(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】バイオアッセイシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/18 20060101AFI20230711BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20230711BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20230711BHJP
C02F 1/56 20230101ALI20230711BHJP
B01D 33/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G01N33/18 E
B01D21/01 108
C02F1/52 K
C02F1/52 Z
C02F1/56 K
C02F1/56 Z
B01D33/00 A
(21)【出願番号】P 2023014996
(22)【出願日】2023-02-03
【審査請求日】2023-02-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507371272
【氏名又は名称】環境電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆洋
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-049509(JP,A)
【文献】特開2008-286534(JP,A)
【文献】特開平07-063747(JP,A)
【文献】特開2018-077098(JP,A)
【文献】特開2008-008752(JP,A)
【文献】特開2013-217680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18
B01D 21/01
C02F 1/52
C02F 1/56
B01D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力沈降槽1と沈降管2と砂ろ過管3と後処理管4とバイオアッセイ装置5と遠隔監視装置6で構成し
、
前記重力沈降槽1は、撹拌用モーター11と撹拌羽根12と水温計13とペーハー計(以後PH計と記す)14と凝集剤タンク15と高分子凝集剤タンク16とPH調整液タンク17を備え各タンクには液注ポンプ18を具備し原水19を固液分離して下部にスラッジ110の溜り引き抜き口111を備え上澄みの水を沈降管2に給水することを特徴とするバイオアッセイシステム。
【請求項2】
請求項1記載のバイオアッセイシステムにおいて、前記
バイオアッセイ装置5は、上部に電子機器部を下部に水循環部を備え、監視水槽51には試験魚が常時飼育され監視水槽51の上部には俯瞰撮影する監視カメラ52と撮影した映像55をデジタル変換とセンサ機能を付加させる画像処理装置53と制御装置54とシーケンサー56とモニタテレビ54を具備する構造で監視水槽の試験水は入水量に合わせた水量を排水することで連続的に原水監視ができるようにしたことを特徴とするバイオアッセイシステム。
【請求項3】
請求項1記載のバイオアッセイシステムにおいて、前記
遠隔監視装置6は、バイオアッセイ装置5からの信号とシーケンサー530の信号をパソコン61に送信しバイオアッセイ装置5の警報情報、装置各部の故障、水質異常情報を表示し過去の履歴も記録し、
前記パソコン61はサーバー機能を持つことでブロードバンドルーター62によりネットワーク回線63に接続することができ、遠隔地において上記情報を見るためにはパソコン64をルーター65に接続することで遠隔監視ができるようにしたことを特徴とするバイオアッセイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川水や湖沼水、地下水、湧水、ダム水などの上水道や食品飲料製造工場用に利用する原水及び工業排水のいずれの原水に含まれる有毒物質を小型魚類で監視をするバイオアッセイと言われる水質監視方法においてシステム化することによってバイオアッセイが最適かつ有効に利用でき、住民の生命と安全、環境の改善や維持や保全に貢献する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
河川水や湖沼水、地下水、湧水、ダム水や工場排水などを含むあらゆる原水に有毒物質が混入している事故や事件が世界的に頻発している。世界人口60億人のうち12億人が安全な飲料水を得ることができず年間約200万人の子供が水に由来する病気で死亡している。有毒物質はPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有機塩素系化合物、水銀、カドミュム、鉛、亜鉛、六価クロムなどの有害重金属、史上最悪といわれるダイオキシン、急性毒物であるシアン化カリウムや農薬などあり、また未知の毒物や複合した有毒物質もあり、1995年に米国で法制化されたWET法 (Whole Effluent Toxicity)全排水毒性試験は化学物質に排水許容量を定めても排水された河川等での複合汚染で有毒物質の発生の可能性に警鐘も鳴らすもので生き物(バイオアッセイ)を使って排水を統括的に管理する手法で米国からEUやカナダや韓国など広く採用され世界標準になりつつある。日本では水道法で魚類監視が法制化され自動式のバイオアッセイ装置も実用に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平63-169559号公報
【文献】特開平07-063747号公報
【文献】特開平09-229924号公報
【文献】特開2002-257815号公報
【文献】特開2004-125753号公報
【文献】特願2007-292420号公報
【文献】特開2008-134119号公報
【文献】特願2010-246015号公報
【文献】特開2013-217680号公報
【文献】特願2019-175538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バイオアッセイには以下の課題がある。
原水の濁度が高いときは自動式の監視カメラを使用する装置では濁質で試験魚が撮像できない、また目視では水が濁って監視魚が見えないなどの物理的な障害があった。また生物的には濁質はエラ呼吸をする試験魚のエラに付着して呼吸困難で動かなくなり死に至る場合もあり誤判定や見損ないなどの原因にもなっていた。
そのためバイオアッセイ装置は原水中の濁質を除去する必要があるため、高機能のMF(精密ろ過)膜やUF(限外ろ過)膜やRO(逆浸透)膜などの中空糸精密ろ過膜方式が近年開発され検討されたが濁質の除去はできるが有毒物質までこれらの精密ろ過膜は除去するため生物応答を監視目的とするバイオアッセイが役に立たないことから使用されることが少ない。
ろ過砂をろ材とした砂ろ過装置は濁質をある程度除去し有毒物質までは除去しないことから使用されてきた、小石層の上に砂を厚く敷いた砂ろ過層を容器に収納し濁質原水を上部から落水させて砂ろ過層を通過し下部の小石層に至る間に濁質をろ砂層で除去する仕組みである。この濁質を除去した原水をバイオアッセイ装置に入水する方法であるが、砂ろ過は濁質を砂と砂の隙間に取り残し、取り残しが徐々に積もってくると、ろ過機能が低下する。そのため砂に付着した濁質を定期的に除去しなければならい課題が従来からあった。その解決のために身近な清浄な水道水を底面の小石側から上部の砂層に向けて上向流することで濁質を剥ぎ取り?過槽上部から排水する逆洗方式が採用されていたが、逆洗水は通常水道水を使用することから、水道水は浄水場の水処理の最終段階で殺菌用として次亜塩素酸ナトリウムが水道蛇口で0.5mg/Lになるように注水されており、発明者の実験では水道水にメダカ(学名:Oryzias Latipes)を入れると約30秒で仮死状態になることを確認しており次亜塩素酸ナトリウムを含んだ水道水による逆洗方式は試験魚が死亡するため使用できない課題が見られた。水に関する課題は以上である。次の課題としてバイオアッセイ装置は上水道では浄水場に設置され工業排水では排水施設に設置され、いずれも点検以外は無人の施設に設置されることが多く浄水場や排水設備などの全体を管理する有人の集中監視室にバイオアッセイ装置の魚類映像や警報などの重要な生命の危機でもある情報をいち早く届けることで対応が早くでき危機を最小限に抑えることが可能になる。近年はインターネットの回線を使って更に遠方の集中監視室で遠隔監視操作をするために情報を刻一刻と送信する必要もありバイオアッセイ装置を無人の場所に設置するだけでは機能が十分発揮出来ないことも課題として新たに出てきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、
請求項1記載のバイオアッセイシステムは、重力沈降槽1と沈降管2と砂ろ過管3と後処理管4とバイオアッセイ装置5と遠隔監視装置6で構成し、
前記重力沈降槽1は、撹拌用モーター11と撹拌羽根12と水温計13とペーハー計(以後PH計と記す)14と凝集剤タンク15と高分子凝集剤タンク16とPH調整液タンク17を備え各タンクには液注ポンプ18を具備し原水19を固液分離して下部にスラッジ110の溜り引き抜き口111を備え上澄みの水を沈降管2に給水することを特徴とするバイオアッセイシステム。
重力沈降槽1と沈降管2と砂ろ過管3と後処理管4とバイオアッセイ装置5と遠隔監視装置6で構成することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載のバイオアッセイシステムは、請求項1記載のバイオアッセイシステムにおいて、前記バイオアッセイ装置5は、上部に電子機器部を下部に水循環部を備え、監視水槽51には試験魚が常時飼育され監視水槽51の上部には俯瞰撮影する監視カメラ52と撮影した映像55をデジタル変換とセンサ機能を付加させる画像処理装置53と制御装置54とシーケンサー56とモニタテレビ54を具備する構造で監視水槽の試験水は入水量に合わせた水量を排水することで連続的に原水監視ができるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載のバイオアッセイシステムは、請求項1記載のバイオアッセイシステムにおいて、前記遠隔監視装置6は、バイオアッセイ装置5からの信号とシーケンサー530の信号をパソコン61に送信しバイオアッセイ装置5の警報情報、装置各部の故障、水質異常情報を表示し過去の履歴も記録し、
前記パソコン61はサーバー機能を持つことでブロードバンドルーター62によりネットワーク回線63に接続することができ、遠隔地において上記情報を見るためにはパソコン64をルーター65に接続することで遠隔監視ができるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のバイオアッセイシステムでは、上述のように、重力沈降槽1はと沈降管2と砂ろ過管3と後処理管4にとバイオアッセイ装置5と遠隔監視装置6で構成することにより濁質を除去し濁質のない原水を確保し遠隔監視を可能とする効果が得られる。
また、上述のように、重力沈降槽1は、面積が広く重力沈降に適しており撹拌用モーター11と撹拌羽根12を動作することで遠心分離でスラッジが底部に固まる効果を出し、粒子が小さくて沈降時間が長時間要するものは水温計13とペーハー計(以後PH計と記す)14で計測しながら凝集剤タンク15、高分子凝集剤タンク16、PH調整液タンク17のそれぞれに備え付けた液注ポンプ18で注入量を調整して注入することで微細な粒子をフロック112の固まりをつくり比重を重くして沈降させ固液分離を促進して下部にスラッジ110に溜り引き抜き口111から排出ができる、上澄みの水を沈降管2に入水することが可能になるという効果が得られる。
【0019】
請求項2記載のバイオアッセイシステムでは、上述のように、バイオアッセイ装置5は、装置の上部に電子機器部を下部に水循環部を備え、監視水槽51には試験魚が常時飼育され監視水槽51の上部には俯瞰撮影する監視カメラ52と撮影した映像55をデジタル変換とセンサ機能を付加させる画像処理装置53と制御装置54とシーケンサー540とモニタテレビ54などを具備する構造で監視水槽の試験水は、小型の試験魚でも監視カメラで撮像し目視でも見分けができるほどの濁質を除去するため、重力沈降槽1から沈降管2へ更に砂ろ過管3から後処理管4を経て濁質除去を行い入水量に合わせた排水量により連続的に原水監視ができる効果を得られる。重力沈降槽1から沈降管2へ更に砂ろ過管3から後処理管4を経て濁質除去のシステムは工業排水の濁質除去にも効果が得られる。
【0020】
請求項3記載のバイオアッセイシステムでは、上述のように、遠隔監視装置6は、バイオアッセイ装置5の信号とシーケンサー530の信号をパソコン61に送信しバイオアッセイ装置5の警報情報や装置各部の故障や水質異常情報等を専用の表示ソフトによって監視ができる。また過去の履歴も記録することかできる。パソコン61はサーバー機能を持つことでブロードバンドルーター62によりネットワーク回線63に接続ができる。遠隔地において上記情報を見るためにはパソコン64をルーター65に接続することで遠隔監視の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例のバイオアッセイシステムの全体構成図である。
【
図6】実施例の自動式バイオアッセイ装置の図である。
【
図7】実施例の画像処理装置のブロックとドットの図である。
【
図8】実施例のバイオアッセイ装置廉価版の図である。
【
図12】実施例の2種類のラシヒリングの写真である。
【
図14】実施例のろ過皿上部と上向流管下部の写真である。
【
図15】実施例の上向流管下部とエアー管の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
この実施例のバイオアッセイシステムの全体構成図を
図1に示す。
重力沈降槽1は円筒形状で上部に撹拌用のモーター11を設置しモーター回転軸の先端に撹拌羽根12を具備する、撹拌羽根は軸の中間にも設置することがある。モーターの回転速度はギアーにより減速調整を計ることで撹拌の調整を行う、撹拌により原水が回流し遠心分離でスラッジが中心部に集まり底部をテーパにすることでスラッジ110を溜り易くスラッジの引き抜き111が容易になる。
【0024】
重力沈降槽1に受水した原水の濁質は粒子の大きさにより沈降する時間が違う、表1は粒子の大きさと自然沈降時間を表にしたものであるが粒子が小さくなるほど沈降時間が長くなる、特に0.1~0.001μm(マイクロメートル) 程度の微粒子をコロイド粒子と言われるが自然沈降に数ヶ月を要するものもある、表1にはタバコの煙の粒子の大きさも参考に記したことでコロイド粒子の微小さが確認できる。
【表1】
【0025】
コロイド粒子を容易に除去する方法は浄水場や排水処理でも多く使用されている凝集沈殿である。凝集剤15を加えて固まり(フロック112と言う)を作りフロック112はコロイド粒子より重くなるため沈降速度を速めることができる。コロイド粒子は、通常マイナスの電荷を持っているために、お互いに反発し合い沈むことがなく舞っているので、水が汚れて見えなくなる原因でもある。通常使用される無機物の凝集剤のポリ塩化アルミニュウム(通称PAC言われている)や硫酸アルミニュウム(通称硫酸バンドと言われている)はプラスに帯電しているため反発が弱まり凝集が起こる。
【0026】
高分子凝集剤16は二次凝集(凝集作用)を起こす薬品であり、PACなどの無機凝集剤15を入れてできた微細フロック同士を高分子凝集剤16の働きによって接着して大きなフロック112を形成することにより沈降速度を速くするため凝集剤15と高分子凝集剤16を併用して使用することも多い。
【0027】
またコロイド粒子が金属硫化物例えば硫化鉄や硫化ニッケルや硫化亜鉛などはPH(ペーハ)7からPH12のアルカリ性で硫化物を形成するためPH計14で測定しながらPH調整液17を液注ポンプ18で調整しなければならない。
原水水温は凝集沈殿では原水の懸濁物質によって水温調整を必要とすることがあるため水温の測定が必要で水温計13を備えている。
【0028】
本発明の凝集沈殿は重力沈降槽1の1槽だけの処理になっているが、原水の水量が多量の場合や水質状態が悪い場合などは多槽にしたほうが良い。多槽の構成図は
図2とする。槽は反応槽113と凝集槽114と沈殿槽115の3槽に分けられ、反応槽113には撹拌用モーター11と撹拌用羽根12と水温計13とPH計14と凝集剤15とPH調整液17と液注ポンプ18を具備し原水19を受水する。撹拌用モーター11と撹拌用羽根12とで原水と凝集剤15とPH調整液を撹拌し隣の凝集槽114に入水する。凝集槽114では高分子凝集剤16が液注ポンプ18により注水され撹拌用モーター11と撹拌用羽根12により高分子凝集剤16を撹する。次にフロック112を含む原水を沈殿槽115に入水しフロック112群は底部に溜りフロック112を溜り引き抜き口111から排出する。沈殿槽115の上部から処理水116を
図1と同様に沈降管2に入水する。
【0029】
沈降管2の
図3によれば、重力沈降槽1から出た原水は原水入水口122から入水し円垂管22の外壁を回りながら濁質を落下させる、円垂管22の下部開放口から原水は上向流となり流速低減材23で流速を弱め濁質が更に原水から剥離されスラッジは円垂管22の内壁をつたって下部に落下しスラッジ120の溜りとなる。この溜り引き抜き口121は手動で弁を開放しスラッジを排出する場合と電磁弁自動制御123によって電磁弁124開閉を自動タイマーや遠隔操作の開閉で排出する手動と自動の排出方法ができる。スラッジの排出時は吸気弁125が自動で開放され空気を入れることで溜り引き抜き口121からのスラッジ排出を容易にする。流速低減材23を通過した原水は吸気弁125の下部から砂ろ過管3の下筒の電磁弁132を通って入水する。
【0030】
砂ろ過管3の図面4によれば、原水39は逆止弁132を通過し2種類のラシヒリング33のろ過層を通過するときに濁質を剥離する、2種類のラシヒリング33はろ過材で写真1である。写真3ではラシヒリングのろ過層を通過した原水はろ過皿35の下皿底面135にろ過砂と混合する。写真2はろ過皿35の外観である、ろ過皿35はステンレス材で2枚の上皿133と下皿134をつなぎ柱137で固定されている。
【0031】
図14と
図14とにより上皿133の底は空いた穴136でここを上向流管34が通過して下皿底面135の近くまで上向流管34がおろされる、上向流管34の下部先端はラッパ状に広がりこの場所までエアー管37も延ばされる。
【0032】
上皿の空いた穴136と上向流管34の隙間からろ過砂32が下皿底面135に安息角により少しづつ落下し、上皿133と下皿134をつなぎ柱137の空いた間から原水が流れ込み下皿底面135でろ過砂と原水が混合される。そこに上向流管34の内部からエアー管37のエアーが噴き出されて混合水は上向流管34の内壁とエアー管37の間から上向流となり上向流管34の最上部の左右2ヵ所ある混合水開放口138から解放され混合水が流れ出る。
【0033】
この混合水は2枚の堰板で上下して流れる間にろ過砂は下部に落ち原水だけがオーバフロー水139として排出される。また同様に余剰水1399も排出される、オーバフロー水139と余剰水1399以外の原水はろ過砂32の砂圧によりろ過水出口38からろ過水となり後処理管4の下部に入水される。
【0034】
図5の後処理管4は砂ろ過管3のろ過水出口38からろ過水入水口40に入水しラシヒリング41のろ過層を上向流で通過する際にろ過水の濁質を再度剥離して、後処理管4の底部のスラッジ140は溜り引き抜き口141から排出される。ろ過水出口42のパイプは上部が長く開放されているので容易にろ過水は監視水槽51に入水でき余剰水は排水される。
【0035】
図6のバイオアッセイ装置5の監視水槽51に試験魚は、例えば小型魚の通称メダカ(学名:Oryzias Latipes)は孵化後半年程度で5~7cmの成魚になるとそれ以上体長が大きくならないため毒性反応に誤差が生じない、日本では自然界のメダカは希少魚類に指定されているため捕獲ができずバイオアッセイに使用するメダカは100%養殖魚であり純正魚としてOECD(経済協力開発機構)の毒性試験の試験魚にも養殖メダカ(ヒメダカ)が指定されている。微量な毒性でも鼻上げ行動や狂奔行動、忌避行動などの異常行動が見られることで試験魚としては最適である。またメダカ(学名:Oryzias Latipes)は稲作の田圃に生息することから稲の学名Oryza sativaでメダカの学名に由来している。日本以外のアジア全域にメダカは生息し試験魚として自由に捕獲や飼育や繁殖も容易であることから今後広く利用されると考える。またOECDの毒性試験の試験魚としてヒメダカ以外でもゼブラフィッシュ(学名:Danio rerio)やカダヤシ科のグッピー(学名:Poecilia reticulata)なども記載されている。
【0036】
バイオアッセイ装置5の監視水槽51には20匹程のメダカが常時飼育されており餌は自動給餌器59から一定量を毎日定期的に自動で給餌される。メダカは本来亜熱帯の温かい地域の田圃に生息していたため低温に弱いことから監視水槽にヒータを設置し水温が一定に保たれる。水温差が5℃前後急に変化するとヒートショックで死亡することもある。エアレーション153で酸素も供給し換気ファン151や遮光扉152等を備えることで長期の生息が可能な住環境を整えることで俗に言われるオオカミ少年にしないために最も重要である。
【0037】
監視水槽51の側面は透明のアクリル板がはめ込まれており、ここから照明灯154を照らすことでCCD撮像素子の監視カメラ52の撮像を容易にしている、照明灯154を監視水槽51の上部から照らすと水面の波の動きで反射光が生じ画像処理装置53が誤動作を起こすことから側面照射にしている。
【0038】
従来の監視水槽は観賞用の透明ガラス水槽や透明アクリル水槽が使われてきたが、これらの水槽は内壁面に藻が付着し試験魚の監視に藻に遮られて見えない不都合が生じていたが、本発明の監視水槽は不透明の乳白アクリルで製作され監視カメラは監視水槽の上部に設置して俯瞰で撮像することで水を透して試験魚を監視するため濁質が少々あっても水深を浅くすれば撮像が可能である。発明者の実験では水深3cmでも原水が常に入れ替わるのでメダカは生息し、その時の濁度160度でも撮像は可能であつた。
【0039】
画像処理装置53は監視カメラの映像信号をデジタル変換する。
図7ではモニタテレビ55の全面に縦7個、横8個の56個のブロック157を画面上で配置し、1個のブロックには縦8個、横8個の64個のセンサドットが設置され全面ではセンサドットは56ブロック×64ドットの3584個のセンサドットが設定されている、センサドットの1個1個がメダカの動きを検知するセンサでメダカの動きを検知すると所属ブロックの数がカウントされ予め決めた時間とブロック数に至ると警報を出す仕組みの画像処理機能でモニタテレビ55で確認できる。
【0040】
警報は4段階に出すことができ、そのためには画像処理装置53の1映像を4映像に分離する必要がり制御装置54で行われる。4映像はそれぞれ時間とブロック数で警報順位を設定することができる。4段階の警報のうち重大警報の異常発報時に電磁弁155を開いて監視水槽51内の原水が採水容器156に一時保管され別途化学的な水質分析が行われる。
【0041】
バイオアッセイ装置5の大きさは約高さ1800mm、横幅700mm、奥行き700mm、で材質は鉄で前面扉はキー付きハンドルが具備しスモークアクリ板がはめ込まれている、それ以外は鉄板で囲われ耐震構造NEBS Zoon3(1108ga)だが、これらにこだわる必要もない、また自動式のバイオアッセイ装置5の画像処理装置53やシーケンサー56や制御装置54などを備えていない
図8の様に監視水槽51と監視カメラ52と必要最小限部材にとどめ小型でシンプルなバイオアッセイ装置でもバイオアッセイの役目は果たすことができる。
【0042】
図8の遠隔監視は画像処理装置53と監視サーバーパソコン61とシーケンサー530を接続し、更にシーケンサー530とブロードバンドルーター62に接続しONU(光回線終端装置)を介してネットワーク回線網63に接続する。遠隔地のパソコン64を汎用ルーター65に接続しONUを介してネットワーク回線網63に接続すると監視サーバーパソコン61の画面が見れて遠隔操作ができる。遠隔監視をしないときは画像処理装置53と監視サーバーパソコン61とシーケンサー530をLANで配線する。
【0043】
監視サーバーパソコン61の画面は専用のプログラムソフトで製作されておりメイン画面は
図10で画面中心部にバイオアッセイ装置5の監視水槽51を監視カメラ52で俯瞰撮影した動画であり試験魚のメダカをセンサドット158が検知し所属ブロック157が表示しているのが確認できる。画面左側に水質情報の注意1、注意2、注意3、異常(重大警報)の4段階と正常の5パターンが表示できる、右側は装置の異常警報で扉開、漏水、水位低下、蛍光灯断の4つの警報が表示できる、その下は年月日と時間表示で水質情報や装置異常情報などが日時で記録される、異常(重大警報)の時は電磁弁を自動で開き監視水槽51の原水が分析用のサンプル水として採水容器156に保管されることは既に記したが、これと同時に、異常(重警報)の動画映像が記録保管されることで後日の検証に役立つ。表示画面構成は
図11のログイン画面600,メイン画面601,水温グラフ画面602,詳細履歴画面603,設定画面604,動作環境画面605,測定器画面606,ユーザ情報画面607等を備えることで遠隔監視が可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 重力沈降槽
11 撹拌用モーター
12 撹拌用羽根
13 水温計
14 PH計
15 凝集剤
16 高分子凝集剤
17 PH調整液
18 液注ポンプ
19 原水
110 スラッジ
111 溜り引き抜き口
112 フロック
113 反応槽
114 凝集槽
115 沈殿槽
116 処理水
2 沈降管
21 フランジ
22 円垂管
23 流速低減材
120 スラッジ
121 溜り引き抜き口
122 原水入水口
123 電磁弁自動制御
124 電磁弁
125 吸気弁
3 砂ろ過管
31 フランジ
32 ろ過砂
33 ラシヒリング
34 上向流管
35 ろ過受皿
36 エアーポンプ
37 エアー管
38 ろ過水出口
39 原水
130 スラッジ
131 溜り引き抜き口
132 逆止弁
133 上皿
134 下皿
135 下皿底面
136 空いた穴
137 つなぎ柱
138 混合水開放口
139 オーバフロー水
1399 余剰水
4 後処理管
40 ろ過水入水口
41 ラシヒリング
42 ろ過水出口
140 スラッジ
141 溜り引き抜口
5 バイオアッセイ装置
51 監視水槽
511 ヒータ
512 水中ポンプ
52 監視カメラ
53 画像処理装置
530 シーケンサー
54 制御装置
55 モニタテレビ
56 表示パネル
57 漏電ブレーカ
58 扉センサ
59 自動給餌器
151 換気ファン
152 遮光扉
153 エアレーション
154 照明灯
155 電磁弁
156 採水容器
157 ブロック
158 ドット
6 遠隔監視装置
61 監視サーバーパソコン
62 ブロードバンドルーター
63 ネットワーク回線網
64 パソコン
65 ルーター
【要約】 (修正有)
【課題】原水の濁度が高いときは自動式の監視カメラを使用する装置では濁質で試験魚が撮像できない、また目視では水が濁って監視魚が見えないなどの物理的な障害があった。また生物的には濁質はエラ呼吸をする試験魚のエラに付着して呼吸困難で動かなくなり死に至る場合もあり誤判定や見損ないなどの原因にもなっていた。また遠隔地での常時監視が必要となった。
【解決手段】重力沈降槽1と沈降管2と砂ろ過管3と後処理管4とバイオアッセイ装置5と遠隔監視装置6で構成する。
【効果】原水に含まれる有毒物質を小型魚類で監視をするバイオアッセイと言われる水質監視方法においてシステム化することによってバイオアッセイが最適かつ有効に利用でき、住民の生命と安全、環境の改善や維持や保全に貢献する。
【選択図】
図1