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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】V2X HARQプロセス管理
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20230712BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20230712BHJP
   H04W 72/25 20230101ALI20230712BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W92/18
H04W72/25
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021547681
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020053892
(87)【国際公開番号】W WO2020165410
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】19157565.3
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ロビン
(72)【発明者】
【氏名】フェレンバッハ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴックティーペ・バリス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ・コーネリアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルト・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シエル・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゼルバネザン・ザルン
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒム レツァガ・ロヤ
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-318646(JP,A)
【文献】CMCC,Discussion on HARQ feedback[online],3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1901 R1-1900405,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1901/Docs/R1-1900405.zip>,2019年01月12日
【文献】CATT,Discussion on physical layer structure in NR V2X[online],3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1901 R1-1900320,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1901/Docs/R1-1900320.zip>,2019年01月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
前記UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の送信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートし、
・各HARQプロセスのための1つ以上の送信をバッファリングする
ように構成されており、
前記サイドリンクを使用する送信UEとのユニキャスト通信中に、前記UEは、
・送信時間間隔中に前記送信UEから送信を受信し、前記送信はHARQプロセスIDを含む制御データに関連付けられ、
・前記HARQプロセスのために受信した前記送信をバッファリングし、
・復号前にバッファリングされた前記送信を合成する
ように構成されており、
前記UEは、
・前記サイドリンクを介した送信の成功を示す第1の状態と、
・前記送信UEからの再送信を要求するために、前記サイドリンクを介した送信が成功しなかったことを示す第2の状態と、
をシグナリングするように構成されており、
正常に識別された送信とは、前記UEが、前記制御データを復号したが、ペイロードデータが復号可能ではないことを発見した送信であり、
前記正常に識別された送信がバッファリングされていない場合、前記UEは、前記正常に識別された送信が前記UEによってバッファリングされていないことを示す第3の状態をシグナリングすることによって、前記正常に識別された送信が前記UEにおいてバッファリングされていないことを前記送信UEに示すように構成されている、ユーザデバイス。
【請求項2】
前記UEは、
・第1の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する前記第1の状態と、
・第2の巡回シフト又は位相回転を伴う前記基本シーケンスを使用する前記第2の状態と、
・第3の巡回シフト又は位相回転を伴う前記基本シーケンスを使用する前記第3の状態と
をシグナリングするように構成されており、
前記第1の巡回シフト又は位相回転、前記第2の巡回シフト又は位相回転、及び前記第3の巡回シフト又は位相回転は異なる、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項3】
前記第1の巡回シフト又は位相回転は0であり、前記第2の巡回シフト又は位相回転は2π/3であり、前記第3の巡回シフト又は位相回転は4π/3である、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項4】
前記UEは、
・第1の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する前記第1の状態と、
・第2の巡回シフト又は位相回転を伴う前記基本シーケンスを使用する前記第2の状態と、
・前記基本シーケンスを送信しないことによる前記第3の状態と
をシグナリングするように構成されており、
前記第1の巡回シフト又は位相回転と、前記第2の巡回シフト又は位相回転とは異なる、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項5】
前記第1の巡回シフト又は位相回転は0であり、前記第2の巡回シフト又は位相回転はπである、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項6】
前記UEは、複数のビットを含むメッセージをシグナリングするように構成され、
・前記第1の状態は、前記複数のビットの第1の組み合わせによって示され、
・前記第2の状態は、前記複数のビットの第2の組み合わせによって示され、
・前記第3の状態は、前記複数のビットの第3の組み合わせによって示され、
前記第1の組み合わせ、前記第2の組み合わせ、及び前記第3の組み合わせは異なる、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項7】
前記第1の組み合わせは00であり、前記第2の組み合わせは10であり、前記第3の組み合わせは11である、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項8】
複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
前記UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の受信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートする
ように構成されており、
前記サイドリンクを使用する受信UEとのユニキャスト通信中に、前記UEは、
・送信時間間隔の間に、HARQプロセスIDを含む制御デーに関連付けられた前記送信を前記受信UEに送信し、
・前記受信UEからフィードバックを受信する
ように構成されており、
正常に識別された送信とは、前記受信UEが、前記制御データを復号したが、ペイロードデータが復号可能ではないことを発見した送信であり、
前記フィードバックは
・前記サイドリンクを介した送信の成功を示す第1の状態と、
・前記サイドリンクを介した送信が成功しなかったことを示す第2の状態であって、前記UEは、前記第2の状態に応答して再送信を実行するように構成されている、第2の状態と、
記正常に識別された送信が前記受信UEにおいてバッファリングされていないことを示す第3の状態と、のうちの1つを含み、
前記第3の状態に応答して、前記UEは、
・前記送信を中止するか又は所定の時間にわたって前記送信を停止し、
・既に占有されているHARQプロセスを上書きし、
・同じ送信を再送信し、
・前記受信UEに、増分冗長からチェイスコンバイニングへの切り替えを行わせる
アクションのうちの1つ以上をもたらすように構成されている、ユーザデバイス。
【請求項9】
前記UEは、
・バッファリングされていない前記送信のQoSと、
・既に前記HARQプロセスにある前記送信のQoSと、
・再送信の数
のうちの1つ以上に依存する前記アクションを決定するように構成されている、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項10】
バッファリングされていない前記送信が前記アクティブなHARQプロセスに既にある前記送信と比較して低いQoSを有する場合、前記UEは、バッファリングされていない前記送信を中止するか又はしばらくの間バッファリングされていない前記送信を停止するように構成されており、
バッファリングされていない前記送信が前記アクティブなHARQプロセスに既にある前記送信と比較してより高いQoSを有する場合、前記UEは、前記アクティブなHARQプロセスに既にある前記送信の一つによって既に占有されている特定のHARQプロセスIDを有するバッファリングされていない前記送信を送信し、前記受信UEに、特定のHARQプロセスIDに関連付けられた前記バッファをフラッシュさせ、バッファリングされていない前記送信を保存させるように構成されており、
増分冗長HARQが使用され、バッファリングされていない前記送信が初期送信ではない場合、前記UEは、チェイスコンバイニングに変更し、バッファリングされていない前記送信を再送信するように構成されている、請求項に記載のユーザデバイス。
【請求項11】
前記UEは、
移動端末、又は
固定端末、又は
セルラIoT-UE、又は
車両UE、又は
車両グループリーダ(GL)UE
IoT若しくは狭帯域IoT、NB-IoT、デバイス、又は
地上ベースの車両、又は
航空機、又は
ドローン、又は
移動基地局、又は
路側ユニット、又は
建物、又は
前記無線通信ネットワークを使用してアイテム/デバイスが通信することを可能にするネットワーク接続性を備えた任意の他のアイテム又はデバイス、
のうちの1つ以上を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のユーザデバイス。
【請求項12】
無線通信システムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の複数のユーザデバイスUEを備え、前記無線通信システムのサイドリンクリソースのセットからのリソースを使用してサイドリンク通信のために構成された、無線通信システム。
【請求項13】
1つ以上の基地局を備え、前記基地局は、
マクロセル基地局、又は
スモールセル基地局、又は
基地局の中央ユニット、又は
基地局の分散ユニット、又は
路側ユニット、又は
UE、又は
グループリーダ(GL)
リレー又は
遠隔無線ヘッド、又は
AMF、又は
SMF、又は
コアネットワークエンティティ、又は
移動エッジコンピューティングエンティティ、又は
NR若しくは5Gコアコンテキストにおけるようなネットワークスライス、又は
アイテム若しくはデバイスが前記無線通信ネットワークを使用して通信することを可能にする任意の送受信ポイントTRPであって、前記アイテム又はデバイスが前記無線通信ネットワークを使用して通信するためのネットワーク接続性を備えている、任意の送受信ポイント
のうちの1つ以上を備える、請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項14】
無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、前記無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、前記サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、前記方法は、
送信時間間隔中に前記送信UEから送信を受信することであって、前記送信はHARQプロセスIDを含む制御データに関連付けられる、ことと、
前記受信UEによって前記HARQプロセスのために受信した前記送信をバッファリングすることと、
前記受信UEによって復号前にバッファリングされた前記送信を合成することと
を含み、
前記方法は、前記受信UEによって、
・前記サイドリンクを介した送信の成功を示す第1の状態と、
・前記送信UEからの再送信を要求するために、前記サイドリンクを介した送信が成功しなかったことを示す第2の状態と、
をシグナリングすることを含み、
正常に識別された送信とは、前記UEが、前記制御データを復号したが、ペイロードデータが復号可能ではないことを発見した送信であり、
前記正常に識別された送信がバッファリングされていない場合、前記受信UEは、前記正常に識別された送信が前記UEによってバッファリングされていないことを示す第3の状態をシグナリングすることによって、前記送信が前記受信UEにおいてバッファリングされていないことを前記送信UEに示す、方法。
【請求項15】
無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、前記無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、前記サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、前記方法は、
送信時間間隔中に前記受信UEに送信を送信することであって、前記送信はHARQプロセスIDを含む制御データに関連付けられる、ことと、
前記受信UEからのフィードバックを前記送信UEにおいて受信することと
を含み、
正常に識別された送信とは、前記受信UEが、前記制御データを復号したが、ペイロードデータが復号可能ではないことを発見した送信であり、
前記フィードバックは
・前記サイドリンクを介した送信の成功を示す第1の状態と、
・前記サイドリンクを介した送信が成功しなかったことを示す第2の状態であって、前記方法は、送信UEによって、前記第2の状態に応答して再送信を実行することを含む、第2の状態と、
記正常に識別された送信が、前記受信UEにおいてバッファリングされていないことを示す第3の状態と、のうちの1つを含み、
前記方法は、前記第3の状態に応答して、
・前記送信を中止するか又は所定の時間にわたって前記送信を停止し、
・既に占有されているHARQプロセスを上書きし、
・同じ送信を再送信し、
・前記受信UEに、増分冗長からチェイスコンバイニングへの切り替えを行わせる
アクションのうちの1つ以上を、前記送信UEによって、実行することを含む、方法。
【請求項16】
非一時的コンピュータプログラム製品であって、命令を記憶するコンピュータ可読媒体を含み、前記命令は、コンピュータ上で実行されると、請求項14又は15に記載の方法を実行する、非一時的コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線通信システム又はネットワークの分野に関し、より具体的には、V2X通信のようなサイドリンク通信を使用する無線通信システムのユーザデバイス間の無線通信のための手法に関する。
【発明の概要】
【0002】
実施形態は、サイドリンクを介した通信に関連するHARQ手順の改善に関する。
図1は、図1(a)に示すように、コアネットワーク102と、1つ以上の無線アクセスネットワークRAN、RAN、...RANとを含む地上無線ネットワーク100の一例の概略図である。図1(b)は、1つ以上の基地局gNB~gNBを含むことができる無線アクセスネットワークRANの一例の概略図であり、各基地局は、それぞれのセル106~106によって概略的に表される基地局を取り囲む特定のエリアにサービスを提供する。基地局は、セル内のユーザにサービスを提供するために提供される。基地局BSという用語は、5GネットワークにおけるgNB、UMTS/LTE/LTE-A/LTE-A ProにおけるeNB、又は他の移動通信規格における単なるBSを指す。ユーザは、固定デバイス又は移動デバイスであってもよい。無線通信システムはまた、基地局又はユーザに接続する移動又は固定IoTデバイスによってアクセスされてもよい。移動デバイス又はIoTデバイスは、物理デバイスと、ロボット又は車などの地上ベースの車両と、有人又は無人航空機(UAV)であって後者はドローンとも呼ばれる航空機と、建物と、電子機器、ソフトウェア、センサ、アクチュエータなど、及びこれらのデバイスが既存のネットワークインフラストラクチャ全体でデータを収集及び交換できるようにするネットワーク接続が埋め込まれた他のアイテム又はデバイスとを含むことができる。図1(b)は、5つのセルの例示的な図を示すが、RANは、より多くの、又はより少ないそのようなセルを含んでもよく、RANはまた、1つの基地局のみを含んでもよい。図1(b)は、セル106内にあり、基地局gNBによってサービスを提供される、ユーザ機器UEとも呼ばれる2人のユーザUE及びUEを示す。別のユーザUEは、基地局gNBによってサービスされるセル106に示されている。矢印108、108、及び108は、ユーザUE、UE、及びUEから基地局gNB、gNBにデータを送信するための、又は基地局gNB、gNBからユーザUE、UE、UEにデータを送信するためのアップリンク/ダウンリンク接続を概略的に表す。更に、図1(b)は、セル106内の2つのIoTデバイス110及び110を示しており、これらは固定デバイス又は移動デバイスであってもよい。IoTデバイス110は、矢印112によって概略的に表されるように、基地局gNBを介して無線通信システムにアクセスしてデータを送受信する。IoTデバイス110は、矢印112によって概略的に表されるように、ユーザUEを介して無線通信システムにアクセスする。それぞれの基地局gNB~gNBは、それぞれのバックホールリンク114~114を介して、例えばS1インタフェースを介して、コアネットワーク102に接続されることがあり、これらは図1(b)では「コア」を指す矢印によって概略的に表されている。コアネットワーク102は、1つ以上の外部ネットワークに接続されてもよい。更に、それぞれの基地局gNB~gNBの一部又は全部は、例えばNR内のS1若しくはX2インタフェース又はXNインタフェースを介して、それぞれのバックホールリンク116~116を介して互いに接続されてもよく、バックホールリンクは図1(b)では「gNB」を指す矢印によって概略的に表されている。
【0003】
データ送信には、物理リソースグリッドを使用することができる。物理リソースグリッドは、様々な物理チャネル及び物理信号がマッピングされるリソース要素のセットを含むことができる。例えば、物理チャネルは、ダウンリンク、アップリンク、及びサイドリンクペイロードデータとも呼ばれるユーザ固有のデータを搬送する物理ダウンリンク、アップリンク、及びサイドリンク共有チャネル(PDSCH、PUSCH、PSSCH)、例えばマスタ情報ブロック(MIB)及びシステム情報ブロック(SIB)を搬送する物理ブロードキャストチャネル(PBCH)、例えばダウンリンク制御情報(DCI)、アップリンク制御情報(UCI)、及びサイドリンク制御情報(SCI)を搬送する物理ダウンリンク、アップリンク、及びサイドリンク制御チャネル(PDCCH、PUCCH、PSSCH)を含み得る。アップリンクの場合、物理チャネルは、UEがMIBとSIBを同期して取得すると、ネットワークにアクセスするためにUEによって使用される物理ランダムアクセスチャネル(PRACH又はRACH)を更に含むことができる。物理信号は、基準信号又はシンボル(RS)、同期信号などを含むことができる。リソースグリッドは、時間領域において特定の持続時間を有し、周波数領域において所与の帯域幅を有するフレーム又は無線フレームを備えることができる。フレームは、所定の長さ、例えば1 msの特定の数のサブフレームを有し得る。各サブフレームは、サイクリックプレフィクス(CP)の長さに応じて、12又は14のOFDMシンボルのうちの1つ以上のスロットを含み得る。短縮された送信時間間隔(sTTI)を利用する場合、又は少数のOFDMシンボルのみを備えるミニスロット/非スロットベースのフレーム構造を利用する場合、フレームは、少数のOFDMシンボルで構成されていることもある。
【0004】
無線通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、又はCPの有無にかかわらず、任意の他のIFFTベースの信号、例えばDFT-s-OFDMなどの、周波数分割多重化を使用する任意のシングルトーン又はマルチキャリアシステムであってもよい。多元接続用の非直交波形のような、例えばフィルタバンクマルチキャリア(FBMC)、汎用周波数分割多重化(GFDM)又はユニバーサルフィルタマルチキャリア(UFMC)などの、他の波形が使用されてもよい。無線通信システムは、例えば、LTE-Advanced pro規格又は5G若しくはNRのNew Radio規格に従って動作することができる。
【0005】
図1に示す無線ネットワーク又は通信システムは、別個の重なり合ったネットワーク、例えば、基地局gNB~gNBなどのマクロ基地局を含む各マクロセルを有するマクロセルのネットワークと、フェムト又はピコ基地局などのスモールセル基地局(図1に示されず)のネットワークとを有する異種ネットワークによってもよい。
【0006】
上述の地上無線ネットワークに加えて、衛星のような宇宙用送受信機、及び/又は無人航空機システムのような空中送受信機を含む非地上無線通信ネットワークも存在する。非地上波無線通信ネットワーク又はシステムは、例えばLTE-Advanced Pro規格又は5G若しくはNRの新無線規格に従って、図1を参照して上述した地上波システムと同様に動作することができる。
【0007】
移動通信ネットワーク、例えばLTE又は5G/NRネットワークのような、図1を参照して上述したようなネットワークでは、例えばPC5インタフェースを使用して、1つ以上のサイドリンク(SL)チャネルを介して互いに直接通信するUEが存在し得る。サイドリンクを介して互いに直接通信する(V2V通信)UEは、他の車両と直接通信する車両、無線通信ネットワーク(V2X通信)の他のエンティティと通信する車両、例えば、信号機、交通標識、又は歩行者などの路側エンティティを含み得る。他のUEは、車両関連UEでなくてもよく、上述のデバイスのいずれかを備えてもよい。そのようなデバイスはまた、SLチャネルを使用して互いに直接通信することができる(D2D通信)。
【0008】
サイドリンクを介して互いに直接通信する2つのUEを考慮すると、両方のUEは同じ基地局によってサービスを提供されてもよく、その結果、基地局はUEにサイドリンクリソース割り当て構成又は支援を提供することができる。例えば、両方のUEは、図1に示す基地局のうちの1つのように、基地局のカバレッジエリア内にあってもよい。これは、「カバレッジ内」シナリオと呼ばれる。別のシナリオは、「カバレッジ外」シナリオと呼ばれる。「カバレッジ外」とは、2つのUEが図1に示されたセルのうちの1つの中にないことを意味するのではなく、むしろ、これらのUEが、
【0009】
-UEが基地局からいかなるサイドリンクリソース割り当て構成又は支援も受信しないように、基地局に接続されていなくてもよく、例えば、RRC接続状態になく、及び/又は
-基地局に接続されていてもよいが、1つ以上の理由で、基地局はUEにサイドリンクリソース割り当て構成又は支援を提供しなくてもよい、及び/又は
-NR V2Xサービスをサポートしないことがある基地局、例えばGSM、UMTS、LTE基地局に接続されてもよい
ことを意味する。
【0010】
例えばPC5インタフェースを使用して、サイドリンクを介して互いに直接通信する2つのUEを考慮すると、UEの一方はBSと接続されてもよく、サイドリンクインタフェースを介してBSから他方のUEに情報を中継してもよい。中継は、同一の周波数帯で行われてもよいし(帯域内中継)、他の周波数帯が使用されてもよい(帯域外中継)。第1のケースでは、Uu上及びサイドリンク上の通信は、時分割複信TDDシステムのように、異なるタイムスロットを使用して分離され得る。
【0011】
図2は、互いに直接通信する2つのUEが両方とも基地局に接続されるカバレッジ内シナリオの概略図である。基地局gNBは、円200によって概略的に表されるカバレッジエリアを有し、これは基本的に、図1に概略的に表されたセルに対応する。互いに直接通信するUEは、基地局gNBのカバレッジエリア200内に第1の車両202及び第2の車両204の両方を含む。両方の車両202、204は、基地局gNBに接続され、更に、PC5インタフェースを介して互いに直接接続される。V2Vトラフィックのスケジューリング及び/又は干渉管理は、基地局とUEとの間の無線インタフェースであるUuインタフェース上の制御シグナリングを介してgNBによって支援される。言い換えれば、gNBは、UEにSLリソース割り当て構成又は支援を提供し、gNBは、サイドリンクを介したV2V通信に使用されるリソースを割り当てる。この構成は、NR V2Xにおけるモード1構成又はLTE V2Xにおけるモード3構成とも呼ばれる。
【0012】
図3は、互いに直接通信しているUEが、物理的に無線通信ネットワークのセル内にあるが、基地局に接続されていないか、又は相互に直接通信しているUEの一部又は全部が基地局に接続されているが、基地局はSLリソース割り当て構成又は支援を提供していない、カバレッジ外シナリオの概略図である。例えばPC5インタフェースを使用して、サイドリンクを介して互いに直接通信する3台の車両206、208及び210が示されている。V2Vトラフィックのスケジューリング及び/又は干渉管理は、車両間で実施されるアルゴリズムに基づく。この構成は、NR V2Xにおけるモード2構成、又はLTE V2Xにおけるモード4構成とも呼ばれる。上述したように、カバレッジ外シナリオである図3のシナリオは、それぞれのモード2 UE(NR内)又はモード4 UE(LTE内)が基地局のカバレッジ200の外側にあることを必ずしも意味せず、むしろ、それぞれのモード2 UE(NR内)又はモード4 UE(LTE内)が基地局によってサービスを提供されず、カバレッジエリアの基地局に接続されず、又は基地局に接続されているが、SLリソース割り当て構成又は支援を基地局から受信しないことを意味する。したがって、図2に示すカバレッジエリア200内で、NRモード1又はLTEモード3のUE 202、204に加えて、NRモード2又はLTEモード4のUE 206、208、210も存在する状況があり得る。
【0013】
車両ユーザデバイス、UEの上記のシナリオでは、複数のそのようなユーザデバイスは、単にグループとも呼ばれるユーザデバイスグループを形成することができ、グループ内又はグループメンバー間の通信は、PC5インタフェースなど、ユーザデバイス間のサイドリンクインタフェースを介して実行することができる。例えば、車両ユーザデバイスを使用する上述のシナリオは、車両ユーザデバイスを装備している複数の車両が、例えば遠隔運転アプリケーションによって一緒にグループ化され得る輸送産業の分野で採用され得る。複数のユーザデバイスを互いにサイドリンク通信のためにグループ化することができる他のユースケースとしては、例えば、工場自動化及び配電が挙げられる。工場自動化の場合、工場内の複数の移動式又は固定式機械は、ユーザデバイスを備え、例えばロボットの動き制御のように機械の動作を制御するために、サイドリンク通信のために一緒にグループ化されてもよい。配電の場合、配電グリッド内のエンティティは、システムを監視し、配電グリッドの障害及び停止に対処することを可能にするために、サイドリンク通信を介して互いに通信するように、システムの特定の領域内でグループ化され得るそれぞれのユーザデバイスを備えることができる。
【0014】
当然ながら、上記のユースケースでは、サイドリンク通信はグループ内の通信に限定されない。むしろ、サイドリンク通信は、UEの任意のペアのように、UEのいずれかの間であってもよい。
【0015】
上記のセクションの情報は、本発明の背景の理解を高めるためのものにすぎず、したがって、当業者に既に知られている先行技術を形成しない情報を含むことがあることに留意されたい。
上記のような従来技術から、サイドリンクにおけるフィードバックの取り扱いを改善する必要があり得る。
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】無線通信システムの一例の概略図である。
図2】互いに直接通信するUEが基地局に接続されるカバレッジ内シナリオの概略図である。
図3】互いに直接通信するUEが基地局からSLリソース割り当て構成又は支援を受信しない、カバレッジ外シナリオの概略図である。
図4】基地局のような送信機と、ユーザデバイス、UEのような1つ以上の受信機とを含む無線通信システムの概略図である。
図5(a)】1つ以上の送信機UEからのそれぞれのユニキャスト送信に関連するHARQプロセスをバッファリングするための受信機UEを概略的に示す図である。
図5(b)】送信機UEから受信機UEへの正常に識別された復号可能な送信を示す図である。
図5(c)】受信機UEにおいてバッファリングされている送信機UEからの識別に成功したが復号可能ではない送信を示す図である。
図5(d)】受信機UEにおいてバッファリングされていない送信機UEからの識別に成功したが復号可能ではない送信を示す図である。
図6】送信機UEによるHARQプロセスセットアップの一実施形態を示す図である。
図7】デフォルト数に対して送信機UEによって、利用可能なHARQプロセス数の数を変更するための一例を示す図である。
図8】利用可能なHARQプロセスの数に関する受信機UEから送信機UE 406への再構成シグナリングを示す図である。
図9】送信機UEにHARQプロセスの数を報告するための更なる実施形態を示す図である。
図10】本発明の手法に従って説明されるユニット又はモジュールならびに方法のステップが実行され得るコンピュータシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明の実施形態を、同じ又は類似の要素に同じ参照符号が割り当てられている添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0018】
図1図2、又は図3を参照して上述したような無線通信システム又はネットワークでは、それぞれのユーザデバイス間のサイドリンク通信、例えば、車車間通信、V2V、車車間・路車間通信、V2X、又は任意の他のユーザデバイス間、例えば、上述したデバイス間の任意のD2D通信を実施することができる。LTE V2V、V2X、又はD2D通信では、サイドリンクを介した送信側又は送信機UEから受信側又は受信機UEへの送信のためのフィードバック機構は実装されていないが、NR V2Xでは、特に送信機UEがユニキャストサイドリンクを介して専用受信機UEに送信するユニキャスト通信の場合に、サイドリンクを介した通信の信頼性を高めるために、ハイブリッド自動再送要求HARQのようなフィードバック手順が導入される。HARQ動作又は手順を支援するために、再送信の場合に、受信機UEで受信された送信を以前に受信した送信にリンクして、復号前に全ての送信をソフト合成することを可能にする、いわゆるHARQプロセスIDを使用することができる。
【0019】
HARQプロセスIDを使用する、送信機UEから受信機UEへのサイドリンクを介したユニキャスト通信の信頼性を高めるためのHARQ手順を実施するとき、送信機UEは、HARQプロセスIDを送信に割り当てることができる。送信は、ペイロードデータとも呼ばれる送信される実際のデータと、送信に関連付けられたHARQプロセスIDを含むSCIのような制御データとを含むことができる。例えば、サイドリンク制御情報SCIのような制御データ又はメッセージが、HARQプロセスIDを示すために2ビットを可能にすると仮定すると、送信機UEは、TTI又はsTTIのような送信時間間隔の間に最大4つの送信を並列に送信することができ、各送信はそれぞれの異なるHARQプロセスIDに関連付けられる。HARQプロセスIDに基づいて、送信機UEからの送信をバッファリングするためのソフトバッファのようなバッファ空間を提供する受信機UEは、受信した送信をどのバッファに入れるかを知っている。更に、HARQプロセスIDの他に、新しいデータインジケータNDIのようなインジケータも制御データに含まれてもよく、これは前の送信と同じである場合、現在の送信が前の送信にリンクされていることを示す。新しいデータインジケータがトグルされたとき、すなわち、先行する送信と比較したときにインジケータ値が変更されたとき、これは、現在の送信と先行する送信とがリンクされていないことを意味し、これにより、現在の送信が格納又はバッファリングされる前に、受信機UEは、HARQプロセスIDに関連付けられたそのバッファをフラッシュする。送信がリンクされている場合、受信機UEによってバッファリングされた現在及び以前の送信は、その復号可能性を高めるためにソフト合成され得る。HARQプロセスの数は、例えば、デコーダアーキテクチャ、ソフトバッファサイズとも呼ばれるバッファのための利用可能な記憶装置又はメモリの量によってハードウェア制限され得る。
【0020】
HARQプロセスIDの概念は、uUインタフェース上のHARQ手順、すなわち、ユーザデバイスと無線通信ネットワーク内のgNB又は基地局との間のダウンリンク/アップリンク通信のためのHARQ手順に使用される。そのようなシナリオでは、基地局は、基地局とそれぞれのUEとの間のアップリンク/ダウンリンク送信に関する知識を有し、アップリンク/ダウンリンク通信を介して発生する各HARQプロセスの送信をバッファリングするための十分なバッファを提供するようにUEを構成する。言い換えれば、非サイドリンクシナリオでは、基地局は、UEで必要とされるトラフィック及びバッファ空間を認識しているので、任意の送信バッファ空間が利用可能であるように、すなわちバッファオーバフローが発生しないようにHARQ手順を制御することができる。
【0021】
これとは対照的に、サイドリンクシナリオでは、送信機UEは、受信機UEが管理しなければならないHARQプロセスの数と、受信機UEで利用可能なHARQプロセスのうちのいくつが、受信機UEとユニキャスト通信を行う他のUEによって既に占有されているかについての知識を有さない。そのような状況では、受信機UEが、新しい着信送信のための十分な数のHARQプロセスを有さず、その結果、送信が受信機UEでバッファリングされないことが起こり得る。受信機UEは、例えばNACKメッセージを報告することによって、失敗した送信を送信機UEに報告する。
【0022】
しかしながら、NACKメッセージは、送信機UEに、受信機UEは送信に関連する制御データを復号することができたが、実際の送信又はデータは、例えばチャネル条件のために、受信機UEによって復号可能ではなく、したがって、送信又はデータは、後で使用するために受信機UEによってバッファリングされると仮定させる。受信機UEが、HARQプロセスIDを含む制御メッセージを復号することはできるが、実際の送信又はデータを復号することはできない状況は、以下では、正常に識別された送信と呼ばれることもある。
【0023】
従来から実施されているHARQ手順によれば、NACKを受信する送信機UEは、送信の次の冗長バージョンRVのように、再送信を送信する。しかしながら、先行する冗長バージョン又は先行する送信が受信機UEによってバッファリングされておらず、バッファ内に初期冗長バージョンがない場合、後続の冗長バージョン自体の復号性能が低下し、全体的な送信信頼性に影響を及ぼし、ユニキャストサイドリンク通信を使用した送信機UEから受信機UEへの送信に関連する必要なサービス品質、QoSをもはや満たさない可能性がある通信をもたらす。
【0024】
本発明は、サイドリンクにおけるフィードバックの処理の改善を提供することによって、上記の問題に対処し、現在の送信が、受信機UEにおいて正常に識別されているにもかかわらず、バッファリングされなかった、すなわち欠落したことを送信機UEが認識できるようにし、及び/又は受信機UEにおけるソフトバッファオーバフローの可能性を回避又は低減する。
【0025】
本発明の実施形態は、基地局と、移動端末又はIoTデバイスのようなユーザとを含む、図1図2及び図3に示すような無線通信システムで実施することができる。図4は、基地局のような送信機300と、ユーザデバイス、UEのような1つ以上の受信機302~302とを含む無線通信システムの概略図である。送信機300及び受信機302は、無線リンクのように、1つ以上の無線通信リンク又はチャネル304a、304b、304cを介して通信することができる。送信機300は、互いに結合された、1つ以上のアンテナANT又は複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイ、信号プロセッサ300a及び送受信機300bを含み得る。受信機302は、互いに結合された、1つ以上のアンテナANT又は複数のアンテナを有するアンテナアレイと、信号プロセッサ302a、302aと、送受信機302b、302bとを含む。基地局300及びUE 302は、Uuインタフェースを使用する無線リンクのように、それぞれ第1の無線通信リンク304a及び304bを介して通信してもよく、UE 302は、PC5インタフェースを使用する無線リンクのように、第2の無線通信リンク304cを介して互いに通信してもよい。UEが基地局によってサービスを提供されていないとき、基地局に接続されていないとき、例えば、UEがRRC接続状態にないとき、又はより一般的には、SLリソース割り当て構成又は支援が基地局によって提供されないとき、UEはサイドリンクを介して互いに通信することができる。システム、1つ以上のUE 302、及び基地局は、本明細書に記載の本発明の教示に従って動作することができる。
【0026】
ユーザデバイス
第1の態様-受信機UE
本発明は、複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の送信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートし、
・各HARQプロセスのための1つ以上の送信をバッファリングする
ように構成されており、
サイドリンクを使用する送信UEとのユニキャスト通信中に、UEは、
・送信時間間隔中に送信UEから送信を受信し、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられ、
・HARQプロセスのために受信した送信をバッファリングし、
・復号前にバッファリングされた送信を合成する
ように構成されており、
正常に識別された送信がバッファリングされていない場合、UEは、送信がUEにおいてバッファリングされていないことを送信UEに示すように構成されている、ユーザデバイスを提供する(例えば請求項1を参照)。
【0027】
実施形態によれば(例えば請求項2を参照)、UEは、
・送信UEが新しい送信を実行することを可能にするために、サイドリンクを介した送信の成功を示す、例えばACK状態である第1の状態と、
・送信UEからの再送信を要求するために、サイドリンクを介した送信が成功しなかったことを示す、例えばNACK状態である第2の状態と、
・サイドリンクを介した正常に識別された送信が受信UEによってバッファリングされていないことを示す、例えば、LOST状態である第3の状態と
をシグナリングするように構成されており、
第1の状態、第2の状態、及び第3の状態は異なる。
【0028】
実施形態によれば(例えば、請求項3を参照)、UEは、
・第1の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する第1の状態と、
・第2の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する第2の状態と、
・第3の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する第3の状態と
をシグナリングするように構成されており、
第1の巡回シフト又は位相回転、第2の巡回シフト又は位相回転、及び第3の巡回シフト又は位相回転は異なる。
【0029】
実施形態によれば(例えば、請求項4を参照)、第1の巡回シフト又は位相回転は0であり、第2の巡回シフト又は位相回転は2π/3であり、第3の巡回シフト又は位相回転は4π/3である。
実施形態によれば(例えば、請求項5を参照)、UEは、
・第1の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する第1の状態と、
・第2の巡回シフト又は位相回転を伴う基本シーケンスを使用する第2の状態と、
・基本シーケンスを送信しないことによる第3の状態と
をシグナリングするように構成されており、
第1の巡回シフト又は位相回転と、第2の巡回シフト又は位相回転とは異なる。
実施形態によれば(例えば、請求項6を参照)、第1の巡回シフト又は位相回転は0であり、第2の巡回シフト又は位相回転はπである。
【0030】
実施形態によれば(例えば、請求項7を参照)、UEは、複数のビットを含むメッセージをシグナリングするように構成され、
・第1の状態は、複数のビットの第1の組み合わせによって示され、
・第2の状態は、複数のビットの第2の組み合わせによって示され、
・第3の状態は、複数のビットの第3の組み合わせによって示され、
第1の組み合わせ、第2の組み合わせ、及び第3の組み合わせは異なる。
【0031】
実施形態によれば(例えば、請求項8参照)、第1の組み合わせは00であり、第2の組み合わせは10であり、第3の組み合わせは11である。
第1の態様-送信機UE
本発明は、複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の受信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートする
ように構成されており、
サイドリンクを使用する受信UEとのユニキャスト通信中に、UEは、
・送信時間間隔の間に、HARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられた送信を受信UEに送信し、
・受信UEからフィードバックを受信する
ように構成されており、
フィードバックは、受信UEによって正常に識別された送信aが受信UEにおいてバッファリングされていないという指示を含む、ユーザデバイスを提供する(例えば、請求項9を参照)。
【0032】
実施形態によれば(例えば、請求項10を参照)、フィードバックは、
・サイドリンクを介した送信の成功を示す、例えばACK状態である第1の状態と、
・サイドリンクを介した送信が成功しなかったことを示す、例えばNACK状態である第2の状態であって、UEは、第2の状態に応答して再送信を実行するように構成されている、第2の状態と、
・サイドリンクを介した正常に識別された送信が受信機UEによってバッファリングされていないことを示す、例えば、LOST状態である第3の状態と
を含み、
第1の状態、第2の状態、及び第3の状態は異なる。
【0033】
実施形態によれば(例えば、請求項11を参照)、送信が受信UEにおいてバッファリングされていないというフィードバックに応答して、UEは、
・所定の時間にわたって送信及び/又はバックオフをドロップし、
・既に占有されているHARQプロセスを上書きし、
・同じ送信を再送信し、
・受信UEに、増分冗長から追跡合成への切り替えを行わせる
アクションのうちの1つ以上をもたらすように構成されている。
【0034】
実施形態によれば(例えば、請求項12を参照)、UEは、
・バッファリングされていない送信に関連付けられた送信のQoSと、
・既にHARQプロセスにある送信のQoSと、
・再送信の数
のうちの1つ以上に依存するアクションを決定するように構成されている。
【0035】
実施形態によれば(例えば、請求項13を参照)、バッファリングされていない送信がアクティブなHARQプロセスに既にある他の送信と比較して低いQoSを有する場合、UEは、送信をドロップし、及び/又はしばらくの間バックオフするように構成されており、
バッファリングされていない送信がアクティブなHARQプロセスに既にある送信と比較してより高いQoSを有する場合、UEは、別の送信によって既に占有されているHARQプロセスIDを有する高QoSの送信を送信し、受信UEに、例えばNDIをトグルすることによって、HARQプロセスIDに関連付けられたバッファをフラッシュさせ、新しい送信を保存させるように構成されており、
増分冗長HARQが使用され、バッファリングされていない送信が初期送信ではない場合、UEは、追跡合成に変更し、既に送信され、バッファは成功したが復号は失敗したことがシグナリングされた送信を再送信するように構成されている。
【0036】
第2の態様-受信機UE
本発明は、複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
・UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の送信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートし、
・各HARQプロセスのための1つ以上の送信をバッファリングする
ように構成されており、
サイドリンクを使用する送信UEとのユニキャスト通信中に、UEは、
・送信時間間隔中に送信UEから送信を受信し、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられ、
・HARQプロセスのために受信した送信をバッファリングし、
・復号前にバッファリングされた送信を合成する
ように構成されており、
UEは、送信UEがUEのバッファ占有に依存する再送信を適合させることを可能にするために、例えばL1 PSFCHシグナリングを使用して、バッファ占有を送信UEに報告するように構成されている、ユーザデバイスを提供する(例えば、請求項14を参照)。
【0037】
実施形態によれば(例えば、請求項15を参照)、UEは、
・バッファ占有が低バッファ占有状態のような第1の状態にある場合に、より多くのHARQプロセスを使用することが可能であることを送信UEにシグナリングし、
・バッファ占有が中程度のバッファ占有状態のような第2の状態にある場合に、現在使用されている数のHARQプロセスを維持するように送信UEにシグナリングし、
・バッファ占有が高バッファ占有状態のような第3の状態にある場合に、使用されるHARQプロセスの数を可能な限り減らすように送信UEにシグナリングする
ように構成されている。
【0038】
実施形態によれば(例えば、請求項16を参照)、UEは、各ユニキャストサイドリンクに対して固定数のHARQプロセス、又は全てのサイドリンクに対して固定された総数のHARQプロセスを使用するように構成されている。
【0039】
実施形態によれば(例えば、請求項17を参照)、UEは、SCIのような制御メッセージを受信するように構成されており、制御メッセージは、HARQプロセスに関連付けられたHARQプロセスIDをシグナリングするためのビット数を含み、固定数のHARQプロセスは、例えば、移動通信規格によって定義されるか、又は例えば、UEの無線通信システムへの接続中又はサイドリンク通信のセットアップ中に事前構成される。
【0040】
第2の態様-送信機UE
本発明は、複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の受信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートする
ように構成されており、
サイドリンクを使用する受信UEとのユニキャスト通信中に、UEは、
・送信時間間隔の間に、HARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられた送信を受信UEに送信し、
・受信UEからフィードバックを受信する
ように構成されており、
UEは、受信UEから、例えばL1 PSFCHシグナリングを用いてバッファ占有報告を受信し、受信UEのバッファ占有に依存して再送信を適合させるように構成されている、ユーザデバイスを提供する(例えば、請求項18を参照)。
【0041】
実施形態によれば(例えば、請求項19を参照)、UEは、
・バッファ占有が、低バッファ占有状態などの第1の状態にあることを示す受信UEからの報告に応答して、現在使用されている数のHARQプロセスを増加させ、
・バッファ占有が中程度のバッファ占有状態のような第2の状態にあることを示す受信UEからの報告に応答して、現在使用されている数のHARQプロセスを維持し、
・バッファ占有が高バッファ占有状態のような第3の状態にあることを示す受信UEからの報告に応答して、現在使用されている数のHARQプロセスを減らす
ように構成されている。
【0042】
実施形態によれば(例えば、請求項20を参照)、UEは、各ユニキャストサイドリンクに対して固定数のHARQプロセス、又は全てのサイドリンクに対して固定された総数のHARQプロセスを使用するように構成されている。
【0043】
第3の態様-受信機UE
本発明は、複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の送信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートし、
・各HARQプロセスのための1つ以上の送信をバッファリングする
ように構成されており、
サイドリンクを使用する送信UEとのユニキャスト通信中に、UEは、
・送信時間間隔中に送信UEから送信を受信し、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられ、
・HARQプロセスのために受信した送信をバッファリングし、
・復号前にバッファリングされた送信を組み合わせる
ように構成されており、
UEは、送信UEと、ユニキャストサイドリンク通信に使用されるHARQプロセスの数を折衝する、又は無線通信ネットワークの基地局から、UEと送信UEとの間のユニキャストサイドリンクに使用されるHARQプロセスの数を示す構成メッセージを受信する
ように構成されている、ユーザデバイスを提供する(例えば、請求項21を参照)。
【0044】
実施形態によれば(例えば、請求項22を参照)、UEは、
・送信UEから、サイドリンクを介してシグナリング、例えば、RRC接続セットアップ又はRRC再構成、送信UEがUEとの現在のユニキャストサイドリンクに使用することを計画しているHARQプロセスの数の指示を受信し、
・指示された数のHARQプロセスを確認し、又は送信UEによって提案されたHARQプロセスの数よりも少ない数を指示する
ように構成されており、
UE及び送信UEは、現在のユニキャストサイドリンクのための合意された数のHARQプロセスを確保する。
【0045】
実施形態によれば(例えば、請求項23を参照)、UEは、利用可能なHARQプロセスの数を送信UEに報告して、送信UEが、UEによって示される利用可能なHARQプロセスの数以下で使用されるべきHARQプロセスの数を選択できるようにするように構成されている。
【0046】
実施形態によれば(例えば、請求項24を参照)、UEは、送信UEによって選択されたHARQプロセスの数の確認を送信UEから受信するように構成されている。
実施形態によれば(例えば、請求項25を参照)、UEは、
・ユニキャストサイドリンクを設定した後、より多くのHARQプロセスを求める送信UEからの要求を受信し、
・UEが割り当てられていないバッファを有する場合、UEがサポートすることができるHARQプロセスの数を送信UEにシグナリングする
ように構成されている。
【0047】
実施形態によれば(例えば、請求項26を参照)、UEは、
・ユニキャストサイドリンクを設定した後、必要とされるHARQプロセスはより少ないという指示を送信UEから受信し、
・割り当てられたバッファを解放する
ように構成されている。
【0048】
第3の態様-送信機UE
本発明は、複数のユーザデバイスUEを含む無線通信システムのためのユーザデバイスUEであって、
UEは、
・サイドリンクを使用して1つ以上の受信UEと通信し、
・一定数のHARQプロセスをサポートする
ように構成されており、
サイドリンクを使用する受信UEとのユニキャスト通信中に、UEは、
・送信時間間隔中に受信UEに送信を送信し、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられ、
・受信UEからフィードバックを受信する
ように構成されており、
UEは、受信UEと、ユニキャスト通信に使用されるHARQプロセスの数を折衝する、又は無線通信ネットワークの基地局から、UEと送信UEとの間のユニキャストサイドリンクに使用されるHARQプロセスの数を示す構成メッセージを受信する
ように構成されている、ユーザデバイスを提供する(例えば、請求項27を参照)。
【0049】
実施形態によれば(例えば、請求項28を参照)、UEは、
・例えば、サイドリンクを介したRRC構成手順を使用して、UEが受信UEとの現在のユニキャストサイドリンクに使用することを計画しているHARQプロセスの数の指示を受信UEに送信し、
・指示された数のHARQプロセスの確認、又はUEによって提案されたHARQプロセスの数よりも少ない数の指示を受信UEから受信する
ように構成されており、
UE及び受信UEは、現在のユニキャストサイドリンクのための合意された数のHARQプロセスを確保する。
【0050】
実施形態によれば(例えば、請求項29を参照)、UEは、受信UEにおいて利用可能なHARQプロセスの数の報告を受信し、受信UEによって示される利用可能なHARQプロセスの数以下で使用されるHARQプロセスの数を選択するように構成されている。
【0051】
実施形態によれば(例えば、請求項30を参照)、UEは、UEによって選択されたHARQプロセスの数の確認を、受信UEに送信するように構成されている。
実施形態によれば(例えば、請求項31を参照)、UEは、
・ユニキャストサイドリンクを設定した後、より多くのHARQプロセスを求める要求を受信UEに送信し、
・UEが割り当てられていないバッファを有する場合、受信UEがサポートすることができるHARQプロセスの数を受信UEから受信する
ように構成されている。
【0052】
実施形態によれば(例えば、請求項32を参照)、UEは、ユニキャストサイドリンクを設定した後、受信UEが割り当てられたバッファを解放することを可能にするために、必要とされるHARQプロセスはより少ないという指示を受信UEに送信するように構成されている。
【0053】
実施形態によれば(例えば、請求項33を参照)、UEは、SCIのようなサイドリンク上の制御メッセージ内のHARQプロセスIDフィールドのサイズを、合意された数のHARQプロセス、例えば、4つのHARQプロセス→2ビット、3つのHARQプロセス→2ビット、8つのHARQプロセス→3ビット、から導出するように構成されている。
【0054】
実施形態によれば(例えば、請求項34を参照)、受信UE及び送信UEが、送信UEから受信UEへのユニキャストサイドリンクのための一方向のいくつかのHARQプロセスで構成される場合、例えば、両方向のトラフィックが実質的に対称である場合に、同じ数のHARQプロセスが受信UEから送信UEへのユニキャストサイドリンクに適用される。
【0055】
一般
実施形態によれば(例えば、請求項35を参照)、送信UEが、送信時間間隔の間に複数の送信を並列に実行するように構成され、送信の各々がHARQプロセスIDを含む。
【0056】
実施形態によれば(例えば、請求項36を参照)、UEは、移動端末、又は固定端末、又はセルラIoT-UE、又は車両UE、又は車両グループリーダ(GL)UE、又はIoT若しくは狭帯域IoT、NB-IoT、デバイス、又は地上ベースの車両、又は航空機、又はドローン、又は移動基地局、又は路側ユニット、又は建物、又は無線通信ネットワーク、例えば、センサ若しくはアクチュエータを使用してアイテム/デバイスが通信することを可能にするネットワーク接続性を備えた任意の他のアイテム又はデバイス、のうちの1つ以上を備える。
【0057】
システム
本発明は、無線通信システムであって、本発明による複数のユーザデバイスUEを備え、無線通信システムのサイドリンクリソースのセットからのリソースを使用してサイドリンク通信のために構成された、無線通信システムを提供する(例えば、請求項37を参照)。
【0058】
実施形態によれば(例えば、請求項38を参照)、基地局は、マクロセル基地局、又はスモールセル基地局、又は基地局の中央ユニット、又は基地局の分散ユニット、又は路側ユニット、又はUE、又はグループリーダ(GL)、
又はリレー、又は遠隔無線ヘッド、又はAMF、又はSMF、又はコアネットワークエンティティ、又は移動エッジコンピューティングエンティティ、又はNR若しくは5Gコアコンテキストにおけるようなネットワークスライス、又はアイテム若しくはデバイスが無線通信ネットワークを使用して通信することを可能にする任意の送受信ポイントTRPであって、アイテム又はデバイスが無線通信ネットワークを使用して通信するためのネットワーク接続性を備えている、任意の送受信ポイントのうちの1つ以上を備える。
【0059】
方法
第1の態様-受信機UE
本発明は、無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、方法は、
送信時間間隔中に送信UEから送信を受信することであって、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられる、ことと、
受信UEによってHARQプロセスのために受信した送信をバッファリングすることと、
受信UEによって復号前にバッファリングされた送信を合成することと
を含み、
正常に識別された送信がバッファリングされていない場合、受信UEは、送信がUEにおいてバッファリングされていないことを送信UEに示す、方法を提供する(例えば、請求項39を参照)。
【0060】
第1の態様-送信機UE
本発明は、無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、方法は、
送信時間間隔中に受信UEに送信を送信することであって、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられる、ことと、
受信UEからのフィードバックを送信UEにおいて受信することと
を含み、
フィードバックは、受信UEによって正常に識別された送信が、受信UEにおいてバッファリングされていないことの指示を含む、方法を提供する(例えば、請求項40を参照)。
【0061】
第2の態様-受信機UE
本発明は、無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、方法は、
送信時間間隔中に送信UEから送信を受信することであって、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられる、ことと、
受信UEによってHARQプロセスのために受信した送信をバッファリングすることと、
受信UEによって復号前にバッファリングされた送信を合成することと
を含み、
UEは、送信UEがUEのバッファ占有に依存して再送信を適合させることを可能にするために、例えばL1 PSFCHシグナリングを使用して、バッファ占有を送信UEに報告する、方法を提供する(例えば、請求項41を参照)。
【0062】
第2の態様-送信機UE
本発明は、無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、方法は、
送信時間間隔中に受信UEに送信を送信することであって、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられる、ことと、
受信UEからのフィードバックを送信UEにおいて受信することと
を含み、
送信UEは、受信UEから、例えばL1 PSFCHシグナリングを用いてバッファ占有報告を受信し、受信UEのバッファ占有に依存する再送信を適合させる、方法を提供する(例えば、請求項42を参照)。
【0063】
第3の態様-受信機UE
本発明は、無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、方法は、
送信時間間隔中に送信UEから送信を受信することであって、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられる、ことと、
受信UEによってHARQプロセスのために受信した送信をバッファリングすることと、
受信UEによって復号前にバッファリングされた送信を合成することと
を含み、
受信UEは、ユニキャストサイドリンク通信に使用されるHARQプロセスの数を送信UEと折衝する、又は受信UEと送信UEとの間のユニキャストサイドリンクに使用されるHARQプロセスの数は、無線通信ネットワークの基地局に提供される、方法を提供する(例えば、請求項43を参照)。
【0064】
第3の態様-送信機UE
本発明は、無線通信システムにおける受信UEと送信UEとの間のサイドリンク通信のための方法であって、無線通信システムは、複数のユーザデバイスUEを含み、サイドリンク通信は、一定数のHARQプロセスをサポートし、方法は、
送信時間間隔中に送信を受信UEに送信することであって、送信はHARQプロセスIDを含む制御データ、例えばSCIに関連付けられる、ことと、
送信UEにおいて受信UEからのフィードバックを受信することと
を含み、
送信は、ユニキャスト通信に使用されるHARQプロセスの数を受信UEと折衝する、又は受信UEと送信UEとの間のユニキャストサイドリンクに使用されるHARQプロセスの数は、無線通信ネットワークの基地局に提供される、方法を提供する(例えば、請求項44を参照)。
【0065】
コンピュータプログラム製品
本発明は、命令を含むコンピュータプログラム製品を提供し、命令は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明による1つ以上の方法を実行させる。
したがって、本発明は、ユーザデバイスのグループとの、又はユーザデバイスのグループ内のサイドリンクを介した通信を改善する。
【0066】
第1の態様
本発明の第1の態様の実施形態によれば、肯定応答状態及び否定応答状態に加えて、追加のHARQ状態の使用が提案される。LOST状態と呼ばれる場合があるこの追加の状態は、ユニキャストサイドリンクを介した受信機UEへの現在の送信が受信機UEで正常に識別されたがバッファリングされていないことを送信機UEにシグナリングするために使用され得る。例えば、現在の送信の場合、受信機UEは、HARQプロセスIDを含む制御メッセージを復号することができる(受信機UEの送信を正常に識別する)が、同じデータに関連付けられた以前の送信を復号又は増分的に合成するためにデータをバッファリングする位置にはない。バッファリングされた送信は、既に受信されたデータの冗長バージョンのような、更なる送信とソフト合成されることがあり、これはNACKメッセージに応答して送信機UEによって送信され得る。しかし、送信がバッファリングされていない場合、後で受信したRVと組み合わせるものがないため、再送信は効率的ではない。
【0067】
第1の態様の実施形態に従って提供されるLOST状態は、例えば、受信機UEに十分なバッファ空間がない場合に上記の問題に対処し、LOST状態を示すことにより、送信機UEが送信又は再送信の現在のバージョンを送信することが可能になる。したがって、例えば、異なる送信機UEからの別のユニキャスト送信が終了したために、送信が受信機UEにおいてバッファリングされ得る場合、受信機UEにおいて低下した復号性能を示し得る更なる冗長バージョンに基づくのではなく、再送信された現在の送信に基づいて復号が試みられ得る。これにより、全体的な送信信頼性を向上させることができる。
【0068】
第2の態様
第2の態様の実施形態によれば、受信機UEは、ユニキャストサイドリンクを介して受信機UEと通信する送信機UEにバッファの占有状態について通知するために、その現在のバッファ状態又はバッファ占有を報告することができ、それによって、送信機UEがそれらの送信をそれに応じて適応させることを可能にする。
【0069】
第3の態様
本発明の第3の態様の実施形態によれば、HARQエンティティセットアップ手順を使用することができ、これは、通信相手、すなわち、ユニキャストサイドリンク通信のための送信機UEと受信機UEとの間の折衝を可能にして、ユニキャストサイドリンク通信ごとに実施されるHARQプロセスの数を決定する。
【0070】
本発明の第2及び第3の態様の利点は、受信機UEがバッファ空間を使い果たす状況が回避され、それによって、従来技術の手法に見られるような送信信頼性の上記の劣化が回避又は低減されることである。
以下、本発明の各態様の実施形態についてより詳細に説明する。
【0071】
第1の態様
第1の態様による実施形態は、現在の送信が受信機UEで欠落した場合、すなわち、例えば受信機UEによって提供されるHARQバッファ内で、正常に識別されたがバッファリングされなかった場合に、受信機UEから送信機UEへシグナリングを提供する。
【0072】
図5(a)は、ユニキャスト通信のためにサイドリンクPC5/SLを介して受信機UE 400と通信する1つ以上の送信機UE 406からのそれぞれのユニキャスト送信に関連する複数のHARQプロセス用のバッファ又はソフトバッファ404~404を割り当てるために、受信機UE 400によって使用され得るメモリ402を含む受信機UE 400を概略的に示す。
【0073】
図5(b)は、送信機UE 406から受信機UE 400へ正常に識別され、復号可能な送信を示す。「1」において、送信機UE 406は、所与の送信時間間隔で1つ以上の送信を実行し得る。図示の例では、送信機UE 406は、受信機UE 400へのデータの送信又はデータの冗長バージョンの送信を含む2つの送信を実行する。各送信RV1.1及びRV2.1は、HARQプロセスIDのID1及びID2を含む制御データと関連付けられている。「2」で示されているように、UE 400が送信の識別に成功した場合、受信機UEが制御データを復号することを意味し、またデータが復号可能である場合、「3」で、確認応答ACKがUE 400から送信機UE 406にシグナリングされる。ACKに応答して、送信機は、ユニキャストサイドリンク通信用の追加の送信が実行される場合、次の送信を実行することができる。
【0074】
図5(c)は、送信機UE 406からの送信が受信機UEによって識別され得る状況、例えば、制御データは復号され得るが、データは復号不可能であった状況を示す。更に、復号不可能なデータが送信のためにHARQプロセスIDに関連付けられたバッファ内で受信機UE 400においてバッファリングされるように、十分なバッファ空間が受信機UEにおいて利用可能であると仮定される。データの復号が成功しなかったことに応答して、「4」に示されるように、受信機UE 400は、「5」に示されるように、否定応答メッセージNACKを受信機UE 406に送信する。NACKに応答して、送信機UEは、送信を再送信するか、又はそれぞれの送信のための冗長バージョン、例えばRV1.2及びRV2.2を、HARQプロセスIDのID1、ID2を含む制御データと共に受信機UE 400に再び送信し、その結果、受信機UEでは、送信RV1.2、RV2.2がバッファリングされた送信と合成され得る。UE 400は、「7」において、送信をソフト合成し得る。合成バージョンを復号できると仮定すると、確認応答メッセージACKが送信機UE 406に送信され、これは、所望又は利用可能であれば、次のデータの送信から開始することができる。
【0075】
図5(d)は、バッファリングされていない送信の処理を示す。受信機UE 400は、それぞれのHARQプロセスIDに関連付けられた送信RV1.1及びRV2.1を送信機UE 406から受信することができる。受信機UEは制御データを復号し、データ又はペイロードデータが復号可能ではないことを発見したが、利用可能な十分なバッファがないため、送信をバッファリングすることができないことがある。これは、例えば、全てのバッファ空間が既にアクティブであり、1つ以上の他の送信機UEとのユニキャスト通信に使用されている場合に起こり得る。バッファリングできない正常に識別された送信の検出に応答して、UE 400は、「8」において、送信機UE 406にLOST状態をシグナリングするか又は示す。LOST状態を認識したことに応答して、送信機UEは、「9」において、元の送信RV1.1及びRV2.1をUE 400に再び送信する。UE 400が、元の送信を再度受信するときに、利用可能な空きバッファ空間を有する場合、データを復号することができない場合、送信は格納又はバッファリングされ得る。あるいは、再び、LOST状態がシグナリングされ得る。
【0076】
したがって、第1の態様の実施形態によれば、ACK又はNACKメッセージのみを提供する代わりに、受信機UE 400は、例えばソフトバッファオーバフローによる欠落した送信を「欠落した」送信としてマークする。したがって、送信機UEは、送信された冗長バージョンのデータのように、その送信が欠落し、受信機UEのソフトバッファに格納されていないことを知る。これにより、送信機UEは、例えば、欠落したRVを正確に再送信するか、又はデフォルトで初期RVから開始することができる。
【0077】
実施形態によれば、それぞれの状態、すなわち確認応答状態、否定応答状態、及びLOST状態は、基本シーケンスを使用してシグナリングされ得る。それぞれの状態は、基本シーケンスに特定の巡回シフト又は位相回転を提供することによってシグナリング又は指示され得る。HARQプロセスにおいて肯定応答又は否定応答をシグナリングするために、基本シーケンスを特定の巡回シフト又は位相回転と関連付けることは、例えば、Erik Dahlman、Stefan Parkvall、Johan Skoldによる「5G NR:The Next Generation Wireless Access Technology」に記載されている。実施形態によれば、LOST状態は、ACK状態及びNACK状態に加えて、第3の状態として明示的にシグナリングされ得る。ACK状態は、0だけ巡回シフトした基本シーケンスを使用し得るが、NACK状態は、2π/3だけ巡回シフトした同じ基本シーケンスを使用し得、LOST状態は、4π/3だけ巡回シフトした同じ基本シーケンスを使用してシグナリングされ得る。当然、他の巡回シフトも適用可能である。
【0078】
他の実施形態によれば、異なる巡回シフトを有する基本シーケンスを使用することができ、例えば、ACK状態をシグナリングするために、例えば0の第1の巡回シフトを有する基本シーケンス、及びNACK状態をシグナリングするために、例えばπの異なる巡回シフトを有する基本シーケンスを使用することができる。LOST状態、すなわちバッファリングされていない送信は、ACK状態を送信せず、NACK状態を送信しないことによってシグナリングされる。
【0079】
実施形態によれば、送信機UE 406は、送信が受信機UEにおいてバッファリングされていないという指示の受信に応答して、
-送信をドロップし、及び/又は所定の時間バックオフしてもよく、
-既に占有されているHARQプロセスを上書きしてもよく、又は
-同じRVを再び送信してもよく、
-受信機UEに、増分冗長から追跡合成に切り替えさせてもよい。
【0080】
送信機UE 406は、欠落した又はバッファリングされていない送信のQoS、HARQプロセスで既にバッファリングされている送信のQoS、及び/又は再送信の回数、すなわち再送信が初期送信であるか否かなどの、特定のパラメータに基づいて、LOST状態指示に応答してどのように進むかに関する決定を基礎とすることができる。
【0081】
受信されたLOST状態に関連付けられた送信が、既にHARQプロセスにある他の送信と比較して低いQoSを有する場合、UE 406は、しばらくの間、送信をドロップする及び/又はバックオフするが、それは、すぐに再び送信しようとすると、同じ結果、すなわち、バッファリングされない送信になる可能性が非常に高いからである。
【0082】
受信されたLOST状態に関連する送信が、アクティブなHARQプロセスに既にある送信と比較してより高いQoSに関連する場合、送信機UEは、既存の又は未完了のHARQプロセスを再利用することができる。これは、送信機UEは、トグルされたNDIと共に、別の送信によって既に占有されているHARQプロセスIDを有する高QoS送信を送信し、その結果、受信機UEがHARQプロセスIDに関連付けられたそのバッファをまずフラッシュし、次いで新しい送信を保存することができることを意味する。
【0083】
増分冗長HARQが適用され、欠落した送信が初期送信ではない場合、送信機UEは、追跡合成に変更し、既に送信され、非LOST状態が受信された冗長バージョンを送信することができる。これは、受信されたRVが既にバッファリングされている以前に受信されたRVと合成されるため、追跡合成のために、受信機UEが余分なソフトビットを確保する必要がないために可能である。したがって、追加のバッファ空間は必要とされない。
【0084】
第2の態様
本発明の第2の態様によれば、バッファリングされていない送信を示すための追加のHARQ状態を提供するのではなく、受信機UE 400(図5(a)参照)は、例えば物理サイドリンクフィードバックチャネルPSFCH内のレイヤ1シグナリングを使用して、現在アクティブな送信機UE 406、すなわち、その現在アクティブなユニキャスト通信相手に、現在のソフトバッファ占有とも呼ばれるバッファの占有を報告することができる。
【0085】
この態様によれば、各アクティブなユニキャスト通信相手は、受信機UEにおけるバッファ容量を認識し、その結果、例えば、受信機UEにおいて利用可能なフリーカバー能力に応じて、送信時間間隔の間の並列送信の数は、いずれの送信のバッファリングされていないことも回避するように適応され得る。
例えば、受信機UEは、
・バッファ占有が低バッファ占有状態のような第1の状態にある場合に、より多くのHARQプロセスを使用することが可能であり、
・バッファ占有が中程度のバッファ占有状態のような第2の状態にある場合に、現在使用されている数のHARQプロセスを維持し、
・バッファ占有が高バッファ占有状態のような第3の状態にある場合に、使用されるHARQプロセスの数を可能な限り減らすように、送信機UEにシグナリングしてもよい。
【0086】
例えば、送信機UEは、
・バッファ占有が、低バッファ占有状態などの第1の状態にあることを示す受信UEからの報告に応答して、現在使用されている数のHARQプロセスを増加させてもよく、
・バッファ占有が中程度のバッファ占有状態のような第2の状態にあることを示す受信UEからの報告に応答して、現在使用されている数のHARQプロセスを維持してもよく、
・バッファ占有が高バッファ占有状態のような第3の状態にあることを示す受信UEからの報告に応答して、現在使用されている数のHARQプロセスを減らしてもよい。
【0087】
本発明の第1の第2の態様によれば、固定数のHARQプロセスを使用することができる。例えば、受信機UE及び/又は送信機UEは、各ユニキャストサイドリンクに対して固定数のHARQプロセス、又は全てのサイドリンクに対して固定された総数のHARQプロセスを使用してもよい。SCI内のHARQプロセスIDをシグナリングするための固定数のビットを有する固定数のHARQプロセスが使用されてもよく、この数は、総HARQプロセスの数に等しくてもよく、ユニキャストリンクごとに使用される固定又は事前構成された値であってもよい。
【0088】
例えば、受信機UEは、SCIのように、HARQプロセスに関連付けられたHARQプロセスIDをシグナリングするためのビット数を含む制御メッセージを受信することができる。固定数のHARQプロセスは、例えば移動通信規格によって定義されてもよいし、例えばUEの無線通信システムへの接続中又はサイドリンク通信のセットアップ中に事前構成されてもよい。
【0089】
第3の態様
本発明の第3の態様によれば、バッファリングされていない送信を示すための追加のHARQ状態を提供するのではなく、修正されたHARQエンティティセットアップ手順が提案される。第3の態様の実施形態によれば、それぞれのユニキャスト通信相手がユニキャスト通信に使用されるHARQプロセスを折衝することを可能にするために、新しいサイドリンク/PC5-RRC手順が実施され得る。言い換えれば、本発明の第3の態様は、ユニキャスト通信に使用されるHARQプロセスの数について通信パートナが合意することを可能にする実施形態を提供する。例えば、送信機UE 406(図5(a)参照)は、現在のユニキャストリンクに使用することを計画しているHARQプロセスの数を示すために、RRC構成手順を開始することができる。例えば、送信機UE 406は、受信機UE 400内にそれぞれのバッファ空間404を必要とする4つのHARQプロセスを使用することを計画することができる。受信機UE 400は、このようなバッファ空間が利用可能である場合、数を確認してもよい。受信機UEが全てのHARQプロセスの送信に対応又はバッファリングすることはできないような、少ないバッファ空間のみが利用可能である場合、より少ない数のHARQプロセス、すなわち、送信機UEによって要求された数とは異なる数が送信機UEにシグナリングされ得る。この折衝が終了した後、両方のUEは、現在のユニキャストリンクのために、合意された数のHARQプロセスを確保する。
【0090】
例えば、そのような構成シグナリングの前に、HARQプロセスの数は0であってもよく、すなわち、HARQ手順が実施されていなくてもよく、又はHARQプロセスの数は、4つ又は8つのHARQプロセスのようなデフォルト値に設定されてもよい。デフォルト値がある場合、受信機UEは、HARQプロセスの数を実際の状況に適合させるために、RRC HARQエンティティセットアップ手順を開始することもできる。ここで、図6及び図7を参照して、上記の手順の実施形態をより詳細に説明する。
【0091】
図6は、図5(a)のUE 406のような、送信機UEによるHARQプロセスセットアップのための実施形態を示す。HARQプロセスを構成するために、送信機UE 406は、送信機UEが、受信機UE 400とのユニキャスト通信に使用することを意図しているHARQプロセスの要求された数を含むか又は示すサイドリンクRRC接続セットアップを最初に送信する。受信機UE 400は、HARQプロセスの可用性/非可用性を含むSL RRC接続セットアップ応答を送信機UE 406にシグナリングし、利用可能な場合、送信機UEとのユニキャスト通信に利用可能にすることができるHARQプロセスの数も示される。言い換えれば、受信機UE 400は、HARQプロセスの要求された数を確認するか、又は要求された数よりも少ない異なる数を示すかのいずれかである。SL RRC接続セットアップ応答に続いて、送信機UE 406は、合意の確認、すなわち通信に使用される利用可能なHARQプロセスの確認を含むSL RRC接続セットアップ完了メッセージを送信する。
【0092】
図7は、デフォルト数に対して送信機UEによって、利用可能なHARQプロセス数の数を変更するための一例を示す図である。最初に、送信機UE 406はSL RRC接続セットアップメッセージを送信する。HARQプロセスに関して更なる情報は含まれず、デフォルト数のHARQプロセスはそれぞれのUEで既知であり、送信機UE 406と受信機UE 400との間のユニキャスト通信のために、送信機UEはデフォルト数のHARQプロセスを使用することを意図している。接続セットアップメッセージに応答して、受信機UE 400はSL RRC接続セットアップ応答メッセージを送信する。デフォルト数のHARQプロセスが受信機UE 400で利用可能である場合、HARQプロセスに関する更なる情報は、受信機UE 406で受信された接続セットアップ応答に含まれず、それに応答して、デフォルト数のHARQプロセスが利用され得ることが分かる。一方、受信機UE 400はデフォルト数のHARQプロセスよりも少ないHARQプロセスが利用可能である場合、すなわち、利用可能なHARQプロセスの数がデフォルト数と同じでない場合、受信機UE 400は、接続セットアップ応答において、利用可能なHARQプロセスの実際の数を送信機UE 406にシグナリングしてもよく、又は、デフォルト値と比較した場合に利用可能なHARQプロセスの差又はデルタを送信機UE 406に示してもよい。次いで、送信機UE 406は、受信機UE 400からシグナリングされた利用可能な数のHARQプロセスを使用する。
【0093】
他の実施形態によれば、使用されるHARQプロセスに関する折衝は、受信機UE 400によって開始されてもよい。例えば、受信機UE 400は、例えばユニキャスト通信のセットアップ時に、又はユニキャスト通信中に、例えばバッファ容量が変化した場合に、利用可能なHARQプロセスの実際の数を送信機UE 406に報告することができる。図8及び図9は、受信機UEが開始するHARQプロセス折衝の実施形態を示す。
【0094】
図8は、利用可能なHARQプロセスの数に関する受信機UE 400から送信機UE 406への再構成シグナリングを示す。より具体的には、受信機UE 400は、受信機UE 400において利用可能なHARQプロセスの数を含むSL RRC再構成メッセージを送信機UE 406に送信することができる。言い換えれば、受信機UEは、利用可能なHARQプロセスの数を送信機UEに報告し、図8の実施形態によれば、再構成メッセージに応答して、通信に使用されるHARQプロセスの数を選択してもよく、これは、示された利用可能なHARQプロセスの数(再構成メッセージに示された数)に等しくてもよいし、示された利用可能なHARQプロセスの数よりも少ない数であってもよい。
【0095】
図9は、HARQプロセスの数を送信機UEに報告するための更なる実施形態を示す。より具体的には、図9は、利用可能なHARQプロセスの数に関する、受信機UE 400から送信機UE 406への再構成シグナリングを示す。図8と同様に、第1のメッセージにおいて、受信機UE 400は、受信機UEにおいて利用可能なHARQプロセスの数を含むSL RRC再構成メッセージを送信する。記載された実施形態によれば、送信機UE 406は、新しい数を確認するか、又は新しい数を拒否して、同じ数のHARQプロセスを保持するか、若しくは受信機UEによって送信されたSL RRC再構成メッセージを使用して受信機UEにシグナリングされるより少ない数のHARQプロセスを保持することができる。
【0096】
第3の態様の更なる実施形態によれば、送信機UEと受信機UEとの間のユニキャスト通信に使用されるHARQプロセスの折衝は、互いに通信するUEがモード1 UEである場合には、それぞれのUE間ではなく、基地局又はgNBによって処理され得る。このような状況において、gNBは、送信機UE 406と受信機UE 400との間のユニキャストリンクに割り当てられたHARQプロセスを設定してもよい。gNBは、図4の基地局300と同様に、UE、すなわち受信機UEと送信機UEとの間でユニキャストベアラをセットアップすることができる。UE能力交換シグナリングに基づいて、基地局は、各UEのHARQプロセスの総数又はソフトバッファのサイズを知る。この情報に基づいて、基地局は、少なくともサイドリンクモード1ユニキャスト通信のためのHARQプロセスを管理する。例えば、ベアラセットアップ中又はユニキャスト通信中に、両方のUEがモード1 UEである、すなわちカバレッジ内である場合、ネットワークは、例えばgNBを介して、現在のユニキャストリンクのためにUEによって使用されるHARQプロセスの数を構成することができる。言い換えると、gNBは、ユニキャストサイドリンクごとにHARQプロセス構成を処理する。構成は、単一方向、すなわち、送信機UEから受信機UEへのユニキャスト通信のためだけのものであってもよく、又は、双方向、すなわち送信機UEが受信機UEになり、受信機UEが送信機UEになるように、送信機UEから受信機UEに切り替わるときに、同じHARQプロセス構成が使用されてもよい。
【0097】
実施形態によれば、SCI内のHARQプロセスIDフィールドは暗黙的に導出されてもよい。例えば、SCI内のHARQプロセスIDフィールドのサイズは、合意された数のHARQプロセスから暗黙的に導出されてもよく、例えば、4つのHARQプロセスは2ビットに等しく、3つのHARQプロセスは2ビットに等しく、8つのHARQプロセスは3ビットに等しい。
【0098】
また更なる実施形態によれば、ユニキャスト通信の逆方向のためのHARQプロセスは、暗黙的に導出されてもよい。例えば、2つのUEがサイドリンクを介して相互に通信することを検討する場合、第1のUEから第2のUEへの順方向のユニキャストサイドリンクのみのHARQプロセスを最初に構成するのではなく、第2のUEから第1のUEへの逆方向のユニキャストサイドリンクのためのHARQプロセスもまた構成され得る。実施形態によれば、これは、順方向/逆方向のトラフィックに応じて、又はトラフィックから独立して行われてもよい。例えば、図5(a)の送信機UE 406及び受信機UE400を考慮すると、受信機UEから送信機UEへのユニキャスト通信のための通信方向を逆にするとき、また構成オーバヘッドを低減するためにトラフィックが実質的に対称であるか、又はHARQプロセスの数が常に対称であると仮定するとき、送信機UEから受信機UEへの通信のために両方のUEに対して既に構成されたHARQプロセスの数は、逆方向、すなわち、逆方向に対して異なる数のHARQプロセスが使用されるべきでない限り、受信機UEから送信機UEへ送信するときにも適用され得、この場合、構成された数のHARQプロセスはそれに応じて上書きされ得る。
【0099】
本発明の他の実施形態によれば、ユニキャストサイドリンクを設定した後に、HARQプロセスの数を動的に適合させることができる。例えば、より多くのトラフィックが到着しているために、送信機UE 406がより多くのHARQプロセスを必要とする場合、例えば、送信機UEは、受信機UEにより多くのHARQプロセスを要求することがある。送信機UEは、現在の数、すなわち、必要な追加のHARQプロセスと比較した場合に、必要なHARQプロセスの総数又は数のデータを含む要求を受信機UEに送信することができる。その場合、受信機UEが利用可能な未割り当てのソフトバッファを有する場合、受信機UEは、利用可能なHARQプロセスの合計数、又は2つ以上のHARQプロセスのような、サポートされ得る追加のHARQプロセスの数を送信機UEに通知することができる。
【0100】
更に、他の実施形態によれば、送信機UEが受けるトラフィックが少ない場合、送信機UEは割り当てられたHARQプロセスの数の削減を要求することができ、受信機UEはそれに応じてソフトバッファを割り当てられなくてもよく、これにより受信側の負担が軽減される。
【0101】
一般
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、各実施形態及び態様は、個別に実施されてもよいし、2つ以上の実施形態が組み合わされて実施されてもよい。UEは、異なる送信/受信、例えばユニキャスト、グループキャスト、及びマルチキャストに応じて、複数の宛先L2 ID及び/又は複数のソースL2 IDを有し得ることに留意されたい。
【0102】
以上、PC5インタフェースを用いたサイドリンク通信を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明した。しかしながら、本発明はPC5インタフェースの使用に限定されない。1つ以上のUE間の直接通信を可能にする任意の他のインタフェース、例えば、IEEE 802.11 p規格、IEEE 802.15.4規格(Zigbee)などによるインタフェースを使用することができる。
【0103】
上述した実施形態のいくつかでは、SLリソース割り当て構成又は支援が基地局によって提供される、例えばNRモード1又はLTEモード3構成とも呼ばれる、接続モードにある車両、又はSLリソース割り当て構成又は支援が基地局によって提供されない場合、例えばNRモード2又はLTEモード4構成とも呼ばれる、アイドルモードにある車両のいずれかであるそれぞれの車両が参照されている。しかしながら、本発明は、V2V通信又はV2X通信に限定されず、むしろ、例えばPC5インタフェースを介してサイドリンク通信を実行する任意のデバイス間通信、例えば非車両用移動ユーザ又は固定ユーザにも適用可能である。また、そのようなシナリオでは、上述した本発明の態様を利用することができる。
【0104】
実施形態によれば、無線通信システムは、地上ネットワーク、又は非地上ネットワーク、又は航空機若しくは衛星搭載機、又はそれらの組み合わせを受信機として使用するネットワーク若しくはネットワークのセグメントを含むことができる。
【0105】
実施形態によれば、受信機は、移動又は固定端末、IoTデバイス、地上ベースの車両、航空機、ドローン、建物、又は無線通信システム、例えば、センサ若しくはアクチュエータを使用してアイテム/デバイスが通信することを可能にするネットワーク接続性を備えた任意の他のアイテム又はデバイスのうちの1つ以上を備えてもよい。実施形態によれば、送信機は、マクロセル基地局、又はスモールセル基地局、又は衛星若しくは宇宙などの衛星搭載機、又は無人航空機システム(UAS)などの航空機、例えばテザーUAS、空気より軽いUAS(LTA)、空気より重いUAS(HTA)、及び高高度UASプラットフォーム(HAP)、又は無線通信システムを使用して通信するためにネットワーク接続性を備えたアイテム又はデバイスを可能にする任意の送受信ポイント(TRP)のうちの1つ以上を備えることができる。
【0106】
説明された概念のいくつかの態様は、装置の文脈で説明されているが、これらの態様は、対応する方法の説明も表しており、ブロック又は装置は、方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明される態様は、対応するブロック又は対応する装置のアイテム又は特徴の記述も表す。
【0107】
本発明の様々な要素及び特徴は、アナログ及び/又はデジタル回路を使用するハードウェア、ソフトウェアにおいて、1つ以上の汎用又は専用プロセッサによる命令の実行を通じて、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実施されてもよい。例えば、本発明の実施形態は、コンピュータシステム又は別の処理システムの環境で実施することができる。図10は、コンピュータシステム500の一例を示す。ユニット又はモジュール、ならびにこれらのユニットによって実行される方法のステップは、1つ以上のコンピュータシステム500上で実行することができる。コンピュータシステム500は、専用又は汎用デジタル信号プロセッサのような、1つ以上のプロセッサ502を含む。プロセッサ502は、バス又はネットワークのような通信インフラストラクチャ504に接続される。コンピュータシステム500は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)などのメインメモリ506と、例えばハードディスクドライブ及び/又は取り外し可能なストレージドライブなどの二次メモリ508とを含む。二次メモリ508は、コンピュータプログラム又は他の命令がコンピュータシステム500にロードされることを可能にすることができる。コンピュータシステム500は、ソフトウェア及びデータがコンピュータシステム500と外部デバイスとの間で転送されることを可能にする通信インタフェース510を更に含むことができる。通信は、電子信号、電磁信号、光学信号、又は通信インタフェースによって処理することができる他の信号からのものであってもよい。通信は、ワイヤ又はケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、RFリンク、及び他の通信チャネル512を使用することができる。
【0108】
「コンピュータプログラム媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、一般に、取り外し可能なストレージユニット又はハードディスクドライブにインストールされたハードディスクなどの有形の記憶媒体を指すために使用される。これらのコンピュータプログラム製品は、ソフトウェアをコンピュータシステム500に提供するための手段である。コンピュータ制御ロジックとも呼ばれるコンピュータプログラムは、メインメモリ506及び/又は二次メモリ508に格納される。コンピュータプログラムはまた、通信インタフェース510を介して受信されてもよい。コンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム500が本発明を実施することを可能にする。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ502が本明細書に記載の方法のいずれかなどの本発明のプロセスを実施することを可能にする。したがって、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム500のコントローラを表すことができる。本開示がソフトウェアを使用して実施される場合、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に格納され、取り外し可能なストレージドライブ、通信インタフェース510のようなインタフェースを使用してコンピュータシステム500にロードされ得る。
【0109】
ハードウェア又はソフトウェアにおける実施形態は、中に格納される電子的に読み取り可能な制御信号を有し、各方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(又は協働可能な)、例えば、クラウドストレージ、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM又はフラッシュメモリなどのデジタル記憶媒体を使用して実行し得る。したがって、デジタル記憶媒体はコンピュータ可読であってもよい。
【0110】
本発明によるいくつかの実施形態は、プログラム可能なコンピュータシステムと協働して、本明細書に記載の方法の1つが実行されるような、電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを備える。
【0111】
一般に、本発明の実施形態は、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で動作するときに、本方法の1つを実行するように動作するプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実施し得る。プログラムコードは、例えば、機械読み取り可能なキャリアに格納することができる。
【0112】
他の実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、機械読み取り可能なキャリアに格納される。換言すれば、本発明の方法の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0113】
したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、そこに記録される、データキャリア(又はデジタル記憶媒体又はコンピュータ可読媒体)である。したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリーム又は信号のシーケンスである。データストリーム又は信号のシーケンスは、例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成することができる。更なる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成された、又は適用される処理手段、例えばコンピュータ又はプログラマブル論理デバイスを含む。更なる実施形態は、本明細書で説明される方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、本明細書に記載の方法の機能の一部又は全部を実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書で説明する方法の1つを実行するためにマイクロ処理部と協働することができる。一般に、これらの方法は、好ましくは、任意のハードウェア装置によって実行される。
【0115】
上述の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に記載された構成及び詳細の修正及び変更は、当業者には明らかであることを理解されたい。したがって、本明細書の実施形態の説明及び説明として提示された特定の詳細によってではなく、差し迫った特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【0116】
頭字語及び記号のリスト
BS 基地局
CBR チャネルビジー割合
D2D デバイス間
EN 緊急通知
eNB Evolved Node B(基地局)
FDM 周波数分割多重
LTE ロングタームエボリューション
PC5 D2D通信用にサイドリンクチャネルを使用するインタフェース
PPPP パケット優先度ごとのProSe
PRB 物理リソースブロック
ProSe 近接サービス
RA リソース割り当て
SCI サイドリンク制御情報
SL サイドリンク
sTTI 短い送信時間間隔
TDM 時分割多重
TDMA 時分割多元接続
TPC 送信電力制御/送信電力コマンド
UE ユーザエンティティ(ユーザ端末)
URLLC 超高信頼低遅延通信
V2V 車車間
V2I 車両-インフラストラクチャ間
V2P 車両-歩行者間
V2N 車両-ネットワーク間
V2X 車車間・路車間、すなわちV2V、V2I、V2P、V2N

図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)(c)(d)】
図6
図7
図8
図9
図10