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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】2ワイヤ通信インタフェースシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/10 20060101AFI20230712BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H04L7/10
G06F13/38 350
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020504229
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 US2018043615
(87)【国際公開番号】W WO2019023308
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-24
(31)【優先権主張番号】15/662,249
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニャ バハラティ アコンディ
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092445(JP,A)
【文献】特開2014-176049(JP,A)
【文献】特開2010-028670(JP,A)
【文献】特開2010-135954(JP,A)
【文献】特表2006-514296(JP,A)
【文献】特開平09-146724(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105594181(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0074306(US,A1)
【文献】特開平08-237761(JP,A)
【文献】特開2013-179659(JP,A)
【文献】特開平04-354219(JP,A)
【文献】特開平09-139731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/10
G06F 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信インタフェースシステムにおけるマスターマイクロコントローラであって、
2ワイヤ通信ケーブルに結合されるように適合されるトランスミッタであって、
可変範囲の周波数の選択された周波数でクロック信号を生成し、
クロック学習モードの間に所定の時間期間の間に前記クロック信号を提供し、
前記所定の時間期間の後に所定のテストパターンを送信し、
データ転送モードの間に前記選択された周波数でマスターデータ信号リクエストを提供する、
ように構成される、前記トランスミッタと、
前記2ワイヤ通信ケーブに結合されるように適合されるレシーバであって、
前記所定のテストパターンの送信に応答して所定の応答パターンを受信し、
前記データ転送モードの間に前記マスターデータ信号リクエストに応答して前記選択された周波数でスレーブデータ信号を受信する、
ように構成される、前記レシーバと、
を含む、マスターマイクロコントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のマスターマイクロコントローラであって、
前記クロック信号が電力を供給するように構成される、マスターマイクロコントローラ。
【請求項3】
請求項に記載のマスターマイクロコントローラであって、
前記レシーバが所定の応答パターンを受信することに応答して、前記トランスミッタが、前記クロック学習モードからフリークロッキングモードに切り替えるように更に構成されており、前記フリークロッキングモードにおいて、前記データ転送モードの間前記マスターデータ信号リクエストを送信するように前記マスターマイクロコントローラが命令されるまで、前記トランスミッタが前記クロック信号を前記選択された周波数で提供する、マスターマイクロコントローラ。
【請求項4】
請求項に記載のマスターマイクロコントローラであって、
前記レシーバが所定の応答パターンを受信しないことに応答して、前記トランスミッタが前記クロック学習モードに戻るように更に構成される、マスターマイクロコントローラ。
【請求項5】
請求項1に記載のマスターマイクロコントローラであって、
前記マスターデータ信号リクエストの各々が、差し迫ったマスターデータ信号リクエストを示すように構成される所定のヘッダーパターンと、前記マスターデータ信号リクエストを含むデータ部分と、前記マスターデータ信号リクエストの終わりを示すように構成される所定のテールパターンとを含む、マスターマイクロコントローラ。
【請求項6】
請求項1に記載のマスターマイクロコントローラであって、
前記マスターマイクロコントローラがRS-485マスターマイクロコントローラとして構成される、マイクロコントローラ。
【請求項7】
通信インタフェースシステムにおけるスレーブマイクロコントローラであって
2ワイヤ通信ケーブルに結合されるように適合されるレシーバであって
クロック学習モードの間に所定の時間期間の間にある周波数でクロック信号を受信し、
所定のテストパターンを受信し、
データ転送モードの間に前記周波数でマスターデータ信号リクエストを受信する
ように構成される、前記レシーバと、
前記2ワイヤ通信ケーブルに結合されるように適合されるトランスミッタであって、
前記所定のテストパターンを受信することに応答して所定の応答パターンを送信し、
前記データ転送モードの間前記マスターデータ信号リクエストを受信することに応答して前記周波数でスレーブデータ信号を送信する
ように構成される、前記トランスミッタと、
を含、スレーブマイクロコントローラ。
【請求項8】
マスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間の通信インタフェースシステムにおいて2ワイヤ通信を提供する方法であって、
可変範囲の周波数の選択された周波数でクロック信号を生成すること
前記クロック信号を前記マスターマイクロコントローラから前記スレーブマイクロコントローラへ2ワイヤ通信ケーブルを介して提供すること
前記スレーブマイクロコントローラにおいて前記クロック信号の前記選択された周波数を学習すること
前記スレーブマイクロコントローラが前記選択された周波数を学習することに応答して前記2ワイヤ通信ケーブルを介して前記選択された周波数で前記マスターマイクロコントローラから前記スレーブマイクロコントローラに所定のテストパターンを送信することと、
前記所定のテストパターンの送信に応答して前記2ワイヤ通信ケーブルを介して前記選択された周波数で前記スレーブマイクロコントローラから前記マスターマイクロコントローラに所定の応答パターンを送信することと、
前記マスターマイクロコントローラと前記スレーブマイクロコントローラとの間で前記2ワイヤ通信ケーブルを介して前記選択された周波数でデータを送信すること
を含む、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、
前記データを送信することが、
データ転送モードの間前記2ワイヤ通信ケーブルを介して前記選択された周波数で前記マスターマイクロコントローラから前記スレーブマイクロコントローラにマスターデータ信号リクエストを送信すること
データ転送モードの間前記2ワイヤ通信ケーブルを介して前記選択された周波数で前記スレーブマイクロコントローラから前記マスターマイクロコントローラにスレーブデータ信号を送信すること
を含む、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記マスターデータ信号リクエストを送信することが、前記スレーブマイクロコントローラへの差し迫ったマスターデータ信号リクエストを示すように構成される所定のヘッダーパターンと、前記マスターデータ信号リクエストを含むデータ部分と、前記マスターデータ信号リクエストの終わりを示すように構成される所定のテールパターンとを含む前記マスターデータ信号リクエストを送信することを含む、方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法であって、
前記クロック信号を提供することが、前記2ワイヤ通信ケーブル上で前記クロック信号を介して前記マスターマイクロコントローラから前記スレーブマイクロコントローラに電力を供給することを含む、方法。
【請求項12】
マスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラと前記マスターマイクロコントローラと前記スレーブマイクロコントローラとを相互接続する2ワイヤ通信ケーブルとを含む通信インタフェースシステムであって、
前記マスターマイクロコントローラが、
可変周波数のクロック信号を生成し、
クロック学習モードの間に前記2ワイヤ通信ケーブル上で前記スレーブマイクロコントローラに所定の時間期間の間に前記クロック信号を提供し、
前記所定の時間期間の後に前記スレーブマイクロコントローラに所定のテストパターンを送信し、
選択された周波数でマスターデータ信号リクエストを生成する、
ように構成され、
前記スレーブマイクロコントローラが、
前記クロック信号を受信し、
前記クロック学習モードの間に前記選択された周波数を学習し、
前記所定のテストパターンを受信し、
前記所定のテストパターンを受信することに応答して前記マスターマイクロコントローラに所定の応答パターンを送信し、
前記マスターデータ信号リクエストを受信し、
前記マスターデータ信号リクエストに応答して前記選択された周波数でスレーブデータ信号を生成する、
ように構成され、
前記2ワイヤ通信ケーブルが、前記マスターデータ信号リクエストと前記スレーブデータ信号とを伝播するように構成される、通信インタフェースシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の通信インタフェースシステムであって、
前記クロック信号が、前記2ワイヤ通信ケーブルを介して前記スレーブマイクロコントローラに電力を供給するように構成される、通信インタフェースシステム。
【請求項14】
請求項12に記載の通信インタフェースシステムであって、
前記マスターマイクロコントローラが前記所定の応答パターンを受信することに応答して、前記マスターマイクロコントローラが、前記クロック学習モードからフリークロッキングモードに切り替えるように更に構成されており、前記フリークロッキングモードにおいて、前記マスターマイクロコントローラが、データ転送モードの間前記マスターデータ信号リクエストを前記スレーブマイクロコントローラに送信するように前記マスターマイクロコントローラが命令されるまで、前記マスターマイクロコントローラが前記選択された周波数で前記クロック信号を前記スレーブマイクロコントローラに提供する、通信インタフェースシステム。
【請求項15】
請求項12に記載の通信インタフェースシステムであって、
前記マスターマイクロコントローラが前記所定の応答パターンを受信しないことに応答して、前記マスターマイクロコントローラが、前記クロック学習モードに戻るように更に構成される、通信インタフェースシステム。
【請求項16】
請求項12に記載の通信インタフェースシステムであって、
前記マスターデータ信号リクエストの各々が、前記スレーブマイクロコントローラへの差し迫ったマスターデータ信号リクエストを示すように構成される所定のヘッダーパターンと、前記マスターデータ信号リクエストを含むデータ部分と、前記マスターデータ信号リクエストの終わりを示すように構成される所定のテールパターンとを含む、通信インタフェースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して電子機器システムに関し、より詳細には2ワイヤ通信インタフェースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マスター/スレーブ通信インタフェースシステムは、種々の応用例に対して存在する。例えば、位置エンコーダは、マスターマイクロコントローラがスレーブマイクロコントローラから提供される位置データをリクエストすることができるマスター/スレーブ通信システムを実装し得る。マスター及びスレーブマイクロコントローラを介するデータの送信は、関連するマイクロコントローラデバイスによってデータが適切に解釈されることを保証するためにクロックされ得る。例えば、マスター/スレーブ通信インタフェースシステムは、同期通信インタフェースシステムとして構成され得、この同期通信インタフェースシステムでは、選択された周波数クロック信号がデータに対して個別のワイヤを介してデータと共に送信される。別の例として、マスター/スレーブ通信インタフェースシステムは、非同期通信インタフェースシステムとして構成され得、この非同期通信インタフェースシステムでは、マスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間で転送される信号のデータレートは固定される。
【発明の概要】
【0003】
一つの例は、通信インタフェースシステムにおけるマスターマイクロコントローラを含む。マイクロコントローラは、可変範囲の周波数の選択された周波数でクロック信号を生成し、クロック学習モードの間、2ワイヤ通信ケーブル上でスレーブマイクロコントローラにクロック信号を提供するように構成されるトランスミッタを含む。トランスミッタは更に、データ転送モードの間、2ワイヤ通信ケーブル上で可変周波数でマスターデータ信号リクエストを提供するように構成され得る。マイクロコントローラは更に、データ転送モードの間、マスターデータ信号リクエストに応答して、2ワイヤ通信ケーブルを介して、選択された周波数でスレーブデータ信号を受信するように構成されるレシーバを含む。
【0004】
別の例が、通信インタフェースシステムにおいてマスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間に2ワイヤ通信を提供するための方法を含む。この方法は、可変範囲の周波数の選択された周波数でクロック信号を生成すること、及び、2ワイヤ通信信号を介してマスターマイクロコントローラからスレーブマイクロコントローラにクロック信号を供給することを含む。この方法は更に、スレーブマイクロコントローラにおいてクロック信号の選択された周波数を学習すること、及び、2ワイヤ通信信号を介して、選択された周波数でマスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間でデータを送信することを含む。
【0005】
別の例が通信インタフェースシステムを含む。通信インタフェースシステムは、可変範囲の周波数の選択された周波数でマスターデータ信号リクエストを生成するように構成されるマスターマイクロコントローラを含む。また、通信インタフェースシステムは、マスターデータ信号リクエストを受信し、マスターデータ信号リクエストに応答して可変周波数でスレーブデータ信号を生成するように構成されるスレーブマイクロコントローラを含む。通信インタフェースシステムは更に、マスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとを相互接続し、マスターデータ信号リクエスト及びスレーブデータ信号を伝搬するように構成される、2ワイヤ通信ケーブルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】通信インタフェースシステムの一例を図示する。
【0007】
図2】タイミング図の一例を図示する。
【0008】
図3】フローチャートの一例を図示する。
【0009】
図4】マスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間に2ワイヤ通信を提供するための方法の一例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
通信インタフェースシステムは、2ワイヤ通信ケーブルを介して同期通信を実装するように構成される、マスターマイクロコントローラ及びスレーブマイクロコントローラを含む。マスターマイクロコントローラは、可変範囲の周波数の選択された周波数でスレーブマイクロコントローラに提供されるクロック信号を生成するように構成されるトランスミッタを含む。本記載において、「可変範囲の周波数」という用語は、マスターマイクロコントローラのトランスミッタが、内部同調可能発振器などに基づいて、外部入力から、又は、周波数の或る範囲内の任意の所与の周波数でクロック信号を提供するための様々な他の方式のいずれかから、複数の周波数のうちのいずれかの周波数でクロック信号を生成し得ることを意味する。そのため、マスターマイクロコントローラのトランスミッタは、クロック信号を可変範囲の周波数の選択された周波数で、2ワイヤ通信ケーブルを介してスレーブマイクロコントローラに提供し得、選択される周波数は、応用例毎に可変である。これに応答して、スレーブマイクロコントローラは、クロック信号の選択された周波数を学習するように構成され得る。本記載において、選択された周波数に関して「学習する」という用語は、選択された周波数に等しいデータレートを有する信号を処理し、送信し得るように、クロック信号の選択された周波数を(例えば、内部で)複製するスレーブマイクロコントローラの能力を意味する。
【0011】
選択された周波数を学習した後、マスター及びスレーブマイクロコントローラは、2ワイヤ通信ケーブルを介して互いに通信するように構成され得る。例えば、マスターマイクロコントローラは、スレーブマイクロコントローラがクロック信号の選択された周波数を成功裏に学習したかどうかを判定するために、所定のテストパターンをスレーブマイクロコントローラに送信するように構成され得る。選択された周波数を学習することに応答して、スレーブマイクロコントローラは、所定のテストパターンに応答して所定の応答コードをマスターマイクロコントローラに送信し得る。スレーブマイクロコントローラが選択された周波数を学習したことを確認すると、マスターマイクロコントローラは、マスターマイクロコントローラがクロック信号を提供する(例えば、2ワイヤ通信ケーブルを介して電力を供給する)フリークロッキングモードに切り替えることができる。また、マスターマイクロコントローラは、2ワイヤ通信ケーブルを介して、選択された周波数でマスターデータ信号リクエストを提供し得、スレーブマイクロコントローラは、マスターデータ信号リクエストに応答して、2ワイヤ通信ケーブルを介して、選択された周波数でスレーブデータ信号を提供し得る。
【0012】
図1は、通信インタフェースシステム10の一例を図示する。通信インタフェースシステム10は、位置エンコーダシステムのためなど、様々なマスター/スレーブ通信応用例の任意のものにおいて実装され得る。例えば、通信インタフェースシステム10は、RS‐485通信インタフェースシステムの転用版として実装され得る。例えば、通信インタフェースシステム10は、既存のRS‐485システムのファームウェアアップデートに基づいて同期2ワイヤ通信を実装するように構成され得、又は既製のシステムとし得る。
【0013】
通信インタフェースシステム10は、2ワイヤ通信ケーブル16によって相互接続されたマスターマイクロコントローラ12及びスレーブマイクロコントローラ14を含む。マスターマイクロコントローラ12及びスレーブマイクロコントローラ14は、2ワイヤ通信ケーブル16を介して同期通信を実装するように構成される。図1の例では、マスターマイクロコントローラ12は、トランスミッタ18とレシーバ20を含み、スレーブマイクロコントローラ14は、トランスミッタ22とレシーバ24を含む。2ワイヤ通信ケーブル16は、マスターマイクロコントローラ12とスレーブマイクロコントローラ14との間で、図1の例において集合的に信号COMと称する信号を伝搬するように構成され得る。所与の時間に1つの信号COMのみではあるが、異なるタイプの信号COMが2ワイヤ通信ケーブル16上で伝播され得るので、マスターマイクロコントローラ12からスレーブマイクロコントローラ14に提供される信号は信号COMMSと称し、スレーブマイクロコントローラ14からマスターマイクロコントローラ12に提供される信号は信号COMSMと称する。例えば、信号COMは、2ワイヤ通信ケーブル16の両方のワイヤを介して差動信号として2ワイヤ通信ケーブル16を介して伝播され得る。
【0014】
また、例えば、マスターマイクロコントローラ12は、選択された周波数でスレーブマイクロコントローラに提供されるクロック信号を生成するように構成され得る。選択された周波数は、内部同調可能発振器から、外部入力から、又は、周波数の或る範囲内の任意の所与の周波数でクロック信号を提供するための様々な他の方式のいずれかから提供され得る或る範囲の周波数の選択された周波数に基づくなど、種々の方式のうちの任意の所与の方式で事前定義され得る。そのため、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18は、選択された周波数でのクロック信号として信号COMMSを、2ワイヤ通信ケーブル16を介してスレーブマイクロコントローラ14に提供し得る。スレーブマイクロコントローラ14は、レシーバ24を介してクロック信号を受信し得、それに応答して、スレーブマイクロコントローラ14は、クロック信号の選択された周波数を学習するように構成され得る。また、クロック信号は、マスターマイクロコントローラ12からスレーブマイクロコントローラ14に電力を供給するように構成され得る。例えば、クロック信号は、スレーブマイクロコントローラ14に電力(例えば、動作電力及び/又はバッテリー充電電力)を供給するのに充分であり得るDCオフセットを有するものとして提供され得る。
【0015】
選択された周波数を学習した後、マスターマイクロコントローラ12及びスレーブマイクロコントローラ14は、2ワイヤ通信ケーブル16を介して互いに通信するように構成され得る。例えば、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18は、スレーブマイクロコントローラ14がクロック信号の選択された周波数を成功裏に学習したかどうかを判定するために、スレーブマイクロコントローラ14のレシーバ24によって受信される所定のテストパターンを送信するように構成され得る。選択された周波数を学習することに応答して、スレーブマイクロコントローラ14のトランスミッタ22は、所定のテストパターンに応答してマスターマイクロコントローラ12のレシーバ20によって受信される所定の応答コードを送信し得る。スレーブマイクロコントローラ14が選択された周波数を学習したことを確認すると、マスターマイクロコントローラ12は、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18がスレーブマイクロコントローラ14のレシーバ24にクロック信号を提供する(例えば、2ワイヤ通信ケーブル16を介して電力を供給する)フリークロッキングモードに切り替えることができる。また、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18は、2ワイヤ通信ケーブル16を介して、選択された周波数でマスターデータ信号リクエストとして信号COMMSを提供し得る。レシーバ24でのマスターデータ信号リクエストの受信に応答して、スレーブマイクロコントローラ14のトランスミッタ22は、マスターマイクロコントローラ12のレシーバ20によって受信されたマスターデータ信号リクエストに応答して、2ワイヤ通信ケーブル16を介して、選択された周波数でスレーブデータ信号を提供し得る。従って、通信インタフェースシステム10は、2ワイヤ通信ケーブル16を介する同期双方向通信のために実装され得る。
【0016】
その結果、通信インタフェースシステム10は、他のタイプのマスター/スレーブ通信インタフェースシステムにわたって実質的な改善を提供し得る。例えば、他の典型的な同期マスター/スレーブ通信インタフェースシステムは、同期通信を提供し得るが、マスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間の4つ又は6つのワイヤ相互接続を介して個別にクロック信号を提供し得る。従って、典型的な同期マスター/スレーブ通信インタフェースシステムは、同期通信を提供するために、追加の空間、コスト、及び/又はハードウェアを利用する。別の例として、非同期マスター/スレーブ通信インタフェースシステムが、2ワイヤ通信ケーブルを介する通信を提供し得るが、固定データレートに限定される。従って、通信インタフェースシステム10は、選択された周波数データ転送に基づくサンプリングにおけるノイズへの感度を軽減するためなど、よりコンパクトでコスト効率のよい形態を提供するために、2ワイヤ通信ケーブル16を介して同期通信を提供し得る。
【0017】
図2はタイミング図50の一例を図示し、図3はフローチャート100の一例を図示する。タイミング図50は、2ワイヤ通信ケーブル16上の信号COMに対する信号COMMS及びCOMSMの相対的なタイミングを示す。フローチャート100は、それぞれのマスターマイクロコントローラ12及びスレーブマイクロコントローラ14のデータの流れ及びモードを示す。図2及び図3は、通信インタフェースシステム10のオペレーションをわかりやすくするために、ここで共に説明される。従って、図2及び図3の下記の説明には、図1の例も参照されたい。
【0018】
フローチャート100は、マスターマイクロコントローラ12に対応する列と、スレーブマイクロコントローラ14に対応する列を含む。タイミング図50は、マスターマイクロコントローラ12の開始102及びスレーブマイクロコントローラ14の開始104に対応する時間Tで始まる。時間Tで始まり、マスターマイクロコントローラ12は、更なる通信を意図した選択された周波数で、図3の例において106で示されるように、クロック信号を生成する。例えば、マスターマイクロコントローラ12及びスレーブマイクロコントローラ14は、通信インタフェースシステム10の初期化の間、又は異なる選択された周波数でデータを送信するための初期化コマンドに応答して、それぞれ、102及び104で始まるように構成され得る。図2の例において、クロック信号は、信号COMMSとして伝播する矩形波として示され、そのため、マスターマイクロコントローラ12からスレーブマイクロコントローラ14に提供される信号COMとして示される。また、時間Tにおいて、スレーブマイクロコントローラ14がクロック信号を受信すると、スレーブマイクロコントローラ14は、図3の例において108で示されるように、クロック信号の選択された周波数を学習する。時間Tの後、信号COMSMは「ゼロ」として示され、信号COMMSが2ワイヤ通信ケーブル16上に存在し、マスターマイクロコントローラ12が2ワイヤ通信ケーブル16の制御を有することを示す。
【0019】
所定の時間の後、時間Tで始まり、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18は、Tにおいて以前に送信された選択された周波数で、所定のテストパターンをスレーブマイクロコントローラ14に送信する。所定のテストパターンの送信は、図2の例において「テスト」というブロックとして示され、図3の例において110で示される。スレーブマイクロコントローラ14は、レシーバ24において所定のテストパターンを受信し、学習した選択された周波数に基づいて所定のテストパターンをデコードするように構成される。次いで、スレーブマイクロコントローラ14は、図3の例において判定ブロック112で示されるように、マスターマイクロコントローラ12によって送信された情報が所定のテストパターンに対応するかどうかを判定し得る。所定のテストパターンの送信に応答して、マスターマイクロコントローラ12は、2ワイヤ通信ケーブル16上の信号COMMSの送信を停止し得、そのため、図2の例において時間Tに始まることが示されているように、2ワイヤ通信ケーブル16の制御をスレーブマイクロコントローラ14に与えることができる。
【0020】
スレーブマイクロコントローラ14が所定のテストパターンを受信しない(例えば、「いいえ」の結果である)場合、スレーブマイクロコントローラ14は学習クロックブロック108に戻る。例えば、スレーブマイクロコントローラ14は、スレーブマイクロコントローラ14が所定のテストパターンを識別するまで、クロックを連続的に学習し得る。スレーブマイクロコントローラ14が所定のテストパターンを受信する(例えば、「はい」の結果である)場合、スレーブマイクロコントローラ14は、2ワイヤ通信ケーブル16を介してトランスミッタ22を介してマスターマイクロコントローラ12に所定の応答パターンを送信するように構成される。所定の応答パターンの送信は、図2の例において時間Tに「応答」というブロックとして、図3の例では114において、送信される信号COMSMとして示される。マスターマイクロコントローラ12は、レシーバ20において所定の応答パターンを受信し、Tにおいて以前に学習した選択された周波数に基づいて所定の応答パターンをデコードするように構成される。マスターマイクロコントローラ12はその後、図3の例において判定ブロック116で示されるように、スレーブマイクロコントローラ14によって送信された情報が所定のテストパターンに対応するかどうかを判定し得る。
【0021】
マスターマイクロコントローラ12が所定の応答パターンを受信しない(例えば、「いいえ」の結果である)場合、マスターマイクロコントローラ12は、クロックを生成するブロック106に戻る。例えば、マスターマイクロコントローラ12は、スレーブマイクロコントローラ14が所定の応答パターンを送信していないと判定するまで、所定の時間待機し得る。マスターマイクロコントローラ12が所定のテストパターンを受信する(例えば、「はい」の結果である)場合、マスターマイクロコントローラ12は、図3の例では118で示され、図2の例において時間Tに始まる、フリークロッキングモードに切り替えるように構成される。特に、時間T以前は、マスターマイクロコントローラ12は、図2の例において52で示されるクロック学習モードを開始し得る。しかしながら、スレーブマイクロコントローラ14が所定の応答パターンに応答してクロック信号の選択された周波数を学習したという指示をマスターマイクロコントローラ12が受信したことに応答して、マスターマイクロコントローラ12は、図2の例において時間Tに始まる54で示される空きクロックモードに切り替え得る。
【0022】
フリークロッキングモードにおいて、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18は、Tにおいて以前に学習した選択された周波数でのクロック信号として信号COMMSを、2ワイヤ通信ケーブル16を介してスレーブマイクロコントローラ14のレシーバ24に、連続的に送信するように構成される。そのため、スレーブマイクロコントローラ14は、図3の例で120で示されるクロックチェックモードにあり、そのため、マスターマイクロコントローラ12からの信号リクエストを待機している。上述のように、クロック信号は、マスターマイクロコントローラ12からスレーブマイクロコントローラ14に電力を供給するように構成され得る。そのため、クロックチェックモードの間、マスターマイクロコントローラ12は、クロック信号を介してスレーブマイクロコントローラ14に連続的に電力を供給し得る。
【0023】
時間Tにおいて、マスターマイクロコントローラ12のトランスミッタ18は、Tに設定された選択された周波数で、マスターデータリクエストをスレーブマイクロコントローラ14に送信する。マスターデータ信号リクエストの送信は、図2の例においてブロック「リクエスト」として示され、図3の例では122で示される。スレーブマイクロコントローラ14は、レシーバ24においてマスターデータ信号リクエストを受信し、学習した選択された周波数に基づいてマスターデータ信号リクエストをデコードするように構成される。そのため、スレーブマイクロコントローラ14は、図3の例の124においてマスターデータ信号リクエストを受信し得る。マスターデータリクエストの送信に応答して、マスターマイクロコントローラ12は、2ワイヤ通信ケーブル16上の信号COMMSの送信を停止し得、そのため、図2の例において時間Tに始まるよう示されているように、2ワイヤ通信ケーブル16の制御をスレーブマイクロコントローラ14に与えることができる。
【0024】
図2の例において、マスターデータ信号リクエストは、所定のヘッダーパターン56、データ部分58、及び所定のテールパターン60を含むものとして示されている。所定のヘッダーパターン56は、差し迫ったマスターデータ信号リクエストをスレーブマイクロコントローラ14に示すように構成される。従って、スレーブマイクロコントローラ14は、マスターデータ信号リクエストと信号COMMSにおけるクロック信号との間の区別を決定するように構成され得る。データ部分は、マスターデータ信号リクエストに関連するデータを含み、そのため、スレーブマイクロコントローラ14によって実行されるべき命令を含む。従って、マスターデータ信号リクエストが差し迫っていると所定のヘッダーパターン56を介してスレーブマイクロコントローラ14が判定したことに応答して、スレーブマイクロコントローラ14は、データ部分58におけるデータを、その中の実際のデータ命令を取得するために解釈し得る。そのため、所定のテールパターン60は、マスターデータ信号リクエストの終わりを示すように構成され、スレーブマイクロコントローラ14はデータ命令が終了したことを判定し得る。
【0025】
時間Tにおいて、スレーブマイクロコントローラ14のトランスミッタ22は、信号COMSMをスレーブデータ信号としてマスターマイクロコントローラ12のレシーバ20に送信し得る。スレーブデータ信号の送信は、図2の例において時間Tに「データ」というブロックとして、図3の例における126で、送信される信号COMSMとして示される。マスターマイクロコントローラ12は、レシーバ20でスレーブデータ信号を受信し、以前に設定された選択された周波数に基づいてスレーブデータ信号をデコードするように構成される。次いで、マスターマイクロコントローラ12は、図3の例で128で示されるように、マスターデータ信号リクエストに応答して提供されたスレーブデータ信号において提供されたデータを受信し得る。マスターマイクロコントローラ14がスレーブデータ信号を受信した後、マスターマイクロコントローラ12は、図2の例において時間Tに始まるフリークロッキングモード118に切り替えるように構成される。特に、時間TとTとの間で、マスターマイクロコントローラ12がマスターデータ信号リクエストを送信し、スレーブマイクロコントローラ14がスレーブデータ信号で応答するとき、マスターマイクロコントローラ14は、図2の例において62で示されるように、データ転送モードで動作し得る。しかしながら、マスターマイクロコントローラ12がスレーブマイクロコントローラ14からスレーブデータ信号を受信することに応答して、図2の例において時間Tに始まる64で示されているように、マスターマイクロコントローラ12はフリークロッキングモードに切り替えることができる。
【0026】
上述の構造的及び機能的特徴に鑑みて、例示の実施例の手法を図4に関連して説明する。簡潔にするために、図4の手法は順次行われるものとして示され、説明されるが、幾つかの態様が異なる順で及び/又は他の態様と同時に起こり得るので、例示の実施例は示される順に限定されない。また、幾つかの図示された特徴は本手法を実装するために取捨選択し得る。
【0027】
図4は、マスターマイクロコントローラ(例えば、マスターマイクロコントローラ12)とスレーブマイクロコントローラ(例えば、スレーブマイクロコントローラ14)との間の通信インタフェースシステム(例えば、通信インタフェースシステム10)において2ワイヤ通信を提供するための方法150の一例を示す。152において、選択された周波数でクロック信号が生成される。154において、クロック信号は、マスターマイクロコントローラから2ワイヤ通信信号(例えば、2ワイヤ通信ケーブル16)を介してスレーブマイクロコントローラに提供される。156で、クロック信号の選択された周波数が、スレーブマイクロコントローラにおいて学習される。158において、データ(例えば、マスターデータ信号リクエスト及びスレーブデータ信号)が、2ワイヤ通信信号を介して、選択された周波数でマスターマイクロコントローラとスレーブマイクロコントローラとの間で送信される。
【0028】
本記載において、「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
【0029】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4