(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】コレステロール、その誘導体及び類似体を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C07J 9/00 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
C07J9/00
(21)【出願番号】P 2021575975
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 CN2020136678
(87)【国際公開番号】W WO2021121239
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/126744
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521553302
【氏名又は名称】フナン ケリー ファーマシューティカル シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】HUNAN KEREY PHARMACEUTICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガン,ホンシィン
(72)【発明者】
【氏名】シェ,ライビン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シィァンシィン
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-227592(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106866772(CN,A)
【文献】Liebigs Ann. Chem.,1983年,1031-1042
【文献】Steroids,2006年,71,599-602
【文献】Steroids,2005年,70,551-562
【文献】Steroids,1991年,56,30-32
【文献】Tetrahedron,2003年,59,8623-8628
【文献】Chem. Pharm. Bull.,1980年,28,606-611
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIIで表される化合物を調製するための方法において、
ステップ(1):式iiで表される化合物を式aで表される化合物に変換し、
【化1】
ステップ(2):式aで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム、塩化カルシウム及びピリジンの作用下で式bで表される化合物に還元し、
【化2】
ステップ(3):式bで表される化合物を式IIIで表される化合物に変換すること、を含む方法。
【化3】
R
a、R
bは、それぞれ独立して、H、-OH、C
1-3アルキル基から選ばれ、
PGは
、C
1-8シリル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、又は1つ又は複数のC
1-8アルキル基で任意選択的に置換されたベンゾイル基
であり、
Rは、L
1-R
1であり、
L
1は存在しないか、又はC
1-8アルキレン基であり、
LGは、脱離基であり;
R
1は、H、C
1-8アルキル基、C
1-8アルケニル基、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)、-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
PG
1は
、C
1-8シリル基又はC
1-6アルコキシ基で置換されたメチル基から選ばれる。)
【請求項2】
前記ステップ(2)において、式aで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム、塩化カルシウム及びピリジンの作用下で、アルコールとテトラヒドロフランとの混合溶媒で式bで表される化合物に還元する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコールがメタノール、エタノール及びイソプロパノールから選ばれる1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコールとテトラヒドロフランの体積比が1~2:1である、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコールがエタノール及びイソプロパノールから選ばれ、前記エタノールとイソプロパノールの体積比が1:1である、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
PGがアセチル基、p-ベンゾイル基又はトリフルオロアセチル基から選ばれ、
LGがハロゲンで置換されたC
1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基、C
1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基又はハロゲンから選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式IIIで表される化合物を調製するための方法において、
ステップ(11):式iiで表される化合物を式Iで表される化合物に変換し、
【化4】
ステップ(12):式Iで表される化合物を式IIで表される化合物に変換し、
【化5】
ステップ(13):式IIで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム及び塩化カルシウムの作用下で式IIIで表される化合物に還元すること、を含む方法。
【化6】
R
a、R
bは、それぞれ独立して、H、-OH、C
1-3アルキル基から選ばれ、
PGは
、C
1-8シリル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、又は1つ又は複数のC
1-8アルキル基で任意選択的に置換されたベンゾイル基であり、
Rは、L
1-R
1であり、
L
1は存在しないか、又はC
1-8アルキレン基であり、
LGは、脱離基であり、
R
1は、H、C
1-8アルキル基、C
1-8アルケニル基、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)、-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
PG
1は
、C
1-8シリル基又はC
1-6アルコキシ基で置換されたメチル基から選ばれる。)
【請求項8】
式IIで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム及び塩化カルシウムの作用下で、ジクロロメタンとアルコールとの混合溶媒で式IIIで表される化合物に還元する、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルコールは、メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選ばれる1種又は複数種であり、
前記アルコールとテトラヒドロフランの体積比が1~2:1である、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
PGがアセチル基、p-ベンゾイル基又はトリフルオロアセチル基から選ばれ、
LGは、ハロゲンで置換されたC
1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基、C
1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基又はハロゲンから選ばれる、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2019年12月19日に中国特許庁へ提出された、国際出願番号PCT/CN2019/126744、発明の名称が「コレステロール、その誘導体及び類似体を調製するための方法」であるPCT特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医薬品化学分野に関し、具体的には、コレステロール、その誘導体及び類似体を調製するための方法に関し、コレステロール誘導体には、7-デヒドロコレステロール、25-ヒドロキシコレステロール、25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロール、エルゴステロールが含まれるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0003】
ステロイドは、シクロペンタノぺルヒドロフェナントレンの誘導体であり、基本的な構造は、下図に示すA、B、C、D環を含む。
【0004】
【0005】
コレステロールは、コレステリンとも称され、重要なステロイド化合物であり、動物の体内に広く存在する。それは、細胞膜の形成に関与するだけでなく、生体内で胆汁酸、7-デヒドロコレステロール、及び多くのステロイドホルモンを合成するための原料である。7-デヒドロコレステロールは、紫外線照射によってビタミンD3に変換される。
【0006】
ビタミンD3の肝臓内での代謝産物の1つは、ビタミンD3よりも数倍の効果である25-ヒドロキシビタミンD3である。7-デヒドロコレステロールの誘導体である25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールは、25-ヒドロキシビタミンD3の工業的合成に適用できる。
現在、産業的に使用されるコレステロールの主な供給源は、動物材料の抽出法及び植物材料による半合成法がある。動物材料の抽出法(例えば、CN201811062895.6、CN201810722994.6)は、収率が低く、精製が困難であり、原料の供給源が限されており、しかも、安全的なリスク、例えば、狂牛病、豚レンサ球菌症の感染などがある。植物材料による半合成法の適用は、植物原料の供給量及び価格によって制限されている。例えば、CN1772760Aは、ジオスゲニンからコレステロールを合成するための方法を開示している。CN106632565A及びCN105237603Aは、スチグマステロールからコレステロールを合成するための方法を開示している。
【0007】
7-デヒドロコレステロールの主な供給源は、動物の皮下組織からの抽出、及び植物原料による半合成法がある。CN105669813A、CN102030794B、CN100494149Cは、コレステロールの脱水素から7-デヒドロコレステロールを合成するための以下の方法において、空気酸化法により、ヒドラゾン試薬を使用する方法を開示している。
【0008】
【0009】
Journal of Organic Chemistry、 2005、 70(21)、 8513-8521; Tetrahedron Letters、 2004、 45 (40)、 7479-7482は、コレステロールの脱水素による7-デヒドロコレステロールの以下の合成方法において、ブロモ置換-脱臭化法を使用して7-二重結合を導入する方法を開示している。
【0010】
【0011】
25-ヒドロキシコレステロール及び25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールの主な供給源は、コレステロール又はコレステロール類似体から調製される。EP594229及びJ. Chem. Research、 1999、 p708には、コレステロールから25-ヒドロキシコレステロールを調製するための以下の方法において、トリフルオロアセトンペルオキシド又は三酸化クロム/無水酢酸を25-ヒドロキシを導入するための酸化剤として使用する方法ことを開示している。
【0012】
【0013】
Chin. Chem. Lett.、 1992、 vol. 3、 p 409は、コレステロール抽出過程中の副産物である24-デヒドロコレステロールから25-ヒドロキシコレステロールを調製するための以下の方法において、水銀試薬を使用して24-二重結合に25-ヒドロキシを導入する方法を開示している。
【0014】
【0015】
CN104910231Bは、25-ヒドロキシコレステロールから25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールを調製するための以下の方法において、ヒドラゾン試薬を使用する方法を開示している。
【0016】
【0017】
CN106831921Aは、5,7,24-トリエンコレステロールによる25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールを調製するための方法において、Diels-Alder保護基を使用することを開示している。
【0018】
【発明の概要】
【0019】
一側面では、本発明は、ステップ(A)及びステップ(B)を含み、且つステップ(B)にはステップ(B-1)又は(B-2)を含む、式IIIで表される化合物の調製方法を提供する。
ステップ(A):
【0020】
【0021】
ステップ(B):
ステップ(B-1):
【0022】
【0023】
【0024】
ここで、
は、式I、式II、式IIIにおいて同時に単結合を示すか、又は
は、式I、式II、式IIIにおいて同時に二重結合を示すか、又は
は、式Iにおいて単結合又は二重結合を示し、式II及び式IIIにおいて二重結合を示し、
R
a、R
bは、それぞれ独立して、H、-OH、C
1-3アルキル基から選ばれ、
PGは、ヒドロキシの保護基であり、好ましくは、C
1-8シリル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、或いは、1つ又は複数のC
1-8アルキル基で任意選択的に置換されたベンゾイル基であり、
Rは、L
1-LG又はL
1-R
1であり、
L
1は存在しないか、又はC
1-8アルキレン基であり、
LGは、脱離基であり、
R
1は、H、C
1-8アルキル基、C
1-8アルケニル基、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)、-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
PG
1は、ヒドロキシの保護基であり、好ましくは、C
1-8シリル基又はC
1-6アルコキシ基で置換されたメチル基であり、
*は、キラル中心を示す。
【0025】
具体的には、本発明は、式IIIで表される化合物を調製するために2つの方法を使用することができ、第1の方法は、まず、AB環を構築し、次に側鎖を導入し、第2の方法は、まず、側鎖を構築し、次にAB環を導入することである。
第1の方法は、
ステップ(1):式iiで表される化合物を式aで表される化合物に変換することと、
【0026】
【0027】
ステップ(2):式aで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム、塩化カルシウム及びピリジンの作用下で式bで表される化合物に還元することと、
【0028】
【0029】
ステップ(3):式bで表される化合物を式IIIで表される化合物に変換することと、を含み、
ここで、
、Ra、Rb、PG、RL1、LG、Rは、上記と同じ定義を有し、本発明はここで贅言しない。
第2の方法は、
ステップ(1):式iiで表される化合物は式Iで表される化合物に変換されることと、
ステップ(2):式Iで表される化合物は式IIで表される化合物に変換されることと、
ステップ(3):式IIで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム及び塩化カルシウムの作用下で式IIIで表される化合物に還元することと、を含む。
ここで、
、Ra、Rb、PG、RL1、LG、Rは、上記と同じ定義を有し、本発明はここで贅言しない。
【0030】
好ましい側面では、式IIIで表される化合物の構造は、
【0031】
【0032】
である。他の好ましい側面では、式IIIで表される化合物は、コレステロール、7-デヒドロコレステロール、25-ヒドロキシコレステロール、25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロール、その誘導体又は類似体から選ばれる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾があると、本明細書で提供されている定義を基準とする。本明細書に商品名が記載されている場合には、それに対応する商品またはその有効成分を指すことを意味する。本明細書で引用されるすべての特許、公開された特許出願及び公開物は、いずれも援引により本明細書に組み込まれる。
【0034】
一般的な用語及び定義
特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾があると、本明細書で提供されている定義を基準とする。本明細書に商品名が記載されている場合には、それに対応する商品またはその有効成分を指すことを意味する。本明細書で引用されるすべての特許、公開された特許出願及び公開物は、いずれも援引により本明細書に組み込まれる。
「1つ(1種)又は複数(複数種)」という用語又は類似する「少なくとも1つ(1種)」といった表記は、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個(種)又はそれ以上(種)を示すことができる。
本明細書で使用されるm-nという表記とは、mからnまでの範囲、その中の各点値から構成されるサブ範囲及び各点値を意味する。例えば、「C1-C8」又は「C1-8」という表記は、1~8つの炭素原子の範囲をカバーし、それらの内の任意のサブ範囲及び各点値、例えば、C2~C5、C3~C4、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C1~C6、C1~C7など、及びC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8などもカバーすることを理解すべきである。例えば、「C3-C10」又は「C3-10」という表記は、同様に、例えば、それらの内の任意のサブ範囲及び点値、例えば、C3~C9、C6~C9、C6~C8、C6~C7、C7~C10、C7~C9、C7~C8、C8~C9など、及びC3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10などをカバーすることを理解すべきである。また、例えば、「3員~10員」という表記は、それらの内の任意のサブ範囲及び各点値、例えば、3員~5員、3員~6員、3員~7員、3員~8員、4員~5員、4員~6員、4員~7員、4員~8員、5員~7員、5員~8員、6員~7員、6員~8員、9員~10員など、及び3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員などをカバーすることを理解すべきである。本明細書では他の類似する表記も同様に理解すべきである。
【0035】
「アルキル基」という用語とは、炭素原子と水素原子とからなる直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を指し、単結合を介して分子の残った部分に連結されている。「アルキル基」は、1~8個の炭素原子を有することができ、即ち、「C1-8アルキル基」、例えば、C1-4アルキル基、C1-3アルキル基、C1-2アルキル基、C3アルキル基、C4アルキル基、C1-6アルキル基、C3-6アルキル基である。アルキル基の非限定的な例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、4-メチル基ペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、2-エチル基ブチル基、1-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基又は1,2-ジメチルブチル基、又はそれらの異性体を含むが、これらに限定されない。
「アルキレン基」という用語は、本明細書で単独又は他の基と組み合わせて使用される場合には、直鎖状又は分岐鎖状の二価の飽和炭化水素基を指す。例えば、「C1-6アルキレン基」という用語とは、1~6個の炭素原子を有するアルキレン基を意味し、例えば、C1-5アルキレン基、C1-4アルキレン基、C1-3アルキレン基、C1-2アルキレン基、C3アルキレン基、及びC1アルキレン基(即ち、メチレン基)である。アルキレン基の非限定的な例は、メチレン基(-CH2-)、1,1-エチレン基(-CH(CH3)-)、1,2-エチレン基(-CH2CH2-)、1,1-プロピレン基(-CH(CH2CH3)-)、1,2-プロピレン基(-CH2CH(CH3)-)、1,3-プロピレン基(-CH2CH2CH2-)、1,4-ブチレン基(-CH2CH2CH2CH2-)などを含むが、これらに限定されない。
「アルケニル基」という用語とは、炭素原子と水素原子とからなる直鎖状又は分岐鎖状の少なくとも1つの二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有することができ、即ち、「C2-8アルケニル基」、例えば、C2-4アルケニル基、C3-4アルケニル基である。アルケニル基の非限定的な例は、ビニル基、アリル基、(E)-2-メチルビニル基、(Z)-2-メチルビニル基、(E)-ブタ-2-エニル基、(Z)-ブタ-2-エニル基、(E)-ブタ-1-エニル基、(Z)-ブタ-1-エニル基などを含むが、これらに限定されない。
【0036】
「アルキニル基」という用語とは、炭素原子と水素原子とからなる直鎖状又は分岐鎖状の少なくとも1つの三重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキニル基は、2~8個の炭素原子を有することができ、即ち、「C2-8アルキニル基」、例えば、C2-4アルキニル基、C3-4アルキニル基である。アルキニル基の非限定的な例は、エチニル基、プロプ-1-イニル基、プロプ-2-イニル基、ブト-1-イニル基、ブト-2-イニル基、ブト-3-イニル基などを含むが、これらに限定されない。
「アルコキシ基」という用語とは、単結合を介して酸素原子に連結された以上のように定義されたアルキル基を意味する。アルコキシ基は、酸素原子を介して分子の残った部分に連結されている。アルコキシ基は、-O(アルキル基)として表されることができる。「C1-8アルコキシ基」又は「-O(C1-8アルキル基)」とは、1~8個の炭素原子を含むアルコキシ基を意味し、そのうち、アルキル部分は、直鎖、分岐鎖又は環状構造であってもよい。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などを含むが、これらに限定されない。
「シリル基」という用語とは、以上のように定義されるアルキル基において少なくとも1つのC原子がSi原子で置換されたものである。シリル基は、ケイ素原子を介して分子の残った部分に連結されている。「C1-8シリル基」とは、1~8個の炭素原子を含むシリル基を意味し、そのアルキル部分は、直鎖、分岐鎖又は環状構造であってもよい。シリル基は、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBS、又はTBDMSと称され)、ジメチルイソプロピルシリル基(IPDMS)、ジ-tert-ブチルメチルシリル基など(DTBMS)を含むが、これらに限定されない。
【0037】
本発明に係る化合物は、特定の幾何学的または立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、すべてのそのような化合物が、シス-トランス異性体、(-)と(+)のエナンチオマー、R体とS体のエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物、他の混合物、例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーに富む混合物を含み、これらの混合物は、全て本発明の範囲内に入ると仮定している。そのような物質の精製及び分離は、当技術分野で知られている標準的な技術によって達成することができる。
「炭化水素類」溶媒という用語とは、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素の溶媒を意味する。前記炭化水素は、飽和又は不飽和であってもよい。炭化水素類溶媒は、例えば、アルカン類溶媒が挙げられ、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、オクタン又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されなく、好ましくは、ヘキサン又はヘプタンである。炭化水素類溶媒の例は、例えば、少なくとも1つの芳香環を含み、直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素で任意選択的に置換された芳香族炭化水素溶媒も含む。芳香族炭化水素溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されなく、好ましくは、トルエン、トルエン又はそれらの組み合わせである。
「ハロゲン化アルカン類」溶媒という用語とは、上記のアルカン類溶媒において1つ又は複数(例えば、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、又は1~2個)の水素原子がハロゲンによって置き換えられたものを意味する。当業者は、ハロゲン置換基が複数存在する場合に、ハロゲンは同一であっても異なっていてもよく、且つ同一又は異なるC原子に位置してもよいことを理解すべきである。ハロゲン化アルカン類溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ヘキサクロロエタン、及び1,2,3-トリクロロプロパン又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されなく、好ましくは、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はそれらの組み合わせであり、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン及びそれらの組み合わせ、特に、ジクロロメタンである。
【0038】
「アルコール類」溶媒という用語とは、1~10個の炭素原子を有するアルコール溶媒を意味する。アルコール類溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、シクロヘキサノール又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されなく、好ましくは、メタノール、エタノール及びそれらの組み合わせである。
「エステル類」溶媒という用語とは、3~10個の炭素原子を有するエステル溶媒を意味する。エステル類溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されなく、好ましくは、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル又はそれらの組み合わせ、特に、酢酸エチルである。
「エーテル類」溶媒という用語とは、2~10個の炭素原子を有するエーテル溶媒を意味する。エーテル類溶媒は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されなく、好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン又はそれらの組み合わせである。
「スルホキシド類」溶媒という用語とは、ジメチルスルホキシドを意味する。
「ケトン類」溶媒という用語とは、3~8個の炭素原子を有するケトンを意味し、その実例としては、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される「室温」という用語とは、約10~30℃を指し、好ましくは、約20~25℃である。
本発明の以下の詳述は、当業者が本発明の技術的態様、原理及び実際の用途をより十分に理解でき、さらに、多くの修正を加えて本発明を実施することにより、特定の用途の要件に最適に適合させることができるために、例を挙げて非限定的な実施形態を説明することを意図している。
本発明の調製方法
【0040】
本発明は、第1の側面で、ステップ(A)及びステップ(B)を含み、且つステップ(B)にステップ(B-1)又は(B-2)を含む、式IIIで表される化合物を調製するための方法を提供する。
ステップ(A):
【0041】
【0042】
ステップ(B):
ステップ(B-1):
【0043】
【0044】
ステップ(B-2):
【0045】
【0046】
ここで、
は、式I、式II、式IIIにおいて同時に単結合を示し、或いは、
は、式I、式II、式IIIにおいて同時に二重結合を示すか、或いは、
は、式Iにおいて単結合又は二重結合を示し、式II及び式IIIにおいて二重結合を示し、
R
a、R
bは、それぞれ独立して、H、-OH、C
1-3アルキル基から選ばれ、
PGは、ヒドロキシの保護基であり、好ましくは、C
1-8シリル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、又は1つ又は複数のC
1-8アルキル基で任意選択的に置換されたベンゾイル基であり、
Rは、L
1-LG又はL
1-R
1であり、
L
1は存在しないか、又はC
1-8アルキレン基であり、
LGは、脱離基であり、
R
1は、H、C
1-8アルキル基、C
1-8アルケニル基、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)、-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C
1-8アルキル基)、-O-PG
1、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C
1-8アルキル基)
2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
PG
1は、ヒドロキシの保護基であり、好ましくは、C
1-8シリル基又はC
1-6アルコキシ基で置換されたメチル基から選ばれ、
*は、キラル中心を示す。
ここで、ステップ(B-1)及びステップ(B-2)は、いずれも還元剤の存在下で式IIIで表される化合物を調製する過程を示す。ステップ(B-1)は、目的生成物(式IIIで表される化合物)のキラル選択的な取得を示す。ステップ(B-2)は、反応で得られた化合物(式III’で表される化合物)が必要な光学純度に達しない場合があることを示すため、異性体分離を行って式IIIで表される化合物を得る。
【0047】
一実施形態において、PGは、アセチル基及びトリフルオロアセチル基から選ばれる。好ましい実施形態において、PGは、アセチル基である。
一実施形態において、ステップ(A)は、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸イソプロペニル及びそれらの組み合わせから選ばれるか、又は無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロリド及びそれらの組み合わせから選ばれるアシル化剤の存在下で行う。他の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸イソプロペニル及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、アシル化剤は、酢酸イソプロペニルである。他の特定の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル混合物である。一実施形態において、ステップ(A)は、無機酸又は有機酸である酸の存在下で行う。一実施形態において、酸は、p-TsOH、MsOH、HCl、H2SO4、HClO4及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、酸は、p-TsOHである。
一実施形態において、ステップ(A)は、0~110℃の温度下、好ましくは、室温~110℃で行う。一実施形態において、反応は、40~110℃の温度下で行い、例えば、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃又はそれらの組み合わせである。
【0048】
一実施形態において、L1は存在しない。他の実施形態において、L1は、C1-6アルキレン基であり、好ましくは、C1-6アルキレン基であり、より好ましくは、C1-4アルキレン基である。特定の実施形態において、L1は、C1-2アルキレン基、特に、メチレン基である。
一実施形態において、LGは、ハロゲン、ハロゲンで任意選択的に置換されたC1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基、及びC1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基から選ばれる。一実施形態において、LGは、OTf、OTs又はOMsである。一実施形態において、LGは、OTsである。一実施形態において、LGは、Cl、Br及びIから選ばれる。
一実施形態において、R1は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-O(C1-8アルキル基)及び-O-PG1から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換されている。
【0049】
一実施形態において、R1は、-CH=CR4R5であり、ここで、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル基、C1-6アルケニル基、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換されている。
一実施形態において、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-(CH2)2-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる。R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-6アルキル基)、-(CH2)2-C(=O)N(C1-6アルキル基)2から選ばれることが好ましい。
特定の実施形態において、PG1は、TMS、TBS又はMOMである。
【0050】
一実施形態において、*で表されるキラル中心は、ラセミ炭素原子である。一実施形態において、*で表されるキラル中心は、S配置リッチな炭素原子である。他の実施形態において、*で表されるキラル中心は、R配置リッチな炭素原子である。
一実施形態において、還元剤は、ヒドロホウ素化試薬、水素化アルミニウムリチウムから選ばれる。他の実施形態において、ヒドロホウ素化試薬は、Ca(BH4)2、NaBH4、KBH4及びそれらの組み合わせから選ばれる。好ましい実施形態において、ヒドロホウ素化試薬は、Ca(BH4)2である。一実施形態において、反応は、有機塩基、無機塩基又はそれらの組み合わせである塩基の存在下で行う。好ましい実施形態において、前記無機塩基は、NaOH、KOH、NaOMe、t-BuOK及びそれらの組み合わせから選ばれる。他の好ましい実施形態において、前記有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、DMAP及びそれらの組み合わせから選ばれる。他の特定の実施形態において、前記塩基は、ピリジンである。一実施形態において、反応は、有機溶媒中で行う。一実施形態において、有機溶媒は、アルコール類溶媒、エーテル類溶媒及びそれらの組み合わせから選ばれる。好ましい実施形態において、エーテル類溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びそれらの組み合わせから選ばれる。他の好ましい実施形態において、アルコール類溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの組み合わせから選ばれ、好ましくは、メタノール、エタノール又はそれらの組み合わせ、或いは、エタノール、イソプロパノール又はそれらの組み合わせである。特定の実施形態において、有機溶媒は、テトラヒドロフランと、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからの少なくとも1つとの混合溶媒である。他の特定の実施形態において、有機溶媒は、テトラヒドロフランと、メタノール、エタノールからの少なくとも1つとの的混合溶媒である。特定の実施形態において、有機溶媒は、テトラヒドロフランとエタノールとイソプロパノールとの混合溶媒である。特定の実施形態において、テトラヒドロフランとエタノールとイソプロパノールとの混合溶媒では、テトラヒドロフランとエタノールとイソプロパノールの割合は1:(0.1-1):(0.1-1)であり、好ましくは、1:(0.3-0.8):(0.3-0.8)、特に1:0.5:0.5である。
一実施形態において、ステップ(B)は、-20~80℃、好ましくは、-20~70℃の温度下で行う。一実施形態において、反応は、-20~60℃の温度下で行う。一実施形態において、反応は、-20~40℃、好ましくは、-10~40℃、例えば、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃又は40℃の温度下で行う。一実施形態において、「」は、式Iにおいて単結合又は二重結合を示し、単結合を示す場合には、式Iで表される化合物は、式I-1で表されることができ、しかも、本発明の方法は、ステップ(A)の前に、該単結合を二重結合に変換できるように以下のステップ(a)を任意選択的に含んでもよく、変換後に得られた構造が式I-2で表され、且つ依然として式Iの定義の範囲内に入る。
【0051】
ステップ(a):式I-1化合物を脱水素反応させ、式I-2で表される化合物を調製する。
【0052】
【0053】
式中、
Rは、L1-LG又はL1-R1であり、R1は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
L1、LG、PG及びPG1は、上記に定義される通りである。
【0054】
一実施形態において、ステップ(a)は脱水素化試薬の存在下で行う。一実施形態において、脱水素化試薬は、DDQ及びクロラニルから選ばれる。好ましい実施形態において、脱水素化試薬は、クロラニルから選ばれる。他の実施形態において、脱水素反応は、CN104910231B又はJournal of Organic Chemistry、 2005、 70(21)、 8513-8521; Tetrahedron Letters、 2004、 45(40)、 7479-7482に記載の方法により行う。
一実施形態において、式I、式II、式III’及び式IIIで表される化合物のいずれか1つ又は複数がステップ(b)、ステップ(c)、ステップ(d)、ステップ(e)、ステップ(f)、ステップ(g)-ステップ(h)の組み合わせ、ステップ(i)、ステップ(j)のいずれか1つ又は複数を含む反応を任意選択的に行う。上記反応により、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物中のRは、官能基変換を発生し、変換後に得られた基は依然としてRの定義の範囲内に入る。以下、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii
''、式iii
'''、式ivで表される化合物は、出現するたびに、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii
''、式iii
'''、式ivのステロイドAB環構造がそれぞれ独立して式I、式II、式III’又は式IIIのステロイドAB環構造に対応するように、そのうちの
がそれぞれ独立して、単結合又は二重結合を示す。ステップ(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)及び(j)のいずれか1つのステップでは、各々の
は、生成物で表される構造が反応物で表される構造と同じである。式i、式ii、式iii、式iii’、式iii
''、式iii
'''で表される化合物中のL
1-LG又はL
1-R
1の構造は、前記Rの定義の範囲内に入る。出現するたびに、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii
''、式iii
'''で表される化合物は、それぞれ独立して、式I、式II、式III’又は式IIIの構造の範囲内に入る。
一実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii
''、式iii
'''、式ivの少なくとも1つの式中では、ステロイドの3-位がカルボニル基であり、ステロイドの3-位のカルボニル酸素原子は化学結合を介してR
2に連結することがなく、且つR
2は存在しなく、AB環の構造は、
【0055】
【0056】
である。一実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivでは、AB環の構造は、式Iに対応する。
【0057】
他の実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivの少なくとも1つの式中では、ステロイドの3-位はヒドロキシであり、ステロイドの3-位のヒドロキシ酸素原子は、化学結合を介してR2に連結され、且つAB環の構造は、
【0058】
【0059】
である。一実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivでは、AB環の構造は、式IIに対応する。
一実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivの少なくとも1つの式中では、AB環の構造は、
【0060】
【0061】
である。一実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivでは、AB環の構造は、式III’又は式IIIに対応する。他の実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivの少なくとも1つの式中では、AB環の構造は、
【0062】
【0063】
である。更に他の実施形態において、式i、式ii、式iii、式iii’、式iii''、式iii'''、式ivの少なくとも1つの式中では、AB環の構造は、
【0064】
【0065】
である。
RがL1-OHである場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式iで示される。RがL1-LGである場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式iiで示される。
【0066】
ステップ(b):式iで表される化合物をスルホニル化剤又はハロゲン化剤と反応させ、式iiで表される化合物を調製する。
【0067】
【0068】
式中、
R2は、PGであり、PGは、上記に定義される通りである。
(i)LGは、ハロゲンで任意選択的に置換されたC1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基又はC1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基であり、反応は、スルホニル化剤の存在下で行うか、又は
(ii)LGは、ハロゲンであり、反応は、ハロゲン化剤の存在下で行う。
【0069】
一実施形態において、ステップ(b)は、ステップ(A)の前に行い、式iと式iiとも式Iの構造の範囲内に入る。ステップ(b)は、以下の通りである。
【0070】
【0071】
一実施形態において、LGは、OTf、OMs又はOTsである。一実施形態において、スルホニル化剤は、(Tf)2O、MsCl又はTsClである。
一実施形態において、LGは、Cl、Br又はIである。一実施形態において、ハロゲン化剤は、SOCl2、POCl3、クロロシラン試薬、ハロゲン化リン、HBr、NBS、(PhO)3P/CH3I系又はPh3P/I2/イミダゾール系である。
【0072】
RがL1-LG’である場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式ii’で示される。
ステップ(c):式ii’化合物をハロゲン化剤と反応させ、式iiで表される化合物を調製する。
【0073】
【0074】
式中、
R2は、PGであり、PGは、上記に定義される通りであり、
LG’は、ハロゲンで任意選択的に置換されたC1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基又はC1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基であり、LGは、ハロゲンであり、反応は、ハロゲン化剤の存在下で行う。
【0075】
一実施形態において、ステップ(c)は、ステップ(A)の前に行い、式ii’と式iiとも式Iの構造の範囲内に入る。ステップ(c)は、以下の通りである。
【0076】
【0077】
一実施形態において、LG’は、OTf、OMs又はOTsである。一実施形態において、LGは、Cl、Br又はIである。一実施形態において、ハロゲン化剤は、ハロゲン化水素、I2、POCl3、PBr3又は金属ハロゲン化物である。一実施形態において、金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及びそれらの組み合わせから選ばれるか、又は、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化マグネシウム及びそれらの組み合わせから選ばれるか、又は、ヨウ化ナトリウムである。
RがL1-R1である場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式iiiで示される。
【0078】
ステップ(d):式iiで表される化合物を有機金属試薬と反応させ、式iiiで表される化合物を調製する。
【0079】
【0080】
式中、
R
2は、H又はPGであり、
LGは、ハロゲン、ハロゲンで任意選択的に置換されたC
1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基及びC
1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基から選ばれ、
【化28】
【0081】
は、有機金属試薬であり、LG1は、MgX又はCuLiであり、nは1又は2であり、
R1は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-O(C1-8アルキル基)及び-O-PG1から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
L1、PG、PG1は、上記に定義される通りである。
【0082】
一実施形態において、ステップ(d)は、ステップ(B-2)の第1階段と第2階段の間で実施され、式iiと式iiiとも式III’の構造の範囲内に入る。ステップ(d)は、以下のステップ(d-1)を含む。
【0083】
【0084】
一実施形態において、ステップ(d)は、ステップ(B)の後に行い、式iiと式iiiとも式IIIの構造の範囲内にいる。ステップ(d)は、以下のステップ(d-2)を含む。
【0085】
【0086】
一実施形態において、LGは、OTf、OMs又はOTsである。他の実施形態において、LGは、Cl、Br又はIである。
一実施形態において、LG1は、MgXであり、ここで、Xは、Cl、Br又はIであり、nは1であり、
【0087】
【0088】
は、グリニャール試薬に属する。一実施形態において、ステップ(d)は触媒の存在下で行い、触媒はハロゲン化銅、ハロゲン化第一銅、塩化リチウム、リチウム-銅の複塩及びそれらの組み合わせから選ばれる。一実施形態において、触媒は、CuI、CuBr、LiCl、CuCl
2、CuCl、Li
2CuCl
4、LiCuCl
3のうちの1種又は複数種から選ばれる。
一実施形態において、LG
1は、CuLiであり、nは2であり、
【化32】
【0089】
は、ハイドロカルビル銅リチウム試薬である。
【0090】
一実施形態において、ステップ(d)は、さらに、3-カルボニル基を保護するステップ及び脱保護のステップを含む。一実施形態において、3-カルボニル基を保護するステップは、3-カルボニル基をケタールとして形成させることにより達成される。一実施形態において、3-カルボニル基を保護する保護基は、1,3-ジオキソランである。
ステップ(e):式iiで表される化合物をアクリル酸誘導体と還元剤の存在下で反応させ、式iiiで表される化合物を調製する。
【0091】
【0092】
ここで、R2は、H又はPGであり、PGは、上記に定義される通りである。
LGは、ハロゲン、ハロゲンで任意選択的に置換されたC1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基及びC1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基から選ばれる。好ましくは、LGは、ハロゲンである。
アクリル酸誘導体は、アクリル酸アルキルから選ばれ、ここで、前記アルキル基は、それぞれ独立して、C1-8アルキル基から選ばれる。好ましくは、前記アルキル基は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基から選ばれ、より好ましくは、C1-4アルキル基である。
還元剤は、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウムから選ばれる。特定の実施形態において、還元剤は、亜鉛である。
R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-8アルキル基)から選ばれる。好ましくは、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-6アルキル基)から選ばれる。より好ましくは、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-4アルキル基)から選ばれる。
【0093】
一実施形態において、ステップ(e)は、ステップ(B-2)の第1階段と第2階段の間で実施され、式iiと式iiiとも式III’の構造の範囲内に入る。ステップ(e)は、以下のステップ(e-1)を含む。
【0094】
【0095】
一実施形態において、ステップ(e)は、ステップ(B)の後に行い、式iiと式iiiとも式IIIの構造の範囲内に入る。ステップ(e)は、以下のステップ(e-2)を含む。
【0096】
【0097】
一実施形態において、アクリル酸誘導体は、アクリル酸C1-6アルキルである。他の実施形態において、アクリル酸アルキルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、及びアクリル酸イソブチルから選ばれる。好ましい実施形態において、アクリル酸アルキルは、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルから選ばれる。
一実施形態において、ステップ(e)は、触媒の存在下で行う、CuI、Ni(0)/配位子、Zn/NiCl2/配位子から選ばれる。一実施形態において、配位子は、PPh3、ビピリジン、フェナントロリン、ピリジン、DMAP及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、触媒は、Zn/NiCl2/ピリジンである。
一実施形態において、ステップ(e)は、0~80℃の温度下で、好ましくは、0~70℃で行う。一実施形態において、反応は、0~60℃の温度下で行う。一実施形態において、反応は、10~60℃の温度下で行い、例えば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃又はそれらの組み合わせである。
一実施形態において、反応は、有機溶媒中で行う。一実施形態において、有機溶媒は、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、酢酸ブチル、メチルテトラヒドロフラン、ピリジンから選ばれる。一実施形態において、有機溶媒は、ピリジンである。
一実施形態において、ステップ(e)は、以下のステップi)~ステップiii)を含む。
i)還元剤、触媒及び溶媒を混合して混合物を得、
ii)ステップi)で得られた混合物をアクリル酸誘導体と混合し、反応させて活性化されたアクリル酸誘導体を得、
iii)ステップii)で得られた活性化されたアクリル酸誘導体を式iiで表される化合物と混合し、反応させて式iiiで表される化合物を得る。
【0098】
一実施形態において、ステップii)は、30~80℃の温度下で、好ましくは、30~70℃、より好ましくは、40~60℃、例えば、40℃、45℃、50℃、55℃又は60℃で行う。
一実施形態において、ステップii)は、ステップi)で得られた混合物にアクリル酸誘導体を徐々に加えて実施される。一実施形態において、ステップii)では、混合終了後の反応時間は、0.5~4時間、好ましくは、1~2時間である。
一実施形態において、ステップiii)は、0~60℃の温度下で、好ましくは、0~40℃、より好ましくは、0~30℃、例えば、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃で行う。一実施形態において、ステップiii)では、混合終了後の反応時間は、0.5~8時間、好ましくは、1~6時間、より好ましくは、3~4時間である。
【0099】
RがL1-R1'である場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式iii’で示される。
ステップ(f):式iii’で表される化合物をアルキル化剤と反応させ、式iiiで表される化合物を調製する。
【0100】
【0101】
式中、R
2は、H又はPGであり、PGは、上記に定義される通りであり
R
1'は、C
1-8アルキル基、C
1-8アルケニル基及び-C(=O)O(C
1-8アルキル基)から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-C(=O)O(C
1-8アルキル基)から選ばれる1つ又は2つで置換され、
R
1は、C
1-8アルキル基、C
1-8アルケニル基、及び
【化37】
【0102】
から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、
【化38】
【0103】
から選ばれる1つ又は2つで置換され、ここで、R3は、C1-8アルキル基から選ばれ、
アルキル化剤は、R3MgX、又はR3Liであり、ここで、Xは、Cl又はBrである。
【0104】
一実施形態において、R3は、C1-4アルキル基から選ばれる。特定の実施形態において、R3は、メチル基である。
一実施形態において、ステップ(f)は、ステップ(B-2)の第1階段と第2階段の間で実施され、式iii’と式iiiとも式III’の構造の範囲内に入る。ステップ(f)は、以下のステップ(f-1)を含む。
【0105】
【0106】
一実施形態において、ステップ(f)は、ステップ(B)の後に行い、式iii’と式iiiとも式IIIの構造の範囲内に入る。ステップ(f)は、以下のステップ(f-2)を含む。
【0107】
一実施形態において、ステップ(f)は、さらに、3-OHを保護するステップ及び脱保護のステップを含む。一実施形態において、3-OHを保護する保護基は、C1-8シリル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、メトキシ基で任意選択的に置換されたベンジル基又はC1-6アルコキシ基で置換されたメチル基から選ばれる。
RがL1-CHOである場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式ivで示される。
ステップ(g):式iiiで表される化合物を酸化剤と反応させ、式ivで表される化合物を調製する。
【0108】
【0109】
式中、R1は-CH2OHであり、R2はPGであり、
L1、PGは、上記に定義される通りである。
【0110】
一実施形態において、ステップ(g)は、ステップ(A)の前に行い、式iiiは、式Iの構造の範囲内に入る。ステップ(g)は、以下のステップ(g-1)を含む。
【0111】
【0112】
一実施形態において、ステップ(g)は、ステップ(A)とステップ(B)の間で実施され、式iiiは、式IIの構造の範囲内に入る。ステップ(g)は、以下のステップ(g-2)を含む。
【0113】
【0114】
一実施形態において、酸化剤は、TEMPO/NaBr/NaClO、TEMPO/NaBr/Ca(ClO)2、TEMPO/TCCA、DMSO/SO3-Py/Et3N、NaNO2/FeCl3/TEMPO/空気、NaNO2/FeCl3/TEMPO/O2及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、酸化剤は、TEMPO/NaBr/NaClOである。
【0115】
一実施形態において、反応は、有機溶媒中で行う。一実施形態において、有機溶媒は、炭化水素類溶媒、ハロゲン化炭化水素類溶媒、エステル類溶媒、ケトン類溶媒及びそれらの組み合わせから選ばれる。好ましい実施形態において、炭化水素類溶媒は、ベンゼン、トルエン及びそれらの組み合わせから選ばれる。更に他の好ましい実施形態において、ハロゲン化炭化水素類溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン及びそれらの組み合わせから選ばれ、好ましくは、ジクロロメタンである。好ましい実施形態において、エステル類溶媒は、酢酸エチルである。他の好ましい実施形態において、ケトン類溶媒は、アセトンである。
ステップ(h):式ivで表される化合物をWittig試薬と反応させ、式iiiで表される化合物を調製する。
【0116】
【0117】
R1は、-CH=CR4R5であり、式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル基、C1-6アルケニル基、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ又は2つで任意選択的に置換され、
R2は、H又はPGであり、
L1、PG、PG1は、上記に定義される通りである。
【0118】
一実施形態において、CR4R5構造は、
【0119】
【0120】
から選ばれる。
一実施形態において、ステップ(h)は、ステップ(A)の前に行い、式iiiは式Iの構造の範囲内に入る。ステップ(h)は、以下のステップ(h-1)を含む。
【0121】
【0122】
一実施形態において、ステップ(h)は、ステップ(B-2)の第1階段と第2階段の間で実施され、式iiiは、式III’の構造の範囲内に入る。ステップ(h)は、以下のステップ(h-2)を含む。
【0123】
【0124】
一実施形態において、ステップ(h)は、ステップ(B)の後に行い、式iiiは式IIIの構造の範囲内に入る。ステップ(h)は、以下のステップ(h-3)を含む。
【0125】
【0126】
一実施形態において、Wittig試薬は、ハロゲン化炭化水素及びリン試薬から調製され、ここで、ハロゲン化炭化水素は、X-CHR4R5であり、Xは、Cl、Br又はIである。
一実施形態において、リン試薬は、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチルなどから選ばれる。特定の実施形態において、リン試薬は、トリフェニルホスフィンである。
【0127】
一実施形態において、ハロゲン化炭化水素及びリン試薬によりWittig試薬を調製する反応は、塩基の存在下で行い、前記塩基は、有機塩基、無機塩基又はそれらの組み合わせである。一実施形態において、塩基は、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、塩基は、カリウムtert-ブトキシドである。
一実施形態において、ステップ(h)は、-20~80℃の温度下、好ましくは、-20~70℃で行う。一実施形態において、反応は、-20~60℃の温度下で行う。一実施形態において、反応は、-10~60℃の温度下で行い、好ましくは、0~50℃、より好ましくは、10~40℃、例えば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃又は40℃である。
一実施形態において、反応は有機溶媒中で行う。一実施形態において、有機溶媒は、スルホキシド類溶媒、エーテル類溶媒、炭化水素類溶媒及びそれらの組み合わせから選ばれる。好ましい実施形態において、スルホキシド類溶媒は、DMSOである。他の好ましい実施形態において、エーテル類溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン及びそれらの組み合わせから選ばれる。更に他の好ましい実施形態において、炭化水素類溶媒は、ベンゼン、トルエン及びそれらの組み合わせから選ばれる。
RがL1-R1''である場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、式iii''で示される。
ステップ(i):式iii''で表される化合物を還元させ、式iiiで表される化合物を調製する。
【0128】
【0129】
R1''は、C1-8アルケニル基であり、ここで、前記アルケニル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)から選ばれる1つ又は2つで任意選択的に置換され、
R1は、C1-8アルキル基であり、ここで、前記アルキル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-CH2OH、-C(=O)O(C1-8アルキル基)から選ばれる1つ又は2つで任意選択的に置換され、
R2は、Hであり、
L1、PG1は、上記に定義される通りである。
【0130】
一実施形態において、ステップ(i)は、ステップ(B-2)の第1階段と第2階段の間で実施され、式iii''と式iiiとも式III’の構造の範囲内に入る。ステップ(i)は、以下のステップ(i-1)を含む。
【0131】
【0132】
一実施形態において、ステップ(i)は、ステップ(B)の後に行い、式iii''と式iiiとも式IIIの構造の範囲内に入る。ステップ(i)は、以下のステップ(i-2)を含む。
【0133】
【0134】
RがL1-R1'''である場合には、式I、式II、式III’又は式IIIで表される化合物の構造は、下式iii'''で示される。
一実施形態において、ステップ(i)は、接触水素化反応で行う。
ステップ(j):式iii'''化合物を脱保護し、式iiiで表される化合物を調製する。
【0135】
【0136】
R1'''は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ又は2つで任意選択的に置換され、
R1は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、OH、-O(C1-8アルキル基)、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換され、
R2は、Hであり、
L1、PG1は、上記に定義される通りである。
【0137】
一実施形態において、ステップ(j)は、ステップ(B-2)の第1階段と第2階段の間で実施され、式iii'''と式iiiとも式III’の構造の範囲内に入る。ステップ(j)は、以下のステップ(j-1)を含む。
【0138】
【0139】
一実施形態において、ステップ(j)は、ステップ(B)の後に行い、式iii'''と式iiiとも式IIIの構造の範囲内に入る。ステップ(j)は、以下のステップ(j-2)を含む。
【0140】
【0141】
上記式i、式ii、式iii、式iii''、式iii'''化合物は、式I、式II、式III’又は式IIIの構造の範囲内に入り、式iv中のAB環の構造は、式iiiと同様であるため、式i、式ii、式iii、式iii''、式iii'''、式iv中のAB環に複数の構造が存在する場合には、複数の構造はステップ(A)及びステップ(B)に記載の方法に従って変換することができる。
【0142】
本発明に係る第1又は第2の側面のステップ(A)、ステップ(B)、ステップ(a)~ステップ(j)の反応を以下の表1にまとめる。
【0143】
【0144】
本発明は、第2の側面は、以下のステップを含む式IIIで表される化合物を調製するための方法を提供する。即ち
ステップ(1):式iiで表される化合物を式aで表される化合物に変換し、
【0145】
【0146】
ステップ(2):式aで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム、塩化カルシウム及びピリジンの作用下で式bで表される化合物に還元させ、
【0147】
【0148】
ステップ(3):式bで表される化合物を式IIIで表される化合物に変換する。
【0149】
【0150】
ここで、
、Ra、Rb、PG、RL1、LG、Rは上記と同じ定義を有し、本発明はここで贅言しない。
【0151】
一実施形態において、PGは、アセチル基及びトリフルオロアセチル基から選ばれる。好ましい実施形態において、PGは、アセチル基である。
一実施形態において、ステップ(1)は、アシル化剤の存在下で行い、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸イソプロペニル及びそれらの組み合わせから選ばれるか、又は無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロリド及びそれらの組み合わせから選ばれる。他の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸イソプロペニル及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、アシル化剤は、酢酸イソプロペニルである。他の特定の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル混合物である。一実施形態において、ステップ(1)は、酸の存在下で行い、前記酸は、無機酸又は有機酸である。一実施形態において、酸は、p-TsOH、MsOH、HCl、H2SO4、HClO4及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、酸は、p-TsOHである。
一実施形態において、ステップ(1)は、0~110℃の温度下で、好ましくは、室温~110℃で行う。一実施形態において、反応は、40~110℃の温度下で行い、例えば、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃又はそれらの組み合わせである。
一実施形態において、L1は存在しない。他の実施形態において、L1は、C1-6アルキレン基、好ましくは、C1-6アルキレン基、より好ましくは、C1-4アルキレン基である。特定の実施形態において、L1は、C1-2アルキレン基、特に、メチレン基である。
【0152】
一実施形態において、LGは、ハロゲン、ハロゲンで任意選択的に置換されたC1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基及びC1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基から選ばれる。一実施形態において、LGは、OTf、OTs又はOMsである。一実施形態において、LGは、OTsである。一実施形態において、LGは、Cl、Br及びIから選ばれる。
一実施形態において、R1は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-O(C1-8アルキル基)及び-O-PG1から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換されている。
一実施形態において、R1は、-CH=CR4R5であり、式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル基、C1-6アルケニル基、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換されている。
【0153】
一実施形態において、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-(CH2)2-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる。好ましくは、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-6アルキル基)、-(CH2)2-C(=O)N(C1-6アルキル基)2から選ばれる。
特定の実施形態において、PG1は、TMS、TBS又はMOMである。
一実施形態において、ステップ(2)では、式aで表される化合物は、水素化ホウ素ナトリウム、塩化カルシウム及びピリジンの作用下で式bで表される化合物に還元される。一実施形態において、反応は有機溶媒中で行う。一実施形態において、有機溶媒は、アルコール類溶媒とテトラヒドロフランとの混合溶媒から選ばれる。他の好ましい実施形態において、アルコール類溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの組み合わせから選ばれ、好ましくは、メタノール、エタノール又はそれらの組み合わせであるか、或いは、又はエタノール、イソプロパノール又はそれらの組み合わせである。一実施形態において、エタノール又はイソプロパノールとの体積比は1:1である。特定の実施形態において、有機溶媒は、テトラヒドロフランと、メタノール、エタノール及びイソプロパノールの少なくとも1つとの的混合溶媒である。他の特定の実施形態において、有機溶媒は、テトラヒドロフランと、メタノール、エタノールの少なくとも1つとの的混合溶媒である。特定の実施形態において、有機溶媒は、テトラヒドロフランとエタノールとイソプロパノールとの混合溶媒である。一実施形態において、前記アルコールとテトラヒドロフランとの体積比は、1~2:1、特に、1:1である。特定の実施形態において、テトラヒドロフランとエタノールとイソプロパノールの混合溶媒中のテトラヒドロフランとエタノールとイソプロパノールの割合は1:(0.1-1):(0.1-1)、好ましくは、1:(0.3-0.8):(0.3-0.8)、特に、1:0.5:0.5である。
【0154】
一実施形態において、ステップ(2)は、-20~80℃の温度下で行い、好ましくは、-20~70℃である。一実施形態において、反応は、-20~60℃の温度下で行う。一実施形態において、反応は、-20~40℃の温度下で行い、好ましくは、-10~40℃、例えば、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃又は40℃である。
一実施形態において、ステップ(3)は、上記ステップ(d)に従って行い、即ち、式bで表される化合物の脱離基を有機金属試薬と反応させ、側鎖を構築して式IIIで表される化合物を得、その構築過程は上記と類似するため、本発明はここで贅言しない。
一実施形態において、ステップ(3)は、上記ステップ(e)に従って行い、即ち、式bで表される化合物の脱離基とアクリル酸誘導体とが還元剤の作用下で反応させ、側鎖を構築して式IIIで表される化合物を生じ、その構築過程は上記と類似するため、本発明はここで贅言しない。
【0155】
一実施形態において、さらに、側鎖にエステル基を含む化合物をアルキル化剤と反応させ、側鎖に第3級ヒドロキシ基を含む化合物を調製するステップfを含み、その過程は上記と類似するため、本発明はここで贅言しない。
一実施形態において、
は、式Iにおいて単結合又は二重結合を示し、単結合を示す場合には、式iiで表される化合物は、式ii-1として表すことができ、しかも、本発明に係る方法は、ステップ(1)の前に、化合物を脱水素反応させ、その単結合を二重結合に変換するステップ(a)を任意選択的に含み、変換後に得られた構造は、式ii-2として表すことができ、且つ、依然として式Iの定義内に入る。該過程は前記ステップaと類似するため、本発明はここで贅言しない。
幾つかの実施形態において、さらに、化合物側鎖上の第1級ヒドロキシ基をスルホニル化剤又はハロゲン化剤と反応させ、側鎖に脱離基を含む化合物を調製するステップ(b)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
【0156】
幾つかの実施形態において、さらに、スルホン酸エステル基を含む式ii’化合物をハロゲン化剤と反応させ、ハロゲン脱離基を含む式iiで表される化合物を調製するステップ(c)を含み、該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
幾つかの実施例では、さらに、側鎖に二重結合を含む式iii''で表される化合物を還元させ、側鎖を有する式iiiで表される化合物を調製するステップ(i)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
一つの実施例では、さらに、側鎖に保護基を含む式iii'''化合物を脱保護し、式iiiで表される化合物の側鎖を構築するステップ(j)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
【0157】
本発明は、第3の側面で、以下のステップを含む、式IIIで表される化合物を調製するための別の方法を提供する。即ち、
ステップ(11):式iiで表される化合物を式Iで表される化合物に変換し、
【0158】
【0159】
ステップ(12):式Iで表される化合物を式IIで表される化合物に変換し、
ステップ(13):式IIで表される化合物を水素化ホウ素ナトリウム及び塩化カルシウムの作用下で式IIIで表される化合物に還元する。
【0160】
【0161】
ここで、
R
a、R
b、PG、RL
1、LG、Rは上記と同じ定義を有し、本発明はここで贅言しない。
【0162】
一実施形態において、PGは、アセチル基及びトリフルオロアセチル基から選ばれる。好ましい実施形態において、PGは、アセチル基である。
一実施形態において、ステップ(12)は、アシル化剤の存在下で行い、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸イソプロペニル及びそれらの組み合わせから選ばれるか、又は無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロリド及びそれらの組み合わせから選ばれる。他の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸イソプロペニル及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、アシル化剤は、酢酸イソプロペニルである。他の特定の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル混合物である。一実施形態において、ステップ(12)は、酸の存在下で行い、前記酸は、無機酸又は有機酸である。一実施形態において、酸は、p-TsOH、MsOH、HCl、H2SO4、HClO4及びそれらの組み合わせから選ばれる。特定の実施形態において、酸は、p-TsOHである。
一実施形態において、ステップ(12)は、0~110℃の温度下で行い、好ましくは、室温~110℃である。一実施形態において、反応は、40~110℃の温度下で行い、例えば、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃又はそれらの組み合わせである。
一実施形態において、L1は存在しない。他の実施形態において、L1は、C1-6アルキレン基、好ましくは、C1-6アルキレン基、より好ましくは、C1-4アルキレン基である。特定の実施形態において、L1は、C1-2アルキレン基、特に、メチレン基である。
【0163】
一実施形態において、LGは、ハロゲン、ハロゲンで任意選択的に置換されたC1-6アルキルスルホン酸エステル脱離基及びC1-6アルキル基で任意選択的に置換されたベンゼンスルホン酸エステル脱離基から選ばれる。一実施形態において、LGは、OTf、OTs又はOMsである。一実施形態において、LGは、OTsである。一実施形態において、LGは、Cl、Br及びIから選ばれる。
一実施形態において、R1は、H、C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-O(C1-8アルキル基)及び-O-PG1から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換されている。
一実施形態において、R1は、-CH=CR4R5であり、式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル基、C1-6アルケニル基、-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれ、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は、-OH、-O(C1-8アルキル基)、-O-PG1、-C(=O)O(C1-8アルキル基)及び-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる1つ、2つ又は3つで任意選択的に置換されている。
【0164】
一実施形態において、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-8アルキル基)、-(CH2)2-C(=O)N(C1-8アルキル基)2から選ばれる。好ましくは、R1は、-(CH2)2-C(=O)O(C1-6アルキル基)、-(CH2)2-C(=O)N(C1-6アルキル基)2から選ばれる。
特定の実施形態において、PG1は、TMS、TBS又はMOMである。
一実施形態において、ステップ(13)では、式IIで表される化合物は、水素化ホウ素ナトリウム及び塩化カルシウムの作用下で式IIIで表される化合物に還元される。一実施形態において、反応は有機溶媒中で行う。一実施形態において、有機溶媒は、アルコール類溶媒とジクロロメタンの混合溶媒から選ばれる。他の好ましい実施形態において、アルコール類溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの組み合わせから選ばれ、好ましくは、メタノール、エタノール又はそれらの組み合わせであるか、或いは、エタノール、イソプロパノール又はそれらの組み合わせである。一実施形態において、エタノール、イソプロパノールの体積比は1:1である。特定の実施形態において、有機溶媒は、ジクロロメタンと、メタノール、エタノール及びイソプロパノールの少なくとも1つとの的混合溶媒である。他の特定の実施形態において、有機溶媒は、ジクロロメタンと、メタノール、エタノールの少なくとも1つとの的混合溶媒である。特定の実施形態において、有機溶媒は、ジクロロメタンとエタノールとイソプロパノールの混合溶媒である。一実施形態において、前記アルコールとジクロロメタンの体積比は、1~2:1、特に、1:1である。特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールとイソプロパノールの混合溶媒中のジクロロメタンとエタノールとイソプロパノールの割合は、1:(0.1~1):(0.1~1)、好ましくは、1:(0.3~0.8):(0.3~0.8)、特に、1:0.5:0.5である。
【0165】
一実施形態において、ステップ(13)は、-20~80℃の温度下で行い、好ましくは、-20~70℃である。一実施形態において、反応は、-20~60℃の温度下で行う。一実施形態において、反応は、-20~40℃の温度下で行い、好ましくは、-10~40℃、例えば、-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃又は40℃である。
一実施形態において、ステップ(11)は、ステップdに従って行い、脱離基を含む式iiで表される化合物を有機金属試薬の作用下で式Iで表される化合物に変換し、側鎖を構築する。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
幾つかの実施形態において、ステップ(11)は、ステップeに従って行い、脱離基を含む式iiで表される化合物をアクリル酸誘導体及び還元剤の作用下で式Iで表される化合物に変換させ、側鎖を構築する。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
【0166】
一実施形態において、さらに、側鎖にエステル基を含む式iiで表される化合物をアルキル化剤と反応させ、側鎖に第3級ヒドロキシ基を含む式Iで表される化合物を調製するステップfを含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
一実施形態において、
は、式Iにおいて単結合又は二重結合を示し、単結合を示す場合には、式iiで表される化合物は、式ii-1として表すことができ、しかも、本発明に係る方法は、ステップ(12)の前に、式iiで表される化合物を脱水素反応させ、脱水素化された式ii-2化合物を調製するステップ(a)を任意選択的に含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
幾つかの実施形態において、さらに、側鎖に第1級ヒドロキシ基を含む式iで表される化合物をスルホニル化剤又はハロゲン化剤と反応させ、脱離基を含む式iiで表される化合物を調製するステップ(b)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
【0167】
幾つかの実施形態において、さらに、スルホン酸エステル脱離基を含む式ii’で表される化合物をハロゲン化剤と反応させ、ハロゲン脱離基を含む式iiで表される化合物を調製するステップ(c)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
一つの実施例では、さらに、側鎖に第1級ヒドロキシ基を含む式iiiで表される化合物を酸化剤と反応させ、側鎖にアルデヒド基を含む式ivで表される化合物を調製するステップ(g)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
一実施形態において、さらに、側鎖にアルデヒド基を含む化合物をWittig反応させ、側鎖に二重結合を含む化合物を調製するステップ(h)を含む。該過程は前記過程と類似するため、本発明はここで贅言しない。
本発明は、さらに、式I-1化合物から式III-1化合物を調製するための方法を提供する。
【0168】
【0169】
調製手順は、上記と同様であり、区別点が置換基及びキラリティーにあるため、本発明はここで贅言しない。
当業者は、必要に応じて、本発明に係る合成方法に適切な調整、例えば、反応ステップの順序の調整、及び、保護/脱保護反応ステップの追加または省略を行うことができることを理解すべきである。さらに、必要及び実際の状況に応じて、本発明に係る合成方法のステップのそれぞれを別々にまたは同時に行うことができ、特に限定されていない。例えば、上記の各側面では、ステップ(j)は他の反応と同時に行うことができる。
【0170】
当該分野における周知の知識によれば、式Iで表される化合物は、植物ステロールを原料として使用する微生物変換により調製することができる。従って、本発明の任意選択的な側面では、植物ステロールから微生物変換及び化学合成を経て式Iで表される化合物を調製することができ、前記方法は、以下のステップ(A’)を含む。
ステップ(A’):式I’で表される化合物をマイコバクテリウム(Mycobacterium)属の微生物又はその培養物に接触させ、式Iで表される化合物を調製する。
【0171】
【0172】
式中、式I’で表される化合物は、植物ステロールであり、R’は、
【0173】
【0174】
Rは、-CH2OHである。
有益な効果
【0175】
本発明は、当技術分野で緊急に必要とされる、コレステロール及びその誘導体を調製するための新たな方法、特に、25-ヒドロキシコレステロール、25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールを調製するための方法を提供し、先行技術の技術的問題、例えば、原料の供給源及び側鎖の25-ヒドロキシルの構築の難しさという問題を解決している。
本発明に係る方法は、原料が容易に入手可能である。ステップ操作は、簡単で、特別な分離手段がなく、反応収率が高く、製造コストが低く、工業的な生産に適する。しかも、貴金属触媒、毒性の高い試薬、例えば、トリフルオロアセトンペルオキシド又は三酸化クロム/無水酢酸系を使用する必要がなく、ヒドラゾン試薬を使用する必要がないため、環境を汚染する窒素含有廃水の導入を回避できる。
本発明に係る方法は、任意選択的に、低コストで容易に入手可能な植物ステロールを原料として微生物変換により中間体を調製することができ、効率が高く、環境への汚染がほとんどまたはまったくなく、本発明は、完全に植物由来の出発原料から出発して、コレステロール及びその誘導体を首尾よく調製するため、動物由来の出発原料による合成プロセスが直面した安全上のリスク、例えば、狂牛病、豚レンサ球菌症感染等を回避するのはより重要であり、高い経済的価値と幅広い応用の見通しを持つ。
【実施例】
【0176】
以下、実施例により本発明の実施形態を詳しく説明しているが、当業者は、以下の実施例が本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定すると見なされないことを理解すべきである。実施例では、具体的な条件を明記していない場合には、通常の条件又はメーカーの推奨する条件に従って行う。使用される試薬又は機器は、メーカーを明記していない場合に、いずれも市販として購入できる従来の製品である。
【0177】
実施例1: 化合物1によるコレステロールの調製
【化62】
【0178】
ステップ(1) 中間体2Aの調製
反応フラスコに化合物1 200g、DMAP 10g、トリエチルアミン 200mL及びDCM 1000mLを室温で加え、窒素ガスで置換し、溶液が透明になるまで撹拌した。昇温して還流した。反応系にp-トルエンスルホニルクロリド 150gのDCM(400mL)溶液を滴下し、約30minかけて滴下が終了し、1~2hの還流反応を続けた。原料がなくなるまで反応をTLCによりモニタリングした。反応終了後、反応系を10℃に冷却し、50%メタノール水溶液80mLを滴下して反応をクエンチし、次いで、水600mLを加え、分液し、有機層を水で洗浄した。減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、適量のメタノールを加え、DCMが完全に除去されるまで濃縮を続けた。メタノール約200mLが残存し、0~10℃まで降温し、撹拌下で1h晶析し、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて2Aを得た。重量収率は、約140%であり、純度は、98%を超えた。1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.75(d,J=8.1 Hz,2H),7.32(d,J=8.0Hz,2H),5.69(s,1H),3.93(dd,J=9.2,2.9Hz,1H),3.75(dd,J=9.1,6.5Hz,1H),2.52 - 2.16(m,7H),2.06 - 1.88(m,2H),1.86 - 1.32(m,8H),1.18 - 0.78(m,13H),0.65(s,3H).
【0179】
ステップ(2)中間体3Aの調製
反応フラスコに中間体2A 200g、p-TsOH 20g、酢酸イソプロペニル 400mL、ジクロロメタン 600Lを室温で加え、撹拌しながら徐々に昇温して還流反応させ、約3~4hかけて、反応終了後、TLCにより原料が残存しないことを確認し、30℃まで降温し、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去した。メタノール200mLを加えて濃縮を続け(該操作は3回行う。)、最後に粘稠状に濃縮し、0℃まで降温し、撹拌下で1h晶析し、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃乾燥させて3Aを得た。重量収率は、約104%であり、純度は、98%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.76(d,J=7.9 Hz,2H),7.33(d,J=7.9 Hz,2H),5.66(s,1H),5.36(s,1H),4.06 - 3.87(m,1H),3.85 - 3.67(m,1H),2.41(d,J=16.4 Hz,4H),2.19 - 2.04(m,5H),1.92(d,J=12.5Hz,1H),1.81(dd,J=12.5,5.2 Hz,1H),1.74 - 1.47(m,6H),1.44 - 0.89(m,14H),0.65(s,3H).
【0180】
ステップ(3)中間体4Aの調製
反応フラスコに無水塩化カルシウム 7g、ピリジン 40g、メタノール 400mL、THF 400mLを室温で加え、撹拌して溶解させ、次いで、-10~-15℃まで降温し、水素化ホウ素ナトリウムを4つのバッチに分けて各バッチあたり4g追加し、仕込間隔を10minとし、反応系の温度を-10℃未満に保持し、全ての追加が完了したら、中間体3A(100g)を加え、室温まで自然に昇温して反応させ、約8~10hかけて反応が終了し、撹拌下で反応液を氷水 1000mLに徐々に注ぎ、固体が析出するまで終了した。20mL撹拌し続け、系に氷酢酸20mLを徐々に滴下し、吸引ろ過し、水で濯いだ。固体をDCM 300mLで溶解させ、水層を分離し、有機相を減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去した。メタノールを加えて濃縮を続け(該操作は3回行う。)、最後にメタノール約100mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析し、吸引ろ過し、氷冷メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて4Aを得た。重量収率は、約75%であり、HPLC検出純度は、92%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.76(t,J=7.6 Hz,2H),7.33(t,J=7.4 Hz,2H),5.30(d,J=3.9 Hz,1H),3.93(dd,J=8.9,2.3 Hz,1H),3.83 - 3.66(m,1H),3.58 - 3.36(m,1H),2.51 - 2.36(m,3H),2.34 - 2.10(m,2H),2.06 - 1.84(m,3H),1.80(d,J=10.6 Hz,2H),1.51(dddd,J=25.8,21.7,12.1,8.1 Hz,8H),1.23 - 0.78(m,13H),0.67 - 0.55(m,3H). 13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 144.52,140.73,133.00,129.68,127.78,121.32,75.59,71.55,56.23,51.68,49.89,42.33,42.11,39.31,37.14,36.36,36.08,31.79,31.71,31.47,27.33,24.15,21.54,20.90,19.28,16.76,11.7.(2つの炭素のシグナルは,他のシグナルとオーバーラップしている。)
【0181】
ステップ(4)コレステロール(化合物2)の調製
乾燥された250mL反応フラスコに塩化銅 2.33g、塩化リチウム 1.47g、THF 80mLを室温で加え、窒素ガスで3回置換した。温度を10~30℃に制御して溶液が澄清になるまで1~2時間反応させて、四塩化銅酸リチウム溶液1を得た。乾燥された1L反応フラスコにマグネシウムチップ 9.37g、ブロモイソペンタン 58.9g、THF 400mLを室温で加え、窒素ガスで3回置換した。37~42℃まで徐々に昇温し、約3~4時間反応させ、グリニャール試薬反応液2を得た。反応液2を-40℃に降温させた。四塩化銅酸リチウム溶液を滴下し、約1時間かけて滴下が終了した。次いで、中間体4A(25g)のTHF(250mL)溶液を滴下した。滴下終了後、室温まで徐々に昇温して3h反応させ、サンプルを採取してプレートにスポットし、原料が基本的になくなり、温度を0~20℃に制御し、5%塩酸 200mLを加えてクエンチし、10~30分間撹拌した。ほとんど留分がなくなるまで減圧下で濃縮した。水 100mL及びDCM 200mLを加えて、0.5~1時間撹拌して溶解させた。分液した。有機層を、ほとんど留分がなくなるまで40~45℃、減圧下で濃縮した。メタノール 25mLを加えて40~50℃で濃縮を続けた。メタノール 25mLを加え、10~30℃まで降温し、0.5~1時間撹拌し、ろ過し、粗生成物を得た。固体をDCM及びメタノールで再結晶し、得られた固体を50℃で乾燥して5Aを得た。重量収率は、52%であり、純度は、約99%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.35(t,J=2.8 Hz,1H),3.02-3.43(m,1H),2.36-2.27(m,2H),2.00-1.82(m,5H),1.56-0.87(m,28H),0.86(d,J=1.6 Hz,6H),0.68(s,3H).
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 140.78,121.71,71.80,56.78,56.18,50.15,42.33,39.80,39.53,37.27,36.51,36.21,35.80,31.92,31.92,31.68,28.24,28.02,24.31,23.85,22.83,22.72,22.57,21.10,19.41,19.22,12.35.(1つの炭素のシグナルは,他のシグナルとオーバーラップしている。)
【0182】
実施例2: 化合物1による7-デヒドロコレステロールの調製
【化63】
【0183】
ステップ(1)は実施例1を参照する。
【0184】
ステップ(2)中間体2a
室温で、反応フラスコに中間体2A(100g)、無水メタノール 500mL、PTS(5g)、オルト酢酸トリメチル(80mL)を撹拌しながら加え、30℃に保持し、約3hかけて反応終了後、TLCによりモニタリングし、原料の反応が終了した後、アセトン 400mL、水 70mL、クロラニル 80gを加え、撹拌しながら40℃程度まで徐々に昇温して反応させ、TLCによりモニタリングし、約3~4hかけて、反応終了後、反応系を水 1000mLに注いで固体を析出させ、ろ過し、固体をクロロホルム 400mLで50℃に加熱して溶解させ、熱いうちにろ過し、ケーキをクロロホルム 100mLで加熱して溶解させ、ろ過し、有機相を合わせた。有機相に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(亜硫酸ナトリウム 50g含有)を加えて1h撹拌し、静置して分層させ、有機相を減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて濃縮を続け(該操作は3回行う。)、メタノール約100mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析させ、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて2aを得た。重量収率は、約90%であり、純度は、93%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.74(t,J=7.1 Hz,2H),7.32(d,J=7.7 Hz,2H),6.06(d,J=6.6 Hz,2H),5.62(d,J=6.5Hz,1H),3.94(dd,J=9.0,2.3 Hz,1H),3.84 - 3.61(m,1H),2.64 - 2.46(m,1H),2.45 - 2.25(m,4H),2.13(t,J=10.1 Hz,1H),2.04 - 1.84(m,2H),1.82 - 1.31(m,6H),1.31 - 1.02(m,9H),1.04 - 0.89(m,3H),0.73 - 0.58(m,3H).
【0185】
ステップ(3)中間体3a
反応フラスコに中間体2a(100g)、無水酢酸 500mL、塩化アセチル 200mLを室温で加え、遮光下で昇温し、還流し反応させ、約6~8h後、TLCによりモニタリングし、原料の残存は5%未満である。反応液を75℃程度、減圧下で濃縮乾固し、室温まで降温し、メタノール 50mLを滴下して残った無水酢酸をクエンチし、アセトン 100mLを加え、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、アセトン 200mLを加えて濃縮を続け、アセトン約100mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析させ、ろ過し、氷冷アセトンですすぎ、固体4を5~50℃で乾燥させて3aを得、重量収率は、約90%であり、純度は、95%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.76(d,J=7.8 Hz,2H),7.32(d,J=7.9 Hz,2H),5.73(s,1H),5.55(d,J=5.7 Hz,1H),5.47(s,1H),3.95(dd,J=9.2,2.3 Hz,1H),3.85- 3.69(m,1H),2.54(dd,J=21.0,8.4 Hz,1H),2.42(s,3H),2.19 - 1.96(m,6H),1.87(dd,J=12.4,5.3 Hz,2H),1.77 - 1.49(m,6H),1.48 - 1.14(m,4H),1.03 - 0.91(m,6H),0.56(s,3H).
【0186】
ステップ(4)中間体4a
反応フラスコに無水塩化カルシウム 7g、ピリジン 40g、メタノール 400mL、THF 400mLを室温で加え、撹拌して溶解させ、次いで、-10~-15℃まで降温し、水素化ホウ素ナトリウムを4つのバッチに分けて間隔10minで各バッチあたり4g追加し、すべての追加が完了したら、中間体3a(100g)を加えた後、系を温度-5~-10℃に保持して反応させ、約8~10hかけて、反応終了後、TLCによりモニタリングし、原料が残存しなく、反応液を氷水 1000mLに徐々に注ぎ、加えながら撹拌し、固体が析出するまで、20mL撹拌が終了し、系に氷酢酸 20mLを徐々に滴下し、吸引ろ過し、水で濯いだ。固体をDCM 300mLで溶解させ、水層を分離し、有機相を減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて濃縮を続け(該操作は3回行う。)、最後に、メタノール約100mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析し、吸引ろ過し、氷冷メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて4aを得た。重量収率は、約70%であり、純度は、95%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.77(d,J=8.1 Hz,2H),7.33(d,J=8.0Hz,2H),5.54(d,J=3.7 Hz,1H),5.44 - 5.20(m,1H),3.95(dd,J=9.2,2.7 Hz,1H),3.80(dd,J=9.1,6.4 Hz,1H),3.67 - 3.52(m,1H),2.58 - 2.37(m,4H),2.26(t,J=12.8 Hz,1H),2.08 - 1.78(m,6H),1.74 - 1.14(m,11H),0.98(dd,J=11.3,6.1 Hz,3H),0.87(d,J=31.0Hz,3H),0.59(d,J=23.9 Hz,3H). 13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 144.59,140.44,140.05,133.01,129.72,127.84,119.39,116.57,75.49,70.26,53.97,51.43,46.03,42.94,40.67,38.77,38.27,36.94,36.44,31.84,27.26,22.93,21.57,20.94,16.92,16.19,11.70.(2つの炭素のシグナルは,他のシグナルとオーバーラップしている。)
【0187】
ステップ(5)中間体4c
反応フラスコにDMF 500mL、中間体4a 100g、臭化リチウム 39g、炭酸リチウム 10gを室温の条件下で加え、均一に撹拌し、窒素ガスで3回置換し、遮光下で保護した。系を80~85℃まで徐々に昇温して反応させ、TLCにより反応をモニタリングし、反応終了した。反応液を10~30℃まで降温し、温度を10~30℃に制御し、反応液を10Vの水に移し、1~2時間撹拌した。ろ過し、適量の水ですすぎ、約50℃のオーブンにて遮光下で乾燥させ、重量収率は、約80%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.57(d,J=3.8 Hz,1H),5.45 - 5.30(m,1H),3.63(dd,J=13.3,9.3 Hz,1H),3.51(dd,J=9.7,2.0Hz,1H),3.37(dd,J=9.7,5.9 Hz,1H),2.47(dd,J=14.1,2.3 Hz,1H),2.28(t,J=12.8 Hz,1H),2.13 - 1.83(m,6H),1.68(ddd,J=26.3,16.9,7.6 Hz,5H),1.51 - 1.22(m,6H),1.10(t,J=8.6 Hz,3H),0.95(d,J=11.5Hz,3H),0.67(d,J=23.9 Hz,3H).
【0188】
ステップ(6)7-デヒドロコレステロール(化合物3)
乾燥された250mL反応フラスコに塩化銅 0.80g、塩化リチウム 0.51g、THF 30mLを室温下で加え、窒素ガスで3回置換した。温度を10~30℃に制御して溶液が透明になるまで1~2時間反応させ、四塩化銅酸リチウム溶液1を得た。乾燥された1L反応フラスコにマグネシウムチップ 4.16g、THF 100mLを室温下で加え、窒素ガスで3回置換した。ブロモイソペンタン 26.2gを滴下し、37~42℃まで徐々に昇温し、約3~4時間反応させ、グリニャール試薬反応液2を得た。反応液2を-40~-10℃まで降温した。四塩化銅酸リチウム溶液を滴下し、約1時間かけて滴下が終了した。温度を-20~-10℃に制御し、中間体4cの固体20gを加えた。加えた後に、室温まで徐々に昇温し、4時間反応させ、サンプルを採取してプレートにスポットし、原料が基本的になくなるように制御し、温度を0~20℃に制御し、塩化アンモニウム溶液225mLを加えてクエンチし、温度を40~45℃に制御し、ほとんど留分がなくなるまで減圧下で濃縮した。DCM 100mLを加えて抽出した。分液し、再度、1回水洗した。有機層をほとんど留分がなくなるまで40~45℃減圧下で濃縮した。メタノール 25mLを加えて40~50℃で濃縮を続けた。メタノール 25mLを加え、10℃まで降温して0.5~1時間撹拌し、ろ過し、ケーキをメタノール 10mLで洗浄した。固体を50℃以下で真空乾燥して化合物3を得た。重量収率は、65%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.57-5.40(m,2H),3.64-3.58(m,1H),2.49-2.23(m,2H),2.12-1.83(m,7H),1.72-0.83(m,29H),0.62(s,3H).
【0189】
実施例3: 化合物1による25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールの調製
【0190】
【0191】
ステップ(1)~ステップ(4)は、実施例2を参照した。
【0192】
ステップ(5) 中間体5a
乾燥された250mL反応フラスコに塩化銅 2.41g、塩化リチウム 1.52g、THF 80mLを室温で加え、窒素ガスで3回置換した。温度を10~30℃に制御して溶液が透明になるまで1~2時間反応させ、四塩化銅酸リチウム溶液1を得た。乾燥された1L反応フラスコにマグネシウムチップ 12.5g、THF 350mLを室温下で加え、窒素ガスで3回置換した。4-ブロモ-2-メチル-2-トリメチルシロキシブタン 138.5gを滴下し、37~42℃まで徐々に昇温し、約3~4時間反応させ、グリニャール試薬反応液2を得た。反応液2を-40℃まで降温した。四塩化銅酸リチウム溶液を滴下、約1時間かけて滴下が終了した。温度を-20~-10℃に制御し、中間体4aの固体25gを加えた。加えた後、室温まで徐々に昇温し、4時間反応させ、サンプルを採取してプレートにスポットし、原料が基本的になくなるように制御し、塩化アンモニウム溶液 225mLを加えてクエンチし、温度を40~45℃に制御し、ほとんど留分がなくなるまで減圧下で濃縮し、得られた混合物は、次の反応に直接使用された。
ステップ(6)25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロール(化合物4)
ステップ(5)で得られた混合物にDCM 125mLを加えて溶解させ、塩酸を加えてpHが3~4になるように調整し、室温で1h撹拌し、有機相を分離し、水で洗浄した(50mL(2)。ほとんど留分がなくなるまで40~45℃、減圧下で濃縮した。メタノール 25mLを加えて40~50℃で濃縮を続けた。メタノール 25mLを加え、10~30℃まで降温し、0.5~1時間撹拌し、ろ過し、ケーキをメタノール 10mLで洗浄した。固体を50℃以下で真空乾燥させて5bを得た。重量収率は、65%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.57(t,J=2.8 Hz,1H),5.39(t,J=2.8 Hz,1H),3.72-3.56(m,1H),2.48-2.08(m,3H),1.98-1.82(m,5H),1.67-1.18(m,23H),1.10-1.06(m,1H),0.95-0.94(m,6H),0.62(s,3H).
【0193】
実施例4: 化合物1による25-ヒドロキシコレステロールの調製
【0194】
【0195】
ステップ(1)は、実施例1を参照した。
【0196】
ステップ(2)中間体2C
反応フラスコにTHF 500mL、中間体2A100g、臭化リチウム 39g、炭酸リチウム 10gを室温下で加え、均一に撹拌し、窒素ガスで3回置換し、遮光下で保護した。系を55~60℃まで徐々に昇温して反応させ、TLCにより反応をモニタリングし、反応が終了した。小さな体積まで濃縮してTHFを回収し、反応液を10~30℃まで降温し、温度を10~30℃に制御し、反応液を水 1Lに移し、1~2時間撹拌した。ろ過し、適量の水ですすぎ、約50℃のオーブンにて遮光下で乾燥させ、重量収率は、約80%であり、純度は96%である。
【0197】
ステップ(3)中間体3C
反応フラスコに中間体2A 200g、PTS 20g、無水酢酸 600mLを室温で加え、撹拌下で30~35℃まで徐々に昇温して反応させ、約4~6hかけて、反応終了後、TLCによりモニタリングし、原料は残存しなく、20℃以下まで降温し、氷水 4Lに徐々に注ぎ、注入しながら激しく撹拌し、2h撹拌し続け、吸引ろ過し、中性になるまで大量の水ですすぎ、45~50℃で乾燥させて3Cを得た。重量収率は、約98%であり、純度は、96%を超えた。
【0198】
ステップ(4)中間体4C
反応フラスコに無水塩化カルシウム 7g、ピリジン 40g、メタノール 400mL、THF 400mLを室温下で加え、撹拌して溶解させ、次いで、-10~-15℃まで降温し、水素化ホウ素ナトリウムを4つのバッチに分けて間隔10minで各バッチあたり4g追加し、反応系の温度を-10℃未満に保持し、すべての追加が完了したら、中間体3C(100g)を加えた後、室温まで自然に昇温して反応させ、約8~10hかけて、反応終了後、TLCによりモニタリングし、原料は残存しなく、反応液を氷水 1000mLに徐々に注ぎ、加えながら撹拌し、固体が析出するまで終了し、20mL撹拌し、系に氷酢酸 20mLを徐々に滴下し、吸引ろ過し、水で濯いだ。固体をDCM 300mLで溶解させ、水層を分離し、有機相を減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて濃縮を続け(該操作は3回行う。)、最後にメタノール約100mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析し、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて4Aを得た。重量収率は、約80%であり、純度は、95%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.35(d,J=5.2 Hz,1H),3.50(dd,J=9.8,2.6 Hz,2H),3.35(dd,J=9.7,5.9 Hz,1H),2.26(dt,J=24.0,9.9 Hz,2H),2.04 - 1.92(m,2H),1.84(d,J=10.3 Hz,3H),1.73 - 1.60(m,3H),1.49(td,J=14.6,9.6 Hz,6H),1.31 - 1.18(m,3H),1.08(t,J=7.8 Hz,5H),1.01(s,3H),0.97 - 0.89(m,1H),0.70(s,3H).
【0199】
ステップ(5)中間体5B
反応フラスコにピリジン 180mL、亜鉛粉末 30g、塩化ニッケル六水和物 21gを加えた。窒素ガスで3回置換し、アクリル酸メチル 45gを滴下し、10minかけて、滴下終了後、60℃に昇温し、1h激しく撹拌し、溶液は黒くなり、系は基本的に均一相になり、系を15~20℃まで降温し、中間体4Cの固体30gを加えた後、20~30℃程度で3h反応させ、TLCにより反応終了を検出した後、酢酸エチル 150mLを加え、20min撹拌し、系内に大量の懸濁物が生成した。
珪藻土層でろ過し、ケーキを酢酸エチルですすぎ、10%塩酸 180mLを加えて洗浄し、分層した。有機層は、6V 10%炭酸ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、分液した。有機相を濃縮乾固し,メタノールを加えて再結晶させ中間体5Bを得た。重量収率は,約80%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.32(d,J=4.1 Hz,1H),3.64(s,3H),3.49(td,J=10.7,5.4 Hz,1H),2.41 - 2.08(m,4H),2.01 - 1.91(m,3H),1.79(t,J=15.3 Hz,3H),1.68(dd,J=11.2,6.9 Hz,1H),1.59 - 1.26(m,9H),1.23 - 0.87(m,14H),0.65(s,3H). 13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 174.32,140.74,121.56,71.67,56.69,55.76,51.39,50.06,42.28,42.21,39.70,37.21,36.45,35.44,35.36,34.47,31.84,31.86,31.56,28.10,24.21,21.48,21.02,19.34,18.55,11.79.
【0200】
ステップ(6)25-ヒドロキシコレステロール(化合物5)
反応フラスコに中間体5B 50g、THF 500mLを加え、窒素ガスで3回置換した。0~10℃まで降温し、2M 塩化メチルマグネシウムのTHF溶液 300mLを徐々に滴下し、0.5hかけて、滴下終了後、室温に昇温して1h反応させた。反応をTLCによりモニタリングし、反応が完了したことを確認した後、0~10℃まで降温し、塩化アンモニウム水溶液に徐々に滴下して反応をクエンチした。分層し、水層をDCM 150mLで抽出した。有機層を合わせ、50℃以下、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、トルエンを加えてペースト状になるまで濃縮を続けた。10~30℃で1h撹拌し、ろ過した。ケーキを反応フラスコに移し、DCM及び3メタノールを加えて清澄になるように溶解させ、50℃以下、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて固体が僅かに析出するまで濃縮を続け、10~30℃で1h撹拌し、ろ過した。ケーキを少量のメタノールで洗浄し、50℃で乾燥させて化合物5を得、重量収率は、約70%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.27(s,1H),4.59(s,1H),4.03(s,1H),2.13-2.03(m,2H),1.96-1.91(m,2H),1.78-1.68(m,3H),1.67-0.95(m,33H),0.66(s,3H).
【0201】
実施例5: 化合物1による25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールの調製
【0202】
【0203】
ステップ(1)~ステップ(4)は、実施例2を参照した。
【0204】
ステップ(5)中間体4d
反応フラスコにアセトン 500mL、中間体4a 100g、ヨウ化ナトリウム 77.5gを室温下で加え、均一に撹拌し、窒素ガスで3回置換し、遮光下で保護した。系を55~60℃まで徐々に昇温して反応させ、反応終了するまでTLCにより反応をモニタリングした。大部のアセトンを減圧下で濃縮し、反応液を10~30℃まで降温し、氷水 1Lを加え、1~2時間撹拌した。ろ過し、適量の水ですすぎ、約50℃のオーブンにて遮光下で乾燥させて中間体4dを得、重量収率は、約90%である。
【0205】
ステップ(6)中間体5c
反応フラスコにピリジン 160mL、亜鉛粉末 26.8g、塩化ニッケル六水和物 18.8gを加えた。窒素ガスで3回置換し、アクリル酸メチル 40.2gを10minかけて滴下し、滴下終了後、60℃に昇温して1h激しく撹拌し、溶液は黒くなり、反応系は基本的に均一相になり、系内を15~20℃まで降温し、中間体4dの固体30gを加えた後、20~30℃程度で3h反応させ、反応の終了をTLCによりモニタリングした後、酢酸エチル 150mLを加えて20min撹拌し、系内で大量の懸濁物が生成した。珪藻土層でろ過し、ケーキを酢酸エチルですすぎ、有機相を合わせ、減圧下で濃縮乾固した。得られた油状物は、カラムクロマトグラフィーにより分離され(溶離液は、酢酸エチル:石油エーテル1:6)、ペースト状に濃縮し、0℃まで降温し、結晶化し、ろ過し、ケーキを乾燥させて中間体5cを得た。重量収率は、約65%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.54(d,J=3.9 Hz,1H),5.41 - 5.27(m,1H),3.71 - 3.51(m,4H),2.44(dd,J=14.0,2.8 Hz,1H),2.33 - 2.17(m,3H),2.13 - 1.80(m,8H),1.74 - 1.18(m,12H),1.15 - 1.01(m,1H),0.96 - 0.86(m,6H),0.59(s,3H). 13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 174.31,141.14,139.81,119.51,116.31,70.33,55.48,54.41,51.40,46.18,42.87,40.72,39.13,38.34,36.97,35.78,35.29,34.46,31.90,27.97,22.95,21.49,21.05,18.69,16.23,11.74.
【0206】
ステップ(7)25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロール(化合物4)
反応フラスコに中間体5c 50g、500mLを加え、窒素ガスで3回置換した。0~10℃まで降温し、2M 塩化メチルマグネシウム300mLを徐々に滴下し、0.5hかけて滴下が終了した後、室温に昇温して1h反応させた。反応をTLCによりモニタリングし、反応が完了したことを確認した後、0~10℃まで降温し、塩化アンモニウム水溶液に徐々に滴下し、反応をクエンチした。分液し、水層をDCM 150mLで抽出した。有機相を合わせ、50℃以下、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、トルエンを加え、固体が析出するまでに濃縮を続けた。10℃まで降温して1h撹拌、ろ過した。ケーキを反応フラスコに移し、溶液が透明になるまでDCM 150mL及びメタノール100mLを加えた。50℃以下、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えてペースト状になるまでに濃縮を続けた。0~10℃で1h撹拌し、ろ過した。ケーキを少量のメタノールで洗浄し、50℃で乾燥させて25-ヒドロキシデヒドロコレステロールを得、重量収率は、約80%である。その1H NMRのデータは、実施例3のステップ(6)で測定されたものと基本的に同様である。
【0207】
実施例6: 化合物1による25-ヒドロキシコレステロールの調製
【0208】
【0209】
ステップ(1)は、実施例1を参照した。
【0210】
ステップ(2)中間体2’D
反応フラスコにアセトン 500mL、中間体2A 100g、ヨウ化ナトリウム 80gを室温下で加え、均一に撹拌し、窒素ガスで3回置換し、遮光下で保護した。系内を55~60℃まで徐々に昇温して2~3h反応させ、反応終了するまでTLCにより反応をモニタリングした。大部のアセトンを減圧下で濃縮し、反応液を10~30℃まで降温し、氷水 1Lを加え、1~2時間撹拌した。ろ過し、適量の水ですすぎ、約50℃のオーブンにて遮光下で乾燥させ、重量収率は、約90%であり、純度は、97%を超えた。
【0211】
ステップ(3)中間体3’B
反応フラスコにピリジン 160mL、亜鉛粉末 26.8g、塩化ニッケル六水和物 18.8gを加えた。窒素ガスで3回置換し、アクリル酸メチル 40.2gを滴下し、10minかけて滴下が終了した後、60℃に昇温して1h激しく撹拌し、溶液は黒くなり、反応系は基本的に均一相になり、系内を15~20℃まで降温し、中間体2’D 30gを加えた後、25~30℃程度で3h反応させ、反応の終了をTLCによりモニタリングした後、酢酸エチル 150mLを加えて20min撹拌し、系内で大量の懸濁物が生成した。珪藻土層でろ過し、ケーキを酢酸エチルですすぎ、5%塩酸 200Lで洗浄し、分液し、さらに、水 200mLで洗浄し、分液し、有機層を小さな体積になるまで濃縮し、エタノールを加えてペースト状になるまで濃縮を続け、0~10℃まで降温して1h晶析させ、ろ過し、ケーキを乾燥させて製品を得、重量収率は、約70%であり、純度は94%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.71(s,1H),3.65(s,3H),2.49 - 2.14(m,6H),2.01(dd,J=13.3,3.3 Hz,2H),1.92 - 1.31(m,10H),1.31 - 0.83(m,15H),0.69(s,3H).
【0212】
ステップ(4)中間体4’B
反応フラスコに無水酢酸 100mL、中間体3’B 50gを加え、窒素ガスの保護下で、p-トルエンスルホン酸 5gを加え、25~30℃に加熱して4~6h反応させ、反応をTLCによりモニタリングし、原料の反応はほぼ完了した。激しく撹拌しながら反応系を水 1000mLに徐々に滴下し、固体が析出し、2h撹拌した後、ろ過し、中性になるまでケーキを大量の水で洗浄した。45~50℃で乾燥させ、重量収率は、104%であり、純度は、95%である。
【0213】
ステップ(5)中間体5B
反応フラスコに無水塩化カルシウム 10g、無水エタノール 400mLを室温下で加え、溶液が透明になるまで撹拌し、DCM 200mLを加え、次いで、一度に中間体4’B 100gを加え、均一に撹拌し、水素化ホウ素ナトリウムを4つのバッチに分けて間隔5minで各バッチあたり4g追加し、すべての追加が完了したら、室温で2~4h反応させ、TLCによりモニタリングし、原料は残存しなく、系内に氷酢酸 20mLを徐々に滴下して反応をクエンチし、有機溶媒を濃縮して除去し、氷水 1000mLを加えて固体を析出させ、吸引ろ過し、水で濯いだ。固体をDCM 300mLで溶解させ、水層を分離し、有機相を減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて濃縮を続け、最後にメタノール約100mLが残存し、0~10℃まで降温して1h晶析し、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて中間体5Bを得た。重量収率は、約70%であり、純度は、97%を超えた。その1H NMRのデータは、実施例4のステップ(5)で測定されたものと基本的に同様である。
【0214】
ステップ(7)25-ヒドロキシコレステロール(化合物5)
実施例4のステップ(7)に従って化合物5を調製し、1H NMRのデータは、実施例4で測定されたものと基本的に同様である。
【0215】
実施例7: 化合物1による25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロールの調製
【0216】
【0217】
ステップ(1)~ステップ(2)は、実施例2を参照した。
【0218】
ステップ(3)中間体2’d
反応フラスコにDMF 500mL、中間体2a 100g、臭化リチウム 39gを室温下で加え、均一に撹拌し、窒素ガスで3回置換した。系内で80~85℃まで徐々に昇温し、3~5h反応させ、TLCにより反応をモニタリングした。反応終了後、反応液を10~30℃まで降温し、温度を10~30℃に制御し、反応液を水 1Lに移し、1~2時間撹拌した。ろ過し、適量の水ですすぎ、約50℃のオーブンで乾燥させ、重量収率は、約78%であり、純度は、96%である。
【0219】
ステップ(4)中間体3’b
反応フラスコにピリジン 180mL、亜鉛粉末 30g、塩化ニッケル六水和物 21gを加えた。窒素ガスで3回置換し、アクリル酸メチル 45gを滴下し、10minかけて滴下が終了した後、60℃に昇温して1h激しく撹拌し、溶液は黒くなり、反応系は基本的に均一相になり、系内を15~20℃まで降温し、中間体2’dの固体 30gを加えた後、20~30℃程度で3h反応させ、反応の終了をTLCによりモニタリングした後、酢酸エチル 150mLを加え、20min撹拌し、系内に大量の懸濁物が生成した。
珪藻土層でろ過し、ケーキを酢酸エチルですすぎ、濾液に10%塩酸 100mLを加えて洗浄し、分液した。有機層に水 200mLを加えて洗浄し、分液した。濃縮乾固させ、メタノール約100mLを加え、0~5℃まで降温して1時間晶析し、ろ過し、ケーキを乾燥させて3’bを得た。重量収率は、約78%であり、純度は、92%である。
【0220】
ステップ(5)中間体4’b
反応フラスコに中間体3’b(100g)、無水酢酸 300mL、塩化アセチル 200mLを室温下で加え、遮光下で75℃~85℃に昇温して反応させ、TLCによりモニタリングし、残りの原料は5%未満であり(約6~8h)、75℃程度、減圧下で濃縮乾固させ、室温まで降温し、メタノール 50mL滴下し残った無水酢酸をクエンチし、アセトン 100mLを加え、小さな体積になるまで減圧下で濃縮し、アセトン 200mLを加えて濃縮を続け、アセトン約50mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析し、ろ過し、氷冷アセトンですすぎ、固体を45~50℃で乾燥させて4’bを得、重量収率は、約95%であり、純度は、95%を超えた。
【0221】
ステップ(6)中間体5c
反応フラスコに無水塩化カルシウム 10g、無水メタノール 400mLを室温下で加え、溶液が透明になるまで撹拌し、DCM 200mLを加え、次いで、一度に中間体4’b 100gを加え、均一に撹拌し、水素化ホウ素ナトリウム 10gを加え、室温に保持し続けて2~4h反応させた。TLCモニタリングにより反応の終了をモニタリングした後、系内に氷酢酸 20mLを徐々に滴下して反応をクエンチし、濃縮して有機溶媒を除去し、氷水 1000mLを加えて固体を析出させ、吸引ろ過し、水で濯いだ。固体をDCM 300mLに溶解させ、水層を分離し、有機相を減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて濃縮を続け、最後に、メタノール約100mLが残存し、0~10℃まで降温して1h晶析し、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて中間体5’Bを得た。重量収率は、約70%であり、純度は、97%を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.54(d,J=3.9 Hz,1H),5.41 - 5.27(m,1H),3.71 - 3.51(m,4H),2.44(dd,J=14.0,2.8 Hz,1H),2.33 - 2.17(m,3H),2.13 - 1.80(m,8H),1.74 - 1.18(m,12H),1.15 - 1.01(m,1H),0.96 - 0.86(m,6H),0.59(s,3H). 13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 174.31,141.14,139.81,119.51,116.31,70.33,55.48,54.41,51.40,46.18,42.87,40.72,39.13,38.34,36.97,35.78,35.29,34.46,31.90,27.97,22.95,21.49,21.05,18.69,16.23,11.74.
【0222】
ステップ(7)25-ヒドロキシ-7-デヒドロコレステロール(化合物4)
化合物4は、実施例5のステップ(7)に従って調製され、1H NMRのデータが実施例5で測定されたものと基本的に同様である。
【0223】
実施例8:化合物1によるエルゴステロールの調製
【0224】
【0225】
ステップ(1)中間体2O
3000mL三つ口フラスコに化合物1 200g、TEMPO 1gを加え、DCM 700mLを加え、撹拌して溶解させ、臭化ナトリウム/炭酸水素ナトリウムの水溶液(臭化ナトリウム7.2g、炭酸水素ナトリウム9.88g、水50mLを含む。)、5℃以下まで降温し、温度が-5~5℃になるように制御し、8% 次亜塩素酸ナトリウムの溶液 500mLを滴下し、反応が完了したことをTLCによりモニタリングし(酢酸エチル:トルエン=1:1)、チオ硫酸ナトリウム水溶液(チオ硫酸ナトリウム17.2g、水178mL)を加えて反応を停止し、30~35℃まで昇温して10min撹拌し、分液し、水相をDCM(400mL*2)で抽出し、有機相を合わせ、水で洗浄し、有機層に水 80mLを加え、濃縮し続けて溶媒を除去し、水 1200mLを加え、撹拌して0~5℃まで降温し、1時間晶析させ、ろ過し、50℃で乾燥させ、中間体2Oを得、HPLC検出純度>98.5%、収率97%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 9.53(d,J=3.1 Hz,1H),5.69(s,1H),2.50 - 2.15(m,5H),2.01 - 1.89(m,2H),1.88 - 1.73(m,2H),1.72 - 1.57(m,2H),1.56 - 1.28(m,5H),1.25 - 0.83(m,11H),0.72(s,3H).
【0226】
ステップ(2)中間体3O
三口反応フラスコに中間体2O 100g、オルト酢酸トリメチル 100mLを加え、室温で10min撹拌し、窒素ガスの保護下で、p-トルエンスルホン酸 1gを加え、40~45℃まで徐々に昇温し、保温して4~5h反応した。反応をTLCによりモニタリングし(展開溶媒はPE:EA=5:1)。反応終了後、室温(20~25℃)まで降温し、トリエチルアミンを加えて系をpH値が8程度になるように調整し、次いで、反応フラスコにアセトン 500mL、水 80gを加え、10min撹拌し、クロラニル 80gを加え、次に、35~40℃に昇温して4h反応させた。水 200gを加え、次に、濃塩酸 80mLを滴下し、40℃で2h撹拌して加水分解し、TLCにより加水分解が完了したことを確認し、反応液を水 1000mLに注ぎ、常温で2h撹拌し、ろ過し、析出した固体を収集し、中性になるまでケーキを水で洗浄し、次いで、クロロホルム 400mLを加えて混合し、加熱して固体を溶解させた後、熱いうちにろ過した。濾液に亜硫酸ナトリウム水溶液 300mL(亜硫酸ナトリウム 50g含有)を加えて1h撹拌し、静置した後に有機相を分離し、減圧下で濃縮してほとんどの溶媒を除去し、メタノールを加えて濃縮を続け(該操作は3回行う。)、メタノール約100mLが残存し、0℃まで降温して1h晶析し、吸引ろ過し、メタノールですすぎ、45~50℃で乾燥させて中間体3Oを得た。重量収率は、93%であり、純度は、95%を超えた。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 9.54(d,J=2.9 Hz,1H),6.17 - 5.95(m,2H),5.63(s,1H),2.58 - 2.47(m,1H),2.45 - 2.29(m,2H),2.17(t,J=10.5Hz,1H),2.03 - 1.74(m,4H),1.67(td,J=13.8,5.0Hz,1H),1.58 - 1.12(m,9H),1.08(d,J=5.0Hz,5H),0.74(d,J=18.5Hz,3H). 13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 204.43,199.29,163.44,140.73,127.91,123.57,52.68,50.70,50.54,49.25,43.83,39.09,37.52,35.93,33.81,33.79,26.89,23.96,20.50,16.19,13.33,12.17.
【0227】
ステップ(3)中間体4O
1000mL三つ口フラスコにアセトニトリル 500mLを加え、次に、ブロモイソペンタン 100g及びトリフェニルホスフィン 100gを加えた。窒素ガスで保護し、24h還流して反応させた。ほどんど完全に反応させたことをTLCにより検出し、濃縮して溶媒を除去し、適量の石油エーテルを加えて1h撹拌した後、ろ過し、反応で残ったトリフェニルホスフィンを除去した。Wittig試薬であるケーキを得た。
1000mL三つ口フラスコに無水THF 1000mLを加え、調製されたWittig試薬を加え、窒素ガスの保護下、0℃でn-ブチルリチウム 300mLを滴下し、温度が10℃以下になるように制御し、次いで、中間体3O 100gを加え、常温まで徐々に昇温して1h反応させた。TLCにより反応をモニタリングした。反応終了後、滴下50mL水反応をクエンチした。THFを濃縮して除去し、500mL水を加え、水相を石油エーテル(400mL*2)で抽出し、有機相を合わせ、濃縮し、メタノールを加えて、小さな体積になるまで濃縮を続け、撹拌して0~5℃まで降温し、1時間晶析させ、ろ過し、50℃で乾燥させて中間体4Oを収率70%で得た。
【0228】
ステップ(4)中間体5O
遮光下、清潔で乾燥した反応フラスコに無水酢酸 280mL、塩化アセチル 140mL及び中間体4O 70gを順次に加え、窒素ガスで3回置換した。撹拌下で75~85℃まで徐々に昇温し、遮光下で反応させ(激しく還流させ)、TLCによりモニタリングし(トルエン:アセトン=4:1)、約6~8hかけて反応が終了した後、70~80℃、遮光下、小さな体積になるまで減圧下で濃縮し、メタノールを滴下し、温度が10℃未満になるように保持し、メタノールを滴下した後、15~20min撹拌し、次いで、メタノール 200mLを加えてペースト状に濃縮し、0~5℃まで降温し、晶析し、ろ過し、45~50℃、遮光下で乾燥させ、中間体5Oを得、収率は、約90%であり、純度は、94%である。
【0229】
ステップ(5)エルゴステロール(化合物6)
反応フラスコに無水エタノール 180g、DCM 180g、無水塩化カルシウム 6gを加え、撹拌して無水塩化カルシウムを溶解させ、中間体5O 60gを加え、撹拌した。釜内の温度が20℃程度になるように制御し、水素化ホウ素ナトリウム 6gをバッチで加え、20minかけて添加を完了した。30~35℃で2~3時間反応させた。原料がなくなるまでTLCによりモニタリングし、完全に反応していない場合には、反応が完了するまで時間を延長し、展開溶媒はPE:EA:DCM 5:1:2である。反応終了後、温度を制御し、ストック溶液を徐々に滴下した。3%塩酸 60mLである。DCM及びエタノールを濃縮し、DCM 200mLを加え、3%塩酸で弱酸性に調整した。有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を減圧下で濃縮し、エタノールを加えてDCMがなくなるまで濃縮を続け、粘稠状に濃縮し続け、0℃で撹拌して1~2時間晶析した。ろ過し、析出した固体を収集し、45~50℃、遮光下で乾燥させ、固体45gを得た。収率は、約75%であり、純度は、96%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.56(dd,J=10.6,7.2 Hz,1H),5.37(dd,J=14.1,11.3 Hz,1H),5.26 - 5.04(m,2H),3.71 - 3.50(m,1H),2.45(dt,J=30.1,15.1 Hz,1H),2.26(dd,J=25.2,12.7 Hz,1H),2.11 - 1.18(m,19H),1.02(t,J=7.4 Hz,3H),0.96 - 0.88(m,6H),0.82(dd,J=13.1,6.7 Hz,6H),0.63(s,3H).
13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 141.35,139.77,135.56,131.98,119.59,116.28,70.47,55.74,54.56,46.26,42.83,40.79,40.41,39.09,38.38,37.04,33.09,31.99,28.28,23.00,21.11,19.95,19.64,17.60,16.28,12.05
【0230】
実施例9:wittig経路によるコレステロールの合成
【0231】
【0232】
ステップ(1)は、実施例8を参照した。
【0233】
ステップ(2)中間体3P
1000mL三つ口フラスコにトルエン 500mLを加え、さらにブロモイソペンタン 110g及び100gトリフェニルホスフィンを加え、窒素ガスの保護下、100℃で24h反応させた。ろ過し、ケーキを石油エーテルで濯ぎ洗い、押し出してほとんどの溶媒を除去し、Wittig試薬を得た。
1000mL三つ口フラスコにDMSO 300mLを加え、調製されたWittig試薬を加え、窒素ガスの保護下で、カリウムtert-ブトキシド 40gを加え、温度が10℃以下になるように制御し、次いで、中間体2O 80gを加え、室温で1~2h反応させた。サンプルを採取してTLCにかけて、原料が完全に反応したかどうかを観察した。完全に反応していない場合には、反応が終了するまで反応を延長した。水 50mLを滴下して反応をクエンチした。氷水 500mLに注ぎ、水相を石油エーテル(400mL*2)で抽出し、有機相を合わせて濃縮し、小さな体積になるまでメタノールを加え、撹拌して0~5℃まで降温し、1時間晶析し、ろ過し、50℃で乾燥させ、収率は70%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.62(s,1H),5. 28 - 5.16(m,2H),2.50 - 2.36(m,3H),2.24 - 1.75(m,6H),1.61 - 1.30(m,8H),1.26 - 0.97(m,22H).
【0234】
ステップ(3)中間体4P
反応フラスコにtert-ブタノール 150mLを室温下で加え、窒素ガスで3回置換し、カリウムtert-ブトキシド 20gを加えて40℃に加熱し、清澄になるように撹拌し溶解させ、厳格な窒素ガス保護下で中間体3P固体を加えた後、保温し続けて2h反応させ、反応をTLCによりモニタリングし、原料が基本的になくなると、反応を停止し、室温まで降温した。氷水 200mLを用意し、氷酢酸 10g、アスコルビン酸ナトリウム 5gを加え、均一に撹拌し、緩衝液1を調製し、tert-ブタノール反応溶液を緩衝液1に素早く注ぎ、固体を析出させ、20min撹拌し続け、ろ過した。中間体4Pの湿った固体を得た。
【0235】
ステップ(4)中間体5P
反応フラスコに上記湿った固体を加え、エタノール 200mLを加え、均一に撹拌し、2.5g水素化ホウ素ナトリウムを加えて撹拌して2h反応させ、反応終了後、氷酢酸 2mLを加え、反応をクエンチし、小さな体積になるまでエタノールを濃縮し、水 100mLを加えて析出させ、ろ過し、中間体5Pの粗生成物を得、メタノールで再結晶して中間体5Pを得、収率は80%でる。純度は96%である。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 5.35(s,1H),5.17(d,J=6.8 Hz,2H),3.63 - 3.38(m,1H),2.48 - 2.09(m,2H),1.93(m,6H),1.70 - 1.36(m,10H),1.22 - 0.82(m,19H),0.70(d,J=11.2 Hz,3H).
【0236】
ステップ(5)コレステロール(化合物2)
反応フラスコに中間体5P 10gを加え、THF 25mL及びメタノール 25mLを加えて溶解させ、パラジウム炭素(5%)1gを加え、窒素ガスで置換し、次に、水素ガスで置換し、水素ガスバルーンを接続し、15~20℃に保温して24h反応させ、ろ過し、ケーキにメタノールを加えて洗浄し、濾液を合わせ、減圧下で濃縮し、メタノールを加えて全てのTHFが除去されるまで濃縮を続け、メタノールで晶析させ、室温で1h撹拌し、ろ過し、乾燥させてコレステロールを得、重量収率は、85%であり、純度は99%である。その1H NMR及び13C NMRのデータは、実施例1で測定されたものと基本的に同様である。
【0237】
実施例10:異なるアシル化剤の使用による反応への影響
下表に示されるアシル化剤をそれぞれ使用し、本発明の第1から第7の側面に記載のステップ(A)の反応を行い、異なるPG基を有するエノールエステル中間体3A-m及び中間体3a-mを調整し、それらは、本発明の第1から第7の側面に記載の式IIで表される化合物に対応した。中でも、mは、番号であり、PGは、ヒドロキシの保護基である。さらに、中間体3A-m、中間体3a-mを原料として、下表に示される試薬をそれぞれ使用して本発明の第1から第7の側面に記載のステップ(B)的反応を行い、中間体4A及び中間体4aを調製し、それらは、本発明の第1から第7の側面に記載の式IIIで表される化合物に対応した。
【0238】
1.中間体4A
【0239】
【0240】
(1)反応容器に中間体2A(20g)、クロロホルム 40mLを加え、次いで、アシル化剤(8eq.)、触媒としてp-TsOH(1g)を加え、還流するまで加熱し、4~8h反応させた。反応終了後に、0~20℃まで降温し、メタノールを徐々に滴下して反応をクエンチした。水 40mLを加え、有機相を分離し、濃縮した後にメタノールを加えて、ペースト状に濃縮を続け、0~5℃まで降温して1h撹拌し、ろ過し、乾燥させて中間体3A-mを得た。反応フラスコに中間体3A-m(1g)、ジクロロメタン 10mL、メタノール 10mLを加えた。系を0~5℃まで降温し、水素化ホウ素ナトリウム 0.2gを3つのバッチに分けて(各バッチ間隔20min)加えた後、温度を保持して12h反応させた。氷酢酸 1mLを滴下して反応をクエンチし、濃縮して溶媒を除去し、水 10mLを加え、撹拌して混合物を得、その後、ろ過し、乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して中間体4Aを得、モル収率を算出した。結果は、表2に示した。
【0241】
【0242】
表2から、アシル化剤を使用した場合に、エノールエステル化反応の変換率はいずれも高くなることが分かった。PGがアセチル基、アルキル基で任意選択的に置換されたベンゾイル基であり、特にアセチル基である場合には、最終生成物のより高い収率を達成することができる。アシル化試薬を使用すると、エノールエステル化反応の転化率が高くなることがわかる。
【0243】
(2)反応フラスコに中間体3A-m(1g)、ジクロロメタン 10mL、メタノール 10mLを加えた。系を0~5℃まで降温し、必要に応じてCaCl2又はZnCl2(0.3eq.)を加え、水素化ホウ素ナトリウム 0.2gを3つのバッチに分けて(各バッチ間隔10min)加えた後、すぐに対応する塩基(2eq.)を加えた。温度を保持し、12h反応させた。氷酢酸 1mLを滴下して反応をクエンチし、濃縮して溶媒を除去し、水 10mLを加え、撹拌して混合物を得、次にろ過し、乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して中間体4Aを得、モル収率を算出した。結果は、表3に示した。
【0244】
【0245】
表3より、NaBH4/CaCl2を使用して反応を行い、全体としてより良い効果を達することができることが分かった。アルコール(メタノール)含む混合溶媒中の成分としてTHFを使用すると、CH2Cl2を使用することよりも効果が高くなった。反応で使用される塩基については、DMAP又はNaOHを加える場合は、塩基を加えていない場合と比較して収率が低下しているが(それぞれ約8.5%及び15.5%低下している。)、ピリジンを加える場合は、塩基を加えていない場合と比較して収率が約14.1%向上した。
【0246】
【0247】
ステップ(1) 中間体3a-mの調製
反応容器に中間体2a(20g)、1,2-ジクロロエタン 40mLを加えた後、アシル化剤(10eq.)、触媒としてp-TsOH(2g)を加え、80℃に加熱し、6~12h反応させた。反応終了後に、0~20℃降温し、メタノールを徐々に滴下して反応をクエンチした。水 60mLを加え、有機相を分離し、水で洗浄し、濃縮して溶媒を除去し、その後、酢酸エチルを加え、ペースト状に濃縮を続け、0~5℃まで降温して1h撹拌し、ろ過し、乾燥させてエステル化物を得た。次いで、還元反応を行い、結果は、表4に示した。
【0248】
【0249】
表4より、無水酢酸/塩化アセチル混合物、無水トリフルオロ酢酸をアシル化剤として使用する場合に、アシル化反応の収率が高くなることが分かった。
【0250】
ステップ(2) 中間体4aの調製
反応フラスコに中間体3a-m(1g)、溶媒 10mLを加え、必要に応じてCaCl2又はZnCl2(0.1g)を加えた。系を0~5℃まで降温し、水素化ホウ素ナトリウム 0.2gを3つのバッチに分けて(各バッチ間隔10min)加え、次いで、すぐに対応する塩基(2eq.)を加えた後、温度を保持し、12h反応させた。氷酢酸 1mLを滴下して反応をクエンチし、濃縮して溶媒を除去し、水 10mLを加え、撹拌して混合物を得、その後、ろ過し、乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して中間体4aを得、モル収率を算出した。結果は、表5に示した。
【0251】
【表5】
a:(1:1); b: THF/EtOH/i-PrOH=(1:0.5:0.5); c: THF/EtOH/MeOH=(1:0.5:0.5)
【0252】
表5より、NaBH4/CaCl2を使用して反応することにより、より良い効果を達成でき、NaBH4の単独使用よりも優れるか、又は同等であることが分かった。アルコール含有混合溶媒に含まれるアルコールの種類は、反応に一定の影響を及ぼし、測定された混合溶媒のうち、テトラヒドロフラン/エタノール/イソプロパノールは最も効果的である。混合されたエタノール/イソプロパノール(例えば、1:1で混合されたエタノール/イソプロパノール)をアルコール含有混合溶媒に含まれるアルコール成分として使用する場合は、エタノール又はイソプロパノールを単独して使用する場合と比較して、収率がそれぞれ10.8%及び48.3%向上した。発明者は、混合されたエタノール/イソプロパノールを混合溶媒中のアルコール成分として使用することにより、反応の収率を大幅に向上させることができることを予期せず発見した。