(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】製本システム
(51)【国際特許分類】
B42C 19/00 20060101AFI20230712BHJP
B42C 11/04 20060101ALI20230712BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20230712BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
B42C19/00
B42C11/04
B65H37/04 Z
B65G43/08 B
(21)【出願番号】P 2019148477
(22)【出願日】2019-08-13
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】北山 真也
(72)【発明者】
【氏名】福田 繁伸
(72)【発明者】
【氏名】堀 孝和
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052276(JP,A)
【文献】特開2003-040444(JP,A)
【文献】特開2004-082446(JP,A)
【文献】特開平11-092018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42C 19/00
B42C 11/04
B65H 37/04
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本身を供給する本身供給装置と、
前記本身供給装置から供給される前記本身に表紙を付けて製本物を形成する製本装置と、
前記製本装置で形成された前記製本物を積み重ねる集積装置と、
前記集積装置から搬送される前記製本物の端部を断裁する断裁装置と、
前記本身供給装置、前記製本装置、前記集積装置及び前記断裁装置に接続される制御装置と、を備える製本システムであって、
前記本身供給装置は、
前記本身に印刷された情報部からジョブ情報を読み取る読取り部と、
前記本身が前記製本装置に供給タイミングで供給されるように、前記本身の供給を調整するタイミング調整部と、を備え、
前記ジョブ情報は、
前記集積装置で積み重ねられる前記製本物の集積数に関する情報と、
前記製本装置が前記製本物を形成する形成速度に関する情報と、を含み、
前記制御装置は、
前記読取り部から前記ジョブ情報を取得するジョブ情報取得部と、
前記断裁装置又は前記集積装置が前記製本物を処理する上限処理速度を取得する上限処理速度取得部と、
前記形成速度を採用して決定する形成速度決定部と、
前記形成速度で前記製本物を形成するよう前記製本装置に指示する形成速度指示部と、
前記形成速度、前記上限処理速度及び前記集積数に基づいて、前記供給タイミングを決定するタイミング決定部と、
前記供給タイミングで前記本身を供給するよう前記タイミング調整部に指示するタイミング指示部と、を備え、
前記上限処理速度は、前記断裁装置が前記製本物を断裁する第1上限速度、または、前記集積装置が前記製本物を搬送する第2上限速度であり、
前記第1及び第2上限速度のうちの遅い方が前記上限処理速度として採用される
ことを特徴とする製本システム。
【請求項2】
本身を供給する本身供給装置と、
前記本身供給装置から供給される前記本身に表紙を付けて製本物を形成する製本装置と、
前記製本装置で形成された前記製本物を積み重ねる集積装置と、
前記集積装置から搬送される前記製本物の端部を断裁する断裁装置と、
前記本身供給装置、前記製本装置、前記集積装置及び前記断裁装置に接続される制御装置と、を備える製本システムであって、
前記本身供給装置は、
前記本身に印刷された情報部からジョブ情報を読み取る読取り部と、
前記本身が前記製本装置に供給タイミングで供給されるように、前記本身の供給を調整するタイミング調整部と、を備え、
前記ジョブ情報は、
前記集積装置で積み重ねられる前記製本物の集積数に関する情報を含み、
前記制御装置は、
前記読取り部から前記ジョブ情報を取得するジョブ情報取得部と、
前記断裁装置又は前記集積装置が前記製本物を処理する上限処理速度を取得する上限処理速度取得部と、
前記集積数及び前記上限処理速度に基づいて、前記製本装置が前記製本物を形成する形成速度を決定する形成速度決定部と、
前記形成速度で前記製本物を形成するよう前記製本装置に指示する形成速度指示部と、
前記形成速度に基づいて、前記供給タイミングを決定するタイミング決定部と、
前記供給タイミングで前記本身を供給するよう前記タイミング調整部に指示するタイミング指示部と、を備え、
前記上限処理速度は、前記断裁装置が前記製本物を断裁する第1上限速度、または、前記集積装置が前記製本物を搬送する第2上限速度であり、
前記第1及び第2上限速度のうちの遅い方が前記上限処理速度として採用されることを特徴とする製本システム。
【請求項3】
前記本身供給装置は、
前記製本装置に前記本身を連続的に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部に前記本身を連続的に搬送する第2搬送部と、を備え、
前記タイミング調整部は、
前記第1及び第2搬送部の間に設けられ、前記本身の前記第2搬送部から前記第1搬送部への搬送を止めるストッパー部を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製本システム。
【請求項4】
前記製本装置は、
前記本身供給装置から搬入された前記本身を連続的に搬送する第3搬送部と、
前記本身が前記第3搬送部で連続的に搬送される間に、前記本身に対してミーリング処理、糊付け処理及び表紙付け処理を行う処理部と、を備え、
前記第3搬送部の搬送速度は、前記形成速度と一致する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の製本システム。
【請求項5】
前記第3搬送部は、連続的に搬送される複数のクランプ部を備え、
前記各クランプ部は、前記本身供給装置からの前記本身を把持するよう構成され、
前記タイミング調整部は、第1の数の前記クランプ部に対して第2の数の前記本身を供給するよう構成され、
前記第1の数は、前記第2の数より多い
ことを特徴とする請求項4に記載の製本システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本身を供給する本身供給装置と、本身に表紙を付けて製本物を形成する製本装置と、製本物を積み重ねる集積装置と、製本物の端部を断裁する断裁装置と、を備える製本システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製本システムは、複数の用紙から本身を形成し、本身に表紙を付けて製本物を形成し、その後、製本物の端部を断裁して、完成品を形成するように構成される。
図1に示す通り、製本システムは、紙折装置1、本身形成装置2、本身供給装置3、製本装置4、集積装置5及び断裁装置6を備える。
【0003】
紙折装置1は、給紙台、プリンターまたはアンワインダー8から搬送される用紙を山折りおよび谷折りして蛇腹状に折り畳み、折丁を形成するように構成される(特許文献1等参照)。本身形成装置2は、紙折装置1で形成された所定数の折丁を積み重ね、本身20を形成するように構成される(特許文献2等参照)。
【0004】
本身供給装置3は、本身形成装置2で形成された本身20を製本装置4に搬送するように構成される(特許文献3等参照)。製本装置4は、本身供給装置3から搬送される本身20を受け取り、その後、本身20に表紙21を付けて、製本物22を形成するように構成される(特許文献4等参照)。
【0005】
集積装置5は、製本装置4で形成された所定数の製本物22を積み重ねるように構成される(特許文献5等参照)。断裁装置6は、集積装置5から搬送される製本物22を受け取り、その後、製本物22の端部を断裁して、完成品23を形成するように構成される(特許文献6等参照)。
図1に示す通り、製本システムは、集積装置5と断裁装置6との間に冷却コンベヤー装置7を備えている。ただし、冷却コンベヤー装置7が備えられず、集積装置5と断裁装置6とが直接連結されてもよい。
【0006】
ところで、近年、デジタルプリンターによるバリアブル印刷の需要が増加している。その結果、1冊又は少数冊ごとに異なる寸法の完成品23を形成する製本システムが要求されている。ここで、集積装置5は、同一寸法の製本物22しか積み重ねできない。そのため、集積装置5は、1冊または少数冊ごとに製本物22を積み重ねて、断裁装置6に搬送しなければならないという条件がある。また、製本装置4及び断裁装置6の各処理速度が異なるという条件もある。このことから、集積装置5及び断裁装置6の処理速度は、製本装置4の処理速度よりも遅くなることが多い。そのため、従来の製本システムでは、バリアブル印刷に対応し、かつ、これら所定の条件を満たすために、生産性が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2013/161048号公報
【文献】国際公開第2016/207977号公報
【文献】特開2013-169798号公報
【文献】特開2010-274501号公報
【文献】特開2014-54731号公報
【文献】国際公開第2013/179380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、バリアブル印刷に対応し、かつ、所定の条件を満たすときでも、生産性に優れた製本システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る製本システムは、
本身を供給する本身供給装置と、
本身供給装置から供給される本身に表紙を付けて製本物を形成する製本装置と、
製本装置で形成された製本物を積み重ねる集積装置と、
集積装置から搬送される製本物の端部を断裁する断裁装置と、
本身供給装置、製本装置、集積装置及び断裁装置に接続される制御装置と、を備える製本システムであって、
本身供給装置は、
本身に印刷された情報部からジョブ情報を読み取る読取り部と、
本身が製本装置に供給タイミングで供給されるように、本身の供給を調整するタイミング調整部と、を備え、
ジョブ情報は、
集積装置で積み重ねられる製本物の集積数に関する情報と、
製本装置が製本物を形成する形成速度に関する情報と、を含み、
制御装置は、
読取り部からジョブ情報を取得するジョブ情報取得部と、
断裁装置又は集積装置が製本物を処理する上限処理速度を取得する上限処理速度取得部と、
形成速度を採用して決定する形成速度決定部と、
形成速度で製本物を形成するよう製本装置に指示する形成速度指示部と、
形成速度、上限処理速度及び集積数に基づいて、供給タイミングを決定するタイミング決定部と、
供給タイミングで本身を供給するようタイミング調整部に指示するタイミング指示部と、を備え、
上限処理速度は、断裁装置が製本物を断裁する第1上限速度、または、集積装置が製本物を搬送する第2上限速度であり、
第1及び第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度として採用される。
【0010】
また、本発明に係る製本システムは、
本身を供給する本身供給装置と、
本身供給装置から供給される本身に表紙を付けて製本物を形成する製本装置と、
製本装置で形成された製本物を積み重ねる集積装置と、
集積装置から搬送される製本物の端部を断裁する断裁装置と、
本身供給装置、製本装置、集積装置及び断裁装置に接続される制御装置と、を備える製本システムであって、
本身供給装置は、
本身に印刷された情報部からジョブ情報を読み取る読取り部と、
本身が製本装置に供給タイミングで供給されるように、本身の供給を調整するタイミング調整部と、を備え、
ジョブ情報は、
集積装置で積み重ねられる製本物の集積数に関する情報を含み、
制御装置は、
読取り部からジョブ情報を取得するジョブ情報取得部と、
断裁装置又は集積装置が製本物を処理する上限処理速度を取得する上限速度取得部と、
集積数及び上限処理速度に基づいて、製本装置が製本物を形成する形成速度を決定する形成速度決定部と、
形成速度で製本物を形成するよう製本装置に指示する形成速度指示部と、
形成速度に基づいて、供給タイミングを決定するタイミング決定部と、
供給タイミングで本身を供給するようタイミング調整部に指示するタイミング指示部と、を備え、
上限処理速度は、断裁装置が製本物を断裁する第1上限速度、または、集積装置が製本物を搬送する第2上限速度であり、
第1及び第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度として採用される。
【0011】
好ましくは、
本身供給装置は、
製本装置に本身を連続的に搬送する第1搬送部と、
第1搬送部に本身を連続的に搬送する第2搬送部と、を備え、
タイミング調整部は、
第1及び第2搬送部の間に設けられ、本身の第2搬送部から第1搬送部への搬送を止めるストッパー部を備える。
【0012】
好ましくは、
製本装置は、
本身供給装置から搬入された本身を連続的に搬送する第3搬送部と、
本身が第3搬送部で連続的に搬送される間に、本身に対してミーリング処理、糊付け処理及び表紙付け処理を行う処理部と、を備え、
第3搬送部の搬送速度は、形成速度と一致する。
【0013】
好ましくは、
第3搬送部は、連続的に搬送される複数のクランプ部を備え、
各クランプ部は、本身供給装置からの本身を把持するよう構成され、
タイミング調整部は、第1の数のクランプ部に対して第2の数の本身を供給するよう構成され、
第1の数は、第2の数より多い。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製本システムは、バリアブル印刷に対応し、かつ、所定の条件を満たすときでも、生産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】製本システムの処理工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る製本システムの一実施形態を説明する。
【0017】
[構成]
製本システムの構成を説明する。
図1に示す通り、製本システムは、紙折装置1、本身形成装置2、本身供給装置3、製本装置4、集積装置5及び断裁装置6を備える。製本システムは、複数の用紙から本身20を形成し、本身20に表紙21を付けて製本物22を形成し、その後、製本物22の端部を断裁して、完成品23を形成するように構成される。
【0018】
紙折装置1は、給紙台、プリンターまたはアンワインダー8から搬送される用紙(不図示)を山折りおよび谷折りして蛇腹状に折り畳み、折丁を形成するように構成される。紙折装置1の具体的な構成は、例えば、特許文献1に記載されている。本身形成装置2は、紙折装置1で形成された所定数の折丁を積み重ね、本身20を形成するように構成される。本身形成装置2の具体的な構成は、例えば、特許文献2に記載されている。
【0019】
本身供給装置3は、本身形成装置2で形成された本身20を製本装置4に搬送するように構成される。本身供給装置3の具体的な構成は、例えば、特許文献3に記載されている。製本装置4は、本身供給装置3から搬送される本身20を受け取り、その後、本身20に表紙21を付けて、製本物22を形成するように構成される。製本装置4の具体的な構成は、例えば、特許文献4に記載されている。
【0020】
集積装置5は、製本装置4で形成された所定数の製本物22を積み重ねるように構成される。集積装置5の具体的な構成は、例えば、特許文献5に記載されている。断裁装置6は、集積装置5から搬送される製本物22を受け取り、その後、製本物22の端部を断裁して、完成品23を形成するように構成される。断裁装置6の具体的な構成は、例えば、特許文献6に記載されている。
【0021】
図1に示す通り、製本システムは、集積装置5と断裁装置6との間に冷却コンベヤー装置7を備えている。冷却コンベヤー装置7の具体的な構成は、例えば、特許文献5に記載されている。冷却コンベヤー装置7が備えられず、集積装置5と断裁装置6とが直接連結されてもよい。
【0022】
本身20は、表面に情報部24が印刷される。情報部24は、例えば、バーコードからなる。情報部24は、所定のジョブ情報Dが含まれる。本身供給装置3は、情報部24を読み取る読取り部33を備える。読取り部33は、例えば、バーコードリーダーからなる。
【0023】
ジョブ情報Dは、集積装置5で積み重ねられる製本物22の集積数Nに関する情報D1を含む。ジョブ情報Dは、製本装置4が製本物22を形成する形成速度V2に関する情報D2を含む。なお、後述する通り、ジョブ情報Dは、形成速度V2に関する情報D2を含んでいなくてもよい。
【0024】
本身供給装置3は、製本装置4に本身20を連続的に搬送する第1搬送部31と、第1搬送部31に本身20を連続的に搬送する第2搬送部32と、を備える。第1搬送部31は、第2搬送部32からの本身20を把持及び搬送して、製本装置4に本身20を排出するよう構成される。
【0025】
第1搬送部31は、本身20を把持する複数のクランプ部311と、複数のクランプ部311を連続的に搬送する回転チェーン部310とを備える。回転チェーン部310は、所定間隔に配置された複数のクランプ部311を循環する。第2搬送部32は、本身形成装置2からの本身20を連続的に搬送するよう構成される。第2搬送部32は、本身20を搬送するベルトコンベヤー320を備える。本身20は、ベルトコンベヤー320に載置される。
【0026】
本身供給装置3は、本身20が製本装置4に供給タイミングTで供給されるように、本身20の供給を調整するタイミング調整部34を備える。タイミング調整部34は、第1搬送部31及び第2搬送部32の間に設けられ、本身20の第2搬送部32から第1搬送部31への搬送を止めるストッパー部340を備える。
【0027】
ストッパー部340は、ベルトコンベヤー320の上面より上の位置と下の位置との間で昇降する。ストッパー部340は、本身20の搬送を止めるときは、ベルトコンベヤー320の上面より上の位置に上昇する一方、本身20の搬送を止めないときは、ベルトコンベヤー320の上面より下の位置に下降する。
【0028】
そのため、ストッパー部340によって本身20が止められる間に、本身形成装置2から複数の本身20が搬送されると、複数の本身20がベルトコンベヤー320に滞留することがある。従って、ベルトコンベヤー320は、本身20に対するバッファとして機能するように、所定長さを有する。
【0029】
図2に示す通り、製本装置4は、本身供給装置3から搬入された本身20を連続的に搬送する第3搬送部41を備える。製本装置4は、本身20が第3搬送部41で連続的に搬送される間に、本身20に対してミーリング処理、糊付け処理及び表紙付け処理を行う処理部42を備える。
【0030】
第3搬送部41は、本身20を把持する複数のクランプ部411と、複数のクランプ部411を連続的に搬送する回転チェーン部410とを備える。回転チェーン部410は、所定間隔に配置された複数のクランプ部411を循環する。
【0031】
処理部42は、搬入部421を備える。搬入部421は、本身供給装置3から搬送される本身20をクランプ部411に把持させる。処理部42は、ミーリング処理を行うミーリング部422を備える。ミーリング部422は、クランプ部411に把持された本身20の背面をミーリング刃(不図示)で揃える。
【0032】
処理部42は、糊付け処理を行う糊付け部423を備える。糊付け部423は、ミーリング部422で揃えられた本身20の背面に糊を付ける。処理部42は、表紙供給部424を備える。表紙供給部424は、糊を付けられた本身20に表紙21を供給する。処理部42は、整合部425を備える。整合部425は、表紙供給部424からの表紙21を搬送するとともに、クランプ部411で把持された本身20の背面に表紙21を付ける。
【0033】
処理部42は、表紙付け処理を行うニッピング部426を備える。ニッピング部426は、本身20の背面に付けられた表紙21をその両側から折り畳み、表紙21を本身20に沿わせる。処理部42は、排出部427を備える。排出部427は、クランプ部411を開き、表紙21が付けられた本身20を解放して排出する。
【0034】
上記の通り、製本装置4は、本身20が第3搬送部41で連続的に搬送される間に、本身20に対して連続的にミーリング処理、糊付け処理及び表紙付け処理等を行い、製本物22を形成する。そのため、製本物を形成する形成速度V2は、第3搬送速度41の搬送速度と一致する。
【0035】
図3に示す通り、製本システムは、制御装置10を備える。制御装置10は、ジョブ情報取得部100を備える。ジョブ情報取得部100は、読取り部33からジョブ情報Dを取得する。制御装置10は、上限処理速度取得部101を備える。上限処理速度取得部101は、断裁装置6又は集積装置5が製本物22を処理する上限処理速度V1を取得する。すなわち、上限処理速度V1は、断裁装置6が製本物22を断裁する第1上限速度、または、集積装置5が製本物22を搬送する第2上限速度である。さらに、第1及び第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度V1として採用される。
【0036】
制御装置10は、形成速度決定部102を備える。形成速度決定部102は、集積数N及び上限処理速度V1に基づいて、製本装置4が製本物22を形成する形成速度V2を決定する。また、ジョブ情報Dが、形成速度V2に関する情報D2を含んでいるとき、形成速度決定部102は、形成速度V2を採用して決定してもよい。
【0037】
制御装置10は、形成速度指示部103を備える。形成速度指示部103は、形成速度V2で製本物22を形成するよう製本装置4に指示する。また、ジョブ情報Dが、形成速度V2に関する情報D2を含んでいるとき、形成速度指示部103は、形成速度V2で製本物22を形成するよう製本装置4に指示してもよい。
【0038】
制御装置10は、タイミング決定部104を備える。タイミング決定部104は、形成速度V2、集積数N及び上限処理速度V1に基づいて、供給タイミングTを決定する。なお、後述する通り、タイミング決定部104は、形成速度V2に基づいて、供給タイミングTを決定してもよい。
【0039】
制御装置10は、タイミング指示部105を備える。タイミング指示部105は、供給タイミングTで本身20を供給するようタイミング調整部34に指示する。タイミング調整部34は、この指示に基づいて、供給タイミングTでストッパー部340を昇降する。
【0040】
[処理工程]
製本システムの処理工程を説明する。
図4に示す通り、ストッパー部340が上昇して、第2搬送部32による本身20の搬送を止める(ステップS1)。次に、センサー部(不図示)が、第2搬送部32の所定位置に本身20が搬送されたか否かを検知する(ステップS2)。本身20が所定位置に搬送されていないとき、ステップS2を繰り返す。一方、本身20が所定位置に搬送されたときは、読取り部33が、本身20の情報部24を読み取る(ステップS3)。
【0041】
次に、ジョブ情報取得部100が、情報部24に含まれるジョブ情報D(D1,D2)を取得する。そして、ジョブ情報取得部100は、制御装置10または外部装置のメモリ(不図示)等に予め記憶されたジョブテーブルとジョブ情報Dとを照合して、集積数N(情報D1)及び/又は形成速度V2(情報D2)の具体的な数値を抽出する(ステップS4)。
【0042】
図5に示す通り、ジョブ情報取得部100は、ジョブ情報Dが変化したか否かを検知する(ステップS5)。すなわち、ジョブ情報取得部100は、前回及び今回に取得した2つのジョブ情報Dを比較して、各ジョブ情報Dが異なるか否かを検知する。
【0043】
ジョブ情報Dが変化しないとき、後述するステップS14に進む。一方、ジョブ情報Dが変化しているとき、製本システムは、バリアブル動作を開始する(ステップS6)。ジョブ情報取得部100は、抽出された集積数N(情報D1)及び/又は形成速度V2(情報D2)を確認する(ステップS7)。
【0044】
<パターン1>
パターン1を説明する。
パターン1では、ジョブ情報Dは、集積数Nに関する情報D1及び形成速度V2に関する情報D2を含む。すなわち、ジョブ情報Dが、形成速度V2に関する情報D2を含むとき、後述するステップS8~S12に進む。
【0045】
ジョブ情報取得部100が、集積数Nを取得する(ステップS8)。ジョブ情報取得部100は、集積装置5に集積数Nの製本物22を積み重ねるよう指示する(ステップS9)。上限処理速度取得部101は、断裁装置6が製本物22を処理する上限処理速度V1を取得する(ステップS10)。上記の通り、断裁装置6の第1上限速度と集積装置5の第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度V1として採用される。
【0046】
形成速度決定部102が、情報D2からの形成速度V2を採用して決定する。形成速度指示部103は、形成速度V2で製本物22を形成するよう製本装置4に指示する(ステップS11)。
【0047】
タイミング決定部104は、形成速度V2、上限処理速度V1及び集積数Nに基づいて、供給タイミングTを決定する。タイミング指示部105は、供給タイミングTで本身20を供給するようタイミング調整部34に指示する(ステップS12)。
【0048】
ステップS12に関して詳細に説明する。
先ず、下記の式1で、断裁装置6の生産性E1を計算する。
・生産性E1=上限処理速度V1×集積数N ・・・[式1]
次に、下記の式2を満たすように、本身供給装置3が本身20を製本装置4に供給する供給タイミングTを決定する。なお、生産性を考慮して、下記の式2を満たし、かつ、本身供給装置3の生産率E2が最も高くなるように、供給タイミングTを決定してもよい。
・生産率E2≦生産性E1÷形成速度V2 ・・・[式2]
【0049】
<パターン2>
パターン2を説明する。
パターン2では、ジョブ情報Dは、集積数Nに関する情報D1を含む。すなわち、ジョブ情報Dが、形成速度V2に関する情報D2を含まないとき、後述するステップS8~S10、S13に進む。
【0050】
ジョブ情報取得部100が、集積数Nを取得する(ステップS8)。ジョブ情報取得部100は、集積装置5に集積数Nの製本物22を積み重ねるよう指示する(ステップS9)。上限処理速度取得部101は、断裁装置6が製本物22を処理する上限処理速度V1を取得する(ステップS10)。上記の通り、断裁装置6の第1上限速度と集積装置5の第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度V1として採用される。
【0051】
形成速度決定部102が、集積数N及び上限処理速度V1に基づいて、製本装置4が製本物22を形成する形成速度V2を決定する。次に、形成速度指示部103が、形成速度V2で製本物22を形成するよう製本装置4に指示する。次に、タイミング決定部104が、形成速度V2に基づいて、供給タイミングTを決定する。次に、タイミング指示部105が、供給タイミングTで本身20を供給するようタイミング調整部34に指示する(ステップS13)。
【0052】
ステップS13に関して詳細に説明する。
先ず、上記の式1で、断裁装置6の生産性E1を計算する。
次に、形成速度V2が生産性E1よりも低く(形成速度V2≦生産性E1)なるように、形成速度V2を決定する。なお、生産性を考慮して、形成速度V2が生産性E1よりも低く(形成速度V2≦生産性E1)、かつ、形成速度V2が最も速くなるように、形成速度V2を決定してもよい。形成速度V2について、製本装置4に応じて、上限値及び下限値が設定されてもよい。
【0053】
図6に示す通り、タイミング調整部34は、現時点が供給タイミングTか否かを判定する(ステップS14)。供給タイミングTでないとき、ステップS14を繰り返す。一方、供給タイミングTのとき、次のステップ15に進む。
【0054】
タイミング調整部34は、ストッパー部340を降下して、供給タイミングTで本身20を第1搬送部31に供給する(ステップS15)。本身20が第1搬送部31に供給された後、ステップ1に戻る(ステップS16)。
【0055】
[第1実施形態]
下記の表1に基づいて、第1実施形態を説明する。上記の通り、断裁装置6の第1上限速度と集積装置5の第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度V1として採用されるが、本実施例では、上限処理速度V1は、断裁装置6の第1上限速度である。
【0056】
【0057】
・ジョブNo.1-1
上記のパターン1が実行される。
読取り部33から、ジョブ情報Dに含まれる集積数N=3及び形成速度V2=3000を取得する。断裁装置6から、上限処理速度V1=600を取得する。
上記式1から、生産性E1=1800(=600×3)を算出する。
上記式2から、生産率E2≦0.6(=1800÷3000)を算出する。これにより、生産率E2が最も高くなるように、供給タイミングTを決定する。この場合、供給タイミングTによって、製本装置4の5つ(第1の数)のクランプ部411に3冊(第2の数)の本身20が供給される(3÷5=0.6)。
【0058】
・ジョブNo.1-2
上記のパターン1が実行される。
読取り部33から、ジョブ情報Dに含まれる集積数N=2及び形成速度V2=3000を取得する。断裁装置6から、上限処理速度V1=600を取得する。
上記式1から、生産性E1=1200(=600×2)を算出する。
上記式2から、生産率E2≦0.4(=1200÷3000)を算出する。これにより、生産率E2が最も高くなるように、供給タイミングTを決定する。この場合、供給タイミングTによって、製本装置4の5つ(第1の数)のクランプ部411に2冊(第2の数)の本身20が供給される(2÷5=0.4)。
【0059】
・ジョブNo.1-3
上記のパターン1が実行される。
読取り部33から、ジョブ情報Dに含まれる集積数N=1及び形成速度V2=3000を取得する。断裁装置6から、上限処理速度V1=600を取得する。
上記式1から、生産性E1=600(=600×1)を算出する。
上記式2から、生産率E2≦0.2(=600÷3000)を算出する。これにより、生産率E2が最も高くなるように、供給タイミングTを決定する。この場合、供給タイミングTによって、製本装置4の5つ(第1の数)のクランプ部411に1冊(第2の数)の本身20が供給される(1÷5=0.2)。
【0060】
[第2実施形態]
下記の表2に基づいて、第2実施形態を説明する。上記の通り、断裁装置6の第1上限速度と集積装置5の第2上限速度のうちの遅い方が上限処理速度V1として採用されるが、本実施例では、上限処理速度V1は、断裁装置6の第1上限速度である。
【0061】
【0062】
・ジョブNo.2-1
上記のパターン2が実行される。
読取り部33から、ジョブ情報Dに含まれる集積数N=4を取得する。断裁装置6から、上限処理速度V1=700を取得する。
上記式1から、生産性E1=2800(=700×4)を算出する。
形成速度V2≦生産性E1=2800となり、かつ、形成速度V2が最も高くなるように、形成速度V2=2800を決定する。この場合、製本装置4の全てのクランプ部411に本身20が供給される。
【0063】
・ジョブNo.2-2
上記のパターン2が実行される。
読取り部33から、ジョブ情報Dに含まれる集積数N=3を取得する。断裁装置6から、上限処理速度V1=700を取得する。
上記式1から、生産性E1=2100(=700×3)を算出する。
形成速度V2≦生産性E1=2100となるように、形成速度V2=2000を決定する。この場合、製本装置4の全てのクランプ部411に本身20が供給される。
【0064】
・ジョブNo.2-3
上記のパターン1が実行される。
読取り部33から、ジョブ情報Dに含まれる集積数N=1及び形成速度V2=1000(本実施例の形成速度V2の下限値)を取得する。断裁装置6から、上限処理速度V1=700を取得する。
上記式1から、生産性E1=700(=700×1)を算出する。
上記式2から、生産率E2≦0.7(=700÷1000)を計算する。これにより、生産率E2が最も高くなるように、供給タイミングTを決定する。この場合、供給タイミングTによって、製本装置4の10(第1の数)のクランプ部411に7冊(第2の数)の本身20が供給される(7÷10=0.7)。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
3 本身供給装置
31 第1搬送部
32 第2搬送部
33 読取り部
34 タイミング調整部
340 ストッパー部
4 製本装置
41 第3搬送部
411 クランプ部
42 処理部
5 集積装置
6 断裁装置
10 制御装置
20 本身
21 表紙
22 製本物
23 完成品
24 情報部
100 ジョブ情報取得部
101 上限処理速度取得部
102 形成速度決定部
103 形成速度指示部
104 タイミング決定部
105 タイミング指示部
D ジョブ情報
D1 集積数に関する情報
D2 形成速度に関する情報
N 集積数
V1 上限処理速度
V2 形成速度
T 供給タイミング