(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】寄生容量が低減されたデバイスアイソレーター
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20230712BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L27/04 L
(21)【出願番号】P 2021141564
(22)【出願日】2021-08-31
(62)【分割の表示】P 2017553059の分割
【原出願日】2016-04-07
【審査請求日】2021-09-25
(32)【優先日】2015-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ラジャ セルヴァラジ
(72)【発明者】
【氏名】アナント シャンカー カマス
(72)【発明者】
【氏名】バイロン ロヴェル ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディー ボニフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ケニス アーチ
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-022737(JP,A)
【文献】特開2008-108799(JP,A)
【文献】特開2004-158699(JP,A)
【文献】特開2005-109050(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
第1の導電型を有する半導体基板の上に位置する第1の端子と、
前記第1の端子と前記半導体基板の表面と間に位置する第2の端子であって、誘電体層により前記第1の端子から分離される、前記第2の端子と、
第2の反対の導電型を有する埋込層と、
前記半導体基板と前記第2の端子との間の第1のp-n接合であって、前記半導体基板の表面に関して第1の配向を有する、前記第1のp-n接合と、
前記第1のp-n接合と前記第2の端子との間の第2のp-n接合であって、前記半導体基板の表面に関して第2の反対の配向を有する、前記第2のp-n接合と、
前記第2のp-n接合と前記第2の端子との間の第3のp-n接合であって、前記第1の配向を有する、前記第3のp-n接合と、
を含
み、
前記第1及び第2のp-n接合が、前記半導体基板と前記埋込層との間に形成される、集積回路。
【請求項2】
請求項
1に記載の集積回路であって、
前記半導体基板の表面から前記埋込層に延在する第2の導電型の深いウェルを更に含む、集積回路。
【請求項3】
請求項
2に記載の集積回路であって、
前記深いウェルが、第1の導電型を有する前記半導体基板の囲まれた部分と、第2の導電型の表面ウェルとを囲み、
前記第3のp-n接合が、前記囲まれた部分と前記表面ウェルとの間のインターフェースにある、集積回路。
【請求項4】
請求項
3に記載の集積回路であって、
前記第1、第2及び第3のp-n接合が逆バイアスされるように、前記埋込層と前記表面ウェルと前記囲まれた部分と前記半導体基板とがバイアスされるように構成される、集積回路。
【請求項5】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1、第2及び第3のp-n接合が逆バイアスされるように構成される、集積回路。
【請求項6】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1の端子が、第1のデバイスダイ上に位置して第2の離れたデバイスダイの出力端子に接続される、集積回路。
【請求項7】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記誘電体層内の金属導体であって、前記第1、第2及び第3のp-n接合を逆バイアスするバイアス電圧を提供するように構成される、前記金属導体を更に含む、集積回路。
【請求項8】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1の端子が第1のプレートを含み、前記第2の端子が第2のプレートを含む、集積回路。
【請求項9】
請求項1に記載の集積回路であって、
前記第1の端子が第1のコイルを含み、前記第2の端子が第2のコイルを含む、集積回路。
【請求項10】
集積回路であって、
半導体基板の上に位置する金属端子であって、誘電体層により前記半導体基板から分離される、前記金属端子と、
前記半導体基板内の第1の接合ダイオードであって、前記金属端子の方に向けられるアノード・カソード方向を有する、前記第1の接合ダイオードと、
前記半導体基板内の第2の接合ダイオードであって、前記金属端子の方に向けられるアノード・カソード方向を有する、前記第2の接合ダイオードと、
前記第1及び第2の接合ダイオードの間の第3の接合ダイオードであって、第1のアノード領域を前記第1の接合ダイオードと共有し、カソード領域を前記第2の接合ダイオードと供給し、前記第1のアノード領域が第1のn型の埋込層とn型のウェルとの間のp型の領域を含む、前記第3の接合ダイオードと、
前記第1のn型の埋込層と第2のn型の埋込層との間の第2のアノード領域を前記第2の接合ダイオードと共有する第4の接
合ダイオードであって、前記第1のn型の埋込層が前記第2のn型の埋込層と前記n型のウェルとの間に位置する、前記第4の接合ダイオードと、
を含む、集積回路。
【請求項11】
請求項
10に記載の集積回路であって、
前記半導体基板の表面から前記第1のn型の埋込層に延在する深いn型のウェルであって、第1のバイアス端子に接続される、前記深いn型のウェルを更に含む、集積回路。
【請求項12】
請求項
11に記載の集積回路であって、
前記深いn型のウェルが前記第1のアノード領域を横方向に囲む、集積回路。
【請求項13】
請求項
11に記載の集積回路であって、
前記第1のアノード領域内の第1のp型のコンタクトであって、第2のバイアス端子に接続される、前記第1のp型のコンタクトを更に含む、集積回路。
【請求項14】
請求項
13に記載の集積回路であって、
前記半導体基板内の第2のp型のコンタクトと、前記第2のp型のコンタクトに接続される第3のバイアス端子と、前記第1の接合ダイオードのカソードに接続される第4のバイアス端子とを更に含み、
前記第1、第2、第3及び第4のバイアス端子が、前記第1、第2及び第3の接合ダイオードを逆バイアスするように構成される、集積回路。
【請求項15】
請求項
10に記載の集積回路であって、
前記金属端子がボンドパッドと前記第2の接合ダイオードとの間に位置する、集積回路。
【請求項16】
集積回路であって、
半導体基板の上に位置する第1の金属端子であって、誘電体層により前記半導体基板から分離される、前記第1の金属端子と、
前記半導体基板内のp型のタンクであって、n型の第1の埋込層とn型の第1のウェル領域とに垂直方向に境界を接し、n型の第2のウェル領域に横方向に境界を接し、前記第1の金属端子の全ての側において前記第1の金属端子を越えて横方向に延在する、前記p型のタンクと、
前記タンクと前記第1のウェル領域との間に形成される第1の接合ダイオードであって、前記第1の金属端子の方に向けられるアノード・カソード方向を有する、前記第1の接合ダイオードと、
前記半導体基板と前記第1の埋込層との間に形成される第2の接合ダイオードであって、前記第1の金属端子の方に向けられるアノード・カソード方向を有する、前記第2の接合ダイオードと、
前記タンクと前記第1の埋込層との間に形成される第3の接合ダイオードであって、前記第1の接合ダイオードとアノード領域を共有し、前記第2の接合ダイオードとカソード領域を共有する、前記第3の接合ダイオードと、
を含む、集積回路。
【請求項17】
請求項
16に記載の集積回路であって、
前記第1の埋込層の下方に位置して前記第1の埋込層の全ての側において前記第1の埋込層を越えて延在するn型の第2の埋込層を更に含む、集積回路。
【請求項18】
請求項
17に記載の集積回路であって、
前記第2のウェル領域を囲んで前記第2の埋込層に導電的に接続されるn型の第3のウェル領域を更に含む、集積回路。
【請求項19】
請求項
16に記載の集積回路であって、
前記第1の金属端子と前記第1のウェル領域との間に位置する第2の金属端子を更に含む、集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して集積回路に関し、更に特定して言えば、集積回路におけるアイソレーター構造に関連する。
【背景技術】
【0002】
最近の集積回路の実装には、DC及びACのいずれか(又は両方)において、同じ接地電圧に参照されていない集積回路間の信号の通信を必要とするものがある。それらの実装において、入力/出力端子の直接結合が、それぞれの接地レベル間の著しい電圧差となる恐れがある。幾つかの応用例において、この接地電圧差は、集積回路を損傷させ、システム欠陥を引き起こすのに充分な、数百又は数千ボルト程度の高さとなり得る。同様に、集積回路の一つにおける遷移高電圧スパイクが、接続された入力/出力端子を介して他の集積回路に結合し得る。例えば、高電圧モーターにおける典型的な電圧スパイクが、そのモーターにおけるモーターコントローラデバイスからヒューマンインタフェースデバイス(キーパッドなど)における集積回路まで結合し得、このようなスパイクは、損傷を引き起こし得、ヒューマンインタフェースデバイスの場合、人間のユーザーに影響を与え得る。
【0003】
アイソレーター構造は、通常、それらの構造が入力/出力端子に配置される用途のために意図される集積回路内に実装される。こういったアイソレーター構造は、典型的に、キャパシタ又はインダクタの形式である。キャパシタとして構成されるアイソレーターの例では、キャパシタは、端子又はパッドと内部回路との間に直列に挿入される。こういったアイソレーター構造5の目的は、信号情報の減衰が最小の接地レベル(又は遷移スパイク)間の電圧差を吸収することである。
【0004】
図1aは、集積回路に配置される高電圧キャパシタ7の形式の従来のアイソレーター構造の構成を断面で図示する。この配置において、キャパシタ7は、上部プレート8a及び下部プレート8bが別々の金属レベルに形成される、平行プレートキャパシタである。この例では、キャパシタ7は、露出される上部プレート8aとして機能するボンドパッド(保護オーバーコート9及び頂部誘電体層10hを介して露出される)に取り付けられるワイヤボンド5により明らかなように、集積回路の外部端子(入力など)に直接配置される。この従来の例において、集積回路4が、金属導体の7つのレベルを有するように製造され、下部プレート8bが第2の金属レベルに形成され、上部プレート8aが第7の(最頂部)金属レベルに形成される。従って、上部及び下部プレート8a、8b間の介在誘電体は、レベル間誘電性材料(二酸化シリコンなど)の5つの層10c~10gを含む。2つのレベル間誘電体層10a、10bが、下部プレート8bの下にあり、下部プレート8bを基板11及び隔離誘電体構造12から分離する。レベル間誘電体層10の各々は、
図1aの断面において垂直の方向でメタライゼーションの近隣のレベルを隔離するように働く。従って、上部及び下部プレート8a、8b間のレベル間誘電体層10c~10gは、集積回路における任意の箇所に導体を形成する介在金属レベルの各々の形成及びパターニングエッチング間に形成される。レベル間誘電体層10c~10gの比較的大きな累積的厚みの結果、比較的高電圧に耐え、それを吸収することが可能な、キャパシタ7となる。
【0005】
上部及び下部プレート8a、8b間に形成されるキャパシタ7に加えて、寄生キャパシタが、
図1aに示す構造により定義される。具体的には、寄生平行プレートキャパシタ7pが、下部プレート8bと下部プレート8aの下に配置される基板11との間にあり、キャパシタ誘電体が、レベル間誘電体層10a、10b、及びレベル間誘電体層10aの下の隔離酸化物構造12で形成される。隔離酸化物構造12は、典型的に、基板11の表面において形成される近隣のトランジスタを互いから隔離する目的で、基板11内に形成される従来の誘電体構造である。隔離酸化物構造12は、熱酸化(周知のLOCOSプロセスなど)により又はシャロートレンチアイソレーションとして形成され得る。レベル間誘電体層10a、10b及び隔離酸化物構造12の累積的厚みが、レベル間誘電体層10c~10gの累積的厚みより実質的に小さくされ得るため、寄生キャパシタ7pは、高電圧キャパシタ7によって示されるよりも著しく大きな静電容量を示し得る。
【0006】
寄生キャパシタ7pの電気的効果を
図1bに図示する。高電圧キャパシタ7は、集積回路の端子5(即ち、
図1aのワイヤボンド5)を、典型的に集積回路の内部機能的回路要素に結合される、内部ノード13に結合する。しかし、寄生キャパシタ7pはまた、入力5を、集積回路の基板11における基板電圧Vsubなどの固定電圧レベル(例えば、接地レベル)に結合し、これは、内部ノード13に達するものから入力5において受信される信号レベルの減衰を引き起こし得る。高電圧キャパシタ7が、上部及び下部プレート8a、8b間の12.7μmの累積的誘電体(即ち、累積的にレベル間誘電体層10c~10gの)厚みを有し、寄生キャパシタ7pが、下部プレート8b及び基板11間の2.8μmの累積的誘電体(即ち、累積的にレベル間誘電体層10a及び10b及び隔離誘電体構造12の)厚みを有する例において、寄生キャパシタ7pは、高電圧キャパシタ7の静電容量より10倍以上大きい静電容量(400fF対30fFなど)を示し得る。基本的回路分析は、寄生キャパシタ7pが、入力5において受信されるものの大きさの約10パーセントのみである、内部ノード13における信号レベルとなることを示す。
【0007】
別の従来のアイソレーター構造が、
図1aのキャパシタ7と同様であるが、底部プレートの下にあるドープされたウェルを含んで構成される。
図1aの構造を参照して、この構造は、隔離誘電体構造12の代わりに(一層浅い深さにおいてではあるが)このようなドープされたウェルを有し得、そのウェルのドーピングは、基板11のもの(p型基板11内に形成されるnウェルなど)とは反対である。
【0008】
これらの従来の構造のいずれかにおいて、寄生キャパシタ7pの静電容量を低減させるための従来のアプローチは問題となっている。例えば、金属の一層高いレベルに下部プレート8bを形成することは、下部プレート8bと基板11との間の誘電体厚みを増大させ得、その静電容量が低減される。しかし、これはまた、キャパシタ7の誘電体が一層薄くなり得る(即ち、プレート間のレベル間誘電体層10が一層少なくなる)につれて、下部プレート8bと上部プレート8aとの間の誘電体厚みを低減させる効果を有し得る。この低減された誘電体厚みは、キャパシタ7の高電圧隔離能力を低減し得る。別のアプローチは、キャパシタ7に対して同じ誘電体厚みを維持したまま、下部プレート8bと基板11との間の誘電体厚みを増大させるために、金属の一層高いレベルにおいて下部プレート8b及び上部プレート8a両方を形成することであり得る。しかしながら、
図1aから明らかなように、上部プレート8aは、既に集積回路における最高金属レベルに構成され得、従って、このアプローチは、その他の方式のものよりも金属導体レベルの数を増大させることを要し得、これにより、集積回路の製造コストが増大される。
【0009】
上述したように、集積されたインダクタは、隔離変圧器の形式などのアイソレーター構造としても用いられる。従来の誘導性アイソレーター構造は、平行プレート構造の代わりに、2つの金属導体レベルが、所望のインダクタンス及び互いのカップリングを定義するため充分な長さの一対の重なるコイルとしてパターニングされることを除き、
図1aに示すものに類似する。しかし、寄生キャパシタ7pとして示されるものに類似する寄生容量が、下部コイルと下にある基板との間に示され得る。この寄生キャパシタは、上述のように、アイソレーター構造を介して通信される信号の大きさを同様に減衰し得る。
【発明の概要】
【0010】
記載される例において、アイソレーター構造が、基板の半導性表面近くに、表面の上で互いの上にあるパターニングされた金属導体要素のペアで形成され、これらは、誘電性材料により互いから分離され、これらの要素の下部が、誘電性材料により表面から分離される。下部要素は、第2の導電型のドープされた部分により囲まれ、及び第2の導電型の埋め込みドープされた部分の上にある、第1の導電型の基板の一部の上にある。周りのドープされた部分及び埋め込みドープされた部分は、互いに物理的に接し、下部要素の下にある第1の導電型部分を隔離する。
【0011】
更なる例において、ドープされた部分は、ドープされた領域の間でpn接合を逆バイアスするように、バイアス電圧を受け取るように電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】従来のアイソレーターキャパシタ構造の一部の断面図である。
【0013】
【
図1b】
図1aの従来の構造の等価回路の概略の形態の電気図である。
【0014】
【
図2】例示の実施例に従って構成された電子的システムのブロック図の形式の電気図である。
【0015】
【
図3a】例示の実施例に従って構成されたアイソレーター構造の一部の断面図である。
【0016】
【
図3b】キャパシタとしての
図3aのアイソレーター構造の平面図である。
【0017】
【
図3c】
図3a及び
図3bのアイソレーター構造の等価回路の概略の形態の電気図である。
【0018】
【
図3d】誘導性変圧器としての
図3aのアイソレーター構造の斜視図である。
【0019】
【
図4】例示の実施例に従ってアイソレーター構造を製造する方法を説明するフローチャートである。
【0020】
【
図5】別の例示の実施例に従って構成されたアイソレーター構造の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載される一つ又は複数の実施例が、そのような実装が有利な集積回路におけるアイソレーター構造に実装される。また、これらの実施例は、他の用途に有利に適用し得る。
【0022】
例示の実施例は、寄生容量が低減されたアイソレーター構造を提供し、これは高電圧隔離能力を低減しない。また、例示の実施例は、付加的な金属レベルを要することなく容易に実装され得る、このようなアイソレーター構造を提供する。更に、例示の実施例は、既存の製造プロセスフローにおいてこのようなアイソレーター構造を製造する方法を提供する。また、例示の実施例は、別の集積回路に接続される外部端子においてこのようなアイソレーター構造を有する集積回路を含む電子的システムを提供する。
【0023】
幾つかの電子的システムは、同じ接地電圧に参照されていないが、それでも互いに通信する、別個の集積回路を備えて実装される。信号の通信のためなど、入力/出力端子を互いに接続することによる、これらの集積回路の互いに対する相互接続は、それぞれの接地レベル間の電圧差も結合し得る。この接地電圧差は、集積回路を損傷させ、システム欠陥を引き起こすのに充分な程度まで充分に高くし得、遷移高電圧スパイクの場合、人間のユーザーを含み、更にダウンストリームへ結合され得る。従って、アイソレーター構造は、通常、それらの構造が入力/出力端子に配置されるこれらの用途に対して意図される集積回路において実装される。
【0024】
図2は、互いに接続される集積回路14、16を含む電子的システムの一部を図示する。この例では、集積回路14は、集積回路16(これは、レシーバである)への信号のトランスミッタとして機能する。この例では、集積回路14は、パルス幅変調器15a及び線形機能15bなどの機能的回路要素を含み、これらの各々は、それぞれの出力ドライバ17a、17bを介して出力端子18に結合される。集積回路14のこれらの出力端子18は、集積回路16の入力端子に直接的に接続され、そこで、アイソレーター構造20がこれらの実施例に従って配置される。図示しないが、同様のアイソレーター構造が、集積回路14の出力端子18において実装され得る。
図2から明らかなように、アイソレーター構造20は、受信した信号を入力増幅器21a、21bに通信し、これらは、この例ではCPU22に結合される。この例では、集積回路14の出力ドライバ17a、17bは、一つの接地レベルGND14に参照され、一方、集積回路16の入力増幅器21a、21bは、異なる接地レベルGND16に参照される。本明細書において上述したように、これらの接地レベルGND14、GND16は、幾つかの外部基準に対して、互いとは大きく異なる電圧であり得る。従って、この差が、集積回路14、16間を結合し得る。これらの実施例に従って、アイソレーター構造20は、キャパシタ又は誘導変圧器として構成され得、これらは、接地レベルの間の差、及び、集積回路14からの任意の遷移電圧スパイクを吸収するのに充分である一方、通信された信号の減衰を最小化する。
【0025】
図3a及び
図3bは、それぞれ、断面及び平面図で、一実施例に従った集積回路16におけるアイソレーター構造20の構成を図示する。この例は、アイソレーター構造20が、上部プレート28a及び下部プレート28bによって形成される平行プレートキャパシタの形式の例で説明する。代替として、アイソレーター構造20が、
図3aのものと同様の断面を有するが、これ以降に説明するように、平行の要素の形状である点で異なる、誘導変圧器として形成され得る。
図3aに示すように、ワイヤボンド35が上部プレート28aに取り付けられ、従って、上部プレート28aがボンドパッドとして機能し、ボンドパッドは、集積回路16の外部端子に直に接続され、金属導体レベルの最頂部ではないにしても上部に形成される。ワイヤボンド35は、従来の方式で、保護オーバーコート29及びレベル間誘電体層30hにおいてエッチングされる開口を介して延在する。ボールボンドを
図3aに図示するが、上部プレート28aへの外部コンタクトは、スティッチボンディング、ビームリードコンタクト、及びはんだバンプを含むパッケージング技術に応じて、多数の手法の任意の一つに従って成され得る。
【0026】
代替として、アイソレーター構造20は、ボンドワイヤ35を受けるボンドパッドへの中間導体を介して接続される上部及び下部プレート28a、28bのいずれかによるなど、外部端子に間接的に結合され得る。しかし、アイソレーター構造20は、ボンドパッドにおける直接的なその実装により又は外部端子に直接的に接するその他の方式で、集積回路16を最も効率的に隔離する。
【0027】
本実施例に従って、集積回路16が、複数の金属導体レベルを備えて構成され、上述したように、上部プレート28aが、それらのレベルの最頂部又は少なくとも上部の一つにある。逆に、下部プレート28bは、
図3aに示すように、第1又は第2の金属レベルなど、一層低い金属導体レベルにおいて実装される。代替として、下部プレート28bが、トランジスタゲート要素を実現するために用いられるなどの、多結晶シリコンで形成され得る。ポリシリコンレベルは、通常は、全ての金属導体レベルの下に、通常は、基板の半導体表面の上の第1の伝導性層として、形成される。集積回路16内で幾つかの金属導体レベルが用いられる
図3aの例において、幾つかのレベル間誘電体層30b~30gは、下部プレート28bを上部プレート28aから垂直に分離する。これらのレベル間誘電体層30b~30gは、この実施例において、アイソレーター構造20のキャパシタ誘電体を構成する。
【0028】
この実施例において、下部プレート28bはn型ウェル32wの上にあり、レベル間誘電体層30a及び任意の残りのゲート誘電体(図示せず)によりn型ウェル32wから分離される。相補型金属酸化物半導体(CMOS)集積回路では、nウェル領域32wは、事例に応じて、p型基板又はp型エピタキシャル層の表面内に形成される典型的なnドープされた領域である。
図3aに示すように、nウェル領域32cが同様に、
図3bにおいて明らかなように、nウェル32wから分離され及びnウェル32wを囲んで、表面に配置される。この例では、n型ウェル32wはp型タンク領域31tの表面にあり、これは、p型エピタキシャル単結晶シリコンで形成される。p型タンク領域31tは、p型基板31s内に形成されるn型埋め込み層36の上にある。n型埋め込み層36は、p型基板31sをp型タンク領域31tから垂直に分離する。
図3aから明らかなように、n型埋め込み層36は、nウェル32wの横方向寸法を超えて横方向に延在し、n型埋め込み隔離領域34に接する。
【0029】
埋め込み隔離領域34は、nウェル領域32cの下にあり、その長さにわたってnウェル領域32cに接する。上述したように、nウェル領域32cはnウェル32wを囲み、同様に、埋め込み隔離領域34は、nウェル32wを囲み、その長さにわたってn型埋め込み層36の長さにわたり接している。従って、nウェル領域32c、埋め込み隔離領域34、及びn型埋め込み層36の組み合わせは、p型タンク領域31tを囲み、p型タンク領域31tを、シリコン構造(即ち、バルク)内のp型基板31sから電気的に隔離されるp型領域として画定する。
図3bは、nウェル領域32wが下部プレート28bの全ての側に延在し、p型タンク領域31tがnウェル領域32wを囲み、nウェル領域32cがp型タンク領域31tを囲むことを図示する。
図3a及び
図3bに示すように、p型基板31sは、下部プレート28bに対して、nウェル領域32cの外の位置において単結晶シリコンの表面まで延在する。
【0030】
本実施例に従って、nウェル領域32wとp型タンク領域31tとの間の冶金学的接合(即ち、pn接合)は、ダイオードD1として
図3aに示す、ダイオードに電気的に反映される。同様に、p型タンク領域31t及びn型埋め込み層36(並びに、埋め込み隔離領域34及びn型ウェル領域32c)間のpn接合がダイオードD2を確立し、n型埋め込み層26とp型基板31sとの間のpn接合がD3を確立する。これ以降に更に詳細に説明するように、これらのp-n接合(即ち、ダイオード)は、各々、構造に対する著しい接合静電容量を示し、アイソレーター構造20に対して示される有効寄生容量を低減する効果を有する。
【0031】
この実施例において、アイソレーター構造20のドープされた領域の少なくともの幾つかにバイアス電圧を印加するため、具体的には、pn接合を逆バイアスするために、金属導体40が提供される。
図3aにおいて示した例において、金属導体40wが、基板31sの一つ又は複数の表面位置に配置されるp+ドープされた領域38sに接する。p+ドープされた領域38sは、上にある金属導体40sと基板31sとの間のオーミックコンタクトの形成をアシストする、集積回路16において任意の箇所に形成されるPMOSトランジスタにおけるp型ソース/ドレイン領域に類似するドーパント濃度を有するなど、表面内に形成される一層重くドープされた領域である。これらの金属導体40wは、集積回路16の金属導体レベルの一つに走る金属ライン(この場合、最頂部から2つ目のレベル)と、
図3aの図においてページ内に走りページから外に出る金属ラインとの両方、及び、金属導体レベルとp+ドープされた領域38sの表面との間の種々のレベル間誘電体層30を介するビアに形成される導電性プラグを含む。同様に、金属導体40cが、金属導体レベルの一つ及びそのレベルにおける金属ラインまで延在するプラグを含み、周りのnウェル領域32cの一つ又は複数(これらも同様に、nウェル領域32cのドーパント濃度に応じて、p+ドープされた領域38sと同様に、オーミックコンタクトを提供するために表面においてより重くドープされたn型部分を有し得る)に接する。同様に、金属導体40tは、タンク領域31tの一つ又は複数の表面位置においてp+ドープされた領域38tに接し、金属導体40wは、nウェル領域32wの一つ又は複数の表面位置において(所望とされる場合、重くドープされたn型コンタクト領域を介して)接する。
【0032】
図3cは、
図3a及び
図3bのアイソレーター構造20の等価回路を図示する電気的概略である。
図3cに示すように、上部プレート28a及び下部プレート28bはキャパシタ27を形成し、上部プレート28aは、ボンドワイヤ35に(及びそのため集積回路16の外部端子に)接続されるノードとして、また、下部プレート28bは、入力増幅器21a、21b(
図2)の一つに接続されるノードとして示される。寄生キャパシタ27pが、下部プレート28bとnウェル領域32wとの間に形成される。
【0033】
本実施例に従ったアイソレーター構造20の構成は、下部プレート28bの下の構造に、pn接合及び対応する接合静電容量を付加する。
図3cの概略で示すように、nウェル領域32wとタンク領域31tとの間のpn接合は、ダイオードD1及びその接合静電容量CD1を示す。タンク領域31tと、nウェル領域32c、埋め込み隔離領域34、及びn型埋め込み層36の組み合わせとの間のpn接合は、ダイオードD2及びその接合静電容量CD2を示し、また、一方の、nウェル領域32c、埋め込み隔離領域34、及びn型埋め込み層36間のpn接合と、他方のp型基板31sは、ダイオードD3及びその接合静電容量CD3を示す。これらの接合静電容量CD1、CD2、CD3の静電容量値は、接合の面積だけでなく、冶金学的接合に接している領域のドーパント濃度に依存し得る。
【0034】
これらの接合静電容量CD1、CD2、CD3は、アイソレーター構造20のキャパシタ27と基板31sとの間の寄生キャパシタ27pと事実上直列である。この構造に基本的回路分析を適用すると、これらの直列静電容量CD1、CD2、CD3の効果は、下部プレート28bにおける寄生容量を、寄生キャパシタ27pのみにより示され得るものから、一実装において約20%など、低減するためである。
【0035】
図3aに対して本明細書において上述したように、導体40は、バイアス電圧、特に、pn接合の各々にわたって逆バイアス状態を確立するバイアス電圧、のアイソレーター構造20の種々の領域への印加を可能とする。逆バイアス電圧をpn接合に印加することは、接合における空間電荷領域の幅を増大させ、それにより、接合によって示される有効接合静電容量を増大させる。例えば、電圧Vbias+のnウェル領域32w及びn型埋め込み層36への(領域32c、34を介する)印加、及び電圧Vbias-のタンク領域31t及び基板31sへの印加は、接合静電容量CD1、CD2、CD3の静電容量値を増大させ得、ここで、電圧Vbias+は、電圧Vbias-より大きい。
図3cの回路配置において、それらの直列静電容量CD1、CD2、CD3における増大は、下部プレート28bにおける有効寄生容量を更に低減し得る。例えば、約1.8ボルトのバイアス電圧Vbias+(接地におけるバイアス電圧Vbias-に対して)の印加は、全体的な寄生容量を、バイアスされていない状態のものからおよそ25%、又は全体的におよそ40%低減することが観測されている。バイアス電圧Vbias+、Vbias-は、寄生キャパシタ27pにより示される寄生容量の著しい低減を得るために任意選択でアイソレーター構造20に印加される。また、これらのバイアス電圧Vbias+、Vbias-の印加は、有効寄生容量を更に低減する。
【0036】
図3cの電気的概略に示すように、バイアス電圧Vbias+、Vbias-は、抵抗器42を介してそれぞれの導体の各インスタンスに印加される。この実施例において、抵抗器42は、およそ数万オーム(30kQなど)の抵抗を有する、比較的大きな抵抗器である。これらの抵抗器42は、バイアス電圧Vbias+、Vbias-を印加する電圧源が、回路ダイオードD1、D2、D3を有効に短絡させ得る低インピーダンス経路を確立しないことを確実にする。
図3a、
図3bにおいて図示していないが、抵抗器42は、軽くドープされたポリシリコン構造、又はバルク内に形成されるドープされた領域などにより、高値抵抗器に対して従来の方式で構成され得る。
【0037】
上述したように、これらの実施例に従ったアイソレーター構造は、
図3a及び
図3bに示すようなキャパシタではなく、誘導変圧器として実現され得る。一実施例に従って、
図3dにおける斜視図に示すように、アイソレーター構造20’の誘導変圧器の実装が、
図3aに示されるものと同様にレベル間誘電体層30により互いから分離されるが、各々インダクタを形成するためコイルの形状で、異なる金属導体レベルにおける上部及び下部コイル28a’、28b’を含むように構成される。そのコイル形状のため、上部コイル28a’は、通常、それ自体がボンドパッドとして機能するのではなく、ワイヤボンド35を受けるようにボンドパッドに接続され得る。アイソレーター構造20’の下にある構造は、
図3a~
図3cの容量性実装に関して上述したものに対応する。また、同様に、寄生容量27pも、下部コイル28b’とnウェル32との間のこのアイソレーター構造20’において示されるが、直列ダイオードD1~D3及び対応する接合静電容量CD1~CD3を含むためのこのようなアイソレーター構造20’の構成は、その寄生容量の効果を低減し、それにより、受信した信号に対する減衰を低減する。
【0038】
上記説明ではアイソレーター構造20におけるドープされた領域の幾つかをn型、そして他をp型と呼ぶが、この構造は、代替として、反対の導電型のドープされた領域及び基板を用いて構成され得る(即ち、
図3aに示すn型及びp型領域が、代わりに、それぞれp型及びn型である)。その代替の構成において、印加されるバイアス電圧Vbias+、Vbias-の関連する極性は、一層高い電圧がn型領域に印加され、一層低い電圧がp型領域に印加されることを確実にすることによって、逆バイアスされた接合を維持するように、逆にされ得る。
【0039】
キャパシタとしてであれ又は誘導性変圧器としてであれ、アイソレーター構造は、最近の集積回路に対して既に実施されているプロセスフローを用いてこれらの実施例に従って製造され得る。特に、このようなアイソレーター構造は、単にフォトマスクへの変更により、及び製造プロセスに対する大きな変更なしに、埋め込み層を用いる従来のCMOSプロセスフローにおいて実装され得る。従って、本明細書を参照すれば、実現可能な製造プロセスフローが、過度な実験なしに導かれ得る。例えば、本願と同一譲渡人に譲渡されており、2010年2月11日に公開され、参照のため本願に組み込まれる、特許出願公開番号US2010/0032769A1は、上述の実施例に従ったアイソレーター構造を含む集積回路の構成に適した製造プロセスを説明している。
【文献】特許出願公開番号 US2010/0032769A1
【0040】
図4を(
図3aと共に)参照すると、概して上記の組み込まれた特許出願公開に記載されたアプローチに続く、一実施例に従って集積回路におけるアイソレーター構造20を形成するプロセスの一例を説明する。本実施例に従って、製造プロセスは、n型埋め込み層36の位置を画定するために、n型ドーパントのマスクされたイオン注入がp型基板の選択された位置に実施される、プロセス50で始まる。上記組み込まれた特許出願公開番号US2010/0032769に記載されるように、注入プロセス50は、アンチモンなどのn型ドーパントを、基板内で所望の深さにドーパントを置くために充分な所望の量のドーズ量及びエネルギーで注入し得る。この実施例において、エピタキシャルシリコンが表面で成長し得、従って、プロセス50は、基板の表面において従来のイオン注入により実施され得る。プロセス50はまた、注入されたドーパントを基板において少なくとも部分的範囲まで拡散するための高温アニールを含み得る。同様に、注入プロセス52が、基板の表面の、n型埋め込み隔離領域34が注入されるべき位置における、リン及び場合によってはヒ素などを含む、n型ドーパントのマスクされたイオン注入に関与する。この実施例において、
図3bに示すように、プロセス52において注入される位置は、アイソレーター要素として機能するためのキャパシタ又は変圧器の最終的な位置を囲む境界領域を含む。
【0041】
本実施例に従ったプロセス54において、その後、p型基板の表面においてp型シリコンの層を成長させるために、シリコンのエピタキシャル成長が実施される。このエピタキシャル層の厚みは、n型埋め込み層36及びn型埋め込み隔離領域34の上の、
図3aのタンク領域31tを画定するために充分であることが意図されている。上記の組み込まれた特許出願公開番号US2010/0032769に記載されるように、エピタキシープロセス54の温度及び期間は、プロセス52において注入されたドーパントを拡散するため及びプロセス50において注入されたドーパントを更に拡散するために充分であり、
図3aに示すようにn型埋め込み層36及びn型埋め込み隔離領域34の構造を効率的に形成し、p型エピタキシャルシリコンがそれらの領域の上にある。この拡散はまた、n型埋め込み隔離領域34を、n型埋め込み層36内に成長させ、且つ、n型埋め込み層36に接触させるためであり、それにより、p型タンク領域31tを基板31s(これは、元の基板の上にあり、元の基板に接するp型エピタキシャル材料を含む)から隔離する。
【0042】
プロセス56において、nウェル領域32w及び32cが、選択された位置において構造の表面内に注入され、これは、この場合、プロセス54において形成されたp型エピタキシャルシリコンの表面である。特に、プロセス56の注入は、nウェル領域32wを形成するために、タンク領域31t内であり、下部プレート28bの最終的な位置の下にある、或る位置において、並びに、nウェル領域32cを形成するために、n型埋め込み隔離領域34の上にある位置において、n型ドーパント(例えば、リン、ヒ素)を注入する。例えば、このウェル注入のドーズ量及びエネルギーは、集積回路における任意の箇所のpチャネルMOSトランジスタに適切なウェル領域を形成するため従来の方式で選択される。プロセス56はまた、注入されたドーパントを所望の深さ及びプロファイルまで拡散
するための適切な高温アニールを含む。この実施例のアイソレーター構造20のために、プロセス56のドーズ量、エネルギー、及びアニール条件は、
図3aに示すように、nウェル領域32cが、下にあるn型埋め込み隔離領域34に達し、n型埋め込み隔離領域34に接するように選択される。
【0043】
プロセス58において、例えば、半導体表面の熱酸化によって又は所望の誘電体材料の堆積などによって、誘電体層が全体的に形成される。通常、MOSトランジスタを含む集積回路では、プロセス58はゲート誘電体膜を形成する。プロセス58に続き、この実施例では多結晶シリコンが堆積され、その後、トランジスタゲート構造など、集積回路において所望の構造を画定するようにポリシリコンのパターニング及びエッチングが続く。このポリシリコンは、その堆積の間インサイチュドープされ得、又は代替として、堆積及びエッチの後、注入され得る。抵抗器42がアイソレーター構造20に組み込まれる実施例では、プロセス60は、このプロセス58において堆積及び画定されるポリシリコンにおいてこれらの抵抗器42を形成し得、特に、そのポリシリコンは、高抵抗を有するように及びそれにより高抵抗値(30kQなど)を効率的に実装するように、(仮にドープされる場合でも)比較的軽くドープされる。
【0044】
所望とされる場合、下部プレート28bが、金属レベルにおいてではなくこのポリシリコンレベルにおいて形成され得る。これは、
図1aに示すものなど、従来のアイソレーター構造における寄生容量を増大させ得るが、本実施例に従って実装される場合、下にあるpn接合における直列接合静電容量CD1、CD2、CD3は、その寄生容量を低減するように機能する。幾つかの実装において、寄生容量におけるこの低減は、一層高い金属レベルにおいてではなくポリシリコンにおける下部プレート28bの形成を可能にし得、それにより、アイソレーターの高電圧能力を改善し、又は、幾つかの場合において、高電圧公差に影響を与えることなく、要求される金属レベルの数の低減を可能にする。
【0045】
プロセス62において、MOS集積回路におけるポリシリコン要素の画定に続いて、適切なドーパント種のイオン注入によってn型及びp型ソース/ドレイン領域が形成され、その後、高温アニールが続く。この実施例ではp+コンタクト領域38s、38t(
図3a)も、所望とされる場合にnウェル領域32w、32cにおける対応するn+コンタクト領域として、このソース/ドレインアニールプロセス62において形成される。
【0046】
下部プレート28b及び上部プレート28aを形成するために用いられるものを含む導体レベルは、プロセス64、66、68のシーケンスによって形成される。プロセス64において、二酸化シリコン又はシリコン窒化物などのレベル間誘電体層30が、従来のプロセスにより所望の厚みまで堆積される。プロセス66において、コンタクト開口(金属・シリコンコンタクトのため)又はビア(金属・金属コンタクトのため)がパターニング及びエッチングされる。プロセス66において開けられたビアを適宜充填するためのコンタクトプラグの堆積、及び金属層の堆積がその後、プロセス68において実施される。プロセス68はまた、金属のこの特定のレベルに形成されるべき金属導体を画定するように、所望のフォトリソグラフィックパターニング及び金属エッチングを含む。上述のように、この集積回路16の少なくとも一つのバージョンが、複数の金属導体レベルを備えて構成され、従って、プロセス64、66、68は、形成されるべき金属レベルの数に対応して複数回反復される。上述のように、ポリシリコンにおいて予め形成されない場合、下部プレート28aが、プロセス64、66、68のこのシーケンスにおいて形成される下方金属レベルの一つにおいて形成され得、アイソレーターの所望の高電圧能力を得るために、上部プレート28aが、それらの金属レベルの一層高い金属レベルに形成され得る。
【0047】
プロセス68の最後のインスタンスにおける最頂部金属層の形成及びパターニングに続き、プロセス70がその後、全体的に、シリコン窒化物などの保護オーバーコートを堆積するために実施される。プロセス70はまた、
図3aに示すようなボンドワイヤ35によるコンタクトを可能にするため上部プレート28aの上にエッチングされるなどの、この保護オーバーコートを介する開口のパターニングされたエッチングを含む。
図2に示すようにそのシステム実装に所望なように集積回路16を完成、テスト、及びパッケージするために適切なようにこのような他の「バックエンド」処理がその後、実施され得る。
【0048】
上述の実施例は、単一の隔離されたタンク(
図3aにおけるp型タンク領域31t)が形成されるような方式で、アイソレーター構造20を集積回路16に組み込む。しかし、構造において付加的な直列ダイオード及び接合静電容量を示すように、基本的に、互いの中に入れ子にされる複数のタンク領域を形成することにより、直列に複数の隔離されたタンクを有するように構造を形成することによって、寄生キャパシタにおける付加的な低減が得られ得る。
図5は、このようなアイソレーター構造20’の一実施例を図示し、この例において、2つのこのような入れ子にされたタンクが、これ以降に説明するように実装される。
【0049】
本実施例に従って、
図5のアイソレーター構造20’は、
図3a及び
図3bのアイソレーター構造20に関して上述したものと同じ構成要素の多くを含み、それらの共通の要素は、
図5において、
図3a及び
図3bに対して用いられるものと同じ参照符号により示されている。従って、アイソレーター構造20’は、別々の導体レベルに形成される上部プレート28a及び下部プレート28bによって形成される平行プレートキャパシタにより実現され、これらは、キャパシタ誘電体として機能する一つ又は複数のレベル間誘電体層30b~30gにおいて誘電性材料により分離される。ワイヤボンド(図示せず)が、
図5に示す保護オーバーコート29及びレベル間誘電体層30hにおける開口を介してなど、上述の方式で上部プレート28aに直接的又は間接的に取り付けられ得る。上述の実施例にあるように、アイソレーター構造20’の下部プレート28aはn型ウェル32wの上にあり、レベル間誘電体層及び恐らくはゲート誘電体層が、下部プレート28aをウェル32wから分離する。p型タンク領域31tが、n型ウェル領域32wの下にあり、n型ウェル領域32c及びn型埋め込み隔離領域により全ての側で、及びn型埋め込み層36により下方で隔離される。
図3aに関して上述したように及び
図5に示すように、n型埋め込み層36は、nウェル32wの横方向寸法を超えて横方向に延在し、n型埋め込み隔離領域34に接する。
【0050】
本実施例に従って、第2の隔離されたp型タンク領域31t’が、nウェル領域32c、埋め込み隔離領域34、及びn型埋め込み層36を囲む。この第2のp型タンク領域31t’はそれ自体、第2のn型埋め込み層86のn型材料、埋め込み隔離領域84、及びnウェル領域32cの別のインスタンスにより囲まれる。埋め込み隔離領域84は、対応して一層深いn型埋め込み層86に接するように、及び第2のp型タンク領域31t’をp型基板31sから完全に隔離するように、埋め込み隔離領域34よりも深く構造内に延在する。p型基板31sが、一層深いn型埋め込み層86の下にあり、n型埋め込み隔離領域84及びnウェル領域32cの第2のインスタンスの外の表面まで延在する。
【0051】
アイソレーター構造20’を上から見た(即ち、
図3bの平面図と同様に)場合、第2のp型タンク領域31t’は、内側のnウェル領域32wを囲み得、それ自体は、第2の外側のnウェル領域32cにより表面において囲まれ得る。
【0052】
本実施例に従って、一つの付加的なp-n接合(
図5のダイオードD4)が、第2のタンク領域31t’と第2のn型埋め込み層86との間にあり、別のp-n接合(ダイオードD5)が、第2のn型埋め込み層86と下にある基板31sとの間にある。これらのダイオードD4、D5は、nウェル32w、第1のp型タンク領域31t、及び第1のn型埋め込み層36の構造により画定されるダイオードD1~D3(この場合、n型埋め込み層36と第2のp型タンク領域31t’との間のpn接合におけるダイオードD3)と直列である。上述のように、ダイオードD4及びD5を確立するこれらの付加的なp-n接合は、各々、構造に対する著しい接合静電容量を示す。これらの静電容量は、ダイオードD1~D3に関連付けられる接合静電容量と直列であり得、下部プレート28bとnウェル32wとの間の寄生キャパシタと直列である。従って、付加的な隔離されたpタンク領域31t’によって提供されるこれらの付加的なp-n接合は、アイソレーター構造20’の有効寄生容量を更に低減し得る。
【0053】
所望とされる場合、金属導体40はまた、同様に、構造のpn接合の各々における逆バイアス条件を確立するため、アイソレーター構造20’の種々のドープされた領域との接触を成し得る。上述のように、ダイオードD1~D5を確立する逆バイアス電圧に印加されるpn接合が、それらの位置における接合静電容量を増大させ得、アイソレーター構造20’の寄生容量を更に低減する。
図3a~
図3dに対して上述したものと同じ方式で、この逆バイアス状態は、
図5に示すように、第2のタンク32t’内のドープされた領域38t’における導体40t’、nウェル領域32cにおける(及び、所望とされる場合、それらのウェル内のより重くドープされたn型領域における)付加的な導体40c、及び、基板31sの表面部分内のp型ドープされた領域38sにおける導体40sを介して、n型埋め込み層86により確立された接合に適用され得る。導体40c及び40wは、導体40t、40t’、40sに印加される電圧(例えば、接地レベルでのバイアス電圧Vbias-)に対して正の電圧(例えば、+1.8ボルトのバイアス電圧Vbias)を受け取り得る。また上述のように、バイアス電圧が印加されるにつれて接合の短絡を防ぐために、抵抗器(図示せず)が、これらの導体40及びそれらのそれぞれの電圧源と直列に提供されることが好ましい。これらの逆バイアス電圧は、任意選択であり、寄生容量の著しい低減を得るために重要ではないが、このバイアスは、ダイオードD1~D5の接合静電容量を増大させることにより有効寄生容量を更に低減する。
【0054】
付加的なn型埋め込み層86及び埋め込み隔離領域84が、
図4に対して本明細書において上記されたものなど、従来のプロセスにより構造内に形成され得る。例えば、これらの領域の製造に対する一つのアプローチは、
図4に示すようにプロセス54からプロセス50まで破線で示されるような、注入プロセス50、52、及びそれらのプロセスの第1のインスタンスの後のエピタキシープロセス54の反復に関与し得る。埋め込み隔離領域注入プロセス52の2つのインスタンスは、この例では、埋め込み隔離構造84の拡張された深さを形成するように同じ位置において実施され得る。これらの入れ子にされた隔離されたタンクを形成するための他のプロセスが可能である。
【0055】
これらの実施例に従って、アイソレーター構造は、低減された有効寄生容量を有するが、高電圧隔離性能を低減させることはない。この構造は、容量性アイソレーターとして又は変圧器などの誘導性アイソレーターとしてのいずれかに用いるのに適し、その他の方式で用いられ得るか又はアイソレーター構造が形成される集積回路のために利用可能であり得る製造プロセスなどを用いて効率的に製造され得る。これらの実施例の幾つかに従って、アイソレーター構造は、これらのアイソレーター構成の結果としての許容し得る寄生容量を備え、ポリシリコンレベルを含み、一層下方の部導体層における下部プレート又はコイル要素の製造を可能にし得、これは、改善された高電圧隔離性能を可能にし得る。
【0056】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。