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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】カチューシャ
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/36 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
A45D8/36 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019005507
(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公開番号】P2020110497
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日 平成30年9月26日~10月2日 販売場所 阪急千里店 せんちゅうフェスタ
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 催事名 「フランスフェア2018」 主催者名 株式会社大丸松坂屋百貨店 開催日 2018年11月6日~12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 manicolle Tokyo 28 主催者名 株式会社mannifani 開催日 2018年1月31日~2月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 rooms EXPERIENCE 37 主催者名 アッシュ・ぺー・フランス株式会社 開催日 2018年9月5日~7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 2018年1月30日 ウェブサイトのアドレス https://la-majorina.co.jp
(73)【特許権者】
【識別番号】519016907
【氏名又は名称】株式会社ラ・マジョリーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】原 由美子
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138707(JP,A)
【文献】登録実用新案第3053873(JP,U)
【文献】登録実用新案第3181481(JP,U)
【文献】実公昭34-000079(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3020550(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0032050(US,A1)
【文献】特表2008-520273(JP,A)
【文献】実公昭34-000078(JP,Y2)
【文献】実公昭14-005076(JP,Y1)
【文献】特開平08-246217(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0283082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部に装着されるカチューシャであって、
前後方向に幅広な短冊状を有した柔軟性を有する本体部と、当該本体部の外周縁を囲繞する可塑性を有したワイヤーと、上記本体部の内側面に設けられるとともに弾性により略U字形を維持する2本の骨部材とを備え、
上記本体部を、上記骨部材の位置する装着部と、当該装着部よりも両側に突出した操作部とによって構成するとともに、当該本体部の前方縁部を構成する曲線の長さを、後方縁部を構成する曲線の長さよりも長く設定し、
上記本体部の後方縁部のうち、中央部分を後方に向けて膨出する曲線によって構成し、当該中央部分と上記操作部との間の部分を前方に向けて膨出する曲線によって構成し、
装着する際には、上記本体部の前方縁部を頭部に沿って密着させた状態で、上記操作部を装着者の耳に沿って前方に変形させるようにしたことを特徴とするカチューシャ。
【請求項2】
本体部の内側面に、上記骨部材の端部を収容するポケットを設けて、上記骨部材を本体部に対して着脱自在としたことを特徴とする請求項1に記載のカチューシャ。
【請求項3】
上記2本の骨部材を、上記本体部の内側面に沿って平行に設けたことを特徴とする請求項1に記載のカチューシャ。
【請求項4】
上記骨部材にウィッグを装着したことを特徴とする請求項3に記載のカチューシャ。
【請求項5】
上記2本の骨部材を、上記本体部の中央部で交差するように設けたことを特徴とする請求項1に記載のカチューシャ。
【請求項6】
上記本体部を中央部分で分割した略木の葉状を有する2つの木の葉状部材によって構成するとともに、上記ワイヤーを各木の葉状部材の外周縁を囲繞するように設け、
各木の葉状部材の先端部同士を中央部分で結び合わせることにより、上記本体部を構成することを特徴とする請求項5に記載のカチューシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装着者の頭部に装着するカチューシャに関し、詳しくは前後方向の幅が広く形成されたカチューシャを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装着者の頭部に装着するカチューシャとして、頭頂部を隠すこと等を目的として、前後方向の幅を広くしたものが知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載されたカチューシャは、中央部分を前後方向に広くした略ラグビーボール形状を有しており、その外縁および中央部には前方から見て略U字形を維持する弾性を有した樹脂製の帯体が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-75930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように前後方向の幅が広いカチューシャは、頭部の形状が人それぞれであることから密着性に難がある。
具体的に説明すると、カチューシャを頭部に装着する際にその両端部を耳の後方に位置させるようにするため、カチューシャの前方縁部が頭部に接触する接触長さと、後方縁部の接触長さとが異なっている。このため図6に示すように、仮にカチューシャの前方縁部を頭部に密着させると、接触長さの違いから後方縁部と頭部との間に隙間が形成されてしまう。
特に特許文献1のカチューシャは、前方縁部および後方縁部がそれぞれ弾性を有する素材によって構成されていることから、これら前方縁部および後方縁部を様々な形状を有した装着者の頭部に密着させることができず、そのため着け心地が悪いという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は、装着者の頭部の形状に関わらず密着性が高く着け心地のよいカチューシャを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるカチューシャは、装着者の頭部に装着されるカチューシャであって、
前後方向に幅広な短冊状を有した柔軟性を有する本体部と、当該本体部の外周縁を囲繞する可塑性を有したワイヤーと、上記本体部の内側面に設けられるとともに弾性により略U字形を維持する2本の骨部材とを備え、
上記本体部を、上記骨部材の位置する装着部と、当該装着部よりも両側に突出した操作部とによって構成するとともに、当該本体部の前方縁部を構成する曲線の長さを、後方縁部を構成する曲線の長さよりも長く設定し、
上記本体部の後方縁部のうち、中央部分を後方に向けて膨出する曲線によって構成し、当該中央部分と上記操作部との間の部分を前方に向けて膨出する曲線によって構成し、
装着する際には、上記本体部の前方縁部を頭部に沿って密着させた状態で、上記操作部を装着者の耳に沿って前方に変形させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明のカチューシャも、図4(a)に示すように、装着する際に本体部の前方縁部を頭部に沿って密着させただけでは、後方縁部と頭部との間に隙間が形成されてしまう。
これに対し本発明のカチューシャは、本体部の前方縁部を構成する曲線の長さを後方縁部を構成する曲線の長さよりも長く設定したことにより、カチューシャを装着した際における前方縁部および後方縁部の頭部への接触長さを実際の頭部の形状に一致させやすくなっている。
そのうえで、図4(b)に示すように上記操作部を装着者の耳に沿って前方に変形させると、本体部全体が変形して特に後方縁部による頭部への接触長さを微調整することができ、様々な頭部の形状に後方縁部の形状を一致させることができる。
そして、本体部の外周縁に設けた可塑性を有するワイヤーを装着者の頭部の形状に従って変形させることで、本体部の前方縁部および後方縁部が装着者の頭部に密着するため、着け心地のよいカチューシャを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例にかかるカチューシャの正面図
図2】カチューシャの側面図
図3】カチューシャを平面的に展開した状態の底面図
図4】カチューシャを装着する手順を説明する図
図5】従来のカチューシャを装着した状態を説明する図
図6】第2実施例にかかるカチューシャの正面図
図7】カチューシャを平面的に展開した状態の底面図
図8】本体部を構成する部材を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1図4は本発明にかかる第1実施例のカチューシャ1を示し、図1は正面図を、図2は左から見た側面図を、図3はカチューシャ1を平面的に展開してこれを下方からみた底面図を、図4は当該カチューシャ1を装着する手順を説明する図となっている。
本発明にかかるカチューシャ1には前後の区別があり、図2図4では図示左方が前方となり、図3では図示上方が前方となっている。また以下の説明において、カチューシャ1における装着者Hの頭部側の面を内側面と呼び、外部に露出する側の面を外側面と呼ぶ。
本実施例のカチューシャ1は、前後方向に幅広な短冊状を有した本体部2と、本体部2の内側面に設けられた略U字形を有する2つの骨部材3A、3Bとから構成されている。
上記カチューシャ1を装着すると、図4(b)に示すように上記本体部2の中央部分が装着者Hの頭頂部に位置し、両端部が装着者Hの耳の後方に位置するようになっている。また、本体部2は前後方向に幅広に形成されていることから、装着した際にはカチューシャ1によって装着者Hの頭部を広範囲に覆うことができる。
【0009】
図3に示すように、本体部2は前後方向に幅広で、左右方向に細長い短冊状を有しており、略同じ形状の2枚の布製の部材の外周縁同士を縫い合わせた構成を有している。
上記本体部2を構成する素材としては、全体的に柔軟性を有していれば、布製に限らず樹脂製のシート等も利用することも可能であり、また本体部の外側面にプリントや装飾品を装着したり、内側面の素材をメッシュ素材にするなど、様々な態様を採用することができる。
また図2に示すように、カチューシャ1の左側の外側面にはロゴプレート4を付しており、カチューシャ1を装着する際に、カチューシャ1の前後を判別するための目印として使用することができる。
【0010】
また本実施例の本体部2の外周縁には、上記縫合部分の内側に金属製のワイヤー5が縫い合わされており、本体部2を任意の形状に変形させることが可能となっている。
上記ワイヤー5は、装着者Hが容易に変形させることが可能な程度の柔軟性を有する一方、変形させた後にその形状を維持する可塑性を有している。また上記ワイヤー5は外部から見ることはできないものの、錆の発生を防止するために樹脂製のカバーによって被覆されていることが望ましい。
このような構成により、上記本体部2の外周縁を装着者Hの頭部の形状に従って任意の形状に変形させることが可能となり、また変形させた後はその形状を維持することで頭部に密着した状態を維持するようになっている。
【0011】
図3に示すように、本体部2の外周縁は、前方に形成された前方縁部Fおよび後方に形成された後方縁部Rがそれぞれ曲線によって構成されている。
図4に示すように、本実施例のカチューシャ1は前後方向に幅広に形成されているため、当該カチューシャ1を装着者Hの頭部に装着すると、前方縁部Fの頭部への接触長さと、後方縁部Rの頭部への接触長さが異なることとなり、一般的に前方縁部Fの接触長さは後方縁部Rの接触長さに比べて長くなる。
そこで本実施例の本体部2では、実際にカチューシャ1を頭部に装着した状態から逆算して、前方縁部Fの曲線の長さを後方縁部Rの曲線の長さよりも長く設定したものとなっている。
より具体的には、上記前方縁部Fは前方に向けて膨出する一つの略円弧状の曲線によって構成されているのに対し、上記後方縁部Rは、中央部分に位置して後方に向けて膨出する第1曲線Raと、当該中央部分の両側に位置して前方に向けて膨出する第2曲線Rbとによって構成されている。
【0012】
さらに上記本体部2は、上記骨部材3A、3Bが設けられて装着者Hの頭部に密着する装着部2aと、当該装着部2aよりも両側に突出してカチューシャ1を装着する際に微調整を行うための操作部2bとによって構成されている。
上記骨部材3A、3Bは、図1に示すように前方から見て略U字形を有しており、弾性を有する金属製の部材を布等によって覆った構成を有している。なお金属製にかぎらず弾性を有した樹脂によって作成することも可能である。
これらの骨部材3A、3Bは、カチューシャ1を装着者Hに装着した際には、装着者の頭部の形状に沿って密着するようになっており、その弾性によってカチューシャ1の脱落を防止するものとなっている。
そして本実施例のカチューシャ1では、図2に示すように、骨部材3A、3Bは前後方向に並行して設けられており、本実施例では前方の骨部材3Aを後方の骨部材3Bよりも1~2mm程度太く設定している。
また上記骨部材3A、3Bの端部は本体部2の装着部2aの内側面に形成されたポケット6に収容され、上記ポケット6は図2図3に示すように前後方向に2つずつ設けられるとともに、前後方向に開いた状態で設けられている。上記ポケット6はカバーによって本体部2の内側面に覆われているが、当該カバーにはポケット6を縫い合わせるためのステッチが表れている。
一方、骨部材3A、3Bの中央部分は上記本体部2の内側面に連結されない構成となっており、骨部材3A、3Bの中央部分は本体部2の中央部分に対して比較的自由に前後方向への移動が許容されている。
【0013】
上記操作部2bは上記装着部2aよりも両端部側に突出した位置、すなわち上記骨部材3A、3Bによる弾性が装着者Hの頭部に作用しない部分に設けられているため、上記操作部2bは自由に変形させることが可能となっている。
また上記操作部2bを構成する部分にも本体部2の外周縁に沿ってワイヤー5が設けられているため、装着者Hがこの操作部2bを変形させた後も、その形状が維持されるようになっている。
そして後に詳述するが、カチューシャ1を装着する際には、操作部2bを図4(a)に示す状態から、図4(b)に示すように装着者Hの耳に沿って前方に変形させるようになっている。
このように上記操作部2bを前方に変形させると、本体部2の全体が変形するが、特に操作部2bの後方に連続する後方縁部Rの形状が引っ張られて変形することとなる。
その結果、後方縁部Rを構成する曲線の見かけ上の長さを変えることができ、後方縁部Rを頭部に密着させた際における、後方縁部Rの頭部への接触長さを微調整することが可能となり、後方縁部Rを頭部に沿って密着させることが可能となる。
また本実施例では、後方縁部Rにおける上記第2曲線Rbは、図4(a)に示した前方に向けて膨出する曲線となっているが、操作部2bを前方に変形させることで図4(b)に示すように変形し、中央部分の第1曲線Raと滑らかに連続する曲線を形成するようになっている。
【0014】
以下、上記構成を有するカチューシャ1の装着方法を図4を用いて説明すると、図4(a)はカチューシャ1を頭部に仮装着した状態を、図4(b)はカチューシャ1が頭部に装着された状態を示している。
カチューシャ1を装着する前に、上記本体部2に予め上記2本の骨部材3A、3Bを装着し、また本体部2の操作部2bは前方に曲がっていない状態にされている。
この状態から、装着者Hは本体部2に設けたロゴプレート4が頭部の左側に位置するようにし、上記骨部材3A、3Bを押し広げながらカチューシャ1を頭部に仮装着する。
この時、装着者Hは本体部2の前方縁部Fを頭部の所要の位置に手で押さえながら、本体部2が耳の後方を通過するように装着する。これにより、前方に位置する骨部材3Aが頭部に密着し、また本体部2の前方縁部Fのワイヤー5が頭部の形状に添って変形して密着する。
このカチューシャ1を仮装着した状態では、本体部2が前後方向に幅を有していることから、前方縁部Fが頭部に密着しているものの、後方縁部Rは頭部に密着しておらず、これらの間には隙間が形成されている。
また装着者Hの耳の後方には、上記本体部2の操作部2bとの間に隙間が形成されている。
【0015】
このようにしてカチューシャ1を仮装着したら、図4(b)に示すように装着者Hは上記本体部2の端部に形成された操作部2bを、装着者Hの耳に沿うようにして前方に変形させる。
上記操作部2bを前方に変形させると、本体部2が変形して後方縁部Rが下方に引っ張られ、後方縁部Rの中央部分が下方に移動して頭部に接近し、また本体部2の後方側に位置するポケット6が後方を向くことで、後方の骨部材3Bの中央部分が仮装着のときよりも後方に移動する。
そして装着者Hは、再び本体部2の前方縁部Fを抑えたまま、本体部2の後方縁部Rを頭部に密着させるように押えつける。これにより、後方の骨部材3Bが頭部に密着し、また後方縁部Rに位置するワイヤー5が頭部に沿って密着するように変形する。
このとき、上述したように本体部の前方縁部Fの曲線の長さを後方縁部Rの曲線の長さよりも長くしていることから、前方縁部Fおよび後方縁部Rにおける頭部への接触長さがそれぞれ頭部に一致しやすくなっている。
そのうえで、操作部2bを変形させて、後方縁部Rの接触長さを微調整することにより、様々な形状を有する装着者Hの頭部の形状に対しても、後方縁部Rを頭部に密着させることが可能となっている。
さらに、本体部2の後方縁部Rの第2曲線Rbは、仮装着の際には前方に膨出する曲線状であったのに対し、操作部2bを前方に変形させると変形して第1曲線Raに連続する滑らかな曲線を構成するため、装着状態での後方縁部Rの形状を自然に見せることが可能となっている。
そして、このようにして装着されたカチューシャ1は、2本の骨部材3A、3Bによって頭部に保持されるとともに、上記本体部2に設けられたワイヤー5が可塑性を有していることから、前方縁部Fおよび後方縁部Rがそれぞれ頭部に密着した形状を維持するため、密着性の高い状態を維持することができ、着け心地が良く、また脱落しにくいものとなっている。
【0016】
このように、本実施例のカチューシャ1によれば、装着者Hの頭部の形状に関わらず、これを頭部に密着させることができ、その結果着け心地がよいカチューシャ1を得ることができる。
特に本実施例のカチューシャ1は、上記本体部2の外周縁部を可塑性を有したワイヤー5によって囲繞することで、装着される頭部の形状に合わせてワイヤー5を変形させることができ、本体部2全体を頭部に密着させることができる。
その際、本体部2の後方縁部Rの長さを前方縁部Fの長さよりも長く設定したことで、前方縁部Fおよび後方縁部Rの頭部への接触長さをそれぞれ一致させることができ、前方縁部Fおよび後方縁部Rを頭部に密着させることができる。
特に、後方縁部Rについては、上記操作部2bを変形させることで後方縁部Rの見かけ上の接触長さを微調整することができるため、より頭部への密着性を高めることが可能となっている。
【0017】
これに対し、図5に示す特許文献1のカチューシャ101は、本体部102の外周縁が弾性を有する帯部103によって構成されており、その形状を自由に変形させることができないようになっている。
特に、特許文献1のカチューシャ101はラグビーボール型を有しているため、また前方縁部と後方縁部の長さが同じとなっており、このため装着した際に前方縁部および後方縁部を頭部に密着させることができない。
つまり、当該カチューシャ101を装着するために、本体部102の前方縁部を頭部に密着させても、後方縁部を変形させることができないため、後方縁部と頭部との間には隙間が形成されてしまう。
したがって、カチューシャ101の全体を装着者Hの頭部に密着させることはできず、脱落しやすいという問題が生じていた。
【0018】
また本実施例のカチューシャ1は、2本の骨部材3A、3Bを前後に平行して設けていることから、骨部材3A、3Bの弾性による頭部への圧迫を分散させることができ、特に後方の骨部材3Bを前方の骨部材3Aよりも細くしたことで、頭部にかかる圧迫感が和ぐようになっている。
さらに本実施例のカチューシャ1は、使用後に上記骨部材3A、3Bをポケット6から抜くことで、本体部2を図3に示したように平面的に広げて収納することが可能であり、省スペースにカチューシャ1を収納することが可能となっている。
また、骨部材3A、3Bを本体部2に対して着脱自在としたことで、本体部2のみを洗濯することが可能であり、また本体部2のみを別途購入すれば、デザインの異なる本体部2に骨部材3A、3Bを付け替えることにより、様々なデザインのカチューシャを選択して装着することが可能となる。
【0019】
なお、図を用いての説明は省略するが、上記骨部材3A、3Bに人工毛髪等からなるウィッグを連結することで、本実施例のカチューシャ1を簡易的なカツラとして使用することができる。
例えば、前方の骨部材3Aにウィッグを装着し、当該骨部材3Aを本体部2の前方側のポケット6に装着すると、ウィッグが本体部2の前方縁部Fより露出し、使用者の前髪部分を覆うことができる。
これと同様、後方の骨部材3Bにウィッグを装着し、当該骨部材3Bを本体部2の後方側のポケット6に装着すると、ウィッグが本体部2の後方縁部Rより露出し、使用者の後ろ髪部分を覆うことができる。
上記骨部材3A、3Bは本体部2に対して交換可能であることから、適宜ウィッグ付きの骨部材3A、3Bもしくはウィッグなしの骨部材3A、3Bを本体部2に装着することが可能であり、また髪型を変えた複数セットのウィッグ付きの骨部材3A、3Bを用意してもよい。
また上述したように、デザインの異なる本体部2を購入すれば、ウィッグ付きの骨部材3A、3Bや本体部2を自在に組み合わせて、様々なファッションに対応することが可能となる。
【0020】
図6図8は本発明にかかる第2実施例のカチューシャ1を示し、図6は当該カチューシャ1の正面図を、図7はカチューシャ1を平面的に展開してこれを下方からみた底面図を、図8は本体部2を構成する部材を説明する図となっている。なお、第1実施例に記載したカチューシャ1と共通する構成については同じ符号を付して説明するものとする。
本実施例のカチューシャ1を上記第1実施例のカチューシャ1と比較すると、第1に上記本体部2が図8に示すような2つの木の葉状部材2R、2Lによって構成されている点、第2に上記骨部材3A、3Bが本体部2の中央部分で交差している点で、それぞれ相違している。
【0021】
まず本実施例のカチューシャ1の本体部2は、図8に示す2つの木の葉状部材2R、2Lによって構成されている。これらの木の葉状部材2R、2Lには右左の別があり、左側の木の葉状部材2Lには外側面に上記ロゴプレート4が装着されている(図示せず)。
またこれら木の葉状部材2R、2Lの外周縁部には、第1実施例の本体部2と同様、柔軟性および可塑性を有するワイヤー5が設けられており、それぞれ木の葉状部材2R、2Lの形状を自由に変形させることが可能であるとともに、その形状を維持することができる。
さらに木の葉状部材2R、2Lには、その端部に上記骨部材3の端部を収容するポケット6が形成され、当該ポケット6よりも端部側となる位置には操作部2bが形成されている。
そして、図7に示すように、上記木の葉状部材2R、2Lの先端部同士を相互に結び付けることで本体部2を構成することができ、例えば木の葉状部材2Lの先端部に、木の葉状部材2Rの先端部を巻き付けて結び付けるようになっている。
また上記木の葉状部材2R、2Lの先端部同士を連結した形成した本体部2は、第1実施例のカチューシャ1と同様、後方縁部Rの長さが前方縁部Fの長さよりも長くなるよう、それぞれ木の葉状部材2R、2Lの前方縁部Fおよび後方縁部Rの形状が設定されており、また後方縁部Rにおける上記操作部2bに隣接した位置には上記第2曲線Rbが形成されている。
【0022】
次に本実施例の骨部材3A、3Bは、第1実施例で用いた太さの異なる骨部材3A、3Bを交差させて用いており、上述したようにカチューシャ1の中央部分で交差するよう、その両端が木の葉状部材2R、2Lに形成されたポケット6に収容されるようになっている。
そしてカチューシャ1を装着する際に、上記操作部2bを前方に向けて変形させると、上記交差部分を支点に骨部材3A、3Bの両端部が前後に開閉するようになっている。
また、上記木の葉状部材2R、2Lの内側面には、上記結び目となる位置の近傍に、上記骨部材3A、3Bを通過させて当該骨部材3の脱落を防止するためのループ7が設けられている。
なお、上記骨部材3A,3Bについては、同じ太さのものを使用してもよい。
【0023】
上記第2実施例にかかるカチューシャ1の装着方法について説明する。
まず、2本の骨部材3A、3Bを中央部分で交差させた状態で、これらをそれぞれ上記木の葉状部材2R、2Lに設けたループ7に貫通させ、その後これらの端部をそれぞれポケット6に挿入する。
続いて、例えば木の葉状部材2Rの先端部を、上記骨部材3A、3Bごと木の葉状部材2Lの先端部に巻き付け、木の葉状部材2R、2Lを連結して上記本体部2を形成する。
その後は、第1実施例と同様、形成した本体部2の前方縁部Fを密着させた状態でカチューシャ1を装着者Hの頭部に仮装着し、その後上記操作部2bを装着者Hの耳の形状に沿って前方に変形させる。
すると、本体部2の後方縁部Rが下方に移動し、また本体部2の変形に伴って、交差している2本の骨部材3A、3Bが中央部分を支点として開きながら、頭部に接近する。
その後、装着者Hが本体部2の前方縁部Fを抑えながら、後方縁部Rを頭部に押し当てることで、後方縁部Rを構成するワイヤー5が頭部の形状に沿って変形し、また2本の骨部材3A、3Bも頭部にそれぞれ密着して、カチューシャ1の装着が完了する。
【0024】
なお、上記第1実施例のカチューシャ1では2本の骨部材3A、3Bを前後に平行に設けているが、装着者Hの頭部の形状によっては、第2実施例のように中央部分で交差させたほうが、良好な装着感が得られる場合もある。
また骨部材3A、3Bの両端部をポケット6で保持せず、直接本体部2に固定することも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 カチューシャ 2 本体部
2a 装着部 2b 操作部
4 ロゴプレート 5 ワイヤー
6 ポケット H 装着者
F 前方縁部 R 後方縁部
Ra 第1曲線 Rb 第2曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8