(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20230712BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20230712BHJP
F23N 5/26 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
F24C3/12 V
F24C15/00 S
F23N5/26 R
(21)【出願番号】P 2019214612
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 亮佑
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135215(JP,A)
【文献】特開2019-39647(JP,A)
【文献】特開2014-25650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 15/00
F23N 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガス燃焼機と、
前記ガス燃焼機を点火状態および消火状態に切り替えるための操作部と、
前記ガス燃焼機の火力を調節するための操作つまみと、
前記操作つまみの回転量を検出するためのロータリーエンコーダと、
前記操作部により前記ガス燃焼機が前記点火状態に設定された場合は前記ロータリーエンコーダに電源を供給し、前記操作部により前記ガス燃焼機が前記消火状態に設定された場合は前記ロータリーエンコーダに対する前記電源の供給を遮断する切替回路と、を備える、
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
前記ガス燃焼機が複数配置され、
前記操作部および前記切替回路は、前記ガス燃焼機ごとに配置され、
前記切替回路は、対応する前記ガス燃焼機の前記操作部により当該ガス燃焼機が前記点火状態と前記消火状態との間で切り替えられることに基づいて、当該ガス燃焼機に対応付けられた前記ロータリーエンコーダに対する前記電源の供給を通電および遮断の状態にそれぞれ切り替える、
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスコンロにおいて、
前記操作つまみは、前記火力の調節とともに、前記点火状態および前記消火状態を切り替えるための前記操作部の機能を兼ねる、
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項4】
請求項3に記載のガスコンロにおいて、
前記操作つまみの前面に対する押し込み操作に応じて、前記操作つまみの前面がコンロ本体の前面と略面一になる消火位置と、前記操作つまみの前面がコンロ本体の前面から突出した点火位置との間で移動可能に、前記操作つまみを移動させるプッシュプッシュ機構をさらに備え、
前記ガス燃焼機は、前記押し込み操作により前記操作つまみが前記点火位置および前記消火位置に位置付けられることにより、前記点火状態および消火状態に設定され、前記点火位置において前記操作つまみが回転されることにより、火力が調節される、
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のガスコンロにおいて、
乾電池からの電力により回路部の電源を生成する電源供給回路を備える、
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載のガスコンロにおいて、
前記ガス燃焼機は、コンロ本体の天面に配置されたガスバーナである、
ことを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみを介して火力調節が可能なガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作つまみを介して火力調節が可能なガスコンロが商品化されている。この種のガスコンロでは、操作つまみの回転量を検出するためにロータリーエンコーダが用いられる。たとえば、以下の特許文献1には、ロータリーエンコーダによって操作つまみの回転量を検出するガスコンロが記載されている。
【0003】
このガスコンロでは、操作つまみがプッシュプッシュ機構を備え、このプッシュプッシュ機構によって、操作つまみが突出位置と押し込み位置に位置付けられる。突出位置は点火状態の位置であり、押し込み位置は消火状態の位置である。操作つまみが突出位置に突出したことがマイクロスイッチによって検知される。この検知に応じて、当該操作つまみに対応付けられたガスバーナが点火する。その後、操作つまみが回転されると、ロータリーエンコーダによって回転量が検出され、検出された回転量に応じた火力に、ガスバーナの火力が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のガスコンロでは、使用者により電源スイッチがONに切り替えられることに応じて、各操作つまみのロータリーエンコーダが通電状態となる。このため、ガスバーナが使用されていない状態においても、ロータリーエンコーダに電圧が供給され、ロータリーエンコーダにより無駄に電力が消費されてしまう。この問題は、特に、電源として乾電池を用いる場合に、顕著となる。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、操作つまみの回転量を検出するためのロータリーエンコーダにおける消費電力を、適切かつ効果的に抑制することが可能なガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係るガスコンロは、少なくとも1つのガス燃焼機と、前記ガス燃焼機を点火状態および消火状態に切り替えるための操作部と、前記ガス燃焼機の火力を調節するための操作つまみと、前記操作つまみの回転量を検出するためのロータリーエンコーダと、前記操作部により前記ガス燃焼機が前記点火状態に設定された場合は前記ロータリーエンコーダに電源を供給し、前記操作部により前記ガス燃焼機が前記消火状態に設定された場合は前記ロータリーエンコーダに対する前記電源の供給を遮断する切替回路と、を備える。
【0008】
本態様に係るガスコンロによれば、ガス燃焼機が消火状態にある場合は、ロータリーエンコーダに対する電源の供給が遮断される。このため、ガス燃焼機が消火状態にある場合に、ロータリーエンコーダにおいて無駄に電力が消費されることを抑制できる。
【0009】
本態様に係るガスコンロにおいて、前記ガス燃焼機が複数配置され、前記操作部および前記切替回路は、前記ガス燃焼機ごとに配置され得る。この場合、前記切替回路は、対応する前記ガス燃焼機の前記操作部により当該ガス燃焼機が前記点火状態と前記消火状態との間で切り替えられることに基づいて、当該ガス燃焼機に対応付けられた前記ロータリーエンコーダに対する前記電源の供給を通電および遮断の状態にそれぞれ切り替えるよう構成され得る。
【0010】
この構成によれば、ガス燃焼機ごとの点火および消火の切替に応じて、対応するロータリーエンコーダに対する電源の供給および遮断が個別に切り替えられる。よって、ロータリーエンコーダにおける無駄な電力消費をより効果的に抑制できる。
【0011】
本態様に係るガスコンロにおいて、前記操作つまみは、前記火力の調節とともに、前記点火状態および前記消火状態を切り替えるための前記操作部の機能を兼ねることが好ましい。
【0012】
たとえば、ガスコンロは、前記操作つまみの前面に対する押し込み操作に応じて、前記操作つまみの前面がコンロ本体の前面と略面一になる消火位置と、前記操作つまみの前面がコンロ本体の前面から突出した点火位置との間で移動可能に、前記操作つまみを移動させるプッシュプッシュ機構をさらに備え得る。この場合、前記ガス燃焼機は、前記押し込み操作により前記操作つまみが前記点火位置および前記消火位置に位置付けられることにより、前記点火状態および消火状態に設定され、前記点火位置において前記操作つまみが回転されることにより、火力が調節される。
【0013】
この構成によれば、ガス燃焼機の点火および消火の操作と火力調節が、1つの操作つまみに対する操作によって行われ得る。よって、操作の簡便化を図ることができる。
【0014】
本態様に係るガスコンロは、乾電池からの電力により回路部の電源を生成する電源供給回路を備え得る。
【0015】
この構成によれば、上記のように、ガス燃焼機が消火状態にある場合に、ロータリーエンコーダに対する電源の供給が遮断されるため、乾電池の寿命を延ばすことができる。よって、ガスコンロの利便性を高めることができる。
【0016】
本態様に係るガスコンロにおいて、前記ガス燃焼機は、典型的には、コンロ本体の天面に配置されたガスバーナである。この他、ガス燃焼機が、グリル室に配置されたグリルバーナであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、操作つまみの回転量を検出するためのロータリーエンコーダにおける消費電力を、適切かつ効果的に抑制することが可能なガスコンロを提供することができる。
【0018】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、ガスコンロの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、ガスコンロの燃焼系の構成を示す図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、実施形態に係る、操作つまみの突出状態および押し込み状態を模式的に示す図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係る、ロータリーエンコーダの構成を模式的に示す断面図である。
図4(b)は、実施形態に係る、ロータリーエンコーダの回転軸が回転した場合にロータリーエンコーダから出力される信号を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、ロータリーエンコーダ周辺の回路ブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、ロータリーエンコーダに対する電源電圧の供給制御を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変更例に係る、ロータリーエンコーダ周辺の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るガスコンロ1について図面を参照して説明する。
【0021】
以下の実施形態では、コンロ部4a、4b、4cに配置されたガスバーナ101~103が、特許請求の範囲に記載のガス燃焼機に対応する。ただし、この記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0022】
【0023】
図1に示すように、ガスコンロ1は、コンロ本体2と、コンロ本体2の上部に設置された天板3とを備える。天板3には、3つのコンロ部4a、4b、4cが配置されている。コンロ部4a、4b、4cは、それぞれ、ガスを燃料として燃焼するガスバーナと、鍋等を設置するためのごとくとを備える。また、天板3の後部には、左右に並ぶように2つの排気口5が設けられている。
【0024】
コンロ本体2の内部には、中央にグリル部6が設けられる。グリル部6には、上下にグリルバーナ(図示せず)が設けられ、グリルバーナの燃焼によりグリル調理が行われる。グリル部6から排気口5を通じて排気が行われる。
【0025】
コンロ本体2の前面2aには、中央にグリル扉7が設けられる。グリル扉7の裏側にグリル皿(図示せず)が一体的に設けられ、グリル扉7を前方に移動させることで、グリル皿をグリル部6から外部へ引き出すことができる。また、コンロ本体2の前面2aには、グリル扉7の右側および左側に、それぞれ、コンロ部4a、4b、4c用の操作部8と、グリル部6用の操作部9とが設けられている。
【0026】
操作部8は、3つのコンロ部4a、4b、4cにそれぞれ対応する3つの操作つまみ10a、10b、10cと、カンガルーポケット型の操作パネル11と、を含む。3つの操作つまみ10a、10b、10cは、各操作つまみ10a、10b、10cに対応するコンロ部4a、4b、4cに点火するとき、および、点火しているコンロ部4a、4b、4cを消火するときに操作される。また、操作つまみ10a、10b、10cを回転させることにより、コンロ部4a、4b、4cのガスバーナに供給されるガスの流量が調節される。
【0027】
操作つまみ10a~10cは、プッシュプッシュ機構によって、操作つまみ10a~10cの前面がコンロ本体2の前面2aと略面一になる消火位置と、操作つまみ10a~10cの前面がコンロ本体2の前面2aから突出した点火位置との何れかの位置に位置づけられる。
図1では、操作つまみ10a、10cが消火位置に押し込まれ、操作つまみ10bが点火位置に突出している。使用者により操作つまみ10a、10cが消火位置からさらに押し込まれると、プッシュプッシュ機構によって、操作つまみ10a、10cが点火位置に突出する。また、使用者により操作つまみ10bが押し込まれると、プッシュプッシュ機構によって、操作つまみ10bが消火位置に係止される。
【0028】
操作つまみ10a~10cが、消火位置から点火位置に突出すると、対応するコンロ部のガスバーナが、中火の火力で点火する。使用者は、その後、点火位置に突出した操作つまみを回転させることにより、対応するコンロ部の火力を調節できる。また、操作つまみ10a~10cが、点火位置から消火位置に押し込まれると、対応するコンロ部のガスバーナが消火される。
【0029】
操作パネル11には、コンロ部4a、4b、4cに関する所定の設定を入力するための複数の操作キー11aが配置されている。操作パネル11は、プッシュプッシュ機構によって、操作パネル11の前面がコンロ本体2の前面2aと面一になる閉塞位置と、操作パネル11の前面がコンロ本体2の前面2aから前方に傾いた開放位置との何れかの位置に位置づけられる。
図1には、操作パネル11が開放位置にあるときの状態が示されている。
【0030】
操作部9は、カンガルーポケット型の操作パネル12を備える。操作パネル12には、グリル部6に関する所定の設定を入力するための複数の操作キー12aが配置されている。操作パネル12は、プッシュプッシュ機構によって、操作パネル12の前面がコンロ本体2の前面2aと面一になる閉塞位置と、操作パネル12の前面がコンロ本体2の前面2aから前方に傾いた開放位置との何れかの位置に位置づけられる。
図1には、操作パネル12が開放位置にあるときの状態が示されている。
【0031】
さらに、コンロ本体2の正面右端には、ガスコンロ1を起動するための電源スイッチ13が設けられている。電源スイッチ13は、ガスコンロ1に電源を投入するためのスイッチである。本実施形態では、乾電池により、回路部に電源が供給される。電源スイッチ13が投入されると、乾電池から生じる電力が回路部に供給される。
【0032】
図2は、ガスコンロ1の燃焼系の構成を示す図である。
【0033】
ガスコンロ1は、燃焼系の構成として、ガスバーナ101~103と、グリルバーナ104、105を備える。
【0034】
ガスバーナ101~103は、それぞれ、コンロ部4a~4cに設置される。グリルバーナ104、105は、グリル部6に設置される。グリルバーナ104は下側のバーナであり、グリルバーナ105は上側のバーナである。
【0035】
ガスバーナ101~103に着火を行うための点火器111~113と、グリルバーナ104、105に着火を行うための点火器114、115が設けられている。また、ガスバーナ101~103が着火したことを検出するための熱電対121~123と、グリルバーナ104、105が着火したことを検出するための熱電対124、125が設けられている。
【0036】
ガスバーナ101~103およびグリルバーナ104、105には、配管130~134を介して、燃料ガス(以下、単に「ガス」という)が供給される。配管130から、4つの配管131~134が分岐し、さらに配管134から2つの配管134a、134bが分岐している。配管131~133が、それぞれ、ガスバーナ101~103に接続され、配管134a、134bが、それぞれ、グリルバーナ104、105に接続されている。
【0037】
配管130には、ガスの導通および遮断を制御するための元ガス電磁弁140が設けられている。また、配管131~134には、それぞれ、ガスの導通および遮断を制御するための安全弁141~144が設けられている。さらに、配管131~134には、それぞれ、ガスの流量を制御するための流量調節弁(以下、「流調弁」という)151~154が設けられている。流調弁151~154は、ステッピングモータ151a~154aによって駆動され、開放量が制御される。この他、配管134bには、ガスの流通を遮断するための閉止電磁弁161が設けられている。
【0038】
元ガス電磁弁140と、安全弁141~144および閉止電磁弁161が開放されることにより、ガスバーナ101~103とグリルバーナ104、105にガスが供給される。ステッピングモータ151a~154aにより流調弁151~154の開放量が調節されることにより、ガスバーナ101~103とグリルバーナ104、105に供給されるガスの量が調節される。グリル部6において、下側のグリルバーナ104のみが用いられる場合、閉止電磁弁161が閉じられる。こうして、コンロ部4a~4cおよびグリル部6において、燃焼動作が行われる。
【0039】
図3(a)、(b)は、それぞれ、操作つまみ10aの突出状態および押し込み状態を模式的に示す図である。ここでは、便宜上、操作つまみ10aに関する構成が図示されているが、操作つまみ10b、10cに関する構成も、
図3(a)、(b)と同様の構成である。
図3(a)、(b)には、操作つまみ10aを側方から見た状態が模式的に示されている。
【0040】
操作つまみ10aの内方に、ロータリーエンコーダ200が配置され、コンロ本体2の前面2aの裏側に、検出スイッチ210が配置されている。操作つまみ10aは、プッシュプッシュ機構220および中継軸230を介して、ロータリーエンコーダ200に接続されている。中継軸230は、ロータリーエンコーダ200の回転軸(図示せず)に固定されている。プッシュプッシュ機構220は、中継軸230と操作つまみ10aとを連結する。
【0041】
プッシュプッシュ機構220は、操作つまみ10aが、中継軸230に対して中継軸230の長手方向に移動可能で、且つ、中継軸230の周方向に中継軸230と一体的に回転するように、操作つまみ10aと中継軸230とを連結する。また、プッシュプッシュ機構220は、バネにより、操作つまみ10aを中継軸230に対して外方に付勢する。
【0042】
図3(a)の点火位置から、操作つまみ10aがバネの付勢に抗して
図3(b)の消火位置まで押し込まれると、操作つまみ10aは、プッシュプッシュ機構220の係止機構によって消火位置に係止される。また、
図3(b)の消火位置から、操作つまみ10aがバネの付勢に抗してさらに押し込まれると、上記係止機構による係止が解除され、操作つまみ10aは、バネの付勢により、
図3(a)の点火位置まで移動する。このとき、操作つまみ10aは、プッシュプッシュ機構220の規制機構によって、点火位置から外方への突出が規制される。
【0043】
図3(a)に示すように、操作つまみ10aが点火位置にある場合、検出スイッチ210が、操作つまみ10aの鍔部A1に押されてオン状態になる。また、操作つまみ10aが点火位置から内方に押し込まれると、鍔部A1が検出スイッチ210から離れて、検出スイッチ210がオフ状態になる。こうして、検出スイッチ210がオン状態とオフ状態の何れにあるかによって、操作つまみ10aが、点火位置と消火位置の何れにあるかが検出される。検出スイッチ210は、たとえば、プッシュ式のマイクロスイッチである。
【0044】
操作つまみ10aが消火位置から点火位置に突出して検出スイッチ210がオフ状態からオン状態に切り替えられると、
図2に示したガスバーナ101の安全弁141が開放される。このとき、ステッピングモータ151aが駆動されて、流調弁151が中火のガス流量となるように調節される。次いで、点火器111が駆動され、ガスバーナ101に着火が行われる。熱電対121によりガスバーナ101の着火が検出されると、点火動作が終了される。こうして、ガスバーナ101に対する点火が行われる。他の操作つまみ10b、10cについても、同様の操作により、ガスバーナ102、103に対する点火が行われる。
【0045】
その後、操作つまみ10aが回転されると、回転量に対応するガス量となるように、ステッピングモータ151aが駆動され、ガス量が調節される。こうして、ガスバーナ101において、使用者が所望するガス量(燃焼レベル)で燃焼動作が行われる。他の操作つまみ10b、10cについても、同様の操作により、ガスバーナ102、103の火力が調節される。
【0046】
ここで、操作つまみ10a~10cの回転量は、操作つまみ10a~10cにそれぞれ連結されたロータリーエンコーダ200からの検出信号によって検出される。
【0047】
図4(a)は、ロータリーエンコーダ200の構成を模式的に示す断面図である。
図4(a)には、ロータリーエンコーダ200の回転軸に垂直な平面でロータリーエンコーダ200を切断したときの断面図が模式的に示されている。
【0048】
図4(a)に示すように、ロータリーエンコーダ200は、筒体201と、回転体202とを備える。筒体201は、円筒形状を有し、回転体202は、円柱形状を有する。筒体201と回転体202とは、互いに同心となるように配置される。筒体201に対して回転体202が中心軸について回転可能に支持される。回転体202の中心に回転軸203が固定される。この回転軸203に、
図3(a)、(b)の中継軸230が装着される。
【0049】
筒体201の内側面に、複数の電極204が配置される。電極204は、回転軸203の長手方向に平行に延びている。また、電極204は、筒体201の周方向に沿って一定のピッチで並んでいる。
【0050】
他方、回転体202の外側面には、導電性の2つの接触スイッチ205、206が設けられている。接触スイッチ205、206は、回転軸203の長手方向に平行に延びている。接触スイッチ205、206の周方向のピッチは、電極204の周方向のピッチと同様である。接触スイッチ205、206は、電極204に対向する位置にあるときに、電極204に接触する。接触スイッチ205、206の周方向の長さは、電極204の周方向の長さの半分である。
【0051】
一方の接触スイッチ205が電極204に接触して当該接触スイッチ205と電極204とが導通している場合に、当該接触スイッチ205に基づく検出信号が、ロータリーエンコーダ200から出力される。また、他方の接触スイッチ206が電極204に接触して当該接触スイッチ206と電極204とが導通している場合に、当該接触スイッチ206に基づく検出信号が、ロータリーエンコーダ200から出力される。
【0052】
図4(b)は、ロータリーエンコーダ200の回転軸203が回転した場合にロータリーエンコーダ200から出力される検出信号を示す図である。
図4(b)において、検出信号Aは接触スイッチ205に基づく検出信号を示し、検出信号Bは接触スイッチ206に基づく検出信号を示している。
【0053】
図4(b)に示すように、検出信号Aは、接触スイッチ205が電極204に接触している期間においてハイレベルとなり、接触スイッチ205が電極204に接触していない期間においてローレベルとなる。同様に、検出信号Bは、接触スイッチ206が電極204に接触している期間においてハイレベルとなり、接触スイッチ206が電極204に接触していない期間においてローレベルとなる。
【0054】
ここで、上記のように、接触スイッチ205、206の周方向のピッチは電極204の周方向のピッチと同じであり、且つ、接触スイッチ205、206の周方向の幅は電極204の周方向の幅の半分であるため、検出信号Aと検出信号Bとは、互いに4分の1周期だけずれる。このため、回転軸203の回転が右回転(時計方向の回転)である場合は、検出信号Bは検出信号Aに対して4分の1周期遅れ、逆に、回転軸203の回転が左回転(反時計方向の回転)である場合は、検出信号Bは検出信号Aに対して4分の1周期進む。
【0055】
よって、検出信号A、Bの何れが先行するかによって、回転軸203の回転方向、すなわち、操作つまみ10a~10cの回転方向を検出できる。また、検出信号A、Bの何れか一方のパルス数により、回転軸203の回転量、すなわち、操作つまみ10a~10cの回転量を検出できる。
【0056】
ところで、上記構成において、使用者により電源スイッチ13がONに切り替えられることに応じて、操作つまみ10a~10cのロータリーエンコーダ200が通電状態に設定されると、ガスバーナ101~103が使用されていない状態においても、3つのロータリーエンコーダ200によって電力が無駄に消費され続けることになる。この問題は、上記のように、電源として乾電池を用いる場合に、乾電池の寿命が低下するため、特に顕著となる。
【0057】
そこで、本実施形態では、これらロータリーエンコーダ200における消費電力を適切かつ効果的に抑制するための構成が設けられている。以下、この構成について説明する。
【0058】
図5は、実施形態に係る、ロータリーエンコーダ200周辺の回路構成を示す回路ブロック図である。
【0059】
便宜上、
図5では、操作つまみ10a~10cにそれぞれ連結されているロータリーエンコーダ200が、それぞれ、ロータリーエンコーダ200a~200cとして示され、これらロータリーエンコーダ200a~200cの接触スイッチ205、206が、それぞれ、接触スイッチ205a~205cおよび接触スイッチ206a~206cとして示されている。また、
図5では、操作つまみ10a~10cにそれぞれ連結されているロータリーエンコーダ200の検出スイッチ210が、それぞれ、検出スイッチ210a~210cとして示されている。
【0060】
ガスコンロ1は、電池装着部30と、電源供給回路301と、制御部302と、信号生成回路303a~303cと、抵抗304と、切替回路305と、を備えている。
【0061】
電池装着部30には、たとえば、2つの乾電池30aが装着される。装着された乾電池30aの電力が、電源供給回路301に供給される。電源供給回路301は、乾電池30aから供給される電圧をもとに、各回路部に必要な電圧を生成する。電源供給回路301は、乾電池30aから供給される電圧に昇圧や降圧および低電圧化を施して、各部に供給する。制御部302は、たとえば、マイクロコンピュータにより構成される。制御部302は、内蔵メモリに格納されたプログラムに従って各部を制御する。
【0062】
信号生成回路303a~303cは、それぞれ、ロータリーエンコーダ200a~200cから出力される信号を処理して、
図4(b)に示したパルス状の検出信号を出力する。すなわち、信号生成回路303aは、ロータリーエンコーダ200aの接触スイッチ205a、206aに基づく検出信号A、Bを、それぞれ、ノイズ除去およびパルス状に波形整形して、制御部302に出力する。信号生成回路303b、303cも、ロータリーエンコーダ200aの接触スイッチ205b、206bおよび接触スイッチ205c、206cに基づく検出信号に対し同様の処理を施す。
【0063】
切替回路305は、トランジスタと2つの抵抗を備え、制御部302からの制御信号に応じて、電源供給回路301により生成された電源電圧V1の導通および非導通を切り替える。すなわち、切替回路305を構成するトランジスタのベースにハイレベルの制御信号が印加されると、トランジスタがオン状態となり、トランジスタを介して電源電圧V1が、ロータリーエンコーダ200a~200cに供給される。他方、切替回路305を構成するトランジスタのベースに印加される制御信号がローレベルに切り替えられると、トランジスタがオフ状態となり、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源電圧V1の供給が遮断される。
【0064】
また、制御部302には、検出スイッチ210a~210cの検出信号が入力される。すなわち、検出スイッチ210a~210cがオン状態になると、抵抗304を介して、電源電圧V2が、検出信号として制御部302に入力される。この検出信号に基づいて、制御部302は、検出スイッチ210a~210cがオン状態になったこと、すなわち、操作つまみ10a~10cが点灯位置に位置付けられて、ガスバーナ101~103が点火状態になったことを検出する。
【0065】
この他、ガスコンロ1は、
図2の点火器111~114、元ガス電磁弁140、閉止電磁弁161および安全弁141を駆動する駆動回路を備えている。制御部302は、検出スイッチ210a~210cのオン/オフの状態や、信号生成回路303a~303cから入力される検出信号A、Bの状態(操作つまみ10a~10cの回転量)に応じて、これら駆動回路を制御し、コンロ部およびグリル部における燃焼動作を実行する。
【0066】
図6は、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源電圧V1の供給制御を示すフローチャートである。
【0067】
使用者により電源スイッチ13が投入されると(S11:YES)、制御部302は、検出スイッチ210a~210cの検出信号を参照し、ガスバーナ101~103の全てが消火状態にあるか否かを判定する(S12)。
【0068】
ここで、ガスバーナ101~103の全てが消火状態にある場合(S12:YES)、制御部302は、切替回路305をオフ状態に設定し、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源電圧V1の供給を遮断する(S13)。他方、ガスバーナ101から101cの少なくとも1つが点火状態にある場合(S12:NO)、制御部302は、切替回路305をオン状態に設定し、ロータリーエンコーダ200a~200cに対して電源電圧V1を供給する(S14)。
【0069】
その後、制御部302は、電源スイッチ13がオフ状態に切り替えられるまで(S15)、ステップS12~S14の処理を繰り返し実行する。これにより、ガスバーナ101~103の全てが消火状態にある期間は、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源電圧V1の供給が遮断され、ガスバーナ101~101cの少なくとも1つが点火状態にある期間は、ロータリーエンコーダ200a~200cに対して電源電圧が供給される。その後、電源スイッチ13がオフ状態に切り替えられると、制御部302は、回路部の状態を初期化して、処理を終了する。
【0070】
<実施の形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0071】
ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)が消火状態にある場合は、切替回路305がオフ状態に設定されて、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源の供給が遮断される。これにより、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)が消火状態にある場合に、ロータリーエンコーダ200a~200cにおいて無駄に電力が消費されることを抑制できる。
【0072】
また、
図1を参照して説明したとおり、操作つまみ10a~10cは、火力の調節とともに、点火状態および消火状態を切り替えるための操作部の機能を兼ねている。すなわち、
図3(a)、(b)に示したように、操作つまみ10a~10cは、プッシュプッシュ機構220により、消火位置と点火位置との間で移動可能に構成され、検出スイッチは、操作つまみ10a~10cが消火位置と点火位置の何れにあるかによって、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)の点火状態および消火状態を検出するよう構成されている。これにより、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)の点火および消火の操作と火力調節が、1つの操作つまみ10a~10cに対する操作によって行われ得る。よって、操作の簡便化を図ることができる。また、検出スイッチ210は、操作つまみ10a~10cが消火位置と点火位置の何れにあるかによって、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)の点火状態および消火状態を検出するよう構成されるため、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)の点火状態および消火状態を円滑かつ適切に検出できる。
【0073】
また、
図5に示したように、ガスコンロ1は、乾電池30aからの電力により回路部の電源を生成する電源供給回路301を備える。本実施形態の構成によれば、上記のように、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)が消火状態にある場合に、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源の供給が遮断されて無駄な電力消費が抑制されるため、乾電池30aの寿命を延ばすことができる。よって、ガスコンロ1の利便性を高めることができる。
【0074】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0075】
たとえば、上記実施形態では、検出スイッチ210a~210cの1つがオン状態にあると、検出スイッチがオン状態にある操作つまみのロータリーエンコーダのみならず、他のロータリーエンコーダにも電源電圧V1が供給されたが、電源電圧の供給の有無がロータリーエンコーダごとに切り替えられてもよい。
【0076】
【0077】
図7の回路構成では、ロータリーエンコーダ200a~200cごとに、切替回路305a~305cの組が設けられている。切替回路305a~305cのオン/オフは、それぞれ、検出スイッチ210a~210cのオン/オフに応じて切り替えられる。
【0078】
すなわち、制御部302は、検出スイッチ210aがオフからオンに切り替わると、切替回路305aをオン状態に切り替えて、ロータリーエンコーダ200aに電源電圧V1を供給し、その後、検出スイッチ210aがオンからオフに切り替わると、切替回路305aをオフ状態に切り替えて、ロータリーエンコーダ200aに対する電源電圧V1の供給を遮断する。同様に、制御部302は、検出スイッチ210bのオン/オフに応じて、切替回路305bのオン/オフを切り替えて、ロータリーエンコーダ200bに対する電源電圧V1の供給/遮断を切り替える。また、制御部302は、検出スイッチ210cのオン/オフに応じて、切替回路305cのオン/オフを切り替えて、ロータリーエンコーダ200cに対する電源電圧V1の供給/遮断を切り替える。
【0079】
この構成によれば、ガスバーナ101~103(ガス燃焼機)ごとの点火および消火の切替に応じて、対応するロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源電圧V1の供給および遮断を個別に切り替えることができる。これにより、上記実施形態のように、一律に、ロータリーエンコーダ200a~200cに対する電源電圧V1の供給および遮断を切り替える場合に比べて、より効果的に、ロータリーエンコーダ200a~200cにおける無駄な電力消費を抑制できる。よって、乾電池30aの寿命をさらに延ばすことができ、ガスコンロ1の利便性をさらに高めることができる。
【0080】
また、上記実施形態では、
図3(a)、(b)に示すように、操作つまみ10a~10cが点火位置にあることが検出スイッチ210によって検出されたが、操作つまみ10a~10cが消火位置にあることを検出するように、検出スイッチ210が配置されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、プッシュプッシュ機構220によって、操作つまみ10a~10cが点火位置と消火位置とに位置付けられたが、操作つまみ10a~10cは、回転操作のみが可能な状態で、突出位置に固定され、ガスバーナ101~103をそれぞれ点火するための3つの点火ボタン(操作部)が、別途、コンロ本体2の前面2aに配置されてもよい。この場合、
図5の検出スイッチ210a~210cは、それぞれ、3つの点火ボタンのオン/オフ操作を検出するように構成される。また、操作つまみ10a~10cは、必ずしも、回転により火力調節を行う構成でなくてもよく、スライドレバー等、他の操作方法により、火力調節を行う構成であってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、制御部302におけるプログラム処理により、検出スイッチ210a~210cの操作に応じて切替回路305の状態が切り替えられたが、ロジック回路等のハードウエアの構成により、検出スイッチ210a~210cの操作に応じて切替回路305の状態が切り替えられる構成であってもよい。この点は、
図7に示した変更例についても、同様である。
【0083】
また、切替回路305の構成は、上記実施形態に示した構成に限らず、ロータリーエンコーダ200に対する電の供給および遮断を切り替え可能である限りにおいて、適宜、変更可能である。
【0084】
また、ガスコンロ1の構成は、上記実施形態に示された構成に限られるものではなく、適宜種々の変更が可能である。たとえば、上記実施形態では、ガスコンロ1に3つのコンロ部4a、4b、4cが設けられたが、ガスコンロ1に設けられるコンロ部の数はいくつであってもよい。コンロ部の配置数に応じて、操作つまみおよびロータリーエンコーダの数が変更されればよい。
【0085】
また、上記実施形態では、グリル部6の火力を調節するための操作つまみが設けられなかったが、この操作つまみが設けられる場合は、グリル部6に対する点火/消火に応じて、当該操作つまみの回転量を検出するためのロータリーエンコーダに対する電源電圧の供給/遮断が切り替えられてもよい。これにより、当該ロータリーエンコーダにおける無駄な電力消費を効果的に抑制でき、乾電池30aの寿命を延ばすことができる。
【0086】
この他、電池装着部30に装着される乾電池30aの数は、上記実施形態に示した数(2つ)に限定されるものではない。また、制御部302は、必ずしも1つのマイクロコンピュータにより構成されなくてもよく、複数のマイクロコンピュータが互いに通信しながら処理を分担する構成であってもよい。
【0087】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 ガスコンロ
2 コンロ本体
2a 前面
10a~10c 操作つまみ
30 電池装着部
30a 乾電池
200、200a~200c ロータリーエンコーダ
210、210a~210c 検出回路
220 プッシュプッシュ機構
301 電源供給回路
302 制御部
305、305a~305c 切替回路