の液体炭化水素を生成することを含んでもよい。
【0070】
液体炭化水素は、任意選択的に、さらなる有用な生成物を作製するためにアップグレードされてもよい。液体炭化水素の少なくとも一部は、水素化加工、水素化処理、生成物分別、水素化分解及び/又は水素化異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされてもよい。
【0071】
FT液体アップグレーディングユニットは、例えば、高品質のナフサ及び合成パラフィン灯油(SPK)を生成してもよい。他のアップグレードされた生成物は、例えば、ガソリン、ディーゼル及びワックスを含んでもよい。
【0072】
FT液体アップグレーディングユニットは、リサイクル水素化分解装置として構成されてもよい。
【0073】
さらなる有用な生成物は、任意選択的に、持続可能な液体輸送燃料又はガソリン混合原料であってもよい。輸送燃料又はガソリン混合原料は、任意選択的に、航空及び/又は車両に使用されてもよい。持続可能な液体輸送燃料は、任意選択的に高品質のSPKを含んでもよい。ガソリン混合原料は、任意選択的にナフサを含んでもよい。
【0074】
さらなる反応トレインはまた、又は代替的に、メタノール合成トレイン、アンモニア合成トレイン、アルコール合成トレイン、水性ガスシフト反応トレインであってもよく、得られた有用な生成物は、例えば、それぞれメタノール、アンモニア、アルコール又は水素であってもよい。
【0075】
炭素質供給原料
炭素質供給原料は、例えば、木質バイオマス、市民固形廃棄物並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。炭素質供給原料は、典型的には、使用される供給原料の供給源及び化学的性質に依存する変動する組成特性を有する。
【0076】
炭素質供給原料は、比較的大きな片の形態であってもよい。炭素質供給原料は、特大の物品、リサイクル物、PVCなどの高度にハロゲン化されたプラスチック、金属及び不活性物品を除去するために処理されてもよい。これらの物品は、合成ガスに変換することができないか、又はPVCの場合、ガス化ゾーンに供給される供給原料に望ましくない高不純物負荷を生じさせる。したがって、ガス化の前に前記物品を除去することが好ましい。これらの物品はリサイクルされてもよい。
【0077】
炭素質供給原料は、ガス化に好適なサイズに減少させてもよい。例えば、炭素質供給原料は、ガス化の前に粉砕、細断又は切削されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、炭素質材料供給原料は、バイオマス、例えば木質バイオマス供給原料である。好適な木質供給原料の例としては、樹木長の丸太、パルプ材の削片、全木、大枝、枝、頂部及び/又は廃木材が挙げられる場合がある。
【0079】
シュレッダを使用して、炭素質材料をガス化ゾーンに好適なサイズに減少させてもよい。
【0080】
別の実施形態では、炭素質供給原料は、廃棄物、例えば、市民固形廃棄物並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物である。
【0081】
炭素質供給原料は、水分を含んでもよい。好ましくは、その場合、炭素質供給原料は、ガス化の前に少なくともある程度まで乾燥される。
【0082】
炭素質供給原料を乾燥機に搬送して、水分含有量を好適なレベルに低減させてもよい。水分含有量は、重量基準で約20%未満、約15%未満又は約10%未満に低減されてもよい。
【0083】
廃棄物(上述のような)が炭素質供給原料源として使用される場合、供給原料は、ガス化ゾーンに入る前に乾燥する必要がない場合がある。この場合の廃棄物は、望ましくない成分を除去し、供給原料を供給原料の取扱いに好適なサイズに粉砕するための好適な前処理の後にガス化装置に直接供給されてもよい。
【0084】
炭素質供給原料は、ガス化ゾーンに連続的に供給されてもよい。
【0085】
ガス化ゾーン
本発明の方法は、ガス化ゾーンで炭素質供給原料をガス化することによって原料合成ガスを得る。ガス化は、蒸気及び酸素の存在下で起こる場合がある。ガス化ゾーンは、単一のトレイン、二重のトレイン又は複数のトレインを含んでもよい。好ましくは、ガス化ゾーンは、プラントの可用性に対する中断の影響を最小限に抑えるために、2つ以上のトレインを含む。
【0086】
市販のガス化装置の主な3つのタイプは、固定/移動床、同伴流又は流動床タイプである。ガス化ゾーンは、間接的に加熱されるガス化容器に供給原料及び蒸気が供給される間接ガス化ゾーンであってもよい。あるいは、ガス化ゾーンは、供給原料、蒸気及び酸素含有ガスがガス化容器に供給され、直接燃焼されてガス化に必要な熱を供給する直接ガス化ゾーンであってもよい。また、当技術分野で知られており、本発明の方法での使用に好適であるのは、ハイブリッドガス化装置、及び部分酸化ユニットを組み込んだガス化装置である。その場合、本発明の方法では、ガス化ゾーン及び部分酸化ゾーンは、単一の容器の別個のゾーンであってもよいことが理解されよう。
【0087】
一実施形態では、ガス化ゾーンは、主に、炭素質材料の最大の変換のために、乾燥灰除去モードで動作する間接的に加熱された深流動床と、二次ガス化装置とを含む。別の実施形態では、ガス化ゾーンは、一次間接加熱流動床のみを含んでもよい。
【0088】
流動床の動作温度は、炭素質供給原料の組成特性に応じて変化してもよい。流動床の動作温度は、約400~1000℃、好ましくは約500~900℃、又はより好ましくは約600~800℃であってもよい。
【0089】
流動床のそのような温度範囲は、任意の成分灰が床材料と共に軟化してクリンカを形成することを回避することが分かった。
【0090】
流動床反応器には、シリカ(砂)又はアルミナなどの一定量の不活性床媒体を予め充填してもよい。不活性床媒体は、過熱蒸気及び酸素で流動化されてもよい。過熱蒸気及び酸素は、別個のパイプノズルを通して導入されてもよい。
【0091】
ガス化中、流動床は、乾燥(又は脱水)、揮発分除去(又は熱分解)及びガス化を受ける場合がある。一部の燃焼、水性ガスシフト及びメタン化反応も起こる場合がある。
【0092】
下流のプロセスにおける圧縮の必要性を最小限に抑えるガス化ゾーン内の圧力を有することが望ましい。したがって、ガス化ゾーンは、高くないとしても少なくとも約3.5バール、例えば約4バール以上の圧力を有することが好ましい。10バール以上などのさらにはるかに高い圧力で動作するガス化ゾーンは、当技術分野で知られている。1.5バール以下などのさらにはるかに低い圧力で動作するガス化ゾーンも、当技術分野で知られている。すべての動作圧力を有するガス化ゾーンは、本発明の方法での使用に好適である。
【0093】
ガス化ゾーンを出る原料合成ガスは、典型的には、少なくとも約600℃、少なくとも約700℃又は少なくとも約800℃の出口温度を有してもよい。好ましくは、ガス化ゾーンを出る原料合成ガスは、約700℃~約750℃の出口温度を有する。
【0094】
ガス化ゾーンを出る主な生成物は、典型的には、水素及び一酸化炭素(CO)(合成ガスの必須成分)、二酸化炭素(CO)、メタン、並びに少量の窒素及びアルゴンで構成される蒸気及び原料合成ガスである。追加のタール、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン、高級炭化水素、ワックス、油、灰、煤、床媒体成分及び他の不純物が存在してもよい。
【0095】
合成などの下流のプロセスにおける供給原料としての使用に必要な高品質のガスを得るために、不純物を除去する必要がある。好適な合成の非限定的な例としては、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成、アンモニア合成、メタノール合成、又は水素生成物としてが挙げられる。
【0096】
サイクロンを使用して、原料合成ガスから望ましくない固体材料を除去してもよい。
【0097】
トランプ排出システムを使用して、ガス化プロセスの動作中に床材料からより重い汚染物質を除去してもよい。
【0098】
硫黄、スラグ並びにガス化の他の副生成物及び不純物は、捕捉、収集及び再利用に適する可能性がある。しかしながら、二酸化炭素が合理的に純粋でない限り、すなわち、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋又は少なくとも約99%純粋でない限り、二酸化炭素を捕捉、収集又は再利用することは困難である。本発明の方法は、他の点で実用的なWTL法又はBTL法において高純度二酸化炭素の製造を可能にする。
【0099】
炭素質供給原料の供給源及びガス化技術に応じて、原料合成ガスは、典型的には、他の不純物及び汚染物質に加えて、約3~40%の二酸化炭素を含んでもよい。
【0100】
ガス化ゾーンを出る原料合成ガスは、典型的には、ガス化される供給原料の供給源に応じて、典型的には数百ppmの様々な硫黄濃度を含んでもよい。
【0101】
原料合成ガス中の硫黄の濃度は、下流で使用されるプロセス条件に影響を及ぼす。
【0102】
部分酸化ゾーン
ガス化ゾーンからの原料合成ガスの少なくとも一部を回収し、回収した原料合成ガスの少なくとも一部を部分酸化ゾーン(POxゾーン)に供給してもよい。部分酸化ゾーン内の原料合成ガスは、部分酸化反応を受ける。
【0103】
当技術分野で公知の従来の部分酸化ゾーンは、典型的には触媒又は非触媒(熱)である。
【0104】
部分酸化ゾーンは、下流の合成ユニットからのテールガス及び/又はプロセスで生成された合成ガス及び/又は天然ガスを予熱酸素で部分的に燃焼させる場合がある。
【0105】
部分酸化ゾーンは、高温酸素の流れを生成するバーナを含んでもよい。
【0106】
部分酸化ゾーンは、原料合成ガスの温度を上昇させて、存在する任意のタール、ナフタレン、高級炭化水素及びメタンの少なくとも一部を酸化炭素、水素及び水に変換するのに十分に有効である。
【0107】
部分酸化ゾーンは、例えば、少なくとも約1100℃、少なくとも約1200℃又は少なくとも約1300℃の温度で動作してもよい。好ましくは、部分酸化ゾーンの動作温度は、少なくとも約1300℃、最も好ましくは約1200℃~約1350℃の範囲である。
【0108】
部分酸化ゾーンは、残留メタン、ナフタレン、高級炭化水素及びタール成分を酸化炭素、水素及び水に変換する可能性がある。部分酸化ゾーンを出る合成ガスは、平衡化された合成ガスであると解釈されてもよい。
【0109】
本発明者らは、タール成分、残留メタン及び高炭化水素の除去/破壊がプラント/設備の炭素利用率を増加させることを見出した。これらの不純物及び汚染物質を合成ガスに変換し、リサイクル流を共処理することによって、生成物収率の増加を得ることができる。これらの望ましくない成分の変換は、下流のプロセスを有利に単純化し、したがって、従来の方法と比較した場合、下流で追加の精製工程は必要とされない。これは、本発明による方法の低い炭素強度に寄与する。
【0110】
平衡化された合成ガスは、POxゾーンを出るときに高圧蒸気を生成する。高圧蒸気は、高いエネルギー含有量を有し、エネルギーを回収することを可能にする上流及び/又は下流のプロセスで使用するために回収及びリサイクルされてもよい。
【0111】
POxゾーンからの熱の回収は、典型的には放射性及び対流性であってもよい。この回収モードの利点は、設備での使用に利用可能な高圧蒸気(HRSGユニットで生成される)を有する能力である。水クエンチも許容可能な(及び低コストの)熱回収オプションであるが、水性ガスシフト反応ユニット及びガス化ユニットなどのプラント内のユーザのためにHP蒸気を生成する必要があるため、設備の炭素強度に悪影響を及ぼす。
【0112】
固体は、POxゾーンからスラグとして除去してもよい。
【0113】
POxゾーンからの原料合成ガスは、ガス浄化、圧縮及び/又は硫黄除去のうちの少なくとも1つを受けてもよい。
【0114】
本発明者らは、驚くべきことに、POxゾーンが温度を調節し、煤形成を最小限に抑え、メタンを改質し、下流の水性ガスシフト反応を促進することを可能にするのに十分な水がガス化ゾーンからの原料合成ガス流中に存在することを見出した。したがって、従来の方法とは異なり、追加の蒸気を原料合成ガスに直接加える必要はない。これにより、プロセス全体に供給される蒸気の量が低減し、それによって炭素強度が低下する。
【0115】
合成ガスは、アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去することによって浄化されてもよい。後者の不純物は、酸性ガスと考えられる場合がある。
【0116】
本発明による全体的なプロセスは、追加の段階を含んでもよい。したがって、アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去することによって浄化される合成ガスは、例えば、原料合成ガス及び/又は平衡化された合成ガスであってもよい。
【0117】
部分酸化ゾーンを出る平衡化された合成ガスは高温となり、蒸気を生成することによって冷却されてもよい。プロセス効率を改善し、炭素強度を低下させるために、過熱蒸気及び/又は飽和高圧蒸気の生成が好ましい。本発明の目的は、BTL法又はWTL法の炭素強度を低下させることであり、部分酸化後の過熱蒸気及び/又は飽和高圧蒸気の生成が本発明の特定の態様の1つであるいくつかの寄与因子が存在する。
【0118】
冷却された平衡化された合成ガスは、ベンチュリスクラバを通過して、任意の水並びに灰及び煤などの微粒子を除去してもよい。苛性洗浄は、例えば、アンモニア、ハロゲン化物、亜酸化窒素及び残留微粒子などの他の不純物を除去するためにさらに使用されてもよい。
【0119】
部分酸化ゾーンは、任意選択的に、(任意の中間圧縮要件を回避するために)ガス化ゾーンの圧力よりわずかに又は幾分低い圧力で動作してもよい。部分酸化ゾーンは、例えば、約3.5バールで動作するガス化プロセスのために約2~3バールの圧力で動作してもよい。
【0120】
本発明の特定の態様による方法内に部分酸化ゾーンを含めることは、柔軟性を提供し、ガス化ゾーンに、変動する組成特性を有する広範囲の供給原料を取り扱う能力を与える。本発明者らは、予想外にも、部分酸化ゾーンの使用により、メタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、高級炭化水素及び他のタールなどの炭化水素質材料を、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態の二酸化炭素の三次浄化段階の下流での直接的な回収を可能にするのに十分な程度まで除去することができ、それにより、従来のWTL法及びBTL法と比較して方法の炭素強度を低下させることを見出した。
【0121】
水性ガスシフト又は水素調整
部分酸化ゾーンからの少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガスの少なくとも一部は、シフトされた合成ガスを得るために水性ガスシフト(WGS)ユニットを通過し、水素対一酸化炭素比を所望の範囲に調整するために残りの平衡化された合成ガスと任意選択的にブレンドされる。
【0122】
「水性ガスシフト反応」又は「WGS」という用語は、一酸化炭素及び水を水素及び二酸化炭素に変換することを含む熱化学的方法として解釈されるべきである。WGS反応後に得られる合成ガスは、シフト(すなわち調整)された合成ガスであると解釈されてもよい。
【0123】
硫黄化合物の存在は、WGS反応のためのWGS触媒の選択を考慮する場合に重要である。硫黄は、WGS法の前に供給原料から除去されてもよく、又は硫黄耐性WGS触媒を使用することができる(サワーシフト触媒)。好ましくは、硫黄は、WGS法の前に供給原料から除去される。
【0124】
一実施形態では、WGSユニットに入る合成ガスは、スイートシフトを可能にするために、本質的に低硫黄ガス(<0.1ppmv)である。WGSユニットに入る合成ガスは、平衡化された合成ガスであってもよい。
【0125】
本発明による方法は、原料合成ガスからアンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去することと、実質的に純粋な形態の二酸化炭素を回収することとをさらに含んでもよい。
【0126】
硫黄化合物は、スイートシフト触媒を毒する。スイートシフト触媒をプロセス中に展開する場合、水性ガスシフト反応に入る合成ガス中に存在する硫黄が非常に少ないことを確実にすることが重要である。そのようなプロセス構成では、硫黄除去は、水性ガスシフト反応の上流で行われるべきである。
【0127】
脱硫された合成ガスの少なくとも一部は、水性ガスシフト反応を受けてもよい。水性ガスシフト反応は、シフトされた合成ガスを生成する場合があり、これは、部分酸化ゾーン又はガス化ゾーンからのシフトされていないガスと再結合されると、2.00±0.4(好ましくは±0.2)の水素対一酸化炭素比を有するシフトされた合成ガスを生成する。(シフトされた部分自体は、例えば20:1というかなり高い水素対一酸化炭素比を有していてもよいが、その後、上述の所望の水素対一酸化炭素比を有する再結合された合成ガスを達成するために、適切な割合でシフトされていないガスと再結合される)。
【0128】
WGS反応は、一酸化炭素及び水を水素及び二酸化炭素に変換することを含む熱化学的方法である。WGS反応後に得られる合成ガスは、シフトされた合成ガスであると解釈されてもよい。
【0129】
WGSユニットに入る合成ガスは、本質的に低硫黄ガスである。合成ガスは、シフトされた合成ガスであってもよい。
【0130】
原料合成ガスからアンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去し、実質的に純粋な形態の二酸化炭素を回収する方法は、WGS反応の前に行われてもよい。得られた合成ガスは、脱硫された合成ガスであると解釈されてもよい。
【0131】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物の除去は、低蒸気物理吸収法であってもよい。
【0132】
本発明の好ましい実施形態によれば、硫黄は上流のプロセスで除去されている。水性ガスシフトユニットに供給される平衡化されたガスは、本質的に低硫黄含有ガスである。
【0133】
水性ガスシフト反応は、スイートシフト触媒を使用してもよい。スイートシフト触媒は、金属硫化物触媒であってもよい。
【0134】
水性ガスシフトの代替として、少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガス又は水洗、部分酸化された原料合成ガスは、好ましくは少なくとも部分的に「グリーン」又は「ブルー」水素から供給された水素流との単純な組合せによって調整されてもよい。
【0135】
ガス浄化
低蒸気物理吸収法は、例えば、Rectisol(商標)法若しくはSelexol(商標)法、又は任意の好適な溶媒ベースの物理吸収法であってもよい。
【0136】
一実施形態では、物理吸収ユニットは、合成ガス流を共通のメタノール再生システムを含むメタノールと接触させる2つの別個の吸収塔を有する二段プロセスを動作させるように構成されてもよい。第1の吸収塔は、硫黄を選択的に除去してもよく、硫黄除去塔でのCO吸収を最小限に抑えるためにCO飽和溶媒を使用してもよい。第2の吸収塔は、COを回収してもよい。
【0137】
この技術は、他所でさらに説明されるが、例えば、Fossil Fuel Emissions Control Technologies、Bruce Miller、2015年に記載されている。
【0138】
二酸化炭素は、任意選択的に、実質的に純粋な形態で回収されてもよい。COの回収は、例えば、WGS反応に続いてもよい。
【0139】
WGS反応は、高圧過熱蒸気の存在下で一酸化炭素及び水を水素及び二酸化炭素に変換する。
【0140】
本発明による方法におけるWGS反応の使用は、WGSユニットに入る合成ガスの水素対一酸化炭素比を所望の比に調整(又はシフト)することを可能にする。
【0141】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物の除去は、低蒸気物理吸収法であってもよい。
【0142】
物理吸収法は、典型的には、低温及び高圧で行われる。本発明者らは、物理吸収法、特に低蒸気物理吸収法の使用が、本発明による方法の低炭素強度に寄与することを見出した。
【0143】
従来の先行技術の方法は、電力導入が少なく、予想される資本コスト(CAPEX)が低いため、COを除去するためのアミンベースのガス除去溶媒システムを含む。さらに、硫黄除去工程は、Merichem(商標)レドックス法であってもよく、シアン化水素及びCOSを加水分解する加水分解工程も含む。アミンベースのガス除去溶媒システムは、化学吸収法である。
【0144】
本発明者らは、有利には、本発明による物理吸収法が、先行技術における従来の浄化法よりも実質的に少ない蒸気しか消費しないことを見出した。したがって、物理吸収法の使用は、本発明による方法の低炭素強度に寄与する。
【0145】
上述のように、低蒸気物理吸収法は、Rectisol(商標)法又はSelexol(商標)法であってもよい。非限定的な事例では、低蒸気物理吸収法は、Rectisol(商標)法である。
【0146】
Rectisol(商標)法は、低温(約-40℃)で冷却されたメタノールを使用して、吸収により合成ガス流から酸性ガス、金属カルボニル及び微量不純物を除去する。
【0147】
ガス状不純物は、硫化水素、硫化カルボニル、シアン化水素などの酸性ガスを含んでもよい。COなどの他のガスも含んでもよく、これらはすべて、メタン、水素及び一酸化炭素よりも高い優先度で優先的に吸収される。除去されてもよい微量不純物としては、HCN、NH及びギ酸が挙げられる。したがって、Rectisol(商標)法は、有利には、望ましい生成物の損失を最小限に抑え、そうでなければ下流のプロセスに有害であろうガス状不純物成分を除去する。
【0148】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の好ましい実施形態による物理吸収法が、炭素強度を改善する低蒸気法であることを見出した。非限定的な例として、Rectisol(商標)法は、表1に記載されているように、1000STPD(乾燥)バイオマスから生成された合成ガスに基づいて約2トン/時(<5,000lb/hr)の蒸気を使用する。比較すると、アミンベースのガス除去システムなどの化学吸収法を含む先行技術の方法は、同じトンの供給原料に対して約50トン/時(>110,000lb/hr)の蒸気を使用する。しかしながら、従来のアミンベースのシステムと比較して、物理吸収法は、約10%高い電力使用量、より大きな溶媒構成、及び約10~15%高いCAPEXを必要とすることに留意されたい。
【0149】
したがって、物理吸収法は、アミンベースのガス除去溶媒システムが使用される場合にそうでなければ使用されるであろう物理吸収法を使用することから本質的に蒸気を「得る」。したがって、本発明による物理吸収法は、「低蒸気物理吸収法」と解釈されるべきである。
【0150】
本発明による方法は、任意選択的に、上流及び/又は下流のプロセスで使用するために、低蒸気物理吸収法から得られた蒸気の少なくとも一部を使用することをさらに含んでもよい。上流のプロセスは、炭素質供給原料をバイオマス及び/若しくは廃棄物ボイラに供給する前に乾燥させることであってもよく、かつ/又は空気分離ユニットのための及び/若しくはFT供給原料を予熱するための酸素加熱器で使用されてもよい。さらなるLP蒸気が利用可能である場合、それを低低圧(LLP)ヘッダまで下げ、FTガードベッド(複数可)の加熱、並びに/又はアップグレーディング区間、並びに/又は廃水ストリッピング区間(例えば、廃水リボイラ)、並びに/又は燃料システム(例えば、天然ガス加熱器)、並びに/又は脱気器、並びに/又は中間若しくは化学貯蔵タンクの加熱及び追跡に使用してもよい。
【0151】
本発明者らは、バイオマス又は廃棄物ボイラに供給する前に供給原料を乾燥させる際に低蒸気物理吸収法から得られた蒸気の少なくとも一部を使用すると、方法の炭素強度が実質的に低下することを見出した。
【0152】
除去されるアンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物は、硫化水素、硫化カルボニル、シアン化水素、NH及び/又はCOのうちの少なくとも1つを含んでもよい。これらの不純物の存在は、下流のプロセスに有害となり得、したがって、これらの不純物の除去が望ましい。
【0153】
低蒸気物理吸収法の使用は、極めて低い総硫黄含有量を有する合成ガスをもたらす場合がある。硫黄成分の除去は、下流のプロセスにおける追加の合成ガス精製の必要性を排除する。合成ガス中の微量の汚染物質の量が少ないと、吸収剤での稼働時間が長くなり、合成ガスの純度がより確実に保証される可能性がある。
【0154】
吸収された化合物は、例えば、フラッシング(脱着)及び追加の熱再生によってメタノール溶媒から除去されてもよい。これにより、溶媒を新たに吸収する準備ができる。
【0155】
一実施形態では、プラントは、合成ガス流を共通のメタノール再生システムを含むメタノールと接触させる2つの別個の吸収塔Rectisol(商標)を含んでもよい。第1の吸収塔は、硫黄を選択的に除去してもよく、硫黄除去塔でのCO吸収を最小限に抑えるためにCO飽和溶媒を使用する。第2の吸収塔は、COを回収してもよい。
【0156】
この配置は、合成ガスからの硫黄の選択的除去、続いてその後のCOの除去を可能にする。得られたCO流の少なくとも一部を、方法で再利用してもよい。
【0157】
部分酸化ゾーンを利用しない本発明の変形形態では、硫黄除去床の前の縮合によって、又はタールを吸収するために物理吸収溶媒を使用し、それらを溶媒再生段階から回収することによってのいずれかで、タールを除去することも望ましい。
【0158】
得られた合成ガスは、脱硫された合成ガスであると解釈されてもよい。
【0159】
硫黄が豊富なオフストリームガスは、任意選択的に、焼却炉で過剰の空気で燃焼されて、すべての硫黄含有化合物をSOに変換してもよい。焼却炉は、任意選択的に、約1500℃の温度で動作してもよい。SOは、例えば、スルファートにスクラビングされてもよい。
【0160】
得られたガスは、例えば、蒸気を上昇させるために使用してもよく、したがってその場合には冷却してもよい。冷却した合成ガスを任意選択的に水酸化ナトリウム溶液で洗浄して、SOを亜硫酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムとして除去してもよい。
【0161】
二酸化炭素は、任意選択的に、実質的に純粋な形態で回収されてもよい。二酸化炭素は、例えば、本質的に硫黄を含まなくてもよい。
【0162】
回収された実質的に純粋な二酸化炭素の少なくとも一部は、任意選択的に隔離されてもよい。二酸化炭素を隔離することは、二酸化炭素を分離し、圧縮し、適切な地層に輸送することを含んでもよく、そこで二酸化炭素は地下に注入され永久的に貯蔵される。
【0163】
追加的又は代替的に、回収された純粋な二酸化炭素の少なくとも一部は、必要とされる最小限の浄化で、任意選択的に上流及び/又は下流のプロセスに使用されてもよい。
【0164】
このようにして生成された回収された純粋な二酸化炭素は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約85%純粋であってもよい。
【0165】
低蒸気物理吸収法の結果としての純粋なCOの生成は、方法の炭素強度を著しく低下させる。
【0166】
非限定的な例として、COが上流及び/又は下流のプロセスで隔離又は使用される場合、約110gCOe/MJの炭素強度の低下が得られる。
【0167】
本発明者らの同時係属出願18-005に開示されているように、合成ガスの水素対一酸化炭素比は、WGSシフトユニットに入る前に部分酸化ゾーンで平衡化されてもよい。この場合、合成ガス中の水素対一酸化炭素比の変動は既に実質的に低減されている。得られたシフトされた合成ガスは、任意選択的に、平衡化された合成ガスの残りの部分とブレンドされてもよく(任意選択的に調整された微細な合成ガスを形成する)、したがって、意図された合成に特有の所望の水素対一酸化炭素比が得られ、変動はさらに低減する。
【0168】
平衡化された合成ガス及び/又は原料合成ガスの少なくとも一部は、前記合成ガスをWGS反応又は代替の水素調整段階に供することなくバイパスされ、その後、前記シフト及びバイパスされたガスを最適な割合に組み合わせて、任意選択的に調整された微細な合成ガス中の所望の水素対一酸化炭素供給比を得てもよい。バイパスされるガスの割合は、下流の合成反応の所望の比及びシフト反応の重大度に応じて変化する。反応器に送られるバイパスされたガスの割合を制御することは、特定の水素対一酸化炭素供給比を得るのに役立つ。
【0169】
非限定的な例として、シフトされた合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応器に供給したい場合、バイオマス又は廃棄物のガス化から生成された平衡化された合成ガスの水素対一酸化炭素比を増加させることが一般に必要である。
【0170】
HRU
水素は、水性ガスシフト反応の下流でシフトされた合成ガスから回収されてもよい。水素は、本発明による方法のいくつかの段階から回収されてもよい。本発明者らは、シフトされたガス流から酸性ガス除去プロセスの下流から水素を回収することが最も効果的であることが判明したことを見出した。本発明者らは、他の場所での水素回収と比較した場合、プロセス全体からのCOの損失が少ないことを見出した。したがって、アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を除去した後に水素回収を使用する生成物収率の増加により、設備の全体的な経済性が改善される。
【0171】
シフトされた合成ガスの少なくとも一部は、任意選択的に水素回収ユニット(HRU)に送られてもよい。HRUは、圧力スイング吸着(PSA)法を利用して、様々な用途のための高純度水素を生成する可能性がある。高純度水素は、上流及び/又は下流のプロセスで使用されてもよい。HRUからのオフガスは、焼却炉で必要な燃焼温度に達するための燃料ガスとして使用されてもよく、本発明の方法の炭素強度をさらに低下させる。
【0172】
HRUからの高純度水素は、例えば、圧力下で約少なくとも97%、少なくとも約98%及び少なくとも約99%純粋であってもよい。除去される不純物は、CO、CO、CH、N及びArを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0173】
回収された水素を利用する上流及び/又は下流のプロセスは、例えば、アンモニア不純物又は硫黄不純物又は二酸化炭素不純物のうちの少なくとも1つの除去、合成反応器の触媒再生、及び生成物のアップグレーディングを含んでもよい。
【0174】
バイパスされた合成ガスと組み合わされたWGSユニットからのシフトされた合成ガスは、任意選択的に、合成ユニットの前に入口濾過システム、例えば入口ガードベッドを通過してもよい。
【0175】
入口ガードベッドは、任意選択的に、硫黄ガードベッドであってもよい。
【0176】
入口ガードベッドは、例えば、合成ガスから硫化水素、リン、COS、ヒ素、塩化物及び水銀などの残留微量汚染物質を除去するためにリードラグ構成で動作してもよい。リードベッドは、例えば、存在する任意の汚染物質を除去する可能性があり、ラグは、例えば、リードベッドが突破したときの保護手段として機能する可能性がある。
【0177】
ガードベッドを出る合成ガスは、任意選択的に調整された微細な合成ガスとして解釈されてもよい。
【0178】
生成物
合成ガスは、有用な生成物、例えば長鎖炭化水素生成物、炭化水素燃料又は液体若しくは固体炭化水素に変換されてもよい。
【0179】
合成ガスは、シフトされた合成ガス、脱硫された合成ガス及び/又は新鮮な合成ガスであってもよいが、これらに限定されない。
【0180】
有用な生成物は、例えば、液体炭化水素を含んでもよい。液体炭化水素は、持続可能な液体輸送燃料であってもよい。
【0181】
有用な生成物は、例えば、合成ガスの少なくとも一部をフィッシャー・トロプシュ合成ユニットに供することによって生成されてもよい。
【0182】
FT合成で得られる生成物は、例えば、重質FT液体(HFTL)及び軽質FT液体(LFTL)留分、ナフサ、並びに不活性物質及び非縮合軽質炭化水素、典型的にはC~Cを含むテールガスを含んでもよい。FTプロセス水も生成される場合がある。C~C範囲の軽質炭化水素を含むテールガスの一部は、任意選択的に、POxゾーンにリサイクルされてもよく、又は燃料ガスシステムに送られてもよい。
【0183】
合成ガス中で利用可能なCOの利用率を最大にするために、FT反応器に供給される前に、テールガス流の一部を任意選択的に新鮮な合成ガスと組み合わせてもよい。そのような場合、FT反応器内で生成されるCO及びCHなどの不活性ガスの蓄積を防止するために、パージ流を使用してもよい。上述の燃料としてのテールガス流の使用は、ガスがプロセスループを出るときのパージ流として認められるであろう。
【0184】
液体炭化水素は、任意選択的に、有用な生成物を作製するためにアップグレードされてもよい。
【0185】
液体炭化水素の少なくとも一部は、任意選択的に、水素化加工、水素化処理、生成物分別、水素化分解及び/又は水素化異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされてもよい。
【0186】
FT液体アップグレーディングユニットは、例えば、高品質のナフサ及び合成パラフィン灯油(SPK)を生成してもよい。他のアップグレードされた生成物は、例えば、ガソリン、ディーゼル及びワックスを含んでもよい。
【0187】
FT液体アップグレーディングユニットは、例えば、リサイクル水素化分解装置を含んでもよい。
【0188】
有用な生成物は、例えば、持続可能な液体輸送燃料又はガソリン混合原料であってもよい。輸送燃料又はガソリン混合原料は、航空及び/又は車両に使用されてもよい。
【0189】
持続可能な液体輸送燃料は、例えば、高品質のディーゼル及び/又はSPKを含んでもよい。
【0190】
ガソリン混合原料は、例えば、ナフサを含んでもよい。
【0191】
本発明の好ましい実施形態による方法は、従来の燃料と比較して温室効果ガス排出量が少ない輸送(航空及び道路)燃料を製造する可能性がある。温室効果ガス排出量の低減は、従来の方法と比較して、少なくとも約50%、少なくとも約60%又は少なくとも約70%である可能性がある。
【0192】
供給原料に応じて、本発明による方法を使用して製造された燃料は、典型的には、著しい温室効果ガス削減を可能にする。本発明の好ましい実施形態による方法は、従来の燃料と比較して温室効果ガス排出量が少なくとも約70%少ない航空燃料及び道路燃料の製造を可能にする可能性がある。
【0193】
FT反応器からのパージガス流(FTテールガス)及びFT液体アップグレーディングシステムからの小さなオフガス流は、全体的な炭素回収率を改善するために、任意選択的に上流のプロセス(例えば、ガス化又は部分酸化ゾーン)にリサイクルされてもよい。
【0194】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、天然ガス又は他の外部燃料源の消費を低減するために適切な場合、発電のために本発明による方法の任意の段階中に生成された任意のオフガスを利用することを目的とする。
【0195】
誤解を避けるために、変動する組成特性の炭素質供給原料から有用な生成物を製造するための方法に関するすべての特徴はまた、適切な場合には、低炭素強度の方法に関連し、逆もまた同様である。
【0196】
任意選択的に調整された微細な合成ガスを有用な生成物に変換してもよい。
【0197】
有用な生成物は、例えば、液体炭化水素を含んでもよい。液体炭化水素は、例えば、持続可能な液体輸送燃料であってもよい。
【0198】
有用な生成物は、例えば、任意選択的に調整された微細な合成ガスの少なくとも一部をフィッシャー・トロプシュ合成ユニットに供することによって生成されてもよい。
【0199】
合成ガスの少なくとも一部は、例えば、合成ユニットに供給されてもよい。好適な合成の非限定的な例としては、フィッシャー・トロプシュ、アンモニア合成、メタノール合成、アルコール合成又は水素生成物としてが挙げられる。
【0200】
合成反応は、方法の要件を満たし、変換及び生成物収率を最大化するための最適な性能のために、供給ガス中の特定の水素対一酸化炭素比(「所望の比」)を必要とする。非限定的な例として、フィッシャー・トロプシュ合成供給原料は、約2の水素対一酸化炭素比を有してもよい。この所望の比は、通常、使用比よりも低い。非限定的な例として、フィッシャー・トロプシュ合成使用比は、2.04~2.14の範囲、典型的には約2.1であってもよい。
【0201】
フィッシャー・トロプシュ合成に関する実施形態によれば、任意選択的に調整された微細な合成ガスをFT反応器に供給してもよい。
【0202】
合成ユニットは、FT反応器を含むFTユニットであってもよい。
【0203】
FT反応器は、任意選択的にマイクロチャネルを含んでもよい。
【0204】
フィルタは、任意選択的に、微粒子を除去するために使用されてもよい。
【0205】
FT反応器は、任意選択的に、任意選択的に調整された微細な合成ガスの一酸化炭素及び水素の少なくとも一部を主に直鎖炭化水素に変換してもよい。
【0206】
フィッシャー・トロプシュ合成ユニットは、任意選択的に、任意選択的に調整された微細な合成ガスを液体炭化水素に変換してもよい。
【0207】
合成ガスの液体炭化水素への変換は、任意選択的に、触媒の存在下であってもよい。鎖長分布は、使用される触媒の特性及び動作条件に依存してもよい。
【0208】
フィッシャー・トロプシュ反応は発熱性であり、反応の温度をほぼ一定に保つために除去しなければならない熱を放出する。触媒床の局所的な高温は、FT生成物の混合、収率に悪影響を及ぼし、触媒寿命を低下させる可能性があることが分かっている。したがって、温度を一定に保つことが望ましい。
【0209】
温度は、任意選択的に、循環冷却水と共に使用されるFT反応器に関連する蒸気ドラムの圧力を変化させることによって制御されてもよい。
【0210】
FT合成のための動作温度は、任意選択的に、約125~350℃、約150~300℃、約170~250℃、約180~240℃であってもよい。好ましくは、動作温度は、低温FT技術では約180~240℃である。
【0211】
触媒は、任意選択的に、支持体を有する金属又は配合金属触媒であってもよい。一実施形態では、金属はコバルトである。支持体は、任意選択的に、シリカ、ジルコニア及び/又はチタニアから作製されてもよい。
【0212】
合成ガス中で利用可能なCOの利用率を最大にするために、FT反応器に供給される前に、テールガス流の一部を任意選択的に新鮮な合成ガスと組み合わせてもよい。そのような場合、FT反応器内で生成されるCO及びCHなどの不活性ガスの蓄積を防止するために、パージ流を任意選択的に使用してもよい。上述の燃料としてのテールガス流の使用は、ガスがプロセスループを出るときのパージ流として認められるであろう。
【0213】
液体炭化水素をさらに有用な生成物にアップグレードすることが望ましい。
【0214】
液体炭化水素は、例えば、さらなる有用な生成物を作製するためにアップグレードされてもよい。液体炭化水素の少なくとも一部は、例えば、水素化加工、水素化処理、生成物分別、水素化分解及び/又は水素化異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされてもよい。
【0215】
FT液体アップグレーディングユニットは、例えば、高品質のナフサ及び合成パラフィン灯油(SPK)を生成してもよい。他のアップグレードされた生成物は、例えば、ガソリン、ディーゼル及びワックスを含んでもよい。ユニットは、例えば、リサイクル水素化分解装置として構成されてもよい。
【0216】
さらなる有用な生成物は、例えば、持続可能な液体輸送燃料又はガソリン混合原料であってもよい。輸送燃料又はガソリン混合原料は、例えば、航空及び/又は車両に使用されてもよい。持続可能な液体輸送燃料は、例えば、高品質のSPK及び/又はディーゼルを含んでもよい。ガソリン混合原料は、例えば、ナフサを含んでもよい。
【0217】
本発明による方法によって形成された生成物は、例えば、従来の方法によって形成されたより清浄なバージョンの燃料を構成してもよい。
【0218】
本発明に従って生成された燃料は、例えば、航空機エンジン排気からの粒子状物質(煤)の最大90%の減少及び硫黄酸化物のほぼ100%の減少によって、空気の質を改善する可能性がある。
【実施例
【0219】
以下の非限定的な例を参照して、本発明の好ましい実施形態をより具体的に説明する。
【0220】
木質バイオマス供給原料を選択した。
【0221】
工程
選択された供給原料は、以下のように処理される。
【0222】
供給原料は、必要なサイズに粉砕し、所望の水分含有量(この場合は10%)まで乾燥させることによって最初に処理され、乾燥バイオマス供給原料を得る。
【0223】
乾燥バイオマス原料は、800℃未満の温度、2.2bargの圧力で動作される流動床ガス化ユニットに連続的に供給され、過熱蒸気が供給されてガス化が行われ、1日当たりの供給原料のショートトン(STPD)当たり約5~10又は1~2lbmol/hrの原料合成ガスを生成する。
【0224】
一経路では、原料合成ガスはガス化装置を出て、約1,250℃の温度に維持された酸素燃焼部分酸化反応器に供給され、目標温度を達成するように酸素速度を調整しながら、上述のガス化工程から生成された原料合成ガスのすべてが供給される。部分酸化反応は、残留メタン及び他の炭化水素を合成ガスに変換する。
【0225】
得られた高温の平衡化された合成ガスは、(過熱され飽和した高圧蒸気を発生させることによって)200℃未満の温度に冷却され、次いで、一次ガス浄化ユニットを通って送られ、そこでベンチュリスクラバを通過して水及び微粒子(煤及び灰など)をノックアウトし、その後、アンモニア、ハロゲン化物(例えばHCl)、亜酸化窒素及び任意の残留微粒子を除去するために苛性洗浄される。
【0226】
代替の経路では、ガス化装置を出る原料合成ガスは、酸素燃焼部分酸化反応器をバイパスして、一次ガス浄化に直接供給される。
【0227】
次いで、合成ガスは圧縮され、二次ガス浄化及び圧縮システムに送られる。このシステムでは、合成ガスを「スイートニング」させるメタノール溶媒を使用して、Rectisol(商標)法によって酸性ガス(HS及びCO)の除去が行われる。この手法は、後述する例1及び2で使用される。例Aは、アミンベースのCO除去工程と、それに続くMerichem(商標)レドックス法を使用した硫黄除去工程と、シアン化水素及びCOSを加水分解する加水分解工程とを含む従来の先行技術を示す。
【0228】
約2.2lbmol/hr/STPDの酸性ガスが、CO捕捉のためにバッテリーリミットに送られる。酸性ガス流は、少量のH(<0.5mol%)、CO(<0.5mol%)、HO(<5%)及びN(約10%)を含む。除去されるCOの量は、約1.5lbmol/hr/STPDである。
【0229】
合成ガスの一部は抽出され、ガス化装置の燃料としてリサイクルされる。
【0230】
合成ガス流の一部は、再結合するときに全供給流中の水素対一酸化炭素(H:CO)比を調整するために、水性ガスシフト(WGS)ユニットを通過する。
【0231】
水性ガスシフト合成ガスの一部は、水素回収ユニットに送られて、下流ユニットで使用するための高純度水素を生成する。高純度水素は下流に送られ、テールガスは燃料ガスに送られる。
【0232】
二次ガス浄化プロセス全体を通して、水銀、ヒ素及びリンなどの材料を除去するために様々なガードベッドが配置される。
【0233】
スイートニング及びシフトされた合成ガスは、最終的なフィッシャー・トロプシュ(FT)入口ガードベッドを通過した後、FT合成ユニットに送られる。
【0234】
精製された合成ガスは、FTマイクロチャネル反応器に送られ、そこで、シリカ/チタニア支持体に支持されたコバルト触媒の存在下で、合成液体炭化水素に変換される。
【0235】
パージされた/過剰なテールガスは、POx及び燃料ガスシステムに送られる。
【0236】
FT反応水は廃水処理ユニットに送られ、そこでアルコールを含有する留出物と有機酸を含有するボトム留分とに分別される。
【0237】
次いで、ボトム流は、設備での再利用のために生物学的にアップグレードされる。
【0238】
合成FT液を水素化分解し、水素化異性化し、次いで水素化処理する。その後、ディーゼル燃料がアップグレーディングユニットから得られる。
【0239】
異なるプロセスユニットから回収された廃水は、廃棄又は可能な再利用の前に廃水処理ユニットに送られる。
【0240】
結果
表1は、選択された供給原料からFT合成を行うための方法に存在する個々の段階及び結果の両方を概説している。
【表1】

【表2】
【0241】
表1における例1及び2の値は、比較例Aと比較して報告されている。例えば、比較例AのO使用量は約50lb/h/stpdである。例1は、例Aの値の0.35倍であり、したがって、約17.5lb/h/stpdのO使用量を有する。
【0242】
本発明による例1及び2を比較例Aと比較すると、従来の化学吸収法(アミン)の代わりに本発明による物理吸収法(Rectisol(商標))を使用すると、方法における電力導入及び天然ガス導入が大幅に低減される(したがって、CIが改善される)ことが分かる。
【0243】
さらに、本発明による物理吸収法の使用は、比較例Aで使用されるような従来の方法のように、低圧蒸気を生成するための補助ボイラを必要としない。本発明による例1及び2のRectisol法は、下流のプロセスから節約された蒸気を利用し、バイオマスの乾燥などの上流のプロセスで使用するために蒸気を利用し、したがって天然ガスの導入が低減される。したがって、本発明による例は、比較例Aと比較してより環境に優しい方法を提供する。
【0244】
POxゾーンが存在しない場合、より低いO利用率(ガス化段階でのみ必要)から追加のエネルギー効率が得られ、より小さいASU及び補助機器をもたらす。いくつかのタールをBTXとして回収し、燃料の混合原料として使用することができるが、タール及びメタンを合成ガスに変換するPOxがないため、正味のC5+炭化水素生成ex-FTユニットもより低い。これは、回収される販売可能な生成物の価値を介して設備の経済性に影響を与える。この場合、CIの低下は最も高いが、経済性がこの選択肢の実行可能性を決定づける可能性がある。
【0245】
比較例Aと比較した場合、例1及び2ではCIスコアが有意に低下していることも結果から分かる。CIの低下は、天然ガス導入、O使用量及び電力導入の低減を含むがこれらに限定されないいくつかの要因の結果である。CIの低下は有利であり、本発明による方法が従来の方法よりも環境に優しいことを実証する。
【0246】
表に示されるCIスコアは、本発明に従って使用されることが予想されるCO隔離を組み込んでいないことにも留意すべきである。CO隔離を含めると、表中の値がさらに低減するであろう。

図1