(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】壁固定金具および熱源機ユニット
(51)【国際特許分類】
F16B 5/07 20060101AFI20230712BHJP
F24H 9/06 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
F16B5/07 L
F24H9/06 301A
(21)【出願番号】P 2019096889
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 昌輝
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実公平06-003334(JP,Y2)
【文献】実開平01-091844(JP,U)
【文献】特開2019-037099(JP,A)
【文献】特開2018-031531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0230397(US,A1)
【文献】中国実用新案第208222857(CN,U)
【文献】米国特許第02263901(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
F16B 21/09
F24H 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機を壁に取り付けるための壁固定金具であって、
前記熱源機に取り付けられる第1金具と、
前記壁に固定される第2金具と、を備え、
前記第2金具は前記第1金具を懸架する第1係止部を有し、
前記第1金具は前記第1係止部が挿入される第1孔を有し、
前記第1金具は前記第1孔の上端から前記第1孔内へ突き出す複数の突出部を有し、前記複数の突出部は前記第1孔の前記上端に沿って並んで配置されて
おり、
前記第2金具は金具本体を有し、
前記第1係止部は、前記金具本体と一体に構成され、かつ前記金具本体に対して交差する方向に前記金具本体から切り起こされた構成を有する、壁固定金具。
【請求項2】
前記第1係止部は、
最上部と、
前記最上部よりも下方に位置し、かつ前記金具本体に接合される接合部と、
前記最上部から前記接合部に近付くにしたがって下方に位置し、かつ前記金具本体に近付くように傾斜した傾斜部を有している、請求項
1に記載の壁固定金具。
【請求項3】
前記第1金具は、前記第1孔の下方に取付部を有し、
前記第1金具は、前記取付部において前記熱源機に取り付けられている、請求項1
または請求項
2に記載の壁固定金具。
【請求項4】
前記第1金具は、
前記第1孔を有する第1部分と、
前記第1部分よりも下方に位置し、かつ前記取付部を有する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、かつ前記第1部分から前記第2部分に近付くにしたがって前記第2金具から遠ざかるように傾斜した第3部分と、を有している、請求項
3に記載の壁固定金具。
【請求項5】
前記第2金具は前記第1金具を懸架する第2係止部を有し、
前記第1金具は前記第2係止部が挿入される第2孔を有し、
前記第2孔の上端は平坦である、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の壁固定金具。
【請求項6】
前記取付部は、前記第1孔の真下領域を避けて配置されている、請求項
3または請求項
4に記載の壁固定金具。
【請求項7】
前記第2金具は、前記第2金具を前記壁に固定するための固定部材を通す貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記第1金具が前記第2金具に懸架された状態で前記第1金具と重畳する領域を避けて配置されている、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の壁固定金具。
【請求項8】
前記複数の突出部の各々は、前記第1孔が前記第1金具を貫通する方向から見て円弧形状を有している、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の壁固定金具。
【請求項9】
前記第2金具は、前記熱源機に接続される配管の位置を示す位置表示部を有する、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の壁固定金具。
【請求項10】
前記第1金具は、前記第1係止部の係止位置を示す係止位置表示部を有する、請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の壁固定金具。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の壁固定金具と、
前記壁固定金具によって前記壁に取り付けられる熱源機と、を備えた熱源機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁固定金具および熱源機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器などの器具を壁に取り付ける壁取付装置が、たとえば実開平1-91844号公報(特許文献1)などに開示されている。
【0003】
特許文献1において、給湯器などの器具の裏面には、上取付板および下取付板が固定されている。上取付板および下取付板の各々の下縁には凹部が設けられている。この凹部を、壁に固定された突体に嵌合させることにより、給湯器などの器具が壁に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、突体の壁への取付位置により、給湯器などの熱源機の壁への取付位置が決まる。このため熱源機を壁に取り付けた状態で、その熱源機に接続される排気筒に対する熱源機の位置ずれが生じた場合、突体などの壁固定金具を壁に再度、取り付け直す必要があった。このため熱源機の壁への取付作業の簡易化が望まれている。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱源機の壁への取付が容易な壁固定金具および熱源機ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の壁固定金具は、熱源機を壁に取り付けるための壁固定金具であって、第1金具と、第2金具とを備えている。第1金具は、熱源機に取り付けられる。第2金具は、壁に固定される。第2金具は第1金具を懸架する第1係止部を有している。第1金具は第1係止部が挿入される第1孔を有している。第1金具は第1孔の上端から第1孔内へ突き出す複数の突出部を有し、複数の突出部は第1孔の上端に沿って並んで配置されている。
【0008】
本発明の壁固定金具によれば、第1係止部は第1孔に挿入され、かつ第1金具を懸架するため第1孔の上端に当接する。第1孔の上端には複数の突出部が配置されている。このため第1金具が第2金具に懸架された状態では、第1金具が第2金具に対してスライドすることが複数の突出部によって規制される。これにより熱源機が排気筒などに対して位置ずれを起こしにくくなり、熱源機の壁への取付が容易となる。
【0009】
上記壁固定金具において、第2金具は金具本体を有している。第1係止部は、金具本体と一体に構成され、かつ金具本体に対して交差する方向に金具本体から切り起こされた構成を有している。
【0010】
このように切り起こし加工により第1係止部が形成されるため、第1金具の加工が容易となる。
【0011】
上記壁固定金具において、第1係止部は、最上部と、接合部と、傾斜部とを有している。接合部は、最上部よりも下方に位置し、かつ金具本体に接合されている。傾斜部は、最上部から接合部に近付くにしたがって下方に位置し、かつ金具本体に近付くように傾斜している。
【0012】
これにより第1係止部の傾斜部に沿って第1金具を移動させることができる。このため第2金具に対して第1金具をスムーズに懸架させることができる。
【0013】
上記壁固定金具において、第1金具は、第1孔の下方に取付部を有している。第1金具は、取付部において熱源機に取り付けられている。
【0014】
これにより第1孔を熱源機より上方に配置することができる。このため第1孔に第1係止部を挿入することが容易となる。よって熱源機の壁への取付がより容易となる。
【0015】
上記壁固定金具において、第1金具は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを有している。第1部分は、第1孔を有している。第2部分は、第1部分よりも下方に位置し、かつ取付部を有している。第3部分は、第1部分と第2部分との間に位置し、かつ第1部分から第2部分に近付くにしたがって第2金具から遠ざかるように傾斜している。
【0016】
これにより壁と熱源機との間に係止部を入れるスペースを作ることができる。
上記壁固定金具において、第2金具は前記第1金具を懸架する第2係止部を有している。第1金具は第2係止部が挿入される第2孔を有している。第2孔の上端は平坦である。
【0017】
このように第1孔にのみ突出部を設け、第2孔に突出部を設けないことにより、第1係止部が第1孔に挿入され、かつ第2係止部が第2孔に挿入された状態で、第1金具の位置を第2金具に対してずらすことが容易となる。このため第1金具を第2金具に懸架させた後に、熱源機に取り付けた第1金具を第2金具に対して横方向にスライドさせる操作が容易となる。よって熱源機の壁への取付がより容易となる。
【0018】
上記壁固定金具において、取付部は、第1孔の真下領域を避けて配置されている。
これにより第1孔に第1係止部を挿入する際に、取付部などが第1係止部に干渉することがない。よって熱源機の壁への取付がより容易となる。
【0019】
上記壁固定金具において、第2金具は、第2金具を前記壁に固定するための固定部材を通す貫通孔を有している。貫通孔は、第1金具が第2金具に懸架された状態で第1金具と重畳する領域を避けて配置されている。
【0020】
これにより第1金具が第2金具に懸架される際に、第1金具に固定部材が干渉することがない。よって熱源機の壁への取付がより容易となる。
【0021】
上記壁固定金具において、複数の突出部の各々は、第1孔が第1金具を貫通する方向から見て円弧形状を有している。
【0022】
これにより第1金具が第2金具に懸架された後に、第1係止部が第1孔の円弧形状に沿ってスライドしやすい。このため第1金具が第2金具に懸架された後でも、熱源機の位置調整が容易となる。
【0023】
上記壁固定金具において、第2金具は、熱源機に接続される配管の位置を示す位置表示部を有している。
【0024】
この位置表示部を基準として第2金具を配置することにより、既設の排気筒に対して第2金具を位置決めすることが容易となる。よって熱源機の壁への取付がより容易となる。
【0025】
上記壁固定金具において、第1金具は、第1係止部の係止位置を示す係止位置表示部を有している。
【0026】
この係止位置表示部を基準として第2金具に対して第1金具を配置することにより、第2金具に対する第1金具の位置決めが容易となる。よって熱源機の壁への取付がより容易となる。
【0027】
本発明の熱源機ユニットは、上記の壁固定金具と、壁固定金具によって壁に取り付けられる熱源機とを備えている。
【0028】
本発明の熱源機ユニットによれば、第1係止部は第1孔に挿入され、かつ第1金具を懸架するため第1孔の上端に当接する。第1孔の上端には複数の突出部が配置されている。このため第1金具が第2金具に懸架された状態では、第1金具が第2金具に対してスライドすることが複数の突出部によって規制される。これにより熱源機が排気筒などに対して位置ずれを起こしにくくなり、熱源機の壁への取付が容易となる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によれば、熱源機の壁への取付が容易な壁固定金具および熱源機ユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施の形態における熱源機ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す熱源機ユニットに用いられる壁固定金具の構成を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示す壁固定金具の構成を分解して熱源機側から示す分解斜視図である。
【
図4】
図2に示す壁固定金具の構成を分解して壁側から示す分解斜視図である。
【
図5】
図2に示す壁固定金具の構成を示す側面図である。
【
図6】第1金具が第2金具に懸架された状態を示す正面図である。
【
図7】第1金具の変形例が第2金具に懸架された状態を示す正面図である。
【
図8】
図1に示す熱源機ユニットに含まれる熱源機の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0032】
<熱源機ユニットの構成>
まず本発明の一実施の形態に係る熱源機ユニットの構成について
図1および
図2を用いて説明する。
【0033】
図1および
図2に示されるように、本実施の形態の熱源機ユニット20は、熱源機10と、壁固定金具1、2とを有している。壁固定金具1、2は、熱源機10を壁に取り付けるためのものである。
【0034】
壁固定金具1、2は、第1金具1と、第2金具2とを有している。第1金具1は、熱源機10に取り付けられる。第1金具1は、熱源機10のたとえば後面上端部に取り付けられる。
【0035】
第2金具2は、壁に固定される。熱源機10に取り付けられた第1金具1が、壁に固定された第2金具2に取り付けられる。これにより熱源機10が壁に取り付けられる。壁に取り付けられた熱源機10の接続部16、17には、それぞれ吸気用配管30a、排気用配管30bが接続される。
【0036】
<壁固定金具>
次に、本実施の形態に係る壁固定金具の構成について
図3~
図6を用いて説明する。
【0037】
図3に示されるように、第1金具1は、たとえば金属よりなっている。第1金具1は、第1部分1aと、第2部分1bと、第3部分1cとを有している。第1部分1a、第2部分1bおよび第3部分1cは一体化されている。第1部分1a、第2部分1bおよび第3部分1cは、1枚の板を折り曲げることにより構成されている。
【0038】
第1部分1aの下方に第2部分1bが位置している。第1部分1aと第2部分1bとの間に第3部分1cが位置している。第3部分1cの上端は、第1部分1aの下端に接合されている。第3部分1cの下端は、第2部分1bの上端に接合されている。
【0039】
第3部分1cは、第1部分1aから第2部分1bに近付くにしたがって第2金具2から遠ざかるように傾斜している。第3部分1cの上端部は、第3部分1cの下端部よりも第2金具2の近くであって、熱源機10から離れた位置に配されている。
【0040】
第1部分1aと第2部分1bとは、たとえば互いに平行である。第3部分1cは、第1部分1aおよび第2部分1bの双方に対して傾斜している。
【0041】
第1部分1aには、複数の貫通孔1d(第1孔)が設けられている。複数の貫通孔1dは、第1部分1aの長手方向(左右方向)に沿って互いに間隔を開けて並んでいる。複数の貫通孔1dの各々は、第1部分1aだけでなく、第1部分1aから第3部分1cまで延びるように設けられていてもよい。また複数の貫通孔1dの各々は、第1部分1aから第3部分1cを経由して第2部分1bまで延びるように設けられていてもよい。
【0042】
第2部分1bには、複数のネジ挿入孔1e(取付部)が設けられている。複数のネジ挿入孔1eは、複数の貫通孔1dの下方に配置されている。複数のネジ挿入孔1eの各々は、貫通孔1dの真下領域を避けて配置されている。
【0043】
図4に示されるように、第1金具1は、複数のネジ挿入孔1eの各々において熱源機10に取り付けられている。具体的にはネジ3aが、ネジ挿入孔1eに挿入された後に、熱源機10の後面に設けられたネジ穴10aにねじ込まれる。このように、たとえばネジ3aにより第1金具1は熱源機10に取り付けられている。
【0044】
図3に示されるように、第2金具2は、たとえば金属よりなっている。第2金具2は、金具本体2aと、複数の係止部2bとを有している。金具本体2aおよび複数の係止部2bは一体化されている。複数の係止部2bの各々は、金具本体2aから切り起こされた構成を有している。複数の係止部2bの各々は、金具本体2aに対して交差する方向(たとえば直交方向)に金具本体2aから切り起こされている。
【0045】
複数の係止部2bの各々は、第1金具1を懸架するためのものである。複数の係止部2bのそれぞれは、第1金具1の複数の貫通孔1dに挿入されることにより第1金具1を懸架する。金具本体2aには、複数の係止部2bを切り起こしたことにより生じた貫通孔2cが設けられている。複数の係止部2bは、金具本体2aの長手方向(左右方向)に沿って互いに間隔を開けて並んでいる。
【0046】
図5に示されるように、複数の係止部2bの各々は、最上部2baと、接合部2bbと、傾斜部2bcとを有している。係止部2bの最上部2baは、係止部2bの部分のうちもっと高い場所に位置する部分である。係止部2bの接合部2bbは、係止部2bの部分うち金具本体2aと接合される部分である。
【0047】
係止部2bの傾斜部2bcは、最上部2baと接合部2bbの上端との間に位置している。傾斜部2bcは、最上部2baから接合部2bbの上端に近付くにしたがって下方に位置するように傾斜している。つまり傾斜部2bcは、最上部2baから接合部2bbの上端に向かって下り勾配の傾斜を有している。また傾斜部2bcは、最上部2baから接合部2bbの上端に向かうにしたがって金具本体2aに近付くように傾斜している。
【0048】
第1金具1の第1部分1aと第2部分1bとの前後方向の距離L1は、金具本体2aに対する係止部2bの前方への突き出し寸法L2よりも大きい。これにより係止部2bは、第1金具1の貫通孔1d内に挿入され、第1金具1を懸架することができる。
【0049】
図3に示されるように、第2金具2には、複数の貫通孔2fa、2fbが設けられている。複数の貫通孔2fa、2fbの各々は、第2金具2を壁に固定するための固定部材(たとえばネジ、ピンなど)を通すための孔である。
【0050】
第2金具2は、複数の貫通孔2fa、2fbの各々において壁に固定されている。具体的には固定部材(図示せず)が、複数の貫通孔2fa、2fbの各々に挿入された後に、壁に固定される。固定部材はたとえばネジであり、複数の貫通孔2fa、2fbの各々に挿入された後に、壁に埋設されたアンカーにねじ込まれている。このように、固定部材により第2金具2は壁に固定されている。
【0051】
図6に示されるように、貫通孔2fa、2fbの各々は、第1金具1が第2金具2に懸架された状態で第1金具1と重畳する領域Rを避けて配置されている。具体的には第1金具1は第2金具2に対して左右方向にスライド可能であり、貫通孔2fa、2fbの各々は、第2金具2に対する第1金具1のスライドによる重畳可能な領域Rを避けて配置されている。
【0052】
貫通孔2faは、上記領域Rの左右方向(第2金具2に対する第1金具1のスライド方向)に位置している。貫通孔2fbは、上記領域Rよりも上方に位置している。
【0053】
図3に示されるように、第1金具1の第1部分1aは、複数の係止位置表示部1fを有している。複数の係止位置表示部1fの各々は、係止部2bの係止位置を示す表示である。複数の係止位置表示部1fのそれぞれは、複数の貫通孔1dの真上に位置している。複数の係止位置表示部1fの各々は、たとえば逆三角形の図形表記よりなっている。
【0054】
第2金具2の金具本体2aは、配管30a、30b(
図1)の位置を示す位置表示部2d、2eを有している。位置表示部2dは、吸気用配管(吸気管)30a(
図1)の位置を示している。位置表示部2eは、排気用配管(排気管)30bの位置を示している。
【0055】
位置表示部2dは、たとえば三角形の図形と「IN」の文字との表記よりなっている。また位置表示部2eは、たとえば三角形の図形と「OUT」の文字との表記よりなっている。
【0056】
図6に示されるように、本実施の形態においては、第1金具1は複数の突出部1daを有している。複数の突出部1daの各々は、第1部分1aと一体化され、かつ接続されている。複数の突出部1daの各々は、貫通孔1dの上端から貫通孔1d内へ突き出している。
【0057】
複数の突出部1daは、貫通孔1dの上端に沿って互いに間隔1dbを開けて並ぶように配置されている。複数の突出部1daは、左右方向(第1部分1aの長手方向)に沿って互いに間隔1dbを開けて並ぶように配置されている。互いに隣り合う2つの突出部1daの間の間隔1dbの幅W2は、係止部2bの厚みTよりも大きい。
【0058】
貫通孔1dの左右方向の寸法W1は、係止部2bの厚みTよりも大きく、かつ2つの突出部1daの間の間隔1dbの幅W2よりも大きい。貫通孔1dの左右方向の寸法W1は、貫通孔1d内に係止部2bを挿入した状態で第2金具2に対して第1金具1を左右方向にスライドさせたい距離に基づいて設定される。
【0059】
複数の貫通孔1dは、第1貫通孔1d1(第1孔)と、第2貫通孔1d2(第2孔)とを有している。第1貫通孔1d1の上端には、上記複数の突出部1daが配置されている。一方、第2貫通孔1d2の上端は平坦であり、突出部が設けられていない。
【0060】
3つの貫通孔1dが第1金具1に並んで配置される場合、3つの貫通孔1dのうち真ん中に配置された貫通孔1dが第1貫通孔1d1とされ、両端の2つの貫通孔1dが第2貫通孔1d2とされてもよい。
【0061】
複数の係止部2bは、第1係止部2b1と、第2係止部2b2とを有している。第1係止部2b1は、第1貫通孔1d1に挿入されており、第1貫通孔1d1の上端に当接している。第2係止部2b2は、第2貫通孔1d2に挿入されており、第2貫通孔1d2の上端に当接している。
【0062】
また複数の貫通孔1dのすべてが第1貫通孔1d1とされてもよい。
<熱源機の壁への取付方法>
次に、本実施の形態の壁固定金具1、2を用いて熱源機10を壁に取り付ける方法について
図1~
図4を用いて説明する。
【0063】
図3に示されるように、まず第2金具2が壁に固定される。この際、固定部材が第2金具2の複数の貫通孔2fa、2fbの各々に挿入された後に壁に固定される。具体的には、家屋の外壁などにアンカー(図示せず)が埋め込まれている。このアンカーに、複数の貫通孔2fa、2fbの各々に挿入された固定部材(たとえばネジ)がねじ込まれることにより第2金具2が壁に固定される。
【0064】
第2金具2を壁に固定する際には、吸気用配管30aおよび排気用配管30b(
図1)の位置に対して第2金具2が位置決めされる。具体的には、吸気用配管30aの位置に位置表示部2dの位置が合わされ、かつ排気用配管30bの位置に位置表示部2eの位置が合わされた状態で第2金具2が壁に固定される。
【0065】
図4に示されるように、第1金具1が熱源機10に取り付けられる。この際、ネジ3aが、ネジ挿入孔1eに挿入された後に、熱源機10の後面のネジ穴10aにねじ込まれる。
【0066】
図2に示されるように、第1金具1の貫通孔1dに、第2金具2の係止部2bが挿入される。これにより係止部2bが貫通孔1dの上端に当接し、熱源機10に取り付けられた第1金具1が第2金具2に懸架される。
【0067】
貫通孔1dに係止部2bを挿入する際には、係止部2bの位置に対して貫通孔1dが位置決めされる。具体的には、係止部2bの位置に係止位置表示部1fの位置が合わされた状態で貫通孔1dに係止部2bが挿入される。
【0068】
以上により熱源機10が壁に取り付けられる。
図1に示されるように、熱源機10が壁に取り付けられた後に、熱源機10の接続部16、17の各々に吸気用配管30aおよび排気用配管30bの各々が接続される。熱源機10における接続部16、17の各々の位置に対して吸気用配管30aおよび排気用配管30bの位置がずれている場合、第1金具1が第2金具2に対して左右方向にスライド移動される。具体的には、貫通孔1dの位置が係止部2bに対して左右方向に移動される。これにより熱源機10における接続部16、17の各々の位置に対して吸気用配管30aおよび排気用配管30bの位置が合わされる。
【0069】
<変形例>
次に、変形例の構成について
図7を用いて説明する。
【0070】
図7に示されるように、複数の突出部1daの各々の形状は、貫通孔1dが第1金具1を貫通する方向(前後方向)から見て円弧形状を有している。突出部1daが円弧形状を有する場合、複数の突出部1daは互いに左右方向に接続されて配置されていてもよい。また互いに隣り合う2つの突出部1daの間に、
図6に示すような平坦な間隔1dbが配置されていてもよい。
【0071】
なお上記以外の本変形例の構成は、
図1~
図6に示す実施の形態の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0072】
<熱源機の構成>
次に、本発明の一実施の形態に係る熱源機の一例として給湯装置の構成について
図8を用いて説明する。
【0073】
ただし熱源機は、給湯装置に限定されず、たとえば温水装置、暖房装置、温水暖房付きふろ給湯装置などであってもよい。また熱源機は、燃料ガスを燃焼させる方式であってもよく、石油を燃焼させる方式であってもよい。また熱源機は、貯湯式であってもよく、また瞬間式であってもよい。また熱源機は、排気吸引燃焼方式の給湯装置に限定されず、押し出し燃焼方式の給湯装置であってもよい。
【0074】
図8に示されるように、給湯装置10は、外装ケース11と、燃焼装置12と、熱交換器13と、排気ボックス14と、送風機15とを主に有している。
【0075】
外装ケース11の内部に、燃焼装置12、熱交換器13、排気ボックス14および送風機15が配置されている。燃焼装置12は、熱交換器13と熱交換する燃焼ガスを生じさせるためのものである。燃焼装置12の上方に熱交換器13が配置されている。
【0076】
熱交換器13は、たとえば1次熱交換器と、2次熱交換器とを有している。1次熱交換器は、燃焼装置12にて生じた燃焼ガスの顕熱を回収するための顕熱回収型の熱交換器である。2次熱交換器は、燃焼装置12にて生じた燃焼ガスの潜熱を回収するための潜熱回収型の熱交換器である。
【0077】
熱交換器13の上方に排気ボックス14が配置されている。排気ボックス14には送風機15が接続されている。
【0078】
排気ボックス14は熱交換器13と送風機15との間の燃焼ガスの流れの経路を構成している。この排気ボックス14により、熱交換器13で熱交換された後の燃焼ガスを送風機15へ導くことが可能である。排気ボックス14は、熱交換器13に取り付けられており、熱交換器13よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。
【0079】
送風機15は、熱交換器13を経由した(熱交換器13で熱交換された)後の燃焼ガスを吸引して給湯装置10の外部へ排出するためのものであり、給湯装置10の外部に位置する排気用配管30b(
図1)に接続されている。
【0080】
送風機15は、排気ボックス14および熱交換器13よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。つまり給湯装置10においては、燃焼装置12で生じた燃焼ガスの流れの上流側から下流側に沿って、燃焼装置12、熱交換器13、排気ボックス14および送風機15の順で並んでいる。この配置において送風機15で燃焼ガスを吸引して排気するため、本実施の形態の給湯装置10は排気吸引燃焼方式の給湯装置となっている。
【0081】
上記の給湯装置10において、給水配管から2次熱交換器に供給された水は、燃焼装置12にて生じた燃焼ガスの潜熱を回収することにより予熱される。2次熱交換器にて予熱された湯は、1次熱交換器に供給される。1次熱交換器に供給された湯は、燃焼装置12にて生じた燃焼ガスの顕熱を回収することにより加熱される。1次熱交換器にて加熱された湯は、出湯配管を通じて給湯装置10の外部へ供給される。
【0082】
また給水配管からバイパス配管を通じて水が出湯配管に供給制御される。これにより出湯配管内の湯の温度が調整される。所望の温度に調整された湯が出湯配管から供給される。
【0083】
<本実施の形態の効果>
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0084】
本実施の形態によれば
図6に示されるように、係止部2bは貫通孔1dに挿入され、かつ第1金具1を懸架するため貫通孔1dの上端に当接する。貫通孔1dの上端には複数の突出部1daが配置されている。このため第1金具1が第2金具2に懸架された状態では、第1金具1が第2金具2に対して左右方向にスライドすることが複数の突出部1daによって規制される。これにより熱源機10が配管(吸気用配管30a、排気用配管30b)などに対して位置ずれを起こしにくくなり、熱源機10の壁への取付が容易となる。
【0085】
また本実施の形態によれば
図3に示されるように、第2金具2は金具本体2aを有している。係止部2bは、金具本体2aと一体に構成され、かつ金具本体2aに対して交差する方向に金具本体2aから切り起こされた構成を有している。これにより1枚の板に切れ目を入れ、その切れ目から板の一部を他の部分に対して折り曲げる加工をすることにより、金具本体2aと係止部2bとを形成することができる。このため、金具本体2aと係止部2bとの加工が容易となる。
【0086】
また本実施の形態によれば
図5に示されるように、係止部2bは、最上部2baと、接合部2bbとを有している。接合部2bbは、最上部2baよりも下方に位置し、かつ金具本体2aに接合されている。係止部2bは、最上部2baから接合部2bbに向かうにしたがって下方に位置し、かつ金具本体2aに近付くように傾斜した傾斜部2bcを有している。これにより係止部2bを第1金具1の貫通孔1dに挿入する際に、係止部2bの傾斜部2bcに沿って第1金具1を移動させることができる。このため第2金具2に対して第1金具1をスムーズに懸架させることができる。
【0087】
また本実施の形態によれば
図6に示されるように、第1金具1は、貫通孔1dの下方にネジ挿入孔1eを有している。第1金具1は、ネジ挿入孔1eにおいて熱源機10に取り付けられている。これにより
図2に示されるように貫通孔1dを熱源機10より上方に配置することができる。このため貫通孔1dに係止部2bを挿入する作業が容易となる。よって熱源機10の壁への取付がより容易となる。
【0088】
また本実施の形態によれば
図5に示されるように、第1金具1は、第1部分1aと、第2部分1bと、第3部分1cとを有している。この第3部分1cは、第1部分1aと第2部分1bとの間に位置し、かつ第1部分1aから第2部分1bに近付くにしたがって第2金具2から遠ざかるように傾斜している。これにより係止部2bを壁と熱源機10との間に入れるスペースを作ることができる。
【0089】
また本実施の形態によれば
図6に示されるように、第2係止部2b2が挿入される貫通孔1d2の上端は平坦であり、突出部が設けられていない。このように貫通孔1d1にのみ複数の突出部1daを設け、その他の貫通孔1d2には突出部を設けないことにより、係止部2bが貫通孔1dに挿入された状態で、第1金具1の左右方向の位置を第2金具2に対してずらすことが容易となる。たとえば第1金具1が取り付けられた熱源機10の片側のみを持ち上げて第2金具2に対して左右方向にスライドさせることが可能となり、熱源機10の全体を持ち上げる必要がない。このため熱源機10の左右方向の位置を微調整することが容易となり、熱源機10の壁への取付がより容易となる。
【0090】
また本実施の形態によれば
図6に示されるように、ネジ挿入孔1eは、貫通孔1dの真下領域を避けて配置されている。これにより貫通孔1dに係止部2bを挿入する際に、
図4に示されるようにネジ挿入孔1eに挿入したネジ3aが係止部2bに干渉することがない。よって熱源機10の壁への取付がより容易となる。
【0091】
また本実施の形態によれば
図6に示されるように、第2金具2は、第2金具2を壁に固定するための固定部材を通す貫通孔2fa、2fbを有している。貫通孔2fa、2fbは、第1金具1が第2金具2に懸架された状態で第1金具1と重畳する領域Rを避けて配置されている。これにより第1金具1が第2金具2に懸架される際に、第1金具1に固定部材が干渉することがない。よって熱源機10の壁への取付がより容易となる。
【0092】
また本実施の形態によれば
図7に示されるように、複数の突出部1daの各々は、貫通孔1dが第1金具1を貫通する方向(前後方向)から見て円弧形状を有していてもよい。これにより第1金具1が第2金具2に懸架された後に、係止部2bが突出部1daの円弧形状に沿って左右方向にスライドしやすくなる。このため第1金具1が第2金具2に懸架された後でも、熱源機10の位置調整がより容易となる。
【0093】
また本実施の形態によれば
図3に示されるように、第2金具2は、熱源機10に接続される配管30a、30b(
図1)の位置を示す位置表示部2d、2eを有している。これにより既設の配管30a、30bに対して熱源機10を位置決めすることが容易となる。よって熱源機10の壁への取付がより容易となる。
【0094】
また本実施の形態によれば
図3に示されるように、第1金具1は、係止部2bの係止位置を示す係止位置表示部1fを有している。これにより第2金具2に対する第1金具1の位置決めが容易となる。よって熱源機10の壁への取付がより容易となる。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 第1金具、1a 第1部分、1b 第2部分、1c 第3部分、1d,2c,2fa,2fb 貫通孔、1d1 第1貫通孔、1d2 第2貫通孔、1da 突出部、1db 間隔、1e ネジ挿入孔、1f 係止位置表示部、2 第2金具、2a 金具本体、2b 係止部、2b1 第1係止部、2b2 第2係止部、2ba 最上部、2bb 接合部、2bc 傾斜部、2d,2e 位置表示部、3a ネジ、10 熱源機、10a ネジ穴、11 外装ケース、12 燃焼装置、13 熱交換器、14 排気ボックス、15 送風機、16,17 接続部、20 熱源機ユニット、30a 吸気用配管、30b 排気用配管、R 領域。