IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社バニッシュ・スタンダードの特許一覧

特許7311937評価装置、評価システムおよび評価用プログラム
<>
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図1
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図2
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図3
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図4
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図5
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図6
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図7
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図8
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図9
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図10
  • 特許-評価装置、評価システムおよび評価用プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】評価装置、評価システムおよび評価用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20230712BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023501872
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2021020790
(87)【国際公開番号】W WO2022254571
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518320867
【氏名又は名称】株式会社バニッシュ・スタンダード
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】小野里 寧晃
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/045160(WO,A1)
【文献】特開2006-189941(JP,A)
【文献】特開2014-182760(JP,A)
【文献】特開2016-024479(JP,A)
【文献】月刊「モバイル通販」 1to1マーケの主力ツールを最大限に活用するための研究企画,月刊ネット販売 ,日本,宏文出版株式会社,2016年02月25日,第17巻,第3号,p.46-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業の販売対象商品が、当該販売対象商品を一覧として表示する商品一覧ページを通じて上記ECサイトにおいて販売されるとともに、上記企業の販売対象商品のうち、販売員が上記ECサイトにおいて商品を販売するために上記実店舗での接客とは無関係に行う販売促進の対象として上記販売員が選んだ商品が、上記商品一覧ページとは別の上記販売員による販売促進用のウェブページを通じて上記ECサイトにおいて販売されるようになされた販売環境に適用される評価装置であって、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売された場合に、当該商品が販売された状況を示す販売状況情報と、上記選んだ商品の上記販売促進を行った上記販売員を示す販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す店舗情報とを関連付けて記録する一方、上記商品一覧ページを通じて上記ECサイトにおいて商品が販売された場合に、当該商品が販売された状況を示す販売状況情報を上記販売員情報および上記店舗情報と関連付けることなく記録する情報管理部と、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売されたことに応じて上記情報管理部により関連付けて記録された上記販売状況情報と上記販売員情報とに基づいて、各販売員が上記販売促進を行った商品の販売に関する状況から上記販売員を個々に評価する販売員評価部と、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売されたことに応じて上記情報管理部により関連付けて記録された上記販売状況情報と上記販売員情報と上記店舗情報とに基づいて、上記店舗に所属する各販売員がそれぞれ選んで上記販売促進を行った商品が上記販売促進用のウェブページを通じて上記ECサイトにおいて販売された状況の総合から店舗を評価する店舗評価部とを備えた
ことを特徴とする評価装置。
【請求項2】
記情報管理部は、
上記販売員が上記販売促進を行った商品について、当該商品を示す商品情報と、当該販売員を示す上記販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す上記店舗情報とを関連付けて販促管理情報として管理するとともに、
上記ECサイトで販売されている上記販売対象商品のうち、上記販売員が上記販売促進を行った商品に関する上記販売状況情報を、上記販促管理情報に含まれる上記販売員情報および上記店舗情報と関連付けて管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
上記販売状況情報は、上記販売員が上記販売促進を行った商品の販売実績を示す情報を含み、
上記販売員評価部は、各販売員による上記販売促進を通じて販売された商品の販売実績から上記販売員を個々に評価し、
上記店舗評価部は、上記店舗に所属する各販売員が上記販売促進を行った商品の販売実績の総合から上記店舗を評価する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の評価装置。
【請求項4】
上記販売員評価部は、上記販売促進を行った販売員ごとに特定される販売実績に基づいて、上記販売促進を行った販売員に対して所定のルールで定められたインセンティブを付与することを特徴とする請求項3に記載の評価装置。
【請求項5】
上記店舗評価部は、上記店舗に所属する各販売員について特定される販売実績の総合に基づいて、実店舗での商品の販売について設定された予算に対して所定のルールで定められたインセンティブを付与することを特徴とする請求項3または4に記載の評価装置。
【請求項6】
上記販売状況情報は、上記販売員が上記販売促進を行った商品の販売実績を示す情報の他、上記販売員が行った上記販売促進の実施状況を示す情報および上記販売促進に対する消費者の反応状況を示す情報の少なくとも一方を含み、
上記販売員評価部は、各販売員が上記販売促進を行った商品の販売実績、上記販売促進の実施状況および上記消費者の反応状況の少なくとも1つから上記販売員を個々に評価し、
上記店舗評価部は、上記店舗に所属する各販売員が上記販売促進を行った商品の販売実績の総合から上記店舗を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の評価装置。
【請求項7】
1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業の販売対象商品が、当該販売対象商品を一覧として表示する商品一覧ページを通じて上記ECサイトにおいて販売されるとともに、上記企業の販売対象商品のうち、販売員が上記ECサイトにおいて商品を販売するために上記実店舗での接客とは無関係に行う販売促進の対象として上記販売員が選んだ商品が、上記商品一覧ページとは別の上記販売員による販売促進用のウェブページを通じて上記ECサイトにおいて販売されるようになされた販売環境に適用される評価システムであって、
上記販売員が使用する販売員端末と、当該販売員端末から通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置とを備え、
上記サーバ装置は、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売された場合に、当該商品が販売された状況を示す販売状況情報と、上記選んだ商品の上記販売促進を行った上記販売員を示す販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す店舗情報とを関連付けて記録する一方、上記商品一覧ページを通じて上記ECサイトにおいて商品が販売された場合に、当該商品が販売された状況を示す販売状況情報を上記販売員情報および上記店舗情報と関連付けることなく記録する情報管理部と、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売されたことに応じて上記情報管理部により関連付けて記録された上記販売状況情報と上記販売員情報とに基づいて、各販売員が上記販売促進を行った商品の販売に関する状況から上記販売員を個々に評価する販売員評価部と、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売されたことに応じて上記情報管理部により関連付けて記録された上記販売状況情報と上記販売員情報と上記店舗情報とに基づいて、上記店舗に所属する各販売員がそれぞれ選んで上記販売促進を行った商品が上記販売促進用のウェブページを通じて上記ECサイトにおいて販売された状況の総合から店舗を評価する店舗評価部とを備え、
上記販売員端末は、
上記販売促進に関する情報を上記販売促進用のウェブページに投稿する情報投稿部を備え、
上記情報投稿部は、上記販売促進を行う対象の商品を示す商品情報と、上記販売促進を行う販売員を示す上記販売員情報と、上記販売促進を行う販売員が所属する店舗を示す上記店舗情報とを上記販売促進に関する情報に関連付けて、上記販売促進用のウェブページに対する投稿を行う
ことを特徴とする評価システム。
【請求項8】
上記情報管理部は、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページへの投稿を行った商品について、当該商品を示す上記商品情報と、当該販売員を示す上記販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す上記店舗情報とを関連付けて販促管理情報として管理するとともに、
上記ECサイトで販売されている上記販売対象商品のうち、上記販売員が上記販売促進を行った商品に関する上記販売状況情報を、上記販促管理情報に含まれる上記販売員情報および上記店舗情報と関連付けて管理する
ことを特徴とする請求項7に記載の評価システム。
【請求項9】
1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業の販売対象商品が、当該販売対象商品を一覧として表示する商品一覧ページを通じて上記ECサイトにおいて販売されるとともに、上記企業の販売対象商品のうち、販売員が上記ECサイトにおいて商品を販売するために上記実店舗での接客とは無関係に行う販売促進の対象として上記販売員が選んだ商品が、上記商品一覧ページとは別の上記販売員による販売促進用のウェブページを通じて上記ECサイトにおいて販売されるようになされた販売環境に適用される評価装置のコンピュータを機能させるための評価用プログラムであって、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売された場合に、当該商品が販売された状況を示す販売状況情報と、上記選んだ商品の上記販売促進を行った上記販売員を示す販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す店舗情報とを関連付けて記録する一方、上記商品一覧ページを通じて上記ECサイトにおいて商品が販売された場合に、当該商品が販売された状況を示す販売状況情報を上記販売員情報および上記店舗情報と関連付けることなく記録する情報管理手段、
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売されたことに応じて上記情報管理手段により関連付けて記録された上記販売状況情報と上記販売員情報とに基づいて、各販売員が上記販売促進を行った商品の販売に関する状況から上記販売員を個々に評価する販売員評価手段、および
上記販売員が上記販売促進用のウェブページを通じて行った上記販売促進の結果として上記ECサイトにおいて商品が販売されたことに応じて上上記情報管理手段により関連付けて記録された上記販売状況情報と上記販売員情報と上記店舗情報とに基づいて、上記店舗に所属する各販売員がそれぞれ選んで上記販売促進を行った商品が上記販売促進用のウェブページを通じて上記ECサイトにおいて販売された状況の総合から店舗を評価する店舗評価手段
として上記コンピュータを機能させるための評価用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、評価システムおよび評価用プログラムに関し、特に、実店舗およびECサイトを運営する企業における商品の販売に関する状況に基づいて評価を行うシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を販売する販売員に対して、販売実績などに基づいてポイントやボーナスなどのインセンティブを付与することにより、販売に対するモチベーションの向上を図るようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、利用者がECサイトを利用して商品を購入するきっかけとなった販売員にインセンティブを付与するようにしている。例えば、受注情報記憶部からレコメンド商品(商品管理担当者が選定した商品)の商品コードに関連付けられている販売員コードを読み出し、当該販売員コードに対応する販売員に対してインセンティブ(レコメンド商品の受注額の所定の割合の金額や、レコメンド商品の注文個数に応じた所定の金額など)を付与する。
【0004】
特許文献1に記載されているように、販売員に対して販売実績に応じたインセンティブを付与するのは、販売員のやる気を引き出して個々の販売実績を向上させ、ひいてはその販売員が所属する企業の売上向上を図ることを目的としたものである。しかしながら、ECサイトおよび実店舗の両方で商品を販売する企業において、販売員がインセンティブの獲得を目的としてECサイトでの販売促進(以下、デジタル接客ということがある)を熱心にやり過ぎると、実店舗での販売業務(以下、リアル接客ということがある)が疎かになり、実店舗での売上が思うように上がらなくなってしまうという弊害を生じる可能性がある。
【0005】
一般に、企業が運営する各店舗にはそれぞれ所定期間毎に予算(売上目標)が設定され、予算を達成できたか否かの評価が行われる。店舗の評価は、その店舗の責任者である店長の評価に反映されるのが普通である。そのため、店舗に所属する個々の販売員がデジタル接客を通じて商品を多く販売することによって企業の売上向上には貢献したとしても、リアル接客が疎かになって実店舗での売上が伸びず、店舗での予算を達成できないようなことがあると、その店舗の店長にはマイナスの評価が査定されてしまう可能性がある。そのため、店長が販売員に対してデジタル接客の実施を抑制してしまうことが考えられ、販売員のモチベーションを引き下げることになってしまうという問題が生じ得る。
【0006】
なお、ネットスーパー販売方式による売上を実店舗の売上として集計するようにしたシステムが特許文献2に開示されている。ネットスーパー販売方式とは、会員となった顧客が、自宅等でパーソナルコンピュータ等の顧客端末を操作し、インターネット等のネットワーク通信を利用して、小売店に商品を注文することを可能とする販売方式である。小売店では、顧客からの注文に従い、店員が売場を廻って注文を受けた商品を揃え、配送担当者によって顧客宅に注文品を配送する。
【0007】
特許文献2に記載のシステムは、ネットスーパー販売方式によって取引される商品が、実店舗で実際に販売されている商品であることを前提として、ネットスーパー販売方式による商取引の売上も実店舗の売上としてまとめて集計するようにしたものである。しかしながら、特許文献2では、ネットワーク通信を利用して販売した商品の売上を実店舗の売上として計上することを開示しているのみであり、評価やインセンティブの付与については何ら言及していない。
【0008】
【文献】特開2014-182760号公報
【文献】特開2011-186686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような問題を解決するために成されたものであり、販売員がデジタル接客することに対するモチベーションを引き下げるようなマイナス要因が働くのを抑止して、商品の販売実績を向上させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業のECサイトにおける商品の販売に関する状況を示す販売状況情報と、商品の販売促進を行った販売員を示す販売員情報との関連付けに基づいて、各販売員が販売促進を行った商品の販売に関する状況から販売員を個々に評価するとともに、販売状況情報と、販売員情報と、販売員が所属する店舗を示す店舗情報との関連付けに基づいて、店舗に所属する各販売員が販売促進を行った商品の販売に関する状況の総合から店舗を評価するようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業の販売員が、ECサイトにおいて商品を販売するために販売促進(デジタル接客)を行うと、当該商品の販売に関する状況に基づいて販売員自身が評価されるだけでなく、その販売員が所属する店舗も、当該店舗に所属する各販売員が販売促進を行った商品の販売に関する状況の総合に基づいて評価される。このように、販売員がデジタル接客を通じてECサイトで商品を多く販売することが、販売員の評価だけでなく店舗の評価にも繋がるため、店長が販売員に対してデジタル接客の実施を抑制してしまうこと、つまり、販売員がECサイトで商品を販売することに対するモチベーションを引き下げるようなマイナス要因が働くことが抑止される。これにより、販売員がより多くの商品を販売したいというモチベーションを効果的に利用して、商品の販売実績を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による評価システムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態による販売員端末の機能構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態によるサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
図4】コーディネート投稿ページの一例を示す図である。
図5】商品詳細ページの一例を示す図である。
図6】投稿一覧ページの一例を示す図である。
図7】商品マスタ記憶部に記憶される商品マスタ情報の一例を示す図である。
図8】販売員マスタ記憶部に記憶される販売員マスタ情報の一例を示す図である。
図9】販売状況記憶部に記憶される投稿関連情報(販促管理情報)の一例を示す図である。
図10】販売状況記憶部に記憶される販売状況情報(販売実績情報)の一例を示す図である。
図11】販売員評価部および店舗評価部の処理内容の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による評価システムの全体構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の評価システムは、店舗A,Bに所属する複数の販売員が使用する販売員端末10A1,10A2,・・・,10B1,10B2,・・・と、サーバ装置20とを備えて構成される。サーバ装置20は、各々の販売員端末10A1,10A2,・・・,10B1,10B2,・・・からインターネットおよび携帯電話網などの通信ネットワーク500を介して接続される。
【0014】
販売員端末10A1,10A2,・・・は、店舗Aに所属する複数の販売員A1,A2,・・・が使用する端末である。また、販売員端末10B1,10B2,・・・は、店舗Bに所属する複数の販売員B1,B2,・・・が使用する端末である。ここでいう店舗A,Bとは、異なる地点に実存する実店舗である。以下の説明において、個々の販売員端末10A1,10A2,・・・,10B1,10B2,・・・を特に区別しないときは単に販売員端末10と記す。なお、ここでは2つの店舗A,Bを示しているが、この数に限定されるものではない。実店舗は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0015】
販売員端末10は、企業が販売対象とする商品(以下、販売対象商品という)を販売する販売員が使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。本実施形態において、企業とは、1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業である。販売対象商品とは、ECサイトを通じて販売する商品である。ECサイトを通じて販売する商品は、実店舗で販売する商品と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。以下では、商品の一例として、ファッション関連の商品を販売するものとして説明する。
【0016】
販売員端末10には、販売員が販売対象商品に関して販売促進(デジタル接客)を実施することを可能にした支援用のアプリケーション(以下、販売支援アプリという)がインストールされている。販売員は、この販売支援アプリが有する機能を利用して、販売対象商品の販売促進を実施する。販売支援アプリにより提供される販売促進の実施機能として、ファッションのコーディネート投稿機能がある。これは、販売員が撮影したコーディネート写真に商品情報を紐づけてECサイトに投稿する機能(これについての詳細は後述する)である。
【0017】
サーバ装置20は、販売対象商品のECサイトでの販売に関する処理を行うとともに、販売対象商品を販売する販売員および当該販売員が所属する店舗の評価に関する処理を行うものであり、販売管理装置および評価装置の機能を備えている。ここでは、販売管理装置の機能および評価装置の機能を1つのサーバ装置20が備える構成を示しているが、これらの機能を2つ以上のサーバに分けて持たせる構成としてもよい。
【0018】
販売管理装置の機能である販売に関する処理とは、ECサイトを通じて販売対象商品を販売するために必要な各処理であり、商品情報の掲載、消費者により指定された商品のショッピングカートへの登録、ショッピングカートに登録された商品の決済などの処理を含む。ECサイトに対する商品情報の掲載は、販売員が販売支援アプリのコーディネート投稿機能を利用して投稿した販売対象商品を掲載する処理を含む。
【0019】
評価装置の機能である評価に関する処理とは、販売対象商品の販売状況に基づいて、販売促進を行った販売員を評価する処理と、その販売員が所属する店舗を評価する処理とを含む。サーバ装置20は、この評価を行う前提として、ECサイトを通じて販売された販売対象商品の販売状況を集計するために必要な各処理を実行する。
【0020】
図2は、本実施形態による販売員端末10の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の販売員端末10は、機能構成として、商品情報取得部11および情報投稿部12を備えている。これらの機能ブロック11,12は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶された販売支援アプリのプログラムが動作することによって実現される。
【0021】
商品情報取得部11は、サーバ装置20において販売対象商品の情報として管理されている商品マスタ情報から、販売員がコーディネート投稿する対象のコーディネートに含まれる商品(販売促進を行う対象の商品)を示す商品情報を取得する。ここで取得する商品情報は、商品を特定可能な情報であればよい。例えば、商品に対してユニークに割り振られた商品コードを用いることが可能である。
【0022】
情報投稿部12は、販売対象商品の販売促進に関する情報(以下、販促情報という)を企業のECサイトに投稿する。販促情報は、例えば、販売員が撮影したコーディネート写真およびこれに関連して販売員が作成したコメント等の関連情報である。ここで、情報投稿部12は、販売促進を行う対象の商品を示す商品情報(商品情報取得部11により取得された商品情報)と、販売促進を行う販売員を示す販売員情報と、販売促進を行う販売員が所属する店舗を示す店舗情報とを販促情報に関連付けて、ECサイトに対する販促情報の投稿を行う。
【0023】
以下の説明において、販促情報(後述するコーディネート情報はこれと同義)の投稿というときは、販促情報と共にこれに関連付けられた商品情報、販売員情報および店舗情報もサーバ装置20に送信することを意味する。また、以下の説明において、販売員端末10からサーバ装置20に送信される販促情報(コーディネート情報)、商品情報、販売員情報および店舗情報を併せて投稿関連情報という。
【0024】
販売員情報は、販売員を特定可能な情報であればよい。例えば、販売員に対してユニークに割り振られた販売員コードを用いることが可能である。店舗情報は、店舗を特定可能な情報であればよい。例えば、店舗に対してユニークに割り振られた店舗コードを用いることが可能である。例えば、販売員が使用する販売支援アプリには、販売員コードおよび店舗コードが事前に登録されており、この事前登録された販売員コードおよび店舗コードと、商品情報取得部11により取得された商品コードとが、販売員の作成した販促情報に関連付けられる。
【0025】
販促情報が投稿されるECサイトは、企業が販売対象商品の販売用に運営しているウェブサイトである。このECサイトには、複数の商品を一覧として表示する商品一覧ページ、個々の商品の詳細情報を表示する商品詳細ページなどの他、販売員から投稿されたコーディネート情報(コーディネート写真やコメント等の関連情報を含む販促情報)を表示するコーディネート投稿ページが含まれる。
【0026】
図4は、ある販売員から投稿されたコーディネート情報が表示されたコーディネート投稿ページの一例を示す図である。図4に示すように、コーディネート投稿ページには、コーディネート写真41、販売員の所属する店舗の名称42、販売員関連情報43、コーディネートに関する販売員のコメント44、コーディネート写真41に含まれる各商品の商品関連情報45が掲載されている。販売員関連情報43は、例えば、販売員の写真、氏名、身長などの情報を含む。商品関連情報45は、例えば、商品の写真、商品名、価格などの情報を含む。このコーディネート投稿ページは、販売員端末10からサーバ装置20に送信される投稿関連情報と、サーバ装置20が保有している商品マスタ情報および販売員マスタ情報とに基づいて、サーバ装置20において生成される。
【0027】
図4の例では、ギャザーパンツの商品Xと、ティーシャツの商品Yとを組み合わせたコーディネート写真41が掲載されており、商品関連情報45には、2つの商品X,Yに関する情報がそれぞれ掲載されている。ここで、例えば商品Xまたは商品Yの写真をクリックすると、商品Xまたは商品Yの商品詳細ページに遷移する。
【0028】
図5は、商品詳細ページの一例を示す図である。図5に示すように、商品詳細ページには、商品写真51、カラー選択欄52、サイズ選択欄53およびショッピングカートボタン54が含まれる。消費者は、好みのカラーとサイズを選んでショッピングカートボタン54を操作することにより、指定した商品をショッピングカートに登録することが可能である。
【0029】
図6は、投稿一覧ページの一例を示す図である。複数の販売員がそれぞれ1つ以上のコーディネート投稿を行うことにより、サーバ装置20には複数のコーディネート情報が蓄積される。図6に示す投稿一覧ページは、これら複数のコーディネート投稿の概要を一覧で表示するためのページである。図6に示すように、投稿一覧ページには、それぞれのコーディネート投稿ごとに、コーディネート写真41、販売員の所属する店舗の名称42および販売員関連情報43が掲載されている。この中の何れかのコーディネート写真41をクリックすると、図4に示したコーディネート投稿ページに遷移する。
【0030】
図3は、本実施形態によるサーバ装置20の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態のサーバ装置20は、機能構成として、販売管理部21、販売員評価部22および店舗評価部23を備えている。また、サーバ装置20は、記憶媒体として、商品マスタ記憶部101、販売員マスタ記憶部102および販売状況記憶部103を備えている。
【0031】
上記各機能ブロック21~23は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック21~23は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラム(評価用プログラムを含む)が動作することによって実現される。
【0032】
商品マスタ記憶部101は、複数の販売対象商品に関する商品マスタ情報を記憶する。図7は、商品マスタ記憶部101に記憶される商品マスタ情報の一例を示す図である。図7に示すように、商品マスタ記憶部101は、複数の販売対象商品のそれぞれ毎に、商品コード、商品名、商品属性、販売単価、商品写真(またはその格納場所を示すアドレス)などの情報を記憶する。商品属性は、同じ商品でも異なる属性が存在する場合にその属性を特定するための情報である。例えば、商品属性は、商品の色やサイズなどである。なお、ここに挙げた情報は一例であり、商品マスタ情報がこれ以外の情報を含んでもよい。
【0033】
販売員マスタ記憶部102は、複数の販売員に関する販売員マスタ情報を記憶する。図8は、販売員マスタ記憶部102に記憶される販売員マスタ情報の一例を示す図である。図8に示すように、販売員マスタ記憶部102は、複数の販売員のそれぞれ毎に、販売員コード、氏名、身長、店舗コード、店舗名、販売員社員(またはその格納場所を示すアドレス)などの情報を記憶する。なお、ここに挙げた情報は一例であり、販売員マスタ情報がこれ以外の情報を含んでもよい。
【0034】
販売管理部21は、販売対象商品をECサイトで販売する際に必要となる各種の処理を実行する。この販売管理部21は、特許請求の範囲の情報管理部の機能も備え、これに関する処理も実行する。例えば、販売管理部21は、商品一覧ページ(図示せず)の生成および提供に関する処理、図5に例示した商品詳細ページの生成および提供に関する処理を実行する。ここで、販売管理部21は、商品マスタ記憶部101に記憶されている商品マスタ情報を利用して、商品一覧ページおよび商品詳細ページを生成する。商品詳細ページは、商品一覧ページからの遷移または図4に例示したコーディネート投稿ページから遷移の何れかに応じて生成される。
【0035】
また、販売管理部21は、販売対象商品の販売促進の実施(コーディネート投稿)に関する各種の処理も実行する。すなわち、販売管理部21は、販売員端末10の商品情報取得部11からの要求に応じて、商品マスタ記憶部101に記憶されている商品マスタ情報の中から販売員が希望する商品の商品情報を取り出して提供する。また、販売管理部21は、販売員端末10の情報投稿部12により送信された投稿関連情報を受け付けて、これを販売状況記憶部103に逐次記録する(情報管理部の機能)。
【0036】
図9は、販売状況記憶部103に記憶される投稿関連情報の一例を示す図である。図9は、投稿関連情報を記憶する1つのレコードを示したものであり、販売管理部21が販売員端末10からコーディネート情報を受信するたびに、1つずつレコードが追加されていく。
【0037】
図9に示すように、販売状況記憶部103は、商品コード、販売員コード、店舗コード、コーディネート写真およびコメントを関連付けて成る投稿関連情報を1つのレコードに記憶する。商品コードについては、コーディネート写真に含まれる複数の商品に対応して、複数の商品コードが含まれている。コーディネート写真およびコメントについては、レコードとは別の場所に記憶するようにし、その格納場所を示すアドレスをレコードに記憶するようにしてもよい。
【0038】
この図9に示す投稿関連情報は、売員が販売促進を行った商品について、当該商品を示す商品情報と、当該販売員を示す販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す店舗情報とを関連付けて管理するための販促管理情報として用いられる。なお、投稿関連情報とは別に販促管理情報を記憶するようにしてもよい。この場合、個々の投稿関連情報をユニークに特定可能な投稿コードを発行し、この投稿コードを商品コード、販売員コードおよび店舗コードに関連付けて販促管理情報を構成するようにしてもよい。
【0039】
また、販売管理部21は、図6に例示した投稿一覧ページの生成および提供に関する処理も実行する。ここで、販売管理部21は、販売状況記憶部103に記憶されている図9の投稿関連情報のうちコーディネート写真、販売員コードおよび店舗コードと、販売員マスタ記憶部102に記憶されている販売員マスタ情報とを利用して、投稿一覧ページを生成する。
【0040】
また、販売管理部21は、図4に例示したコーディネート投稿ページの生成および提供に関する処理も実行する。ここで、販売管理部21は、販売状況記憶部103に記憶されている図9の投稿関連情報と、商品マスタ記憶部101に記憶されている商品マスタ情報と、販売員マスタ記憶部102に記憶されている販売員マスタ情報を利用して、コーディネート投稿ページを生成する。
【0041】
さらに、販売管理部21は、消費者により指定された商品のショッピングカートへの登録に関する処理、ショッピングカートに登録された商品の決済に関する処理なども実行する。すなわち、販売管理部21は、図示しない消費者端末からECサイトへのアクセスを通じて行われる販売対象商品の購買に関する処理も実行する。消費者は、ECサイト上で複数の販売対象商品を閲覧し、その中から所望の販売対象商品を選んで購入するための一連の手続を行うことができ、この一連の手続に関する処理を販売管理部21が実行する。
【0042】
販売管理部21は、ECサイトを通じて販売された商品の販売に関する状況を示す販売状況情報を販売状況記憶部103に記録する(情報管理部の機能)。例えば、販売管理部21は、消費者がECサイトを通じて販売対象商品を購入した場合に、販売対象商品がいつ、いくつ売れたのかを示す情報、つまり商品の販売実績を示す情報を販売状況情報として販売状況記憶部103に記録する。
【0043】
ここで、図4に示すコーディネート投稿ページから図5に示す商品詳細ページに遷移してショッピングカートに商品が登録された場合、その商品の商品コードに対して、コーディネート投稿ページを生成する際に使用された販売員の販売員コードおよび店舗コードが紐づけられる。この場合、販売管理部21は、販売された商品の商品コード、販売日、販売数から成る販売状況情報を、コーディネート投稿を行った販売員の販売員コードおよび店舗コードに関連付けて販売状況記憶部103に記録する。すなわち、販売管理部21は、ECサイトで販売されている対象商品のうち、販売員が販売促進を行った商品に関する販売状況情報(販売実績情報)を、図9の投稿関連情報(販促管理情報)に含まれる販売員コードおよび店舗コードと関連付けて販売状況記憶部103に記録する。
【0044】
一方、図示しない商品一覧ページから図5に示す商品詳細ページに遷移してショッピングカートに商品が登録された場合、その商品の商品コードに対して販売員コードおよび店舗コードが紐づけられることはない。この場合、販売管理部21は、販売された商品の商品コード、販売日、販売数を販売状況情報として販売状況記憶部103に記録し、販売員コードおよび店舗コードとの関連付けは行わない。
【0045】
図10は、販売状況記憶部103に記憶される販売状況情報(販売実績情報)の一例を示す図である。図10は、販売状況情報を記憶する1つのレコードを示したものであり、販売対象商品が消費者によって購入されたことが販売管理部21により検出されるたびに、1つずつレコードが追加されていく。
【0046】
図10(a)に示すように、販売状況記憶部103は、商品一覧ページから図5の商品詳細ページに遷移して販売された商品の商品コード、販売日および販売数を販売状況情報として1つのレコードに記憶する。また、図10(b)に示すように、販売状況記憶部103は、コーディネート投稿ページから図5の商品詳細ページに遷移して販売された商品の商品コード、販売日、販売数を販売状況情報として1つのレコードに記憶するとともに、同じレコードに販売員コードおよび店舗コードを関連付けて記憶する。図10(b)に示すレコードは、企業のECサイトにおける商品の販売に関する状況(販売実績)を示す販売状況情報(商品コード、販売日、販売数)と、商品の販売促進を行った販売員を示す販売員情報(販売員コード)と、当該販売員が所属する店舗を示す店舗情報(店舗コード)との関連付けがなされた情報と言える。
【0047】
販売員評価部22は、企業のECサイトにおける商品の販売に関する状況を示す販売状況情報と、商品の販売促進を行った販売員を示す販売員情報との関連付けに基づいて、各販売員が販売促進を行った商品の販売に関する状況(商品の販売実績)から販売員を個々に評価する。例えば、販売員評価部22は、図10(b)に示す販売状況情報(商品コード、販売日、販売数)および販売員情報(販売員コード)に基づいて、単位期間当たりの販売員の販売実績に関する評価値を求める。単位期間とは、販売員評価部22が処理を実行する所定の時間間隔の評価対象期間(例えば1ヵ月)である。
【0048】
例えば、販売員評価部22は、毎月の月初に、先月の1ヵ月当たりに販売員のコーディネート投稿に基づき販売された商品の合計売上を販売員ごとに算出し、この合計売上額に対して所定の割合を掛け算した値を販売員の評価値として算出する。ある販売員A1のコーディネート投稿に基づき販売された商品の合計売上は、次のようにして算出することが可能である。すなわち、販売状況記憶部103に記憶されている先月分の販売状況情報のレコードうち、販売員A1の販売員コードが記録されている1つ以上のレコードを抽出する。そして、抽出した各レコードに含まれている商品コードに対応する販売単価を商品マスタ情報で確認し、その販売単価に販売数を掛け算することにより、レコードごとに売上を求める。そして、各レコードについて求めた売上を合計することにより、販売員A1の1ヵ月当たりの合計売上を算出する。
【0049】
ここで、販売員評価部22は、商品の販売促進を行った販売員ごとに特定される販売実績に基づいて、商品の販売促進を行った販売員に対して所定のルールで定められたインセンティブを付与するようにしてもよい。例えば、販売員評価部22は、上記のようにして算出した販売員の評価値(1ヵ月当たりの合計売上に対して所定の割合(例えば、3%)を掛け算した値)に相当する金額を給与または賞与として支給するように設定する処理を行うようにしてもよい。
【0050】
あるいは、販売員評価部22は、上記のようにして算出した評価値をもとに、所定のルールで定められたポイントを付与する処理を行うようにしてもよい。ルールの内容は任意に設定可能である。ここで付与するポイントは、例えば、人事評価用の査定ポイントとすることが可能である。あるいは、実際の商取引で使用可能な経済的価値を有するポイントとすることも可能である。
【0051】
また、販売員評価部22は、販売対象商品の販売数をもとに、所定のルールに基づき計算されるポイントを付与する処理を行うようにしてもよい。ここで、販売対象商品の1つ当たりの販売に対して付与するポイントとして、どの販売対象商品についても同じ固定値のポイントを付与するようにしてもよいし、異なる販売対象商品に対して異なるポイントを付与するようにしてもよい。
【0052】
店舗評価部23は、企業のECサイトにおける商品の販売に関する状況を示す販売状況情報と、商品の販売促進を行った販売員を示す販売員情報と、当該販売員が所属する店舗を示す店舗情報との関連付けに基づいて、店舗に所属する各販売員が販売促進を行った商品の販売に関する状況の総合(各販売員の販売実績の総合)から店舗を評価する。例えば、販売員評価部22は、図10(b)に示す販売状況情報(商品コード、販売日、販売数)、販売員情報(販売員コード)および店舗情報(店舗コード)に基づいて、単位期間(例えば1ヵ月)当たりの店舗に関する評価値を求める。
【0053】
例えば、店舗評価部23は、毎月の月初に、先月の1ヵ月当たりに店舗に所属する各販売員のコーディネート投稿に基づき販売された商品の合計売上を店舗ごとに算出し、この合計売上額に対して所定の割合を掛け算した値を店舗の評価値として算出する。ある店舗Aに所属する販売員A1,A2,・・・のコーディネート投稿に基づき販売された商品の合計売上は、次のようにして算出することが可能である。すなわち、各販売員A1,A2,・・・のそれぞれについて、上述のようにして1ヵ月当たりの合計売上を算出する。そして、各販売員A1,A2,・・・の合計売上を更に合計することにより、店舗Aについて各販売員A1,A2,・・・のコーディネート投稿に基づく1ヵ月当たりの合計売上を算出する。
【0054】
ここで、店舗評価部23は、店舗に所属する各販売員について特定される販売実績の総合に基づいて、実店舗での商品の販売について設定された予算に対して所定のルールで定められたインセンティブを付与するようにしてもよい。例えば、店舗評価部23は、上記のようにして算出した店舗の評価値(1ヵ月当たりの合計売上に対して所定の割合(例えば、20%)を掛け算した値)に相当する金額を当月の実店舗での売上に対してインセンティブとして加算し、この加算金額の予算に対する達成率を店舗の評価値として用いるようにしてもよい。
【0055】
この場合、例えば当月の予算が1000万円、実店舗での売上が900万円、ECサイトでの各販売員によるコーディネート投稿に基づく合計売上が600万円であるときに、600万円×20%=120万円をインセンティブとして実店舗での売上900万円に加算し、予算達成率102%を店舗の評価値として用いることになる。120万円は、店舗Aの実店舗で販売された商品の売上ではないが、店舗Aが販売員A1,A2のデジタル接客を承認または推奨した結果として得られた成果として捉え、店舗Aの評価に反映させるようにしている。
【0056】
図11は、販売員評価部22および店舗評価部23の処理内容の一例を説明するための模式図である。ここでは、企業が店舗Aと店舗Bの2つを運営しており、店舗Aには販売員A1,A2の2人が所属し、店舗Bには販売員B1,B2の2人が所属しているものとする。店舗Aの販売員A1のコーディネート投稿ページを通じて販売された1つ以上の販売対象商品に関する単位期間当たりの合計売上が300万円、同じく店舗Aの販売員A2の合計売上が200万円、同じく店舗Bの販売員B1の合計売上が50万円、同じく店舗Bの販売員B2の合計売上が150万円であるとする。
【0057】
この場合、販売員評価部22は、例えば、各販売員A1,A2,B1,B2に対して、それぞれの合計売上に所定の割合(例えば、3%)を掛け算した金額(それぞれ9万円、6万円、1.5万円、4.5万円)またはそれに相当するポイントをインセンティブとして付与する。また、店舗評価部23は、店舗Aに対して、各販売員A1,A2によるコーディネート投稿に基づく合計売上である500万に所定の割合(例えば、20%)を掛け算した金額である100万円を当月の実店舗での売上に対してインセンティブとして加算する。同様に、店舗評価部23は、店舗Bに対して、各販売員B1,B2によるコーディネート投稿に基づく合計売上である200万に所定の割合(例えば、20%)を掛け算した金額である40万円を当月の実店舗での売上に対してインセンティブとして加算する。
【0058】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、企業のECサイトにおける商品の販売に関する状況を示す販売状況情報と、商品の販売促進を行った販売員を示す販売員情報との関連付けに基づいて、各販売員が販売促進を行った商品(販売員のコーディネート投稿ページを通じて販売された商品)の販売に関する状況から販売員を個々に評価するとともに、販売状況情報と、販売員情報と、販売員が所属する店舗を示す店舗情報との関連付けに基づいて、店舗に所属する各販売員が販売促進を行った商品(同上)の販売に関する状況の総合から店舗を評価するようにしている。
【0059】
このように構成した本実施形態によれば、1以上の実店舗およびECサイトを運営する企業の販売員が、ECサイトにおいて商品を販売するために販売促進(コーディネート投稿によるデジタル接客)を行うと、当該商品の販売に関する状況に基づいて販売員自身が評価されるだけでなく、その販売員が所属する店舗も、当該店舗に所属する各販売員が販売促進を行った商品の販売に関する状況の総合に基づいて評価される。
【0060】
このように、本実施形態によれば、販売員がデジタル接客を通じてECサイトで商品を多く販売することが、販売員の評価だけでなく店舗の評価にも繋がるため、店長が販売員に対してデジタル接客の実施を抑制してしまうこと、つまり、販売員がECサイトで商品を販売することに対するモチベーションを引き下げるようなマイナス要因が働くことを抑止することができる。これにより、販売員がより多くの商品を販売したいというモチベーションを効果的に利用して、商品の販売実績を向上させることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、商品の販売実績を示す販売実績情報を販売状況情報として用い、販売実績情報に基づいて販売員および店舗を評価する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、販売実績情報、販売員が行った販売促進の実施状況を示す情報(販促状況情報)および販売促進に対する消費者の反応状況を示す情報(販促反応情報)の少なくとも1つを用いて評価を行うようにしてもよい。例えば、販売員評価部22が、各販売員が販売促進を行った商品の販売実績、販売促進の実施状況および消費者の反応状況の少なくとも1つから販売員を個々に評価するとともに、店舗評価部23が、店舗に所属する各販売員が販売促進を行った商品の販売実績の総合から店舗を評価するようにしてもよい。
【0062】
ここで、販売員評価部22および店舗評価部23は、例えば以下の(A)に示す販売実績情報、(B)に示す販促状況情報および(C)に示す販促反応情報を用いて評価値を算出することが可能である。
(A)販売員の売上:単位期間中に販売員がコーディネート投稿を通じて販売した販促対象商品の総売上
(B)コンテンツ投稿数:コーディネート投稿によって掲載したコーディネート情報の総数
(C)PV数:コーディネート投稿ページの総PV数
【0063】
また、上記実施形態では、販売員の行う販売促進が企業のECサイトに対するコーディネート投稿である例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、販売対象商品について販売員視点の分かりやすいポイントや特徴に関するコメントをECサイトに投稿する処理、販売対象商品(コーディネートを含む)およびそれに関するコメントなどを販売員個人のSNS(Instagram、facebook、LINEなど。何れも登録商標)に投稿する処理などであってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、販売員による販売促進を企業のECサイトに対して行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、販売促進を行う対象のウェブサイトは、販売員が自身で作成した販促用のウェブサイトであってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、図7~10に各種情報を示したが、これは販売状況記憶部103に対する各種情報の記憶方法の一例を示したものであり、これに限定されるものではない。要は、販売状況情報と販売員情報と店舗情報との関連付けが把握できるような形態で各種情報が記憶されていればよい。
【0066】
また、上記実施形態では、販売対象商品がファッション関連商品である場合を例に挙げて説明したが、販売対象商品はこれに限定されない。あらゆる商品を対象とすることが可能である。また、取り扱う商品は、物としての商品と、サービスとしての商品とのどちらであってもよい。
【0067】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 販売員端末
11 商品情報取得部
12 情報投稿部
20 サーバ装置(評価装置)
21 販売管理部(情報管理部)
22 販売員評価部
23 店舗評価部
101 商品マスタ記憶部
102 販売員マスタ記憶部
103 販売状況記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11